説明

感光性着色組成物

【課題】光源に半導体レーザーを使用し、フォトマスクを介さないで直接露光描写してカラーフィルターが製造できる、半導体レーザーにより高感度で露光硬化する感光性着色組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも、活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と、半導体レーザー重合開始剤(b成分)と、高分子顔料分散剤(c成分)と、着色剤とを含有してなり、上記a成分が(メタ)アクリロイル基と、酸性官能基を含有するポリマーであり、上記b成分が式(1)で示される化合物(w)を含有しており、上記c成分のアミン価が5〜30、および重量平均分子量が4,000〜8,000であることを特徴とする半導体レーザーで硬化する感光性着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のカラーフィルターの製造に使用されるカラーフィルター用の感光性着色組成物に関し、さらに詳しくは、半導体レーザーを用いてカラーフィルターを製造する際に、半導体レーザーに対して高感度で露光硬化する感光性着色組成物(以下、単に「感光性着色組成物」という場合がある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイに代表されるフラットディスプレイパネルには、カラーフィルターが用いられている。上記のカラーフィルターの製造は、一般的に、フォトリソ法により、光源は超高圧水銀灯が一般的であり、カラーレジストのパターンニングには、フォトマスクを介して上記光源の光を照射し、パターンを形成している。
【0003】
しかしながら、近年、上記フラットディスプレイパネルサイズの大型化に伴い、レジストパターン形成に必要であるフォトマスクも大型化したために、紫外線領域でも透過率の高い石英を基材とするフォトマスクは、石英自体が高価のためにコストが上昇し、さらに、大型化した石英のフォトマスクの自重によるたわみにより寸法精度にも影響がでるという欠点が生ずる。
【0004】
上記のフォトリソ法の大型化フォトマスク使用に伴うコスト上昇あるいは精度面の解決策として、上記フォトマスクを使用しないで光源にレーザーを使用し直接レジストへ露光描写させる方法が検討されている。
【0005】
上記のレーザーとしては、装置が小型化できるなどのメリットから半導体レーザーを用いて、直接レジストに画像(描写)情報を書き込む方式が検討されている。
【0006】
しかしながら、従来の感光性着色組成物を用いて、上記の方式で露光しカラーフィルターを製造した場合、とくに、RGBの内、赤色と緑色に対する感度が非常に悪く通常の露光量では上記感光性着色組成物からなるレジスト塗膜は露光硬化しない。
【0007】
上記の従来の感光性着色組成物の感度を向上させた感光性着色組成物としてある種の着色樹脂組成物(特許文献1)が開示されている。上記特許文献1の着色樹脂組成物は、光重合開始剤としてオキシムエステル系化合物を使用しており、実施例に見られるように、グリーン系の着色樹脂組成物を用いて、該レジストをパターンマスク(フォトマスク)を介し、光源として高圧水銀灯(紫外線)を用いて露光硬化している。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の着色樹脂組成物を用い、光源として高圧水銀灯(紫外線)の代わりに半導体レーザーを用いて、パターンマスク(フォトマスク)を介さないで、直接露光描写してカラーフィルターを製造した場合に、とくに、グリーン色および赤色の画素の製造の際に、レジストの露光感度が劣り、露光硬化しない。
【0009】
上述のことから、光源に半導体レーザーを使用し、フォトマスクを介さないで直接露光描写してカラーフィルターが製造できる、高感度で半導体レーザーで露光硬化する感光性着色組成物が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−16545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、光源に半導体レーザーを使用し、フォトマスクを介さないで直接露光描写してカラーフィルターが製造できる、半導体レーザーにより高感度で露光硬化する感光性着色組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の特定成分を含有する感光性着色組成物を用いることで、半導体レーザーを使用し、高感度でフォトマスクを介さないで直接露光描写してカラーフィルターが製造できることを見出した。
【0013】
上記の目的は、以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、少なくとも、活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と、半導体レーザー重合開始剤(b成分)と、高分子顔料分散剤(c成分)と、着色剤とを含有してなり、上記a成分が(メタ)アクリロイル基と、酸性官能基を含有するポリマーであり、上記b成分が下記式(1)で示される化合物(w)を含有しており、上記c成分のアミン価が5〜30、および重量平均分子量が4,000〜8,000であることを特徴とする半導体レーザーで硬化する感光性着色組成物を提供する。

(上記式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、炭素原子に結合している水素原子、塩素原子、またはビニル基のいずれかを表す。)
【0014】
また、本発明の好ましい実施形態では、前記半導体レーザー重合開始剤(b成分)が、少なくとも分子内に2個のメルカプト基を有する多官能チオール化合物(s)を含有しており、前記多官能チオール化合物(s)が、下記式(2)で示される化合物であり、前記化合物(w)と前記多官能チオール化合物(s)との配合割合が、s/w=5/100〜10/100(質量比)であり、活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と半導体レーザー重合開始剤(b成分)との配合割合が、b/a=10/100〜350/100(質量比)であり、前記高分子顔料分散剤(c成分)が、ウレタン−ポリカプロラクトン系高分子分散剤および/またはポリカプロラクトン系高分子分散剤であり、および前記着色剤が、赤色系顔料、および緑色系顔料であることが好ましい。

