説明

扉自動開閉装置

【課題】扉を開閉させる際に使用者の操作ミスによる誤操作が起きにくい扉自動開閉装置を提供すること。
【解決手段】スライド移動されて開口部5を開閉させるスライド扉7と、スライド扉7をスライド移動させる駆動モータ23と、駆動モータ23を回転駆動させるための制御手段と、を備える扉自動開閉装置であって、スライド扉7の前方側に近接される被検出体を検出する検出手段9をさらに備え、検出手段9は、スライド扉7の開閉方向に離間された複数箇所の検出位置に配置される被検出体を検出できるようになっており、制御手段は、検出手段9による各検出位置における被検出体の検出状態の時系列変化に基づいて、被検出体の移動方向を識別し、被検出体の移動方向にスライド扉7を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド移動されて開口部を開閉させるスライド扉と、該スライド扉をスライド移動させる駆動モータと、該駆動モータを回転駆動させるための制御手段と、を備える扉自動開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の引戸自動開閉構造には、赤外線信号を受信する受光部を備え、赤外線リモコンからの赤外線信号を受光部で受信することで、受光部からの電気信号に従って引戸を自動で開閉駆動させる引戸自動開閉構造がある。赤外線リモコンには、開ボタンと閉ボタンが設けられており、使用者は、これらのボタンを操作することによって引戸を開閉駆動させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−73632号公報(第3頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の引戸自動開閉構造(扉自動開閉装置)にあっては、使用者が赤外線リモコンの開ボタンまたは閉ボタンを操作して、引戸(スライド扉)を自動で開閉させるようになっており、引戸を開閉させるためには、いずれも同様なボタン操作を行うことから、開ボタンと閉ボタンを押し間違えて、意図した方向と逆方向に引戸が駆動してしまう虞があり、誤操作が起きるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、扉を開閉させる際に使用者の操作ミスによる誤操作が起きにくい扉自動開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の扉自動開閉装置は、
スライド移動されて開口部を開閉させるスライド扉と、該スライド扉をスライド移動させる駆動モータと、該駆動モータを回転駆動させるための制御手段と、を備える扉自動開閉装置であって、
前記スライド扉の前方側に近接される被検出体を検出する検出手段をさらに備え、該検出手段は、前記スライド扉の開閉方向に離間された複数箇所の検出位置に配置される前記被検出体を検出できるようになっており、前記制御手段は、前記検出手段による前記各検出位置における被検出体の検出状態の時系列変化に基づいて、該被検出体の移動方向を識別し、該被検出体の移動方向に前記スライド扉を移動させることを特徴としている。
この特徴によれば、使用者がスライド扉の前方側に、被検出体としての手を近接させた際に、検出手段により使用者の手が検出され、さらに使用者が手を、スライド扉を移動させたい方向に動かすと、スライド扉の開閉方向に離間された複数箇所の検出位置の検出状態が時系列的に変化するようになり、この各検出位置の検出状態の時系列変化に基づいて、制御手段が使用者の手の移動方向を識別できるようになり、使用者の手の動きと一致した方向にスライド扉を移動させることができ、使用者の意思動作の通りにスライド扉の開閉操作を自在に行うことができるようになり、使用者の操作ミスによる誤操作を防止することができる。尚、1箇所の検出位置にて被検出体が検出されたのみでは、スライド扉は開閉方向に移動されないため、使用者が不用意にスライド扉に近接しても、スライド扉が勝手に開閉動作されることがなくなり、スライド扉の誤動作も防止することができる。
【0007】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記被検出体の検出位置と、前記スライド扉の配置位置と、の相対的な位置が略一定となるように前記スライド扉を移動させる扉追従制御を行うことを特徴としている。
この特徴によれば、使用者がスライド扉の前方側で被検出体としての手を移動させた際に、使用者の手が移動している間はスライド扉が移動し続け、使用者の手の動きに追従してスライド扉が移動される。
【0008】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記制御手段は、前記扉追従制御時に、前記検出手段がいずれの検出位置においても被検出体を検出しない場合に、前記スライド扉を停止させることを特徴としている。
この特徴によれば、検出位置から被検出体としての手が離れた際に、スライド扉が自動的に停止されるようになり、手の動きによって使用者が意図した位置までスライド扉を移動させて、その位置にスライド扉を停止させることができる。
