説明

感圧接着シート

【課題】 本発明の目的は、レーザープリンター、インクジェットプリンター等の各種プリンター適性に優れる感圧接着シートを提供する。
【解決手段】 基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有しており、該接着剤層が、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着でき、接着後に接着剤層間で剥離可能である感圧接着シートにおいて、該接着剤層が、感圧接着剤、微粒子充填剤、バインダー樹脂を構成成分とし、感圧接着剤が、分子内にラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基の塩及び炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択される少なくとも1種を有するアニオン系反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られたアクリル系共重合体である感圧接着シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三つ折りもしくは二つ折り葉書等の各種葉書システムに用いられる感圧接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
郵便法の改正に伴い必要情報を記録したシートを二つ折り、又は三つ折りに折り畳み、親展性を持つ葉書システムが実用化され普及している。このような親展性を持つ葉書の基材シートに設けられた接着剤層は常温、常圧では接着性がなく、接着剤層同士を対向させた状態で500Kg/cm2程度に加圧することにより接着性を示し、且つ接着後は再剥
離することが可能な接着剤層を有する感圧接着シート(以下、代表的な例である親展葉書用紙ともいう)が使用される。
【0003】
親展葉書用紙は、特開平7−276858号公報、特開平9−71758号公報に記載されているように接着剤層面に葉書として定形事項を印刷した後、同層に宛名や個人情報等の秘密にしたい情報をレーザープリンターで印字し、秘密情報が外部から見えないように接着剤層同士が対向するように折り畳み、ドライシーラーで加圧積層して親展葉書となる。親展葉書は受取人が該接着剤層を元のように剥離することにより情報を見ることができ、一旦剥離すると常温、常圧では該接着剤層面は接着性がないので剥離前の状態にはならない葉書である。このような親展葉書用紙には接着剤として自己接着性に優れる天然ゴムあるいはその変性物が使用されてきたが、酸素、紫外線を含む光、オゾン、熱等によりゴム成分の二重結合の破壊が進行し、接着力等の経時的な低下が著しく、使用期限が設定されている等、使用し難いものであった。
【0004】
そこで、親展葉書用紙の印刷適性、フォーム加工適性、接着力安定性、塗工安定性を改善するため、天然ゴムラテックスにガラス転移温度0〜90℃の有機高分子化合物を配合すること(特許文献1)や不飽和モノマーをグラフト化した天然ゴム誘導体のエマルションと充填剤とを含有する再剥離性接着剤に部分ケン化型ポリビニルアルコールを添加すること(特許文献2)、親展葉書用紙を疑似接着後再剥離した際、印字が対向面に転写され情報印刷面が汚れるという問題を解決するため、感圧接着剤、微粒子充填剤を構成成分とする接着剤層に変性ポリビニルアルコールを配合すること(特許文献3)等が提案されているが、接着剤として天然ゴムや天然ゴム誘導体が使われてきたため、酸素、紫外線を含む光、オゾン、熱等によりゴム成分の二重結合の破壊による接着力の経時的な低下の抑制や圧着時の接着剤層剥がれ防止等に改善の余地のあるものであった。
【0005】
近年では、印字方式がレーザープリンター方式から大量に、かつ高速で処理することのできるインクジェットプリンター方式に変化しつつある。インクジェット方式は、種々の方式によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録シートに付着させ、画像、文字等の記録を行うものである。通常、記録シートには印字ドットの濃度が高いこと、色調が明るく鮮やかであること、色の沈みがないこと、インクの吸収速度が大きくて印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりせず、横方向への拡散の少ないことが要求されている。また、シート圧着後、剥離時に印字が対向白紙面に転写しないことも要求されている。従来の親展葉書用紙における接着剤層を構成する材料として、例えばシリカや接着剤は、アニオン性であり、またインクジェットインクがアニオン性であるため、接着剤層にインクジェットインクを吹き付けた場合、接着剤層とインクジェットインクが反発し、この反発が原因で、発色鮮明性、光沢性、黄変等が生じるものと考えられる。そこで、インクジェットインクを接着剤層と反発なく定着させるために、カチオン性のインクジェットインク定着剤を接着剤層に配合することが提案されている(特許文献4)が、アニオン性の接着剤層構成材料とカチオン性のインクジェットインク定着剤が反応して凝集してしまい、接着剤層塗料を基材シートに塗布できないという問題があった。
【0006】
また、インクジェットプリンター対応親展葉書用紙は、定型印刷部はオフセット印刷方式、可変情報部はインクジェット方式の2工程で印刷、印字することが多い。これは、インクジェット方式では、べた印刷を施すとインク量が多くなりインク乾燥不良のおそれがあるためである。ここで、べた印刷とは、ミシン目加工時等で加工位置を決定するためのタイミングマーク、圧着後にめくりしろを作成するための糊殺し等に必要であり、べた印刷不良は、ミシン目の位置ずれ、めくりしろでの剥離不能等のトラブルの原因となる。従って、べた印刷は定型印刷部において施されるため、定型印刷部については印刷の信頼性の高いオフセット印刷方式が採用される。このように、インクジェットプリンター対応親展葉書用紙には、インクジェット印字適性のみならずオフセット印刷適性を同時に有することが求められている。
【0007】
さらに、近年、インクジェットプリンターの高速化が進み、ラインスピードは200m/分程度に達している。それに伴い、従来にはなかったインクの乾燥不良の問題が生じている。インクジェットプリンターによる印字面がプリンターのガイドロールに接触する際に、十分に乾燥していないインクによりロールが汚染され、さらに汚染されたロールからインクがシートの別の部分を汚染し、印字の外観不良を生じてしまう。
【0008】
上記課題を解決するためには、インク乾燥性を向上させなければならない。そのために、接着剤層中のシリカ粒子の増量、水溶性バインダーの増量がなされるが、接着剤層のウェット強度が弱くなり、オフセット印刷時には、ブランケットパイリング、ブランケット汚れ、地汚れ、ターンバー汚れ等の重大な問題を引き起こす。また、シート圧着後に剥離する際に、接着剤層が剥がれ落ちるという問題もある。
【0009】
