説明

情報処理装置、印刷制御方法、及びコンピュータプログラム

【課題】 複数の原稿に共通する電子データに、各原稿で異なる電子データを入力して印刷を行うに際し、各原稿で異なる電子データの変更指示を可及的に遅くまで印刷に反映させるようにする。
【解決手段】 バリアブルデータ601の各レコード内容から、そのレコードに対する印刷後の処理を予め決定しておく。そして、その印刷後の処理を開始する時間を、物流便運行情報テーブル1301から読み取り、その時間に基づいて、印刷後処理開始時間(トラックの発車時間)をレコード毎に決定する。そして、決定した印刷後処理開始時間(トラックの発車時間)を考慮して、印刷開始時間をレコード毎に決定し、その時間にレコードの印刷を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、印刷制御方法、及びコンピュータプログラムに関し、特に、複数の原稿に共通する電子データのデータ領域に、各原稿で異なる電子データを入力して印刷を行うために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真印刷技術の発展により、所謂バリアブル印刷方式の採用が近年増加している。このバリアブル印刷方式では、例えば複数の原稿に共通する部分の電子データと、各原稿で異なる部分の電子データとを別に持ち、複数の原稿に共通する部分の電子データと、各原稿で異なる部分の電子データとを印刷時に組み合わせて印刷原稿を作成する。
この方法により、各原稿の内容の大部分が同じであり、一部分の内容のみが異なる複数の原稿を効率的に印刷することができる。したがって、印刷処理に使用されるリソース(resource)を低減することができる。
【0003】
例えば、複数の教室を持つ学習塾における受講案内のダイレクトメールを、顧客からの問い合わせに応じて印刷する場合、そのダイレクトメールに記載するカリキュラムの内容の電子データとしては、学習塾で共通する電子データを選択する。これに対し、開催教室の電子データとしては、各教室の住所のうち、顧客の住所に近い住所の電子データを選択する。そして、選択した2つの電子データを組み合わせて顧客の要求に最適化した印刷原稿を作成し、印刷するという仕組みが考案されている(特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−254782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、バリアブル印刷方式を採用する場合、印刷を依頼するクライアントが印刷業者に対して、各原稿に共通する部分の電子データと、各原稿で異なる部分の電子データのテーブルとを渡して、印刷を要求する形態をとっていることが多い。尚、以下の説明では、各原稿に共通する部分の電子データを、必要に応じてテンプレートと称し、各原稿で異なる部分の電子データを、必要に応じてレコードと称し、各原稿で異なる部分の電子データのテーブルを、必要に応じてバリアブルデータと称する。
【0006】
印刷業者は、更なる利便性をクライアントに提供するために、印刷後の処理まで請け負うケースが増加している。印刷後の処理としては、例えば、製本、封筒入れ、梱包、配達等が挙げられる。印刷業者に印刷後の処理まで依頼するクライアントは、印刷後の処理がすべて完了する時間を指定して印刷を印刷業者に依頼することになる。更に、クライアントは、印刷業者に印刷を依頼する際に、バリアブルデータを指定する。例えば、バリアブルデータとして、クライアントの顧客の住所を指定する場合がある。しかしながら、クライアントは、顧客の引越し等により、顧客の住所がいつ変更されるかを想定できない。例えば、上記特許文献1では、このような顧客の住所が変更されることについて考慮していない。そのため、印刷依頼時の住所と印刷が完了した時の住所とが異なる場合、クライアントが送信すべく依頼した印刷物が顧客に届かなくなる可能性がある。また、バリアブルデータとして、株価や為替等の時々刻々と変化するデータを指定する場合もある。このような時々刻々と変化するデータをバリアブルデータとする場合、バリアブルデータの各レコードの内容を、印刷を依頼した後でも変更することが可能なことが望ましい。
【0007】
また、バリアブルデータの各レコードの内容により、印刷後の処理が異なるケースがある。例えば、レコードの内容に配達先の住所が含まれる場合、その印刷後の処理はそれぞれの住所に対応した物流便に、配達物(印刷物)を搭載することになる。このような場合、対応する物流便の発車時間は、レコードに示されている住所により異なる。
以上のことから、クライアントが各レコードの内容を確定させる時間は、印刷後の処理も含めて考慮すると、各レコードで異なるはずである。しかしながら、従来の技術では、各レコードの印刷後の処理を考慮していないので、全レコードを同一時刻に確定させて印刷依頼させており、上述したデータの変化に対応することが困難であるという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、複数の原稿に共通する電子データに、各原稿で異なる電子データを入力して印刷を行うに際し、後処理時間を考慮して原稿単位に印刷開始時間を決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理装置は、コンテンツデータが入力されるデータ領域を含むテンプレートと前記コンテンツデータとを用いて印刷命令を送信する情報処理装置であって、前記コンテンツデータが入力されたテンプレートに基づく印刷物に対して行われる印刷後処理の開始時間を決定するために使用される印刷後処理情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された印刷後処理情報に基づいて、前記コンテンツデータとテンプレートとを用いて印刷を開始する時間を、前記コンテンツデータによって構成されるレコード毎に導出する導出手段と、前記導出手段により導出された時間を用いて、当該時間に印刷すべきレコードのコンテンツデータと前記テンプレートとを用いた印刷を命令する命令手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の印刷制御方法は、コンテンツデータが入力されるデータ領域を含むテンプレートと前記コンテンツデータとを用いて印刷命令を送信する印刷制御方法であって、
前記コンテンツデータが入力されたテンプレートに基づく印刷物に対して行われる印刷後処理の開始時間を決定するために使用される印刷後処理情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された印刷後処理情報に基づいて、前記コンテンツデータとテンプレートとを用いて印刷を開始する時間を、前記コンテンツデータによって構成されるレコード毎に導出する導出ステップと、前記導出ステップにより導出された時間を用いて、当該時間に印刷すべきレコードのコンテンツデータと前記テンプレートとを用いた印刷を命令する命令ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
