説明

扇風機

【課題】電解水ミストによる除菌や脱臭の機能を扇風機に持たせるとともに、電解水ミストを速やかに室内に行き渡らせることができるようにする。
【解決手段】扇風機1の前ガード9のセンターリム9aに電解水ミスト発生器10Aが取り付けられる。電解水ミスト発生器10Aは、水槽12と、水槽12内の水を電解水とする電極14と、水槽12内の電解水をミスト化する超音波振動子18を含む。音波振動子18はメッシュ状であり、当該超音波振動子に、水槽12から電解水を吸い上げるウィック19を接触させる。電解水ミスト発生器10Aは前ガード9にねじ9Cで固定され、その動作電流は扇風機1から供給される。超音波振動子18が生成した電解水ミストはミスト放出口17から放出され、ファン7が送り出す風に混じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
扇風機に、送風機能だけでなく、除菌や脱臭の機能も持たせようという考えは、これまでにも存在した。その例を特許文献1に見ることができる。
【0003】
特許文献1には、OHラジカルを含有するピコメートルサイズのミストを発生するミスト発生器を送風体の支柱に設けた扇風機が記載されている。
【0004】
室内空気の除菌や脱臭のため、電解水のミストを用いることも行われている。特許文献2には、空気清浄機内で清浄化された空気を用いて電解水のミストを放散させる空気清浄機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−7965号公報(国際特許分類:F04D25/08、F04D29/52、A61L9/14)
【特許文献2】特開2007−37589号公報(国際特許分類:A61L9/14、A61L9/01、C02F1/46)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電解水ミストによる除菌や脱臭の機能を扇風機に持たせるとともに、電解水ミストを速やかに室内に行き渡らせることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る扇風機は、前ガードのセンターリムに電解水ミスト発生器を取り付けたことを特徴としている。
【0008】
この構成によると、扇風機が送り出す風に電解水ミストが混入し、室内空気の除菌や脱臭が達成される。電解水ミストは、特許文献1の構成のように支柱から立ち昇らせるのでなく、送り出す風の中心で発生させるものであるから、直ちに風に巻き込まれて遠くまで届く。このため、生成直後で効力が強い電解水のミストを、部屋の隅々まで速やかに行き渡らせて、除菌と脱臭を行うことができる。
【0009】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記電解水ミスト発生器は、水槽と、前記水槽内の水を電解水とする電極と、前記水槽内の電解水をミスト化する超音波振動子を含むことを特徴としている。
【0010】
この構成によると、水を補給するだけで電解水ミストを発生させることができる。
【0011】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記超音波振動子はメッシュ状であり、当該超音波振動子に、前記水槽から電解水を吸い上げるウィックを接触させることを特徴としている。
【0012】
この構成によると、ミストを発生させるのに大きなエネルギーを要さないから、電解水ミスト発生器の動力源を電池とすることが可能になる。
【0013】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記電解水ミスト発生器は前記前ガードにねじで固定され、その動作電流は当該扇風機から供給されることを特徴としている。
【0014】
この構成によると、電解水ミスト発生器が必要とするだけの動作電流をいつでも扇風機から供給することができる。
【0015】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記電解水ミスト発生器は内蔵電池を電源とすることを特徴としている。
【0016】
この構成によると、扇風機から電解水ミスト発生器への配線が不要であるため、電解水ミスト発生器を前ガードに容易に配置することができる。
【0017】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記電解水ミスト発生器は前記前ガードに着脱自在であることを特徴としている。
