説明

情報表示システム及び情報表示用プログラム

【課題】表示機構が異なる二種類の表示装置を備える情報表示システムにおいて、各表示装置夫々の表示特性に応じた表示情報の表示を行うことで情報表示システムとしての利便性を向上させることが可能な情報表示システム提供する。
【解決手段】表示される情報が外光を利用せずに視認可能な複合機Fと、複合機Fに接続され且つ表示される情報が外光を利用して視認可能な表示装置Dと、を含む情報表示システムSにおいて、表示装置Dにおける照度を検出し、当該検出した照度が照度閾値以上であると判断されたとき表示装置Dにおいて必要な情報を表示し、検出した照度が照度閾値未満であると判断されたとき複合機Fにおいて当該情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示システム及び情報表示用プログラムの技術分野に属し、より詳細には、表示のための構成が異なる二種類の表示装置を含む情報表示システム及び当該情報表示システムにおいて用いられる情報表示用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気泳動方式を用いた表示装置が開発されている(下記特許文献1及び特許文献2参照)。この電気泳動方式を用いた表示装置は、一旦書き換えられた表示を維持するために電力を必要としないと言う特長を備えていることから極めて省電力性に富んだ装置であり、例えば携帯型の情報処理装置における表示部として用いられている。また当該表示装置は、自らの表示装置を備えるパーソナルコンピュータ等の情報処理装置から出力されて来る情報を手元で表示するために用いられることもある。
【0003】
ここで、当該表示装置は、上述した低消費電力性を活かすため、自らはいわゆるバックライト等の発光部を有することなく、外光を利用して情報を表示する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−242792公報(第1図等)
【特許文献2】特開2005−316949公報(第2図、段落番号0023等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記各特許文献に記載された構成では、上述した情報処理装置(自ら表示装置を備えるもの)と電気泳動方式の表示装置との組み合わせにおいて、当該情報処理装置内の表示装置と電気泳動方式の表示装置夫々における表示機構の違いに対応した表示先の使い分けについては、全く考慮されていない。また、上記電気泳動方式の表示装置では、外光を用いて情報表示を行うという特性上、周辺の照度(明るさ)に応じて視認性が左右されることになる。
【0006】
そこで、本願は上記の点に鑑みて為されたもので、その目的の一例は、表示機構が異なる二種類の表示装置を備える情報表示システムにおいて、各表示装置夫々の表示特性に応じた表示情報の表示を行うことで情報表示システムとしての利便性を向上させることが可能な情報表示システム及び当該情報表示システムにおいて用いられる情報表示用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表示される情報が外光を利用せずに視認可能な表示部等の第1表示装置と、当該第1表示装置を備えた複合機等の情報処理装置に接続された第2表示装置であって、表示される情報が外光を利用して視認可能な表示装置等の第2表示装置と、を含む情報表示システムにおいて、前記第1表示装置又は前記第2表示装置のいずれか一方で表示すべき表示情報を取得する取得部等の取得手段と、前記第2表示装置における照度を検出する照度センサ等の照度検出手段と、前記照度検出手段により検出された前記照度が予め設定された照度閾値以上であるか否かを判断する照度判断部等の照度判断手段と、前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値以上であると判断されたとき、前記取得手段により取得した表示情報を前記第2表示装置に出力し、前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値未満であると判断されたとき、前記取得した表示情報を前記第1表示装置に出力するように、前記第1情報表示装置及び前記第2情報表示装置を制御する出力制御を行うCPU等の制御手段と、を備える。
【0008】
よって、第2表示装置における照度に応じて表示情報を第1表示装置で表示するか第2表示装置で表示するか否かを制御するので、表示される情報が外光を利用して視認可能な第2表示装置における表示と当該情報が外光を利用せずに視認可能な第1表示装置における表示とを照度に応じて切り換えることで、各表示装置夫々の表示特性に応じた表示情報の表示を行うことができる。
【0009】
