説明

情報表示システム

【課題】複数利用者による共同作業における情報処理機器の操作性を向上し、共同作業を支援できる情報表示システムを提供する。
【解決手段】制御装置10は、ディスプレイ表示装置20の少なくとも一部を表示エリアとする共有情報表示エリアと、ディスプレイ表示装置20の一部を表示エリアとする、少なくとも一つの個人情報表示エリアとを画定し、共有情報として指定される画像を共有情報表示エリアに表示し、各利用者に対応して生成される個人情報を対応する個人情報表示エリアに表示するよう制御する情報表示システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数利用者の共同作業等を支援する情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、会議等において、各人がパーソナルコンピュータを持ち寄って、データを交換するなどということが広く行なわれている。この場合においてデータの交換は、例えばUSBメモリ等の可搬性のある外部記憶メディアに、交換の対象となるデータを格納し、当該外部記憶メディアをデータの受け渡し先に提供して、当該受け渡し先にて、当該外部記憶メディアから自分のパーソナルコンピュータにデータを引き取るという態様にて行なわれているのが現状である。
【0003】
なお、携帯型コンピュータの画面をテーブルや壁面に表示する技術が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2001−136504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、いずれもパーソナルコンピュータ操作によるデータの受け渡しの域をでない。従って、あるパーソナルコンピュータ内にあるデータを操作するには、当該パーソナルコンピュータに対する作業が必要となり、情報が一斉表示されている表示エリアとは離れたインタフェースにて作業を行うことが必要となり、操作性が低い。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、複数利用者による共同作業における情報処理機器の操作性を向上し、共同作業を支援できる情報表示システムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、情報表示システムであって、情報の表示を行なう表示部と、前記表示部の表示エリアの一部を個人情報表示エリアとして画定する制御部と、を含むことを特徴としている。
【0007】
ここで利用者の操作を受け入れる操作手段をさらに備え、前記操作手段において特定の操作が行われた場合に、前記制御部が個人情報表示エリアの画定を行うこととしてもよい。
【0008】
また、利用者を認証する認証手段をさらに備え、前記認証手段による認証が行われたときに、前記制御部が個人情報表示エリアの画定を行うこととしてもよい。
【0009】
さらに、利用者の位置を検出する位置検出手段をさらに有し、前記制御部は、前記位置検出手段によって検出された位置に基づいて個人情報表示エリアの画定を行うこととしてもよい。
【0010】
また、利用者の向きを検出する方向検出手段をさらに有し、前記制御部は、前記位置検出手段によって検出された方向に基づいて個人情報表示エリアの画定を行うこととしてもよい。
【0011】
さらに、前記制御部が複数の個人情報表示エリアを画定することとしてもよい。また、前記制御部は、前記表示部の表示エリアの少なくとも一部を共有情報表示エリアとして画定することとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態の情報表示システム1は、図1に示すように、制御装置10と、ディスプレイ表示装置20と、このディスプレイ表示装置20の表示面にオーバーレイされたタッチセンサ30と、タグリーダ40とを含んで構成されている。また、この情報表示システム1は、ネットワークを介して、利用者のコンピュータ装置2に接続される。なお、本実施の形態では、利用者のコンピュータ装置2が情報表示システムから遠隔に配置されていてもよい。
【0013】
制御装置10は、一般的なサーバコンピュータであり、図2に示すように制御部11、記憶部12、表示制御部13、通信部14を含んで構成される。ここで制御部11は、CPU等であり、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。この制御部11は、
(1)共有情報を保持し、当該共有情報に係る情報の表示制御を行う共有情報管理処理と、
(2)利用者を認証する利用者認証処理と、
(3)ディスプレイ表示装置近傍に所在する各利用者による指示操作によって、各利用者個人のコンピュータ装置2にアクセスし、当該利用者個人の情報(以下、個人情報という)を取得して、当該個人情報に係る表示制御を行う個人情報管理処理と、
を遂行する。これらの各処理についての詳細は後に詳しく述べる。
