説明

情報処理装置、ログ解析システム、ログ解析方法、及び、ログ解析プログラム

【課題】開発者やエンドユーザーがエラーの原因特定や対処を容易に行えるようにし、エラーに関する問い合わせやその応答を減らし、開発者、エンドユーザー、SDKの提供者にとってエラー原因特定や対処に要する手間を軽減する。
【解決手段】情報処理装置は、アプリケーションでなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログとログの複数の記述パターンを定めるとともに各記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶する記憶部と、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して定義データにおける記述パターンを定める解析処理部と、定義データと解析処理部による記述パターンの解析結果に応じ、メッセージを報知する報知部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションの処理実行に関するログを解析する情報処理装置、ログ解析システム、ログ解析方法、及び、ログ解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アプリケーションのログを参照、分析し、バグやエラーの原因を特定し、解消を試みることがある。このログの参照や検証の作業を人手で行うと、アプリケーションの規模やログの量が大きくなるにつれて、作業量が膨大と大きくなり、見落としや判断ミスも多くなる。そこで、特許文献1には、アプリケーションが出力するログを分析し、障害の根本的な原因を突き止めるための作業量の軽減を図るシステムが記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、対象となるアプリケーションに処理単位毎のログ出力処理を実装するログ出力処理実装手段、ログデータを読み込み、そのログデータを分析するログ分析手段とから構成され、ログ分析手段が、処理単位毎のログデータからアプリケーションを構成する各処理単位の呼び出し関係を示すコールフローグラフを作成し、コールフローグラフ記憶手段に記憶させるコールフローグラフ作成手段、コールフローグラフを表示し、アプリケーションの障害原因の一要因となる処理単位のログデータを比較元ログデータとしてユーザ選択操作によって受け付けるコールフローグラフ表示手段と、選択された比較元ログデータの処理単位と同一処理単位を含む他の処理単位群のログデータをコールフローグラフ記憶手段から取得し、他の処理単位群のログデータを比較先ログデータリストとして生成する比較ログデータリスト生成手段と、比較元ログデータと比較先ログデータリスト内の各ログデータとを比較し、処理単位の呼び出し関係が異なるログデータを抽出して出力するログデータ比較手段を備えるアプリケーション障害原因の特定支援システムが記載されている(特許文献1:段落[0009]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−241426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
まず、特許文献1記載の原因特定支援システムは、ソースコードを参照してアプリケーション障害原因を突き止める(特許文献1:段落[0024]、[0028]等参照)。しかし、アプリケーションの開発は、ソースコードを参照しながらできない場合がある。
【0006】
例えば、画像形成装置などの電気、電子機器用のアプリケーションやOS(Operating
System)用のアプリケーションは、SDK(Software Development Kit)を用いて作成されることがある。SDKは、例えば、プログラム、関数などを含む開発用ツールの形態で提供される。このSDKでは、ソースコードが公開されない場合がある。ソースコードが公開されないとき、ログに基づきソースコードを参照しながらエラーの原因を突き止めることができず、特許文献1記載のような原因特定支援システムの適用は難しい。
【0007】
ソースコードが公開されないとき、アプリケーションでのエラーの原因特定や対処は難しくなることがある。そこで、SDKを用いたアプリケーションの開発者は、開発中などに生じたエラーの原因や対処法(解決方法)をSDKの提供者に問い合わせる。開発者にとって、迅速にエラーの原因を特定できないという不都合があり、SDKの提供者にとっては開発者からの問い合わせに対処する必要がある。特に、SDKに精通していない開発者は、原因特定や対処法が容易なエラーについてもSDKの提供者に問い合わせを行うことがある。そのため、開発者側でエラー(特に原因特定や対処法が容易なエラー)の原因特定や対処を行えるようにすべきであるという問題がある。
【0008】
又、SDKで作成されたアプリケーションは、エンドユーザーに提供されることがある。SDKで作成されたアプリケーションの使用に際し、エンドユーザーの実行環境でもエラーが発生することがある。そこで、エンドユーザーは、エラーの原因や対処法(解決方法)を開発者に問い合わせる。又、一般に、エンドユーザーは一般にアプリケーションに対して深い知識を有さない。そのため、原因特定や対処法が容易なエラーについても開発者に問い合わせを行うことがある。そのため、エンドユーザー側でもエラー(特に原因特定や対処法が容易なエラー)の原因特定や対処を行えるようにすべきであるという問題がある。
【0009】
ここで、特許文献1の発明は、ソースコードが公開されない場合、SDKの開発者に対して適用できない。また、エンドユーザーにとっても、容易に用いることができない。従って、開発者側やエンドユーザー側でもエラーの原因特定や対処を行えるようにすべきいう問題に対応することができない。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、開発者やエンドユーザーがエラーの原因特定や対処を容易に行えるようにし、エラーに関する問い合わせやその応答を減らし、開発者、エンドユーザー、提供者にとってエラー原因特定や対処に要する手間を軽減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題解決のため、請求項1に係る情報処理装置は、アプリケーションでなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログと、ログの複数の記述パターンを定めるとともに各前記記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶する記憶部と、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して前記定義データにおける前記記述パターンを定める解析処理部と、前記定義データと前記解析処理部による前記記述パターンの解析結果に応じ、前記メッセージを報知する報知部と、を含むこととした。
【0012】
