説明

感光性樹脂組成物、感光性転写材料、表示装置用遮光膜及びその製造方法、遮光膜付基板、液晶表示素子、並びに、液晶表示装置

【課題】製造時の温度条件のばらつきに影響されず安定して所望のパターン形状を形成することができる感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性転写材料、感光性樹脂組成物又は感光性転写材料を用いて形成された表示装置用遮光膜及びその製造方法、表示装置用遮光膜を備える遮光膜付基板、並びに、遮光膜付基板を備え、コントラストが高く鮮明な画像を表示することのできる液晶表示素子及び液晶表示装置の提供。
【解決手段】ガラス転移温度が70℃以下の樹脂と、金属粒子とを含む感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性転写材料、感光性樹脂組成物又は感光性転写材料を用いて形成された表示装置用遮光膜及びその製造方法、表示装置用遮光膜を備える遮光膜付基板、並びに、遮光膜付基板を備える液晶表示素子及び液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性転写材料、表示装置用遮光膜及びその製造方法、表示装置用遮光膜を備える遮光膜付基板、遮光膜付基板を備える液晶表示素子、並びに、液晶表示素子を備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶ディスプレイに用いる基板の基本的な構造は、透明ガラス基板、ブラックマトリクス及びカラーフィルタ層、オーバーコート層、透明導電膜を設けたものである。このうちカラーフィルタの製造法として、従来は、染色可能な樹脂、例えば天然のゼラチンやカゼインをパターニングし、そこに、主に染料を用いて染色し、画素を得るという方法がとられていた。しかし、この方法ではカラーフィルタの耐熱性、耐光性が低いという問題があり、顔料を感光性樹脂組成物に分散し、製造する方法が広く検討されている。この方法によれば、製造も簡略化され、得られたカラーフィルタも安定で、寿命の長いものになることが知られている。
【0003】
感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタの作製方法は、特にフォトリソプロセスによってパターニングされるのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
フォトリソプロセスでは、通常、基板上に感光性樹脂組成物からなる層(感光性樹脂組成物層)を形成後、所定のパターンを有する露光マスクを介して該感光性樹脂組成物層を露光し、現像することにより所望のパターン形状を得る。感光性樹脂組成物層は、感光性樹脂組成物層用塗布液を基板上に塗布し乾燥させるか、又は、仮支持体上に形成された感光性樹脂組成物層をラミネータを用いて基板上に転写することにより形成される。
【特許文献1】特開平9−227635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等の知見によると、感光性樹脂組成物層を基板上に形成する際の温度条件(乾燥温度やラミネート温度)がばらつくと、露光条件及び現像条件を同じにしても得られるパターン形状にばらつきが生ずることがある。この現象は、マイクロメートルオーダーの線幅のパターン形状を形成する際に顕著に現れる。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、製造時の温度条件のばらつきに影響されず安定して所望のパターン形状を形成することができる感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性転写材料、感光性樹脂組成物又は感光性転写材料を用いて形成された表示装置用遮光膜及びその製造方法、表示装置用遮光膜を備える遮光膜付基板、並びに、遮光膜付基板を備え、コントラストが高く鮮明な画像を表示することのできる液晶表示素子及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、
<1> ガラス転移温度が70℃以下の樹脂と、金属粒子又は金属を含む粒子とを含む感光性樹脂組成物である。
【0007】
<2> 前記樹脂が、アルカリ可溶性ポリマーである<1>に記載の感光性樹脂組成物である。
【0008】
<3> 前記アルカリ可溶性ポリマーが、酸性基を有する<2>に記載の感光性樹脂組成物である。
【0009】
<4> 前記酸性基が、カルボキシル基である<3>に記載の感光性樹脂組成物である。
【0010】
<5> 光重合性モノマーを更に含有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物である。
【0011】
<6> 光重合開始剤を更に含有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物である。
【0012】
<7> 前記金属粒子又は金属を含む粒子の少なくとも一種が、銀粒子である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物である。
【0013】
<8> 前記金属粒子又は金属を含む粒子の少なくとも一種が、銀錫合金部を有する粒子である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物である。
【0014】
<9> 溶媒を更に含有する<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物である。
【0015】
<10> 表示装置用遮光膜の作製に用いられる<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物である。
【0016】
<11> 膜厚が1.0μmの遮光膜を形成した際の光学濃度が、4.0以上である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物である。
【0017】
<12> 仮支持体と、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を用いて前記仮支持体上に形成された感光性樹脂組成物層とを有する感光性転写材料である。
【0018】
<13> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物をスリット状ノズルにより基板上に塗布する塗布工程を有する表示装置用遮光膜の製造方法である。
【0019】
<14> <12>に記載の感光性転写材料の感光性樹脂組成物層を基板上に転写する転写工程を有する表示装置用遮光膜の製造方法である。
【0020】
<15> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された表示装置用遮光膜である。
【0021】
<16> 金属粒子が樹脂中に分散されている<15>に記載の表示装置用遮光膜である。
【0022】
<17> ブラックマトリクスに用いられる<15>又は<16>に記載の表示装置用遮光膜である。
【0023】
<18> 基板と、前記基板上に形成された<15>〜<17>のいずれか1つに記載の表示装置用遮光膜とを備える遮光膜付基板である。
【0024】
<19> カラーフィルタに用いられる<18>に記載の遮光膜付基板である。
【0025】
<20> <18>又は<19>に記載の遮光膜付基板を備える液晶表示素子である。
【0026】
<21> <20>に記載の液晶表示素子を備える液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、製造時の温度条件のばらつきに影響されず安定して所望のパターン形状を形成することができる感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性転写材料、感光性樹脂組成物又は感光性転写材料を用いて形成された表示装置用遮光膜及びその製造方法、表示装置用遮光膜を備える遮光膜付基板、並びに、遮光膜付基板を備え、コントラストが高く鮮明な画像を表示することのできる液晶表示素子及び液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の感光性樹脂組成物、感光性転写材料、表示装置用遮光膜及びその製造方法、遮光膜付基板、液晶表示素子、並びに、液晶表示装置について詳細に説明する。
【0029】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、ガラス転移温度が70℃以下の樹脂と、金属粒子又は金属を含む粒子とを含んでなり、目的や用途その他必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。これら各成分について、具体的に説明する。
【0030】
−樹脂−
本発明における樹脂について以下に詳細に説明を加える。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物は、ガラス転移温度(Tg)が70℃以下の樹脂を含有する。樹脂はバインダーとしてのポリマー成分である。本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも一種の樹脂を含有していればよく、二種以上の樹脂を併用することもできる。
【0032】
本発明において、樹脂のガラス転移点とは、下記方法により得られた値をいう。
示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。基準試料としてαAlを用い、窒素ガスを流しつつ、10℃/分の昇温速度にて2回測定を行い、2度目の昇温時に得られたチャートで、基線が急激に吸熱側に移動して階段状に変化する温度をもってTgとした。具体的には、JIS K7121に記載の中間点ガラス転位温度の求め方に準じて決定した。
【0033】
なお、Tgの低い樹脂を含む感光性樹脂組成物層はベタつきやすく傷つきやすいことが知られていた。そのため、従来、Tgの低い樹脂のバインダーとしての使用が試みられてこなかった。