【0014】
記憶部12は、RAMやROM等の記憶素子やハードディスク等のディスクデバイス等、制御部11によって実行されるプログラムを保持するコンピュータ可読な記憶媒体である。また、この記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0015】
表示制御部13は、制御部11から入力される指示に従ってディスプレイ装置20を制御し、制御部11から指示されたデータを表示出力させる。通信部14は、ネットワークインタフェースであり、ネットワークを介してクライアント装置2との間でデータを送受する。
【0016】
ディスプレイ装置20は、例えば液晶やCRTのディスプレイ装置であってもよいし、プロジェクタとスクリーンとを備えてなるプロジェクションディスプレイであってもよい。このディスプレイ装置20は、制御装置10からの指示に従って情報を表示する。本実施の形態では、このディスプレイ装置20は、図1に示したようにテーブルの天板部分に情報を表示するように設けられる。すなわち、例えば天板となるガラス板を保護板として、当該ガラス板を通じて、下部に設けた液晶ディスプレイが見えるようになっていてもよいし、天板をスリガラスとして、下方からプロジェクタにて情報を投射してもよい。
【0017】
タッチセンサ30は、ディスプレイ装置20の表示面にオーバレイして設けられる。このタッチセンサ30は、本実施の形態のようにディスプレイ装置20がテーブルの天板として設けられる場合には、当該天板部分のどこに利用者の指が接しているかを検出する装置として実現される。このタッチセンサ30としては例えば、透明電極を敷設したパネルなどとして広く知られたものを用いることができる。
【0018】
タグリーダ40は、利用者が身に付けているICタグを非接触の状態で検出する。本実施の形態では、利用者が、各利用者を特定する利用者名等の情報を記録したICタグを所持しているものと仮定する。このタグリーダ40は、本実施の形態では、ディスプレイ表示装置20の外周、つまりテーブルの天板外周に複数設けられ、制御装置10から入力される情報取得指示に従ってディスプレイ表示装置20近傍に所在する利用者のICタグから情報を取得し、取得した情報を制御装置10に出力する。
【0019】
利用者のコンピュータ装置2は、一般的なパーソナルコンピュータであるが、ここではネットワークを介してインタフェース画面を提供するためのサーバアプリケーションがインストールされているものとする。すなわち、このコンピュータ装置2は、情報表示システム1などからネットワークを介して、インタフェース画面の要求を受けると、当該要求に応答してインタフェース画面の情報を要求元に対して送信する。このようなサーバアプリケーションとしては、例えばエイ・ティ・アンド・ティ・ケンブリッジ研究所で開発されたVNC(Virtual Network Computer;http://www.realvnc.com/を参照)など、広く知られたものを用いることができる。
【0020】
なお、このサーバソフトウエアは、ネットワークを介して受けたマウス、キーボード操作の内容によってファイルが選択される操作が行なわれたときに、当該選択されたファイルに関する参照情報(URL等)をクライアント側へ送信する。
【0021】
次に、制御部11の動作について述べる。
【0022】
[共有情報管理処理及び個人情報管理処理]
制御部11は、グラフィカル利用者インタフェース(GUI)の処理を含む、通常のオペレーティングシステムの処理を実行しており、当該GUI処理によって表示されるべき画像を、ディスプレイ装置20の予め定めた領域(共有情報表示エリア)に対して表示出力する。
【0023】
また制御部11は、利用者がディスプレイ表示装置20の表示画面上で行なった指示操作の内容を受けて、当該指示操作に従って処理を行う。本実施の形態では、マウスやキーボードの操作に代えて、利用者がタッチセンサ30に指で直接触れてカーソルの移動操作や、キー入力操作に相当する文字等の入力操作を実行する。例えば、タッチセンサ30に一つの指を触れて放す操作(タップ操作)は、マウスのカーソルを当該位置に移動してクリックを行なう操作に対応する。また、タッチセンサ30上の一定の場所を指で二回タップする操作は、当該場所にマウスカーソルを移動してダブルクリックをする操作に対応する。さらに、タッチセンサ30上の一点に指をおき、ここから指をタッチセンサ30上を滑らせながら(タッチセンサ30との接触を維持したまま)別の一点まで移動する操作は、マウスを用いてドラッグする操作に対応する。かかるタッチセンサ30を用いた操作については、例えばタブレットPCや、各種PDA(Portable Digital Assitant)における操作と同様に認識処理できるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0024】