【0015】
また、本発明は、上記感光性着色組成物をカラーフィルター用基板に塗布し、形成された塗膜を408nm(波長)の半導体レーザーで露光する工程を含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本発明の感光性着色組成物は、半導体レーザーにより、高感度でフォトマスクを介さないで直接露光描写してカラーフィルターが製造でき、とくに、赤色画素および緑色画素を得るのに有効である。また、高価なフォトマスクを使用しないために、経済面、生産面でメリットがある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明の感光性着色組成物は、前記の活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と、半導体レーザー重合開始剤(b成分)と、高分子顔料分散剤(c成分)と、着色剤とを必須成分として含有することにより、半導体レーザーを使用し、高感度でフォトマスクを介さないで直接露光描写してカラーフィルターが製造できる。とくに、赤色画素および緑色画素を得るのに有効である。
【0018】
本発明を主として特徴づける半導体レーザー重合開始剤(b成分)は、下記式(1)で示される化合物(w)を主成分として含有するものである。

(上記式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、炭素原子に結合している水素原子、塩素原子、またはビニル基のいずれかを表す。)
【0019】
上記化合物(w)は、前記式(1)においてR1〜R6が水素原子、塩素原子、またはビニル基のいずれかを有する化合物であり、好ましくは上記の原子およびビニル基のそれぞれの結合数が塩素原子が2〜6、ビニル基が1〜2、水素原子が22〜28を有する化合物であり、それらは単独でも、あるいは2種以上を混合して使用することができる。なお、上記原子およびビニル基の結合位置は上記結合数で結合できる位置であればよく、とくに特定するものではない。
【0020】
上記化合物(w)としては、例えば、前記式(1)においてR1およびR6のいずれもが塩素原子1個を結合している化合物、または、前記式(1)においてR1、R2、R4、およびR6のいずれもが塩素原子1個を結合しており、またR5がビニル基1個を結合している化合物、または、R1、R2、R4、およびR6のいずれもが塩素原子1個を結合しており、またR3およびR5のいずれもが塩素原子およびビニル基をそれぞれ1個を結合している化合物など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0021】
前記化合物(w)は、公知の方法で得られたものを使用することができる。上記化合物(w)は、前記半導体レーザー重合開始剤(b成分)の主成分として、得られる感光性着色組成物の重合を半導体レーザーにより開始し得る活性効果を有し、マスクを介さないで半導体レーザーにより高感度で直接露光硬化させるのに効果がある。また。得られる感光性着色組成物に対する溶解分散性が優れているために、配合量をある程度増やすことができ、それ自身の感度向上効果を上げることができる。
【0022】
上記の半導体レーザーは、半導体を使用してレーザーを発生させる小型で長寿命、直接変調可能で、安価であり光源として有効である。また半導体レーザーから放出された光は位相がそろった指向性をもった光であるためにフォトマスクを介さないで直接露光硬化させるのに効果がある。
【0023】
前記の半導体レーザー重合開始剤(b成分)は、上記の化合物(w)単独でも得られる感光性着色組成物に対して半導体レーザーにより開始し得る活性効果を有しているが、さらに、感度を向上させるために、好ましくは少なくとも分子内に2個のメルカプト基を有する多官能チオール化合物(s)を含有するのがよい。
【0024】
上記の多官能チオール化合物(s)としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、2,5−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2,9−デカンジチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、ジチオエリスリトール、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンジチオール、3,4−ジメルカプトトルエン、4−クロロ−1,3−ベンゼンジチオール、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリスメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、その他エステル結合を有する化合物として、フタル酸ビス(2−メルカプトプロピルエステル)、フタル酸ビス(2−メルカプトブチルエステル)、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、1,3−ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)などが挙げられる。上記の多官能チオール化合物は単独でも、あるいは2種以上を適宜に組み合わせて使用することができる。
【0025】
上記の多官能チオール化合物(s)の内で、少なくとも4個のメルカプト基を有する化合物が好ましく、とくに、下記式(2)で示される化合物が前記化合物(w)と併用すると、得られる感光性着色組成物の半導体レーザーに対する感度をさらに向上させる。

【0026】
前記化合物(w)と前記多官能チオール化合物(s)との配合割合は、好ましくはs/w=5/100〜10/100(質量比)、より好ましくは5/100〜9/100(質量比)である。上記化合物(s)の配合割合が多過ぎると、得られる感光性着色組成物の半導体レーザーに対する感度向上のそれ以上の効果はなく、逆に硬化を妨げる。一方、上記化合物(s)の配合割合が少な過ぎると、両成分による感度向上の相乗効果が充分に発揮されない。
