説明

感放射線性樹脂組成物

【課題】現像残渣がなく、高い撥水性を有し、熱架橋度を上げることも可能な、インクジェット方式に対応可能な感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】メチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基等を置換基として含有するフェノール誘導体を繰り返し単位とするフェノール樹脂、エポキシ基又は水酸基等の架橋性反応基含有モノマーを共重合したフルオロアルキル基含有アクリレートモノマーを重合したフッ素系ポリマー、感放射線性化合物及び溶剤を含有する感放射線性樹脂組成物;それを用いた有機電解発光素子絶縁膜形成用ポジ型放射線リソグラフィー用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターニング特性に優れ、高撥水性を有する微細構造物形成用感放射線性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、現像残渣がなく、高い撥水性を有し、インクジェット方式を利用した表示素子又は発光素子の製造方法に対応することができる感放射線性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
感放射線性樹脂組成物は、半導体や液晶パネルの基板等の作成において放射線リソグラフィーにより微細構造を形成するために広く使用されている。感放射線性樹脂組成物としては、ノボラック樹脂系の樹脂組成物がレジストマスク用途等において広く使用されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
また、表示装置の製造工程において、インクジェット方式を用いたフルカラー表示基板作成技術も近年活発に検討されている。例えば、液晶表示装置におけるカラーフィルター作成に関しては、従来の印刷法、電着法、染色法又は顔料分散法に対して、あらかじめパターニングされた画素を規定する隔壁を、光を遮蔽する感放射線性樹脂組成物で形成し、この隔壁に囲まれた開口部分にインクジェット方式を用いてインクを滴下することにより表示素子を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3、4、5参照。)。また、有機電界発光装置においても、隔壁を作成し、同様にして、発光層となるインクを滴下し、有機電界発光素子を作成する方法も提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0004】
しかし、隔壁に囲まれた画素にインクジェット方式でインク滴を滴下する場合、隔壁を超えて隣の画素にインク滴が溢れることを防ぐために、基板には親インク性(親水性)を持たせ、隔壁表面には撥水性を持たせる必要がある。
【0005】
上記の目的を達成するため、酸素ガスプラズマ処理とフッ素ガスプラズマ処理との一連のプラズマ処理により基板に親水性を持たせ、かつ隔壁には撥水性を持たせることが提案されている(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、この方法は撥水性や親水性を付与する工程が煩雑である。
【0006】
また、フッ素系界面活性剤やフッ素系ポリマーからなる感放射線性樹脂組成物を使用することで撥水性を有する隔壁を形成し、インクジェット方式により表示素子を作成することが行われてきた(例えば、特許文献8、9、10参照。)。しかし、本発明者の検討によれば、このような組成物はパターニング時に残渣が発生しやすく、さらには十分な熱架橋が行われないことが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−94013号公報
【特許文献2】特開2001−75272号公報
【特許文献3】特開平10−206627号公報
【特許文献4】特開平11−326625号公報
【特許文献5】特開2000−187111号公報
【特許文献6】特開平11−54270号公報
【特許文献7】特開2000−353594号公報
【特許文献8】特開平10−197715号公報
【特許文献9】特開2002−116541号公報
【特許文献10】WO2008/090827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、現像残渣がなく、高い撥水性を有し、熱架橋度を上げることも可能な、インクジェット方式を利用した表示素子又は発光素子の製造方法に対応できる感放射線性樹脂組成物及びそれを用いた撥水性が回復された塗膜の形成方法、目的物質を基板上にパターニングする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(A)下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有するフェノール樹脂、(B)反応性官能基を含有するフッ素系ポリマー、(C)感放射線性化合物及び(D)溶剤を含有する感放射線性樹脂組成物である。
【0010】
【化1】

【0011】
一般式(I)において、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜2のアルコキシル基又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R4〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子、水酸基若しくは炭素数1〜5のアルキル基を置換基として有していても良いフェニル基を表す。樹脂中の一般式(I)で示される繰り返し単位全体において、それぞれ複数あるR1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれにおいて、同一でも異なっていてもよい。ただし、繰り返し単位全体において、R4及びR5のうち、少なくとも一部は、メチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基である。
本発明はまた、上記感放射線性樹脂組成物を用いたポジ型放射線リソグラフィー用樹脂組成物である。
本発明はまた、上記樹脂組成物を使用した放射線リソグラフィー構造物、それを有する有機電解発光素子でもある。
【0012】
本発明は更に、上記感放射線性樹脂組成物を用いて被塗物に撥水性塗膜を形成する工程、前記塗膜をUV−O3又は酸素プラズマで処理する工程、及び、前記処理で撥水性が低下し又は親水性が付与された塗膜をベークする工程を含む、撥水性が回復された塗膜を形成する方法である。