【0009】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記検出手段は、前記スライド扉の扉面に設けられて前記被検出体を非接触により検出できる検出センサを有していることを特徴としている。
この特徴によれば、検出センサが扉面にあることにより使用者の被検出体としての手の位置を検出し易くなるとともに、非接触式の検出センサであるため、使用者はスライド扉の扉面や検出センサに直接手を触れることなくスライド扉を開閉することができ、病院等の衛生的な環境を必要とする場所で使用する際に、使用者の手に対して雑菌等の付着を防ぐ衛生的な扉自動開閉装置とすることができる。
【0010】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記検出手段は、複数の検出センサを有し、該各検出センサが前記各検出位置に配置される前記被検出体を検出できるように配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、各検出センサは、それぞれに対応した検出位置に配置される被検出体としての使用者の手を検出できるセンサであればよいため、低コストで簡素な構成の検出センサを用いて使用者の手の移動方向を識別できる。
【0011】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記検出手段は、前記スライド扉の扉面に該スライド扉の開閉方向に沿って並設される複数の検出センサを有し、該複数の検出センサのうち少なくとも1つが、最初に被検出体を検出する基準センサとして構成されるとともに、他の検出センサが、前記基準センサに隣接して設けられた隣接センサと、該隣接センサよりも前記基準センサから離間されて設けられた離間センサと、により構成され、前記制御手段は、前記離間センサで前記被検出体が検出されたときに、前記隣接センサで前記被検出体が検出されたときよりも速い移動速度で前記スライド扉を移動させることを特徴としている。
この特徴によれば、基準センサが使用者の被検出体としての手の位置を検出し、その後、使用者が隣接センサまで手を移動させた場合と離間センサまで手を移動した場合とで、スライド扉の移動速度を変化させることができ、手の動きによって使用者が意図した速度でスライド扉を開閉させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における扉自動開閉装置を備えたキャビネットを示す斜視図である。
【図2】スライド扉に設けられた検出センサ群を示す拡大図である。
【図3】上部の駆動ユニットを示す横断平面図である。
【図4】上部と下部の駆動ユニットを示す縦断側面図である。
【図5】スライド扉の移動に伴う金属板と扉ブラケットの状態を示す概念図である。
【図6】使用者の手の移動方向を示す概念図である。
【図7】制御装置が行う扉自動開閉装置の制御処理を示すフローチャートである。
【図8】制御装置が行う扉自動開閉装置の手かざしモード処理を示すフローチャートである。
【図9】実施例2における扉自動開閉装置を備えたキャビネットを示す正面図である。
【図10】実施例3における扉自動開閉装置を備えたキャビネットを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る扉自動開閉装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係る扉自動開閉装置につき、図1から図8を参照して説明する。図1の符号1は、本発明に係る扉自動開閉装置を備えたキャビネットである。図4の紙面左側をキャビネットの正面側(前方側)とし、図3及び図5の紙面下側をキャビネットの正面側(前方側)として説明する。
【0015】
図1に示すように、キャビネット1は、床面から立設される左右の側板2,2と、後方側の後板3と(図4参照)、側板2及び後板3の上方に天板4と、を有し、前方側の一部が開口される略箱型形状に形成されている。キャビネット1の前方側は、中央より左側が開口する開口部5となっているとともに(図3参照)、中央より右側が前板6によって閉塞されている。
【0016】
キャビネット1には、前方側の開口部5を閉塞するスライド扉7が設けられており、スライド扉7が閉塞しているときには、スライド扉7と前板6は、略面一状態になっている。尚、後述するように、スライド扉7は略面一状態から前方に移動された後に、右方向に移動されることで開放され、左方向に移動され後方に移動されることで閉塞される。
【0017】
図2に示すように、スライド扉7の扉面8には、使用者の手(被検出体)を検出するための本発明における検出手段としての検出センサ群9と、検出センサ群9の検出に基づいて点灯するパイロットランプ群10が設けられている。
【0018】
この検出センサ群9は、第1〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eの5つの検出センサを有しており、扉面8の正面視において、左から右方向に向かって第1〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eの順に並設されている。
【0019】
