説明

情報送信システム

【課題】場所に関する情報を有する特定情報に、携帯電話の位置情報に関連づけたメッセージを、送信する情報送信システムを提供する。
【解決手段】情報送信システムは、携帯電話を備える。場所に関する情報を有する特定情報と、携帯電話と別の携帯電話の位置情報とを含み、携帯電話と他のメッセージ受信手段の少なくとも一方に送信される第1メッセージを作成するメッセージ生成部を備える。位置情報は、セルベース測位、複数基地局測位、及びGPS測位の少なくとも1つの測位によって得られる情報が、地域名称に変換されたものである。位置情報として第1メッセージに含める地域名称の詳細度合いは、測位の精度に応じて調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報送信システムに関し、特に、場所に関する情報を有する特定情報に、携帯電話の位置情報に関連づけたメッセージを、携帯電話に送信する情報送信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話を用いた位置情報管理システムが提案されている。
【0003】
特許文献1は、GPS機能を有する携帯電話の位置情報を常時入手しておき、必要な時に携帯電話の位置情報が閲覧可能な位置情報管理システムを開示する。
【特許文献1】特開2007−195107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置は、災害などの特定情報との関連性がされていない上、携帯電話の位置情報を入手するには、手続きを経て位置情報を入手した端末にアクセスする必要があり、時間がかかる。
【0005】
したがって本発明の目的は、場所に関する情報を有する特定情報に、携帯電話の位置情報に関連づけたメッセージを、送信する情報送信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報送信システムは、携帯電話と、場所に関する情報を有する特定情報と、携帯電話と別の携帯電話の位置情報とを含み、携帯電話と他のメッセージ受信手段の少なくとも一方に送信される第1メッセージを作成するメッセージ生成部とを備える。
【0007】
好ましくは、位置情報は、セルベース測位、複数基地局測位、及びGPS測位の少なくとも1つの測位によって得られる情報が、地域名称に変換されたものである。
【0008】
さらに好ましくは、第1メッセージの作成に使用され、携帯電話ごとに、位置情報と、測位の精度に関する情報とを含む第1データベースを更に備える。
【0009】
さらに好ましくは、位置情報として第1メッセージに含める地域名称の詳細度合いは、測位の精度に応じて調整される。
【0010】
また、好ましくは、位置情報は、測位を行った時間情報を含む。
【0011】
また、好ましくは、第1メッセージの作成に使用され、測位によって得られる情報を地域名称に変換する変換テーブルを有する第2データベースを更に備える。
【0012】
また、好ましくは、第1メッセージの作成に使用され、第1メッセージの送信先ごとに、第1メッセージに含む位置情報に対応する携帯電話に関する情報を有する第3データベースを更に備える。
【0013】
また、好ましくは、第1メッセージを受信先の携帯電話が受信可能な状態になるまで保持するメッセージサービス蓄積装置を更に備え、第1メッセージは、メッセージサービス蓄積装置を介して携帯電話に送信される。
【0014】
また、好ましくは、第1メッセージは、メールサーバーを介して、携帯電話と他のメッセージ受信手段の少なくとも一方に送信される。
【0015】
また、好ましくは、特定情報は、災害に関する情報であり、災害の種別、場所、及び日時に関する情報を有する。
【0016】
また、好ましくは、第1メッセージは、第1メッセージの送信先の携帯電話の位置情報をさらに含む。
【0017】
本発明に係る情報送信システムは、第2メッセージの作成に使用され、携帯電話ごとの位置情報を含むデータベースと、場所に関する情報を有する特定情報を含み場所に関連する位置情報に対応する携帯電話に送信される第2メッセージを作成するメッセージ生成部とを備える。
【0018】
