説明

感圧センサ及び自動車用挟み込み防止装置

【課題】陽極の外側に配する陰極形状を帯状として螺旋状にすることで、曲率半径の小さな曲げでも感知できるようにする。また、帯状とした陰極に複数の孔を設けて、該孔に可撓管の一部を溶融させることで、帯状の陰極を可撓管の内壁に容易に装着させることができると共に、断線の恐れを無くす。
【解決手段】絶縁性で管状の湾曲可能な可撓管10の内壁に螺旋状で帯状の陰極11を装着する。可撓管10の内部には線状で絶縁性の支持部材16の外周面に4条から6条巻きの陽極12を装着する。この陽極12の外周面に絶縁性の感知部スペーサー13を螺旋状に装着する。帯状の陰極11には複数の孔が穿設されており、可撓管10を加熱して溶融させて陰極11の孔に流入させ、これにより陰極11を可撓管10の内壁に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力が加えられることにより挟み込みを検出する感圧センサ及び自動車用挟み込み防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より自動車等の車両には、ウインド、スライドドア、サンルーフ等の開閉体を操作スイッチにより自動的に開閉するようにした自動開閉装置を備えたものが提供されている。この自動開閉装置は、車室内等に設けられた操作スイッチにより駆動される電動モータを備えており、操作スイッチにより電動モータを正逆に回転駆動することで、開閉体を開閉駆動するようになっている。
【0003】
前記自動開閉装置には、自動で開閉動作する開閉体により障害物(例えば、頭、腕、手など)が挟み込まれるのを防止するために、挟み込み防止機能が設けられている。自動開閉装置には、障害物の接触を検出する感圧センサとしての圧力検知スイッチが設けられており、この圧力検知スイッチによって圧力を検出した場合に、電動モータの回転駆動を停止あるいは反転するようにしている。これにより、開閉体により障害物が挟み込まれるのを未然に防止するようにしている。
【0004】
前記圧力検知スイッチは、ケーブル状に形成されて開閉体の端部や開口部の端部に取り付けられており、このような圧力検知スイッチとして、例えば、下記に示す特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−259525号公報
【0006】
上記特許文献1に記載の技術は、ケーブル状に形成され、被検出物の接触を検出する圧力検知スイッチであって、可撓性を有する導体により管状に形成される外側電極と、可撓性を有する導体により線状に形成され、前記外側電極の内側に配置される内側電極と、絶縁体により形成され、前記外側電極と前記内側電極との間に配置されて前記外側電極と前記内側電極との間に隙間を形成するスペーサ部材と、前記外側電極の内部に螺旋状に設けられ、前記外側電極に電気的に接続される外側導線と、前記内側電極の内部に軸芯に沿って設けられ、前記内側電極に電気的に接続される内側導線と、前記外側電極および前記内側電極の両端側にそれぞれ設けられ、絶縁体により形成される一対の端末部材とを備え、前記端末部材を、前記隙間の前記スペーサ部材を除いた部分に配置され、前記隙間を保持する隙間保持部と、前記隙間保持部に一体に設けられ、前記外側導線および内側導線の端部がそれぞれ電気的に接続される一対の導電部材を有する本体部とから形成されているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の圧力検知スイッチにおいては、導電性高分子などの可撓性を有する導体により管状に形成した外側電極を用いているために、導電性高分子が有する抵抗値のために、該抵抗値を有する外側電極に抵抗値をほぼ0とした外側導線を並列に接続する必要がある。しかも、該外側導線を外側電極内に螺旋状に設けているため、構成が非常に複雑となっている。また、感圧センサを湾曲可能とするためには、該外側導線も細くする必要があることから、断線の恐れもある。
さらに、当該感圧センサの先端側に抵抗を配した場合には、半田付けが必要な、抵抗を有する回路基板を用いると、該外側導線、内側導線のそれぞれが回路基板との半田付けが必要となるので、組み立てが複雑、煩雑で、衝撃等により半田付け部分の電極等に力がかかるので断線の恐れもある。