【0027】
前記半導体レーザー重合開始剤(b成分)には、必要に応じて本発明の目的を妨げない範囲内において、公知の光重合開始剤を配合することができる。なお、上記光重合開始剤の必要以上の添加は、得られる感光性着色組成物の半導体レーザーに対する硬化を阻害するので好ましくない。
【0028】
上記の光重合開始剤としては、例えば、イミダゾール系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、オキシム系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、アントラキノン系光重合開始剤、チオール系光重合開始剤などが挙げられる(添加量0〜5質量%、半導体レーザー重合開始剤(b成分)総量中)。
【0029】
また、本発明で使用する活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)は、(メタ)アクリロイル基(「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基、またはメタアクリロイル基の双方を意味する。)と、酸性官能基を含有するポリマーである。上記の活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)は、分子内にカルボキシル基、フェノール性水酸基などの酸性官能基を有し、バインダーとして、カラーフィルターの製造の際にアルカリ現像液により現像できるアルカリ可溶性の無色透明のポリマーであり、好ましくはアクリル系ポリマーが挙げられる。上記活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)は、分子内に少なくとも1個、好ましくは2個のエチレン性不飽和結合を有する単官能または多官能のモノマーおよび/またはオリゴマーと併用する。
【0030】
上記の活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)としては、例えば、不飽和カルボン酸化合物とエチレン性不飽和化合物からなる共重合体の主鎖のカルボキシル基にエポキシ基含有の不飽和化合物を付加させた反応生成物などの分子内に(メタ)アクリロイル基と、酸性官能基を有するポリマーが挙げられる。上記の不飽和カルボン酸化合物としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸化合物;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸などの不飽和ジカルボン酸化合物;その他、3価以上の不飽和カルボン酸化合物、コハク酸モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)などのモノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]エステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレートなどが挙げられる。
【0031】
また、上記の不飽和カルボン酸化合物と共重合体を生成するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート(「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの双方を意味する)、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル;スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン化合物;マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの不飽和イミド化合物;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル化合物;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレートなどの重合体分子の末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマーなど、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0032】
また、前記エポキシ基含有の不飽和化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなど、好ましくはグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0033】
前記の活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)としては、下記のカルボキシル基含有共重合体に前記エポキシ基含有不飽和化合物を付加した反応生成物が挙げられる。上記のカルボキシル基含有共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタアクリル酸の双方を意味する)/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジルマレイミド/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸メチル/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/ジメチル(メタ)アクリレートの共重合体、ベンジルマレイミド/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸メチル/シクロヘキシル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジルマレイミド/(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートマクロマノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートマクロマノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートマクロマノマー共重合体、ベンジルマレイミド/シクロヘキシル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体など、およびそれらの混合物、好ましくはベンジルマレイミド/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ジメチルメタクリレートの共重合体、ベンジルマレイミド/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/シクロヘキシルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0034】
