説明

情報表示方法、携帯情報装置及び非接触型通信デバイス

携帯情報装置10が、非接触型通信デバイス30の記憶部34において携帯情報装置30による表示部への表示の際に利用するために確保された表示利用領域72内に記憶された表示用情報を取得する。ここで、表示利用領域72内には、非接触型通信により行われた通信内容の編集結果や、非接触型通信デバイスが非接触型通信により果たす機能、当該機能の発行者等といった、利用者の利便性を向上可能な表示用情報が格納されている。引き続き、携帯情報装置10が、取得された表示用情報に基づいて、非接触型通信デバイス30の情報を前記表示部に表示する。この結果、利用者の利便性を向上可能な非接触型通信デバイス30の情報を、その非接触型通信デバイス30が搭載された携帯情報装置10の表示部に表示させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示方法、携帯情報装置及び非接触型通信デバイスに係り、より詳しくは、有線経路を介して携帯情報装置と通信が可能な非接触型通信デバイスの情報を、当該携帯情報装置の表示部に表示する情報表示方法、当該情報表示方法を使用する携帯情報装置、並びに当該携帯情報装置による当該情報表示方法の使用の際に利用可能な非接触型通信デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話等の携帯情報装置が広く普及している。こうした携帯情報装置の機能や性能の向上は目覚しく、携帯情報装置としての必須機能である通話機能やEメールの送受信機能に加えて、非接触型通信を行うとともに、近年において多用な分野で使用されているいわゆるICカードの機能を果たす非接触型通信デバイスを装備するものが登場している。かかる非接触型通信デバイスとしては、いわゆるICカードのようなカード状で、携帯情報装置に装着可能なもの(例えば、特開2001−223631号公報参照)や、携帯情報装置に固定的に内蔵されるもの(例えば、特開2003−85466号公報参照)がある。
【0003】
これらの非接触型通信デバイスには、CPU(中央演算処理装置)チップやメモリチップ等のICチップが組み込まれている。こうした非接触型通信デバイスは、そのセキュリティの高さから、例えば、電子マネー等の支払い決済といった他人には容易に知られたくない情報が保存されているなど、個人に係わる重要な機能を果たすようになりつつある。なお、1つの非接触型通信デバイスに当該個人に係わる重要な機能を複数備えることも可能となっている。
【0004】
こうした非接触型通信デバイスでは、有線経路を介して携帯情報装置との通信を行うとともに、非接触型通信を利用して、外部の非接触型通信用リーダライタと通信を行うことができる仕組みとなっているものが一般的である。なお、携帯情報装置には、搭載された非接触型通信デバイスが非接触型通信を行うためのアンテナが、基地局と通信を行うためのアンテナとは別個に備えられている。
【発明の開示】
【0005】
<発明が解決しようとする課題>
上述の通り、携帯情報装置に搭載可能な非接触型通信デバイスが提案されているが、非接触型通信デバイスが搭載された携帯情報装置においては、非接触型通信デバイスの非接触型通信(以下、単に「非接触型通信」という。)機能により、外部のリーダライタと通信を行う場合には、携帯情報装置内の制御系(CPU等)が関与しない。このため、携帯情報装置内の制御系が管理している記憶部に非接触型通信の通信内容等を記録することはできず、非接触型通信デバイスにのみ記録される。こうした非接触型通信デバイスへの通信内容の記録は、非接触型通信デバイスが複数の機能(例えば、鉄道改札システムとポイントカード等)を有している場合には、それらの機能ごとに種類分けされて記録されるようになっている。
【0006】
このため、利用者が非接触型通信デバイスの通信内容を携帯情報装置の表示部に表示して確認しようとすると、携帯情報装置に、非接触型通信デバイスの記録内容を読み取って表示するためのプログラムを搭載することが必要となる。こうしたプログラムもいくつか提案されているが、いずれも非接触型通信デバイスの記録内容の読み取り及び表示に際して様々な態様の動作ができる汎用的な仕様のものであった。このため、目的とする記憶内容(例えば、非接触型通信により最近に行われたトランザクションの内容、非接触型通信デバイスの機能等)の読み取り及び表示を行うには、利用者による多くの操作が必要であった。
【0007】
ましてや、非接触型通信デバイスが複数の機能を有する場合には、利用者が最近のトランザクションの内容について確認したい場合には、更に煩雑な操作を必要とする。すなわち、利用者は、まず、非接触型通信により最近に行われたトランザクションが何の機能であったのかを把握し、更に、非接触型通信デバイスが有する機能ごとに当該トランザクションの内容を確認するための操作が異なるため、利用者は機能の数だけ確認するための操作を覚えなければならない。
【0008】
また、上述した従来の技術では、非接触型通信デバイスが、誰により発行されたかや、どのような機能を有しているか等の利用者にとって有用な情報についての自動的な表示については、何等の提案もなされていない。このため、煩雑な操作をしなければ、利用者は、非接触型通信デバイスがどのような機能を有しているか等を確認することができなかった。
【0009】
さらに、非接触型通信デバイスが携帯情報装置に脱着可能なカード型デバイスである場合には、当該カード型デバイスの紛失や悪意ある者によるカード型デバイスの差し替えがあったとしても、早期にこれらの事態を簡易に発見することができなかった。この結果、当該機能の早期停止の措置がとれないために、利用者が損害を蒙る場合があり得た。
【0010】
本発明は、上記の事情を鑑みてされたものであり、利用者の利便性を向上可能な非接触型通信デバイスの情報を、その非接触型通信デバイスが搭載された携帯情報装置の表示部に表示させることができる情報表示方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、上記の本発明の情報表示方法を使用して、搭載された非接触型通信デバイスの情報を表示されることができる携帯情報装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記の本発明の携帯情報装置が上記の本発明の情報表示方法を使用する際に利用することができる非接触型通信デバイスを提供することを目的とする。
【0013】
<課題を解決するための手段>
本発明の情報表示方法は、有線経路を介して携帯情報装置と通信が可能な非接触型通信デバイスの情報を、前記携帯情報装置の表示部に表示する情報表示方法であって、前記携帯情報装置が、前記非接触型通信デバイスの記憶部において前記携帯情報装置による表示部への表示の際に利用するために確保された表示利用領域内に記憶された表示用情報を取得する表示用情報取得工程と;前記携帯情報装置が、前記表示用情報に基づいて、前記非接触型通信デバイスの情報を前記表示部に表示する表示工程と;を備える情報表示方法である。
【0014】
