説明

感光性組成物

【課題】従来のカチオン系硬化樹脂が有する良好な接着性をより一層向上させ、樹脂やフィルム等の軟質素材に対しても優れた接着性を発揮する感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(a)エポキシ化合物、(b)水酸基を有するビニルエーテル化合物、オキセタン類からなる群から選ばれる1種以上、(c)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤、(d)リン酸エステル類、を含有することを特徴とする感光性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー線の照射により極めて高速に硬化塗膜を形成することができ、且つそれにより形成された塗膜は、樹脂、金属、ガラスといった様々な材質やまた、フィルム等の軟質素材に対し良好な密着性を有する感光性組成物及び硬化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機溶媒の排出がない点や高速硬化の点から紫外線硬化型樹脂が注目されており、その用途はDVDやBlu−rayディスク等の光ディスクのコーティングや接着、インクジェットプリンターやグラビア印刷、フレキソ印刷用のインク、液晶やPDPディスプレイ用のカラーフィルター形成材料、液晶や有機EL用のシール材等多岐に渡る。その中でラジカル重合反応により硬化される(メタ)アクリレート系材料を使用する方法が知られている。しかしながらラジカル硬化系には、硬化収縮が大きいという欠点があり、この収縮により基材との接着性が低下するという不都合が発生する。この問題を解決する方法として、ラジカル硬化系ではなく、カチオン硬化系材料を使うことが挙げられる。エポキシやビニルエーテル、オキセタン等の材料を使用したカチオン硬化系材料は、(a)酸素による硬化阻害を受け難いため、表面および薄膜硬化性に優れる、(b)硬化収縮が小さい、(c)ラジカル硬化系に比べガラス等の基材に対し良好な接着性を有する等、優れた特長を有するものである。
カチオン硬化系材料としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/019299号パンフレット
【特許文献2】特開2000−26830号公報
【特許文献3】特開2001−125474号公報
【0004】
特許文献1においては、優れた速硬化性とガラス等の基材には良好な接着性を有するものの、PC他の樹脂基材においての記載がされていない。また、特許文献2においては、エポキシ化合物とゴム弾性を有する化合物、可塑剤を含有した組成物が記載されているが、粘度が高く課題が残る。
特許文献3にカチオン硬化系化合物とラジカル硬化系化合物を併用した組成物が提案されているが、ラジカル系を含むため、接着性に課題がある。この様に、より高い接着性と粘度、硬化性を同時に満たすカチオン重合性硬化材料が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のカチオン系硬化樹脂が有する良好な接着性をより一層向上させ、特に樹脂やフィルム等の軟質素材に対する良好な接着性を有し、同時に速硬化性を満たす組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、様々な基材、特に樹脂やフィルム等の軟質素材に対する接着性に優れたカチオン重合性感光性組成物を見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、次の通りのものである。
1.(a)エポキシ化合物、(b)水酸基を有するビニルエーテル化合物、オキセタン類からなる群から選ばれる1種以上、(c)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤、(d)リン酸エステル類、を含有することを特徴とする感光性組成物。
2.(d)リン酸エステル類が、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−
2−エチルヘキシル、からなる群から選ばれる1種以上である上記1.に記載の感光性組成物。
3.(d)リン酸エステル類の含有量が、リン換算で500ppm〜50000ppmである上記1.又は2.に記載の感光性組成物。
【0007】
4.(e)多価フェノール化合物、該多価フェノール化合物の誘導体からなる群から選ばれる1種以上を更に含有する上記1.〜3.のいずれか1項に記載の感光性組成物。
5.(e)多価フェノール化合物、該多価フェノール化合物の誘導体からなる群から選ばれる1種以上が、3−5個のフェノール性芳香環からなり、そのすべての水酸基のいずれのオルト位にも、炭素数4以上からなるアルキル基またはシクロアルキル基のいずれもが置換されておらず、かつその水酸基の少なくとも一方のオルト位が無置換であるフェノール性芳香環を2個以上有する化合物である上記4.に記載の感光性組成物。
6.下記一般式(1)で表される(f)反応性有機ケイ素化合物及び/またはその加水分解物を含有する上記1.〜5.のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(RSiX4−n ・・・・・(1)
(式中、Rは炭素数が1〜20のアルキル基、Xは加水分解性基、nは0〜3の整数を表す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明のカチオン重合性感光性組成物及びその硬化物を用いることにより、樹脂やフィルム等の軟質素材に対する接着性が良好となり、同時に良好な粘度安定性、速硬化性を実現する。更に本発明の感光性組成物及びその硬化物は加工性にも優れ、また硬化時の収縮も少ないので、インキ、接着剤、塗料、フィルムコーティング、パターン形成材料特にはインクジェットプリンター用インキ、グラビア印刷用インキ、フレキソインキ、光学部品用、電子部品用における接着剤、コート材、液晶やPDPディスプレイ用のカラーフィルター形成材料、フォトレジスト、シール材、封止材、絶縁材などの用途として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明における成分(a)のエポキシ化合物とは、エポキシ基を有するカチオン重合性化合物をいう。カチオン性重合性化合物とは、プロトン等のLewis酸により重合が起こる化合物をいう。エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物等が例示でき、その中でも1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