また、照度不足により第2表示装置における表示情報の表示が不可能な場合でも第1表示装置を用いて当該表示情報を表示してその内容を確認することができる。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報表示システムにおいて、前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値以上であると判断されて前記表示情報を前記第2表示装置に出力するとき、当該表示情報を当該第2表示装置に対応して変換した後に当該第2表示装置に出力し、前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値未満であると判断されて前記表示情報を前記第1表示装置に出力するとき、当該表示情報を当該第1表示装置に対応して変換した後に当該第1表示装置に出力するCPU等の変換手段を更に備える。
【0011】
よって、表示情報を第2表示装置に出力するとき当該表示情報を当該第2表示装置に対応して変換した後に当該第2表示装置に出力し、表示情報を第1表示装置に出力するとき当該表示情報を当該第1表示装置に対応して変換した後に出力するので、各表示装置に適合した表示情報を夫々出力することで、いずれの表示装置においても良好な表示を行うことができる。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報表示システムにおいて、前記取得手段により取得した表示情報の表示を行うか否かの指示を入力するために用いられる操作部等の操作手段を更に備え、前記制御手段は、前記操作手段において前記指示が入力されたときのみ、前記出力制御を行うように構成される。
【0013】
よって、表示情報の表示を行う旨の指示が入力されたときのみ出力制御を行うので、表示情報の表示自体が不要な場合にまで出力制御が実行されることを防止できる。
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報表示システムにおいて、前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値以上であると判断された時間を検出する時間検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記照度が前記照度閾値以上であり且つ前記検出された時間が予め設定された時間閾値以上であるとき、前記取得手段により取得した表示情報を前記第2表示装置に出力する前記出力制御を行うように構成される。
【0015】
よって、第2表示装置における照度が照度閾値以上であり且つその時間が時間閾値以上であるとき表示情報を第2表示装置において表示するので、当該照度が一時的に照度閾値を越えた後に再び当該照度閾値未満となった場合にまで、表示情報が第2表示装置において表示されることを防止できる。
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報表示システムにおいて、前記第2表示装置における振動の発生を検出する振動検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値以上であると判断され且つ前記振動検出手段により前記振動が発生したことが検出されたとき、前記取得した表示情報を前記第2表示装置に出力する前記出力制御を行うように構成される。
【0017】
よって、第2表示装置における照度が照度閾値以上であり且つ第2表示装置が振動しているとき表示情報を第2表示装置において表示するので、第2表示装置における振動の発生を使用者における当該第2表示装置の把持であると見なすことで、使用者が当該第2表示装置を把持しているタイミングで表示情報を当該第2表示装置において表示することができる。
【0018】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の前記第1表示装置を制御する第1コンピュータ又は前記第2表示装置を制御する第2コンピュータのいずれか一方を、前記取得手段、及び、前記制御手段、として少なくとも機能させる。
【0019】
よって、第2表示装置における照度に応じて表示情報を第1表示装置で表示するか第2表示装置で表示するかを制御するように当該いずれか一方のコンピュータが機能するので、外光を用いて情報を表示する第2表示装置における表示と外光を用いずに情報の表示が可能な第1表示装置における表示とを照度に応じて切り換えるように当該いずれか一方のコンピュータが機能することで、各表示装置夫々の表示特性に応じた表示情報の表示を行うことができる。
【0020】