この構成によれば、解析処理部は、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識しエラーを示すログを解析して定義データにおける記述パターンを定め、報知部は、定義データと解析処理部による記述パターンの解析結果に応じ、メッセージを報知する。典型的で頻繁に現れるようなエラーでは、同様のログが残されるので、ログの文字列の記述パターンを解析する比較的容易な処理だけで、SDKの開発者やエンドユーザーは、エラーに関する原因や対処法を含むメッセージを受け取れる。従って、開発者やエンドユーザーだけで簡単に解決できるようなエラーも解決することができ、エラーに関する問い合わせやその応答を減らし、開発者、エンドユーザー、提供者の手間、作業量を軽減することができる。又、ソースコードの公開が無くても、エラーの原因を特定し、エラーに対処することができ、ソースコードを公開しなくて済む。又、エラー発生時でのエラーメッセージの表示などのエラー原因の認識、報知機能をアプリケーション自体に実装しなくても、エンドユーザーは、エラーの原因や対処法を知ることができる。
【0013】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、使用者の種別を受け付ける入力部を有し、前記記憶部は、各前記記述パターンについて、前記種別ごとに表現の異なる前記メッセージを記憶し、前記報知部は、同じ前記記述パターンでも前記種別により異なる前記メッセージを報知することとした。
【0014】
この構成によれば、記憶部は、各記述パターンについて、種別ごとの表現の異なるメッセージを記憶し、報知部は、同じ記述パターンでも種別により異なるメッセージを報知する。これにより、開発者やエンドユーザーなど、アプリケーションに関する知識量の差に応じてメッセージを報知することができる。例えば、開発者に対するメッセージでは、専門用語などを含めつつメッセージを報知し、エンドユーザーに対してはできるだけ専門用語を用いず平易なメッセージを報知するといった使い分けができる。
【0015】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記記憶部は、実行関数名と実行結果を示すログを記憶し、異常な関数呼び出しの繰り返しを示すログの前記記述パターンと異常な関数呼び出しの繰り返しに対する前記メッセージを前記定義データに含めて記憶することとした。
【0016】
異常に呼び出しが繰り返された関数に着目すれば、エラーの原因や対処法を導き出せることがある。そこで、この構成によれば、記憶部は、実行関数名と実行結果を示すログを記憶し、異常な関数呼び出しの繰り返しを示すログの記述パターンと異常な関数呼び出しの繰り返しに対するメッセージを定義データに含めて記憶する。これにより、異常な関数呼び出しの繰り返しがなされるようなエラーの原因や対処法を示すことができる。
【0017】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の発明において、前記記憶部は、実行関数名と実行結果を示すログを記憶し、処理に失敗した関数を示すログの前記記述パターンと処理に失敗した関数に対する前記メッセージを前記定義データに含めて記憶することとした。
【0018】
処理に失敗した関数に着目すれば、エラーの原因や対処法を導き出せることがある。そこで、この構成によれば、記憶部は、実行関数名と実行結果を示すログを記憶し、処理に失敗した関数を示すログの記述パターンと処理に失敗した関数に対するメッセージを定義データに含めて記憶する。これにより、処理に失敗した関数に関連が深く、関数の失敗を招くようなエラーの原因や対処法を示すことができる。
【0019】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の発明において、前記記憶部は、実行関数名と実行エラーを示すエラーコードをログとして記憶し、前記エラーコードを示すログの前記記述パターンと前記エラーコードに対するメッセージを前記定義データに含めて記憶することとした。
【0020】
実行エラーを示すエラーコードに着目すれば、原因や対処法を導き出せることがある。そこで、この構成によれば、記憶部は、実行関数名と実行エラーを示すエラーコードをログとして記憶し、エラーコードを示すログの記述パターンとエラーコードに対するメッセージを定義データに含めて記憶する。これにより、エラーコードに関連が深く、エラーコードから導き出されるエラーの原因や対処法を示すことができる。
【0021】
又、請求項6に係るログ解析システムは、画像形成装置と、前記画像形成装置と通信を行い、処理の命令を与える情報処理装置とを含み、前記情報処理装置は、アプリケーションでなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログと、ログの複数の記述パターンを定めるとともに各前記記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶する記憶部と、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して前記定義データにおける前記記述パターンを定める解析処理部と、前記定義データと前記解析処理部による前記記述パターンの解析結果に応じ、前記メッセージを報知する報知部と、を含むこととした。
【0022】
又、請求項7に係るログ解析方法は、アプリケーションでなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログを記憶し、ログの複数の記述パターンを定めるとともに各前記記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶し、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して前記定義データにおける前記記述パターンを定め、前記定義データと前記解析処理部による前記記述パターンの解析結果に応じ、前記メッセージを報知することとした。
【0023】
又、請求項8に係る、ログ解析プログラムは、情報処理装置に、アプリケーションでなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログを記憶させ、ログの複数の記述パターンを定めるとともに、各前記記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶させ、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して前記定義データにおける前記記述パターンを定めさせ、前記定義データと前記解析処理部による前記記述パターンの解析結果に応じ、前記メッセージを報知させることとした。
【0024】
これらのログ解析システム、ログ解析方法、ログ解析プログラムによれば、請求項1記載の情報処理装置と同様に、開発者やエンドユーザーだけで簡単に解決できるようなエラーも解決することができ、エラーに関する問い合わせやその応答を減らし、開発者、エンドユーザー、提供者の手間、作業量を軽減することができる。又、ソースコードの公開が無くても、エラーの原因を特定し、エラーに対処することができ、ソースコードを公開しなくて済む。又、エラー発生時でのエラーメッセージの表示などのエラー原因の認識、報知機能をアプリケーション自体に実装しなくても、エンドユーザーは、エラーの原因や対処法を知ることができる。
【発明の効果】
【0025】