本発明のコンピュータプログラムは、コンテンツデータが入力されるデータ領域を含むテンプレートと前記コンテンツデータとを用いて印刷命令を行うことをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンテンツデータが入力されたテンプレートに基づく印刷物に対して行われる印刷後処理の開始時間を決定するために使用される印刷後処理情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された印刷後処理情報に基づいて、前記コンテンツデータとテンプレートとを用いて印刷を開始する時間を、前記コンテンツデータによって構成されるレコード毎に導出する導出ステップと、前記導出ステップにより導出された時間を用いて、当該時間に印刷すべきレコードのコンテンツデータと前記テンプレートとを用いた印刷を命令する命令ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各レコードについて印刷開始時間を決めるため、ユーザに対してレコード内容を変更する機会を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、POD(Print On Demand)印刷システムの概略構成の一例を示す図である。
図1において、クライアント101は、テンプレートとバリアブルデータとを作成して印刷を要求する。クライアント101は、データベース102と、PC(パーソナルコンピュータ)103とを有している。データベース102は、テンプレートとバリアブルデータとを格納する。クライアント端末装置の一例であるPC103は、テンプレートとバリアブルデータを作成し、データベース102の内容を更新する。PC103とデータベース102とは、LAN121を介して相互に接続されている。
【0014】
PODシステム105は、印刷に必要な様々な調整及び措置を行うPC106を有している。
印刷システム107は、印刷を実行するためのものであり、PC108と、印刷機109とを有している。PC108は、印刷機109の制御と、印刷データの加工とを行う。印刷機109は、PC108の制御に従って印刷を実行する。PC108と印刷機109とは、LAN122を介して相互に接続されている。
【0015】
物流処理システム110は、印刷後に印刷物をトラック等の配送手段に搭載して配送処理を実行するためのものであり、物流情報蓄積サーバ111と、物流制御装置112〜115とを有している。尚、以下の説明では、配送手段がトラックである場合を例に挙げて説明する。
物流情報蓄積サーバ111には、トラックの情報(例えば行き先地、発車時間、及び到着時間)等が格納されている。物流制御装置112〜115は、目的地別にトラックの運行を制御するためのPCを備えている。物流情報蓄積サーバ111と物流制御装置112〜115とは、LAN123を介して相互に接続されている。
【0016】
また、クライアント101、PODシステム105、印刷システム107、及び物流処理システム110は、インターネット等のネットワーク104を介して相互に接続されている。
【0017】
クライアント101内のPC103は、データベース102に記憶されている内容を常に更新することが可能である。また、PODシステム105(PC106)及び印刷システム107(PC108)は、ネットワーク104を介して、データベース102の内容を参照(取得)することが可能である。
また、物流情報蓄積サーバ111の内容は、物流制御装置112〜115によって更新することが可能である。PODシステム105は、ネットワーク104を介して、物流情報蓄積サーバ111の内容を参照(取得)することが可能である。
【0018】
図2は、PC103、106、108、物流情報蓄積サーバ111、及び物流制御装置112〜115の構成の一例を示す図である。
図2において、CPU201は、本実施形態で説明する機能を実現するために、補助記憶装置203に記憶されたプログラムを、RAM202を利用して実行し、装置全体を統括制御する。RAM202は、CPU201のワークエリアを提供したり、データを一時的に保管したりするための記憶媒体である。
【0019】
補助記憶装置203は、本実施形態で説明する機能を実現するための通信プログラムを保管したり、データを保管したりする。補助記憶装置203は、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、MO、及びDVDの少なくとも何れか1つを用いることにより実現される。画像表示装置204は、例えば、PCの使用者にメッセージを通知する目的等で画像を表示する装置である。具体的に画像表示装置204は、例えば、CRTディスプレイや、DSTN液晶ディスプレイ等である。
【0020】
ユーザコマンド入力装置205は、ユーザが操作可能なユーザインターフェースであり、ユーザによって指定されたコマンドを入力する。ユーザコマンド入力装置205は、例えば、マウス及びキーボードの少なくとも何れか1つを用いることにより実現される。ネットワークインタフェースカード(NIC(Network Interface Card))206は、LAN220を介して他の情報機器とデータを双方向にやり取りするためのものである。メインバス209は、CPU201、RAM202、補助記憶装置203、画像表示装置204、ユーザコマンド入力装置205、及びNIC206を相互に接続するためのものである。
【0021】
尚、図2に示すLAN220は、図1に示したLAN121、122、123と同じものである。また、図2では、他の情報機器とのデータの送受信を行うインターフェースがNIC206である場合を例に挙げて示しているが、NIC206は、パラレルインターフェース、シリアルインターフェース、USB等であっても良い。
【0022】
図3は、印刷機109の構成の一例を示す図である。
図3において、CPU301は、本実施形態で説明する機能を実現するために、補助記憶装置303に記憶されたプログラムを、RAM302を利用して実行し、印刷機109全体を統括制御する。例えば、CPU301は、印字制御やフィニッシング制御を行う。
【0023】
RAM302は、CPU301のワークエリアの提供したり、印字データを一時的に保管したりするための記憶媒体である。補助記憶装置303は、印字データを一時的に保管したり、CPU301の判断によってRAM302の代わりの記憶媒体として用いられたり、プログラムを保管したりする。補助記憶装置303は、例えば、ハードディスク、CD−ROM、MO、及びDVDの少なくとも何れか1つを用いることにより実現される。
【0024】
画像表示装置304は、例えば、印刷機109の状態や、エラーメッセージ等の画像を表示する。ユーザコマンド入力装置305は、ユーザが操作するためのユーザインターフェースである。ユーザコマンド入力装置305は、各種ボタン、テンキー、及びタッチパネルを備えている。ネットワークインタフェースカード(NIC)306は、LAN122を介して他の情報機器とデータを双方向にやり取りするためのである。尚、画像表示装置304と、ユーザコマンド入力装置305とは、タッチパネル等を用いることによって単一のモジュールとする事も可能である。
【0025】
印字制御装置307は、PC等から受信した印字データを実際に用紙に出力するための装置である。この印字制御装置307は、フィニッシャの制御も行う。画像読み取り部308は、原稿上の画像を読み取って、白黒2値(又はカラー)のイメージデータを入力する。メインバス309は、CPU301、RAM302、補助記憶装置303、画像表示装置304、ユーザコマンド入力装置305、NIC306、印字制御装置307、及び画像読み取り部308を相互に接続するためのものである。
【0026】
次に、クライアント101の動作の一例を説明する。
クライアント101内のPC103は、ユーザによるユーザコマンド入力装置205の入力を受けて、テンプレートとバリアブルデータとを作成する。そして、PC103は、テンプレートの内容とバリアブルデータの内容とを、データベース102に格納する。
