説明

情報処理装置、表示制御方法およびプログラム

【課題】複数の表示装置の位置関係を直感的に設定することが可能となる情報処理装置、表示制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出する操作検出部と、前記操作検出部により検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定する設定部と、前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示する表示制御部と、を備える、情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及しているノート型コンピュータ(以下、ノートPCと称す)は、本体に内蔵されている内部ディスプレイを使用するが、画面サイズが小さく、作業性が十分に良好とはいえない。これを補うために、ノートPCに外部ディスプレイを接続して利用することができる。
【0003】
このように2つのディスプレイを同時に利用する環境においては、各ディスプレイに同一の画面を表示する同時表示モードと、2つのディスプレイを1つのディスプレイ画面として扱い、相互にウィンドウの移動を可能にする拡張表示モードが利用される。
【0004】
なお、通常、外部ディスプレイがノートPC本体に対して着脱されるので、内部ディスプレイがプライマリ・ディスプレイに設定され、外部ディスプレイがセカンダリ・ディスプレイに設定される。
【0005】
ここで、プライマリ・ディスプレイの設定に関して、下記特許文献1では、ピクセルサイズが大きい方のディスプレイをプライマリ・ディスプレイに設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−256392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した拡張表示モードでは、2つのディスプレイを1つのディスプレイ画面として扱う際に、並べられている2つのディスプレイの位置関係をユーザが予め設定する必要があった。位置関係の設定は、通常、設定画面に表示される各ディスプレイに相当するモニタアイコンを利用して行われていた。
【0008】
しかしながら、このような設定方法は、モニタアイコンと実際のディスプレイとの対応関係が分かりづらく、ユーザに対する認知的な負荷が高いという問題があった。
【0009】
そこで、本開示では、複数の表示装置の位置関係を直感的に設定することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、表示制御方法およびプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によれば、表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出する操作検出部と、前記操作検出部により検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定する設定部と、前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示する表示制御部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0011】
また、本開示によれば、表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出するステップと、前記ユーザ操作を検出するステップにより検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定するステップと、前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示するステップと、を含む表示制御方法が提供される。
【0012】
また、本開示によれば、表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出する処理と、前記ユーザ操作を検出する処理により検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定する処理と、前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示する処理と、をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本開示によれば、複数の表示装置の位置関係を直感的に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の一実施形態による拡張表示システムの概要を説明するための図である。
【図2】位置関係を設定するための通常の設定画面の一例を示す図である。
【図3】本開示の一実施形態による情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本開示の一実施形態による情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本開示の一実施形態による情報処理装置の動作処理を示すフローチャートである。
【図6】本開示の一実施形態による情報処理装置に外部デバイスである表示装置が接続された状態を説明するための図である。
【図7】本開示の一実施形態による情報処理装置に内蔵される表示装置に全てのウィンドウが移動され、外部デバイスである表示装置の表示が切断された状態を説明するための図である。
【図8】実施例1による位置関係の設定を説明するための図である。
【図9】実施例1による拡張表示制御を説明するための図である。
【図10】実施例2による位置関係の設定を説明するための図である。
【図11】実施例2による位置関係の設定に基づく拡張表示制御を説明するための図である。
【図12】実施例2の変形例による位置関係の設定を説明するための図である。