インクジェットインクの吸収性及び乾燥性、定着性、非転写性を高めるために、接着剤層に含有される微粒子充填剤の粒径、BET比表面積、吸油量を規定したもの(特許文献5)や、インクジェットインクの定着性を高めるために、接着剤層中の天然ゴム系接着剤基剤、シリカ粒子、カチオン性物質の配合量を規定し、かつシリカ粒子の平均粒子径、吸油量を規定したもの(特許文献6)も提案されているが、インクジェット印字適性とオフセット印刷適性を両立させるという観点からは十分とはいえないというのが現状である。
【特許文献1】特開2001−277414号公報(請求項1〜3、第3〜4頁)
【特許文献2】特開2002−20711号公報(請求項1〜7、第3頁)
【特許文献3】特開平7−18232号公報(請求項1〜3、第2〜3頁)
【特許文献4】特開平9−39378号公報(請求項1〜4、第4〜5)
【特許文献5】特開平11−334201号公報(請求項1〜2、第3〜4頁)
【特許文献6】特開2001−262097号公報(請求項1〜3、第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、レーザープリンター、インクジェットプリンター等の各種プリンター適性に優れ、特にインクジェットプリンターでのインク乾燥性、印字耐水性に優れ、かつ親展葉書用紙としてのオフセット印刷適性、酸素、紫外線を含む光、オゾン、熱等による接着力の低下を効果的に抑制する感圧接着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、接着剤を特定の官能基を有するアニオン系反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られたアクリル系共重合体とすることにより、カチオン性のインクジェットインク定着剤が凝集することなく配合することができ、各種プリンター適性、オフセット印刷適性及び接着適性のバランスを維持しながら、優れた塗工適性を発現し得ることを見出した。
【0012】
本発明は、接着剤層中に特定の化学構造を有する反応性乳化剤を用いて乳化重合して得たアクリル系共重合体を感圧接着剤成分とすることによって、カチオン性のインクジェットインク定着剤を容易に配合することができ、各種プリンター印字適性とオフセット印刷適性、親展葉書用紙としての接着適性を両立させた感圧接着シートを提供するものであり、以下の各発明を包含する。
【0013】
(1)基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有しており、該接着剤層が、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着でき、接着後に接着剤層間で剥離可能である感圧接着シートにおいて、該接着剤層が、感圧接着剤、微粒子充填剤、バインダー樹脂を構成成分とし、感圧接着剤が、分子内にラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基の塩及び炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択される少なくとも1種を有するアニオン系反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られたアクリル系共重合体であることを特徴とする感圧接着シートである。
【0014】
(2)アニオン系反応性乳化剤が、下記一般式(1)および(2)で示される化合物から選ばれた少なくとも1種である(1)項に記載の感圧接着シートである。
【0015】
【化1】

【0016】
【化2】

[式中、R,Rは水素又はメチル基、Rは炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基、EOは−CHCHO−、Xは単結合又はメチレン基、Yは−X−又は−COX−でX及びXは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基、シクロヘキシレン基又はフェニレン基、Mはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、nは1〜50の自然数である。]
【0017】
(3)前記(1)項及び(2)項のいずれかに記載された感圧接着シートの接着剤層にオフセット印刷による定型印刷部、インクジェット印字またはレーザープリント印字による個人情報部が形成されている親展葉書用紙である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の感圧接着シートは、各種プリンター適性、特にインクジェットプリンター適性(インク乾燥性、印字耐水性)、オフセット印刷適性に優れるのみならず、レーザープリント時、オフセット印刷時、用紙保存中の接着力低下が少なく、親展葉書用紙等の用途に極めて適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の感圧接着シートは、基材シートの少なくとも一方の面に設けられた接着剤層が、加圧する前の常温、常圧では接着性を示さず、且つ、接着剤層同士を対向させた状態で、500Kg/cm2程度に加圧処理をすることにより接着することができ、かつ、その接着面は手で剥離可能である(この面を再剥離面とも言う)が、一度剥離すると接着剤層同士を重ねて手で圧着しても接着しないという特性を有する接着剤層を有している。
【0020】
また、本発明の感圧接着シートは、(1)基材シートの片面にのみ、再剥離性を有する接着剤層(以下、再剥離面とも称する)を有する構成、(2)基材シートの両面に再剥離性を有する接着剤層(再剥離面)を有する構成、(3)基材シートの片面に再剥離性の接着剤層(再剥離面)を設け、他の面に再剥離性のない面(永久接着面)を有する構成の感圧接着シートを包含する。
【0021】
本発明の感圧接着シートは、再剥離面、永久接着面ともに、常温、常圧では接着性を示さず、ドライシーラー等で500Kg/cm2程度(300Kg/cm2〜700Kg/cm2)に加圧積層することにより接着するが、このような接着剤層は、感圧接着剤と微粒子充填剤の配合量などで接着力を調節する。例えば、再剥離面に、秘密を必要とする情報を設けた後、その情報が隠れるようにシートを折り畳み、或いは別のシートを重ね合わせ、再剥離性の接着剤層同士が対向するようにして加圧処理することにより、内部に情報を持つ積層シート(例えば、親展葉書、くじ等)として利用される。
【0022】
本発明の感圧接着シートは、分子内にラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基の塩及び炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択される1種を有するアニオン系反応性乳化剤(カルボン酸塩型反応性乳化剤)の存在下で乳化重合して得られたアクリル系共重合体を感圧接着剤として使用することに大きな特徴がある。即ち、このような化学構造を有するアクリル系感圧接着剤を使用すると、カチオン性のインクジェットインク定着剤が凝集することなく配合することが可能となる。このような効果が現れる理由は明確ではないが、感圧接着剤分子内に比較的長鎖のアルキル基等を有するため、感圧接着剤分子のアニオン基とカチオン性のインクジェットインク定着剤との相互作用が弱くなっているのではないかと推定している。
