説明

感放射線性組成物

【課題】化学増幅型ポジ型レジスト膜の成膜に好適に用いることができ、電子線又は極紫外線に有効に感応し、ナノエッジラフネスの発生を抑制することができる感放射線性組成物を提供する。
【解決手段】(a)下記一般式(1)で表される化合物と、(b)下記一般式(2)で表される感放射線性酸発生剤とを含有する感放射線性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感放射線性組成物及び化合物に関する。更に詳しくは、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、電子線、又は極紫外線等による微細パターン形成に好適な感放射線性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、集積回路のより高い集積度を得るために、リソグラフィーにおけるデザインルールの微細化が急速に進行しており、微細加工を安定して行うことができるリソグラフィープロセスの開発が強く推し進められている。
【0003】
しかし、従来使用されてきた、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等を用いたリソグラフィープロセスでは、微細パターンを高精度に形成することが困難になってきている。そこで、最近では、微細加工を達成するために、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等に代えて、電子線(以下、「EB」ということがある)又は極紫外線(以下、「EUV」ということがある)を使用するリソグラフィープロセスが提案されている。
【0004】
従来、このような化学増幅型レジストの基材成分としてはポリマーが用いられている。具体的には、上記基材成分として、ポリヒドロキシスチレン(PHS)やその水酸基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂等のPHS系樹脂、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される共重合体やそのカルボキシ基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂等が知られている。しかし、このような化学増幅型レジストを用いてパターンを形成した場合、微細なパターン形成における実際の線幅と設計線幅の寸法差(以下、「ラフネス」又は「ナノエッジラフネス」ということがある)が生じる可能性がある。
【0005】
例えば、ナノエッジラフネスは、ホールパターンにおけるホール周囲の歪みや、ライン・アンド・スペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となるため、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがある。
【0006】
このような問題は、パターン寸法が小さいほど重大となってくる。このため、例えば、EBやEUVを使用するリソグラフィープロセスでは、数十nmの微細なパターン形成を目標としていることから、現状のパターンラフネスを越える極低ラフネスが要求される。しかしながら、一般的に基材成分として用いられているポリマーの分子サイズ(一分子当たりの平均自乗半径)は、数nm前後と大きい。パターン形成の現像工程において、レジストは通常、基材成分の一分子単位で現像液に対して溶解するため、基材成分としてポリマーを用いる限り、更なるラフネスの低減は極めて困難である。
【0007】
上記のような問題を解消すべく、ポリマーに比して分子量の小さい非重合性のフェノール性化合物(低分子材料)を基材成分として用いたレジストが提案されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。この非特許文献1及び2においては、水酸基、カルボキシ基等のアルカリ可溶性基を有し、その一部又は全部が酸解離性溶解抑制基で保護された低分子材料が提案されている。
【0008】
また、例えば、フェノール性水酸基を有する、レゾルシノールとグルタルアルデヒドとの縮合物の上記フェノール性水酸基に酸解離性基を導入した化合物が、ポジ型レジスト組成物の基材成分として利用可能な材料であることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2007−8875号公報
【非特許文献1】T.Hirayama,D.Shiono,H.Hada and J.Onodera:J.Photopolym.Sci.Technol.17(2004)、p.435
【非特許文献2】Jim−BaekKim,Hyo−JinYun and Young−GilKwon:Chemistry Letters(2002)、p.1064〜1065
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
非特許文献1及び2等で開示された低分子材料は、低分子量であるが故に分子サイズが小さく、ラフネスを低減できると予想される。しかしながら、現在、レジスト組成物の基材成分として実際に使用できる低分子材料はほとんど知られていないのが現状である。例えば、パターンそのものを形成し難い、パターンを形成できたとしても、ラフネスが十分に低減されない、或いはその形状を十分に保持できない等、リソグラフィー特性が十分ではないという問題がある。
【0011】
また、上述した特許文献1に開示された化合物のラフネス、具体的には、ラインワイドラフネス(LWR)は、実用レベルには至っていない。このようなことから、化学増幅型ポジ型レジスト膜の成膜に用いることができ、電子線又は極紫外線に有効に感応し、パターン形成時の表面荒れ(ナノエッジラフネス)の発生を抑制することが可能な感放射線性組成物の開発が切望されている。
【0012】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、化学増幅型ポジ型レジスト膜の成膜に好適に用いることができ、電子線又は極紫外線に有効に感応し、ナノエッジラフネスの発生を抑制することができる感放射線性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、所定の構造を有する化合物、及びこの化合物と特定の感放射線性酸発生剤とを含有する感放射線性組成物によって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明によれば、以下に示す、感放射線性組成物が提供される。
【0015】
[1] (a)下記一般式(1)で表される化合物と、(b)下記一般式(2)で表される感放射線性酸発生剤とを含有する感放射線性組成物。
【0016】
【化1】

【0017】
(前記一般式(1)において、Rは、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。但し、Rはその少なくとも一つが酸解離性基である。Bは相互に独立に炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基であり、Yは相互に独立に炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、または置換若しくは非置換のフェノキシ基である。qは相互に独立に0または1である。)
【0018】
【化2】

【0019】
(前記一般式(2)中、Xは一価のアニオンを示す。m、nは各々独立して0〜4の整数である。Rfは炭素数1〜40の少なくとも1つのフッ素原子を有する鎖状、分岐状、環状のアルキル基を示す。R,Rは各々独立してフッ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、ニトロ基、シアノ基またはカルボキシル基を表す。)
【0020】
[2] 前記一般式(2)におけるXが炭素数1〜40の鎖状、分岐状、環状の少なくとも1つのフッ素を有するアルキルスルホネート、または下記一般式(2−1)〜(2−2)のいずれかで表される上記[1]に記載の感放射線性組成物。
【0021】
【化3】