【0027】
図4及び図5は、テンプレート401、501の内容の一例を示す図である。
図4には、配達先の情報を記載する印刷面を作成するための情報が示されている。図4(a)に示す<郵便番号>、<住所>、及び<氏名>以外の部分が、テンプレートの情報(複数の原稿で共通する電子データ)である。
【0028】
図4(a)において、<郵便番号>は、挿入されるレコードのコンテンツデータと、そのコンテンツデータが挿入される位置とを示す。図4(b)に、この<郵便番号>に挿入されるコンテンツデータの文字の属性情報(ゴシック字体 10ポイント、行 開始位置 300、700)を示す。この属性情報は、文字種がゴシック字体であり、文字の大きさが10ポイントであり、挿入形態が1行(固定)であり、先頭文字の位置が、座標(300,700)の位置(横軸の位置が300、縦軸の位置が700)であることを示している。なお、レコードは、例えば電子データ(コンテンツデータ)の集合である。具体的には、図6に示すレコード「7」は、「ヨシダハチロウ」、「140−0000」、「東京都品川・・・」というコンテンツデータの集合である。そして、各コンテンツデータが、図4(a)における<>に配置される。
【0029】
また、図4(a)において、<住所>は、挿入されるバリアブルデータのコンテンツデータと、そのコンテンツデータが挿入される位置とを示す。図4(b)に、この<住所>に挿入されるコンテンツデータの文字の属性情報(ゴシック字体 10ポイント、ブロック 開始位置 300、900)を示す。この属性情報は、文字種がゴシック字体であり、文字の大きさが10ポイントであり、挿入形態がブロックであり、先頭文字の位置が座標(300,900)の位置であることを示している。
【0030】
また、図4(a)において、<氏名>も同様である。図4(b)に、この<氏名>に挿入されるレコードの文字の属性情報(ゴシック字体 10ポイント、行 開始位置 300、1100)を示す。この属性情報は、文字種がゴシック字体であり、文字の大きさが10ポイントであり、挿入形態がブロックであり、先頭文字の位置が座標(300,1100)の位置であることを示している。
【0031】
また、図5には、実際の内容を作成するための情報が示されている。図5(a)に示す<為替レート>、<長期予想>、及び<短期予想>以外の部分が、テンプレートの情報(複数の原稿で共通する電子データ)である。図5(a)において、<為替レート>、<長期予想>、及び<短期予想>は、挿入されるコンテンツデータと挿入される位置とを示す。
【0032】
図5(b)に、<為替レート>に挿入されるコンテンツデータの文字の属性情報(ゴシック字体 10ポイント、ブロック 開始位置 200、700)を示す。この属性情報は、文字種がゴシック字体であり、文字の大きさが10ポイントであり、挿入形態がブロックであり、先頭文字の位置が座標(200,700)の位置であることを示している。
【0033】
また、図5(b)には、<長期予想>及び<短期予想>に挿入されるコンテンツデータの文字の属性情報(ゴシック字体 10ポイント、ブロック 開始位置 200、possible)も示している。これらの属性情報は、文字種がゴシック字体であり、文字の大きさが10ポイントであり、挿入形態がブロックであり、先頭文字の位置が座標(200,possible)の位置であることを示す。尚、「possible」とは、他の文字と重ならないで且つ可能な限り上部にすることを表している。
【0034】
図6及び図7は、バリアブルデータ601、701の内容の一例を示す図である。
図6に示すバリアブルデータ601は、レコード毎にその内容が異なる。そして、各レコードにおける「郵便番号、住所、及び氏名」が、図4に示すテンプレート401に、夫々の属性情報に従って挿入(入力)されるコンテンツデータである。図8は、図6のレコード番号「2」における「郵便番号、住所、及び氏名」がテンプレート401に挿入された様子の一例を示す図である。
【0035】
図7に示すバリアブルデータ701の内容は、クライアント101内のPC103によって常に更新される。そして、更新された「為替レート、長期予想、及び短期予想」の内容が、図5に示すテンプレート501に、夫々の属性情報に従って挿入される。図9は、バリアブルデータ701内の「為替レート、長期予想、及び短期予想」がテンプレート501に挿入された様子の一例を示す図である。
以上のように、本実施形態では、例えば、バリアブルデータ601、701内のレコードが、各原稿で異なる電子データとして設定される。
【0036】
そして、クライアント101(PC103)は、ユーザによるユーザコマンド入力装置205の操作に従い、PODシステム105内のPC106に、印刷要求信号を、ネットワーク104を介して送信する。この印刷要求信号には、PC106がバリアブルデータ601、701へアクセスするためのURLと、PC106がテンプレート401、501へアクセスするためのURLとが含まれる。また、印刷要求信号には、PC103のユーザによって指示された配達完了時間(日時)が含まれている。更に、印刷要求信号には、要求識別子が含まれていることがある。この要求識別子は、可能な限り最新のバリアブルデータの内容が印刷物に反映されるように要求するための識別子である。この要求識別子が印刷要求信号に含まれていれば、PC106は、可能な限り最新のバリアブルデータの内容を印刷物に反映するための処理を実行する。一方、この要求識別子が印刷要求信号に含まれていなければ、バリアブルデータを用いた通常の印刷を行う。要求識別子は、ユーザが、PC103のユーザコマンド入力装置205を操作することによって設定される。図10は、印刷要求信号1001に含まれる情報(印刷要求のフォーマット)の一例を示す図である。図10に示す例では、バリアブルデータ決定遅延要求を「ON」することにより、要求識別子が印刷要求信号1001に含まれる。
【0037】
次に、図18と、図11のフローチャートを参照しながら、PODシステム105内のPC106における動作の一例を詳細に説明する。図11に示すフローチャートは、例えば、PC106内のCPU201が、補助記憶装置203に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。尚、図18は、図1に示したPOD印刷システムにおける処理の概要の一例を示す図である。図18では、上から下に向かって時間が経過するものとする。
【0038】
まず、図11−1において、CPU201は、ネットワーク104を介して、クライアント101(PC103)から送信された印刷要求信号を受信するのを待つ(ステップS101)。このように本実施形態では、例えば、ステップS101の処理を行うことによって、印刷の要求を受け付ける受付手段が実現される。尚、前述したように、この印刷要求信号には、PC106がバリアブルデータ601、701へアクセスするためのURLと、PC106がテンプレート401、501へアクセスするためのURLとが含まれる。
【0039】
そして、印刷要求信号を受信すると、CPU201は、その印刷要求信号に要求識別子が含まれるか否かを判定する(ステップS102)。具体的には図10のバリアブルデータ決定遅延要求がONになっている場合、CPU201は、要求識別子が含まれると判定する。このように本実施形態では、ステップS102の処理を行うことによって、判定手段が実現される。
