説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】複数ユーザによるリモート操作が可能な情報処理装置の使用効率を向上させる。
【解決手段】MFP50では、制御部51の制御により通信部58を介して、リモート操作に用いられる操作用画像データがユーザ端末に送信される。送信時には、制御部51により予めユーザにより設定された画像条件に操作用画像データの画像条件が変更され、そのデータ量が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数ユーザによるリモート操作が可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが操作するユーザ端末からネットワークを介して接続された複写機、プリンタ等の情報処理装置をリモート操作することができるシステムが考案されている(例えば、特許文献1、2参照)。このとき、情報処理装置に表示される操作画面と同一の画面をユーザ端末に表示させたり(例えば、特許文献1、3参照)、この操作画面において操作された位置情報をユーザ端末から情報処理装置側に送り、情報処理装置側でその操作位置を判断することにより、何れの操作がなされたのかを判断する方法等が開示されている(例えば、特許文献4参照)。同一画面を表示することにより、情報処理装置側、ユーザ端末側とで操作入力の整合性をとることができ、またユーザにとっても常に同じ画面イメージであるため、操作入力が容易となる。
【0003】
リモート操作が可能な環境では、複数のユーザが同時にリモート操作することが可能である。よって、情報処理装置においては各ユーザの同時操作により操作矛盾や操作の混乱が生じるのを防止するため、一のユーザが操作入力を行っている間は他のユーザの操作入力を禁止する排他制御が行われている。
【特許文献1】特開2005−321944号公報
【特許文献2】特開2000−357072号公報
【特許文献3】特開2002−281195号公報
【特許文献4】特開平5−122424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の記載によれば、情報処理装置と同一の操作画面をユーザ端末において表示する際には、情報処理装置で用いられる操作画面のデータを画像化してユーザ端末に送信することが行われている。また、操作画面には出力対象の画像データのサムネイル画像等、画像データが用いられることがある。このような画像データをユーザ端末側に送信する際には、ネットワークの通信状態によっては送信に時間を要する場合があった。情報処理装置では排他制御が行われているため、画像データの送信時間が長時間になるとその分リモート操作が遅くなる。その結果として、他のユーザのリモート操作を妨げることとなり、情報処理装置の使用効率の低下を招いていた。
【0005】
本発明の課題は、複数ユーザによるリモート操作が可能な情報処理装置の使用効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、情報処理装置において、
リモート操作に用いられる操作用画像データをリモート操作装置に送信する通信手段と、
前記操作用画像データのデータ量を制御するデータ制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記操作用画像データの画像に関する画像条件を設定するための操作手段を備え、
前記データ制御手段は、前記画像条件を前記操作手段を介して設定された画像条件に変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記データ制御手段は、前記リモート操作装置と情報処理装置間の通信状態を検出し、当該通信状態に応じて前記操作用画像データの画像に関する画像条件を変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の情報処理装置において、
前記データ制御手段は、前記通信手段により前記操作用画像データの送信に要した画像送信時間に基づいて前記通信状態を検出することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか一項に記載の情報処理装置において、
前記画像条件は、少なくとも操作用画像データの画像サイズ、色数又は圧縮率を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、情報処理方法において、
リモート操作に用いられる操作用画像データをリモート操作装置に送信する通信工程と、
前記操作用画像データのデータ量を制御するデータ制御工程と、
を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の情報処理方法において、
前記操作用画像データの画像に関する画像条件を操作手段を介して設定する工程をさらに含み、
前記データ制御工程では、前記画像条件を前記操作手段を介して設定された画像条件に変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の情報処理方法において、