【0022】
【化4】

【0023】
(前記一般式(2−1)中、Rf、Rfは一以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基またはアルキレン基である。Rf、Rfが結合して環状構造をとっても良い。前記一般式(2−2)中、Rf、Rf、Rfは一以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基またはアルキレン基である。Rf、Rf、Rfのうち2つが結合して環状構造をとっても良い。)
【0024】
[3] 前記酸解離性基が、下記一般式(3−1)又は下記一般式(3−2)で表される基である上記[1]または[2]に記載の感放射線性組成物。
【0025】
【化5】

【0026】
(前記一般式(3−1)中、Rは、炭素数1〜40の、直鎖状、分岐状又は環状構造を有するアルキル基を示し、このアルキル基は、ヘテロ原子を含んでもよい置換基で置換されていても、置換されていなくてもよい。pは0〜3の整数である。また、前記一般式(3−2)中、Rは、炭素数1〜40の、直鎖状、分岐状又は環状構造を有するアルキル基を示し、このアルキル基は、ヘテロ原子を含んでもよい置換基で置換されていても、置換されていなくてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【0027】
[4] 前記一般式(3−1)中のRが、tert−ブチル、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−エチルシクロペンチル基、又は1−メチルシクロペンチル基であるとともに、pが、0又は1であり、
前記一般式(3−2)中のRが、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、又は2−メチル−2−アダマンチル基であるとともに、Rが、水素原子又はメチル基である上記[3]に記載の感放射線性組成物。
【0028】
[5] 前記一般式(2)で表される感放射線性酸発生剤において、m、nがともに0である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の感放射線性組成物。
【発明の効果】
【0029】
本発明の感放射線性組成物は、電子線又は極紫外線に有効に感応し、ナノエッジラフネスの発生が抑制された化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜できるという効果を奏するものである。また、本発明の化合物は、上述した本発明の感放射線性組成物に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0031】
[1]感放射線性組成物:
まず、本発明の感放射線性組成物の一実施形態について説明する。本発明の感放射線性組成物は、下記一般式(1)で表される化合物(a)と、感放射線性酸発生剤(b)と、を含有する感放射線性組成物である。
【0032】
【化6】

【0033】
(前記一般式(1)において、Rは、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。但し、Rはその少なくとも一つが酸解離性基である。Bは相互に独立に炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基であり、Yは相互に独立に炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、または置換若しくは非置換のフェノキシ基である。qは相互に独立に0または1である。)
【0034】
本発明の感放射線性組成物は、上記(a)化合物が、樹脂ではなく低分子の化合物であるため、樹脂に起因する凝集が生じることがなく、ラフネスの発生を抑制することができる。即ち、本発明の感放射線性組成物によれば、低ラフネスを実現することができる。また、本発明の感放射線性組成物は、この(a)化合物を含有することにより、ベンゼン環骨格を有する化合物を含有することになり、エッチング耐性を向上させることができる。
【0035】
感放射線性酸発生剤(b)として下記一般式(2)の構造を感放射線性酸発生剤を用いることで高感度かつラフネスを低減することができる。
【0036】
【化7】

【0037】
(前記一般式(2)中、Xは一価のアニオンを示す。m、nは各々独立して0〜4の整数である。Rfは炭素数1〜40の少なくとも1つのフッ素原子を有する鎖状、分岐状、環状のアルキル基を示す。R,Rは各々独立してフッ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、ニトロ基、シアノ基またはカルボキシル基を表す。)
【0038】
更に、本発明の感放射線性組成物は、化学増幅型レジストを形成可能な従来の組成物と同様に酸解離性基を有する(a)化合物を含んでいるため、感度に優れている。このようなことから、本発明の感放射線性組成物は、リソグラフィープロセスにおいて、電子線又は極紫外線に有効に感応し、ナノエッジラフネス、エッチング耐性、及び感度に優れ、微細パターンを高精度に且つ安定して形成することができる化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜可能なものである。
【0039】
[1−1](a)化合物:
(a)化合物は、一般式(1)で表される化合物である。
【0040】
【化8】

【0041】
一般式(1)中、Yとして表される基のうち、炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等がある。これらの中でも、本実施形態の(a)化合物を高い収率で合成することができるという観点から、メチル基であることが好ましい。qは0であることが好ましい。
【0042】
一般式(1)中、Rとして表される基のうち、1価の酸解離性基としては、一般式(3−1)又は(3−2)で表される基であることが好ましい。
【0043】
【化9】

【0044】
一般式(3−1)中、Rとして表される基は、ヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、pは0〜3の整数を示す。また、一般式(3−2)中、Rとして表される基は、ヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、Rとして表される基は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
【0045】
一般式(3−1)で表される基としては、例えば、一般式(4−1)〜(4−9)で表される基等がある。これらの中でも、原料が工業上入手しやすいという点で、一般式(4−1)、(4−7)、(4−8)、(4−9)で表される基であることが好ましい。
【0046】
【化10】

【0047】
一般式(4−1)〜(4−9)中、R11として表される基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基があり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができる。これらの中でも、メチル基又はエチル基であることが好ましく、メチル基であることが更に好ましい。これらのことから、一般式(3−1)中、Rとして表される基として、具体的には、t−ブチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロペンチル基、式(5)で表される基等を挙げることができる。
【0048】
【化11】

【0049】
よって、一般式(3−1)で表される基として、具体的には、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基、2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−メチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニル基、式(6)で表される基等を挙げることができる。
【0050】
【化12】