上述したように、本発明によれば、開発者やエンドユーザーは、エラーの原因特定や対処を容易に行えるようになる。これにより、開発者とSDKの提供者間や開発者とエンドユーザー間のエラーに関する問い合わせと応答は減る。従って、開発者、エンドユーザー、提供者の全てにとって、エラー原因特定や対処に要する手間は軽減される。又、アプリケーションの開発のしやすさや使いやすさを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態に係るログ解析システムの一例の概要を示す説明図である。
【図2】実施形態に係る複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図3】実施形態に係るログ解析システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】実施形態のログファイルを開いたときに表示される画面の一例を示す説明図である。
【図5】本実施形態のログファイルを開いたときに表示される画面の一例を示す説明図である。
【図6】実施形態のログファイルを開いたときに表示される画面の一例を示す説明図である。
【図7】実施形態のログ解析プログラムがログ解析及びエラー原因や対処法の報知のために用いる定義データの一例を示す説明図である。
【図8】実施形態の情報処理装置でのログ解析プログラムを用いた処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る情報処理装置1、ログ解析システム100、ログ処理解析方法、ログ解析プログラム15を図1〜図8を用いて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0028】
(ログ解析システム100の概要)
まず、図1を用いて、実施形態に係るログ解析システム100の一例を説明する。図1は、実施形態に係るログ解析システム100の一例の概要を示す説明図である。
【0029】
図1のうち、右下に配されるのが、開発用の情報処理装置1である。例えば、開発用の情報処理装置1は、パーソナルコンピューターであり、例えば、画像形成装置のアプリケーション12の開発者のもとに設置される。開発用の情報処理装置1には、アプリケーション12を開発するためのSDK13がインストールされる。
【0030】
本実施形態のSDK13は、画像形成装置(例えば、複合機2。図1において右上位置に示す)用のアプリケーション12を開発するための複数の開発用プログラム、関数、部品、開発用データなどを含む開発用ツールである。具体的に、SDK13は、開発するためのツールであるプログラム(アプリケーション12の動作に不要なもの、たとえばシミュレーターやテキストエディタや統合開発環境)を含む。又、SDK13は、作成されるアプリケーション12を動作させるためのプログラム、関数群など(アプリケーション12の動作に必要なもの、例えばSDK提供者が提供するdllなど)を含む。そして、複合機2等の製造者に許諾された者は、SDK13の提供を受ける。これにより、SDK13を用いて、第三者である開発者は、複合機2等を便利良く使うためのアプリケーション12を開発できる。
【0031】
SDK13を用いて開発されるアプリケーション12は多様である。例えば、複合機2のスキャンで得られた原稿の画像データの自動的な送信先の分類や振り分けを行うアプリケーション12がある。又、例えば、スキャンした紙文書の電子文書化に際し、加工や修正を行うためのアプリケーション12がある。その他、複合機2のコピー機能やプリンタ機能などを便利に用いるためのアプリケーション12もSDK13で開発することができる。
【0032】
開発用の情報処理装置1では、SDK13を用いて開発されたアプリケーション12を複合機2等で使用できるように、パッケージングを行うことができる。パッケージング機能(パッケージング用プログラムやデータ)は、SDK13に含まれ、アプリケーション12を開発用の情報処理装置1以外でも使用できるようにするため、バイナリデータ、データファイル、構成ファイルなどの各種ファイルのバンドル等を行う。又、SDK13に含まれ、作成されるアプリケーション12を動作させるためのプログラム、関数群など(アプリケーション12の動作に必要なもの、例えばSDK提供者が提供するdllなど)もバンドルされる。このパッケージングにより、アプリケーション12は、他の情報処理装置1にインストールして利用できる形態とされる。このパッケージング機能は、例えば、SDK13に含まれる。
【0033】
開発したアプリケーション12のパッケージングに際し、SDK13は、アプリケーション12が実行した処理とその結果を示すログ(履歴)を記したログファイル16を生成し記憶させるプログラム(ログ生成プログラム14、命令文)をアプリケーション12に含ませる。言い換えると、SDK13は、作成されたアプリケーション12を動作させるためのプログラム、関数群などとともに、ログ生成プログラム14を含めるパッケージングの処理を情報処理装置1に行わせる。これにより、ログ生成プログラム14は、アプリケーション12の処理に伴い、アプリケーション12を含む情報処理装置1にログを生成させ記憶させる。尚、ログの詳細は後述する。
【0034】
又、開発したアプリケーション12のパッケージングに際し、SDK13は、生成されたログを解析し、エラー原因や対処法を示すログ解析プログラム15(解析ツール)やログ解析プログラム15用のデータをアプリケーション12に含ませる。言い換えると、SDK13は、作成されたアプリケーション12を動作させるためのプログラム、関数群などとともに、ログ生成プログラム14やログ解析プログラム15を含めるパッケージング処理を情報処理装置1に行わせる。このログ解析プログラム15を用いることで、アプリケーション12を含む情報処理装置1は、エラー原因や対処法をエンドユーザー等に報知することができる。尚、ログ解析プログラム15の詳細は後述する。
【0035】
例えば、アプリケーション12の開発者は、SDK13がインストールされた情報処理装置1でアプリケーション12を実行することができる。このアプリケーション12実行により、情報処理装置1から複合機2に対して命令が与えられる(命令を図1において白抜矢印で示す)。この与えられる命令に沿って複合機2は動作する。開発環境では、アプリケーション12の開発者は、実際にアプリケーション12を用いて、エラーの発生や発生原因を検証し、デバッグを行う。このデバッグに際し、上述のログ生成プログラム14やログ解析プログラム15を用いることができる。
【0036】
又、図1のうち、左側中央位置に配されるのが、アプリケーション12の実行環境での情報処理装置1である。この情報処理装置1は、例えば、パーソナルコンピューターやアプリケーションサーバーである。アプリケーション12は、実行環境での情報処理装置1に、開発者からアプリケーション12の使用を許諾されたエンドユーザーによってインストールされる。
【0037】
エンドユーザーは、実行環境での情報処理装置1上で、アプリケーション12を実行することができる。このアプリケーション12実行により、実行環境での情報処理装置1から複合機2に対して命令が与えられる。この与えられる命令に沿って複合機2は動作する。
【0038】
尚、図1では、アプリケーション12の開発環境(SDK13がインストールされた情報処理装置1と複合機2)におけるシステムと、アプリケーション12の実行環境(アプリケーション12がインストールされた情報処理装置1と複合機2)におけるシステムをあわせて示している。しかし、ログ解析システム100は、開発環境では、SDK13がインストールされた情報処理装置1と複合機2の組み合わせで成立し、実行環境では、アプリケーション12がインストールされた情報処理装置1と複合機2の組み合わせで成立する。そのため、必ずしも、図1に示すように、複合機2に対して開発環境用と実行環境用の2種類の情報処理装置1が必要ではない。