上記活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)の具体例としては、例えば、ベンジルマレイミド/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレート共重合体(組成比率(質量%)、10/21.2/38.8/30)にグリシジルメタクリレート(上記共重合体のMAA換算10質量%)を付加させた反応生成物、ベンジルマレイミド/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/シクロヘキシルメタクリレート共重合体(組成比率(質量%)、10/21.2/1/67.8)にグリシジルメタクリレート(上記共重合体のMAA換算10質量%)を付加させた反応生成物、ベンジルマレイミド/メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(組成比率(質量%)、10/38/52)にグリシジルメタクリレート(上記共重合体のMAA換算25質量%)を付加させた反応生成物などが挙げられる。上記のアクリル系ポリマーは、例えば、日本触媒(株)から、アクリキュアBMX[23、28、72]などの商品名で入手して本発明で使用することができる。なお、上記アクリル系ポリマーは、重量平均分子量(GPCのポリスチレン換算分子量)が5,000〜15,000、酸価が60〜100mgKOH/gのものが好ましく使用される。
【0035】
また、前記活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と併用する前記の分子内に少なくとも1個または2個のエチレン性不飽和結合を有する単官能または多官能のモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、多官能のモノマーまたはオリゴマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。上記の多官能モノマーおよびオリゴマーは、単独でも、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0036】
また、上記の単官能モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなど、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
前記活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と前記半導体レーザー重合開始剤(b成分)との配合割合は、好ましくはb/a=10/100〜350/100(質量比)である。上記のb成分の配合割合が多過ぎても、それ以上の効果はなく、一方、b成分の配合割合が少なすぎると、得られる感光性着色組成物の半導体レーザーに対する感度が低下し、露光硬化しない。
【0038】
本発明で使用する高分子顔料分散剤(c成分)は、着色剤を前記の活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)中に溶媒を介して均一に分散させるのに効果がある。上記の高分子顔料分散剤(c成分)は、そのアミン価が5〜30、および重量平均分子量が4,000〜8,000であり、好ましくはアミン価が5〜10、および重量平均分子量が4,000〜5,000である。上記のアミン価が高過ぎると、得られる感光性着色組成物の透明性が低下する。一方、アミン価が低過ぎると得られる感光性着色組成物中の着色剤(顔料)の分散性が劣る。なお、本発明におけるアミン価は、アミン価測定方法(ASTM D2074)により測定した値である。また、本発明における重量平均分子量は、GPCポリスチレン換算分子量の値である。
【0039】
前記高分子顔料分散剤(c成分)としては、得られる感光性着色組成物中に着色剤を均一に分散できる公知の高分子顔料分散剤を使用することができ、例えば、ウレタン−ポリカプロラクトン系高分子分散剤、アクリル系高分子分散剤、ポリカプロラクトン系高分子分散剤、脂肪酸エステル系高分子分散剤、ポリエーテル系高分子分散剤、有機酸系高分子分散剤などが挙げられる。上記高分子顔料分散剤(c成分)は、単独でも、2種以上を混合して使用することができ、好ましくはウレタン−ポリカプロラクトン系高分子分散剤および/またはポリカプロラクトン系高分子分散剤が挙げられる。
【0040】
上記ウレタン−ポリカプロラクトン系高分子分散剤として、例えば、ビックケミー社製のDisperbyk(161、162、163、164、165、168、170);味の素ファインテクノ(株)製のアジスパー(PB711);Cognis社製のテキサホール(P61、P63);エフカケミカルズ社製のEFKA(4046、4047、46、47、48、49、LP4010、LP4050、LP4055)などが挙げられる。
【0041】
また、ポリカプロラクトン系高分子分散剤として、例えば、味の素ファインテクノ(株)製のアジスパー(PB821、PB822、PB823、PB824、PB827)などが挙げられる。
【0042】
また、アクリル系高分子分散剤として、例えば、ビックケミー社製のDisperbyk(2000、2001、2050);エフカケミカルズ社製のEFKA(400、401、4400、4401、403、450、453、4300、4330)などが挙げられる。
【0043】
