説明

情報記録媒体、情報記録装置、情報記録方法、および該情報記録媒体の製造方法

【課題】光源の消費電力を増大させることなく、情報の記録に要する時間を短縮すると共に、情報の記録密度を高密度化した情報記録媒体を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報記録媒体1aは、基板11上に離散的に形成された、複数の記録部50と、記録部50の側面を被覆する金属体13b、金属体13bの記録部50に接する面と反対側の面を被覆する誘電体14および誘電体14により挟まれた空間に形成された金属体13aを含む非記録部51と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱によるか、または加熱および磁気的な作用により情報を記録することができる情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度情報化社会の到来によって取り扱う情報量が膨大となり、記録装置の大容量化、高密度化が求められている。ハードディスクに代表される磁気記録の分野においては、記録媒体、記録ヘッド、および再生ヘッドの特性の向上によって、面密度で1平方インチ辺り300Gbit(300Gbit/inch)を超える記録密度が達成されつつある。記録媒体の面密度の向上は、現在も進んでおり、将来的には、1平方インチ辺り1Tbit(1Tbit/inch)を超えると考えられている。
【0003】
磁気記録媒体に対して高い空間分解能で磁気ビットを記録できる記録方式としては、光アシスト磁気記録方式が提案されている。光アシスト磁気記録方式は、次世代高密度磁気記録の有望な技術として注目を浴びており、高い保磁力(Hc)を有する熱揺らぎに強い磁気記録媒体に対して磁気記録を行うものである。具体的には、磁気記録媒体の表面に光を集光し、局所的に該磁気記録媒体の温度を上げることにより、該磁気記録媒体の保磁力(Hc)を減少させる。そして、この保磁力(Hc)が減少した部位に外部磁界を印加することによって、該磁気記録媒体に磁気記録を行う。特許文献1には、光アシスト磁気記録方式を用いて、フェリ磁性体からなる記録層を形成した磁気記録媒体に対して情報を記録する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2〜4には、光アシスト磁気記録方式において、磁気記録媒体を局所的に加熱するための熱源として、近接場光を用いる手法について開示されている。ここで、本明細書等における「近接場光」とは、光の波長よりも小さな微小構造物、例えば開口部のような構造物に光を入射することにより発生し、該開口部のごく近傍にのみ局在する光(電磁場)のことを指す。
【0005】
このうち、特許文献3には、強い近接場光が発生する点以外の部分で発生する近接場光の影響を小さくするような、平面状の散乱体を用いたプローブ、および該プローブを記録/再生装置に適用した例が開示されている。特許文献4には、導体にレーザ光を照射し、導体の縁部近傍において強い近接場を発生させるとともに、該導体に電流を流すことによって該導体周辺に磁界を発生させることができる電磁界発生素子、および該電磁界発生素子を情報記録再生装置に適用した例が開示されている。
【0006】
また、磁気記録だけでなく、光記録の分野においても、Blu−rayディスク(登録商標)などの高い記録密度を有する記録媒体が開発されている。光記録の分野においても、光源の短波長化、ならびにSIL(Solid Immersion Lens)およびSIM(Solid Immersion Mirror)などの近接場光技術を用いた高密度化が図られている。例えば、特許文献5には、SILと微小開口との組み合わせを用いた近接場ヘッドが開示されている。
【特許文献1】特開平04−176034号公報(特許第2617025号公報)(平成4年6月23日公開)
【特許文献2】特開2000−195002号公報(平成12年7月14日公開)
【特許文献3】特開2004−151046号公報(平成16年5月27日公開)
【特許文献4】特開2006−114099号公報(平成18年4月27日公開)
【特許文献5】特開2000−163797号公報(平成12年6月16日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、光アシスト磁気記録技術および光記録技術では、記録時に磁気記録媒体を、所定の温度にまで加熱する必要がある。そのため、記録の高速化、すなわち記録に要する時間を短縮するためには、光源である半導体レーザーの照射パワーを強くする必要が生じる。言い換えれば、光アシスト磁気記録技術および光記録技術では、半導体レーザーの出力の上限により、記録速度が制限されてしまうという問題がある。逆に、記録速度を高速化するためには、高出力のレーザー光を発生させなければならず、情報記録装置の消費電力が増大してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、光源の消費電力を増大させることなく、記録に要する時間を短縮した情報記録媒体を提供することである。また、上記情報記録媒体を製造する製造方法、上記情報記録媒体に情報を記録する情報記録装置、および上記情報記録装置による情報の記録方法についても併せて提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る情報記録媒体は、上記課題を解決するために、
基板の記録層形成面上に離散的に形成された、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の記録部と、
上記記録部の上記記録層形成面に接する面を底面としたとき、上記記録部の側面を被覆する第1の金属体、当該第1の金属体の上記記録層形成面に接する面を底面としたとき、上記第1の金属体の側面を被覆する誘電体、および上記誘電体により挟まれた空間に形成された第2の金属体を含む非記録部と、
を備えていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、非記録部は、記録部側から順に、第1の金属体、誘電体、第2の金属体の順に配置されている。すなわち、第1の金属体および第2の金属体は、いずれも、誘電体と接しており、第1の金属体と誘電体との界面および第2の金属体と誘電体との界面は、情報記録媒体において光の照射される面に露出している。これによって、情報記録媒体表面に照射された光から生じたプラズモンは、第1の金属体と誘電体との界面および第2の金属体と誘電体との界面を選択的に伝播する。
【0011】
すなわち、第1の金属体と誘電体との界面および第2の金属体と誘電体との界面において、高強度の電界集中(局所プラズモン)を生じさせることができるため、情報記録媒体における情報記録領域を情報記録媒体内部から効率良く加熱することができる。
【0012】
このように、本発明に係る情報記録媒体では、記録部における情報記録領域を効率的に加熱することができるため、光源の消費電力を増大させることなく、情報の記録に要する時間を短縮することができる効果を奏する。
【0013】
また、情報記録媒体表面に照射された光から変換されたプラズモンは、第1の金属体と誘電体との界面および第2の金属体と誘電体との界面を選択的に伝播し局在することから、記録部の情報を記録しようとする箇所の周囲のみに電界の集中を引き起こすことができる。これによって、情報記録媒体の局所的な加熱を行うことができるため、本発明に係る情報記録媒体は、情報を記録する密度を高密度化することができる効果を奏する。
【0014】
また、上記の構成によれば、記録部が離散的に形成されている。したがって、記録部に磁性体を用いる場合には、記録部間における磁気的な結合を弱め、記録部ごとそれぞれに独立した磁化反転を起こしやすくすることができる効果を奏する。
【0015】
なお、本発明に係る情報記録媒体では、誘電体が、第1の金属体および第2の金属体の2つの金属体の間に備えられているため、誘電体と金属体との界面が1つの情報記録媒体の場合と比較して、誘電体と金属体との界面面積が増える。すなわち、誘電体と金属体との界面が1つの情報記録媒体よりもプラズモンの生成が多くなり、電界の集中をより一層強く引き起すことができる。これによって、記録部をより一層効率的に加熱することができる効果を奏する。
【0016】
本発明に係る情報記録媒体では、さらに、上記記録層形成面において、上記記録部が形成されている記録部形成領域を除く非記録部形成領域は、上記誘電体により被覆されていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、記録層形成面において、記録部が形成されている記録部形成領域を除く非記録部形成領域は、誘電体により被覆されている。そのため、第2の金属体と誘電体との界面を伝播したプラズモンが、第2の金属体の底面と誘電体との界面にも伝播する。
【0018】
これによって、誘電体の間に設けられている第2の金属体の基板側の底面においても、電界の集中を引き起こすことができるため、記録部の周囲に引き起こされる電界の集中がより一層強くなり、記録部全体をより一層十分に加熱することができる効果を奏する。
【0019】
本発明に係る情報記録媒体では、さらに、上記記録層形成面において、上記記録部が形成されている記録部形成領域を除く非記録部形成領域は、上記第1の金属体により被覆されており、上記第1の金属体と上記第2の金属体との間には上記誘電体が設けられていることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、記録層形成面において、記録部が形成されている記録部形成領域を除く非記録部形成領域は、第1の金属体により被覆されている。また、第1の金属体と第2の金属体との間には上記誘電体が設けられている。そのため、第2の金属体と誘電体との界面を伝播したプラズモンが、第2の金属体の底面と誘電体との界面にも伝播すると共に、第1の金属体と誘電体との界面を伝播したプラズモンが、基板と誘電体との間に形成されている第1の金属体と誘電体との界面にも伝播する。
【0021】
これによって、基板と誘電体との間に形成されている第1の金属体と誘電体との界面および第2の金属体の底面と誘電体との界面において、電界の集中を引き起こすことができるため、記録部の周囲に引き起こされる電界の集中がより一層強くなり、記録部全体をさらに一層十分に加熱することができる効果を奏する。
【0022】
本発明に係る情報記録媒体では、さらに、上記非記録部は、トラック幅方向において、上記記録部を互いに隔てていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、第1の金属体に挟まれた領域である記録部における情報記録領域を局所的に強く加熱することができる。これによって、情報記録媒体における情報記録領域を微小に形成することができる効果を奏する。
