説明

情報収集配信システム

【課題】充電設備に関する情報をリアルタイムに収集する。
【解決手段】情報収集配信センタ12は、充電スタンド11や充電設備を利用した車両の車載器から情報を収集する。本発明の一態様の情報収集配信システム1では、通信回線網16に接続されている充電スタンド11から、設置されている充電設備の設置状況や利用状況などの運営状況に関する情報を収集する。別の一態様の情報収集配信システムでは、充電設備を利用した車両から車両の位置や充電状況に関する情報を収集する。各態様における情報収集配信センタは、収集した情報に基づいて、充電スタンドの運営状況に関する運営情報を記憶し、車載器14などの車載器に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のバッテリを充電する充電設備を有する施設についての施設データを記憶するデータベースを備え、そのデータベースに記憶されている施設データを無線回線でユーザに提供するデータ提供装置についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-215124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電可能なバッテリを搭載している電気自動車が普及していく中で、バッテリの充電に用いる充電設備を設置している施設(充電スタンド)に関する情報の需要が高まることが予測される。充電設備は、有料駐車場やコンビニエンスストアなど多種多様な場所に設置することができ、充電スタンドの新設や閉鎖、充電設備の増設や撤去は頻繁に行われることが予測される。そのような環境変化に対応するため、充電スタンドや充電設備に関する情報を提供するシステムにおいて、情報をリアルタイムに収集し、配信することが望まれている。特許文献1に記載されている発明では、ユーザに提供する充電スタンドに関する情報をリアルタイムに収集するものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、情報収集配信システムは、情報収集配信センタと、複数の充電スタンドと、複数の車載器とからなり、複数の車載器に情報を配信するためのものであって、複数の充電スタンドの各々は、車載器を搭載する車両に搭載されるバッテリを充電する1以上の充電設備と、当該充電スタンドのIDと、当該充電スタンドに設置されている充電設備の設置台数および利用状況とを少なくとも含む設備情報を生成する設備情報生成手段と、設備情報生成手段が生成した設備情報を情報収集配信センタへ送信する設備情報送信手段とを備え、情報収集配信センタは、複数の充電スタンドからそれぞれ送信される設備情報を受信する設備情報受信手段と、IDに対応した充電スタンドの位置が予め記憶されているIDデータベースと、設備情報受信手段により受信された設備情報に含まれるIDに基づいて、IDデータベースから当該設備情報を送信した充電スタンドの位置を取得する位置取得手段と、複数の充電スタンドの各々の位置およびそこに設置されている充電設備の設置台数、または複数の充電スタンドの各々の利用状況を含む情報を運営情報として記憶する運営情報データベースと、設備情報受信手段により受信した設備情報と、位置取得手段により当該設備情報に基づいて取得した位置に基づいて、運営情報データベースに記憶されている運営情報を管理する運営情報管理手段とを備える。
また、本発明の別の一態様によると、情報収集配信システムは、情報収集配信センタと、複数の充電スタンドと、複数の充電スタンドでバッテリを充電する複数の車両の各々に搭載される複数の車載器とからなり、複数の車載器に複数の充電スタンドに関する情報を配信するためのものであって、複数の車載器の各々は、当該車載器を搭載している車両の自車位置の情報を算出する自車位置算出手段と、当該車載器を搭載している車両から当該車両が充電中か否かを表す情報と、当該車両のバッテリの電池残量とを少なくとも含む充電状況を取得する充電状況取得手段と、自車位置算出手段で算出した自車位置と、充電状況取得手段で取得した充電状況とを少なくとも含む情報を車両情報として情報収集配信センタへ送信する車両情報送信手段とを備え、情報収集配信センタは、複数の車載器から送信される車両情報を受信する車両情報受信手段と、車両情報受信手段が受信した車両情報を記憶する車両情報データベースと、複数の充電スタンドの各々の位置およびそこに設置されている充電設備の設置台数、または当該充電設備の利用状況を含む情報を運営情報として記憶する運営情報データベースと、車両情報データベースに記憶された車両情報に基づいて、運営情報を生成する運営情報生成手段と、運営情報生成手段により生成した運営情報を運営情報データベースへ記憶する運営情報記憶手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、充電スタンドに関する情報について、リアルタイムに収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態による情報収集配信システムの構成例を示す模式図である。
【図2】充電設備を有する充電スタンドの一構成例を示すブロック図である。
【図3】車載器の一構成例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態における情報収集配信センタの機能ブロック図の一例である。
【図5】第1の実施の形態における情報収集配信センタの設備情報収集部が行う処理に関するフローチャートの一例である。
【図6】第1の実施の形態における情報収集配信センタの設置状況管理部が行う処理に関するフローチャートの一例である。
【図7】第1の実施の形態における情報収集配信センタの利用状況管理部が行う処理に関するフローチャートの一例である。
【図8】第2の実施の形態による情報収集配信システムの構成例を示す模式図である。
【図9】第2の実施の形態における情報収集配信センタの機能ブロック図の一例である。
【図10】第2の実施の形態における情報収集配信センタの設置状況推定部が行う処理に関するフローチャートの一例である。
【図11】第2の実施の形態における情報収集配信センタの設置状況推定部が行う処理に関するフローチャートの一例である。
【図12】第2の実施の形態における情報収集配信センタの利用状況推定部が行う処理に関するフローチャートの一例である。
【図13】第1の実施の形態の情報収集配信センタにおいて実行される充電スタンドの将来の利用状況を推定する処理に関するフローチャートの一例である。
【図14】充電スタンドにおいて車両が充電待ちをしている状況を示す模式図である。
【図15】充電待ちしている車両の台数を推定する処理に関するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態による情報収集配信システムの構成を図1に示す。図1に示す情報収集配信システム1は、充電スタンド11、情報収集配信センタ12、車載器14、および通信回線網16からなる。なお、情報収集配信システム1において、充電スタンド11と車載器14はそれぞれ複数存在するが、図1では代表して一つをそれぞれ示している。
【0009】
通信回線網16は、携帯電話回線網やインターネットなどにより構築されている。
【0010】
車載器14は、車両13に搭載されているナビゲーション装置であって、車両13の運転者に画像や音声により、充電スタンド11に関する情報や経路などの様々な情報を提供する。車載器14は、有線または無線で通信端末15と接続されている。通信端末15は、たとえば携帯電話であって、通信回線網16と無線で接続することができる。車載器14は、通信端末15を介して通信回線網16と接続することができる。
【0011】