【0039】
(画像形成装置の概略)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機2の概略を説明する。図2は実施形態に係る複合機2の一例を示す模型的正面断面図である。
【0040】
図2に示すように、本実施形態の複合機2は、最上部に原稿カバー21を有し、複合機2本体には、操作パネル22、画像読取部23、給紙部24、搬送路25、画像形成部26、定着部27等が設けられる。
【0041】
まず、図2に破線で示すように、操作パネル22は、複合機2の正面上方に設けられる。そして、操作パネル22は、複合機2の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部221を備える。液晶表示部221は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを1又は複数表示できる。又、液晶表示部221の上面に透明なタッチパネル222(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル222は、液晶表示部221で押下された部分の位置、座標を検出するためのものである。又、操作パネル22には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー223等、各種のハードキーも設けられる。
【0042】
原稿カバー21は、図2の紙面奥行き方向に支点を有し、紙面上下方向に開閉可能である。原稿カバー21は、原稿の複写時、載置読取用コンタクトガラス231に載置された原稿を押さえる。画像読取部23は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。又、画像読取部23内には露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。尚、原稿カバー21に変えて、原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部23の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス232)に向けて搬送する原稿搬送装置を設けてもよい。
【0043】
そして、これらの光学系部材を用い、載置読取用コンタクトガラス231に載置される原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し、画像データが生成される。複合機2は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。
【0044】
給紙部24は、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路25に送り込む。給紙部24は、収納用紙が載置されるカセット241を含む(図2で上方のものに241a、下方のものに241bの符号を付す)。又、カセット241から搬送路25に送り出すため回転駆動する給紙ローラ242が設けられる(図2で上方のものに242a、下方のものに242bの符号を付す)。例えば、印刷時には、給紙ローラ242が回転駆動し、印刷に要する用紙が1枚ずつ搬送路25に送り出される。
【0045】
搬送路25は、給紙部24から排出トレイ251まで用紙を搬送する通路である。尚、用紙搬送経路上には画像形成部26、定着部27等が配される。そして、搬送路25には用紙の案内のためのガイド34や、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラ対252や、搬送されてくる用紙を画像形成部26の手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラ対253等が設けられる。
【0046】
画像形成部26は、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部26は、図2中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム261、及び、感光体ドラム261の周囲に配設された帯電装置262、露光装置263、現像装置264、転写ローラ265、清掃装置266等を備える。
【0047】
トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、画像形成部26の略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する感光体ドラム261は、図2において、感光体ドラム261の右斜め上方に設けられる帯電装置262により、所定電位に帯電される。図4において、露光装置263は、帯電装置262の右側方に設けられ、画像データに基づき、レーザ光Lをから出力し、感光体ドラム261表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。尚、画像データは、画像読取部23で得られた画像データや、ネットワーク等により接続される外部のコンピュータ200や相手方FAX装置300(図3参照)から送信された画像データ等が用いられる。
【0048】
そして、図2において、感光体ドラム261の右斜め下方に設けられる現像装置264は、感光体ドラム261に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム261の左方に設けられる転写ローラ265は感光体ドラム261に圧接し、ニップが形成される。そして、トナー像にあわせタイミングを図られつつ、用紙はニップに進入する。用紙進入時、転写ローラ265には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム261上のトナー像が転写される。清掃装置266は、転写後に感光体ドラム261に残留するトナーを除去する。
【0049】
定着部27は、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部27は、主として発熱体を内蔵する加熱ローラ271と加圧ローラ272で構成される。加熱ローラ271と加圧ローラ272は圧接しニップを形成する。そして、用紙がこのニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ251が受け止める。このようにして、コピー機能、プリンタ機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0050】
(ログ解析システム100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき実施形態に係るログ解析システム100のハードウェア構成の一例を説明する。図3は、実施形態に係るログ解析システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【0051】
