説明

感光性転写材料、カラーフィルタおよびその製造方法

【課題】高速で転写を行っても転写不良が起こりにくく、高湿雰囲気下で保存してもレチキュレーション、熱可塑性樹脂層の染み出しが発生しにくい感光性転写材料を提供する。
【解決手段】仮支持体上に、該仮支持体側から順に、I/O値が0.30〜0.45である化合物を含有するアルカリ可溶な熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とを有する感光性転写材料である。前記化合物のI/O値は、0.32〜0.43であることが好ましく、前記熱可塑性樹脂層が、前記化合物を、前記熱可塑性樹脂層の全質量に対して0.5〜20質量%含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性転写材料、カラーフィルタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタの製造方法は、種々の方法があり、例えば、感光性転写材料を用いて製造する方法が知られている(たとえば、特許文献1、参照)。この方法では、感光性転写材料を透明基板にラミネートした後、仮支持体を剥離してから露光、現像を行なうことにより透明基板上に所望の画素を形成する手法が用いられる。この場合、凹凸のある基板に、感光性樹脂層と基板の間に気泡を閉じ込める転写不良が発生することがあった。
【0003】
その転写不良防止のために、感光性転写材料に熱可塑性樹脂層を設けることが提案されている(たとえば、特許文献2、参照)。
しかしながら、近年、感光性転写材料の転写速度が大きくなり、優れた転写不良防止技術が求められるようになってきている。高速での転写を可能にするために熱可塑性樹脂層に可塑剤を添加する方法が提案されており、可塑剤の例として、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェートが挙げられている(たとえば、特許文献3、参照))。
【特許文献1】特開平9−197665号公報
【特許文献2】特開平5−72724号公報
【特許文献3】特開平9−199665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱可塑性樹脂層に可塑剤を添加すると、高速転写には有利である。しかし、その一方で、上記可塑剤は親水性であることから、感光性転写材料が柔らかく、レチキュレーション(しわの発生)の原因となり、また、感光性転写材料を巻いて保管する際等において、感光性転写材料の脇から熱可塑性樹脂層が染み出す問題があった。これは、親水性の可塑剤の添加により、感光性転写材料を転写する際の高温時の熱可塑性樹脂層の粘度と、室温時の熱可塑性樹脂層の弾性率や粘度が、それぞれ低下するために起こるものである。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、高速で転写を行っても転写不良が起こりにくく、高湿雰囲気下で保存してもレチキュレーション、熱可塑性樹脂層の染み出しが発生しにくい感光性転写材料、それを用いたカラーフィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 仮支持体上に、該仮支持体側から順に、I/O値が0.30〜0.45である化合物を含有するアルカリ可溶な熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とを有する感光性転写材料である。
<2> 前記化合物のI/O値が、0.32〜0.43であることを特徴とする前記<1>に記載の感光性転写材料である。
<3> 前記熱可塑性樹脂層が、前記化合物を、前記熱可塑性樹脂層の全質量に対して0.5〜20質量%含有することを特徴とする前記<1>または<2>に記載の感光性転写材料である。
<4> 前記熱可塑性樹脂層と前記感光性樹脂層との間に、少なくとも1層の中間層を有することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性転写材料である。
<5> 前記熱可塑性樹脂層が、可塑剤を更に含有することを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性転写材料である。
【0007】
<6> 前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性転写材料を用いて、基板上に少なくとも感光性樹脂層を転写する転写工程と、前記基板上に転写された少なくとも前記感光性樹脂層を露光する露光工程と、前記露光後の前記感光性樹脂層を現像する現像工程と、を有するカラーフィルタの製造方法である。
<7> 前記<6>に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高速で転写を行っても転写不良が起こりにくく、高湿雰囲気下で保存してもレチキュレーション、熱可塑性樹脂層の染み出しが発生しにくい感光性転写材料、それを用いたカラーフィルタおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<感光性転写材料>
本発明の感光性転写材料は、仮支持体上に、該仮支持体側から順に、I/O値が0.30〜0.45である化合物を含有するアルカリ可溶な熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とを有するが、さらに、中間層や、その他の層を設けてもよい。
【0010】
[仮支持体]
仮支持体としては、可撓性を有し、加圧下又は、加圧及び加熱下で著しい変形、収縮もしくは伸びを生じない材料を用いることができる。このような材料の例として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0011】
仮支持体の厚みには、特に制限はなく、5〜200μmの範囲が一般的であり、取扱い易さ、汎用性などの点で、特に10〜150μmの範囲が好ましい。
また、仮支持体は透明でもよいし、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していてもよい。
【0012】
[熱可塑性樹脂層]
本発明における熱可塑性樹脂層は、アルカリ可溶に構成されるとともに、I/O値が0.30〜0.45である化合物の少なくとも1種を含有する。この化合物を含有することにより、高温時に低粘度を得て、転写性を保持するとともに、保存時(室温時)において粘度を保って、レチキュレーションや染み出しの発生を防止することができる。さらに、可塑剤を含有することが好ましく、他の成分を含んでいてもよい。
【0013】
−I/O値が0.30〜0.45である化合物−
本発明の熱可塑性樹脂層に用いられる前記化合物は、I/O値が0.30〜0.45であり、好ましくは、0.32〜0.43である。前記I/O値が0.30未満であると、感光性転写材料の保存中に、この化合物が熱可塑性樹脂層の層外に析出する現象−いわゆる泣き出し−が発生し、I/O値が0.45を超えると感光性転写材料のレチキュレーション(しわの発生)が悪化する。
I/O値とは、化合物の親疎水性を現す尺度であり、たとえば「甲田善生著、有機概念図−基礎と応用−(三共出版(株)、昭和59年発行)」に、詳細に記載されている。Iは無機性をOは有機性を表し、I/O値が大きいほど無機性が大きい(極性高く親水性が大きい)ことを示す。
【0014】
本発明の熱可塑性樹脂層に用いられる前記化合物は、I/O値が0.30〜0.45であれば特に制限は無いが、熱可塑性の化合物であることが好ましく、好ましい具体例としては、ステアリン酸(0.42)、ベヘン酸(0.34)、パルミチン酸アミド(0.42)、ステアリン酸アミド(0.38)、ベヘン酸アミド(0.31)、オレイン酸アミド(0.38)、エルカ酸アミド(0.31)、アジピン酸ジオクチル(0.43)、アジピン酸ジノニル(0.35)、セバシン酸ジオクチル(0.35)などを挙げることができる。カッコ内の数字はその化合物のI/O値を示す。
これらの中でも、溶剤への溶解度の点で、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジノニル、セバシン酸ジオクチルは、特に好ましい化合物である。
【0015】
前記化合物の熱可塑性樹脂層中の含有量は、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.5〜20質量%が好ましく、0.8〜10質量%がより好ましい。添加量が0.5質量%以上あれば、転写性改良効果があり、また、20質量%以内であれば、感光性転写材料の保存中に、この化合物が層外に析出することを防止することができる。
【0016】
−アルカリ可溶性−
本発明におけるアルカリ可溶とは、下記のアルカリ物質の水溶液、又はこれに水と混和性のある有機溶媒を混合したものに可溶であることをいう。
適当なアルカリ性物質はアルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えぱ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えぱテトラメチルアンモニウムヒドロキシド)または燐酸三ナトリウムなどである。アルカリ性物質の濃度は、処理速度の点で、0.01質量%〜30質量%であることが好ましく、同じく処理速度の点で、pHは8〜14であることが好ましい。
【0017】
水と混和性の有る適当な有機溶剤は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カブロラクタム、N一メチルピロリドンなどである。水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%である。またさらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0018】
−熱可塑性樹脂−
本発明における熱可塑性樹脂層には、前記化合物に加え、さらに、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ゴム系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびこれらの共重合体等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0019】
具体的には、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル3元共重合体、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチックエ業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著 工業調査会発行、1968年10月25目発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なもの、などから少なくとも1つが挙げられる。
【0020】
これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。充分なクッション性と転写後の除去のしやすさの点で、異なる2種類の特性を有する樹脂(好ましくは後述のポリマーP及びポリマーP)を混合して用いることが好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称し、その誘導体の場合も同様である。
【0021】
上記の熱可塑性樹脂の中でも、好ましくは、重量平均分子量が5万〜50万で、且つガラス転移温度(Tg)が0〜140℃の範囲の樹脂〔以下、熱可塑性樹脂(a)ともいう〕を、更に好ましくは重量平均分子量が6万〜20万で,且つガラス転移温度(Tg)が30〜110℃の範囲の樹脂を、選択して使用することができる。これらの樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59−44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、OLS3504254号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64−55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特願平4−39653号、特開平5−241340号の各公報又は明細書に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。特に好ましいのは、特開昭63−147159号公報に記載されたメタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体である。
【0022】
また、上記した種々の樹脂のうち、低分子側では、好ましくは重量平均分子量が3千〜3万で、且つガラス転移温度(Tg)が30〜170℃の範囲の樹脂〔以下、熱可塑性樹脂(b)ともいう〕を、更に好ましくは重量平均分子量が4千〜2万で、且つガラス転移温度(Tg)が60〜140℃の範囲の樹脂を、選択して使用することができる。好ましい具体例は、上記の各公報等に記載されているものの中から選ぶことができるが、特に好ましくは、特公昭55−38961号公報、特開平5−241340号公報に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0023】
熱可塑性樹脂(a)の重量平均分子量が5万以上、又はガラス転移温度(Tg)が0℃以上あれば、レチキュレーションの発生を防止し、転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出すことを抑制することができる。熱可塑性樹脂(a)の重量平均分子量が50万以内であり、又はガラス転移温度(Tg)が140℃以下であれば、転写時に画素間に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が低下することを抑えることができる。
【0024】
熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂(b)の重量平均分子量が3千以上、又はガラス転移温度(Tg)が30℃以上あれば、レチキュレーションの発生を防止し、転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出すことを抑制することができる。熱可塑性樹脂(b)の重量平均分子量が3万以内であり、又はガラス転移温度(Tg)が170℃以下であれば、転写時に画素間に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が低下することを抑えることができる。
【0025】
更には、上記のように異なる2種類の特性を有する樹脂、具体的には、高分子量ポリマーPと低分子量ポリマーPとを混合して用いることが好ましい。ここで、低分子量ポリマーとは、重量平均分子量が4,000以上12,000未満のポリマーであり、高分子量ポリマーとは重量平均分子量が12,000以上のポリマーである。
好ましい形態は、充分なクッション性と転写後の除去のしやすさの点で、重量平均分子量が5,000以上10,000未満のPと重量平均分子量が60,000以上120,000未満のPとを混合して用いる場合であり、好ましい例として、メタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体(P)とスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体(P)とを混合して用いる場合が挙げられる。