また、照度不足により第2表示装置における表示情報の表示が不可能な場合でも第1表示装置を用いて当該表示情報を表示してその内容を確認することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第2表示装置における照度に応じて表示情報を第1表示装置で表示するか第2表示装置で表示するかを制御するので、表示される情報が外光を利用して視認可能な第2表示装置における表示と、表示される情報が外光を利用せずに視認可能な第1表示装置における表示と、を照度に応じて切り換えることで、各表示装置夫々の特性に応じた表示情報の表示を行うことができる。
【0022】
また、照度不足により第2表示装置における表示情報の表示が不可能な場合でも第1表示装置を用いて当該表示情報を表示してその内容を確認することができる。
【0023】
従って、各表示装置夫々の表示特性に応じた表示情報の表示を行うことで、情報表示システムとしての利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係る情報処理システムの全体構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る複合機等の細部構成を示すブロック図であり、(a)は実施形態に係る複合機の細部構成を示すブロック図であり、(b)は実施形態に係る表示装置の細部構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る情報処理システムにおける動作を示すフローチャートである。
【図4】変形形態に係る情報処理システムにおける動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお以下に説明する実施形態等は、例えばファクシミリ送受信機としての機能、電話機としての機能、スキャナとしての機能及びプリンタとしての機能を併せ持つ情報処理装置の一例としての複合機と、当該複合機に接続された例えば電気泳動方式を用いて複合機から送信されて来た表示データを蓄積して表示する携帯型の第2表示装置の一例としての表示装置と、を備える情報処理システムに対して本発明を適用した場合の実施形態等である。
【0026】
(I)実施形態
初めに、本発明に係る実施形態について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0027】
(A)全体構成及び概要動作
先ず、実施形態に係る情報処理システム全体の構成及び概要動作について、図1を用いて説明する。なお図1は当該全体構成を示す図であり、当該全体構成に含まれる複合機の外観図及び表示装置の正面図が含まれている。また、図1では、説明の都合上、複合機の外観図と表示装置の正面図とが異なる縮尺で示されている。
【0028】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理システムSは、上記複合機Fと、上記表示装置Dと、により構成されており、両者は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格やLAN(Local Area Network)規格に準拠したネットワークNTを介して相互に接続されている。なお、複合機Fと表示装置Dとの間のデータの授受は、後述するメモリカードを用いて行ってもよい。
【0029】
この構成において、複合機Fにおいて取得された表示対象たる文書等の情報は、当該複合機F自体が備える後述の表示部において表示される他、後述する如く表示装置Dの周囲の照度(明るさ)に応じてネットワークNTを介して表示装置Dに出力され、当該表示装置D上において表示される。なお以下の説明において、当該文書等の情報を単に「コンテンツ」と称する。また、複合機Fにおける当該コンテンツの取得元としては、例えば、ファックス受信したもの、印刷対象として図示しないコンピュータ等から複合機Fに送信されたもの、或いは複合機Fが有するスキャナ機能により電子的に読み取ったもの等が挙げられる。
【0030】
次に、実施形態に係る複合機Fの細部について、図2(a)を用いて説明する。
【0031】
実施形態に係る複合機Fは、図2(a)に示すように、当該複合機F全体を統括制御し、且つ後述する実施形態に係る複合機Fとしての動作を具体的に行う取得手段の一例としての取得部10aを機能的に含む変換手段及び制御手段の一例としてのCPU(Central Processing Unit)10と、例えばいわゆるバックライトを用いる液晶表示パネルや自発光型のEL(Electro-Luminescence)表示パネル等の外光を用いない表示部材により構成され、複合機Fとしての動作に必要な情報及び上記コンテンツ等を表示する第1表示装置の一例としての表示部11と、CPU10の制御処理に必要なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)12と、メモリカードドライブ等により構成されCPU10からの指示に基づきメモリカードドライブに挿入されたメモリカードMCに対してデータの書き込み及び読み出しを行うメモリカードI/F(インターフェース)13と、実施形態に係る複合機Fとしての動作を実行するための各種制御プログラムやユーザ設定等のデータ或いは種々のファームウエア等を記憶するROM(Read