【0010】
グリシジルエーテル型エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、p−tert−ブチルフェノールノボラック型エポキシ化合物といったアルキルフェノールノボラック型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ及び/又はトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリ及び/又はテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘプタ及び/又はヘキサグリシジルエーテル、レゾルシン
ジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン・フェノール付加型グリシジルエーテル、メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0011】
脂環式エポキシ化合物の具体例としては、単官能脂環式エポキシ化合物として、4−ビニルエポキシシクロヘキサン(例えばセロキサイド2000:ダイセル化学工業社製等)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、ETHB(ダイセル化学工業社製)が挙げられる。2官能脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えばセロキサイド2021:ダイセル化学工業社製、サイラキュアUVR−6105:ダウ・ケミカル日本社製等)、3,4−エポキシシクロヘキシルオクチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えばセロキサイド2080:ダイセル化学工業社製等)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えばUVR−6128:ダウ・ケミカル日本社製等)、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、1,2,8,9−ジエポキシリモネン(例えばセロキサイド3000:ダイセル化学工業社製等)が挙げられる。多官能脂環式エポキシ化合物としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキセン付加物(例えばEHPE3150:ダイセル化学工業社製等)等が挙げられる。多官能脂環式エポキシ化合物としては、エポリードGT300、GT400、EHPE3150(ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
【0012】
その他のエポキシ化合物の具体例としては、エポキシ化ポリブタジエン(例えばエポリードPB3600:ダイセル化学工業社製等)、エポフレンドAT501、CT310(ダイセル化学工業社製)等を用いることができる。
エポキシ基化合物としては、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、また、脂環式エポキシ化合物がカチオン重合反応性に優れるため好ましい。エポキシ化合物は、1種単独あるいは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0013】
本発明において用いられる感光性組成物中の(a)エポキシ化合物の実際の配合割合としては、それぞれの化合物の分子量にもよるが、30〜98重量%であることが好ましい。この範囲にある時に良好な硬化性を有する。より好ましい範囲は30〜89重量%である。更に、よりいっそう好ましい範囲は55〜89重量%である。
また、成分(b)水酸基を有するビニルエーテル化合物及び/またはオキセタン類を本発明の感光性組成物中に加えることにより、より一層優れた硬化性や耐水性を有する光硬化物を得ることができる。
【0014】
水酸基を有するビニルエーテル化合物としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールモノビニルエーテル、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールト
リビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリシクロデカンジオールモノビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールモノビニルエーテル等を挙げることができる。
【0015】
オキセタン類とは4員環エーテル類をいい、分子中にオキセタン環を少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されるものではない。例えば光硬化性を向上させる、特にキセノンランプ等の長波長領域ランプでの硬化性を向上させる場合には、エポキシ化合物とオキセタン化合物を併用するのが好ましい。