この情報表示方法では、表示用情報取得工程において、携帯情報装置が、非接触型通信デバイスの記憶部において携帯情報装置による表示部への表示の際に利用するために確保された表示利用領域内に記憶された表示用情報を取得する。ここで、表示利用領域内には、非接触型通信により行われた通信内容の内から最新の通信内容を抽出する等の編集を行った結果や、非接触型通信デバイスが非接触型通信により果たす機能、当該機能の発行者等といった、利用者の利便性を向上可能な表示用情報が格納される。こうした表示用情報は、非接触型通信デバイスが非接触型通信により果たす機能が発行された時点、すなわち当該機能が設定された時点で表示利用領域内に格納されたり、非接触型通信による通信結果の編集後に表示利用領域内に格納されたりする。
【0015】
引き続き、表示工程において、携帯情報装置が、取得された表示用情報に基づいて、非接触型通信デバイスの情報を前記表示部に表示する。したがって、本発明の情報表示方法によれば、利用者の利便性を向上可能な非接触型通信デバイスの情報を、その非接触型通信デバイスが搭載された携帯情報装置の表示部に表示させることができる。
【0016】
本発明では、前記表示用情報を、前記非接触型通信により最近に行われた少なくとも1つのトランザクションの情報とするとともに、前記表示用情報取得工程が、前記携帯情報装置の利用者による表示要求に応じて実行されることとすることができる。かかる非接触型通信により最近に行われた少なくとも1つのトランザクションの情報を、表示用情報として採用するとともに、利用者の表示要求を待って表示用情報取得工程を実行するのは、本発明者が研究及び開発が得た次のような知見による。
【0017】
移動通信端末装置に搭載された非接触型通信デバイスに対して行われたトランザクション内容を、携帯情報装置の利用者が表示して確認したい機会は、大きく2つに分けられる。その一つは、それまでに行われたトランザクション内容の全てあるいは全てではなくとも多数のトランザクションの内容の表示による本格的な確認である。もう一つは、トランザクションが行われた直後等における当該トランザクション内容の確認等といった、最近に行われた高々数個のトタンザクション内容の表示による簡易な確認である。こうした簡易な確認においては、非接触型通信デバイスが複数のアプリケーション機能を有している場合であっても、アプリケーション機能ごとの表示ではなく、複数のアプリケーション機能を横断した態様で、最近に行われたトランザクション内容の表示が行われることが望まれている。
【0018】
上記のように、表示用情報を前記非接触型通信により最近に行われた少なくとも1つのトランザクションの情報とするとともに、表示用情報取得工程が、前記携帯情報装置の利用者による表示要求に応じて実行されることとすることにより、簡易な検索に対する利用者の要望に応えることができる。すなわち、非接触型通信デバイスに対して最近に行われたトランザクションの内容の確認に際して、利用者の利便性を向上させることができる。
【0019】
ここで、前記携帯情報装置の利用者による表示要求を、前記携帯情報装置における所定のキーの1回の操作とすることができる。この場合には、所定のキーの1回の操作、すなわち、いわゆるワンタッチキー操作という簡単な操作で、最近に行われたトランザクションの内容を表示させることができ、利用者の利便性を更に向上することができる。なお、所定のキーとしては、専用のキーを設けることにしてもよいし、携帯情報装置において標準的に装備されている複数のキーのうちの1つのキーを、携帯情報装置の動作状態に応じて、当該所定のキーに適宜割り当てることにしてもよい。
【0020】
また、本発明の情報表示装置では、前記表示用情報を、前記非接触型通信デバイスの前記非接触型通信を介して行われる機能の発行者情報を含む発行情報とすることができる。この場合には、利用者の利便性を向上可能な非接触型通信デバイスに関連する発行カード情報を、簡易にかつ正確に表示することができる。
【0021】
ここで、前記表示用情報要求工程は、前記携帯情報装置が、前記表示利用領域内の第1の所定領域に格納された表示用認証情報を、前記有線経路を介して取得する表示用認証情報取得工程と;前記取得された表示用認証情報に基づいて、前記表示利用領域内の第2の所定領域に格納された前記発行情報を、前記携帯情報装置の基本機能を実現するための基本処理部のみが表示可能な前記表示部の特定表示領域に表示することについて、前記携帯情報装置が認証する表示用認証工程と;前記表示用認証工程における認証結果が肯定的であった場合に、前記携帯情報装置が、前記発行情報を、前記有線経路を介して取得する発行情報取得工程と;を備え、前記表示工程では、前記特定表示領域に前記発行情報を表示することとすることができる。
【0022】
この場合には、まず、表示用認証情報取得工程において、非接触型通信デバイスが搭載された携帯情報装置が、非接触型通信デバイスの表示利用領域における第1の所定領域に格納された表示用認証情報を接触型通信により取得する。引き続き、表示用認証工程において、取得した表示用認証情報に基づいて、表示利用領域の第2の所定領域に格納された非接触型通信デバイスの発行者情報を含む発行情報を、携帯情報装置の基本機能を実現するための基本処理部のみが表示可能な表示部の特定表示領域に表示することについて、携帯情報装置が認証を行う。なお、非接触型通信デバイスにおける上記の第1の所定領域及び第2の所定領域は、予め許可を受けている者以外によっては容易に読み出しや改ざんができない領域となっている。
【0023】
認証結果が肯定的であった場合には、発行情報取得工程において、携帯情報装置が、表示利用領域の第2の所定領域に格納された発行情報を取得する。そして、表示工程において、携帯情報装置が、表示部の当該特定表示領域に発行情報を表示する。
【0024】
したがって、携帯情報装置に装着された非接触型通信デバイスに関連する発行情報を、簡易にかつ正確に表示することができる。この結果、利用者は、携帯情報装置に搭載された非接触型通信デバイスの正確な発行情報を簡易に確認することができるので、利用者の利便性が向上する。
【0025】
前記発行情報には、前記非接触型通信デバイスの機能情報が含まれることとすることができる。この場合には、発行者情報に加えて非接触型通信デバイスに含まれる機能について表示されるので、携帯情報装置に装着された非接触型通信デバイスに関連する詳細な発行情報を表示することができる。
【0026】
こうした発行情報に非接触型通信デバイスの機能情報が含まれる場合には、前記発行情報表示工程では、前記発行者情報と前記機能情報とが時間順次に表示されることとすることも可能であるし、前記発行者情報と前記機能情報との対が表示されることとすることもできる。なお、発行者情報と機能情報とが時間順次に表示させることとすると、特定表示領域の大きさが、表示すべき情報に対して不足している場合にも、表示が必要な発行情報を、利用者が簡易に確認できる態様で表示することができる。
【0027】
また、前記発行情報を少なくとも1つのアイコン情報とすることができる。この場合には、特定表示領域に、アイコンという見易い態様で発行情報が表示されるので、利用者は、携帯情報装置に装着されたカード型デバイスの正確な発行カード情報を容易に確認することができる。
【0028】
本発明の携帯情報装置は、有線経路を介して非接触型通信デバイスと通信が可能な携帯情報装置であって、表示部と;前記非接触型通信デバイスの記憶部において前記表示部への表示の際に利用するために確保された表示利用領域内に記憶された表示用情報を取得する表示用情報取得手段と;を備える携帯情報装置である。
