説明

情報提供装置、方法及びプログラム

【課題】経路の属性に適した位置の情報を出力すること。
【解決手段】目的地への経路に含まれる構成要素ごとの位置情報と属性情報から適切な種類すなわちサイズや縮尺等のメッシュを特定することにより、そのメッシュに対応する情報を抽出し、経路の属性に適した範囲の位置について地図などの情報を出力することができる。属性付加手段22などにより、経路情報を他の装置から得てそれに属性情報を付加するようにすれば、既存の経路探索サーバRを活用して本発明を実施可能となるので、経路の属性に適した位置の情報を出力する本発明をより幅広く活用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路と位置に関する情報処理に関する。
【背景技術】
【0002】
移動情報端末などの分野で、ユーザが指定する任意の目的地への適切な移動経路や交通機関の乗換経路などを探索して出力する技術が普及している。また、このように探索した経路の周辺にある店舗などの施設(「スポット」などと呼ばれる)も併せて抽出し、地図などに表示する工夫も存在する。表示などに用いる地図情報は、メッシュと呼ばれる均等なタイル状の単位に区分され、メッシュ上のスポットを抽出する計算量抑制のため、ある地点から所定距離までのメッシュを特定してメッシュ上のスポットを抽出する技術が知られている。
【0003】
例えば、現在位置と検索条件に応じたメッシュごとに、施設の有無を1(有)か0(無)で表した文字列を生成し、検索範囲を1で表す文字列との論理積により、現在の検索範囲内の施設数を判断し、検索範囲の広狭を調整する提案が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−241516号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来では、経路上の出発地、目的地、中継地(乗換駅等)や移動手段といった経路の属性を問わず一律のサイズのメッシュを単位にスポットの抽出に関する処理を行っていたため、経路から行ける範囲と抽出されるスポットの位置が合わず、実際には訪問しにくいスポット情報が表示されたり、容易に行ける範囲にスポットがあるのに表示されないなどの問題があった。
【0006】
例えば、経路を外れて寄り道などで無理なく訪問可能な範囲は、電車と徒歩で都心を移動する経路からであれば数百メートル程度、一方、自動車で郊外を移動する経路からであれば数キロメートル、といった具合に移動手段に応じて異なると考えられる。これに対し、抽出するスポット情報の範囲や数などを調整するため、例えば一律に1キロメートル四方のメッシュを単位に、抽出対象とするメッシュを増減すると、鉄道移動にもかかわらず途中駅から1キロ以上離れたスポットが案内されたり、逆に小さなメッシュに統一すると、自動車移動にも関わらず1〜2キロ離れただけで所望のスポットが案内されないなどの不便が生じる。
【0007】
上記の課題に対し、本発明の目的は、経路の属性に適した位置の情報を出力することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様(1)である情報提供装置は、一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとの地図情報であるメッシュデータを記憶するメッシュ記憶手段と、与えられた出発地及び目的地に基づいて経路の構成要素を求め、前記構成要素ごとに位置情報及び属性情報を含む経路情報を生成する経路情報生成手段と、前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定するメッシュ特定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様(9)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとに取り出し可能に構成した地図情報を記憶しているコンピュータが実行する情報提供方法であって、与えられた出発地及び目的地に基づいて経路の構成要素を求め、前記構成要素ごとに位置情報及び属性情報を含む経路情報を生成する経路情報生成処理と、前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定するメッシュ特定処理と、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様(11)は、上記態様をコンピュータ・プログラムのカテゴリで捉えたもので、一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとに取り出し可能に構成した地図情報を記憶し又はリモートアクセス利用するコンピュータを制御する情報提供プログラムであって、そのプログラムはコンピュータを制御することにより与えられた出発地及び目的地に基づいて経路の構成要素を求め、前記構成要素ごとに位置情報及び属性