尚、本実施例の第1〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eは、反射型光電センサとなっており、各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eは、それぞれ前方に近接される手を検出することができる。また、検出センサ群9の上部には、第1〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eにそれぞれ対応する第1〜第5パイロットランプ10a,10b,10c,10d,10eが並設されている。
【0020】
尚、後述するように、使用者は、検出センサ群9に手を近づけて左右方向に移動させることにより、スライド扉7を開閉させることができる。また、使用者は、扉面8に設けられた把持部11を操作することにより、手動でスライド扉7を開閉させることも可能になっている。
【0021】
また、各検出センサ9a,9b,9c,9d,9e同士の互いの離間寸法は、平均的な人間の手の横幅寸法よりも、若干幅広な寸法となっている。例えば、図6(a)に示すように、使用者が第1検出センサ9aに手をかざした際には、その手が同時に第2検出センサ9bを覆わないようになっている。そして、使用者が手を右方向に移動させて、その手が第1検出センサ9aから外れると、所定時間内に、手が第2検出センサ9bを覆うことができるようになっている。そのため、後述するように、使用者の手の移動とともに、並設される検出センサ9a,9b,9c,9d,9eを順次連続して検出することができるようになっている。
【0022】
図4に示すように、キャビネット1の内側には、上部と下部に仕切板12,12が設けられている。また、上部の仕切板12と天板4の間の空間、及び下部の仕切板12と底板13の間の空間には、スライド扉7を移動させるための扉自動開閉装置14を構成する駆動ユニット15が設けられている。
【0023】
上下の駆動ユニット15は、その構成を上下反転させた上下対称の略同一構成となっているので、上部側の駆動ユニット15について説明し、下部側の駆動ユニット15の説明を省略する。
【0024】
図3及び図4に示すように、仕切板12の前方側には、スライド扉7を左右方向に案内するための扉ガイドレール16が取り付けられている。この扉ガイドレール16には、レールに沿って左右方向に移動される左右移動部材17が設けられている。
【0025】
左右移動部材17の外側には、その上側を覆うように板状の扉ブラケット18が設けられており、その上面には、垂直方向に延びるピン19が設けられている。扉ブラケット18の前部には、スライド扉7が固着されている。即ち、スライド扉7と扉ブラケット18と左右移動部材17は同時に左右方向に移動されるようになっている。尚、扉ブラケット18は、左右移動部材17上で前後方向に移動可能になっている。
【0026】
図3に示すように、仕切板12の前後方向の中央部には、ワイヤ20を左右方向に案内するワイヤレール21が左右方向に延設されており、このワイヤレール21は、4つの固定部材22によって仕切板12に固定されている。ワイヤ20は、ワイヤレール21に沿って左右方向に移動可能になっているとともに、ワイヤ20は、仕切板12の後方側を介して一周するように配設されている。ワイヤ20の両端は、右後方に設けられた駆動モータ23を介して下部の駆動ユニット15に向かって延びている。
【0027】
ワイヤ20は、上部の駆動ユニット15から下部の駆動ユニット15に向かって延び、下部の駆動ユニット15のワイヤレール21に配設され、更に、下部の駆動ユニット15から上部の駆動ユニット15に戻るように配設されている。即ち、駆動モータ23が駆動された際に、ワイヤ20は、上部と下部のワイヤレール21上を同一方向に移動されるようになっている。尚、駆動モータ23は上部の駆動ユニット15にのみに設けられており、この1つの駆動モータ23により上下両駆動ユニット15,15が駆動されるようになっている。
【0028】
図4に示すように、ワイヤ20の所定箇所と連結されるワイヤ連結部材24が設けられており、このワイヤ連結部材24の前方側には、板状の金属板25が取り付けられている。この金属板25には、平面視で右側部から前方側に向かって斜め方向に延びるように切り欠かれて、一部が開口された略長孔状に形成された案内孔部26が形成されている。
【0029】
この案内孔部26の幅は、扉ブラケット18のピン19の直径よりも若干大きく形成され、金属板25が移動されると、ピン19が案内孔部26に側方から挿入され、ピン19が案内孔部26に沿って案内されるようになっている。尚、案内孔部26の前部側の形状は、左右に若干拡大された形状となっており、この案内孔部26の前部側がスライド扉7を左右方向に移動させる際に、ピン19が係合されるピン係合部27となっている(図3参照)。
【0030】
また、図3及び図4に示すように、天板4の内側には、金属板25を検出するリミットスイッチ28が設けられている。このリミットスイッチ28は、左右2つで1組のスイッチとなっており、制御装置(図示略)に接続されている。
【0031】