【0024】
また、記録部が磁性体からなる場合には、情報記録媒体をディスクリートトラックメディアとして機能させることができる効果を奏する。
【0025】
本発明に係る情報記録媒体では、さらに、上記非記録部は、トラック長さ方向およびトラック幅方向のいずれにおいても、上記記録部を互いに隔てていることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、記録部は、トラック長さ方向およびトラック幅方向のいずれにおいても、非記録部により隔てられている。すなわち、記録部それぞれは、トラック長さ方向およびトラック幅方向のいずれにおいても、分離して設けられている。そのため、第1の金属体および第2の金属体に囲まれた領域を局所的に強く加熱することができる。これによって、情報記録媒体における情報記録領域を微小に形成することができる効果を奏する。
【0027】
また、記録部が磁性体からなる場合には、情報記録媒体をパターンドメディアとして機能させることができる効果を奏する。
【0028】
本発明に係る情報記録媒体は、上記課題を解決するために、
基板の記録層形成面を被覆するように形成された、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の凸部を有する記録部と、
上記凸部の側面を被覆する第1の金属体、当該第1の金属体の上記凸部に接する面とは反対側の面を被覆する誘電体、および上記誘電体により挟まれた空間に形成された第2の金属体を含む非記録部と、
を備えていることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、記録部を基板の記録層形成面上に離散的に形成した情報記録媒体と同様の作用効果を奏する。
【0030】
また、記録部が磁性体からなる場合には、記録部における凸部同士は、磁気異方性の弱い磁性体によって繋がれることとなる。すなわち、凸部同士が弱い交換結合力を生じるため、静磁結合力が緩和される。これによって、凸部の間隔を狭めた場合(情報記録密度を高密度化した場合)であっても、隣り合う記録磁区が強い静磁結合力で結合してしまい、外部磁界による記録が困難となることを防止することができる効果を奏する。
【0031】
本発明に係る情報記録媒体では、さらに、上記記録部において上記凸部が形成されている凸部形成領域を除く非記録部形成領域は、上記誘電体により被覆されていることが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、記録部における非記録部形成領域は、誘電体により被覆されている。そのため、第2の金属体と誘電体との界面を伝播したプラズモンが、第2の金属体の底面と誘電体との界面にも伝播する。
【0033】
これによって、誘電体の間に設けられている第2の金属体の基板側の底面においても、電界の集中を引き起こすことができるため、凸部の周囲に引き起こされる電界の集中がより一層強くなり、凸部全体をより一層十分に加熱することができる効果を奏する。
【0034】
本発明に係る情報記録媒体では、さらに、上記記録部において上記凸部が形成されている凸部形成領域を除く非記録部形成領域は、上記第1の金属体により被覆されており、上記第1の金属体と上記第2の金属体との間には上記誘電体が設けられていることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、記録部における非記録部形成領域は、第1の金属体により被覆されている。また、第1の金属体と第2の金属体との間には上記誘電体が設けられている。そのため、第2の金属体と誘電体との界面を伝播したプラズモンが、第2の金属体の底面と誘電体との界面にも伝播すると共に、第1の金属体と誘電体との界面を伝播したプラズモンが、記録部における非記録部形成領域と誘電体との間に形成されている第1の金属体と誘電体との界面にも伝播する。
【0036】
これによって、記録部における非記録部形成領域と誘電体との間に形成されている第1の金属体と誘電体との界面および第2の金属体の底面と誘電体との界面において、電界の集中を引き起こすことができるため、凸部の周囲に引き起こされる電界の集中がより一層強くなり、凸部全体をさらに一層十分に加熱することができる効果を奏する。
【0037】
本発明に係る情報記録媒体では、さらに、上記第1の金属体および上記第2の金属体は、金、銀、アルミニウム、白金、またはこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金からなることが好ましい。
【0038】
上記の構成によれば、金、銀、アルミニウム、白金、またはこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金は、プラズモンの発生効率が高く、プラズモンを第1の金属体と誘電体との界面および第2の金属体と誘電体との界面において、効率よく発生させることができる。
【0039】
したがって、第1の金属体および第2の金属体として上記の物質を用いることにより、第1の金属体と誘電体との界面および第2の金属体と誘電体との界面において、より一層強い電界の集中を引き起こすことができる効果を奏する。
【0040】
本発明に係る情報記録媒体では、さらに、上記記録部は、磁性体からなることが好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、情報記録媒体を光アシスト磁気記録に好適な磁気記録媒体として活用することができる。すなわち、上記構成の情報記録媒体は、光源の消費電力を増大させることなく、高密度かつ記録に要する時間を短縮した磁気記録媒体として活用することができる効果を奏する。
【0042】
本発明に係る情報記録媒体では、さらに、上記記録部は、光記録材料からなることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、情報記録媒体を光情報記録に好適な光情報記録媒体として活用できる、すなわち、上記構成の情報記録媒体は、光源の消費電力を増大させることなく、高密度かつ記録に要する時間を短縮した光情報記録媒体として活用することができる効果を奏する。
【0044】
情報記録層が磁性体からなる情報記録媒体または情報記録層が光記録材料からなる情報記録媒体に対して情報を記録すると共に、当該記録媒体から情報を再生する情報記録再生装置も本発明の範疇に含まれる。
【0045】
本発明に係る情報記録再生装置では、さらに、上記光源と上記情報記録媒体との間であり、かつ、上記光の経路上に、近接場光生成部を備えていることが好ましい。
【0046】
上記の構成によれば、情報記録媒体に照射される光のサイズを波長サイズ以下に小さくすることができる。これによって、記録部における情報記録領域をより一層加熱しやすくなるため、情報の記録に要する時間をより一層短縮することができる効果を奏する。
【0047】
さらに、情報記録層が磁性体からなる情報記録媒体に対して光を照射し、上記情報記録媒体における情報記録領域を加熱する加熱工程と、上記情報記録領域に対して磁界を印加する磁界印加工程と、を含む情報記録方法も本発明の範疇に含まれる。
【0048】
さらに、情報記録層が光記録材料からなる情報記録媒体に対して光を照射し、上記情報記録媒体における情報記録領域を加熱する加熱工程を含む情報記録方法も本発明の範疇に含まれる。
【0049】
さらに、情報記録層が磁性体からなる情報記録媒体から発生する漏洩磁界を検出する漏洩磁界検出工程を含む情報再生方法も本発明の範疇に含まれる。
【0050】
さらに、情報記録層が光記録材料からなる情報記録媒体から反射する反射光の光量を検出する光量検出工程を含む情報再生方法も本発明の範疇に含まれる。
【0051】
さらに、基板の記録層形成面上に、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の記録部を離散的に形成する記録部形成工程と、
上記記録部の上記記録層形成面に接する面を底面としたとき、上記記録部の側面を被覆するように第1の金属体を形成する第1の金属体形成工程と、
上記第1の金属体の上記記録層形成面に接する面を底面としたとき、上記第1の金属体の側面を被覆するように誘電体を形成する誘電体形成工程と、
上記誘電体により挟まれた空間に第2の金属体を形成する第2の金属体形成工程と、を含む情報記録媒体の製造方法も本発明の範疇に含まれる。
【0052】
さらに、基板の記録層形成面を被覆するように、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の凸部を有する記録部を形成する記録部形成工程と、
上記凸部の側面を被覆するように第1の金属体を形成する第1の金属体形成工程と、
上記第1の金属体の上記記録層形成面に接する面を底面としたとき、上記第1の金属体の側面を被覆するように誘電体を形成する誘電体形成工程と、
上記誘電体により挟まれた空間に第2の金属体を形成する第2の金属体形成工程と、を含む情報記録媒体の製造方法も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0053】
以上説明したように、本発明に係る情報記録媒体において、非記録部は、記録部側から順に、第1の金属体、誘電体、第2の金属体の順に配置されている。すなわち第1の金属体および第2の金属体は、いずれも、誘電体と接している。
【0054】
これによって、本発明に係る情報記録媒体は、光源の消費電力を増大させることなく、情報の記録に要する時間を短縮する(すなわち、情報の記録速度を高速化する)ことができる効果を奏すると共に、情報の記録密度を高密度化することができる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
〔実施形態1〕
本発明に係る情報記録媒体の一実施形態について、図1から図5(a)〜(e)を参照しつつ以下に説明する。
【0056】
(情報記録媒体1aの構成)
本実施形態に係る情報記録媒体の構成について、図1および2を参照して以下に説明する。図1は、情報記録媒体1aの構成を示す概略断面図である。図2は、情報記録媒体1aの構成を示す平面図である。
【0057】
図1および2に示すように、情報記録媒体1aは、基板11、記録層12、保護層15を備えている。記録層12は、記録部50および非記録部51を有しており、非記録部51は、さらに、金属体13a、13bおよび誘電体14を備えている。図1および2に示すように、情報記録媒体1aは、基板11の記録層形成面上に離散的に形成された、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の記録部50と、記録部50の記録層形成面に接する面を底面としたとき、記録部50の側面を被覆する金属体13b、金属体13bの記録部50に接する面の反対側の面を被覆する誘電体14、および誘電体14により挟まれた空間に形成された金属体13aを含む非記録部51と、を備えている。