【0034】
本発明に用いられる樹脂はTgが70℃以下であることを要し、Tgが25℃以上70℃以下であることが好ましく、Tgが35℃以上65℃未満であることがさらに好ましく、45℃以上65℃未満であることが特に好ましい。このように、比較的低い温度領域にTgを有する樹脂を用いることで、製造時の温度条件のばらつきに影響されず安定して所望のパターン形状を形成することが可能となる。
なお、本発明の感光性樹脂組成物が二種類以上のバインダーを含有する場合には、主として用いられるバインダーのTgが上記の範囲内にあることが好ましいが、主として用いられるバインダーが特定しにくい場合には、いずれか一種以上のバインダーのTgが上記範囲にあることが好ましく、より好ましくは用いたバインダーのうち上記範囲にTgを有するバインダーが半分以上の体積を占める形態である。
【0035】
本発明の樹脂組成物は感光性を有する感光性樹脂組成物である。このような感光性樹脂組成物とは、例えばアルカリ可溶性ポリマー、光重合開始剤、及びエチレン性不飽和二重結合を含み光で付加重合するモノマー(以下、「光重合性モノマー」ということがある。)等を含有してなるものである。
【0036】
前記感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液で現像可能なものと、有機溶剤で現像可能なものとがある。安全性と現像液のコストとの点からは、アルカリ水溶液で現像可能なものが好ましい。
前記感光性樹脂組成物は、光や電子線などの放射線を受容する部分が硬化するネガ型でも放射線未受容部が硬化するポジ型でもよい。
【0037】
ポジ型感光性樹脂組成物には、ノボラック系の樹脂を用いたものが挙げられる。例えば、特開平7−43899号公報に記載のアルカリ可溶性ノボラック樹脂系を使用することができる。また、特開平6−148888号公報に記載の、ポジ型感光性樹脂、すなわち該公報に記載のアルカリ可溶性樹脂と、感光剤として1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルと、該公報に記載の熱硬化剤との混合物を含む感光性樹脂を用いることができ、この場合には熱硬化性に構成される。さらに、特開平5−262850号公報に記載の組成物も活用可能である。
【0038】
ネガ型感光性樹脂組成物としては、ネガ型ジアゾ樹脂とバインダーとからなる感光性樹脂、光重合性組成物、アジド化合物とバインダーとからなる感光性樹脂組成物、桂皮酸型感光性樹脂組成物等が挙げられる。その中でも特に好ましいのは、光重合開始剤、光重合性モノマー及びバインダーを基本構成要素として含む光重合性組成物である。該光重合性組成物には、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」「重合開始剤C」「界面活性剤」「接着助剤」や、その他の組成物が利用できる。
【0039】
これらのうち、ネガ型でアルカリ水溶液で現像可能な感光性樹脂組成物であることが好ましく、主成分として酸性基含有のバインダー(アルカリ可溶な熱可塑性樹脂等のアルカリ可溶性ポリマー)と、光重合開始剤と、光の照射によって付加重合することのできるエチレン性不飽和二重結合含有モノマー(光重合性モノマー)とを含む組成物であることが特に好ましい。
【0040】
前記アルカリ可溶性ポリマーとしては、側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基を有するポリマーが好ましく、酸性基としてカルボキシル基を有するアルカリ可溶性ポリマーが更に好ましい。
カルボキシル基を有するアルカリ可溶性ポリマーとしては、例えば、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、及び特開昭59−71048号公報に記載のメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体などを挙げることができる。また、側鎖にカルボキシル基を有するセルロース誘導体も挙げることができる。この他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。特に、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体やベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体も挙げることができる。
【0041】
前記アルカリ可溶性ポリマーは、30〜400mgKOH/gの範囲の酸価と1000〜300000の範囲の重量平均分子量を有するものを選択するのが好ましい。以上の他に、種々の性能、例えば、硬化膜の強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、アルカリ不溶性のポリマーを添加してもよい。アルカリ不溶性のポリマーとしては、アルコール可溶性ナイロンあるいはエポキシ樹脂を挙げることができる。
アルカリ可溶性ポリマーの酸価は、20〜300mgKOH/gが更に好ましく、40〜200mgKOH/gが特に好ましい。また、アルカリ可溶性ポリマーの重量平均分子量は、2000〜1000000が更に好ましく、5000〜100000が特に好ましい。
【0042】
前記アルカリ可溶性ポリマーの含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して通常、10〜95質量%、さらに20〜90質量%が好ましい。10〜95質量%の範囲では、感光性樹脂組成物層の粘着性が高すぎることもなく、形成される層の強度及び光感度が劣ることもない。
本発明において、全固形分(固形分全体)とは、有機溶媒を除く組成物合計をいう。
【0043】
以下に本発明において特に好ましい樹脂の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、Mwとは重量平均分子量を表す。
【0044】
【化1】

【0045】
【化2】

【0046】
【化3】

【0047】
【化4】

【0048】
【化5】

【0049】
【化6】

【0050】
なお、上記樹脂における各繰り返し単位の配列には特に制限はなく、具体的には、ブロック共重合体、ランダム共重合体等が挙げられる。
【0051】
−金属粒子又は金属を含む粒子−
本発明の感光性樹脂組成物は、金属粒子又は金属を含む粒子(以下、「本発明に係る金属系粒子」ということがある。)を含有する。
本発明に係る金属系粒子における金属としては、特に限定されず、いかなるものを用いてもよい。
本発明に係る金属系粒子としては、1種の金属のみからなる粒子、2種以上の金属を組み合わせて用いた粒子、合金からなる粒子、材料金属の一部に合金を含む粒子、さらには、金属と金属化合物との複合粒子なども包含される。
【0052】
〔金属粒子〕
本発明における金属粒子としては、単体の金属粒子でもよいし、合金の金属粒子でもよい。
特に長周期律表(IUPAC 1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことが好ましい。また、第2〜14族からなる群から選ばれる金属を含有することが好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことがより好ましい。これらの金属のうち、金属粒子としては、第4周期、第5周期、又は第6周期の金属であって、第2族、第10族、第11族、第12族、又は第14族の金属の粒子が更に好ましい。
【0053】
前記金属粒子を形成する金属の好ましい例としては、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、カルシウム、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
更に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、カルシウム、イリジウム、及びこれらの合金であり、より好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、錫、カルシウム、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、錫、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種である。
なかでも、特に好ましいのは、銀を含むものであり、具体的には、銀粒子又は銀錫合金部を有する粒子である。銀としてはコロイド銀が好ましく、銀錫合金部を有する粒子が最も好ましい。銀錫合金部を有する粒子については以下に詳述する。
【0054】
〔金属化合物粒子〕
ここでいう「金属化合物」とは、前記金属と金属以外の他の元素との化合物である。金属と他の元素との化合物としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられ、金属化合物粒子としてはこれらの粒子が好適である。中でも、色調や粒子形成のしやすさから、硫化物の粒子が好ましい。
金属化合物の例としては、酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどがあるが、色調、粒子形成のしやすさや安定性の観点から、硫化銀が特に好ましい。
【0055】
〔複合粒子〕
本発明における複合粒子とは、金属と金属化合物とを含み1つの粒子を形成したものをいう。例えば、粒子の内部と表面に用いられている金属、金属化合物の組成が異なる粒子、2種の互いに異なる組成の粒子が合一して形成された粒子等を挙げることができる。また、複合粒子を構成する金属化合物と金属とはそれぞれ1種であっても2種以上であってもよい。
金属化合物と金属との複合粒子の具体例としては、銀と硫化銀の複合粒子、銀と酸化銅(II)の複合粒子などが好適に挙げられる。
【0056】
