説明

懸吊索式屋根形天幕

【課題】本発明は懸吊索式屋根形天幕に関し、夜営をしたり、物品の収納・保管をするのに用い、簡単な取り扱い操作により設営や分解が迅速かつ確実に行え、比較的多人数や大容量の物品を収容可能であり、日照や風雨を防ぐものである。
【解決手段】天幕本体は、切妻屋根形また寄せ棟屋根形の屋根部と、側壁部6A,6B;6C,6Dとで形成され、支柱は、棟4aの外端部を支持する2本の棟支柱7,7であり、側壁部の四隅と略等間隔L1に立設される側壁支柱8により屋根部を支持し、棟支柱の上部間に懸吊索9が張設され、引綱5は、棟の外端部に一端5Aが取付けられて他端5Aは地面2に螺入されたねじ杭10に固定された棟張綱5Aと、軒先部N,Nに一端5Bが取付けられ、他端5B2は杭10′に固定されて対設され、側壁支柱と側壁部に外方向に張力を与える軒引綱5Bとで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は懸吊索式屋根形天幕に関し、夜営をしたり、または、物品を収納・保管をするのに用い、簡単な取り扱い操作により設営や分解が迅速かつ確実に行え、比較的多人数と、また、大容積に物品を収容可能であり、日照や風雨を防ごうとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、設営が容易なタープテントには、耐候性に優れた生地よりなる多角形、例えば平面略四角形のテント本体の対角線上の2つの角部を地面に立設した2本のポールにより支持すると共に、テント本体の残りの2つの角部をロープを介してペグ(杭体)により地面に固定し、全体を張設するようにしたことにより、設営を容易にするものがあった。そして、日照や風雨を防ごうとするものであった(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平5−89733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の上記従来のタープテントは、多角形、例えば平面略四角形のテント本体の対角線上の2つの角部を地面に立設した2本のポールにより支持すると共に、テント本体の残りの2つの角部をロープを介してペグ(杭体)により地面に固定し、全体を張設するものであるので、2本のポールを用いて平面略四角形のテント本体を張設すると、この2本のポールを用いて張設されるテント本体の対角線上の2つの角部と、ロープを介してペグ(杭体)により地面に固定した残りの2つの角部との間に位置するテント本体の下縁部は、地面との間に大きな間隙が形成されているため、テント本体の外部からの通風性は良いが、強風に対して強度に欠け、テントが風に煽られて倒壊する等、強度が弱かった。また、日照を防ぐのに小面積で不充分であり、また、雨や雪が吹き込み易く、しかも、冬季等においてはまともに寒風や雪がテント内に入り込み易く、暖に欠け、さらには、テント内への収容人数も小人数であり、簡易で小規模のものに限られていた。
【0004】
本発明は上記従来のテントの欠点を解決するとともに、日照や雨雪を防ぐのに充分であり、冬季においては、寒風がテント内に侵入し難く、充分な暖を採れ、また、強風に対する倒壊を予防して強度が向上して構造堅牢になり、また、テント内の収容人数は比較的多数人であり、しかも、大容量に物品を収容でき、さらには、構造が簡単で部品数が少なく、組立操作および分解操作が容易かつ迅速に行えるとともに、運搬および保管が容易になる懸吊索式屋根形天幕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の発明は、間隔をあけて地面に立設した2本の支柱により天幕本体の屋根部の頂上部での棟を支持するとともに、前記天幕本体を引綱を介して張設する屋根形天幕において、
前記天幕本体は、切妻屋根形、または寄せ棟屋根形に形成される前記屋根部と、および該屋根部の下方の周囲を囲む側壁部とにより形成され、
前記支柱は、前記棟の外端部を間隔をあけて支持する長さが長い2本の棟支柱であり、前記側壁部の四隅、並びに略等間隔毎に立設される短い長さの側壁支柱により前記屋根部は支持されるとともに前記側壁部は張設され、
前記棟支柱の上部と前記棟の間には懸吊索が張設され、