本発明は更にまた、上記感放射線性樹脂組成物を用いて被塗物に撥水性塗膜を形成する工程並びに得られた塗膜を露光及び現像する工程を含む工程によって、リソグラフィー法により基板上に感放射線性樹脂組成物をパターニングした後に、前記パターニングされた感放射線性樹脂組成物の隔壁で囲まれた空隙部分に目的物質を配置する工程及びこののちに前記パターニングされた感放射線性樹脂組成物を剥離する工程を含む、目的物質を基板上にパターニングする方法でもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撥水性を有し、パターニング性能に優れた感放射線性樹脂組成物を提供することが出来る。また、熱架橋度を上げるために架橋反応性基を導入することも可能である。このような樹脂組成物は、微細加工に好適に使用することができる。また、とくに、インクジェット方式を使用した有機電界発光素子作製方法に使用することで、パターニングされた樹脂隔壁を超えて隣の画素に発光インク滴が溢れる事態を防ぐことができる。従って、放射線リソグラフィー用として、とくに、インクジェット方式を使用した有機電界発光素子絶縁膜形成用として有利に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂(A)を含有する。一般式(I)において、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜2のアルコキシル基(メトキシ、エトシキ等)又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、好ましくは、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等)であり、さらに好ましくは水酸基又はメチル基である。
【0015】
R4〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子(塩素原子等)、水酸基若しくは炭素数1〜5のアルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基を表す。ただし、フェノール樹脂(A)中の一般式(I)で表される繰り返し単位全体において、R4及びR5のうち少なくとも一部はメチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基であり、好ましくはフェニル基である。好ましくは、フェノール樹脂(A)は、平均組成が、R4及び/又はR5がメチル基、フェニル基、又は、ヒドロキシフェニル基である繰り返し単位の割合が20〜100重量%である。
【0016】
フェノール樹脂(A)は、一般式(I)で表される繰り返し単位全体において、それぞれ複数あるR1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれにおいて、同一でも異なっていてもよい。
【0017】
本発明で用いられるフェノール樹脂(A)は、フェノール類と、アルデヒド類又はケトン類とを酸性触媒(例えば、シュウ酸やp−トルエンスルホン酸)の存在下で反応させることにより得ることができる。
【0018】
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、ピロガロール等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
本発明においては、フェノール類としては、得られる絶縁膜の性能の点から、ピロガロール又はm−クレゾールと、他のフェノール類、例えばp−クレゾール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール及び3,5−キシレノールの中から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせて用いることが好ましい。この場合、ピロガロール又はm−クレゾールと前記他のフェノール類との使用割合は、重量比で25:75〜85:15が好ましく、30:70〜70:30がより好ましい。
【0020】
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピオンアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。
【0021】
上記ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明においては、アルデヒド類やケトン類として、アセトン又はベンズアルデヒドと、ホルムアルデヒド又はヒドロキシベンズアルデヒド類、例えばo−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒドとを、単独で又は組み合わせることが好ましい。この場合、アセトン又はベンズアルデヒドとホルムアルデヒド又はヒドロキシベンズアルデヒドとの使用割合は、アセトン又はベンズアルデヒド:ホルムアルデヒド又はヒドロキシベンズアルデヒドの重量比で0:100〜100:0が好ましく20:80〜80:20がより好ましい。
【0023】
本発明で用いられるフェノール樹脂(A)は、上述のフェノール類と、アルデヒド類又はケトン類とをシュウ酸やp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒の存在下で、常法により反応させることにより得ることができるが、反応後にR4及びR5が水素原子のみになるもの(例えばホルムアルデヒド)のみ単独で使用した場合は、一般式(I)で表される繰り返し単位全体において、R4及びR5のうち少なくとも一部は、メチル基、フェニル基、又は、ヒドロキシフェニル基である条件を満たさないので、R4及びR5のうち少なくとも一部がメチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基となり得るもの(例えば上述のうち該当するアルデヒド)を、少なくとも一種併用する必要がある。
【0024】
またフェノール樹脂(A)の重量平均分子量は、500〜20000であることが好ましく、より好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは1000〜5000である。重量平均分子量はGPC法により求めることができる。
【0025】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、撥水性を付与するために、反応性官能基を含有するフッ素系ポリマー(B)を含んでいる。フッ素系ポリマー(B)は、反応性官能基として、エポキシ基及び水酸基のうち少なくとも一方を有するものが好ましい。
【0026】
本発明の組成物に用いられるフッ素系ポリマー(B)は、炭素数4〜6のフルオロアルキル基含有アクリレートモノマー(b1)、不飽和カルボン酸(b2)、メチルメタクリルアクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のアクリレートモノマー(b3)並びにエポキシ基含有アクリレートモノマー(b4)及び/又は水酸基含有アクリレートモノマー(b5)を必須成分とする重合体であることが好ましい。
【0027】
アクリレートモノマー(b1)は、炭素数4〜6のフルオロアルキル基を有するα−C1置換アクリレートである。アクリレートモノマー(b1)は、下記一般式(II)で示されるものであることが好ましい。
【0028】
【化2】