まず、複合機2内には、主制御部20が設けられ、主制御部20は複合機2の動作を制御し、例えば、CPU201、画像処理部202等で構成される。尚、主制御部20は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を制御するエンジン制御部等、機能ごとに分割して複数種設けられてもよい。
【0052】
CPU201は、中央演算処理装置であって、記憶装置28に格納され、展開されるプログラムやデータに基づき複合機2の各部を制御する。画像処理部202は、印刷を行う画像データや、外部のコンピュータ200や相手方のFAX装置300に送信される画像データに対し、各種画像処理を施す。
【0053】
記憶装置28は、例えば、ROM、RAM、HDD、フラッシュROM等を含み、不揮発性と揮発性の記憶装置28を組み合わせて構成される。この記憶装置28には、複合機2の制御用等の各種のプログラムやデータ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶できる。
【0054】
複合機2の記憶装置28は、複合機2を制御するための基本ソフトウェア(ファームウェア、OS)を記憶する。ファームウェアやOSは、記憶装置28の管理、操作パネル22に関する入出力制御など、複合機2全体を管理、制御するためのものであり、アプリケーション12が利用する基本的機能を提供する。
【0055】
又、記憶装置28は、コピー、プリンタ、ファクシミリ、及びスキャナの複合機2の基本機能を利用するためのコピーアプリ、プリンタアプリ、FAXアプリ、及びスキャナアプリを記憶する。これらのアプリは、予めメーカにより作成される。又、記憶装置28は、複合機2を利用する上で用いられる関数を記憶する。関数は、多くのアプリケーション12が共通して利用する機能を実現する。各種関数は、命令やルーチンや規約やデータの集合である。情報処理装置1で実行されたアプリケーション12に基づく命令を複合機2が受信したとき、記憶装置28内の関数を呼び出して利用して処理(アプリケーション12に基づく命令)を実現することもできる。
【0056】
そして、主制御部20は、操作パネル22、画像読取部23、給紙部24、搬送路25、画像形成部26、定着部27等の各部とバスや信号線等で接続され、各部、各装置を制御して複合機2の動作を制御する。
【0057】
更に、主制御部20は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えたI/F部29と接続される。I/F部29は、ネットワークやケーブル等により、外部の情報処理装置1や、コンピュータ200や、相手方のFAX装置300と複合機2とを通信可能に接続する。例えば、設定データ等を含む画像データを外部のコンピュータ200や相手方FAX装置300(インターネットFAXでもよい)と送受信に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、外部のコンピュータ200や相手方FAX装置300からの画像データに基づき印刷を行うこともできる(プリンタ機能、FAX機能)。このように、複合機2は、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能のうちの複数の機能を備える。
【0058】
又、I/F部29は、実行されたアプリケーション12に基づく命令を情報処理装置1から受信する。この命令は、I/F部29から主制御部20に伝えられ、主制御部20は命令に従って動作する。これにより、アプリケーション12により、複合機2を動作させることができる。
【0059】
次に、複合機2と通信可能に接続される情報処理装置1を説明する。情報処理装置1は、アプリケーション12の開発環境や実行環境に設置されるものである。そして、図3に示すように、情報処理装置1は、例えば、CPU101や、日時を計時するタイマ102を含む処理部10(解析処理部に相当)を含む。処理部10は、例えば、情報処理装置1の制御基板である。
【0060】
記憶部11は、HDDやRAMやROMで構成される。そして、記憶部11は、複合機2用のアプリケーション12を開発するためのSDK13を記憶する。開発者は、SDK13を用いて、処理部10に処理を行わせ、アプリケーション12の開発、作成、パッケージング等を行うことができる。尚、実行環境の情報処理装置1であれば、記憶部11は、SDK13そのものは記憶しない(アプリケーション12の動作に不要な部分であって、アプリケーション12に含めない部分、たとえばシミュレーターや、テキストエディタや、統合開発環境は記憶しない)が、パッケージングされたアプリケーション12は、SDK13に含まれるアプリケーション12を動作させるためのプログラム、関数群など(アプリケーション12の動作に必要なもの、例えばSDK提供者が提供するdllなど)を含むので、SDK13の一部は、実行環境の情報処理装置1も記憶していることになる。
【0061】
又、記憶部11は、複合機2用の(パッケージング後の)アプリケーション12を記憶する。起動されたアプリケーション12は、処理部10を動作させ、複合機2に対する命令を行わせる。これにより、情報処理装置1から複合機2に対し各種命令が伝えられ、アプリケーション12の命令に応じた動作を複合機2に行わせることができる。
【0062】
又、記憶部11は、アプリケーション12での実行された処理や実行結果やその日時を示すログを生成するログ生成プログラム14を記憶する。ログ生成プログラム14は、アプリケーション12の起動に伴って起動され、処理部10を動作させ、アプリケーション12の実行処理を監視させ、タイマ102が計時する日時を用いて、ログを生成させ、ログファイル16として記憶部11に記憶させる。例えば、ログファイル16内のログは、テキストデータの形式で生成される。
【0063】
又、記憶部11は、ログを解析して、エラーの原因や対処法を示すログ解析プログラム15を記憶する。起動されたログ解析プログラム15は、処理部10を動作させ、指定されたログファイル16を解析する。
【0064】
又、情報処理装置1は、入力部17を含む。入力部17は、例えば、キーボードやマウス等の人間−マシン間のインターフェイスとしての入力装置である。例えば、この入力部17を用いて、SDK13での開発や、アプリケーション12の設定や実行指示や、ログ解析プログラム15の起動指示や、ログ解析プログラム15で解析するログの指定を行うことができる。
【0065】
又、情報処理装置1は、表示装置としてのディスプレイ18(報知部に相当)を含む。例えば、処理部10は、SDK13での開発画面や、アプリケーション12の設定画面や、ログ解析プログラム15のログ指定画面や、ログ解析の結果画面など、各種画面をディスプレイ18に表示させる。
【0066】
又、情報処理装置1は、外部と通信を行うためのインターフェイスであるデータ通信部19を含む。例えば、図3に示すように、ケーブルやネットワーク等により、複合機2のI/F部29と情報処理装置1のデータ通信部19とを通信可能に接続することができる。従って、情報処理装置1と複合機2間で、通信により各種データの送受信を行うことができる。例えば、データ通信部19は、アプリケーション12に基づく命令を複合機2のI/F部29に与え、複合機2のI/F部29は命令の実行結果を返す。
【0067】
(エラーを示すログと記述パターン)