オキセタン環を1個有する化合物の具体例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(例えばアロンオキセタンOXT−101:東亞合成社製等)、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシ)メチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルシクロヘキシロキシメチル)オキセタン(例えばアロンオキセタンOXT−212:東亞合成社製等)、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(例えばアロンオキセタンOXT−211:東亞合成社製等)、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0016】
オキセタン環を2個以上有する化合物の具体例としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン(例えばアロンオキセタンOXT−121:東亞合成社製等)、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタニル)メトキシ]メチル}オキセタン(例えばアロンオキセタンOXT−221:東亞合成社製等)1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、1,2−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕エタン、1,3−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデ
カンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールFビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート、フェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
オキセタン化合物の中でもOXT−101、OXT−221、OXT−121が硬化性、硬化膜性能の観点で好ましく、硬化性という観点ではOXT−101がより好ましく、耐透湿性という観点ではOXT−121がより好ましい。これらの水酸基を有するビニルエーテル化合物及び/またはオキセタン類は、1種単独あるいは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0017】
また、成分(b)としては、速硬化性という点で水酸基を有するビニルエーテル化合物が好ましい。
感光性組成物中の(b)水酸基を有するビニルエーテル化合物及び/またはオキセタン類の実際の配合割合としては、それぞれの化合物の分子量にもよるが、1〜69重量%であることが好ましい。この範囲にある時に良好な硬化性と硬化膜特性を有する。より好ましい範囲は10〜69重量%である。更に、よりいっそう好ましい範囲は10〜44質量%である。
また、(a)エポキシ化合物との配合割合は、エポキシ化合物が成分(b)よりも多く含有しているものが好ましい。
【0018】
本発明で用いられる成分(c)のエネルギー線感受性カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましいものとしては照射により酸が発生するオニウム塩である。このようなものとしては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩等が挙げられ、これらはカチオン部分がそれぞれ芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族スルホニウムであり、アニオン部分がBF、PF、SbF、[BX(ただし、Xは少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基)等により構成されたオニウム塩である。
【0019】
より具体的な例としては、四フッ化ホウ素のアリールジアゾニウム塩、六フッ化リンのトリアリールスルホニウム塩、六フッ化リンのジアリールヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのトリアリールホスホニウム塩、六フッ化アンチモンのジアリールヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリアリールスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジアリールヨ
ードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体等を挙げることができる。オニウム塩の具体例としては、CD−1012(SARTOMER社製)、PCI−019、PCI−021(日本化薬社製)、オプトマーSP−150、オプトマーSP−170(旭電化社製)、UVI−6990(ダウケミカル社製)、CPI−100P、CPI−100A(サンアプロ社製)、TEPBI−S(日本触媒社製)、Rhodorsil2074(Rhodia社製)等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用することもできる。この中で、硬化膜の着色が少ないスルホニウム塩、ヨードニウム塩の開始剤が好ましく、硬化性の点からスルホニウム塩がより好ましい。
【0020】
成分(c)と共に、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン、アントラセン、これらの化合物の誘導体等の光増感剤を併用することもでき、具体例としては、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4’−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
成分(c)の含有量は好ましくは0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.2〜15重量%である。生産性の観点から、開始剤を過剰に使用しない方が望ましく、開始剤を過剰に使用すると、光線透過率が低下し、膜底部の硬化が不足したり、腐食性が強くなる場合がある。また少な過ぎる場合、エネルギー線照射により発生する活性カチオン物質の量が不足し、十分な硬化性や硬化物が得られなくなる場合がある。