【0051】
なお、一般式(3−1)で表される基が複数存在する場合、一般式(3−1)中のRとして表される基は全て同じ基であっても良く、それぞれ異なる基であっても良い。
【0052】
また、一般式(3−2)で表される基としては、例えば、一般式(7−1)〜(7−10)で表される基や一般式(8−1)〜(8−4)で表される基等がある。これらの中でも、一般式(7−5)又は(7−7)で表される基が好ましい。これは、一般式(7−5)又は(7−7)で表される基を有する化合物が工業上入手しやすいからである。
【0053】
【化13】

【0054】
一般式(7−1)〜(7−10)中、R12として表される基は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、tは0〜2の整数を示す。
【0055】
【化14】

【0056】
一般式(8−1)〜(8−4)中、R12として表される基は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
【0057】
一般式(7−1)〜(7−10)中、R12として表される基のうち、炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基がある。また、一般式(7−1)〜(7−10)中、tは0又は1であることが好ましい。
【0058】
一般式(8−1)〜(8−4)中、R12として表される基のうち、炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、一般式(7−1)〜(7−10)中、R12として表される基で例示した炭素数1〜5のアルキル基と同様のものがある。
【0059】
また、一般式(3−2)で表される基は、形成するレジスト膜のエッチング耐性が向上するという点から、一般式(7−7)で表される基の中でも、2−アダマンチルオキシメチル基、若しくは式(9−1)〜(9−4)のいずれかで表される基、又は一般式(9−5)で表される基の中でも、式(9−5)で表される基であることが更に好ましい。
【0060】
【化15】

【0061】
一般式(1)で表される化合物中、Rとして表される基のうち、1価の酸解離性基の割合は、10〜100mol%であることが好ましく、20〜100mol%であることが更に好ましい。1価の酸解離性基の割合が10mol%未満であると、解像度が低下する傾向にある。なお、1価の酸解離性基の割合は、核磁気共鳴スペクトル分析によるHの割合から算出することができる。
【0062】
また、(a)化合物は、一般式(10)で表される化合物であること、即ち、一般式(1)中、Bとして表される基がプロピレン基であり、qが0であることが好ましい。一般式(10)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の中でも、良好な収率で合成することができる。
【0063】
【化16】

【0064】
一般式(10)中、Rとして表される基は、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。
【0065】
一般式(10)中、Rとして表される基のうち、1価の酸解離性基として、具体的には、前記1価の酸解離性基に例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0066】
(a)化合物は、例えば、一般式(11−1)で表される化合物(以下、「化合物(11−1)」と記載する)と一般式(11−2)で表される化合物(以下、「化合物(11−2)」と記載する)とを縮合させることにより、一般式(11)で表される化合物(以下、「化合物(11)」と記載する)として合成することができる。また、化合物(11)を単離精製した後に、少なくとも一つ、1価の酸解離性基を導入することで、一般式(1)中、Rとして表される基のうち、少なくとも一つ1価の酸解離性基を有する(a)化合物を合成することができる。
【0067】
【化17】

【0068】
一般式(11−1)中、Yとして表される基は、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、qは0又は1を示す。
【0069】
【化18】

【0070】
一般式(11−2)中、Bとして表される基は、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示す。
【0071】
【化19】

【0072】
一般式(11)中、Bとして表される基は、相互に独立に、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、Yとして表される基は、相互に独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、qは、相互に独立に、0又は1を示す。
【0073】
縮合反応の方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒中、化合物(11−1)と化合物(11−2)を酸触媒等の触媒の存在下、60〜90℃で12〜50時間反応させる方法がある。酸触媒としては、例えば、塩酸等がある。また、溶媒は特に制限されるものではなく、化合物(11−1)及び(11−2)を溶解することができるものであれば良い。より具体的には、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
【0074】
化合物(11−1)と化合物(11−2)のmol比((11−1)/(11−2))は、特に制限されるものではないが、得られる化合物(11)の収率が高くなるという観点から、1〜8であることが好ましく、2〜6であることが更に好ましく、3〜5であることが特に好ましい。mol比がこの範囲外であると、化合物(11)の収率が低下する場合がある。
【0075】
反応溶液中の基質濃度(化合物(11−1)と化合物(11−2)の合計の濃度)は、特に制限されるものではないが、得られる化合物(11)の収率が高くなるという観点から、2mol/L以上であることが好ましく、4mol/L以上であることが更に好ましく、4〜10mol/Lであることが特に好ましい。基質濃度が、2mol/L未満であると、化合物(11)の収率が低下する場合がある。
【0076】
化合物(11)に酸解離性基を少なくとも一つ導入する方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、化合物(11)と、酸解離性基を有する化合物とを溶媒中、酸又は塩基の存在下、−20〜100℃の条件で1〜20時間反応させる方法がある。
【0077】
化合物(11)と酸解離性基を有する化合物のmol比(酸解離性基を有する化合物/化合物(11))は、特に制限されるものではないが、(a)化合物の収率が高いという観点から、1以上であることが好ましく、5〜40であることが更に好ましく、5〜20であることが特に好ましい。mol比が1以上であると、目的の酸解離性基の導入率が良好であるという利点がある。一方、mol比が1未満であると、目的の酸解離性基の導入率が低下する場合がある。なお、一般式(1)で表される化合物中、Rとして表される基のうち、酸解離性基の割合はmol比を調節することによって調整することができる。
【0078】
ここで、酸解離性基を有する化合物の好適例としては、一般式(3−1)又は(3−2)で表される基を有する化合物等がある。
【0079】
より具体的には、一般式(3−1)で表される基を有する化合物として、クロロ酢酸−2−エチル−2−アダマンチル、ブロモ酢酸−2−エチル−2−アダマンチル、クロロ酢酸−2−メチル−2−アダマンチル、ブロモ酢酸−2−メチル−2−アダマンチル等を挙げることができる。
【0080】
また、一般式(3−2)で表される基を有する化合物として、2−アダマンチル−クロロメチルエーテル、2−メチル−2−アダマンチルビニルエーテル、2−エチルアダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0081】
ここで、(a)化合物のうち、一般式(11)で表される化合物を合成する方法について記載する。先ず、式(12−1)で表される化合物(以下、「化合物(12−1)」と記載する)と式(12−2)で表される化合物(以下、「化合物(12−2)」と記載する)とをアルコール溶媒等の溶媒中、塩酸等の酸触媒の存在下、60〜90℃の条件で12〜50時間脱水縮合させることにより化合物(一般式(11)において、qが0である化合物(以下、「化合物(13)」記載する))を得る。次いで、得られた化合物(13)と、酸解離性基を有する化合物とを溶媒中、酸又は塩基の存在下、−20〜100℃の条件で1〜20時間反応させることにより合成することができる。
【0082】
【化20】