前記データ制御工程では、前記リモート操作装置と情報処理装置間の通信状態を検出し、当該通信状態に応じて前記操作用画像データの画像に関する画像条件を変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の情報処理方法において、
前記データ制御工程では、前記通信手段により前記操作用画像データの送信に要した画像送信時間に基づいて前記通信状態を検出することを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜9の何れか一項に記載の情報処理方法において、
前記画像条件は、少なくとも操作用画像データの画像サイズ、色数又は圧縮率を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、
コンピュータを、
リモート操作に用いられる操作用画像データをリモート操作装置に送信する通信手段、
前記操作用画像データのデータ量を制御するデータ制御手段、
として機能させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、
コンピュータをさらに、
前記操作用画像データの画像に関する画像条件を設定するための操作手段として機能させ、
前記データ制御手段は、前記画像条件を前記操作手段を介して設定された画像条件に変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記データ制御手段は、前記リモート操作装置と情報処理装置間の通信状態を検出し、当該通信状態に応じて前記操作用画像データの画像に関する画像条件を変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記データ制御手段は、前記通信手段により前記操作用画像データの送信に要した画像送信時間に基づいて前記通信状態を検出することを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項12〜14の何れか一項に記載のプログラムにおいて、
前記画像条件は、少なくとも操作用画像データの画像サイズ、色数又は圧縮率を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1、6、11に記載の発明によれば、目的に応じて操作用画像データのデータ量を調整することにより、操作用画像データの送信に要する時間を調整することができる。操作用画像データのデータ量を低減してその送信時間を短縮することにより、ユーザのリモート操作が迅速となり、情報処理装置の使用効率の向上を図ることができる。特に、一のユーザにのみリモート操作を許可する排他制御が行われている環境下ではその短縮化した時間分だけ他のユーザのリモート操作が早期に可能となるため、有用である。
【0022】
請求項2、7、12に記載の発明によれば、ユーザの所望するデータ量、画質となるように操作用画像データの画像条件を設定することができる。これにより、操作用画像データの送信に要する時間と操作用画像データの画質のバランスを考慮しながら、ユーザが意図するデータ量及び画質の操作用画像データとすることができる。
【0023】
請求項3、8、13に記載の発明によれば、通信負荷が大きい状態であれば画質よりもデータ量の低減化を優先するように画像条件を変更することにより、操作用画像データの送信時間を短縮化する等、通信状態に応じたデータ量の操作用画像データとすることができる。よって、ユーザがリモート操作を行うネットワーク環境等に対応することが可能となる。
【0024】
請求項4、9、14に記載の発明によれば、実際に操作用画像データの送信に要した時間からその通信状態を判断することができ、通信状態の検出精度が向上する。
【0025】
請求項5、10、15に記載の発明によれば、画像サイズ、色数又は圧縮率を変更することにより、操作用画像データのデータ量及び画質を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〈第1実施形態〉
第1実施形態では、リモート操作の操作インターフェイスに用いられる操作用画像データの画像条件を予めユーザが設定しておき、当該操作用画像データを送信する際にこの設定した画像条件となるように操作用画像データにデータ処理を行う例を説明する。ここで、操作用画像データとはリモート操作に用いられる画像データをいう。また、画像条件とは操作用画像データの画像に関する条件をいう。
【0027】
まず、構成を説明する。
図1は、出力システム100を示す図である。
出力システム100は、図1に示すように、ユーザ端末10、本発明に係る情報処理装置としてのMFP(Multi-Function Peripheral)50を含んで構成されている。ユーザ端末10及びMFP50はLANやインターネット等のネットワークNを介して接続されている。なお、図1では3台のユーザ端末10が1台のMFP50に接続されている例を示したが、その台数等は特に限定しない。
【0028】