前記引綱は、前記棟支柱にて支持された前記屋根部の頂上における棟の外端部に一端が取付けられて他端はねじ杭が地面に螺入されることにより前記屋根部の前記棟に外方向に張力を与える複数本の棟張綱と、前記屋根部の傾斜最低部と前記側壁部の上端部とが交わる軒先部に少なくとも一端が取付けられ、他端は杭が地面に打ち込まれることにより長手方向に所望間隔に対設され、左右の前記側壁支柱、および側壁部に外方向に張力を与える軒引綱とで構成されることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記棟支柱が、上部支柱部と、該上部支柱部の下端に接続可能に、かつ分離可能に接続手段を介して接続される下部支柱部とから構成されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記棟支柱が、屋根部の棟の外端部に設けた金環内に突出されるピン体を上端に設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1−3の何れかにおいて、前記接続手段が、前記上部支柱部の下端内に先細りに設けられた雌状孔と、該雌状孔内に挿脱可能に挿入され前記下部支柱部の上端に先細りに設けられた雄状挿入部と、前記雌状孔内に挿入される前記雄状挿入部に外部から先端部が当接する止ねじと、からなる。
【0009】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1−4の何れかにおいて、前記懸吊索が、2本の前記棟支柱の上部間に張設される横索と、該横索と前記棟との間に懸吊される複数本の縦索とで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、間隔をあけて地面に立設した2本の支柱により天幕本体の屋根部の頂上部での棟を支持するとともに、前記天幕本体を引綱を介して張設する屋根形天幕において、前記天幕本体は、切妻屋根形、または寄せ棟屋根形に形成される前記屋根部と、および該屋根部の下方の周囲を囲む側壁部とにより形成され、前記支柱は、前記棟の外端部を間隔Lをあけて支持する長さが長い2本の棟支柱であり、前記側壁部の四隅、並びに略等間隔毎に立設される短い長さの側壁支柱により前記屋根部は支持されるとともに前記側壁部は張設され、前記棟支柱の上部と前記棟の間には懸吊索が張設され、前記引綱は、前記支柱にて支持された前記屋根部の頂上における棟の外端部に一端が取付けられて他端は杭が地面に打ち込まれることにより前記屋根部の前記棟に外方向に張力を与える複数本の棟張綱と、前記屋根部の傾斜最低部と前記側壁部の上端部とが交わる軒先部に少なくとも一端が取付けられ、他端は杭が地面に打ち込まれることにより長手方向に所望間隔に対設され、左右の前記側壁支柱、および側壁部に外方向に張力を与える軒引綱とで構成されることを特徴とするので、日照や雨雪を防ぐのに充分であり、冬季においては、寒風がテント内に侵入し難く、充分な暖を採れ、また、強風に対する倒壊を予防して強度が向上して構造堅牢になり、また、テント内の収容人数は比較的多数人を収容できたり、大容量の物品を収容・保管でき、さらには、構造が簡単で部品数が少なく、組立操作および分解操作が容易かつ迅速に行えるとともに、運搬および保管が容易になる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記棟支柱が、上部支柱部と、該上部支柱部の下端に接続可能に、かつ分離可能に接続手段を介して接続される下部支柱部とから構成されることを特徴とするので、使用時での支柱の組立、および不使用時での分解が容易であり、運搬、保管も容易になる。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2において、前記棟支柱が、屋根部の棟の外端部に設けた金環内に突出されるピン体を上端に設けたことを特徴とするので、使用時での天幕本体に対する支柱の組立、および不使用時での分解が容易になる。
【0013】
また、本発明の請求項4によれば、請求項1−3の何れかにおいて、前記接続手段が、前記上部支柱部の下端内に先細りに設けられた雌状孔と、該雌状孔内に挿脱可能に挿入され前記下部支柱部の上端に先細りに設けられた雄状挿入部と、前記雌状孔内に挿入される前記雄状挿入部に外部から先端部が当接する止ねじと、からなるので、使用時での支柱の組立、および不使用時での分解が容易かつ確実になる。
【0014】