また、好ましくは、第2メッセージは、第2メッセージが送信される携帯電話の位置情報を含む。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、場所に関する情報を有する特定情報に、携帯電話の位置情報に関連づけたメッセージを、送信する情報送信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態における情報送信システム1は、無線アクセスネットワーク(RAN: Radio Access Network)10、コアネットワーク(CN: Core Network)30、情報源発信部40、メッセージ生成部50、第1〜第3データベース51〜53、及び第1〜第5携帯電話201〜205を備える(図1参照)。
【0021】
無線アクセスネットワーク10は、携帯電話と対向して無線リンクを形成する第1〜第12基地局(BTS: Base Transceiver Station)101〜112を有する。コアネットワーク30は、他の通信キャリアなどの電話網との接続のためのゲートウェイ交換機(GMSC: Gateway Mobile Switching Center)31、携帯電話番号や端末識別番号などのユーザー情報を管理するデータベースであるHLR(Home Location Register)33、SMS(Short Message Service)用に作成されたSMSメッセージ(第1、第2SMSメッセージ)を受信先の携帯電話が受信可能な状態になるまで保持するメッセージサービス蓄積装置(MPS: Message Processing System)35、及び携帯電話のルーチング(通信ルートの選定)、呼設定・切断、課金等を行う第1〜第4移動交換機(MSC: Mobile Switching Center)36〜39を有する。なお、携帯電話や移動交換機の数は、上記のものに限られない。
【0022】
第1〜第5携帯電話201〜205は、無線アクセスネットワーク10、及びコアネットワーク30を使って、通常の携帯電話で使用される通話などの通信が可能である。この通信には、ゲートウェイ交換機31を介した、他の通信キャリアや固定電話の電話機との通信(通話)を含む。
【0023】
例えば、第1携帯電話201と第2携帯電話202との間は、第2基地局102、第1移動交換機36、ゲートウェイ交換機31、第2移動交換機37、及び第4基地局104を介して通信(通話)が可能な状態にされる。また、同じ移動交換機のエリア内に居る場合には、ゲートウェイ交換機31を介さないで通信が可能である。例えば、同じ第2移動交換機37のエリア内に居る第2携帯電話202と第3携帯電話203とは、第4基地局104、第2移動交換機37、及び第6基地局106を介して通信が可能である。
【0024】
さらに、通常の通信の他、本実施形態では、メッセージ生成部50などを使って、情報源発信部40から出力された特定情報に、送信対象の携帯電話と別の携帯電話の位置情報を付加した第1SMSメッセージの、送信対象の携帯電話(第1〜第5携帯電話201〜205)に対する送信が行われる。また、特定情報に送信対象の携帯電話の位置情報を付加した第2SMSメッセージの、特定情報の場所と関連する位置情報に対応する携帯電話(第1〜第5携帯電話201〜205の中で、この条件に該当する携帯電話)に対する送信が行われる。
【0025】
すなわち、第1SMSメッセージは、特定情報の場所に関連せず、第1〜第5携帯電話201〜205に送信され、第2SMSメッセージは、特定情報の場所に関連する位置情報に対応する携帯電話だけに送信される(後述する具体例では、第5携帯電話205だけに送信される)。また、第1SMSメッセージは、送信対象になる携帯電話と別の携帯電話の位置情報を含み、第2SMSメッセージは、送信対象になる携帯電話の位置情報を含む。
【0026】
第1〜第3基地局101〜103は、第1移動交換機36と接続する。第4〜第6基地局104〜106は、第2移動交換機37と接続する。第7〜第9基地局107〜109は、第3移動交換機38と接続する。第10〜第12基地局110〜112は、第4移動交換機39と接続する。第1〜第4移動交換機36〜39、HLR33、及びメッセージサービス蓄積装置35は、ゲートウェイ交換機31と接続する。
【0027】
HLR33は、第1〜第4移動交換機36〜39それぞれがカバーするエリアごとの位置登録データベースであるVLR(Visitor Location Register、不図示)から第1〜第5携帯電話201〜205の位置情報を取得する。位置情報を取得するため、位置登録通信(携帯電話がどの基地局のエリアに居るかをコアネットワーク30に知らせるための、携帯電話と基地局間で常時行われる通信)が実行されると、VLR及びHLR33の携帯電話ごとの位置情報が更新される。HLR33は、通常の通信の際の着信する(呼び出しする)携帯電話の場所を特定するために使用される他、本実施形態では、第1データベース51の作成に使用される。