以下、各装置について説明する。
ユーザ端末10は、MFP50と略同一の操作インターフェイスによりMFP50をリモート操作可能なリモート操作装置である。ここで、リモート操作とは印刷機能、コピー機能、FAX機能等のMFP50の有する機能を使用する際に、MFP50に設けられた本体操作部ではなく、ユーザ端末10を介して指示、設定等の操作入力を行うことをいう。ユーザ端末10としては、ユーザが使用するPC(Personal Computer)等のコンピュータ装置を適用可能である。
【0029】
図2に、ユーザ端末10の内部構成を示す。
図2に示すように、ユーザ端末10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、RAM(Random Access Memory)15、記憶部16を備えて構成されている。
【0030】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、記憶部16に記憶されている各種制御プログラムを読み出してRAM15に展開し、当該制御プログラムとの協働により、各種演算を行う或いは各部12〜16の動作を集中制御する。例えば、制御部11はWebブラウザに係るプログラムとの協働により表示部13におけるWebページの表示制御等を行う。
【0031】
操作部12は、マウスやキーボード等を備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部11に出力する。
【0032】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを備え、制御部11の表示制御に従ってこのディスプレイ上に各種表示情報を表示する。例えば、表示部13は制御部11の表示制御に従って、MFP50のリモート操作に係る操作画面ページ、通知画面ページ等を表示する。これにより、リモート操作用の操作インターフェイスを構成する。
【0033】
通信部14は、ネットワークインターフェイスカード(以下、NICという)等の通信用のインターフェイスを備え、これら通信用インターフェイスを介してネットワークN上の外部機器と通信を行う。例えば、通信部14は制御部11の通信制御に従って、MFP50の操作入力を要求する要求情報、操作要求を行うユーザに関するユーザ情報等をMFP50に送信し、MFP50からリモート操作用の操作画面ページ等を受信する。
【0034】
RAM15は、制御部11によって使用されるワークメモリである。
【0035】
記憶部16は、各種制御プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶している。また、記憶部16はワープロや描画用のプログラムとの協働によって制御部11において作成されたテキストデータや画像データ等の処理データを記憶している。
【0036】
次に、MFP50について説明する。
MFP50は、印刷、複写、スキャン、FAX通信等の複数の機能を有し、これら機能に応じた情報処理を行う情報処理装置である。
図3に、MFP50の内部構成を示す。
図3に示すように、MFP50は、制御部51、タッチパネル52、本体操作部53、表示部54、記憶部55、画像読取部56、印刷部57、通信部58を備えて構成されている。
【0037】
制御部51は、CPU、RAM等を備え、記憶部55に記憶されている各種制御プログラムに従って各種演算を行う、或いは各部52〜58の動作を集中制御する。例えば、制御部51は、Webサーバ用のプログラムとの協働により、リモート操作に係るWebページを作成し、ユーザ端末10に提供する等し、Webサーバ機能を果たす。
【0038】
制御部51は、ユーザ端末10から通信部58を介して、或いは直接本体操作部53からの入力を受けることにより、複数のユーザからの操作要求を受け付ける。また、操作入力に係る操作画面データを作成してタッチパネル52に表示させる、或いはリモート操作用の操作画面ページや操作入力に関する通知画面ページ、エラー画面ページ等、操作入力に係るWebページを作成し、これを通信部58を介して各ユーザ端末10に送信させ、操作入力に係る操作インターフェイスを提供する。
【0039】
また、制御部51では一のユーザによる操作入力中は他のユーザによる操作入力を禁止するよう、排他制御が行われる。制御部51ではリモート操作、或いは本体操作部53を介して操作入力を行っているユーザ、操作要求を行ったが操作入力を禁止されたユーザのユーザ情報をRAMに記憶し、操作入力の終了や新たな操作要求等に応じてこれら情報を更新し、ユーザ管理を行っている。制御部51は、これらユーザ情報を参照することにより操作入力の状態を判断することができる。
【0040】
本体操作部53は、印刷、スキャン、FAX通信等の各種機能動作の開始を指示するスタートキー、数字キー等のMFP50の本体表面に設けられる各種操作キーの他、表示部54と一体に構成されるタッチパネル52を備えて構成されている。本体操作部53は、操作キーの押下操作、或いはタッチパネルの押下位置に応じた操作信号を生成して制御部51に出力する。
【0041】
