説明

成型ポリウレタン発泡材及び成型ポリウレタン発泡材の調製方法

【課題】 十分な多孔性、通気性を有する成型ポリウレタン発泡材及び成型ポリウレタン発泡材の調製方法を提供する。
【解決手段】 ポリウレタン発泡材を調製し、実質的にポリウレタン発泡材から細胞膜を除去するため、ポリウレタン発泡材を網状化する。網状化ポリウレタン発泡材を予熱した成型部に配置する。成型部によって形成された溝に圧縮ポリウレタン発泡材を形成するため、成型部を閉じるための圧力を実施する。圧縮ポリウレタン発泡材を成型部の溝により定められる形状に変形する。成型部を開き、変形ポリウレタン発泡材を成型部から除去し、成型ポリウレタン発泡材の調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン発泡材の新規の調製方法に関し、特に、ブラジャーやその他の衣類に使用される胸パッド、カップ、前部及びその他同種類の物のための成型ポリウレタン発泡材の調製方法及び本発明による方法で調製された胸パッド、カップ、前部及びその他同類の物に関する。本発明は、特に、脂肪族イソシアネートとポリオールの重合により生成された柔らかいポリウレタン発泡材から成型されたシームレスのブラジャーカップの形成方法に有用である。
【背景技術】
【0002】
成型した胸パッド、カップ、前部、その他同種類の物を含むブラジャーや他の衣類の製造方法において、元来の形を常に維持するとき、様々な位置や着用者の動作に適応可能な弾力のある材質が必要である。さらに、形状及び弾力は洗濯及び機械洗濯による影響を受けるべきではない。さらに、ブラジャーパッドは、着用者の快適性を向上するため、多孔性及び通気性が必要である。
【0003】
異なる厚さのファイバーフィル材から形成されたブラジャーパッドが長い間使用されている。従来の工程は、頂部が薄くなり、その結果、洗濯や機械洗濯の後の形状安定性が低くなる。この薄くなる問題を解決するため、頂部を縫製することが一般的な解決方法である。しかしながら、縫製、現在のファッションのシームレスのブラジャーカップの要求を満たさない。
【0004】
ブラジャーパッド形成の改善は、1977年5月24日にサワモト コシに出された特許において記述されている(特許文献1参照)。この発明は、熱可塑性樹脂が混在する弾力性のある繊維状材料を型で成型することと、型を樹脂が軟化する温度まで加熱することとを含む。しかしながら、この工程は、繊維状材料中の熱可塑性樹脂の均一分布が必要であり、このため、この工程を使用する柔軟性と弾力性を有するブラジャーカップの生産は困難である。この発明の別の欠点は、正確な樹脂の含有量が必要であることである。さらに、樹脂により弾力性が少ない堅いブラジャーカップになる。不十分な量の樹脂結合によるブラジャーカップは、洗濯の影響を受ける傾向があり、形状安定性に欠けることになる。
【0005】
ブラジャーカップの他の製造方法は、1981年2月10日に公布のウォルター Riedlerに発表された特許によるポリウレタン発泡材の熱形成を含む(特許文献2参照)。ポリウレタンスラブストック発泡材ブロックから剥がされたポリウレタン発泡材のシートは、成型部分の加熱された雌成型部と加熱された雄成型部との間に配置される。それから、油圧が成型部で発泡材シートを押圧するために実施される。この発明の記述によると、成型部は華氏350度から450度に加熱される。ポリウレタン発泡材に実施される圧力は成型部の1平方インチあたり約60ポンドで、ポリウレタン発泡材に実施される熱は約華氏400度であり、熱と圧力は約60秒間同時に与えられる。実際の工程サイクルの時間は、ポリウレタン発泡材シートの厚さに依存している。ポリウレタン発泡材の中央部で十分な細胞支柱の変形を可能にするため、ポリウレタン発泡材の低い温度伝導性により、厚い発泡材シートは、普通、かなり長い工程サイクル時間を必要とする。そのような熱処理は、ポリウレタンの化学結合の分離を引き起こし、結果、物理的性質の欠如及びポリウレタン発泡材の使用期間中の黄色化が加速する。
【0006】
芳香族ポリウレタン発泡材を使用する結果の重要な欠点は、変色性質である。芳香族ポリウレタン発泡材は、光、特に、紫外線にさらされると、黄みがかるようになることがよく知られている。キヨタケは、この問題を解決するため、脂肪族イソシアネートを使用してポリウレタン発泡材を形成する方法を発明した(特許文献3参照)。この発明は、1.4倍から2.6倍の水酸基当量の脂肪族イソシアネートにポリオールを添加することによって得られたイソシアネート終結プレポリマーを触媒存在下で0.4倍から5倍の水と反応させることを含む。黄色くならない脂肪族ポリウレタン発泡材はこの方法により生成される。しかしながら、脂肪族ポリウレタン発泡材は、脂肪族イソシアネート機能グループの遅い反応性により発泡が少ないため、構造のほとんど全ての部分にクローズセルを有する。ポリウレタン発泡材中のクローズセル構造は、より遅い熱散逸及び工程の困難さのため、より高温の形成温度とより長い工程時間が必要である。生成したブラジャーパッドは残存細胞膜により限られた通気性しか有していない。
