説明

情報提示システムおよび移動端末

【課題】移動端末の設置自由度の向上を可能としながら、車両情報を車載装置から移動端末へ適切に伝達することができる情報提示システムを提供する。
【解決手段】車載装置と移動端末とを備える情報提示システムであって、車載装置1は、車両情報を取得する車両情報取得手段と、取得された車両情報をデータに変換するデータ変換手段と、データ変換手段により変換されたデータに基づいて音波信号を出力する出力手段50と、を有し、移動端末2は、車載装置1から出力された音波信号を集音する集音手段70と、集音された音波信号からデータを求め、当該データを車両情報に変換する車両情報変換手段と、車両情報変換手段により変換された車両情報に基づく提示情報をユーザに提示する情報提示手段100,110と、を有することを特徴とする情報提示システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置と移動端末とからなる情報提示システムおよび移動端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型のナビゲーション装置であるPND(Personal Navigation Device)を車両内の電源ラインを介して車載装置と接続し、この電源ラインを利用して、車載装置から送信された車速情報を含む車両情報をPNDに受信させることにより、PNDの位置測位精度を向上する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−255938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、車両に取り付けられた電源ラインを利用して、車載装置から送信される車両情報をPNDなどの移動端末が受信する構成であるため、PNDなどの設置自由度が制限されるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、PNDなどの移動端末の設置自由度の向上を可能としながら、車両情報を車載装置からPNDなどの移動端末へ適切に伝達することができる情報提示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車載装置と移動端末とを備える情報提示システムにおいて、車載装置により自車両の車両情報を音波信号として移動端末へ出力し、当該音波信号を集音した移動端末により当該音波信号から求めた車両情報に基づく提示情報をユーザに提示することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車載装置で取得した車両情報を音波信号により移動端末に伝達することで、移動端末の設置自由度の向上を可能としながら、車載機器から移動端末へ車両情報を適切に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る情報提示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る情報提示処理を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係る情報提示システムの構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態に係る情報提示処理を示すフローチャートである。
【図5】第3実施形態に係る情報提示システムの構成を示すブロック図である。
【図6】第3実施形態に係る情報提示処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態においては、車両に搭載される情報提示システムを例示して説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る情報提示システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態において例示する情報提示システムは、車両に搭載される車載装置1と、ユーザが携帯可能なナビゲーション装置であるPND2とから構成される。
【0010】
車載装置1は、コントローラ10と、車両コントローラ20と、オーディオコントローラ30と、対応表40と、スピーカー50とから構成され、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行うことができる。
【0011】
車両コントローラ20は、車速センサ21と、シートベルトリマインダ22と、サイドブレーキ警報装置23とを含む各種センサや各種メーターとCANにより接続し、これらのセンサやメーターから車両情報を取得する。例えば、車両コントローラ20は、車速センサ21から車速パルスを、シートベルトリマインダ22からユーザがシートベルトを着用していないことを示すシートベルト警報信号を、サイドブレーキ警報装置23からサイドブレーキを戻さずに走行していることを示すサイドブレーキ戻し忘れ警報信号を取得する。また、車両コントローラ20は、取得した走行距離や残燃料などから燃費情報を算出する。取得した車両情報は、車両コントローラ20によりコントローラ10に送信される。
【0012】
オーディオコントローラ30は、例えば、車載装置1において再生している楽曲のトラック情報、曲名、アーティスト名などのオーディオ情報を取得し、CANを介してコントローラ10に送信する。
【0013】
対応表40には、車両情報とデータ(例えば、音声データ、ブザー音などの警報音を示す音データ)とが対応付けて記憶されている。コントローラ10は、対応表40を参照することで、車両コントローラ20から送信された車両情報を、この車両情報に対応したデータに変換することができる。
【0014】
スピーカー50は、コントローラ10から出力されたデータを音波信号に変換して車室内に出力する。なお、スピーカー50から出力される音波信号は特に限定されず、車両情報の種類に応じて、ブザー音(警告音)や車両情報の内容をユーザにアナウンスするための発声音声など適宜決定される。また、後述するように、スピーカー50から出力される音波信号は、車両情報の種類に応じて、ユーザが聴き取ることができる可聴域の音またはユーザが聴き取ることができない非可聴域の音として出力される。
【0015】