【図13】実施例2の変形例による位置関係の設定に基づく拡張表示制御を説明するための図である。
【図14】実施例3による位置関係の設定を説明するための図である。
【図15】実施例3による位置関係の設定に基づく拡張表示制御を説明するための図である。
【図16】実施例4による位置関係の再設定を説明するための図である。
【図17】実施例4による位置関係の再設定に基づく表示制御を説明するための図である。
【図18】実施例5による位置関係の再設定を説明するための図である。
【図19】実施例5による位置関係の再設定に基づく表示制御を説明するための図である。
【図20】本開示の他の実施形態による拡張表示システムの概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.拡張表示システムの概要
2.情報処理装置10の構成
2−1.ハードウェア構成
2−2.機能構成
3.情報処理装置10の動作処理
4.位置関係の設定
5.他の実施形態
6.まとめ
【0017】
<1.拡張表示システムの概要>
まず、本開示の実施形態による拡張表示システムの概要について図1を参照して説明する。図1に示すように、本開示による情報処理装置10は、表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)を内蔵し、さらに外部デバイスである表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)が接続されている。なお、図1では、情報処理装置10および表示装置107がケーブル15により有線接続されている例を示すが、本開示による実施形態はこれに限定されず、無線接続であってもよい。
【0018】
そして、表示装置107および表示装置12が1つのディスプレイ画面として扱われ、相互にウィンドウ等のオブジェクトの移動が可能になる拡張表示が行われる。例えば、図1に示すウィンドウ22−1、22−2のように、1つのウィンドウ22が2つの表示装置に連続するよう表示される。
【0019】
ここで、このように2つの表示装置に連続するようオブジェクトを表示するためには、2つの表示装置の物理的な位置関係を設定する必要がある。
【0020】
通常、このような表示装置の物理的な位置関係の設定は、コントロールパネルから呼び出したGUI(Graphical User Interface)を利用して行われていた。以下、図2を参照して通常の位置関係設定方法について説明する。
【0021】
図2は、表示装置の位置関係を設定するための設定画面の一例を示す図である。図2に示すように、設定画面30には、複数の表示装置にそれぞれ対応するモニタアイコン31、32が表示されている。
【0022】
ユーザは、まず接続した外部デバイスを利用可能にするために、外部デバイスに相当するモニタアイコンを選択し、チェックボックス33の「デスクトップをこのモニタ上で移動できるようにする」をチェックする。そして、適用ボタン35をクリックし、外部デバイスを有効にする。
【0023】
次に、ユーザは、各表示装置に相当するモニタアイコン31、32をドラッグし、実際の表示装置の位置関係に合わせた配置に変更することで、位置関係の設定を行う。
【0024】
しかしながら、画面上のモニタアイコンと実際のディスプレイとの対応関係が分かりづらく、ユーザに対する認知的な負荷が高いという問題があった。
【0025】
そこで、本開示による情報処理装置10によれば、表示されたオブジェクトを、実際に他の表示装置が位置する方向に移動させることで表示装置の位置関係を設定できるので、ユーザは直感的に位置関係を設定することが可能となる。続いて、このような本開示による情報処理装置10の構成について、詳細に説明する。
【0026】
<2.情報処理装置10の構成>
本実施形態による情報処理装置10は、パーソナルコンピュータ等の処理装置により実現することができる。よって、まず、パーソナルコンピュータにより実現される情報処理装置10の基本的なハードウェア構成について説明してから、情報処理装置10の機能構成について詳細に説明する。
【0027】
[2−1.ハードウェア構成]
図3は、本開示の一実施形態による情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)100、ROM(Read
Only Memory)102、RAM(Random
Access Memory)103、ホストバス104a、ブリッジ104、外部バス104b、インタフェース105、入力装置106、表示装置107、ストレージ装置108、ドライブ109、接続ポート111、および通信装置113を有する。
【0028】
CPU100は、演算処理部および制御部として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置10の動作全般を制御する。また、CPU100は、マイクロプロセッサであってもよい。
【0029】
ROM102は、CPU100が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM103は、CPU100の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。また、CPU100、ROM102およびRAM103は、CPUバスなどから構成されるホストバス104aにより相互に接続されている。
【0030】
ホストバス104aは、ブリッジ104を介して、PCI(Peripheral
Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス104bに接続されている。なお、必ずしもホストバス104a、ブリッジ104および外部バス104bを分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0031】