制御部11は、さらに利用者がタッチセンサ30上で行なった所定操作に対応して、所定処理を実行することとしてもよい。この処理はいわゆる「ジェスチャーコマンド」として知られている。また、この制御部11は、利用者がタッチセンサ30上で指を移動させて描画した文字や図形などを認識して、当該認識の結果に基づいて処理を行ってもよい。このように自由な領域に描画された文字や図形などを認識する処理は、例えばアップルコンピュータ社のニュートン(商標)PDA等において公知の技術を利用できる。
【0025】
また、この制御部11は、コンピュータ装置2側で動作しているインタフェース画面をサービスするサーバに対応するクライアントソフトウエア(例えばVNCクライアント)の処理を実行し、利用者が指定した表示エリア(個人情報表示エリア)内にVNCクライアントのウインドウを表示する。
【0026】
本実施の形態において特徴的なことの一つは、利用者がタッチセンサ30上に指を触れる操作を行なったときに、当該操作により共有情報表示エリアにおいて表示されているファイルが選択されたか、または個人情報表示エリアに表示されている、コンピュータ装置2上のファイルが選択された(この場合、コンピュータ装置2から選択されたファイルのURLが送信される)ときには、続いて(タッチセンサ30から指を離さないで)指を移動する操作が行なわれたときに、当該操作をドラッグ操作として処理し、ファイルの選択がされなかったときには、文字や図形等の描画操作であるとして処理することである。
【0027】
つまり、本実施の形態の制御部11は、ディスプレイ表示装置20に対して、図3に示すように、共有情報表示エリア(P)と、各利用者の個人情報表示エリア(L)とを表示する。なお、ここで共有情報表示エリア(P)と、個人情報表示エリア(L)とは互いに重なり合う例(個人情報表示エリア(L)のウインドウが、共有情報表示エリア(P)を背景として表示される例)を示したが、共有情報表示エリア(P)とは別に、個人情報表示エリア(L)が設定されてもよい。また、共有情報表示エリア(P)は、一つだけでなく複数設定されてもよい。この場合、それぞれの共有情報表示エリアに対して互いに異なるアクセス権(共有情報表示エリアにファイルを複写する権利や、共有情報表示エリア内のファイルを閲覧する権利など)が設定されてもよい。
【0028】
共有情報表示エリア(P)においては、制御部11が記憶部12内に格納されているデータファイルのアイコンなどを表示している(A)。また、記憶部12内のデータファイルをアプリケーションプログラムで開いたときの書類の画像データが表示される(B)。
【0029】
同様に、個人情報表示エリア(L)には、対応するコンピュータ装置2が生成した画面が表示される。ここでは、各利用者のコンピュータ装置2内のファイルのアイコン(a)や、各利用者のコンピュータ装置2において実行されるアプリケーションプログラムが開いている書類の画像(b)などが表示される。
【0030】
[個人情報表示エリアと共有情報表示エリアとの間でのドラッグ操作]
ここで利用者が、個人情報表示エリア内に表示されているファイルのアイコンをドラッグして、共有情報表示エリア内まで移動する場合の制御部11の処理について説明する。
【0031】
制御部11は、まず利用者が個人情報表示エリア内のファイルを選択したときに、対応するコンピュータ装置2側から選択されたファイルのURLなど参照情報を受信し、続いて行なわれた利用者の指を移動する動作がドラッグ操作であると認識する。
【0032】
制御部11は、利用者の指の動きをトラッキングし、指が個人情報表示エリア外に出たときに、その移動軌跡を表示する。そして利用者の指が離れた位置が共有情報表示エリアであったか否かを調べる。ここで利用者の指が離れた位置が共有情報表示エリアであれば、受信していたURLなどの参照情報に対するファイルの実体を、対応するコンピュータ装置2に対して要求する。この要求は例えばFTP(File Transfer Protocol)などを用いて行なう。この場合、各コンピュータ装置2においては、要求に対応するサーバ、例えばFTPサーバを起動しておくものとする。そして、コンピュータ装置2から対応するファイルの実体を受信して、記憶部12に格納し、当該ファイルの実体に対応するアイコンを共有情報表示エリア内に表示する。
【0033】
また、制御部11は、利用者が共有情報表示エリア内のファイルを選択したときに、続いて行なわれた利用者の指を移動する動作がドラッグ操作であると認識する。
【0034】
制御部11は、利用者の指の動き(軌跡)をトラッキングし、指が共有情報表示エリア外に出たときに、その移動軌跡を表示する。そして利用者の指が離れた位置が個人情報表示エリアであったか否かを調べる。ここで利用者の指が離れた位置が個人情報表示エリアであれば、当該個人情報表示エリアに対応するコンピュータ装置2に対して、利用者が選択したファイルのURL等の参照情報を送信する。コンピュータ装置2は、この参照情報を受信して、当該ファイルの要求を制御装置10に対して送信してもよい。この要求もまた、例えばFTP(File Transfer Protocol)などを用いて行なう。この場合、制御装置10の制御部11は、要求に対応するサーバ、例えばFTPサーバとしての処理を実行する。そして、コンピュータ装置2は、制御装置10から対応するファイルの実体を受信すると、ハードディスク等の記憶領域に格納し、当該ファイルの実体に対応するアイコンを個人情報表示エリア内に表示するよう、画面の表示を更新する。