【0083】
【化21】

【0084】
化合物(12−1)と、化合物(12−2)のmol比((12−1)/(12−2))は、特に制限されるものではないが、化合物(13)の収率が高くなるという観点から、1〜8であることが好ましく、2〜6であることが更に好ましく、3〜5であることが特に好ましい。mol比がこの範囲外であると、化合物(13)の収率が低下する場合がある。
【0085】
縮合反応の基質濃度(化合物(12−1)と化合物(12−2)の合計の濃度)は、特に制限されるものではないが、化合物(13)の収率が高くなるという観点から、2mol/L以上であることが好ましく、4mol/L以上であることが更に好ましく、4〜10mol/Lであることが特に好ましい。基質濃度が、2mol/L未満であると、化合物(13)の収率が低下する場合がある。
【0086】
酸解離性基を有する化合物として、具体的には、一般式(3−1)で表される基を有する化合物(以下、「化合物(3−1)」と記載する)や一般式(3−2)で表される基を有する化合物(以下、「化合物(3−2)」と記載する)を挙げることができる。また、酸解離性基を有する化合物は、1種単独の化合物であっても良く、2種以上の化合物の混合物であっても良い。
【0087】
化合物(13)と、酸解離性基を有する化合物のmol比(酸解離性基を有する化合物/化合物(13))は、特に制限されるものではないが、一般式(10)で表される化合物の収率が高いという観点から、1以上であることが好ましく、5〜40であることが更に好ましく、5〜20であることが特に好ましい。mol比が1以上であると、一般式(10)で表される化合物を収率良く合成することができるという利点がある。一方、mol比が1未満であると、一般式(10)で表される化合物の収率が低下する場合がある。
【0088】
一般式(10)中、Rとして表される基のうち、1価の酸解離性基として、具体的には、前記1価の酸解離性基に例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0089】
[1−2](b)感放射線性酸発生剤:
(b)感放射線性酸発生剤は、リソグラフィープロセスにおいて、本発明の感放射線性組成物に電子線や放射線等の照射によって、感放射線性組成物内で酸を発生する物質である。
【0090】
この(b)感放射線性酸発生剤から発生した酸は、感放射線性組成物に含有される(a)化合物中に存在する酸解離性基を解離させて(保護基を脱離させて)、(a)化合物をアルカリ可溶性とする。その結果、例えば、レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のレジストパターンが形成される。
【0091】
(b)感放射線性酸発生剤は、前記一般式(2)で表されるオニウム塩である。この(b)成分は活性光線又は放射線の照射により酸を発生し得る化合物であり、感放射線性酸発生剤として含有される成分である。
【0092】
【化22】

【0093】
(前記一般式(2)中、Xは一価のスルホン酸またはカルボン酸のアニオンを示す。m、nは各々独立して0〜4の整数である。Rfは炭素数1〜40の少なくとも1つのフッ素原子を有する鎖状、分岐状、環状のアルキル基を示す。R,Rは各々独立してフッ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、ニトロ基、シアノ基またはカルボキシル基を表す。)
【0094】
Rfは炭素数1〜40の少なくとも1つのフッ素原子を有する鎖状、分岐状、環状のアルキル基を示す。具体的には、トリフルオロメチル基(CF)、ペルフルオロエチル基(−C)、ペルフルオロプロピル基(−C)、ペルフルオロイソプロピル基(−CF(CF)、ペルフルオロブチル基(−C)、ペルフルオロイソブチル基(−CFCF(CF)、ペルフルオロ−sec−ブチル基(−CF(CF)CFCF)、ペルフルオロ−t−ブチル基(−C(CF)、ペルフルオロペンチル基(−C11)、ペルフルオロヘキシル基(−C13)、ペルフルオロヘプチル基(−C15)、ペルフルオロ−5−メチルヘキシル基(−(CFCF(CF)CF)、ペルフルオロオクチル基(−C17)、ペルフルオロノニル基(−C19)、ペルフルオロ−7−メチルオクチル基(−(CFCF(CF)CF)、ペルフルオロデシル基(−C1021)等のペルフルオロアルキル基が特に好ましい。
【0095】
また、「Rf」としては上記ペルフルオロアルキル基の他にも、−CHF、−CHF、−CHF、−CHF、−CHF10、−CHF12、−CHF14、−CHF16、−CHF18、−C10HF20、−CH、−C、−C、−C、−C、−C11、−C13、−C15、−C17、−C1019、−CF、−C、−C、−C、−C10、−C12、−C14、−C17、−C10F18、−CClF、−CClF、−CClF、−CClF、−CClF10、−CClF12、−CClF14、−CClF16、−CClF18、−C10ClF20、−CBrF、−CBrF、−CBrF、−CBrF、−CBrF10、−CBrF12、−CBrF14、−CBrF16、−CBrF18、−C10BrF20、−CFI、−CI、−CI、−CI、−C10I、C12I、−C14I、C16I、−C18I、C1020I等の如く、炭素原子数1〜10個の直鎖状又は分岐状のハロアルキル基(好ましくはフルオロアルキル基)を示すことができる。
【0096】
,Rは各々独立してフッ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。炭素数1〜8のアルコキシル基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
【0097】
前記一般式(2)におけるXは炭素数1〜40の鎖状、分岐状、環状の少なくとも1つのフッ素を有するアルキルスルホネート、または下記一般式(2−1)〜(2−2)のいずれかが好ましい。
【0098】
【化23】