【0007】
熱形成ポリウレタンブラジャーパッドの別の問題は、熱変形後に多孔性が減少する結果による限られた通気性である。チェンは、2001年10月23日に公布された特許で、通気性を向上するために上下表面に導通する多くの空気孔を有するポリウレタンブラジャーパッドの形成方法を記述している(特許文献4参照)。しかしながら、それらの空気孔は完成したブラジャーカップの平滑性に悪い影響を与える。結果として、そのようなパッド構造は限られた市場のみでしか受け入れられない。
【0008】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許No.4,025,597
【特許文献2】アメリカ合衆国特許No.4,250,137
【特許文献3】ヨーロッパ特許出願刊行No.0,473,107
【特許文献4】アメリカ合衆国特許No.6,306,006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術の前記問題は本発明により解決され、十分な多孔性及び通気性を有する成型ブラジャーカップが形成される。紫外線に対する優れた色堅牢度を有する脂肪族ポリウレタン発泡材から形成されたブラジャーカップも得られる。
【0010】
本発明は、ブラジャーカップの平滑性を維持し、向上した通気性を有するブラジャーパッドを形成する経済的な解決方法を提供する。
本発明の目的は、ブラジャーや他の衣類に使用されるシームレスの胸パッド、カップ、前部及びその他同類の物に適したポリウレタン発泡材の新規の調製方法を提供する。
【0011】
本発明の他の目的は、発泡材中の熱散逸を向上し、成型温度及び熱形成工程の工程時間を減少する新規方法を提供する。本発明の方法は、超高温下のポリマーの分解を防止し、労働者を熱分解の結果による有害なシアン化水素ガスにさらされることから保護することに役立つ。
【0012】
さらに、本発明の目的は、より短い生成サイクル時間でブラジャーカップを成型する方法を提供する。生成サイクル時間が減少すると、ブラジャーカップの成型ラインの生産能力が顕著に増加する。
【0013】
さらに、本発明の目的は、熱感受性繊維または脂肪族イソシアネートから形成されたポリウレタン発泡材を含むブラジャーカップの成型工程を提供する。ブラジャーカップは、使用期間中で元来の色を維持する必要がある。芳香族イソシアネートから形成されたいかなるポリウレタン発泡材も色を出現し、徐々に黄色から濃い茶色に変色する。従来の技術でこの問題を解決する一般的な方法は、ポリウレタン発泡材調合物に紫外線安定剤を添加することである。紫外線安定剤は短い期間で黄色化を減速するのみで、発泡材はなおも使用期間中に濃く変色する。脂肪族イソシアネートから形成されたポリウレタン発泡材は、ブラジャーカップの材質に適している。脂肪族イソシアネートから形成されたウレタンは、化学結合強度の安定性が芳香族ウレタンポリマーより小さく、化学結合がより低い温度で分離する傾向がある。したがって、従来の熱形成工程は、脂肪族イソシアネートから形成された成型ポリウレタン発泡材の成型に使用できない。したがって、本発明の改善によって、脂肪族イソシアネートから形成されたポリウレタン発泡材の成型方法は向上している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
好ましい実施例を示し、記述するが、本発明の精神と範囲を逸脱しない様々な修飾や代替も行われることが理解される。したがって、本発明は、限定ではなく、実施例によって示される。脂肪族ポリウレタン発泡材は本実施例を示す例として使用され、しかしながら、芳香族ポリウレタン発泡材もまた本発明で使用される。
【0015】
本発明は、ブラジャーや他の衣類に使用されるシームレスの胸パッド、カップ、前部及びその他同類の物に適したポリウレタン発泡材の新規の調製方法に関する。本発明は、特に、脂肪族イソシアネートとポリオールの重合により生成された柔らかいポリウレタン発泡材から成型されたシームレスのブラジャーカップの形成に有用である。脂肪族ポリウレタン発泡材は全ての細胞膜を除去するために網状になり、仕上がりのブラジャーの壁より厚いシートに切断される。シームレスの成型ブラジャーカップは、外部または頂部に周辺部より厚い壁を有する。切断された脂肪族ポリウレタン発泡材シートは、成型部の雌型部と雄型部との間で押圧される。成型部は閉じられ、油圧によって押される。脂肪族ポリウレタン発泡材は型の溝の正確な形に成型される。成型脂肪族ポリウレタン発泡材はブラジャーや他の衣類のシームレスの胸パッド、カップ、前部及びその他同類の物に使用される。成型脂肪族ポリウレタンブラジャーパッドは、前記芳香族ポリウレタンブラジャーパッドに対して優れた黄色しない特性を有し、向上した通気性及び多孔性により向上した温度散逸を有する。