【0021】
本発明中の感光性組成物に成分(d)リン酸エステル類を添加することにより、良好な接着性を実現する。リン酸エステル類としては、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル等が挙げられる。
この中で接着性の面から、より好ましくはリン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシルが挙げられる。また、成分(d)の添加量は、その他の成分の総量に対して50〜100000ppmであることが好ましい。この範囲にある時に良好な接着性と硬化性を有する。より好ましくは100〜50000ppmである。さらにリン成分として500ppm以上含有する時に、より一層好ましい接着性を有する。さらにより一層好ましい添加量としてはリン成分として600ppm以上含有する場合である。
【0022】
本発明で用いられる成分(e)の、多価フェノール化合物とは、複数のフェノール性芳香環からなる化合物である。ここでいう、フェノール性芳香環とは、フェノール性水酸基を有する芳香環のことである。
多価フェノール化合物の誘導体とは、フェノール性水酸基の水素原子が重合性官能基に置換された化合物である。ここでいう重合性官能基は、カチオン重合の際に反応するものである。
【0023】
多価フェノール化合物およびその誘導体(e)は、そのすべての水酸基のいずれのオルト位にもメチロール基を有さないものが好ましい。すなわち、一般にレゾール樹脂と呼ばれる分子中にメチロール基を有するものでないことが好ましい。メチロール基はエポキシ基との反応性は有するが、反応の結果形成された結合は酸性条件下で不安定であり、硬化後に得られる膜硬度が経時で低下する問題がある為好ましくない。さらに、多価フェノール化合物(e)は、オルト位に炭素数4以上から成るアルキル基またはシクロアルキル基を有さないものが好ましく、特に嵩高いt−ブチル基等のヒンダードフェノールといった、一般にラジカル禁止剤や酸化防止剤と呼ばれるフェノール化合物以外のものが好ましい。これは、多価フェノール化合物(e)は、そのフェノール性水酸基が直接光硬化反応に関与するため、反応の阻害因子となる嵩高い置換基がフェノール性水酸基のオルト位に置
換したものは好ましくないからである。
【0024】
さらに、多価フェノール化合物(e)は、フェノール性芳香環が3〜5個から成り、且つ、その分子中に、その水酸基の少なくとも一方のオルト位が無置換であるフェノール性芳香環を、少なくとも2つ以上有することが好ましい。1〜2個のフェノール性芳香環では、光硬化反応において、効率的に架橋構造を形成することができず、また6個以上の場合、架橋反応に関与しないフェノール性水酸基が発生し硬化性および硬化膜物性に悪影響を及ぼす。
好ましい多価フェノール化合物としては、例えば下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる、
【0025】
【化1】

(式中Rは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アリール基またはアラルキル基を示し、式中の複数のRはすべて互いに異なっていても同一でもよく、mは0〜3の整数、nは1〜3の整数である)、
【0026】
この上記一般式(2)で表される多核フェノール化合物は、成分(a)のエポキシ化合物や水酸基を含有するビニルエーテルまたはオキセタンとの相溶性及び反応性に優れ好ましい。
上記一般式(2)で表される多価フェノール化合物において、mは1〜3であるのが好ましく、より好ましくは1である。また、mが1〜3の場合、置換基Rはベンゼン環の水酸基に対しパラ位に結合したものが好ましい。ここでRは、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が好ましい。例えば、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、t−アミル基等が挙げられる。炭素数5〜10のシクロアルキル基としては、炭素数6のシクロヘキシル基が好ましい例として挙げられ、炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ブトキシ基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、アラルキル基としては例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α、α’ジメチルベンジル基等が挙げられる。
市販されているものとしては、例えば新規分子量分布集約型ノボラック樹脂:PAPS(製品名:旭有機材工業社製)が、本発明の多価フェノール(e)として好適に用いられる。
【0027】
多価フェノール化合物(e)の合成に用いられるR置換フェノールの具体的な例としては、フェノール、p−クレゾール、m−クレゾール、p−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−プロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、m−sec−ブチルフェノール、p−t−アミルフェノール、m−t−アミルフェノール、p−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−(α−メチルベンジル)フェノール、m−(α−メチルベンジル)フェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−メトキシフェノール、
m−メトキシフェノール、p−クロロフェノール、m−クロロフェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等が挙げられる。
成分(e)の多価フェノール化合物の添加量としては、0.1〜40重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20重量%である。この範囲にある時に好ましい硬化性と耐水性の両立が可能となる。