また、本発明の請求項5によれば、請求項1−4の何れかにおいて、前記懸吊索が、2本の前記棟支柱の上部間に張設される横索と、該横索と前記棟との間に懸吊される複数本の縦索とで形成されることを特徴とするので、屋根部を張設するには容易な取り扱い作業により迅速に2本の支柱間に張設することができるとともに、懸吊索式屋根形天幕を張設後には、屋根部が暴風による強い風圧を受けても吹き飛ばされることなく、また、雨雪の荷重を受けて屋根部が潰れることなく、構造堅牢に2本の支柱間に懸吊することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面に従い、本発明を実施するための最良の形態につき詳細を説明する。
【0016】
図1は本発明の懸吊索式屋根形天幕の実施形態1を示し、設営した状態の斜視図、図2は本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕を設営するのに使用する棟支柱を示す側面図、図3は同じく本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕を設営するのに使用する棟支柱を構成する上部支柱を示す拡大一部断面図、図4は同じく本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕を設営するのに使用する棟支柱を構成する下部支柱を示す拡大一部断面図、図5は本実施形態1を構成する側壁支柱を示す部分拡大断面図、図6は同じく側壁支柱の拡大平面図、図7は本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕を設営するのに際し、天幕、および引綱を展開した状態の平面図、図8は同じく棟引綱をねじ杭に引掛けた状態の平面図、図9は同じく屋根部の下面に棟支柱を差し入れる状態の斜視図である。
【0017】
本実施形態1は、間隔Lをあけて地面2に立設した2本の支柱3,3により天幕本体1の屋根部4の頂上部での棟4aを支持するとともに、前記天幕本体1を引綱5を介して張設する屋根形天幕において、前記天幕本体1は、切妻屋根形に形成される前記屋根部4と、および該屋根部4の下方の周囲を囲む側壁部6A,6B;6C,6Dとにより形成され、前記支柱3,3は、前記棟4aの外端部を間隔Lをあけて支持する長さが長い2本の棟支柱7,7であり、前記側壁部6A,6B;6C,6Dの四隅、並びに略等間隔L1毎に立設される短い長さの側壁支柱8により前記屋根部4は支持されるとともに前記側壁部6A,6B;6C,6Dは張設され、前記棟支柱7,7の上部と前記棟4aの間には懸吊索9が張設され、前記引綱5は、前記支柱3,3にて支持された前記屋根部4の頂上における棟4aの外端部に一端5Aが取付けられて他端5Aはねじ杭10が地面2に螺入されることにより前記屋根部4の前記棟4aに外方向に張力を与える複数本の棟張綱5Aと、前記屋根部4の傾斜最低部4b,4bと前記側壁部6A,6B;6C,6Dの上端部とが交わる軒先部N,Nに少なくとも一端5Bが取付けられ、他端5B2は杭10′が地面2に打ち込まれることにより長手方向Iに所望間隔に対設され、左右の前記側壁支柱8,8、および側壁部6A,6B;6C,6Dに外方向に張力を与える軒引綱5Bとで構成されることを特徴とする。
【0018】
前記棟支柱7が、上部棟支柱部7Aと、該上部棟支柱部7Aの下端に接続可能に、かつ分離可能に接続手段11を介して接続される下部棟支柱部7Bとから構成される。このように、棟支柱7を上部棟支柱部7Aと、下部棟支柱部7Bとから構成したのは、使用時での長い長さの支柱3の組立、および不使用時での分解が容易であり、運搬、保管も容易にするためである。
【0019】
懸吊索式屋根形天幕の左右に配置される前記側壁部6A,6Bは、設営時には長手方向Iに対向され、正面略矩形に形成される。また、懸吊索式屋根形天幕の前後に配置される前記側壁部6C,6Dは、正面五角形に形成され、左右両端を前記側壁部6A,6Bに連設されている。このうち、前記側壁部6A,6Bの何れか一方には縦方向にスリットSを入れる等することによって入口部Dが形成される。なお、スリットSの設置個数、および設置個数は、図には示さないが、前記側壁部6A,6Bの何れかに限定するものではなく、側壁部6C,6Dの何れか一方または双方に設けるものであってもよい。
【0020】
前記懸吊索9が、2本の前記棟支柱7,7の上部間に張設される横索9Aと、該横索9Aと前記棟4aとの間に懸吊される複数本の縦索9Bとで形成される。9′は2本の前記棟支柱7,7の上部間に張設される緊定索である。
【0021】
12は前記棟支柱7の上端部、すなわち、上部棟支柱部7Aの上端部に設けられたピン体であり、このピン体12は屋根部4の棟4aの外端部に設けた金環13,13内に突出されることにより、使用時での天幕本体1に対する棟支柱7の組立、および不使用時での分解が容易になる。