【0008】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、陽極の外側に配する陰極形状を帯状として螺旋状にすることで、曲率半径の小さな曲げでも感知でき、帯状とした陰極に複数の孔を設けて、該孔に可撓管の一部を溶融させることで、帯状の陰極を可撓管の内壁に容易に装着させることができると共に、断線の恐れを無くすことができる感圧センサ及び自動車用挟み込み防止装置を提供することを目的とするものである。さらに、本発明は、望ましくは、感圧センサの先端部分の電極接続構造が半田付けを必要とせず、組み立てを容易にして、断線の恐れを無くすことをも目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の感圧センサでは、絶縁性の感知部スペーサー13が間隔を置いて螺旋状に巻かれた線状の湾曲可能な陽極12と、前記陽極12を内部に収容する絶縁性の可撓管10の内壁に螺旋状に装着された陰極11を備え、前記陰極11は帯状の電極であり、前記陰極11は複数の孔14を有し、前記陽極12と前記陰極11とが前記可撓管10の湾曲または扁平によって接触可能としていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
(1)本発明の感圧センサによれば、感知部スペーサー13が巻かれた一方の電極(陽極12)の外側に螺旋状に巻かれた他方の電極(陰極11)を用いていることから、曲率半径の小さな曲げでも感知することができる。また、陰極11を帯状の構造としているので、螺旋状に形成された電極(陰極11)が断線するという恐れも無い。
【0011】
(2)本発明の感圧センサによれば、可撓管10は、樹脂テープ17上に帯状の陰極11が固定され、該テープ17を螺旋状に巻回することにより陰極11が形成されているので、帯状の陰極11を螺旋状に内部に設けた可撓管10を簡単、且つ低コストに製造することができる。
【0012】
(3)本発明の感圧センサによれば、可撓管10に加熱することで、可撓管10の内壁面の部分が溶融して陰極11の各孔14内に入り込む。そして、熱を遮断して可撓管10が冷めてくると、可撓管10自体の樹脂成分の流動がなくなり、陰極11の各孔14内に進入した樹脂の流動もなくなるので、陰極11が可撓管10の内周面に固定されることになる。これにより、陰極11の孔14へのアンカー効果によって、陰極11を可撓管10の内壁に装着させることが容易となり、螺旋状に形成された電極(陰極11)の可撓管10への組み立てが容易となる。
【0013】
(4)本発明の感圧センサによれば、端子部スペーサー部材40に陰極端子部材50、陽極端子部材30、回路基板20を嵌着していくだけで、各部材間の導通を5田付けをすることなく接続して組み立てることができ、そのため、電極接続構造の組み立てが容易であり、しかも断線の心配も無い。
【0014】
(5)本発明の感圧センサによれば、陰極端子部材50の上下の陰極端子接続部(接触片)53が回路基板20の陰極側接続部25に確実に圧接し、接触片53と陰極側接続部25との導通を確実に得ることができる。
【0015】
(6)本発明の自動車用挟み込み防止装置によれば、上記感圧センサ1を自動車のウインド、スライドドア、サンルーフなどの開閉体の部分に公知の方法により配置しておくことで、自動車用挟み込み防止装置とすることができ、障害物を挟み込んだ場合には、挟み込みを確実に検知でき、挟み込みを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における感圧センサの模式図である。
【図2】本発明の実施の形態における感圧センサの具体的な構造を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における陰極の要部正面図である。
【図4】本発明の実施の形態における陰極の孔を示す図である。
【図5】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における陰極を可撓管の内壁に装着する場合の説明図である。
【図6】(a)(b)は本発明の実施の形態における可撓管を形成する場合の他の例を示す平面図及び正面図である。