【0018】
この構成によると、電解水ミスト発生器を扇風機から分離し、離れた場所で電解水ミストを発生させることができる。
【0019】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記電解水ミスト発生器の筐体は、それを平面上に安定して立てることができる底面を有することを特徴としている。
【0020】
この構成によると、電解水ミスト発生器を扇風機から分離して使用する際、電解水ミスト発生器を自立させることができる。
【0021】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記前ガードには、前記電解水ミスト発生器の取り外し跡がそのまま開口部となるのを防ぐカバーが設けられていることを特徴としている。
【0022】
この構成によると、電解水ミスト発生器を取り外しても前ガード中心に開口部が生じないので、開口部から子供が手を突っ込んだり、物体が入り込んだりするという不測の事態を招くことがなく、扇風機の安全性が高まる。
【0023】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記電解水ミスト発生器は当該扇風機のリモートコントローラで動作制御されることを特徴としている。
【0024】
この構成によると、扇風機のリモートコントローラで電解水ミスト発生器も操作できるので、操作が楽である上、扇風機の製造コストも節減できる。
【0025】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記電解水ミスト発生器は、電解水を貯める水槽と、下部を前記水槽内の電解水に浸し、上部を当該扇風機の送風路中に置いた状態で回転自在に保持されている多孔ディスクと、当該扇風機の送風を受けて前記多孔ディスクに回転力を与える風車を含むことを特徴としている。
【0026】
この構成によると、多孔ディスクに形成された電解水の水膜が風圧で破れることによってミストが形成されるので、超音波振動子は不要であり、それを駆動する電力も不要となる。また風車が多孔ディスクを回転させるので、多孔ディスク回転用のモータが不要であり、それを駆動する電力も不要となる。これにより、電解水ミスト発生器の製造コストとランニングコストを低減できる。
【0027】
また本発明は、上記構成の扇風機において、前記電解水ミスト発生器の正面形状を略円形にしたことを特徴としている。
【0028】
この構成によると、電解水ミスト発生器の形状が前ガードにマッチし、電解水ミスト発生器をオーナメント代わりとすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、扇風機が送り出す風の中心で電解水ミストを発生させるから、生成直後の効力の強い電解水のミストが直ちに風に巻き込まれ、部屋の隅々まで速やかに行き渡る。このため、室内の除菌や脱臭を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る扇風機の概略構造を示す部分側面図である。
【図2】図1の扇風機の前ガードの正面図である。
【図3】図1の扇風機の前ガードの正面図で、電解水ミスト発生器の部分を断面して示したものである。
【図4】図1の扇風機の前ガードの正面図で、電解水ミスト発生器を取り外した状態を示すものである。
【図5】第1実施形態に係る扇風機の回路ブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る扇風機の概略構造を示す部分側面図である。
【図7】図6の扇風機の前ガードの正面図で、電解水ミスト発生器の部分を断面して示したものである。
【図8】図7の電解水ミスト発生器の拡大断面図である。
【図9】図7の電解水ミスト発生器の拡大断面図で、図8と直角の方向に切断したものである。
【図10】図9と同様の電解水ミスト発生器の拡大断面図で、本体から電池交換蓋と電池を分離した状態を示すものである。
【図11】第2実施形態に係る扇風機の回路ブロック図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る扇風機の概略構造を示す部分側面図である。
【図13】図12の扇風機の前ガードの正面図である。
【図14】図12の扇風機の前ガードの正面図で、電解水ミスト発生器の部分を断面して示したものである。