次に、コントローラ10について説明する。コントローラ10はPND2にオーディオ情報を含む車両情報を伝達するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)11と、このROM11に格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)12と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とから構成される。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)12に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0016】
本実施形態のコントローラ10は、以下の機能を備える。車両情報を取得する車両情報取得機能と、取得した車両情報をデータに変換するデータ変換機能と、変換されたデータをスピーカー50に出力する出力機能とを有する。そして、各機能を実現するためのソフトウェアと、上述したコントローラ10を含むハードウェアの協働により各機能を実行する。
【0017】
以下に、上述したコントローラ10が備える各機能についてそれぞれ詳細に説明する。
【0018】
まず、コントローラ10の車両情報取得機能について説明する。車両情報取得機能は、オーディオ情報を含む車両情報を取得する。すなわち、車両情報取得機能は、車両コントローラ20から車速パルス、燃費情報、および警報情報などの車両情報を取得し、また、オーディオコントローラ30からオーディオ情報を取得する。
【0019】
次に、コントローラ10のデータ変換機能について説明する。データ変換機能は、車載装置1に備える対応表40を参照し、車両情報取得機能により取得したオーディオ情報を含む車両情報をデータに変換する。上述したように、対応表40には、オーディオ情報を含む車両情報とデータとが対応付けて記憶されている。そのため、データ変換機能は、対応表40を参照することで、取得した車両情報を、この車両情報に対応付けて記憶されているデータへ変換することができる。
【0020】
次に、コントローラ10の出力機能について説明する。出力機能は、データ変換機能により変換されたデータをスピーカー50に送信する。これにより、スピーカー50から音波信号に変換されたデータが、車室内に出力される。
【0021】
次に、PND2の構成について説明する。PND2は、簡易のナビゲーション装置またはオーディオ装置として機能する小型デバイスである。PND2は、ナビゲーションコントローラ60と、マイク70と、A/Dコンバータ80と、対応表90と、表示デバイス100と、スピーカー110とから構成される。
【0022】
マイク70は、車載装置10から出力された音波信号を集音し、集音した音波信号をデータに変換し、ナビゲーションコントローラ60に送信する。
【0023】
対応表90には、車載装置1の対応表40と同様に、オーディオ情報を含む車両情報と所定のデータとが対応付けて記憶されている。これにより、PND2は、対応表90を参照して、車載装置1から出力された音波信号から求めたデータと、対応表90に記憶されたデータとを照合することで、車載装置1から出力された音波信号から求めたデータを車両情報に変換することができる。
【0024】
PND2は、車両情報に基づく提示情報をユーザに提示するために、表示デバイス100およびスピーカー110を備える。表示デバイス100は、車両情報に基づく情報であって、ユーザに提示するための提示情報をナビゲーションコントローラ60から受信し、表示デバイス100に備える画面上にこの提示情報を表示する。これにより、表示ディスプレイ100は、オーディオ情報を含む車両情報の詳細な内容をユーザに提示することができる。なお、表示デバイス100としては、例えば、ディスプレイが挙げられる。また、スピーカー110は、ナビゲーションコントローラ60から車両情報に基づいて生成されたデータを受信し、このデータをアナウンス音声またはブザー音などとして出力する。これにより、スピーカー110は、オーディオ情報を含む車両情報に基づく提示情報をユーザに提示することができる。
【0025】
次に、ナビゲーションコントローラ60について説明する。ナビゲーションコントローラ60も、車載装置1のコントローラ10と同様に、ROM61と、CPU62と、RAM63とから構成される。また、コントローラ10と同様に、動作回路としては、CPU62に代えて又はこれとともに、MPU、DSP、ASIC、FPGAなどを用いることができる。
【0026】
ナビゲーションコントローラ60は、A/Dコンバータ80から送信されたデータについて音声認識処理を行い、このデータを車両情報に変換する車両情報変換機能を有する。例えば、車両情報変換機能は、A/Dコンバータ80から送信されたデータの周波数成分、振幅などを分析し、このデータの特徴パラメータの系列を取得する。そして、対応表90を参照して、取得したデータの特徴パラメータと、対応表90に格納されているデータの特徴パラメータとを照合することで、対応表90に格納されているデータのうち最も尤度の高いデータに対応付けて記憶した車両情報を取得する。加えて、車両情報変換機能は、取得した車両情報に基づいて、ユーザに提示するための提示情報を取得する。例えば、車両情報が車速パルスである場合、車両情報変換機能は、車載装置1から伝達された車速パルスを用いて自車両の位置情報を補正することで、ユーザに提示するための補正後の自車両の位置情報を取得する。
【0027】
続いて、図2のフローチャートに基づいて、本実施形態に係る情報提示処理について説明する。図2は本実施形態に係る情報提示処理を示すフローチャートである。以下においては、車両に持ち込まれたPND2において、自車両の位置情報を適切に表示することができない状況において、車載装置1からPND2に車速パルスを伝達し、伝達された車速パルスに基づいて補正した自車両の位置情報をユーザに提示する場面例について説明する。なお、車両に持ち込まれたPND2において自車両の位置情報を適切に表示することができない状況としては、例えば、トンネル内での渋滞などにより、PND2が備える図示しないGPS(Global Positioning System)から自車両の位置情報を取得することができず、またPND2の備える図示しない加速度センサから加速度を適切に検出できない場合が挙げられる。
【0028】
ステップS101では、コントローラ10の車両情報取得機能は、車両コントローラ20を介して、車速センサ21で検出した車速パルスを取得する。
【0029】