情報を含む経路情報を生成させ、前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定させることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様(2)である情報提供装置は、一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとの地図情報であるメッシュデータを記憶するメッシュ記憶手段と、与えられた出発地及び目的地に基づく経路の構成要素であって位置情報を含む構成要素ごとに、属性情報を付加する属性付加手段と、前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定するメッシュ特定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様(10)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとに取り出し可能に構成した地図情報を記憶しているコンピュータが実行する情報提供方法であって、与えられた出発地及び目的地に基づく経路の構成要素であって位置情報を含む構成要素ごとに、属性情報を付加する属性付加処理と、前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定するメッシュ特定処理と、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様(12)は、上記態様をコンピュータ・プログラムのカテゴリで捉えたもので、一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとに取り出し可能に構成した地図情報を記憶し又はリモートアクセス利用するコンピュータを制御する情報提供プログラムであって、そのプログラムはコンピュータを制御することにより、与えられた出発地及び目的地に基づく経路の構成要素であって位置情報を含む構成要素ごとに、属性情報を付加させ、前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定させることを特徴とする。
【0014】
本発明の上記態様では、目的地への経路に含まれる構成要素ごとの位置情報と属性情報から適切な種類すなわちサイズや縮尺等のメッシュを特定することにより、そのメッシュに対応する情報を抽出し、経路の属性に適した範囲の位置について地図などの情報を出力することができる。
【0015】
本発明の他の態様(3)は、上記いずれかの態様において、前記メッシュデータにはスポット情報が対応付けられ、前記特定されたメッシュデータに対応付けられたスポット情報を抽出して出力するスポット抽出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様(4)は、上記いずれかの態様において、前記属性情報の値ごとに予め定められたメッシュのサイズを対応付けて記憶している距離記憶手段を備え、前記メッシュ特定手段は、前記構成要素の前記属性情報に前記距離記憶手段において対応付けられている前記メッシュのサイズに係る前記メッシュデータを特定することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様(5)は、上記いずれかの態様において、前記距離記憶手段はさらに、前記属性情報の値ごとに予め定められた基準距離を対応付けて記憶しており、前記メッシュ特定手段は、前記構成要素の前記属性情報に前記距離記憶手段において対応付けられている前記基準距離内に位置する前記メッシュに係る前記メッシュデータを特定することを特徴とする。
【0018】
本発明の他の態様(6)は、上記いずれかの態様において、前記メッシュ特定手段は、前記構成要素を含むメッシュに係る前記メッシュデータを最初に特定し、その後は、その構成要素と中心同士の距離が短い順に前記メッシュデータを追加で特定する処理を、前記中心同士の距離が予め定められた限界距離に達するまで行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の他の態様(7)は、上記いずれかの態様において、前記メッシュ特定手段は、前記構成要素を含むメッシュに係る前記メッシュデータを最初に特定し、その後は、その構成要素と中心同士の距離が短い順に前記メッシュデータを追加で特定する処理を、特定されているメッシュに係る前記メッシュデータに対応して抽出されるスポット情報の数が予め定められた基準数に達するまで行うことを特徴とする。
【0020】
本発明の他の態様(8)は、上記いずれかの態様において、前記メッシュ特定手段は、前記追加で特定する処理を、前記中心同士の距離が前記限界距離に達するか、又は、前記スポット情報の数が前記基準数に達するか、のいずれかの状態となるまで行うことを特徴とする。
【0021】