この判定の結果、印刷要求信号に要求識別子が含まれていなければ、CPU201は、印刷後の処理を考慮しない通常のバリアブル印刷処理を実施する(ステップS103)。
【0040】
一方、印刷要求信号に要求識別子が含まれている場合、CPU201は、レコード番号カウンタnを初期値(=1)に設定する(ステップS104)。次に、CPU201は、レコード番号がn番目のバリアブルデータ601の郵便番号を、ネットワーク104を介してデータベース102より取得する。そして、CPU201は、PC106内の補助記憶装置203に予め記憶されている郵便番号−地域変換テーブル1201(図12を参照)を用いて、n番目のレコードの印刷物が配達されるべき地域を特定する。そして、CPU201は、特定された地域から、印刷物の行き先を決定する(ステップS105)。本実施形態では、印刷物をトラックで配達することが印刷後処理である場合を一例として示しているので、印刷物の行き先を決定することで、印刷後処理の内容が決定される。なお、本願では郵便番号を用いて配達先を特定しているが、例えば住所から特定しても構わない。
更に、CPU201は、物流情報蓄積サーバ111に格納されている「地域(行き先)毎のトラックの発車時間(日時)と到着予定時間(日時)とを示す物流便運行情報テーブル」1301の情報を(図13を参照)、ネットワーク104を介して取得する。
【0041】
次に、CPU201は、n番目のレコードの印刷物の行き先と、印刷要求信号に含まれている配達完了時間と、物流便運行情報テーブル1301とに基づき、n番目のレコードの印刷物を搭載するトラック(物流便)を決定する。そして、CPU201は、そのトラック(物流便)の発車時間を、物流便運行情報テーブル1301から取得する。この取得した情報が、印刷後処理情報であり、当該印刷後処理情報を用いて印刷後処理の開始時間(日時又は時刻)が決定される(ステップS106)。このように本実施形態の印刷後処理情報とは、印刷後処理の開始時間を決定するために使用される情報である。つまり、ステップS106の処理を行うことによって、印刷後処理情報を取得する取得手段が実現される。なお、印刷後処理とは印刷物の運搬に限る必要はなく、例えば製本処理、断裁処理も印刷後処理となる。この場合、例えば住所毎に異なる製本機や断裁機を用いる場合、各製本機、断裁機が使用可能となる時刻が印刷後処理の開始時間となる。
【0042】
図14は、トラック(物流便)の発車時間を決定する方法の一例を概念的に示す図である。
図14に示す例では、CPU201は、図6に示したバリアブルデータ601のレコード番号が2番目のレコード1401の郵便番号1401aと、図12に示した郵便番号−地域変換テーブル1201とを照合する。その結果、CPU201は、レコード番号がn番目のレコードの印刷物が配達されるべき地域が九州であると判断する。そして、CPU201は、図13に示した物流便運行情報テーブル1301を参照し、九州を行き先とするトラックの中から最適なトラックを選択する。すなわち、印刷要求信号1001に含まれている配達完了時間(日時)が、2006年11月24日の23時30分であることから、CPU201は、2006年11月24日の23時に九州に到着するトラックを最適なトラックとして選択する。そして、CPU201は、そのトラックの発車時間である2006年11月24日の13時を、印刷後処理の開始時間(印刷後処理を開始するタイミング)として決定する。
【0043】
図11に説明を戻し、CPU201は、印刷機109の印刷速度と、レコード番号がn番目のレコードの印刷枚数とに基づいて、n番目のレコードの実際の印刷に必要な時間(印刷時間)を算出する(ステップS107)。
そして、CPU201は、その他の印刷に必要なリソースが確保できる時間等を調べる。具体的にCPU201が調べる時間としては、例えば、「紙、インクの準備が完了する時間」、「印刷機109のリソースが確保されるまでに要する時間」、「印刷に失敗した場合の再印刷に要する時間等を含むマージ時間」等が挙げられる。
【0044】
そして、CPU201は、ステップS106で取得した印刷後処理の開始時間と、ステップS107で算出した印刷時間と、その他の印刷に必要なリソースが確保できる時間等に基づき、n番目のレコードの印刷を開始する時間(日時又は時刻)を決定する。そして、CPU201は、決定した印刷を開始する時間を、n番目のレコードの印刷開始時間(印刷を開始するタイミング)として、補助記憶装置203に保持する(ステップS108)。このように本実施形態では、例えば、ステップS108の処理を行うことによって、印刷を開始するタイミングをレコード毎に導出する導出手段が実現される。
尚、CPU201は、このステップS108において決定した印刷開始時間とレコード番号とを対応付けて記憶する印刷予定テーブルを用いて、n番目のレコードの印刷開始時間を、補助記憶装置203に保持させるようにすることができる。
【0045】
次に、CPU201は、レコード番号カウンタnをインクリメントする(ステップS109)。次に、CPU201は、レコード番号カウンタnが、バリアブルデータ601のレコードの数N(図6を参照)より大きいか否かを判定する(ステップS110)。この判定の結果、レコード番号カウンタnが、バリアブルデータ601のレコードの数N以下であれば、印刷開始時間を決定すべきレコードが、バリアブルデータ601にまだ残存していると判断してステップS105に戻る。そして、バリアブルデータ601の全てのレコードの印刷開始時間を決定するまで、ステップS105〜S110の処理を繰り返し行う。そして、ステップS110において、レコード番号カウンタnが、バリアブルデータ601のレコードの数Nよりも大きいと判定され、バリアブルデータ601の全てのレコードの印刷開始時間を決定すると、ステップS111に進む。
【0046】
そして、NIC206は、CPU201からの指示に基づいて、ステップS110で決定した「各レコードの印刷開始時間」をクライアント101(PC103)に送信する。これにより、クライアント101のユーザは、バリアブルデータ601、701をいつまで変更可能かを把握することができる。また、NIC206は、CPU201からの指示に基づいて、ステップS110で決定した「各レコードの印刷開始時間」を、物流処理システム110(物流制御装置112〜115)にも送信する。
【0047】
尚、ここでは、PODシステム105が、「各レコードの印刷開始時間」を、クライアント101及び物流処理システム110に、自発的に送信するようにした。しかしながら、クライアント101及び物流処理システム110からの要求に応じて、PODシステム105が、「各レコードの印刷開始時間」を、クライアント101及び物流処理システム110に送信するようにしてもよい。
【0048】
次に、CPU201は、決定した全てのレコードの印刷開始時間を時間順に並べ、印刷開始時間が同じレコードを集める。この処理が、レコード毎に導出された印刷を開始する時間を用いて、同一時間に開始するレコードを特定する処理に相当する。そして、CPU201は、印刷開始時間が同じレコードの中から、印刷領域が可変なデータ(例えば<住所>)の印刷領域が最大のレコードを選択する(ステップS112)。そして、CPU201は、印刷に使用するテンプレート401、501を、データベース102から取得する。そして、CPU201は、ステップS112で選択したレコードの内容を組み込むことが可能となるように、取得したテンプレート401、501のレイアウトを確定する(ステップS113)。つまり、CPU201は、同一時間に印刷を開始する複数のレコードを特定した場合、当該複数のレコードを構成する各コンテンツデータが収まるように取得したテンプレートのデータ領域サイズを決定する。例えば、図6のデータベースにおいて関東地区に同一時刻に発想するレコードとして、レコード3、7が特定された場合、レコード3とレコード7とでは住所のコンテンツデータの文字数が異なる。ここでレコード3の方がレコード7よりも文字数が多い場合、CPU201は、レコード3の住所のコンテンツデータが収まるようにテンプレートのデータ領域のサイズを変更する。そのため、同一時刻に発送すべき複数のレコードに対応するために、複数のテンプレートを送信する必要がなく、1つのテンプレートで対応可能となるため、送信効率が向上する。