【0029】
この携帯情報装置では、表示用情報取得手段が、非接触型通信デバイスの記憶部において携帯情報装置による表示部への表示の際に利用するために確保された表示利用領域内に記憶された表示用情報を取得する。そして、取得された表示用情報に基づいて、非接触型通信デバイスの情報を表示部に表示する。
【0030】
すなわち、本発明の携帯情報装置では、上述した本発明の情報表示方法を使用して、非接触型通信デバイスの情報を表示部に表示することができる。したがって、本発明の携帯情報装置によれば、利用者の利便性を向上可能な非接触型通信デバイスの情報を表示部に表示させることができる。
【0031】
本発明の携帯情報装置では、前記表示用情報を、前記非接触型通信により最近に行われた少なくとも1つのトランザクションの情報とすることができる。この場合には、装着された非接触型通信デバイスに対して最近に行われたトランザクションの内容の確認に際して、利用者の利便性を向上させることができる。
【0032】
また、本発明の携帯情報装置では、前記表示用情報を、前記非接触型通信デバイスの前記非接触型通信を介して行われる機能の発行者情報を含む発行情報とすることができる。この場合には、利用者の利便性を向上可能な非接触型通信デバイスに関連する発行カード情報を、簡易にかつ正確に表示することができる。
【0033】
ここで、前記表示用情報取得手段が、前記表示利用領域内の第1の所定領域に格納された表示用認証情報を、前記有線経路を介して取得する表示用認証情報取得手段と;前記取得された表示用認証情報に基づいて、前記表示利用領域の第2の所定領域に格納された前記発行情報を、基本機能を実現するための基本処理部のみが表示可能な前記表示部の特定表示領域に表示することについて認証する表示用認証手段と;前記認証手段による認証結果が肯定的であった場合に、前記表示利用領域内の第2の所定領域に格納された前記発行情報を、前記有線経路を介して取得する発行情報取得手段と;を備える構成とすることができる。
【0034】
この場合には、表示用認証情報取得手段が、非接触型通信デバイスの表示利用領域における第1の所定領域に格納された表示用認証情報を接触型通信により取得する。次に、表示用認証手段が、取得された表示用認証情報に基づいて、表示利用領域における第2の所定領域に格納された非接触型通信デバイスの発行情報を、携帯情報装置の基本機能を実現するための基本処理部のみが表示可能な表示部の特定表示領域に表示することについて、認証する。なお、非接触型通信デバイスにおける上記の第1の所定領域及び第2の所定領域は、予め許可を受けている者以外によっては容易に読み出しや改ざんができない領域となっている。
【0035】
認証結果が肯定的であった場合には、発行情報取得手段が、表示利用領域における第2の所定領域に格納された非接触型通信デバイスの発行情報を接触型通信により取得する。そして、発行情報が、携帯情報装置の表示部の特定表示領域に表示される。
【0036】
したがって、搭載された非接触型通信デバイスに関連する発行情報を、簡易にかつ正確に表示することができる。
【0037】
本発明の携帯情報装置では、移動通信網の基地局と無線通信をするための無線通信部を更に備える構成とすることができる。すなわち、本発明の携帯情報装置を、携帯電話装置等の移動通信端末装置とすることができる。
【0038】
本発明の非接触型通信デバイスは、有線経路を介して携帯情報装置と通信が可能な非接触型通信デバイスであって、前記携帯情報装置の表示部への表示の際に利用するために確保された表示利用領域を有する記憶部と;前記携帯情報装置との間の通信及び非接触型通信の処理を行う通信制御処理部と;を備える非接触型通信デバイスである。
【0039】
この非接触型通信デバイスでは、表示利用領域内に、非接触型通信により行われた通信内容の編集結果や、非接触型通信デバイスが非接触型通信により果たす機能、当該機能の発行者等といった、利用者の利便性を向上可能な表示用情報を格納することができる。そして、携帯情報装置からの有線経路を介した表示用情報の要求に応答して、やはり有線経路を介して表示用情報を携帯情報装置へ返送する。
【0040】
したがって、本発明の非接触型通信デバイスによれば、上述した本発明の携帯情報装置と協働することにより、上述した本発明の情報表示方法を実施することができ、利用者の利便性を向上させることができる。
【0041】
本発明の非接触型通信デバイスでは、前記通信処理部が、前記非接触型通信により最近に行われた少なくとも1つのトランザクションの情報を前記表示利用領域に記録するトランザクション記録手段を備える構成とすることができる。この場合には、トランザクション記録手段が、非接触型通信により、最近行われた少なくとも一つのトランザクションの情報を表示利用領域に記録する。なお、表示利用領域の容量を越える数のトランザクションが非接触型通信デバイスに対して行われると、旧いトランザクションの情報が当該所定領域から削除され、新しいトランザクションの情報が当該所定領域に記録される記録内容の更新が行われる。
【0042】
こうして、非接触型通信デバイスが、自身に対して行われた非接触通信によるトランザクションを表示利用領域において適宜更新しつつ記録した状態で、非接触型通信デバイスが搭載された携帯情報装置の利用者により、最近に行われたトランザクションの内容の表示要求がなされたことに伴う最近に行われたトランザクションの内容の読取要求を受けると、通信制御処理部が、当該内容を携帯情報装置へ送る。
【0043】
したがって、本発明の非接触型通信デバイスによれば、上述した本発明の移動通信端末装置と協働することにより、非接触型通信デバイス記録された最近に行われたトランザクションの内容の確認に際して、利用者の利便性を向上させることができる。
【0044】
また、本発明の非接触型通信デバイスでは、前記表示利用領域が、前記携帯情報装置の基本機能を実現するための基本処理部のみが表示可能な前記携帯情報装置の表示部の特定表示領域への表示を許可することを示す表示用認証情報を格納するための第1の所定領域と;前記第1の所定領域に格納された前記表示用認証情報により前記携帯情報装置に認証された場合に、前記特定表示領域に表示される、前記非接触型通信を介して行われる機能の発行者情報を含む発行情報が格納される第2の所定領域と;を備える構成とすることができる。
【0045】
この場合には、携帯情報装置が第1の所定領域にアクセスすることにより、携帯情報装置が表示用認証情報を読み取ることができる。そして、携帯情報装置が、読み取られた表示用認証情報に基づいて、当該携帯情報装置の基本機能を実現するための基本処理部のみが表示可能な表示部の特定表示領域に表示することについて、認証することができる。この認証の結果が肯定的であった場合に、携帯情報装置が第2の所定領域にアクセスすることにより、携帯情報装置が、特定表示領域に表示されるべき発行カード情報を読み取ることができる。なお、カード型デバイスにおける上記の第1の所定領域及び第2の所定領域は、予め許可を受けている者以外によっては容易に読み出しや改ざんができない領域となっている。
【0046】
したがって、上述した本発明の携帯情報装置が本発明の表示方法を使用する際に、本発明の非接触型通信デバイスを利用することができる。
【0047】
