説明

情報記録再生装置及び情報記録再生プログラム

【課題】移動体に搭載され、情報記録媒体に記録されたコンテンツ及び通信ネットワークを介してダウンロードしたコンテンツの双方を再生可能な情報記録再生装置において、一時記憶装置の容量が十分でなくとも、通信ネットワークの接続環境に影響されず、確実にコンテンツを再生することができる。
【解決手段】情報記録再生装置2は、通信ネットワーク接続可能地域DB205に記憶された通信ネットワーク3に接続可能な地域情報、位置測位システム202が取得した移動体の位置情報、及び設定された経路情報に基づいて、通信ネットワーク3に接続不可能な地域を探索し、当該接続不可能な地域での再生に必要なコンテンツの容量を算出し、算出したコンテンツの容量をコンテンツ提供サーバ1から予めダウンロードしてコンテンツ格納用一時記憶部206に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体内でコンテンツを再生する情報記録再生装置に関し、特に、通信ネットワークを介してコンテンツをダウンロードして再生する情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ(例えば、Blu-ray DiscプレーヤやHD DVDプレーヤ)では、ネットワーク接続機能をサポートすることが可能である。このような装置では、追加コンテンツをネットワーク経由でダウンロードして光ディスク上に存在するコンテンツとリンクさせて楽しむことができる。
【0003】
ところで、屋内環境においては、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)やFTTH(Fiber To The Home)等のネットワーク接続環境が整っていれば、常にインターネットに接続することができるため、ネットワーク上の追加コンテンツのダウンロードに関する支障はない。これに対して、このような装置を自動車等の移動体に設置する場合においては、インターネットに接続可能なエリアは限定されてしまうことが考えられる。例えば、日本の場合、屋外におけるネットワーク接続環境としては、携帯電話による通信が現時点では有力な手段となっているが、携帯電話のインフラは山間部を含め、全国津々浦々まで整備されているわけではない。また、無線LANの利用も考えられるが、これについても接続可能エリアは局所的な範囲に限られる。 また、インターネット接続可能エリア内であってもトンネルや地形等の物理的な要因で接続が遮断される可能性もあり得る。
【0004】
このように移動体においては、ネットワーク接続は常に可能とは言えないのが現状である。
【0005】
ここでは、一例として、光ディスク等の記録媒体に序章部分のストーリーのみが記録されていて、残りのストーリーはユーザとの対話に応じてインターネットからコンテンツをダウンロードし、ストーリーを先に進めていくようなAVコンテンツを考える。このようなコンテンツの場合、ストーリーを進めるには、インターネット上に存在する続編のコンテンツをダウンロードする必要があるためインターネット接続環境が必須となる。すなわち、インターネットに接続ができない状態ではコンテンツのダウンロードができないため、続編を見ることができない。
【0006】
このような状況を回避するためには、例えばインターネットに接続可能な環境の時にあらかじめダウンロード可能なコンテンツを先読みしてダウンロードしておく方法が考えられる(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開2001−101063号公報
【特許文献2】特開2005−130087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ネットワーク上のコンテンツをあらかじめダウンロードする場合には、必然的にHDD等の一時記憶装置の容量が圧迫されるという問題がある。特に、次世代DVDにおいては、コンテンツはHi Definitionの高精細映像が使用できるのでコンテンツのデータ容量も比較的大きなものになることが予想されるとともに、車載用機器においては、一般的に機器そのものも省スペース化が要求されることもあり、家庭用機器に比べ一時記憶装置の容量も限られたものになる傾向がある。
【0009】
すなわち、限定されたハードウェアリソースを持つ情報再生装置においては、すべてのコンテンツをあらかじめダウンロードしておくことは現実的とは言えない場合がある。