この左右に配置されたリミットスイッチ28のうち、いずれかのリミットスイッチ28が金属板25を検出するようになっている。このリミットスイッチ28の検出信号は、制御装置(図示略)に入力されるようになっている。このリミットスイッチ28の検出信号に基づいて、制御装置は、スライド扉7の全開状態及び全閉状態を把握できるようになっている。
【0032】
例えば、左側のリミットスイッチ28が金属板25を検出した場合には、スライド扉7は全閉されていると判断し、右側のリミットスイッチ28が金属板25を検出した場合には、スライド扉7は全開されていると判断するようになっている。後述するように、制御装置は、スライド扉7の開閉状態を把握し、駆動モータ23の駆動を制御するようになっている。
【0033】
尚、本実施例の全開とは、スライド扉7が右方向に移動される限界の位置まで移動され、開口部5を最も大きく開放する状態を示し、全閉とは、スライド扉7が左方向に移動される限界の位置まで移動されるとともに、前板6と略面一状態になって開口部5を閉塞する状態を示す。
【0034】
更に尚、本発明における扉自動開閉装置14は、スライド扉7と、制御装置(図示略)と、上下の駆動ユニット15と、検出センサ群9と、から構成されている。
【0035】
次に、図5を参照して、スライド扉7が開閉される際の駆動ユニット15及びスライド扉7の動作について説明する。
【0036】
図5(a)は、スライド扉7が閉塞されているときの状態を示している。金属板25は、扉ブラケット18のピン19よりも左側に位置しており、スライド扉7が閉塞されているときには、金属板25とピン19は係合していない。
【0037】
制御装置によって駆動モータ23が駆動されると、上下のワイヤ20が平面視で反時計回りに移動され、同時にワイヤ連結部材24とともに金属板25が右方向に移動される。
【0038】
金属板25の案内孔部26にピン19が係合し、さらにワイヤ20が移動されると案内孔部26に沿ってピン19が移動され、扉ブラケット18とスライド扉7が前方に移動される(図5(b)参照)。
【0039】
案内孔部26の端部に形成されたピン係合部27にピン19が係合すると、金属板25の右方向の移動とともにピン19が引っ張られ、扉ブラケット18とスライド扉7と左右移動部材17とが右方向に移動される(図5(c)参照)。尚、ピン19がピン係合部27に係合したときには、スライド扉7の後面が前板6の前面よりも前方に位置するように、案内孔部26が形成されている。
【0040】
尚、扉ガイドレール16が左右方向に延設されていることで、左右移動部材17が扉ガイドレール16上を左右方向に移動されるとともに、扉ブラケット18とスライド扉7が左右方向に直線上を移動するようになり、スライド扉7が左右方向に移動される際に、スライド扉7が前後方向にがたつかないようになっている。
【0041】
そして、右のリミットスイッチ28が金属板25の右端部を検出すると、制御装置によって駆動モータが停止され、スライド扉7が停止される。
【0042】
また、図5(c)の状態からスライド扉7が閉塞される際には、スライド扉7の開放時と逆方向の時計回りにワイヤ20が回転するように駆動モータ23が駆動され、金属板25が左方向に移動されるとともに、案内孔部26のピン係合部27に係合しているピン19が引っ張られ、扉ブラケット18とスライド扉7と左右移動部材17とが左方向に移動される。
【0043】
図5(b)のように、スライド扉7が左端まで移動されると、スライド扉7は停止されるようになる。スライド扉7が停止されても、ワイヤ20とともに金属板25が若干左方向に移動できるようになっており、扉ブラケット18のピン19が案内孔部26に沿って後方側に移動され、スライド扉7が後方側に移動されて閉塞される。
【0044】
そして、左のリミットスイッチ28が金属板25の左端部を検出すると、制御装置によって駆動モータ23が停止される。
【0045】
尚、金属板25が左右方向に移動されることによって、スライド扉7は前後方向と左右方向の移動が行われるため、スライド扉7が左右に移動される距離よりも、金属板25が左右に移動される距離のほうが長くなっている(図3参照)。
【0046】
次に、図6を参照して、使用者がスライド扉7を開閉させる際の、使用者の手の動きとスライド扉7の移動について説明する。本実施例におけるスライド扉7を開閉させる様式として、スライド扉7の全開または全閉のみを行う全開全閉モードと、手の動きにスライド扉7が追従する手かざしモードが備えられている。
【0047】
いずれの様式においても、図6に示すように、使用者が検出センサ群9に手を近づけ、各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eが手を検出することによってスライド扉7の開閉が制御されるようになっている。
【0048】
また、使用者がスライド扉7に手を近づけた際に、各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eと対応するパイロットランプ群10の各パイロットランプ10a,10b,10c,10d,10eが点灯されることによって、手が各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eに検出されていることを使用者が認識することができる。