入力装置106は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU100に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置10のユーザは、該入力装置106を操作することにより、情報処理装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0032】
表示装置107は、例えば、CRT(Cathode
Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、およびOLED(Organic
Light Emitting
Diode)装置などの表示部である。
【0033】
ストレージ装置108は、情報処理装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置108は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置108は、例えば、HDD(Hard
Disk Drive)で構成される。このストレージ装置108は、ハードディスクを駆動し、CPU101が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0034】
ドライブ109は、記憶媒体用リーダライタであり、情報処理装置100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ109は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM103に出力する。
【0035】
接続ポート111は、外部デバイスと接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal
Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部デバイスとの接続口である。また、本実施形態による接続ポート111は、外部デバイスである表示装置12と接続する。表示装置12との接続は、有線接続(DVI;Digital Visual Interface、D−Sub;D−Subminiature、HDMI;High−Definition Multimedia Interface等)であってもよいし、無線接続(Wi−Fi、Wireless HDMI等)であってもよい。
【0036】
また、通信装置113は、例えば、通信網20に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。通信装置112は、無線LAN(Local
Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0037】
以上、本実施形態による情報処理装置10のハードウェア構成の一例について詳細に説明した。続いて、本実施形態による情報処理装置10の機能構成について、図4を参照して詳細に説明する。
【0038】
[2−2.機能構成]
図4は、本実施形態による情報処理装置10の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、情報処理装置10は、操作検出部121、設定部123、および表示制御部125として機能する。以下、各機能ブロックについて説明する。
【0039】
(操作検出部121)
操作検出部121は、表示装置107に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出する。より具体的には、操作検出部121は、マウス、キーボード等の入力装置106によりユーザがオブジェクトを移動する操作を検出する。また、操作検出部121は検出したユーザ操作を設定部123に出力する。
【0040】
(設定部123)
設定部123は、操作検出部121により検出されたユーザ操作に応じて移動するオブジェクトの移動方向に、外部デバイスである表示装置12(他の表示装置)が位置すると設定する。例えば、表示装置107に表示されるウィンドウが、ユーザ操作により右方向に移動された場合、設定部123は、表示装置107の右側に表示装置12が位置すると設定する。また、設定部123は、設定した位置関係を示す情報を表示制御部125に出力する。なお、設定部123による位置関係設定についは、<4.位置関係の設定>において詳細に説明する。
【0041】
(表示制御部125)
表示制御部125は、設定部123により設定された位置関係に基づいて、表示装置12(他の表示装置)が位置する方向に移動されたオブジェクトの部分を、表示装置107から連続するよう表示装置12に表示する制御を行う。具体的には、表示制御部125は、表示装置12に表示させる画面の画像信号を、接続ポート111を介して表示装置12に出力する。これにより、表示装置107および表示装置12が連続した1つのディスプレイ画面として扱われる。
【0042】
以上、本実施形態による情報処理装置10の機能構成について詳細に説明した。続いて、本実施形態による情報処理装置10の動作処理について図5を参照して説明する。
【0043】
<3.情報処理装置10の動作処理>
図5は、本開示の一実施形態による情報処理装置10の動作処理を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、ステップS203において、操作検出部121は、オブジェクトへのユーザ操作を検出する。オブジェクトは、例えば図6に示すようなウィンドウ22であってもよい。
【0044】
図6に示す状態では、セカンダリ・ディスプレイの表示装置12には、画像信号が送られておらず、何も表示されていない。このとき、ユーザが入力装置106(例えば、図6に示すタッチパッド117)を利用してウィンドウ23を移動させると、操作検出部121はユーザ操作を検出する。
【0045】