そして、ステップS102において、コントローラ10のデータ変換機能は、自車両の車速が所定の速度以下、例えば、時速5km以下であるかを判断する。自車両の速度が所定の速度以下である場合は、自車両の位置情報を補正するための加速度をPND2において検出できない場合がある。そこで、自車両の速度が所定の速度以下である場合は、自車両の位置情報を補正するための車速パルスをPND2に伝達するために、ステップS103に進む。一方、自車両の速度が所定の速度よりも速い場合は、PND2において加速度を取得することができ、車速パルスをPND2に伝達する必要がないため、この情報提示処理を終了する。このように、自車両の車速が所定の速度以下であるかを判断して、車速パルスをPND2に伝達する必要がない場合に、情報提示処理を終了することで、CPU12の負担を低減することができる。
【0030】
本例においては、車両はトンネルン内での渋滞により、自車両が時速5km以下の車速で走行しており、データ変換機能は、自車両の車速が所定の速度以下であると判断し、ステップS103に進む。
【0031】
ステップS103では、コントローラ10のデータ変換機能は、対応表40を参照して、ステップS101で取得した車速パルスを、車速パルスに対応付けて記憶されているデータに変換する。続くステップS104では、コントローラ10の出力機能は、ステップS103で車速パルスから変換したデータをスピーカー50に出力する。そして、スピーカー50は、コントローラ10から送信されたデータを音波信号に変換して、この音波信号を車室内に出力する。
【0032】
ここで、本実施形態において車載装置1から出力される音波信号に含まれる車両情報は車速パルスであり、この車速パルスはユーザに注意や警報を与えるものではない。そこで、ステップS104においてスピーカー50から出力される音波信号は、ユーザに聴き取れない非可聴域の音として出力される。これにより、車速パルスに対応して出力された音が鳴り続けることによる不快感をユーザに与えることなく、車載装置1からPND2に車速パルスを適切に伝達することができる。また、スピーカー50から出力される音波信号は、例えば、所定のブザー音として出力される。これにより、PND2は、所定のブザー音を音声認識処理により検出することで、このブザー音から求めたデータを車速パルスに変換することができる。
【0033】
ステップS104で車速パルスに対応する音波信号をスピーカー50から出力することで、車載装置1における情報提示処理は終了する。続いて、PND2における情報提示処理について説明する。
【0034】
ステップS105では、PND2のナビゲーションコントローラ60が、自車両の位置情報または加速度を取得できるかを判断する。上述したように、トンネル内での渋滞などにおいては、PND2は、GPSから自車両の位置情報を取得できず、また車速センサから加速度を取得できない場合がある。このような場合、PND2において、自車両の位置情報を適切に提示することができない。そこで、ナビゲーションコントローラ60が自車両の位置情報または加速度を取得できるか否かを判断し、ナビゲーションコントローラ60が自車両の位置情報または加速度を取得できない場合は、車載装置1から伝達される車速パルスを用いて自車両の位置情報を適切に提示するため、ステップS106に進む。一方、PND2が車両の位置情報または加速度を取得することができる場合、PND2はこれらの情報を用いて自車両の位置情報を適切に提示することができるため、この情報提示処理を終了する。このように、自車両の位置情報または加速度を取得できる場合は、PND2において自車両の位置情報を適切に提示することができるため、PND2において音声認識処理を行わないで情報提示処理を終了することで、PND2の充電量の減少を抑制することができる。なお、本例においては、トンネル内での渋滞により、ナビゲーションコントローラ60は自車両の位置情報および加速度を検出できないため、ステップS106に進む。
【0035】
ステップS106では、PND2に備えるマイク70が車両内に出力された音波信号の集音を開始する。ここで、ステップS104では、車載装置1から車速パルスを音波信号として出力しているため、PND2は、この車速パルスを含む音波信号を集音することができる。マイク70は、集音した音波信号をデータに変換し、ナビゲーションコントローラ60へ送信する。
【0036】
次に、ステップS107では、ナビゲーションコントローラ60の車両情報変換機能は、A/Dコンバータ80から送信されたデータを取得し、取得したデータについて音声認識処理を行う。例えば、車両情報変換機能は、取得したデータの周波数成分や振幅などを分析し、このデータの特徴パラメータの系列を取得する。そして、対応表90を参照して、このデータの特徴パラメータと、対応表90において車速パルスに対応付けて記憶されたデータの特徴パラメータとを照合して、集音した音波信号から求めたデータが、車速パルスに基づくデータであるか判断する。取得した音波信号から求めたデータが車速パルスに対応付けて記憶したデータと同じであれば、取得したデータを車速パルスに変換する。
【0037】
ステップS108では、車両情報変換機能が、データから変換された車速パルスに基づいて自車両の車速を算出する。ここで、上述したように、車載装置1は、車速パルスを検出したタイミングに合わせて、車速パルスを所定のブザー音として出力しているため、PND2において集音した所定のブザー音からデータを求め、当該データを車速パルスに変換することで、自車両の車速を算出することができる。そして、車両情報変換機能は、算出した車速を用いて、自車両の位置する緯度経度などの位置情報を補正する。なお、自車両の位置情報の補正は、公知の方法を用いて行えばよい。
【0038】
続くステップS109では、車両情報変換機能は、ステップS108で補正した自車両の位置情報を表示デバイス100に送信する。これにより、表示デバイス100は、表示デバイス100に備える画面上に、補正後の自車両の位置を表示することができる。また、車両情報変換機能により補正後の位置情報を用いて自車両の周辺情報などをアナウンスする音声データを生成し、生成した音声データをスピーカー110に送信することにより、スピーカー110から自車両の周辺情報などをアナウンスする音声を出力させてもよい。
【0039】
ステップS109で車速パルスに基づいて補正した自車両の位置情報をユーザンに提示した後は、この情報提示処理を終了する。なお、情報提示システムは、この情報提示処理の終了後、再度、この情報提示処理を開始する。これにより、車速パルスを検出する度に車載装置1からPND2へ車速パルスを伝達することができる。その結果、PND2が、自車両の位置情報または加速度を取得できない間であっても、PND2は、車載装置1から伝達された車速パルスを用いて、自車両の位置情報を適宜補正することができ、補正後の自車両の位置情報をユーザに適切に提示することができる。
【0040】
