説明

情報取得システム、送信装置、データ捕捉装置、送信方法及びデータ捕捉方法

【課題】ユーザ端末において再生される映像又は音声の品質を正確に推定するために十分な情報を取得すること。
【解決手段】映像音声送信装置100は、伝送レートを一定にするために、映像パケット及び音声パケットにヌルパケットを多重化して送信する。このとき、映像音声送信装置100は、それぞれのヌルパケットの直前に送信される映像パケット及び直後に送信される映像パケットの双方について、映像パケットのデータが映像全体の再生品質にどの程度影響しているかを示す品質影響情報をヌルパケットに格納する。パケット捕捉装置200は、終端装置20からSTB30へ出力される映像パケット及び音声パケットを捕捉し、ネットワーク上でのパケットロスを検出する。さらに、パケット捕捉装置200は、パケットロスを検出すると、損失した映像パケットの前後のヌルパケットから品質影響情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報取得システム、送信装置、データ捕捉装置、送信方法及びデータ捕捉方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばIPTV(Internet Protocol TeleVision)やネットテレビなどのように、インターネットなどのネットワークを介した高画質映像の配信が盛んに行われている。これらの映像配信においては、通常、映像データや音声データがそれぞれサーバにおいてパケット化され、映像パケット及び音声パケットが多重化されて送信される。これらの映像パケット及び音声パケットは、ネットワーク上を伝送され、例えばユーザが所有するテレビやパーソナルコンピュータなどのユーザ端末によって受信される。そして、ユーザ端末によって、映像パケット及び音声パケットに対する復号などの処理が施され、映像及び音声が再生される。
【0003】
このとき、例えばネットワーク上でパケットロスが発生した場合には、一部のパケットがユーザ端末に受信されず、再生される映像及び音声の画質や音質が劣化することになる。このため、例えば映像を配信する事業者がユーザへ提供するサービスの質を把握するためには、パケットロスによる画質・音質の劣化も含めて、ユーザ端末において再生される映像及び音声の品質を正確に推定することが重要となっている。そこで、映像パケットに格納される映像データのフレーム種別やフレーム発生規則の情報をそれぞれの映像パケットに格納しておき、パケットロスが発生した場合には、これらのフレーム種別やフレーム発生規則の情報から再生時の映像の品質を推定することが検討されている。すなわち、ネットワーク上でパケットロスが発生した場合、損失した映像パケットの前後に伝送される映像パケットに格納されたフレーム種別やフレーム発生規則の情報に基づいて、ユーザ端末において再生される映像の品質が推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−33722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術においては、映像を再生するユーザ端末が映像パケットを受信し、受信された映像パケットに格納されたフレーム種別やフレーム発生規則の情報を取得するため、ユーザ端末における映像の再生品質を推定することができる。ただし、このような再生品質の推定を実現するためには、例えばテレビやパーソナルコンピュータなどのユーザ端末に、フレーム種別やフレーム発生規則などの付加的な情報を収集する処理を実行させる必要が生じる。すなわち、映像の再生と直接的には無関係な情報を収集する機能を新たにユーザ端末に実装しなければ、映像の再生品質を推定することができない。
【0006】
そこで、ネットワーク上を伝送されるパケットを監視する専用の監視装置を設け、映像パケットや音声パケットに格納された付加的な情報を監視装置に取得させ、ユーザ端末における映像の再生品質を推定することが考えられる。しかしながら、映像パケットや音声パケットは、契約ユーザのみに再生が許可されるように暗号化されていることが多く、このような場合には、映像パケットや音声パケットに格納された情報を取得することが困難となる。結果として、暗号化された映像パケット及び音声パケットから再生品質の推定に十分な情報を得ることができず、映像及び音声の再生品質を推定することができないという問題がある。
【0007】
また、ネットワーク上でパケットロスが発生した場合、ユーザ端末や監視装置は、損失したパケットに関する情報を直接的に得ることはできない。すなわち、損失したパケットの前後のパケットから、損失したパケットに格納されていた情報が推測され、推測の結果に基づいて間接的に映像の再生品質が推定される。したがって、損失したパケットに格納されていた情報の推測が正確でなければ、再生品質の推定の精度も低下してしまう。
【0008】
本願に開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザ端末において再生される映像又は音声の品質を推定するために十分な情報を取得することができる情報取得システム、送信装置、データ捕捉装置、送信方法及びデータ捕捉方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示する情報取得システムは、一つの態様において、送信装置とデータ捕捉装置とを備える情報取得システムであって、前記送信装置は、映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位を生成する第1の生成部と、前記第1の生成部によって生成される第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位を生成する第2の生成部と、前記第1の生成部によって生成された第1のデータ単位及び前記第2の生成部によって生成された第2のデータ単位を送信する送信部とを有し、前記データ捕捉装置は、第1のデータ単位及び第2のデータ単位を含む伝送中のデータからデータ単位を捕捉する捕捉部と、データ単位が伝送中に損失したか否かを判定する判定部と、前記判定部によってデータ単位が損失したと判定された場合に、前記捕捉部によって捕捉されたデータ単位から、損失したデータ単位の前後に送信された第2のデータ単位を検出する検出部と、前記検出部によって検出された第2のデータ単位から品質影響パラメータを抽出する抽出部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示する情報取得システム、送信装置、データ捕捉装置、送信方法及びデータ捕捉方法の一つの態様によれば、ユーザ端末において再生される映像又は音声の品質を推定するために十分な情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1に係るネットワーク構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る映像音声送信装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1に係るパケットフォーマットの一例を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態1に係る品質影響情報の具体例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1に係るヌルパケットの一例を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態1に係るパケット捕捉装置の要部構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、実施の形態1に係る映像音声送信装置の動作を示すフロー図である。
【図8】図8は、実施の形態1に係るパケット生成の具体例を示す図である。
【図9】図9は、実施の形態1に係る上位パケットフォーマットの一例を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態1に係るパケット捕捉装置の動作を示すフロー図である。
【図11】図11は、実施の形態1に係るパケット配置の具体例を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態1に係る品質影響情報抽出を説明する図である。
【図13】図13は、実施の形態2に係る映像音声送信装置の要部構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、実施の形態2に係る品質影響情報の具体例を示す図である。
【図15】図15は、実施の形態2に係るヌルパケットの一例を示す図である。
【図16】図16は、実施の形態2に係る映像音声送信装置の動作を示すフロー図である。
【図17】図17は、実施の形態2に係るパケット配置の具体例を示す図である。
【図18】図18は、実施の形態2に係る品質影響情報抽出を説明する図である。
【図19】図19は、実施の形態3に係る映像音声送信装置の要部構成を示すブロック図である。
【図20】図20は、実施の形態3に係るヌルパケットの一例を示す図である。
【図21】図21は、実施の形態3に係るパケット配置の具体例を示す図である。
【図22】図22は、他の実施の形態に係るパケット配置の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の開示する情報取得システム、送信装置、データ捕捉装置、送信方法及びデータ捕捉方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るネットワーク構成の一例を示す図である。図1に示すネットワーク構成においては、映像音声送信装置100、品質評価装置10及び終端装置20がネットワークNを介して接続されている。また、それぞれ戸建住宅内及び集合住宅内では、終端装置20に住戸ごとのSTB(Set Top Box:セットトップボックス)30及びテレビ40が接続されており、終端装置20とSTB30の間にはパケット捕捉装置200が設置されている。
【0014】
映像音声送信装置100は、ネットワークNに接続されており、各住宅内の終端装置20へ映像パケット及び音声パケットを送信する。また、映像音声送信装置100は、伝送レートを一定にするために、映像パケット及び音声パケットに映像や音声のデータを含まないヌルパケットを多重化して送信する。ヌルパケットは、受信端末での再生に影響を及ぼすデータを含まず、受信端末において受信後に廃棄されるパケットである。このとき、映像音声送信装置100は、それぞれのヌルパケットの直前に送信される映像パケット及び直後に送信される映像パケットの双方について、映像パケットのデータが映像全体の再生品質にどの程度影響しているかを示す品質影響情報をヌルパケットに挿入して送信する。すなわち、例えば映像パケットに対応するフレーム番号や再生時の重要度を示す再生重要度などの再生品質に影響を与える品質影響パラメータが品質影響情報としてヌルパケットに格納される。なお、映像音声送信装置100の具体的な構成及び動作については、後に詳述する。
【0015】
終端装置20は、ネットワークNに接続されており、ネットワークNにおいて用いられる信号形式とそれぞれの住宅内で用いられる信号形式との変換を実行する。具体的には、終端装置20は、例えばネットワークNにおける光信号と住宅内における電気信号との相互変換を行う。そして、終端装置20は、信号形式を変換した後、映像パケット及び音声パケットを各住戸のSTB30へ出力する。
【0016】
STB30は、必要に応じて映像パケット及び音声パケットを復号し、テレビ40で視聴可能な形式の信号に変換する。テレビ40は、STB30による変換後の信号を表示再生し、映像及び音声を再生する。なお、映像及び音声の再生に際して、映像や音声のデータを含まないヌルパケットは無視され、破棄される。