【0010】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、その課題の一例としては、例えば、車両などの移動体に搭載され、情報記録媒体に記録されたコンテンツ、及び通信ネットワークを介してダウンロードしたコンテンツの双方を再生可能な情報記録再生装置において、一時記憶装置の容量が十分でなくとも、通信ネットワークの接続環境に影響されず、確実にコンテンツを再生することができる情報記録再生装置及び情報記録再生プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明に係る情報記録再生装置は、その一態様として、 コンテンツの一部を情報記録媒体に記録し、前記コンテンツの他部をコンテンツ提供サーバが提供する形態のコンテンツを再生するにあたり、前記情報記録媒体に記録された前記コンテンツの一部である第1のコンテンツを再生するとともに、前記コンテンツ提供サーバから通信ネットワークを介して、前記コンテンツの他部である第2のコンテンツをダウンロードして再生する、移動体上に設置された情報記録再生装置であって、前記通信ネットワークに接続可能な地域情報を記憶している通信ネットワーク接続可能地域情報記憶手段と、前記移動体の移動経路を設定する移動経路設定手段と、前記移動体の現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記移動経路設定手段で設定された移動経路の、前記位置情報取得手段で取得された位置情報から移動体進行方向前方に、前記通信ネットワークに接続不可能な地域があるか否かを前記通信ネットワーク接続可能地域情報記憶手段を参照して、判定する通信ネットワーク接続不可能地域判定手段と、前記通信ネットワーク接続不可能地域判定手段により、前記通信ネットワークに接続不可能な地域があると判定されたときは、当該接続不可能な地域を通過するのに要する第1の通過時間を、前記移動経路上における接続不可能な地域の距離、及び前記移動体の速度に基づいて、算出する通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出手段と、前記第1の通過時間の間に再生される前記第2のコンテンツの容量を算出するコンテンツ容量算出手段と、前記移動体が前記通信ネットワークに接続不可能な地域に進入する前に、前記コンテンツ容量算出手段で算出されたコンテンツ容量の前記第2のコンテンツを前記コンテンツ提供サーバから予めダウンロードし、所定の記憶部に記憶する先読みコンテンツダウンロード手段と、前記通信ネットワークと接続不可能なときであって、かつ前記コンテンツ提供サーバから提供される第2のコンテンツを再生する場合は、前記先読みコンテンツダウンロード手段により前記所定の記憶部に記憶された第2のコンテンツを再生する先読みコンテンツ再生手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る情報記録再生プログラムは、その一態様として、コンテンツの一部を情報記録媒体に記録し、前記コンテンツの他部をコンテンツ提供サーバが提供する形態のコンテンツを再生するにあたり、前記情報記録媒体に記録された前記コンテンツの一部である第1のコンテンツを再生するとともに、前記コンテンツ提供サーバから通信ネットワークを介して、前記コンテンツの他部である第2のコンテンツをダウンロードして再生する、移動体上に設置された情報記録再生装置が読み取り可能な情報記録再生プログラムであって、前記通信ネットワークに接続可能な地域情報を記憶している通信ネットワーク接続可能地域情報記憶手段と、前記移動体の移動経路を設定する移動経路設定手段と、前記移動体の現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記移動経路設定手段で設定された移動経路の、前記位置情報取得手段で取得された位置情報から移動体進行方向前方に、前記通信ネットワークに接続不可能な地域があるか否かを前記通信ネットワーク接続可能地域情報記憶手段を参照して、判定する通信ネットワーク接続不可能地域判定手段と、前記通信ネットワーク接続不可能地域判定手段により、前記通信ネットワークに接続不可能な地域があると判定されたときは、当該接続不可能な地域を通過するのに要する第1の通過時間を、前記移動経路上における接続不可能な地域の距離、及び前記移動体の速度に基づいて、算出する通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出手段と、前記第1の通過時間の間に再生される前記第2のコンテンツの容量を算出するコンテンツ容量算出手段と、前記移動体が前記通信ネットワークに接続不可能な地域に進入する前に、前記コンテンツ容量算出手段で算出されたコンテンツ容量の前記第2のコンテンツを前記コンテンツ提供サーバから予めダウンロードし、所定の記憶部に記憶する先読みコンテンツダウンロード手段と、前記通信ネットワークと接続不可能なときであって、かつ前記コンテンツ提供サーバから提供される第2のコンテンツを再生する場合は、前記先読みコンテンツダウンロード手段により前記所定の記憶部に記憶された第2のコンテンツを再生する先読みコンテンツ再生手段と、して前記情報記録再生装置を機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るコンテンツダウンロードシステム100の概略構成図である。コンテンツダウンロードシステム100は、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバ1、自動車などの移動体に設置された情報記録再生装置2、及びコンテンツ提供サーバ1と情報再生装置2とを相互に通信可能とする、例えば、インターネット網などの通信ネットワーク3を備えている。