【図15】本発明の第4実施形態に係る扇風機の概略構造を示す部分側面図である。
【図16】図15の扇風機から電解水ミスト発生器を取り外した状態を示す部分側面図である。
【図17】図15の扇風機の前ガードの正面図である。
【図18】図15の扇風機から取り外した電解水ミスト発生器の拡大正面図である。
【図19】図18の電解水ミスト発生器から給水キャップを取り外した状態の拡大正面図である。
【図20】本発明の第5実施形態に係る扇風機の概略構造を示す部分側面図である。
【図21】図20の扇風機の前ガードの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
第1実施形態に係る扇風機の構造を図1に示す。扇風機1は、スタンド2(図1にはその上端部のみ示す)の上端にネック部3を俯仰可能に取り付け、ネック部3は支軸4によりモータケース5を回転可能に支持している。ネック部3とスタンド2の間には図示しないクリックストップ機構が設けられており、ネック部3は一定の角度範囲内で段階的に附仰角を変えることができる。モータケース5は首振り機構を内蔵していて、使用者が「首振り」の選択操作を行えば、モータケース5は支軸4を中心とした首振りを行う。これらの機構は周知なので詳細な説明は省略する。
【0032】
モータケース5の正面(扇風機1の風を受ける使用者に向き合う側を「正面」とし、その反対側を「背面」とする。他の構成要素に関する「正面」「背面」も同じ意味で用いるものとする)からは、モータケース5に内蔵された図示しないモータの出力軸6が突出する。出力軸6にはファン7が固定される。ファン7を背面側から覆う後ガード8がモータケース5に取り付けられ、後ガード8にはファン7を正面側から覆う前ガード9が取り付けられる。
【0033】
後ガード8及び前ガード9の主体をなすのは、所定ピッチで放射状に配置された複数の金属線である。前ガード9の中心には金属板をプレス成型したリング状部品であるセンターリム9aが配置され、金属線に溶接固定される。センターリム9aにはファン7の中心部を覆い隠すオーナメントディスクが取り付けられることが多いが、本発明ではここに電解水ミスト発生器を配置する。
【0034】
第1実施形態の電解水ミスト発生器10Aは正面形状が略円形となった合成樹脂製の筐体11を有する。センターリム9aには、図4に示すように、120°間隔で3個の貫通穴9bが形成されており、前ガード9の背面側から貫通穴9bに通されるねじ9c(図1参照)を計3本筐体11にねじ込むことにより、電解水ミスト発生器10Aは前ガード9にしっかりと固定される。
【0035】
筐体11は大きく分けて2つの部分からなる。その1は筐体11のほぼ上半分を占める水槽12であり、その2は筐体11の残りの部分を占める電装室13である。水槽12の中央には内部の水位を目視で確認するための窓12aが形成されている。窓12aには透明合成樹脂製のレンズが嵌め込まれる。
【0036】
水槽12の正面から見て右側の天井壁からは1対の電極14が垂下する。左側の天井壁には給水口15が形成される。給水口15はねじ式のキャップ16で密閉される。
【0037】
筐体11の天井壁の中央にはミスト放出口17が形成される。ミスト放出口17の底に近い箇所には、ミスト放出口17を覆う形で、例えば特開平6−320083号公報に見られるような、多数の微少な貫通穴を有する所謂メッシュ状の超音波振動子18が取り付けられる。超音波振動子18と水槽12の底壁の間には毛細管現象で水を吸い上げるウィック(灯心)19が配置される。ウィック19の上端は超音波振動子18の下面に接触し、吸い上げた水を超音波振動子18に供給する。このように水をウィック19で吸い上げて超音波振動子18に供給する仕組みを採用することにより、水槽12内の水位を気にする必要がなくなる。
【0038】
電装室13には電子回路基板20が収納される。電子回路基板20には後ガード8と前ガード9の内側に配線されたリード線21(図1参照)を通じて扇風機1の本体側から給電が行われる。
【0039】
電子回路基板20には、図5の回路ブロックの中で、超音波部22と電解部23が形成されている。超音波部22は超音波振動子18を発振させるものであり、電解部23は電極14に所定の電圧を所定の印加パターンで印加するものである。
【0040】