【0026】
異なる2種類の特性を有する樹脂を混合する場合、例えば、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)とを混合して使用する場合には、その混合比は、熱可塑性樹脂(a)の比率が95質量%〜5質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂(a)の比率が95%以内であれば、転写時に画素間に気泡が入りにくく、熱可塑性樹脂(a)の比率が5%以上あれば、熱可塑性樹脂が周囲にはみ出しにくく、また、熱可塑性樹脂層が脆くなることを防ぐことができるので、裁断工程で微細な切り屑が飛散しにくい。
【0027】
−可塑剤−
本発明において、熱可塑性樹脂層には、可塑剤として、仮支持体との接着力及び/又は転写性を調節するために、各種のポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤、離型剤等を加えることで熱可塑性樹脂層のガラス転移温度(Tg)を微調整することが可能である。ここでの可塑剤は、前記I/O値が0.30〜0.45である化合物以外の化合物である。
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、フタル酸ジエステル類、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物等を挙げることができる。これらの可塑剤のなかでも、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンは特に好ましい。
【0028】
前記熱可塑性樹脂と前記可塑剤との組み合わせとして、好ましくは、1)メタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物の組み合わせ、2)メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物の組み合わせ、3)メタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、フタル酸ジエステル類の組み合わせ、4)メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、フタル酸ジエステル類の組み合わせ、5)メタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリレート共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンとの縮合反応生成物の組み合わせなどを挙げることができる。
可塑剤の量は、熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂の合計に対して、好ましくは質量比で0〜200%、より好ましくは20〜100%である。
【0029】
熱可塑性樹脂の厚みは6μm以上が好ましい。熱可塑性樹脂の厚みが6μm以上であると、1μm以上の下地の凹凸を十分に吸収することができる。また、上限については、アルカリ水溶液除去性、製造適性から約100μm以下、好ましくは約50μm以下である。
【0030】
本発明における熱可塑性樹脂層の塗布液としてはこの層を構成する樹脂を溶解する限り特に制限なく使用でき、例えばメチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を使用できる。
【0031】
[感光性樹脂層]
本発明における感光性樹脂層を構成する感光性樹脂組成物としては、架橋性のバインダー(以下、「架橋性基を有する高分子化合物(A)」、単に「樹脂(A)」とも言う。)、重合性化合物(B)(以下、単に「モノマー」とも言う。)、光重合開始剤(C)を含有することが好ましい。また、必要に応じて、着色剤や界面活性剤などのその他の成分を用いて構成することができる。
【0032】
―樹脂(A)―
本発明における感光性樹脂組成物において、樹脂(A)は架橋性のバインダーであり、スペーサーや着色画素等の積層体を形成した場合にバインダー成分としての機能を有するものである。
例えば、それ自体架橋性・重合性を有する、特開2003−131379の段落番号[0031]〜[0054]に記載の光により重合可能なアリル基を有する高分子樹脂(高分子物質)が好ましい例として挙げられる。
また、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの架橋性の極性基を有するポリマーが挙げられる。
【0033】
高分子物質は、目的に応じて適宜選択した単量体の単独重合体、複数の単量体からなる共重合体のいずれであってもよく、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。
側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーの例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、また、この他にも水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく用いることができる。また、特に好ましい例としては、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や,ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。
【0034】
アリル基を有する高分子物質の単量体としては、アリル基を有する単量体、アリル基となり得る単量体、及びその他の単量体が挙げられる。特に制限はなく、目的に応じてその他の単量体を適宜選択することができる。これらには、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニル化合物、アリル基含有(メタ)アクリレート、等が挙げられる。尚、本明細書中において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを表す。
これら単量体は、1種単独で用いる以外に2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、トリルアクリレート、ナフチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、等が好適に挙げられる。
【0036】
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも特に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシn−プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシn−ブチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0037】
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、等が好適に挙げられる。
【0038】
前記アリル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、2−メチルアリルアクリレート、クロチルアクリレート、クロルアリルアクリレート、フェニルアリルアクリレート、シアノアリルアクリレート、等が挙げられ、中でもアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0039】
上記した高分子物質の中でも、アリル基含有(メタ)アクリレートをモノマーユニットとして少なくとも有する樹脂が好ましく、アリル基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸及びアリル基非含有(メタ)アクリレートから選択されるモノマーとをモノマーユニットとして有する樹脂がより好ましい。
【0040】
前記高分子物質の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸(M)とアリル(メタ)アクリレート(M)との二元共重合樹脂〔好適な共重合比[モル比]はM:M=2〜90:10〜98〕や、(メタ)アクリル酸(M)とアリル(メタ)アクリレート(M)とベンジル(メタ)アクリレート(M)との三元共重合樹脂〔好適な共重合比[モル比]はM:M:M=5〜40:20〜90:5〜70〕などが挙げられる。
【0041】
前記高分子物質がアリル基を有する場合のアリル基含有モノマーの含有率としては、10モル%以上が好ましく、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは15〜90モル%、更に好ましくは20〜85モル%である。
【0042】
前記高分子物質の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定値のポリスチレン換算値で5,000〜100,000が好ましく、8,000〜50,000がより好ましい。該重量平均分子量を5,000〜100,000の範囲内とすることで、膜強度を良化することができる。
【0043】
さらに、樹脂(A)は、側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基:X(xモル%)と、側鎖に酸性基を有する基:Y(yモル%)と、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基:Z(zモル%)を含有してなるものが好ましく、必要に応じてその他の基(L)(lモル%)を有していてもよい。
また、樹脂(A)中のひとつの基の中にX,Y,及びZが複数組み合わされていてもよい。
【0044】
―側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基:X―
前記「側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基」について説明する。
まず、分岐を有する基としては、炭素原子数3〜12個の分岐状のアルキル基を示し、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、i−アミル基、t−アミル基、3−オクチル、t−オクチル等が挙げられる。これらの中でも、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等が好ましく、さらにi−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
【0045】
次に脂環構造を有する基としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基を示し、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、及びトリシクロペンタニル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基等が好ましく、更にシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロペンテニル基等が好ましい。
【0046】
前記側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基を含有する単量体としては、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリレート類である。
【0047】
前記側鎖に分岐構造を有する基を含有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸sec−iso−アミル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸3−オクチル、(メタ)アクリル酸t−オクチル等が挙げられ、その中でも、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が好ましく、さらに好ましくは、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸t−ブチル等である。
【0048】
次に、前記側鎖に脂環構造を有する基を含有する単量体の具体例としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートである。具体的な例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1]ヘプチル−2)、(メタ)アクリル酸−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−5−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5,8−トリエチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5−ジメチル−8−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸 2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸 2−エチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸 3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−5−イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−1−イルメチル、(メタ)アクリル酸−1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸−3,7,7−トリメチル−4−ヒドロキシ−ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸−2,2,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、などが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステルの中でも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシルなどが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチルが特に好ましい。
【0049】
更に、前記側鎖に脂環構造を有する基を含有する単量体の具体例としては、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物が挙げられる。ここで、一般式(1)、(2)において、xは1又は2を表し、Rは水素又はメチル基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0〜15を表す。一般式(1)、(2)の中でも、x=1又は2、m=0〜8、n=0〜4が好ましく、m=1〜4、n=0〜2がより好ましい。一般式(1)又は(2)で表される化合物の好ましい具体例として、下記化合物D−1〜D−5、T−1〜T−8が挙げられる。
【0050】
【化1】