【0015】
情報記録再生装置2は、光ディスク4に記録されたコンテンツを再生可能であるとともに、通信ネットワーク3を介してコンテンツ提供サーバ1からダウンロードしたコンテンツを再生可能な情報記録再生装置であり、ディスプレイ5及びスピーカ6とともに移動体内においてコンテンツ再生システム10を構成する。また、情報記録再生装置2は、カーナビゲーション装置の機能も具備し、移動体の位置情報やルート情報をユーザに提供する。すなわち、情報記録再生装置2は、AV(Audio Visual)機能一体型のカーナビゲーション装置である。
【0016】
本実施の形態では、コンテンツ再生システム10(情報記録再生装置2)の一例として、図2に示すような、BD(Blu-ray Disc)プレーヤ搭載のカーナビゲーション装置に携帯電話装置を接続した構成を挙げて説明する。この場合には、携帯電話装置が通信ネットワーク3に接続するための通信手段として機能し、情報記録再生装置2は、携帯電話網及びインターネット網を介してコンテンツ提供サーバ1に接続することとなる。勿論、コンテンツ再生システム10(情報記録再生装置2)の構成は上記の構成に限定されず、光ディスク4に記録されたコンテンツ及びコンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツの双方を再生可能な装置であれば何であってもよい。以下においては、情報記録再生装置2が、BDに記録されたコンテンツを再生しつつ、BDの追加コンテンツをコンテンツ提供サーバ1からダウンロードして再生する場合を説明する。
【0017】
情報記録再生装置2は、より詳しくは、通信ネットワーク3を介してコンテンツ提供サーバ1と通信を行う通信部201、移動体(自動車)の位置を測定する位置測位システム202、ユーザからの操作指示を制御部220に伝える操作部203、移動体(自動車)の速度などに関する情報を取得する移動体情報取得部204、通信ネットワーク3に接続可能な地域に関する情報をデータベースとして備える通信ネットワーク接続可能地域データベース(以下、通信ネットワーク接続可能地域DB)205、コンテンツ提供サーバ1からダウンロードしたコンテンツを一時的に格納するコンテンツ格納用一時記憶部206、光ディスク4に記録されたコンテンツ及びダウンロードしたコンテンツを再生するコンテンツ再生部207、ディスプレイ5を介して再生出力される画像情報を制御する画像再生制御部208、スピーカ6を介して再生出力される音声情報を制御する音声再生制御部209、並びにプログラムやデータを格納する機能を有するROM、RAM等からなる主記憶部及びCPU等からなり、装置全体の演算・制御機能を有する制御部220を備えている。
【0018】
ここで、通信ネットワーク接続可能地域DB205は、位置情報(経度及び緯度に関する情報)と通信ネットワーク3が使用可能か否かを示す情報を対応付けた通信ネットワーク接続可能情報を記憶しており、例えば、図3に示すように、地図情報を通信ネットワーク3使用可能地域と通信ネットワーク3使用不可能地域に二分して管理している。本実施の形態においては、通信ネットワーク3使用可能地域は、携帯電話装置が通信可能な地域となる。勿論、他の通信手段を用いる場合には、当該通信手段が通信可能な地域が通信ネットワーク接続可能地域DB205上に記憶される。例えば、広域無線LANを用いる場合には、広域無線LANの接続可能な地域が通信ネットワーク接続可能地域DB205上に記憶される。
【0019】
また、制御部220は、具体的には、ルート設定機能221、通信ネットワーク接続不可能地域判定機能222、通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出機能223、先読みコンテンツ容量算出機能224、先読みコンテンツダウンロード機能225、及び先読みコンテンツ再生機能226を有する。
【0020】
ルート設定機能221は、位置測位システム202が備える地図情報をもとに移動体の走行経路を設定する機能であり、例えば、ユーザが操作部203を介して出発地、目的地などを入力することにより自動的に設定される。
【0021】
