説明

成形体組立品

【課題】プラスチック樹脂に金属質感を表現することができる素材を添加せず、プラスチック樹脂それ自体で色相、光沢度、透明度、腐食パターンなどの要素を組み合わせて、金属質感を有する成形体組立品を提供する。
【解決手段】透明度が75〜99%である第1成形体、および透明度が0.1〜50%である第2成形体を組み立てて金属質感を有する成形体組立品が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属質感を有する成形体組立品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電機電子部品、自動車部品などにおいて多様な色彩を有するプラスチック外装製品が人気を呼んでおり、より高級な質感のプラスチック外装製品がますます製造されている。
【0003】
しかし、これは主に、金属質感を表現することができる素材、例えば、金属、アルミニウム薄片、スパークル、パールなどをプラスチック樹脂に添加してその特性を発現させる技術のみに限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、プラスチック樹脂に金属質感を表現することができる素材を添加せず、プラスチック樹脂それ自体で色相、光沢度、透明度、腐食パターンなどの要素を組み合わせて、金属質感を有する成形体組立品を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、透明度が約75〜約99.9%である第1成形体、および透明度が約0.1〜約50%である第2成形体を組み立てて金属質感を有する成形体組立品を提供する。
【0006】
前記第1成形体の光沢度は測定角度約60°で約70以上であり、前記第2成形体の光沢度は測定角度約60°で約0.1〜約40でありうる。
【0007】
前記第2成形体は腐食パターンを有することができ、その深さが約1〜約60μmでありうる。
【0008】
前記第1成形体および前記第2成形体は互いに補色関係または反対色関係の色を有しうる。
【0009】
前記第1成形体は、透明度が約80〜約99.9%である第1樹脂および第1染/顔料を含む第1樹脂組成物から製造され、前記第2成形体は、透明度が約0〜約99.9%である第2樹脂および第2染/顔料を含む第2樹脂組成物から製造されうる。
【0010】
前記第1樹脂および前記第2樹脂は、それぞれ独立して、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸(PLA)樹脂、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂、ポリブチレンサクシネート(PBS)樹脂、デンプン樹脂、植物由来ポリアミド樹脂、バイオコハク酸樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される合成樹脂または環境親和性の樹脂でありうる。
【0011】
前記第1染/顔料および前記第2染/顔料は、それぞれ独立して、溶剤型染料、蛍光増白剤、蛍光染料、混合染料、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される染料;アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン顔料、アゾ系顔料、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有機顔料;カーボンブラック、酸化鉄ブラック、白色顔料、複合金属酸化物、ウルトラマリンブルー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される無機顔料;ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択され、前記第1染/顔料は前記第1樹脂組成物総量に対して約0.01〜約1質量%で含まれ、前記第2染/顔料は前記第2樹脂組成物総量に対して約0.5〜約50質量%で含まれる。
【0012】
前記成形体組立品の光沢度は測定角度約60°で約70〜約99でありうる。
【0013】
その他の本発明の側面の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プラスチック樹脂に金属質感を表現することができる素材を添加せずにプラスチック樹脂のみでも、染/顔料の添加による色相、光沢度、透明度、腐食パターンなどを組み合わせて二つの成形体を組み立てた成形体組立品は優れた金属質感を有し、したがって、高級な金属質感が要求される電機電子部品、自動車部品などのプラスチック外装製品に有用に適用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施様態による第1成形体および第2成形体の組み立てによる成形体組立品を示した写真である。
【図2A】一実施様態による第2成形体の腐食パターンの一形態を示した写真である。