【0049】
先ず、全開全閉モードについて説明する。最初に第1検出センサ9aまたは第5検出センサ9eが手を検出し、その検出信号が制御装置(図示略)に伝達されると、制御装置は全開全閉モードとしての制御を行う。
【0050】
スライド扉7が全開される全開操作を行う場合には、使用者は、第1検出センサ9aから第5検出センサ9eまで順番に手を移動させ(図6(a)参照)、検出センサ群9が第1検出センサ〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eの順番に手を検出すると、制御装置は、手の検出状態の時系列変化に基づいて、手が右方向に移動されたことを認識する。
【0051】
そして、制御装置によって、駆動モータ23が駆動され、ワイヤ20の前方部分が右方向に移動され、金属板25の案内孔部26に扉ブラケット18のピン19が係合して前方に移動されるとともに、スライド扉7は前方に引出される。更にワイヤ20が移動されるとスライド扉7は右方向に移動され、リミットスイッチ28が金属板25を検出し、スライド扉7が全開されたことが制御装置に伝達されると駆動モータ23が停止される。
【0052】
スライド扉7が全閉される全閉操作を行う場合には、使用者は、第5検出センサ9eから第1検出センサ9aまで順番に手を移動させ(図6(b)参照)、検出センサ群9が第5検出センサ〜第1検出センサ9e,9d,9c,9b,9aの順番に手を検出すると、制御装置は、手の検出状態の時系列変化に基づいて、手が左方向に移動されたことを認識する。
【0053】
そして、制御装置によって、駆動モータ23が駆動され、ワイヤ20の前方部分が左方向に移動され、スライド扉7が左端部まで移動されて更にワイヤ20が移動されると金属板25の案内孔部26に係合した扉ブラケット18のピン19が後方に移動され、スライド扉7は後方に移動される。リミットスイッチ28が金属板25を検出し、スライド扉7が全閉されたことが制御装置に伝達されると駆動モータ23が停止される。
【0054】
尚、スライド扉7が全開されている状態で全開操作が行われた場合や、スライド扉7が全閉されている状態で全閉操作が行われた場合には、駆動モータ23は駆動されないように制御されている。
【0055】
次に、手かざしモード(扉追従制御)について説明する。最初に第3検出センサ9cが手を検出し(図6(c)参照)、その検出信号が制御装置に伝達されると、制御装置は手かざしモードとしての扉追従制御を行う。手かざしモードでは、スライド扉7が全開または全閉位置以外のいずれの位置にあっても制御が行われる。
【0056】
使用者が第3検出センサ9cから右方向に手を移動させ、第4検出センサ9dが手を検出した場合には、制御装置は、手の検出状態の時系列変化に基づいて、手が右方向に移動されたことを認識する。そして、駆動モータ23が駆動され、ワイヤレール21上のワイヤ20とともに金属板25が右方向に移動され、スライド扉7の移動が行われる。
【0057】
使用者がさらに右方向に手を移動させ、第5検出センサ9eが手を検出した場合には、第4検出センサ9dが手を検出したときよりも駆動モータ23の駆動速度が速くなり、スライド扉7がより速い速度で移動される。
【0058】
また、第4検出センサ9dまたは第5検出センサ9eが手を検出している間は全開された場合若しくは再度第3検出センサ9cが手を検出した場合には、駆動モータ23の駆動が停止されるように制御されている。
【0059】
また、いずれの検出センサ9a,9b,9c,9d,9eも手を検出していない場合や、リミットスイッチ28によりスライド扉7が全開されたことを制御装置が認識した場合には、駆動モータ23の駆動が停止され、スライド扉7の移動が停止される。
【0060】
使用者が第3検出センサ9cから左方向に手を移動させ、第2検出センサ9bが手を検出した場合には、制御装置は、手の検出状態の時系列変化に基づいて、手が左方向に移動されたことを認識する。そして、駆動モータ23が駆動され、ワイヤレール21上のワイヤ20とともに金属板25が左方向に移動され、スライド扉7の移動が行われる。
【0061】
使用者がさらに左方向に手を移動させ、第1検出センサ9aが手を検出した場合には、第2検出センサ9bが手を検出したときよりも駆動モータ23の回転速度が速くなり、スライド扉7がより速い速度で移動される。
【0062】
また、全閉された場合、若しくは、再度第3検出センサ9cが手を検出した場合には、駆動モータ23の駆動が停止されるように制御されている。
【0063】
また、いずれの検出センサ9a,9b,9c,9d,9eも手を検出していない場合や、リミットスイッチ28によりスライド扉7が全閉されたことを制御装置が認識した場合には、駆動モータ23の駆動が停止されるように制御されている。
【0064】
ここで、手かざしモードにおいて第1検出センサ9a及び第5検出センサ9eが手を検出したときに駆動モータ23が駆動される速度を第1速度(速い速度)とし、第2検出センサ9b及び第4検出センサ9dが手を検出したときに駆動モータ23が駆動される速度を第2速度(遅い速度)とする。本実施例では、第1速度は、第2速度よりも速い速度となっている。