【0017】
パケット捕捉装置200は、終端装置20からSTB30へ出力される映像パケット及び音声パケットを捕捉し、ネットワークN上でのパケットロスを検出する。さらに、パケット捕捉装置200は、パケットロスを検出すると、損失した映像パケットの前後のヌルパケットから品質影響情報を取得し、取得した品質影響情報をネットワークNを介して品質評価装置10へ送信する。図1に示すように、パケット捕捉装置200は、ユーザによって映像の再生が行われるSTB30及びテレビ40の近傍に設置されているため、ユーザと同等の映像パケット及び音声パケットを捕捉することができる。したがって、パケット捕捉装置200は、テレビ40における映像及び音声の再生品質がパケットロスの影響を受けるときは、このパケットロスと同等のパケットロスを検出し、損失した映像パケットに関する品質影響情報を品質評価装置10へ送信する。なお、パケット捕捉装置200の具体的な構成及び動作については、後に詳述する。
【0018】
品質評価装置10は、パケット捕捉装置200から送信された品質影響情報を参照し、映像パケットの損失による映像の再生品質への影響を推定し、テレビ40において再生される映像及び音声の品質を評価する。すなわち、品質評価装置10は、例えば損失した映像パケットに対応するピクチャタイプが他フレームの復号時に基準とされるIピクチャ(Intra Picture)である場合には、映像の品質劣化が比較的大きいと評価する。また、品質評価装置10は、例えば損失した映像パケットに対応するピクチャタイプがIピクチャを基準として復号されるPピクチャ(Predictive Picture)である場合には、映像の品質劣化が比較的小さいと評価する。なお、品質評価装置10による映像の品質評価は、上述したものに限られず、品質影響情報の様々な項目が総合的に評価されることによって行われる。
【0019】
[映像音声送信装置の構成]
図2は、本実施の形態に係る映像音声送信装置100の要部構成を示すブロック図である。図2に示す映像音声送信装置100は、映像符号化部101、制御情報付加部102、パケット化部103、品質影響情報取得部104、ヌルパケット生成部105、音声符号化部106、制御情報付加部107、パケット化部108、レート調整部109、多重化部110、暗号化部111及び送信部112を有する。
【0020】
映像符号化部101は、映像データをフレームごとに最適な量子化ステップで符号化し、得られたフレームごとの符号化データを制御情報付加部102へ出力する。このとき、映像符号化部101は、各フレームの画像をIピクチャ、Pピクチャ及びBピクチャ(Bi-directional Picture)のいずれかのピクチャタイプで符号化する。Iピクチャとは、フレーム内符号化画像のことであり、フレーム全体の完全な画像情報が符号化されたピクチャである。Pピクチャとは、フレーム間順方向予測符号化画像のことであり、先行するIピクチャとの差分情報が符号化されたピクチャである。Bピクチャとは、双方向予測符号化画像のことであり、前後のIピクチャ又はPピクチャとの差分情報が符号化されたピクチャである。したがって、Iピクチャは、単独で復号可能であるのに対し、Pピクチャ及びBピクチャは、基準となるIピクチャ又はPピクチャが無ければ復号されない。
【0021】
制御情報付加部102は、それぞれのフレームの符号化データの先頭にフレームの再生タイミングを示すタイムスタンプなどの制御情報を付加する。そして、制御情報付加部102は、制御情報が付加された符号化データをパケット化部103へ出力する。
【0022】
パケット化部103は、符号化データにヘッダ情報を付加して固定長の映像パケットを組み立てる。すなわち、パケット化部103は、制御情報が付加された符号化データに、例えば同期バイト、パケットID及び連続カウンタなどのヘッダ情報を付加し、固定サイズの映像パケットを生成する。以下、符号化データを含む部分をパケットのデータ部といい、ヘッダ情報を含む部分をパケットのヘッダ部という。また、音声パケット及びヌルパケットもデータ部とヘッダ部を有し、パケット化部103が生成する映像パケットと同様のパケットフォーマットとなっている。
【0023】
品質影響情報取得部104は、パケット化部103によって映像パケットが生成されると、生成された映像パケットが映像全体の再生品質に対して与える影響を示す品質影響情報を取得する。具体的には、品質影響情報取得部104は、例えば映像パケットに対応するフレームのフレーム番号や再生時の重要度を示す再生重要度など、再生品質に影響を与える品質影響パラメータを各映像パケットの品質影響情報として取得する。ここで例示した品質影響パラメータのうち、フレーム番号は、各映像パケットが映像全体のどのフレームの再生品質に影響を与えているかを示している。また、再生重要度は、映像パケットが他のフレームの復号にも影響を与えるか否かを示し、各映像パケットの再生品質への影響の度合いの大きさを示している。後述するように、品質影響パラメータとしては、他にもフレーム内のどの位置の画像の符号化データを含む映像パケットであるかを示す位置情報などがある。
【0024】
ヌルパケット生成部105は、伝送レートを補正するためにヌルパケットが挿入されることがレート調整部109から通知されると、ヌルパケットの直前に配置される映像パケット及び直後に配置される映像パケットの品質影響情報を品質影響情報取得部104から取得する。そして、ヌルパケット生成部105は、取得された品質影響情報にヌルパケットであることを示すパケットIDなどのヘッダ情報を付加してヌルパケットを組み立て、レート調整部109へ出力する。すなわち、ヌルパケット生成部105は、ヌルパケットの直前及び直後に配置される2つの映像パケットの品質影響情報をデータ部に格納し、パケットIDなどをヘッダ部に格納したヌルパケットを生成する。このとき、ヌルパケット生成部105は、映像又は音声などのデータをヌルパケットのデータ部に格納することはない。
【0025】
音声符号化部106は、音声データをフレームごとに符号化し、得られたフレームごとの符号化データを制御情報付加部107へ出力する。制御情報付加部107は、それぞれのフレームの符号化データにフレームの再生タイミングを示すタイムスタンプなどの制御情報を付加する。そして、制御情報付加部107は、制御情報が付加された符号化データをパケット化部108へ出力する。制御情報に含まれるタイムスタンプは、映像と音声の再生タイミングを一致させる際に必要となり、タイムスタンプに従って符号化データの再生タイミングが制御されることにより、映像と音声が同期して再生されることになる。
【0026】
パケット化部108は、符号化データにヘッダ情報を付加して固定長の音声パケットを組み立てる。すなわち、パケット化部108は、制御情報が付加された符号化データに、映像パケットと同様のヘッダ情報を付加し、固定サイズの音声パケットを生成する。なお、パケット化部108は、パケット化部103とは異なり、音声パケットのヘッダ部には、パケット種別が音声パケットであることを示すパケットIDを格納する。
【0027】
レート調整部109は、パケット化部103によって生成される映像パケットと、パケット化部108によって生成される音声パケットとの伝送レートを一定にするように調整する。すなわち、レート調整部109は、映像パケット及び音声パケットを多重化する際のパケットの配置を決定し、必要に応じてヌルパケットの挿入位置を決定して伝送レートを補正する。具体的には、レート調整部109は、例えば再生タイミングが近い映像と音声の符号化データを含む映像パケットと音声パケットが互いに大きな時間差なく送信されるようにヌルパケットの挿入位置を決定する。
【0028】
さらに、レート調整部109は、ヌルパケットの挿入位置が決定されると、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケットを特定し、ヌルパケットが挿入される旨とともに、ヌルパケットの直前及び直後にどの映像パケットが配置されるかをヌルパケット生成部105へ通知する。この通知により、上述したように、ヌルパケット生成部105は、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケットの品質影響情報を格納したヌルパケットを生成することになる。ここで、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケットは、必ずしもヌルパケットに隣接して配置されていなくても良い。すなわち、ヌルパケットと映像パケットの間に音声パケットが配置されている場合でも、この映像パケットは、ヌルパケットの直前又は直後に配置される映像パケットとなる。
【0029】
レート調整部109は、生成されたヌルパケットがヌルパケット生成部105から出力された後、映像パケット、音声パケット及びヌルパケットを多重化部110へ出力するとともに、これらのパケットについて決定されたパケット配置を多重化部110へ通知する。
【0030】
多重化部110は、レート調整部109から通知されるパケット配置に従って、映像パケット、音声パケット及びヌルパケットを時分割多重化する。そして、多重化部110は、時分割多重化して得られたパケット列を暗号化部111へ出力する。
【0031】
暗号化部111は、多重化部110から出力されたパケット列のうち、映像パケット及び音声パケットのデータ部を暗号化する。すなわち、暗号化部111は、映像の再生時に必要となるデータを暗号化し、契約ユーザ以外の第三者によって映像や音声が不当に再生・改ざんされることを防止する。一方、ヌルパケットのデータ部には映像や音声のデータが含まれていないため、暗号化部111は、ヌルパケットのデータ部を暗号化することはない。また、各パケットのヘッダ部に格納されたパケットIDがパケット種別の判定に用いられるため、暗号化部111は、映像パケット、音声パケット及びヌルパケットのヘッダ部を暗号化することもない。
【0032】
送信部112は、暗号化部111による暗号化後のパケットを所定数ずつまとめ、上位レイヤに対応するヘッダ部を付加することにより、上位レイヤのパケット(以下「上位パケット」という)を生成する。このとき、送信部112は、上位パケットのヘッダ部に、上位パケットの通し番号を示すシーケンス番号を格納しておく。このシーケンス番号は、後述するように、パケット捕捉装置200においてパケットロスを検出する際に用いられる。そして、送信部112は、映像及び音声が多重化された多重化データとして、生成された上位パケットを送信する。
【0033】
[パケットフォーマット]
次に、パケット化部103、108及びヌルパケット生成部105が生成する映像パケット、音声パケット及びヌルパケットのパケットフォーマットについて説明する。図3は、本実施の形態に係るパケットフォーマットの具体例を示す図である。図3に示すパケットは、188バイトの固定サイズのデータ単位であり、原則として4バイトのヘッダ部と184バイトのデータ部とを含んでいる。ヘッダ部には付加的な情報が格納されることがあり、この場合、ヘッダ部のサイズがαバイトだけ拡張される。ただし、ヘッダ部が拡張された場合でも、データ部がαバイト縮小されることにより、パケット全体のサイズは188バイトに固定されている。
【0034】
パケットのヘッダ部には、例えば同期バイト、パケットID及び連続カウンタなどのフィールドが設けられている。同期バイトは、所定のビット列からなっており、パケットの先頭位置を明示する標識となる。パケットIDは、パケットが映像データを含む映像パケットであるか、音声データを含む音声パケットであるか、又は、映像データ及び音声データのいずれも含まないヌルパケットであるかのパケット種別を示している。連続カウンタは、パケット種別ごとに独立して例えば0〜15の番号を順番に格納し、映像及び音声それぞれにおける符号化データの連続性を示す。
【0035】
