説明

情報管理システム

【課題】複数者間での個人の特定を確実に行うことができる情報管理システムを提供する。
【解決手段】情報管理システム10は、情報管理サーバ30と、情報管理サーバ30に通信可能に接続されたコンテンツプロバイダCP−A,CP−Bとを有する情報管理システムであって、その情報管理サーバ30が、個人照合データベース32aを格納する格納部32と、コンテンツプロバイダCP−AからCP−A用ユーザIDを受信したときに、上記個人照合データベース32aを参照して、当該CP−A用ユーザIDに対応する共通ユーザIDをコンテンツプロバイダCP−Aに対して送信する第1のID変換部34と、コンテンツプロバイダCP−Bから共通ユーザIDを受信したときに、個人照合データベース32aを参照して、当該共通ユーザIDに対応するCP−B用ユーザIDをコンテンツプロバイダCP−Bに対して送信する第2のID変換部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機によるサイトアクセスを容易にするサービスとして、例えば、NTTドコモのマイボックスサービス(登録商標)が知られている。このサービスは、通信事業者(例えば、NTTドコモ)のサーバが、各種コンテンツを提供するコンテンツプロバイダの代わりにユーザの個人認証とユーザIDの管理を行って、高いセキュリティを確保しつつコンテンツプロバイダにおける情報管理の負担軽減を実現している。
【0003】
より具体的には、通信事業者のサーバは、携帯電話機のユーザをその接続回線によって特定し、各コンテンツプロバイダ(若しくはその中の各種サービス)との間ではプロバイダ独自の識別情報(ユーザID)を用いてユーザの特定を行っている。
【特許文献1】特開2003−346031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネットワーク上のサービスの一つとして、所定のアンケートに回答したユーザに対して、ポイント等の特典を付与するサービスが広く知られている。このようなサービスにおいて、アンケートを実施するプロバイダとポイントを付与するプロバイダとが異なる場合には、両プロバイダ間においてきちんとユーザを特定する必要がある。ただし、上述したとおり、プロバイダは独自のユーザIDによってユーザの特定を行っているため、両プロバイダが互いにユーザIDを提供しあってもユーザの照合を行うことはできない。
【0005】
そのため、ユーザを確実に特定するためには、ユーザの個人情報(例えば、氏名や住所、電話番号等)を両プロバイダ間でやりとりする必要がある。しかしながら、ユーザにとっては個人情報をプロバイダに提供することへの抵抗感があり、各プロバイダにとっても個人情報の取り扱いに対する配慮が大きな負担となる。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、個人情報を用いることなく、複数者間での個人の特定を確実に行うことができる情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報管理システムは、情報管理サーバと、情報管理サーバに通信可能に接続された第1及び第2のプロバイダとを有する情報管理システムであって、情報管理サーバは、同一ユーザに対する、第1のプロバイダにおける第1のユーザIDと、第2のプロバイダにおける第2のユーザIDと、共通ユーザIDとが互いに関連づけられた個人照合情報を格納する格納部と、第1のプロバイダから第1のユーザIDを受信したときに、格納部に格納された個人照合情報を参照して、第1のユーザIDに対応する共通ユーザIDを第1のプロバイダに対して送信する第1のID変換手段と、第2のプロバイダから共通ユーザIDを受信したときに、格納部に格納された個人照合情報を参照して、共通ユーザIDに対応する第2のユーザIDを第2のプロバイダに対して送信する第2のID変換手段とを備える。
【0008】
この情報管理システムにおいては、情報管理サーバは、第1のプロバイダから第1のユーザIDを受信すると、そのIDに対応する共通ユーザIDを第1のプロバイダに対して送信する。また、情報管理サーバは、第2のプロバイダから共通ユーザIDを受信すると、そのIDに対応する第2のユーザIDを第2のプロバイダに対して送信する。そのため、第1のプロバイダと第2のプロバイダとの間でユーザを特定する場合には、第1のプロバイダは、そのユーザの第1のプロバイダにおけるユーザIDである第1のユーザIDを情報管理サーバに対して送信して、そのIDに対応する共通ユーザIDを受信すると共に、受信したその共通ユーザIDを第2のプロバイダに提供する。第2のプロバイダは、第1のプロバイダから受けとった共通ユーザIDを情報管理サーバに対して送信して、そのIDに対応する第2のユーザIDを受信する。それにより、第1及び第2のプロバイダの間において同一のユーザが確実に特定される。このユーザ特定の際、第1及び第2のプロバイダの間では、共通ユーザIDのみがやりとりされ、個人情報は用いられない。従って、この情報管理システムにおいては、個人情報を用いることなく、複数者間での個人の特定を確実に行うことができる。
【0009】