【0058】
なお、記録ヘッド70は、情報記録媒体1aを構成する部材ではないが、本発明の理解を容易にするために、便宜上図1に図示している。また、図2では、情報記録媒体1aの構成を容易に理解できるように、便宜上保護層15を図示していない。
【0059】
また、情報記録媒体1aは、記録部50において各種情報を記録する。すなわち、情報記録媒体1aでは、記録部50全体が情報の記録に利用される。情報記録媒体1aを構成する各部材について、以下に説明する。
【0060】
(基板11)
基板11は、その上に形成される記録層12などを変形させることなく保持するものである。
【0061】
基板11の材質および形状は、記録層12などの各層を変形させることなく保持できれば特に限定されるものではない。基板11の材質としては、例えば、金属、酸化物、窒化物、半導体および樹脂などを用いることができる。より具体的には、二酸化ケイ素、リン化ニッケルをコートしたアルミニウム、ポリカーボネートなどを挙げることができる。また、基板11の形状は、記録媒体1aが円形であることが一般的であるため、円形であることが好ましいが、円形以外の形状であってもよい。
【0062】
(記録層12の構成)
記録層12は、情報を記録する領域を有する層であり、記録部50および非記録部51から構成されている。図1および2に示すように、記録部50は、トラック長さ方向およびトラック幅方向のいずれの方向においても非記録部51により隔てられている。すなわち、記録部50および非記録部51は、トラック長さ方向およびトラック幅方向のいずれの方向においても交互に設けられているため、記録部50の磁気的な結合が、非記録部51によって切断されている。
【0063】
また、図2に示すように、情報記録媒体1aの記録部50は、非記録部51によって、トラック長さ方向およびトラック幅方向に切り離されており、情報記録媒体1aは、いわゆるパターンドメディアの構成となっている。なお、非記録部51の構成は、本発明の最大の特徴点であるため、下記にて詳述する。
【0064】
(保護層15)
保護層15は、記録部50を保護するために設けられているものであり、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)に代表されるような平滑かつ硬質の薄膜が用いられている。また、保護層15上には、記録ヘッドとの接触による情報記録媒体1aの損傷を防ぐための潤滑層を設けてもよい。
【0065】
(記録ヘッド70)
最後に、図1に示す記録ヘッド70の構成について、以下に説明する。図1に示すように、記録ヘッド70は、近接場光発生部材73、集光レンズ74、および光源75を備えている。近接場光72の生成について、以下に詳述する。
【0066】
具体的には、光源75から発せられ、集光レンズ74を通過したレーザー光71が、近接場光発生部材73を通過することによって、近接場光72が生成する。生成した近接場光72は、情報記録媒体1aに照射される。なお、レーザー光71は、必ずしも集光レンズ74を通過するものである必要はなく、光源75から発せられた光が直接近接場光発生部材73に到達してもよい。
【0067】
近接場光発生部材73としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、レーザー光源の波長よりも小さな微小開口が形成された金属板または金属薄膜、光導波路または光プローブ、散乱体、および電磁界発生素子などを挙げることができる。
【0068】
このように、記録ヘッド70が近接場光発生部材73を備えることにより、情報記録媒体1aに照射される光のサイズを波長サイズ以下に小さくすることができる。これによって、記録部50における情報記録領域をより一層加熱しやすくなるため、情報の記録に要する時間をより一層短縮することができる。
【0069】
なお、本発明に係る情報記録媒体の記録再生に際しては、近接場光発生部材73の利用は必須ではない。すなわち、光源75から発せられる光が、集光レンズ74を通って情報記録媒体1a上に直接照射されるものであってもよい。このとき、集光レンズ74は1枚のレンズであってもよいし、複数のレンズが組み合わされた群レンズであってもよい。
【0070】
(非記録部51の構成)
非記録部51は、金属体13a、13bおよび誘電体14から構成されている。金属体13a、13bおよび誘電体14は、情報記録媒体1aに対する光の照射により、金属体13aと誘電体14との間の界面および金属体13bと誘電体14との間の界面において、局在プラズモンを生じさせるものである。
【0071】
非記録部51のより具体的な構成について説明する。図1および図2に示すように、金属体13bは、記録部50の側面を被覆するように形成されている。また、誘電体14は、金属体13bの側面を被覆するように形成されている。さらに、誘電体14において挟まれた空間に金属体13aが形成されている。すなわち、非記録部51において、記録部50側から、金属体13b、誘電体14、金属体13aがこの順に設けられている。すなわち、言い換えれば、図2に示すように、誘電体14は、金属体13bを取り囲むように連続して設けられており、金属体13aは、誘電体14を取り囲むように連続して設けられている。
【0072】
また、図1および図2に示すように、情報記録媒体1aは、基板11の記録層形成面において、非記録部51の形成されている非記録部形成領域は、金属体13bにより被覆されている。また、金属体13bと金属体13aとの間には、誘電体14が設けられている。
【0073】
(情報記録媒体1aの作用効果)
以上説明したように、情報記録媒体1aは、記録部50の側面を被覆するように形成されている金属体13bと、金属体13bの側面を被覆するように形成されている誘電体14と、誘電体14において挟まれた空間に形成されている金属体13aとを備えた非記録部51を備えている。そのため、情報記録媒体1a表面に照射された光から生じたプラズモンは、金属体13aと誘電体14との界面および金属体13bと誘電体14との界面を選択的に伝播する。
【0074】
すなわち、情報記録媒体1aは、金属体13aと誘電体14との界面および金属体13bと誘電体14との界面において、高強度の電界集中(局所プラズモン)を生じさせることができるため、情報記録媒体1a内部から記録部50を効率良く加熱することができる。これによって、情報記録媒体1aでは、光源の消費電力を増大させることなく、情報の記録速度を高速化することができる。
【0075】
また、情報記録媒体1a表面に照射された光から変換されたプラズモンは、金属体13aと誘電体14との界面および金属体13bと誘電体14との界面を選択的に伝播し局在することから、記録部50の周囲のみに電界の集中を引き起こすことができる。これによって、情報記録媒体1aの局所的な加熱を行うことができるため、情報記録媒体1aでは、高密度に情報を記録することができる。
【0076】
また、情報記録媒体1aでは、誘電体14が、金属体13aおよび金属体13bの間に備えられているため、誘電体と金属体との界面が1つの情報記録媒体の場合と比較して、誘電体と金属体との界面面積が増加している。すなわち、誘電体と金属体との界面が1つの情報記録媒体よりもプラズモンの生成が多くなり、電界の集中をより一層強く引き起すことができる。これによって、記録部50をより一層効率的に加熱することができる。
【0077】
ここで、本明細書等における「プラズモン」とは、金属−誘電体界面に生じる電子の疎密波の一種を指している。近接場光(またはレーザー光)から変換されたプラズモンは、金属と誘電体との界面を伝播し、当該界面の形状変化がある部分において、局在した状態である局所プラズモンとなる。これによって、電界の集中が引き起こされ、局所プラズモンは、熱へと変換される。
【0078】
また、金属体13aと誘電体14との界面および金属体13bと誘電体14との界面を伝播したプラズモンは、誘電体14と基板11との間に形成されている金属体13bと誘電体14との界面および金属体13aの底面と誘電体14との界面にも伝播する。
【0079】
これによって、誘電体14と基板11との間に形成されている金属体13bと誘電体14との界面および金属体13aの底面と誘電体14との界面においても、電界の集中を引き起こすことができるため、記録部50の周囲に引き起こされる電界の集中がより一層強くなり、記録部50全体をさらに一層十分に加熱することができる。
【0080】
また、情報記録媒体1aでは、金属体13a、13bが記録部50の周囲に連続して設けられているため、金属体13a、13bに囲まれた領域を局所的に強く加熱することができる。これによって、情報記録媒体1aにおける記録領域(すなわち、記録部50)を微小に形成することができる。
【0081】
(記録部50の詳細)
記録部50の材質は、特に限定されるものではなく、情報記録媒体1aの種類に応じて適宜設定することができる。例えば、情報記録媒体1aが磁気記録媒体である場合には、記録部50は、磁性体からなる。また、情報記録媒体1aが光記録媒体である場合には、記録部50は光記録媒体からなる。
【0082】
記録部50が磁性体からなる場合、磁性体は、例えば、強磁性体材料、フェリ磁性体材料、またはこれらの積層膜からなることが好ましい。これらの積層膜のうち、高密度記録を行う観点から、基板面に対して垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直磁化膜であることがより好ましい。より具体的には、コバルト−クロム−白金合金、コバルト−クロム−白金−ホウ素合金、コバルト−白金合金、コバルト−ニッケル−白金合金、鉄−白金合金、鉄−ニッケル−白金合金、テルビウム−鉄合金、テルビウム−鉄−コバルト合金、ディスプロシウム−鉄合金、またはディスプロシウム−鉄−コバルト合金を挙げることができる。また、これらの合金を主体とする強磁性体またはフェリ磁性体であってもよい。
【0083】
記録部50が光記録材料からなる場合、光記録材料としては、ビスマス−ゲルマニウム合金、アンチモン−テルル合金、ゲルマニウム−アンチモン−テルル合金、インジウム−アンチモン−テルル合金、ゲルマニウム−アンチモン−テルル合金などの相変化材料を挙げることができる。また、光記録材料は、これらの合金を主体とする材料であってもよい。もちろん、光記録材料は、相変化材料に限定されるものではなく、追記型材料であってもよい。追記型材料としては、シリコン−銅合金、アルミ−銅合金、またはこれらを主体とする材料を挙げることができる。すなわち、光記録材料は、書き換え型や追記型光ディスクの記録材料に適用される材料であれば、特に限定されるものではない。