【0049】
次に、CPU201は、バリアブルデータ601、701を組み込まない状態で、ステップS113で確定されたレイアウトのテンプレート401、501を、印刷機109が印刷可能な印刷データ(RIPデータ)に変換する。そして、CPU201は、変換した印刷データを補助記憶装置203に保存する(ステップS114)。このように本実施形態では、ステップS114の処理を行うことによって、保存手段が実現される。
【0050】
次に、CPU201は、全ての印刷開始時間(全てのレコード)についてステップS112〜S114の処理を行ったか否かを判定する(ステップS115)。この判定の結果、処理を行っていなければ、処理を行っていない印刷開始時間を持つレコードに対して、ステップS112〜S114を行う。
そして、全ての印刷開始時間についてステップS112〜S114の処理を行うと、図11−2のステップS116に進む。そして、CPU201は、現在の時間(日時又は時間)と、全てのレコードの印刷開始時時間とを比較し、印刷を開始すべきレコード(印刷開始時間になったレコード)があるか否かを判定する(ステップS116)。
【0051】
この判定の結果、印刷を開始すべきレコード(印刷開始時間になったレコード)がない場合、CPU201は、データベース102内のバリアブルデータ601、701が変更されたか否かを判定する(ステップS117)。この判定の結果、バリアブルデータ601、701が変更されていない場合には、ステップS116に戻る。
一方、バリアブルデータ601、701が変更された場合には、ステップS104に戻り、各レコードの印刷開始時間を再度求める。尚、ここでは、各レコードの印刷開始時間を再度求めるようにしたが、バリアブルデータ601、701のどのレコードが変更されているのかをPC106が把握している場合には、そのレコードについてのみ印刷開始時間を再度求めるようにしてもよい。この場合には、変更のあったレコードについて、ステップS105〜S108の処理を行った後、ステップS111に進むようにすればよい。
【0052】
ステップS116において、印刷を開始すべきレコード(印刷開始時間になったレコード)がある場合、NIC206は、CPU201からの指示に基づいて、印刷命令信号を、印刷システム107(PC108)に送信する(ステップS118)。このように本実施形態では、例えば、ステップS118の処理を行うことによって、命令手段が実現される。
次に、CPU201は、ステップS113でテンプレート401、501から変換した印刷データのうち、印刷に使用される印刷データを補助記憶装置203から読み出す。そして、NIC206は、CPU201からの指示に基づいて、読み出した印刷データと、その印刷データに対応するテンプレート401、501の属性情報とを、印刷システム107に送信する(ステップS119)。このように本実施形態では、例えば、ステップS119の処理を行うことによって、第1の出力手段が実現される。
【0053】
次に、NIC206は、CPU201からの指示に基づいて、バリアブルデータ601、701へアクセスするための情報(例えばURL)を、印刷システム107(PC108)に送信する(ステップS120)。このように本実施形態では、例えば、ステップS120の処理を行うことによって、第2の出力手段が実現される。
次に、NIC206は、CPU201からの指示に基づいて、ステップS116で判定された印刷を開始すべきレコードの識別子を印刷システム107(PC108)に送信する(ステップS121)。図15に、印刷命令信号と共にPODシステム105から印刷システム107(PC108)に送信される情報の内容(データのフォーマット)の一例を示す。
【0054】
次に、CPU201は、テンプレートの再作成要求信号を、印刷システム107(PC108)から受信したか否かを判定する(ステップS122)。図16(a)に、テンプレートの再作成要求信号1601の内容(コマンドのフォーマット)の一例を示す。このように本実施形態では、例えば、ステップS122の処理を行うことによって、変更要求を受け付ける変更要求受付手段が実現される。
この判定の結果、テンプレートの再作成要求信号を、印刷システム107(PC108)から受信した場合、ステップS123に進む。CPU201は、そのテンプレートの再作成要求信号1601に含まれるレコード識別子で識別されるレコードの内容を、ネットワーク104を介して、データベース102から取得する(ステップS123)。そして、CPU201は、レコード識別子で識別されるレコードのテンプレート401、501を、ステップS123で取得したレコードの内容が組み込めるように、テンプレート401を再作成する(ステップS124)。例えば、CPU201は、<住所>の組み込み場所を縦軸方向に拡張したテンプレート401を再作成する。
【0055】
次に、CPU201は、再作成したテンプレート401、501を、印刷機109が印刷可能な印刷データに変換する(ステップS125)。このように本実施形態では、例えば、ステップS124、S125の処理を行うことによって、変更手段が実現される。
次に、NIC206は、CPU201からの指示に基づいて、変換した印刷データを、印刷機109に送信する(ステップS126)。このように本実施形態では、例えば、ステップS126の処理を行うことによって、第3の出力手段が実現される。
【0056】
次に、CPU201は、印刷が完了したことを示す印刷完了信号を、印刷システム107(PC108)から受信したか否かを判定する(ステップS127)。図16(b)に、印刷完了信号1602の内容(コマンドのフォーマット)の一例を示す。この判定の結果、印刷完了信号を受信していない場合には、ステップS122に戻る。一方、印刷完了信号を受信した場合には、ステップS116で印刷開始時間になったと判定されたレコードが全て印刷されたと判断し、ステップS128に進む。そして、NIC206は、CPU201からの指示に基づいて、印刷後処理要求信号を、物流処理システム110(物流制御装置112〜115)に送信する(ステップS128)。
【0057】
次に、CPU201は、バリアブルデータ601における全てのレコードが印刷されたか否かを判定する(ステップS129)。この判定の結果、全てのレコードが印刷されていない場合には、ステップS116に戻る。一方、全てのレコードが印刷された場合には、処理を終了する。
以上のように本実施形態では、PODシステム105内のPC106を用いて、情報処理装置が実現され、印刷システム107内のPC108及び印刷機109を用いて、印刷制御装置が実現される。
このようにレコード毎に印刷開始時間を決定することでクライアントに対して、コンテンツデータの内容変更機会を与えることが可能となる。また、従来技術のように一斉に全レコードの印刷を開始する場合、全レコード分の印刷物を確保する場所が必要となるが、本願を用いることで、全レコード分の印刷物を確保する場所よりも小さい場所で対応することが可能となる。