また、脂肪酸エステル系高分子分散剤として、例えば、ビックケミー社製のDisperbyk(108、104)、Anti−Terra−U;エフカケミカルズ社製のEFKA(1501、1502、1503);味の素ファインテクノ(株)製のアジスパー(PN411、PB817)などが挙げられる。
【0044】
また、ポリエーテル系高分子分散剤として、例えば、ビックケミー社製のDisperbyk(190、181、187)などが挙げられる。
【0045】
また、本発明で使用する着色剤は、R、G、Bのカラーフィルターを形成する着色剤として、高精細な発色性、耐熱性、耐光性、耐薬品性などに優れたものであればいずれの有機顔料あるいは無機顔料を使用することができ、好ましくはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダスレン系、ペリレン系などの有機顔料が使用される。
【0046】
上記の着色剤の内で、得られる感光性着色組成物を半導体レーザーにより高感度で露光硬化してカラーフィルターを得るのにより適している着色剤は、赤色系顔料、および緑色系顔料である。上記の着色剤は、得られる感光性着色組成物への分散を安定化させるために、好ましくは該着色剤と、前記高分子顔料分散剤(c成分)と、前記活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と、あるいは、必要に応じてアルカリ現像液により現像可能なアルカリ可溶性のアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などの活性エネルギー線非硬化性ポリマーとを有機溶媒中に分散させた着色分散液に調製して使用する。
【0047】
前記着色剤としては、例えば、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物、具体的にはカラーインデックス(C.I)番号が付けられたものが挙げられ、赤色系顔料としては、例えば、C.Iピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、107、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、193、194、202、206、207、208、209、215、216、220、224、226、242、243、245、254、255、264、265などの顔料が挙げられる。
【0048】
また、緑色系顔料としては、例えば、C.Iピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55などの顔料が挙げられる。
【0049】
また、青色系顔料としては、例えば、C.Iピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、21、22、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、64、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などの顔料が挙げられる。
【0050】
また、黄色系顔料としては、例えば、C.Iピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、55、60、61、65、71、73、74、81、83、93、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、126、127、128、129、138、139、150、151、152、153、154、155、156、166、168、175、180、185などの顔料が挙げられる。
【0051】
その他、着色剤としては、例えば、C.Iピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、30、31、32、36、37、38、39、40、42、44、47、49、50などのバイオレット顔料;C.Iピグメントオレンジ1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、73などのオレンジ顔料;C.Iピグメントブラウン23、25;C.Iピグメントブラック1、7などの顔料が挙げられる。
【0052】
本発明の感光性着色組成物は、前記の活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と、半導体レーザー重合開始剤(b成分)と、高分子顔料分散剤(c成分)と、着色剤(着色分散液)と、エチレン性不飽和結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマーと有機溶媒および添加剤を配合して、混合分散し、好ましくは濾過して調製される。上記の混合分散は、例えば、ビーズミル、ボールミル、ディゾルバー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、高圧分散機、超音波分散機、好ましくはビーズミルを使用して行われる。使用するビーズは、直径0.1mm〜2mmのジルコニア製のものが好ましく使用される。上記の着色剤は、好ましくは顔料分散液に調製されたものを使用する。上記の顔料分散液は、前記着色剤と、前記高分子顔料分散剤(c成分)と、前記活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)、あるいは、前記のカルボキシル基含有共重合体などからなるアルカリ現像が可能なアルカリ可溶性のアクリル系樹脂などの非光硬化性ポリマーなどのバインダーを配合して有機溶媒中で微細分散を行い調製される。
【0053】
また、前記の添加剤としては、本発明の目的を妨げない範囲において、得られる感光性着色組成物のカラーフィルター用ガラス基板への密着性の向上を目的としてアクリル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤などのシランカップリング剤を、また、該感光性着色組成物のカラーフィルター用ガラス基板へのレベリング性、解像性、密着性などの向上を付与する目的でパーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などのフッ素系界面活性剤、例えば、DIC(ディアイシ)社製のメガファックR−08MHなどが挙げられる。上記の添加剤の配合量は、得られる感光性着色組成物総量に対して、シランカップリング剤が0.1〜0.3質量%、上記界面活性剤が0.1〜0.3質量%(10%溶液)である。