Only Memory)14と、複合機Fと表示装置DとをネットワークNTにより接続してデータを送受信するためのインターフェース処理を行う通信I/F15と、図示しないボタンやセンサー等から構成され、ユーザからの指示を指示情報としてCPU10に供給する操作手段の一例としての操作部16と、図示しない対象物を光学的に読み取って当該対象物に相当する画像を出力する読取部(スキャナ)18と、CPU10からの指示に基づき表示部11による表示を制御する表示コントローラ19と、上記コンテンツ等を印刷対象物として印刷出力する印刷部20と、を備えている。そして、表示部11、RAM12、メモリカードI/F13、ROM14、通信I/F15、操作部16、読取部18、表示コントローラ19及び印刷部20と、CPU10と、は、バス17を介して相互に接続されている。
【0032】
なお、複合機Fは、上述した機能の他に、表示装置D上において表示させるべきコンテンツとしての種々の形式を、当該表示用の形式に変換し、これをメモリカードMC内に記録し、又は表示装置Dに送信する機能を備えている。
【0033】
次に、実施形態に係る表示装置Dについて、図1に示された表示装置Dの正面図及び図2(b)を用いて説明する。なお、図2(b)は当該表示装置Dの細部構成を示すブロック図である。
【0034】
図1及び図2(b)に示すように、実施形態に係る表示装置Dは、表示装置D全体を統括制御し、且つ後述する実施形態に係る表示装置Dとしての動作を具体的に行う照度判断手段の一例としての照度判断部101aを機能的に含む制御手段の一例としてのCPU101と、ファームウエア等を記憶するROM102と、実施形態に係る表示装置Dとしての動作を実行するための各種制御プログラムやユーザ設定等のデータ或いは後述する表示部106において表示される文書等のコンテンツを不揮発性に記憶するフラッシュROM103と、CPU101の制御処理に必要なデータを一時的に記憶するRAM104と、後述するカーソルキー、決定キー及び電源スイッチから構成され、ユーザからの指示を指示情報としてCPU101に供給する操作キー105と、例えば電気泳動方式の表示パネル等の外光を用いて情報を表示する表示部材により構成され、複合機Fから送信されて来たコンテンツを表示する表示部106と、CPU101からの指示に基づき表示部106による表示を制御する表示コントローラ107と、を備えている。
【0035】
この構成において、操作キー105として具体的には、表示部106に表示されている文書を例えば垂直上方向又は垂直下方向に移動(スクロール)させる際に操作される上キー105e及び下キー105cと、当該文書を前頁又は次頁に頁毎に移動させる際に操作される前キー105d及び次キー105bと、各種操作の結果を決定させる際に操作される上記決定キー105aと、上記電源スイッチ105fと、により構成されている。そして上記上キー105e、下キー105c、前キー105d及び次キー105bにより上記カーソルキーが構成されている。
【0036】
これらに加えて表示装置Dは、例えばリチウムイオン電池等から構成されるバッテリー108と、バッテリー108に対する充電を制御する充電コントローラ109と、メモリカードドライブ等により構成されCPU101からの指示に基づきメモリカードドライブに挿入された上記メモリカードMCに対してデータの書き込み及び読み出しを行うメモリカードI/F110と、表示装置Dと複合機FとをネットワークNTにより接続してデータを送受信するためのインターフェース処理を行う通信I/F111と、例えば表示部106表面等、表示装置Dの周囲における照度を検出する照度センサ112と、例えば表示装置D自体が使用者に把持されることに起因する当該表示装置Dにおける振動の有無を検出する振動センサ113と、を備えている。そして、ROM102、フラッシュROM103、RAM104、操作キー105、表示コントローラ107、充電コントローラ109、メモリカードI/F110、通信I/F111、照度センサ112及び振動センサ113と、CPU101と、は、バス114を介して相互に接続されている。
【0037】
なお、上記振動センサ113は後述する変形形態に係る情報処理システムの動作においてのみ使用されるものであり、実施形態に係る情報処理システムSの動作を実現するための表示装置Dとしては、当該振動センサ113は不要である。
【0038】
(B)情報処理システムの動作