以上のように、第1実施形態においては、車載装置1で検出した車速パルスに合わせて所定のブザー音を車室内に出力し、PND2において当該ブザー音を集音し、当該ブザー音に基づいて速度パルスを取得する。これにより、第1実施形態においては、PND2の設置自由度の向上を可能としながら、車載装置1からPND2へ車速パルスを適切に伝達することができる。その結果、トンネル内での渋滞などにより、PND2において、自車両の位置情報や加速度を検出できない場合であっても、PND2は、車載装置1から伝達された車速パルスに基づいて自車両の位置情報を補正し、補正後の自車両の位置情報をユーザに適切に提示することができる。
【0041】
加えて、第1実施形態において、車載装置1は、車速パルスをユーザが聴き取れない非可聴域の音として出力する。車速パルスはユーザに注意を促すための情報ではないため、仮に、車速情報を可聴域の音として出力すると、音が鳴り続けることにより、ユーザに不快感を与えることになる。そのため、車速パルスを非可聴域の音として出力することで、ユーザに不快感を与えることなく、自車両の位置情報の補正に必要な車速パルスを車載装置1からPND2に伝達することができる。さらに、電波障害や電波に影響を与えるノイズなどにより電波または電磁波により無線通信を適切に行えないような場合であっても、車両パルスを音波として出力することで、車載装置1からPND2に車速パルスを適切に伝達することができる。
【0042】
なお、第1実施形態のステップS102においては、車速が一定の速度以下の場合に加えて、車載装置1が備える図示しないGPSで自車両の位置情報を検出することができない場合に、ステップS103以降の処理に進むようにしてもよい。さらに、車載装置1は自車両が停止していると判断した場合において、この情報提示処理を終了するようにしてもよい。これにより、コントローラ10のCPU12の負担を低減することができる。
【0043】
≪第2実施形態≫
続いて、図3および図4を用いて、第2実施形態に係る情報提示処理について説明する。図3は、第2実施形態に係る情報提示システムのブロック図である。また図4は、第2実施形態に係る情報提示処理を示すフローチャートである。第2実施形態においては、以下に説明する点以外は、第1実施形態の情報提示システムと同様の構成を有し、第1実施形態の情報提示システムと同様の動作を行う。
【0044】
図3に示すように、第2実施形態におけるPND2は、音響モデル120、辞書130を有している。音響モデル120は、例えば、隠れマルコフモデルまたは混合ガウス分布モデルなどのモデルが格納されており、辞書130には、通常語および省略語を含む語彙が格納されている。PND2は、音響モデル120および辞書130を参照することで、マイク70に入力された音声から求めた音声データの音声認識処理を行うことができる。すなわち、ナビゲーションコントローラ60の車両情報変換機能は、対応表90に記憶した音声データと取得した音声データとを照合し、同一の音声データであるかを判断する音響分析による音声認識処理に加えて、取得した音声データが音声に基づく音声データである場合には、音響モデル120や辞書130を用いてモデルを合成して、音響分析した音声データと合成したモデルとを照合し、最も尤度の高い単語を取得することにより音声を認識する音声認識処理をも行う。
【0045】
次に、図4を用いて、第2実施形態に係る情報提示処理を説明する。以下においては、車両走行時に、ユーザがシートベルトを着用していないため、車載装置1からPND2にシートベルト警報信号を伝達し、PND2においてシートベルトの着用を促すシートベルト警報をユーザに提示する場面を例示して説明する。
【0046】
まず、車載装置1における処理について説明する。ステップS201において、コントローラ10の車両情報取得機能は、車両コントローラ20から警報情報を含む車両情報を取得する。本例においては、コントローラ10が、車両コントローラ20を介して、シートベルトリマインダ22からシートベルト警報信号を取得する。
【0047】
次に、ステップS202においては、コントローラ10の音声データ変換機能は、警報情報を取得したか否かを判断する。ここで、警報情報とは、シートベルト警報信号に限られず、例えば、表1に示すように、リバース警報信号、ドアロック警報信号、タイヤ空気圧警報信号、サイドブレーキ戻し忘れ警報信号、およびターンシグナル・ハザード戻し忘れ警報信号などのメーター警報信号や、車両の前後方向および側面方向の安全性を確保するためのITS警報信号などが挙げられる。
【表1】

【0048】
ステップS202において、音声データ変換機能が警報情報を取得したと判断した場合は、ステップS203に進む。一方、音声データ変換機能が警報情報を取得していないと判断した場合は、この情報提示処理を終了する。このように、車載装置1は警報情報を取得したかを判断し、警報情報を取得していない場合には、車載装置1からPND2へ警報情報を伝達する必要がないため情報提示処理を終了することで、CPU12の負担を低減することができる。本例においては、ステップS201において、シートベルトリマインダ22からシートベルト警報信号を取得しており、音声データ変換機能は、シートベルト警報信号を取得したと判断し、ステップS203に進む。
【0049】
ステップS203では、コントローラ10の音声データ変換機能が、対応表40を参照して、ステップS201で取得したシートベルト警報信号を音声データに変換する。ここで、対応表40には、各警報情報に関連付けて各警報情報の内容をアナウンスするための音声データがあらかじめ記憶されている。本例においては、ステップS201においてシートベルト警報信号を取得しているため、音声データ変換機能は、対応表40を参照して、取得したシートベルト警報信号を、例えば、“「シートベルトを着用してください。」”というアナウンス音声を出力するための音声データに変換する。
【0050】
さらに、ステップS203において、音声データ変換機能は、対応表40を参照して、第1の制御音波信号を出力するための音声データを取得する。ここで、第1の制御音波信号とは、例えば、所定の周波数または所定の音圧の音波であり、PND2に、シートベルト警報信号に対応する音声データの音声認識処理を開始させるためのトリガーとなる音波である。ここで、シートベルト警報信号に対応する音波信号は“「シートベルトを着用してください。」”などの音声であり、このような音声を含む音声データについての音声認識処理は、音声データの周波数成分などの音響分析に加えて、音響モデル120や辞書130を参照してモデルを合成し、分析した音声データと合成したモデルとを照合して音声を認識する必要があるため、PND2の充電量の減少が大きい。そこで、第1の制御音波信号を、PND2に、シートベルト警報信号に対応する音声データの音声認識処理を開始させるためのトリガーとすることで、第1の制御音波信号の後に出力されるシートベルト警報信号の音声データについて音声認識処理を適切に行うことができ、その結果、PND2の充電量の減少を抑制することができる。