表示部54は、VRAM(Video RAM)を備え、制御部51によってこのVRAMに書き込まれた操作画面データに従って各種操作画面をタッチパネル52上に表示させる。以下、VRAMに書き込まれたデータをVRAMデータということがある。
【0042】
記憶部55は、各種制御プログラム、制御プログラムの実行に必要なパラメータ、データ等を記憶している。
例えば、記憶部55は、操作キーに対応する操作内容をコード化したキーコードテーブル、リモート操作用に準備されたWebページのフォーマット等を記憶している。
【0043】
また、記憶部55はMFP50にログインしたユーザの認証に必要な認証テーブルを記憶している。認証テーブルには、予め登録されたユーザのユーザ名、当該ユーザについて設定されたユーザID、パスワード等のユーザ情報が記憶されている。なお、ログイン制限を行う場合にはログインを禁止する旨を示すフラグ情報がそのログインが禁止されたユーザ情報に対応付けて記憶されているものとする。ログインが許可されたユーザか否かはこのフラグ情報を制御部51において参照することにより判断することができる。
【0044】
また、記憶部55は図4に示すような条件設定テーブル55aを記憶している。条件設定テーブル55aは、リモート操作を行うユーザ毎にそのリモート操作に用いられる操作用画像データの画像条件を定めたものである。条件設定テーブル55aには、図4に示すように画像サイズ、色数、圧縮率の各画像条件について初期設定値として定められたデフォルトの条件が設定されている。また、ユーザ名に対応付けてそのユーザについて設定された各画像条件の設定値が格納されている。なお、画像サイズとはマトリクス状に並ぶ画素からなる操作用画像データの大きさを縦×横の画素数で表したものをいう。
【0045】
画像読取部56は、原稿面の画像を読み取ってその画像データを生成するものである。画像読取部56は、読取対象の原稿に光を照射する光源とその反射光の進行方向を撮像素子側へ導くためのミラーとが一体的に構成されたミラーユニット、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子等を備えて構成されている。
読取時には、原稿に対してミラーユニットを走査させて原稿面に光を照射し、その反射光を撮像素子により受けて光電変換する。光電変換により生成された画像信号(アナログ)は、図示しない信号処理部においてA/D変換された後、印刷部57のイメージメモリに記憶される。
【0046】
印刷部57は、プリンタエンジン、イメージメモリ、給紙部等を備えて構成されている。印刷部57は制御部51の印刷制御に従って、プリンタエンジンによりイメージメモリに記憶された対象データに基づく印刷出力を行う。なお、印刷方式は、電子写真方式、インクジェット方式等、何れの方式であってもよい。
【0047】
通信部58は、NIC、FAXモデム等の通信用のインターフェイスを備え、これらインターフェイスを介してネットワークN上の外部機器とデータ通信或いはFAX通信を行う。
【0048】
次に、上記MFP50の動作について説明する。
MFP50では予めリモート操作用の操作画面ページに用いられる操作用画像データについての画像条件の設定が行われる。操作用画像データとしては、例えばタッチパネル52上に表示される操作画面のVRAMデータが画像化された画像データや、出力対象の画像データ又はそのサムネイル画像データ等が挙げられるが、以下の説明ではVRAMデータの画像データを例に説明する。
【0049】
最初に画像条件の設定について説明した後、リモート操作時の動作について説明する。
図5に、画像条件の設定画面例を示す。
図5に示す設定画面d1は、操作用画像データの画像条件を設定するためのものであり、タッチパネル52上に表示されるものである。この画像条件は操作用画像データのデータ量を変更するパラメータとなるものであり、設定画面d1では画像条件として画像サイズ、色数、圧縮率の各項目についてその設定値を入力するための入力領域d11〜d13が表示されている。また、設定値に対して予め初期設定として定められているデフォルト値d14〜d16が表示されている。
【0050】
ユーザは、上記設定画面d1において所望の設定値を本体操作部53により入力する。特に設定する必要がない項目があれば未入力とし、決定キーd17を操作する。
MFP50では、決定キーd17の操作に応じて制御部51により、入力された設定値がそのユーザのユーザ情報(ログイン時に取得されたもの)と対応付けて記憶部55の条件設定テーブル55aに記憶される。未入力の項目がある場合には当該項目は未設定であることを示す情報が条件設定テーブル55aにおいて記憶される。
なお、上述した画像条件の設定はリモート操作により行うこととしてもよい。
【0051】
次に、リモート操作時のMFP50の動作について説明する。