【0054】
本発明の感光性着色組成物の調製に使用される有機溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−ブチル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルなどエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、などのエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、β−プロピオラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチルラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類などの有機溶媒、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0055】
(カラーフィルターの製造方法)
次に、本発明により調製された感光性着色組成物を使用して、カラーフィルターを製造する製造方法について説明する。上記の製造方法としては、例えば、各画素パターンを形成する部分を区画するように遮光層の金属系薄膜のブラックマトリックスが形成されたガラスなどのカラーフィルター用基板上に、本発明の感光性着色組成物を、回転塗布、流延塗布、浸漬塗布、ロール塗布などの公知の塗布方法にて塗布し、予備加熱により有機溶媒を蒸発させ、0.1μm〜10μm、好ましくは1〜3μm(乾燥厚み)の塗膜を形成する。次に、フォトマスクを使用せず、該塗布面に得られる画素のデジタルデーターを半導体レーザー(408nm)露光装置を用いて直接露光することにより、画素情報を書き込む。露光後、半導体レーザーで硬化した塗膜を公知のアルカリ現像液を使用してスプレー法、ディップ法、シャワー法、パドル法などの公知の方法により現像処理を行い、塗膜の未露光部分を溶解除去して、着色された画素が所定の画素パターン区画に形成される。上記画素は、必要に応じて150℃〜250℃で5〜60分程度ポストベークを行う。
【0056】
本発明における半導体レーザー露光装置は、従来の紫外線や他のレーザーの露光装置に比べて装置がコンパクトにでき、画素などの画像データーはラスターイメージプロセッサー(RIP)を通して、半導体レーザー露光装置に出力され直接露光するために、フォトマスク原版を全く使用しないで済む。また、得られる画素の精度も、従来のフォトマスク原版を使用し、紫外線露光して得られる画素の精度に匹敵する。上記の半導体レーザー露光装置で用いられる発振線は、好ましくは408nmの感光波長のものを抽出したものであり、上記感光波長以外の光を光学的に遮断し露光に用いる。上記の半導体レーザー露光装置としては、例えば、(株)日立ハイテクノロジーズ製の半導体レーザー露光装置が挙げられる。上記の波長を有する半導体レーザーが、得られる感光性着色組成物を用いて、高感度で露光硬化し、カラーフィルター用の赤色および緑色の画素を得るのにとくに有効である。
【0057】
また、前記現像に使用されるアルカリ現像液としては、無機アルカリ類、あるいは有機アルカリ類のアルカリ水溶液であり、必要に応じて、界面活性剤や水溶性有機溶剤を適宜含有することができる。上記の無機アルカリ類としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸カリウム、珪酸ナトリウムなどが挙げられる。また、上記の有機アルカリ類としては、1級、2級、および3級のアミン類、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、4級アンモニウム塩、アルコールアミン類、環状アミン類などが挙げられ、具体的には、例えば、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、トリエタノールアミン、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4,3,0]−5−ノナンなどが挙げられる。上記の現像液としては、例えば、ヘンケル・ジャパン(株)から、DisperseHの商品名で入手して本発明で使用することができる。
【実施例】
【0058】
次に本発明の感光性着色組成物E1〜E5と比較例の感光性着色組成物F1〜F5を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中の「部」または「%」とあるのは質量基準である。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0059】
[実施例1〜5](感光性着色組成物E1〜E5)
活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と、半導体レーザー重合開始剤(b成分)と、高分子顔料分散剤(c成分)と、着色剤と、モノマーと、添加剤と、有機溶媒、その他各々の成分を表1のように配合し、ビーズミルを使用して均一に混合分散して感光性着色組成物E1〜E5を調製した。
【0060】
上記の活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)、半導体レーザー重合開始剤(b成分)、高分子顔料分散剤(c成分)、着色剤、モノマー、添加剤、および有機溶媒は下記のとおりである。
[活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)]
[a1]:ベンジルマレイミド/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレートの共重合体(組成比率(質量%)、10/21.2/38.8/30)にグリシジルメタクリレート(MAA換算の10質量%)を付加させた反応生成物([重量平均分子量7,600(GPCのポリスチレン換算分子量)]、[酸価75.1mgKOH/g]、PGMEA40%溶液)