【0051】
ステップS204においては、コントローラ10の出力機能は、ステップS203で取得した第1の制御音波信号を出力するための音声データをスピーカー50に出力する。コントローラ10から第1の制御音波信号を出力する音声データを受信したスピーカー50は、所定時間、この音声データから変換された第1の制御音波信号を車室内に出力する。なお、第1の制御音波信号は、可聴域の音としてもよいが、ユーザに注意を促すものではないため、非可聴域の音とするのが好適である。
【0052】
続くステップS205はPND2における処理となる。ステップS205では、PND2に備えるマイク70が、車室内の音波信号を集音する。ここで、ステップS204において、車載装置1は、第1の制御音波信号を出力しているため、ステップS205において、マイク70は、第1の制御音波信号を集音することができる。マイク70により集音された音波信号は、A/Dコンバータ80を介して、デジタル音声データとしてコントローラ10に送信される。
【0053】
次に、ステップS206においては、ナビゲーションコントローラ60の車両情報変換機能は、第1の制御音波信号を検出したか判断する。例えば、車両情報変換機能は、送信された音声データの周波数成分、振幅などを分析し、この音声データの特徴パラメータの系列を取得する。そして、車両情報変換機能は、対応表90を参照して、送信された音声データの特徴パラメータと、対応表90において第1の制御音波信号に対応付けて記憶された音声データの特徴パラメータとを照合する。その結果、送信された音声データと第1の制御音波信号に対応付けて記憶されている音声データとが同じであると判断できる場合は、第1の制御音波信号を検出したものと判断して、ステップS207に進む。一方、照合の結果、送信された音声データと第1の制御音波信号に対応付けて記憶された音声データとが異なる場合は、第1の制御音波信号を検出できないと判断し、この情報提示処理を終了する。
【0054】
続くステップS207では、再び、車載装置1の情報提示処理が行われる。ステップS207では、コントローラ10の出力機能は、ステップS203でシートベルト警報信号から変換された音声データをスピーカー50に出力する。そして、スピーカー50は、受信した音声データを音波信号に変換し、この音波信号を車室内に出力する。このように、車載装置1は、ステップS204で第1の制御音波信号を所定時間出力した後に、シートベルト警報信号に対応した音波信号を出力することになる。ここで、警報情報に対応する音波信号は、ユーザが聴き取れる可聴域の音であって、シートベルト警報の内容をユーザに知らせるためのアナウンス音声として出力される。例えば、本例のように警報情報がシートベルト警報信号の場合、出力機能は、“「シートベルトを着用してください。」”などのアナウンス音声を出力する。このように、車載装置1において、警報情報の内容をアナウンスする可聴域の音を出力することにより、ユーザに警報の内容を知らせることができる。
【0055】
また、このシートベルト警報信号に対応する音波信号には、第2の制御音波信号が含まれる。第2の制御音波信号は、例えば、所定の周波数または音圧の音波であり、シートベルト警報信号に対応する音波信号の先頭に付加される。そのため、PND2は、第2の制御音波信号を指標として、シートベルト警報信号が含まれる音波信号を認識し、この音波信号から求ためた音声データの音声認識処理を開始することができる。これにより、ユーザによる会話音声やオーディオ音声などが含まれる音波信号のうち、警報情報が含まれる音波信号についてのみ音声認識処理を行うことができる。上述したように、シートベルト警報信号に対応する音声データの音声認識処理は、音声データの周波数分析などの音響分析による音声認識処理に加えて、音響モデル120や辞書130を用いて、音声データから得られた特徴パラメータと音響モデルとを照合して、最も尤度の高い単語を取得することにより音声を認識する必要があり、仮に、集音した全ての音波信号から求めた音声データについて音声認識処理を行うとすると、CPU62の充電量の減少が大きくなる。そのため、車両内に出力された音波信号のうち、警報情報が含まれる音波信号から求めた音声データについてのみ音声認識処理を行うことで、PND2の充電量の減少を抑制することができる。
【0056】
ステップS207において、第2の制御音波信号を含む音波信号を出力した後は、車載装置1における情報提示処理は終了する。そして、再度、PND2での処理に戻る。
【0057】
次にステップS208においては、PND2に備えたマイク70により車両内の音波を集音する。ここで、ステップS207において、車載装置1は、第2の制御音波信号とシートベルト警報信号を示す音波信号からなる音波信号を出力している。そのため、ステップS208において、マイク70は、当該音波信号を集音することができる。集音された音波信号は、A/Dコンバータ80を介して、ナビゲーションコントローラ60に送信される。
【0058】
ステップS209では、ナビゲーションコントローラ60の車両情報変換機能は、ステップS208で集音した音波信号の音声データを取得し、この音声データについて音声認識処理を行い、この音波信号において第2の制御音波信号を検出できるかを判断する。例えば、この音声データの周波数成分、振幅などを分析し、取得した音声データの特徴パラメータの系列を取得する。そして、車両情報変換機能は、対応表90を参照して、受信した音声データの特徴パラメータと、対応表90において第2の制御音波信号に対応付けて記憶されている音声データの特徴パラメータとを照合する。照合の結果、取得した音声データの一部と第2の制御音波信号に対応付けて記憶されている音声データとが同じであると判断した場合は、第2の制御音波信号を検出することができたものと判断し、ステップS210に進む。一方、照合の結果、取得した音声データの一部と第2の制御音波信号に対応付けて記憶されている音声データとが異なるものと判断した場合は、第2の制御音波信号を検出することができず、取得した音波信号は、車載装置1からPND2に警報情報を達するために出力された音波信号ではないと判断し、情報提示処理を終了する。
【0059】