次いで、ステップS206において、設定部123は、ウィンドウ23の移動方向に表示装置12が位置すると設定する。例えば、図1に示すように、表示装置107に表示されたウィンドウ22がユーザ操作に応じて右方向に移動された場合、設定部123は、表示装置107の右側に表示装置12が位置すると設定する。
【0046】
そして、ステップS209において、表示制御部125は、表示装置12が位置する方向に移動されたウィンドウの一部を、表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)から連続するよう表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)に拡張表示する制御を行う。具体的には、表示制御部125は、表示装置107の表示領域外にはみ出たウィンドウの部分が表示装置12に連続して表示されるよう、画像信号を表示装置12に出力する。
【0047】
これにより、図1に示すように、ウィンドウ22が表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)および表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)にまたがって表示される等、表示装置の物理的な位置関係と合致した拡張表示が可能となる。
【0048】
なお、全てのウィンドウを表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)から表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)の表示領域内に戻した場合、図7に示すように表示装置12の表示が切断され、初期の状態(例えば、スリープモード等の待機状態)に戻る。
【0049】
以上、本開示の一実施形態による情報処理装置10の動作処理について詳細に説明した。次に、本実施形態による位置関係の設定について説明する。
【0050】
<4.位置関係の設定>
上述したように、本実施形態による設定部123は、操作検出部121により検出されたユーザ操作に応じて移動するオブジェクトの移動方向に、表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)が位置すると設定する。具体的には、設定部123は、表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)の端までオブジェクトが移動した場合、オブジェクトの移動方向に表示装置12が位置すると設定する。このように設定部123が位置関係を設定するタイミングについて、以下複数の実施例を挙げてより詳細に説明する。
【0051】
[4−1.実施例1]
実施例1では、ユーザ操作に応じて移動するオブジェクトが、プライマリ・ディスプレイの表示画面の四辺のいずれか一辺に接した場合、設定部123により位置関係が設定される。このような実施例1について図8を参照して具体的に説明する。なお、ここでは、ユーザ操作に応じて移動するオブジェクトの一例としてウィンドウ22を用いる。
【0052】
図8は、実施例1による位置関係の設定を説明するための図である。図8に示すように、ウィンドウ22の一辺41が、表示装置107の表示画面の一辺(縁)43に接した場合、設定部123は、ウィンドウ22の移動方向に表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)が位置すると設定する。
【0053】
そして、さらにウィンドウ22がユーザ操作に応じて表示装置12の方向に移動すると、表示制御部125は、図9に示すように、表示装置107の表示領域からはみ出したウィンドウ22の部分(ウィンドウ22−2)を表示装置12に連続して表示させる。
【0054】
[4−2.実施例2]
実施例2では、ユーザ操作に応じて移動するオブジェクトが、プライマリ・ディスプレイの表示画面の連続表示領域に入った場合、設定部123により位置関係が設定される。連続表示領域とは、プライマリ・ディスプレイの表示画面の各辺(縁)から正/負所定の範囲内の領域であって、セカンダリ・ディスプレイの位置設定、および連続表示(拡張表示)制御のために用いられる。このような実施例2について以下、図10〜図13を参照して具体的に説明する。
【0055】
図10は、実施例2による位置関係の設定を説明するための図である。図10では、表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)の表示画面の四辺(縁)44から表示領域内(正方向)に向かって距離dの範囲が連続表示領域51とされる。距離dは、例えばピクセル数で設定してもよい。
【0056】
この場合、設定部123は、ウィンドウ22が、連続表示領域51に移動した場合に、その移動方向に表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)が位置すると設定する。図10に示す例では、設定部123は、ウィンドウ22が右方向に移動しているので、表示装置107の右側に表示装置12が位置すると設定する。
【0057】
そして、表示制御部125は、図11に示すように、表示装置107の連続表示領域51に入ったウィンドウ22の一部分(ウィンドウ22−2)を表示装置12に連続して表示させる。
【0058】
上記図10および図11では、表示装置107の表示領域内に連続表示領域51を設定したが、本実施例による連続表示領域の設定はこれに限定されない。例えば、図12に示すように、表示装置107の表示画面の四辺(縁)44から表示領域外(負方向)に向かって距離dの範囲を連続表示領域53としてもよい。
【0059】
この場合も同様に、設定部123は、ウィンドウ22が連続表示領域53に移動すると、その移動方向に表示装置12が位置すると設定する。図12に示す例では、設定部123は、ウィンドウ22が右方向に移動しているので、表示装置107の右側に表示装置12が位置すると設定する。
【0060】
そして、表示制御部125は、図13に示すように、連続表示領域53に入ったウィンドウ22の一部分(ウィンドウ22−2)を表示装置12に連続して表示させる。