【0028】
情報源発信部40は、特定情報をメッセージ生成部50に出力する。特定情報は、少なくとも場所に関連する情報を有する。本実施形態では、特定情報は、地震などの災害情報であるとして説明するが、他の情報であってもよい。また、地震発生報告など過去に発生した情報だけでなく、地震予知など将来に発生が予測される情報であってもよい。特定情報は、災害の種別、場所、及び日時に関する情報を有する。本実施形態では、特定情報が、災害の種別:地震・震度3・津波の可能性有り、場所:香川県高松市、日時:2007年12月2日10時30分を有するものであるとして説明する。情報源発信部40は、メッセージ生成部50とネットワーク接続が可能な状態で、気象庁など災害の情報を発信できる場所に設置される。但し、情報源発信部40を設置せず、災害の情報を受けて、メッセージ生成部50に特定情報を入力する形態であってもよい。
【0029】
パーソナルコンピュータやワークステーションで構成されるメッセージ生成部50は、ゲートウェイ交換機31、及びメッセージサービス蓄積装置35、第1〜第3データベース51〜53、及び情報源発信部40と接続する。メッセージ生成部50には、HLR33の情報などに基づいて第1〜第3データベース51〜53を作成し、情報源発信部40から出力される特定情報、及び第1〜第3データベース51〜53に基づいて第1、第2SMSメッセージを送信対象の携帯電話ごとに作成し、メッセージサービス蓄積装置35に出力する制御を行うソフトウエアがインストールされている。メッセージ蓄積装置35は、第1、第2SMSメッセージを受信する携帯電話が受信可能な状態になるまで、第1、第2SMSメッセージを保存し、受信可能な状態になると、ゲートウェイ交換機31などを介して送信対象の携帯電話に第1、第2SMSメッセージを送信する。
【0030】
第1データベース51は、本実施形態における情報送信システム1を活用する第1〜第5携帯電話201〜205の位置情報のデータベースであり、第1データベース51が、HLR33の情報などに基づいて作成される。
【0031】
第1データベース51は、携帯電話名称、電話番号、位置情報(緯度経度情報)、測位日時(時間情報)、及び測位精度を有する(図2参照)。メッセージ生成部50は、第1データベース51を作成するため、HLR33から第1〜第5携帯電話201〜205の位置情報を取得する。但し、HLR33に記録される位置情報は、単独の基地局からの電波の情報を基に算出するセルベース測位によるもので100〜10000メートル単位の誤差がある。そのため、本実施形態では、メッセージ生成部50が、ゲートウェイ交換機31、第1〜第4移動交換機36〜39、第1〜第12基地局101〜112を介して、第1〜第5携帯電話201〜205と通信して更に精度の高い位置情報を取得する。
【0032】
具体的には、携帯電話がGPS(Global Positioning System)機能を有しGPS測位が可能な状態である場合には、携帯電話がGPS測位による緯度経度情報を取得し、GPS機能を有しないまたはGPS測位が可能でない場合には、3基以上の基地局からの電波情報を元に位置を算出する複数基地局測位による緯度経度情報を取得する。GPS測位の場合は約10メートル単位にまで、複数基地局測位の場合は約100メートル単位にまで、誤差を少なくすることが可能になる。GPS測位や複数基地局測位による緯度経度情報は、通常の位置登録通信で使用される電波に重畳して送信してもよいし、別途他のデータ通信を使って送信してもよい。
【0033】
図2は、第1データベース51の具体例として、第1〜第5携帯電話201〜205の緯度経度情報などを示す。電源がオフにされているなど、携帯電話との通信が行えない場合は、測位日時が古くなる(早い時間になる)ことが起こり得る(図2の第4携帯電話204の測位日時参照)。
【0034】
測位精度は、測位方法によって異なる値を表し、後述する地域名称の表示範囲の判断に使用される。本実施形態では、最も測位精度の高いGPS測位の場合に値を1に設定し、次に測位精度の高い複数基地局測位の場合に値を2に設定し、セルベース測位の場合に値を3に設定する。
【0035】
第1データベース51の作成は、さらに通信キャリアが有する他の位置情報データベースに基づくものであってもよい。
【0036】