【図2B】図2AにおけるA領域の腐食パターンの長さおよび深さに関するグラフである。
【図3A】一実施様態による第2成形体の腐食パターンの他の一形態を示した写真である。
【図3B】図3AにおけるB領域の腐食パターンの長さおよび深さに関するグラフである。
【図4】色相環の一例を示した図である。
【図5A】実施例3の成形体組立品の金属質感が優秀である(◎等級)成形体組立品を示した写真である。
【図5B】実施例2の成形体組立品の金属質感が普通である(○等級)成形体組立品を示した写真である。
【図5C】比較例1の成形体組立品の金属質感が劣悪である(×等級)成形体組立品を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下で、本発明の実施様態を詳しく説明する。ただし、これは例示として示されるものであって、これにより本発明が制限されるわけではなく、本発明は後述の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0017】
本明細書で特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」の二つともを意味する。また、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」は「アクリル酸アルキルエステル」と「メタクリル酸アルキルエステル」の二つともを意味し、「(メタ)アクリル酸エステル」は「アクリル酸エステル」と「メタクリル酸エステル」の二つともを意味する。
【0018】
本明細書で特別な言及がない限り、「色相環」とは色味の異なる色相を系統的に円環上に配列したものである。
【0019】
本明細書で特別な言及がない限り、「染/顔料」は染料、顔料、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つを示す。
【0020】
本発明の一実施様態によれば、プラスチック樹脂自体が有する多様な透明および不透明な色に対する一般的な色の組み合わせを通して、例えば、スプレー、メタル、パールのような金属質感を得る技術を提供する。つまり、プラスチック樹脂に金属質感を表現することができる素材を添加せず、プラスチック樹脂それ自体で染/顔料の組み合わせの色相、光沢度、透明度、腐食パターンなどを組み合せることによって金属質感を有する成形体組立品を提供する。
【0021】
以下、本発明の一実施様態による成形体組立品を具体的に説明する。
【0022】
前記成形体組立品は、第1成形体、そして前記第1成形体と透明度、光沢度、腐食パターンの有無などが互いに異なる第2成形体を組み立てることによって金属質感の効果を有しうる。
【0023】
本明細書で特別な言及がない限り、「組み立て(組立)」とは、第1成形体および/または第2成形体を互いに重ねたり、第1成形体および/または第2成形体を複数順不同に積み重ねたりすることを意味する。ここで、前記組み立て(組立)は、特に限定されないが、接着剤を用いて行ってもよく、第1成形体および第2成形体の間に空隙ができるように組み立てるのが好ましい。
【0024】
図1は、一実施様態による第1成形体および第2成形体の組み立てによる成形体組立品を示した写真である。図1を参照すれば、それぞれ透明および不透明な材質の第1成形体および第2成形体を組み立てることによって、組み立てられた成形体が金属質感を示していることが分かる。
【0025】
具体的に、前記第1成形体は、透明な材質であり、その透明度は約75〜約99%、より好ましくは約75〜約85%であり、前記第2成形体は、不透明な材質であり、その透明度は約0.1〜約50%、より好ましくは約0.1〜約25%である。前記透明度は、D65(CIE規定)の光源を採用した透過率計を利用して、厚さが2.5mmである成形体を通過した光の量を測定値である。透明度の値が低いほど、つまり、透過率が0%に近いほどその材質は不透明であると見なされる。第1成形体および第2成形体の各透明度が前記範囲内である場合、互いに組み立てた時、優れた金属質感、すなわち、スプレー、メタル、パールなどの高級な金属質感を有しうる。一方、第1成形体および第2成形体の各透明度が前記範囲外である場合、互いに組み立てた時、金属質感は得られない。
【0026】
前記透明な材質の第1成形体の光沢度は、測定角度約60°で約70以上、より好ましくは約80〜約99.9であることができ、前記不透明な材質の第2成形体の光沢度は、測定角度約60°で約0.1〜約40、より好ましくは約5〜約20でありうる。前記光沢度は、光沢計を利用して、測定角度を60°の角度とした時の測定値である。第1成形体および第2成形体の各光沢度が前記範囲内である場合、互いに組み立てる時、優れた金属質感、つまり、スプレー、メタル、パールなどの高級な金属質感を有しうる。
【0027】
前記透明な材質の第1成形体は表面に腐食パターンを有さないが、前記不透明な材質の第2成形体は腐食パターンを有する。
【0028】