【0099】
【化24】

【0100】
(前記一般式(2−1)中、Rf、Rfは一以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基またはアルキレン基である。Rf、Rfが結合して環状構造をとっても良い。前記一般式(2−2)中、Rf、Rf、Rfは一以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基またはアルキレン基である。Rf、Rf、Rfのうち2つが結合して環状構造をとっても良い。)
【0101】
炭素数1〜40の鎖状、分岐状、環状の少なくとも1つのフッ素原子を有するアルキルスルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ジフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−イル)エタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)エタンスルホネート等が挙げられる。
【0102】
Rfの具体例としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロエチル基、ナノフルオロブチル基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフルオロブチレン基等が挙げられる。
【0103】
(2)の具体例としては、下記(18−1)〜(18−12)が挙げられる。特に好ましいのは、(18−1)(18−2)、(18−4)、(18−6)、(18−7)、(18−8)、(18−9)、(18−11)である。
【0104】
【化25】

【0105】
感放射線性酸発生剤(2)の配合量は、(a)化合物100質量部に対して、0.1〜40質量部であることが好ましく、0.5〜30質量部であることが更に好ましい。(b)感放射線性酸発生剤の配合量が0.1質量部未満であると、感度及び現像性が低下するおそれがある。一方、40質量部超であると、放射線に対する透明性、パターン形状、耐熱性等が低下するおそれがある。
【0106】
前記一般式(2)と前記一般式(2)以外の感放射線性酸発生剤、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン化合物、及びスルホンイミド化合物とを併用することもできる。なお、一般式(2)以外の感放射線性酸発生剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0107】
オニウム塩としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。ここで、オニウム塩の具体例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−イル)エタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)エタンスルホネート;等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
【0108】
(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート等の(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0109】
(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート等の(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0110】
トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート等のトリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム塩化合物;(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート等の(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0111】
トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム10―カンファースルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート等のトリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム塩化合物;トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;
【0112】
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート等の2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムn−オクタンスルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
【0113】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート等の(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウム塩化合物;
【0114】
(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウム10−カンファースルホネート等の(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウム塩化合物;ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート等のビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウム塩化合物;
【0115】
ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート等のビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム塩化合物;
【0116】
ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート等のビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;等を挙げることができる。
【0117】
これらの中では、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、
【0118】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネートが好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
【0119】
ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ドデカン−8−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
【0120】
これらの中では、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ドデカン−8−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタンが好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0121】
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド;N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミド;
【0122】
N−(n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド;
【0123】
N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド等を挙げることができる。
【0124】
これらの中では、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミドが好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0125】
その他の感放射線性酸発生剤の配合量は、(a)化合物100質量部に対して、0.1〜40質量部であることが好ましく、0.5〜30質量部であることが更に好ましい。その他の感放射線性酸発生剤の配合量が0.1質量部未満であると、感度及び現像性が低下するおそれがある。一方、40質量部超であると、放射線に対する透明性、パターン形状、耐熱性等が低下するおそれがある。
【0126】
[1−3](c)酸拡散制御剤:
本発明の感放射線性組成物は、(c)酸拡散制御剤を更に含有することが好ましい。(c)酸拡散制御剤は、露光により(b)感放射線性酸発生剤から生じる酸の、レジスト膜(レジスト被膜)中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
【0127】
このような(c)酸拡散制御剤を含有させることにより、得られる感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上し、また、形成したレジスト膜の解像度が更に向上するとともに、露光後から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動に起因するレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた感放射線性組成物が得られる。
【0128】
(c)酸拡散制御剤としては、例えば、含窒素有機化合物又は感光性塩基性化合物を好適例として挙げることができる。上記含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(18)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(i)」という)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(ii)」という)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、これらをまとめて「含窒素化合物(iii)」という)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0129】
【化26】

【0130】
上記一般式(19)中、R18は、相互に独立に、水素原子、置換されていてもよい、直鎖状、分岐状若しくは環状アルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいアラルキル基を示す。
【0131】
含窒素化合物(i)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;
【0132】
トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;トリエタノールアミン等の置換アルキルアミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン、2,4,6−トリ−tert−ブチル−N−メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類;を好適例として挙げることができる。
【0133】
含窒素化合物(ii)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等を好適例として挙げることができる。
【0134】
含窒素化合物(iii)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を好適例として挙げることができる。
【0135】
上記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等を好適例として挙げることができる。
【0136】
上記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を好適例として挙げることができる。
【0137】
上記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチル−1H−イミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン、2,2’:6’,2”−ターピリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を好適例として挙げることができる。
【0138】
また、上記感光性塩基性化合物は、露光領域では、対応する中性の断片に効率よく分解し、未露光部では分解せずにそのまま残る成分である。このような感光性塩基性化合物は、非感光性の塩基性化合物に比べて、露光部(即ち、露光領域)に発生する酸を有効活用することができるため、感度を向上させることができる。
【0139】
上記感光性塩基性化合物の種類は、上記性質を有する限り、特に制限されるものではないが、例えば、下記一般式(20−1)、又は下記一般式(20−2)で表される化合物を好適に用いることができる。
【0140】
【化27】