【0022】
前記接続手段11が、前記上部棟支柱部7Aの下端内に内周斜面部14aを有する先細りに設けられた雌状孔14と、該雌状孔14内に挿脱可能に挿入され前記下部棟支柱部7Bの上端に外周斜面部15aを有する先細りに設けられた雄状挿入部15と、前記雌状孔14内に挿脱可能に挿入される前記雄状挿入部15に外部から先端部16aが当接される止めねじ16と、からなるので、使用時での支柱3の組立、および不使用時での支柱3の分解が容易かつ確実になる。
【0023】
本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕は以上の構成からなり、野外での設営を行うのには、先ず、野外の設営個所に天幕本体1を組立し易いように屋根部4を四方に展開しておくとともに、棟張綱5A,5A;5A,5Aを屋根部4の対角線方向に伸長しておく(図7参照)。
【0024】
次いで、天幕本体1の棟4aの延長線J上において、この延長線Jから図において上下に交差する線Q上に数m、例えば標準体格の大人の歩幅で5歩の距離と前記棟張綱5A,5A;5A,5Aとが交差する位置に4本のねじ杭10の先端部を螺入する。この際、ねじ杭10を地面2に螺入するのには、ねじ杭10の上端に設ける図示しない取付部にハンドル杆を横方向に挿入した上で2人でねじ杭10を中心にハンドル杆にて水平方向に回動させることにより、ねじ杭10を地面2に所望深さ迅速かつ確実に螺入することができる。
【0025】
このねじ杭10,10;10,10には、前記屋根部4の頂上における棟4aの前後の外端部に一端5Aが取付けられた複数本、例えば屋根部4に対して前後2本づつの棟張綱5A,5A;5A,5Aを伸ばし、該棟張綱5A,5A;5A,5Aの他端5Aを前記ねじ杭10,10;10,10に掛けておく(図8参照)。
【0026】
それから、上部棟支柱部7Aの下端内に設けた雌状孔14内に挿脱可能に挿入され下部支柱部7Bの上端に設けた先細りの雄状挿入部15を挿入し、外部から止めねじ16の先端部16aを雄状挿入部15に当接することにより、上部支柱部7Aと、下部支柱部7Bとが接続された2本の棟支柱7を用意しておく。
【0027】
その後、天幕本体1の前後の下方部から2本の棟支柱7,7の先端部を差し込み、棟支柱7の上端部に設けられたピン体12を屋根部4の棟4aの外端部に設けた金環13,13内に突出することにより、天幕本体1を持ち上げるようにして2本の棟支柱7,7を支台O上に間隔Lを開けて略垂直に立設して建て込む(図9参照)。
【0028】
また、周囲の側壁部6A,6B;6C,6Dの四隅、並びに略等間隔L1毎に、本実施形態1では2本、片側4本づつ、全体で合計8本の短い長さの側壁支柱8をピン体12を金環13内に突出することにより建て込み、この側壁支柱8にて屋根部4の軒先部N,Nを下面から支持する。そして、側壁部6A,6Bに沿って片側7本、両側で合計14本の杭10′を打撃具にて打ち込み、一端5Bが前記軒先部N,Nに取付けられ、他端5Bが杭10′に掛けられている軒引綱5Bを緊張させることにより側壁部6A,6B;6C,6Dを張設する。なお、軒引綱5Bの張力を加減するのに、図には示さないが、ターンバックルを用いることにより張力を調整するようにしてもよい。
【0029】
このようにして造設された本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕は、2本の棟支柱7,7間において屋根部4の頂上部における棟4aに張りをもたせるための合計4本の棟張綱5A,5A;5A,5Aは、棟4aの外端部を頂点とし、棟4aの延長線J上において、この延長線Jから図において上下に交差する線Q上に数m、例えば標準体格の大人の歩幅で5歩の距離と交差する位置に螺入した4本のねじ杭10に一端5Aが取付けられていることにより対角線方向へ四方へと緊張されるので、均等に4本の棟張綱5A,5A;5A,5Aに張力が働くように緊張すれば、切妻屋根形の屋根部4は、強風や暴風雨に対してめくれ上がって吹き飛ばされたり、倒壊することがなく、充分な強度の構造堅牢な屋根部4を設営することができる。
【0030】