【0016】
一般的に、ポリウレタン発泡材は、(1)ポリオール、(2)水、(3)クロスリンクしている物質または鎖が延長している物質、(4)シリコンベースの発泡安定剤、(5)アミンと有機金属の触媒、(6)複数機能的集団を有するイソシアネート、(7)補助発泡剤、充填物及び炎抑制剤などの様々な他の添加物からなる調合物を使用して生成される。前記混合物に適用できる物質の例は、その技術の熟練者によく知られている。したがって、詳細な説明は省略する。
【0017】
市販のポリウレタン発泡材の調製において、工程でゲル化と発泡の二つの性質の交換が重要であると考えられる。ゲル化は、ウレタンポリマー生成においてイソシアネート、ポリオール及びクロスリンクしている物質中の反応を示す。発泡は、イソシアネートと水の反応を示し、それによって二酸化炭素が生成される。発泡反応がとても速く進行する場合、または、ゲル化反応がとても遅い場合、結果として発泡材は崩壊する。他方、発泡反応がとても遅く進行する場合、または、ゲル化反応がとても速い場合、発泡材はほとんど全ての細胞が反応外部熱によって加熱された熱い空気で満たされているカプセルに入った細胞構造を有する。したがって、生成された発泡材は、冷却すると、硬化の後、縮小する。
【0018】
良質で適した多孔性を有する市販の弾力的なポリウレタン発泡材を生成するため、生成工程中のゲル化と発泡反応のバランスが反応混合物中のアミンと有機金属触媒の含有量を調節することによってコントロールされる。弾力的なポリウレタン発泡材の多孔性または開放性は、気流によって説明される。気流は、1.0インチの厚さの発泡材標本を通る空気の体積であり、標準圧力差が発泡材標本の両面に実施され、1分あたりの立方フィートを表すcfmの単位で記録される。詳細なテスト方法は、ASTM D3574に示され、本発明で参照にされている。
【0019】
市販の弾力的なポリウレタン発泡材は、普通、0.5cfmから4.0cfmの気流値を有する。低い気流値を有する発泡材は、縮小の危険があり、結果として物質は廃棄される。他方、より大きい気流値を有する発泡材は、全体的に崩壊しない場合、ひどい内部分裂を有する。両者は結果として生産の問題及び物質の廃棄になる。
【0020】
発泡材の細胞サイズは、1インチあたりの孔を表すppiの単位で示される。市販の弾力的なポリウレタン発泡材は、一般に、20ppiから100ppiの細胞サイズを有し、最先端の発泡装置は3ppiから140ppiの細胞サイズのポリウレタン発泡材を生成する。
【0021】
本発明において、通気性が向上した熱形成ポリウレタン発泡材ブラジャーパッドを形成するため、異なる細胞サイズ及び多孔性の発泡材が検討される。意外にもブラジャーパッドの熱形成に先だつポリウレタン発泡材の網状化が通気性を顕著に向上することがわかる。同様の傾向が発泡材の細胞サイズに関わらずみられるが、より大きな細胞サイズの発泡材はそれ故により小さいppi値であり、改善がより重要である。
【0022】
本発明は、脂肪族イソシアネートからブラジャーパッドを形成する理想的な方法を提供する。脂肪族イソシアネートから形成された脂肪族ポリウレタン発泡材は、脂肪族イソシアネートのより低い反応性のため、普通、かなり緊密な構造を有する。脂肪族ポリウレタン発泡材は、篩収縮を防止するため、普通、発泡工程の後に破壊される必要がある。発泡材スラブが十分な強さを有する場合のみ破壊は実行されるため、それはとても面倒な工程である。破壊は発泡の直後と発泡材スラブが硬化下にあって破壊工程において破壊される弱い細胞構造及び破壊を困難にする粘着性の外板を有するときには実行されない。市販の破壊された発泡材は、普通、0.5cfmより大きい気流値を有する。この値は低く考えられるが、発泡材の縮小を防止するには十分である。
【0023】
ポリウレタン発泡材の熱形成の後、脂肪族でも芳香族でもポリウレタン発泡材の残留細胞膜により発泡の多孔性が顕著に減少することがわかる。細胞膜残留物は平滑であり、熱形成ポリウレタン発泡材中で多くの小さな空気通路を含み、熱形成後に発泡材の通気性が顕著に低下することは容易に理解できる。
【0024】
