説明

情報表示装置およびプログラム

【課題】装置に記憶された文書データを用いて暗号鍵を生成する技術を提供すること。
【解決手段】情報表示装置は、1ページ以上のデータを含む文書データを記憶する第1の記憶手段と、文書データのページに含まれる情報の一部を各々指定する複数のテンプレートを記憶する第2の記憶手段と、前記第1の記憶手段に記憶された文書データのうち1つの文書データの一ページを選択する第1の選択手段と、前記複数のテンプレートのうち一つのテンプレートを選択する第2の選択手段と、前記一ページに前記一つのテンプレートを適用することにより指定される情報を用いて暗号鍵を生成する暗号鍵生成手段と、前記暗号鍵を用いて、前記第1の記憶手段に記憶された文書データを暗号化する暗号化手段と、前記暗号化手段により暗号化された文書データを出力する出力手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置において文書データを暗号化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパや電子ブックと言われる、携帯可能な情報表示装置が知られている。このような情報表示装置の利用シーンの一つに、会議で使用される文書の共有化がある。会議中に新たな文書を参加者で共有する際のデータ交換には、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の有線接続による方法や、USBメモリやメモリカードなどの記憶装置を用いる方法、無線LAN(Local Area Network)等のネットワークを用いる方法などがある。
【0003】
ネットワーク、特に無線LANにおいて、WAP(Wireless Application Protocol)などセキュリティに関する規格が知られている(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】「無線LANのセキュリティ規格・機能はどんな意味」、[online]、エレコム株式会社、[平成20年2月7日検索]、インターネット<URL: http://www2.elecom.co.jp/network/wireless-lan/security.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような規格においては、ESS−ID(Extended Service Set Identifier)や暗号鍵をユーザが設定する必要がある場合があり、ユーザの負担となっている。
これに対し本発明は、装置に記憶された文書データを用いて暗号鍵を生成する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、1ページ以上のデータを含む少なくとも一つの文書データを記憶する第1の記憶手段と、文書データのページに含まれる情報の一部を各々指定する複数のテンプレートを記憶する第2の記憶手段と、前記第1の記憶手段に記憶された文書データのうち1つの文書データの一ページを選択する第1の選択手段と、前記複数のテンプレートのうち一つのテンプレートを選択する第2の選択手段と、前記一ページに前記一つのテンプレートを適用することにより指定される情報を用いて暗号鍵を生成する暗号鍵生成手段と、前記暗号鍵を用いて、前記第1の記憶手段に記憶された文書データを暗号化する暗号化手段と、前記暗号化手段により暗号化された文書データを出力する出力手段とを有する情報表示装置を提供する。
この情報表示装置によれば、文書データは、一ページに一つのテンプレートを適用することにより指定される情報を用いて生成された暗号鍵を用いて暗号化される。
【0007】
好ましい態様において、この情報表示装置は、周辺環境を示すパラメータを計測する計測手段を有し、前記第2の選択手段は、前記計測手段により計測されたパラメータに応じて一つのテンプレートを選択してもよい。
この情報表示装置によれば、一つのテンプレートは、周辺環境を示すパラメータに応じて選択される。
【0008】
別の好ましい態様において、この情報表示装置は、周辺環境を示すパラメータを計測する計測手段を有し、前記第1の選択手段は、前記計測手段により計測されたパラメータに応じて一ページを選択してもよい。
この情報表示装置によれば、一ページは、周辺環境を示すパラメータに応じて選択される。
【0009】
さらに別の好ましい態様において、この情報表示装置は、周辺環境を示すパラメータを計測する計測手段を有し、前記暗号鍵生成手段は、前記一ページに前記一つのテンプレートを適用することにより指定される情報および前記計測手段により計測されたパラメータを用いて暗号鍵を生成してもよい。
この情報表示装置によれば、暗号鍵は、周辺環境を示すパラメータを用いて生成される。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、この情報表示装置は、ユーザから生体情報を読み取る読み取り手段を有し、前記第2の選択手段は、前記読み取り手段により読み取られた生体情報に応じて一つのテンプレートを選択してもよい。
この情報表示装置によれば、一つのテンプレートは、ユーザの生体情報に応じて選択される。