本発明に係る金属系粒子が複数種の金属、金属化合物を含む場合、コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)であってもよい。コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものであり、その具体例として、特開2006−18210公報の段落番号[0024]〜[0027]に記載のコア・シェル粒子が挙げられる。
【0057】
〔銀錫合金部を有する粒子〕
本発明に係る金属系粒子の少なくとも一種は、銀錫合金部を有する粒子であることが好ましい。銀錫合金部を有する粒子としては、銀錫合金からなるもの、銀錫合金部分とその他の金属部分からなるもの、及び銀錫合金部分と他の合金部分からなるものを含む。その具体例として、特開2006−267998公報の段落番号[0018]〜[0034]に記載の銀錫合金部を有する金属粒子が挙げられ、ここに記載の金属系粒子は、本発明にも好適に適用することができる。
【0058】
〔本発明に係る金属系粒子の調製方法〕
本発明に係る金属系粒子は、市販のものを用いることができるほか、金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
例えば、球形銀粒子を種粒子としてその後、銀塩を更に添加し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)等の界面活性剤の存在下でアスコルビン酸など比較的還元力の弱い還元剤を用いることにより、銀棒やワイヤー等の棒状の銀粒子が得られる。これは、Advanced Materials 2002,14,80−82に記載がある。また、同様の記載が、Materials Chemistry and Physics 2004,84,197−204、Advanced Functional Materials 2004,14,183−189になされている。
【0059】
また、電気分解を用いた方法として、Materials Letters 2001,49,91−95やマイクロ波を照射することにより銀棒を生成する方法がJournal of Materials Research 2004,19,469−473に記載されている。逆ミセルと超音波の併用した例として、Journal of Physical Chemistry B 2003,107,3679−3683が挙げられる。
金に関しても同様に、Journal of Physical Chemistry B 1999,103、3073−3077及びLangmuir1999,15,701−709、Journal of American Chemical Society 2002,124,14316−14317に記載されている。
棒状の粒子の形成方法は、前記記載の方法を改良(添加量調整、pH制御)しても調製できる。
【0060】
〔本発明に係る金属系粒子の形状、粒子サイズ〕
本発明に係る金属系粒子は、無彩色に近づけるために、色々な種類の粒子を組み合わせることにより得ることができる。粒子を球形や立方体から平板状(六角形、三角形)、棒状へ変化させることにより、より高い透過濃度を得ることができ、これによると遮光層を形成した際に薄膜化を図ることができる。
【0061】
前記金属系粒子の粒度分布としては、粒子の分布を正規分布近似し、その数平均粒子径の粒度分布幅D90/D10が、1.2以上50未満であることが好ましい。ここで、粒子径は長軸長さLを粒子直径としたものであり、D90は平均粒径に近い粒子の90%が見出される粒子直径であり、D10は平均粒径に近い粒子の10%が見出される粒子直径である。粒度分布幅は色調の観点から、好ましくは2以上30以下であり、更に好ましくは4以上25以下である。分布幅が1.2未満であると色調が単色に近くなる場合があり、50以上であると粗大粒子による散乱によって濁りが生じる場合がある。
【0062】
なお、前記粒度分布幅D90/D10の測定は、具体的には、膜中の金属粒子を後述する三軸径を測定する方法にてランダムに100個測定し、長軸長さLを粒子直径とし、粒径分布を正規分布近似し、平均粒子径に近い粒子の数で90%の範囲となる粒子直径をD90とし、平均粒子径から数で10%の範囲となる粒子直径をD10とすることで、D90/D10を算出することができる。
【0063】
(三軸径)
本発明に係る金属系粒子は、下記の方法によって直方体として捉えられ、各寸法が測定される。すなわち、1個の金属系粒子がちょうど(きっちりと)収まるような三軸径の直方体の箱を考え、この箱の長さの一番長いものを長軸長さLとし、厚みt、幅bをもってこの金属系粒子の寸法と定義する。前記寸法には、L>b≧tの関係を持たせ、同一の場合以外はbとtの大きい方を幅bと定義する。
具体的には、まず、平面上に金属系粒子を、最も重心が低くて安定に静止するように置く。次に、平面に対し直角に立てた2枚の平行な平板により金属系粒子を挟み、その平板間隔が最も短くなる位置の平板間隔を保つ。次に、前記平板間隔を決する2枚の平板に対し直角で前記平面に対しても直角の2枚の平行な平板により金属系粒子を挟み、この2枚の平板間隔を保つ。最後に金属系粒子の最も高い位置に接触するように天板を前記平面に平行に載せる。この方法により平面、2対の平板及び天板によって画される直方体が形成される。
なお、コイル状やループ状のものはその形状を伸ばした状態で前記測定を行なった場合の値と定義する。
【0064】
・長軸長さL
棒状の金属系粒子の場合など、前記長軸長さLは、10nmないし1000nmであることが好ましく、10nmないし800nmであることがより好ましく、20nmないし400nmである(可視光の波長より短い。)ことが最も好ましい。Lが10nm以上であることにより、製造上調製が簡便で、かつ耐熱性や色味も良好になる利点があり、1000nm以下であることにより、面状欠陥が少ないという利点がある。
【0065】
・幅bと厚みtとの比
棒状の金属系粒子の場合など、幅bと厚みtとの比は、100個の棒状金属粒子について測定した値の平均値と定義する。棒状の金属系粒子の幅bと厚みtとの比(b/t)は2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることが特に好ましい。b/t比が2.0を超えると平板状に近くなり、耐熱性が低下することがある。
【0066】
・長軸長さLと幅b及び厚みtとの関係
長軸長さLは、幅bの1.2倍以上100倍以下であることが好ましく、1.3倍以上50倍以下であることがより好ましく、1.4倍以上20倍以下であることが特に好ましい。長軸長さLが幅bの1.2倍未満となると平板の特徴が現れて耐熱性が悪化することがある。また、長軸長さLが幅bの100倍を超えると黒色濃度が低くなって薄層高濃度化ができないことがある。
【0067】
・長さLと幅b及び厚みtとの測定
長さL、幅b及び厚みtの測定は、電子顕微鏡による表面観察図(×500000)と、原子間力顕微鏡(AFM)によって行うことができ、100個の金属系粒子について測定した値の平均値とする。原子間力顕微鏡(AFM)には、いくつかの動作モードがあり、用途によって使い分けている。
大別すると以下の3つになる。
(1)接触方式:プローブを試料表面に接触させ、カンチレバーの変位から表面形状を測定する方式
(2)タッピング方式:プローブを試料表面に周期的に接触させ、カンチレバーの振動振幅の変化から表面形状を測定する方式
(3)非接触方式:プローブを試料表面に接触させずに、カンチレバーの振動周波数の変化から表面形状を測定する方式
【0068】
一方、前記非接触方式は、極めて弱い引力を高感度に検出する必要がある。そのため、カンチレバーの変位を直接測定する静的な力の検出では難しく、カンチレバーの機械的共振を応用している。
前記の3つの方法を挙げることができるが、試料に合わせいずれかの方法を選択することが可能である。
【0069】
なお、本発明においては、前記電子顕微鏡として、日本電子社製の電子顕微鏡JEM2010を用いて、加速電圧200kVで測定を行なうことができる。また、原子間力顕微鏡(AFM)は、セイコーインスツルメンツ株式会社製のSPA−400を用いて測定を行なうことができる。原子間力顕微鏡(AFM)での測定では、比較にポリスチレンビーズを入れておくことにより、測定が容易になる。
【0070】
本発明においては、金属粒子又は金属を含む粒子として、金属粒子又は、金属を含有する金属化合物粒子が好ましく、銀粒子、銀錫合金部を有する粒子、又は、銀を含有する銀化合物粒子がより好ましく、銀錫合金部を有する粒子が最も好ましい。
【0071】
本発明において、金属粒子又は金属を含む粒子の数平均粒子径は0.1μm以下が好ましく0.08μm以下がさらに好ましく、0.05μm以下が特に好ましい。粒子の数平均粒子径が0.1μm以下であると、表面平滑性が良好で、且つ、粗大粒子によるブツ故障も少なくなる利点がある。
【0072】
〔本発明に係る金属系粒子の分散〕
本発明に係る金属系粒子は、感光性樹脂組成物中において、安定な分散状態で存在していることが好ましく、例えば、コロイド状態であることがより好ましい。コロイド状態の場合には、例えば、金属粒子が実質的に粒子状態で分散されていることが好ましい。
【0073】
分散を行なう際の分散剤や、本発明の感光性樹脂組成物に配合してもよい添加剤としては、金属粒子を分散安定化する高分子分散剤を用いることができる。例えば、特開2005−17322公報の段落番号[0027]〜[0031]に記載の分散剤や添加剤が、本発明においても好適なものとして挙げられ、特にS原子を含む高分子分散剤が好適である。具体的には、後述する高分子化合物PO−1が挙げられる。
【0074】
本発明の感光性樹脂組成物における、本発明に係る金属系粒子の含有量としては、例えばカラーフィルタの作製時など、ポストベークの際に金属系粒子(及び必要に応じて顔料)が融着するのを防止することを考慮すると、感光性樹脂組成物の全固形分に対して10〜90質量%程度、好ましくは10〜80質量%になるように調節することが好ましい。また、金属系粒子の含有量は、平均粒径による光学濃度の変動を考慮して決定することが好ましい。更には、本発明の感光性樹脂組成物を用いて膜厚が1.0μmの遮光膜を形成した際の光学濃度が、4.0以上であることが好ましい。
【0075】
−光重合開始剤−