そのように調製されたポリウレタン発泡材はそれから網状化工程が行われる。意外にも、本発明で使用される熱変形に先立つ網状化工程は熱変形工程中で発泡材中の熱散逸を向上することがわかる。結果として、発泡材は低い成型温度や短い成型時間で成型または熱変形される。これは、本発明の重要な特性であり、サイクル時間を短縮し、生産性を向上することに役立つ。
【0025】
網状化発泡材を生成するいくつかの方法が使用される。一例は、1973年1月2日にジョン J.Winchcombeらにアメリカ合衆国特許No.3,708,362で発表されたポリウレタン発泡材のような海綿状物質の網状化方法である。Winchcombeの発明によると、発泡材シートはプラテンの間に配置される。シート中の緊密な細胞の空気は、後に発泡材の網状化を発生するために点火される可燃性ガス状媒体に交換される。
【0026】
ポリウレタン発泡材の網状化は他の方法もある。例えば、発泡材を一定時間強い苛性または酸の水溶液に浸せきすることによるイートアウト細胞膜である。それから、発泡材を数回洗浄水に浸す。強い苛性または酸の溶液は膜及び支柱の一定の外皮を腐食する。そのような工程の欠点は、完成した発泡材から全ての苛性または酸の残留物を除去することが困難であることである。そのような残留物は、網状化の後、数ヶ月で加水分解及び劣化を始める。そのように網状化した発泡材は限られた使用期間しか有していない。
【0027】
成型温度低下の他の重要な利点は、作業環境の改善である。従来の技術では、熱変形工程の間、成型部は華氏350度から450度に加熱される。ポリウレタン発泡材に実施される圧力は、成型部の1平方インチあたり約60ポンドであり、ポリウレタン発泡材に実施される熱は約華氏400度であり、熱と圧力は約60秒間同時に実施される。実際の工程サイクル時間はポリウレタン発泡材シートの厚さに依存している。従来のポリウレタン発泡材の低い熱伝導性及び多孔性により、普通、より厚い発泡材シートはより長い工程サイクル時間が必要であり、そうして、ポリウレタン発泡材の中央部で十分な細胞支柱変形が行われる。従来の工程の重要な問題は、ポリウレタン発泡材中のビウレットとウレアとウレタン結合の分離である。より厚いポリウレタン発泡材の長い熱変形サイクル時間は、普通、特にポリウレタン発泡材シートの表面で深刻な分離問題がある。それらの化学結合は、華氏212度から395度の温度範囲で熱分離を受ける。有害なシアン化水素ガスがそのような化学結合分離から生成される。したがって、本発明の網状化ポリウレタン発泡材は向上した熱散逸により熱変形が向上するため、成型時に必要な温度が低下する。したがって、有害なシアン化水素ガスの排出は減少する。
【0028】
より低い成型温度が脂肪族ポリウレタン発泡材の熱変形においてより重要である。脂肪族イソシアネートから形成されたウレタンは化学結合強度の安定性が芳香族ウレタンポリマーより小さく、より低い温度で分離する傾向がある。このため、従来の熱変形工程は、脂肪族イソシアネートから形成された成型ポリウレタン発泡材に使用することができない。本発明の改善で、脂肪族イソシアネートから形成されたポリウレタン発泡材の新規の成型方法が示される。
【0029】
(発明の概要)
本発明は、ブラジャーや他の衣類に使用されるシームレスの胸パッド、カップ、前部及びその他同類の物に適したポリウレタン発泡材の新規の調整方法に関する。本方法は、特に、脂肪族イソシアネートとポリオールの重合により生成された柔らかいポリウレタン発泡材から成型されたシームレスのブラジャーカップの形成に有用である。脂肪族ポリウレタン発泡材は全ての細胞膜を除去するために網状化され、仕上がりのブラジャーの壁より厚いシートに切断される。成型されたシームレスのブラジャーカップは、外部または頂部に周辺部より厚い壁を有する。切断された脂肪族ポリウレタン発泡材シートは、成型部の雌型部と雄型部との間で押圧される。成型部は、油圧により閉じられて押圧される。それゆえ、脂肪族ポリウレタン発泡材は、型の溝の正確な形に成型される。成型された脂肪族ポリウレタン発泡材は、ブラジャーや他の衣類のシームレスの胸パッド、カップ、前部及びその他同類の物に使用される。成型された脂肪族ポリウレタンブラジャーパッドは、前記芳香族ポリウレタンブラジャーパッドに対して優れた黄色化しない特性を有し、向上した通気性及び多孔性により向上した体温度散逸を有する。
【0030】
本発明の好ましい実施例によると、脂肪族ポリウレタン発泡材は、水と触媒の存在下で、直接脂肪族イソシアネートとポリオールの反応により得られる。硬化後の数日後に、ポリウレタン発泡材の束のより厚い外板が剥がされる。それから、ポリウレタン発泡材の束は、実質的に骨格の網状構造を有するように発泡材中の全ての細胞膜を除去するために網状化される。
【0031】