【0051】
【化2】

【0052】
【化3】

【0053】
前記側鎖に脂環構造を有する基を含有する単量体は適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、日立化成工業(株)製:FA−511A、FA−512A(S)、FA−512M、FA−513A、FA−513M、TCPD−A、TCPD−M、
H−TCPD−A、H−TCPD−M、TOE−A、TOE−M、H−TOE−A、H−TOE−M等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、変形回復率に優れる点で、FA−512A(S),512Mが好ましい。
【0054】
―側鎖に酸性基を有する基:Y―
前記酸性基としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中でも、現像性、及び硬化膜の耐水性が優れる点から、カルボキシ基、フェノール性水酸基であることが好ましい。
【0055】
前記側鎖に酸性基を有する基の単量体としては、特に制限はなく、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリレート類である。
【0056】
前記側鎖に酸性基を有する基の単量体の具体例としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0057】
前記水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物に用いられる水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記環状酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0058】
前記市販品としては、東亜合成化学工業(株)製:アロニックスM−5300、アロニックスM−5400、アロニックスM−5500、アロニックスM−5600、新中村化学工業(株)製:NKエステルCB−1、NKエステルCBX−1、共栄社油脂化学工業(株)製:HOA−MP、HOA−MS、大阪有機化学工業(株)製:ビスコート#2100等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、低コストである点で(メタ)アクリル酸等が好ましい。
【0059】
―側鎖にエチレン性不飽和基を有する基:Z―
前記「側鎖にエチレン性不飽和基」としては、特に制限はなく、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、エチレン性不飽和基と単量体との連結はエステル基、アミド基、カルバモイル基などの2価の連結基であれば特に制限はない。側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法は公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸性基を持つ基にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、ヒドロキシル基を持つ基にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加した付加する方法、イソシアネート基を持つ基にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。
その中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
【0060】
前記エチレン性不飽和結合及びエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、これらを有すれば特に制限はないが、例えば、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物が好ましい。
【0061】
【化4】

【0062】
ただし、前記構造式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。
【0063】
【化5】

【0064】
ただし、前記構造式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。Wは4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表す。
【0065】
前記構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の中でも、構造式(1)で表される化合物が構造式(2)よりも好ましい。前記構造式(1)及び(2)においては、L及びLがそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基のものがより好ましい。
【0066】
前記構造式(1)で表される化合物又は構造式(2)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(1)〜(10)が挙げられる。
【0067】
【化6】

【0068】
―その他の基:L―
その他の基の単量体としては、特に制限はなく、例えば分岐および/または脂環構造をもたない(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、ビニルエーテル基、二塩基酸無水物基、ビニルエステル基、炭化水素アルケニル基等を有する単量体などが挙げられる。
前記ビニルエーテル基としては、特に制限はなく、例えば、ブチルビニルエーテル基などが挙げられる。
【0069】
前記二塩基酸無水物基としては、特に制限はなく、例えば、無水マレイン酸基、無水イタコン酸基などが挙げられる。
前記ビニルエステル基としては、特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル基などが挙げられる。
前記炭化水素アルケニル基としては、特に制限はなく、例えば、ブタジエン基、イソプレン基などが挙げられる。
【0070】
前記樹脂(A)におけるその他の単量体の含有率としては、モル組成比が、0〜30mol%であることが好ましく、0〜20mol%であることがより好ましい。
【0071】
樹脂(A)の具体例としては、例えば、下記化合物P−1〜P−35で表される化合物が挙げられる。
【0072】
【化7】