[a2]:ベンジルマレイミド/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/シクロヘキシルメタクリレートの共重合体(組成比率(質量%)、10/21.2/1/67.8)にグリシジルメタクリレート(MAA換算の10質量%)を付加させた反応生成物([重量平均分子量10,900(GPCのポリスチレン換算分子量)]、[酸価92mgKOH/g]、PGMEA41%溶液)((株)日本触媒製、アクリキュアBMX72)
[a3]:ベンジルマレイミド/メタクリル酸/ベンジルメタクリレートの共重合体(組成比率(質量%)、10/38/52)にグリシジルメタクリレート(MAA換算の25質量%)を付加させた反応生成物([重量平均分子量9,100(GPCのポリスチレン換算分子量)]、[酸価69.3mgKOH/g]、EMDG44%溶液)((株)日本触媒製、アクリキュアBMX28)
【0061】
[半導体レーザー重合開始剤(b成分)]
・化合物(w)
前記式(1)で示される化合物(日本シーベルヘグナー社製、Luna 1311A)
・多官能チオール化合物(s)
前記式(2)で示される化合物
【0062】
[高分子顔料分散剤(c成分)]
c1:ウレタン−ポリカプロラクトン系高分子分散剤(ビックケミー社製の[Disperbyk161]、重量平均分子量4,800(GPCポリスチレン換算分子量)、アミン価11)
c2:ポリカプロラクトン系高分子分散剤(味の素ファインテクノ(株)製、[アジスパーPB822]、重量平均分子量7,600(GPCポリスチレン換算分子量)、アミン価14)
【0063】
[着色剤]
着色剤は、下記のとおり、着色剤と、その他の各々の成分とを配合して、着色分散液1(赤1)、着色分散液2(赤2)、着色分散液3(緑1)、および着色分散液4(緑2)の着色分散液に調製したものを使用した。
・着色分散液1(赤1)
C.Iピグメントレッド177が12.0部、非光硬化性ポリマー((株)大成ファインケミカル製、アクリット8DP−082)が12.0部、前記高分子顔料分散剤(c1)が12.0部、酢酸−3−ブチルアセテートが64.0部とを均一に混合分散し着色分散液1を調製した。
・着色分散液2(赤2)
C.Iピグメントレッド254が12.0部、非光硬化性ポリマー(アクリット8DP−082)が8.0部、前記高分子顔料分散剤(c1)が16.0部、酢酸−3−ブチルアセテートが64.0部とを均一に混合分散し着色分散液2を調製した。なお、上記の非光硬化性ポリマーは、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ジメタクリル酸メチルの共重合体(組成比率(質量%)、78.5/11.5/10)、([重量平均分子量13,000(GPCのポリスチレン換算分子量)]、[酸価75mgKOH/g])である。
・着色分散液3(緑1)
C.Iピグメントグリーン36が13.0部、前記高分子顔料分散剤(c2)が10.8部、活性エネルギー線硬化性ポリマー(a2)が37.2部、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが39.0部とを均一に混合分散し着色分散液3を調製した。
・着色分散液4(緑2)
C.Iピグメントグリーン36が6.5部、C.Iピグメントイエロー150が6.5部、前記高分子顔料分散剤(c2)が10.8部、活性エネルギー線硬化性ポリマー(a2)が13.0部、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが63.2部とを均一に混合分散し着色分散液4を調製した。
【0064】
[モノマー(A)]
A1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート酸変性物(東亜合成社製、アロニックスTO−1382D)
【0065】
[添加剤]
・添加剤1
フッ素系界面活性剤(DIC社製の[メガファックR−08MH(ポリプロピレングリコール10%溶液)])
・添加剤2
シランカップリング剤(信越シリコーン社製の[KBM−503])
【0066】
[有機溶媒]
PGMEA:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
ソルフィットAC:3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート
【0067】

【0068】
[比較例1〜5](感光性着色組成物F1〜F5)
表2のように、実施例における半導体レーザー重合開始剤(b成分)を使用せず、下記の光重合開始剤(z)を使用し、活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)としてさらに活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分[a3])を用い、またモノマー(A)としてさらにモノマー(A2)を用い、また、多官能チオール化合物(s)以外に単官能チオール化合物を用い、その他、各々の成分を配合し、ビーズミルを使用して均一に混合分散して感光性着色組成物F1〜F5を調製した。
【0069】
上記の光重合開始剤(z)、モノマー(A2)、および単官能チオール化合物は、下記の通りである。
・光重合開始剤(z)
z1:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1,4’−モルフォリノブチロフェノン(チバ・ジャパン社製、IRGACURE 369)
z2:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1−オン(チバ・ジャパン社製、IRGACURE 907)
z3:4,4’−ビス−ジメチルアミノベンゾフェノン(大同化成(株)製、EAB−SS)
z4:2,2−(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成(株)製、ビイミダゾール)
z5:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン社製、IRGACURE OXE02)