前記腐食とは、プラスチック樹脂を成形する射出金型の金属表面に模様を加え、浸食作用に基づき金属をその表面から分離除去する金属の微細加工法の一つである。腐食には、化学的に金属を溶解する化学腐食(なお、一度化学腐食された射出金型は繰り返し使用可能である)と、電気化学的に金属を溶解する電解腐食の2種類の方法がある。このうち、プラスチック金型を利用した腐食加工は、通常化学腐食に依存しており、革および木目の模様、天然物質の模様、繊維および点描の模様などの触感を加工に加え、多様な紋模様の加工が可能である。
【0029】
前記腐食加工法を利用して成形された第2成形体の腐食パターンは、深さが約0.001〜約100μm、より好ましくは約1〜約60μmでありうる。第2成形体の腐食パターンの深さが前記範囲内である場合、第1成形体との組立時、優れた金属質感、つまり、スプレー、メタル、パールなどの高級な金属質感を具備しうる。
【0030】
このような第2成形体の腐食パターンは、図2Aおよび図3Aの写真、ならびに図2Bおよび図3Bのグラフによっても確認できる。図2Aは、一実施様態による第2成形体の腐食パターンの一形態を示した写真であり、図2Bは、図2AのA領域の腐食パターンの長さおよび深さに関するグラフである。図3Aは、一実施様態による第2成形体の腐食パターンの他の一形態を示した写真であり、図3Bは、図3AのB領域の腐食パターンの長さおよび深さに関するグラフである。図2A〜図3Bを参照すれば、図2Bおよび図3Bのグラフにおいて、横軸は腐食パターンの長さを示し、縦軸は腐食パターンの深さを示し、図2Aにおける第2成形体は、図3Aにおける第2成形体と比較して、腐食パターンの長さおよび深さがより大きいことが分かる。この時、図2Bおよび図3Bのグラフで表示された腐食パターンの長さは一例として例示したものであり、その範囲はこれに限られない。
【0031】
第2成形体の腐食パターンの深さが大きいほど光沢度は小さくなることから、腐食パターンの形態によって光沢度の調節が可能である。
【0032】
前記第1成形体および前記第2成形体はそれぞれ多様な色を有することができ、第1成形体および第2成形体の組み立てによって多様な色の組み合わせが可能である。
【0033】
色の表示方法は、補色関係、反対色関係、および類似色関係に分類して表示される。
【0034】
前記補色関係とは、ある二つの色を適当な比率で混合した場合、灰色や黒色に近い色になってしまう二つの色の関係を意味する。つまり、当該補色関係は、色相環において距離が最も遠い正反対側に位置した色の関係を意味する。
【0035】
ある色をその色の補色と組合した場合、本来の色よりも彩度が互いに高くなり、鮮明になりつつ互いに相対の色を強く露出する。これは各色の補色残像が相対の色と一致するためである。
【0036】
また、前記反対色関係とは、色相環において距離が遠い位置にある色の関係のことであって、前記補色関係の距離より近くに位置した色の関係を意味する。また、前記類似色関係とは、色相環での距離が近い位置にある色の関係のことであって、前記反対色関係の距離より近くに位置した色の関係を意味する。
【0037】
図4は、色相環の一例を示した図である。図4を参照すれば、前記補色関係の例としては、赤と青緑、黄と紫青などの関係であり、前記反対色関係の例としては、赤と青、黄と紫などの関係であり、前記類似色関係の例としては、赤と赤色がかった黄、黄と薄緑などの関係である。
【0038】
前記第1成形体および前記第2成形体は、これらの中で互いに補色関係または反対色関係の色を有しうる。補色関係または反対色関係の色相組み合わせは金属質感の効果を極大化しうる。
【0039】
このような成形体組立品に具現される色は、第1成形体および第2成形体各々の製造に使用される染/顔料の多様な組み合わせによって得ることができる。
【0040】
前記第1成形体および前記第2成形体は、それぞれ、第1樹脂組成物および第2樹脂組成物から製造しうる。前記第1樹脂組成物は透明樹脂として、透明度が約80〜約99.9%である第1樹脂および第1染/顔料を含み、前記第2樹脂組成物は透明度が約0〜約99.9%である第2樹脂および第2染/顔料を含む。
【0041】
前記第2樹脂組成物から製造された第2成形体は不透明な材質を有するが、透明樹脂を使用しても腐食パターンの深さを調節したり染/顔料の含有量を調節することにより不透明な材質を有することができるので、第2樹脂は、透明度が約0〜約99.9%である透明樹脂および不透明樹脂全てを使用可能である。
【0042】
前記第1樹脂および前記第2樹脂には、それぞれ独立して、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸(PLA)樹脂、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)樹脂、ポリブチレンコハク酸エステル(PBS)樹脂、デンプン樹脂、植物由来ポリアミド樹脂、バイオコハク酸樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される合成樹脂または環境親和性樹脂を使用することができる。