MFP50では、制御部51のWebサーバ機能によりリモート操作専用のWebページを提供しており、何れかのユーザ端末10からアクセスされると、ログイン操作用の入力画面ページが送信される。入力画面ページではログイン操作を行うユーザのユーザ情報(ユーザ名、パスワード等)を入力することができる。そして、入力画面ページを介してユーザ端末10からログインユーザのユーザ情報、当該ユーザ端末10のIPアドレス等が入力され、MFP50の操作入力が要求されると、MFP50ではユーザ認証が行われる。
【0052】
なお、ログイン制限を行う場合にはユーザ認証後、ログインが許可されたユーザであるか否かが判断され、ログインが許可されたユーザのみリモート操作が許可される。
ユーザ認証によりリモート操作が許可されると、MFP50では制御部51によりリモート操作のための操作画面ページが作成され、ログインユーザのユーザ端末10に送信される。
【0053】
図6を参照し、操作画面ページの作成時にMFP50により実行される操作画面提供処理を説明する。
図6に示すように、まず何れかのユーザ端末10からログイン操作が行われ、リモート操作要求がなされた場合(ステップS1;Y)、制御部51により現在リモート操作、或いは本体操作部53による操作入力の何れもなされていないと判断された場合のみ、ステップS2の処理にすすむ。制御部51では排他制御が行われ、何れか一のユーザにより操作入力がなされている間は他のユーザの操作入力が禁止されるためである。
【0054】
何れの操作入力もなされていない場合にはログインユーザのリモート操作が許可され、制御部51により記憶部55の条件設定テーブル55aが参照される。条件設定テーブル55aでは、ログインユーザに対応する画像サイズの項目が参照され、当該画像サイズの設定の有無が判別される(ステップS2)。
【0055】
条件設定テーブル55aにおいて画像サイズの設定値が格納されている場合には(ステップS2;Y)、制御部51においてその設定値が取得される(ステップS3)。これに対し、設定値ではなく未設定を示す情報が格納されている場合には(ステップS2;N)、画像サイズのデフォルト値が取得される(ステップS4)。
【0056】
次いで、制御部51では条件設定テーブル55aの色数の項目が参照され、色数の画像条件が設定されているか否かが判別される(ステップS5)。色数の設定値が格納されている場合には(ステップS5;Y)、制御部51においてその設定値が取得され(ステップS6)、未設定の情報が格納されている場合には(ステップS5;N)、色数のデフォルト値が取得される(ステップS7)。
【0057】
同様に、制御部51により条件設定テーブル55aの圧縮率の項目が参照され、圧縮率の画像条件が設定されている否かが判別される(ステップS8)。圧縮率の設定値が格納されている場合には(ステップS8;Y)、制御部51においてその設定値が取得され(ステップS9)、未設定の情報が格納されている場合には(ステップS8;N)、圧縮率のデフォルト値が取得される(ステップS10)。
【0058】
そして、各画像条件の設定値が取得されると、制御部51では操作画面ページの作成が行われる。まず、表示部54から操作画面のVRAMデータが取得され、このVRAMデータを変換したPNG(Portable Network Graphics)形式の画像データが作成される。なお、PNG形式ではなく、BMP形式やJPEG形式等、他のデータ形式により画像化してもよい。制御部51では、このPNG画像データの画像条件が取得された各画像条件の設定値となるように、PNG画像データのデータ処理が行われる(ステップS11)。
【0059】
例えば、各画像条件について画像サイズ「320×240」、色数「8bpp」、圧縮率「50%」の設定値が得られている場合、PNG画像データに対し、「320×240」となるように間引き処理(或いは補間処理)が行われたり、色数「8bpp」への色数変更処理や「50%」の圧縮率による圧縮処理等が施される。この処理後のPNG画像データが予めリモート操作用に準備されたWebページのフォーマットにクリッカブルマップとして組み込まれる(PNG画像データへのリンク情報がHTMLにより記述される)と、操作画面ページが完成する。
【0060】
制御部51では、VRAMデータからPNG画像データの作成に成功した場合(ステップS12;Y)、まずHTMLによりPNG画像データへのリンク情報を含む制御情報のみが記述されている操作画面ページのデータがユーザ端末10に送信される。その後、リンク情報を参照したユーザ端末10からの要求に応じて、PNG画像データがユーザ端末10に送信される。そして、制御部51においてこのPNG画像データの送信に成功したと判別されると(ステップS13;Y)、本処理を終了する。
【0061】
一方、制御部51によりVRAMデータからPNG画像データの作成に失敗したと判別された場合(ステップS12;N)、或いは画像化には成功したが、送信に失敗したと判別された場合(ステップS13;N)、制御部51ではエラーを通知するための通知画面ページが作成されてユーザ端末10に送信される(ステップS14)。その後、本処理を終了する。
【0062】
図7に、PNG画像データが用いられた操作画面ページ例を示す。
図7(a)は、MFP50の本体操作部53のタッチパネル52上で表示される操作画面例を示す図であり、図7(b)はユーザ端末10において表示される操作画面ページ例を示す図である。