【図7】本発明の実施の形態における可撓管の他の例を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における感圧センサの電極接続構造を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における電極接続構造の分解断面図である。
【図10】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における陽極端子部材の側面図、破断断面図及び斜視図である。
【図11】(a)(b)は本発明の実施の形態における端子部スペーサー部材の側面図及び断面図である。
【図12】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における陰極端子部材の側面図、破断断面図及び斜視図である。
【図13】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における回路基板の平面図、正面図及び裏面図である。
【図14】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるキャップの断面図及び側面図である。
【図15】本発明の実施の形態における陰極端子部材の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は感圧センサ1の模式図を示しており、該感圧センサ1はケーブル状で構成されているものである。この感圧センサ1は、管状で湾曲可能な絶縁材からなる可撓管10と、この可撓管10の内壁面に略全長にわたって螺旋状に装着されている帯状の陰極11と、前記可撓管10の内部に該可撓管10の略全長にわたって収容されて湾曲可能な陽極12と、この陽極12の外表面に該陽極12の略全長にわたって螺旋状に巻かれている感知部スペーサー13とで構成されている。
【0018】
前記感知部スペーサー13は、絶縁材からなり、可撓管10の表面に外力が加わらない状態では、該感知部スペーサー13により陰極11と陽極12との間に空間(隙間)を形成しているので、振動などの可撓管10に物体が接触しない状態においては陰極11と陽極12とは接触しない、つまり非導通の状態を維持している。可撓管10に外力が加わると、可撓管10が湾曲するなどにより陰極11が陽極12側に付勢されることで、陰極11と陽極12とが接触して両者が導通(短絡)する。
可撓管10に外力が加わった場合には、陰極11が陽極12に接触し易いように、感知部スペーサー13は密巻き等ではなく、所定の間隔をおいて螺旋状に陽極12の外周面に巻回されている。
【0019】
陽極12の一方の端部は導線2を介して直流電圧Vが印加される端子3に接続されており、陽極12の他方の端部と陰極11の他方の端部とは抵抗R1を介して接続されている。また、陰極11の一方の端部は抵抗R2を介して接地されている。
陽極12と陰極11とが接触していない状態では、抵抗R1と抵抗R2との合成抵抗値に応じた電流が正常電流として流れており、この電流を導線2に介装したカレントトランスなどの検出器4が検出して、正常な状態の電流が流れていると判断している。
【0020】
可撓管10に外力が加わって、陰極11が陽極12に接触すると、陰極11と陽極12とは短絡した状態となり、導線2に流れる電流は、抵抗R2の抵抗値に応じた電流が流れる。かかる場合の電流は、上記正常時の電流よりも大きな電流となり、この大きな電流を検出器4が検出し、その検出出力を自動開閉装置に送る。
そして、自動開閉装置側では、障害物を検出したと判断してモータを停止または反転させ、ウインド、スライドドア、サンルーフ等の開閉体を停止または反転させることで、頭、腕、手、指等の挟み込みを未然に防止している。
【0021】
なお、陰極11と陽極12との接触状態を検出するだけでなく、何らかの原因で、感圧センサ1のいずれかの箇所が断線した場合にも検知できるのは言うまでもない。かかる場合、感圧センサ1には全く電流が流れないので、検出器4にて容易に断線を検知できる。
【0022】
図2は感圧センサ1の具体構造を示す図であり、可撓管10は熱可塑性のものを用いており、加熱することで溶融する材料を用いている。この可撓管10の内周面に装着される陰極11は図2及び図3に示すように、所定の幅を有する帯状であって螺旋状に形成されている。また、陰極11の厚みは薄く螺旋状の形状と相まって容易に湾曲可能な構造となっている。