なお、上記の各態様は、明記しない他のカテゴリ(方法、プログラム、システムなど)としても把握することができ、方法やプログラムのカテゴリについては、装置のカテゴリで示した「手段」を、「処理」や「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、処理やステップの順序は、本出願に直接明記のものに限定されず、順序を変更したり、一部の処理をまとめてもしくは随時一部分ずつ実行するなど、変更可能である。
【0022】
また、個々の手段、処理やステップを実現、実行する端末などのコンピュータは共通でもよいし、手段、処理やステップごとにもしくはタイミングごとに異なってもよい。また、上記「手段」の全部又は任意の一部を「部」(ユニット、セクション、モジュール等)と読み替えることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、経路の属性に適した位置の情報を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態について構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図。
【図3】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図。
【図4】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図。
【図5】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図。
【図6】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態における経路情報を示す概念図。
【図8】本発明の実施形態における属性情報を示す概念図。
【図9】本発明の実施形態において特定されたメッシュデータを示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」と呼ぶ)について図に沿って例示する。なお、背景技術や課題などで既に述べた内容と共通の前提事項は適宜省略する。
【0026】
〔1.構成〕
本実施形態は、図1の構成図に示す情報提供装置1(以下「本装置1」や「本装置」とも呼ぶ)に関するもので、この本装置1は、コンピュータの構成として少なくとも、CPUなどの演算制御部6と、主メモリや補助記憶装置等の記憶装置7と、通信ネットワークN(例えば、携帯電話、PHS、公衆無線LANなどの移動通信網、インターネットなど)との通信手段8(移動通信網との通信回路、無線LANアダプタなど)と、を有する。
【0027】
また、ユーザ端末Tは、スマートフォン、携帯電話端末、タブレットPCなどの携帯情報端末や、その他のパーソナルコンピュータといったクライアント装置で、上記のようなコンピュータの構成に加え、タッチパネル機能付きの液晶や有機EL等の表示画面などの入出力手段(図示省略)を有する。
【0028】
本装置1では、記憶装置7に記憶した所定のコンピュータ・プログラムを演算制御部6が実行することで、図1に示す各手段などの要素(20,30ほか)を実現する。実現される要素のうち情報の記憶手段の態様は自由で、記憶装置7上のファイルなど任意のデータ形式で実現できるほか、ネットワーク・コンピューティング(クラウド)によるリモート記憶などでもよい。
【0029】
また、記憶手段は、データの格納領域だけでなく、データの入出力や管理などの機能を含んでもよい。また、本出願に示す記憶手段の単位は説明上の便宜によるもので、適宜、構成を分けたり一体化できるほか、明示する記憶手段以外にも、各手段の処理データや処理結果などを記憶する記憶手段を適宜用いるものとする。記憶手段のうち、メッシュ記憶手段15は、一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとの地図情報であるメッシュデータを記憶する手段である(例えば図4)。
【0030】
また、メッシュデータには、例えばスポット情報記憶手段45に記憶されたデータ(例えば図5)などにより、スポット情報が対応付けられている。さらに、距離記憶手段35は、前記属性情報の値ごとに予め定められたメッシュのサイズを対応付けて記憶している(例えば図3)。また、距離記憶手段35はさらに、属性情報の値ごとに予め定められた基準距離を対応付けて記憶している(図3)。
【0031】
また、図中(例えば図1)の矢印は、データや制御などの流れについて主要な方向を補助的に示すもので、他の流れを否定するものでも、方向の限定を意味するものでもない。例えばある方向のデータ取得の前後に、データ要求や確認応答(ACK)が逆方向に発生し得る。また、記憶手段以外の各手段は、以下に説明するような情報処理の機能・作用(例えば図1)を実現・実行する処理手段であるが、これらは説明のために整理した機能単位であり、実際のハードウェア要素やソフトウェアモジュールとの一致は問わない。
【0032】
〔2.作用効果〕