【0023】
本発明の感圧接着シートに使用される感圧接着剤としては、分子内にラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基の塩及び炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択される1種を有するアニオン系反応性乳化剤(カルボン酸塩型反応性乳化剤)の存在下で、2種以上のアクリルモノマーを共重合したアクリル系樹脂とする必要がある。カルボン酸塩型反応性乳化剤としては、例えば、下記一般式(1)、(2)で表されるアニオン系反応性乳化剤が好適に使用できる。
【0024】
【化3】

【0025】
【化4】

【0026】
[式中、R,Rは水素又はメチル基、Rは炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基、EOは−CHCHO−、Xは単結合又はメチレン基、Yは−X−又は−COX−でX及びXは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基、シクロヘキシレン基又はフェニレン基、Mはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、nは1〜50の自然数である。]
【0027】
前記一般式(1)で示されるカルボン酸塩型反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアルケニルフェニルエーテル飽和脂肪族オキシカルボン酸エーテル塩、例えば、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテルグリコール酸エーテルナトリウム塩で「アクアロンH−3855A」、「アクアロンH−3855B」、「アクアロンH−3855C」(以上、第一工業製薬社製)、又は、ポリオキシエチレンアルキルアルケニルフェニルエーテル脂肪族もしくは芳香族二塩基カルボン酸モノエステル塩等を挙げることができる。
【0028】
また、前記一般式(2)で示されるカルボン酸塩型反応性乳化剤としては、グリセロール−1−アリル−3−アルキルフェニル−2−ポリオキシエチレン飽和脂肪族オキシカルボン酸エーテル塩、例えば、グリセロール−1−アリル−3−ノニルフェニル−2−ポリオキシエチレングリコール酸エーテルナトリウム塩で、「アクアロンH−3856」(第一工業製薬社製)、グリセロール−1−アリル−3−アルキルフェニル−2−ポリオキシエチレン脂肪族二塩基カルボン酸モノエステル塩、例えば、グリセロール−1−アリル−3−ノニルフェニル−2−ポリオキシエチレンマレイン酸モノエステルカリウム塩で、「アデカリアソープSDX−259」、グリセロール−1−アリル−3−ノニルフェニル−2−ポリオキシエチレンマレイン酸モノエステル(「アデカリアソープSDX−222」)のアルカリ金属塩、グリセロール−1−アリル−3−ノニルフェニル−2−ポリオキシエチレンコハク酸モノエステル(「アデカリアソープSDX−232」)のアルカリ金属塩(以上、旭電化工業社製)、又は、グリセロール−1−アリル−3−アルキルフェニル−2−ポリオキシエチレン芳香族二塩基カルボン酸モノエステル塩、例えば、グリセロール−1−アリル−3−ノニルフェニル−2−ポリオキシエチレンフタル酸モノエステルで、「アデカリアソープSDX−223」、「アデカリアソープSDX−233」(以上、旭電化工業社製)のアルカリ金属塩を挙げることができる。
【0029】
これらのカルボン酸塩型反応性乳化剤のうち、乳化重合時の化学的及び機械的安定性、貯蔵安定性、インクジェットインク定着剤との混和安定性等の点から一般式(1)、中でもポリオキシエチレンアルキルアルケニルフェニルエーテル飽和脂肪族オキシカルボン酸エーテル塩を用いるのが好ましい。
【0030】
本発明のアクリル系共重合体を乳化重合する際の前記カルボン酸塩型反応性乳化剤の使用量は、特に限定されないが、アクリル系接着剤を構成する全モノマー100質量部に対して、通常0.1〜30質量部、好ましくは2〜25質量部、さらに好ましくは3〜20質量部の範囲内である。
【0031】
また、本発明のアクリル系共重合体を乳化重合する際、前記カルボン酸塩型反応性乳化剤と共に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、カルボン酸塩型以外の反応性乳化剤を使用することができる。
【0032】
このような反応性乳化剤としては、アニオン系反応性乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルアルケニルフェニルエーテル硫酸エステル塩型反応性乳化剤、例えば、「アクアロンHS−05」、「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−20」、「アクアロンHS−1025」(以上、第一工業製薬製);グリセロール−1−アリル−3−アルキルフェニル−2−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩型反応性乳化剤、例えば、「アデカリアソープSE−10N」、「アデカリアソープSE−20N」、「アデカリアソープSE−30N」(以上、旭電化工業社製);アルキルスルホコハク酸アルケニルエーテル塩型反応性乳化剤、
例えば、「ラテムルS−120」、「ラテムルS−120A」、「ラテムルS−180」、「ラテムルS−180A」(以上、花王社製);アルキルスルホコハク酸アルケニルエステル塩型反応性乳化剤、例えば、「エレミノールJS−2」(三洋化成社製);メチレンビスポリオキシエチレンアルキルフェニルアルケニルエーテル硫酸エステル塩型反応性乳化剤、例えば、「アントックスMS−60」(日本乳化剤社製);アルキルアルケニルコハク酸エステル塩型反応性乳化剤、例えば、「ラテムルASK」(花王社製);ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート硫酸エステル塩型反応性乳化剤、例えば、「エレミノールRS−30」(三洋化成社製);(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩型反応性乳化剤、例えば、「アントックスMS−2N」(日本乳化剤社製);フタル酸ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート硫酸エステル塩型反応性乳化剤;モノもしくはジ(グリセロ―ル−1−アルキルフェニル−3−アリル−2−ポリオキシアルキレンエーテル)リン酸エステル塩型反応性乳化剤、例えば、「H−3330PL」(第一工業製薬社製)等を例示することができる。
【0033】