また、この陰極11は図4に示すように、全長にわたって多数の孔14が全面にわたって穿孔されている。
【0023】
図5は上記導体の陰極11を可撓管10の内周面に装着ないし固定する場合の説明図を示し、図5(a)に示すように、可撓管10内に螺旋状の陰極11を挿入する。その後に可撓管10に熱を所定の時間加えると、図5(b)の矢印に示すように可撓管10の内壁面の部分が溶融して陰極11の各孔14内に入り込む。
そして、熱を遮断して可撓管10が冷めてくると、可撓管10自体の樹脂の流動がなくなり、図5(c)に示すように、陰極11の各孔14内に進入した突起部分15も固まることで、陰極11が可撓管10の内周面に固定されることになる。
【0024】
これにより、陰極11の孔14へのアンカー効果によって、帯状の電極(陰極11)を可撓管10の内壁に装着させることが容易となり、陰極11の可撓管10への組み立てが容易となる。しかも、陰極11を帯状の構造としているので、陰極11が断線するという心配も無い。なお、図5は説明図であるので樹脂の流動について模式的に記載しているが、該流動は、孔14内への入り込みが微少であって、実質的に陰極11が可撓管10に固定される程度に可撓管10を構成する樹脂が入り込む流動でよく、該流動が液体の流動である必要はない。
【0025】
ところで、図2に示すように、陰極11を可撓管10の内壁に装着した状態において、陰極11の幅寸法L1より、螺旋状に配した陰極11間の寸法L2を短く設定している。そのため、可撓管10の内壁面において、帯状の陰極11が位置している面積は、陰極11が配されていない面積より大きくなり、可撓管10の湾曲または扁平によって陽極12への陰極11の接触を容易にしている。
また、これらと相まって感知部スペーサー13が巻かれた陽極12の外側に螺旋状に巻かれた陰極11を用いていることから、曲率半径の大きな曲げはもちろん、曲率半径の小さな曲げでも容易に感知することができる。
【0026】
図6及び図7は、陰極11を可撓管10内に螺旋状に設ける場合の他の例を示し、絶縁性の樹脂製のテープ17の一面に帯状で直線状とした陰極11を該テープ17の略全長にわたって配し、上記と同様にテープ17を加熱して陰極11の孔14に樹脂部分を流動させて、テープ17と陰極11とを一体に融着させるようにしたものである。
すなわち、陰極11あるいはテープ17をヒータ(図示せず)で温めて、ローラ(図示せず)にて陰極11あるいはテープ17を押し付け、陰極11をテープ17に固定する。そして、固定された陰極11が内側となるようにテープ17を螺旋状に巻いていき、全体を筒状に形成する。
【0027】
この状態でテープ17が軸方向にずれないように仮止めをし、図7に示すように、樹脂あるいはゴムなどの外被部材18を塗装して可撓管10を形成する。これにより、陰極11を螺旋状に内側に固定したテープ17が外被部材18の内面に長手方向に沿って固定された状態となり、外被部材18の材料として樹脂あるいはゴム製を用いていることで、容易に湾曲可能な可撓管10を形成することができる。
このように構成された陰極11の配置構成は、図2の場合と同様であり、可撓管10の外側の外被部材18に外力が加わった場合には、外被部材18、テープ17及び陰極11が容易に湾曲して陽極12への接触を容易にしている。
【0028】
このようにこの例では、可撓管10は、樹脂テープ17上に帯状の陰極11が固定され、該テープ17を螺旋状に巻回することにより陰極11が形成されているので、帯状の陰極11を螺旋状に内部に設けた可撓管10を簡単、且つ低コストに製造することができる。
【0029】
また、外被部材18として熱収縮性のチューブを用いて、該チューブの中に螺旋状に巻いて仮止めしたチューブ状のテープ17を挿入し、その後加熱してチューブを収縮させて可撓管10を形成するようにしても良い。
【0030】
次に、陽極12側の構成について説明する。図2に示すように、陽極12は4条から6条巻き(図では4条巻きを示している)からなる線状の導線であり、絶縁材からなり湾曲可能な支持部材16の外周面に該支持部材16の略全長にわたって配されている。また、陽極12は略密巻き状態で上記支持部材16に装着されており、線状の陽極12は支持部材16と共に、容易に湾曲可能な構造となっている。なお、陽極12の構造としては、湾曲可能であればその形状が特に限定されるものではなく、1本のコイルスプリング状のものでもよく、また、2条から3条巻きの線状の導線を用いるようにしても良い。