図5に示す扇風機制御装置30は、スタンド2に収納される図示しない電子回路基板に形成されるものであり、超音波部22と電解部23もそれにより制御される。扇風機制御装置30には、リモートコントローラ31からの信号を受信する受信部32と、スタンド2の適所に配置された手動操作用の操作部33と、モータケース5の中のモータ34と、扇風機1が転倒した時にモータ34の回転を止める非常スイッチ35が接続されている。36は各構成要素に電力を供給する商用電源である。
【0041】
扇風機1の動作は次の通りである。リモートコントローラ31または操作部33を操作してモータ34を駆動すれば、ファン7による送風を行うことができる。ここで、水槽12に所定量の水を注水しておき、電解部23より1対の電極14に所定の電圧(例えば10V)を印加すると、水槽12の中の水が電気分解されて電解水となる。
【0042】
電圧の印加は、1対の電極14が断続的に(例えば1時間毎に3〜10分程度)交互に逆極性となるように行われる。水が塩素を含む水道水であれば、次のような電気化学反応が生じる。
<陽極側>
4HO−4e→4H+O↑+2H
2Cl→Cl+2e
O+Cl←→HClO+H+Cl
<陰極側>
4HO+4e→2H↑+4OH
<電極間>
+OH→H
上記反応により、除菌作用と脱臭作用のある次亜塩素酸(HClO)や活性酸素を含む電解水が生まれる。
【0043】
超音波部22を駆動して超音波振動子18を発振させると、ウィック19により吸い上げられて超音波振動子18に接触している電解水が超音波エネルギーでミストとなり、ミスト放出口17から放出される。放出された電解水ミストはファン7が送り出す風に直ちに巻き込まれ、吹き出される。このため、生成直後で効力が強い電解水のミストを、部屋の隅々まで速やかに行き渡らせて、除菌と脱臭を行うことができる。
【0044】
電解水ミスト発生器10Aの動作電流は扇風機1の本体側から供給されるので、必要な電流をいつでも供給することができる。また、扇風機1のリモートコントローラ31で電解水ミスト発生器10Aも操作できるので、操作が楽である上、扇風機の製造コストも節減できる。
【0045】
水槽12内の水位が許容レベル以下に低下したら、電極14への電圧印加、超音波振動子18の発振、及びモータ34の回転を、いずれも停止させる。そしてキャップ16を取り外し、給水口15より水槽12に水道水を補給する。その後、扇風機1の運転を再開する。水槽12内の水位が許容レベル以下に低下した時、電極14への電圧印加と超音波振動子18の発振が自動的に停止するように構成してもよい。
【0046】
電解水ミスト発生器10Aはねじ9cで前ガード9に固定されているので、前ガード9が向きを変える以上に大きく姿勢変更することはない。このため、水槽12内の水位変動は比較的小さい。このことは、超音波振動子18が、ウィック19を組み合わせるメッシュ状のものでなく、自身が水の中に入ってミストを形成する水没式のものであったとしても、水位変動で水から露出し、いわゆる「空焚き」状態となる危険が少ないということを意味する。このため、水没式の超音波振動子も使用可能である。
【0047】
また、扇風機1に設けた非常スイッチ35を電解ミスト発生器10Aの非常スイッチにも兼用できるので、非常スイッチの設置に起因する電解ミスト発生器10Aの大型化を防ぐことができる。
【0048】
次に、図6から図11までの図に基づき本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、電解水ミスト発生器10Bの必要とする電力を内蔵電池によってまかなう。すなわち、電装室13の内部には電池ホルダ13aが形成され、ここに保持された電池24が電子回路基板20の電源となる。超音波振動子18はメッシュ状であり、それにウィック19を接触させる構造であるから、ミストを発生させるのに大きなエネルギーを要さず、電池24による超音波振動子18の駆動が可能である。また、扇風機1から電解水ミスト発生器10Bへの配線が不要なので、電解水ミスト発生器10Bを前ガード9に容易に配置することができる。
【0049】
なお、電子回路基板20には、図11に示す通り、超音波部22と電解部23だけでなく、扇風機制御装置30から独立した電解水ミスト発生器制御装置25と、受信部26が形成されている。これにより電解水ミスト発生器10Bは、リモートコントローラ31からの指令を受けて、扇風機1の運転に関係無く、独立した動作を行うことになる。
【0050】