第2データベース52は、緯度経度情報を地域名称に変換するテーブルであり、緯度経度情報、及び緯度経度情報に対応する地域名称を有する(図3参照)。第2データベース52は、第1データベース51に含まれる第1〜第5携帯電話201〜205の緯度経度情報を、第2データベース52に含まれる緯度経度情報の近いものに対応させて地域名称に変換するのに使用される。本実施形態では、地域名称として、市町村などの名称や地番を用いる形態を説明するが、“東京ディズニーランド”などの施設名称を用いる形態であってもよい。
【0037】
例えば、第1データベース51に含まれる第1携帯電話201の緯度:35.657102度、経度:139.745820度は、第2データベース52に含まれる地域名称:東京都港区芝公園4に対応する緯度:35.657143度、経度:139.745972度に最も近いため、第2携帯電話201は、地域名称:東京都港区芝公園4付近に居ることが算出され、第2携帯電話201の使用者は、地域名称:東京都港区芝公園4付近に居ることが推定される。
【0038】
このように算出された地域名称は、後述する第1、第2SMSメッセージに含められる。但し、地域名称として表示する範囲(第1、第2SMSメッセージに記載する地域名称の詳細度合い)は、測位精度の値に応じて変更される。具体的には、緯度経度情報を取得する測位方法の精度が高い場合には、詳しい地名まで含めて地域名称を表示し、精度が低い場合には、大まかな地名までの地域名称を表示する。本実施形態では、GPS測位の場合、すなわち測位精度の値が1の場合は、市町村等の区画名称及び地番まで含めた地域名称:東京都港区芝公園4を表示し、複数基地局測位の場合、すなわち測位精度の値が2の場合は、市町村等の区画名称まで含めた地域名称:東京都港区芝公園を表示し、セルベース測位の場合、すなわち測位精度の値が3の場合は、市町村名称または区名称まで含めた地域名称:東京都港区を表示する。なお、地域名称の表示範囲はこれに限られるものではなく、測位精度に合わせて設定するのが望ましい。
【0039】
第3データベース53は、送信対象になる携帯電話名称、及び第1SMSメッセージに含む位置情報に対応する携帯電話名称を有する。第1SMSメッセージに含む位置情報に対応する携帯電話名称は、使用者などにより任意に設定される。図4では、第3データベース53の具体例として、第1携帯電話201には、情報源発信部40からの特定情報と共に第2携帯電話202、第4携帯電話204、及び第5携帯電話205の位置情報(地域名称)を送り、第2携帯電話202には、情報源発信部40からの特定情報と共に第1携帯電話201及び第5携帯電話205の位置情報を送り、第3携帯電話203には、情報源発信部40からの特定情報と共に第1携帯電話201及び第5携帯電話205の位置情報を送り、第4携帯電話204には、情報源発信部40からの特定情報と共に第1携帯電話201及び第3携帯電話203の位置情報を送り、第5携帯電話205には、情報源発信部40からの特定情報と共に第2携帯電話202の位置情報を送る旨の内容を示す。なお、第3データベース53では、携帯電話名称の代わりに対応する携帯電話番号を使用してもよい。また、第1SMSメッセージに含む位置情報に対応する携帯電話名称には、送信対象の携帯電話名称を含めてもよい。
【0040】
第1SMSメッセージに含める位置情報に対応する携帯電話名称が同じ場合、同じ内容の第1SMSメッセージが作成される。例えば、第1SMSメッセージに含める位置情報に対応する携帯電話名称が同じであるため、第2携帯電話202への第1SMSメッセージの内容が、第3携帯電話203への第1SMSメッセージの内容と同じものになる。この場合、異なる内容の第1SMSメッセージを作成するよりも、メッセージ生成プロセスを簡素化できるため、処理速度が向上する。
【0041】
送信対象が多い場合には、第1SMSメッセージの作成のための時間が長くなる、すなわち、メッセージ生成プロセスの処理速度が遅くなることが考えられる。この場合、複数の送信対象の携帯電話をグループ化し、同じグループに含まれる送信対象の携帯電話には第1SMSメッセージに含める位置情報に対応する携帯電話名称を同じに設定する、すなわち、同じグループに含まれる送信対象の携帯電話には同じ内容の第1SMSメッセージを作成する。これにより、第1SMSメッセージに含む位置情報に対応する携帯電話名称に、送信対象の携帯電話名称が含まれることも起こり得るが、メッセージ生成プロセスを簡素化出来、処理速度を向上させることが可能になる。
【0042】
GPS測位や複数基地局測位は、一定時間ごと、例えば位置登録通信が行われるたびに行われ、第1データベース51は、かかる通信によりHLR33の更新に対応して更新される。第2データベース52は、予め作成されたデータベース(変換テーブル)である。第3データベース53は、携帯電話や不図示のパソコンなどからメッセージ生成部50にアクセスして予め設定される。