また、ヘッダ部には、パケットの状態を示す様々なフラグが含まれている。すなわち、例えば優先フラグ、データ先頭フラグ、エラーフラグ、スクランブル制御フラグ及び拡張領域フラグなどがヘッダ部に含まれる。優先フラグは、パケットを他のパケットより優先して復号すべきであるか否かを示すフラグである。データ先頭フラグは、パケットが例えば1フレーム分などのひとまとまりのデータの先頭の符号化データを含むか否かを示すフラグである。エラーフラグは、パケットにエラーが発生したか否かを示すフラグである。スクランブル制御フラグは、パケットのデータ部が暗号化されているか否かを示すフラグである。拡張領域フラグは、パケットのヘッダ部が拡張されているか否かを示すフラグである。
【0036】
映像パケット及び音声パケットのデータ部には、それぞれ映像又は音声の符号化データが適切なサイズに分割されて格納される。すなわち、1つのパケットのデータ部には、原則として184バイトの符号化データが格納される。一方、ヌルパケットのデータ部には、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケットの品質影響情報が格納される。通常、品質影響情報のサイズは、データ部のサイズよりも小さいため、品質影響情報が分割されて複数のヌルパケットのデータ部に格納されることはない。なお、パケットのサイズやフォーマットは、図3に示したものに限定されないが、少なくともパケットのヘッダ部には、映像パケット、音声パケット及びヌルパケットのいずれかを示すパケット種別が格納されていることが好ましい。
【0037】
[品質影響情報の具体例]
次に、ヌルパケットのデータ部に格納される品質影響情報の具体例について説明する。図4は、品質影響情報に含まれる個々の品質影響パラメータの具体例を示す図である。品質影響情報取得部104は、各映像パケットに含まれる符号化データのフレーム番号、再生重要度、位置情報、動き情報及び量子化ステップをそれぞれの映像パケットの品質影響パラメータとして取得する。これらの品質影響パラメータは、映像全体の再生品質に対して影響を与えるパラメータである。
【0038】
フレーム番号は、各フレームに付与された通し番号であり、映像パケットが映像全体のうちのどのフレームの映像の再生品質に影響するかを示している。すなわち、フレーム番号が101の映像パケットは、映像全体のうち101番のフレーム付近の映像の再生品質に影響することになる。再生重要度は、映像パケットが他のフレームの画像の復号にも影響を与える符号化データを含むか否かを示している。すなわち、ピクチャタイプがIピクチャ又はPピクチャであれば、他のフレームを含む映像の再生品質に影響するため、Iピクチャ及びPピクチャの再生重要度は高い。一方、ピクチャタイプがBピクチャであれば、他のフレームを含む映像の再生品質にはあまり影響しないため、Bピクチャの再生重要度は低い。したがって、パケットロスが発生した場合、再生重要度が高い(Iピクチャ又はPピクチャに対応する)映像パケットが損失すると、映像の再生品質の劣化が比較的大きいのに対し、再生重要度が低い(Bピクチャに対応する)映像パケットが損失すると、映像の再生品質の劣化は比較的小さくて済む。
【0039】
位置情報は、映像パケットに含まれる符号化データがフレーム内のどの位置の画像に基づくものであるかを示している。具体的には、例えば所定数の画素(例えば16×16画素)から形成されるマクロブロック単位でフレームの画像における2次元座標(XY座標)が定義され、映像パケットに対応するマクロブロックの座標値が位置情報となる。一般に、画像の符号化時には、画面内のマクロブロック単位で上から下方向及び左から右方向に圧縮が行われる。このため、パケットロスが発生した場合、画像の左上部分のマクロブロックに対応する映像パケットが損失すると、映像の再生品質の劣化が比較的大きいのに対し、画像の右下部分のマクロブロックに対応する映像パケットが損失すると、映像の再生品質の劣化は比較的小さくて済む。
【0040】
動き情報は、映像パケットに含まれる符号化データが、基準となるIピクチャ又はPピクチャと比較してどの程度移動した部分の画像に基づくものであるかを示している。具体的には、映像パケットに対応する部分の動きベクトルが動き情報となる。一般に、動きが小さい部分については、動き以外の微小な変化が目立つ一方、動きが大きい部分については、動きと同時に多少の変化があってもあまり目立たない。したがって、パケットロスが発生した場合、動きが小さい部分に対応する映像パケットが損失すると、映像の再生品質の劣化が比較的大きいのに対し、動きが大きい部分に対応する映像パケットが損失すると、映像の再生品質の劣化は比較的小さくて済む。
【0041】
量子化ステップは、映像符号化部101によってフレームの画像が符号化される際の量子化ステップである。すなわち、映像符号化部101においては、フレームごとに最適な量子化ステップで映像データの符号化が行われているため、各映像パケットに含まれる符号化データの量子化ステップは必ずしも同一ではない。一般に、量子化ステップは、符号化によって同一の値にまとめられる画素値の幅を示しており、1フレーム分の符号化データのデータ量が制限されている場合には、フレームの画像の複雑さと密接に関係している。すなわち、量子化ステップは、フレームの画像が単調であるか複雑であるかを反映しており、映像の再生品質に大きく関係している。なお、品質影響情報は、図4に示す品質影響パラメータのみに限定されず、映像全体の再生品質に対して影響を与える他の品質影響パラメータを含んでいても良い。
【0042】
[ヌルパケットの構成]
次に、ヌルパケット生成部105が生成するヌルパケットの構成について説明する。ヌルパケット生成部105は、例えば図5に示すように、ヌルパケットの直前に配置される映像パケット及び直後に配置される映像パケットの双方の品質影響情報をデータ部に格納する。このとき、ヌルパケット生成部105は、データ部に映像又は音声のデータを格納することはない。
【0043】
しかし、通常、2つの映像パケットの品質影響情報のサイズは、データ部のサイズよりも小さいため、ヌルパケットのデータ部の領域が余ることになる。そこで、ヌルパケット生成部105は、データ部の品質影響情報以外の部分には、例えばすべて「1」のビット列を格納してヌルパケットを生成しても良い。すなわち、図5に斜線で示す領域に品質影響情報が格納される場合、ヌルパケット生成部105は、データ部の斜線部以外の領域には無意味なビット列を格納すれば良い。また、ヌルパケット生成部105は、ヘッダ部にヌルパケットであることを示すパケットIDを格納する。
【0044】
[パケット捕捉装置の構成]
図6は、本実施の形態に係るパケット捕捉装置200の要部構成を示すブロック図である。図6に示すパケット捕捉装置200は、上位パケット取得部201、パケットロス検出部202、ヌルパケット検出部203、ヌルパケット蓄積部204、品質影響情報抽出部205及び品質影響情報送信部206を有する。
【0045】
上位パケット取得部201は、終端装置20からSTB30へ出力される多重化データのストリームから上位パケットをキャプチャする。すなわち、上位パケット取得部201は、所定数の映像パケット、音声パケット又はヌルパケットが含まれる上位パケットを取得する。
【0046】
パケットロス検出部202は、上位パケット取得部201によって順次取得される上位パケットのヘッダ部を参照し、ヘッダ部に格納されたシーケンス番号が連続しているか否かを判定することにより、パケットロスの有無を判定する。すなわち、パケットロス検出部202は、上位パケット取得部201によって連続して取得された2つの上位パケットのシーケンス番号が連続していない場合に、これらの上位パケットの間に送信された上位パケットが損失したことを検出する。上位パケットが損失すれば、この上位パケットのデータ部に格納されているパケット(映像パケット、音声パケット又はヌルパケット)も損失したことになる。そして、損失したパケットは、STB30及びテレビ40によって受信されることもないため、テレビ40において再生される映像及び音声の品質が劣化する。
【0047】
ヌルパケット検出部203は、上位パケット取得部201によって取得された上位パケットのデータ部からヌルパケットを検出する。具体的には、ヌルパケット検出部203は、パケットそれぞれのヘッダ部に格納されたパケットIDを参照し、パケット種別を判定する。ここで、映像パケット及び音声パケットに関しては、データ部が暗号化されているが、いずれのパケットについてもヘッダ部は暗号化されていない。このため、ヌルパケット検出部203は、上位パケットのデータ部に格納された各パケットのパケットIDからパケット種別を判定することができる。そして、ヌルパケット検出部203は、上位パケットのデータ部に含まれるヌルパケットをヌルパケット蓄積部204へ出力する。
【0048】
また、ヌルパケット検出部203は、パケットロス検出部202によってパケットロスの発生が検出された場合、パケットロスの発生が検出された後最初にヌルパケットを検出すると、その旨を品質影響情報抽出部205へ出力する。したがって、直前の上位パケットとシーケンス番号が連続しておらず、パケットロス検出の根拠となった上位パケットにヌルパケットが含まれていれば、ヌルパケット検出部203は、このヌルパケットを検出する。また、パケットロス検出の根拠となった上位パケットにヌルパケットが含まれていなければ、上位パケット取得部201によって新たに取得される上位パケットの中からヌルパケットを検出する。すなわち、ヌルパケット検出部203は、損失した上位パケットの送信後最も早く送信されたヌルパケットを検出し、該当するヌルパケットが検出されると、その旨を品質影響情報抽出部205へ通知する。
【0049】
ヌルパケット蓄積部204は、ヌルパケット検出部203によって検出されたヌルパケットを蓄積する。ヌルパケット蓄積部204が蓄積するヌルパケットには、それぞれのヌルパケットの直前及び直後に送信された映像パケットの品質影響情報が格納されている。なお、ヌルパケット蓄積部204は、蓄積されたヌルパケットの数が所定数に達した場合、古いヌルパケットから順に破棄するようにしても良い。
【0050】
品質影響情報抽出部205は、パケットロスの発生後に最初のヌルパケットが検出された旨がヌルパケット検出部203から通知されると、ヌルパケット蓄積部204に蓄積された最新の2つのヌルパケットから品質影響情報を抽出する。すなわち、品質影響情報抽出部205は、パケットロスにより損失した上位パケットの前後に送信された2つのヌルパケットから品質影響情報を抽出する。ここで、映像パケット及び音声パケットに関しては、データ部が暗号化されているが、ヌルパケットについてはデータ部が暗号化されていない。このため、品質影響情報抽出部205は、損失した上位パケットの前後に送信された2つのヌルパケットのデータ部から品質影響情報を抽出することができる。
【0051】
これらのヌルパケットのデータ部には、ヌルパケットの直前及び直後に送信された映像パケットの品質影響情報が格納されている。したがって、品質影響情報抽出部205は、少なくとも損失した上位パケットを挟むタイミングで送信された2つのヌルパケット間の区間の最初と最後の映像パケットに関する品質影響情報を抽出したことになる。つまり、品質影響情報抽出部205によって抽出された品質影響情報が示す範囲の映像において、パケットロスに起因する再生品質の劣化が生じることになる。
【0052】
品質影響情報送信部206は、品質影響情報抽出部205によって抽出された品質影響情報を終端装置20及びネットワークNを介して品質評価装置10へ送信する。これにより、品質評価装置10は、2つのヌルパケットの品質影響情報を受信し、パケットロスに起因する映像の再生品質の劣化度合いを評価することが可能となる。すなわち、品質評価装置10は、損失したパケットを含む区間に対応するフレーム番号、再生重要度、位置情報及び動き情報などを含む品質影響情報を受信するため、パケット損失により、映像の再生品質がどの程度劣化するかを正確に推定することができる。