また前記カルボン酸塩型反応性乳化剤以外の反応性乳化剤としては、ノニオン系反応性乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルアルケニルフェニルエーテル型反応性乳化剤、例えば、「アクアロンRN−10」、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−30」、「アクアロンRN−50」、「アクアロンRN−2025」(以上、第一工業製薬社製);グリセロール−1−アリル−3−アルキルフェニル−2−ポリオキシエチレン型反応性乳化剤、例えば、「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−30」、「アデカリアソープNE−40」(以上、旭電化工業社製);ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート型反応性乳化剤、例えば、「RMA−564」、「RMA−568」(以上、日本乳化剤社製);ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート系反応性乳化剤、例えば、「RMA−1114」(日本乳化剤社製)等を例示することができる。
【0034】
これらのカルボン酸塩型反応性乳化剤以外の反応性乳化剤の使用量は、本発明におけるアクリル系感圧接着剤を構成する全モノマー100質量部当たり、一般に0〜5質量部程度の範囲で用いるのがよい。
【0035】
本発明のアクリル系共重合体を乳化重合する際、得られる共重合体の性能に悪影響を及ぼさない範囲において、前記反応性乳化剤とともに必要に応じて、通常のアニオン系及び/又はノニオン系乳化剤を併用することができる。
【0036】
通常のノニオン系乳化剤類として、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー等を例示することができる。
【0037】
また、通常のアニオン系乳化剤類としては、例えば、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類等を例示することができる。
【0038】
これら通常の乳化剤を前記反応性乳化剤と併用する場合には、これら通常の乳化剤を適宜組合せて使用するのがよく、その使用量としては、本発明のアクリル系感圧接着剤を構成する全モノマー100質量部当たり0〜1質量部程度の範囲で用いるのがよい。
【0039】
また、本発明のアクリル系感圧接着剤を構成するモノマーとしては、粘着性モノマーを主成分に凝集性モノマーを配合したものである。ここで、粘着性モノマーとは、そのモノマーから誘導されるホモポリマーのガラス転移温度が−20℃以下のものであり、下限は特にないが、例えば、−70℃程度である。これらに該当するモノマーとしては、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等が挙げられ、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸エチルが好ましく用いられる。
【0040】
また、凝集性モノマーとは、感圧接着剤の凝集力を向上させるガラス転移温度が−20℃以上、好ましくは0℃以上のものであり、上限は特にないが、例えば、100℃程度でもよい。これらに該当するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、酢酸アリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、アリルアルコール等が挙げられる。本発明のアクリル系接着剤は、上記2種類のガラス転移温度を有するアクリル系モノマーを共重合させて得られる。
【0041】
ここで、感圧接着剤の適度な接着力を確保するため、上記2種以上の異なるモノマーの配合割合を適宜選択してガラス転移温度を−70〜20℃、好ましくは−60〜20℃、より好ましくは−55〜−20℃に調節するのが望ましい。ガラス転移温度が−70℃より低くなると粘着力が強くなり過ぎ、ブロッキングのおそれがある。また、ガラス転移温度が20℃より高くなると接着力が弱くなり過ぎ、親展葉書用紙等として使用中に意図しない剥がれが発生するおそれがある。
【0042】
次に、再剥離面の接着剤層中の感圧接着剤配合量は、好ましくは固形分質量が10〜40質量%程度である。10質量%未満の場合、接着剤層の接着力が弱くなり過ぎるおそれがあり、40質量%を越えると、接着剤層中の微粒子充填剤の1種である顔料を被覆してしまいインク吸収性が低下し、インクジェット適性が低下するおそれがある。一方、永久接着面の感圧接着剤配合量は、好ましくは固形分質量で40〜70質量%程度である。因みに、40質量%未満では再剥離性を示してしまい、70質量%を越えるとブロッキングが生じ易くなるおそれがある。
【0043】
なお、前記アクリル系モノマーの重合の際には重合開始剤を用いるのが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、2,2−ジアミジノ−2,2−アゾプロパン塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物が例示できる。また、公知のレドックス系開始剤、例えば、過硫酸カリウムと亜硫酸水素ナトリウムまたは3級アミンとの組合せ等を用いることもできる。重合は、通常10〜100℃、好ましくは40〜90℃で、3〜20時間程度行われる。この重合反応は窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気中で行うのが好ましい。接着剤中の重合開始剤の配合割合は、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%である。
【0044】
さらに、乳化重合に際しては連鎖移動剤を使用することができる。このような連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、2−メルカプトエタノール、トリクロロブロモメタン等を挙げることができる。これら連鎖移動剤は、感圧接着剤を構成する全モノマー100質量部に対して、0〜1質量部程度用いるのが好ましい。
【0045】
本発明で使用する感圧接着剤に微粒子充填剤、インクジェットインク定着剤、各種添加剤を混合する際、感圧接着剤をアルカリ性物質で中和しておくのが好ましい。これにより微粒子充填剤、インクジェットインク定着剤を混合する際に塗液のショック、増粘を防ぐことができる。本発明で使用するアルカリ性物質としては、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、モルホリン、p−アミノ安息香酸、スルファニル酸、スルファニルアミド、アンモニア等が挙げられる。中でも、モルホリンが塗料の安定性や親展葉書用紙の印字耐水性に優れるため好ましい。
【0046】