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。
光重合開始剤としては、米国特許第2367660号明細書に記載のビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載のアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号及び同第2951758号の各明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載のトリハロメチルオキサジアゾール化合物等が挙げられる。特に好ましくはトリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール、トリアリールイミダゾール二量体である。これら以外に、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとして挙げることができる。
【0076】
光重合開始剤は、単独でも2種類以上を混合して用いてもよく、特に2種類以上を用いることが好ましい。
また、感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。前記含有量が前記範囲内であると、光感度や画像の強度の低下を防止でき、十分に性能を向上させることができる。
【0077】
露光感度が高く、黄ばみなどの変色が少なく、表示特性の良い例としては、ジアゾール系光重合開始剤と、トリアジン系光重合開始剤との組合せが挙げられ、中でも、2−トリクロロメチル5−(p−スチリルメチル)−1,3,4−オキサジアゾールと、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル〕−s−トリアジンとの組合せが最もよい。
【0078】
これらの光重合開始剤の比率は、ジアゾール系/トリアジン系の質量比率で、好ましくは95/5から20/80、より好ましくは90/10から30/70、最も好ましくは80/20から60/40である。
これらの光重合開始剤は、特開平1−152449号公報、特開平1−254918号公報、特開平2−153353号公報に記載のものが挙げられる。
さらに、好適な例としてはベンゾフェノン系も挙げられる。
【0079】
本発明の感光性樹脂組成物の固形分全体に占める「銀錫合金部を有する粒子」の割合が5〜20体積%付近の場合、前記光重合開始剤にクマリン系化合物を混合することによっても、露光感度及び表示特性を向上し、黄ばみなどの変色を減少することができる。クマリン系化合物としては、7−[2−[4−(3−ヒドロキシメチルビペリジノ)−6−ジエチルアミノ]トリアジニルアミノ]−3−フェニルクマリンが最もよい。
これらの光重合開始剤とクマリン系化合物の比率は、光重合開始剤/クマリン系化合物の質量比率で、好ましくは20/80から80/20、より好ましくは30/70から70/30、最も好ましくは40/60から60/40である。
ただし、本発明に使用できる光重合開始剤は、これらに限定されるものではなく、公知のものの中から適宜選択することできる。
【0080】
−光重合性モノマー−
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合性モノマーを含有してもよい。
光重合性モノマーとしては、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンもしくはグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応させた後で(メタ)アクリレート化したもの等の多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0081】
さらに、特公昭48−41708号、同50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に開示されているウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、同52−30490号の各公報に開示されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートを挙げることができる。これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0082】
光重合性モノマーは、単独でも2種類以上を混合して用いてもよい。
光重合性モノマーの感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は、5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。該含有量が前記範囲内にあると、光感度や画像の強度も低下せず、感光性樹脂組成物層の粘着性が過剰になることもない。
【0083】
−溶媒−
本発明の感光性樹脂組成物は、更に溶媒を含有してもよい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、例えば、水、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、1−プロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム、等の種々のものを用いることができる。
溶媒は、1種単独で用いる以外に2種以上を組合せて用いてもよい。
【0084】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記成分の他に更に熱重合防止剤を含むことが好ましい。前記熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール、ピロガロール等の芳香族ヒドロキシ化合物、ベンゾキノン、p−トルキノン等のキノン類、ナフチルアミン、ピリジン、p−トルイジン、フェノチアジン等のアミン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩又はアンモニウム塩、クロラニール、ニトロベンゼン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0085】
本発明の感光性樹脂組成物は、更に必要に応じて公知の添加剤、例えば、可塑剤、界面活性剤、密着促進剤、分散剤、可塑剤、垂れ防止剤、レベリング剤、消泡剤、難燃化剤、光沢剤等を添加することができる。
【0086】
前記密着促進剤としては、例えばアルキルフェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、アクリル樹脂系粘着剤、芳香族系、脂肪族系又は脂環族系の石油樹脂、シランカップリング剤等が挙げられる。
【0087】
また、本発明に係る金属粒子を水分散物の形態で用いる場合には、前記感光性樹脂組成物を水系としてもよい。このような感光性樹脂組成物に用いられる樹脂等の材料としては特開平8−271727号公報の段落[0015]ないし[0023]に記載のものが挙げられ、市販の感光性水性樹脂として例えば、東洋合成工業(株)製の「SPP−M20」等が挙げられる。
【0088】
<表示装置用遮光膜及びその製造方法、感光性転写材料>
本発明の感光性樹脂組成物は、表示装置用遮光膜(例えば、カラーフィルタをなすブラックマトリクスなど)の作製に好適に用いることができ、ブラックマトリクスを形成した場合、薄膜でかつ光学濃度が高く、画像表示したときに高コントラストで鮮やかな画像の表示を可能とするブラックマトリクスを得ることができる。
【0089】
本発明の表示装置用遮光膜は、本発明の感光性樹脂組成物を調製し、該組成物を基板上に塗布、乾燥させて樹脂層(感光性樹脂層を含む)を形成し、これをパターニングする方法(塗布法)及び、前記組成物の層が設けられた転写材料を作製し、該層を基板上に転写して感光性樹脂層を形成し、これをパターニングする方法(転写法)、のいずれの方法で形成してもよい。なお、パターンニングする方法には特に制限はなく、詳細については後述する。
【0090】
前記樹脂層(感光性樹脂層を含む)は、本発明の感光性樹脂組成物を公知の塗布法により塗布し、乾燥させることによって好適に形成することができ、本発明においては、前記塗布を、液を吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルを用いて行なうことが好ましい。
【0091】
具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、及びスリットコーターが好適に用いられる。その他にも、前記樹脂層は、本発明の感光性樹脂組成物の溶液を例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて塗布・乾燥させることにより形成することができる。
上記において、本発明の表示装置用遮光膜を本発明の表示装置用遮光膜の製造方法により形成する場合は、前記スリット状ノズルが用いられる。
【0092】
また、転写法による場合は、後述する本発明の感光性転写材料を用いて、最終の支持体をなす基板上に感光性樹脂組成物層を転写することによって、感光性樹脂組成物層を形成することができる。
【0093】
〜感光性転写材料〜
次に、転写法により表示装置用遮光膜を製造する場合に用いる感光性転写材料について説明する。
上記したように、本発明の感光性樹脂組成物を用いてなる感光性転写材料を作製し、この感光性転写材料を用いた転写法により遮光膜(ブラックマトリクスなど)を作製することができる。
【0094】
本発明の感光性転写材料は、本発明の感光性樹脂組成物で構成された感光性樹脂組成物層が設けられるので、高温域でも熱安定性に優れると共に、薄膜でかつ光学濃度の高い遮光膜を最も好適に作製することができる。
【0095】
前記感光性転写材料は、仮支持体と、本発明の感光性樹脂組成物を用いて前記仮支持体上に形成された感光性樹脂組成物層とを有し、必要に応じて熱可塑性樹脂層、中間層、又は保護フィルム等を設けることができる。