【0053】
[映像音声送信装置の動作]
次いで、本実施の形態に係る映像音声送信装置100の動作について、図7に示すフロー図を参照しながら説明する。なお、以下においては、MPEG(Moving Picture Experts Group)2システムのMPEG2−TS(Transport Stream)に準拠した具体的なパケットフォーマットや多重化方式を例に挙げながら説明する。
【0054】
送信対象の映像データ及び音声データが映像音声送信装置100へ入力されると、映像データは、映像符号化部101へ入力され、フレームごとの画像が符号化される(ステップS101)。すなわち、例えば図8に示すように、映像データのフレーム#1、#2それぞれの画像がフレームごとに最適な量子化ステップで符号化されることにより、ES(Elementary Stream)データが得られる。ここで、符号化方式としては、MPEG2に準拠した方式を用いても良いが、そのほかにも例えばMPEG4やH.264に準拠した方式を用いることも可能である。映像データがMPEG4やH.264に従って符号化された場合でも、パケットの多重化にはMPEG2−TSを用いることができる。
【0055】
映像データの符号化が行われると、制御情報付加部102によって、符号化後のそれぞれのフレームの符号化データにタイムスタンプなどの制御情報が付加される(ステップS102)。すなわち、例えば図8に示すように、ESデータのフレーム#1、#2の画像それぞれに図中横線のハッチングで示す制御情報が付加され、PES(Packetized Elementary Stream)データが得られる。
【0056】
制御情報が付加された符号化データは、パケット化部103へ入力され、パケット化部103によって、映像パケットが生成される(ステップS103)。すなわち、例えば図8に示すように、映像のPESデータが固定長に分割され、図中斜線のハッチングで示すヘッダ部が付加されることにより、映像のTS(Transport Stream)パケットが生成される。パケット化部103によって付加されるヘッダ部には、TSパケットが映像データを含む映像パケットであることを示すパケットIDが格納されている。なお、図8においては、映像パケットを「V」で示し、音声パケットを「A」で示している。
【0057】
パケット化部103によって映像パケットが生成されると、品質影響情報取得部104によって映像パケットから品質影響情報が取得された後(ステップS104)、映像パケットは、パケット化部103からレート調整部109へ出力される。具体的には、品質影響情報取得部104によって、映像パケットに含まれる符号化データのフレーム番号、再生重要度、位置情報、動き情報及び量子化ステップなどの品質影響パラメータが取得される。これらの品質影響パラメータは、映像の再生品質を大きく左右する因子であるため、例えば映像パケットが損失した場合に、映像の再生品質の劣化度合いを推定するのに重要な情報である。取得された映像パケットの品質影響情報は、品質影響情報取得部104によって保持される。
【0058】
一方、映像音声送信装置100に入力された音声データは、音声符号化部106へ入力され、フレームごとの音声が符号化される(ステップS105)。すなわち、例えば図8に示すように、音声データのフレーム#1、#2それぞれの音声が符号化されることにより、ESデータが得られる。ここで、符号化方式としては、例えばAAC(Advanced Audio Coding)やHE(High Efficiency)−AACなどを用いることができる。
【0059】
音声データの符号化が行われると、制御情報付加部107によって、符号化後のそれぞれのフレームの符号化データにタイムスタンプなどの制御情報が付加される(ステップS106)。すなわち、例えば図8に示すように、ESデータのフレーム#1、#2の音声それぞれに図中横線のハッチングで示す制御情報が付加され、PESデータが得られる。
【0060】
制御情報が付加された符号化データは、パケット化部108へ入力され、パケット化部108によって、音声パケットが生成される(ステップS107)。すなわち、例えば図8に示すように、音声のPESデータが固定長に分割され、図中斜線のハッチングで示すヘッダ部が付加されることにより、音声のTSパケットが生成される。パケット化部108によって付加されるヘッダ部には、TSパケットが音声データを含む音声パケットであることを示すパケットIDが格納されている。なお、TSパケットの生成の際、PESデータのフレームの先頭がTSパケットのヘッダ部直後に配置されるように、適宜パディングなどが行われる。
【0061】
パケット化部108によって音声パケットが生成されると、音声パケットは、パケット化部108からレート調整部109へ出力される。そして、レート調整部109によって、映像パケット及び音声パケットを時分割多重化する際のパケットの配置が決定され、伝送レートを補正するためにヌルパケットを挿入する必要があるか否かが判定される(ステップS108)。すなわち、所定の伝送レートを達成するには映像パケット又は音声パケットが不足している場合に、レート調整部109によって、ヌルパケットが必要であると判定される。
【0062】
伝送レートの補正のためにヌルパケットが必要であると判定された場合(ステップS108Yes)、レート調整部109によって、ヌルパケットの挿入位置が決定され、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケットが特定される。そして、ヌルパケットが挿入される旨とともに、特定された映像パケットを識別する情報がヌルパケット生成部105へ通知される。この通知を受け、ヌルパケット生成部105によって、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケットの品質影響情報が品質影響情報取得部104から取得され、取得された品質影響情報がデータ部に格納されたヌルパケットが生成される(ステップS109)。このヌルパケットのヘッダ部には、パケット種別がヌルパケットであることを示すパケットIDが格納されている。
【0063】
ヌルパケット生成部105によって生成されたヌルパケットは、レート調整部109へ出力され、映像パケット及び音声パケットとともにレート調整部109から多重化部110へ出力される。また、伝送レート補正のためのヌルパケットが不要であると判定された場合は(ステップS108No)、ヌルパケットが生成されることなく、映像パケット及び音声パケットがレート調整部109から多重化部110へ出力される。
【0064】
そして、多重化部110によって、映像パケット、音声パケット及びヌルパケットがレート調整部109によって決定されたパケット配置通りに時分割多重化される(ステップS110)。すなわち、所定の伝送レートが達成されるように映像パケット、音声パケット及びヌルパケットが多重化される。それぞれのヌルパケットには、直前及び直後に配置される映像パケットの品質影響情報が格納されている。そして、時分割多重化により得られたパケット列は、暗号化部111へ出力され、パケット列のうちの映像パケット及び音声パケットのデータ部が暗号化される(ステップS111)。
【0065】
映像パケット及び音声パケットのデータ部が暗号化されたパケット列は、送信部112へ出力され、送信部112によって、送信のための上位レイヤの処理が施される。具体的には、送信部112によって、パケット列の各パケットが所定数ずつまとめられた上で、シーケンス番号を含むヘッダ部が付加されて上位パケットが生成される(ステップS112)。すなわち、例えば図9に示すように、パケットV#1からパケットA#nまでのn個(nは1以上の整数)の映像パケット、音声パケット及びヌルパケットにヘッダ部が付加されて上位パケットが生成される。図9においては、「V」が映像パケットを示し、「A」が音声パケットを示し、「N」がヌルパケットを示している。また、#1〜#nは、上位パケットのデータ部におけるパケットの識別番号である。
【0066】
図9に示すように、上位パケットのヘッダ部には、シーケンス番号が格納されている。シーケンス番号は、上位パケットの通し番号であり、連続して送信される上位パケットであれば、ヘッダ部に格納されたシーケンス番号も連続している。したがって、例えばパケット捕捉装置200などの上位パケットを受信する装置は、上位パケットのシーケンス番号の連続性を確認することにより、ネットワークNにおいて上位パケットのパケットロスが発生したか否かを判定することができる。
【0067】
なお、本実施の形態においては、上位パケットのシーケンス番号に依拠して上位パケット単位のパケットロスを検出するものとしている。しかし、映像パケット及び音声パケットのヘッダ部にはパケット種別ごとの連続カウンタが格納されているため、連続カウンタに基づいてTSパケット単位のパケットロスを検出することも可能である。ただし、連続カウンタとしては、例えば0〜15の番号が繰り返し使用されるため、同時に16個の映像パケット(又は音声パケット)が損失した場合には、連続カウンタが不連続になることはない。結果として、連続カウンタのみからはパケットロスが正確に検出されないため、上位パケットのシーケンス番号を補助的に参照してパケットロスを検出しても良い。また、上位パケットのシーケンス番号やパケットの連続カウンタなどを用いることなくパケットロスを検出しても良い。
【0068】
送信部112によって生成された上位パケットは、映像及び音声が多重化された多重化データとして送信される(ステップS113)。多重化データは、ネットワークN及び終端装置20を介して各住戸のSTB30及びテレビ40に受信され、それぞれのテレビ40においては、映像及び音声が再生される。
【0069】
[パケット捕捉装置の動作]
次に、本実施の形態に係るパケット捕捉装置200の動作について、図10に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0070】
本実施の形態においては、パケット捕捉装置200は、終端装置20と各住戸のSTB30との間に設置されている。したがって、パケット捕捉装置200によって、終端装置20から各住戸のSTB30へ出力される多重化データのストリームからパケットが捕捉されることになる。具体的には、上位パケット取得部201によって、映像パケット、音声パケット又はヌルパケットを含む上位パケットが多重化データのストリームから捕捉される(ステップS201)。
【0071】
上位パケット取得部201によって上位パケットが捕捉されると、パケットロス検出部202によって、ネットワークNにおいて上位パケットのパケットロスが発生しているか否かが判定される(ステップS202)。具体的には、パケットロス検出部202によって、上位パケットのヘッダ部に格納されたシーケンス番号が上位パケット取得部201によって前回捕捉された上位パケットのシーケンス番号と連続しているか否かが判定される。この判定の結果、シーケンス番号が連続している場合には、パケットロス検出部202によって、ネットワークNにおけるパケットロスが発生していないと判断され(ステップS202No)、シーケンス番号が不連続の場合には、パケットロス検出部202によって、ネットワークNにおけるパケットロスが発生したと判断される(ステップS202Yes)。
【0072】