【0029】
一般式(II)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX1X2基(ただし、X1及びX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のフェニル基、あるいは炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子である。Yは、直接結合、酸素原子を有してもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していても良い炭素数6〜10の芳香族基、環状脂肪族基又は芳香族脂肪族基、−CH2CH2N(Y1)SO2−基(ただし、Y1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OY2)CH2−基(ただし、Y2は水素原子又はアセチル基である。)、又は、−(CH2)nSO2−基(nは1〜10)である。Rfは、炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基、特に炭素数4のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
【0030】
アクリレートモノマー(b1)の具体例としては、次のものを挙げることができる。
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-Br)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-I)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-Rf)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-F)-C(=O)-O-C6H10-Rf、
CH2=C(-F)-C(=O)-O-C6H4-Rf、
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf、
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf、
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf、
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf、
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf。
これらのうち、好ましくは、
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、
CH2=C(-Br)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf、及び、
CH2=C(-I)-C(=O)-O-(CH2)2-Rfである。
上記式中、Rfは炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基を表す。
【0031】
本発明における不飽和カルボン酸(b2)は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、及び少なくとも1つのカルボキシル基を有するモノマーであり、フッ素系ポリマー(B)の酸価が40〜200mgKOH/gとなるように共重合することが好ましい。酸価は、JIS0070.2.1で定義されるものである。
【0032】
上記不飽和カルボン酸(b2)は、アルカリ現像液との溶解性の観点から、好ましくは、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ケイ皮酸を用いることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
アクリレートモノマー(b3)は、メチルメタクリルアクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレートを使用することができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらはいずれも、ホモポリマーの状態でガラス転移点又は融点が100℃以上であり、好ましくは120℃以上であり、熱処理時の寸法安定性の観点から有利である。
【0034】
フッ素系ポリマー(B)の上記アクリレートモノマー(b1)、不飽和カルボン酸(b2)、アクリレートモノマー(b3)の組成比は、アクリレートモノマー(b1)100重量部に対して、不飽和カルボン酸(b2)5〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜45重量部、より好ましくは20〜40重量部であり、アクリレートモノマー(b3)5〜150重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜120重量部、より好ましくは15〜100重量部である。
【0035】
アクリレートモノマー(b1)は、フッ素ポリマー(B)に対して43〜53重量%が好ましく、より好ましくは45〜50重量%である。
【0036】
フッ素系ポリマー(B)に、反応性官能基として、エポキシ基を含有させることがより好ましい。エポキシ基含有アクリレートモノマー(b4)を共重合するとさらに好ましい。エポキシ基含有アクリレートモノマー(b4)は、グリシジル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0037】
エポキシ基含有アクリレートモノマー(b4)は、フッ素系ポリマー(B)中に好ましくは2〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%含有させる。
【0038】
エポキシ基含有アクリレートモノマー(b4)を共重合させる場合は、さらにエポキシ基に不飽和有機酸を反応させても良く、その不飽和有機酸の例としては、限定するものではないが、上記(b2)において例示されているものと同様のものが挙げられる。不飽和有機酸を反応させるときに、一部のエポキシ基を残しても良い。特開2001−253928号公報に記載のように、ポリマー中のエポキシ基にアクリル酸のような不飽和有機酸を反応させた後、生成した水酸基にさらにテトラヒドロキシ無水コハク酸のような酸無水物を反応させても良い。
【0039】
フッ素系ポリマー(B)に、反応性官能基として、水酸基を含有させる場合は、好ましくは水酸基含有アクリレートモノマー(b5)を共重合させる。水酸基含有アクリレートモノマー(b5)としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0040】
水酸基含有アクリレートモノマー(b5)は、フッ素系ポリマー(B)中に好ましくは2〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%含有させる。