z6:2,2’−ビス(4−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メチルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール(昭和電工(株)製、CN2W2)
z7:2,4,6−トリメチルベンジイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン社製、darocurTPO)
・モノマー(A2):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成社製、アロニックスM−403)
・単官能チオール化合物:2−メルカプトベンゾチアゾール
【0070】

【0071】
前記実施例および前記比較例で得られた各々の感光性着色組成物を使用して、カラーフィルター用ガラス基板(100mm角)上にスピンコーターにて600rpm、2secの条件にて2μmの厚み(乾燥厚み)にスピンコートし、80℃のホットプレート上で3分間予備乾燥させ塗膜を形成した。次に、フォトマスクを使用せず、該塗布面に得られる画素のデジタルデーターを半導体レーザー(408nm)[(株)日立ハイテクノロジーズ製、半導体レーザー露光装置]を用いて直接露光し、次に、ヘンケル・ジャパン(株)製、DisperseHの100倍希釈水溶液を使用して、0.15Mpaの水圧にて60秒間スプレー現像し、現像後、230℃で30分間熱硬化処理して所望の着色画素を形成した。上記の画素を形成するための感光性着色組成物の感度、および露光硬化性に関し下記の測定方法により評価した。評価結果を表3に示す。
【0072】
(感度)
上記画素形成工程における現像において、408nmの半導体レーザーの照射量を変えて露光し、レジストが残ったところの露光量(mJ/cm2)を感度とした。評価結果を表3に示す。上記の感度は、露光量(照射量)の値が小さいほど感度が高く、すなわち、感度が高ければ、それだけ少ない照射量でレジストを感じ(露光)させることができる。一方、その値が大きいほど感度が低い。
【0073】
(露光硬化性)
上記感度測定における、408nmの半導体レーザーの照射量を維持したままで露光し、感光性着色組成物の露光硬化の状態を下記の評価法により評価した。
◎:レジストの露光硬化が、良好に硬化しており実用レベルである。
○:レジストの露光硬化が、やや良好に硬化しており実用レベルである。
△:レジストの露光硬化が、やや劣り実用レベルではない。
×:レジストの露光硬化が、硬化せず実用レベルではない。
【0074】

【0075】
上記の評価結果より、本発明の感光性着色組成物は、半導体レーザー(408nm)により高感度で露光硬化する感光性着色組成物であり、とくに、赤色画素および緑色画素を得るのに有効であることが実証された。一方、半導体レーザー重合開始剤を使用しない比較例である通常の感光性着色組成物は、上記半導体レーザーによる露光感度が劣り、得られるレジスト膜が硬化しない状態であった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の感光性着色組成物は、露光光源として半導体レーザーを使用することにより、フォトマスクを介さないで直接レジストに画素情報を高感度で露光硬化させ、効率よくカラーフィルターが製造できる半導体レーザーで硬化する感光性着色組成物として有効に使用することができる。とくに、赤色画素および緑色画素を得るのに有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と、半導体レーザー重合開始剤(b成分)と、高分子顔料分散剤(c成分)と、着色剤とを含有してなり、上記a成分が(メタ)アクリロイル基と、酸性官能基を含有するポリマーであり、上記b成分が下記式(1)で示される化合物(w)を含有しており、上記c成分のアミン価が5〜30、および重量平均分子量が4,000〜8,000であることを特徴とする半導体レーザーで硬化する感光性着色組成物。

(上記式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、炭素原子に結合している水素原子、塩素原子、またはビニル基のいずれかを表す。)
【請求項2】
前記半導体レーザー重合開始剤(b成分)が、少なくとも分子内に2個のメルカプト基を有する多官能チオール化合物(s)を含有する請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
前記多官能チオール化合物(s)が、下記式(2)で示される化合物である請求項2に記載の感光性着色組成物。

【請求項4】
前記化合物(w)と前記多官能チオール化合物(s)との配合割合が、s/w=5/100〜10/100(質量比)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項5】
活性エネルギー線硬化性ポリマー(a成分)と半導体レーザー重合開始剤(b成分)との配合割合が、b/a=10/100〜350/100(質量比)である請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項6】
前記高分子顔料分散剤(c成分)が、ウレタン−ポリカプロラクトン系高分子分散剤および/またはポリカプロラクトン系高分子分散剤である請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項7】
前記着色剤が、赤色系顔料、および緑色系顔料である請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性着色組成物をカラーフィルター用基板に塗布し、形成された塗膜を408nm(波長)の半導体レーザーで露光する工程を含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。

【公開番号】特開2011−64749(P2011−64749A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212976(P2009−212976)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000183923)株式会社DNPファインケミカル (268)
【Fターム(参考)】