パケットロス検出部202によってパケットロスが発生していないと判断された場合(ステップS202No)、ヌルパケット検出部203によって、上位パケットの中にヌルパケットが含まれているか否かが判定される(ステップS207)。具体的には、ヌルパケット検出部203によって、上位パケットのデータ部に含まれる各パケットのパケットIDが参照され、パケットIDがヌルパケットであることを示しているパケットがあるか否かが判定される。そして、上位パケットの中からヌルパケットが検出されなければ(ステップS207No)、引き続き、上位パケット取得部201によって上位パケットが捕捉され、上述した処理が繰り返される。また、上位パケットの中からヌルパケットが検出されれば(ステップS207Yes)、検出されたヌルパケットがヌルパケット蓄積部204に蓄積される(ステップS208)。その後、ヌルパケットが検出されない場合と同様に、上位パケット取得部201による上位パケットの捕捉以降の処理が繰り返される。
【0073】
一方、パケットロス検出部202によってパケットロスが発生したと判断された場合(ステップS202Yes)、ヌルパケット検出部203によって、上位パケットの中にヌルパケットが含まれているか否かが判定される(ステップS203)。ここでも、上述したパケットロスが発生していない場合と同様に、各パケットのパケットIDに基づいてヌルパケットの有無が判定される。そして、上位パケットの中からヌルパケットが検出されなければ(ステップS203No)、上位パケット取得部201によって新たな上位パケットが捕捉され(ステップS206)、再度ヌルパケットの有無が判定される(ステップS203)。換言すれば、パケットロスによって損失した上位パケットの後最も早く送信されたヌルパケットが検出されるまで、ヌルパケット検出部203によるヌルパケットの検出が繰り返される。
【0074】
そして、パケットロスによって損失した上位パケットの後最も早く送信されたヌルパケットが検出されると(ステップS203Yes)、検出されたヌルパケットは、他のヌルパケットと同様にヌルパケット蓄積部204に蓄積される。そして、品質影響情報抽出部205によって、ヌルパケット蓄積部204に蓄積された最新の2つのヌルパケットから品質影響情報が抽出される(ステップS204)。すなわち、品質影響情報抽出部205によって、パケットロスにより損失した上位パケットを挟んで前後に送信されたヌルパケットに格納された品質影響情報が抽出される。
【0075】
品質影響情報抽出部205によって抽出される品質影響情報には、損失した上位パケットの前後に送信された2つのヌルパケットの間の区間の最初と最後の映像パケットに関するフレーム番号、再生重要度、位置情報、動き情報及び量子化ステップなどの品質影響パラメータが含まれている。したがって、上位パケットの損失による映像の再生品質の劣化は、品質影響情報抽出部205によって抽出された品質影響情報から推定することができる。すなわち、例えば品質影響情報のフレーム番号から、パケットロスの影響を受けるフレーム番号を推定することができ、品質影響情報の再生重要度から、パケットロスが復号に与える影響の大きさを推定することができる。また、例えば品質影響情報の位置情報や動き情報から、パケットロスによる品質の劣化が映像の再生時に目立つか否かを推定することができる。
【0076】
このように、品質影響情報抽出部205によって抽出される品質影響情報は、テレビ40において再生される映像の品質を正確に推定するために十分な品質影響パラメータを含んでいる。そして、品質影響情報抽出部205によって抽出された品質影響情報は、品質影響情報送信部206へ出力され、品質影響情報送信部206によって、終端装置20及びネットワークNを介して品質評価装置10へ送信される(ステップS205)。これにより、品質評価装置10は、パケットロスに伴う映像の再生品質の劣化度合いを正確に推定することができる。
【0077】
[パケット配置及び再生品質の推定の具体例]
本実施の形態においては、映像音声送信装置100において、伝送レート補正のためにヌルパケットが挿入されてパケットの多重化が行われる。したがって、必ずしもすべての映像パケットの品質影響情報がいずれかのヌルパケットに格納されるわけではなく、どの映像パケットの品質影響情報がヌルパケットに格納されるかは、パケットの多重化の際のパケット配置に依存している。
【0078】
図11は、本実施の形態に係るパケット配置の具体例を示す図である。図11においては、映像パケットを「V」で示し、音声パケットを「A」で示し、ヌルパケットを「N」で示している。また、#1〜#12は、パケットの識別番号である。以下、例えば#1のヌルパケットを「ヌルパケットN#1」などという。図11に示すように、ヌルパケットN#1、N#5及びN#10は、規則的に配置されているわけではなく、パケットの伝送レートを一定に補正するために配置されている。このため、ヌルパケットN#1には、映像パケットV#3の品質影響情報が格納され、ヌルパケットN#5には、映像パケットV#4、V#6の品質影響情報が格納され、ヌルパケットN#10には、映像パケットV#9、V#11の品質影響情報が格納されている。換言すれば、映像パケットV#8の品質影響情報は、いずれのヌルパケットにも格納されていない。
【0079】
ただし、実際には、ヌルパケットは比較的頻繁に挿入されることが多いため、大半の映像パケットの品質影響情報がいずれかのヌルパケットに格納されることになる。具体的に、例えば映像データの符号化方式がMPEG2かつ伝送レートが13Mbpsであり、音声データの符号化方式がAACかつ伝送レートが192kbpsである場合、映像音声送信装置100から0.5秒間に送信される総パケット数は、例えば9969パケットとなる。この総パケット数の中に、映像パケットは、例えば4483パケット含まれ、音声パケットは、例えば50パケット含まれ、ヌルパケットは、例えば5257パケット含まれる。残りのパケットは、例えばデータ放送用のパケットなどである。
【0080】
このように、ヌルパケットは、総パケット数の過半数を占めているため、各ヌルパケットにそれぞれのヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケットの品質影響情報を格納することにより、大部分の映像パケットの品質影響情報がいずれかのヌルパケットに格納されると考えられる。このため、パケットロスにより映像パケットが損失した場合、損失した映像パケットの品質影響情報が前後のヌルパケットに格納されている確率が高い。結果として、ヌルパケットから品質影響情報を取得することにより、損失したパケットに関する情報を直接取得することができ、パケットロスによる映像の再生品質の劣化の度合いを正確に推定することが可能となる。
【0081】
ところで、図11に示した例において、パケットV#6からパケットV#9がパケットロスにより損失した場合、損失したパケットを挟んで前後に送信されるヌルパケットN#5、N#10に格納された品質影響情報がパケット捕捉装置200の品質影響情報抽出部205によって抽出される。ここで、ヌルパケットN#5、N#10が、それぞれ例えば図12に示す品質影響情報を格納していたものとする。ヌルパケットN#5の直前の映像パケットは映像パケットV#4であり、直後の映像パケットは映像パケットV#6である。また、ヌルパケットN#10の直前の映像パケットは映像パケットV#9であり、直後の映像パケットは映像パケットV#11である。
【0082】
したがって、パケットの損失による映像の再生品質の劣化の度合いを推定する際には、ヌルパケットN#5に格納されている直後の映像パケットV#6の品質影響情報と、ヌルパケットN#10に格納されている直前の映像パケットV#9の品質影響情報とに基づけば良い。すなわち、図12において太枠で囲んだ部分に基づいて映像パケットの損失による再生品質の劣化を推定することができる。
【0083】
具体的には、図12において、太線で囲まれたフレーム番号はいずれも101であるため、パケットロスによって映像データが失われたフレームの番号が101であることがわかる。また、このフレームの画像はIピクチャであり、比較的多くのフレームの復号に影響を与えることが推測される。さらに、損失した映像パケットは(0,0)から(1,1)までのいずれかの座標位置のマクロブロックのデータを含んでいたことが判明するため、比較的画像の周縁に近いマクロブロックがパケットロスの影響を受けると推測される。
【0084】
なお、参照される品質影響情報のフレーム番号が異なっている場合でも(例えば101と103)、これらのフレーム番号の間のいずれかのフレーム(101〜103のいずれかの番号が付与されたフレーム)の映像データがパケットロスによって失われたことがわかる。このように、ヌルパケットに格納された品質影響情報は、映像パケットの損失による再生品質への影響を正確に見積もるのに十分な情報を含んでいる。したがって、品質影響情報送信部206から品質評価装置10へ品質影響情報が送信されることにより、品質評価装置10においては、映像の再生品質を正確に推定することができる。
【0085】
以上のように、本実施の形態によれば、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケットの品質影響情報をヌルパケットに格納し、ヌルパケット及び映像パケットを含む多重化データを送信する。また、多重化データの受信及び再生が行われる位置の近傍で多重化データを捕捉し、ネットワーク上でパケットロスが発生すると、損失したパケットの前後のヌルパケットから品質影響情報を取得する。このため、損失したパケットを含む部分に関する情報をヌルパケットから取得することができ、パケットロスによる再生品質の劣化度合いを正確に推定することができる。換言すれば、ユーザ端末において再生される映像の品質を正確に推定するために十分な情報を取得することができる。
【0086】
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、映像パケットの品質影響情報をヌルパケットに格納して送信するものとしたが、音声パケットの品質影響情報をヌルパケットに格納して送信することも可能である。そこで、実施の形態2においては、ヌルパケットに音声パケットの品質影響情報を格納する場合について説明する。この場合でも、ネットワーク構成は実施の形態1に係るネットワーク構成と同様であるため、その説明を省略する。以下、主に本実施の形態に係る映像音声送信装置100と実施の形態1に係る映像音声送信装置100との構成及び動作の違いについて説明する。
【0087】
[映像音声送信装置の構成]
図13は、本実施の形態に係る映像音声送信装置100の要部構成を示すブロック図である。図13において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図13に示す映像音声送信装置100は、図2に示す映像音声送信装置100の品質影響情報取得部104及びヌルパケット生成部105に代えて、品質影響情報取得部301及びヌルパケット生成部302を有する。
【0088】
品質影響情報取得部301は、パケット化部108によって音声パケットが生成されると、生成された音声パケットが音声全体の再生品質に対して与える影響を示す品質影響情報を取得する。具体的には、品質影響情報取得部301は、例えば図14に示す品質影響パラメータを取得する。すなわち、品質影響情報取得部301は、各音声パケットに含まれる符号化データのフレーム番号及び音声レベルをそれぞれの音声パケットの品質影響パラメータとして取得する。このように、本実施の形態に係る品質影響パラメータは、音声全体の再生品質に対して影響を与えるパラメータである。
【0089】
フレーム番号は、各フレームに付与された通し番号であり、音声パケットが音声全体のうちのどのフレームの音声の再生品質に影響するかを示している。音声レベルは、音声パケットに含まれる符号化データの音声レベルを示しており、例えば無音であれば0、有音であれば音声レベルに応じた数値が音声レベルの情報となる。したがって、パケットロスが発生した場合、音声レベルが比較的大きい音声パケットが損失すると、音声の再生品質の劣化が比較的大きいのに対し、無音の音声パケットが損失すると、音声の再生品質の劣化は比較的小さくて済む。なお、品質影響情報は、図14に示す品質影響パラメータのみに限定されず、音声全体の再生品質に対して影響を与える他の品質影響パラメータを含んでいても良い。