次に、図4〜図6を用いて、本実施形態のログファイル16に記されるエラーを示すログとその記述パターンを説明する。図4〜図6は、本実施形態のログファイル16を開いたときに表示される画面の一例を示す説明図である。
【0068】
本実施形態の情報処理装置1は、アプリケーション12の実行した関数(処理)と実行結果をログとして記憶部11に記憶する。言い換えると、ログ生成プログラム14は、処理部10にアプリケーション12で実行された関数や実行結果をログとして生成させ、記憶部11に記憶させる。
【0069】
図4〜図6に示すように、ログは、文字列として(テキストとして)記憶部11に記憶される。そして、例えば、図4〜図6に示すように、ログ生成プログラム14は、処理部10に、「関数を実行した日時+実行した関数+実行結果」という形式で生成させ、ログファイル16内に時間順にログを記録させる。
【0070】
そして、図4〜図6は、実行しようとした処理でエラーが発生したときのログの記述パターンの一例を示す。尚、実行しようとした処理でエラー無く実行できたとき、例えば、「(関数を実行した日時)+実行した関数+success」といった形式で記述される。
【0071】
図4は、「FunctionA」という関数の呼び出しを複合機2に命令し、FunctionAの呼び出し処理を行った旨の応答の複合機2からの受信を複数回繰り返し、結局、呼び出しを中断したエラーが生じたときのログの記述パターンを示す。言い換えると、命令(関数)の不自然な複数回繰り返しエラーが生じたときのログを示す。
【0072】
図5は、「FunctionB」という関数の呼び出しを複合機2に命令し、複合機2の主制御部20が「FunctionB」という関数を呼び出したものの、呼び出せなかった、あるいは、呼び出しが拒否された(失敗した)旨を情報処理装置1が複合機2から受信したときのログの記述パターンを示す。言い換えると、関数を呼び出せなかったエラーが生じたときのログの記述パターンを示す。
【0073】
図6は、「ScanFunction」という関数の呼び出し及び実行を複合機2に命令したものの、複合機2からの応答や返答がタイムアウト時間経過までになく、複合機2との通信失敗のエラーが生じたときのログの記述パターンを示す。この場合、通信に失敗した旨のエラーコードが記述されている(本例では、「communication error」のエラーコード)。
【0074】
異常な(不自然な)関数呼び出しの繰り返しや、関数の呼び出しなどの処理の失敗や、通信エラーには、原因がある。例えば、これらのエラーは、複合機2の電源が入っていない、あるいは、複合機2が省電力モードに入っていて、記憶装置28や画像読取部23や画像形成部26や主制御部20への電力供給が停止されていることに起因することがある。又、情報処理装置1からの命令を実行するうえで、必要なソフトウェアやハードウェアがない、あるいは壊れていることに起因する場合がある。又、命令における設定値が適切な値ではなく、アプリケーション12における設定値の以上で関数呼び出しや実行に失敗する場合もある。
【0075】
そして、全てのエラーに当てはまる訳ではないが、アプリケーション12の処理において、呼び出しや実行を命令する関数ごとに、エラーの原因はある程度限られる。そして、エラーが生じたときのログの記述パターンをみれば、1つの関数について1又は複数あるエラーの原因のうち、関連が深いエラー原因を導き出せる場合がある。
【0076】
そこで、本実施形態のログ解析プログラム15は、エラーを示すログの記述パターンをみて、定義データに基づき、エラーの原因や対処法を報知する。
【0077】
(ログ解析プログラム15における定義データ)
次に、図7を用いて、本実施形態のログ解析プログラム15がログ解析及びエラー原因や対処法の報知のために用いる定義データの一例を説明する。図7は、本実施形態のログ解析プログラム15がログ解析及びエラー原因や対処法の報知のために用いる定義データの一例を示す説明図である。
【0078】
図7は、定義データの一例を示している。定義データのうち、記述パターンの項目には呼び出しや実行を行う関数名やログでの記述パターンが定義される。例えば、定義データのうち、最上欄には異常な(不自然な)関数呼び出しの繰り返しを示すログの記述パターンが定義され、2段目の欄では、関数の呼び出しなどの処理の失敗を示すログの記述パターンが定義され、3段目の欄では、通信エラーを示すログの記述パターンが定義される。
【0079】
記述パターンは、関数ごとに定義されても良い。又、エラー発生時のログの記述パターンや原因や対処法が共通する関数を複数個まとめて1つとして定義してもよい。
【0080】
そして、定義された記述パターンに対応付けて、エラー原因や対処法を示すメッセージが定義データに定義される。ログ解析プログラム15は、処理部10にログを解析させ、エラーを示すログを定めさせ、エラーを示すログ部分と定義データを比較させ、定義データ中で一致する記述パターンを定めさせる。言い換えると、情報処理装置1(の処理部10)は、ログを解析し、エラーを示すログを定め、エラーを示すログ部分と定義データを比較し、定義データ中で一致する記述パターンを定める。
【0081】
例えば、定義データには、問い合わせの多いエラーや、実際にSDK13を用いた開発においてよく生ずるエラーについて、記述パターンやメッセージを定義する。これにより、より多くのエラー発生に対して、エラー原因や対処法を開発者やエンドユーザーに提示できる。
【0082】
そして、ログ解析プログラム15は、一致した記述パターンに対応して定められたメッセージをディスプレイ18に表示させる。言い換えると、情報処理装置1のディスプレイ18は、一致した記述パターンに対応して定められたメッセージを表示する。この表示を確認することにより、開発者やエンドユーザーは、エラーの原因や対処法を示す情報を入手できる。従って、エラーの原因や対処法を問い合わせることなくエラーを自力で解消できる。
【0083】
ここで、SDK13を用いたアプリケーション12の開発者とエンドユーザーでは、アプリケーション12や情報処理装置1や複合機2に対する知識量に大きな隔たりがある。例えば、アプリケーション12開発に用いる専門用語を用いてメッセージを定義すると、開発者にとってはわかりやすいが、エンドユーザーにとっては解らない。そのため開発者向けに各メッセージを定義すると、エンドユーザーに向けてメッセージを提示しても、エンドユーザーは理解できない場合がある。一方で、エンドユーザー向けに各メッセージを定義すると、開発者にとっては、もっと詳しく教えて欲しいと考える場合もある。
【0084】
そこで、本実施形態の情報処理装置1、ログ解析プログラム15では、1つの記述パターンの定義に対し、開発者向けのメッセージと、エンドユーザー向けのメッセージの2種類が関連付けられて定義される。尚、さらに別種のメッセージ(3種以上のメッセージ)を定義しても良い。
【0085】
そのため、ログ解析プログラム15において、開発者向けのメッセージを表示するか、開発者向けのメッセージを表示するかを予め設定できるようにしてもよい。この場合、情報処理装置1は、設定にあわせた(設定された種別にあわせて)メッセージをディスプレイ18に表示する。
【0086】