なお、本発明の非接触型通信デバイスを、前記携帯情報装置に着脱可能なカード型デバイスとすることもできるし、前記携帯情報装置の内部に固定的に配置されるようにすることもできる。ここで、「固定的に配置される」とは、利用者が簡易にかつ任意に携帯情報装置から非接触型通信デバイスを取り外すことができない態様で携帯情報装置に搭載されることいい、携帯情報装置用の機能部と混在する態様で、ICチップ内に実装される場合も含む。
【0048】
<発明の効果>
以上説明したように、本発明の情報表示方法によれば、利用者の利便性を向上可能な非接触型通信デバイスの情報を、その非接触型通信デバイスが搭載された携帯情報装置の表示部に表示させることができるという効果を奏する。
【0049】
また、本発明の携帯情報装置及び本発明の非接触型通信デバイスによれば、これらを組み合わせて使用することにより、本発明の情報表示方法を実施することができるので、利用者の利便性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】一実施形態に係る携帯電話装置の正面側の外観を概略的に示す図である。
【図1B】一実施形態に係る携帯電話装置の背面側の外観を概略的に示す図である。
【図2】図1の携帯電話装置の内部構成を説明するための機能ブロック図である。
【図3】図2の制御部で実行されるソフトウエアの構成を説明するための図である。
【図4】図1の携帯電話における表示部の領域構成を説明するための図である。
【図5】図1のICカードの構成を示す機能ブロック図である。
【図6】図5の表示利用領域内の構成を説明するための図である。
【図7】図1の携帯電話装置における発行カード情報の表示処理を説明するためのシーケンス図である。
【図8】図1の携帯電話装置における発行カード情報の表示例を示す図である。
【図9】図1の携帯電話装置における非接触型通信によるトランザクションの内容表示処理を説明するためのシーケンス図である。
【図10】図1の携帯電話装置における非接触型通信によるトランザクションの内容の表示例を示す図である。
【図11】変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の一実施形態を、図1A〜図10を参照しつつ説明する。なお、これらの図においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
図1A及び図1Bには、携帯情報装置である携帯電話装置10の外観構成が概略的に示されている。ここで、図1Aには、携帯電話装置10の外観の正面図が示され、図1Bには、携帯電話装置10の外観の背面図が示されている。
【0053】
図1A及び図1Bに総合的に示されるように、携帯電話装置10は、(a)携帯電話本体11と、(b)電話番号を入力するためのテンキー、及び、動作モードの切替等の各種指令を制御部21に入力するためのファンクションキーを有する操作部12と、(c)操作案内、動作状況、受信メッセージ等を表示する液晶表示装置を有する表示部13と、(d)通話時に通信相手から送られてきた音声信号を再生する通話用スピーカ14と、(e)集音時に音を入力したり、通話時に音声を入力したりするためのマイクロフォン15と、(f)着信音や案内音を発生するための案内用スピーカ16と、(g)基地局との間で無線信号を授受するためのアンテナ17とを備えている。
【0054】
ここで、操作部12におけるファンクションキーの1つが、待ち受け状態においては、最新トランザクションの内容の表示指令キー(以下、「トランザクション表示キー」という)となっており、このトランザクション表示キーを押下するというワンタッチキー操作により、利用者が、最新トランザクションの内容の表示指令を行うことができるようになっている。
【0055】
また、図1Bに点線で示されるように、携帯電話装置10は、携帯電話本体11内に(h)ICカード30の非接触型通信に用いるアンテナ18と、(j)非接触型通信デバイスであるICカード30を挿抜可能なICカード収納部19とを備えている。ここで、ICカード収納部19には、後述するICカード30の非接触型通信用端子32(図5参照)と接続するための端子が形成されており、その端子とアンテナ18とは電気的に接続されている。なお、図1Aにおいては、図が煩雑にならないように、アンテナ18とICカード収納部19との図示を省略している。
【0056】
携帯電話本体11の内部には、図2に示されるように、上述したアンテナ18及びICカード収納部19に加えて、(i)携帯電話装置10全体の動作を統括制御する制御部21と、(ii)アンテナ17を介して、基地局との間で無線信号の送受信を行う送受信部22と、(iii)各種データを格納する、読出し専用メモリ(ROM)素子やランダムアクセスメモリ(RAM)素子等を有する記憶部23と、(iv)ICカード収納部19に収納されたICカード30との間で接触型通信を行うためのカード通信部24とを備えている。
【0057】
制御部21は、中央処理装置(CPU)、デジタル信号処理装置(DSP)等を備えており、一般的な携帯電話機能を実現するために、様々なデータ処理を行うとともに、上述した他の構成要素の動作制御を行うようになっている。この制御部21において実行されるプログラム等のソフトウエアの構成は、図3に示されるようになっている。
【0058】
すなわち、制御部21におけるソフトウエアは、(i)携帯電話としての基本機能である通話機能及びメール機能等を実現するとともに、上述した各種のハードウエア資源の制御を行う基本処理部51と、(ii)ゲーム等の様々なコンテンツを利用者に提供するためのアプリケーション53と、(iii)基本処理部51とアプリケーション53との間に位置し、アプリケーション53の実行環境を提供する実行環境部52とから構成されている。ここで、アプリケーション53は、工場出荷前にプレインストールされることもあるが、一般には、利用者による操作部12の操作によって、この移動体端末装置が係わるネットワークにおいて各種の管理及びサービスを行うサーバから送受信部22等を介してダウンロードされた後に実装されるものをいう。
【0059】
基本処理部51は、ICカード30に関する発行カード情報を処理する発行カード情報処理部55と、ICカード30に対する非接触型通信による最新のトランザクション情報を処理する最新トランザクション情報処理部60とを備えている。
【0060】
ここで、発行カード情報処理部55は、(i)ICカード30が装着された際に、カード通信部24を介して、ICカード30に格納された表示用認証情報を取得する表示用認証情報取得部56と、(ii)表示用認証情報取得部56により取得された表示用認証情報に基づいて、ICカード30に格納されている発行カード情報を、後述するシステム表示領域SDA1,SDA2に表示することについて認証する表示用認証部57と、(iii)当該認証結果が肯定的であった場合に、ICカードの第2所定領域39に格納されている発行者情報を含む発行カード情報を取得する発行カード情報取得部58と、(iv)システム表示領域SDA1,SDA2にICカードの発行カード情報を表示する発行カード情報表示部59とを備えている。
【0061】