【0096】
前記感光性樹脂組成物層の層厚は、0.2〜2μmの範囲が好ましく、特に0.2〜1.2μmの範囲が好ましい。
【0097】
仮支持体、熱可塑性樹脂層、及び中間層については、特開2005−17322号公報の段落番号[0061]〜[0070]に記載されており、本発明においてもその記載を参考にすることができる。
【0098】
〜感光性転写材料の作製〜
本発明の感光性転写材料は、仮支持体に、本発明の感光性樹脂組成物の溶液を例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー、スリットコーター等の塗布機を用いて塗布し、乾燥させて感光性樹脂組成物層を形成することによって作製することができる。また、感光性樹脂組成物層以外に、熱可塑性樹脂層、中間層などの他の層を設ける場合も同様に形成することができる。
【0099】
〜表示装置用遮光膜の製造方法〜
次に、表示装置用遮光膜の製造方法について説明する。
本発明の表示装置用遮光膜(以下、単に「遮光膜」ともいう。)の製造方法は、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する塗布工程、又は本発明の感光性転写材料の感光性樹脂組成物層を基板上に転写する転写工程を有し、必要に応じて基板上に形成された感光性樹脂組成物層をパターニングすることもできる。感光性樹脂組成物層をパターンニングする方法には特に限定はない。
遮光膜の膜厚は、0.2〜2.0μm程度が好ましく、より好ましくは1.2μm以下である。
【0100】
本発明の表示装置用遮光膜は、前記した金属粒子が樹脂中に分散されてなる膜であるのが好ましく、既述のように薄膜で高度の光学濃度を得ることができる。
分散時における金属粒子の存在状態は特に限定されないが、金属粒子が安定な分散状態で存在していることが好ましい。分散には分散剤として、チオール基含有化合物、ポリエチレンオキサイド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類及び多糖類由来の天然高分子、合成高分子及びこれらに由来するゲルなどを用いることができる。
【0101】
本発明の表示装置用遮光膜は、ブラックマトリクスとして用いることができる。ブラックマトリクスに赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の着色画素を設けることでカラーフィルタを作製することができる。具体的には、遮光膜付基板上に、R、G又はBに着色された感光性樹脂層を形成し、これを露光、現像する操作を所望の色の数だけ繰り返し行なう方法など、公知の方法で作製することができる。
【0102】
基板上に感光性樹脂組成物層を形成する方法としては、(a)既述の本発明の記録材料用樹脂組成物を公知の塗布法により塗布する方法(塗布法)、及び(b)既述の本発明の感光性樹脂転写材料を用い、ラミネーター等を用いて貼り付け、転写する方法(転写法)が挙げられる。
【0103】
(a)塗布法
組成物の塗布には、スリット状ノズルが用いられる。スリット状ノズルの好ましい具体例等は既述の通りである。
(b)転写法
転写による場合、本発明の感光性転写材料を用い、膜状に形成した感光性樹脂組成物層を基板面に加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着することによって貼り付け、更に剥離転写する。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0104】
表示装置用遮光膜が形成される基板としては、透明基板が好適であり、例えば、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、あるいはプラスチックフィルム等を挙げることができる。また、基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、本発明の感光性樹脂組成物、又は本発明の感光性転写材料の感光性樹脂組成物層との間の密着を良好にすることができる。カップリング処理としては、特開2000−39033記載の方法が好適に用いられる。
【0105】
上記のようにして感光性樹脂組成物層を設ける場合、感光性樹脂組成物層上には更に酸素遮断膜を設けることができる。これにより、露光感度をアップすることができ、該酸素遮断膜としては、既述の感光性転写材料の中間層における構成と同様にすることができる。
【0106】
感光性樹脂組成物層の露光、現像は以下のようにして行うことができる。
基板上に形成された感光性樹脂組成物層の上方に所定のマスクを配置し、該マスク及び場合により熱可塑性樹脂層及び中間層を介してマスクの更に上方(マスクの感光性樹脂層と対向しない側)から露光し(露光工程)、露光完了後、現像液を用いた現像処理を行なう(現像工程)。
【0107】
前記露光に用いる光源としては、感光性樹脂組成物層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
【0108】
前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。なお、現像液は感光性樹脂組成物層が溶解性を示す現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性の有機溶剤を少量添加してもよい。水と混和性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。
また、現像液には、更に公知の界面活性剤を添加してもよく、添加する場合の添加濃度は0.01〜10質量%が好ましい。
【0109】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等のいずれでもよい。ここで、シャワー現像について説明する。
シャワー現像による場合、露光工程後の感光性樹脂組成物層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。なお、現像前に予め、感光性樹脂組成物層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像後には、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
【0110】
次に、本発明の表示装置用遮光膜の製造方法について、転写法によりブラックマトリクスを形成する具体例を示して更に詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
ブラックマトリクスは、既述の感光性転写材料を用いて基板上に感光性樹脂組成物層を転写する転写工程と、基板上に転写された感光性樹脂組成物層を少なくとも1回露光する露光工程と、露光後の感光性樹脂組成物層を少なくとも1回現像処理する現像工程と、現像後の感光性樹脂層を少なくとも1回熱処理するベーク工程とを経ることによって好適に製造される。具体的には以下の通りである。
【0111】
i)基板洗浄
まず、無アルカリガラス基板(以下、「基板」と略記する。)を用意し、転写工程前に予め、基板面の汚れを除去するために洗浄を行なう。例えば、25℃に調整したガラス洗浄剤液(商品名:T−SD1、T−SD2富士写真フイルム(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有す回転ブラシで洗浄し、更に純水シャワー洗浄を行なう。
【0112】
ii)シランカップリング処理
後の転写工程におけるラミネートによる感光性樹脂組成物層の密着性を高めるために、シランカップリング処理を実施することが好ましい。シランカップリング剤としては、感光性樹脂と相互作用する官能基を有するものが好ましい。例えばシランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄する。この後、加熱により反応させる。
加熱槽を用いてもよいが、ラミネーターの基板予備加熱でも反応を進めることができる。
【0113】
iii)ラミネート(転写工程)
洗浄及びシランカップリング処理後の基板を基板予備加熱装置で100℃で2分間加熱し、次のラミネーターに送る。これによりラミネートを均一に行なうことができる。そして、感光性転写材料の保護フイルムを剥離後、ラミネーターを用い、100℃に加熱された基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にてラミネートする。ゴムローラーは、150℃以上であると転写材料にシワが入ることがある。
【0114】
iv)露光(露光工程)
仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機でパターン状に露光する。基板サイズが50cm以上の場合、マスクの撓み防止の点で、基板とマスク(画像パターンを有する石英露光マスク)とをともに垂直に立てた状態で露光するのが好ましい。露光マスク面と感光性樹脂組成物層表面の間の距離は短いほど解像は良いが、異物が付着しやすいので、100〜300μmが望ましい。露光量は、10〜80mJ/cmが望ましい。
【0115】
v)熱可塑性樹脂層及び中間層の除去
露光後、トリエタノールアミン系現像液T−PD1(2.5%のトリエタノールアミン含有、ノニオン界面活性剤含有、ポリプロピレン系消泡剤含有;富士写真フイルム(株)製)などで熱可塑性樹脂層と中間層とを現像除去する。このとき、理想的には、感光性樹脂組成物層は全く現像されることがないように条件等設定するのが望ましい。例えば、30℃で50秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー状に供給する態様が望ましい。
【0116】
vi)感光性樹脂組成物層の現像(現像工程)
引き続いて、感光性樹脂組成物層をアルカリにて現像してブラックマトリクスをなすパターンを形成する。例えば、炭酸Na系現像液T−CD1(0.06モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;富士写真フイルム(株)製)が用いられる。条件としては、例えば、35℃で35秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでのシャワー等とする。現像液としては、KOH系、TMAH系を用いてもよい。