【0041】
水酸基含有アクリレートモノマー(b5)を共重合させる場合は、さらに水酸基にイソシアネート基含有不飽和化合物を反応させても良く、そのような化合物の例としては、限定するものではないが、イソシアネート基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。イソシアネート基含有不飽和化合物を反応させるときに、一部の水酸基を残しても良い。
【0042】
フッ素ポリマー(B)は、例えば、原料モノマーを溶媒に溶解させ、窒素置換後、重合触媒を加えて20〜120℃の範囲で1〜20時間、撹拌させることで得ることができる。
【0043】
フッ素ポリマー(B)の重量平均分子量は、1000〜30000であることが好ましく、より好ましくは2000〜20000、さらに好ましくは3000〜15000である。重量平均分子量はGPC法により求めることができる。
【0044】
フッ素ポリマー(B)の配合量は、フェノール樹脂(A)100重量部当たり、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。
【0045】
感放射線性化合物(C)としては、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを使用することが好ましい。上記ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとしては、多価フェノールの水酸基のすべて又は一部が1,2−キノンジアジドスルホン酸でエステル化された化合物を用いることができる。具体的には、多価フェノールの水酸基の20〜100%が1,2−キノンジアジドスルホン酸でエステル化された化合物を用いることができる。
【0046】
上記エステル化されたキノンジアジドとしては、例えば、(c.1)トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.2)テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.3)ペンタヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.4)ヘキサヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.5)ビス(2,4’−ジヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.6)ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.7)トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.8)1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.9)ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.10)2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.11)1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.12)4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物、(c.13)ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物等が挙げられる。
【0047】
(c.1)トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−キノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0048】
(c.2)テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0049】
(c.3)ペンタヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0050】
(c.4)ヘキサヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0051】
(c.5)ビス(2,4’− ジヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、ビス(2,4’−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,4’−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0052】
(c.6)ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0053】
(c.7)トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0054】
(c.8)1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0055】
(c.9)ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0056】
(c.10)2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0057】
(c.11)1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0058】
(c.12)4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0059】
(c.13)ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタンと1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸とのエステル化物:具体例としては、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0060】
また、他のキノンジアジド基含有化合物、例えば、オルソベンゾキノンジアジド、オルソナフトキノンジアジド、オルソアントラキノンジアジド又はオルソナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類及びこれらの核置換誘導体;オルソナフトキノンスルホニルクロリドと水酸基又はアミノ基を有する化合物との反応生成物等も用いることができる。水酸基又はアミノ基を有する化合物としては、例えば、フェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ナフトール、カルビノール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、水酸基を一部残してエステル化又はエーテル化された没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン等を挙げることができる。