また、情報管理サーバが、所定の条件が成立した際に、格納部に格納された個人照合情報の共通ユーザIDを別のものに変更する共通ID変更手段をさらに備える態様であってもよい。この場合、共通ユーザIDが第三者に漏洩した場合であっても、その漏洩による被害を抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、個人情報を用いることなく、複数者間での個人の特定を確実に行うことができる情報管理システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
【0012】
図1に示す実施形態に係る情報管理システム10は、データ通信機能を有する携帯電話機20から情報管理サーバ30を経由してコンテンツプロバイダCP−A,CP−Bにアクセス可能なシステムであり、複数(例えば、2つ)のコンテンツプロバイダCP−A,CP−Bと、これらのコンテンツプロバイダCP−A,CP−Bと携帯電話機20との間に介在する情報管理サーバ30とを備えている。
【0013】
コンテンツプロバイダCP−A,CP−Bそれぞれは、ユーザの携帯電話機20に対して各種コンテンツ(例えば、テキストデータ、画像、音楽、ゲーム等)を提供する通信端末であり、インターネットNW2を介して情報管理サーバ30と通信可能に接続されている。例えば、コンテンツプロバイダCP−A(本発明における第1のプロバイダ)は、携帯電話機20を利用したアンケートを実施することができる機能及びそれを実現するためのプログラムを備えており、コンテンツプロバイダCP−B(本発明における第2のプロバイダ)は、携帯電話機20に対して所定のポイントを付与することができる機能及びそれを実現するプログラムを備えている。
【0014】
情報管理サーバ30は、携帯電話機20の通信事業者が管理するサーバであり、携帯電話機20と携帯電話網NW1を介して通信可能に接続されている。この情報管理サーバ30は、携帯電話網NW1を介して携帯電話機20と接続されているため、高いセキュリティのもとに携帯電話機20とのデータ通信を行うことができる。その上、情報管理サーバ30は、携帯電話機20との間では接続回線によって個々の携帯電話機20を確実に識別することができるため、個人認証のために面倒なIDやパスワードの入力を必要としない。
【0015】
そして、情報管理サーバ30は、機能的な構成要素として、格納部32と第1のID変換部34と第2のID変換部36とを備え、物理的な構成要素として、主に、CPU、メモリやハードディスク等の格納装置、通信装置などを備えている。
【0016】
格納部32には、図2に示すような個人照合データベース(個人照合情報)32aが格納されている。すなわち、個人照合データベース32aは、4つの項目(電話番号D1、共通ユーザID(D2)、CP−A用ユーザID(D3)、CP−B用ユーザID(D4))によって構成されており、これらの項目が互いに関連づけられて記憶されている。
【0017】
ここで、「C153」等の共通ユーザID(D2)は、情報管理サーバ30において携帯電話機ユーザを特定する識別情報である。「A001」等のCP−A用ユーザID(D3)は、コンテンツプロバイダCP−Aにおいて携帯電話機ユーザを特定する識別情報である。「B102」等のCP−B用ユーザID(D4)は、コンテンツプロバイダCP−Bにおいて携帯電話機ユーザを特定する識別情報である。
【0018】
第1のID変換部(第1のID変換手段)34は、コンテンツプロバイダCP−AからCP−A用ユーザID(第1のユーザID)を受信したときに、格納部32に格納された個人照合データベース32aを参照して、CP−A用ユーザID(D3)に対応する共通ユーザID(D2)をコンテンツプロバイダCP−Aに対して送信する
【0019】
第2のID変換部(第2のID変換手段)36は、コンテンツプロバイダCP−Bから共通ユーザIDを受信したときに、格納部32に格納された個人照合データベース32aを参照して、共通ユーザID(D2)に対応するCP−B用ユーザID(D4)をコンテンツプロバイダCP−Bに対して送信する。
【0020】
次に、上述した情報管理システム10を利用して、コンテンツプロバイダCP−AとコンテンツプロバイダCP−Bとの間で同一の携帯電話機ユーザを特定する手順について、図3のシーケンス図を参照しつつ説明する。なお、個人照合データベース32aは、予め作成されて情報管理サーバ30の格納部32に格納されている。この個人照合データベース32aを作成するにあたり、CP−A用ユーザID(D3)やCP−B用ユーザID(D4)を収集する際には、インターネットNW2を利用した通信によって収集してもよく、また、ディスク等の記録媒体を利用して郵送等で収集してもよい。
【0021】
両コンテンツプロバイダCP−A,CP−B間で、携帯電話機ユーザを特定しようとする際には、まずコンテンツプロバイダCP−Aから情報管理サーバ30に対して、コンテンツプロバイダCP−AにおけるユーザIDであるCP−A用ユーザID(D3)(例えば、「A001」)が送信される(ステップ1)。
【0022】
コンテンツプロバイダCP−AからCP−A用ユーザID(D3)を受信した情報管理サーバ30は、第1のID変換部34によって、受信したCP−A用ユーザID(D3)に対応する共通ユーザID(D2)(例えば、「C153」)をコンテンツプロバイダCP−Aに送信する(ステップ2)。
【0023】
次に、コンテンツプロバイダCP−Aは、情報管理サーバ30から受信した共通ユーザID(D2)を、インターネットNW2を介した通信により(若しくはその他の情報伝達手段により)コンテンツプロバイダCP−Bに提供する(ステップ3)。