【0035】
これらの操作が行なわれるときに当初利用者が指定したファイルについては、削除する処理を行ってもよいし、削除せずにそのままとしてもよい。前者のように削除すれば、あたかも一つのファイルを共有情報表示エリアと個人情報表示エリアとの間で移動したかのように扱うことができ、また、後者のように削除しない場合は、共有情報表示エリアと個人情報表示エリアとを別のエリアとして区別し、エリア間で移動する場合にファイルを複写することとなる。また、例えば個人情報表示エリアから共有情報表示エリアへアイコンをドラッグしたときには、複写を行なう(選択した元のファイルの削除を行なわない)こととし、共有情報表示エリアから個人情報表示エリアへドラッグするときには、移動を行なう(選択した元のファイルの削除を行なう)こととしてもよい。
【0036】
また、個人情報表示エリア内から共有情報表示エリアへアイコンをドラッグしたときには、共有情報表示エリアに複写ないし移動したファイルをアプリケーションプログラムにて開いて表示してもよい。また、共有情報表示エリアにおいて開かれているドキュメントのウインドウをドラッグして(ウインドウ上でドラッグを受け入れる領域として予め定められた部分(例えばタイトルバー部分)をドラッグする操作をして)、個人情報エリアまで移動させたときには、当該ドキュメントに対応するファイルのURL等の参照情報をコンピュータ装置2へ送信し、コンピュータ装置2が、この参照情報を受信して、当該ファイルの要求を制御装置10に対して送信し、コンピュータ装置2側にファイルを移動等してもよい。
【0037】
さらに、制御部11は、共有情報表示エリアにおいてドキュメントのウインドウが開かれている間に、当該ドキュメントのウインドウ内を起点として、利用者が指で数字として認識される文字を描画したときには、当該数字が表す部数だけドキュメントのウインドウに対応するファイルが複写され、それぞれ複写されたファイルがアプリケーションプログラムで開かれ、元のドキュメントのウインドウに少なくとも一部重ね合わせて表示してもよい(図4)。制御部11は、各複写によって開かれたウインドウのドキュメントを各利用者が個人情報表示エリアへドラッグして移動する操作が行なわれると、移動によって削除されたファイルに対応するドキュメントのウインドウを閉じる。図4では、
(S1):利用者が個人情報表示エリアLから共有情報表示エリアPへファイルのアイコンをドラッグしてファイルが複写されてアプリケーションプログラムによってドキュメントのウインドウが表示される場面と、
(S2):利用者が共有情報表示エリアP内に表示されたドキュメントのウインドウ上で「3」の数字を描画する場面と、
(S3):描画された数字によって示される数だけドキュメントが複写され、各複写されたドキュメントが別々のウインドウによって開かれた場面と、
を図示している。
【0038】
なお、個人情報表示エリアと、共有情報表示エリアとは互いに異なるエリアであることが視認可能であるように、境界線を描画し、あるいはエリア内の色を異ならせるなど、表示態様を異ならせることとしてもよい。
【0039】
[個人情報表示エリアの画定]
また、個人情報表示エリアは、利用者がタッチセンサ30上で行う所定の操作によって画定されてもよい。ここで所定操作は例えば、タッチセンサ30上で、矩形を描画する操作(図5(a))や、任意の図形により領域を画定する操作(図5(b),(c))等がある。ここで任意の図形により領域を画定するには、図5(b)に示すように円を描画することによってもよいし、図5(c)に示すように、タッチセンサ30の周縁部を領域の辺として、周縁部の一点から別の一点へと指を移動させる操作であってもよい。
【0040】
矩形を描画することで個人情報表示エリアを画定した場合は、当該矩形内を個人情報表示エリアとし、また、図5(b),(c)のように任意の図形をもって個人情報表示エリアを画定した場合は、当該任意の図形に内接、又は外接する矩形を個人情報表示エリアとして画定する。
【0041】
つまり、図6に示すように指で共有情報表示エリア内に矩形を描画すると(図6(a)、(b))、個人情報表示エリア(L)が設定され、例えばパスワードの入力が要求される(図6(c))。ここで適切なパスワードが入力されれば、個人情報表示エリア(L)内にユーザのデスクトップ等が表示される(図6(d))。
【0042】
[利用者認証処理]