前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂には、ブタジエンゴム、アクリルゴムまたはスチレン/ブタジエンゴムに、スチレン、アクリロニトリル、および選択的にメチル(メタ)アクリレートの重合体をグラフト共重合したものを使用することができる。
【0043】
またはブタジエンゴム、アクリルゴムまたはスチレン/ブタジエンゴムに、メチル(メタ)アクリレートをグラフト共重合したものを使用することができる。
【0044】
前記ポリアミド樹脂には、高分子主鎖にアミド基を含有したものであって、アミノ酸、ラクタムまたはジアミンとジカルボン酸を主な構成成分にして重合したものを使用することができる。
【0045】
前記ポリカーボネート樹脂には、ジフェノール類とホスゲン、ハロゲン酸エステル、炭酸エステル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を反応させて製造したものを使用することができる。
【0046】
前記ポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂には、アルキル(メタ)アクリレートを含む原料単量体を重合して製造したものを使用することができる。前記アルキル(メタ)アクリレートはC1〜C10のアルキル基を有するものとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0047】
前記ポリエステル樹脂には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、またはこれらの樹脂に一部他のモノマーを混合して非結晶性に改質したポリエステル樹脂を使用することができる。
【0048】
前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0049】
前記ポリ乳酸(PLA)樹脂には、とうもろこしデンプンを分解して得られた乳酸を単量体とするエステル反応により製造されるポリエステル系樹脂として、L−乳酸、D−乳酸、L,D−乳酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される乳酸から誘導された反復単位を含むことができる。
【0050】
前記ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)樹脂には、生分解性樹脂であって、ヒドロキシアルカン酸単量体の単一重合体;互いに異なる2種以上のヒドロキシアルカン酸単量体からなる共重合体;または前記単一重合体と前記共重合体の混合物を使用することができる。前記ヒドロキシアルカン酸単量体としては、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシバレリアン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、3−ヒドロキシオクタデカン酸などが挙げられる。また、前記互いに異なる2種以上のヒドロキシアルカン酸単量体からなる共重合体としては、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−コ−3−ヒドロキシヘキサン酸)またはポリ(3−ヒドロキシ酪酸−コ−3−ヒドロキシバレリアン酸)が挙げられる。
【0051】
前記ポリブチレンコハク酸エステル(PBS)樹脂には、サトウキビやとうもろこしなどの糖質から発酵化学によって製造されるコハク酸と、1,4−ブタンジオールの重縮合反応によって製造されたものを使用することができる。
【0052】
前記デンプン樹脂には、とうもろこしデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、小麦デンプン、さつまいもデンプンなどの純粋デンプン;前記純粋デンプンに物理的または化学的処理を行って製造されたα−デンプン、酸処理デンプン、酸化デンプン、両性デンプン、エステル化デンプン、エーテル化デンプンなどの変性デンプンならびにこれらの混合物などを使用することができる。
【0053】
上記植物由来ポリアミド樹脂は、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド1010、ポリアミド11、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。前記ポリアミド4およびポリアミド6は、セルロースやデンプンなどのバイオマスの糖化工程から得ることができ、前記ポリアミド66は、E−coliバクテリアを利用した発酵工程から得ることができ、前記ポリアミド610、ポリアミド1010、およびポリアミド11は、植物性オイルのトウゴマ油から製造されることができる。
【0054】
前記バイオコハク酸樹脂には、バイオコハク酸およびその誘導体を含むものであって、酵素を利用した発酵工程を利用してデンプンから製造されるものを使用することができる。