網状化の後、それから、ポリウレタン発泡材は、仕上がりのブラジャーカップの最も厚い壁の2倍の厚さに切断される。切断されたポリウレタン発泡材シートは、それから加熱された成型部の雌型部と雄型部との間で熱変形される。成型部は、油圧により閉じられて押圧される。ポリウレタン発泡材に実施される圧力は、成型部の1平方インチあたり約60ポンドである。したがって、ポリウレタン発泡材は、成型部の溝の形に成型される。成型されたポリウレタン発泡材は、ブラジャーや他の衣類のシームレスの胸パッド、カップ、前部及びその他同類の物に使用される。成型されたシームレスのブラジャーカップは、外部または頂部に周辺部より厚い壁を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
下記の例は、本発明の開示を完成させる必要はなく、実施例の目的を示すものである。
(実施例1から実施例4)
表1に示すように、発泡材1から発泡材4は、本実施例により生成された発泡材であり、下記のように調製される。厚さが3インチで幅と長さが10インチ×10インチの標本が分離実験で3リットルのオートクレーブリアクターに捲かれて配置された。全ての実験で、オートクレーブの中身は約1トルで5分間吸引され、それから吸引を停止し、オートクレーブに酸素を約250トル注入する。酸素注入後、内部の圧力が650トルになるまで水素が注入される。爆発性のガス状の内容物はそれからオートクレーブの内部に配置されているスパーク装置で点火される。この工程の後、発泡材標本は検査される。全ての細胞膜を完全に焼き尽くすまでこの工程を繰り返す。表1に示すように、実験毎の発泡材標本は発泡材5から発泡材8と示された。得られた発泡材5から発泡材8は、網状化により発生し得る分離生成物を除去するため、精製メチレン塩化物中に浸せきされた。発泡材標本は、摂氏50度のオーブンで20分間乾燥され、それから、続くテストのために冷却された。
【0033】
ポリウレタン発泡材の気流値はASTM D−3574により測定される。Amcor(テキサス、アメリカ合衆国)製の気流メーターがテストで使用される。気流値はcfmの単位で報告される。発泡材密度はASTM D−3574により測定され、kg/m3で報告される。
【0034】
【表1】

【0035】
(実施例5から実施例12)
発泡材1から発泡材8は適した温度に加熱されたアルミニウム板の間に配置され、油圧シリンダーで押圧された。発泡材は、適した厚さに熱変形された(発泡材9から発泡材16)。
【0036】
ビルトイン電気ヒーターを備える成型部は、シェンリンインダストリーズ株式会社(香港)製の油圧プレス装置に設置される。装置は、成型部に約60psiの圧力を与えることができる。型の表面温度は島津(日本)製のKタイプサーモカプラー及びデジタルサーモレコーダーを使用して測定され、記録される。3インチの厚さの発泡材シートは、ビルトイン電気ヒーター板によって摂氏180度に予熱された一組のアルミニウム板によって100秒間で熱形成される。2個の成型部の隙間は1インチである。得られた発泡材の最終の厚さは、発泡材が冷却されて30分後に測定される。成型状態と最終の発泡材の厚さが記録された。
【0037】
【表2】

【0038】
網状化の前処理工程の利点は、実験結果の分析により示される。
【0039】
(実施例13から実施例20)
熱形成された発泡材標本9から発泡材標本16の通気性が下記に示す工程により測定された。発泡材標本は、ビーカーの頂部に配置され、それから、湿気調節されたジャーに密閉された。全体の組立物は、温度調節を確実にするため、摂氏38度のオーブンに保管された。ビーカー組立物の重さは連続24時間で毎時間の終わりに測定された。
【0040】
水蒸気透過率が生成されたポリウレタン発泡材の通気性を示すために測定される。熱形成ポリウレタン発泡材はISO1663によってテストされる。乾燥剤であるカルシウムクロライドがガラスビーカーの底に配置されている。発泡材標本は、発泡材表面の再生可能な部分を摂氏38℃で湿度88.5%に調節された湿気にさらすことを確実にするため、ガラスビーカーの頂部に円形のテンプレートを使用して密閉される。組立物は連続24時間調節された大気にさらされ、変化率がだいたい一定になるまで露出毎に重量測定された。重量増加率が一定になるとき、単位時間に標本の単位部分を透過する水蒸気の透過率が通気性の指標として記録される。
結果は、下記の表3に示す。
【0041】
【表3】

【0042】
表3から明確にわかるように、本発明の網状化処理は熱形成ポリウレタン発泡材の通気性を顕著に向上できる。
本発明は、特に、ブラジャーや他の衣類に使用される胸パッド、カップ、前部及びその他同類の物の形成に有用である。しかしながら、弾性と形状安定性を必要とする他の製品も本発明の方法及び生成物により生成される。本発明の範囲は、請求項によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリウレタン発泡材を調製し、