車載器14を搭載している車両13は、たとえば電気自動車であって、充電可能なバッテリ(不図示)を備える。車両13は充電スタンド11でバッテリを充電することができる。
【0012】
充電スタンド11は、車両13のバッテリを充電可能な複数の充電設備が設置されている施設である。充電スタンド11では、充電設備の増設や撤去が起こりうる。第1の実施の形態における充電スタンド11は、設置されている充電設備の設置台数と、各充電設備の利用状況、すなわち各充電設備が車両13のバッテリを充電中であるか否かを管理している。第1の実施の形態における充電スタンド11は、有線または無線で通信回線網16と接続しており、通信回線網16を介して情報収集配信センタ12と接続している。充電スタンド11は、そのIDと、そこに設置されている充電設備の設置台数と、各充電設備の利用状況とに関する情報を情報収集配信センタ12へ送信する。以降、この情報を設備情報と称する。なお、充電スタンド11のIDは、充電スタンド11のそれぞれに対して予め設定されているもので、情報収集配信センタ12の管理者側から予め発行されている。
【0013】
情報収集配信センタ12は、充電スタンド11から送信される設備情報を収集し、その設備情報に基づいて、充電スタンド11における充電設備の設置台数や利用状況に関する情報を各車載器14へ配信する施設である。情報収集配信センタ12には、充電スタンド11に関する情報を管理するサーバ装置(不図示)が設置されている。情報収集配信センタ12は、通信回線網16を介して充電スタンド11から設備情報を受信する。情報収集配信センタ12は、設備情報に基づいて充電スタンド11における充電設備の設置台数や利用状況に関する情報の管理を行い、通信回線網16を介して車載器14へ充電スタンド11に関する情報を送信する。以降、情報収集配信センタ12がその内部で管理する充電スタンド11の情報を運営情報、車載器14へ送信する情報のことを配信情報と称する。
【0014】
図1の充電スタンド11の一構成例を図2に示す。図2に示す充電スタンド11は、充電設備21、設備管理部22、設備情報生成部23、および送受信部24からなる。
【0015】
設備管理部22は、充電スタンド11に備え付けられた計算機端末であって、充電スタンド11に設置されている充電設備21の設置台数と各充電設備21の利用状況とを管理し、これらに関する情報を、定期的に設備情報生成部23へ出力する。
【0016】
設備情報生成部23は、充電スタンド11に備え付けられた計算機端末であって、設備管理部22から取得した充電スタンド11に設置されている充電設備21の設置台数と利用状況に関する情報に充電スタンド11のIDを加えて、設備情報を生成する。そして、生成した設備情報を送受信部24へ出力する。
【0017】
送受信部24は、通信回線網16と接続しており、設備情報生成部23が生成した設備情報を情報収集配信センタ12へ送信する。
【0018】
なお、設備情報生成部23は、充電スタンド11が閉鎖されるとき、充電スタンド11が閉鎖されることを示す設備情報(たとえば、充電設備21の設置台数が0の設備情報)を生成し、生成した情報を情報収集配信センタ12に送信するものとする。
【0019】
充電スタンド11は、図2の構成を用いて、充電スタンド11の設備情報を情報収集配信センタ12へ送信することができる。また、充電スタンド11は、充電設備21を利用する車両13のバッテリを充電することができる。
【0020】
図1の車載器14の一構成例を図3に示す。図3に示す車載器14は、ナビゲーション装置であって、制御部30、記憶部31、表示モニタ32、スピーカ33、GPS受信部34、および通信端末接続部35からなる。
【0021】
制御部30は、マイクロプロセッサ、各種周辺回路、RAM、ROMなどによって構成される。制御部30は、記憶部31や、表示モニタ32などの車載器14の他の構成物を制御することにより、ナビゲーション装置としての処理、たとえば目的地までの推奨経路を探索する処理や、探索した推奨経路に基づいた経路案内処理、車両13の位置を算出する処理などを実行することができる。
【0022】
記憶部31は、ハードディスクやフラッシュメモリなどであって、地図データや、アイコンなどの画像データ、案内用の音声データなどを記憶している。また、記憶部31は、ユーザが行った各種の設定や通信端末15を介して受信した情報を記憶することもできる。
【0023】
表示モニタ32は、液晶ディスプレイなどであって、制御部30で実行される各処理のために様々な文字や画像、映像などを表示することができる。スピーカ33は、制御部30で実行される各処理のために様々な音声を出力する。表示モニタ32やスピーカ33は、通信端末15を介して受信した情報に基づいた画像や音声によってユーザに情報提供を行うことができる。
【0024】
GPS受信部34は、GPSアンテナであって、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、受信したGPS信号を制御部30へ出力する。GPS信号には、車両13の位置と現在日時を特定するための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。制御部30は、所定数以上のGPS衛星からのGPS信号により、これらの情報に基づいて車両13の自車位置と現在日時とを算出することができる。
【0025】
通信端末接続部35は、通信端末15と有線または無線(たとえば、Bluetooth(登録商標))で接続する。制御部30は、通信端末接続部35を介して通信端末15に接続する。そして、車載器14は、制御部30の制御により通信端末15を介して通信回線網16に接続することができる。
【0026】
車載器14は、通信端末15と通信端末接続部35とを介して、情報収集配信センタ12から送信される配信情報を受信する。制御部30は、受信した配信情報に基づいて、表示モニタ32やスピーカ33を介して運転者に充電スタンド11の情報を提供する。
【0027】
図1の情報収集配信センタ12についてそのシステムブロック図を図4に示す。図4には、情報収集配信センタ12のシステム構成として、設備情報収集部41、IDデータベース42、運営状況管理部43、運営情報データベース44、および配信部45が含まれている。
【0028】
IDデータベース42は、情報収集配信センタ12に設備情報を送信するすべての充電スタンド11のIDと、その位置に関する情報を予め記憶しているデータベースである。充電スタンド11の位置は、たとえば緯度経度の形式で記憶されている。
【0029】
運営情報データベース44は、充電スタンド11における充電設備21の設置台数や利用状況などの運営情報を記憶するデータベースである。運営情報データベース44は、運営状況管理部43および配信部45と連携している。運営情報は、運営状況管理部43の制御により運営情報データベース44へ記憶される。運営情報データベース44に記憶されている運営情報は、配信部45により車載器14へ送信される。
【0030】
設備情報収集部41は、通信回線網16と接続しており、IDデータベース42、および運営状況管理部43と連携している。設備情報収集部41は、通信回線網16を介して充電スタンド11が送信する設備情報を受信する。また、設備情報収集部41は、設備情報に含まれている充電スタンド11のIDに基づいてIDデータベース42を検索し、充電スタンド11の位置に関する情報を取得する。設備情報収集部41は、受信した設備情報に基づいてIDデータベース42から取得した充電スタンド11の位置に関する情報を当該設備情報に付加し、それらの情報を運営状況管理部43へ出力する。以降、充電スタンド11の位置に関する情報を付加された設備情報を位置設備情報と記載する。
【0031】