本発明の感圧接着シートは、接着剤層中にさらにバインダー樹脂として、ガラス転移温度が−30〜50℃であり、トルエンに対するゲル分率が30〜90質量%である有機高分子化合物から選択される少なくとも1種を構成成分とすることが好ましい。ここで、該有機高分子化合物は印刷の際の表面強度を付与するための材料である。ガラス転移温度が−30℃未満では、接着剤層が柔らかくなりウェット強度が弱くなるために、オフセット印刷時にブランケットパイリング、ブランケット汚れ、ターンバー汚れ等の問題を生じる。また、ガラス転移温度が50℃を超えると、接着剤層が硬くなり接着性がなくなる。また、ゲル分率が30質量%未満であるとブランケット汚れ、ターンバー汚れ等の問題を生じるおそれがあり、ゲル分率が90質量%を越えるとブランケットパイリングの問題を生じるおそれがある。ガラス転移温度は、好ましくは−20〜45℃、より好ましくは−15〜30℃である。
【0047】
一方、ゲル分率は、好ましくは34〜81質量%、より好ましくは40〜75質量%である。ここで、トルエンに対するゲル分率とは次のような方法により得られる値である。即ち、テフロン(登録商標)シート上で、有機高分子化合物の皮膜厚が0.3〜0.5mm(乾燥後)になるように作成する。乾燥条件は、50℃、24時間である。次いで、上記条件により作成した皮膜を3cm角に切り、トルエンに24時間浸漬後、105℃で3時間乾燥して溶剤を完全に揮散させ、浸漬前後での質量変化を測定して、下記の式によりゲル分率を求める。
【0048】
ゲル分率(%)={浸漬後の質量(g)/浸漬前の質量(g)}×100
有機高分子化合物としては、特に限定されないが、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、酸化デンプン等のデンプン類(糊化したもの)等が挙げられる。これらは単独又は2種類以上併用できるが、好ましくは、接着剤成分との親和性に優れたスチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体である。
【0049】
本発明の感圧接着シートの接着剤層における有機高分子化合物の配合割合は、接着剤100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましい。1質量部未満であると、ウェット強度が弱くなり過ぎオフセット印刷適性が悪くなるおそれがある。100質量部を越えると、インクジェットのインク乾燥性、印字濃度が低くなり、接着力も低下するおそれがある。
【0050】
本発明の感圧接着シートの接着剤層には、部分ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、デキストリン、デンプン(糊化したもの)、変性デンプン(糊化したもの)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ウレタン系共重合体等の親水性高分子を配合してもよい。これによりインクジェット適性を向上させることができる場合もある。特に、部分ケン化型酸変性ポリビニルアルコールはインクジェットインクの吸収性に優れ、インク乾燥性を飛躍的に向上させるため好ましい。
【0051】
本発明の感圧接着シートの接着剤層に含有される微粒子充填剤としては、無機及び有機顔料等が使用できる。例えば、シリカ、コロイダルシリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、ゼオライト、炭酸カルシウム、クレー、酸化アルミニウム、デンプン(糊化していないもの)、アルミナ、γ−アルミナ、プラスチックピグメント、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。その中でも、シリカ、デンプン等が接着力のコントロールに適しており、好適に用いられる。
【0052】
また、デンプンはブロッキング防止の目的でスペーサー的に使われる。シリカはインク受容性に優れるので、インクジェット記録適性、印刷適性を改善するので好ましい。また、ブロッキング防止効果もある。フッ素系樹脂はインクの滲みを防止する効果が高い。酸化チタンは隠蔽効果が高く、シリカと混合することにより隠蔽効果がさらに高くなる。なお、無機又は有機顔料の粒径としては0.1〜50μm程度のものが好ましい。微粒子充填剤には加圧下で接着剤層面が接着し、一度剥離した後には接着しないように調整する効果がある。
【0053】
接着剤層には、添加剤としてカチオン基および/又はカチオン基と成りうる官能基を有する化合物(即ち、カチオン性化合物)または1分子内にアニオン基およびカチオン基を同時に有する化合物(即ち、両性化合物)、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色染料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、消臭剤、カチオン性、ノニオン性又は両性の界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤、特開平5−295335号公報に記載の最低造膜温度90℃以上の樹脂などが適量配合できる。
【0054】
特に、本発明の親展葉書用紙にインクジェットプリンターを用いて個人情報を印字する場合は、接着剤層中に、カチオン基及び/又はカチオン基と成りうる官能基を有する化合物または1分子中にアニオン基及びカチオン基を同時に有する化合物を配合することが好ましく、例えば、カチオン性化合物としては、特に限定されず、1級アミノ基又はその付加塩類、2級アミノ基又はその付加塩類、3級アミノ基又はその付加塩類、4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸エステルの1級アミン類及びその付加塩類、ジアリルアミン、ジアリルアミン付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの2級アミン類及びその付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの3級アミン類及びその付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩類、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステル類及びそのピリジニウム塩類、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステルのN−置換ピリジニウム塩類、ビニルピリジン類及びそのピリジニウム塩類等が挙げられる。
【0055】
両性化合物のカチオン基としては、特に限定されないが、上記のカチオン基および/又はカチオン基と成りうる官能基で記載した材料を使用することができる。アニオン基としても、特に限定されないが、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を使用することができる。
【0056】
カチオン性化合物又は両性化合物を高分子化合物として使用する場合、該高分子化合物中に占めるカチオン基及び/又はカチオン基と成り得る官能基を有するモノマーの配合割合は、10質量%以上、好ましくは20質量%以上である。上限は特にないが、例えば98質量%程度である。両性化合物は、接着剤との混和性に優れ、オフセット印刷時の版汚れが少ないという特徴を有する。
【0057】