【0043】
情報源発信部40から特定情報を受信すると、メッセージ作成部50は、特定情報及び第1〜第3データベース51〜53に基づいて第1SMSメッセージを送信対象の携帯電話ごとに作成し、メッセージサービス蓄積装置35に出力する。具体的には、メッセージ作成部50は、第1データベース51に含まれる第1〜第5携帯電話201〜205の緯度経度情報を、第2データベース52を使って、地域名称に変換し、これを位置情報として、第1SMSメッセージに使用する。送信対象の携帯電話に送信する必要のある携帯電話名称は、第3データベース53に基づいて特定される。
【0044】
これらに基づいて、メッセージ作成部50は、特定情報の表示に加えて、送信対象の携帯電話に送信する必要のある携帯電話の位置情報を表示する第1SMSメッセージを作成する。第1SMSメッセージの前半部分(特定情報表示蘭)は、災害の種別:地震・震度3・津波の可能性有り、場所:香川県高松市、及び日時:2007年12月2日10時30分を含むメッセージ“香川県高松市で、2007年12月2日10時30分ごろ、震度3で津波の可能性のある地震がありました。”を有する。後半部分(位置情報表示欄)は、第1携帯電話201へ送信する場合は、送信対象の携帯電話に送信する必要のある携帯電話の位置情報を有するメッセージ“第2携帯電話は10時8分現在、千葉県浦安市にあります。第4携帯電話は8時30分現在、静岡県静岡市清水区二の丸町にあります。第5携帯電話は10時15分現在、香川県高松市上之町1にあります。”を有する。位置情報表示欄において表示する地域名称は、測位精度に応じて表示範囲(詳細度合い)が調整される。
【0045】
第1SMSメッセージは、定型文の所定位置に、特定情報に関連する場所などの情報、及び送信対象の携帯電話に送信する必要のある携帯電話の位置情報を加えることによって作成される。図6は、下線付き文字が定型文領域、太字部分が特定情報に関連する情報領域、及び太字斜体部分が送信対象の携帯電話に送信する必要なる携帯電話の位置情報領域であることを示す。このため、情報源発信部40から特定情報を受信した後、短時間に大量のメッセージを作成することが可能になる。
【0046】
これにより、送信対象の携帯電話に対して、場所に関する情報を有する特定情報に加えて、別の携帯電話の位置情報、すなわち別の携帯電話の使用者の位置情報を送ることが可能になる。携帯電話の使用者は、第1SMSメッセージを見て、特定情報の内容を確認出来る上、別の携帯電話の使用者の位置と特定情報との関連性、すなわち災害などの特定情報に関連する場所近辺に居るか否かを確認することが可能になる。
【0047】
また、情報源発信部40から特定情報を受信すると、メッセージ作成部50は、特定情報及び第1、第2データベース51、52に基づいて第2SMSメッセージを送信対象の携帯電話ごとに作成し、メッセージサービス蓄積装置35に出力する。具体的には、メッセージ作成部50は、送信対象の携帯電話を特定するため、第1データベース51に含まれる第1〜第5携帯電話201〜205の緯度経度情報を、第2データベース52を使って、地域名称に変換し、これを位置情報として、特定情報の場所と関連するか否かを判断する。例えば、携帯電話の位置情報が特定情報の場所の一部又は全部を含む場合に、携帯電話の位置情報と特定情報の場所とが関連すると判断する。本実施形態では、第5携帯電話205の位置情報:香川県高松市上之町1は、特定情報の場所:香川県高松市を含むため、第5携帯電話205の位置情報が特定情報の場所と関連すると判断され、第1SMSメッセージの送信対象に設定される。第1〜第4携帯電話201〜204の位置情報は、特定情報の場所:香川県高松市を含まないため、特定情報の場所と関連しないと判断され、第2SMSメッセージの送信対象から外される。
【0048】
次に、メッセージ作成部50は、特定情報の表示に加えて、送信対象の携帯電話の位置情報を表示する第2SMSメッセージを作成する。第2SMSメッセージの前半部分(特定情報表示蘭)は、災害の種別:地震・震度3・津波の可能性有り、場所:香川県高松市、及び日時:2007年12月2日10時30分を含むメッセージ“香川県高松市で、2007年12月2日10時30分ごろ、震度3で津波の可能性がある地震がありました。”を有する。後半部分(位置情報表示欄)は、送信対象の携帯電話(ここでは、第5携帯電話205)の位置情報を有するメッセージ“第5携帯電話、つまりこの携帯電話は10時15分現在、香川県高松市上之町1にあります。”を有する。位置情報表示欄において表示する地域名称は、測位精度に応じて表示範囲(詳細度合い)が調整される。