そして、陽極12の外面に上述したように絶縁性で湾曲可能な感知部スペーサー13が螺旋状に巻かれている。
【0031】
図8は図1に示す抵抗R1を実装した回路基板20と、陰極11と、陽極12とを半田付けをすることなく、各部材を嵌めていくだけで接続を可能とした電極接続構造を示し、感圧センサ1の先端部分の断面図を示している。図9は図8の要部分解断面図を示している。
【0032】
先ず、感圧センサ1の先端部分の電極接続構造を構成している各部材について説明する。図10は陽極12の先端部分と嵌着される陽極端子部材30を示し、同図(a)は側面図を、(b)は破断断面図を、(c)は斜視図をそれぞれ示している。
円柱状で金属製の陽極端子部材30の一方側は、略円筒状に形成されており、中央部分の隔壁31より一方側は上記陽極12が圧入される穴32が形成されている。また、隔壁31より他方側は中央部分に上記回路基板20の厚さとほぼ同じ厚みのスリット33が切り欠き形成されていて、このスリット33の上下に断面を略半円状とした端子片34がそれぞれ一体に形成されている。
【0033】
図11は上記陽極端子部材30を内部に収容する端子部スペーサー部材40を示し、図11(a)は端子部スペーサー部材40の側面図を、(b)は断面図をそれぞれ示している。この略円筒状の端子部スペーサー部材40は絶縁材で構成されており、一方の端部には円弧状の突部42が一体に形成されている。また、端子部スペーサー部材40の突部42側の両側部には上記回路基板20の側部が挿入されるスリット43が軸方向に沿って切欠形成されている。
【0034】
図12は上記端子部スペーサー部材40の外周面に装着される陰極端子部材50を示し、図12(a)は陰極端子部材50の側面図を、(b)は断面図を、(c)は斜視図をそれぞれ示している。
金属製の陰極端子部材50は、略円筒状に形成されていて、一方の端部には内側に向けてリング状のリブ54が一体に形成されている。また、陰極端子部材50の他方の端部側の両側には切り欠いた切欠部51により上下に断面を略円弧状とした端子片52がそれぞれ形成されている。この上下の端子片52の端部の両側には舌片状の接触片53がそれぞれ突設されている。
【0035】
図13は上記抵抗R1を実装した回路基板20を示し、図13(a)は回路基板20の平面図を、(b)は正面図を、(c)は回路基板20の裏面図をそれぞれ示している。例えば、ガラスエポキシからなる基板21の表面の一方には図13(a)に示すように、四角状の電極パターンで形成した陽極端子部22が形成され、基板21の表面の他方には、同様に電極パターンで形成した陰極端子部24が形成されている。そして、陽極端子部22と陰極端子部24との間にチップ抵抗からなる抵抗R1が半田付け等にて実装されている。
上記陽極端子部22を陽極側接続部23とし、上記陽極端子部材30の上側の端子片34の内側の面が全面にわたって接触ないし圧接される。また、陰極端子部24の上下の部分には斜線にて示した陰極側接続部25が形成されており、この陰極側接続部25に上記陰極端子部材50の上側の接触片53の両側の下端面がそれぞれ接触ないし圧接されるようになっている。
【0036】
また、基板21の裏面にも、陽極端子部22及び陰極端子部24がそれぞれ形成されており、陽極端子部22を上記と同様に陽極側接続部23とし、陰極端子部24には陰極側接続部25が形成されている。陽極側接続部23には、陽極端子部材30の下側の端子片34の上面が接触ないし圧接され、陰極側接続部25には陰極端子部材50の下側の接触片53の上端面ががそれぞれ接触ないし圧接されるようになっている。
基板21の上下面の陽極端子部22及び陰極端子部24はそれぞれスルーホール(図示せず)にて導通を図っている。
【0037】
図14は、回路基板20、端子部スペーサー部材40、陰極端子部材50等の電極接続構造部分を覆うキャップ60を示し、図14(a)は断面図を、(b)は同図(a)の右から見た側面図をそれぞれ示している。キャップ60は図示するように、一方が閉塞され、他方は開口されている。そして、キャップ60の内面の両側には軸方向に沿って上記回路基板20の両側の端部が挿入される一対の溝61がそれぞれ凹設されている。