【0055】
前記第1染/顔料および前記第2染/顔料は、それぞれ独立して、染料、顔料、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0056】
前記染料としては、アントラキノン系、キノリン系などの溶剤型染料、スチルベン誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体などの蛍光増白剤、蛍光染料、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができ、これに限られない。
【0057】
前記顔料としては、赤、緑、青、黄、紫などの多様な色を使用することができ、具体的には、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン顔料、アゾ系顔料などの有機顔料;カーボンブラック、酸化鉄ブラック、白色顔料(例えば、TiO、ZnS、BaSO、CaCOなど)、複合金属酸化物、ウルトラマリンブルーなどの無機顔料;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができ、これに限られない。
【0058】
前記第1染/顔料は、前記第1樹脂組成物総量に対して約0.01〜約1質量%で含まれ、前記第2染/顔料は、前記第2樹脂組成物総量に対して約0.5〜約50質量%で含まれる。第1および第2染/顔料が各々前記範囲内に含まれる場合、各々の成形体の透明性および不透明性を維持することができる。
【0059】
前記第1樹脂組成物および前記第2樹脂組成物は、それぞれ、抗菌剤、熱安定剤、離型剤、光安定剤、 無機物添加剤、界面活性剤、カップリング剤、可塑剤、混和剤、 安定剤、滑剤、静電気防止剤、 調色剤、防炎剤、耐候剤、着色剤、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、充填剤、核形成剤、接着調剤、粘着剤、およびこれらの混合物からなる群より選択される添加剤をさらに含むことができる。
【0060】
前記離型剤としては、フッ素含有重合体、シリコーンオイル、ステアリン酸の金属塩、モンタン酸の金属塩、モンタン酸エステルワックスまたはポリエチレンワックスを使用することができる。また、前記耐候剤としては、ベンゾフェノン型またはアミン型耐候剤を使用することができる。また、前記紫外線遮断剤としては酸化チタン(TiO)またはカーボンブラックを使用することができ、前記充填材としてはガラス繊維、炭素繊維、シリカ、マイカ、アルミナ、粘土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムまたはガラスビードを使用することができ、このような充填材を添加すれば機械的強度および耐熱性などの物性を向上させうる。また、前記核形成剤としてはタルクまたはクレーを使用することができる。
【0061】
前記添加剤は、第1樹脂組成物および第2樹脂組成物の各物性を阻害しない範囲内で、用途に応じて適切に調節して使用することができる。
【0062】
前記第1樹脂組成物および前記第2樹脂組成物は公知の方法で製造されることができる。例えば、前述の構成成分と添加剤を混合した後、押出機内で溶融圧出してペレット形態に製造することができる。
【0063】
前述のように製造された第1成形体および第2成形体が互いに組み立てられた成形体組立品には金属質感が具現されるが、前記金属質感は主に肉眼で評価し、光沢度によってもある程度金属質感を表現することができる。
【0064】
つまり、前記成形体組立品は、光沢度が測定角度60°で70〜99、より好ましくは80〜99である。成形体組立品の光沢度が前記範囲内である場合、優れた金属質感、つまり、スプレー、メタル、パールなどの高級な金属質感を具備しうる。
【0065】
前述のように、プラスチック樹脂に金属質感を表現しうる素材を添加せずにプラスチック樹脂のみでも、染/顔料の添加による色相、光沢度、透明度、腐食パターンなどを組み合わせた二つの成形体を組み立てた成形体組立品は優れた金属質感を有し、したがって、高級な金属質感が要求される電機電子部品、自動車部品などのプラスチック外装製品に有用に適用されうる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明の望ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は本発明の望ましい一実施例にすぎず、本発明が下記の実施例によって限定されるわけではない。
【0067】
(実施例)
本発明の一実施様態による、第1成形体および第2成形体が組み立てられた成形体組立品の製造に使用される各構成成分は次の通りである。
【0068】
(A)第1成形体の製造のための第1樹脂組成物
(A−1)第1樹脂
実施例1〜4および比較例1〜4による第1樹脂として、透明度が85%であるポリカーボネート樹脂(チェイルインダストリーズインコーポレイテッド社製のSC−1220)を使用した。