通信ネットワーク接続不可能地域判定機能222は、移動体の走行経路上(現在地点より移動体の進行方向前方)に通信ネットワーク3に接続できない地域が存在するか否かを判定する機能である。詳しくは、位置測位システム202から取得した移動体の現在位置、通信ネットワーク接続可能地域DBに記憶された通信ネットワーク接続可能情報、及びルート設定機能221により設定された走行経路に基づいて、判定する。
【0022】
通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出機能223は、通信ネットワーク接続不可能地域判定機能222により、移動体の走行経路上に通信ネットワーク3に接続できない地域が存在する場合には、通信ネットワーク3に接続できない地域を通過するのに要する時間を算出する機能である。詳しくは、通信ネットワーク3に接続できない地域の走行経路上の距離、移動体情報取得部204が取得した移動体の速度に関する情報などに基づいて算出される。
【0023】
先読みコンテンツ容量算出機能224は、通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出機能223で算出された通過時間から、通信ネットワーク3に接続できない地域を通過する間に再生されるコンテンツの容量を算出する機能である。詳しくは、現在再生しているコンテンツの平均ビットレートと通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出機能223で算出された通過時間とから算出される。
【0024】
先読みコンテンツダウンロード機能225は、移動体が通信ネットワーク接続不可能地域に進入するまでの間に、先読みコンテンツ容量算出機能224で算出されたコンテンツの容量をコンテンツ提供サーバ1から予めダウンロードし、コンテンツ格納用一時記憶部206に格納する機能である。これは、移動体が通信ネットワーク接続不可能地域を走行中に、コンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツに対するダウンロード要求が発生し、当該コンテンツを再生しなければならなくなった場合を想定した措置であり、通信ネットワーク3に接続できなくても、コンテンツ格納用一時記憶部206に記録したコンテンツを再生することにより、コンテンツ再生の中断を防止するものである。
【0025】
先読みコンテンツ再生機能326は、移動体が通信ネットワーク接続不可能地域を走行して、コンテンツ提供サーバ1からコンテンツをダウンロードできないときに、コンテンツ格納用一時記憶部206に記憶されたコンテンツを再生する機能である。
【0026】
このように本実施の形態においては、仮に移動体が通信ネットワーク接続不可能地域を走行中にコンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツを再生しなければならない状況になったとしても、情報記録再生装置2は予めダウンロードしておいた先読みコンテンツを再生することができるので、確実にコンテンツを再生することができる。
【0027】
また、先読みコンテンツのダウンロード容量は、通信ネットワーク接続不可能地域を通過する間に再生されるコンテンツ容量に限定されているので、情報記録再生装置2の一時記憶装置の容量が少ない場合であっても、一時記憶装置を圧迫することはない。
【0028】
なお、制御部320の上述したルート設定機能321、通信ネットワーク接続不可能地域判定機能322、通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出機能323、先読みコンテンツ容量算出機能324、先読みコンテンツダウンロード機能325、及び先読みコンテンツ再生機能326を実現するためのプログラムは、主記憶部に格納されているが、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも、通信ネットワークを介して配信されることも可能である。
【0029】
次に、図4及び図5を参照して、情報記録再生装置2の先読みコンテンツダウンロード処理について説明する。図4は、情報記録再生装置2が設置された移動体の移動経路及び通信ネットワーク接続可能地域の一具体例を示す図であり、図5は、移動体が図4に示す移動経路を走行するときの先読みコンテンツダウンロード処理の一例を示すフローチャートである。なお、前提として、情報記録再生装置2は、区間距離D1を走行中においては、光ディスク4に記録されたコンテンツを再生し、コンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツは再生しないものとする。
【0030】
まず、情報記録再生装置2は、現在地、案内ルート及び通信ネットワーク接続可能地域DB205を基に、進行方向前方に通信ネットワーク接続不可能地域を検出し、通信ネットワーク接続不可能地域の区間距離D2(図4参照)を取得する(ステップS10)。