【0049】
第2SMSメッセージは、定型文の所定位置に、特定情報に関連する場所などの情報、及び送信対象の携帯電話の位置情報を加えることによって作成される。図7は、下線付き文字が定型文領域、太字部分が特定情報に関連する情報領域、及び太字斜体部分が送信対象の携帯電話の位置情報領域であることを示す。このため、情報源発信部40から特定情報を受信した後、短時間に大量のメッセージを作成することが可能になる。
【0050】
これにより、送信対象の携帯電話に対して、場所に関する情報を有する特定情報に加えて、送信対象であり第2SMSメッセージを受信する携帯電話の位置情報、すなわち送信対象であり第2SMSメッセージを受信する携帯電話の使用者の位置情報を送ることが可能になる。携帯電話の使用者は、第2SMSメッセージを見て、特定情報の内容を確認出来る上、使用する携帯電話の位置と特定情報との関連性、すなわち災害などの特定情報に関連する場所近辺に自分が居るか否かを確認することが可能になる。
【0051】
本実施形態では、メッセージの送信手段として、SMS(第1、第2SMSメッセージ)を使用するため、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)などを使ったメールサーバー60を介してメッセージを送信するE−mailを使用する形態(図8参照)に比べて、早く確実に送信を完了させることが可能になる。特に、特定情報に含まれる災害発生時には、通信が混雑してつながりにくくなる輻輳や大幅な遅延が発生する恐れがあるが、携帯電話の電話番号に第1、第2SMSメッセージを送るSMSでは、このような問題が起こりにくい。
【0052】
但し、メッセージの送信手段は、メールサーバー60を介してメッセージを送信するE−mailを使用する形態であってもよい。この場合は、メッセージ生成部50は、メッセージ蓄積装置35に第1、第2SMSメッセージを出力する代わりに、インターネットプロバイダや通信キャリアなどが有するメールサーバー60に対して、第1、第2SMSメッセージのコンテンツを含むE−mailを出力する。
【0053】
メールサーバー60を介したE−mailを使用する形態では、E−mailアドレスを有すれば、コンピュータ(例:第1パソコン211)やPDAなど、携帯電話を除く他のメッセージ受信手段に対してもメッセージを送信することが可能になる。この場合、送り先のアドレスとして必要なのは電話番号ではなく、E−mailアドレスになるため、第1データベース51などに、携帯電話などの受信手段ごとのE−mailアドレスに関する情報を用意する必要がある(図9参照)。また、第3データベース53などに、送信対象になる携帯電話などの受信手段名称、及び第1SMSメッセージに含む位置情報に対応する携帯電話名称を用意する必要がある(図10参照)。
【0054】
但し、携帯電話を除く他のメッセージ受信手段の緯度経度情報は、第1データベース51に記録されないため、第2SMSメッセージのコンテンツを含むE−mailは、他のメッセージ受信手段には送信されない。
【0055】
なお、本実施形態では、位置情報の測位精度を上げるため、通常、携帯電話と基地局との間で行われるセルベース測位に加えて、GPS測位や複数基地局測位を行う形態を説明した。但し、おおよその位置情報はセルベース測位でも得られるため、GPS測位などを使用しない形態であってもよい。この場合、GPS測位などのために、メッセージ生成部50がゲートウェイ交換機31などを制御する必要が無くなる分だけ、システム(ソフトウエア)を簡素化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態におけるSMSを使った情報送信システムの構成図である。
【図2】SMSを使ってメッセージ送信を行う場合の第1データベースのコンテンツを示す図である。
【図3】第2データベースのコンテンツを示す図である。
【図4】SMSを使ってメッセージ送信を行う場合の第3データベースのコンテンツを示す図である。
【図5】メッセージ生成部周辺の構成図である。
【図6】第1SMSメッセージの内容を示す図である。
【図7】第2SMSメッセージの内容を示す図である。
【図8】本実施形態におけるE−mailを使った情報送信システムの構成図である。
【図9】E−mailを使ってメッセージ送信を行う場合の第1データベースのコンテンツを示す図である。