また、最新トランザクション情報処理部60は、最新トランザクション情報取得部61と、最新トランザクション情報表示部62とを備えている。ここで、最新トランザクション情報取得部61は、利用者の操作部12のキー操作による最新トランザクションの内容の表示指令に応じて、カード通信部24を介してICカード30に対し、後述するICカード30の最新トランザクション記録部74(図6参照)に記憶されたトランザクション情報の読み取りを要求するとともに、当該要求に応答してICカード30から通知された最新トランザクション記録部74の記録内容を取得する機能を有している。また、最新トランザクション情報取得部61は、取得した最新トランザクション記録部74の記録内容に基づいて、ICカード30における後述する通常利用領域71(図5参照)からトランザクションの詳細情報を取得する機能を有している。
【0062】
なお、基本処理部51及び実行環境部52は、携帯電話装置10の出荷時から携帯電話に実装されている。なお、基本処理部51や実行環境部52は、携帯電話会社や携帯電話メーカ等の予め許可を受けている者以外によっては改変できないようになっている。
【0063】
基本処理部51と実行環境部52との間では、アプリケーション53に関連して、要求、応答、イベント発生等の情報が適宜やり取りされるようになっている。また、実行環境部32とアプリケーション53との間では、アプリケーション53からの各種の要求が実行環境部52に通知されるとともに、実行環境部52から応答やイベント発生が通知されるようになっている。すなわち、実行環境部52は、アプリケーション53と基本処理部51間のコマンド変換、アプリケーション53の管理等のアプリケーション実行のためのソフトウエア資源を提供する一組のプログラムである。
【0064】
表示部13の表示領域は、図4に示されるように、基本処理部51のみが表示内容を決定することができるシステム表示領域SDA1,SDA2と、基本処理部51及びアプリケーション53の双方が表示内容を決定することができる共用表示領域SADAとに分割されている。すなわち、基本処理部51は、表示部13の表示領域の全域について表示内容を決定することができるが、アプリケーション53は、共用表示領域SADAについてのみ表示内容を決定することができるようになっている。
【0065】
ICカード30は、図5に示されるように、(a)接触型通信用端子31を介した接触型通信、及び、非接触型通信用端子32を介した非接触型通信の制御を行うとともに、記憶部34への読出し書込み等、ICカード全体を統括制御する制御部33と、(b)ICカード30におけるデータ等を記憶する記憶部34とを備えている。なお、本実施形態においては、ICカード30における接触型通信用端子31として、SDIO(Secure Digital Input/Output)カードにおける規格化された端子を採用している。また、ICカード30は、非接触型通信の観点からは、RFID(Radio Frequency-Identification)カードとなっている。
【0066】
制御部33は、(i)リーダライタ50との間における非接触型通信動作を制御する非接触型通信部35と、(ii)携帯電話装置10との間における接触型通信を制御する接触型通信部36と、(iii)記憶部34からのデータ読出し、書込み等を含むデータ処理を行うデータ処理部37とを備えている。
【0067】
記憶部34は、通常利用領域71と、表示利用領域72とを含んでいる。ここで、通常利用領域71には、非接触型通信によるトランザクションの情報が、機能ごとに時間順に記憶される。
【0068】
表示利用領域72は、図6に示されるように、発行カード情報の表示に利用される情報が記憶される発行カード情報記憶部73と、最新トランザクションの情報が記憶される最新トランザクション記録部74とを備えている。
【0069】
ここで、発行カード情報記憶部73は、表示用認証情報を保存する第1所定領域38と、発行カード情報を保存する第2所定領域39とを備えている。なお、第1所定領域38及び第2所定領域39は、予め許可を受けている者以外によっては容易に読み出しや改ざんができない領域となっている。
【0070】
第1所定領域38には、(i)後述する発行者アイコン情報44をシステム表示領域SDA1,SDA2に表示するための発行者表示用認証情報40と、(ii)後述する機能Aアイコン情報45をシステム表示領域SDA1,SDA2に表示するための機能A表示用認証情報41と、(iii)後述する機能Bアイコン情報46をシステム表示領域SDA1,SDA2に表示するための機能B表示用認証情報42と、(iv)後述する機能Cアイコン情報47をシステム表示領域SDA1,SDA2に表示するための機能C表示用認証情報43が格納されている。
【0071】
なお、表示用認証情報は、システム表示領域SDA1,SDA2を管理する者から、カード発行者またはカード各機能を管理する者に対して発行されものであり、システム表示領域SDA1,SDA2に表示を許可するための情報である。こうした表示用認証情報は、カード発行時又はカード機能の追加時にICカード30の第1所定領域38に書き込まれる。
【0072】
また、第2所定領域39には、(i)発行者情報をアイコン情報として保存している発行者アイコン情報44と、(ii)機能Aの機能情報をアイコン情報として保存している機能Aアイコン情報45と、(iii)機能Bの機能情報をアイコン情報として保存している機能Bアイコン情報46と、(iv)機能Cの機能情報をアイコン情報として保存している機能Cアイコン情報47とが格納されている。
【0073】
なお、図2及び図5に示されるリーダライタ50は、アンテナ18を介して、ICカード30と非接触型通信をおこなう送受信装置である。
【0074】
以下、携帯電話装置10におけるICカード30に関連する情報の表示動作について、主に図7〜図10を参照して説明する。なお、以下の説明においては、カード発行者は鉄道会社R(図8及び図10において、「R鉄道」と略す。)であり、機能Aは鉄道会社Rが発行する定期乗車券機能であり、機能Bは鉄道会社Rが発行する運賃プリペイド式鉄道改札機能であり、機能Cは鉄道会社Rが発行するクレジットカード機能であるとしている。
【0075】
<発行カード情報の表示動作>
まず、発行発行カード情報の表示動作について、主に図7及び図8を参照して説明する。
【0076】
図7に示されるように、携帯電話装置10の利用者が、ICカード30を携帯電話装置10のICカード収納部19に装着すると、制御部21はICカード30が装着されたことを認識する。そして、表示用認証情報取得部56は、ICカード30の第1所定領域38に格納された表示用認証情報を要求するための認証情報要求を、カード通信部24を介して、ICカード30へ向けて送信する。
【0077】
接触型通信用端子31と接触型通信部36を介して、認証情報要求を受信したICカード30のデータ処理部37は、第1所定領域38に保存されている発行者表示用認証情報40と、機能A表示用認証情報41と、機能B表示用認証情報42と、機能C表示用認証情報43の4つの表示用認証情報を読出し、接触型通信部36と接触型通信用端子31を介して、携帯電話装置10に送信する。
【0078】
カード通信部24を介して、4つの表示用認証情報を受信した携帯電話装置10の表示用認証情報取得部56は、記憶部23に、受信した4つの表示用認証情報を保存し、保存先を表示用認証部57に通知する。
【0079】