本発明の感圧接着シートの接着剤層に用いるカチオン性化合物又は両性化合物の配合割合は、接着剤層固形分に対して1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましくい。因みに、配合割合が1質量%未満であると、接着力が強くなり過ぎ、インクジェット印字した後、圧着し、再剥離すると非印字面に印字が転写したり、耐水性及びインク吸収性が十分でなくなるおそれがある。配合割合が70質量%を越えると、加圧処理の際の接着力が低下し、感圧接着シートとしての機能が損なわれるおそれがあり、また印字の密着性や印字の耐水性も劣る傾向になる。
【0058】
なお、上記特開平5−295335号公報には、接着性、再剥離性、耐ブロッキング性、印刷適性、水性インク受理性、表面の風合い等の特性を兼ね備えたコールドシール接着剤組成物として、ゴムラテックスと保護コロイド系アクリル酸エステル共重合体エマルションとを混合してなる接着剤ベースか、アクリル変性ゴムラテックスからなる接着剤ベースと、充填剤とを主成分とし、上記接着剤ベース100質量部に対し上記充填剤が5〜90質量部含有されているコールドシール接着剤組成物が記載されており、保護コロイド系接着剤を用いる理由としては、(1)保護コロイドによる親水基の導入によって得られる組成物の紙面へのアンカーリング性が向上する、(2)保護コロイドのガラス転移温度が高いので表面硬度が硬くなって耐ブロッキング性が向上する、(3)塗膜表面が乾燥時に造膜不良を起こしてフィルム化せず、インク受理性や印刷適性が向上することが挙げられ、上記保護コロイド系アクリル共重合体エマルションは、単量体組成を調整することにより、その最低造膜温度が90℃以上となるように設定することが好適であると記載されている。
【0059】
本発明の感圧接着シートに用いる基材シートについては、特に限定するものではないが、上質紙、中質紙、アート紙、コート紙等の紙類、合成紙、合成樹脂フィルム、金属箔、不織布等が用いられる。これらは積層されたり、表面処理されたりしたものを用いてもよい。その中でも、紙類が安価なため好ましく使用される。勿論、紙類には古紙パルプを含んでいても良く、抄紙方法等も特に限定するものではない。
【0060】
また、接着剤層塗工後の巻き取りにおいて、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方
法 No.37−81法に規定される巻硬さの偏差が5Kgf・m以下の巻取りであることが好ましい。巻硬さの偏差の最大値が5Kgf・mを超えると、接着剤層を塗工した際、不必要な紙の変形が起こり、左右で紙の寸法が異なり、このような巻取りを、フォーム印刷機を使って高速印刷すると、シワが発生したり、見当ズレが発生する等トラブルの原因となることがある。
【0061】
基材シート表面に接着剤層を塗布する場合、塗布方法としては特に限定するものではないが、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が用いられる。その中でも、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、リップコーター等が好ましい。塗工量としては、2〜30g/m2の範囲であるが、好ましくは3〜15g/m2の範囲である。
【実施例】
【0062】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示のない限り質量部及び質量%である。
【0063】
(実施例1)
上質紙104.7g/m2(商品名:OKH90、王子製紙社製)の片面に、以下の組成の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり8g/m2塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。続いて、再剥離面用塗料を塗工した上質紙の反対面に、同様の塗料を上記と同様にして塗工し本発明の感圧接着シートを作成した。
【0064】
<接着剤の重合>
温度計、攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、カルボン酸塩型反応性乳化剤「アクアロンH−3856」(第一工業製薬製)[グリセロール−1−アリル−3−ノニルフェニル−2−ポリオキシエチレン(n=約10)グリコール酸エーテルナトリウム塩系]1質量部、水152質量部を仕込み、反応容器内を窒素置換しながら温度を70℃に昇温した。一方、水28質量部にカルボン酸塩型反応性乳化剤「アクアロンH−3856」を4質量部溶解し、アクリル酸エチル78質量部、アクリル酸ブチル20質量部、アクリル酸2質量部からなる混合モノマーを添加、攪拌し乳化させたプレエマルションを作成した。次に、反応容器内温を70℃に保ちながら、上記プレエマルション、濃度6質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.8質量部、濃度5.1質量%のメタ重亜硫酸ナトリウム水溶液6.8質量部を4時間にわたって均一に逐次添加した。添加終了後、70℃で1.5時間熟成してから室温まで冷却し、アンモニア水にて中和してアクリル系共重合体エマルションを得た。
【0065】
<再剥離面用塗料組成>
上記アクリル酸エステル共重合体系感圧接着剤28質量部、インクジェットインク定着剤(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学工業社製)10質量部、スチレン−ブタジエン共重合体系バインダー(商品名:0696、ガラス転移点−12℃、JSR社製、トルエンに対するゲル分率80質量%)3質量部、部分ケン化ポリビニルアルコール(商品名:PVA505、ケン化度73.5モル%、重合度500、クラレ社製)20質量部、シリカ(商品名:ファインシールX−60、トクヤマ社製)36質量部、分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製) 0.4質量部、滑剤(商品名:DEF−727K、日新化学研究所製) 2質量部、消泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製) 0.3質量部、濡れ剤(商品名:ネオコールSW−C、第一工業製薬社製)0.3質量部。
【0066】
(実施例2)
実施例1記載の再剥離面用塗料組成において、感圧接着剤としてカルボン酸塩型反応性乳化剤を用いてアクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルを共重合したアクリル系感圧接着剤(商品名:ニカゾールY−9969、日本カーバイド工業社製)、インクジェットインク定着剤として4級アンモニウム塩系カチオン樹脂(商品名:ハイマックスSC−505、ハイモ社製)とした以外は実施例1と同様にして、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0067】
(実施例3)