【0073】
【化8】

【0074】
【化9】

【0075】
【化10】

【0076】
【化11】

【0077】
【化12】

【0078】
【化13】

【0079】
―製造法について―
前記樹脂(A)は、モノマーの(共)重合反応の工程とエチレン性不飽和基を導入する工程の二段階の工程から作られる。
まず、(共)重合反応は種々のモノマーの(共)重合反応によって作られ、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、重合の活性種については、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などを適宜選択することができる。これらの中でも合成が容易であり、低コストである点からラジカル重合であることが好ましい。また、重合方法についても特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを適宜選択することができる。これらの中でも、溶液重合法であることがより望ましい。
【0080】
−分子量−
樹脂(A)として好適な前記共重合体の重量平均分子量は、7,000〜10万が好ましく、8,000〜8万が更に好ましく、9,000〜5万が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、共重合体の製造適性、現像性の点で望ましい。
【0081】
−ガラス転移温度−
樹脂(A)として好適なガラス転移温度(Tg)は、40〜180℃であることが好ましく、45〜140℃であることはより好ましく、50〜130℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる。
【0082】
―酸 価−
樹脂(A)として好適な酸価はとりうる分子構造により好ましい範囲は変動するが、一般には20mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることはより好ましく、70〜130mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる。
【0083】
前記樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が40〜180℃であり、かつ重量平均分子量が7,000〜100,000であることが良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる点で好ましい。
更に、前記樹脂(A)の好ましい例は、好ましい前記分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び酸価のそれぞれの組合せがより好ましい。
【0084】
前記樹脂(A)の前記各成分の共重合組成比については、ガラス転移温度と酸価を勘案して決定され、一概に言えないが、「側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基」は10〜70モル%が好ましく、15〜65モル%が更に好ましく、20〜60モル%が特に好ましい。側鎖に分岐および/または脂環構造を有する基が前記範囲内であると、良好な現像性が得られると共に、画像部の現像液耐性も良好である。
また、「側鎖に酸性基を有する基」は5〜70モル%が好ましく、10〜60モル%が更に好ましく、20〜50モル%が特に好ましい。側鎖に酸性基を有する基が前記範囲内であると、良好な硬化性、現像性が得られる。
また、「側鎖にエチレン性不飽和基を有する基」は10〜70モル%が好ましく、20〜70モル%が更に好ましく、30〜70モル%が特に好ましい。側鎖にエチレン性不飽和基を有する基が前記範囲内であると、顔料分散性に優れると共に、現像性及び硬化性も良好である。
【0085】
前記樹脂(A)の含有量としては、感光性樹脂組成物全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。樹脂(A)は後述のその他の樹脂を含有することができるが、樹脂(A)のみが好ましい。
【0086】
−その他の樹脂−
前記樹脂(A)と併用することができる樹脂としては、アルカリ性水溶液に対して膨潤性を示す化合物が好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性である化合物がより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は溶解性を示す樹脂としては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられ、具体的には、エポキシ化合物にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物(エポキシアクリレート化合物)、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体との混合物、マレアミド酸系共重合体、などが好ましい。
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、などが挙げられ、これらの中でも、原料の入手性などの観点から、カルボキシル基が好ましく挙げられる。
【0087】
−樹脂(A)とその他の樹脂の比率―
前記樹脂(A)と併用することができる樹脂との合計の含有量としては、感光性樹脂組成物全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。該固形分含有量が、5質量%以上あれば、後述する感光性樹脂層の膜強度の弱化を抑制し、該感光性樹脂層表面のタック性悪化を防止することができる。また、70質量%以内であれば、露光感度の低下を抑えることができる。なお、前記含有量は、固形分含有量のことを示している。
【0088】
―重合性化合物(B)、その他の成分―
本発明において、上記以外の、重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)、その他の成分として公知の組成物を構成する成分を好適に用いることができ、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の成分が挙げられる。
【0089】
前記樹脂(A)との関係において、重合性化合物(B)の樹脂(A)に対する質量比率((B)/(A)比)が0.3〜1.5であることが好ましく、0.4〜1.4であることはより好ましく、0.5〜1.2であることが特に好ましい。(B)/(A)比が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる。
【0090】
−着色剤−
本発明における感光性樹脂組成物には、着色剤として、カラーフィルタ用途に好適な従来公知の種々の顔料を、目的に応じて1種又は2種以上選択して用いることができる。
【0091】
本発明における感光性樹脂組成物には、カラーフィルタ用途に好適な、従来公知の種々の顔料を、目的に応じて1種又は2種以上選択して併用することができる。
本発明に係る感光性樹脂組成物に用いることができる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を用いることができる。また、無機顔料、有機顔料のいずれであっても、形成された感光性樹脂組成物が高光透過率であることが好ましいことを考慮すれば、なるべく細かい粒径の顔料を使用することが好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。また、上記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0092】
有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメント イエロー 11、24、31、53、83、93、99、108、109、110、138、139、147、150、151、154、155、167、180、185、199;
C.I.ピグメント オレンジ 36、38、43、71;
C.I.ピグメント レッド 81、105、122、149、150、155、171、175、176、177、209、220、224、242、254、255、264、270;
C.I.ピグメント バイオレット 19、23、32、39;
C.I.ピグメント ブルー 1、2、15、15:1、15:3、15:6、16、22、60、66;
C.I.ピグメント グリーン 7、36、37;
C.I.ピグメント ブラウン 25、28;
C.I.ピグメント ブラック 1、7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
【0093】
本発明では、特に顔料の構造式中に塩基性のN原子をもつものを好ましく用いることができる。これら塩基性のN原子をもつ顔料は本発明の組成物中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、感光性重合成分と顔料との親和性の良さが影響しているものと推定される。
【0094】
本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
【0095】
C.I.ピグメント イエロー 11、24、108、109、110、138、139、150、151、154、167、180、185、
C.I.ピグメント オレンジ 36、71、
C.I.ピグメント レッド 122、150、171、175、177、209、224、242、254、255、264、
C.I.ピグメント バイオレット 19、23、32、
C.I.ピグメント ブルー 15:1、15:3、15:6、16、22、60、66、
C.I.ピグメント ブラック 1
【0096】
これら有機顔料は、単独もしくは色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。上記組合せの具体例を以下に示す。例えば、赤色用の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独またはそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料またはペリレン系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメントイエロー139との混合が好ましい。また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:50が好ましい。100:5以上であれば、400nmから500nmの光透過率を抑えることができ、色純度を上げることができる。また100:50以下であれば、主波長が短波長よりとなりにくく、NTSC目標色相からのずれを抑えることができる。特に、上記質量比としては、100:10〜100:30の範囲が最適である。尚、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0097】
また、緑色用の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、または、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、37とC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180またはC.I.ピグメントイエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましい。上記質量比が100:5以上有れば、400nm〜450nmの光透過率を抑えることができ、色純度を上げることができる。また、100:150以内であれば、主波長が長波長よりとなりにくく、NTSC目標色相からのずれを抑制することができる。上記質量比としては100:30〜100:120の範囲が特に好ましい。
【0098】
青色用の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えばC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:30が好ましく、より好ましくは100:10以下である。
【0099】
また、ブラックマトリックス用の顔料としては、前記黒色顔料以外のカーボン顔料、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン単独または混合が用いられ、前記黒色顔料とチタンカーボンとの組合せが好ましい。また、黒色顔料とチタンカーボンとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。100:61以上では、分散安定性が低下する場合がある。
【0100】