【0061】
以上実施例1および実施例2に示すように、設定部123は、プライマリ・ディスプレイの表示画面の各辺から正負所定の範囲内におけるいずれかのラインに、ウィンドウ22が接した場合に、拡張表示制御のための位置関係設定を行う。また、本実施形態による表示制御部125は、プライマリ・ディスプレイの表示画面の各辺から正負所定の範囲内におけるいずれかのラインを越えたウィンドウ22の部分を、セカンダリ・ディスプレイに連続して表示するよう制御する。
【0062】
[4−3.実施例3]
上記実施例1および実施例2では、オブジェクトの一例としてウィンドウ22を用い、ウィンドウ22が、所定のラインに接したタイミングで位置関係の設定が行われている。しかし、本実施例によるオブジェクトはこれに限定されず、オブジェクトは、ウィンドウの他、アイコン、ポインタ等であってもよい。
【0063】
例えば、オブジェクトがウィンドウ22をドラッグして移動させるポインタ45である場合、図14に示すように、ポインタ45が、表示画面の四辺のいずれか一辺(縁)43に接した場合に、設定部123はポインタ45の移動方向に表示装置12が位置すると設定してもよい。
【0064】
そして、さらにポインタ45がユーザ操作に応じて表示装置12の方向に移動すると、表示制御部125は、図15に示すように、表示装置107の表示領域からはみ出した部分(ポインタ45およびウィンドウ22−2)を表示装置12に連続して表示させる。
【0065】
[4−4.実施例4]
以上、実施例1〜3では、設定部123による位置関係の設定について説明した。続いて、実施例4において、設定部123による位置関係の再設定(更新)について説明する。図16上に示すように、表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)の右側に表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)が位置すると設定された後、図16下に示すように、両者の物理的な位置が変更された場合、再設定を行う必要がある。
【0066】
このような場合、例えば図16下に示すように、ユーザは新たなウィンドウ22bを呼び出し、ウィンドウ22bを移動させることで位置関係の再設定を行う。
【0067】
具体的には、図17上に示すように、ユーザは、表示装置12が位置する左方向へウィンドウ22bを移動させる。そして、設定部123は、ウィンドウ22bの移動方向に応じて、表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)が表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)の左側に位置するとして位置関係を再設定する。
【0068】
この場合、表示制御部125は、図17下に示すように、表示装置107の表示領域から左側にはみ出したオブジェクトの部分22b−2を、表示装置107から連続するよう、表示装置12に表示させる。
【0069】
また、上述したように位置関係が再設定された場合、表示制御部125は、表示装置107の右側から表示装置12にまたがって表示されていたオブジェクト22aを、図17下に示すように、全て表示装置107に表示させるよう制御する。
【0070】
[4−5.実施例5]
上記実施例4では、新たに呼び出されたウィンドウを用いて位置関係の再設定を行っているが、本開示による位置関係の再設定はこれに限定されない。以下、図18および図19を参照して、設定部123による位置関係の再設定の他の例(実施例5)について説明する。
【0071】
図18および図19は、実施例5による位置関係の再設定を説明するための図である。例えば、図18上に示すように、表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)の右側に表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)が位置すると設定された後、図18下に示すように、両者の物理的な位置が変更された場合、再設定を行う必要がある。図18に示す例では、表示装置12および表示装置107が、横並びから縦並びに変更されている。
【0072】
実施例5による位置関係の再設定は、具体的には、図19左に示すように、表示装置12が位置する上方向へウィンドウ22−1を移動させる。そして、設定部123は、ウィンドウ22−1の移動方向に応じて、表示装置12(セカンダリ・ディスプレイ)が表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)の上側に位置するとして位置関係を再設定する。
【0073】
この場合、表示制御部125は、図19右に示すように、表示装置107の表示領域から上側にはみ出したオブジェクトの部分22−2を、表示装置107から連続するよう、表示装置12に表示させる。
【0074】
以上説明したように、実施例4および実施例5によれば、直近に(最後に)、表示装置107(プライマリ・ディスプレイ)においてユーザ操作されたウィンドウの移動方向に応じて位置関係が再設定(更新)される。
【0075】
<5.他の実施形態>
上述した本開示による一実施形態による拡張表示システムは、表示装置107を内蔵するノート型コンピュータである情報処理装置10に、独立した表示装置12を接続する構成を有するが、本開示による拡張表示システムの構成はこれに限定されない。以下、図20を参照して本開示の他の実施形態による拡張表示システムについて説明する。
【0076】
図20は、本開示の他の実施形態による拡張表示システムの概要を説明するための図である。図20に示すように、本実施形態による拡張表示システムは、デスクトップ型コンピュータである情報処理装置17本体に、表示装置13および14が接続された構成を有する。
【0077】