【0028】
本発明はさらに、上記一般式(1)で表される成分(f)反応性有機ケイ素化合物を低粘度と硬化性の両立を目的に添加することを可能とする。(f)反応性有機ケイ素化合物は、上記一般式(1)の用件を満たす化合物であれば特に制限するものではない。具体的には、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメトキシジイソプロポキシシラン、ジエトキシジイソプロポキシシラン、ジエトキシジブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシランなどのトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類を単独でも2種以上組み合わせて使用しても良い。また、既存の方法(例えば特開昭60−18657号公報、特開2000−1648号公報、作花済夫著「ゾル−ゲル法の科学」p.9)により(f)反応性有機ケイ素化合物を1種または2種以上を用いて、縮合反応を行うことで得られる反応性有機ケイ素化合物の加水分解物を使用しても良い。
成分(f)の反応性有機ケイ素化合物を添加する場合、その添加量は(a)エポキシ化合物+(b)水酸基を有するビニルエーテル及び/またはオキセタン類に対して重量比で、成分(a)+成分(b)/成分(f)が、10/100〜500/100の範囲にあることが好ましい。この範囲にある時に、優れた硬化性と作業性に優れた粘度の両立が可能となる。
【0029】
本発明の感光性組成物には、硬化性や硬化時の膜物性に悪影響を及ぼさない程度にカチオン重合性を示す他の添加物を添加することができる。これらの化合物としては水酸基を含有しない多官能ビニルエーテルが挙げられる。具体的には、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。
【0030】
また、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、以外の環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、環状カーボネート化合物等が挙げられる。
また従来用いられる、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールを、硬化性を損なわない範囲で用いることもできる。
【0031】
本発明の感光性組成物には、さらに必要に応じて(メタ)アクリレートモノマー類やオリゴマー類、および光ラジカル開始剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、ワックス類、酸化防止剤、非反応性ポリマー、微粒子無機フィラー、シランカップリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、腐食防止剤等を添加することもできる。腐食防止剤としては、例えば、イオン交換体、多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、有機錫化合物、スルフィド化合物等が挙げられる。
【0032】
本発明の感光性組成物を硬化させるのに使用できる光源としては、所定の作業時間内で硬化させることができるものであれば特に制限はなく、通常、紫外線、可視光線の波長の光を照射できるものであり、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド灯、無電極放電ランプ等が挙げられる。
なお、硬化を促進するために、上記方法で得られた硬化物を恒温槽、赤外線ヒーター等で加温しても良い。
【実施例】
【0033】
本発明を実施例に基づいて説明する。
<硬化膜の特性評価>
(1)タックフリー露光量(TFED):露光後皮膜を触診観察し、表面が硬化しベタツキがなくなるのに必要な最小露光量を求めた。
○:TFED 120mJ/cm以下 ×:TFED 120mJ/cm超える
○を合格、×を不合格とした。
(2)転化率:FT−IRによりエポキシ基の紫外線照射前後における吸収の減少率から反応率を算出して求めた。
◎:90%以上 ○:70%以上90%未満 ×:70%未満
◎、○を合格、×を不合格とした。
(3)接着性:PC基板上に形成された硬化膜(厚さ約10μm)に対し碁盤目テープ剥離試験を行い、残存率の測定を行った。
◎:残存マス目 100/100 ○:残存マス目 80/100以上100/100未満 ×: 残存マス目 80/100未満
◎、○を合格、×を不合格とした。
【0034】
[実施例1]
成分(a)のエポキシ化合物に該当するものとして、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを60重量部、成分(b)として、ヒドロキシブチルビニルエーテル18重量部、成分(c)のエネルギー線感受性カチオン重合開始剤としてスルホニウムPF塩型のCPI−100P(製品名:サンアプロ社製)4重量部、成分(e)多価フェノール化合物としてフェノール3〜5核体の含有率が50wt%のp−tert−Bu−フェノールノボラック樹脂(PAPSシリーズ:旭有機材工業社製)3重量部、成分(f)反応性有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン15重量部、成分(d)として、成分(a)、(b)、(c)、(e)、(f)に対して0.30重量部のリン酸トリエチルを添加した物を十分混合することにより透明な感光性組成物を得た。
【0035】
このようにして得られた感光性組成物の粘度を23℃で40日間保管した時の粘度を粘度計(TVE−20LT)を使用して測定した所、保管前後での粘度変化は1mPa・s未満であり保存安定性は良好であった。
また、感光性組成物の特性を評価するために、まずバーコーターを用い膜厚12μmになるように塗工した後、400W高圧水銀灯露光機(セン特殊光源社製)でTFED、転化率を測定した。次にTFED相当を照射し、得られた硬化膜の接着性を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