運営状況管理部43には、設置状況管理部46および利用状況管理部47が含まれる。運営状況管理部43は、設備情報収集部41および運営情報データベース44と連携している。運営状況管理部43は、設備情報収集部41が出力する位置設備情報を取得する。運営情報管理部43は、設置状況管理部46および利用状況管理部47において、取得した位置設備情報に基づいて充電スタンド11に関する運営情報を生成し、運営情報データベース44へ記憶する。
【0032】
設置状況管理部46は、位置設備情報に基づいて、充電スタンド11の新設/閉鎖や充電設備21の増設/撤去などを判断し、判断結果に基づいた情報を充電スタンド11の設置状況に関する運営情報として運営情報データベース44に記憶する。以降、設置状況管理部46が運営情報データベース44に記憶する充電スタンド11の設置状況に関する運営情報のことを設置運営情報と記載する。設置運営情報は、それを運営情報データベース44へ記憶した日時と、位置設備情報に含まれる充電スタンド11のIDと、当該充電スタンド11の位置と、当該充電スタンド11に設置されている充電設備21の設置台数とを含む。設置運営情報は、充電スタンド11のIDにつき一つだけ記憶される。充電スタンド11に設置されている充電設備21の設置台数が変わった場合は、当該充電スタンド11に対応する設置運営情報の内容を修正する。
【0033】
利用状況管理部47は、位置設備情報に基づいて、充電スタンド11における充電設備21の空き状況などを判断し、判断結果に基づいた情報を充電スタンド11の利用状況に関する運営情報として運営情報データベース44に記憶する。以降、利用状況管理部47が運営情報データベース44に記憶する充電スタンド11の利用状況に関する運営情報のことを利用運営情報と記載する。利用運営情報は、それを運営情報データベース44へ記憶した日時、位置設備情報に含まれる充電スタンド11のID、当該充電スタンド11に設置されている充電設備21が車両13のバッテリを充電中か否かを表す情報を含む。利用運営情報は、充電スタンド11ごとに複数個を履歴として記憶される。
【0034】
配信部45は、通信回線網16と接続しており、運営情報データベース44と連携している。配信部45は、運営情報データベース44から運営情報を抽出し、その抽出した運営情報を配信情報として車載器14へ送信する。たとえば、設置運営情報が新たに記憶されたり、修正されたりした場合は、その設置運営情報を配信情報として配信する。
【0035】
次に、情報収集配信センタ12の設備情報収集部41、設置状況管理部46、および利用状況管理部47で実行される各処理について説明する。
【0036】
図4の設備情報収集部41が実行する処理について、そのフローチャートの一例を図5に示す。図5のフローチャートの処理は、情報収集配信センタ12のサーバが稼働している間において常に実行される。
【0037】
設備情報収集部41は、充電スタンド11から設備情報が送信されるまで図5のステップS501で待機している。設備情報収集部41は、充電スタンド11から設備情報が送信されたら図5の処理をステップS502に進める。
【0038】
図5のステップS502では、設備情報収集部41は、充電スタンド11から送信された設備情報を受信する。図5の処理は、充電スタンド11からの設備情報の受信が完了したらステップS503に進む。
【0039】
図5のステップS503では、設備情報収集部41は、ステップS502で受信した設備情報に含まれる充電スタンド11のIDに基づいて、IDデータベース42を検索し、充電スタンド11の位置に関する情報を取得する。図5の処理は、充電スタンド11の位置に関する情報を取得したらステップS504に進む。
【0040】
図5のステップS504では、設備情報収集部41は、ステップS502で受信した設備情報にステップS503で取得した充電スタンド11の位置に関する情報を付加することにより位置設備情報を生成する。図5の処理は、位置設備情報を生成したらステップS505に進む。
【0041】
図5のステップS505では、設備情報収集部41は、ステップS504で生成した位置設備情報を運営状況管理部43へ送信する。図5の処理は、運営状況管理部43へ位置設備情報を送信したらステップS501に戻る。
【0042】
次に、図4の設置状況管理部46が実行する処理について説明する。図6は、充電スタンド11の新設/閉鎖および充電スタンド11に設置されている充電設備21の増設/撤去を判断し、設置運営情報を記憶する処理に関するフローチャートの一例である。図6のフローチャートの処理は、情報収集配信センタ12のサーバが稼働しているとき常に設置状況管理部46によって実行されている。
【0043】
設置状況管理部46は、設備情報収集部41から運営状況管理部43へ位置設備情報が出力されるまで図6のステップS601で待機している。設置状況管理部46は、充電スタンド11から位置設備情報が出力されたら、図6の処理をステップS602に進める。
【0044】
図6のステップS602では、設置状況管理部46は、設備情報収集部41が出力した位置設備情報を取得する。図6の処理は、設置状況管理部46が位置設備情報を取得したらステップS603に進む。
【0045】
図6のステップS603では、設置情報管理部46は、ステップS602で取得した位置設備情報に含まれる充電スタンド11のIDについて運営情報データベース44を検索し、運営情報データベース44の中にそのIDに関する設置運営情報が記憶されているか否かを判定する。設置情報管理部46は、ステップS603において、運営情報データベース44の中にそのIDに関する設置運営情報が記憶されていた場合は肯定判定し、当該設置運営情報が記憶されていない場合は否定判定する。図6の処理は、設置情報管理部46によりステップS603の判定が肯定判定されたときはステップS604に進み、否定判定されたときはステップS609に進む。
【0046】
図6のステップS604では、設置情報管理部46は、ステップS602で取得した位置設備情報に含まれる充電設備の設置台数に関する情報が0か否かを判定する。図6の処理は、充電設備の設置台数が0であった場合は充電スタンド11が閉鎖されるものとしてステップS608に進み、充電設備の設置台数が0でなかった場合は充電スタンド11が閉鎖されないものとしてステップS605に進む。
【0047】
図6のステップS605では、設置情報管理部46は、運営情報データベース44から、ステップS602で取得した位置設備情報に含まれるIDを含む設置運営情報を検索し、当該IDを含む設置運営情報を取得する。図6の処理は、位置設備情報に含まれるIDの充電スタンド11に関する最新の設置運営情報を取得したらステップS606に進む。
【0048】
図6のステップS606では、設置情報管理部46は、ステップS602で取得した位置設備情報に含まれる充電設備21の設置台数と、ステップS605で取得した設置運営情報に含まれる充電設備21の設置台数とが異なるか否かを判定する。それら二つの充電設備21の設置台数が異なっている場合は、充電スタンド11において充電設備21の増設または撤去が行われたことを表している。図6の処理は、充電設備21の設置台数が異なっている場合はステップS607に進み、充電設備21の設置台数が同じ場合はステップS601に戻る。
【0049】
図6のステップS607では、設置情報管理部46は、ステップS605で取得した設置運営情報に含まれる充電設備21の設置台数を、ステップS602で取得した位置設備情報に含まれる充電設備21の設置台数に修正する。ステップS605で取得した設置運営情報を修正したら、図6のステップS601に戻る。
【0050】
図6のステップS608では、設置情報管理部46は、ステップS602で取得した位置設備情報に含まれるIDを含む設置運営情報を運営情報データベース44から削除する。該当する設置運営情報を削除したら、図6のステップS601に戻る。