前記4つの表示用認証情報の保存先を通知された表示用認証部57は、記憶部23から当該4つの表示用認証情報を読み出し、それぞれについて、発行カード情報をシステム表示領域SDA1,SDA2に表示するための認証を行う。そして、表示用認証部57は、4つの表示用認証情報の認証結果を発行カード情報取得部58に通知する。なお、認証の結果が肯定的であった発行カード情報についてのみが、システム表示領域SDA1に表示されることになる。以下、4つの表示用認証情報の全てについて、認証結果が肯定的であったものとして説明する。
【0080】
当該4つの表示用認証情報が認証結果が肯定的である旨を通知された発行カード情報取得部58は、第2所定領域39に格納された発行カード情報を要求するための発行カード情報要求を、カード通信部24を介してICカード30に送信する。
【0081】
接触型通信用端子31と接触型通信部36を介して、認証情報要求を受信したデータ処理部37は、第2所定領域に保存されている発行者アイコン情報44、機能Aアイコン情報45、機能Bアイコン情報46及び機能Cアイコン情報47の4つの発行カード情報を読み出し、接触型通信部36と接触型通信用端子31を介して、携帯電話装置10に送信する。
【0082】
カード通信部24を介して、発行カード情報を受信した携帯電話装置10の発行カード情報取得部58は、記憶部23に、受信した4つの発行カード情報を保存し、保存先を発行カード情報表示部59に通知する。
【0083】
当該4つの発行カード情報の保存先を通知された発行カード情報表示部59は、表示部13に、図8に示されるような表示をする。すなわち、発行者アイコン情報44(R鉄道)と、機能A(定期乗車券機能)アイコン情報45と、機能B(運賃プリペイド式鉄道改札機能)アイコン情報46と、機能C(クレジットカード機能)アイコン情報47との4種類のアイコンを、表示部13のシステム領域SDA1に一定時間毎に順次表示する。
【0084】
<最新トランザクション情報の表示動作>
次に、最新トランザクション情報の表示動作について、主に図9及び図10を参照して説明する。なお、以下の説明においては、最新トランザクションが、鉄道会社Rが提供する運賃プリペイド式鉄道改札サービスに関するものであり、ICカード30はプリペイド式鉄道改札システム用カードとして用いることができるものであるとする。また、ICカード30は、利用者の携帯電話装置10に既に装着されているものとする。
【0085】
図9に示されるように、携帯電話装置10の利用者は、鉄道会社Rの改札に入る際に、改札機に設置されたリーダライタ50に携帯電話装置10を十分接近させる。そして、ICカード30の存在を認識したリーダライタ50は、読出し要求、書込み要求又はその他の処理のコマンドを、非接触型通信により送信する。当該コマンドは、携帯電話装置10内のアンテナ18及び非接触型通信用端子32を介して、ICカード30の非接触型通信部35で受信される。非接触型通信部35は、非接触通信が正常かどうかを確認し、データ処理部37に当該コマンドのデータを渡す。
【0086】
データ処理部37は、当該コマンドの内容及びICカード30の記憶部34の内容に応じて、記憶部34に対して読取処理又は書込処理、又はその他の処理等を行い、その結果に応じたレスポンスのデータを非接触型通信部35に渡す。このレスポンスのデータを受けた非接触型通信部35は、非接触型通信用端子32及び携帯電話装置10内のアンテナ18を介して、レスポンスを非接触型通信により送信する。当該レスポンスはリーダライタ50で受信される。このようなコマンド、レスポンスのやり取りすなわちトランザクションは、必要な回数だけ繰り返される。本実施形態では、運賃分の金額の引き落としに関するトランザクションが必要な回数だけ繰り返されることになる。そして、入札した日時、入札した駅名、引き落とされた金額及び残高等の当該トランザクションに関連する情報は、ICカード30の記憶部34における通常利用領域71に記録される。
【0087】
一方、当該トランザクションの際、ICカード30の制御部33におけるデータ処理部37は、記憶部34の表示利用領域72における最新トランザクション記録部74に、当該トランザクションの情報の一部を記録する。なお、本実施形態では、サービスを提供するサービス提供者名、及び、入札又は出札の別を最新トランザクション記録部74に記録するようになっている。この際、最新トランザクション記録部74に前回のトランザクションの情報は削除される。そして、今回の場合には、最新のトランザクションの情報であるサービス提供者名(すなわち、鉄道会社R)及び改札サービスにおける入札である旨が、最新トランザクション記録部74に記録される。
【0088】
その後、携帯電話装置10の利用者が、携帯電話装置10の操作部12のトランザクション表示キーを押下することにより、最新トランザクションの内容の表示要求がされると、以下の動作が実行される。まず、携帯電話装置10における基本処理部51における最新トランザクション情報取得部61が、カード通信部24を介して、ICカード30における最新トランザクションの情報の記録を読み出すために、ICカード30へ最新トランザクション情報通知要求を送信する。この最新トランザクション情報通知要求は、接触型通信用端子31を介し接触型通信部36で受信される。最新トランザクション情報通知要求を受けた接触型通信部36は、通信が正常かどうかを確認し、データ処理部37にトランザクション情報通知要求のデータを渡す。
【0089】
最新トランザクション情報通知要求のデータを受け取ったデータ処理部37は、最新トランザクション記録部74から最新トランザクションに関する記録内容、すなわち鉄道会社R及び入札であった旨を読み出す。引き続き、データ処理部37は、最新トランザクション情報通知のデータとして、接触型通信部36に渡す。最新トランザクション情報通知のデータを受け取った接触型通信部36は、接触型通信用端子31を介して最新トランザクション情報通知を携帯電話装置10へ向けて送信する。
【0090】
携帯電話装置10では、最新トランザクション情報取得部61が、カード通信部24を介して、最新トランザクション情報通知による最新トランザクション情報を受信する。そして、最新トランザクション情報取得部61は、取得したトランザクションの情報である鉄道会社R及び入札である旨の情報に基づいて、最新トランザクションに対応するICカード30の機能を特定する。
【0091】
引き続き、最新トランザクション情報取得部61は、上述した最新トランザクション情報通知要求の場合と同様に、カード通信部24、ICカード30における接触型通信用端子31及び接触型通信部36を介して、ICカード30に対して、通常利用領域71に記録された詳細情報を要求する。この要求を受けたICカード30のデータ処理部37は、通常利用領域71から当該記録された詳細情報、すなわち、入札した日時、入札した駅名、引き落とされた金額及び残高等を読み出す。そして、データ処理部37は、前記トランザクション情報通知と同様に、接触型通信部36、接触型通信用端子31及び携帯電話装置10におけるカード通信部24を介して、最新トランザクション情報取得部61にトランザクションの詳細情報、すなわち入札した日時、入札した駅名、引き落とされた金額及び残高等を通知する。
【0092】