【0031】
次に、情報記録再生装置2は、現在再生しているコンテンツの平均ビットレートP(bit/sec)を取得する(ステップS20)。
【0032】
次に、情報記録再生装置2は、現在の移動体(自動車)の平均速度Vを算出する(ステップS30)。平均速度Vとしては、直近の所定時間における平均速度を適用してもよいし、また、道路の種類に応じた定数値(例えば、高速道路であれば80km/h、一般道であれば30km/hなど)などを適用してもよい。
【0033】
次に、情報記録再生装置2は、移動体が通信ネットワーク接続不可能地域の区間距離D2を通過するのに要する時間T2(=D2/V)を算出する(ステップS40)。このとき、例えば、VICS (Vehicle Information and Communication System)等から得られる渋滞や交通規制などの道路交通情報を受信し、受信した道路交通情報を加味して時間T2を算出するようにしてもよい。
【0034】
次に、情報記録再生装置2は、移動体が通信ネットワーク接続不可能地域の区間距離D2を通過する間に再生されるコンテンツの容量S(=P×T2)を算出する(ステップS50)。
【0035】
次に、情報記録再生装置2は、移動体が現在地点から通信ネットワーク接続不可能地域に到達するまでの区間距離D1(図4参照)を案内ルートに基づいて取得する(ステップS60)。
【0036】
次に、情報記録再生装置2は、移動体が通信ネットワーク接続不可能地域の区間距離D2を通過する間に再生されるコンテンツの容量Sをダウンロードするのに要する時間T(=S/Q;ここでQは、通信ネットワーク3の通信速度(bit/sec))を算出する(ステップS70)。
【0037】
次に、情報記録再生装置2は、移動体が通信ネットワーク接続可能地域の区間距離D1を通過するのに要する時間T1(=D1/V)を算出する(ステップS80)。
【0038】
次に、情報記録再生装置2は、時間Tと時間T1を比較し(ステップS90)、時間Tが時間T1以下のときは(ステップS90:YES)、コンテンツ提供サーバ1からコンテンツのダウンロードを開始する(ステップS110)。一方、時間Tが時間T1より大きいときは(ステップS90:NO)、区間距離D1を通過する間に必要な容量のコンテンツをすべてダウンロードすることはできないので、警告メッセージを表示して(ステップS100)、コンテンツのダウンロードを開始する(ステップS110)。
【0039】
このような先読みコンテンツダウンロード処理により、移動体が区間距離D2を走行中に情報記録再生装置2が、コンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツを再生するような状況になったとしても、予めダウンロードしておいた先読みコンテンツを再生することができるので、コンテンツ再生が中断されることなく、確実にコンテンツを再生することができる。
【0040】
なお、上述した先読みコンテンツダウンロード処理においては、情報記録再生装置2は、区間距離D1を走行中、光ディスク4に記録されたコンテンツを再生し、コンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツは再生していない場合を想定したが、区間距離D1を走行中にコンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツを再生している場合にも適用できるのは勿論である。この場合には、区間距離D1を走行中に、コンテンツ提供サーバ1が提供し、現在再生しているコンテンツに加えて、先読みコンテンツをダウンロードすることとなる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態に係る情報記録再生装置2によれば、移動体に設置された、通信ネットワーク3に接続可能な情報記録再生装置であり、通信ネットワーク接続可能地域DB205に記憶された通信ネットワーク3に接続可能な地域情報、位置測位システム202が取得した移動体の位置情報、及び設定された経路情報に基づいて、通信ネットワーク3に接続不可能な地域を探索し、当該接続不可能な地域での再生に必要なコンテンツの容量を算出し、算出したコンテンツの容量をコンテンツ提供サーバ1から予めダウンロードしておくので、万一、当該接続不可能な地域を走行中にコンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツを再生することになったとしても、確実にコンテンツを再生することができる。
【0042】
また、コンテンツのダウンロード容量は、当該接続不可能な地域での再生に必要なコンテンツの容量なので、情報記録再生装置2の一時記憶装置の容量を圧迫することもない。
【0043】