また本実施の形態においては、各利用者のコンピュータ装置2へアクセスする必要のあることから、制御部11は利用者を認証する処理を行ってもよい。この認証処理では、例えばユーザ名やパスワードを入力させる一般的な処理によって行なってもよいし、ディスプレイ表示装置20近傍に指紋認証装置や、静脈認証装置などバイオメトリクス認証を行なうための装置を備えて、これらバイオメトリクス情報によって利用者の認証や、利用者名の取得を行なってもよい。
【0043】
また、指紋認証や、静脈認証のための指先や手の平の画像を撮像する際には、例えば、ディスプレイ表示装置20をカバーするガラス面に指先や手の平を配置して認証を行なってもよい。その際には、指先や手の平を配置するべき領域を表す案内画像を表示し、利用者が指や手を置いている間に、当該部分を可視光や赤外光などで撮像する。なお、指紋や静脈の認証処理方法については、既存の種々の技術を利用することができる。
【0044】
さらに、バイオメトリクス認証の方法としては、利用者のサインなど手書き文字による認証や、声紋、その他種々のものを利用してもよい。
【0045】
制御部11は、利用者とコンピュータ装置2を特定する情報とを関連づけて記憶部12に保持しておき、このバイオメトリクス認証の結果を、認証した利用者に関連づけられた情報で特定されるコンピュータ装置2へ送信してもよい。コンピュータ装置2は、この認証の結果を受け入れるまでは個人情報表示エリアに表示するべき画像を提供しないようにしてもよい。
【0046】
さらに制御部11は、ここで手の平の向きを、利用者の位置ないし向きとして検出して、当該検出した位置ないし方向を基準として、個人情報表示エリアの向きまたは、個人情報表示エリア内におけるドキュメントの表示方向を定めてもよい。例えば手の平の長手方向(一般に指をそろえたときの肘と指先とを結ぶ向き)を縦向きとし、手の平側を下方として個人情報表示エリアの向きを定めてもよい。
【0047】
具体例として、一般的なGUI(Graphical User Interface)におけるイメージングモデル(画面等への描画処理を実行するソフトウエアモジュール)において、表示座標系を回転させて手の指から手の平へといたる線分にY軸が平行になるように設定する。これにより、表示されるドキュメントのウインドウが当該手の平の向きに沿って表示されることとなる(図7(a),(b))。
【0048】
またここでは手の向きにより利用者の位置、方向を識別する例を述べたが、例えばディスプレイ表示装置20の天板部周辺に人体センサ(焦電センサなど)を取り付けて、この人体センサにより利用者の着席位置を検出して、画定された個人情報表示エリア内の座標系を、当該検出した位置に基づいて回転ないし平行移動してもよい。
【0049】
なお、本実施の形態では、複数の個人情報表示エリア(L)が画定されているときには、各個人情報表示エリアごとに利用者の位置や方向などを検出して、利用者の環境(VNC等で取得する画面など)のみならず、座標系の傾きなどの情報が関連づけられて記憶される。そしてこの記憶された情報に基づいて、個人情報表示エリア内の表示内容(ドキュメントの表示方向)などが制御される。
【0050】
[離席時の処理]
制御部11は、所定のタイミングごとに(例えば定期的に)、タグリーダ40に対して情報の取得を要求する。そして制御部11は、タグリーダ40が取得した情報により、ディスプレイ表示装置20近傍に所在する利用者のリストを、近傍所在者リストとして生成する。
【0051】
制御部11は、また、各個人情報表示エリアに関連する利用者を、利用者リストとして記憶部12に記憶している。そして制御部11は、利用者リストに含まれる利用者のうち、近傍所在者リストに含まれないこととなった利用者を検出すると、当該検出した利用者に係るコンピュータ装置2に対して画面をロックするべき旨の指示を送信する。コンピュータ装置2は、この指示を受けて、画面をロックし、又は例えばスクリーンセーバなどを起動させ、利用者が再度、ユーザ名やパスワードを入力するか、制御部11にてバイオメトリクスの認証が行なわれ、認証が成功した旨の情報が受信されるまでロックを解除しない。
【0052】
なお、この画面のロック中やスクリーンセーバの起動中は、コンピュータ装置2は、当該利用者を特定する情報(利用者名やユーザ名、登録されていれば利用者の写真などの画像)を個人情報表示エリアに表示してもよい。
【0053】
またスクリーンセーバとしては、任意の動画像を表示するものや、ファイルの一覧などGUIの画面にシェードをかけた(操作不能であることを示すためにやや暗くした)画像を表示するものなどがある。
【0054】
[指紋認証、サインによる認証において利用できる技術]
なお、本実施の形態におけるディスプレイ表示装置20の表示面のように指先の面積に比べ広大な領域に指をおいたときに指紋の画像を取得するための構成としては、例えば特開2003−323605号公報に開示のものなどがあり、サインによる認証のための構成としては、例えば特開平11−144056号公報に開示のものがある。さらに、ICカードなどを利用して利用者を認証する方法が、特開2004−234632号公報などに開示されている。