【0011】
さらに別の好ましい態様において、この情報表示装置は、ユーザから生体情報を読み取る読み取り手段を有し、前記第1の選択手段は、前記読み取り手段により読み取られた生体情報に応じて一ページを選択してもよい。
この情報表示装置によれば、一ページは、ユーザの生体情報に応じて選択される。
【0012】
さらに別の好ましい態様において、この情報表示装置は、ユーザから生体情報を読み取る読み取り手段を有し、前記暗号鍵生成手段は、前記一ページに前記一つのテンプレートを適用することにより指定される情報および前記読み取り手段により読み取られた生体情報を用いて暗号鍵を生成してもよい。
この情報表示装置によれば、暗号鍵は、ユーザの生体情報を用いて生成される。
【0013】
さらに別の好ましい態様において、この情報表示装置は、印加される電圧に応じた階調を各々表示する複数の画素を有する表示手段と、前記表示手段に表示すべきページの文書データを、前記複数の画素の各々に印加する電圧に対応した形式を有するデータに変換する変換手段と、前記変換手段により変換されたデータに基づいて前記複数の画素の各々に印加される電圧を制御することにより、前記表示手段に画像を表示させる表示制御手段とを有し、前記複数のテンプレートは、前記変換手段により変換されたデータの一部を指定してもよい。
この情報表示装置によれば、暗号鍵は、変換手段により変換されたデータの一部を用いて生成される。
【0014】
また、本発明は、1ページ以上のデータを含む少なくとも一つの文書データを記憶する第1の記憶手段と、文書データのページに含まれる情報の一部を各々指定する複数のテンプレートを記憶する第2の記憶手段とを有するコンピュータ装置に、前記第1の記憶手段に記憶された文書データのうち1つの文書データの一ページを選択するステップと、前記複数のテンプレートのうち一つのテンプレートを選択するステップと、前記一ページに前記一つのテンプレートを適用することにより指定される情報を用いて暗号鍵を生成するステップと、前記暗号鍵を用いて、前記第1の記憶手段に記憶された文書データを暗号化するステップと、前記暗号化された文書データを出力するステップとを実行させるプログラムを提供する。
このプログラムによれば、文書データは、一ページに一つのテンプレートを適用することにより指定される情報を用いて生成された暗号鍵を用いて暗号化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る情報共有システム1の構成を示す図である。情報共有システム1は、複数(この例では4台)の情報表示装置10と、基地局20とを有する。以下、複数の情報表示装置10の各々を区別する必要があるときには情報表示装置10−1、10−2、…というように添字を用いて区別する。情報表示装置10は、それぞれ異なるユーザに操作され、記憶している文書を表示する装置である。基地局20は、複数の情報表示装置10間、または情報表示装置10間と外部ネットワーク(図示略)との間の通信を中継する装置である。この例で情報共有システム1は、会議室R内に設置されている。
【0016】
図2は、情報表示装置10の機能構成を示す図である。第1の記憶手段11は、1ページ以上のデータを含む少なくとも1つの文書データを記憶する。文書データとは、情報表示装置10に表示される画像の集合を示すデータをいう。第2の記憶手段12は、複数のテンプレートを記憶する。複数のテンプレートの各々は、文書データのページに含まれる情報の一部を指定する。第1の選択手段13は、第1の記憶手段11に記憶された文書データのうち1つの文書データの一ページを選択する。第2の選択手段14は、複数のテンプレートのうち一つのテンプレートを選択する。暗号鍵生成手段15は、文書の一ページに一つのテンプレートを適用することにより指定される情報を用いて暗号鍵を生成する。暗号化手段16は、生成された暗号鍵を用いて、第1の記憶手段11に記憶された文書データを暗号化する。出力手段17は、暗号化手段16により暗号化された文書データを出力する。
【0017】
読み取り手段18は、ユーザから生体情報を読み取る。ここで、暗号鍵生成手段15は、文書の一ページに一つのテンプレートを適用することにより指定される情報に加え、読み取り手段18により読み取られた生体情報を用いて暗号鍵を生成する。
【0018】
図3は、情報表示装置10のハードウェア構成を示す図である。この例で、情報表示装置10は、電子ペーパである。CPU(Central Processing Unit)101は、情報表示装置10の構成要素を制御する制御装置である。ROM(Read Only Memory)102は、情報表示装置10の起動に必要なプログラムやデータを記憶する不揮発性の記憶装置である。RAM(Random Access Memory)103は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する記憶装置である。VRAM(Video Random Access Memory)104は、表示体107に表示させる画像(以下「メイン画像」という)を示すデータを記憶する記憶装置である。