本発明における顔料は、平均粒径r(単位nm)は、20≦r≦300、好ましくは125≦r≦250、特に好ましくは30≦r≦200を満たすことが望ましい。このような平均粒径rの顔料を用いることにより、高コントラスト比であり、かつ高光透過率の赤色および緑色の画素を得ることができる。ここでいう「平均粒径」とは、顔料の一次粒子(単微結晶)が集合した二次粒子についての平均粒径を意味する。
また、本発明において使用しうる顔料の二次粒子の粒径分布(以下、単に「粒径分布」という。)は、(平均粒径±100)nmに入る二次粒子が全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上であることが望ましい。
【0101】
−顔料分散剤−
本発明では着色剤として顔料を用いる場合には、公知の顔料分散剤を併用することができる。顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、および、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造からさらに直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0102】
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止する様に作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
【0103】
本発明に用いうる顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
【0104】
感光性樹脂組成物における着色顔料の含有量は、該組成物を構成する全固形分に対して30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
【0105】
―微粒子(D)―
感光性樹脂組成物において、微粒子を添加することが好ましい。例えば、液晶表示する際のスペーサーを形成する場合に好適である。前記微粒子(D)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましく、中でも良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られるという観点からコロイダルシリカが好ましい。
【0106】
前記微粒子(D)の平均粒子径は、高い力学強度を有するフォトスペーサーが得られるという観点から、5〜50nmであることが好ましく、10〜40nmであることがより好ましく、15〜30nmであることが特に好ましい。
【0107】
また、前記微粒子(D)の含有量は、高い力学強度を有するフォトスペーサーが得られるという観点から、本発明における感光性樹脂組成物中の全固形分に対する質量比率が5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましい。
【0108】
−界面活性剤−
本発明における感光性樹脂組成物には、さらに、少なくとも1種の界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を含有することにより、表示ムラ(膜厚変動による色ムラを含む。)を効果的に防止でき、表示品位の高い画像を得ることができる。たとえば、カラーフィルタを作製して液晶表示装置を構成した場合に、画像の表示ムラを抑えて、表示品位の高い画像を表示することができる。
【0109】
前記界面活性剤としては、感光性樹脂組成物の前記構成成分と混ざり合うものを適宜選択することができる。具体的には、好ましい界面活性剤として、特開2003−337424号公報の段落番号[0015]〜[0024]、特開2003−177522号公報の段落番号[0012]〜[0017]、特開2003−177523号公報の段落番号[0012]〜[0015]、特開2003−177521号公報の段落番号[0010]〜[0013]、特開2003−177519号公報の段落番号[0010]〜[0013]、特開2003−177520号公報の段落番号[0012]〜[0015]、特開平11−133600号公報の段落番号[0034]〜[0035]、特開平6−16684号公報に発明として開示されている界面活性剤が挙げられる。
【0110】
より高い効果を得る観点からは、フッ素系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子との両方を含有する界面活性剤を含む。)のいずれか1種、あるいは2種以上を選択するのが好ましく、フッ素系界面活性剤が最も好ましい。
前記フッ素系界面活性剤を用いる場合、界面活性剤分子中のフッ素含有置換基のフッ素原子数が1〜38のものが好ましく、5〜25のものがより好ましく、7〜20のものが最も好ましい。フッ素原子数が上記範囲にあると、フッ素非含有の通常の溶媒に対する溶解性が確保され、塗布等によるムラから生ずる膜厚変動を効果的に防止することができる。
【0111】
また、市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。市販の界面活性剤として、例えば、エフトップEF301、同EF303(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、同431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、同F173、同F176、同F189、同F780F、同R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同102、同103、同104、同105、同106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤を挙げることができる。また、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)もシリコーン系界面活性剤として用いることができる。
【0112】
界面活性剤の感光性樹脂層中における含有量としては、感光性樹脂層の固形分(質量)に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量が特に前記範囲であると、高コントラストの表示画像中の表示ムラの防止に効果的である。
【0113】
[中間層]
感光性転写材料には、複数層を塗布する際及び塗布後の保存の際における成分の混合を防止する目的で、中間層を設けることが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層との間に形成することができる。
中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜が好ましく、露光時の感度がアップし、露光機の時間負荷を低減し得、生産性が向上する。
【0114】
酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。
例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体などの樹脂を用いて構成することができ、中でも特に好ましいのはポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組合せである。
【0115】
中間層には、必要に応じて界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。
中間層の厚みは0.1〜5μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μmの範囲である。中間層の厚みが上記の範囲内であると、酸素遮断性を低下させることがなく、また、現像時の中間層除去時間が増大するのを防止することができる。
【0116】
中間層は、前記樹脂及び必要に応じ添加剤を用いて調製した塗布液を塗布して塗設することができる。この塗布液の調製には溶媒を使用でき、該溶媒としては、前記樹脂が溶解するものであれば特に制限はなく、特に水又は、水に水混和性の有機溶剤を混合した混合溶媒が好ましい。
【0117】
−他の層等−
本発明の感光性転写材料には、感光性樹脂層の表面に保護フィルムなどを更に設けて好適に構成することができる。
【0118】
感光性樹脂層の表面には、保管の際のゴミ等の不純物による汚染や損傷から保護する目的で、薄い保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムは、感光性樹脂層から容易に剥離し得るものを用いることができ、仮支持体と同一若しくは類似の材料からなるものを好適に選択することができる。
保護フィルムに使用できる材料としては、例えば、シリコン紙、ポリオレフィンフィルムやシート、ポリテトラフルオロエチレンフィルムやシートが適当である。
【0119】
[感光性転写材料の作製]
本発明の感光性転写材料は、仮支持体側から順に熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とを有し、前記熱可塑性樹脂層と前記感光性樹脂層の間に、少なくとも1層の中間層を有することが好ましい。
この感光性転写材料は、仮支持体上に、熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を設けた後、この熱可塑性樹脂層上に中間層用塗布液を塗布し、乾燥させて中間層を積層し、この中間層上に更に、感光性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を積層することによって、好適に作製することができる。
ここで、前記熱可塑性樹脂層用塗布液は、I/O値が0.30〜0.45である化合物や、必要に応じて、熱可塑性の有機高分子と共に添加剤を溶解した溶解液として調製することができ、前記中間層用塗布液は、熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤に樹脂や添加剤を加えて調製した調製液であることが好ましい。また、前記感光性樹脂層用塗布液は、中間層を溶解しない溶剤を用いて調製することが好ましい。
【0120】
仮支持体に感光性樹脂層を塗設する場合、感光性に調製された感光性樹脂層用塗布液を、公知の塗布方法(例えばスリットコーター等の塗布機を用いた塗布)により形成することができる。また、感光性樹脂層以外の熱可塑性樹脂層、中間層などの他の層を設ける場合も同様に行なえる。
【0121】
前記公知の塗布方法としては、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のポッパーを使用するエクストルージョンコート法等が挙げられる。
【0122】
中でも、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルにより、あるいはスリットコーターにより塗布することが好ましい。具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、及びスリットコーターが好適に用いられる。
【0123】
上記による以外に、仮支持体上に該仮支持体側から順に熱可塑性樹脂層及び中間層を設けた第1シートと、保護フィルム上に感光性樹脂層を設けた第2シートとを用意し、第1シートの中間層表面と感光性樹脂層の表面とが接するように貼り合せることによって作製することもできる。また更に、仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けた第1シートと、保護フィルム上に該保護フィルム側から順に感光性樹脂層及び中間層を設けた第2シートとを用意し、第1シートの中間層表面と第2シートの熱可塑性樹脂層の表面とが接するように貼り合せることによって作製することもできる。
【0124】
<カラーフィルタ及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタの製造方法は、既述の本発明の感光性転写材料を用いて基板上に少なくとも感光性樹脂層を転写する転写工程と、基板上に転写された少なくとも感光性樹脂層を露光する露光工程と、露光後の感光性樹脂層を現像処理する現像工程とを設けて構成されたものである。
【0125】
前記転写工程では、本発明の感光性転写材料を用い、仮支持体上に設けられた感光性樹脂層を、その表面が被転写材である基板の表面と接するようにして重ね合わせ、さらに加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着して貼り合わせ、その後剥離することにより基板面に感光性樹脂層を転写する。
【0126】
具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0127】