ステップS210においては、第2の制御音波信号に続く音波信号、すなわち、シートベルト警報信号を示す音波信号から求めた音声データについて音声認識処理を行う。ここで、シートベルト警報信号を示す音波信号は、“「シートベルトを着用してください。」”などの音声のため、音響分析による音声認識処理に加えて、音響モデル120および辞書130を参照して音声認識処理を行う。例えば、車両情報変換機は、音声データの周波数成分、振幅、または速度などを分析し、この音声データの特徴パラメータの系列を取得する。さらに、ステップS210の音声認識処理においては、音響モデル120に格納した隠れマルコフモデルまたは混合ガウス分布モデルを用いて、辞書130に格納された単語を元にモデルを合成する。そして、特徴パラメータと合成したモデルとを照合し、最も高い尤度を得た単語を認識結果として取得する。このようにして、車両情報変換機能は、例えば、“「シートベルトを着用してください。」”との音波信号から“「シートベルト」”などの単語を認識し、第2の制御音波信号に続く音波信号から求めた音声データは、シートベルト警報信号に対応するものであると判断し、この音声データをシートベルト警報信号に変換する。
【0060】
次に、ステップS211では、車両情報変換機能は、ステップS210で変換されたシートベルト警報信号に基づいて、シートベルト警報の詳細な内容を示すテキスト情報を生成し、このテキスト情報を表示デバイス100に出力する。例えば、車両情報変換機能は、シートベルト警報信号を用いて“「シートベルトが着用されていません。」”とのテキスト情報を生成し、このテキスト情報を表示デバイス100に送信する。表示デバイス100は、送信されたテキスト情報を表示デバイス100に備える画面上に表示する。このように、PND2は、車載装置1から伝達されたシートベルト警報信号に基づいて、シートベルト警報信号の詳細な内容をユーザに提示することができる。
【0061】
ステップS211でシートベルト警報の詳細な内容をユーザに提示した後は、情報提示処理を終了する。なお、情報提示システムは、この情報提示処理の終了後、再度、この情報提示処理を開始する。これにより、PND2は、警報情報を取得する度に車載装置1からPND2へ警報情報を伝達することができる。
【0062】
以上のように、第2実施形態では、第1の実施形態と同様に、車載装置1からPND2へ警報情報を音波信号として伝達するため、PND2の設置自由度の向上を可能としながら、PND2に警報情報を適切に伝達することができる。さらに、第2実施形態においては、車載装置1が警報情報を可聴域の音として出力することで、車載装置1により警報情報をユーザに提示することができることに加えて、PND2においても警報情報の詳細な内容をユーザに提示することができるため、ユーザに警報情報の内容を適切に提示することができる。
【0063】
加えて、第2の実施形態においては、PND2が第1の制御音波信号を検出した場合に、シートベルト警報信号に対応する音声データの音声認識処理を開始する。ここで、警報情報のアナウンス音声などの発話音声の音声認識処理は、音響分析による音響認識処理に加えて、音響モデル120や辞書130を参照してモデルを合成し、音声を認識する必要があるため、充電量の減少が大きい。そのため、第1の制御音波信号を検出した後に、第1の制御音波信号の後に出力される警報情報に対応する音波信号の音声データについて音声認識処理を開始することで、PND2の充電量の減少を抑制することができる。さらに、警報情報に対応する音波信号の先頭には、音声認識処理を行うべき音波信号であることを示す第2の制御音波信号が付加されている。これにより、PND2では、ユーザの会話音声やオーディオ音声などを含む車両内に出力された音波信号のうち、車載装置1からPND2に警報情報を伝達するために出力された音波信号を認識することができる。その結果、警報情報をPND2に伝達するために車載装置1から出力された音波信号についてのみ、CPU62の負担の大きい音声の音声制御処理を行うことができるため、PND2の充電量の減少を抑制できる。
【0064】
なお、第2実施形態においては、車載装置1のスピーカー50からシートベルトの着用を促すアナウンス音声を出力することで、PND2にシートベルト警報信号を伝達する例を示したが、車載装置1のスピーカー50からシートベルト警報信号に対応する所定の警告音を出力する構成としてもよい。この場合、例えば、車載装置1は、対応表40を参照し、取得したシートベルト警報信号を、シートベルト警報信号に対応付けて記憶されている音声データに変換する。そして、この音声データを所定の警告音に変換してスピーカー50から出力する。一方、PND2においては、対応表90を参照し、集音した警告音から求めた音声データについて音声認識処理を行い、取得した音声データとシートベルト警報信号に対応付けて記憶した音声データとを照合し、取得した音声データをシートベルト警報信号に変換する。そして、変換したシートベルト警報信号に基づいてシートベルト警報の内容をアナウンスするための音声データを作成して、スピーカー110にシートベルト警報信号の内容を示すガイダンス音声、例えば、“「シートベルトが着用されていません。」”との音声を出力させる。これにより、車載装置1で検出したシートベルト警報信号をPND2に適切に伝達するとともに、伝達されたシートベルト警報信号の内容を示すガイダンス音声によりユーザにシートベルト警報信号の内容を適切に提示することができる。
【0065】
≪第3実施形態≫
続いて、図5、図6に基づいて第3実施形態に係る情報提示処理について説明する。図5は、第3実施形態に係る情報提示システムのブロック図である。また図6は、第3実施形態に係る情報提示処理を示すフローチャートである。第3実施形態においては、以下に説明する点以外は、第1実施形態の情報提示システムと同様の構成を有し、第1実施形態の情報提示システムと同様の動作を行う。
【0066】
図5に示すように、第3実施形態に係るPND2は、スイッチSW140を有する。スイッチSW140は、CANを介してナビゲーションコントローラ60と接続され、スイッチSW140が押下された事を示す信号を受信したナビゲーションコントローラ60は、マイク70に音波信号の集音の開始を命令する。これにより、車載装置1からPND2に車両情報が伝達されることになる。このように、ユーザは、スイッチSW140を押すことにより、ユーザが望むタイミングで車両情報を確認することができる。なお、スイッチ140は、例えば、車載装置1に設置されたハードウェアとしてスイッチであってもよく、また、タッチパネルを兼ねた表示デバイス100の画面上に表示されるようなソフトウェアとしてのスイッチであってもよい。
【0067】