【0065】
このように、使用者の手の移動に伴ってスライド扉7を追従させることができ、かつ使用者が第3検出センサ9cから左右方向に手を移動させる速さに伴って、スライド扉7が移動する速度が変化するようになっている。
【0066】
尚、全開全閉モードと同様に、スライド扉7が全開されている状態でスライド扉7が右方向に移動される操作が行われた場合や、スライド扉7が全閉されている状態でスライド扉7が左方向に移動される操作が行われた場合は、制御装置によって、駆動モータ23は駆動されないように制御されている。
【0067】
全開全閉モード及び手かざしモードの制御によって、使用者が手を移動させる方向と、スライド扉7が移動される方向とが同一方向であるため、使用者の意思動作に一致したスライド扉の開閉を自在に行うことができる。
【0068】
次に、使用者がスライド扉7を開閉する際に、制御装置が行う扉自動開閉装置14の制御処理について、図7及び図8のフローチャートを参照して説明する。
【0069】
図7(a)に示すように、扉自動開閉装置14の制御処理では、先ず、Sa01のステップにおいて、制御装置は、第1検出センサ9aが0.5秒以上、手を検出したか否かを判定する。第1検出センサ9aが0.5秒以上、手を検出した場合には、Sa02のステップに進み、第1検出センサ9aが0.5秒以上、手を検出しなかった場合には、Sa04のステップに進む。
【0070】
尚、第1検出センサ9aが0.5秒以上、手を検出した場合には、第1パイロットランプ10aが点灯し、全開全閉モードとして操作可能になったことを使用者に報知する。
【0071】
Sa02のステップにおいて、制御装置は、所定時間内に、第1検出センサ9aから第2、第3、第4、第5検出センサ9b,9c,9d,9eの順に連続して検出したか否かを判定する。第1検出センサ9aから第2、第3、第4、第5検出センサ9b,9c,9d,9eの順に連続して検出した場合には、Sa03のステップに進む。また、制御装置は、所定時間内に、第1検出センサ9aから第2、第3、第4、第5検出センサ9b,9c,9d,9eの順に連続して検出しなかった場合には、扉自動開閉装置14の制御処理を終了してSa01のステップに戻る。
【0072】
尚、使用者が第1検出センサ9aから第2、第3、第4、第5検出センサ9b,9c,9d,9eの順に手を移動させると、それぞれ対応するように、第2、第3、第4、第5パイロットランプ10b,10c,10d,10eが点灯する。
【0073】
Sa03のステップにおいて、制御装置は、駆動モータ23を駆動させてスライド扉7を全開させ、扉自動開閉装置14の制御処理を終了してSa01のステップに戻る。尚、Sa02のステップにおいて、既にスライド扉7が全開された状態であれば、Sa03のステップの処理は行われずにSa01のステップに戻る。
【0074】
Sa04のステップにおいて、制御装置は、第5検出センサ9eが0.5秒以上、手を検出したか否かを判定する。第5検出センサ9eが0.5秒以上、手を検出した場合には、Sa05のステップに進み、第5検出センサ9eが0.5秒以上、手を検出しなかった場合には、Sa07のステップに進む。
【0075】
尚、第5検出センサ9eが0.5秒以上、手を検出した場合には、第5パイロットランプ10eが点灯し、全開全閉モードとして操作可能になったことを使用者に報知する。
【0076】
Sa05のステップにおいて、制御装置は、所定時間内に、第5検出センサ9eから第4、第3、第2、第1検出センサ9d,9c,9b,9aの順に連続して検出したか否かを判定する。第5検出センサ9eから第4、第3、第2、第1検出センサ9d,9c,9b,9aの順に連続して検出した場合には、Sa06のステップに進む。また、制御装置は、所定時間内に、第5検出センサ9eから第4、第3、第2、第1検出センサ9d,9c,9b,9aの順に連続して検出しなかった場合には、扉自動開閉装置14の制御処理を終了してSa01のステップに戻る。
【0077】
尚、使用者が第5検出センサ9eから第4、第3、第2、第1検出センサ9d,9c,9b,9aの順に手を移動させると、それぞれ対応するように、第4、第3、第2、第1パイロットランプ10d,10c,10b,10aが点灯する。
【0078】
Sa06のステップにおいて、制御装置は、駆動モータ23を駆動させてスライド扉7を全閉させ、扉自動開閉装置14の制御処理を終了してSa01のステップに戻る。尚、Sa05のステップにおいて、既にスライド扉7が全閉された状態であれば、Sa06のステップの処理は行われずにSa01のステップに戻る。
【0079】
そして、使用者がスライド扉7から手を遠ざけると、全ての検出センサ9a,9b,9c,9d,9eにより手が検出されなくなり、制御装置は、パイロットランプ群10の各パイロットランプは全て消灯し、スライド扉7の開閉操作が終了したことを使用者に報知する。
【0080】
このように、全開全閉モードでは、使用者は、検出センサ群9の前方でスライド扉7を移動させたい方向に手を移動させるだけで、手を移動させた方向にスライド扉7が移動され、全開操作または全閉操作を簡単に行うことができる。
【0081】