被転写材となる基板には、透明基板が好適であり、例えば、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、あるいはプラスチックスフィルム等を挙げることができる。また、基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、感光性樹転写材料の感光性樹脂層との間の密着を良好にすることができる。カップリング処理としては、特開2000−39033号公報に記載の方法が好適に用いられる。
なお、基板の厚みとしては、700〜1200μmが一般的に好ましい。
【0128】
前記露光工程では、前記転写工程で基板上に転写形成された感光性樹脂層をパターン状に露光する。具体的には、例えば、基板上に形成された感光性樹脂層の上方に所定のマスクを配置し、該マスク及び場合により熱可塑性樹脂層及び中間層を介してマスクの更に上方(マスクの感光性樹脂層と対向しない側)から露光することができる。
【0129】
露光に用いる光源としては、感光性樹脂層の感応波長に属し硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものを適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
【0130】
前記現像工程では、少なくとも前記露光工程で露光された後の感光性樹脂層を、現像液を用いて現像する。現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。
現像液は、感光性樹脂層が溶解性を示す現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/lの濃度で含むものが好ましい。さらに、水と混和性の有機溶剤を少量添加してもよい。
【0131】
水と混和性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。
また、現像液には、更に公知の界面活性剤を添加してもよく、添加する場合の添加濃度は0.01〜10質量%が好ましい。
【0132】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等のいずれでもよい。
シャワー現像による場合、露光工程後の感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
また、現像前には予め、感光性樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。現像後には更に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
【0133】
前記洗浄剤には、公知のものを使用できるが、例えば、富士フイルム(株)製のT−SD1(燐酸塩、珪酸塩、ノニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有)又はT−SD2(炭酸ナトリウム及びフェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有)が好ましく使用できる。
【0134】
さらに、現像処理された感光性樹脂層を加熱によりベーク処理を施すことができる。ベーク処理は、200〜240℃、10〜20分程度の条件が望ましい。
【0135】
上記のようにして、本発明の感光性転写材料を用いて基板上に硬化物(着色剤としてカーボンブラックを主に含んで黒着色されているときにはブラックマトリクスなどの遮光膜)を形成することができる。例えば、本発明の感光性転写材料を用いて基板上にブラックマトリクスを形成した場合、この基板に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の着色画素を設けることでカラーフィルタを作製することができる。具体的には、ブラックマトリクス付基板上に、R、G又はBに着色された感光性樹脂層を形成し、これを少なくとも露光、現像する操作を所望の色の数だけ繰り返し行なう方法など公知の方法で作製することができる。
【0136】
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について、ブラックマトリックスを転写形成する場合を例に更に詳細に示す。
i)基板洗浄
まず、無アルカリガラス基板(以下、「ガラス基板」と略記する。)を用意し、転写工程前に予め、ガラス基板面の汚れを除去するために洗浄を行なう。例えば、25℃に調整したガラス洗浄剤液(商品名:T−SD1、T−SD2 富士フイルム(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有す回転ブラシで洗浄し、更に純水シャワー洗浄を行なう。
【0137】
ii)シランカップリング処理
後の転写工程におけるラミネートによる感光性樹脂層の密着性を高めるために、シランカップリング処理を実施することが好ましい。シランカップリング剤としては、感光性樹脂と相互作用する官能基を有するものが好ましい。例えばシランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄する。この後、加熱により反応させる。加熱槽を用いてもよく、ラミネーターの基板予備加熱でも反応を促進できる。
【0138】
iii)ラミネート(転写工程)
洗浄及びシランカップリング処理後のガラス基板を基板予備加熱装置で100℃で2分間加熱し、ラミネーターに送る。そして、感光性転写材料の保護フィルムを剥離後、露出した感光性樹脂層をラミネーターを用いて、既に100℃に加熱されたガラス基板面に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にてラミネートする。ゴムローラーは、150℃以上であると転写材料にシワがはいり、100℃以下では感光性樹脂層の密着が弱くなることがある。
【0139】
iv)露光(露光工程)
次いで、仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機でパターン状に露光する。基板サイズが50cm以上の場合、マスクの撓み防止の点で、基板とマスク(画像パターンを有する石英露光マスク)とをともに垂直に立てた状態で露光するのが好ましい。露光マスク面と感光性樹脂層表面の間の距離は短いほど解像はよいが、異物が付着しやすいので、100〜300μmが望ましい。露光量は、10〜80mJ/cmが望ましい。
【0140】
v)熱可塑性樹脂層及び中間層の除去
露光後、トリエタノールアミン系現像液T−PD1(2.5%のトリエタノールアミン含有、ノニオン界面活性剤含有、ポリプロピレン系消泡剤含有;富士フイルム(株)製)などで熱可塑性樹脂層と中間層とを現像除去する。このとき、理想的には感光性樹脂層は全く現像されない条件等に設定するのが望ましい。例えば、30℃で50秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー状に供給する態様が望ましい。
【0141】
vi)感光性樹脂層の現像(現像工程)
次いで、感光性樹脂層をアルカリにて現像してブラックマトリクスをなすパターンを形成する。例えば、炭酸Na系現像液T−CD1(0.06モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1質量%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;富士フイルム(株)製)が用いられる。条件としては、例えば、35℃で35秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでのシャワー等とする。現像液としては、KOH系、TMAΗ系を用いてもよい。
【0142】
vii)残渣除去
引き続き、洗浄剤(富士フイルム(株)製のT−SD1、T−SD2等)を用いて残渣除去を行ない、未露光部における感光性樹脂層の残成分が除去される。条件としては、例えば、33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaでのシャワー及びナイロン毛を有する回転ブラシによる回転等とする。
【0143】
viii)ポスト露光
次いで、ガラス基板に対し、パターンが形成されている側から超高圧水銀灯で500mJ/cm程度にてポスト露光を行なう。これにより、後のベークでの重合効果が高まると共に、ポスト露光の量によりベーク後のブラックマトリクスの断面形状を調整することができる。両面から実施してもよく、また、100〜800mJ/cmの範囲で選択できる。
【0144】
ix)ベーク処理(ベーク工程)
モノマー又はオリゴマーを反応させて硬い膜とするため、ベーク処理を行なうことが好ましい。ベークは、200〜240℃、10〜20分程度の条件が望ましい。なお、ベーク処理は、ブラックマトリクスを形成した後にRGBの着色画素を上記と同様にして形成する場合は、ブラックマトリクス及び着色画素を形成後に一括して行なうようにしてもよい。
【0145】
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタの製造方法により上記のようにして作製されるものであり、既述の本発明の感光性転写材料を用いるので、転写形成された像(ブラックマトリクスなど)は高速で転写を行っても転写不良が起こりにくい。
【実施例】
【0146】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
【0147】
<実施例1>
(感光性転写材料)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)上に、下記処方1の各成分を混合し、更に熱可塑性樹脂層の全質量の0.8質量%となるように、セバシン酸ジオクチル(I/O値=0.35)を添加して熱可塑性樹脂層用塗布液を調製した。これを塗布して100℃で5分間乾燥させ、乾燥層厚15μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
【0148】
[熱可塑性樹脂層用塗布液の処方1]
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=55/12/5/28[モル比]、重量平均分子量90,000)
・・・・93.1部
・スチレン/アクリル酸共重合体(=63/37[モル比]、重量平均分子量8000)
・・・113.7部
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
・・・106.5部
・界面活性剤1(メガファックF−780F、大日本インキ化学工業(株)製)
・・・・・6.0部
・メタノール ・・・175.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・・80.0部
・メチルエチルケトン ・・・425.7部
【0149】
次に、形成した熱可塑性樹脂層上に、下記処方Bからなる中間層用塗布液を塗布して100℃で5分間乾燥させて、乾燥層厚1.5μmの中間層を積層した。
【0150】
[中間層用塗布液の処方B]
・ポリビニルアルコール(PVA−205、鹸化率80%、(株)クラレ製)
・・・・32.2部
・ポリビニルピロリドン(PVP K−30、アイエスピー・ジャパン(株)製)
・・・・14.8部
・メタノール ・・・429 部
・蒸留水 ・・・524 部
【0151】
次に、形成した中間層上に更に、下記に示すように調製した濃色組成物K1(感光性樹脂層用塗布液)を塗布して、100℃で5分間乾燥させて、乾燥層厚2.3μmの感光性樹脂層を積層した。
下記に示す処方からなるK顔料分散物1、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、下記表1に記載の量、計り取り、温度24℃で混合した。この混合物を、24℃下、150rpmの回転数で10分間攪拌しながら、下記表1に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー2、フェノチアジン、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、及び上記界面活性剤1をこの順に添加した。その後、温度40℃下、150rpmの回転数で30分間攪拌することによって、濃色組成物K1を得た。
なお、下記表1に記載の量は質量部であり、各成文の詳細は下記の通りである。
【0152】
〔K顔料分散物1〕
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) ・・・13.1 %
・分散剤(下記化合物1) ・・・・0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万)
・・・・6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・79.5 %
【0153】
【化14】