【0084】
また、記録部50が磁性体からなる場合には、記録部50と基板11との間に軟磁性体層(図示しない)が形成されていてもよい。軟磁性体層は、SUL(Soft underlayer)とも称される層であり、記録部50に外部磁界を印加する際に、基板11面に垂直な方向の磁界を増強し、記録を補助するための層である。軟磁性体層の材料としては、例えば、ニッケル−鉄合金、ニッケル−鉄−タンタル合金、コバルト−ジルコニウム合金、またはこれらの合金を主体とする軟磁性体などを挙げることができる。
【0085】
なお、誘電体14は、金属体13aと金属体13bとの間に形成されているため、記録部50は、誘電体17と直接接することがない。したがって、情報記録媒体1aでは、誘電体17中の酸素による記録部50の酸化を防止することができる。そのため、記録部50の材質として、酸化されやすい材質(例えば希土類化合物など)を用いることができる。
【0086】
(金属体13a、13bの詳細)
金属体13a、13bの材質としては、プラズモンの発生効率を高める観点から、金、銀、アルミニウム、白金、またはこれらの金属を主体とする合金を用いることが好ましい。これらの金属は、プラズモンの発生効率が高いため、誘電体14との界面においてプラズモンを効率良く発生させることができる。
【0087】
金属体13a、13bの材質としては、金または金を主体とする合金を用いた場合には、光源75として600nm〜1.5μm程度の波長のレーザー光を発生させる光源を用いることによって、強い電界の集中を引き起こすことができる。金属体13a、13bの材質としては銀、アルミニウム、白金、またはこれらの金属主体とする合金を用いた場合には、光源75として600nm以下の短波長レーザー光を発生させる光源を用いることによって、強い電界の集中を引き起こすことができる。なお、金属体13aと金属体13bとは同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【0088】
また、金属体13bの基板11面に平行な方向における長さ(以下、幅)は、2nm以上、50nm以下の範囲であることが好ましい。金属体13bの幅が2nm以上であるとき、金属体13bと誘電体14との界面において電界の集中を引き起こすことができる。金属体13bの幅の上限は、特に限定されるものではないが、面密度が1Tbit/inch近傍の高密度な情報記録媒体において使用する場合には、50nm以下とすることが好ましい。なお、金属体13bの幅が一様でない場合には、最大幅が上記の範囲であることが好ましい。
【0089】
金属体13bの基板11面に垂直な方向における長さ(以下、厚み)は、2nm以上、70nm以下の範囲であることが好ましい。金属体13bの厚みが2nm以上であるとき、金属体13bと誘電体14との界面において電界の集中を引き起こすことができる。記録部50に接する金属体13bにおける厚みの上限は、特に限定されるものではないが、金属体13bのアスペクト比が大きくなると、金属体13bの膜厚が厚くなる。金属体13bの膜厚が厚くなると、金属体13bを研磨(エッチング)するために長い時間を要することとなる。このため、金属体13bの厚みは、70nm以下程度とすることが望ましい。
【0090】
また、金属体13aの幅は、2nm以上、30nm以下の範囲であることが特に好ましい。金属体13aの幅が2nm以上であるとき、金属体13aと、誘電体17との界面における電界の集中を引き起こすことができる。なお、金属体13aにおける幅の上限は特に限定されるものではないが、近接場光72が記録部50に到達する距離を考慮して30nm以下程度とすることが好ましい。
【0091】
(誘電体14の詳細)
誘電体14の材質としては、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、および窒化ガリウムに代表されるような透明誘電体材料を挙げることができる。
【0092】
誘電体14における金属体13aと金属体13bとの間の幅(以下、幅)は、2nm以上、30nm以下の範囲であることが好ましい。誘電体14の幅が2nm以上であるとき、金属体13aと誘電体14との界面および金属体13bと誘電体14との界面において、電界の集中を引き起こすことができる。誘電体14における幅の上限は特に限定されるものではないが、近接場光72が記録部50に到達する距離を考慮して30nm以下程度とすることが好ましい。
【0093】
また、誘電体14の厚みは、2nm以上、30nm以下の範囲であることが好ましい。誘電体14の厚みが2nm以上であるとき、金属体13aと誘電体14との界面および金属体13bと誘電体14との界面において、電界の集中を引き起こすことができる。誘電体14における厚みの上限は特に限定されるものではないが、熱揺らぎが問題となる高密度な磁気記録媒体において使用する場合には、30nm以下とすることが好ましい。
【0094】
(情報記録媒体1aの製造方法)
次に、情報記録媒体1aの製造方法について、図3(a)〜(e)を参照して以下に説明する。図3(a)〜(e)は、情報記録媒体1aの製造方法を示した図であり、(a)は、基板11上に記録部材料50aを設ける工程を示し、(b)は、記録部材料50aから記録部50を形成する工程を示し、(c)は、金属体13a、13bおよび誘電体14を形成する工程を示し、(d)は、金属体13a、13bおよび誘電体14を研磨する工程を示し、(e)は、保護層15を形成する工程を示している。
【0095】
(記録部50の形成)
記録部50の形成について説明する。まず、図3(a)に示すように、基板11上に、記録部50となる記録部材料50aを設ける。記録部材料50aの形成には、例えば、スパッタ法、蒸着法または電鋳法などを用いることができる。
【0096】
続いて、図3の(b)に示すように、記録部材料50aを加工することにより、記録部50を削りだし形成する。記録部50の形成には、例えば、FIB(Focused Ion Beam)などを用いることができる。このとき、基板11表面が露出するまで、記録部材料50aを削る。これによって、作製される情報記録媒体1aにおいて、記録部50が、非記録部51によって分離される構成となる。したがって、記録部50に磁性体材料を用いる場合には、記録部50間における磁気的な結合を弱め、記録部50ごとそれぞれに独立した磁化反転を起こしやすくすることができる。
【0097】
なお、例えば、記録部50のサイズはトラック長さ方向を6nm、トラック幅方向を26nmとし、記録部50の間隔はトラック長さ方向およびトラック幅方向の双方とも14nmとすることにより、情報記録媒体1aを1Tbit/inch相当の面密度を有する情報記録媒体とすることができる。
【0098】
また、図3の(b)の工程において、電子線リソグラフィーを用いてドット状にしたレジストをマスクとして、記録部材料50aをエッチングし、記録部50を形成してもよい。また、記録部50は、自己組織化分子により形成してもよいし、島状形成したマスク材を用いることにより形成してもよい。記録部材料50aのエッチングとしては、例えば、イオンミリング法またはリアクティブイオンエッチング(RIE)法を用いることができる。
【0099】
(金属体13a、13bおよび誘電体14の形成)
続いて、図3の(c)に示すように、金属体13b、誘電体14、金属体13aを、この順に、基板11または記録部50上に形成する。
【0100】
より具体的に説明すると、図3の(c)では、まず、金属体13bを記録部50の側壁に膜厚2nm程度にて形成されるように形成する。次に、誘電体14を、金属体13bの側壁に膜厚3nm程度にて形成されるように形成する。そして、金属体13aを誘電体14形成後の記録部50間の隙間を埋めるように形成する。これによって、非記録部51が形成される。すなわち、記録部50と非記録部51とからなる記録層12(図1参照)が形成される。
【0101】
金属体13a、13bおよび誘電体14の形成には、スパッタ法または蒸着法を用いることができる。また、金属体13aを埋め込む領域のアスペクト比が大きく、スパッタ法または蒸着法での形成が困難である場合には、電鋳法を用いて金属体13aを形成してもよい。
【0102】
(保護層15の形成)
続いて、図3の(d)に示すように、記録部50が表面に現れるまで、金属体13a、13bおよび誘電体14を研磨し、削り取る。この工程は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)による研磨、スパッタリング装置を用いた逆スパッタ処理、またはイオンミリング処理をすることにより実現可能である。
【0103】
次に、図3(e)に示すように、保護層15を形成することにより、情報記録媒体1aが完成する。保護層15は、例えば、膜厚は4nmのDLCからなる。なお、保護層15上に、必要に応じて潤滑層を塗布してもよい。
【0104】
このような製造工程を経ることにより、情報記録媒体1aを作製することができる。
【0105】
(情報記録媒体1aの情報記録方法)
次に、情報記録媒体1aにおける情報の記録方法について以下に説明する。本実施形態に係る情報記録媒体1aは、近接場光72を用いて記録するようにしてもよいし、近接場光発生部材73を介さずに伝播光(レーザー光71)を用いて記録するようにしてもよい。本実施形態では、近接場光72を用いることにより情報記録媒体1aに情報を記録する方法について説明する。なお、伝播光(レーザー光71)を用いる場合についても記録媒体内部で起こる現象は同じである。
【0106】
(情報記録媒体1aが磁気記録媒体である場合)
情報記録媒体1aが、磁気記録媒体である場合、情報記録媒体1aに対する記録方法は、主として、情報記録媒体1aに対して近接場光72を照射することにより、記録部50を加熱する加熱工程と、情報記録媒体1aに対して磁界を印加する磁界印加工程と、を含んでいる。
【0107】
(加熱工程)
近接場光72は、上述したように、レーザー光71が近接場光発生部材73を通過することによって生成される。生成された近接場光72は、情報記録媒体1aに照射される。これにより、照射された領域の記録部50が加熱される。より具体的には、近接場光72の照射の際に、金属体13aと誘電体14との界面および金属体13bと誘電体14との界面において、プラズモンが生成されることにより、強い電界の集中が引き起こされる。そして、このような電界の集中が引き起こされることにより、情報記録媒体1aの内部において熱が生成する。これにより、近接場光72を照射した領域の記録部50のみを局所的に、かつ、効率良く加熱することができる。