上記のように構成された本装置1での処理手順を図6のフローチャートに示す。
【0033】
〔2−1.概要〕
すなわち、まず、経路情報生成手段20が、与えられた出発地及び目的地に基づいて経路の構成要素を求め、それら構成要素ごとに位置情報及び属性情報を含む経路情報を生成する(ステップS11)。また、メッシュ特定手段30が、前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定する(ステップS13からS19)。
【0034】
そして、この特定に伴って、スポット抽出手段40が、スポット情報記憶手段45を参照し、特定されたメッシュデータに対応付けられたスポット情報を抽出して(ステップS18)、ユーザ端末Tへ出力する(ステップS21)。
【0035】
〔2−2.経路情報の生成〕
処理のうち、経路情報の生成(ステップS11)では、道路網や鉄道網などのネットワーク構造を、区間を表すエッジやエッジの結節点(ノード)で表す探索用情報を予め用意し(従来と同様でよいため図示省略)、探索用情報記憶手段50に記憶しておく。この探索用情報を利用し、ダイクストラ法などの経路探索アルゴリズムにより、区間ごとの予想通過所要時間などをコストとしてコストの合計が最小の経路を計算する。経路情報は、構成要素(地点や、地点を結ぶ経路などであり、具体的には、道路、交差点、鉄道の線路、駅など)からなり、構成要素ごとに、所在地、始点と終点などの位置情報(緯度経度など)と、属性情報と、を含む。
【0036】
例えば、図7は、ある人の神奈川県藤沢市内の自宅を出発地、東京都の渋谷区役所を目的地とした経路情報の例で、この経路情報は、道路、鉄道の線路、駅や交差点などを構成要素としている。構成要素ごとの位置情報としては、図2に例示するように、駅などの所在地は、緯度経度で表された単一の位置情報で表され(「始点」の欄)、道路区間のように相当の長さがある構成要素の位置情報は、始点と終点それぞれの緯度経度で表されている。
【0037】
また、構成要素ごとの属性情報の形式は自由であるが、例えば図2の例では、属性情報を「駅」や「道路」などの客観的種別を表す「属性」と、「降車駅」「徒歩で移動」など個別の経路上や位置付けを表す「移動属性」と、で表している。すなわち、図7に示す道路、交差点や線路などの構成要素ごとに、図8において矢印の先に対応付けて示すように、「自動車で移動」「通過交差点」「電車で移動」などの移動属性が付与されている。
【0038】
なお、経路情報は、図6の手順におけるように本装置1上で生成(ステップS11)することは必須ではなく、他の装置(例えば図1に示す経路探索サーバRなど)から生成した経路情報を得て、それに属性情報を付加してもよい。この場合、属性付加手段22が、与えられた出発地及び目的地に基づく経路の構成要素であって位置情報を含む構成要素ごとに、属性情報を付加する。
【0039】
但し、このように経路情報を他の装置から得て属性情報を付加することは必須ではなく、図1において破線で示すこれら経路探索サーバR、属性付加手段22は省略してもよい。逆に、経路探索サーバRのような他の装置から得る経路情報に属性付加手段22が属性情報を付加する構成に絞って、経路情報生成手段20や探索用情報記憶手段50を省略することも可能である。
【0040】
〔2−3.メッシュの特定〕
続いて、メッシュデータの特定(ステップS13からS19)では、メッシュ特定手段30が、構成要素の属性情報(ここでは「移動属性」)に距離記憶手段35において対応付けられているメッシュのサイズに係るメッシュデータを特定する。図6の例では、経路情報に含まれる未処理の構成要素を一つずつ選択し(ステップS12)、構成要素ごとに、対応するサイズ(図9)のメッシュデータを特定する。
【0041】
例えば、「道路」の移動属性が「徒歩で移動」であれば(図2の例)、それに対応するサイズ「1/2500メッシュ」のメッシュデータを(図3)、以降の処理の対象として選択する(ステップS13)。
【0042】
そして、メッシュ特定手段30は、上記のように選択されたメッシュデータの中から、構成要素の移動属性に距離記憶手段35において対応付けられている基準距離内に位置するメッシュに係るメッシュデータを特定する。例えば、移動属性「徒歩で移動」の構成要素に対しては、基準距離「500m」内のメッシュデータを特定する。
【0043】
具体的には、メッシュ特定手段30は、構成要素を含むメッシュに係るメッシュデータを最初に特定し(ステップS14)、その後は、その構成要素と中心同士の距離が短い順にメッシュデータを追加で特定する処理を(ステップS15,S17)、中心同士の距離が予め定められた限界距離(ステップS16:「YES」)に達するまで行う。
【0044】
具体的には、中心同士の距離の短さで仮に特定したメッシュデータについて(ステップS15)、中心同士の距離が予め定められた限界距離に達していなければ(ステップS16:「NO」)、特定の結果すなわちメッシュデータを特定してきた結果であるメッシュデータの集合に正式に追加する(ステップS17)。また、ここでは、処理の繰返しの終了条件である限界距離として、前記基準距離(例えば「500m」)を用いるものとするが、限界距離は基準距離とは異なる基準で定めてもよい。