【0117】
vii)残渣除去
引き続いて、例えば、洗浄剤T−SD1(燐酸塩、珪酸塩、ノニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;富士写真フイルム(株)製)、又はT−SD2(炭酸ナトリウム、及びフェノキシポリオキシエチレン系界面活性剤含有;富士写真フイルム(株)製)等を用いて残渣除去を行ない、未露光部における感光性樹脂組成物層の残成分が除去される。条件としては、例えば、33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaでのシャワー及びナイロン毛を有する回転ブラシによる回転等とする。
【0118】
viii)ポスト露光
引き続いて、基板に対し、パターンが形成されている側から超高圧水銀灯で500mJ/cm程度にてポスト露光を行なう。これにより、後のベークでの重合効果が高まると共に、ポスト露光の量によりベーク後のブラックマトリクスの断面形状を調整することができる。両面から実施してもよく、また、100〜800mJ/cmの範囲で選択できる。
【0119】
ix)ベーク処理(ベーク工程)
モノマー又はオリゴマーを反応させて硬い膜とするため、ベーク処理を行なう。ベークは、200〜240℃、10〜20分程度の条件が望ましい。ブラックマトリクスを形成後、更にRGBの着色画素を上記と同様にして形成した場合には、ブラックマトリクス形成時に上記の条件でベークすると共に、ブラックマトリクス及び着色画素を形成後、更に200〜240℃で30〜180分熱処理することが望ましい。これらの温度と時間は、ベークによる色変化(黄ばみ等)の発生が少なく、かつ生産タクトを落さないよう、高めの温度でかつ短めの時間に設定されるのが望ましい。
【0120】
本発明の表示装置用遮光膜(ブラックマトリクスを含む。)は、後述するように公知の部材で構成された液晶表示素子及び液晶表示装置に好適に適用することができる。
【0121】
<遮光膜付基板>
本発明の遮光膜付基板は、基板と、前記基板上に形成された本発明の表示装置用遮光膜とを備える。具体的には、光透過性基板の上に、本発明の感光性樹脂組成物を用いて既述したように形成した層を、パターニングすることで作製される。
【0122】
本発明の遮光膜付基板は、ブラックマトリクス(遮光膜)が設けられたブラックマトリクス基板として、カラーフィルタを作製するのに好適に用いることができる。
ブラックマトリクス基板としたときの、遮光膜の膜厚は0.2〜2.0μmが好ましく、特に0.2〜0.9μmが好ましい。また、ブラックマトリクス基板における遮光膜は、銀錫合金部を有する金属粒子を分散させたものが好適であり、薄膜でも高度の光学濃度を有する。
【0123】
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、前記本発明の遮光膜付基板を備える。
液晶表示素子の1つとして、少なくとも一方が光透過性の一対の基板(本発明の遮光膜付基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段(単純マトリクス駆動方式及びアクティブマトリクス駆動方式を含む。)とを少なくとも備えたものが挙げられる。
この場合、本発明の遮光膜付基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いに本発明の感光性樹脂組成物により形成されたブラックマトリクスで離画されているカラーフィルタとして構成される。このカラーフィルタは平坦性が高いため、該カラーフィルタを備えた液晶表示素子は、カラーフィルタと基板との間にセルギャップムラの発生が抑えられ、色ムラ等の表示不良の発生がなく、また、コントラストも高いため、作製された液晶表示素子は鮮やかな画像を表示できる。
【0124】
また、液晶表示素子の別の態様として、少なくとも一方が光透過性の一対の基板(本発明の遮光膜付基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段とを少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックマトリクスが各アクティブ素子の間に位置するように構成されたものである。この場合も、本発明の遮光膜付基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いに本発明の感光性樹脂組成物により形成されたブラックマトリクスで離画されたカラーフィルタに構成されている。
【0125】
液晶表示素子に使用可能な液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶が挙げられる。
また、前記カラーフィルタの前記画素群は、互いに異なる色を呈する2色の画素からなるものでも、3色の画素、4色以上の画素からなるものであってもよい。例えば3色の場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相で構成される。RGB3色の画素群を配置する場合には、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4色以上の画素群を配置する場合にはどのような配置であってもよい。カラーフィルタの作製は、例えば2色以上の画素群を形成した後既述のようにブラックマトリクスを形成してもよいし、逆にブラックマトリクスを形成した後に画素群を形成するようにしてもよい。RGB画素の形成については、特開2004−347831号公報等を参考にすることができる。
【0126】
前記光透過性基板としては、表面に酸化珪素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス板、ノンアルカリガラス板、石英ガラス板等の公知のガラス板あるいはプラスチックフィルム等が用いられる。
【0127】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、既述の本発明の液晶表示素子を備える。液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、側工業調査会、1994年発行)」に記載がある。
【0128】
本発明の液晶表示装置には、本発明の液晶表示素子を備える以外に特に制限はなく、例えば前記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載された種々の方式の液晶表示装置に構成することができる。中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置を構成するのに有効である。
【0129】
カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)、1996年発行)」に記載がある。
さらに勿論、IPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置に構成することも可能である。これらの方式については、例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門、2001年発行)」の43ページに記載がある。
【0130】
本発明の液晶表示装置は、既述の本発明の液晶表示素子を備える以外は、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ.視野角補償フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、防眩フィルムなどの様々な部材を用いて一般的に構成できる。これら部材については、例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉、(株)富士キメラ総研、2003等発行)」に記載されており、LCDの種類としては、STN、TN、VA、IPS、OCS、及びR−OCB等が挙げられる。
【0131】
本発明の液晶表示装置は、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest Host)等の、様々な表示モードを採用できる。これらの表示モードの中でも、特に高い表示品位の表示装置を提供できる点で、VA(Vertically Aligned)表示モードが好ましい。
【実施例】
【0132】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例中の「部」は特に断らない限り質量部を表す。
【0133】
実施例1
<感光性樹脂組成物の調製>
1−1.銀錫合金部を有する粒子の分散液(分散液K−1)の調製
純水1000mlに、酢酸銀(I)9.8g、酢酸スズ(II)27.8g、グルコン酸23g、ピロリン酸ナトリウム19.2g、ポリエチレングリコール(分子量3,000)1g、及び高分子化合物PO−1(重量平均分子量:30000)を3.0g加え、溶液1を得た。
【0134】
【化7】

【0135】
別途、純水500mlにヒドロキシアセトン19.6gを溶解して、溶液2を得た。
上記より得た溶液1を30℃に保ちつつ激しく攪拌しながら、これに上記の溶液2を2分間かけて添加し、緩やかに4時間攪拌を継続した。混合液が黒色に変化し、銀錫合金部を有する粒子(以下、「銀錫粒子」ということがある。)含有液が得られた。
調製した銀錫粒子含有液に、硝酸を滴下しpH4に調整し銀錫粒子を凝集沈降させた。
凝集沈降させた銀錫粒子含有液の上澄み液を除去し、これに蒸留水を加えて静置し再び上澄みを除去した。これを数回繰り返した。
【0136】