次に、図6を用いて、第3実施形態に係る情報提示処理を説明する。ここで、以下においては、ユーザが、車載装置1の車両コントローラ20で算出した燃費情報をPND2において確認するために、PND2のスイッチSW140を押下した場合に、スイッチSW140の押下をきっかけとして、車載装置1からPND2に燃費情報を伝達し、PND2において燃費情報をユーザに提示する場面を例示して説明する。
【0068】
まず、車載装置1における処理について説明する。ステップS301では、コントローラ10の車両情報取得機能は、車両コントローラ20で算出した燃費情報を車両コントローラ20から取得する。次いで、ステップS302においては、コントローラ10のデータ変換機能は、対応表40を参照して、取得した燃費情報をデータに変換する。対応表40には、燃費情報ごとに所定のデータが対応付けて記憶されており、データ変換機能は、対応表40を参照し、取得した燃費情報を、燃費情報に対応して記憶されたデータに変換できる。そして、ステップS303においては、変換されたデータをスピーカー50に出力する。スピーカー50は、このデータを音波信号に変換し、変換された音波信号を車室内に出力する。なお、スピーカー50から出力される音波信号には、第2実施形態と同様に、第2の制御音波信号が含まれる。また、車載装置1は、第1実施形態と同様に、燃費情報を非可聴域の音として出力する。燃費情報は車速パルスと同様に、ユーザに注意を促すための情報ではなく、燃費情報に対応した可聴域の音が鳴り続くことで、ユーザに不快感を与えないようにするためである。
【0069】
続くステップS304以降の処理は、PND2において行われる。まず、ステップS304では、PND2は、スイッチSW140がユーザにより押下されたか否かを判断する。スイッチSW140が押下された場合は、次のステップS305に進む。一方、スイッチSW140が押下されない場合は、ユーザに燃費情報を提示する必要がないため、この情報提示処理を終了する。
【0070】
ステップS305では、PND2に備えるマイク70が、車室内の音波信号の集音を開始する。集音された音波信号は、A/Dコンバータ80にデータに変換され、ナビゲーションコントローラ60に送信される。
【0071】
次のステップS306では、ナビゲーションコントローラ60の車両情報変換機能が、第2実施形態と同様に、A/Dコンバータ80から送信されたデータについて音声認識処理を行い、このデータにおいて第2の制御音波信号を検出できるかを判断する。車両情報機能が第2の制御音波信号を検出できた場合は、このデータは車載装置1から伝達された燃費情報を含むものであると判断し、ステップS307に進む。一方、車両情報機能が第2の制御音波信号を検出できない場合は、このデータは車載装置1からPND2に燃費情報を伝達するために出力されたデータではないものと判断して、この情報提示処理を終了する。このように、第2の制御音波信号を検出することで、マイク70で集音した様々な音波信号のうち、車載装置1からPND2に伝達するために出力された燃費情報に対応する音波信号についてのみステップS307の音声認識処理を行うことができるため、PND2の充電量の減少を抑制することができる。
【0072】
ステップS307において、車両情報変換機能は、第2の制御音波信号に続く音波信号から求めたデータ、すなわち、燃費情報に対応するデータについて音声認識処理を行う。例えば、第2の制御音波信号に続く音波信号から求めたデータの周波数成分、振幅などを分析し、このデータの特徴パラメータの系列を取得する。そして、車両情報変換機能は、対応表90を参照して、第2の制御音波信号に続く音波信号から求めたデータの特徴パラメータと、対応表90において燃費情報に対応して記憶されたデータの特徴パラメータとを照合し、第2の制御音波信号に続く音波信号から求めたデータと最も高い尤度を有するデータに対応付けられた燃費情報を取得する。
【0073】
ステップS308においては、車両情報変機能は、ステップS307において取得された燃費情報に基づく情報を、表示デバイス100およびスピーカー110に送信する。例えば、本例においては、車両情報変機能は、変換された燃費情報に基づいて、燃費情報の詳細な内容を示すテキスト情報を生成し、このテキスト情報を表示デバイス100に出力する。表示デバイス100は、このテキスト情報を受信し、表示デバイス100の画面上に燃費情報の詳細な内容を表示する。また、車両情報変換機能は、変換された燃費情報に基づいて、燃費情報をアナウンスするためのデータを生成し、スピーカー110に送信する。スピーカー110は、このデータを受信し、燃費情報の内容をアナウンスする音声を出力する。このように、PND2は、車載装置1から伝達された燃費情報の詳細な内容を、ユーザに適切に提示することができる。
【0074】
ステップS308において、燃費情報をユーザに提示した後は、この情報提示処理を終了する。但し、情報提示システムは、情報提示処理の終了後、再度、情報提示処理を開始する。これにより、ユーザがPND2のスイッチSW140を押下するたびに、車載装置1で算出した燃費情報の詳細な内容をPND2において提示することができる。
【0075】
以上のように、第3実施形態では、PND2において、スイッチSW140の押下を検出し、音波信号の集音を開始する。そのため、第1実施形態の効果に加え、ユーザが車両情報を確認したい場合に、PND2において、その車両情報をユーザに適切に提示することができる。また、スイッチSW140が押下されるまでは、PND2において音波信号の集音が開始されないため、音声認識処理などによるPND2の充電量の減少を抑制することができる。
【0076】
なお、第3実施形態においては車両情報として燃費情報を例示して説明したが、車両情報は燃費情報に限られず、例えば、再生中の楽曲のトラック情報、曲名、アーティスト情報などのオーディオ情報などでもよい。車両情報がオーディオ情報の場合は、例えば、ユーザが車載装置1で再生中の楽曲の曲名について知りたい場合に、所定のスイッチSWを押下する。スイッチSW140の押下をトリガーとして、車載装置1で検出した楽曲の曲名を含むオーディオ情報をPND2に伝達し、例えば、この楽曲の曲名などをPND2に備える表示デバイス100の画面上に表示させたり、この楽曲の曲名などをアナウンスする音声をスピーカー110から出力させたりすることができる。
【0077】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。特に、車載装置1からPND2に伝達される車両情報は、上述した車両情報に限らず、車載装置1で求めることができる全ての車両情報が含まれる。加えて、本発明は、上述した実施形態に限られず、また、以上で説明した第1〜第3実施形態を組み合わせてもよい。