図7(a)に示す操作画面d2では、コピー、スキャン、プリント等の機能を選択するための選択キーd21の他、両面/片面の印刷条件や印刷部数、用紙サイズ等の選択キーd22、d23が表示されている。
【0063】
これに対し、図7(b)に示す操作画面ページd3では、図7(a)に示す操作画面d2と同一内容のPNG画像d31が表示されているとともに、数字キーd32及びスタートキーd33が表示されている。この数字キーd32及びスタートキーd33はHTML記述に従って表示されたものである。数字キーd32及びスタートキーd33はタッチパネル52上に表示されるキーではなく、MFP50の本体に設けられた数字キー、スタートキーの外観イメージを画像化したものである。そのため、MFP50のタッチパネル52、本体操作部53を含めた操作インターフェイス全体の外観上のイメージと、ユーザ端末10におけるリモート操作の操作インターフェイスを構成する表示画面のイメージとが略同一となる。
【0064】
以上のように、第1実施形態によれば、予めユーザにより設定された画像条件となるように、リモート操作に係る操作用画像データにデータ処理が施される。すなわち、ユーザの意図に応じて操作用画像データのデータ量を調整する。これにより、操作用画像データのデータ量を、ユーザがリモート操作を行うネットワーク環境に応じた最適なデータ量とすることができる。
【0065】
例えば、ユーザの操作するユーザ端末10がMFP50からかなり遠く離れた遠隔地にある場合、ネットワークの通信負荷が大きいことが予想されるため、予めデータ量が小さくなるように画像条件を設定しておく等、そのユーザ毎のネットワーク環境に応じて画像条件をカスタマイズすることができる。
【0066】
このように、操作用画像データのデータ量を制御することにより、結果としてリモート操作に要する時間を調整することができ、MFP50の使用効率を向上させることができる。
【0067】
また、画像条件によりデータ量だけでなく画質の調整が可能であるため、操作画面ページ上に表示される操作用画像の画質が有る程度低いものでもよいから、操作に係る時間を短縮したい場合には、画像サイズを小さく設定する、逆に操作に係る時間は有る程度長くてもよいから、操作用画像の詳細を確認したい場合等は、操作用画像の圧縮率を下げる等、データ量と画質のバランスを考慮しながら画像条件を設定することができる。
【0068】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、情報処理装置とリモート操作装置間のネットワークの通信状態を検出し、操作用画像データのデータ量をこの通信状態に応じて制御する例を説明する。
【0069】
第2実施形態に係る出力システムは、第1実施形態の出力システム100とその構成は同一であり、動作が異なるのみである。よって、第2実施形態の出力システムには、第1実施形態と同一の符号を付してその構成についての詳細な説明は省略し、第2実施形態に特徴的な動作のみ説明する。
【0070】
図8は、第2実施形態に係る操作画面提供処理を説明するフローチャートである。
MFP50では、何れかのユーザ端末10からログイン操作によりリモート操作要求がなされると(ステップS101;Y)、制御部51の排他制御が行われる。すなわち、何れのユーザにおいても操作入力がなされていない場合のみログインユーザに対して操作入力が許可される。
次いで、制御部51では前回の操作用画像データの送信に要した画像送信時間の情報が制御部51のRAMから取得される(ステップS102)。画像送信時間は操作用画像データの送信が行われる毎に計時により検出され、制御部51のRAMに記憶されているものである。なお、最初の送信時であって過去の画像送信時間が記憶されていない場合には、初期設定値として画像送信時間「0秒」が記憶されているものとする。
【0071】
制御部51では、取得された画像送信時間とタイムアウト時間とが比較され、前回の画像送信時間がタイムアウト時間を超えているか否かが判別される(ステップS103)。タイムアウト時間とは画像送信時間から通信状態を判断するために予め定められている閾値であり、任意にユーザが設定可能のものである。ここでは、タイムアウト時間が「5秒」に設定されているものとして説明を行う。
【0072】
前回の画像送信時間がタイムアウト時間を超えている場合(ステップS103;Y)、制御部51では現在のネットワークNにおける通信状態は通信負荷が大きい状態であると判断され、操作用画像データの画像条件が変更される。制御部51のRAMには、操作用画像データの画像条件(画像サイズ、色数、圧縮率)の設定値が保持されている。最初の送信時にはデフォルト値が設定されているが、過去に送信履歴がある場合にはその際に設定された設定値が保持されていることとなる。そして、この設定値のうち、画像サイズの設定値が1割減少され、画像サイズの画像条件が変更される(ステップS104)。
【0073】
ここでは、画像サイズの画像条件を制御する例を説明したが、色数や圧縮率の他の画像条件を調整することとしてもよいし、その全部を調整することとしてもよい。