あるいは、いずれのメッセージを表示するか自動的に判断してもよい。例えば、ログ解析プログラム15は起動すると、処理部10に、記憶部11内にSDK13のうち、アプリケーション12の動作に不要な部分(アプリケーション12に含めない部分、たとえばシミュレーターや、テキストエディタや、統合開発環境)が存在するか否かを確認させ、SDK13のうちアプリケーション12の動作に不要な部分が存在する場合、開発者向けのメッセージをディスプレイ18に表示させ、SDK13のうち、アプリケーション12の動作に不要な部分が存在しなければ、エンドユーザー向けのメッセージをディスプレイ18に表示させる。
【0087】
あるいは、ログ解析プログラム15は、開発者向けのメッセージとエンドユーザー向けのメッセージのいずれもディスプレイ18に表示させてもよい。
【0088】
(ログ解析の流れ)
次に、図8を用いて、本実施形態の情報処理装置1でのログ解析プログラム15を用いた処理の流れの一例を説明する。図8は、本実施形態の情報処理装置1でのログ解析プログラム15を用いた処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0089】
図8のスタートは、開発者やエンドユーザーによって、情報処理装置1にインストールされたログ解析プログラム15が起動された時点である。
【0090】
ログ解析プログラム15が起動されると、処理部10は、記憶部11に記憶されるアプリケーション12のログを取得する(ステップ♯1)。尚、取得するログファイル16のパスを事前に設定しておき、自動的にログ(ログファイル16)が取得されても良いし、入力部17を用いて開発者やエンドユーザーにより指定されたログ(ログファイル16)が取得されても良い。
【0091】
次に、処理部10は、ログファイル16中のエラーを示すログを認識する(ステップ♯2)。例えば、処理部10は、ログファイル16のうち、異常な関数の呼び出しの繰り返しのある部分や、処理失敗を示す部分や、エラーを示すコードが示され部分をエラーを示すログと認識する。
【0092】
次に、処理部10は、定義データを参照し、各エラーを示すログ(各エラーを示す部分)について、定義データに定義される記述パターンのうちいずれの記述パターンに該当するかを定める(ステップ♯3)。
【0093】
そして、処理部10は、定めた記述パターンに対応して定められたメッセージをディスプレイ18に表示させる(ステップ♯4→エンド)。このメッセージの表示では、上述のように、開発者向けのメッセージが表示されてもよいし、エンドユーザー向けのメッセージが表示されても良いし、いずれのメッセージが表示されてもよい。尚、メッセージの報知方法としては、ディスプレイ18への表示でもよいし、音声によるメッセージでもよく(この場合、情報処理装置1にスピーカや音声処理用チップが搭載される)、開発者やエンドユーザーが認識できるものであればよい。
【0094】
このようにして、本実施形態の構成によれば、情報処理装置1は、アプリケーション12でなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログと、ログの複数の記述パターンを定めるとともに各記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶する記憶部11と、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して定義データにおける記述パターンを定める解析処理部(処理部10)と、定義データと解析処理部による記述パターンの解析結果に応じ、メッセージを報知する報知部(ディスプレイ18)と、を含む。
【0095】
典型的で頻繁に現れるようなエラーでは、同様のログが残されるので、ログの文字列の記述パターンを解析する比較的容易な処理だけで、SDK13の開発者やエンドユーザーは、エラーに関する原因や対処法を含むメッセージを受け取れる。従って、開発者やエンドユーザーだけで簡単に解決できるようなエラーも解決することができ、エラーに関する問い合わせやその応答を減らし、開発者、エンドユーザー、提供者の手間、作業量を軽減することができる。又、ソースコードの公開が無くても、エラーの原因を特定し、エラーに対処することができ、ソースコードを公開しなくて済む。又、エラー発生時でのエラーメッセージの表示などのエラー原因の認識、報知機能をアプリケーション12自体に実装しなくても、エンドユーザーは、エラーの原因や対処法を知ることができる。
【0096】
又、情報処理装置1は、使用者の種別を受け付ける入力部17を有し、記憶部11は、各記述パターンについて、種別ごとに表現の異なるメッセージを記憶し、報知部(ディスプレイ18)は、同じ記述パターンでも種別により異なるメッセージを報知する。これにより、開発者やエンドユーザーなど、アプリケーション12に関する知識量の差に応じてメッセージを報知することができる。例えば、開発者に対するメッセージでは、専門用語などを含めつつメッセージを報知し、エンドユーザーに対してはできるだけ専門用語を用いず平易なメッセージを報知するといった使い分けができる。
【0097】
又、異常に呼び出しが繰り返された関数に着目すれば、エラーの原因や対処法を導き出せることがある。そこで、記憶部11は、実行関数名と実行結果を示すログを記憶し、異常な関数呼び出しの繰り返しを示すログの記述パターンと異常な関数呼び出しの繰り返しに対するメッセージを定義データに含めて記憶する。これにより、異常な関数呼び出しの繰り返しがなされるようなエラーの原因や対処法を示すことができる。
【0098】
又、処理に失敗した関数に着目すれば、エラーの原因や対処法を導き出せることがある。そこで、記憶部11は、実行関数名と実行結果を示すログを記憶し、処理に失敗した関数を示すログの記述パターンと処理に失敗した関数に対するメッセージを定義データに含めて記憶する。これにより、処理に失敗した関数に関連が深く、関数の失敗を招くようなエラーの原因や対処法を示すことができる。
【0099】
又、実行エラーを示すエラーコードに着目すれば、原因や対処法を導き出せることがある。記憶部11は、実行関数名と実行エラーを示すエラーコードをログとして記憶し、エラーコードを示すログの記述パターンとエラーコードに対するメッセージを定義データに含めて記憶する。これにより、エラーコードに関連が深く、エラーコードから導き出されるエラーの原因や対処法を示すことができる。
【0100】
又、本発明は、上述のように、ログ解析システム100の発明として捉えることもできる。具体的には、ログ解析システム100は、画像形成装置(例えば、複合機2)と、画像形成装置と通信を行い、処理の命令を与える情報処理装置1とを含み、情報処理装置1は、アプリケーション12でなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログと、ログの複数の記述パターンを定めるとともに各記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶する記憶部11と、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して定義データにおける記述パターンを定める解析処理部(処理部10)と、定義データと解析処理部による記述パターンの解析結果に応じ、メッセージを報知する報知部(ディスプレイ18)と、を含む。
【0101】