【0078】
加えて、上述した実施形態における情報提示処理においては、車載装置1からPND2へ車両情報を適切に伝達できれば、例えば、車載装置1における処理と、PND2における処理とを同時に行ってもよい。
【0079】
なお、上述した実施形態のPND2は本発明の移動端末に、車両情報取得機能は本発明の車両情報取得手段に、データ変換機能は本発明のデータ変換手段に、出力機能は本発明の出力手段に、マイク70は本発明の集音手段に、車両情報変換機能は本発明の車両情報変換手段に、表示デバイス100およびスピーカー110は本発明の情報提示手段にそれぞれ相当する。
【符号の説明】
【0080】
1…車載装置
10…コントローラ
11…ROM
12…CPU
13…RAM
20…車両コントローラ
21…車速センサ
22…シートベルトリマインダ
23…サイドブレーキ警報装置
30…オーディオコントローラ
40…対応表
50…スピーカー
2…PND
60…ナビゲーションコントローラ
61…ROM
62…CPU
63…RAM
70…マイク
80…A/Dコンバータ
90…対応表
100…表示デバイス
110…スピーカー
120…音響モデル
130…辞書
140…スイッチSW

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置と、移動端末とを備える情報提示システムであって、
前記車載装置は、
前記車両情報を取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段により取得された前記車両情報をデータに変換するデータ変換手段と、
前記データ変換手段により変換された前記データに基づいて音波信号を出力する出力手段と、を有し、
前記移動端末は、
前記車載装置の出力手段により出力された前記音波信号を集音する集音手段と、
前記集音手段により集音された前記音波信号から前記データを求め、当該データを前記車両情報に変換する車両情報変換手段と、
前記車両情報変換手段により変換された前記車両情報に基づく提示情報をユーザに提示する情報提示手段と、を有することを特徴とする情報提示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提示システムであって、
前記データ変換手段は、取得した前記車両情報の種類に応じて、前記車両情報を、ユーザが聴き取れる可聴域の音、または、ユーザが聴き取れない非可聴域の音を出力するためのデータに変換することを特徴とする情報提示システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報提示システムであって、
前記車両情報変換手段は、前記集音手段により集音された前記音波信号から求めた前記データに対して音声認識処理を行うことにより、前記データを前記車両情報に変換することを特徴とする情報提示システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の情報提示システムであって、
前記データ変換手段は、取得した前記車両情報の種類に基づいて前記車両情報を前記データに変換するかを判断し、当該判断結果に基づいて、前記車両情報を前記データに変換することを特徴とする情報提示システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報提示システムであって、
前記車両情報が、車速が所定の速度以下であることを示す車速情報、燃費情報、警報情報、またはオーディオ情報である場合に、前記データ変換手段は、前記車両情報を前記データに変換することを特徴とする情報提示システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の情報提示システムであって、
前記車載装置の出力手段は、前記音波信号の他、前記音波信号に関連して、前記移動端末に、前記移動端末が集音した前記音波信号から求めた前記データから前記車両情報への変換を開始させるための制御音波信号を出力し、
前記移動端末の前記車両情報変換手段は、前記車載装置の出力手段から出力される前記制御音波信号を検出した場合に、当該制御音波信号に関連して出力される前記音波信号から求めた前記データを前記車両情報に変換することを特徴とする情報提示システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報提示システムであって、
前記制御音波信号は、所定の周波数および/または所定の音圧の音波であることを特徴とする情報提示システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の情報提示システムであって、
前記移動端末は、ユーザにより所定の操作が行われた場合に、前記集音手段により、前記車載装置の出力手段により出力された前記音波信号の集音を開始することを特徴とする情報提示システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の情報提示システムであって、
前記車両情報が車速情報である場合は、前記情報提示手段は、前記車速情報に基づいて補正した自車両の位置情報に基づく提示情報をユーザに提示することを特徴とする情報提示システム。
【請求項10】
音波信号音を集音する集音手段と、
前記集音手段により集音された前記音波信号からデータを求め、当該データを変換することにより、前記音波信号に含まれる受信情報を求める情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された受信情報に基づいてユーザに提示するための提示情報を求め、当該提示情報をユーザに提示する情報提示手段と、を有することを特徴とする移動端末。
【請求項11】
請求項10に記載の移動端末であって、
前記情報取得手段は、前記音波信号に含まれる受信情報の取得を開始するための制御音波信号を検出した場合に、当該制御音波信号に関連して集音された前記音波信号から前記データを求め、当該データを変換することにより、前記音波信号に含まれる前記受信情報を求めることを特徴とする移動端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−179875(P2010−179875A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27187(P2009−27187)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】