この通知を受けた最新トランザクション情報取得部61は、取得した最新トランザクション記録部74における記録内容及び最新トランザクションの詳細情報から、鉄道会社Rの名称、入札した日付、入札した駅名、入札である旨、引き落とされたポイント数及び残ポイント数を最新トランザクション情報表示部62に通知する。そして、最新トランザクション情報表示部62は、表示部13に最新トランザクションの内容を表示する。こうして行われる最新トランザクションの内容の表示例が、図10に示されている。
【0093】
以上説明したように、本実施形態では、ICカード30が携帯電話10に装着されると、携帯電話10は、ICカード30から表示用認証情報を取得して、発行カード情報を表示するための認証を行う。この認証の結果が肯定的である場合には、携帯電話10は、ICカードから発行カード情報に含まれる発行者情報に対応したアイコン情報を取得し、表示部13のシステム表示領域SDA1,SDA2に表示する。したがって、本実施形態によれば、利用者は特別な操作をすることなく、携帯電話10に鉄道会社Rが発行したICカード30が装着されていることを簡易にかつ正確に確認をすることができる。
【0094】
また、本実施形態では、携帯電話10に装着されたICカード30の発行者情報に加えて複数の機能について、それぞれの情報が一定時間ごとに順番にシステム表示領域SDA1,SDA2に表示される。したがって、利用者は特別な操作をすることなく、装着されているICカード30にどのような機能が搭載されているかを確認することができるとともに、当該ICカード30の発行カード情報を表示するために使用するシステム表示領域SDA1,SDA2内の領域を最小限の領域とすることができる。この結果、システム表示領域SDA1,SDA2に表示されるべき他のアイコン等を減ずることなく、複数の機能を備えたICカード30における複数のアイコンを、利用者が認識しやすい態様で表示することができる。
【0095】
また、本実施形態では、システム表示領域SDA1,SDA2に表示する発行カード情報をアイコン情報としている。したがって、利用者は携帯電話10に装着されたICカード30の発行者及び機能をより簡易に確認することがすることができる。
【0096】
また、本実施形態では、ICカード30に対して非接触型通信によるトランザクションが行われると、非接触型通信のトランザクションのうち最新トランザクションの情報が最新トランザクション記録部74にも記録される。こうして、ICカード30が、自身に対して行われた非接触通信による最新トランザクションの情報を最新トランザクション記録部74に適宜更新しつつ記録した状態で、ICカード30が装着された携帯電話10の利用者により、最新トランザクションの内容の表示要求がなされると、携帯電話10が、最新トランザクション記録部74における記録内容を取得する。そして、携帯電話10では、取得された記録内容に基づいて、適宜最新トランザクションに関する詳細情報を取得した上で、最新トランザクションの内容が表示部13に表示される。
【0097】
したがって、本実施形態によれば、利用者は、ICカード30に対して最新に行われた非接触型通信のトランザクションの内容を携帯電話10の表示部13に表示させて、確認することができる。
【0098】
また、本実施形態では、携帯電話10の利用者による表示要求を、所定のキーのワンタッチ操作としているので、簡単な操作で、最近に行われたトランザクションの内容を表示させることができる。
【0099】
なお、上記実施形態では、表示すべきアイコン情報が複数ある場合には、一定時間毎に表示するアイコンを変化させている。これに対して、図11に示されるように、カード発行者のアイコン情報と各機能のアイコン情報は別に表示させ、各機能のアイコンの表示のみを変化させる、すなわちカード発行者のアイコンとカード機能のアイコンとを対としつつ、カード機能のアイコンを一定時間毎に変化させて表示させることもできる。
【0100】
また、上記実施形態では、発行カード情報が発行者情報及び3つ機能情報を含む場合を説明した。これに対し、発行カード情報には、機能情報の数は、1又は2であってもよいし、4以上であってもよい。さらに、機能情報はなくともよく、この場合には発行カード情報が恒常的にシステム表示領域に表示されることになる。
【0101】
また、上記実施形態では、カード発行者を鉄道会社とした例を説明したが、鉄道会社以外が発行したカード型デバイスであってもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、発行者情報の数を1つとしたが、発行者情報が複数であってもよい。この場合にも、図8又は図11に示される態様と同様の態様で、発行カード情報がシステム表示領域に表示される。
【0103】
また、上記実施形態では、表示部13のシステム表示領域SDA1,SDA2のうち、領域SDA1に発行カード情報を表示した。これに対して、発行カード情報を領域SDA2に表示してもよいし、領域SDA1及び領域SDA2の双方の領域に適宜分配して表示するようにしてもよい。さらに、携帯電話がサブディスプレイを備える場合には、そのサブディスプレイの表示領域の少なくとも一部を、発行カード情報を表示するための特定表示領域として使用することもできる。
【0104】
また、上記の実施形態では、通常利用領域71から詳細情報を取得することとした。これに対して、通常利用領域71の詳細情報を読み出すことなく、最新トランザクション記録部74に記録された情報のみを表示部13に表示することとし、表示内容を簡易な情報のみとすることもできる。
【0105】
また、最新トランザクション記録部74に記録される内容に本実施形態における詳細情報を加えることもできる。
【0106】
また、上記の実施形態では、最新トランザクションのみの情報を最新トランザクション記録部74に記録し、最新トランザクションの内容のみを表示することとした。これに対して、複数の最近のトランザクション情報を最新トランザクション記録部74に相当する領域に記録し、複数のトランザクションの内容を順次又は同時に表示することとすることもできる。
【0107】
また、上記の実施形態では、最新トランザクションの内容の表示について、鉄道改札システムによる例を説明したが、ICカード30に含まれるその他の機能を用いたトランザクションを対象とすることもできる。
【0108】
また、上記の実施形態では、非接触型通信デバイスが、ICカードである場合を説明したが、ICカード以外のカード型デバイスであっても、携帯電話装置と有線経路を介して通信が可能であるとともに、非接触型通信機能を有し、トランザクション処理を行うものであれば、本発明を適用することができる。
【0109】
さらに、非接触型通信デバイスは、ICカード等のように携帯電話装置装置に着脱可能なものではなく、携帯電話装置の内部に固定的に配置されるICチップ状のデバイスであってもよい。この場合には、SDIOカードにおけるような規格化された端子を介在させることなく、プリント配線版における配線パターンから成る有線経路を介して、携帯電話装置装置と非接触型通信デバイスとが通信を行うことができる。
【0110】
また、上記の実施形態では、操作部12におけるファンクションキーの1つが、待ち受け状態においてトランザクション表示キーとして機能するようにした。これに対して、トランザクション表示キーとして、専用キーを操作部12に配置することもできる。
【0111】