【0090】
図13に戻って、ヌルパケット生成部302は、伝送レートを補正するためにヌルパケットが挿入されることがレート調整部109から通知されると、ヌルパケットの直前に配置される音声パケット及び直後に配置される音声パケットの品質影響情報を品質影響情報取得部301から取得する。そして、ヌルパケット生成部302は、取得された品質影響情報にヘッダ情報を付加してヌルパケットを組み立て、レート調整部109へ出力する。すなわち、ヌルパケット生成部302は、ヌルパケットの直前及び直後に配置される2つの音声パケットの品質影響情報をデータ部に格納し、パケットIDなどをヘッダ部に格納したヌルパケットを生成する。このとき、ヌルパケット生成部302は、映像又は音声などのデータをヌルパケットのデータ部に格納することはない。
【0091】
具体的には、ヌルパケット生成部302は、例えば図15に示すように、ヌルパケットの直前に配置される音声パケット及び直後に配置される音声パケットの双方の品質影響情報をデータ部に格納する。このとき、ヌルパケット生成部302は、データ部の品質影響情報以外の部分には、例えばすべて「1」のビット列を格納してヌルパケットを生成しても良い。また、ヌルパケット生成部302は、ヘッダ部にヌルパケットであることを示すパケットIDを格納する。
【0092】
[映像音声送信装置の動作]
次いで、上記のように構成された映像音声送信装置100の動作について、図16に示すフロー図を参照しながら説明する。図16において、図7と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0093】
送信対象の映像データ及び音声データが映像音声送信装置100へ入力されると、映像データは、映像符号化部101へ入力され、フレームごとの画像が符号化される(ステップS101)。映像データの符号化が行われると、制御情報付加部102によって、符号化後のそれぞれのフレームの符号化データにタイムスタンプなどの制御情報が付加される(ステップS102)。制御情報が付加された符号化データは、パケット化部103へ入力され、パケット化部103によって、映像パケットが生成される(ステップS103)。生成された音声パケットは、パケット化部103からレート調整部109へ出力される。
【0094】
一方、映像音声送信装置100に入力された音声データは、音声符号化部106へ入力され、フレームごとの音声が符号化される(ステップS105)。音声データの符号化が行われると、制御情報付加部107によって、符号化後のそれぞれのフレームの符号化データにタイムスタンプなどの制御情報が付加される(ステップS106)。制御情報が付加された符号化データは、パケット化部108へ入力され、パケット化部108によって、音声パケットが生成される(ステップS107)。
【0095】
パケット化部108によって音声パケットが生成されると、品質影響情報取得部301によって音声パケットから品質影響情報が取得された後(ステップS201)、音声パケットは、パケット化部108からレート調整部109へ出力される。具体的には、品質影響情報取得部301によって、音声パケットに含まれる符号化データのフレーム番号及び音声レベルなどの品質影響パラメータが取得される。これらの品質影響パラメータは、音声の再生品質を大きく左右する因子であるため、例えば音声パケットが損失した場合に、音声の再生品質の劣化度合いを推定するのに重要な情報である。取得された音声パケットの品質影響情報は、品質影響情報取得部301によって保持される。
【0096】
そして、レート調整部109によって、映像パケット及び音声パケットを時分割多重化する際のパケットの配置が決定され、伝送レートを補正するためにヌルパケットを挿入する必要があるか否かが判定される(ステップS108)。伝送レートの補正のためにヌルパケットが必要であると判定された場合(ステップS108Yes)、レート調整部109によって、ヌルパケットの挿入位置が決定され、ヌルパケットの直前及び直後に配置される音声パケットが特定される。そして、ヌルパケットが挿入される旨とともに、特定された音声パケットを識別する情報がヌルパケット生成部302へ通知され、ヌルパケット生成部302によって、ヌルパケットが生成される(ステップS202)。ヌルパケット生成部302によって生成されるヌルパケットのデータ部には、ヌルパケットの直前及び直後に配置される音声パケットの品質影響情報が格納されており、ヘッダ部には、パケット種別がヌルパケットであることを示すパケットIDが格納されている。
【0097】
ヌルパケット生成部302によって生成されたヌルパケットは、レート調整部109へ出力され、映像パケット及び音声パケットとともにレート調整部109から多重化部110へ出力される。また、伝送レート補正のためのヌルパケットが不要であると判定された場合は(ステップS108No)、ヌルパケットが生成されることなく、映像パケット及び音声パケットがレート調整部109から多重化部110へ出力される。
【0098】
そして、多重化部110によって、映像パケット、音声パケット及びヌルパケットがレート調整部109によって決定されたパケット配置通りに時分割多重化される(ステップS110)。時分割多重化によりパケット列が得られると、暗号化部111によって、パケット列のうちの映像パケット及び音声パケットのデータ部が暗号化される(ステップS111)。
【0099】
映像パケット及び音声パケットのデータ部が暗号化されたパケット列は、送信部112へ出力され、送信部112によって、パケット列から上位パケットが生成される(ステップS112)。送信部112によって生成された上位パケットは、映像及び音声が多重化された多重化データとして送信される(ステップS113)。多重化データは、ネットワークN及び終端装置20を介して各住戸のSTB30及びテレビ40に受信され、それぞれのテレビ40においては、映像及び音声が再生される。
【0100】
[パケット捕捉装置]
本実施の形態においては、ヌルパケットに音声パケットの品質影響情報が格納されているため、パケットロスが発生した場合、パケット捕捉装置200によって音声パケットの品質影響情報がヌルパケットから取得される。この点を除けば、本実施の形態に係るパケット捕捉装置200の構成及び動作は、実施の形態1に係るパケット捕捉装置200の構成(図6参照)及び動作(図10参照)と同様である。
【0101】
[パケット配置及び再生品質の推定の具体例]
本実施の形態においては、映像音声送信装置100において、伝送レート補正のためにヌルパケットが挿入されてパケットの多重化が行われる。したがって、必ずしもすべての音声パケットの品質影響情報がいずれかのヌルパケットに格納されるわけではなく、どの音声パケットの品質影響情報がヌルパケットに格納されるかは、パケットの多重化の際のパケット配置に依存している。
【0102】
図17は、本実施の形態に係るパケット配置の具体例を示す図である。図17においては、映像パケットを「V」で示し、音声パケットを「A」で示し、ヌルパケットを「N」で示している。また、#1〜#12は、パケットの識別番号である。図17に示すように、ヌルパケットN#1、N#5及びN#10は、規則的に配置されているわけではなく、パケットの伝送レートを一定に補正するために配置されている。このため、ヌルパケットN#1には、音声パケットA#2の品質影響情報が格納され、ヌルパケットN#5には、音声パケットA#2、A#7の品質影響情報が格納され、ヌルパケットN#10には、音声パケットA#7、A#12の品質影響情報が格納されている。
【0103】
通常、音声データの伝送レートは、映像データの伝送レートに比べて低く設定されることが多く、多重化データ中に配置される音声パケットの数は、映像パケットの数に比べて大幅に少ない。また、ヌルパケットの数は、映像パケットの数と同程度以上となるのが一般的であるため、大部分の音声パケットの品質影響情報がいずれかのヌルパケットに格納されると考えられる。このため、パケットロスにより音声パケットが損失した場合、損失した音声パケットの品質影響情報が前後のヌルパケットに格納されている確率が高い。結果として、ヌルパケットから品質影響情報を取得することにより、損失したパケットに関する情報を直接取得することができ、パケットロスによる音声の再生品質の劣化の度合いを正確に推定することが可能となる。
【0104】
ところで、図17に示した例において、パケットV#6からパケットV#9がパケットロスにより損失した場合、損失したパケットを挟んで前後に送信されるヌルパケットN#5、N#10に格納された品質影響情報がパケット捕捉装置200によって抽出される。ここで、ヌルパケットN#5、N#10が、それぞれ例えば図18に示す品質影響情報を格納していたものとする。ヌルパケットN#5の直前の音声パケットは音声パケットA#2であり、直後の音声パケットは音声パケットA#7である。また、ヌルパケットN#10の直前の音声パケットは音声パケットA#7であり、直後の音声パケットは音声パケットA#12である。
【0105】
したがって、パケットの損失による音声の再生品質の劣化の度合いを推定する際には、ヌルパケットN#5に格納されている直後の音声パケットA#7の品質影響情報と、ヌルパケットN#10に格納されている直前の音声パケットA#7の品質影響情報とに基づけば良い。すなわち、図18において太枠で囲んだ部分に基づいて音声パケットの損失による再生品質の劣化を推定することができる。ここでは、ヌルパケットN#5、N#10の間には、1つの音声パケットA#7しか送信されていないことから、図18において太線で囲まれた品質影響情報は、同一の音声パケットA#7に関するものである。
【0106】
図18において、太線で囲まれたフレーム番号はいずれも101であるため、パケットロスによって音声データが失われたフレームの番号が101であることがわかる。また、このフレームの音声レベルは0であり、無音のフレームであることから、音声の再生品質にはあまり影響がないと推測される。このように、ヌルパケットに格納された品質影響情報は、音声パケットの損失による再生品質への影響を正確に見積もるのに十分な情報を含んでいる。したがって、パケット捕捉装置200によって抽出された品質影響情報が品質評価装置10へ送信されることにより、品質評価装置10においては、音声の再生品質を正確に推定することができる。
【0107】
以上のように、本実施の形態によれば、ヌルパケットの直前及び直後に配置される音声パケットの品質影響情報をヌルパケットに格納し、ヌルパケット及び音声パケットを含む多重化データを送信する。また、多重化データの受信及び再生が行われる位置の近傍で多重化データを捕捉し、ネットワーク上でパケットロスが発生すると、損失したパケットの前後のヌルパケットから品質影響情報を取得する。このため、損失したパケットを含む部分に関する情報をヌルパケットから取得することができ、パケットロスによる再生品質の劣化度合いを正確に推定することができる。換言すれば、ユーザ端末において再生される音声の品質を正確に推定するために十分な情報を取得することができる。
【0108】
(実施の形態3)
上記実施の形態1、2においては、映像パケット及び音声パケットのいずれか一方の品質影響情報をヌルパケットに格納して送信するものとしたが、双方の品質影響情報をヌルパケットに格納して送信することも可能である。そこで、実施の形態3においては、ヌルパケットに映像パケット及び音声パケットの品質影響情報を格納する場合について説明する。この場合でも、ネットワーク構成は実施の形態1に係るネットワーク構成と同様であるため、その説明を省略する。以下、主に本実施の形態に係る映像音声送信装置100と実施の形態1に係る映像音声送信装置100との構成及び動作の違いについて説明する。
【0109】