電池24が消耗したときは、扇風機1を停止状態にし、電解水ミスト発生器10Bを前ガード9から取り外す。そして図10に示すように、電装室13の背面側に設けられた電池蓋13bを取り外し、消耗した電池24を取り除く。新しい電池24を電池ホルダ13aにはめ込んだ後、電池蓋13bで再び蓋をし、電解水ミスト発生器10Bを前ガード9に取り付けて、扇風機1の使用を再開する。
【0051】
次に、図12から図14までの図に基づき本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態は第2実施形態の変形実施態様と言うべきものである。すなわち、電池蓋13bが電装室13の背面側にではなく正面側に設けられている点が第2実施形態と異なる。この構成により、電解水ミスト発生器10Cを前ガード9に取り付けたままでの電池交換が可能になる。
【0052】
次に、図15から図19までの図に基づき本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態は、電解水ミスト発生器10Dを前ガード9から簡単に取り外せるようにした点が特徴となっている。すなわち電解水ミスト発生器10Dは第2実施形態の電解水ミスト発生器10Bと同じ構造を備えるが、ねじ9cで前ガード9に固定されるのでなく、前ガード9のセンターリム9aに固定された支持ブラケット27に着脱可能に支持されるものである。
【0053】
図17に示すように、支持ブラケット27は正面側に突き出す3本の腕を有する。1本は電解水ミスト発生器10Dを下から支える腕27aである。残り2本は、電解水ミスト発生器10Dを上から押さえる、左右対称的に配置された腕27bである。腕27a、27bは、先端が少しすぼまった形になっており、ここに電解水ミスト発生器10Dを押し付けると腕同士が開き、電解水ミスト発生器10Dを押し込むことができる。押し込み後の状態を図15、17に示す。この状態の電解水ミスト発生器10Dを指でつまんで引っ張れば、腕27a、27bが開き、図16に示すように電解水ミスト発生器10Dを引き抜くことができる。引き抜いた電解水ミスト発生器10Dは扇風機1から離れた場所、例えば自動車の中や机の上に置いて、そこで電解水ミストを発生させることができる。
【0054】
扇風機1から離れた場所で使用する際の電解水ミスト発生器10Dの電源は電池24に限定されない。別売の電源アダプターを用いる構成とすることも可能である。
【0055】
電解水ミスト発生器10Dを取り外した跡が開口部として残ると、そこから子供が手を突っ込んだり、物体が入り込んだりするという懸念が生じる。そこで、電解水ミスト発生器10Dの取り外し跡が開口部となるのを防ぐカバーを前ガード9に設ける。本実施形態では、支持ブラケット27にカバー28を一体形成する。すなわち、支持ブラケット27はディスク状のベースを有し、このベースがカバー28となる。
【0056】
本実施形態のカバー28は穴のないディスクであるが、格子状の穴を設けてもよい。また、複数の金属線を平行に並べてカバー28とすることもできる。
【0057】
電解水ミスト発生器10Dの筐体11は、腕27aで支えやすくする目的もあって、図18に示すように、底面が平面11aとなっている。このため、支持ブラケット27から取り外した電解水ミスト発生器10Dをテーブル等の平面の上に置けば、そこで自立させることができる。電解水ミスト発生器10Dを扇風機1から離れた場所に置いて電解水ミストを発生させるときにこの構造は便利である。
【0058】
本実施形態では、平面11aに、紙面奥行き方向に延びるうね状の突起11bが左右方向に分散する形で計3個形成されている。突起11bの存在は電解水ミスト発生器10Dの自立状態を安定させるのに役立つ。
【0059】
次に、図20、21に基づき本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態の電解水ミスト発生器10Eは、第1実施形態の電解水ミスト発生器10Aと同様、前ガード9の
センターリム9aにねじ9cで固定されるものであるが、電解水ミストの発生の仕組みがこれまでの実施形態と異なる。すなわち電解水ミスト発生器10Eはリング状の筐体40を有し、筐体40は、下から三分の一程度の高さまでは水槽40a、そこから上は通風部40b(図21参照)となっている。筐体40の中心には軸受部41があり、ここに多孔ディスク42が回転自在に支持される。多孔ディスク42は中心に風車43を有し、それを取り囲むように多数の小孔42aが形成されている。小孔42aを形成した部分が、水槽40aの中の電解水に浸る。