【0045】
また、処理の繰返しの終了条件は、上記の限界距離に限らず、特定されたメッシュデータに対応して抽出されるスポット情報の数で定めてもよい。この場合、メッシュ特定手段30は、構成要素を含むメッシュに係るメッシュデータを最初に特定し(ステップS14)、その後は、その構成要素と中心同士の距離が短い順にメッシュデータを追加で特定する処理を(ステップS15,S17)、特定されているメッシュに係るメッシュデータに対応して抽出(ステップS18)されるスポット情報の数が予め定められた基準数に達するまで行う(ステップS19:「YES」)。
【0046】
本実施形態の図6は、繰り返しの終了条件として、上に挙げた限界距離とスポット情報の数を併用する例であり、メッシュ特定手段30は、メッシュデータを追加で特定する処理(ステップS15)を、構成要素をメッシュデータの間で中心同士の距離が前記限界距離に達するか(ステップS16:「YES」)、又は、抽出に係るスポット情報の数が前記基準数に達するか(ステップS19:「YES」)、のいずれかの状態となるまで行う。
【0047】
図9は、図7及び図8に示した経路情報を基に特定したメッシュデータを示す概念図であり、経路情報の部分ごとに、構成要素の属性情報に応じて異なったサイズのメッシュが特定されており、特定されたメッシュデータは図中、ハッチングで示している。
【0048】
上記のようなメッシュデータの特定と並行して、図6のフロー例ではスポット情報を抽出(ステップS18)する例を示したが、メッシュデータの特定と特定結果の利用とのタイミングの関係は自由である。例えば、特定されたメッシュデータについて、メッシュIDの一覧などとして適宜な記憶手段に記憶させたり、メッシュデータに対応する何らかのフラグをセットするなどとして一旦記録しておき、以下のスポット情報の抽出などの対象に一括してもよい。
【0049】
〔2−4.スポット情報等の出力〕
上記のように特定されたメッシュデータの利用の一態様としては、スポット抽出手段40が、スポット情報記憶手段45を参照し、特定されたメッシュデータに対応付けられたスポット情報を抽出し(ステップS18)、ユーザ端末Tに出力する(ステップS20)。スポット情報としては、飲食店や金融機関などの店舗、郵便局などの公共機関、名勝旧跡など任意であり、例えば、経路情報と共に、経路途中で利用可能なお勧めスポットなどとしてユーザ端末Tに送信し表示させる。
【0050】
また、特定されたメッシュデータの利用態様は、スポット情報の抽出には限られず、例えば、経路周辺の地図だけを選択的に表示するものでもよく、そうすればスマートフォンなどの移動端末を利用時もデータ転送の時間や費用が圧縮できる。
【0051】
〔3.効果〕
(1) 以上のように本実施形態では、目的地への経路に含まれる構成要素ごとの位置情報と属性情報から適切な種類すなわちサイズや縮尺等のメッシュを特定することにより(例えば図6のステップS13からS19)、そのメッシュに対応する情報を抽出し(例えばステップS18)、経路の属性に適した範囲の位置について地図などの情報を出力することができる(例えばステップS21)。
【0052】
(2) なお、例えば属性付加手段22などにより、経路情報を他の装置から得てそれに属性情報を付加するようにすれば、既存の経路探索サーバRを活用して本発明を実施可能となるので、経路の属性に適した位置の情報を出力する本発明をより幅広く活用することができる。
【0053】
(3) さらに、本実施形態では、目的地への経路に含まれる構成要素ごとの位置情報と属性情報から適切な種類すなわちサイズや縮尺等のメッシュを特定し、そのメッシュに対応するスポット情報を抽出することにより(ステップS13からS19)、経路から行ける範囲と位置の合わないスポット情報が抽出されないので、経路の属性に適した位置のスポット情報を出力することができる。
【0054】
(4) とりわけ、本実施形態では、属性情報に対応するサイズのメッシュを特定するという手法を用いることで(例えばステップS13)、特定するメッシュのサイズをその都度計算する必要がなく、迅速な処理が実現できる。
【0055】
(5) 加えて、本実施形態では、属性情報の値に対応する基準距離内に位置するメッシュを特定の対象とするという手法を用いることで、メッシュのサイズを問わず、属性情報からみて遠すぎるスポットが出力される事態を回避できる。
【0056】
(6) より具体的には、本実施形態では、構成要素を含むメッシュから始めて、中心同士の距離が短い順にメッシュを追加する処理を限界距離まで(例えばステップS16:「YES」)行うという手法を用いることで、構成要素の位置に適合した順序で近い順にメッシュを特定することが可能となる。
【0057】