【0061】
これらのうち、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が好ましく用いられる。また、これらのキノンジアジド化合物は、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0062】
上記のような1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル類は、例えば1,2−キノンジアジドスルホン酸のハロゲン化物を、塩基触媒の存在下で、対応する多価フェノール(多価ヒドロキシ化合物)でエステル化することにより得られる。
【0063】
より具体的には、例えば上記のような2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルは、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−キノンジアジド−5−スルホン酸クロリドとを縮合させて得られる。
【0064】
感放射線性化合物(C)の配合量は、使用する化合物により異なるが、例えば、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの場合、フェノール樹脂(A)100重量部当たり、1〜30重量部が好ましく、10〜25重量部がより好ましい。
【0065】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、溶剤(D)に溶解されて溶液状態で用いられる。例えば、ノボラック樹脂(A)を溶剤(D)に溶解し、この溶液に、フッ素ポリマー(B)及び感放射線性化合物(C)、並びに、必要に応じて界面活性剤(E)又は無機粒子(F)を、使用直前に所定の割合で混合することにより、溶液状態の感放射線性樹脂組成物を調製することができる。
【0066】
上記溶剤(D)としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;並びに2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類が挙げられる。
【0067】
これらの中では、グリコールエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類及びジエチレングリコール類が好ましい。3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルアミルケトン、及びジエチレングリコールエチルメチルエーテルがより好ましい。これらの溶剤は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても構わない。
【0068】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記必須成分に加えて任意成分として、例えばストリエーション(塗布すじあと)を防止して塗布性を向上させるため、あるいは塗膜の現像性を向上させるために、界面活性剤(E)を含有することができる。
【0069】
このような界面活性剤(E)としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、同303、同352(以上、商品名、新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F172、同F173、同R−08、同R−30(以上、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(以上、商品名、住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、商品名、旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP341(以上、商品名、信越化学工業(株)製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(以上、商品名、共栄社油脂化学工業(株)製)等が挙げられる。これらは2種以上用いることもできる。
【0070】
このような界面活性剤(E)は、感放射線性樹脂組成物100重量部に対して、2重量部以下、好ましくは1重量部以下の量で配合される。
【0071】
さらに本発明の感放射線性樹脂組成物は、任意成分として、無機粒子(F)を含有することができる。
【0072】
このような無機粒子(F)としては、SiO2ナノ粒子等が挙げられる。
【0073】
このような無機粒子(F)は、感放射線性樹脂組成物100重量部に対して、50重量部以下、好ましくは20重量部以下の量で配合される。
【0074】
本発明の組成物は、前記の溶剤(D)用いて調製され、その使用目的により、適宜の固形分濃度を採用することができるが、例えば、固形分濃度10〜50重量%とすることができる。また上記のように調製された組成物液は、通常、使用前にろ過される。ろ過の手段としては、例えば孔径0.05〜1.0μmのミリポアフィルター等が挙げられる。
【0075】
このように調製された本発明の感放射線性樹脂組成物溶液は、長期間の貯蔵安定性にも優れている。
【0076】
本発明の感放射線性樹脂組成物を用いた塗膜は、また、高撥水性である。すなわち、塗膜の水の接触角を、例えば、全自動接触角計「DM−300(協和界面科学製)」を用いて、水平に置いた測定基板にマイクロシリンジから純水を2μL滴下し、30秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することで求めた接触角が、90°以上となることで示されるように、撥水性に優れている。
【0077】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、例えば、ポジ型感放射線性樹脂として用いてポジ型放射線リソグラフィー用樹脂組成物とすることができ、これを用いて放射線リソグラフィー構造物を作成することができる。ポジ型放射線リソグラフィーは、有機電解発光素子絶縁膜形成用リソグラフィーであってよく、放射線リソグラフィー構造物、例えば、有機電界発光素子の絶縁膜の形成用に好適に使用することができ、有機電解発光素子を製造することができる
【0078】
本発明の組成物を放射線リソグラフィー用に使用する場合、まず、本発明の感放射線性樹脂組成物を基板表面に塗布し、加熱等の手段により溶剤を除去すると、塗膜を形成することができる。基板表面への感放射線性樹脂組成物の塗布方法は特に限定されず、例えばスプレー法、ロールコート法、スリット法、回転塗布法等の各種の方法を採用することができる。
【0079】
次いでこの塗膜は、通常、加熱(プリベーク)される。加熱条件は各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常70〜120℃で、所定時間、例えばホットプレート上なら1〜5分間、オーブン中では10〜30分間加熱処理をすることによって被膜を得ることができる。