Sa07のステップにおいて、制御装置は、第3検出センサ9cが0.3秒以上、手を検出したか否かを判定する。第3検出センサ9cが0.3秒以上、手を検出した場合には、Sa08のステップに進み、第3検出センサ9cが0.3秒以上、手を検出しなかった場合には、扉自動開閉装置14の制御処理を終了してSa01のステップに戻る。
【0082】
つまり、同時に複数の検出センサが検出した場合や、第1検出センサ9aまたは第3検出センサまたは第5検出センサ9eが所定時間内に手を検出しなかった場合には、全開全閉モード及び手かざしモードのいずれの処理にも進まずに、スライド扉7の開閉操作は行われないようになっている。
【0083】
これにより、スライド扉7の前方を人が通過した場合や、スライド扉7の前方に人が立ち止まった場合など、検出センサ9a,9b,9c,9d,9eによる検出状態が手を検出したときと異なるような場合には、スライド扉7が勝手に開閉動作されることがなく、誤動作を防止することができる。
【0084】
尚、第3検出センサ9cが0.3秒以上、手を検出した場合には、第3パイロットランプ10cが点灯し手かざしモードとして操作可能になったことを使用者に報知する。
【0085】
Sa08のステップにおいて、制御装置は、手かざしモード処理を行う。この手かざしモード処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。先ず、Sb01のステップにおいて、制御装置は、所定時間内に、第1から第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eのうち、いずれか1つの検出センサ9a,9b,9c,9d,9eが手を検出したか否かを判定する。
【0086】
いずれか1つの検出センサ9a,9b,9c,9d,9eが手を検出した場合には、Sb02のステップに進み、いずれの検出センサも手を検出しなかった場合には、手かざしモード処理を終了し、Sa01のステップに戻る。つまり、同時に複数の検出センサが手を検出した場合や、使用者が検出センサ群9から手を離した場合には、駆動モータ23が停止されるようになっている。
【0087】
Sb02のステップにおいて、制御装置は、所定時間内に、第1検出センサ9aが手を検出したか否かを判定する。第1検出センサ9aが手を検出した場合には、Sb03のステップに進み、第1検出センサ9aが手を検出しなかった場合には、Sb05のステップに進む。尚、第1検出センサ9aが手を検出すると、第1パイロットランプ10aが点灯する。
【0088】
Sb03のステップにおいて、制御装置は、スライド扉7が全閉されているか否かを判定する。ここで、全閉されているか否かは、リミットスイッチ28により判定できる。
【0089】
スライド扉7が全閉されていない場合には、Sb04のステップに進み、スライド扉7が全閉されている場合には、Sb01のステップに戻る。
【0090】
Sb04のステップにおいて、制御装置は、第1速度(速い速度)で駆動モータ23を駆動させてスライド扉7を左方向に移動させ、Sb01のステップに戻る。
【0091】
Sb05のステップにおいて、制御装置は、所定時間内に、第2検出センサ9bが手を検出したか否かを判定する。第2検出センサ9bが手を検出した場合には、Sb06のステップに進み、第2検出センサ9bが手を検出しなかった場合には、Sb08のステップに進む。尚、第2検出センサ9bが手を検出すると、第2パイロットランプ10bが点灯する。
【0092】
Sb06のステップにおいて、制御装置は、スライド扉7が全閉されているか否かを判定する。ここで、全閉されているか否かは、リミットスイッチ28により判定できる。
【0093】
スライド扉7が全閉されていない場合には、Sb07のステップに進み、スライド扉7が全閉されている場合には、Sb01のステップに戻る。
【0094】
Sb07のステップにおいて、制御装置は、第2速度(遅い速度)で駆動モータ23を駆動させてスライド扉7を左方向に移動させ、Sb01のステップに戻る。
【0095】
Sb08のステップにおいて、制御装置は、所定時間内に、第4検出センサ9dが手を検出したか否かを判定する。第4検出センサ9dが手を検出した場合には、Sb09のステップに進み、第4検出センサ9dが手を検出しなかった場合には、Sb11のステップに進む。尚、第4検出センサ9dが手を検出すると、第4パイロットランプ10dが点灯する。
【0096】
Sb09のステップにおいて、制御装置は、スライド扉7が全開されているか否かを判定する。ここで、全開されているか否かは、リミットスイッチ28により判定できる。
【0097】
スライド扉7が全開されていない場合には、Sb10のステップに進み、スライド扉7が全開されている場合には、Sb01のステップに戻る。
【0098】
Sb10のステップにおいて、制御装置は、第2速度(遅い速度)で駆動モータ23を駆動させてスライド扉7を右方向に移動させ、Sb01のステップに戻る。
【0099】
Sb11のステップにおいて、制御装置は、所定時間内に、第5検出センサ9eが手を検出したか否かを判定する。第5検出センサ9eが手を検出した場合には、Sb12のステップに進み、第5検出センサ9eが手を検出しなかった場合には、手かざしモード処理を終了し、Sa01のステップに戻る。