【0055】
[変形例]
さらに本実施の形態では、ICタグ等によってディスプレイ表示装置20近傍に所在する利用者を特定することとしているが、これに代えて、例えばカメラなどでディスプレイ表示装置20近傍に所在する利用者を撮像し、この撮像した画像を用いて各利用者の行動を検出し、ディスプレイ表示装置20から離れる利用者に係る個人情報表示エリアについて、上記画面のロックなどを行なわせる処理を実行してもよい。このように利用者の行動を検出する構成としては、特開2005−115544号公報に開示の技術などがある。
【0056】
このように本実施の形態によると、ファイル等のデータの受け渡しを、共有情報表示エリアと個人情報表示エリアとが共に表示された画面上で、タッチセンサに対する操作として行なうことができ、複数利用者による共同作業における情報処理機器の操作性を向上し、共同作業を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報表示システムの例を表す概要図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報表示システムの構成例を表すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る情報表示システムのディスプレイ表示装置での表示内容例を表す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報表示システムにおける操作の例を表す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る情報表示システムにおける操作の別の例を表す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る情報表示システムにおける表示の例を表す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る情報表示システムにおける表示の例を表す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 情報表示システム、2 コンピュータ装置、10 制御装置、11 制御部、12 記憶部、13 表示制御部、14 通信部、20 ディスプレイ表示装置、30 タッチセンサ、40 ICタグリーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の表示を行なう表示部と、
前記表示部の表示エリアの一部を個人情報表示エリアとして画定する制御部と、
を含むことを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示システムであって、
利用者の操作を受け入れる操作手段をさらに備え、
前記操作手段において特定の操作が行われた場合に、前記制御部が個人情報表示エリアの画定を行うことを特徴とする情報表示システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報表示システムであって、
利用者を認証する認証手段をさらに備え、
前記認証手段による認証が行われたときに、前記制御部が個人情報表示エリアの画定を行うことを特徴とする情報表示システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報表示システムであって、
利用者の位置を検出する位置検出手段をさらに有し、
前記制御部は、前記位置検出手段によって検出された位置に基づいて個人情報表示エリアの画定を行うことを特徴とする情報表示システム。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報表示システムであって、
利用者の向きを検出する方向検出手段をさらに有し、
前記制御部は、前記位置検出手段によって検出された方向に基づいて個人情報表示エリアの画定を行うことを特徴とする情報表示システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報表示システムであって、
前記制御部が複数の個人情報表示エリアを画定することを特徴とする情報表示システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報表示システムであって、
前記制御部は、前記表示部の表示エリアの少なくとも一部を共有情報表示エリアとして画定することを特徴とする情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−128288(P2007−128288A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320528(P2005−320528)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】