【0080】
次にプリベークされた塗膜に所定パターンのマスクを介して放射線(例えば、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、ガンマ線、シンクロトロン放射線等)等を照射した後、現像液により現像し、不要な部分を除去して所定パターン状被膜を形成する。現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類;ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン等の第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液を用いることができる。
【0081】
また、上記アルカリ水溶液に、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤等を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0082】
現像時間は通常30〜180秒間であり、また現像の方法は液盛り法、シャワー法、ディッピング法等のいずれでも良い。
【0083】
現像後、流水洗浄を30〜90秒間行い、不要な部分を除去し、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、パターンが形成される。
【0084】
その後このパターンの塗膜を硬化させる。このためには、このパターンを、例えば、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、所定温度、例えば150〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上なら2〜30分間、オーブン中では30〜90分間加熱処理(ベークともいう)をすることによって硬化被膜を得ることができる。
【0085】
本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて、基板等の被塗物上に塗膜を形成する場合、基板に親水性を付与するために、UV−O3又は酸素プラズマで処理することが可能である。一般には、この処理によると撥水性塗膜の撥水性が低下するが、本発明の工程:すなわち、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて被塗物に撥水性塗膜を形成する工程、前記塗膜をUV−O3又は酸素プラズマで処理する工程、及び、前記処理で撥水性が低下し又は親水性が付与された塗膜をベークする工程を含む方法によれば、水の接触角の回復で示される撥水性が回復された塗膜を形成することができる。ここでいう接触角の回復とは、UV−O3又は酸素プラズマで処理する前の接触角まで復元することを意味する。処理する前の接触角まで復元するとは必ずしも前の接触角になることを求めるものではなく、撥水性が再発現することを示すものであり、例えば、プリベーク後とベーク後との接触角差が10°以内、好ましくは5°以内であることをいう。
【0086】
上記UV−O又は酸素プラズマで処理する工程において、好ましい処理条件としては、UV−O処理としては、10〜40mW/cm、1〜10分間であり、酸素プラズマ処理としては、100〜300mW、0.5〜10分間である。
【0087】
また、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて被塗物に撥水性塗膜を形成する工程並びに得られた塗膜を露光及び現像する工程を含む工程によって、リソグラフィー法により基板上に感放射線性樹脂組成物をパターニングした後に、前記パターニングされた感放射線性樹脂組成物の隔壁で囲まれた空隙部分に目的物質を配置する工程及びこののちに前記パターニングされた感放射線性樹脂組成物を剥離する工程を含むことにより、目的物質を基板上にパターニングすることができる。感放射線性樹脂組成物を、リソグラフィー法により基板上にパターニングする際に、感放射線性樹脂組成物を用いて被塗物に撥水性塗膜を形成する工程並びに得られた塗膜を露光及び現像する工程に加えて、その後、露光及び現像された塗膜をUV−O3又は酸素プラズマで処理する工程並びに前記処理で撥水性が低下し又は親水性が付与された塗膜をベークする工程を含む方法を行うことも好ましい。空隙部分に目的物質を配置する方法としては、目的物質を塗布する方法でも良く、又はインクジェット手法をもちいて、液状の目的物質を前記空隙部分に配置する方法でもよい。液状の目的物質としては、例えば、インク、例えば、発光インクを用いることができ、あるいは、好ましくは溶剤に溶解させた有機EL材料等が用いられ、有機電界発光素子の製造に適用可能である。
【実施例】
【0088】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0089】
(1)フェノール樹脂1〜6
表1に示した配合でフェノール樹脂(樹脂1〜6)を調製した。
【0090】
【表1】

【0091】
表1に示した各樹脂は、一般式(A)において、
樹脂1:R1〜R3=H,H,メチル、R4,R5=全てH、(R4及び/又はR5がメチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基である繰り返し単位の割合が0重量%)
樹脂2:R1〜R3=H,H,メチル、R4,R5=H,ヒドロキシフェニル、(R4及び/又はR5がメチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基である繰り返し単位の割合が20重量%)
樹脂3:R1〜R3=H,H,メチル、R4,R5=H,フェニル、(R4及び/又はR5がメチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基である繰り返し単位の割合が100重量%)
樹脂4:R1〜R3=H,H,メチル、R4,R5=H,ヒドロキシフェニル、(R4及び/又はR5がメチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基である繰り返し単位の割合が100重量%)
樹脂5:R1〜R3=H,H,メチル、R4,R5=H,フェニル、ヒドロキシフェニル、(R4及び/又はR5がメチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基である繰り返し単位の割合が100重量%)
樹脂6:R1〜R3=全てOH、R4,R5=全てメチル、(R4及び/又はR5がメチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基である繰り返し単位の割合が100重量%)、
をそれぞれ表す。
【0092】
(2)フッ素系ポリマーの調製
表2に示した配合(重量%)でフッ素系ポリマー(樹脂7〜11)を調製した。表中の略号は以下のとおり。