すなわち、移動体に搭載され、情報記録媒体に記録されたコンテンツ、及び通信ネットワークを介してダウンロードしたコンテンツの双方を再生可能な情報記録再生装置において、一時記憶装置の容量が十分でなくとも、通信ネットワークの接続環境に影響されず、確実にコンテンツを再生することができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができる。
【0045】
例えば、ルート設定機能221においては、通信ネットワーク接続可能地域DB205の内容を加味したルート設定にしてもよく、例えば、通信ネットワーク接続不可能地域を走行する距離が最短となるように走行経路を設定してもよい。これにより、情報記録再生装置2は、必要最小限度の先読みコンテンツダウンロード処理を実行すればよく、先読みコンテンツダウンロード処理の負荷を軽減することができる。
【0046】
また、上記実施の形態の情報記録再生装置2は、光ディスク4に記録されたコンテンツ及びコンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツの双方を再生可能な構成としたが、コンテンツ提供サーバ1が提供するコンテンツを再生可能な情報記録再生装置としてもよい。すなわち、光ディスク4の再生機能を備えず、コンテンツ提供サーバ1からダウンロードしたコンテンツをストリーミング再生する情報記録再生装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報記録再生装置、及びコンテンツダウンロードシステムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るコンテンツ再生システムの一例である。
【図3】本発明の実施の形態に係る情報記録再生装置の通信ネットワーク接続可能地域DBを説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報記録再生装置の先読みコンテンツダウンロード処理を説明するための移動体の経路図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る情報記録再生装置の先読みコンテンツダウンロード処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 コンテンツ提供サーバ
2 情報記録再生装置
3 通信ネットワーク
4 光ディスク
5 ディスプレイ
6 スピーカ
10 コンテンツ再生システム
100 コンテンツダウンロードシステム
201 通信部
202 位置測位システム
203 操作部
204 移動体情報取得部
205 通信ネットワーク接続可能地域DB
206 コンテンツ格納用一時記憶部
207 コンテンツ再生部
208 画像再生制御部
209 音声再生制御部
220 制御部
221 ルート設定機能
222 通信ネットワーク接続不可能地域判定機能
223 通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出機能
224 先読みコンテンツ容量算出機能
225 先読みコンテンツダウンロード機能
226 先読みコンテンツ再生機能


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの一部を情報記録媒体に記録し、前記コンテンツの他部をコンテンツ提供サーバが提供する形態のコンテンツを再生するにあたり、前記情報記録媒体に記録された前記コンテンツの一部である第1のコンテンツを再生するとともに、前記コンテンツ提供サーバから通信ネットワークを介して、前記コンテンツの他部である第2のコンテンツをダウンロードして再生する、移動体上に設置された情報記録再生装置であって、
前記通信ネットワークに接続可能な地域情報を記憶している通信ネットワーク接続可能地域情報記憶手段と、
前記移動体の移動経路を設定する移動経路設定手段と、
前記移動体の現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記移動経路設定手段で設定された移動経路の、前記位置情報取得手段で取得された位置情報から移動体進行方向前方に、前記通信ネットワークに接続不可能な地域があるか否かを前記通信ネットワーク接続可能地域情報記憶手段を参照して、判定する通信ネットワーク接続不可能地域判定手段と、
前記通信ネットワーク接続不可能地域判定手段により、前記通信ネットワークに接続不可能な地域があると判定されたときは、当該接続不可能な地域を通過するのに要する第1の通過時間を、前記移動経路上における接続不可能な地域の距離、及び前記移動体の速度に基づいて、算出する通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出手段と、