VRAM104は、メイン画像の記憶領域を有しており、メイン画像はその記憶領域に記憶される。I/O(Input/Output)105は、データや信号の入出力を管理するインターフェースである。UI(User Interface)ボタン群106は、ユーザの操作に応じた信号を出力する装置、例えば、例えば、ボタン(書き換えボタンやページ送りボタン、決定ボタンなど)・キーパッド・ホイール・レバー・タッチパネル・ペンデバイスなどの操作子を含む入力装置である。補助記憶装置115は、表示体107に表示することが可能なデータを記憶する記憶装置である。UIボタン群106はI/O105に接続されており、UIボタン群106から出力された信号はI/O105を介してCPU101に入力される。タイマTは、時間を示す信号を出力する計時装置である。
【0019】
表示体107は、記憶性表示素子である電気泳動表示素子を有する電気泳動ディスプレイ(Electrophoretic Display、以下「EPD」という)である。表示制御部108は、表示体107の描画制御を行う信号を出力する装置である。以下、必要に応じて表示体107と表示制御部108をあわせて「メインディスプレイ」という。電源オン・オフ回路111は、表示制御部108・CPU101などの要素への電力の供給を行ったり停止したりする回路である。以下、ある構成要素に電力を供給することを「電源をオンする」と、電力の供給を停止することを「電源をオフする」という。電源制御部112は、情報表示装置10の電源管理を行う装置である。具体的には、電源制御部112は、電源オン・オフ回路111を制御して表示制御部108およびCPU101の電源をオンまたはオフする。また、電源制御部112は、電池113の残量を監視する。電池113は、表示制御部108・CPU101・RAM103など、情報表示装置10の構成要素に電力を供給する。バス114は、構成要素間での信号の伝送に用いられる伝送路である。
【0020】
指紋センサ117は、ユーザの指紋を静電的に読み取り、読み取った指紋の画像を示す信号を出力する装置である。指紋センサ117はI/O105に接続されており、指紋センサ117から出力された信号はI/O105を介してCPU101に入力される。
【0021】
ROM102は、以下で説明する処理を行う制御プログラムを記憶している。CPU101がこの制御プログラムを実行することにより、図2に示される機能が情報表示装置10に実装される。ここで、補助記憶装置115は第1の記憶手段11および第2の記憶手段12の一例である。CPU101は、第1の選択手段13、第2の選択手段14、暗号鍵生成手段15、暗号化手段16および出力手段17の一例である。指紋センサ117は、読み取り手段18の一例である。
【0022】
図4は、情報表示装置10の外観を示す図である。情報表示装置10は、筐体の前面に表示体107の表示面、およびUIボタン群106を有する。
【0023】
2.動作
図5は、情報表示装置10の動作を示すフローチャートである。情報共有システム1は、図5に示されるフローによって複数の情報表示装置10において共通の暗号鍵を生成し、この暗号鍵を用いて暗号化通信を行う。図5のフローは、例えば、あるユーザ(以下、このユーザを「議長」という)により他のユーザ(すなわち他の情報表示装置10)へ文書データの配信が指示されたことを契機として開始される。
【0024】
ステップS100において、CPU101はキーページを選択する。「キーページ」とは、以下で説明する暗号鍵生成処理に用いられる、補助記憶装置115に記憶された文書データのうち1つの文書データの一ページをいう。この例で、CPU101は、ユーザの指示に応じてキーページを選択する。具体的には、ユーザがUIボタン群106を操作し、キーページを特定する情報を情報表示装置10に入力する。CPU101は、UIボタン群106から出力される信号により特定される文書データの一ページをキーページとして特定する。
【0025】
ここで、複数の情報表示装置10において共通の暗号鍵を生成するためには、情報共有システム1に含まれるすべての情報表示装置10において同一のキーページを選択する必要がある。このため、議長は会議の参加者となるユーザに対し、ある文書データをあらかじめ配布しておく。各ユーザは、自らが所有する情報表示装置10にその文書データを記憶させる。会議の冒頭、議長は口頭で「文書○○の××ページがキーページだ」というようにキーページを特定する情報を伝達する。各ユーザは、キーページを特定する情報を自らの情報表示装置10に入力する。
【0026】
ステップS110において、CPU101はキーテンプレートを選択する。「キーテンプレート」とは、以下で説明する暗号鍵生成処理に用いられる、補助記憶装置115に記憶された複数のテンプレートのうち一つのテンプレートをいう。この例で、CPU101は、ユーザの指示に応じてキーテンプレートを選択する。具体的には、ユーザがUIボタン群106を操作し、キーテンプレートを特定する情報を情報表示装置10に入力する。CPU101は、UIボタン群106から出力される信号により特定される一つのテンプレートをキーテンプレートとして特定する。
【0027】