【0051】
図6のステップS609では、設置情報管理部46は、ステップS602で取得した位置設備情報に基づいて、充電スタンド11のIDおよび位置と、充電スタンド11に設置されている充電設備21の設置台数とを含む設置運営情報を生成し、運営情報データベース44へ記憶する。
【0052】
次に、図4の利用状況管理部47が実行する処理について説明する。図7は、位置設備情報に基づいて充電スタンド11の充電設備21の空き状況を判断する処理のフローチャートの一例である。図7のフローチャートの処理は、情報収集配信センタ12のサーバが稼働しているとき利用状況管理部47が実行する。
【0053】
利用状況管理部47は、設備情報収集部41から位置設備情報が出力されるまで図7のステップS701で待機する。図7の処理は、設備情報収集部41から位置設備情報が出力されたらステップS702に進む。
【0054】
図7のステップS702では、利用状況管理部47は、設備情報収集部41から位置設備情報を取得する。図7の処理は、設備情報収集部41が出力した位置設備情報の受信が完了したらステップS703に進む。
【0055】
図7のステップS703では、利用状況管理部47は、ステップS702で受信した位置設備情報から、充電スタンド11に設置されている各充電設備21が車両13のバッテリを充電中か否かの情報を取得する。図7の処理は、位置設備情報から充電スタンド11に設置されている各充電設備21が充電中か否かの情報を取得したらステップS704に進む。
【0056】
図7のステップS704では、利用状況管理部47は、位置設備情報に含まれるIDに関する設置運営情報を運営情報データベース44から取得する。図7の処理は、設置運営情報を運営情報データベース44から取得したらステップS705に進む。
【0057】
図7のステップS705では、利用状況管理部47は、ステップS703で取得した充電スタンド11の各充電設備21が充電中か否かの情報と、ステップS704で取得した設置運営情報とに基づいて、充電スタンド11に設置されている充電設備21のうち充電中でない充電設備21の台数を算出する。すなわち、充電スタンド11の充電設備21の空き状況を算出する。利用状況管理部47は、その算出結果に基づいて利用運営情報を生成し、運営情報データベース44へ記憶する。図7の処理は、利用履歴が運営情報データベース44へ記憶したらステップS701に戻る。
【0058】
以上で説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0059】
第1の実施の形態の情報収集配信システム1は、図1に示すように情報収集配信センタ12と、複数の充電スタンド11と、複数の車載器14とからなる。
充電スタンド11の各々は、図2に示すように車載器14を搭載する車両13に搭載されるバッテリを充電する1以上の充電設備21と、その充電設備21の設置台数と利用状況と充電スタンド11のIDとを少なくとも含む設備情報を生成する設備管理部22および設備情報生成部23と、その設備情報を情報収集配信センタ12へ送信する送受信部24とを備える。
情報収集配信センタ12は、図4に示すように充電スタンド11からそれぞれ送信される設備情報を受信する設備情報収集部41(図5のステップS502)と、充電スタンド11のIDと充電スタンド11の位置に関する情報を対応付けて記憶されているIDデータベース42とを備える。情報収集配信センタ12は、設備情報収集部41で受信した設備情報に含まれる充電スタンド11のIDに基づいて、当該充電スタンド11の位置をIDデータベース42から取得する(図5のステップS503)。情報収集配信センタ12は、充電スタンド11の位置とそこに設置されている充電設備21の設置台数を含む設置運営情報と、充電スタンドにおける充電設備の利用状況に関する利用運営情報とを記憶する運営情報データベース44を備え、設備情報へ充電スタンド11の位置に関する情報を付加した位置設備情報に基づいて、運営情報データベース44に記憶されている運営情報を管理する。
これにより、充電スタンド11からリアルタイムに充電スタンド11における充電設備の情報を収集することができる。
【0060】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態による情報収集配信システムの構成を図8に示す。図8に示す情報収集配信システム2は、充電スタンド81、情報収集配信センタ82、車載器84、車載器84を搭載した車両83、および通信回線網16からなる。なお、情報収集配信システム2において、充電スタンド81と車載器84とはそれぞれ複数存在するが、図8では代表して一つをそれぞれ示している。
【0061】
通信回線網16は、第1の実施の形態と同様に携帯電話回線網やインターネットなどにより構築されている。
【0062】
車両83は、たとえば電気自動車であって、充電可能なバッテリ(不図示)を備える。車両83のバッテリは、充電スタンド81などで充電することができる。
【0063】
図8の充電スタンド81は、たとえば充電設備を有するガソリンスタンドや、有料駐車場、コンビニエンスストアなどであって、車両83のバッテリを充電可能な充電設備が設置されている施設である。充電スタンド81においても、充電設備は新たに増設されたり、撤去されたりすることがあるものとする。しかし、充電スタンド81は、第1の実施の形態の充電スタンド11と異なり、通信回線網16と接続されておらず、情報収集配信センタ82に設備情報を送信しない。
【0064】
車載器84は、ナビゲーション装置であって、車載器84を搭載する車両83の運転者に対して画像や音声により様々な情報を提供する。車載器84の基本的な構成は、車載器14と同じである。ただし、車載器84は、車載器14と異なり、車両83の車載システムと有線または無線で接続しており、車両83から車両83のIDや、車速、バッテリの電池残量、充電中か否かなどの情報を取得することができる。充電中か否かを表す情報とは、たとえば、バッテリの電池残量の増加率や、バッテリの電池残量が増加しているときにセットされるフラグなどでよい。
【0065】
車載器84は、車載器14と同様に有線または無線で通信端末15と接続されている。通信端末15は、通信回線網16と無線で接続されている。車載器84は、通信端末15を介して通信回線網16と接続している。車載器84は、通信回線網16を介して、情報収集配信センタ82から送信される情報を受信するだけでなく、情報収集配信センタ82へ情報を送信する。車載器84が情報収集配信センタ82へ送信する情報は、車載器84がGPS信号に基づいて算出した自車位置と、車両83のIDや、車速、バッテリの電池残量、充電中か否か情報などを送信する。以降、車載器84が情報収集配信センタ82へ送信する情報を、車両情報と称する。
【0066】
情報収集配信センタ82は、複数の車載器84が送信する車両情報に基づいて、充電スタンド81に関する情報の収集および配信を行うサーバ装置(不図示)を備える施設である。情報収配信センタ82は、通信回線網16を介して複数の車載器84から車両情報を受信し、受信した車両情報を蓄積する。そして、情報収配信センタ82は、蓄積した車両情報に基づいて、充電スタンド81の位置とそこに設置されている充電設備の設置台数と、充電設備の利用状況とを推定し、その推定結果に基づいた情報を蓄積する。その蓄積された推定結果に基づく情報を車載器84へ配信する。
【0067】
図8の情報収集配信センタ82についてそのシステムブロック図を図9に示す。図9には、情報収集配信センタ82のシステム構成として、車両情報収集部91、車両情報データベース92、運営情報管理部93、運営情報データベース94、および配信部95が含まれている。