【0154】
〔バインダー2〕
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) ・・・27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・73%
【0155】
〔DPHA液〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) ・・・76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・24%
【0156】
【表1】

【0157】
以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層の積層構造に構成した後、感光性樹脂層の表面に更に、カバーフィルムとして厚み12μmのポリプロピレン製フィルムを加熱・加圧して貼り付け、感光性転写材料を得た。
【0158】
〔感光性転写材料の評価〕
実施例1の感光性転写材料について、以下の評価を行った。
−転写性(ラミネーション)の評価−
一辺が500μmの正方形で、高さ2.3μmの画素が基板前面に市松模様に形成されたガラス基板(厚さ1.1mm)を準備した。ポリプロピレンシートを剥離した感光性転写材料の感光性樹脂層とガラス基板の画素が形成された側が向かい合うように、両者を重ね、ラミネーター(大阪ラミネーター(株)製VP−11)を用いてラミネートした。ラミネートの条件はローラー温度130℃、 圧力10kg/cm、速度0.8m/分とした。
ラミネート後、基板を光学顕微鏡で観察して発生する気泡の大きさを評価した。気泡が発生している場合、その形状は円形、楕円形、角のとれた菱形の何れかであった。そこで円の直径、楕円形の長軸の長さ、菱形の長いほうの対角線の長さを気泡の大きさとして、次のように分類した。
A:気泡の発生なし
B:気泡の大きさが30μm未満
C:気泡の大きさが30μm以上60μm未満
D:気泡の大きさが60μm以上100μm未満
E:気泡の大きさが100μm以上
評価結果を表8に示す。
【0159】
−レチュキレーションの評価−
カバーフィルムをはがした感光性転写材料を45℃/75%RHの雰囲気下で3日間保管した。その後、感光性樹脂層と中間層を剥離して熱可塑性樹脂層の表面を光学顕微鏡で観察してレチュキレーションの発生の有無を観察した。レチュキレーションの程度は次の3ランクに分類して評価した。
A:レチュキレーションは発生していない
B:レチュキレーションがわずかに発生し、熱可塑性樹脂層表面に凹凸がみられる
C:レチュキレーションが発生し、熱可塑性樹脂層表面にシワ状の模様がみられる
評価結果を表8に示す。
【0160】
−熱可塑性樹脂層の染み出しの評価−
カバーフィルムがついたままの感光性転写材料を、5cm×5cmの大きさに裁断し、この感光性転写材料20枚を、カバーフィルムの表面(感光性樹脂層が設けられていない側の面)と、仮支持体の表面(感光性樹脂層が設けられていない面)とが接するように、順次重ね合わせて、水平に置かれた台の上に置いた。この上に5kgの加重をかけて、3日間保管した。その後、熱可塑性樹脂層が感光性転写材料周辺部に染み出して、感光性転写材料同士にくっつきが生じたかどうか観察した。くっつきが生じるものは好ましくない。ここでは、くっつきの程度を次の3ランクに分類して評価した。
A:くっつきは発生していない
B:わずかにくっつきが発生しているが、くっつきは軽く外れる
C:くっつきが発生し、感光性転写材料同士が硬く繋がっている
評価結果を表8に示す。
【0161】
(カラーフィルタ)
以下に示すようにして、上記より得た実施例1の感光性転写材料(黒色感光性転写材料K201)及び下記着色感光性転写材料(R201、G201、B201)を用いて転写によりカラーフィルタを作製した。黒色感光性転写材料K201は、カバーフィルムがついたままの状態で45℃/75%RHの雰囲気下で3日間保管したものを用いた。
【0162】
[着色感光性転写材料R201、G201、B201の作製]
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート仮支持体(PET仮支持体)の表面に、スリットノズルを用いて乾燥膜厚が14.6μmになるように下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を形成した。次いで、この熱可塑性樹脂層上に、前記処方Bからなる中間層用塗布液を、スリットノズルを用いて乾燥膜厚が1.6μmとなるように塗布し、乾燥させて中間層を積層した。
上記のようにして熱可塑性樹脂層及び中間層が積層されたPET仮支持体を3枚用意した。
【0163】
−熱可塑性樹脂層用塗布液の処方H1−
・メタノール ・・・・11.1 部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・・・6.36部
・メチルエチルケトン ・・・・52.4 部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合比[モル比]=55/11.7/4.5/28.8、重量平均分子量=9万、Tg≒70℃)
・・・・・5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合比[モル比]=63/37、重量平均分子量=8,000、Tg≒100℃)
・・・・13.6 部
・BPE−500 ・・・・・9.1 部
(ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリートが2当量脱水縮合した化合物;新中村化学工業(株)製)
・上記界面活性剤1(メチルイソブチルケトン30質量%溶液)・・・・・0.54部
【0164】
次に、下記表2に示す組成の赤色感光性樹脂組成物R201、下記表3に示す組成の緑色感光性樹脂組成物G201、下記表4に示す組成の青色感光性樹脂組成物B201を、それぞれ各表中の調製手順にしたがって調製した。次いで、得られた赤色感光性樹脂組成物R201、緑色感光性樹脂組成物G201、及び青色感光性樹脂組成物B201の各々を、それぞれ別のPET仮支持体上の中間層の上にスリット状ノズルを用いて膜厚が2.4μmになるように更に積層して塗布し、乾燥させ、赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)の着色感光性樹脂層R、G、Bを形成した。形成された各色の着色感光性樹脂層上に更に、厚さ12μmのポリプロピレンフィルムを圧着し、保護フィルムを設けた。以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/赤色、緑色又は青色着色感光性樹脂層/保護フィルムの積層構造に構成された、着色画素形成用の着色感光性転写材料R201、G201、B201を作製した。
【0165】
【表2】

【0166】
【表3】

【0167】
【表4】

【0168】
まず、無アルカリガラス基板(以下、「ガラス基板」と略記する。)を用意し、この基板を、転写前に予め25℃に調整したガラス洗浄剤液T−SD1(富士フイルム(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄を行なった。その後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。その後、このガラス基板を基板予備加熱装置で、100℃で2分間加熱した。
【0169】
既述のようにして得られた黒色感光性転写材料K201の保護フィルムを剥離除去した後、露出した黒色着色感光性樹脂層が上記の100℃に加熱されたガラス基板の表面と接するように重ね合わせ、ラミネーターLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、ゴムローラ温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件で貼り合わせた。次いで、PET仮支持体を剥離し、ガラス基板上に黒色着色感光性樹脂層/中間層/熱可塑性樹脂層の順に転写した(転写工程)。
【0170】
続いて、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング社製)を用い、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと熱可塑性樹脂層とが向き合うように配置したガラス基板とを略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と黒色着色感光性樹脂層の中間層に接する側の表面との間の距離を200μmとし、マスクを介して熱可塑性樹脂層側から露光量50mJ/cmで全面露光した(露光工程)。
【0171】
露光後、純水をシャワーノズルから噴霧し、黒色着色感光性樹脂層の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製;KOH及びノニオン界面活性剤含有アルカリ現像液)を純水で100倍に希釈したものを、フラットノズルから25℃、ノズル圧力0.04MPaにて60秒間噴射してシャワー現像し、黒色パターンを得た(現像工程)。
その後続けて、ガラス基板の黒色パターンが形成された側に超純水を超高圧洗浄ノズルにより9.8MPaの圧力で噴射して残渣を除去し、その後220℃で30分間熱処理(ベーク)して(ベーク工程)、無アルカリガラス基板上にブラックマトリクスを形成した。
【0172】
次に、以下のようにしてR、G、B3色の着色画素を順に形成した。
まず、ブラックマトリクスが形成されたガラス基板に、上記より得られた着色感光性転写材料R201を用いて、前記ブラックマトリクスの形成の場合と同様にして転写、露光、現像、及びベークを行ない、ガラス基板のブラックマトリクスが形成されている側にレッド画素(R画素)を形成した。このとき、KOH系現像液(25℃)による現像時間を100秒とした。その後、R画素が形成されたガラス基板を再び、上記のように洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、純水でシャワー洗浄した後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送って100℃で2分間加熱した。
【0173】
次いで、上記のR画素を形成する場合と同様に、着色感光性転写材料G201を用いて転写、露光、現像、ベークの各工程を行ない、ブラックマトリクス及びR画素が設けられている側に緑色画素(G画素)を形成した。但し、露光工程での露光量は40mJ/cmとし、現像工程での現像処理は34℃で45秒間とした。その後、R画素及びG画素が形成されたガラス基板を再び、上記のように洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、純水でシャワー洗浄した後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送って100℃で2分間加熱した。
更に続けて、前記R画素及びG画素を形成する場合と同様に、着色感光性転写材料B2を用いて転写、露光、現像の各工程(ベーク工程は除く。)を行ない、ガラス基板のブラックマトリクス並びにR画素及びG画素が設けられている側に青色画素(B画素)を形成した。但し、露光工程での露光量は30mJ/cmとし、現像工程での現像処理は36℃で40秒間とした。
その後、R、G、Bの各画素が形成されたガラス基板を基板予備加熱装置により240℃で50分間ベークし、カラーフィルタ(カラーフィルタ基板)を得た。
【0174】
〔カラーフィルタの評価〕
実施例1のカラーフィルタについて、以下の評価を行った。
−表示ムラ−
カラーフィルタを、暗室でNaランプを斜め方向から照射し、目視及びルーペにて観察し、ムラの発生の有無を判断した。表示ムラの程度は次のように評価した。
A:表示ムラは全く認められなかった。
B:表示ムラが僅かに認められた。
C:表示ムラが顕著に認められた。
評価結果を表8に示す。
【0175】
<実施例2〜11>
実施例1の感光性転写材料の製造工程において、熱可塑性樹脂層用塗布液成分中、セバシン酸ジオクチル0.8質量%を、表8に示した化合物種に変更した以外は、実施例1と同様にして感光性転写材料を製造し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表8に示す。
また、実施例1のカラーフィルタの製造工程において、実施例1の感光性転写材料(黒色感光性転写材料K201)を、それぞれ、実施例2〜11の感光性転写材料(黒色感光性転写材料K202〜K211)に代えた他は、実施例1と同様にして、それぞれカラーフィルタを製造した。実施例2〜11の感光性転写材料とカラーフィルタについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表8に示す。
【0176】
<実施例12>
実施例1の感光性転写材料の製造工程において、赤色感光性樹脂組成物R201、緑色感光性樹脂組成物G201、及び青色感光性樹脂組成物B201を、それぞれ下記表5〜7に記載の赤色感光性樹脂組成物R301、緑色感光性樹脂組成物G301、及び青色感光性樹脂組成物B301に変更した以外は、実施例1と同様にして、着色画素形成用の着色感光性転写材料R301、G301、及びB301を製造した。
さらに、実施例1のカラーフィルタの製造工程において、赤色感光性転写材料R201、緑色感光性転写材料G201、及び青色感光性転写材料B201を、それぞれ赤色感光性転写材料R301、緑色感光性転写材料G301、及び青色感光性転写材料B301に代えた他は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを製造した。実施例12の感光性転写材料とカラーフィルタについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表8に示す。
【0177】
【表5】