【0024】
そして、コンテンツプロバイダCP−Bから情報管理サーバ30に対して、コンテンツプロバイダCP−Aから受けとった共通ユーザID(D2)が送信される(ステップ4)。
【0025】
コンテンツプロバイダCP−Bから共通ユーザID(D2)を受信した情報管理サーバ30は、第2のID変換部36によって、受信した共通ユーザID(D2)に対応するCP−B用ユーザID(D4)(例えば、「B102」)をコンテンツプロバイダCP−Bに送信する(ステップ5)。
【0026】
以上の手順により、コンテンツプロバイダCP−Aでは「A001」のユーザIDを有し、且つ、コンテンツプロバイダCP−Bでは「B102」のユーザIDを有するユーザが、両コンテンツプロバイダCP−A,CP−B間において特定される。
【0027】
以上で詳細に説明したとおり、情報管理システム10においては、コンテンツプロバイダCP−A及びコンテンツプロバイダCP−Bの間においてユーザが特定が確実に行われる。このユーザ特定の際、コンテンツプロバイダCP−A及びコンテンツプロバイダCP−Bの間では、共通ユーザID(D2)のみがやりとりされ、氏名や住所といった個人情報は用いられない。従って、この情報管理システム10においては、個人情報を用いることなく、複数者間での個人の特定を確実に行うことができる。
【0028】
そのため、例えば、コンテンツプロバイダCP−Aにおいてアンケートを実施した場合、アンケートに回答したユーザの共通ユーザIDをコンテンツプロバイダCP−Bに提供することで、個人情報の漏洩を心配することなく、コンテンツプロバイダCP−Bが、その回答ユーザに対して確実にポイント等の特典を付与することができる。
【0029】
続いて、上述した情報管理システム10の変形態様について説明する。図4に示す情報管理システム10Aは、情報管理サーバ30がさらに共通ID変更部38を有する点で、情報管理システム10と異なる。
【0030】
共通ID変更部(共通ID変更手段)38は、所定の条件が成立した際に、格納部32に格納された個人照合データベース32aの項目のうちの共通ユーザID(D2)を別のものに変更する。所定の条件としては、一定時間が経過することや共通ユーザIDが一度利用されること等が挙げられる。
【0031】
共通ID変更部38が、個人照合データベース32aの共通ユーザID(D2)を別のものに変更した場合、古い共通ユーザIDは利用することができなくなる。そのため、共通ユーザIDが第三者に漏洩した場合であっても、その第三者が共通ユーザIDを悪用できないため、漏洩による被害を抑えることができる。
【0032】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、情報管理システム内のコンテンツプロバイダの数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る情報管理システムを示したシステム構成図である。
【図2】図1に示した個人照合データベースの内容を示した図である。
【図3】図1に示した情報管理システムを利用して携帯電話機ユーザを特定する手順を示したシーケンス図である。
【図4】図1とは異なる態様の情報管理システムを示したシステム構成図である。
【符号の説明】
【0034】
10,10A…情報管理システム、20…携帯電話機、30,30A…情報管理サーバ、32…格納部、32a…個人照合データベース、34…第1のID変換部、36…第2のID変換部、38…共通ID変更部、CP−A,CP−B…コンテンツプロバイダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報管理サーバと、前記情報管理サーバに通信可能に接続された第1及び第2のプロバイダとを有する情報管理システムであって、
前記情報管理サーバは、
同一ユーザに対する、前記第1のプロバイダにおける第1のユーザIDと、前記第2のプロバイダにおける第2のユーザIDと、共通ユーザIDとが互いに関連づけられた個人照合情報を格納する格納部と、
前記第1のプロバイダから前記第1のユーザIDを受信したときに、前記格納部に格納された前記個人照合情報を参照して、前記第1のユーザIDに対応する前記共通ユーザIDを前記第1のプロバイダに対して送信する第1のID変換手段と、
前記第2のプロバイダから前記共通ユーザIDを受信したときに、前記格納部に格納された前記個人照合情報を参照して、前記共通ユーザIDに対応する前記第2のユーザIDを前記第2のプロバイダに対して送信する第2のID変換手段と
を備える、情報管理システム。
【請求項2】
前記情報管理サーバが、所定の条件が成立した際に、前記格納部に格納された前記個人照合情報の前記共通ユーザIDを別のものに変更する共通ID変更手段をさらに備える、請求項1に記載の情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−65626(P2008−65626A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243132(P2006−243132)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】