(7) また、本実施形態では、構成要素を含むメッシュから始めて、中心同士の距離が短い順にメッシュを追加する処理を、スポット情報の数が基準数に達するまで(例えばステップS19:「YES」)行うという手法を用いることで、処理を迅速に終了させ応答速度を改善することができる。
【0058】
本実施形態では、構成要素を含むメッシュから始めて、中心同士の距離が短い順にメッシュを追加する処理を、中心同士の距離が限界距離に達するか(例えばステップS16:「YES」)、又は、スポット情報の数が基準数に達するか(例えばステップS19:「YES」)、のいずれかまで行うという手法を用いることで、無駄な処理負荷と、遠過ぎるスポットの出力と、を同時に回避可能となる。
【0059】
〔4.他の実施形態〕
なお、上記実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、本出願における構成図、データの図、フローチャートなどは例示に過ぎず、各要素の有無、その配置や処理実行などの順序、具体的内容などは適宜変更可能である。
【0060】
一例として、例えば、Geohash(パブリックドメインである)などの技術により、緯度経度と縮尺からメッシュIDを計算してメッシュを特定する場合、メッシュ記憶手段15のように「一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとの地図情報であるメッシュデータ」を記憶しておくことは必須ではない。
【0061】
すなわち、代りにコンピュータが、一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとに取り出し可能に構成した地図情報を記憶しているか、又はリモートアクセス利用すればよい。また、スポット情報記憶手段45(図5)内のメッシュIDは、縮尺ごとに存在する必要はなく、上記のGeohashにおいて前方一致で検索できるため、一番こまかいメッシュの情報だけに対応付けておけばよい。
【0062】
また、本装置1を構成する個々の手段を実現する態様は自由で、外部のサーバが提供している機能をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワーク・コンピューティング(いわゆるクラウドなど)で呼び出して実現するなど、本発明の構成は柔軟に変更できる。加えて、本発明は、スマートフォンなどクライアント装置やクライアント装置上で実行する情報処理方法やコンピュータ・プログラム、そのようなプログラムを配信するサーバなど、他のカテゴリの実施態様としても把握できる。
【0063】
この場合のコンピュータ・プログラムの種類は自由で、例えば、スマートフォンにインストールしたアプリケーション・プログラムの他、ウェブサーバから配信されるHTMLやスクリプトなどウェブページのデータ、オペレーティング・システムなどの基本ソフトウェアや、それらのプラグイン・ソフトウェアに代表される機能拡張モジュール、その他の種類でもよい。さらに、本発明に関する手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず物理的な電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 情報提供装置
6 演算制御部
7 記憶装置
8 通信手段
15 メッシュ記憶手段
20 経路情報生成手段
22 属性付加手段
30 メッシュ特定手段
35 距離記憶手段
40 スポット抽出手段
45 スポット情報記憶手段
50 探索用情報記憶手段
N 通信ネットワーク
R 経路探索サーバ
T ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとの地図情報であるメッシュデータを記憶するメッシュ記憶手段と、
与えられた出発地及び目的地に基づいて経路の構成要素を求め、前記構成要素ごとに位置情報及び属性情報を含む経路情報を生成する経路情報生成手段と、
前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定するメッシュ特定手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとの地図情報であるメッシュデータを記憶するメッシュ記憶手段と、
与えられた出発地及び目的地に基づく経路の構成要素であって位置情報を含む構成要素ごとに、属性情報を付加する属性付加手段と、
前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定するメッシュ特定手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
前記メッシュデータにはスポット情報が対応付けられ、
前記特定されたメッシュデータに対応付けられたスポット情報を抽出して出力するスポット抽出手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記属性情報の値ごとに予め定められたメッシュのサイズを対応付けて記憶している距離記憶手段を備え、