【0178】
【表6】

【0179】
【表7】

【0180】
前記表5〜7におけるR顔料分散組成物2、R顔料分散組成物3、Y顔料分散組成物1、G顔料分散組成物2、およびG顔料分散組成物3の調製方法を以下に示す。
【0181】
(R顔料分散組成物2の調製)
下記組成を3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.1mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、R顔料分散組成物2を得た。
−組成−
・C.I.ピグメント・レッド254 ・・・12部
・分散剤 ・・・ 6部
(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製30%溶液)
・アルカリ可溶性樹脂 ・・・1.8部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体=75/25[質量比]共重合体、重量平均分子量Mw:5,000)
・溶剤 ・・・80部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0182】
(R顔料分散組成物3の調製)
下記組成を3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.1mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、R顔料分散組成物3を得た。
−組成−
・C.I.ピグメント・レッド177 ・・・13.1部
・分散剤 ・・・ 5.3部
(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製30%溶液)
・溶剤 ・・・81.6部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0183】
(Y顔料分散組成物1の調製)
下記組成を3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.1mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、Y顔料分散組成物1を得た。
−組成−
・C.I.ピグメント・イエロー150 ・・・18.1部
・分散剤 ・・・ 2部
(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製30%溶液)
・アルカリ可溶性樹脂 ・・・3.5部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体=75/25[質量比]共重合体、重量平均分子量Mw:5,000)
・溶剤 ・・・76.4部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0184】
(G顔料分散組成物2の調製)
下記組成を3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.1mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、G顔料分散組成物2を得た。
−組成−
・C.I.ピグメント・グリーン36 ・・・12部
・C.I.ピグメント・イエロー150 ・・・3部
・分散剤・・・2.2部
(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製 30%溶液)
・アルカリ可溶性樹脂 ・・・3.7部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体=75/25[質量比]共重合体、 重量平均分子量Mw:5,000)
・溶剤 ・・・76.1部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0185】
(G顔料分散組成物3の調製)
下記組成を3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.1mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、G顔料分散組成物3を得た。
−組成−
・C.I.ピグメント・グリーン36 ・・・8.25部
・C.I.ピグメント・イエロー150 ・・・6.75部
・分散剤・・・2.2部
(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製 30%溶液)
・アルカリ可溶性樹脂 ・・・3.7部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体=75/25[質量比]共重合体、 重量平均分子量Mw:5,000)
・溶剤 ・・・76.1部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0186】
<比較例1>
実施例1の感光性転写材料の製造工程において、熱可塑性樹脂層用塗布液成分中、セバシン酸ジオクチルを用いなかった以外は、実施例1と同様にして感光性転写材料(黒色感光性転写材料K301)を製造し、実施例1のカラーフィルタの製造工程において、実施例1の感光性転写材料(黒色感光性転写材料K201)を、黒色感光性転写材料K301に代えた他は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを製造した。比較例1の感光性転写材料とカラーフィルタについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表8に示す。
【0187】
<比較例2>
実施例1の感光性転写材料の製造工程において、熱可塑性樹脂層用塗布液成分中、セバシン酸ジオクチルを用いず、熱可塑性樹脂層用塗布液を下記処方2に変更した以外は実施例1と同様にして感光性転写材料(黒色感光性転写材料K302)を製造し、実施例1のカラーフィルタの製造工程において、実施例1の感光性転写材料(黒色感光性転写材料K201)を、黒色感光性転写材料K302に代えた他は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを製造した。比較例2の感光性転写材料とカラーフィルタについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表8に示す。
〔熱可塑性樹脂層用塗布液の処方2〕
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=55/12/5/28[モル比]、重量平均分子量90000)
・・・・90.7部
・スチレン/アクリル酸共重合体(=63/37[モル比]、重量平均分子量8000)
・・・110.8部
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
・・・111.8部
・界面活性剤1(メガファックF−780F、大日本インキ化学工業(株)製)
・・・・・6.0部
・メタノール ・・・175.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・・80.0部
・メチルエチルケトン ・・・425.7部
【0188】
<比較例3>
実施例1の感光性転写材料の製造工程において、熱可塑性樹脂層用塗布液成分中、セバシン酸ジオクチルを用いず、熱可塑性樹脂層用塗布液を下記処方3に変更した以外は実施例1と同様にして感光性転写材料(黒色感光性転写材料K303)を製造し、実施例1のカラーフィルタの製造工程において、実施例1の感光性転写材料(黒色感光性転写材料K201)を、黒色感光性転写材料K303に代えた他は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを製造した。比較例3の感光性転写材料とカラーフィルタについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表8に示す。
〔熱可塑性樹脂層用塗布液の処方3〕
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=55/12/5/28[モル比]、重量平均分子量90000)
・・・・88.3部
・スチレン/アクリル酸共重合体(=63/37[モル比]、重量平均分子量8000)
・・・107.9部
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
・・・117.2部
・界面活性剤1(メガファックF−780F、大日本インキ化学工業(株)製)
・・・・・6.0部
・メタノール ・・・175.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・・80.0部
・メチルエチルケトン ・・・425.6部
【0189】
<比較例4>
実施例1の感光性転写材料の製造工程において、熱可塑性樹脂層用塗布液成分中、セバシン酸ジオクチルを用いず、熱可塑性樹脂層用塗布液を下記処方4に変更した以外は実施例1と同様にして感光性転写材料(黒色感光性転写材料K304)を製造し、実施例1のカラーフィルタの製造工程において、実施例1の感光性転写材料(黒色感光性転写材料K201)を、黒色感光性転写材料K304に代えた他は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを製造した。比較例4の感光性転写材料とカラーフィルタについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表8に示す。
〔熱可塑性樹脂層用塗布液の処方4〕
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=55/12/5/28[モル比]、重量平均分子量90000)
・・・・93.1部
・スチレン/アクリル酸共重合体(=63/37[モル比]、重量平均分子量8000)
・・・113.7部
・オクタドコサン酸 ・・・106.5部
・界面活性剤1(メガファックF−780F、大日本インキ化学工業(株)製)
・・・・・6.0部
・メタノール ・・・175.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・・80.0部
・メチルエチルケトン ・・・425.7部
【0190】
【表8】

【0191】
表8中、化合物および可塑剤の量は、いずれも黒色感光性転写材料における熱可塑性樹脂層の全質量に対する量(質量%)である。
【0192】
表8からわかるように、熱可塑性樹脂層に可塑剤を用いただけのもの(比較例1〜4)は、可塑剤の量が増えるにつれてレチキュレーションと染み出しが悪化し(比較例1、3)、可塑剤の量が少なくても、転写時に気泡が発生した(比較例1)。
一方、熱可塑性樹脂層が、I/O値が0.30〜0.45の化合物を含有し、当該化合物の含有量が好ましい範囲(0.8〜20質量%)にあるもの(実施例1〜9、12)は、レチキュレーション、ラミネーション、染み出しにおいて総合的に優れた評価結果が得られた。
また、熱可塑性樹脂層が、I/O値が0.30〜0.45の化合物を含有する感光性転写材料を用いて製造したカラーフィルタ(実施例1〜12)は、いずれも表示ムラがなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮支持体上に、該仮支持体側から順に、I/O値が0.30〜0.45である化合物を含有するアルカリ可溶な熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とを有する感光性転写材料。
【請求項2】
前記化合物のI/O値が、0.32〜0.43であることを特徴とする請求項1に記載の感光性転写材料。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂層が、前記化合物を、前記熱可塑性樹脂層の全質量に対して0.5〜20質量%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感光性転写材料。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂層と前記感光性樹脂層との間に、少なくとも1層の中間層を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂層が、可塑剤を更に含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の感光性転写材料を用いて、基板上に少なくとも感光性樹脂層を転写する転写工程と、
前記基板上に転写された少なくとも前記感光性樹脂層を露光する露光工程と、
前記露光後の前記感光性樹脂層を現像する現像工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタ。

【公開番号】特開2009−48159(P2009−48159A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22856(P2008−22856)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】