又、本発明は、上述のように、ログ処理解析方法の発明として捉えることもできる。具体的には、ログ処理解析方法は、アプリケーション12でなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログを記憶し、ログの複数の記述パターンを定めるとともに各記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶し、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して定義データにおける記述パターンを定め、定義データと解析処理部(処理部10)による記述パターンの解析結果に応じ、メッセージを報知する。
【0102】
又、本発明は、上述のように、ログ解析プログラム15の発明として捉えることもできる。具体的には、ログ解析プログラム15は、情報処理装置1に、アプリケーション12でなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログを記憶させ、ログの複数の記述パターンを定めるとともに、各記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶させ、ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して定義データにおける記述パターンを定めさせ、定義データと解析処理部(処理部10)による記述パターンの解析結果に応じ、メッセージを報知させる。
【0103】
これらログ解析システム100、ログ処理解析方法でも、上述の情報処理装置1と同様に、開発者やエンドユーザーだけで簡単に解決できるようなエラーも解決することができ、エラーに関する問い合わせやその応答を減らし、開発者、エンドユーザー、提供者の手間、作業量を軽減することができる。又、ソースコードの公開が無くても、エラーの原因を特定し、エラーに対処することができ、ソースコードを公開しなくて済む。又、エラー発生時でのエラーメッセージの表示などのエラー原因の認識、報知機能をアプリケーション12自体に実装しなくても、エンドユーザーは、エラーの原因や対処法を知ることができる。
【0104】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、画像形成装置や、画像形成装置やコンピュータを含む画像形成システムに使用可能である。
【符号の説明】
【0106】
100 ログ解析システム 1 情報処理装置
11 記憶部 10 処理部(解析処理部)
12 アプリケーション 14 ログ生成プログラム
15 ログ解析プログラム 16 ログファイル
17 入力部 18 ディスプレイ(報知部)
2 複合機(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションでなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログと、ログの複数の記述パターンを定めるとともに各前記記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶する記憶部と、
ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して前記定義データにおける前記記述パターンを定める解析処理部と、
前記定義データと前記解析処理部による前記記述パターンの解析結果に応じ、前記メッセージを報知する報知部と、を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
使用者の種別を受け付ける入力部を有し、
前記記憶部は、各前記記述パターンについて、前記種別ごとに表現の異なる前記メッセージを記憶し、
前記報知部は、同じ前記記述パターンでも前記種別により異なる前記メッセージを報知することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、実行関数名と実行結果を示すログを記憶し、異常な関数呼び出しの繰り返しを示すログの前記記述パターンと異常な関数呼び出しの繰り返しに対する前記メッセージを前記定義データに含めて記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、実行関数名と実行結果を示すログを記憶し、処理に失敗した関数を示すログの前記記述パターンと処理に失敗した関数に対する前記メッセージを前記定義データに含めて記憶することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、実行関数名と実行エラーを示すエラーコードをログとして記憶し、前記エラーコードを示すログの前記記述パターンと前記エラーコードに対するメッセージを前記定義データに含めて記憶することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
画像形成装置と、前記画像形成装置と通信を行い、処理の命令を与える情報処理装置とを含み、
前記情報処理装置は、アプリケーションでなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログと、ログの複数の記述パターンを定めるとともに各前記記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶する記憶部と、
ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して前記定義データにおける前記記述パターンを定める解析処理部と、
前記定義データと前記解析処理部による前記記述パターンの解析結果に応じ、前記メッセージを報知する報知部と、を含むことを特徴とするログ解析システム。
【請求項7】
アプリケーションでなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログを記憶し、
ログの複数の記述パターンを定めるとともに各前記記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶し、
ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、
エラーを示すログを解析して前記定義データにおける前記記述パターンを定め、
前記定義データと前記解析処理部による前記記述パターンの解析結果に応じ、前記メッセージを報知することを特徴とするログ解析方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
アプリケーションでなされた処理の実行結果を示し、文字列からなるログを記憶させ、
ログの複数の記述パターンを定めるとともに、各前記記述パターンに対応付けてエラーの原因又は対処法の少なくとも何れか一方を示すメッセージを定める定義データを記憶させ、
ログの文字列に基づき、エラーを示すログを認識し、エラーを示すログを解析して前記定義データにおける前記記述パターンを定めさせ、
前記定義データと前記解析処理部による前記記述パターンの解析結果に応じ、前記メッセージを報知させることを特徴とするログ解析プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−234273(P2012−234273A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101016(P2011−101016)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】