凝集沈降させた銀錫粒子に乳酸エチルを加え、ブランソン社製 ソニファー(Sonifier)II型超音波ホモジナイザーを用いて20kHzの超音波を5分間照射した。その後、ブランソン社製モデル(Model)2000bdc−h 40:0.8型超音波ホモジナイザーで40kHzの超音波を10分間照射し、分散液K−1を得た。尚、超音波照射の間は、試料液が25℃に維持されるよう、ヤマト科学社製クールニクスCTW400により冷却した。これにより得られた分散液K−1は、粒子形成後と同様の形状、色味を有していた。また得られた分散液K−1のAg及びSn含有量を原子吸光法により測定した結果、Ag濃度7.72質量%、Sn濃度17.25質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−1の溶剤分散物中の濃度は1.0質量%であった。
【0137】
またこの分散液K−1は、算術平均径42nmの不定形状の粒子であった。
【0138】
1−2.銀錫合金部を有する粒子の分散液(分散液K−2)の調製
分散液K−1の調製において、乳酸エチルに代えてプロピレングリコールメチルエーテルを用いた以外は分散液K−1の調製と同様にして分散液K−2を得た。
【0139】
1−3.銀粒子の分散液(分散液K−3)の調整
1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを12.0に調整した水溶液2.5Lに、前記構造の高分子化合物PO−1を3.0g加え、完全に溶解するまで45℃で30分攪拌した。
【0140】
この溶液を45℃に温度制御し、アスコルビン酸8.5gを含む水溶液0.5Lと、ハイドロキノン5gおよび亜硫酸ナトリウム1.5gを含む水溶液0.5Lと、硝酸銀30gを含む水溶液1.0Lとを同時に添加して、黒色の銀粒子含有液を調製した。
得られた銀粒子は、算術平均粒径16.1nm、球状粒子がランダムに連結した連結状の粒子であった。調製した銀粒子含有液に遠心分離処理(12000rpm・30min)を行い、上澄み液を捨てて、蒸留水を加え水洗を3度繰り返した。更に、前記銀粒子含有液にアセトンを加え、スターラーで攪拌後、遠心分離処理(12000rpm・30min)を行った。その後、上澄み液を除去して、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、ブランソン社製「ソニファー(Sonifier)II型」超音波ホモジナイザーを用いて20kHzの超音波を5分間照射した。その後、ブランソン社製「モデル(Model)200bdc−h 40:0.8型超音波ホモジナイザー」で40kHzの超音波を10分間照射した。これにより得られた銀粒子分散液(分散液K−3)は、粒子形成後と同様の形状、色味を有していた。また得られた分散液K−3のAg含有量を原子吸光法により測定した結果、Ag濃度25.0質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−1の溶剤分散物中の濃度は1.1質量%であった。
【0141】
表1に記載の組成物を3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて8時間微分散処理を施し、遮光性硬化組成物(感光性樹脂組成物)を得た。なお、表1の組成の単位は質量部である。
【0142】
【表1】

【0143】
表中に使用した各化合物の詳細は以下に示すとおりである。
・バインダーC−1:メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体(モル比:25/55/20、Tg:80℃、重量平均分子量:40000)
・バインダーC−2:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比72/28モル、Tg:73℃、重量平均分子量:38000)
・UV硬化性樹脂C−3:商品名サイクロマーP ACA−250 ダイセル化学工業製
〔側鎖に脂環構造、COOH基、アクリロイル基を含むアクリル系共重合体、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)〕
・重合性化合物C−5:商品名 TO−1382 東亞合成製
(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの末端OH基の一部をCOOH基に置換した5官能のアクリロイル基を有するモノマーが主成分)
・開始剤C−7:商品名「OXE−02」 チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ製
・界面活性剤C−8:商品名「メガファックR30」 大日本インキ化学工業製
・溶剤: MEK=メチルエチルケトン
PGMEA=プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EEP=3−エトキシエチルプロピオネート
MFG=プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0144】
<2−1.塗布によるブラックマトリクス(BM)の形成>
実施例2
得られた遮光性硬化組成物CK−1〜CK−9を、ガラス基板(コーニング社製ミレニアム 0.7mm厚)にスリット間隔100μm、塗布有効幅500mmのスリットヘッドを備えたスリット塗布装置を用いて、スリット塗布適性の評価を行った。ポストベーク後の膜厚が約1.0μmとなるようにスリットとガラス基板間の間隔、吐出量を調節して、塗布速度100mm/秒で塗布した。
次いで、ホットプレートを用いて、それぞれ下記2条件で加熱(プリベーク処理)を行なった。
【0145】
条件1 120℃、120秒間
条件2 90℃、120秒間
【0146】
次いで、HITACHI露光機LE5565(全波長)を用いて、線幅24μmのマスクでプロキシミテイーギャップを300μmとして露光し、その後、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液)(25℃)で現像し、純水で洗浄した。次いで220℃のクリーンオーブンで30分間ポストベーク処理し、格子状ブラックマトリクスパターンを有するブラックマトリクス基板を得た。
【0147】
<3−1.感光性転写材料によるブラックマトリクス(BM)の形成>
実施例3
−感光性転写材料の作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させて熱可塑性樹脂層を形成した。次に、この熱可塑性樹脂層上に更に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布し、乾燥させて中間層を積層した。続いて、中間層上に実施例1で調製した遮光性硬化組成物CK−1〜CK−9を塗布し、乾燥させて黒色の感光性樹脂組成物層を更に積層した。
【0148】
以上のようにして、PET仮支持体上に乾燥層厚14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥層厚1.6μmの中間層と、乾燥層厚約1.0μmの感光性樹脂組成物層とを設け、感光性樹脂組成物層の表面に保護フィルム(厚さ12μmのポリプロピレンフィルム)を圧着して、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂組成物層の積層構造に構成された感光性転写材料を作製した。
【0149】
<熱可塑性樹脂層用塗布液の処方H1>
・メタノール …11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …6.36部
・メチルエチルケトン …52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 …5.83部
(共重合比[モル比]=55/11.7/4.5/28.8、
分子量=9万、Tg≒70℃)
・スチレン/アクリル酸共重合体 …13.6部
(共重合比[モル比]=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃)
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン…9.1部
(新中村化学工業(株)製;ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリレートを2当量脱水縮合した化合物)
・下記界面活性剤1 …0.54部
【0150】
<界面活性剤1>
・下記構造物1 30部
・メチルエチルケトン 70部
【0151】
【化8】

【0152】
<中間層用塗布液の処方P1>
・ポリビニルアルコール(PVA−105、(株)クラレ製) …3.0部
・カルボキシメチルセルロース(TC−5E、信越化学(株)製) …0.15部
・界面活性剤2(サーフロンS−131、セイミケミカル(株) …0.01部
・蒸留水 …524部
・メタノール …429部
【0153】
−ブラックマトリクス(BM)の形成−
無アルカリガラス基板(以下、単に「ガラス基板」という。)を、25℃に調温したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液;商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。その後、この基板を基板予備加熱装置により100℃で2分間加熱し、ラミネータに送った。
シランカップリング処理後のガラス基板に、上記により得た感光性転写材料から保護フィルムを剥がし、露出した感光性樹脂組成物層の表面を、厚さ1.1mmのガラス基板の表面と接するようにラミネーター(LamicII型、(株)日立インダストリイズ製)を用いて、ゴムローラー温度、搬送速度、線圧を下記の2条件にてラミネートした。
【0154】
条件3 120℃、2.2m/min、100N/cm
条件4 90℃、2.2m/min、100N/cm
【0155】
続いて、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した。仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、線幅が24μmのマスクと基板とを垂直に立てた状態で、マスク面と感光性組成物層との間の距離を200μmに設定し、露光量が50mJ/cmで格子状ブラックマトリクス基板となるようにパターン露光した。