【0038】
次に、感圧センサ1の先端部分の電極接続構造の組み立てについて図8及び図9等により例示として説明する。先ず、端子部スペーサー部材40の一方から陰極端子部材50を端子部スペーサー部材40の外面を覆設する形で挿入し、陰極端子部材50の先端面が端子部スペーサー部材40の突部42に当接するまで挿入していく。また、この時、陰極端子部材50のリブ54が端子部スペーサー部材40の一方の端面に当接ないし近接した状態となっている。次に、端子部スペーサー部材40の一方から陽極端子部材30を圧入していって陽極端子部材30を端子部スペーサー部材40内に嵌着する。
【0039】
次に、端子部スペーサー部材40の他方から回路基板20を挿入していく。この際、回路基板20の両側の端部は、端子部スペーサー部材40の両側のスリット43にてガイドされながら挿入されていき、回路基板20の一方の上下面は陽極端子部材30の上下の端子片34の上下面にて圧接される。つまり、回路基板20の上下の陽極側接続部23は、陽極端子部材30の上下の端子片34にて挟着された形となる。
また、この状態において回路基板20の他方の上下面は陰極端子部材50の上下の接触片53の先端にて圧接されている状態となっている。つまり、回路基板20の上下の陰極側接続部25は、陰極端子部材50の上下の接触片53にて挟着された形となる。
【0040】
すなわち、回路基板20の上下面の陽極端子部22つまり陽極側接続部23には、陽極端子部材30の上下の端子片34の面がそれぞれ圧接された状態となっており、陽極端子部材30と回路基板20の陽極端子部22との導通を得ている。
また、回路基板20の上下面の陰極端子部24の両側の陰極側接続部25には、陰極端子部材50の上下の接触片53の両側の先端がそれぞれ圧接された状態となっており、陰極端子部材50と回路基板20の陰極端子部24とは導通が得られた状態となっている。
【0041】
次に、この状態で可撓管10の先端部分に端子部スペーサー部材40を圧入していく。ここで、感圧センサ1の陰極11を含めた可撓管10の内径より陰極端子部材50の外径を大きくしているので、陰極端子部材50を嵌着している端子部スペーサー部材40を可撓管10内に圧入していくと、可撓管10の外周が若干膨らみ、陰極端子部材50の外周面と陰極11の内面とは確実に圧接された状態となり、両者の導通を確実なものとしている。
また、端子部スペーサー部材40を可撓管10内に圧入していく場合、同時に可撓管10の陽極12が陽極端子部材30の穴32に圧入していき、これにより陽極端子部材30と陽極12とが確実に接触ないし圧接し、両者の導通を確実にしている。
【0042】
次に、端子部スペーサー部材40が感圧センサ1側に嵌着されている状態において、キャップ60を端子部スペーサー部材40の表面に装着する。かかる場合、キャップ60の内側の溝61に回路基板20の両側の端部を挿入する形でキャップ60の先端面と可撓管10の先端面とは接触するまで装着していく。これにより、キャップ60にて端子部スペーサー部材40の外周面に露出していた陰極端子部材50を完全に覆うことができ、外部との接触を防止している。
【0043】
ここで、端子部スペーサー部材40の外周面に装着されている陰極端子部材50の外径よりキャップ60の内径を若干小さくしており、そのため、キャップ60を端子部スペーサー部材40に外嵌した場合には、陰極端子部材50はキャップ60により中心方向に向けて付勢される。そのため、陰極端子部材50の上下の接触片53が回路基板20の陰極側接続部25に確実に圧接し、接触片53と陰極側接続部25とは確実に導通が得られた状態となっている。
【0044】
なお、キャップ60を端子部スペーサー部材40に嵌着した場合、キャップ60の内周面に形成している段部62が、端子部スペーサー部材40の突部42に当接してキャップ60が端子部スペーサー部材40から容易に外れないようになっている。
【0045】
このように、端子部スペーサー部材40に陰極端子部材50、陽極端子部材30、回路基板20を嵌着していくだけで、各部材間の導通を半田付けをすることなく接続して組み立てることができ、そのため、電極接続構造の組み立てが容易であり、しかも断線の心配も無い。