Rf(C4)α−Clアクリレート:フルオロアクリレート(化学式は以下のもの:
C4F9−(CH2)2−O−C(=O)−C(−Cl)=CH2)
MAA:メタクリル酸
iBMA:イソボルニルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
樹脂7〜11の分子量はGPCで測定した重量平均分子量である。
【0093】
【表2】

【0094】
(3)感放射線性樹脂組成物の調製
実施例1〜29、比較例1〜17
表3、4に示す配合(重量部。表中は部と表記した。)で感放射線性樹脂組成物を調製した。表中の略号の意味は下記のとおり。
樹脂1〜6:上記(1)で調製したフェノール樹脂(樹脂1〜6)
樹脂7〜11:上記(2)で調製したフッ素系ポリマー(樹脂7〜11)
キノンジアジド化合物:2,3,4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル
活性剤1:DIC社製パーフルオロ系界面活性剤
活性剤2:ネオス社製二重結合含有パーフルオロ系界面活性剤
【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
表3、4の配合物を固形分濃度が32重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた後、孔径0.5μmのミリポアフィルターで濾過して感放射線性樹脂組成物の溶液をそれぞれ調製した。得られた組成物について、以下の評価を行った。結果を表3、4に示した。
【0098】
評価
(1)塗布ムラ
5インチシリコン基板に、各実施例、比較例で得られた感放射線性樹脂組成物の溶液を、スピンナーを用いて塗布した後、100℃で90秒、ホットプレート上でプリベークして膜厚4.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、ナトリウムランプ照射下で目視観察により塗布ムラの有無を確認し、塗布ムラの無いものを○、有るものを×とした。
【0099】
(2)現像残渣
5インチシリコン基板に、各実施例、比較例で得られた感放射線性樹脂組成物の溶液を、スピンナーを用いて塗布した後、100℃で90秒、ホットプレート上でプリベークして膜厚4.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、ニコン製NSR1505g4C縮小投影露光機(NA=0.42,λ=436nm)で露光を行ったあと、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液にて23℃で60秒間、液盛り法により現像した。その後、流水洗浄し、乾燥してウェハー上にパターンを形成した。得られたパターンは、顕微鏡観察し、1〜5μmのライン及びスペースパターンにおいて、スペース部に現像残渣の有無を確認し、残渣の無いものを○、有るものを×とした。
【0100】
(3)架橋度・接触角及びアウトガス測定基板作成
5インチシリコン基板上に、各実施例、比較例で得られた感放射線性樹脂組成物の溶液を、スピンナーを用いて塗布した後、100℃で90秒、ホットプレート上でプリベークして膜厚4.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、露光処理を施さずに2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に、23℃で60秒間、液盛り法により現像した。その後、流水洗浄し、乾燥させた後、230℃で60分間、オーブンでベークすることにより評価サンプルを作成した。
【0101】
(3−1)架橋度
熱焼成後の塗膜を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に一晩浸漬し、Nブローの後、200℃のオーブンで20分乾燥した。浸漬前後の膜厚を測定し、膜厚変化を算出することで架橋度とした。(架橋度=浸漬後膜厚/浸漬前膜厚×100)
【0102】
(3−2)水の接触角
静的接触角測定を全自動接触角計「DM−300(協和界面科学製)」を用いて行った。水平に置いた測定基板にマイクロシリンジから純水を2μL滴下し、30秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することで求めた。接触角90°以上が合格である。
【0103】
(3−3)アウトガス
アウトガス測定にはTDS−MS(昇温脱離質量測定)「WA1000S/W(電子科学製)」を用いて真空度1.0×10−7Paの条件下で、50℃から250℃まで昇温したのち、250℃における水(質量数18)及びフッ素(質量数19)のアウトガスのピーク強度を測定した。水のピーク強度3.00E−10以下、フッ素のピーク強度4.00E−12以下、が合格である。
【0104】
実施例30、比較例18
ITOを表面に製膜した5インチガラス基板上に、実施例3、比較例4で得られた感放射線性樹脂組成物の溶液を、スピンナーを用いて塗布した後、100℃で90秒、ホットプレート上でプリベークして膜厚2.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜を、露光処理を施さずに2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に、23℃で60秒間、液盛り法により現像した。その後、流水洗浄し、乾燥させた後、230℃で60分間、オーブンでベークした。この時、純水滴下量2μLの接触角は、それぞれ97°(実施例30)、87°(比較例18)であった。続いて、卓上型光表面処理装置「PL16−110(セン特殊光源社製)」を用いて、波長254nmにおける照度20mw/cm2にて10分間、UV−O3処理をすることで表面処理を行った。この時、純水滴下量2μLの接触角は、それぞれ6°(実施例30)、5°(比較例18)であった。さらに、200℃に温調したオーブンで60分間乾燥させた後の接触角を測定したところ、それぞれ95°(実施例30)、65°(比較例18)であり、本発明における感放射線性樹脂組成物は、UV−O3処理後に熱処理を行うことで、撥水性が再発現することを確認した。
【0105】
実施例31
5インチシリコン基板に、実施例3で用いた感放射線性樹脂組成物の溶液を、スピンナーを用いて塗布した後、100℃で90秒、ホットプレート上でプリベークして膜厚4.0μmの塗膜を形成した。100x200μmの開口部をもつフォトマスクにおいて、得られた塗膜を、ニコン製NSR1505g4C縮小投影露光機(NA=0.42,λ=436nm)で露光を行ったあと、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液にて23℃で60秒間、液盛り法により現像した。その後、流水洗浄し、乾燥してウェハー上に開口部をもつ連続パターンを形成した。さらに230℃のオーブン中で1h硬化させた。