【0108】
(磁界印加工程)
記録部50が加熱されることにより、記録部50における磁性体の保磁力は、キュリー温度に近づくために小さくなる。このとき、情報記録媒体1aに対して、加熱された領域の記録部50の保磁力を上回る外部磁界を印加することによって、記録部50の磁化を反転させることができる。これにより、情報記録媒体1aに対して情報を記録させることができる。
【0109】
(情報記録媒体1aが光情報記録媒体である場合)
情報記録媒体1aが光情報記録媒体である場合、情報記録媒体1aに対する記録方法は、主として、情報記録媒体1aに対して近接場光72を照射することにより、記録部50を加熱する加熱工程を含む。加熱工程は、磁気記録媒体の場合と同様であるため詳細な説明は省略する。具体的には、光情報記録媒体の場合には、加熱された記録部50が相変化したり、または新たに化合物が生成したりすることにより、加熱されていない領域と異なる反射率を持つ状態に変化する。これによって、情報記録媒体1aに対して情報を記録させることができる。
【0110】
(情報記録媒体1aの変形例)
本発明に係る情報記録媒体は、金属体13a、13bおよび誘電体14のいずれもが基板11に接している構成としてもよい(図示しない)。また、本発明に係る情報記録媒体は、図4に示すように、誘電体14と基板11との間に金属体13bが設けられていない構成であってもよい。すなわち、記録部50の形成されている記録層形成面において、非記録部51の形成されている非記録部形成領域は、誘電体14により被覆されている構成であってもよい。図4は、情報記録媒体1aの変形例である情報記録媒体1bの構成を示す概略断面図である。情報記録媒体1bは、図4に示すように、誘電体14は、基板11と接している。
【0111】
このような構成であっても、金属体13aと誘電体14との界面を伝播したプラズモンが、金属体13aの底面と誘電体14との界面にも伝播する。これによって、誘電体14の間に設けられている金属体13aの基板側の底面においても、電界の集中を引き起こすことができるため、記録部50の周囲に引き起こされる電界の集中が、金属体13a、13bおよび誘電体14のいずれもが基板11に接している構成の情報記録媒体よりも強くなり、記録部全体をより一層十分に加熱することができる。
【0112】
すなわち、図4に示すような構成であっても、図1に示す情報記録媒体1aと同様に、光源の消費電力を増大させることなく、情報の記録速度を高速化することができると共に、情報の記録密度を高密度化することができる。
【0113】
また、図5(a)〜(e)に示すように、記録部50上に酸化防止膜16を備えた情報記録媒体1cであってもよい。なお、酸化防止膜16は、記録部50の酸化を防止するために設けられる膜であり、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、および窒化ガリウムなどの誘電体材料を用いることができる。
【0114】
記録部50上に酸化防止膜16を備えた情報記録媒体1cの製造方法について、図5(a)〜(e)を参照しつつ、以下に説明する。図5(a)〜(e)は、情報記録媒体1cの製造方法を示した図であり、(a)は、基板上に記録部材料50aを設けると共に、酸化防止膜20を形成する工程を示し、(b)は、記録部材料50aから記録部50を形成する工程を示し、(c)は、金属体13a、13bおよび誘電体14を形成する工程を示し、(d)は、金属体13a、13bおよび誘電体14を研磨する工程を示し、(e)は、保護層15を形成する工程を示している。
【0115】
図5(a)〜(e)に示す製造方法は、図5(a)において、記録部材料50a上に酸化防止膜16を形成する工程を含むこと以外は、図3(a)〜(e)において説明した製造方法とほぼ同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0116】
図5(a)に示す酸化防止膜16の形成方法は、特に限定されるものではなく、酸化防止膜16の材料として用いる材質に応じて適宜設定することができる。
【0117】
図5(a)の他に図3(a)〜(e)に示す製造方法と異なる点としては、図5(d)である。図5(d)では、CMPによる金属体13aの研磨工程において、酸化防止膜16が表面に現れたところで研磨を停止する。これによって、情報記録媒体1cが製造されている間、記録部50は、酸化防止膜16によって常に保護された状態となる。したがって、図5(a)〜(e)に示す製造方法は、図3(a)〜(e)に示した製造方法よりも、製造工程における記録部50表面の酸化を防ぐ効果が高くなる。したがって、図5(a)〜(e)に示す製造方法は、例えば、希土類金属を含む磁性体のような酸化されやすい部材を記録部50に用いるときに、特に好適に用いることができる。
【0118】
(付記事項)
情報記録媒体1a、1bおよび1cは、記録部50と非記録部51との接する面が基板11面に対して垂直でなくてもよい。例えば、記録部50と非記録部51との接する面が基板11面に対して傾斜していてもよい。また、記録部50のの形状は特に限定されるものではなく、例えば、記録部50の断面形状が円弧状であってもよいし、また台形状であってもよい。
【0119】
また、本実施形態では、金属体13bの側面を被覆するように誘電体14を形成し、誘電体14に挟まれた空間に金属体13aを形成することにより得られる非記録部51を備えた情報記録媒体について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、誘電体14の側面をさらに被覆する金属体を形成するようにしてもよい。
【0120】
〔実施形態2〕
本発明に係る情報記録媒体の他の実施形態について、図6〜図7(a)〜(e)を参照しつつ以下に説明する。なお、実施形態1と同様の部材に関しては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
(情報記録媒体1dの構成)
本実施形態に係る情報記録媒体の構成について、図6を参照して以下に説明する。図6は、情報記録媒体1dの構成を示す概略断面図である。
【0122】
図6に示すように、情報記録媒体1aは、基板11、記録層12、および保護層15を備えている。記録層12は、記録部50および非記録部51を有しており、非記録部51は、さらに、金属体13a、13bおよび誘電体14を備えている。情報記録媒体1dは、情報記録媒体1aと異なり、基板11の記録層形成面を被覆するように形成された、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の凸部50bを有する記録部50と、凸部50bの側面を被覆する金属体13b、金属体13bの凸部50bに接する面を被覆する誘電体14、および誘電体14により挟まれた空間に形成された金属体13aを含む非記録部51と、を備えている。情報記録媒体1dでは、記録部50における凸部50bが情報記録領域として利用される。なお、本実施形態では、記録部50において、記録層形成面側の面を底面として説明する。
【0123】
また、情報記録媒体1dでは、記録部50において凸部50bが形成されている凸部形成領域を除く非記録部形成領域は、金属体13bにより被覆されており、金属体13aと金属体13bとの間には誘電体14が設けられている。
【0124】
なお、記録ヘッド70は、情報記録媒体1aを構成する部材ではないが、本発明の理解を容易にするために、便宜上図6に図示している。
【0125】
(情報記録媒体1dの作用効果)
情報記録媒体1dのように、記録層50が複数の凸部50bを有する場合であっても、情報記録媒体1aと同様に、光源の消費電力を増大させることなく、情報を記録する記録速度を高速化することができると共に、記録密度を高密度化することができる。
【0126】
また、金属体13aと誘電体14との界面および金属体13bと誘電体14との界面を伝播したプラズモンは、誘電体14と記録層50における非記録部形成領域との間に形成されている金属体13bと誘電体14との界面および金属体13aの底面と誘電体14との界面にも伝播する。
【0127】
これによって、誘電体14と記録層50における非記録部形成領域との間に形成されている金属体13bと誘電体14との界面および金属体13aの底面と誘電体14との界面においても、電界の集中を引き起こすことができるため、凸部50bの周囲に引き起こされる電界の集中がより一層強くなり、凸部50b全体をさらに一層十分に加熱することができる。
【0128】
また、情報記録媒体1dでは、金属体13a、13bおよび誘電体14に囲まれた凸部50bを局所的に強く加熱することができるため、情報記録媒体1dにおける情報記録領域をより微小に形成することができる。
【0129】
また、記録部50が磁性体からなる場合には、凸部50b同士は、磁気異方性の弱い磁性体によって繋がれることとなる。すなわち、凸部50b同士が弱い交換結合力を生じるため、静磁結合力が緩和される。これによって、凸部50bの間隔を狭めた場合(すなわち、情報記録密度を高密度化した場合)であっても、隣り合う記録磁区が強い静磁結合力で結合してしまい、外部磁界による記録が困難となることを防止することができる。
【0130】
(情報記録媒体1dの製造方法)
情報記録媒体1dの製造方法について、図7(a)〜(e)を参照して以下に説明する。図7(a)〜(e)は、情報記録媒体1dの製造方法を示した図であり、(a)は、基板11上に記録部材料50aを設ける工程を示し、(b)は、記録部材料50aから記録部50を形成する工程を示し、(c)は、金属体13a、13cおよび誘電体14を形成する工程を示し、(d)は、金属体13a、13bおよび誘電体14を研磨する工程を示し、(e)は、保護層15を形成する工程を示している。なお、図7(b)において記録部50を形成する工程以外は、情報記録媒体1aを作製する工程と同様の工程であるため、その詳細な説明を省略する。
【0131】
情報記録媒体1dの製造方法において、記録部50における凸部50bは、図7(a)に示すように、基板11上に記録部材料50aを形成した後、図7(b)に示すように加工することにより形成する。より具体的には、例えば、記録部材料50aをFIB(Focused Ion Beam)により加工することによって、記録部50を削りだし、表面に凹凸形状を備えた記録部50を形成する。すなわち、複数の凸部50bを形成する。
【0132】
図7(b)において示す工程において、上記の処理を行うことにより、情報記録媒体1dを作製することができる。
【0133】