本実施形態では、例えば図20に示すように、ユーザが、表示装置13に表示されたウィンドウ22を、表示装置14が位置する右方向に移動させると、設定部123は、位置関係の設定を行う。そして、表示制御部125は、設定部123により設定された位置関係に基づいて、表示装置13の表示領域からはみ出したウィンドウの一部22−2を、表示装置14に表示させる制御を行う。
【0078】
このように、デスクトップ型コンピュータに複数の表示装置が接続された構成においても、同様にユーザ操作によるオブジェクトの移動方向に応じて位置関係を設定することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、表示装置13および14のいずれかを予めプライマリ・ディスプレイに設定しておいてもよい。また、全てのウィンドウが一方の表示装置の表示領域内に移動した場合、当該一方の表示装置をプライマリ・ディスプレイに設定し、さらに他方の表示装置の表示を切断してもよい。
【0080】
<6.まとめ>
上述したように、本開示による情報処理装置10は、ユーザ操作に応じて移動するオブジェクトの移動方向に基づいて複数の表示装置の物理的な位置関係を設定することができる。
【0081】
このように、ユーザは、他の表示装置が実際に位置する方向にオブジェクトを移動させることで、表示装置の物理的な位置関係を直感的に設定することが可能となる。すなわち、ユーザは、ウィンドウをドラッグするという通常操作の延長で、特殊なコマンドを必要とせず、シームレスにディスプレイの拡張機能のオンオフおよび拡張方向の決定を行うことできる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出する操作検出部と、
前記操作検出部により検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定する設定部と、
前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示する表示制御部と、
を備える、情報処理装置。
(2)
前記設定部は、前記オブジェクトが前記表示装置の端まで移動した場合、前記オブジェクトの移動方向に前記他の表示装置が位置すると設定し、
前記表示制御部は、前記オブジェクトが前記表示装置の端まで移動した場合、前記オブジェクトの部分を前記他の表示装置に連続するよう表示する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記表示制御部は、前記他の表示装置に連続して表示するための連続表示領域に移動した前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に前記表示装置から連続するよう表示する、前記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記連続表示領域は、前記表示装置の縁から正/負所定の範囲を含む、前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記設定部は、前記オブジェクトが前記連続表示領域に移動した場合、前記オブジェクトの移動方向に前記他の表示装置が位置すると設定し、
前記表示制御部は、前記オブジェクトが前記連続表示領域に移動した場合、前記オブジェクトの部分を前記他の表示装置に連続するよう表示する、前記(3)または(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記設定部は、位置設定後、前記オブジェクトが最後に移動した方向に基づいて、前記表示装置に対する前記他の表示装置の位置を再設定する、前記(1)から(5)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(7)
表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出するステップと、
前記ユーザ操作を検出するステップにより検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定するステップと、
前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示するステップと、
を含む、表示制御方法。
(8)
表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出する処理と、
前記ユーザ操作を検出する処理により検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定する処理と、
前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示制御する処理と、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
(9)
前記設定する処理は、前記オブジェクトが前記表示装置の端まで移動した場合、前記オブジェクトの移動方向に前記他の表示装置が位置すると設定し、
前記表示制御する処理は、前記オブジェクトが前記表示装置の端まで移動した場合、前記オブジェクトの部分を前記他の表示装置に連続するよう表示する、前記(8)に記載のプログラム。
(10)
前記表示制御する処理は、前記他の表示装置に連続して表示するための連続表示領域に移動した前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に前記表示装置から連続するよう表示する、前記(8)または(9)に記載のプログラム。
(11)
前記連続表示領域は、前記表示装置の縁から正/負所定の範囲を含む、前記(10)に記載のプログラム。
(12)
前記設定する処理は、前記オブジェクトが前記連続表示領域に移動した場合、前記オブジェクトの移動方向に前記他の表示装置が位置すると設定し、
前記表示制御する処理は、前記オブジェクトが前記連続表示領域に移動した場合、前記オブジェクトの部分を前記他の表示装置に連続するよう表示する、前記(10)または(11)に記載のプログラム。