【0058】
次に、図17のフローチャートを参照しながら、印刷システム107内のPC108における動作の一例を詳細に説明する。図17に示すフローチャートは、例えば、PC108内のCPU201が、補助記憶装置203に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
まず、図17において、CPU201は、PODシステム105内のPC106から、ネットワーク104を介して、印刷命令信号を受信するまで待機する(ステップS201)。このように本実施形態では、例えば、ステップS201の処理を行うことによって、印刷の命令を受け付ける受付手段が実現される。
そして、印刷命令信号を受信すると、CPU201は、印刷を行うテンプレート401、501の印刷データと、そのテンプレート401、501における属性情報とを受信するまで待機する(ステップS202)。このように本実施形態では、例えば、ステップS202の処理を行うことによって、第2の取得手段が実現される。
【0059】
これらの情報を受信すると、CPU201は、印刷を行うバリアブルデータ601、701へアクセスするための情報(例えばURL)を受信するまで待機する(ステップS203)。このように本実施形態では、例えば、ステップS203の処理を行うことによって、第3の取得手段が実現される。
そして、バリアブルデータ601、701へアクセスするための情報を受信すると、CPU201は、印刷すべき全てのレコードを識別するためのレコード識別子を受信するまで待機する(ステップS204)。レコード識別子を受信すると、CPU201は、受信した「バリアブルデータ601へアクセスするための情報」に従って、受信した「レコード識別子」で識別されるレコードの内容を取得する(ステップS205)。
以上のように本実施形態では、印刷命令信号の受信に伴い、印刷を行うテンプレートの印刷データ、そのテンプレートにおける属性情報、印刷を行うバリアブルデータへアクセスするための情報、及び印刷すべきレコードのレコード識別子等を取得する。
【0060】
次に、CPU201は、受信した「テンプレート401、501における属性情報」に従って、取得した「レコードの内容」を印刷データに変換する(ステップS206)。このように本実施形態では、例えば、ステップS205、S206の処理を行うことによって、第4の取得手段が実現される。
次に、CPU201は、ステップS202で受信した印刷データと、ステップS206で変換した印刷データとを合成する(ステップS207)。そして、CPU201は、変換した印刷データが、受信した印刷データの所定の位置(領域内)に収まるか否かを判定する(ステップS208)。このように本実施形態では、例えば、ステップS208の処理を行うことによって、判断手段が実現される。
【0061】
この判定の結果、変換した印刷データが、受信した印刷データの所定の領域内に収まらない場合には、ステップS209に進む。そして、NIC206は、CPU201からの指示に基づいて、テンプレートの再作成要求信号を、PODシステム105(PC106)に送信する(ステップS209)。尚、このテンプレートの再作成要求信号には、レコード識別子が含まれている。このように本実施形態では、例えば、ステップS209の処理を行うことによって、テンプレートのデータ領域の変更要求の一例として、テンプレート401、501のレイアウトの変更要求を行う変更要求手段が実現される。
そして、テンプレートの再作成要求信号に基づいて再作成されたテンプレートの印刷データを、PODシステム105(PC106)から受信するまで待機する(ステップS210)。そして、印刷データを受信すると、ステップS207に戻る。このように本実施形態では、例えば、ステップS210の処理を行うことによって、取得手段が実現される。また、ステップS210からステップS207に戻って、ステップS207の処理を行うことによって、合成手段が実現される。
【0062】
ステップS208において、ステップS206で変換した印刷データが、ステップS202で受信した印刷データの所定の位置(領域内)に収まると判定した場合には、正常に印刷することが可能であると判断してステップS211に進む。そして、CPU201は、ステップS207で合成した印刷データの印刷を印刷機109に指示する(ステップS211)。これにより印刷が実行される。このように本実施形態では、例えば、ステップS211の処理を行うことによって、印刷実行手段が実現される。
【0063】
そして、CPU201は、ステップS204で受信したレコード識別子により識別される全てのレコードの印刷が完了したか否かを判定する(ステップS212)。この判定の結果、全てのレコードの印刷が完了していない場合には、次のレコード識別子で識別されるレコードの印刷を実施するために、ステップS205に戻る。そして、全てのレコードの印刷が完了するまで、ステップS205〜S212を繰り返し行う。全てのレコードの印刷が完了すると、NIC207は、CPU201からの指示に基づいて、印刷完了信号をPODシステム105(PC106)に送信する(ステップS213)。そして、ステップS201に戻り、CPU201は、印刷要求信号を再度受信するまで待機する。
【0064】
以上のように本実施形態では、バリアブルデータ601の各レコード内容から、そのレコードに対する印刷後の処理を予め決定しておく。そして、その印刷後の処理を開始する時間を、物流便運行情報テーブル1301から読み取り、その時間に基づいて、印刷後処理開始時間(トラックの発車時間)をレコード毎に決定する。そして、決定した印刷後処理開始時間(トラックの発車時間)を考慮して、印刷開始時間をレコード毎に決定し、その時間にレコードの印刷を開始する。したがって、各レコードの印刷開始時間を、印刷後の処理に応じて(トラックが発車する時間に応じて)、可能な限り遅い時間にすることができる。したがって、クライアント101がレコードの内容を変更することが可能な時間(期間)を、レコード毎に決定(最適化)することができる。すなわち、PODシステム105が各レコードに対して決定した印刷開始時間まで、クライアント101は、レコードの内容を変更、修正することが可能になる。
【0065】
また、本実施形態では、印刷開始時間が同じレコードの中から、印刷領域が最大のレコードに合わせたレイアウトのテンプレート401、405を、印刷機109が印刷可能な印刷データ予め変換しておくようにした。したがって、印刷時間を短縮することができる。よって、各レコードの印刷開始時間を、より一層遅い時間にすることができる。
【0066】
また、本実施形態では、テンプレート401、405に設定された領域内に、レコードの内容が収まらない場合には、そのレコードの内容が収まるように、テンプレート401、501のレイアウトを変更するようにした。したがって、テンプレート401、501に、バリアブルデータ601、701のレコードを確実に差し込んで印刷することができる。
【0067】
尚、本実施形態では印刷後の処理が、物流処理を想定した場合を例に挙げて説明したが、印刷後の処理は、このようなものに限定されない。例えば、印刷後の処理が、郵便のための処理であってもよい。このように郵便のための処理を印刷後の処理として行う場合、レコード内容によって、印刷後の処理が、例えば以下のように分かれることがある。すなわち、印刷後の処理が、「Airmail用の封筒に入れて郵送」、「普通の封筒に入れて郵送」、「書留封筒に入れて郵送」、及び「そのまま郵送(配布)」に分かれることがある。このような処理を行う夫々の処理機を使用可能な時間や、処理時間が異なる場合、各レコードの印刷後処理の開始可能時間や、印刷開始時間が異なることになる。したがって、印刷後の処理を、郵便のための処理としても、本実施形態で説明したのと同じ手法を用いて、印刷後の処理を考慮した印刷を実行することができる。