次に、実施形態に係る情報処理システムSに含まれる表示装置D及び複合機F夫々における動作について、図3を用いて説明する。なお図3は実施形態に係る複合機F及び表示装置D夫々における動作を纏めて示すフローチャートである。
【0039】
図3に示すように、実施形態に係る表示装置Dの電源スイッチ105f及び複合機Fにおける図示しない電源スイッチが操作されると(ステップS1、S10)、複合機Fの取得部10aは先ず、例えば通信I/F15又は読取部18を介して表示装置Dにおいて表示すべき表示データを取得したか否かを確認する(ステップS2)。そして、当該取得がされていない場合(ステップS2;NO)、取得部10aはそのまま待機し、一方、当該表示データを取得したことが確認されたとき(ステップS2;YES)、CPU10は次に、当該取得した表示データをRAM12内に一時的に記憶させ、更に当該表示データを表示部11又は表示装置Dの表示部106において表示すべき旨(参照すべき旨)の操作が操作部16において実行されたか否かを確認する(ステップS3)。そして、当該操作が実行されていないときは(ステップS3;NO)上記ステップS2の動作に戻り、一方当該操作が実行されたとき(ステップS3;YES)CPU10は次に、表示装置DのCPU101との間で相互に通信I/F15及び111を介して接続情報を授受することにより、当該表示装置Dが複合機Fに接続されていることを確認する(ステップS4、S11)。なお、当該接続確認動作において接続確認が取れない場合には、例えば当該接続確認動作を複数回繰り返し、それでも接続確認が取れない場合は複合機F又は表示装置Dの少なくともいずれか一方において当該接続確認が取れない旨の警告告知を行うことが好ましい。
【0040】
上記ステップS4及びS11の動作において必要な接続確認ができた場合、複合機FのCPU10は次に、表示装置DのCPU101との間で、表示装置Dの周囲の照度を確認する照度確認動作を行う(ステップS5、S12)。
【0041】
この照度確認動作として具体的に、先ず複合機FのCPU10は表示装置DのCPU101に対して照度を検出する旨の指示を通信I/F15及び111を介して送信する。これにより当該CPU101は、照度センサ112からの出力値に基づいて表示装置Dの周辺(より具体的には、表示部106上)の照度を検出する。そしてCPU101内の照度判断部101aは、当該検出した照度が予め設定されている照度閾値以上であることが予め設定された時間閾値以上継続されているか否かを夫々判断し、その判断結果を、通信I/F111及び15を介してCPU10に出力する(ステップS12)。
【0042】
ここで、当該照度閾値及び時間閾値は予め実験的又は経験的に定められて例えばROM102内に記憶されているものである。
【0043】
具体的に先ず照度閾値は、外光を用いずに表示を行う表示装置Dの表示部106において当該表示が視認可能となる最低の周辺照度として予め求められた照度閾値である。この照度は、表示部106を構成する表示デバイスの表示原理や表示するコンテンツ自体の内容(文字が多いか画像が多いか等)等に基づいて変化するものである。
【0044】
一方、時間閾値は、例えば表示装置Dの周辺が瞬間的にのみ照度閾値を超えた照度となり、その後元の暗い(表示部106上の表示の視認が不可能な)状態に戻った場合を排除する目的で予め設定されている時間閾値である。この時間閾値は、表示装置Dが実際に置かれている周囲環境により変化するものであるが、例えば1秒とされている。
【0045】
なお、上記照度閾値及び時間閾値については、複合機F又は表示装置Dの少なくともいずれか一方において使用者により変更可能とされているのが好ましい。また、上述の照度判断部101aとしての動作を、照度センサ112からの出力値をネットワークNTを介して取得した複合機FのCPU10が当該出力値に基づいて行う構成とすることもできる。
【0046】
以上のステップS12の動作により表示装置Dからの判断結果を取得した複合機FのCPU10は、当該取得した判断結果の内容を確認する(ステップS6)。そして当該判断結果が、表示装置Dの周辺の照度が上記照度閾値未満であるか、又は当該照度閾値以上ではあるがその照度である時間が上記時間閾値未満であることを示す判断結果であった場合(ステップS6;NO)、表示コントローラ19は、上記取得した(ステップS2参照)表示データを複合機Fの表示部11において表示し(ステップS7)、その後複合機Fとしての実施形態に係る動作を終了する。なお上記ステップS7の動作において表示コントローラ19は、表示させるべきコンテンツとしての種々の形式を、表示部11の表示原理等に基づいて最適な形式に変換して当該表示を行う。
【0047】