【0156】
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2、富士写真フイルム(株)製)を純水で12倍(T−PD2を1質量部と純水を11質量部の割合で混合)に希釈した液(30℃)を用いて50秒間、フラットノズルで圧力0.04MPaとしてシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去した。引き続き、この基板上にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄を行ない、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続いて、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−CD1、富士写真フイルム(株)製)を純水で5倍に希釈した液(29℃)を用いて30秒間、コーン型ノズルで圧力0.15MPaにてシャワー現像を行なって感光性樹脂組成物層を現像除去し、パターン像を得た。
続いて、洗浄剤(燐酸塩、珪酸塩、ノニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−SD1、富士写真フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液(33℃)を用いて20秒間、コーン型ノズルで圧力0.02MPaにてシャワーにして吹きかけ、更にナイロン毛を有す回転ブラシによってパターン像を擦って残渣除去を行ない、ブラックマトリクスを得た。さらにその後、ブラックマトリクスが形成された基板に対し、両面から超高圧水銀灯で500mJ/cmの露光量でポスト露光後、220℃で15分間熱処理(ベーク)を行なってブラックマトリクス基板を得た。
【0157】
<4.評価>
(線幅ふれ幅の測定)
ブラックマトリクス基板を、金属顕微鏡VANOX AHMT3(オリンパス(株)製)にOLYMPUS Ikegami ITC−370M(オリンパス(株)製)を搭載し、FLOVEL VIDEO MICRO METER MODEL VM−40(オリンパス(株)製)を用いて直接観察した。任意の100点を選択して基板の法線方向と直交する方向におけるブラックマトリクス幅を測定し、その平均値を算出して線幅とした。
塗布によりBMを形成した場合には条件1で形成されたBMの線幅と条件2で形成されたBMの線幅との差を、感光性転写材料によりBMを形成した場合には条件3で形成されたBMの線幅と条件4で形成されたBMの線幅との差を「線幅ふれ幅」と定義し、下記基準に基づき評価した。「線幅ふれ幅」が小さいほど、温度条件のばらつきによるパターン形状のばらつきが少ないため好ましい。
【0158】
◎:1μm以下であった場合
○:1μm以上2μm以下であった場合
△:2μm以上3μm以下であった場合
×:3μm以上4μm以下であった場合
【0159】
(光学濃度の測定)
下記方法によりブラックマトリクス(遮光膜)の厚み方向の光学濃度を測定した。
分光光度計UV−2100(島津製作所(株)製)を用いて、ブラックマトリクス基板の透過光学濃度(OD)を波長555nmで測定すると共に、さらにこれらブラックマトリクス基板の各々に用いたガラス基板の透過光学濃度(OD0)を同様の方法で測定した。そして、ODからOD0を差し引いた値(透過OD;=OD−OD0)を透過光学濃度とした。
【0160】
この結果を表2にまとめる。
【0161】
【表2】

【0162】
表2から以下のことがわかる。
Tgが70℃以下の樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックマトリクスは、製造時の温度条件に影響を受けず均一な線幅を有する。これに対して、Tgが70℃を超える樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いて形成された比較例のブラックマトリクスでは、製造時の温度条件によって線幅が変動してしまい、品質の安定性において劣っている。
【0163】
実施例4
<液晶表示装置の作製>
本発明の遮光性硬化組成物CK−1を用いて形成されたブラックマトリクスが設けられた基板上に、特開2006−267998号公報の[0154]〜[0164]に記載のR、G、B画素形成用感光性転写材料を用いる方法で各色の画素を形成し、カラーフィルタ基板を作成した。
【0164】
上記により得たカラーフィルタ基板のR、G、B画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。次いで、特開2006−64921号公報の実施例1に従い、前記で形成したITO膜上の隔壁(ブラックマトリックス)上部に相当する部分にスペーサを形成した。別途、対向基板としてガラス基板を用意し、カラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上にポリイミド配向膜(日産化学製 サンエバー7492 ベーク後70nm)を設け、180℃で1時間ベークした。その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリクス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、偏向板(日東電工製 NPF−SEG1224DU)を貼り付けた。次いで三波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)製FWL18EX−N)に拡散板を設置したものを、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し液晶表示装置とした。
上記より得た液晶表示素子は、コントラストが高く、鮮やかな表示画像を得ることができた。
本実施例では、本発明の遮光性硬化組成物CK−1を用いて作製したブラックマトリクス基板を用いて液晶表示装置を構成するようにしたが、本発明の他の遮光性硬化組成物を用いて作製したブラックマトリクス基板を用いて液晶表示装置を構成した場合も同様に、コントラストが高く、鮮やかな表示画像を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移温度が70℃以下の樹脂と、金属粒子又は金属を含む粒子とを含む感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂が、アルカリ可溶性ポリマーである請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記アルカリ可溶性ポリマーが、酸性基を有する請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記酸性基が、カルボキシル基である請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
光重合性モノマーを更に含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
光重合開始剤を更に含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記金属粒子又は金属を含む粒子の少なくとも一種が、銀粒子である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記金属粒子又は金属を含む粒子の少なくとも一種が、銀錫合金部を有する粒子である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
溶媒を更に含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
表示装置用遮光膜の作製に用いられる請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
膜厚が1.0μmの遮光膜を形成した際の光学濃度が、4.0以上である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
仮支持体と、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて前記仮支持体上に形成された感光性樹脂組成物層とを有する感光性転写材料。
【請求項13】
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物をスリット状ノズルにより基板上に塗布する塗布工程を有する表示装置用遮光膜の製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載の感光性転写材料の感光性樹脂組成物層を基板上に転写する転写工程を有する表示装置用遮光膜の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された表示装置用遮光膜。
【請求項16】
金属粒子が樹脂中に分散されている請求項15に記載の表示装置用遮光膜。
【請求項17】
ブラックマトリクスに用いられる請求項15又は請求項16に記載の表示装置用遮光膜。
【請求項18】
基板と、前記基板上に形成された請求項15〜請求項17のいずれか1項に記載の表示装置用遮光膜とを備える遮光膜付基板。
【請求項19】
カラーフィルタに用いられる請求項18に記載の遮光膜付基板。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の遮光膜付基板を備える液晶表示素子。
【請求項21】
請求項20に記載の液晶表示素子を備える液晶表示装置。

【公開番号】特開2008−249868(P2008−249868A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89035(P2007−89035)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】