[実施例2]
成分(d)としてリン酸トリエチルを、成分(a)、(b)、(c)、(e)、(f)に対して1.00重量部を用いる以外は、実施例1と同様にして感光性組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
成分(d)としてリン酸トリフェニルを、成分(a)、(b)、(c)、(e)、(f)に対して0.55重量部を用いる以外は、実施例1と同様にして感光性組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0037】
[実施例4]
成分(d)としてリン酸トリブチルを、成分(a)、(b)、(c)、(e)、(f)に対して0.60重量部を用いる以外は、実施例1と同様にして感光性組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
成分(a)のエポキシ化合物に該当するものとして、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを35重量部、成分(b)としてアロンオキセタンOXT−121(東亞合成社製)63重量部、成分(c)のエネルギー線感受性カチオン重合開始剤としてヨードニウム塩型のRhodorsil2047(Rhodia社製)2重量部、成分(d)として、成分(a)、(b)、(c)に対して0.80重量部のリン酸トリフェニルを添加した物を十分混合することにより透明な感光性組成物を得た。特性評価は実施例1と同様にして行った。
【0038】
[比較例1]
成分(a)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを96重量部、及び成分(c)としてCPI−100Pを4重量部から成るエポキシ樹脂のみで構成される感光性組成物を得た。この組成物の性能評価結果を表1に示す。
[比較例2]
成分(a)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを48重量部、成分(b)としてアロンオキセタンOXT−121を48重量部、成分(c)としてCPI−100Pを4重量部の割合で配合し、十分混合することにより透明な感光性組成物を得た。特性評価は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
【0039】
以上の結果から、本発明に係わるカチオン重合性感光性組成物は、比較例に示されるエポキシ樹脂単独系、エポキシ樹脂とオキセタン化合物の併用系から成る従来のカチオン型感光性組成物に比べ、優れた光硬化性を有しながら、十分な樹脂接着性を示すことがわかる。このことから、本発明に係わるカチオン重合性感光性組成物及びその硬化物を用いたインクジェットプリンター用組成物やフレキソ印刷、グラビア印刷用組成物、光透過層を形成する光ディスクや、本発明に係わるカチオン重合性感光性組成物をシール材またはカラーフィルターとするLCD、有機ELD、電位ペーパー等のフラットパネルディスプレイは、本感光性組成物の優れた接着性から、高い信頼性が期待でき、且つその速硬化性から生産性の向上を可能とするものである。
【0040】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の感光性組成物及びその硬化物は、これまでのカチオン重合性組成物からなる感光性組成物から、より一層優れた接着性を有するので、フィルム等の軟質素材への印刷や、樹脂への接着用途で好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エポキシ化合物、(b)水酸基を有するビニルエーテル化合物、オキセタン類からなる群から選ばれる1種以上、(c)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤、(d)リン酸エステル類、を含有することを特徴とする感光性組成物。
【請求項2】
(d)リン酸エステル類が、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、からなる群から選ばれる1種以上である請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
(d)リン酸エステル類の含有量が、リン換算で500ppm〜50000ppmである請求項1又は2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
(e)多価フェノール化合物、該多価フェノール化合物の誘導体からなる群から選ばれる1種以上を更に含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
(e)多価フェノール化合物、該多価フェノール化合物の誘導体からなる群から選ばれる1種以上が、3−5個のフェノール性芳香環からなり、そのすべての水酸基のいずれのオルト位にも、炭素数4以上からなるアルキル基またはシクロアルキル基のいずれもが置換されておらず、かつその水酸基の少なくとも一方のオルト位が無置換であるフェノール性芳香環を2個以上有する化合物である請求項4に記載の感光性組成物。
【請求項6】
下記一般式(1)で表される(f)反応性有機ケイ素化合物及び/またはその加水分解物を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(RSiX4−n ・・・・・(1)
(式中、Rは炭素数が1〜20のアルキル基、Xは加水分解性基、nは0〜3の整数を表す。)

【公開番号】特開2008−38114(P2008−38114A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218361(P2006−218361)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】