一方、ステップS6の確認において、表示装置Dから取得した判断結果が、表示装置Dの周辺の照度が上記照度閾値以上であり且つ上記時間閾値以上であることを示す判断結果であった場合(ステップS6;YES)、CPU10は、上記取得した(ステップS2参照)表示データを、通信I/F15を介して表示装置Dに送信し(ステップS8)、その後複合機Fとしての実施形態に係る動作を終了する。
【0048】
一方、表示装置DのCPU101は、上記ステップS12に係る照度判断動作の後は、複合機Fから上記表示データが送信されて来たか否かを監視する(ステップS13)。そして、当該表示データが送信されて来ていない場合は(ステップS13;NO)そのまま待機する。一方当該表示データが送信されて来た場合(ステップS13;YES)、CPU101は、当該表示データを通信I/F111を介して受信する(ステップS14)。これにより表示コントローラ107は、当該受信した表示データを表示部106において表示する(ステップS15)。その後CPU101は、表示装置Dとしての実施形態に係る動作を終了する。
【0049】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理システムSの動作によれば、表示装置Dにおける照度に応じて表示データを複合機Fで表示するか表示装置Dで表示するか否かを制御するので、表示される情報が外光を利用して視認可能な表示装置Dにおける表示と当該情報が外光を利用せずに視認可能な複合機Fにおける表示とを照度に応じて切り換えることで、表示装置D及び複合機F夫々の表示特性に応じた表示データの表示を行うことができる。
【0050】
また、照度不足により表示装置Dにおける表示データの表示が不可能な場合でも複合機Fを用いて当該表示データを表示してその内容を確認することができる。
【0051】
従って、表示装置D及び複合機F夫々の表示特性に応じた表示データの表示を行うことで、情報処理システムSとしての利便性を向上させることができる。
【0052】
更に、表示データを表示装置Dに出力するとき当該表示データを当該表示装置Dに対応して変換した後に当該表示装置Dに出力し、表示データを複合機Fに出力するとき当該表示データを当該複合機Fに対応して変換した後に表示するので、表示装置D及び複合機Fに適合した表示データを夫々出力することで、表示装置D又は複合機Fいずれにおいても良好な表示を行うことができる。
【0053】
更にまた、表示データの表示を行う旨の指示が操作部16において入力されたときのみ当該表示データの出力動作を行うので、表示データの表示自体が不要な場合にまで出力動作が実行されることを防止できる。
【0054】
また、表示装置Dにおける照度が照度閾値以上であり且つその時間が時間閾値以上であるときのみ表示データを表示装置Dにおいて表示するので、当該照度が一時的に照度閾値を越えた後に再び当該照度閾値未満となった場合にまで、表示データが表示装置Dにおいて表示されることを防止できる。
【0055】
(II)変形形態
次に、本発明に係る変形形態について、図4を用い説明する。
【0056】
なお図4は変形形態に係る複合機F及び表示装置D夫々における動作を纏めて示すフローチャートであり、実施形態に係る複合機F及び表示装置D夫々における動作(図3参照)と同一の動作については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0057】
また、変形形態に係る複合機F及び表示装置Dの構成は実施形態に係る複合機F及び表示装置Dの構成と同一であるので、以下の説明では、実施形態にて用いた部材番号をそのまま用いて説明すると共に、当該構成として重複する説明は省略する。
【0058】
図4に示すように、変形形態に係る複合機F及び表示装置Dにおいては、先ず、図3に示したステップS1乃至S4の動作並びにステップS10及びS11の動作が実行される。
【0059】
その後、ステップS4及びS11の接続確認動作において必要な接続確認ができた場合(ステップS4)、CPU10は次に、表示装置DのCPU101との間で、表示装置Dの周囲の照度を確認すると共に当該表示装置Dの振動センサ113において振動が検出されたか否かを確認する照度/振動確認動作を行う(ステップS50、S120)。
【0060】
この照度/振動確認動作として具体的には、実施形態に係るステップS5及びS12と同様の照度確認/判断動作(実施形態に係る照度閾値及び時間閾値と同様の照度閾値及び時間閾値を用いた照度確認/判断動作)に加えて、複合機FのCPU10は表示装置DのCPU101に対して表示装置Dにおける振動の有無を検出する旨の指示を通信I/F15及び111を介して送信する。これにより当該CPU101は、振動センサ113からの出力値に基づいて表示装置D自体における振動の有無を判断し、その判断結果を、通信I/F111及び15を介してCPU10に出力する。なおこの振動の有無の判断動作は、表示装置Dがその使用者により把持されていることを判断するために行うものである。