図19は、本実施の形態に係る映像音声送信装置100の要部構成を示すブロック図である。図19において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図19に示す映像音声送信装置100は、図2に示す映像音声送信装置100の品質影響情報取得部104及びヌルパケット生成部105に代えて、品質影響情報取得部401及びヌルパケット生成部402を有する。
【0110】
品質影響情報取得部401は、パケット化部103及びパケット化部108によってそれぞれ映像パケット及び音声パケットが生成されると、それぞれのパケットから品質影響情報を取得する。すなわち、品質影響情報取得部401は、実施の形態1で述べた映像パケットの品質影響パラメータ(図4参照)と、実施の形態2で述べた音声パケットの品質影響パラメータ(図14参照)とを取得する。
【0111】
ヌルパケット生成部402は、伝送レートを補正するためにヌルパケットが挿入されることがレート調整部109から通知されると、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケット及び音声パケットの品質影響情報を品質影響情報取得部401から取得する。そして、ヌルパケット生成部402は、取得された品質影響情報をデータ部に格納してヌルパケットを生成し、レート調整部109へ出力する。具体的には、ヌルパケット生成部402は、例えば図20に示すように、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケット及び音声パケットの品質影響情報をデータ部に格納する。このとき、ヌルパケット生成部402は、データ部の品質影響情報以外の部分には、例えばすべて「1」のビット列を格納してヌルパケットを生成しても良い。また、ヌルパケット生成部402は、ヘッダ部にヌルパケットであることを示すパケットIDを格納する。
【0112】
本実施の形態においては、映像パケット及び音声パケットの品質影響情報がヌルパケットに格納されるため、ヌルパケットのデータ部に格納される情報量は多くなる。しかし、ヌルパケットに品質影響情報が格納される対象となるパケットは、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケット及び音声パケットであり、高々4パケットに過ぎない。したがって、これらの4パケットの品質影響情報をヌルパケットのデータ部に格納しても、データ部のサイズが不足することはない。
【0113】
また、すべての映像パケット及び音声パケットの品質影響情報が必ずしもヌルパケットに格納されるわけではないが、ヌルパケットは、多重化データ内に比較的多く配置されるため、大部分の映像パケット及び音声パケットの品質影響情報がいずれかのヌルパケットに格納されると考えられる。このため、パケットロスにより映像パケット又は音声パケットが損失した場合、損失した映像パケット又は音声パケットの品質影響情報が前後のヌルパケットに格納されている確率が高い。結果として、パケット捕捉装置200においてヌルパケットから品質影響情報を取得することにより、損失したパケットに関する情報を直接取得することができ、パケットロスによる映像及び音声の再生品質の劣化の度合いを正確に推定することが可能となる。
【0114】
図21は、本実施の形態に係るパケット配置の具体例を示す図である。図21においては、映像パケットを「V」で示し、音声パケットを「A」で示し、ヌルパケットを「N」で示している。また、#1〜#12は、パケットの識別番号である。図21に示すように、ヌルパケットN#1、N#5及びN#10は、規則的に配置されているわけではなく、パケットの伝送レートを一定に補正するために配置されている。このため、ヌルパケットN#1には、映像パケットV#3及び音声パケットA#2の品質影響情報が格納される。また、ヌルパケットN#5には、映像パケットV#4、V#6及び音声パケットA#2、A#7の品質影響情報が格納される。同様に、ヌルパケットN#10には、映像パケットV#9、V#11及び音声パケットA#7、A#12の品質影響情報が格納されている。すなわち、映像パケットV#8以外のすべてのパケットの品質影響情報がいずれかのヌルパケットに格納されている。
【0115】
図21に示した例において、パケットV#6からパケットV#9がパケットロスにより損失した場合、損失したパケットを挟んで前後に送信されるヌルパケットN#5、N#10に格納された品質影響情報がパケット捕捉装置200によって抽出される。このため、映像に関しては、映像パケットV#6及び映像パケットV#9の品質影響情報が示す映像にパケットロスによる再生品質の劣化が生じることが推定可能となる。また、音声に関しては、音声パケットA#7の品質影響情報が示す音声にパケットロスによる再生品質の劣化が生じることが推定可能となる。換言すれば、ヌルパケットを境界とするパケット区間単位でパケットロスが発生したパケット区間の映像及び音声に関する品質影響情報を得ることができ、このパケット区間における映像及び音声の再生品質の劣化を正確に推定することが可能となる。
【0116】
以上のように、本実施の形態によれば、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケット及び音声パケットの品質影響情報をヌルパケットに格納し、ヌルパケット、映像パケット及び音声パケットを含む多重化データを送信する。また、多重化データの受信及び再生が行われる位置の近傍で多重化データを捕捉し、ネットワーク上でパケットロスが発生すると、損失したパケットの前後のヌルパケットから品質影響情報を取得する。このため、損失したパケットを含む部分に関する情報をヌルパケットから取得することができ、パケットロスによる再生品質の劣化度合いを正確に推定することができる。換言すれば、ユーザ端末において再生される映像及び音声の品質を正確に推定するために十分な情報を取得することができる。
【0117】
なお、上記各実施の形態においては、ヌルパケットの直前及び直後に配置される映像パケット又は音声パケットの品質影響情報をヌルパケットに格納するものとし、品質影響情報がヌルパケットに格納されない映像パケット又は音声パケットもあるものとした。しかし、2つのヌルパケットの間に配置されるすべての映像パケット又は音声パケットの品質影響情報を双方のヌルパケットに格納することも可能である。すなわち、例えば図22に示すように、ヌルパケットN#2とヌルパケットN#7の間にあるすべての映像パケットV#3、V#5、V#6の品質影響情報をヌルパケットN#2、N#7の双方に格納することも可能である。
【0118】
この場合、ヌルパケットN#2には、直前及び直後の映像パケットV#1、V#3の品質影響情報に加えて、次のヌルパケットN#7までの間に配置される映像パケットV#5、V#6の品質影響情報も格納される。同様に、ヌルパケットN#7には、直前及び直後の映像パケットV#6、V#8の品質影響情報に加えて、前のヌルパケットN#2までの間に配置される映像パケットV#3、V#5の品質影響情報も格納される。こうすることにより、例えばヌルパケットN#2とヌルパケットN#7の間のパケット区間でパケットロスが発生した場合、このパケット区間のすべての映像パケットに関する品質影響情報を取得することができる。図22では、すべての映像パケットの品質影響情報をヌルパケットに格納するものとしたが、同様に、すべての音声パケットの品質影響情報をヌルパケットに格納することも可能である。
【0119】
このようにすることにより、いずれか2つのヌルパケット間の映像パケット又は音声パケットがパケットロスにより損失した場合、損失した映像パケット又は音声パケットの品質影響情報を必ずヌルパケットから抽出することができる。すなわち、いずれの映像パケット又は音声パケットが損失した場合でも、損失した映像パケット自体又は音声パケット自体の情報を直接的に取得することができる。
【0120】
また、上記各実施の形態においては、パケット捕捉装置200において抽出された品質影響情報が品質評価装置10へ送信され、品質評価装置10において映像及び音声の再生品質が評価されるものとした。しかし、映像及び音声の再生品質の評価は、パケット捕捉装置200において行われるようにしても良い。また、パケット捕捉装置200において抽出された品質影響情報が、品質評価装置10の代わりに映像音声送信装置100へ送信されるようにし、映像音声送信装置100が品質影響情報に基づいて映像及び音声の再生品質の評価を行っても良い。
【0121】
さらに、上記各実施の形態においては、品質影響情報をヌルパケットに格納するものとしたが、映像パケット又は音声パケットが暗号化されない場合は、映像パケット又は音声パケットの品質影響情報を周辺に配置される映像パケット又は音声パケットに格納しても良い。この場合でも、パケットロスにより損失した映像パケット又は音声パケットの品質影響情報を周辺に配置された映像パケット又は音声パケットから抽出することができ、再生品質の推定に必要な情報を取得することができる。
【0122】
以上の各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0123】
(付記1)送信装置とデータ捕捉装置とを備える情報取得システムであって、
前記送信装置は、
映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位を生成する第1の生成部と、
前記第1の生成部によって生成される第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位を生成する第2の生成部と、
前記第1の生成部によって生成された第1のデータ単位及び前記第2の生成部によって生成された第2のデータ単位を送信する送信部とを有し、
前記データ捕捉装置は、
第1のデータ単位及び第2のデータ単位を含む伝送中のデータからデータ単位を捕捉する捕捉部と、
データ単位が伝送中に損失したか否かを判定する判定部と、
前記判定部によってデータ単位が損失したと判定された場合に、前記捕捉部によって捕捉されたデータ単位から、損失したデータ単位の前後に送信された第2のデータ単位を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された第2のデータ単位から品質影響パラメータを抽出する抽出部とを有する
ことを特徴とする情報取得システム。
【0124】
(付記2)前記第2の生成部は、
映像及び音声のデータを含まない第2のデータ単位を生成することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0125】
(付記3)前記第2の生成部は、
第2のデータ単位に最も近いタイミングで送信される第1のデータ単位の品質影響パラメータを当該第2のデータ単位に格納することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0126】
(付記4)前記送信装置は、
第1のデータ単位及び第2のデータ単位を多重化する多重化部をさらに有し、
前記第2の生成部は、
前記多重化部によって第2のデータ単位の直前又は直後に配置されて多重化される第1のデータ単位の品質影響パラメータを当該第2のデータ単位に格納することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0127】
(付記5)前記多重化部は、
第1のデータ単位の伝送レートを所定の伝送レートに補正するために第2のデータ単位を配置して多重化することを特徴とする付記4記載の情報取得システム。
【0128】
(付記6)前記第2の生成部は、
ヘッダ部分にデータ単位の種別情報が格納され、データ部分に品質影響パラメータが格納された第2のデータ単位を生成することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0129】
(付記7)前記送信部は、