こののち、このパターン上に、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂100phrと2E4MZ(イミダゾール)を0.5phr添加した配合液を全面に塗布した。
この時、開口部分にのみ上記エポキシ組成物が残った。こののち上記エポキシ樹脂を100℃で30分硬化させ、アセトンを用いて、感放射線性樹脂組成物を取り除き、パターニングされたエポキシ樹脂硬化被膜を得ることができた。
【0106】
実施例32
実施例31に記載の連続パターンにたいして、フェノールのアニソール溶液(1%固形分)をインクジェット装置をもちいて、開口部に滴下した。こののち、150℃でアニソールを乾燥させ、開口部に薄膜フェノールが残存したパターニング材を作成することができた。これは、有機EL材等をインクジェットで塗布する際に有効なプロセスとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有するフェノール樹脂、(B)反応性官能基を含有するフッ素系ポリマー、(C)感放射線性化合物及び(D)溶剤を含有する感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(I)において、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜2のアルコキシル基又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R4〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子、水酸基若しくは炭素数1〜5のアルキル基を置換基として有していても良いフェニル基を表す。樹脂中の一般式(I)で示される繰り返し単位全体において、それぞれ複数あるR1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれにおいて、同一でも異なっていてもよい。ただし、繰り返し単位全体において、R4及びR5のうち、少なくとも一部はメチル基、フェニル基、又は、ヒドロキシフェニル基である。)
【請求項2】
フェノール樹脂(A)は、R4及び/又はR5がメチル基、フェニル基又はヒドロキシフェニル基である繰り返し単位の割合が20〜100重量%である請求項1記載の感放射線性組成物。
【請求項3】
フェノール樹脂(A)は、繰り返し単位全体において、R4及びR5のうち少なくとも一部がフェニル基である請求項1又は2記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
フッ素系ポリマー(B)は、反応性官能基として、エポキシ基及び水酸基のうち少なくとも一方を有するものである請求項1〜3のいずれか記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
フッ素系ポリマー(B)は、炭素数4〜6のフルオロアルキル基含有アクリレートモノマー(b1)、不飽和カルボン酸(b2)、メチルメタクリルアクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のアクリレートモノマー(b3)並びにエポキシ基含有アクリレートモノマー(b4)及び/又は水酸基含有アクリレートモノマー(b5)を必須成分とする重合体である請求項1〜4のいずれか記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
フッ素系ポリマー(B)は、炭素数4〜6のフルオロアルキル基含有アクリレートモノマー(b1)を43〜53重量%共重合したものである請求項5記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項7】
感放射線性化合物(C)は、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルである請求項1〜6のいずれか記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項8】
さらに、(E)界面活性剤及び/又は(F)無機粒子を含有する請求項1〜7のいずれか記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか記載の感放射線性樹脂組成物を用いたポジ型放射線リソグラフィー用樹脂組成物。
【請求項10】
ポジ型放射線リソグラフィーは、有機電解発光素子絶縁膜形成用リソグラフィーである請求項9記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項9又は10記載の樹脂組成物を使用した放射線リソグラフィー構造物。
【請求項12】
請求項11記載の放射線リソグラフィー構造物を有する有機電解発光素子。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか記載の感放射線性樹脂組成物を用いて被塗物に撥水性塗膜を形成する工程、前記塗膜をUV−O3又は酸素プラズマで処理する工程、及び、前記処理で撥水性が低下し又は親水性が付与された塗膜をベークする工程を含む、撥水性が回復された塗膜を形成する方法。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれか記載の感放射線性樹脂組成物を用いて被塗物に撥水性塗膜を形成する工程並びに得られた塗膜を露光及び現像する工程を含む工程によって、リソグラフィー法により基板上に感放射線性樹脂組成物をパターニングした後に、前記パターニングされた感放射線性樹脂組成物の隔壁で囲まれた空隙部分に目的物質を配置する工程及びこののちに前記パターニングされた感放射線性樹脂組成物を剥離する工程を含む、目的物質を基板上にパターニングする方法。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか記載の感放射線性樹脂組成物を、リソグラフィー法により基板上にパターニングする際に、請求項1〜8のいずれか記載の感放射線性樹脂組成物を用いて被塗物に撥水性塗膜を形成する工程並びに得られた塗膜を露光及び現像する工程に加えて、その後、露光及び現像された塗膜をUV−O3又は酸素プラズマで処理する工程並びに前記処理で撥水性が低下し又は親水性が付与された塗膜をベークする工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
インクジェット手法をもちいて、液状の目的物質を前記空隙部分に配置する請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
液状の目的物質は、インクである請求項16記載の方法。

【公開番号】特開2012−220855(P2012−220855A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88716(P2011−88716)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000214250)ナガセケムテックス株式会社 (173)
【Fターム(参考)】