【0061】
これらにより表示装置Dからの判断結果を取得した複合機FのCPU10は、当該取得した判断結果の内容を確認する(ステップS51)。そして当該判断結果が、表示装置Dの周辺の照度が上記照度閾値未満であるか、又は当該照度閾値以上ではあるがその照度である時間が上記時間閾値未満であった場合(ステップS51;NO)、表示コントローラ19は、上記取得した(ステップS2参照)表示データを複合機Fの表示部11において表示し(ステップS7)、その後複合機Fとしての実施形態に係る動作を終了する。
【0062】
一方、ステップS51の確認において、表示装置Dから取得した判断結果が、表示装置Dの周辺の照度が上記照度閾値以上であり且つ上記時間閾値以上であることを示す判断結果であった場合(ステップS51;YES)、CPU10は次に、表示装置D自体の振動があった旨が判断されたか否かを、表示装置Dから取得した上記判断結果に基づいて確認する(ステップS52)。
【0063】
これにより、当該判断結果が振動があった旨の判断結果であった場合(ステップS52;YES)、表示装置Dがその使用者により把持されている(すなわち、表示装置Dが視認されている)として、CPU10は、上記取得した(ステップS2参照)表示データを、通信I/F15を介して表示装置Dに送信し(ステップS8)、その後複合機Fとしての実施形態に係る動作を終了する。なお上記ステップS52の確認動作において、表示装置Dから取得した判断結果が振動が無かった旨の判断結果であった場合(ステップS52;NO)、CPU10は上記ステップS7の動作に移行する。
【0064】
これらにより表示装置DのCPU101及び表示コントローラ107は、複合機Dから送信されて来た表示データの有無を確認し(ステップS13)、当該表示データが送信されて来ている場合は(ステップS13;YES)、これを通信I/F111を介して受信し(ステップS14)、更に当該受信した表示データを表示部106において表示する(ステップS15)。その後CPU101は、表示装置Dとしての実施形態に係る動作を終了する。
【0065】
以上説明したように、変形形態に係る情報処理システムSの動作によれば、実施形態に係る情報処理システムSの動作による作用効果に加えて、表示装置Dにおける照度が照度閾値以上である時間が時間閾値以上であり且つ表示装置Dが振動しているとき表示データを表示装置Dにおいて表示するので、表示装置Dにおける振動の発生を使用者における当該表示装置Dの把持であると見なすことで、使用者が当該表示装置Dを把持しているタイミングで表示データを当該表示装置Dにおいて表示することができる。
【0066】
なお、上述した実施形態及び変形形態においては、複合機Fと表示装置Dとを含む情報処理システムSに対して本発明を適用した場合について説明したが、これ以外に本発明は、表示対象たる情報を取得する情報処理装置と、当該取得された情報を表示する情報表示装置と、を含む情報処理システムに対して広く適用することも可能である。
【0067】
また、上述した実施形態及び変形形態においては、使用者により表示データを参照する旨の操作が実行された場合のみ、当該参照のための動作を実行する構成としたが(図3及び図4ステップS3参照)、これ以外に当該操作の有無を確認することなく(すなわち、ステップS3に係る確認動作を実行することなく)、取得した表示データについて一律に実施形態又は変形形態に係る表示制御動作を実行するように構成することもできる。
【0068】
更に、上記図3及び図4を用いて夫々説明したフローチャートに対応するプログラムをフレキシブルディスク等の記録媒体に記録しておき、又はインターネット等のネットワークを介して取得して記録しておき、これらをマイクロコンピュータ等のコンピュータで読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施形態及び変形形態に係るCPU10又はCPU101として機能させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上夫々説明したように、本発明は情報処理システムの分野に利用することが可能であり、特に表示原理が異なる二種類の表示部を含む情報処理システムにおける表示制御の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【符号の説明】
【0070】
10、101 CPU
10a 取得部
10b 照度判断部
11、106 表示部
12、104 RAM
13、110 メモリカードI/F
14、102 ROM
15、111 通信I/F
16 操作部
17、114 バス
18 読取部
19、107 表示コントローラ
20 印刷部