【図10】E−mailを使ってメッセージ送信を行う場合の第3データベースのコンテンツを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 情報送信システム
10 無線アクセスネットワーク
30 コアネットワーク
31 ゲートウェイ交換機
33 HLR
35 メッセージサービス蓄積装置
36〜39 第1〜第4移動交換機
40 情報源発信部
50 メッセージ生成部50
51〜53 第1〜第3データベース
101〜112 第1〜第12基地局
201〜205 第1〜第5携帯電話
211 第1パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話と、
場所に関する情報を有する特定情報と、前記携帯電話と別の携帯電話の位置情報とを含み、前記携帯電話と他のメッセージ受信手段の少なくとも一方に送信される第1メッセージを作成するメッセージ生成部とを備えることを特徴とする情報送信システム。
【請求項2】
前記位置情報は、セルベース測位、複数基地局測位、及びGPS測位の少なくとも1つの測位によって得られる情報が、地域名称に変換されたものであることを特徴とする請求項1に記載の情報送信システム。
【請求項3】
前記第1メッセージの作成に使用され、携帯電話ごとに、前記位置情報と、前記測位の精度に関する情報とを含む第1データベースを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報送信システム。
【請求項4】
前記位置情報として前記第1メッセージに含める地域名称の詳細度合いは、前記測位の精度に応じて調整されることを特徴とする請求項3に記載の情報送信システム。
【請求項5】
前記位置情報は、前記測位を行った時間情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の情報送信システム。
【請求項6】
前記第1メッセージの作成に使用され、前記測位によって得られる情報を前記地域名称に変換する変換テーブルを有する第2データベースを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報送信システム。
【請求項7】
前記第1メッセージの作成に使用され、前記第1メッセージの送信先ごとに、前記第1メッセージに含む位置情報に対応する携帯電話に関する情報を有する第3データベースを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報送信システム。
【請求項8】
前記第1メッセージを受信先の携帯電話が受信可能な状態になるまで保持するメッセージサービス蓄積装置を更に備え、
前記第1メッセージは、メッセージサービス蓄積装置を介して前記携帯電話に送信されることを特徴とする請求項1に記載の情報送信システム。
【請求項9】
前記第1メッセージは、メールサーバーを介して、前記携帯電話と前記他のメッセージ受信手段の少なくとも一方に送信されることを特徴とする請求項1に記載の情報送信システム。
【請求項10】
前記特定情報は、災害に関する情報であり、災害の種別、場所、及び日時に関する情報を有することを特徴とする請求項1に記載の情報送信システム。
【請求項11】
前記第1メッセージは、前記第1メッセージの送信先の携帯電話の位置情報をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の情報送信システム。
【請求項12】
第2メッセージの作成に使用され、携帯電話ごとの位置情報を含むデータベースと、
場所に関する情報を有する特定情報を含み、前記場所に関連する位置情報に対応する携帯電話に送信される前記第2メッセージを作成するメッセージ生成部とを備えることを特徴とする情報送信システム。
【請求項13】
前記第2メッセージは、前記第2メッセージが送信される携帯電話の位置情報を含むことを特徴とする請求項10に記載の情報送信システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−165091(P2009−165091A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10189(P2008−10189)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(502181595)株式会社 ゼネテック (19)
【Fターム(参考)】