なお、凸部50bの形成については、上記の処理に限定されるものではなく、記録部50に凹凸を形成することができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、凹凸形状が形成された基板11上に、記録部50を形成する製造方法を適用した場合には、情報記録媒体1dの製造を簡易にすることができると共に、記録部50表面に対する大気暴露、または記録部50に対するエッチング処理を回避することができる。これによって、記録部50に対するダメージ(損傷)を小さくすることができるため、記録部50の材料として、酸化または窒化しやすい材料を用いることができる。
【0134】
基板11に凹凸を形成する処理としては、特に限定されるものではなく、従来公知の処理を用いることができる。
【0135】
(付記事項)
なお、情報記録媒体1aと同様に、情報記録媒体1dは、記録部50において凸部50bが形成されている凸部形成領域を除く非記録部形成領域を誘電体14により被覆していてもよい。
【0136】
このような構成であっても、金属体13aと誘電体14との界面を伝播したプラズモンが、金属体13aの底面と誘電体14との界面にも伝播する。これによって、誘電体14の間に設けられている金属体13aの基板側の底面においても、電界の集中を引き起こすことができるため、凸部50bの周囲に引き起こされる電界の集中がより一層強くなり、凸部50b全体をより一層十分に加熱することができる。
【0137】
〔実施形態3〕
本発明に係る情報記録媒体の他の実施形態について、図8および9を参照しつつ以下に説明する。なお、実施形態1および2と同様の部材に関しては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0138】
(情報記録媒体1eの構成)
本実施形態に係る情報記録媒体の構成について、図8および9を参照して以下に説明する。図8は、情報記録媒体1eの構成を示す概略断面図である。また、図9は、情報記録媒体1eの構成を示す平面図である。
【0139】
図8および9に示すように、情報記録媒体1eは、基板11、記録層12、および保護層15を備えている。記録層12は、記録部50および非記録部51を有しており、非記録部51は、さらに、金属体13a、13bおよび誘電体14を備えている。情報記録媒体1eでは、情報記録媒体1aと同様に、記録部50全体が情報記録領域として利用される。
【0140】
なお、記録ヘッド70は、情報記録媒体1eを構成する部材ではないが、本発明の理解を容易にするために、便宜上図8に図示している。また、図9では、情報記録媒体1eの構成を容易に理解できるように、便宜上保護層15を図示していない。
【0141】
(記録部50および非記録部51)
図9に示すように、記録部50および非記録部51は、トラック幅方向においては、交互に設けられているが、トラック長さ方向には連続して設けられている。すなわち、非記録部51は、トラック幅方向において、記録部50を互いに隔てている。情報記録媒体1eは、いわゆるディスクリートメトラックメディアの構成となっている。
【0142】
(情報記録媒体1eの作用効果)
このように、非記録部51がトラック幅方向においてのみ、記録部50を互いに隔てている場合であっても、情報記録媒体1aと同様に、光源の消費電力を増大させることなく、情報を記録する記録速度を高速化することができると共に、情報を記録する記録密度を向上することができる。
【0143】
また、情報記録媒体1eでは、金属体13a、13bに挟まれた領域である記録部50における情報記録領域を局所的に強く加熱することができる。これによって、情報記録媒体1eにおける情報記録領域を微小に形成することができる。
【0144】
また、記録部50が磁性体からなる場合には、情報記録媒体1eをディスクリートトラックメディアとして機能させることができる。
【0145】
(付記事項)
情報記録媒体1eにおいて、記録部50が磁性体からなる場合には、記録部50と基板11との間に軟磁性体層(図示しない)が形成されていてもよい。
【0146】
また、情報記録媒体1eにおける記録部50が、情報記録媒体1dのように、凸部50bを有する記録部であってもよい。
【0147】
〔実施形態4〕
記録部50に磁性体を適用した実施形態1から3に係る情報記録媒体(すなわち、光アシスト磁気記録媒体)に対して情報を記録すると共に、上記情報記録媒体から情報を読み出す情報記録再生装置について、実施形態4として以下に説明する。なお、実施形態1〜3と同様の部材に関しては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0148】
(情報記録再生装置500の構成)
情報記録再生装置500の構成について、図10を参照して以下に説明する。図10は、情報記録再生装置500の構成を示すブロック図である。
【0149】
情報記録再生装置500は、スライダ501、磁気記録再生ヘッド502、磁気ディスク503、スピンドル506、サスペンションアーム507、ボイスコイルモータ508、制御部509から構成されている。
【0150】
なお、磁気ディスク503は、実施形態1〜3において説明した情報記録媒体1a〜1eの記録部50に磁性体を用いたディスクである。
【0151】
スピンドル506は、磁気ディスク503を回転駆動するものである。また、スライダ501は、サスペンションアーム507に支持されており、サスペンションアーム507は、ボイスコイルモータ508によって磁気ディスク503上で駆動する。スピンドル506、サスペンションアーム507、ボイスコイルモータ508は従来公知のものを用いることができる。磁気記録再生ヘッド502および制御部509については、以下に詳述する。
【0152】
(磁気記録再生ヘッド502)
磁気記録再生ヘッド502は、スライダ501に備えられており、光アシスト記録方式により情報記録媒体に対して情報の記録および再生の少なくともいずれかを行う。すなわち、磁気記録再生ヘッド502は、レーザー光を照射するための光源と、情報記録媒体に対して磁界を印加するための磁界印加手段、および、情報記録媒体から発生する漏洩磁界を検出する磁界検出手段を備えている。
【0153】
具体的な磁気記録再生ヘッド502の動作を以下に説明する。まず、スピンドル506が回転することにより磁気ディスク503が回転し、空気流を発生させる。発生した空気流を利用して、スライダ501は、磁気ディスク503上に約5〜10nm程度浮上する。そして、浮上したスライダ501の先端部に備えられた磁気記録再生ヘッド502が、磁気ディスク503に対して光ビームの照射と記録磁界の印加とを行うことによって、情報が記録される。また磁気記録再生ヘッド502に備えられた磁界検出手段が、磁気ディスク503からの漏洩磁界を検出することによって、情報が再生される。
【0154】
磁気記録再生ヘッド502、および磁気記録再生ヘッド502が備えられているスライダ501は、従来公知のものを用いることができる。磁気記録再生ヘッド502は、近接場光発生部材73、光源75、および磁界印加手段(図示しない)を備えており、磁気ディスク503に対してレーザー光71または近接場光72を照射し、磁界を印加できるものであって、かつ磁気ディスク503からの漏洩磁界を検出する磁界検出手段(図示しない)を備えるものであれば、特に限定されるものではない。上記磁界印加手段としては、例えば従来公知の磁気コイルや磁気ポールが、上記磁界検出手段には、例えば、同じく従来公知のGMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunneling Magneto Resistance)素子を用いることができる。また、スライダ501は、従来のハードディスク装置に用いられるスライダを採用してもよい。光源75についても従来公知のものを用いることができる。近接場光発生部材73は、実施形態1において上述した通りである。
【0155】
なお、光源75は、レーザー光71が近接場光発生部材73に照射されるのであれば、必ずしも磁気記録再生ヘッド502に備えられている必要はない。例えば、サスペンションアーム507に備えられていてもよい。又、レーザー光71を近接場光発生部材73に照射するに当って、光導波路やグレーチング形状を利用するものであっても構わない。
【0156】
(制御部509)
制御部509は、図10に示すように、回転駆動制御部510、信号処理部511、出力制御部512、および記録部513から構成されており、スライダ501、スピンドル506、サスペンションアーム507、およびボイスコイルモータ508の動作を制御するためのものである。
【0157】
回転駆動制御部510は、スピンドル506の回転駆動を制御している。このときの回転駆動の制御には、例えば、磁気記録再生ヘッド502の半径位置によらず回転速度を一定とするCAV(Constant Angular Velocity)制御、磁気記録再生ヘッド502の半径位置に応じて線速度が一定となるように回転速度を変えるCLV(Constant Linear Velocity)制御、トラックをゾーンごとに分けて回転速度を制御するZCAV(Zoned CAV)制御、およびトラックをゾーンごとに分けて線速度が一定となるように回転速度を変えるZCLV(Zoned CLV)制御を用いることが出来る。
【0158】
CAV制御の場合、回転駆動制御部510は、スピンドル506の回転速度が一定となるよう、あらかじめ決められた回転速度でスピンドル506を駆動する。CLV制御の場合は、磁気記録再生ヘッド502の半径位置を検出し、これに応じて回転速度を制御する。ZCAV制御、およびZCLV制御の場合は、磁気記録再生ヘッド502のゾーン位置を検出し、これに応じて回転速度または線速度が一定となるように制御する。
【0159】
信号処理部511は、磁気記録再生ヘッド502と信号を送受している。具体的には、以下の通りである。記録に際しては、信号処理部511において記録情報をエンコードすることによって、記録再生ヘッド501から磁気ディスク503に対して照射されるレーザー光の発光パターンと、磁界の発生パターンとに記録情報を置き換え、上記のパターンを記録再生ヘッド501へと送る。再生に際しては、磁気記録再生ヘッド502において検出した情報を信号処理部511でデコードすることによって、再生情報として取り出す。
【0160】
出力制御部512は、磁気記録再生ヘッド502から照射されるレーザー光の出力を調節している。また、記憶部513は、磁気ディスク503から読み出した情報や、信号処理部511がレーザー光の発生パターンや磁界の発生パターンを決定するための参照情報、および出力制御部512がレーザー光の出力を決定するための参照情報を蓄積するためのメモリである。
【0161】
(情報記録再生装置500の動作)
次に、情報記録再生装置500の記録、再生の動作について以下に説明する。
【0162】