【0141】
上記一般式(20−1)及び一般式(20−2)において、R19〜R23は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有してもよい脂環式炭化水素基を示し、AはOH、R24、R24COOを示す。R24は1価の有機基を示す。
【0142】
19〜R23の置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、メトキシ基、t−ブトキシ基、t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等を挙げることができる。なお、R19〜R23は、水素原子、tert−ブチル基であることが好ましい。
【0143】
また、R24の1価の有機基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基を挙げることができる。
【0144】
上記Aとしては、OH、CHCOO、及び下記式(21−1)〜(21−3)で表される化合物が好ましい。
【0145】
【化28】

【0146】
上記感光性塩基性化合物の具体例としては、トリフェニルスルホニウム化合物(上記一般式(20−1)で表される化合物)であって、そのアニオン部(A)がOH、CHCOO、下記一般式(22−1)、及び下記一般式(22−2)で表される化合物を好適例として挙げることができる。
【0147】
【化29】

【0148】
なお、上記(c)酸拡散制御剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0149】
(c)酸拡散制御剤の配合量は、(a)化合物100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、0.001〜10質量部であることが更に好ましく、0.005〜5質量部であることが特に好ましい。なお、(c)酸拡散制御剤の配合量が15質量部超であると、形成したレジスト膜の感度や露光部の現像性が低下するおそれがある。また、(c)酸拡散制御剤の配合量が0.001質量部未満であると、プロセス条件によっては、形成したレジスト膜のパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0150】
[1−4]その他の成分:
本発明の感放射線性組成物は、上記(a)化合物、(b)感放射線性酸発生剤、及び必要に応じて含有される(c)酸拡散制御剤を溶剤に溶解させたものであることが好ましい。即ち、その他の成分として更に溶剤を含有することが好ましい。また、本発明の感放射線性組成物には、その他の成分として、必要に応じて、界面活性剤、増感剤、脂肪族添加剤等の各種の添加剤を更に含有することもできる。
【0151】
上記溶剤としては、直鎖状又は分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、及びγ−ブチロラクトンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0152】
本発明の感放射線性組成物における溶剤の配合量は、組成物中の全固形分濃度が、1〜20質量%となる量であることが好ましく、1〜15質量%となる量であることが更に好ましく、1〜10質量%となる量であることが特に好ましい。
【0153】
本発明の感放射線性組成物は、(a)化合物、(b)感放射線性酸発生剤、(c)酸拡散制御剤、及び、必要によりその他の添加物(溶剤を除く)を、全固形分濃度が上記範囲となるように、溶剤に均一に溶解して調製することができる。なお、このように調製した後、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することが好ましい。
【0154】
なお、その他の成分として含有される界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171,同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105,同SC−106(旭硝子社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。界面活性剤の配合量は、(a)化合物100質量部に対して、0.001〜2質量部であることが好ましい。
【0155】
上記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを(b)感放射線性酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加させる作用を示すもので、感放射線性組成物のみかけの感度を向上させる効果を有する。このような増感剤としては、例えば、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。なお、これらの増感剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。増感剤の配合量は、(a)化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
【0156】
また、染料又は顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和することができる。また、接着助剤を配合することにより、レジスト膜と基板との接着性を改善することができる。
【0157】
また、本発明の感放射線性組成物には、酸解離性基を有する脂環族添加剤や酸解離性基を有しない脂環族添加剤を添加することができる。このような脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を有する成分である。
【0158】
このような脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸α−ブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル等のアルキルカルボン酸エステル類や、3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン等を挙げることができる。
【0159】
これらの脂環族添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。脂環族添加剤の配合量は、(a)化合物100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが好ましい。脂環族添加剤の配合量が20質量部超であると、形成したレジスト膜の耐熱性が低下するおそれがある。
【0160】
更に、上記以外の添加剤としては、アルカリ可溶性樹脂、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0161】
[2]レジストパターンの形成方法:
次に、本発明の感放射線性組成物を用いたレジストパターンの形成方法について説明する。本発明の感放射線性組成物は、化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜可能な材料として有用である。上記化学増幅型ポジ型レジスト膜においては、露光により(b)感放射線性酸発生剤から発生した酸の作用によって、(a)化合物中の酸解離性基が脱離し、(a)化合物がアルカリ可溶性となる。即ち、レジスト膜に、アルカリ可溶性部位が生じる。このアルカリ可溶性部位は、レジストの露光部であり、この露光部はアルカリ現像液によって溶解、除去することができる。このようにして所望の形状のポジ型のレジストパターンを形成することができる。以下、より具体的にレジストパターンの形成方法について説明する。