【0068】
車両情報収集部91は、通信回線網16と接続しており、車載器84が送信した車両情報を受信する。また、車両情報収集部91は、車両情報データベース92と連携しており、車両情報データベース92に車載器84から受信した車両83の車両情報を記憶する。
【0069】
車両情報データベース92は、車用情報収集部91および運営情報管理部93と連携している。車両情報データベース92は、車両情報収集部91が受信した車両83の車両情報を履歴として記憶する。また、車両情報データベース92は、運営情報管理部93から参照される。
【0070】
運営情報データベース94は、充電スタンド81の位置と、充電スタンド81に設置されている充電設備の設置台数と、その充電設備の利用状況に関する情報を運営情報として記憶するデータベースである。運営情報データベース94は、運営情報管理部93および配信部95と連携している。第2の実施の形態の運営情報は、運営状況管理部93の制御により運営情報データベース94へ記憶される。運営情報データベース94に記憶されている運営情報は、配信部95により車載器84へ送信される。
【0071】
運営状況管理部93は、設置状況推定部96と、利用状況推定部97とを含む。車両情報データベース92および運営情報データベース94と連携している。運営状況管理部93は、車両情報データベース92から車両情報を取得し、その車両情報に基づいて、充電スタンド81の位置と、充電スタンド81に設置されている充電設備の設置台数と、その充電設備の利用状況とを推定する。そして、その推定結果に基づいて、運営情報を生成し、運営情報データベース94へ記憶する。
【0072】
設置状況推定部96は、車両情報データベース92および運営情報データベース94と連携している。設置状況推定部96は、車両情報データベース92に記憶されている車両情報に基づいて、充電スタンド81が新設されたものか否かの情報と、充電スタンド81が閉鎖されたか否かを推定する。設置状況推定部96は、その推定結果に基づいて、充電スタンド81に関する運営情報を新たに生成して運営情報データベース94へ記憶したり、運営情報データベース94から充電スタンド81に関する運営情報を削除したりする。設置状況推定部96が生成する運営情報は、充電スタンド81の位置と充電設備の設置台数に関する項目を含む。以降、設置状況推定部96が生成する運営情報のことを設置運営情報と称する。
【0073】
利用状況推定部97は、車両情報データベース92および運営情報データベース94と連携している。利用状況推定部97は、車両情報データベース92に記憶されている車両83の車両情報と、運営情報データベース94に記憶されている充電スタンド81の設置運営情報とに基づいて、充電スタンド81における充電設備の空き状況に関する情報と充電スタンド81にある充電設備の設置台数を推定する。利用状況推定部97は、その推定結果に基づいて、充電スタンド81における充電設備の空き状況に関する運営情報を生成し、運営情報データベース94へ記憶することや、充電スタンド81にある充電設備の設置台数について設置運営情報を修正する。以降、利用状況推定部97が運営情報データベース94へ記憶する運営情報のことを利用運営情報と称する。
【0074】
配信部95は、通信回線網16と接続しており、運営情報データベース94と連携している。配信部95は、運営情報データベース94から充電スタンド81に関する運営情報を抽出し、その抽出した運営情報を配信情報として車載器84へ送信する。
【0075】
設置状況推定部96または利用状況推定部97で実行される各処理の詳細について説明する。
【0076】
図10は、設置状況推定部96によって実行される充電スタンド81が新設されたものか否かを推定する処理に関するフローチャートの一例である。図10の処理は、情報収集配信センタ82が稼働しているとき常に実行されている。
【0077】
図10のステップS1001では、設置状況推定部96は、車両情報データベース92から最新の車両情報を取得する。図10の処理は、車両情報データベース92から最新の車両情報を取得したらステップS1002に進む。
【0078】
図10のステップS1002では、設置状況推定部96は、ステップS1001で取得した車両情報に含まれる自車位置と同じ自車位置の情報を持つ他の車両情報を、車両情報データベース94から検索する。図10の処理は、車両情報データベース94の検索が終わったらステップS1003に進む。
【0079】
図10のステップS1003では、設置状況推定部96は、ステップS1002の検索によって、車両情報が得られたか否かを判定する。図10の処理は、車両情報が得られた場合はステップS1004に進み、そうでない場合はステップS1001に戻る。
【0080】
図10のステップS1004では、設置状況推定部96は、ステップS1001で取得した車両情報に含まれる自車位置と略同じ位置の設置運営情報が運営情報データベース94に既に記憶されているか否かを判定する。図10の処理は、その設置運営情報が運営情報データベース94に既に記憶されていればステップS1001に戻り、まだその設置運営情報が記憶されていなければステップS1005に進む。
【0081】
図10のステップS1005では、設置状況推定部96は、設置運営情報を生成し運営情報データベース94へ記憶する。ステップS1005で生成する設置運営情報では、充電スタンド81の位置は、ステップS1001で取得した車両情報に含まれる自車位置であるものとし、充電設備の設置台数は「1」であるものとする。図10の処理は、設置運営情報を運営情報データベース94に記憶したらステップS1001に戻る。
【0082】
図11は、設置状況推定部96によって実行される充電スタンド81が閉鎖されたことを推定する処理に関するフローチャートである。
【0083】
図11のステップS1101では、設置状況推定部96は、運営情報データベース94から設置運営情報を無作為に取得する。図11の処理は、運営情報データベース94から設置運営情報を取得したらステップS1102に進む。
【0084】
図11のステップS1102では、設置状況推定部96は、ステップS1101において選択した設置運営情報から充電スタンド81の位置を取得し、その位置について車両情報データベース92を検索する。そして、検索を開始したその時点までの所定の期間内にその充電スタンド81の位置で充電した車両がいたか否かを判定する。所定の期間は、たとえば、1か月でよい。また、充電スタンド81の位置で充電した車両83がいたか否かは、車両情報データベース92の中に、車両83の位置が充電スタンド81の位置と略同一であって、「充電中」であるという情報を含む車両情報があるか否かによって判定すればよい。ステップS1101で選択した充電スタンド81の位置で充電した車両83がいた場合は、図11の処理は当該充電スタンド81が閉鎖していないものと判断しステップS1101に戻る。一方、ステップS1101で選択した充電スタンド81の位置で充電した車両83がいなかった場合は、図11の処理は当該充電スタンド81が閉鎖したものと推定して、ステップS1103に進む。
【0085】
図11のステップS1103では、設置状況推定部96は、ステップS1101で選択した設置運営情報を運営情報データベース94から削除する。図11の処理は、ステップS1101で選択した充電スタンド81に関する運営情報を運営情報データベース94から削除したら図11の処理を終了する。
【0086】
図12は、利用状況推定部97によって実行される充電スタンド81における充電設備の空き状況を推定する処理に関するフローチャートである。
【0087】