実施例1記載の感圧接着剤の重合において、カルボン酸塩型反応性乳化剤を「アデカリアソープSDX−222」(旭電化工業社製)[グリセロール−1−アリル−3−ノニルフェニル−2−ポリオキシエチレン(n=約30)マレイン酸モノエステル]のカリウム塩とした以外は実施例1と同様にして、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0068】
(実施例4)
実施例1記載の感圧接着剤の重合において、カルボン酸塩型反応性乳化剤を「アクアロンH−3855B」(第一工業製薬社製)[ポリオキシエチレン(n=約10)ノニルプロペニルフェニルエーテルグリコール酸エーテルナトリウム塩]とした以外は実施例1と同様にして、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0069】
(実施例5)
上質紙104.7g/m2(商品名:OKH90、王子製紙社製)の片面に、以下の組成の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり8g/m2塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。続いて、再剥離面用塗料を塗工した上質紙の反対面に、同様の塗料を上記と同様にして塗工し本発明の感圧接着シートを作成した。
【0070】
<接着剤の重合>
温度計、攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、カルボン酸塩型反応性乳化剤「アデカリアソープSDX−259」(旭電化工業製)[グリセロール−1−アリル−3−ノニルフェニル−2−ポリオキシエチレン(n=約5)マレイン酸モノエステルカリウム塩系]1質量部、水152質量部を仕込み、反応容器内を窒素置換しながら温度を70℃に昇温した。一方、水28質量部にカルボン酸塩型反応性乳化剤「アデカリアソープSDX−259」を4質量部溶解し、アクリル酸エチル70質量部、アクリル酸ブチル20質量部、メタクリル酸メチル8質量部、アクリル酸2質量部からなる混合モノマーを添加、攪拌し乳化させたプレエマルションを作成した。次に、反応容器内温を70℃に保ちながら、上記プレエマルション、濃度6質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.8質量部、濃度5.1質量%のメタ重亜硫酸ナトリウム水溶液6.8質量部を4時間にわたって均一に逐次添加した。添加終了後、70℃で1.5時間熟成してから室温まで冷却し、アンモニア水にて中和してアクリル系共重合体エマルションを得た。
【0071】
<再剥離面用塗料組成>
上記アクリル酸エステル共重合体系感圧接着剤35質量部、インクジェットインク定着剤(商品名:HP−722A、センカ社製)8質量部、スチレン−ブタジエン共重合体系バインダー(商品名:0696、ガラス転移点−12℃、JSR社製、トルエンに対するゲル分率80質量%)3質量部、部分ケン化ポリビニルアルコール(商品名:PVA505、ケン化度73.5モル%、重合度500、クラレ社製)15質量部、シリカ(商品名:ファインシールX−60、トクヤマ社製)36質量部、分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製) 0.4質量部、滑剤(商品名:DEF−727K、日新化学研究所製) 2質量部、消泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製) 0.3質量部、濡れ剤(商品名:ネオコールSW−C、第一工業製薬社製)0.3質量部。
【0072】
(実施例6)
上質紙104.7g/m(商品名:OKH90、王子製紙社製)の片面に、以下の組成の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり8g/m塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。続いて、再剥離面用塗料を塗工した上質紙の反対面に、同様の塗料を上記と同様にして塗工し本発明の感圧接着シートを作成した。
【0073】
<再剥離面用塗料組成>
カルボン酸塩型反応性乳化剤を用いてアクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルを共重合したアクリル系感圧接着剤(商品名:ニカゾールY−9969、日本カーバイド工業社製)43質量部
エチレン−酢酸ビニル共重合体系バインダー(商品名:スミカフレックス470、ガラス転移温度0℃、住友化学工業社製、トルエンに対するゲル分率35質量%)12質量部
酸変性ポリビニルアルコール(商品名:DR−0415、ケン化度70モル%、重合度1000、電気化学工業社製)5質量部
シリカ(商品名:ミズカシールP−526、水澤化学工業社製)15質量部
小麦澱粉(商品名:AS−225、千葉澱粉社製)20質量部
分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製)0.5質量部
滑剤(商品名:SNコート950、サンノプコ社製)1.0質量部
消泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製)1.0質量部
【0074】
(比較例1)
実施例1記載の再剥離面用塗料組成を下記の組成にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0075】
<再剥離面用塗料組成>:
カルボン酸塩型反応性乳化剤を用いていないアクリル酸エステル系感圧接着剤(商品名:AE−923、JSR社製)60質量部、合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−37B、トクヤマ社製)50質量部、デンプン粒子(平均粒径20μm)50質量部、インクジェットインク定着剤(ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド)40質量部、水 200質量部。
【0076】
(比較例2)
実施例1記載の再剥離面用塗料組成を下記の組成にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0077】
<再剥離面用塗料組成>:
メチルメタクリレートグラフト天然ゴム系感圧接着剤(商品名:フルタイトFB−06−OJC、三井物産ソルベントコーティング社製)33質量部、インクジェットインク定着剤(商品名:PAS−92、日東紡績社製)10質量部、スチレン−ブタジエン共重合体系バインダー(商品名:0696、ガラス転移点−12℃、JSR社製、トルエンに対するゲル分率80質量%)3質量部、完全ケン化ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、ケン化度98.5モル%、重合度1000、クラレ社製)15質量部、シリカ(商品名:ファインシールX−60、トクヤマ社製)36質量部、分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製) 0.4質量部、滑剤(商品名:DEF−727K、日新化学研究所製) 3質量部、消泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製) 0.3質量部、濡れ剤(商品名:ネオコールSW−C、第一工業製薬社製)0.3質量部。