【0162】
本発明の感放射線性組成物を用いてレジストパターンを形成するには、まず、本発明の感放射線性組成物によってレジスト膜を形成する。感放射線性組成物としては、例えば、上述したように、全固形分濃度を調製した後、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過したものを用いることが好ましい。
【0163】
このように調製した感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成する。
【0164】
次に、場合により予め70〜160℃程度の温度で加熱処理(プレベーク、以下、「PB」ということがある)を行う。
【0165】
次に、所定のレジストパターンを形成するように、得られたレジスト被膜を露光する。露光に使用することができる放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、EUV(極紫外線、波長13.5nm等)等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等を挙げることができる。また、露光量等の露光条件は、感放射線性組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。また、この露光は、液浸露光であってもよい。
【0166】
なお、露光後には、加熱処理(ポスト・エクスポージャー・ベーク、以下、「PEB」ということがある)を行うことが好ましい。このPEBにより、(a)化合物の酸解離性基の脱離を円滑に進行させることが可能となる。PEBの加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等によって適宜選定することができるが、30〜200℃であることが好ましく、50〜170℃であることが更に好ましい。
【0167】
また、本発明の感放射線性組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成することもできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。また、これらの技術を併用することもできる。
【0168】
次に、露光されたレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも一種を溶解したアルカリ性水溶液を好適例として挙げることができる。
【0169】
上記アルカリ性水溶液の濃度は、10質量%以下であることが好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%超であると、非露光部も現像液に溶解するおそれがある。また、現像液は、pH8〜14であることが好ましく、pH9〜14であることが更に好ましい。
【0170】
また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば、有機溶媒を添加することもできる。上記有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0171】
有機溶媒の配合量は、アルカリ性水溶液100体積部に対して、100体積部以下であることが好ましい。有機溶媒の配合量が100体積部超であると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。また、アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像した後、水で洗浄して乾燥することもできる。
【実施例】
【0172】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、感放射線性組成物を用いて形成されたレジストパターンの評価方法を以下に示す。
【0173】
(合成例1)化合物(A−1):
レゾルシノール22.0g(200ミリモル)をエタノール45ミリリットルに溶解させ、塩酸を15ミリリットル加えた。得られた溶液を撹拌しながら5℃まで氷冷し、グルタルアルデヒドの50%水溶液10.0g(50ミリモル)をゆっくりと滴下した。その後、80℃で48時間加熱し、濁った黄色の溶液(懸濁液)を得た。
【0174】
得られた懸濁液をメタノール中に注いだ後、ろ過し、沈殿物を得た。その後、得られた沈殿物をメタノールで3回洗浄した。得られた沈殿物を室温で24時間減圧乾燥して粉末状の淡黄色固体(S−1)を得た。収量は11.2gであり、収率は79%であった。
【0175】
得られた淡黄色固体(S−1)の構造確認は、MALDI−TOF−MS(型番SHIMAZU/KRATOSマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置 KOMPACT MALDI IV tDE、島津製作所社製)、IR(型番FT−IR 420型、日本分光社製)、及びH−NMR(型番JNM−ECA−500型、日本電子社製)で行った。これらの結果を以下に示す。
【0176】
質量分析(MALDI−TOF−MS):分子量1705の化合物が得られたことが示された。
【0177】
IR(film法、cm−1):3406(νOH);2931(νC−H);1621、1505、1436(νC=C(aromatic)
【0178】
H−NMR(500MHz、溶媒DMSO−d、内部標準TMS):δ(ppm)=0.86〜2.35(b,12.0H)、3.98〜4.22(m,4.0H)、6.09〜7.42(m,8.0H)、8.65〜9.56(m,8.0H)
【0179】
得られた淡黄色固体(S−1)3.5gを、1−メチル−2−ピロリドン40gに加えた後、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gを更に加え、70℃で4時間攪拌し溶解させた。溶解後、炭酸カリウム3.3gを加え、70℃で1時間撹拌した。その後、予め1−メチル−2−ピロリドン20gに溶解させたブロモ酢酸2−メチル−2−アダマンチル6.9gを徐々に加え、70℃で6時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、水(200g)/塩化メチレン(200g)で抽出を行った。
【0180】
次に、3%のシュウ酸水100ミリリットルで3回洗浄した後、水100ミリリットルで2回洗浄した。水層を廃棄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、ヘキサン:酢酸エチル=1:4(体積比)を留出液としてシリカゲルカラムで精製して、化合物(A−1)を得た。得られた化合物(A−1)は3.2gであった。
【0181】
化合物(A−1)についてH−NMR分析を行ったところ、化合物(A−1)は、下記一般式(23)で表される化合物であった。この化合物(A−1)は、下記一般式(23)中の全てのRのうち、40モル%が下記式(24)で表される基(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基)であり、残りのRが水素原子であった。
【0182】
【化30】