情報記録再生装置500に電源が投入されると、上述したように、磁気記録再生ヘッド502は、磁気ディスク503上に浮上する。続いて、磁気記録再生ヘッド502が通電することにより、光源75からレーザー光71が発せられ、発せられたレーザー光71は、近接場光発生部材73に照射されることにより近接場光72を生成する。このとき、光源75からレーザー光71が発せられるのに合わせて、磁界発生源から記録磁界が発せられる。このとき、出力制御部512は、磁気ディスク503の記録層12における記録しようとする領域の保磁力が磁気記録再生ヘッド502から印加される記録磁界よりも小さくなるように光源のパワーを調節する。これによって、近接場光によって局所的に加熱された記録層12の記録を行う領域の保磁力が記録磁界よりも小さくなるため、磁気ディスク503に記録が行われる。
【0163】
また、磁気ディスク503の記録情報の再生は、上述したように、磁気ディスク503からの漏洩磁界を磁気記録再生ヘッド502の磁界検出部が検出することによって行われる。検出された漏洩磁界が、電気信号に変換されることによって、磁気ディスク503の記録情報の再生が行われる。
【0164】
なお、本実施形態では、記録部50に磁性体を適用した磁気記録媒体についての記録再生装置についてのみ説明したが、記録部50に光記録材料を用いれば、光情報記録媒体として用いることが可能である。この場合、上述した情報記録再生装置は、CD、DVD、BDなどの従来公知の光情報記録媒体に対して記録再生可能である光情報記録再生装置、またはその他の公知技術を用いて製造される光情報記録再生装置となる。これらの光情報記録再生装置では、レーザー光71(近接場光72)の照射によって、情報記録媒体1a〜1eの記録部50の一部が加熱され、加熱された領域の反射率が変化することによって情報が記録される。情報の再生に際しては、記録時よりも低パワーのレーザー光71(近接場光72)を照射し、記録層12からの反射光量を検出することにより情報を再生する。これらの光情報記録再生装置を用いるに当っては、保護層15を透明誘電体、または樹脂材料とし、その膜厚を記録再生装置の光学系に合わせて適宜変更して用いてもよい。また、必ずしも保護層15側からレーザー光71が入射する必要はない。基板11に透明基板を用いる場合には、基板11側からレーザー光71が入射するような構成であってもよい。
【0165】
(付記事項)
実施形態1〜3において説明した情報記録媒体1a〜1eの記録部50に磁性体を用いて、情報記録媒体1a〜1eを光アシスト磁気記録媒体として用いる場合には、再生時には、レーザー光を情報記録媒体1a〜1eに照射し、漏洩磁界を検出する、光アシスト再生方式を適用してもよい。
【0166】
この場合、再生時においても情報記録媒体1a〜1eの内部において電界の集中が発生するため、従来に比べて低いレーザー出力による光アシスト再生が可能である。したがって、光源75の消費電力を低減することができると共に、再生の高速化を実現することもできる。
【0167】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0168】
以下、実施例を示し、本発明の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な様態が可能である。
【実施例】
【0169】
〔実施例1〕
情報記録媒体1aにおける電界強度の測定方法および測定結果について、以下に説明する。電界強度は、波長680nmのレーザー光71を照射したときの情報記録媒体1aをFDTD(Finate Difference Time Domain)法を用いてシミュレーションすることによって測定した。
【0170】
(電界強度の測定方法)
シミュレーションに際して、以下のような設定を行った。レーザー光71の強度分布をガウス分布とし、スポット径を700nmとした。近接場光発生部材73は、すり鉢状の微小開口(入射部直径400nm、出射部直径20nm)を有する、厚さ100nmの金薄膜とした。近接場光発生部材73と情報記録媒体1aとの距離は5nmとした。また、入射光の偏向は、円偏光とし、レーザー光の電界のピーク強度(|E|)は1(V/m)とした。
【0171】
シミュレーションに用いた情報記録媒体1aの各部材の材質は、以下の通りである。基板11の材質には、二酸化ケイ素を用い、記録部50の材質には、鉄−白金合金を用いた。また非記録部51は、金属体13a、13bの材質として金(Au)を用い、誘電体14の材質として二酸化ケイ素を用いた。なお、保護層15には、カーボンを用いた。また、それぞれのサイズは、記録部のトラック長さ方向の長さを6nm、トラック幅方向の長さを26nmとした。互いに隣接する記録部50間の距離は、14nmとした。金属体13aは、幅を4nmとし、厚みを13nmとした。金属体13bおよび誘電体14の幅は、それぞれ2nm、3nmとした。なお、記録層12の膜厚は18nmとし、保護層15の膜厚は5nmとした。
【0172】
(電界強度の測定結果)
実施形態1に示した情報記録媒体1aにおける電界強度の測定結果を図12に示す。図12は、図1に示した断面について、情報記録媒体1aにレーザー光を照射した場合の電界強度を表した図である。なお、図12は、図1に示した概略断面図と上下が逆となっている。すなわち、図面下方向よりレーザー光が照射されている。
【0173】
図12に示すように、レーザー光の照射により近接場光発生部材73の微小開口に近接場光が発生し、情報記録媒体1aの記録層13に照射されていることを確認することができた。さらに、近接場光72が照射された領域の金属体13aと誘電体14との界面付近および金属体13bと誘電体14との界面付近において局所的な強い電界の集中を観測することができた。すなわち、情報記録媒体1aの内部において、強い電界の集中を観測することができた。
【0174】
電界が集中している箇所の電界強度(|E|)は、図12に示すように、微小開口の出射部における電界強度と同程度(20(V/m)強)であり、非常に強いものであった。さらに、20(V/m)を超える非常に強い電界強度は、図12に示すように記録層12における近接場光発生部材73に最も近い表面近傍から基板11に近い最深部までの広い範囲で観測された。このことから、金属体13aと金属体13bとの間に誘電体14が設けられていると共に、金属体13bが記録部50をトラック長さ方向およびトラック幅方向のいずれにおいても囲むように接していることによって、記録層13の深い部分まで極めて強いプラズモンを発生させることができることが示された。すなわち、情報記録媒体1a内部から効率的に記録部50を過熱することができることが示された。
【0175】
これによって、情報記録媒体1aの内部から記録部50を加熱することができるため、光源75の消費電力を増大させることなく、記録層12において情報を記録しようとする記録部50を十分に効率良く加熱することができることが示された。
【0176】
図12は、図2に示した平面における電界強度の測定結果を示している。近接場光発生部材73は図12の中心上に位置している。図12に示すように、金属体13aと誘電体14との界面付近および金属体13bと誘電体14との界面付近における電界集中は、近接場光が照射された記録部50を取り囲むように生じていた。これによって、電界強度の強い領域に囲まれた記録部50が特に加熱され、情報が記録され易い状態となっていることが明らかとなった。
【0177】
〔比較例1〕
実施例1において、金属体13aおよび13bを用いず、金属体13aおよび13bの部分を誘電体14に置き換えた以外は、実施例1と同じ構成である情報記録媒体100aについて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。
【0178】
情報記録媒体100aにおける図1に相当する断面での電界強度の測定結果を図13に示す。図13は、情報記録媒体100aにレーザー光を照射した場合の電界強度を表した図であり、図11と同様に図面下方向よりレーザー光が照射されている。
【0179】
図13に示すように、情報記録媒体100a内部において、実施例1で見られたような微小開口の出射部における電界強度に匹敵する程の高強度の電界集中は見られなかった。
【0180】
〔比較例2〕
実施例1において誘電体17を用いず、誘電体17の部分を全て金属体13cに置き換えた以外は実施例1と同じ構成である情報記録媒体100bについて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。
【0181】
情報記録媒体100bにおける図1に相当する断面での電界強度の測定結果を図14に示す。図14は、情報記録媒体100bにレーザー光を照射した場合の電界強度を表した図であり、図11および図13と同様に図面下方向よりレーザー光が照射されている。
【0182】
図14に示すように、情報記録媒体100bの内部において、電界集中は確認されなかった。
【0183】
〔実施例2〕
実施例1の構成において、記録部50を磁性体材料である鉄−白金合金から、光情報記録媒体に用いられるビスマス−ゲルマニウムに置き換えた以外は実施例1と同じ構成である情報記録媒体1aについて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。その結果、記録部50の材料変更に関わらず、図11および12に示した結果と同様の高強度の電界集中が情報記録媒体1aの内部(金属体13aと誘電体14との界面付近および金属体13bと誘電体14との界面付近)で確認され、記録部50の材料が光情報記録材料であっても高強度の電界集中が得られることが明らかとなった。
【0184】
〔実施例3〕
情報記録媒体1aの変形例である図4に示した情報記録媒体1bについて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。実施例1と異なるのは、基板11と誘電体14との間に金属体13bが設けられていない点だけである。
【0185】
結果として、図11および12に示した結果と同様の高強度の電界集中が、情報記録媒体1bの内部(金属体13aと誘電体14との界面付近および金属体13bと誘電体14との界面付近)で確認された。すなわち、基板11と誘電体14との間に金属体13bが設けられていない情報記録媒体1bであっても、高強度の電界集中が得られることが明らかとなった。
【0186】
〔実施例4〕
情報記録媒体1aの変形例である図6に示した情報記録媒体1dについて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。実施例1と異なるのは、記録部50が、基板命内方向において連続して形成されており、非記録部51によって分離されていない点だけである。なお、基板11と金属体13bとの間の最短距離は、5nmとして計算した。