103 フラッシュROM
105 操作キー
105a 決定キー
105b 次キー
105c 下キー
105d 前キー
105e 上キー
105f 電源スイッチ
108 バッテリー
109 充電コントローラ
112 照度センサ
113 振動センサ
S 情報処理システム
F 複合機
D 表示装置
NT ネットワーク
MC メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示される情報が外光を利用せずに視認可能な第1表示装置と、当該第1表示装置を備えた情報処理装置に接続された第2表示装置であって、表示される情報が外光を利用して視認可能な第2表示装置と、を含む情報表示システムにおいて、
前記第1表示装置又は前記第2表示装置のいずれか一方で表示すべき表示情報を取得する取得手段と、
前記第2表示装置における照度を検出する照度検出手段と、
前記照度検出手段により検出された前記照度が予め設定された照度閾値以上であるか否かを判断する照度判断手段と、
前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値以上であると判断されたとき、前記取得手段により取得した表示情報を前記第2表示装置に出力し、前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値未満であると判断されたとき、前記取得した表示情報を前記第1表示装置に出力するように、前記第1情報表示装置及び前記第2情報表示装置を制御する出力制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示システムにおいて、
前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値以上であると判断されて前記表示情報を前記第2表示装置に出力するとき、当該表示情報を当該第2表示装置に対応して変換した後に当該第2表示装置に出力し、前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値未満であると判断されて前記表示情報を前記第1表示装置に出力するとき、当該表示情報を当該第1表示装置に対応して変換した後に当該第1表示装置に出力する変換手段を更に備えることを特徴とする情報表示システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報表示システムにおいて、
前記取得手段により取得した表示情報の表示を行うか否かの指示を入力するために用いられる操作手段を更に備え、
前記制御手段は、前記操作手段において前記指示が入力されたときのみ、前記出力制御を行うことを特徴とする情報表示システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報表示システムにおいて、
前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値以上であると判断された時間を検出する時間検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記照度が前記照度閾値以上であり且つ前記検出された時間が予め設定された時間閾値以上であるとき、前記取得手段により取得した表示情報を前記第2表示装置に出力する前記出力制御を行うことを特徴とする情報表示システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報表示システムにおいて、
前記第2表示装置における振動の発生を検出する振動検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記照度判断手段により前記照度が前記照度閾値以上であると判断され且つ前記振動検出手段により前記振動が発生したことが検出されたとき、前記取得した表示情報を前記第2表示装置に出力する前記出力制御を行うことを特徴とする情報表示システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の前記第1表示装置を制御する第1コンピュータ又は前記第2表示装置を制御する第2コンピュータのいずれか一方を、
前記取得手段、及び、
前記制御手段、
として少なくとも機能させることを特徴とする情報表示用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−237626(P2010−237626A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88438(P2009−88438)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】