図12のステップS1201では、利用状況推定部97は、車両情報データベース92から最新の車両情報を取得する。図12の処理は、車両情報データベース92から最新の車両情報を取得したらステップS1202に進む。
【0088】
図12のステップS1202では、利用状況推定部97は、ステップS1201で取得した車両情報に含まれる充電中か否かの情報に基づいて、当該車両情報を送信した車両83が充電中か否かを判定する。図12の処理は、当該車両83が充電中であった場合は、ステップS1203に進む。一方、当該車両83が充電中でなかった場合は、図12の処理はステップS1201に戻る。
【0089】
図12のステップS1203では、利用状況推定部97は、ステップS1201において取得した車両情報から車両83の位置を取得し、その位置について車両情報データベース92を検索する。そして、検索を開始したその時点までの所定の期間内に、ステップS1201において取得した車両情報から取得した位置と略同じ位置で「充電中」の車両83の台数を数える。所定の期間は、たとえば、1か月でよい。図12の処理は、その台数を算出したらステップS1204に進む。
【0090】
図12のステップS1204では、利用状況推定部97は、ステップS1201で取得した車両情報から車両83の位置を取得し、その位置に基づいて運営情報データベース94を検索し、その位置に関する設置運営情報を取得する。図12の処理は、ステップS1201で取得した車両情報から取得した車両83の位置に関する設置運営情報を取得したら、ステップS1205に進む。
【0091】
図12のステップS1205では、利用状況推定部97は、ステップS1203で算出した台数と、ステップS1204で取得した設置運営情報に記憶されている設置台数とを比較する。図12の処理は、ステップS1203で算出した台数の方が大きい場合はステップS1206に進み、ステップS1203で算出した台数の方が少ない場合はステップS1207に進む。
【0092】
図12のステップS1206では、利用状況推定部97は、ステップS1204で取得した設置運営情報の設置台数をステップS1203で算出した台数に修正する。図12の処理は、ステップS1204で取得した設置運営情報の修正が完了したらステップS1207に進む。
【0093】
図12のステップS1207では、利用状況推定部97は、ステップS1204で取得した設置運営情報の設置台数またはステップS1206で修正済みの設置台数と、ステップS1203で算出した台数とに基づいて、充電スタンド81における充電設備の空き状況を算出する。たとえば、設置運営情報に含まれる設置台数が4台で、ステップS1203で算出した台数が3台だった場合は、充電設備が1台空いていることを算出する。利用状況推定部97は、このような算出結果に基づいて、利用運営情報を生成し、運営情報データベース94へ記憶する。図12の処理は、利用運営情報を運営情報データベース94へ記憶したら終了する。
【0094】
以上で説明した第2の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0095】
第2の実施の形態の情報収集配信システム2は、図8のように、情報収集配信センタ82と、通信回線網16に接続されていない複数の充電スタンド81と、複数の車載器84と、複数の車載器84のうちのいずれか一つを搭載する複数の車両83とからなる。
車両83の各々は、充電スタンド81の各々でバッテリを充電することができ、車両83の各々はバッテリを充電中か否かに関する情報を取得することができ、そのバッテリの電池残量を取得することができる。
車載器84の各々は、GPS受信部34が受信したGPS信号に基づいて、制御部30が車両83の自車位置を取得し、車載器84を搭載している車両83から、充電中か否かの情報と、バッテリの電池残量とを少なくとも含む情報を取得する。そして、車載器84の各々は、車両83の自車位置と、充電中か否かに関する情報と、バッテリの電池残量とを含む車両情報を情報収集配信センタ82へ送信する。
情報収集配信センタ82は、車両情報収集部91により複数の車載器84から送信される車両情報を受信し、車両情報データベース92へ記憶する。情報収集配信センタ82は、複数の充電スタンド81の各々の位置と、充電設備の設置台数、または当該充電設備の利用状況を含む情報を運営情報として記憶する運営情報データベース94を備える。情報収集配信センタ82は、車両情報データベース92に記憶された車両情報に基づいて運営情報を生成し、生成した運営情報を運営情報データベース94へ記憶する(図10、図12)。
これにより、通信回線網16を介して設備情報を送信しない充電スタンド81に関しても、車載器84から送信される車両情報を利用することにより、情報をリアルタイムに収集することができる。
【0096】
以上で説明した実施の形態は、以下のように変形して実行できる。
【0097】
〔1〕第1の実施の形態の充電スタンド11は、車載器14に対して無線で設備情報を配信することにしてもよい。また、車載器14を介して設備情報を情報収集配信センタ12に配信することにしてもよい。このとき、充電スタンド11は、設備情報と共に充電スタンド11の利用可能時間や、割引キャンペーンなどに関する宣伝情報を送信することにしてもよい。充電スタンド11が行う無線による情報配信は、たとえば狭帯域無線通信DSRC(Dedicated Short Range Communication)や無線通信RFID(Radio Frequency IDentification)などでよい。
【0098】
〔2〕第1の実施の形態の情報収集配信センタ12の構成は、図4のものだけに限定しない。たとえば、運営情報データベース44に記憶された情報から充電スタンド11の将来の空き状況などの利用状況を推定する利用状況予測部を含んでもよい。利用状況予測部における将来の空き状況の推定は、たとえば図13に示すフローチャートのように処理することで実現できる。
【0099】
図13のステップS1301では、利用状況予測部は、利用状況管理部47が運営情報データベース44へ記憶した利用運営情報をすべて取得する。図13の処理は、利用運営情報を運営情報データベース44から取得したらステップS1302に進む。
【0100】
図13のステップS1302では、利用状況予測部は、ステップS1301で取得した利用運営情報を統計処理し、充電スタンド11別の空き状況と、平休日別の空き状況と、時間帯別の空き状況とを算出する。図13の処理は、取得した利用運営情報を統計処理したらステップS1303に進む。
【0101】
図13のステップS1303では、利用状況予測部は、ステップS1302で算出した統計結果に基づいて、充電スタンド11の将来の空き状況を推定し、推定した結果を運営情報データベース44へ記憶する。なお、ステップS1302で算出した統計結果そのものについても運営情報データベース44へ記憶することにしてもよい。
【0102】
なお、図13の利用状況予測部は、運営情報データベース44に記憶された情報から充電スタンド11の将来の空き状況などの利用状況を推定した。同様に充電スタンド11の設置状況の変遷などを統計処理する設置状況予測部が存在してもよい。
【0103】
〔3〕第2の実施の形態の情報収集配信センタ82の構成は、図9のものだけに限定しない。たとえば、運営情報データベース94に記憶された情報から充電スタンド81の将来の空き状況を推定する利用状況予測部を含んでもよい。充電スタンド81の空き状況は、図13と同様の方法で処理をすればよい。
【0104】
〔4〕第2の実施の形態の利用状況推定部97は、車両83の位置に充電スタンド81があるか否かに関する情報や、充電スタンド81における充電設備の空き状況に関する情報を推定することとした。しかし、利用状況推定部97が推定する情報はこれらだけに限らない。たとえば、充電スタンド81における充電待ち車両の台数に関しても推定することにしてもよい。