(13)
前記設定する処理は、前記オブジェクトの移動方向が変更した場合、前記表示装置に対する前記他の表示装置の位置を再設定する、前記(8)から(12)のいずれか1項に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0084】
10 情報処理装置
12、13、14 表示装置
22 ウィンドウ
51、53 連続表示領域
45 ポインタ
100 CPU
102 ROM
103 RAM
104a ホストバス
104 ブリッジ
104b 外部バス
105 インタフェース
106 入力装置
107 表示装置
108 ストレージ装置
109 ドライブ
111 接続ポート
113 通信装置
121 操作検出部
123 設定部
125 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出する操作検出部と、
前記操作検出部により検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定する設定部と、
前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示する表示制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記オブジェクトが前記表示装置の端まで移動した場合、前記オブジェクトの移動方向に前記他の表示装置が位置すると設定し、
前記表示制御部は、前記オブジェクトが前記表示装置の端まで移動した場合、前記オブジェクトの部分を前記他の表示装置に連続するよう表示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記他の表示装置に連続して表示するための連続表示領域に移動した前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に前記表示装置から連続するよう表示する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記連続表示領域は、前記表示装置の縁から正/負所定の範囲を含む、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記オブジェクトが前記連続表示領域に移動した場合、前記オブジェクトの移動方向に前記他の表示装置が位置すると設定し、
前記表示制御部は、前記オブジェクトが前記連続表示領域に移動した場合、前記オブジェクトの部分を前記他の表示装置に連続するよう表示する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定部は、位置設定後、前記オブジェクトが最後に移動した方向に基づいて、前記表示装置に対する前記他の表示装置の位置を再設定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出するステップと、
前記ユーザ操作を検出するステップにより検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定するステップと、
前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示するステップと、
を含む、表示制御方法。
【請求項8】
表示装置に表示されるオブジェクトへのユーザ操作を検出する処理と、
前記ユーザ操作を検出する処理により検出されたユーザ操作に応じて移動する前記オブジェクトの移動方向に他の表示装置が位置すると設定する処理と、
前記他の表示装置が位置する方向に移動された前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に、前記表示装置から連続するよう表示制御する処理と、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項9】
前記設定する処理は、前記オブジェクトが前記表示装置の端まで移動した場合、前記オブジェクトの移動方向に前記他の表示装置が位置すると設定し、
前記表示制御する処理は、前記オブジェクトが前記表示装置の端まで移動した場合、前記オブジェクトの部分を前記他の表示装置に連続するよう表示する、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記表示制御する処理は、前記他の表示装置に連続して表示するための連続表示領域に移動した前記オブジェクトの部分を、前記他の表示装置に前記表示装置から連続するよう表示する、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記連続表示領域は、前記表示装置の縁から正/負所定の範囲を含む、請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記設定する処理は、前記オブジェクトが前記連続表示領域に移動した場合、前記オブジェクトの移動方向に前記他の表示装置が位置すると設定し、
前記表示制御する処理は、前記オブジェクトが前記連続表示領域に移動した場合、前記オブジェクトの部分を前記他の表示装置に連続するよう表示する、請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記設定する処理は、位置設定後、前記オブジェクトが最後に移動した方向に基づいて、前記表示装置に対する前記他の表示装置の位置を再設定する、請求項8に記載のプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−97669(P2013−97669A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241235(P2011−241235)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】