【0078】
(比較例3)
実施例1記載の再剥離面用塗料組成を下記の組成にした以外は実施例1と同様にして、感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0079】
<再剥離面用塗料組成>
メチルメタクリレートグラフト共重合天然ゴム系感圧接着剤(商品名:FB−DO−3、三井フラー社製)90質量部
小麦澱粉(商品名:AS−225、千葉澱粉社製)70質量部
シリカ(商品名:ミズカシールP−526、水澤化学工業社製)30質量部
珪素基変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130、ケン化度98.5モル%、重合度3000、クラレ社製)10質量部
【0080】
<評価方法>
(1)インク乾燥性評価:インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを印字し、直ちに印字部を指で擦った際のインクの流れ具合を目視で評価した。
◎:インク流れが全くなく、優れている
○:インク流れが殆どない
△:若干インク流れが認められるが、実用上問題なし
×:インク流れがあり、実用上問題がある
【0081】
(2)印字の耐水性評価:インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを再剥離面に印字し、水中に2分間浸けた際のインクのにじみを目視で評価した。
◎:にじみが全くなく、優れている
○:にじみが殆どない
△:若干にじみが認められるが、実用上問題なし
×:にじみがあり、実用上問題がある
【0082】
(3)レーザープリンター適性:IBM−3900(日本IBM社製)レーザープリンターを使用して実施例6と比較例3について印字適性を評価した。
◎:レーザープリンター適性に非常に優れている
○:レーザープリンター適性に優れている
△:レーザープリンター適性に若干問題があるが、実用上問題なし
×:レーザープリンター適性に実用上問題がある
【0083】
(4)ウェット強度(オフセット印刷適性):RIテスター(石川島産業機械社製)を用いて、モルトンロールで水を刷った直後のサンプルに所定硬さ(タック8)のインクにて印刷した際の接着剤層の剥がれを目視にて評価した。
◎:剥がれがまったくなく優れている
○:剥がれはほとんどない
△:剥がれは若干あるが、実用上問題なし
×:剥がれが酷く、実用上問題がある
【0084】
(5)再剥離面の接着性:ドライシーラー(型式6860、トッパンフォームズ社製)を用い、得られた三つ折り葉書用試料を適切な大きさに断裁し、再剥離面同士が対向するようにZ折りして、23℃、50%の温湿度条件で24時間調湿した後、ロール間隙を240μmに設定したプレスロールを通過させて圧着し、親展葉書を作製した。得られた親展葉書をT型剥離で、接着力を評価した。
○:接着力が充分であり、良好である
△:接着力が若干低いが、実用上問題ないレベルである
×:接着力が低く剥がれを生じ、実用上問題となるレベルである
××:レーザープリント印字後、オフセット印刷後、白紙保存後の接着力低下が激しく、実用上問題となるレベルである
【0085】
(6)再剥離面の再剥離性:ドライシーラー(型式6860、トッパンフォームズ社製)を用い、得られた三つ折り葉書用試料を適切な大きさに断裁し、再剥離面同士が対向するようにZ折りして、23℃、50%の温湿度条件で24時間調湿した後、ロール間隙を240μmに設定したプレスロールを通過させて圧着し、親展葉書を作製した。得られた親展葉書をT型剥離で再剥離し、剥離の状態及び剥離した面の状態を評価した。
○:スムーズに再剥離し、良好である
△:接着力は強いが、実用上問題ないレベルである
×:基材の強度が弱く、実用上問題となるレベルである
【0086】
(7)総合評価:親展葉書用紙としての総合評価を行った。
◎:親展葉書用紙として非常に優れている
○:親展葉書用紙として優れている
△:親展葉書用紙として若干問題があるが、実用上問題ないレベルである
×:親展葉書用紙として問題があり、実用出来ないレベルである。
【0087】
【表1】

【0088】
表1から、実施例1〜5の本発明の感圧接着シートは、インクジェットの印字耐水性、印字非転写性、インク乾燥性に関して実用上問題ないレベルであり、オフセット印刷適性の指標であるウェット強度も問題なく、接着性、再剥離性にも優れている。実施例6の本発明の感圧接着シートは、レーザープリンター適性、接着性、再剥離性に優れている。一方、比較例1では、バインダー機能を有する成分がなく、ウェット強度が悪くなった。比較例2では、カチオン樹脂のカチオン性が弱くなり、印字耐水性の悪化が認められた。比較例3では、レーザープリンター印字後の接着力低下が激しかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有しており、該接着剤層が、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着でき、接着後に接着剤層間で剥離可能である感圧接着シートにおいて、該接着剤層が、感圧接着剤、微粒子充填剤、バインダー樹脂を構成成分とし、感圧接着剤が、分子内にラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基の塩及び炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択される少なくとも1種を有するアニオン系反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られたアクリル系共重合体であることを特徴とする感圧接着シート。
【請求項2】
アニオン系反応性乳化剤が、下記一般式(1)および(2)で示される化合物から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の感圧接着シート。

【化1】

【化2】

[式中、R,Rは水素又はメチル基、Rは炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基、EOは−CHCHO−、Xは単結合又はメチレン基、Yは−X−又は−COX−でX及びXは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基、シクロヘキシレン基又はフェニレン基、Mはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、nは1〜50の自然数である。]

【公開番号】特開2006−45302(P2006−45302A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226534(P2004−226534)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】