【0105】
図14は、利用状況推定部97が実行する充電スタンド81における充電待ち車両の台数推定について説明するための図である。図14では、道路1400の車線1401に面して充電スタンド81がある。車線1401沿いには、停車中の車両83の列である停止車両列1402が充電スタンド81から延びている。さらに、車線1401上には停止車両列1402以外にも走行中の車両83である車両1403―1406が示されている。停止車両列1402に含まれる車両83と車両1403―1406とは、車両情報を情報収集配信センタ82へ送信している。以降、図14の停止車両列1402に含まれる車両83と車両1403―1406とのことを、車両1402―1406と略記する。
【0106】
車両1403は、車速が所定の速度V1より速く、バッテリの電池残量は所定の電池残量B1よりも多い。車両1404は、車速が所定の速度V1より速く、バッテリの電池残量が所定の電池残量B1以下である。車両1405は、車速が所定の速度V1以下であり、バッテリの電池残量が所定の電池残量B1より多い。車両1406は、車速が所定の速度V1以下であり、バッテリの電池残量が所定の電池残量B1以下である。
【0107】
図14では、充電スタンド81から停止車両列1402の末尾までの距離をL2とする。図14に示されている距離L1は、充電スタンド81からの距離であって距離L2より長い距離であって、停止車両列1402が長くなるほど距離L1の距離も長くなる。なお、距離L1および距離L2は、車線1401に沿った距離であってもよいし、車線1401の方向に影響されない直線距離でもよい。
【0108】
情報収集配信センタ82の車両情報収集部91は、車両1402―1406から送信された車両情報を受信し、車両情報データベース92に受信した車両情報を記憶する。利用状況推定部97は、車両情報データベース92から車両1402―1406の車両情報を取得する。そして、利用状況推定部97は、各車両情報に基づいて、車両1402―1406が充電スタンド81の充電待ちか否かを判断し、充電待ち車両83の台数を推定する。
【0109】
利用状況推定部97は、車両1402―1406が充電スタンド81の充電待ちか否かを、車両1402―1406の位置、車速、およびバッテリの電池残量に基づいて判断する。たとえば、充電スタンド81から距離L1以上離れた位置にいる車両83は充電待ちとみなさない。車速が所定の速度V1よりも速い車両83は充電待ちとみなさい。すなわち、図14の車両1403と車両1404とは、充電待ちとみなさい。また、車速が所定の速度V1以下である車両83であっても、バッテリの電池残量が所定の電池残量B1よりも大きいときは充電待ちとみなさない。すなわち、図14の車両1405も充電待ちとみなさない。なお、充電スタンド81から距離L1未満の範囲は、車線1401などに沿って定めてもよいし、充電スタンド81の位置を中心とした円や扇形として与えてもよい。
【0110】
上述した利用状況推定部97の処理に関するフローチャートの一例を図15に示す。利用状況推定部97は、充電待ちの車両83の台数を推定したい充電スタンド81の位置を入力されたとき図15のフローチャートを実行する。図15の処理を開始したとき、充電待ちの車両83の台数は0に初期化されているものとする。
【0111】
図15のステップS1501では、利用状況推定部97は、車両情報データベース92を検索し、充電スタンド81から手前方向に所定の距離L3の範囲内にある車速が0の車両83の車両情報を抽出する。距離L3は、たとえば100mとすればよい。図15の処理は、上記の条件にあう車両83の車両情報を抽出したらステップS1502に進む。
【0112】
図15のステップS1502では、利用状況推定部97は、ステップS1501で抽出した車両情報のうち、充電スタンド81から最も離れている車両83の車両情報を特定する。そして、特定した車両83と充電スタンド81との間の距離に基づいて図14の距離L2を算出する。たとえば、特定した車両83と充電スタンド81との間の距離をそのまま距離L2とする。図15の処理は、距離L2を算出したらステップS1503に進む。
【0113】
図15のステップS1503では、利用状況推定部97は、ステップS1502で取得した距離L2に基づいて図14の距離L1を算出する。たとえば、距離L2の10倍を距離L1とする。図15の処理は、距離L1を算出したらステップS1504に進む。
【0114】
図15のステップS1504では、利用状況推定部97は、再び車両情報データベース92を検索し、充電スタンド81の手前にあり充電スタンド81から所定の距離L1の範囲内にある車両83の車両情報を抽出する。図15の処理は、上記の条件にあう車両83の車両情報を抽出したらステップS1505に進む。
【0115】
図15のステップS1505では、利用状況推定部97は、ステップS1504で抽出された車両情報について、ステップS1506からステップS1509までの処理繰り返す。
【0116】
図15のステップS1506では、利用状況推定部97は、ステップS1504で抽出された車両情報のそれぞれに含まれる車速の情報を参照し、その車速が所定の速度V1以下か否かを判定する。所定の速度V1は、たとえば時速10キロとすればよい。図15の処理は、各車両情報に含まれる車速が所定の速度V1以下である場合はステップS1507に進み、所定の速度V1より大きい場合はステップS1509に進む。
【0117】
図15のステップS1507では、利用状況推定部97は、ステップS1504で抽出された車両情報のそれぞれに含まれるバッテリの電池残量の情報を参照し、その電池残量が所定の電池残量B1以下であるか否かを判定する。所定の電池残量B1は、たとえば満充電の30%とすればよい。図15の処理は、各車両情報に含まれる電池残量が所定の電池残量B1以下である場合はステップS1508に進み、所定の電池残量B1より大きい場合はステップS1509に進む。
【0118】
図15のステップS1508では、利用状況推定部97は、充電スタンド81の充電待ちの車両83の台数の推定値に1を加算する。図15の処理は、充電待ちの車両83の台数の推定値に1を加算したらステップS1509に進む。
【0119】
図15のステップS1509では、利用状況推定部97は、ステップS1504で抽出された車両情報すべてについてステップS1506からステップS1508までの処理が完了していたら図15の処理をステップS1510に進め、ステップS1504で抽出された車両情報すべてについて処理が完了していなかったらステップS1505に戻る。
【0120】
〔5〕上記の変形例〔4〕は、充電待ち車両の台数の推定方法は、第1の実施の形態における充電スタンド11に対して実行してもよい。
【0121】
〔6〕第2の実施の形態では、車両情報に車両83のIDを含めることにしたが、車載器84または車載器84を搭載した車両83を識別できる情報であれば他の情報でもよい。たとえば、車載器84が固有のIDを持っている場合は、車載器84のIDを車両83のIDのかわりに車両情報に含めてもよい。また、車両83のIDおよび車載器84のIDの両方を車両情報に含めてもよい。
【0122】
〔7〕第2の実施の形態における車載器84は、第1の実施の形態の車載器14の代替として利用できる。
【0123】
〔8〕第2の実施の形態の車載器84は、車両83が充電中か否かの情報や、車両83のバッテリの電池残量を車両83の車載システムから取得した。しかし、それらの情報は、車載器84が車両83のバッテリを直接制御して取得してもよい。
【0124】