前記第1の通過時間の間に再生される前記第2のコンテンツの容量を算出するコンテンツ容量算出手段と、
前記移動体が前記通信ネットワークに接続不可能な地域に進入する前に、前記コンテンツ容量算出手段で算出されたコンテンツ容量の前記第2のコンテンツを前記コンテンツ提供サーバから予めダウンロードし、所定の記憶部に記憶する先読みコンテンツダウンロード手段と、
前記通信ネットワークと接続不可能なときであって、かつ前記コンテンツ提供サーバから提供される第2のコンテンツを再生する場合は、前記先読みコンテンツダウンロード手段により前記所定の記憶部に記憶された第2のコンテンツを再生する先読みコンテンツ再生手段と、
を有することを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記移動経路設定手段は、
前記通信ネットワークに接続不可能な地域を走行する距離が最短となるように経路を設定することを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記先読みコンテンツダウンロード手段は、
ダウンロードに要する時間を算出するダウンロード時間算出手段と、
前記移動体が現在地から前記通信ネットワークに接続不可能な地域に進入するまでに要する第2の通過時間を、前記移動経路上における現在地から前記通信ネットワークに接続不可能な地域までの距離、及び前記移動体の速度に基づいて、算出する通信ネットワーク接続不可能地域到達時間算出手段と、
前記ダウンロード時間算出手段で算出されたダウンロード時間と、前記通信ネットワーク接続不可能地域到達時間算出手段で算出された第2の通過時間を比較し、前記ダウンロード時間が前記第2の通過時間以下のときは、ダウンロードを開始するダウンロード開始制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記ダウンロード開始制御手段は、
前記ダウンロード時間が前記第2の通過時間より大きいときは、警告メッセージを出力しつつ、ダウンロードを開始することを特徴とする請求項3記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
コンテンツの一部を情報記録媒体に記録し、前記コンテンツの他部をコンテンツ提供サーバが提供する形態のコンテンツを再生するにあたり、前記情報記録媒体に記録された前記コンテンツの一部である第1のコンテンツを再生するとともに、前記コンテンツ提供サーバから通信ネットワークを介して、前記コンテンツの他部である第2のコンテンツをダウンロードして再生する、移動体上に設置された情報記録再生装置が読み取り可能な情報記録再生プログラムであって、
前記通信ネットワークに接続可能な地域情報を記憶している通信ネットワーク接続可能地域情報記憶手段と、
前記移動体の移動経路を設定する移動経路設定手段と、
前記移動体の現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記移動経路設定手段で設定された移動経路の、前記位置情報取得手段で取得された位置情報から移動体進行方向前方に、前記通信ネットワークに接続不可能な地域があるか否かを前記通信ネットワーク接続可能地域情報記憶手段を参照して、判定する通信ネットワーク接続不可能地域判定手段と、
前記通信ネットワーク接続不可能地域判定手段により、前記通信ネットワークに接続不可能な地域があると判定されたときは、当該接続不可能な地域を通過するのに要する第1の通過時間を、前記移動経路上における接続不可能な地域の距離、及び前記移動体の速度に基づいて、算出する通信ネットワーク接続不可能地域通過時間算出手段と、
前記第1の通過時間の間に再生される前記第2のコンテンツの容量を算出するコンテンツ容量算出手段と、
前記移動体が前記通信ネットワークに接続不可能な地域に進入する前に、前記コンテンツ容量算出手段で算出されたコンテンツ容量の前記第2のコンテンツを前記コンテンツ提供サーバから予めダウンロードし、所定の記憶部に記憶する先読みコンテンツダウンロード手段と、
前記通信ネットワークと接続不可能なときであって、かつ前記コンテンツ提供サーバから提供される第2のコンテンツを再生する場合は、前記先読みコンテンツダウンロード手段により前記所定の記憶部に記憶された第2のコンテンツを再生する先読みコンテンツ再生手段と、
して前記情報記録再生装置を機能させることを特徴とする情報記録再生プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−294537(P2008−294537A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135411(P2007−135411)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】