しかも、本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕では、2本の棟支柱7,7の上部と前記棟4aの間には緊定綱9′と一緒に、横索9Aと、該横索9Aと前記棟4aとの間に懸吊される複数本の縦索9Bとよりなる懸吊索9が張設されているので、屋根部4を張設するのに容易な取り扱い作業により迅速に2本の棟支柱7,7間に張設することができるとともに、屋根形天幕を張設後には、屋根部4が暴風による強い風圧を受けても吹き飛ばされることなく、また、雨雪の荷重を受けて屋根部4が潰れることなく、構造堅牢に2本の棟支柱7,7間に切妻屋根形の屋根部4を懸吊することができる。
【0031】
しかも、軒引綱5Bの他端側を平均に緊張させ、これらの軒引綱5Bの他端5Bを地面2に打ち込まれた片側7本づつ、合計14本の杭10′に強固に固定すれば切妻屋根形の屋根部4を天幕本体1の長手方向Iに略交差する外方向へ全体的に張力を与えて弛みを生ずるのを防止できるとともに、左右の前記側壁部6A,6Bに外方向に張力を与えることができる。このようにして、切妻屋根形に形成される屋根部4と、および該屋根部4の下方の周囲を囲む側壁部6A,6B;6C,6Dとにより形成される天幕の設営を簡単な取り扱い作業により構造堅牢に営むことができる。
【0032】
このように、組上がった本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕は、切妻屋根形に形成される屋根部4と、および該屋根部4の下方の周囲を囲む側壁部6A,6B;6C,6Dとにより形成され、不必要な隙間を生じないので、日照や雨雪を充分に防ぐことができる。また、冬季においては、寒風がテント内に侵入し難く、充分な暖を採るのに適している。また、天幕内の収容人数は比較的多数人を収容できるとともに大容量に物品を収容したり、保管ができる。
【0033】
また、本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕は、前述のように、切妻屋根形に形成される屋根部4は、棟4aの外端部を2本の棟支柱7,7にて支持され、しかも、屋根部4の頂上における棟4aの外端部に一端5Aが取付けられて他端5Aはねじ杭10が地面2に打ち込まれることにより前記屋根部4の棟4aに複数本、前後2本づつ、合計4本の棟張綱5A,5A;5A,5Aにより外方向に張力を与えるのと、前記屋根部4の傾斜最低部4bと前記側壁部6A,6Bの上端部とが交わる軒先部N,Nに一端5Bが取付けられ、他端5Bは複数本、片側7本づつ、合計14本の杭10′が地面2に打ち込まれることにより長手方向Iに対設された軒引綱5Bとで、左右の前記側壁部6A,6Bに長手方向Iに交差する外方向に張力を与えるので、如何なる方向からの強風に対しても倒壊を予防して強度が向上され、構造堅牢な仕上がりになる。
【0034】
また、設営された懸吊索式屋根形天幕の組立を解いて分解するのには、前述の懸吊索式屋根形天幕の組立操作と逆の手順、操作により分解を行えばよい。すなわち、杭10′に対する複数本の軒引綱5Bの固定を解いて張力を緩めるとともに、ねじ杭10に対して複数本、例えば前後2本づつ合計4本の棟張綱5A,5A;5A,5Aの固定を解いて張力を緩め、前後2本の棟支柱7,7を天幕本体1の棟4aにおける前後の外端部から撤去して屋根部4に対する支持を解く。その後、天幕本体lを折り畳み、2本の棟支柱7,7を、上部棟支柱部7Aと、下部棟支柱部7Bとに接続手段11の止めねじ16を緩めることにより分離する。こうして、天幕の分離操作を簡単な取り扱い操作により終える。
【0035】
前述のように、接続した使用時における2本の棟支柱7,7を、上部棟支柱部7Aと、下部棟支柱部7Bとを接続手段11を介して分離して短くすることができるので、運搬をしたり、倉庫に保管するのに便利になる。
【0036】
上記実施形態1では、懸吊索式屋根形天幕の屋根部4を切妻屋根形状に形成した場合を図示しているが、屋根形状は図には示すものに特定するものに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない限り例えば寄せ棟屋根形状の場合にも本発明は適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、日照や雨雪を防ぐのに充分であり、冬季においては、寒風がテント内に侵入し難く、充分な暖を採れ、また、強風に対する倒壊を予防して強度が向上して構造堅牢になり、また、テント内の収容人数は比較的多数人を収容でき、しかも、大容量の物品を収容でき、さらには、構造が簡単で部品数が少なく、組立操作および分解操作が容易かつ迅速に行えるとともに、運搬および保管が容易になるという用途・機能に適する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は本発明の懸吊索式屋根形天幕の実施形態1を示し、設営した状態の斜視図である。