【0183】
【化31】

【0184】
H−NMRの結果は次の通りである。H−NMR(500MHz、溶媒DMSO−d、内部標準TMS):δ(ppm)=0.82〜2.40(m,66.4H)、3.80〜4.52(m,10.4H)、6.08〜7.41(m,8.0H)、8.62〜9.54(m,3.2H)
【0185】
<合成例2>
重合体(A−2)の合成
p−アセトキシスチレン140g、下記式(M−2)で表される化合物(単量体)56g、AIBN8g及びt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を10000gのn−ヘキサン中に滴下して、生成共重合体を凝固精製した。次いで、この共重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えたのち、更に、メタノール300g、トリエチルアミン80g及び水15gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行なった。反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた共重合体をアセトン200gに溶解したのち、2000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
【0186】
得られた共重合体は、Mwが11000、Mw/Mnが2.0、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンと化合物(M−2)に由来する各繰り返し単位の含有比(モル比)が75:25の共重合体であった。以下、この共重合体を、重合体(A−2)とする。
【0187】
【化32】

【0188】
(実施例1〜3、比較例1〜4)
東京エレクトロン社製のクリーントラックACT−8内で、シリコンウエハー上に各組成物溶液をスピンコートした後、表2に示す条件でPB(加熱処理)を行い、膜厚60nmのレジスト(感放射線性組成物)被膜を形成した。その後、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社製、型式「HL800D」、出力;50KeV、電流密度;5.0アンペア/cm)を用いてレジスト被膜に電子線を照射した。電子線の照射後、表2に示す条件でPEBを行った。その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、LDノズルを用いてパドル法により現像した後、純水で水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成した。このようにして形成したレジストについて下記の要領で評価を行った。各感放射線性組成物の評価結果を表2に示す。
【0189】
表1に記載した(B)感放射線性酸発生剤、(C)酸拡散制御剤、及び(D)溶剤の詳細は以下に示すとおりである。
【0190】
感放射線性酸発生剤(B)
B−1:下記一般式(25)で示される化合物
B−2:下記一般式(26)で示される化合物
B−3:下記一般式(27)で示される化合物
B−4:トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート
【0191】
【化33】

【0192】
【化34】

【0193】
【化35】

【0194】
(C)酸拡散制御剤
C−1:N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール
【0195】
(D)溶剤
D−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
D−2:シクロヘキサノン
【0196】
(1)感度(L/S)
線幅150nmのライン部と、隣り合うライン部によって形成される間隔が150nmのスペース部(即ち、溝)と、からなるパターン〔いわゆる、ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)〕を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量により感度を評価した。
【0197】
図1は、ライン・アンド・スペースパターンの形状を模式的に示す平面図である。また、図2は、ライン・アンド・スペースパターンの形状を模式的に示す断面図である。但し、図1及び図2で示す凹凸は、実際より誇張している。
【0198】
(2)ナノエッジラフネス
設計線幅150nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)のラインパターンを、半導体用走査電子顕微鏡(高分解能FEB測長装置、商品名「S−9220」、日立製作所社製)にて観察した。観察された形状について、図1及び図2に示すように、シリコンウエハー1上に形成したレジスト膜のライン部2の横側面2aに沿って生じた凹凸の最も著しい箇所における線幅と、設計線幅150nmとの差「ΔCD」を、CD−SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、「S−9220」)にて測定することにより、ナノエッジラフネスを評価した。
【0199】
(3)解像度(L/S):
ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)について、最適露光量により解像されるラインパターンの最小線幅(nm)を解像度とした。
【0200】
【表1】

【0201】
【表2】

【0202】
表2によれば、化合物(A−1)とB−1〜B−3を含有する実施例1〜3の感放射線性組成物は、比較例1〜5の感放射線性組成物に比べて、電子線又は極紫外線に有効に感応し、低ラフネスであると共に感度にも優れており、微細パターンを高精度に且つ安定して形成することが可能な化学増幅型ポジ型レジスト膜を成膜できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明の感放射線性組成物は、パターン形成時におけるライン・アンド・スペースパターンの解像度に優れるだけでなく、ナノエッジラフネスにも優れ、被覆率依存性にも優れるので、EB、EUVやX線による微細パターン形成に有用である。従って、本発明の感放射線性組成物は、今後更に微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用の化学増幅型レジストを形成可能なものとして極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】ラインパターンを上方から見た際の模式的な平面図である。
【図2】ラインパターン形状の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0205】
1;基材、2;レジストパターン、2a;レジストパターンの横側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)で表される化合物と、
(b)下記一般式(2)で表される感放射線性酸発生剤とを含有する感放射線性組成物。
【化1】

(前記一般式(1)において、Rは、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。但し、Rはその少なくとも一つが酸解離性基である。Bは相互に独立に炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基であり、Yは相互に独立に炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、または置換若しくは非置換のフェノキシ基である。qは相互に独立に0または1である。)
【化2】

(前記一般式(2)中、Xは一価のアニオンを示す。m、nは各々独立して0〜4の整数である。Rfは炭素数1〜40の少なくとも1つのフッ素原子を有する鎖状、分岐状、環状のアルキル基を示す。R,Rは各々独立してフッ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、ニトロ基、シアノ基またはカルボキシル基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(2)におけるXが炭素数1〜40の鎖状、分岐状、環状の少なくとも1つのフッ素を有するアルキルスルホネート、または下記一般式(2−1)〜(2−2)のいずれかで表される請求項1に記載の感放射線性組成物。
【化3】

【化4】

(前記一般式(2−1)中、Rf、Rfは一以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基またはアルキレン基である。Rf、Rfが結合して環状構造をとっても良い。前記一般式(2−2)中、Rf、Rf、Rfは一以上のフッ素原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基またはアルキレン基である。Rf、Rf、Rfのうち2つが結合して環状構造をとっても良い。)
【請求項3】
前記酸解離性基が、下記一般式(3−1)又は下記一般式(3−2)で表される基である請求項1または2に記載の感放射線性組成物。
【化5】

(前記一般式(3−1)中、Rは、炭素数1〜40の、直鎖状、分岐状又は環状構造を有するアルキル基を示し、このアルキル基は、ヘテロ原子を含んでもよい置換基で置換されていても、置換されていなくてもよい。pは0〜3の整数である。また、前記一般式(3−2)中、Rは、炭素数1〜40の、直鎖状、分岐状又は環状構造を有するアルキル基を示し、このアルキル基は、ヘテロ原子を含んでもよい置換基で置換されていても、置換されていなくてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【請求項4】
前記一般式(3−1)中のRが、tert−ブチル、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−エチルシクロペンチル基、又は1−メチルシクロペンチル基であるとともに、pが、0又は1であり、
前記一般式(3−2)中のRが、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、又は2−メチル−2−アダマンチル基であるとともに、Rが、水素原子又はメチル基である請求項3に記載の感放射線性組成物。
【請求項5】
前記一般式(2)で表される感放射線性酸発生剤において、m、nがともに0である請求項1〜4のいずれか一項に記載の感放射線性組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−66705(P2010−66705A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235182(P2008−235182)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】