一方、前回の画像送信時間がタイムアウト時間を超えていない場合には(ステップS103;N)、制御部51において現在のネットワークNの通信状態は通信負荷が小さい状態であると判断され、上記のような画像条件の変更は行わずに次の処理(ステップS105)にすすむ。最初の送信時には画像送信時間が0秒であるため、常にタイムアウト時間の5秒以下となり、ステップS105へすすむこととなる。
【0074】
次いで、制御部51では操作画面ページの作成が行われる。まず、表示部54から操作画面のVRAMデータが取得され、このVRAMデータを変換したPNG形式の画像データが作成される。制御部51では、このPNG画像データの画像条件が制御部51のRAMに設定されている各画像条件の設定値となるように、PNG画像データのデータ処理が行われる(ステップS105)。
【0075】
例えば、画像サイズのデフォルト値「640×480」から1割減少され、設定値「576×216」とされた場合、PNG画像データに対し、「576×216」となるように間引き処理が行われる。また、色数、圧縮率のデフォルト値となるように色数変更処理、圧縮処理等のデータ処理が施される。この処理後のPNG画像データが予めリモート操作用に準備されたWebページのフォーマットにクリッカブルマップとして組み込まれる(PNG画像データへのリンク情報がHTMLにより記述される)と、操作画面ページが完成する。
【0076】
制御部51では、VRAMデータからPNG画像データの作成に成功した場合(ステップS106;Y)、まずHTMLによりPNG画像データへのリンク情報を含む制御情報のみが記述されている操作画面ページのデータがユーザ端末10に送信される。その後、リンク情報を参照したユーザ端末10からの要求に応じて、PNG画像データの送信が開始されると、制御部51では画像送信時間の計時が開始される(ステップS107)。そして、制御部51においてこのPNG画像データの送信に成功したと判別されると(ステップS108;Y)、制御部51では画像送信時間の計時を終了し、当該画像送信時間が制御部51のRAMに更新記憶される(ステップS109)。その後、本処理を終了する。
【0077】
PNG画像データが用いられた操作画面ページは、図7に示した通りであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0078】
一方、制御部51によりVRAMデータからPNG画像データの作成に失敗したと判別された場合(ステップS106;N)、或いは画像化には成功したが、送信に失敗したと判別された場合(ステップS108;N)、制御部51ではエラーを通知するための通知画面ページが作成されてユーザ端末10に送信される(ステップS110)。その後、本処理を終了する。
【0079】
以上のように、第2実施形態によれば、制御部51において操作用画像データの過去の画像送信時間に基づいてネットワークNの通信状態を検出し、その通信状態に応じて操作用画像データの画像条件を変更する。そして、変更された画像条件となるように操作用画像データにデータ処理を施してそのデータ量を制御する。
【0080】
これにより、画像送信時間が長時間であり、通信負荷が大きい状態であればデータ量が低減するように調整することができ、操作用画像データのデータ量を、ユーザがリモート操作を行うネットワーク環境に応じた最適なデータ量とすることができる。すなわち、通信状態の悪化に伴ってリモート操作に要する時間が長時間となることを防止することができ、MFP50の使用効率が向上する。上記のように排他制御が行われている環境下では、各ユーザのリモート操作に要する時間を短縮化することはMFP50の使用効率の向上に特に有用である。
【0081】
なお、上述した説明は本発明を適用した好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、上記説明ではネットワークNの通信状態を操作用画像データの画像送信時間から判断していたが、通信状態を検出できるのであればこれに限らず、例えば通信状態を検出するためのテストデータを定期的にユーザ端末10に送信し、その送信に要した時間から通信状態を判断することとしてもよい。
【0082】
また、ユーザ毎に過去の画像送信時間を管理することとしてもよい。この場合、ユーザ毎にネットワークNの通信状態を判断することが可能となり、各ユーザのネットワーク環境に応じて操作用画像データのデータ量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の情報処理装置としてのMFPを含む出力システムを示す図である。
【図2】図1のユーザ端末の内部構成を示す図である。
【図3】図1のMFPの内部構成を示す図である。
【図4】図3の記憶部に記憶される条件設定テーブル例を示す図である。
【図5】操作用画像データの画像条件を設定するための設定画面例を示す図である。
【図6】MFPにより実行される操作画面提供処理(第1実施形態)を示すフローチャートである。