また、PC108が有する機能を、印刷機109に持たせるようにしてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、バリアブルデータ601、701のレコードの内容を示す印刷データと、テンプレート401、501の印刷データとの合成を、印刷システム107側で行う場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これらの印刷データの合成を、PODシステム105側で行うようにしてもよい。
【0069】
このようにする場合、例えば、図11−2のステップS118〜S121の代わりに、図17のステップS205〜S207の処理を行い、ステップS122の代わりに、ステップS208の処理を行う。そして、レコードの内容に基づく印刷データが、テンプレートに基づく印刷データの所定の位置(領域内)に収まらない場合には、図11−2のステップS123〜S125を行う。そして、ステップS126、S127の代わりに、レコードとテンプレートとが合成された印刷データを、印刷システム107(PC108)に送信する処理を行う。
【0070】
一方、レコードの内容に基づく印刷データが、テンプレートに基づく印刷データの所定の位置(領域内)に収まる場合には、ステップS123〜S125を行わずに、レコードとテンプレートとが合成された印刷データを、PC108に送信する。尚、このようにした場合には、図17のステップS201の代わりに、レコードとテンプレートとが合成された印刷データを受信するまで待機する処理を行う。そして、ステップS202〜S210を省略して、ステップS211において、受信した印刷データに基づく印刷を実行する。
【0071】
(本発明の他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における情報処理装置、印刷制御装置、印刷制御システムを構成する各手段、並びに印刷制御方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0072】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0073】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図11、図17に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0074】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0075】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0076】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0077】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0078】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0079】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0080】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0081】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0082】
なお、前述した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施形態を示し、POD印刷システムの概略構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態を示し、PC、物流情報蓄積サーバ、及び物流制御装置構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態を示し、印刷機の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態を示し、テンプレートの内容の第1の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態を示し、テンプレートの内容の第2の例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態を示し、バリアブルデータの内容の第1の例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態を示し、バリアブルデータの内容の第2の例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態を示し、レコード番号「2」における「郵便番号、住所、及び氏名」がテンプレートに挿入された様子の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態を示し、バリアブルデータ内の「為替レート、長期予想、及び短期予想」がテンプレートに挿入された様子の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態を示し、印刷要求信号に含まれる情報(印刷要求のフォーマット)の一例を示す図である。
【図11−1】本発明の実施形態を示し、PODシステム内のPCにおける動作の一例を説明するフローチャートである。
【図11−2】本発明の実施形態を示し、図11−1に続くフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態を示し、郵便番号−地域変換テーブルの内容の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態を示し、物流便運行情報テーブルの内容の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態を示し、トラック(物流便)の発車時間を決定する方法の一例を概念的に示す図である。
【図15】本発明の実施形態を示し、印刷命令信号と共にPODシステムから印刷システムに送信される情報の内容(データのフォーマット)の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態を示し、テンプレートの再作成要求信号の内容(コマンドのフォーマット)と、印刷完了信号の内容(コマンドのフォーマット)の一例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態を示し、印刷システム内のPCにおける動作の一例を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態を示し、POD印刷システムにおける処理の概要の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
101 クライアント
102 データベース
103、106、108 PC
104 ネットワーク
105 PODシステム
107 印刷システム
109 印刷機