ここで、複数の情報表示装置10において共通の暗号鍵を生成するためには、情報共有システム1に含まれるすべての情報表示装置10において同一のキーテンプレートを選択する必要がある。このため、議長は会議の参加者となるユーザに対し、複数のテンプレートを含むテンプレート群をあらかじめ配布しておく。各ユーザは、自らが所有する情報表示装置10にそのテンプレート群を記憶させる。会議の冒頭、議長は口頭で「XX番のテンプレートがキーテンプレートだ」というようにキーテンプレートを特定する情報を伝達する。各ユーザは、キーテンプレートを特定する情報を自らの情報表示装置10に入力する。
【0028】
ステップS120において、CPU101は暗号鍵を生成する。ここでCPU101は、キーページに対しキーテンプレートを適用することにより指定される情報と、指紋センサ117により読み取られたユーザの指紋とを用いて暗号鍵を生成する。
【0029】
図6は、キーページおよびキーテンプレートを例示する図である。この例で、キーテンプレートTPは、キーページのうち、特定の位置に配置された部分、具体的には、ウインドウWに相当する部分を、暗号鍵の生成に用いる情報として指定する。図6の例では、キーページKPは文字列を含み、テンプレートTPは3つのウインドウWを有する。したがって、キーページKPに含まれる文字列のうち、3つのウインドウWに相当する部分の文字列が、暗号鍵の生成に用いられる情報として指定される。
【0030】
ここで、複数の情報表示装置10において共通の暗号鍵を生成するためには、情報共有システム1に含まれるすべての情報表示装置10において同一の指紋が入力される必要がある。このため、議長は自らの指紋を、各ユーザの情報表示装置10において読み取らせる。議長の指紋を読み取った指紋センサ117は、読み取った指紋を示す画像データを出力する。CPU101は、指紋から特徴点を抽出する処理またはフーリエ変換により周波数特性を抽出する処理等、議長の指紋に特有の情報を抽出する処理を行う。CPU101は、こうして議長の指紋から抽出した情報と、キーページおよびキーテンプレートから取得された情報とを用いて暗号鍵を生成する。
【0031】
再び図5を参照して説明する。ステップS130において、CPU101は文書データを暗号化する。暗号化される文書データは、補助記憶装置115に記憶された文書データのうちユーザによって指定されたデータであり、必ずしも暗号鍵を生成する情報を取得するのに用いられた文書データでなくてもよい。暗号化の際には、ステップS120で生成された暗号鍵が用いられる。
【0032】
ステップS140において、CPU101は暗号化された文書データを出力する。出力されたデータは、基地局20を介して他の情報表示装置10に送信される。送信先となる情報表示装置10は、ユーザにより指定される。
【0033】
一般的な無線LANシステムにおいては、基地局のESS−IDは固定されている。したがって、図1の会議室Rを以前使用したことのあるユーザにとっては、基地局20のESS−IDは既知のものである。このユーザが今回の会議の参加者でなかったとしても、悪意を持ったユーザであれば、既知である基地局20のESS−IDを用いて、無線LANを介して送受信される情報を盗聴しようと試みる可能性がある。このときに、会議の参加者がネットワークを介して暗号鍵を共有したり、あるいはネットワークを介して暗号鍵生成の種となる情報を共有したりすることは、セキュリティの観点から好ましくない。しかし、本実施形態によれば、以上で説明したように、文書データは、会議に参加しているユーザしか知りえない情報(キーページおよびキーテンプレートを特定する情報)に基づいて生成された暗号鍵を用いて暗号化される。したがって、たとえ無線LANを介して送受信される情報が悪意あるユーザに盗聴されたとしても、その情報を解読される危険性は低い。また、暗号鍵の生成に用いられる情報は文書データの中からテンプレートにより取得されるので、複雑な情報を入力ミスすることなく、複数のユーザで共有できる。
【0034】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。変形例の説明において実施形態と共通する要素には共通の参照符号が用いられる。以下で説明する変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0035】
3−1.変形例1
キーテンプレートの選択は、情報表示装置10の周辺環境に基づいて自動的に行われてもよい。この場合、情報表示装置10は、周辺環境を示すパラメータを計測する計測手段を有する。第2の選択手段14は、計測手段により計測されたパラメータに応じてキーテンプレートを選択する。ここで、周辺環境を示すパラメータとしては、光(会議室Rの照明光、特定の装置から発せられる光)の強度または周波数特性、音(会議室Rの雑音、特定のユーザの音声、特定の装置から発せられる音など)の大きさまたは周波数特性、温度、湿度などが用いられる。情報表示装置10は、計測手段として、光センサ、マイク、温度計、湿度計などを有する。CPU101は、計測手段により計測されたパラメータを数値化する。補助記憶装置115は、数値化されたパラメータをテンプレートの選択に用いられる情報に変換する関数またはテーブルを記憶しており、CPU101はこの関数またはテーブルを用いて、数値化されたパラメータに基づいてキーテンプレートを選択する。