【0069】
実施例5および6による第1樹脂として、透明度が95%であるポリカーボネート樹脂(チェイルインダストリーズインコーポレイテッド社製のSC−1220)を使用した。
【0070】
(A−2)第1染/顔料
実施例1〜6による第1染/顔料として、溶剤型染料であるランクセス(LANXESS)社製のMACROLEX YELLOW G(キノリン構造の溶剤型の黄色染料)、そして溶剤型染料である住友化学工業社製のSUMIPLAST YELLOW FL7G(ペリレン構造の溶剤型の黄緑色染料)を1:0.1の質量比で混合して使用した。
【0071】
比較例1〜4による第1染/顔料として、無機顔料であるクロノス(KRONOS)社製のTiO KRONOS 2232(粒径0.15〜0.35μm)、溶剤型染料であるランクセス社製のMACROLEX YELLOW G、そして溶剤型染料である住友化学工業社製のSUMIPLAST YELLOW FL7Gを1:0.3:0.03の質量比で混合して使用した。
【0072】
(B)第2成形体の製造のための第2樹脂組成物
(B−1)第2樹脂
実施例1〜6および比較例1〜4による第2樹脂として、透明度が85%であるポリカーボネート樹脂(チェイルインダストリーズインコーポレイテッド社製のSC−1220)を使用した。
【0073】
(B−2)第2染/顔料
実施例1および2と比較例2および4による第2染/顔料として、無機顔料であるクロノス社製のTiO KRONOS 2232(粒径0.15〜0.35μm)、溶剤型染料であるランクセス社製CERES BLUE 3R、そして無機顔料であるKCB社のHI BLACK 50L(カーボンブラック、粒径18nm)を1:0.2:0.05の質量比で混合して使用した。
【0074】
実施例3〜6と比較例1および3による第2染/顔料として、無機顔料であるクロノス社製のTiO KRONOS 2232(粒径0.15〜0.35μm)、溶剤型染料であるランクセス社製のCERES BLUE 3R、有機顔料であるクラリアント(CLARIANT)社製のPVPAST BLUE A4R、そして無機顔料であるKCB社のHI BLACK 50L(カーボンブラック、粒径18nm)を0.1:1:0.5:0.1の質量比で混合して使用した。
【0075】
実施例1〜6および比較例1〜4
前記で言及した成分を下記表1に示したような含有量で供給速度60kg/hr、回転速度250rpm、温度250℃、スクリュー構成45φRegular、L/D=29である通常の二軸押出機で圧出した後、各々の圧出物をペレット形態に製造した。
【0076】
前記実施例1〜6および比較例1〜4によって製造されたペレットを100℃で3時間以上乾燥した後、10ozの射出成形機を使用して、成形温度250〜270℃、金型温度60〜80℃の条件で射出して、物性試片、つまり、第1成形体および第2成形体の各々を製造した。この時、第2成形体の製造は、前記物性試片を射出する金型に腐食パターンが含まれている金型を利用した。このように製造された第1成形体は黄色を帯び、第2成形体は青色を帯びた。
【0077】
前記製造された各々の物性試片は下記の方法で物性を測定して、その結果を下記表1に示した。
【0078】
(1)透明度:透過率計(Hazemeter)(日本電色工業社製のNDH−2000)を利用してD65(CIE規定)光源で厚さが2.5mmである成形体が通過した光の量を測定した。測定値は下記数式1によって計算される。
【0079】
[数式1]
透明度(HZ)=拡散透過率(DF)/全体透過率(TT)×100
全体透過率(TT)=拡散透過率(DF)+平行透過率(PT)
(2)光沢度:光沢計(Glossmeter)(BYK−GARDNER社製のCAT.NO4520)を利用して60°の角度で測定した。
【0080】
(3)腐食パターンの深さ:表面粗度測定器(ミツトヨ社製のSJ−301)を使用して腐食パターンの深さを測定した。
【0081】
前記実施例1〜6ならびに比較例1〜4によって製造された第1成形体および第2成形体を各々単に重ねて組み立てることによって各々の成形体組立品を準備した。前記各々の成形体組立品に対し、光沢度を前記で言及した測定方法と同一な方法で測定して、その結果を下記表1に示した。
【0082】
また、各成形体組立品の金属質感を肉眼で評価して、その程度を◎(優秀)、○(普通)、×(劣悪)の等級に示し、これは図5A〜5Cを通して確認できる。
【0083】
図5Aは、実施例3の金属質感に優れた(◎等級)成形体組立品を示した写真であり、図5Bは、実施例2の金属質感が普通である(○等級)成形体組立品を示した写真であり、図5Cは、比較例1の金属質感が悪い(×等級)成形体組立品を示した写真である。図5A〜図5Cを参照すれば、各成形体組立品の金属質感の程度を等級によって明確に比較することができる。
【0084】
【表1】

【0085】