【0187】
結果として、図11および12に示した結果と同様の高強度の電界集中が情報記録媒体1dの内部(金属体13aと誘電体14との界面付近および金属体13bと誘電体14との界面付近)で確認された。すなわち、記録部50が基板の面内方向において連続して設けられており、非記録部51によって分離されていない情報記録媒体1dであっても、高強度の電界集中が得られることが明らかとなった。
【0188】
〔実施例5〕
実施形態2において示した情報記録媒体1eを用いて、実施例1と同様の方法によって電界強度を測定した。
【0189】
結果として、図12に示した結果と同様の高強度の電界集中が、情報記録媒体1eの内部(金属体13aと誘電体14との界面付近および金属体13bと誘電体14との界面付近)で確認された。
【0190】
これによって、情報記録媒体1eの内部から記録部50を加熱することができるため、光源75の消費電力を増大させることなく、記録層12において情報を記録しようとする記録部50を十分に効率良く加熱することができることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明に係る情報記録媒体は、ハードディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)などのに代表される情報記録媒体として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】実施形態1に係る情報記録媒体の構成を示す概略断面図である。
【図2】実施形態1に係る情報記録媒体の構成を示す平面図である。
【図3】実施形態1に係る情報記録媒体の製造方法を示した図であり、(a)は、基板上に記録部材料を設ける工程を示し、(b)は、記録部材料から記録部を形成する工程を示し、(c)は、金属体および誘電体を形成する工程を示し、(d)は、金属体および誘電体を研磨する工程を示し、(e)は、保護層を形成する工程を示している。
【図4】実施形態1に係る情報記録媒体の変形例の構成を示す概略断面図である。
【図5】実施形態1に係る情報記録媒体の変形例の製造方法を示した図であり、(a)は、基板上に記録部材料を設けると共に、酸化防止膜を形成する工程を示し、(b)は、記録部材料から記録部を形成する工程を示し、(c)は、金属体および誘電体を形成する工程を示し、(d)は、金属体および誘電体を研磨する工程を示し、(e)は、保護層を形成する工程を示している。
【図6】実施形態2に係る情報記録媒体の構成を示す概略断面図である。
【図7】実施形態2に係る情報記録媒体の製造方法を示した図であり、(a)は、基板上に記録部材料を設ける工程を示し、(b)は、記録部材料から記録部を形成する工程を示し、(c)は、金属体および誘電体を形成する工程を示し、(d)は、金属体および誘電体を研磨する工程を示し、(e)は、保護層を形成する工程を示している。
【図8】実施形態3に係る情報記録媒体の構成を示す概略断面図である。
【図9】実施形態3に係る情報記録媒体の構成を示す平面図である。
【図10】実施形態4に係る情報記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図11】実施例1において測定した、図1に示す断面における電界強度を表した図である。
【図12】実施例1において測定した、図2に示す平面における電界強度を表した図である。
【図13】比較例1において測定した電界強度を表した図である。
【図14】比較例2において測定した電界強度を表した図である。
【符号の説明】
【0193】
1a 情報記録媒体
1b 情報記録媒体
1c 情報記録媒体
1d 情報記録媒体
1e 情報記録媒体
11 基板
12 記録層
13a 金属体(第2の金属体)
13b 金属体(第1の金属体)
14 誘電体(誘電体)
15 保護層
50 記録部
51 非記録部
70 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の記録層形成面上に離散的に形成された、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の記録部と、
上記記録部の上記記録層形成面に接する面を底面としたとき、上記記録部の側面を被覆する第1の金属体、当該第1の金属体の上記記録部に接する面とは反対側の面を被覆する誘電体、および上記誘電体により挟まれた空間に形成された第2の金属体を含む非記録部と、
を備えていることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
上記記録層形成面において、上記記録部が形成されている記録部形成領域を除く非記録部形成領域は、上記誘電体により被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
上記記録層形成面において、上記記録部が形成されている記録部形成領域を除く非記録部形成領域は、上記第1の金属体により被覆されており、上記第1の金属体と上記第2の金属体との間には上記誘電体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
上記非記録部は、トラック幅方向において、上記記録部を互いに隔てていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項5】
上記非記録部は、トラック長さ方向およびトラック幅方向のいずれにおいても、上記記録部を互いに隔てていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項6】
基板の記録層形成面を被覆するように形成された、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の凸部を有する記録部と、
上記凸部の側面を被覆する第1の金属体、当該第1の金属体の上記凸部に接する面とは反対側の面を被覆する誘電体、および上記誘電体により挟まれた空間に形成された第2の金属体を含む非記録部と、
を備えていることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項7】
上記記録部において上記凸部が形成されている凸部形成領域を除く非記録部形成領域は、上記誘電体により被覆されていることを特徴とする請求項6に記載の情報記録媒体。
【請求項8】
上記記録部において上記凸部が形成されている凸部形成領域を除く非記録部形成領域は、上記第1の金属体により被覆されており、上記第1の金属体と上記第2の金属体との間には上記誘電体が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の情報記録媒体。
【請求項9】
上記第1の金属体および上記第2の金属体は、金、銀、アルミニウム、白金、またはこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金からなることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項10】
上記記録部は、磁性体からなることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項11】
上記記録部は、光記録材料からなることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項12】
請求項10に記載の情報記録媒体に対して光を照射する光源と、
上記情報記録媒体に対して磁界を印加する磁界印加手段と、
上記情報記録媒体から漏洩する漏洩磁界を検出する磁界検出手段と、
を備えていることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項13】
請求項11に記載の情報記録媒体に対して光を照射する光源と、
上記記録媒体から反射される光量を検出する光量検出手段と、
を備えていることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項14】
上記光源と上記情報記録媒体との間であり、かつ、上記光の経路上に、近接場光生成部を備えていることを特徴とする請求項12または13に記載の情報記録再生装置。
【請求項15】
請求項10に記載の情報記録媒体に対して光を照射し、上記情報記録媒体における情報記録領域を加熱する加熱工程と、
上記情報記録領域に対して磁界を印加する磁界印加工程と、
を含むことを特徴とする情報記録方法。
【請求項16】
請求項11に記載の情報記録媒体に対して光を照射し、上記情報記録媒体における情報記録領域を加熱する加熱工程を含むことを特徴とする情報記録方法。
【請求項17】
請求項10に記載の情報記録媒体から発生する漏洩磁界を検出する漏洩磁界検出工程を含むことを特徴とする情報再生方法。
【請求項18】
請求項11に記載の情報記録媒体から反射する反射光の光量を検出する光量検出工程を含むことを特徴とする情報再生方法。
【請求項19】
基板の記録層形成面上に、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の記録部を離散的に形成する記録部形成工程と、
上記記録部の上記記録層形成面に接する面を底面としたとき、上記記録部の側面を被覆するように第1の金属体を形成する第1の金属体形成工程と、
上記第1の金属体の上記記録層形成面に接する面を底面としたとき、上記第1の金属体の側面を被覆するように誘電体を形成する誘電体形成工程と、
上記誘電体により挟まれた空間に第2の金属体を形成する第2の金属体形成工程と、を含むことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
【請求項20】
基板の記録層形成面を被覆するように、少なくとも加熱することにより情報を記録する複数の凸部を有する記録部を形成する記録部形成工程と、
上記凸部の側面を被覆するように第1の金属体を形成する第1の金属体形成工程と、
上記第1の金属体の上記記録層形成面に接する面を底面としたとき、上記第1の金属体の側面を被覆するように誘電体を形成する誘電体形成工程と、
上記誘電体により挟まれた空間に第2の金属体を形成する第2の金属体形成工程と、を含むことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−272008(P2009−272008A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122677(P2008−122677)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】