【0036】
3−2.変形例2
キーページの選択は、情報表示装置10の周辺環境に基づいて自動的に行われてもよい。この場合、情報表示装置10は、周辺環境を示すパラメータを計測する計測手段を有する。第1の選択手段13は、計測手段により計測されたパラメータに応じてキーテンプレートを選択する。計測手段の具体例や、その使用方法は変形例1で説明したものと同様である。
【0037】
3−3.変形例3
キーテンプレートの選択は、ユーザの生体情報に基づいて自動的に行われてもよい。この場合、第2の選択手段14は、読み取り手段18により読み取られた生体情報に応じて一つのテンプレートを選択する。上述の実施形態では生体情報として指紋が用いられる例を説明したが、指紋以外の生体情報、例えば、手のひら静脈、声紋、虹彩、網膜、音声などが用いられてもよい。読み取った生体情報からキーテンプレートを選択する方法は変形例1で説明した、周辺環境に基づいてキーテンプレートを選択する方法と同様である。
【0038】
3−4.変形例4
キーページの選択は、ユーザの生体情報に基づいて自動的に行われてもよい。この場合、第1の選択手段13は、読み取り手段18により読み取られた生体情報に応じて一つのテンプレートを選択する。読み取り手段18の具体例や、その使用方法は変形例3で説明したものと同様である。
【0039】
3−5.変形例5
暗号鍵を生成する種情報として用いられる情報は、キーページに対しキーテンプレートを適用することにより指定される情報と、ユーザの生体情報との組み合わせに限定されない。キーページに対しキーテンプレートを適用することにより指定される情報を含むものであれば、どのような情報が暗号鍵を生成する種情報として用いられてもよい。例えば、暗号鍵は、キーページに対しキーテンプレートを適用することにより指定される情報と、情報表示装置10の周辺環境を示すパラメータとを組み合わせた情報を種情報として生成されてもよい。あるいは、キーページに対しキーテンプレートを適用することにより指定される情報、ユーザの生体情報および周辺環境を示すパラメータの3つの情報を組み合わせたものが、暗号鍵を生成する種情報として用いられてもよい。
【0040】
3−6.変形例6
テンプレートは、上述の実施形態で説明したものに限定されない。文書データのページのうち一部分を指定するものであれば、どのようなものが用いられてもよい。上述の実施形態においては、テンプレートは補助記憶装置115に記憶されたデータのうち一部分を指定するものであったが、テンプレートは、補助記憶装置115に記憶されたデータを表示用のデータに変換したもの(ビットマップデータまたはラスタデータ)に対して適用されてもよい。情報表示装置10は、印加される電圧に応じた階調を各々表示する複数の画素を有する表示手段(表示体107)と、表示手段に表示すべきページの文書データを、複数の画素の各々に印加する電圧に対応した形式を有するデータに変換する変換手段(CPU101)と、変換手段により変換されたデータに基づいて複数の画素の各々に印加される電圧を制御することにより、表示手段に画像を表示させる表示制御手段(表示制御部108)とを有するので、テンプレートは、変換手段により変換されたデータの一部を指定するものであってもよい。
【0041】
3−7.他の変形例
情報表示装置10のハードウェア構成は図2で示されるものに限定されない。必要な機能構成を実現できるものであれば、どのようなハードウェア構成を有する装置が用いられてもよい。また上述の実施形態では情報表示装置10が電子ペーパである例について説明したが、情報表示装置10は電子ペーパ以外の装置であってもよい。
【0042】
また、情報表示装置10の機能構成とハードウェア構成の対応関係は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば上述の実施形態では、CPU101が第1の選択手段13、第2の選択手段14、暗号鍵生成手段15、暗号化手段16および出力手段17としての機能を兼ね備えていたが、これらのうち1つ以上の機能が、CPU101以外のプロセッサにより実現されてもよい。また、上述の実施形態では、補助記憶装置115が第1の記憶手段11および第2の記憶手段12としての機能を兼ね備えていたが、これらはそれぞれ別の記憶装置により実現されてもよい。
【0043】
上述の実施形態においてCPU101によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】一実施形態に係る情報共有システム1の構成を示す図である。
【図2】情報表示装置10の機能構成を示す図である。
【図3】情報表示装置10のハードウェア構成を示す図である。
【図4】情報表示装置10の外観を示す図である。
【図5】情報表示装置10の動作を示すフローチャートである。
【図6】キーページおよびキーテンプレートを例示する図である。
【符号の説明】
【0045】