また、上記の実施形態では、携帯電話を非接触型通信機能付の端末として本発明を適用したが、携帯電話以外の移動通信端末装置に本発明を適用することができるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上説明したように、本発明の情報表示方法は、非接触型通信デバイスが搭載された携帯情報装置における当該非接触型通信デバイスの情報の表示に適用することができる。また、本発明の携帯情報装置は、搭載された非接触型通信デバイスの情報を表示する携帯情報装置に適用することができる。また、本発明の非接触型通信デバイスは、携帯情報装置に搭載され、非接触型通信を行う非接触型通信デバイスに適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有線経路を介して前記携帯情報装置と通信が可能な非接触型通信デバイスの情報を、前記携帯情報装置の表示部に表示する情報表示方法であって、
前記携帯情報装置が、前記非接触型通信デバイスの記憶部において前記携帯情報装置による表示部への表示の際に利用するために確保された表示利用領域内に記憶された表示用情報を取得する表示用情報取得工程と;
前記携帯情報装置が、前記表示用情報に基づいて、前記非接触型通信デバイスの情報を前記表示部に表示する表示工程と;を備える情報表示方法。
【請求項2】
前記表示用情報は、前記非接触型通信により最近に行われた少なくとも1つのトランザクションの情報であり、
前記表示用情報取得工程は、前記携帯情報装置の利用者による表示要求に応じて実行される、ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項3】
前記携帯情報装置の利用者による表示要求は、前記携帯情報装置における所定のキーの1回の操作である、ことを特徴とする請求項2に記載の情報表示方法。
【請求項4】
前記表示用情報は、前記非接触型通信デバイスの前記非接触型通信を介して行われる機能の発行者情報を含む発行情報である、ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項5】
前記表示用情報要求工程は、
前記携帯情報装置が、前記表示利用領域内の第1の所定領域に格納された表示用認証情報を、前記有線経路を介して取得する表示用認証情報取得工程と;
前記取得された表示用認証情報に基づいて、前記表示利用領域内の第2の所定領域に格納された前記発行情報を、前記携帯情報装置の基本機能を実現するための基本処理部のみが表示可能な前記表示部の特定表示領域に表示することについて、前記携帯情報装置が認証する表示用認証工程と;
前記表示用認証工程における認証結果が肯定的であった場合に、前記携帯情報装置が、前記発行情報を、前記有線経路を介して取得する発行情報取得工程と;を備え、
前記表示工程では、前記特定表示領域に前記発行情報を表示する、ことを特徴とする請求項4に記載の情報表示方法。
【請求項6】
前記発行情報には、前記非接触型通信デバイスの機能情報が含まれる、ことを特徴とする請求項5に記載の情報表示方法。
【請求項7】
前記表示工程では、前記発行者情報と前記機能情報とが時間順次に表示される、ことを特徴とする請求項6記載の情報表示方法。
【請求項8】
前記表示工程では、前記発行者情報と前記機能情報との対が表示される、ことを特徴とする請求項6記載の情報表示方法。
【請求項9】
前記発行情報は少なくとも1つのアイコン情報である、ことを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の情報表示方法。
【請求項10】
有線経路を介して非接触型通信デバイスと通信が可能な携帯情報装置であって、
表示部と;
前記非接触型通信デバイスの記憶部において前記表示部への表示の際に利用するために確保された表示利用領域内に記憶された表示用情報を取得する表示用情報取得手段と;を備える携帯情報装置。
【請求項11】
前記表示用情報は、前記非接触型通信により最近に行われた少なくとも1つのトランザクションの情報である、ことを特徴とする請求項10に記載の携帯情報装置。
【請求項12】
前記表示用情報は、前記非接触型通信デバイスの前記非接触型通信を介して行われる機能の発行者情報を含む発行情報である、ことを特徴とする請求項10に記載の携帯情報装置。
【請求項13】
前記表示用情報取得手段は、
前記表示利用領域内の第1の所定領域に格納された表示用認証情報を、前記有線経路を介して取得する表示用認証情報取得手段と;
前記取得された表示用認証情報に基づいて、前記表示利用領域の第2の所定領域に格納された前記発行情報を、基本機能を実現するための基本処理部のみが表示可能な前記表示部の特定表示領域に表示することについて認証する表示用認証手段と;
前記認証手段による認証結果が肯定的であった場合に、前記表示利用領域内の第2の所定領域に格納された前記発行情報を、前記有線経路を介して取得する発行情報取得手段と;を備えることを特徴とする請求項12に記載の携帯情報装置。
【請求項14】
移動通信網の基地局と無線通信をするための無線通信部を更に備える、ことを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の携帯情報装置。
【請求項15】
有線経路を介して携帯情報装置と通信が可能な非接触型通信デバイスであって、
前記携帯情報装置の表示部への表示の際に利用するために確保された表示利用領域を有する記憶部と;
前記携帯情報装置との間の通信及び非接触型通信の処理を行う通信制御処理部と;を備える非接触型通信デバイス。
【請求項16】
前記通信処理部は、前記非接触型通信により最近に行われた少なくとも1つのトランザクションの情報を前記表示利用領域に記録するトランザクション記録手段を備える、ことを特徴とする請求項15に記載の非接触型通信デバイス。
【請求項17】
前記表示利用領域は、
前記携帯情報装置の基本機能を実現するための基本処理部のみが表示可能な前記携帯情報装置の表示部の特定表示領域への表示を許可することを示す表示用認証情報を格納するための第1の所定領域と;
前記第1の所定領域に格納された前記表示用認証情報により前記携帯情報装置に認証された場合に、前記特定表示領域に表示される、前記非接触型通信を介して行われる機能の発行者情報を含む発行情報が格納される第2の所定領域と;を備えることを特徴とする請求項15に記載の非接触型通信デバイス。
【請求項18】
前記携帯情報装置に着脱可能なカード型デバイスである、ことを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の非接触型通信デバイス。
【請求項19】
前記携帯情報装置の内部に固定的に配置される、ことを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の非接触型通信デバイス。


【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【国際公開番号】WO2005/059816
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516360(P2005−516360)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018912
【国際出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】