前記表1によれば、本発明の一実施様態によって透明度が75〜99.9%である第1成形体および透明度が0.1〜50%である第2成形体が組み立てられた実施例1〜6による成形体組立品は、肉眼で観察した結果だけでなく、光沢度が測定角度60°で70〜99の範囲を示したことにより、優れた金属質感を有することが確認できる。
【0086】
この反面、透明度が75〜99.9%の範囲を外れた第1成形体を組み立てた比較例1〜4による成形体組立品は、肉眼で観察した結果だけでなく、光沢度が60°で70〜90の範囲を外れたことから、金属質感を得られないことが分かる。前記第1成形体の製造時に透明樹脂を使用したが、第1染/顔料を1質量%を超えた量を使用したので、第1成形体の透明度は75%にも至っていないことが分かる。
【0087】
本発明は前記実施例に限られるわけではなく、互いに異なる多様な形態に製造されることができ、本発明が属する技術分野にて通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施することができるということを理解するはずである。したがって、以上で説明した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的ではないということを理解しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明度が75〜99.9%である第1成形体、および透明度が0.1〜50%である第2成形体を組み立てて金属質感を有する成形体組立品。
【請求項2】
前記第1成形体の光沢度が測定角度60°で70以上であり、
前記第2成形体の光沢度が測定角度60°で0.1〜40である、請求項1に記載の成形体組立品。
【請求項3】
前記第2成形体が腐食パターンを有するものである、請求項1または2に記載の成形体組立品。
【請求項4】
前記第2成形体の腐食パターンが1〜60μmの深さである、請求項3に記載の成形体組立品。
【請求項5】
前記第1成形体および前記第2成形体が互いに補色関係または反対色関係の色相を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形体組立品。
【請求項6】
前記第1成形体が透明度80〜99.9%である第1樹脂および第1染/顔料を含む第1樹脂組成物を用いて製造されたものであり、前記第2成形体が透明度0〜50%である第2樹脂および第2染/顔料を含む第2樹脂組成物を用いて製造されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形体組立品。
【請求項7】
前記第1樹脂および前記第2樹脂が、それぞれ独立して、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)樹脂、ポリブチレンコハク酸エステル(PBS)樹脂、デンプン樹脂、植物由来のポリアミド樹脂、バイオコハク酸樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される合成樹脂または環境親和性の樹脂である、請求項6に記載の成形体組立品。
【請求項8】
前記第1染/顔料および前記第2染/顔料が、それぞれ独立して、溶剤型染料、蛍光増白剤、蛍光染料、混合染料、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される染料;アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン顔料、アゾ系顔料、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有機顔料;カーボンブラック、酸化鉄ブラック、白色顔料、複合金属酸化物、ウルトラマリンブルー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される無機顔料;ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである、請求項6または7に記載の成形体組立品。
【請求項9】
前記第1染/顔料が前記第1樹脂組成物総量に対して0.01〜1質量%で含まれ、前記第2染/顔料が前記第2樹脂組成物総量に対して0.5〜50質量%で含まれる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の成形体組立品。
【請求項10】
光沢度が測定角度60°で70〜99である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の成形体組立品。


【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate


【公開番号】特開2011−56949(P2011−56949A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201358(P2010−201358)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】