【0046】
図15は陰極端子部材50の他の例を示し、図12に示す陰極端子部材50の接触片53は、該陰極端子部材50の全体の形状に合わせて曲成していたが、この例では、接触片53を回路基板20と直交するように折り曲げたものである。
また、陽極端子部材30も、端子片34の部分を陰極端子部材50のように円筒状に形成し、陽極端子部材30の端子片34の両側を図15に示すように折り曲げるようにしても良い。
【0047】
上記のようにして構成した感圧センサ1を自動車のウインド、スライドドア、サンルーフなどの開閉体の部分に公知の方法により配置しておくことで、自動車用挟み込み防止装置とすることができ、障害物を挟み込んだ場合には、挟み込みを確実に検知でき、挟み込みを未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 感圧センサ
10 可撓管
11 陰極
12 陽極
13 感知部スペーサー
14 孔
20 回路基板
22 陽極端子部
23 陽極側接続部
24 陰極端子部
25 陰極側接続部
30 陽極端子部材
34 端子片(陽極端子接続部)
40 端子部スペーサー部材
50 陰極端子部材
53 接触片(陰極端子接続部)
R1 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の感知部スペーサー(13)が間隔を置いて螺旋状に巻かれた線状の湾曲可能な陽極(12)と、前記陽極(12)を内部に収容する絶縁性の可撓管(10)の内壁に螺旋状に装着された陰極(11)を備え、前記陰極(11)は帯状の電極であり、前記陰極(11)は複数の孔(14)を有し、前記陽極(12)と前記陰極(11)とが前記可撓管(10)の湾曲または扁平によって接触可能としていることを特徴とする感圧センサ。
【請求項2】
前記可撓管(10)は、樹脂テープ(17)上に帯状の陰極(11)が固定され、該テープ(17)を螺旋状に巻回することにより陰極(11)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の感圧センサ。
【請求項3】
前記陰極(11)が前記可撓管(10)を加熱溶融することにより前記可撓管(10)の内表面に配されたことを特徴とする請求項1に記載の感圧センサ。
【請求項4】
前記感圧センサの先端部が、
前記陽極(12)の端部が基端に嵌着される陽極端子部材(30)と、前記陽極端子部材(30)を内部に収容する端子部スペーサー部材(40)と、前記端子部スペーサー部材(40)に外嵌される陰極端子部材(50)と、基板(21)の外面に設けられている陽極端子部(22)と陰極端子部(24)とに接続される、抵抗(R1)を有する回路基板(20)とを備えた電極接続構造を含み、
前記陽極端子部材(30)に設けられた陽極端子接続部(34)に前記回路基板(20)の陽極側接続部(23)が挟着され、
前記陰極端子部材(50)に突設された陰極端子接続部(53)に前記回路基板(20)の陰極側接続部(25)が挟着され、
前記可撓管(10)の端部に前記電極接続構造の基端が嵌着されることにより前記陰極(11)と前記陰極端子部材(50)とが接続するようにされて成ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の感圧センサ。
【請求項5】
前記可撓管(10)の先端から露出した前記電極接続構造にキャップ(60)を外嵌することにより前記回路基板(20)の陰極側接続部(25)が前記陰極端子接続部(53)に圧接されたことを特徴とする請求項4に記載の感圧センサ。
【請求項6】
前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の感圧センサを用いたことを特徴とする自動車用挟み込み防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−233236(P2011−233236A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99615(P2010−99615)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】