【0060】
ファン7が風を送り出すと、それを受けた風車43にトルクが発生し、これにより多孔ディスク42が回転する。多孔ディスク42は小孔42aに水膜が張った状態で引き上げられ、それが通風部40bに入ると風圧で水膜が破れてミストが発生する。従って超音波振動子は不要であり、それを駆動する電力も不要となる。また風車43が多孔ディスク42を回転させるので、多孔ディスク回転用のモータが不要であり、それを駆動する電力も不要となる。このため、電解水ミスト発生器10Eは、他の実施形態の電解水ミスト発生器に比べて製造コストとランニングコストを低減できる。
【0061】
水槽40aの中の電解水は、外部で生成したものを注いでもよく、あるいは水槽40aの内部に電極を設けてその場で生成するようにしてもよい。
【0062】
上記各実施形態の電解水ミスト発生器10A、10B、10C、10D、10Eは、いずれも、正面形状が略円形とされているので、前ガード9の形状に良くマッチし、オーナメント代わりとすることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、扇風機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 扇風機
7 ファン
8 後ガード
9 前ガード
9a センターリム
9c ねじ
10A、10B、10C、10D、10E 電解水ミスト発生器
11 筐体
12 水槽
13 電装室
14 電極
15 給水口
16 キャップ
17 ミスト放出口
18 超音波振動子
19 ウィック
24 電池
27 支持ブラケット
28 カバー
31 リモートコントローラ
40 筐体
40a 水槽
40b 通風部
42 多孔ディスク
43 風車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前ガードのセンターリムに電解水ミスト発生器を取り付けたことを特徴とする扇風機。
【請求項2】
前記電解水ミスト発生器は、水槽と、前記水槽内の水を電解水とする電極と、前記水槽内の電解水をミスト化する超音波振動子を含むことを特徴とする請求項1に記載の扇風機。
【請求項3】
前記超音波振動子はメッシュ状であり、当該超音波振動子に、前記水槽から電解水を吸い上げるウィックを接触させることを特徴とする請求項2に記載の扇風機。
【請求項4】
前記電解水ミスト発生器は前記前ガードにねじで固定され、その動作電流は当該扇風機から供給されることを特徴とする請求項2または3に記載の扇風機。
【請求項5】
前記電解水ミスト発生器は内蔵電池を電源とすることを特徴とする請求項2または3に記載の扇風機。
【請求項6】
前記電解水ミスト発生器は前記前ガードに着脱自在であることを特徴とする請求項5に記載の扇風機。
【請求項7】
前記電解水ミスト発生器の筐体は、それを平面上に安定して立てることができる底面を有することを特徴とする請求項6に記載の扇風機。
【請求項8】
前記前ガードには、前記電解水ミスト発生器の取り外し跡がそのまま開口部となるのを防ぐカバーが設けられていることを特徴とする請求項6または7に記載の扇風機。
【請求項9】
前記電解水ミスト発生器は当該扇風機のリモートコントローラで動作制御されることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の扇風機。
【請求項10】
前記電解水ミスト発生器は、電解水を貯める水槽と、下部を前記水槽内の電解水に浸し、上部を当該扇風機の送風路中に置いた状態で回転自在に保持されている多孔ディスクと、当該扇風機の送風を受けて前記多孔ディスクに回転力を与える風車を含むことを特徴とする請求項1に記載の扇風機。
【請求項11】
前記電解水ミスト発生器の正面形状を略円形にしたことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の扇風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−137396(P2011−137396A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296884(P2009−296884)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】