ヘッダ部分に通し番号が格納され、データ部分に所定数の第1のデータ単位及び第2のデータ単位が格納された伝送単位を生成し、生成された伝送単位を送信することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0130】
(付記8)前記第2の生成部は、
前記第1のデータ単位に含まれる映像データの再生時における重要度ならびに再生画面内での位置情報及び動き情報を品質影響パラメータとして第2のデータ単位に格納することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0131】
(付記9)前記第2の生成部は、
前記第1のデータ単位に含まれる音声データの音声レベルを品質影響パラメータとして第2のデータ単位に格納することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0132】
(付記10)前記送信部は、
前記第1の生成部によって生成された第1のデータ単位に含まれる映像又は音声のデータを暗号化して送信することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0133】
(付記11)前記検出部は、
前記捕捉部によって捕捉されたデータ単位から、損失したデータ単位の直前及び直後に送信された第2のデータ単位を検出することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0134】
(付記12)前記捕捉部は、
データ単位の種別情報が格納されたヘッダ部分を備えるデータ単位を捕捉し、
前記検出部は、
前記捕捉部によって捕捉されたデータ単位のヘッダ部分を参照して第2のデータ単位を検出することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0135】
(付記13)前記抽出部は、
前記検出部によって検出された第2のデータ単位の直前及び直後に送信された第1のデータ単位の品質影響パラメータを抽出することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0136】
(付記14)前記抽出部は、
損失した第1のデータ単位に含まれる映像データの再生時における重要度ならびに再生画面内での位置情報及び動き情報を示す品質影響パラメータを第2のデータ単位から抽出することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0137】
(付記15)前記抽出部は、
損失した第1のデータ単位に含まれる音声データの音声レベルを示す品質影響パラメータを第2のデータ単位から抽出することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0138】
(付記16)前記判定部は、
前記捕捉部によって連続して捕捉されたデータ単位に付与された通し番号が不連続である場合に、データ単位が伝送中に損失したと判定することを特徴とする付記1記載の情報取得システム。
【0139】
(付記17)映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位を生成する第1の生成部と、
前記第1の生成部によって生成される第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位を生成する第2の生成部と、
前記第1の生成部によって生成された第1のデータ単位及び前記第2の生成部によって生成された第2のデータ単位を送信する送信部と
を有することを特徴とする送信装置。
【0140】
(付記18)映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位と、第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位とを含む伝送中のデータからデータ単位を捕捉する捕捉部と、
データ単位が伝送中に損失したか否かを判定する判定部と、
前記判定部によってデータ単位が損失したと判定された場合に、前記捕捉部によって捕捉されたデータ単位から、損失したデータ単位の前後に送信された第2のデータ単位を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された第2のデータ単位から品質影響パラメータを抽出する抽出部と
を有することを特徴とするデータ捕捉装置。
【0141】
(付記19)映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位を生成する第1の生成ステップと、
前記第1の生成ステップにて生成される第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位を生成する第2の生成ステップと、
前記第1の生成ステップにて生成された第1のデータ単位及び前記第2の生成ステップにて生成された第2のデータ単位を送信する送信ステップと
を有することを特徴とする送信方法。
【0142】
(付記20)映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位と、第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位とを含む伝送中のデータからデータ単位を捕捉する捕捉ステップと、
データ単位が伝送中に損失したか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいてデータ単位が損失したと判定された場合に、前記捕捉ステップにて捕捉されたデータ単位から、損失したデータ単位の前後に送信された第2のデータ単位を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにて検出された第2のデータ単位から品質影響パラメータを抽出する抽出ステップと
を有することを特徴とするデータ捕捉方法。
【符号の説明】
【0143】
101 映像符号化部
102、107 制御情報付加部
103、108 パケット化部
104、301、401 品質影響情報取得部
105、302、402 ヌルパケット生成部
106 音声符号化部
109 レート調整部
110 多重化部
111 暗号化部
112 送信部
201 上位パケット取得部
202 パケットロス検出部
203 ヌルパケット検出部
204 ヌルパケット蓄積部
205 品質影響情報抽出部
206 品質影響情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置とデータ捕捉装置とを備える情報取得システムであって、
前記送信装置は、
映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位を生成する第1の生成部と、
前記第1の生成部によって生成される第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位を生成する第2の生成部と、
前記第1の生成部によって生成された第1のデータ単位及び前記第2の生成部によって生成された第2のデータ単位を送信する送信部とを有し、
前記データ捕捉装置は、
第1のデータ単位及び第2のデータ単位を含む伝送中のデータからデータ単位を捕捉する捕捉部と、
データ単位が伝送中に損失したか否かを判定する判定部と、
前記判定部によってデータ単位が損失したと判定された場合に、前記捕捉部によって捕捉されたデータ単位から、損失したデータ単位の前後に送信された第2のデータ単位を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された第2のデータ単位から品質影響パラメータを抽出する抽出部とを有する
ことを特徴とする情報取得システム。
【請求項2】
前記第2の生成部は、
映像及び音声のデータを含まない第2のデータ単位を生成することを特徴とする請求項1記載の情報取得システム。
【請求項3】
前記送信装置は、
第1のデータ単位及び第2のデータ単位を多重化する多重化部をさらに有し、
前記第2の生成部は、
前記多重化部によって第2のデータ単位の直前又は直後に配置されて多重化される第1のデータ単位の品質影響パラメータを当該第2のデータ単位に格納することを特徴とする請求項1記載の情報取得システム。
【請求項4】
前記多重化部は、
第1のデータ単位の伝送レートを所定の伝送レートに補正するために第2のデータ単位を配置して多重化することを特徴とする請求項3記載の情報取得システム。
【請求項5】
前記抽出部は、
前記検出部によって検出された第2のデータ単位の直前及び直後に送信された第1のデータ単位の品質影響パラメータを抽出することを特徴とする請求項1記載の情報取得システム。
【請求項6】
映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位を生成する第1の生成部と、
前記第1の生成部によって生成される第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位を生成する第2の生成部と、
前記第1の生成部によって生成された第1のデータ単位及び前記第2の生成部によって生成された第2のデータ単位を送信する送信部と
を有することを特徴とする送信装置。
【請求項7】
映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位と、第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位とを含む伝送中のデータからデータ単位を捕捉する捕捉部と、
データ単位が伝送中に損失したか否かを判定する判定部と、
前記判定部によってデータ単位が損失したと判定された場合に、前記捕捉部によって捕捉されたデータ単位から、損失したデータ単位の前後に送信された第2のデータ単位を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された第2のデータ単位から品質影響パラメータを抽出する抽出部と
を有することを特徴とするデータ捕捉装置。
【請求項8】
映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位を生成する第1の生成ステップと、
前記第1の生成ステップにて生成される第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位を生成する第2の生成ステップと、
前記第1の生成ステップにて生成された第1のデータ単位及び前記第2の生成ステップにて生成された第2のデータ単位を送信する送信ステップと
を有することを特徴とする送信方法。
【請求項9】
映像又は音声のデータを含む第1のデータ単位と、第1のデータ単位の品質影響パラメータを含む第2のデータ単位とを含む伝送中のデータからデータ単位を捕捉する捕捉ステップと、
データ単位が伝送中に損失したか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいてデータ単位が損失したと判定された場合に、前記捕捉ステップにて捕捉されたデータ単位から、損失したデータ単位の前後に送信された第2のデータ単位を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにて検出された第2のデータ単位から品質影響パラメータを抽出する抽出ステップと
を有することを特徴とするデータ捕捉方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−226258(P2010−226258A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69106(P2009−69106)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】