【図7】(a)はMFPの本体操作部で表示される操作画面例を示す図である。(b)はユーザ端末で表示されるリモート操作用の操作画面ページ例を示す図である。
【図8】MFPにより実行される操作画面提供処理(第2実施形態)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
100 出力システム
10 ユーザ端末
11 制御部
13 表示部
50 MFP
51 制御部
52 タッチパネル
53 本体操作部
54 表示部
55 記憶部
56 画像読取部
57 印刷部
58 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモート操作に用いられる操作用画像データをリモート操作装置に送信する通信手段と、
前記操作用画像データのデータ量を制御するデータ制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記操作用画像データの画像に関する画像条件を設定するための操作手段を備え、
前記データ制御手段は、前記画像条件を前記操作手段を介して設定された画像条件に変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データ制御手段は、前記リモート操作装置と情報処理装置間の通信状態を検出し、当該通信状態に応じて前記操作用画像データの画像に関する画像条件を変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データ制御手段は、前記通信手段により前記操作用画像データの送信に要した画像送信時間に基づいて前記通信状態を検出することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画像条件は、少なくとも操作用画像データの画像サイズ、色数又は圧縮率を含むことを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
リモート操作に用いられる操作用画像データをリモート操作装置に送信する通信工程と、
前記操作用画像データのデータ量を制御するデータ制御工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
前記操作用画像データの画像に関する画像条件を操作手段を介して設定する工程をさらに含み、
前記データ制御工程では、前記画像条件を前記操作手段を介して設定された画像条件に変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記データ制御工程では、前記リモート操作装置と情報処理装置間の通信状態を検出し、当該通信状態に応じて前記操作用画像データの画像に関する画像条件を変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記データ制御工程では、前記通信手段により前記操作用画像データの送信に要した画像送信時間に基づいて前記通信状態を検出することを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記画像条件は、少なくとも操作用画像データの画像サイズ、色数又は圧縮率を含むことを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
リモート操作に用いられる操作用画像データをリモート操作装置に送信する通信手段、
前記操作用画像データのデータ量を制御するデータ制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータをさらに、
前記操作用画像データの画像に関する画像条件を設定するための操作手段として機能させ、
前記データ制御手段は、前記画像条件を前記操作手段を介して設定された画像条件に変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記データ制御手段は、前記リモート操作装置と情報処理装置間の通信状態を検出し、当該通信状態に応じて前記操作用画像データの画像に関する画像条件を変更することにより、当該操作用画像データのデータ量を制御することを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記データ制御手段は、前記通信手段により前記操作用画像データの送信に要した画像送信時間に基づいて前記通信状態を検出することを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記画像条件は、少なくとも操作用画像データの画像サイズ、色数又は圧縮率を含むことを特徴とする請求項12〜14の何れか一項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−299029(P2007−299029A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123813(P2006−123813)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】