前記メッシュ特定手段は、前記構成要素の前記属性情報に前記距離記憶手段において対応付けられている前記メッシュのサイズに係る前記メッシュデータを特定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記距離記憶手段はさらに、前記属性情報の値ごとに予め定められた基準距離を対応付けて記憶しており、
前記メッシュ特定手段は、前記構成要素の前記属性情報に前記距離記憶手段において対応付けられている前記基準距離内に位置する前記メッシュに係る前記メッシュデータを特定することを特徴とする請求項4記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記メッシュ特定手段は、
前記構成要素を含むメッシュに係る前記メッシュデータを最初に特定し、
その後は、その構成要素と中心同士の距離が短い順に前記メッシュデータを追加で特定する処理を、前記中心同士の距離が予め定められた限界距離に達するまで行う
ことを特徴とする請求項5記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記メッシュ特定手段は、
前記構成要素を含むメッシュに係る前記メッシュデータを最初に特定し、
その後は、その構成要素と中心同士の距離が短い順に前記メッシュデータを追加で特定する処理を、特定されているメッシュに係る前記メッシュデータに対応して抽出されるスポット情報の数が予め定められた基準数に達するまで行う
ことを特徴とする請求項6記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記メッシュ特定手段は、
前記追加で特定する処理を、前記中心同士の距離が前記限界距離に達するか、又は、前記スポット情報の数が前記基準数に達するか、のいずれかの状態となるまで行う
ことを特徴とする請求項7記載の情報提供装置。
【請求項9】
一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとに取り出し可能に構成した地図情報を記憶しているコンピュータが実行する情報提供方法であって、
与えられた出発地及び目的地に基づいて経路の構成要素を求め、前記構成要素ごとに位置情報及び属性情報を含む経路情報を生成する経路情報生成処理と、
前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定するメッシュ特定処理と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項10】
一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとに取り出し可能に構成した地図情報を記憶しているコンピュータが実行する情報提供方法であって、
与えられた出発地及び目的地に基づく経路の構成要素であって位置情報を含む構成要素ごとに、属性情報を付加する属性付加処理と、
前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定するメッシュ特定処理と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項11】
一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとに取り出し可能に構成した地図情報を記憶し又はリモートアクセス利用するコンピュータを制御する情報提供プログラムであって、
そのプログラムはコンピュータを制御することにより
与えられた出発地及び目的地に基づいて経路の構成要素を求め、前記構成要素ごとに位置情報及び属性情報を含む経路情報を生成させ、
前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定させる
ことを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項12】
一定サイズに区分した単位であるメッシュごと、かつ、複数のサイズのメッシュごとに取り出し可能に構成した地図情報を記憶し又はリモートアクセス利用するコンピュータを制御する情報提供プログラムであって、
そのプログラムはコンピュータを制御することにより
与えられた出発地及び目的地に基づく経路の構成要素であって位置情報を含む構成要素ごとに、属性情報を付加させ、
前記構成要素の位置情報及び属性情報に基づいて、その構成要素に対応する前記メッシュデータを特定させる
ことを特徴とする情報提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92416(P2013−92416A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233855(P2011−233855)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】