(b)実質的に前記ポリウレタン発泡材から細胞膜を除去するため、前記ポリウレタン発泡材を網状化し、
(c)前記網状化ポリウレタン発泡材を予熱した成型部に配置し、
(d)前記成型部によって形成された溝に圧縮ポリウレタン発泡材を形成するため、前記成型部を閉じるための圧力を実施し、
(e)前記圧縮ポリウレタン発泡材を前記成型部の前記溝により定められる形状に変形し、
(f)前記成型部を開き、前記変形ポリウレタン発泡材を前記成型部から除去する工程を含むことを特徴とする成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項2】
前記ポリウレタン発泡材は、発泡剤及び触媒存在下の脂肪族イソシアネートとポリオールの反応生成物からなることを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項3】
前記ポリウレタン発泡材は、発泡剤及び触媒存在下の芳香族イソシアネートとポリオールの反応生成物からなることを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項4】
前記脂肪族イソシアネートは、1,6−ヘキサンジイソシアネートであることを特徴とする請求項2記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項5】
前記脂肪族イソシアネートは、イソホロンジイソシアネートであることを特徴とする請求項2記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項6】
前記ポリウレタン発泡材は、完成した変形ポリウレタン発泡材の厚い壁より厚いことを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項7】
前記ポリウレタン発泡材は、完成した変形ポリウレタン発泡材の厚い壁の約2倍の厚さであることを特徴とする請求項6記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項8】
前記ポリウレタン発泡材は、ポリウレタン発泡材ブロックから切断されて得られたポリウレタン発泡材シートであることを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項9】
前記ポリウレタン発泡材は、前記網状化の後、実質的にポリウレタン基質中に網状構造を有することを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項10】
さらに、前記ポリウレタン発泡材を前記成型部に配置する前に、前記ポリウレタン発泡材に繊維状のラミネートを実施する工程からなることを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項11】
前記成型部を閉じて前記ポリウレタン発泡材を押圧するための圧力は、油圧押圧機構によって実施されることを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項12】
前記成型部を閉じて前記ポリウレタン発泡材を押圧するための圧力は、成型部の1平方インチあたり約30ポンドから90ポンドであることを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項13】
前記押圧ポリウレタン発泡材の熱形成は、約45秒から100秒間継続することを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項14】
前記成型部は、約摂氏150度から210度に予熱されることを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項15】
前記変形ポリウレタン発泡材は、3ppiから120ppiの細胞サイズを有することを特徴とする請求項1記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項16】
前記変形ポリウレタン発泡材は、5ppiから70ppiの細胞サイズを有することを特徴とする請求項15記載の成型ポリウレタン発泡材の調製方法。
【請求項17】
(a)ポリウレタン発泡材を調製し、
(b)実質的に前記ポリウレタン発泡材中の細胞膜を除去するため、前記ポリウレタン発泡材を網状化し、
(c)前記網状化ポリウレタン発泡材を予熱した成型部に配置し、