1…情報共有システム、10…情報表示装置、11…第1の記憶手段、12…第2の記憶手段、13…第1の選択手段、14…第2の選択手段、15…暗号鍵生成手段、16…暗号化手段、17…出力手段、18…読み取り手段、20…基地局、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…VRAM、105…I/O、106…UIボタン群、107…表示体、108…表示制御部、111…電源オン・オフ回路、112…電源制御部、113…電池、114…バス、115…補助記憶装置、117…指紋センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ページ以上のデータを含む少なくとも1つの文書データを記憶する第1の記憶手段と、
文書データのページに含まれる情報の一部を各々指定する複数のテンプレートを記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された文書データのうちの一つの文書データの中の一ページを選択する第1の選択手段と、
前記複数のテンプレートのうちの一つのテンプレートを選択する第2の選択手段と、
前記一ページに前記第2の選択手段により選択された前記一つのテンプレートを適用することにより指定される情報を用いて暗号鍵を生成する暗号鍵生成手段と、
前記暗号鍵を用いて、前記第1の記憶手段に記憶された文書データを暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段により暗号化された文書データを出力する出力手段と
を有する情報表示装置。
【請求項2】
周辺環境を示すパラメータを計測する計測手段を有し、
前記第2の選択手段は、前記計測手段により計測されたパラメータに応じて一つのテンプレートを選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
周辺環境を示すパラメータを計測する計測手段を有し、
前記第1の選択手段は、前記計測手段により計測されたパラメータに応じて一ページを選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項4】
周辺環境を示すパラメータを計測する計測手段を有し、
前記暗号鍵生成手段は、前記一ページに前記一つのテンプレートを適用することにより指定される情報および前記計測手段により計測されたパラメータを用いて暗号鍵を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項5】
ユーザから生体情報を読み取る読み取り手段を有し、
前記第2の選択手段は、前記読み取り手段により読み取られた生体情報に応じて一つのテンプレートを選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項6】
ユーザから生体情報を読み取る読み取り手段を有し、
前記第1の選択手段は、前記読み取り手段により読み取られた生体情報に応じて一ページを選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項7】
ユーザから生体情報を読み取る読み取り手段を有し、
前記暗号鍵生成手段は、前記一ページに前記一つのテンプレートを適用することにより指定される情報および前記読み取り手段により読み取られた生体情報を用いて暗号鍵を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項8】
印加される電圧に応じた階調を各々表示する複数の画素を有する表示手段と、
前記表示手段に表示すべきページの文書データを、前記複数の画素の各々に印加する電圧に対応した形式を有するデータに変換する変換手段と、
前記変換手段により変換されたデータに基づいて前記複数の画素の各々に印加される電圧を制御することにより、前記表示手段に画像を表示させる表示制御手段と
を有し、
前記複数のテンプレートは、前記変換手段により変換されたデータの一部を指定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項9】
1ページ以上のデータを含む少なくとも一つの文書データを記憶する第1の記憶手段と、文書データのページに含まれる情報の一部を各々指定する複数のテンプレートを記憶する第2の記憶手段とを有するコンピュータ装置に、
前記第1の記憶手段に記憶された文書データのうちの一つの文書データの中の一ページを選択するステップと、
前記複数のテンプレートのうち一つのテンプレートを選択するステップと、
前記一ページに前記一つのテンプレートを適用することにより指定される情報を用いて暗号鍵を生成するステップと、
前記暗号鍵を用いて、前記第1の記憶手段に記憶された文書データを暗号化するステップと、
前記暗号化された文書データを出力するステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−206898(P2009−206898A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47790(P2008−47790)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】