110 物流処理システム
111 物流情報蓄積サーバ
112〜115 物流制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータが入力されるデータ領域を含むテンプレートと前記コンテンツデータとを用いて印刷命令を送信する情報処理装置であって、
前記コンテンツデータが入力されたテンプレートに基づく印刷物に対して行われる印刷後処理の開始時間を決定するために使用される印刷後処理情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された印刷後処理情報に基づいて、前記コンテンツデータとテンプレートとを用いて印刷を開始する時間を、前記コンテンツデータによって構成されるレコード毎に導出する導出手段と、
前記導出手段により導出された時間を用いて、当該時間に印刷すべきレコードのコンテンツデータと前記テンプレートとを用いた印刷を命令する命令手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記テンプレートを、印刷可能なデータに予め変換して記憶媒体に保存する保存手段を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記導出手段により導出された時間になると、当該時間において印刷を行うレコードを、データベースから取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得されたレコードに含まれるコンテンツデータを、印刷可能なデータに変換する変換手段と、
前記保存手段により保存されたテンプレートの中から、前記変換手段により変換されたコンテンツデータが入力されるテンプレートを読み出す読み出し手段と、
前記変換手段により変換されたコンテンツデータを、前記読み出し手段により読み出されたテンプレートのデータ領域に合成する合成手段と、
前記合成手段により合成されたデータを出力するする出力手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記変換手段により変換されたコンテンツデータを、前記読み出し手段により読み出されたテンプレートのデータ領域に入力することが可能か否かを判断する判断手段と、
前記変換手段により変換されたコンテンツデータを、前記読み出し手段により読み出されたテンプレートのデータ領域に入力することができないと判断された場合、前記変換手段により変換されたコンテンツデータを、前記データ領域に入力することが可能となるように、前記読み出し手段により読み出されたテンプレートのレイアウトを変更する変更手段とを有し、
前記合成手段は、前記変更手段によりレイアウトが変更されたテンプレートのデータ領域に、前記変換手段により変換されたコンテンツデータを合成することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記導出手段により導出された時間になると、前記保存手段により保存されたテンプレートのうち、印刷を行うテンプレートを出力する第1の出力手段と、
前記印刷を行うテンプレートのデータ領域に入力されるコンテンツデータを含むレコードへアクセスするための情報を出力する第2の出力手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の出力手段により出力されたテンプレートのデータ領域の変更要求を受け付ける変更要求受付手段と、
前記変更手段は、前記変更要求受付手段により、前記第1の出力手段により出力されたテンプレートのデータ領域の変更要求が受け付けられると、そのデータ領域に入力されるコンテンツデータを入力することが可能になるように、前記テンプレートのレイアウトを変更することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の原稿に共通する電子データであるテンプレートのデータ領域に、各原稿で異なる電子データであるレコードを入力して行う印刷の要求をクライアント端末装置から受け付ける受付手段と、
前記導出手段によって導出された前記印刷を開始する時間を前記クライアント端末装置に対して送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記受付手段により受け付けられた印刷の要求に含まれている情報に基づいて、前記印刷後処理情報の取得を行うか否かを判定する判定手段を有し、
前記取得手段は、前記判定手段により、前記印刷後処理情報の取得を行うと判定されると、前記印刷後処理情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記レコード毎に導出された印刷を開始する時間を用いて、同一時間に開始するレコードを特定する特定手段と、
前記変更手段は、前記特定手段によって複数のレコードが特定された場合、当該複数のレコードを構成する各コンテンツデータが収まるようにテンプレートのデータ領域のサイズを変更することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンテンツデータが入力されるデータ領域を含むテンプレートと前記コンテンツデータとを用いて印刷命令を送信する印刷制御方法であって、
前記コンテンツデータが入力されたテンプレートに基づく印刷物に対して行われる印刷後処理の開始時間を決定するために使用される印刷後処理情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された印刷後処理情報に基づいて、前記コンテンツデータとテンプレートとを用いて印刷を開始する時間を、前記コンテンツデータによって構成されるレコード毎に導出する導出ステップと、
前記導出ステップにより導出された時間を用いて、当該時間に印刷すべきレコードのコンテンツデータと前記テンプレートとを用いた印刷を命令する命令ステップとを有することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項11】
コンテンツデータが入力されるデータ領域を含むテンプレートと前記コンテンツデータとを用いて印刷命令を行うことをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記コンテンツデータが入力されたテンプレートに基づく印刷物に対して行われる印刷後処理の開始時間を決定するために使用される印刷後処理情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された印刷後処理情報に基づいて、前記コンテンツデータとテンプレートとを用いて印刷を開始する時間を、前記コンテンツデータによって構成されるレコード毎に導出する導出ステップと、
前記導出ステップにより導出された時間を用いて、当該時間に印刷すべきレコードのコンテンツデータと前記テンプレートとを用いた印刷を命令する命令ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11−1】
image rotate

【図11−2】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2008−312154(P2008−312154A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160495(P2007−160495)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】