(d)前記成型部によって形成された溝に圧縮ポリウレタン発泡材を形成するため、前記成型部を閉じるための圧力を実施し、
(e)前記圧縮ポリウレタン発泡材を前記成型部の前記溝により定められる形状に変形し、
(f)前記成型部を開き、前記変形ポリウレタン発泡材を前記成型部から除去する工程により調製されることを特徴とする成型ポリウレタン発泡材。
【請求項18】
前記ポリウレタン発泡材は、発泡剤及び触媒存在下の脂肪族イソシアネートとポリオールの反応生成物からなることを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項19】
前記ポリウレタン発泡材は、発泡剤及び触媒存在下の芳香族イソシアネートとポリオールの反応生成物からなることを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項20】
前記脂肪族イソシアネートは、1,6−ヘキサンジイソシアネートであることを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項21】
前記脂肪族イソシアネートは、イソホロンジイソシアネートであることを特徴とする請求項18記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項22】
前記ポリウレタン発泡材は、完成した変形ポリウレタン発泡材の厚い壁より厚いことを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項23】
前記ポリウレタン発泡材は、完成した変形ポリウレタン発泡材の厚い壁の約2倍の厚さであることを特徴とする請求項22記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項24】
前記ポリウレタン発泡材は、ポリウレタン発泡材ブロックから切断されて得られたポリウレタン発泡材シートであることを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項25】
前記ポリウレタン発泡材は、前記網状化の後、ポリウレタン基質中に実質的に網状構造を有することを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項26】
さらに、前記ポリウレタン発泡材を前記成型部に配置する前に、前記ポリウレタン発泡材に繊維状のラミネートを実施する工程からなることを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項27】
前記成型部を閉じて前記ポリウレタン発泡材を押圧するための圧力は、油圧押圧機構によって実施されることを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項28】
前記成型部を閉じて前記ポリウレタン発泡材を押圧するための圧力は、成型部の1平方インチあたり約30ポンドから90ポンドであることを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項29】
前記押圧ポリウレタン発泡材の熱形成は、約45秒から100秒間継続することを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項30】
前記成型部は、約摂氏150度から210度に予熱されることを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項31】
前記変形ポリウレタン発泡材は、3ppiから120ppiの細胞サイズを有することを特徴とする請求項17記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項32】
前記変形ポリウレタン発泡材は、5ppiから70ppiの細胞サイズを有することを特徴とする請求項31記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項33】
前記変形ポリウレタン発泡材は、3ppiから40ppiの細胞サイズを有することを特徴とする請求項31記載の成型ポリウレタン発泡材。
【請求項34】
前記成型ポリウレタン発泡材は、ブラジャーパッドであることを特徴とする請求項33記載の成型ポリウレタン発泡材。

【公開番号】特開2006−315324(P2006−315324A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−140947(P2005−140947)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(505176497)
【Fターム(参考)】