〔9〕第1の実施の形態の運営情報データベース44および第2の実施の形態の運営情報データベース94は、その内部で複数のデータベースに分かれていてもよい。たとえば、設置状況管理部46が設置運営情報を記憶する設置運営情報データベースと、利用状況管理部47が利用運営情報を記憶する利用運営情報データベースとに分かれていてもよい。
【0125】
〔10〕第1の実施の形態および第2の実施の形態ならびに各変形例は、組み合わせて実施してもよい。たとえば、通信回線網16を介して設備情報を送信可能な充電スタンド11に対しては第1の実施の形態および/または第2の実施の形態を用い、設備情報を送信できない充電スタンド81に対しては第2の実施の形態を用いることにしてもよい。なお、第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせて実施した場合、運営情報データベース44と運営情報データベース94は、一つのデータベースに統合してもよい。また、配信部45と配信部95に関しても、一つに統合してもよい。
【0126】
〔11〕上記で説明した各実施の形態および各変形例は、充電スタンド11または充電スタンド81に関する情報を提供したが、充電スタンド以外の施設にも適用できる。たとえば、電気自動車のバッテリを交換するバッテリ交換設備や、パーキングメータなどの施設の情報をリアルタイムに提供することにしてもよい。
【0127】
〔12〕上記で説明した各実施の形態および各変形例において、運営情報データベース44または運営情報データベース94に記憶された情報は、ナビゲーション装置などに用いられる地図データに反映させてもよい。
【0128】
〔13〕上記で説明した各実施の形態および各変形例は、あくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0129】
1,2 情報収集配信システム
11,81 充電スタンド
12,82 情報収集配信センタ
13,83 車両
14,84 車載器
15 通信端末
16 通信回線網
21 充電設備
22 設備管理部
23 設備情報生成部
24 送受信部
30 制御部
31 記憶部
32 表示モニタ
33 スピーカ
34 GPS受信部
35 通信端末接続部
41 設備情報収集部
42 IDデータベース
43,93 運営状況管理部
44,94 運営情報データベース
45,95 配信部
46 設備状況管理部
47 利用状況管理部
91 車両情報収集部
92 車両情報データベース
96 設置状況推定部
97 利用状況推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報収集配信センタと、複数の充電スタンドと、複数の車載器とからなり、前記複数の車載器に情報を配信するための情報収集配信システムであって、
前記複数の充電スタンドの各々は、
前記車載器を搭載する車両に搭載されるバッテリを充電する1以上の充電設備と、
当該充電スタンドのIDと、当該充電スタンドに設置されている前記充電設備の設置台数および利用状況とを少なくとも含む設備情報を生成する設備情報生成手段と、
前記設備情報生成手段が生成した前記設備情報を前記情報収集配信センタへ送信する設備情報送信手段とを備え、
前記情報収集配信センタは、
前記複数の充電スタンドからそれぞれ送信される前記設備情報を受信する設備情報受信手段と、
前記IDに対応した充電スタンドの位置が予め記憶されているIDデータベースと、
前記設備情報受信手段により受信された設備情報に含まれる前記IDに基づいて、前記IDデータベースから当該設備情報を送信した充電スタンドの位置を取得する位置取得手段と、
前記複数の充電スタンドの各々の前記位置およびそこに設置されている前記充電設備の設置台数、または前記複数の充電スタンドの各々の前記利用状況を含む情報を運営情報として記憶する運営情報データベースと、
前記設備情報受信手段により受信した設備情報と、前記位置取得手段により当該設備情報に基づいて取得した位置に基づいて、前記運営情報データベースに記憶されている運営情報を管理する運営情報管理手段とを備えることを特徴とする情報収集配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報収集配信システムにおいて、
前記運営情報管理手段は、前記運営情報データベースに記憶されていない充電スタンドから前記設備情報が送信されてきた場合は、当該充電スタンドが新設されたと判断し、当該設備情報に含まれる当該充電スタンドの位置およびそこに設置されている前記充電設備の設置台数に関する運営情報を生成し、前記運営情報データベースに記憶することを特徴とする情報収配信システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報収集配信システムにおいて、
前記運営情報管理手段は、前記運営情報データベースに記憶されている前記複数の充電スタンドの各々に設置されている充電設備の設置台数と、当該充電スタンドから送信された設備情報に含まれる充電設備の設置台数とが異なる場合は、前記運営情報データベースに記憶されている充電設備の設置台数を修正することを特徴とする情報収配信システム。
【請求項4】
情報収集配信センタと、複数の充電スタンドと、前記複数の充電スタンドでバッテリを充電する複数の車両の各々に搭載される複数の車載器とからなり、前記複数の車載器に前記複数の充電スタンドに関する情報を配信するための情報収集配信システムであって、
前記複数の車載器の各々は、
当該車載器を搭載している車両の自車位置の情報を算出する自車位置算出手段と、
当該車載器を搭載している車両から当該車両が充電中か否かを表す情報と、当該車両のバッテリの電池残量とを少なくとも含む充電状況を取得する充電状況取得手段と、
前記自車位置算出手段で算出した自車位置と、前記充電状況取得手段で取得した充電状況とを少なくとも含む情報を車両情報として前記情報収集配信センタへ送信する車両情報送信手段とを備え、
前記情報収集配信センタは、
前記複数の車載器から送信される前記車両情報を受信する車両情報受信手段と、
前記車両情報受信手段が受信した車両情報を記憶する車両情報データベースと、
前記複数の充電スタンドの各々の位置およびそこに設置されている充電設備の設置台数、または当該充電設備の利用状況を含む情報を運営情報として記憶する運営情報データベースと、
前記車両情報データベースに記憶された車両情報に基づいて、前記運営情報を生成する運営情報生成手段と、
前記運営情報生成手段により生成した前記運営情報を前記運営情報データベースへ記憶する運営情報記憶手段とを備えることを特徴とする情報収集配信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報収集配信システムにおいて、
前記運営情報生成手段は、前記車両情報データベースに記憶されている車両情報と前記運営情報データベースに記憶されている運営情報とに基づいて、前記運営情報を生成することを特徴とする情報収集配信システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報収集配信システムにおいて、
前記情報収集配信センタは、
前記運営情報を統計処理する統計処理手段と、
前記統計処理手段により統計処理した結果に基づいて、前記複数の充電スタンドの将来の利用状況を予測する利用状況予測手段とをさらに備えることを特徴とする情報収集配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−58964(P2012−58964A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200858(P2010−200858)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】