【図2】図2は本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕を設営するのに使用する棟支柱を示す側面図である。
【図3】図3は同じく本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕を設営するのに使用する棟支柱を構成する上部支柱を示す拡大一部断面図である。
【図4】図4は同じく本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕を設営するのに使用する棟支柱を構成する下部支柱を示す拡大一部断面図である。
【図5】図5は本実施形態1を構成する側壁支柱を示す部分拡大断面図である。
【図6】図6は同じく側壁支柱の拡大平面図である。
【図7】図7は本実施形態1の懸吊索式屋根形天幕を設営するのに際し、天幕、および引綱を展開した状態の平面図である。
【図8】図8は同じく棟引綱をねじ杭に引掛けた状態の平面図である。
【図9】図9は同じく屋根部の下面に棟支柱を差し入れる状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 天幕本体
2 地面
3 支柱
4 屋根部
4a 棟
5 引綱
5A 棟引綱
5B 軒引綱
6A 側壁部
6B 側壁部
6C 側壁部
6D 側壁部
8 側壁支柱
9 懸吊索
10 ねじ杭
10′ 杭
11 接続手段
16 止めねじ
I 長手方向
N 軒先部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて地面に立設した2本の支柱により天幕本体の屋根部の頂上部での棟を支持するとともに、前記天幕本体を引綱を介して張設する屋根形天幕において、
前記天幕本体は、切妻屋根形、または寄せ棟屋根形に形成される前記屋根部と、および該屋根部の下方の周囲を囲む側壁部とにより形成され、
前記支柱は、前記棟の外端部を間隔をあけて支持する長さが長い2本の棟支柱であり、前記側壁部の四隅、並びに略等間隔毎に立設される短い長さの側壁支柱により前記屋根部は支持されるとともに前記側壁部は張設され、
前記棟支柱の上部と前記棟の間には懸吊索が張設され、
前記引綱は、前記棟支柱にて支持された前記屋根部の頂上における棟の外端部に一端が取付けられて他端はねじ杭が地面に螺入されることにより前記屋根部の前記棟に外方向に張力を与える複数本の棟張綱と、前記屋根部の傾斜最低部と前記側壁部の上端部とが交わる軒先部に少なくとも一端が取付けられ、他端は杭が地面に打ち込まれることにより長手方向に所望間隔に対設され、左右の前記側壁支柱、および側壁部に外方向に張力を与える軒引綱とで構成されることを特徴とする懸吊索式屋根形天幕。
【請求項2】
前記棟支柱が、上部支柱部と、該上部支柱部の下端に接続可能に、かつ分離可能に接続手段を介して接続される下部支柱部とから構成されることを特徴とする請求項1記載の懸吊索式屋根形天幕。
【請求項3】
前記棟支柱が、屋根部の棟の外端部に設けた金環内に突出されるピン体を上端に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の懸吊索式屋根形天幕。
【請求項4】
前記接続手段が、前記上部支柱部の下端内に先細りに設けられた雌状孔と、該雌状孔内に挿脱可能に挿入され前記下部支柱部の上端に先細りに設けられた雄状挿入部と、前記雌状孔内に挿入される前記雄状挿入部に外部から先端部が当接する止ねじと、からなる請求項1−3の何れかに記載の懸吊索式屋根形天幕。
【請求項5】
前記懸吊索が、2本の前記棟支柱の上部間に張設される横索と、該横索と前記棟との間に懸吊される複数本の縦索とで形成されることを特徴とする請求項1−4の何れかに記載の懸吊索式屋根形天幕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−101375(P2008−101375A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283920(P2006−283920)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(000215822)帝国繊維株式会社 (24)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】