【0100】
つまり、手かざしモード処理において、再度第3検出センサ9cが手を検出した場合には、駆動モータ23が停止されるようになっている。尚、第5検出センサ9eが手を検出すると、第5パイロットランプ10eが点灯する。
【0101】
Sb12のステップにおいて、制御装置は、スライド扉7が全開されているか否かを判定する。ここで、全開されているか否かは、リミットスイッチ28により判定できる。
【0102】
スライド扉7が全開されていない場合には、Sb13のステップに進み、スライド扉7が全開されている場合には、Sb01のステップに戻る。
【0103】
Sb13のステップにおいて、制御装置は、第1速度(速い速度)で駆動モータ23を駆動させてスライド扉7を右方向に移動させ、Sb01のステップに戻る。
【0104】
尚、前述したとおり、第1速度は第2速度よりも速い速度であるため、使用者は、第1検出センサ9aに手をかざしているときのほうが、第2検出センサ9bに手をかざしているときよりも速い速度でスライド扉7を左方向に移動させることができる。つまり、使用者は、手を左方向に大きく速く移動させることによって、スライド扉7を速く閉塞させることができる。
【0105】
同様に、使用者は、第5検出センサ9eに手をかざしているときのほうが、第4検出センサ9dに手をかざしているときよりも速い速度でスライド扉7を右方向に移動させることができる。つまり、使用者は、手を右方向に大きく速く移動させることによって、スライド扉7を速く開放させることができる。
【0106】
尚、手かざしモードにおける第3検出センサ9cが、本発明における基準センサとして構成され、第2検出センサ9b及び第4検出センサ9dが本発明における隣接センサとして構成され、第1検出センサ9a及び第5検出センサ9eが本発明における離間センサとして構成されている。
【0107】
また、手かざしモード処理では、使用者がスライド扉7から手を遠ざけて、いずれの検出センサ9a,9b,9c,9d,9eも検出しなかった場合に、処理を終了してスライド扉7を停止するようになっている。また、第1,2,4,5検出センサ9a,9b,9d,9eのうち、いずれかの検出センサ9a,9b,9d,9eによって使用者の手を検出中に、使用者が途中で手を所定の位置で停止させ、第3検出センサ9cが手を検出する状態になった場合も、処理を終了してスライド扉7を停止するようになっている。
【0108】
これにより、各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eから手が離れた際に、スライド扉7が自動的に停止されるようになり、手の動きによって使用者が意図した位置までスライド扉7を移動させて、その位置にスライド扉7を停止させることができる。
【0109】
このように、最初に手を検出した第3検出センサ9cの位置が、手が移動された位置に追従するようにスライド扉7が移動されて、第3検出センサ9cが検出する手の位置とスライド扉7の配置位置と、の相対的な位置が略一定となるようにスライド扉7が移動される本発明における扉追従制御が行われる。
【0110】
これにより、使用者がスライド扉7の前方側で手を移動させた際に、使用者の手が移動している間はスライド扉7が移動し続け、使用者の手の動きに追従してスライド扉7が移動される。
【0111】
尚、手かざしモードでは、検出センサ群9の各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eが検出しない場合には、パイロットランプ群10の各パイロットランプ10a,10b,10c,10d,10eは消灯する。
【0112】
以上、本実施例における扉自動開閉装置では、スライド扉7の前方側に近接される手を検出する検出センサ群9を備え、検出センサ群9は、スライド扉7の開閉方向に離間された第1〜第5検出センサ9eに配置される手を検出できるようになっており、制御装置は、検出センサ群9による各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eにおける手の検出状態の時系列変化に基づいて、手の移動方向を識別し、手の移動方向にスライド扉7を移動させることで、使用者がスライド扉7の前方側に、手を近接させた際に、検出センサ群9により使用者の手が検出され、さらに使用者が手を、スライド扉7を移動させたい方向に動かすと、スライド扉7の開閉方向に離間された第1〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eの検出状態が時系列的に変化するようになり、この各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eの検出状態の時系列変化に基づいて、制御手段が使用者の手の移動方向を識別できるようになり、使用者の手の動きと一致した方向にスライド扉7を移動させることができ、使用者の意思動作の通りにスライド扉7の開閉操作を自在に行うことができるようになり、使用者の操作ミスによる誤操作を防止することができる。尚、1つの検出センサ9a,9b,9c,9d,9eにて手が検出されたのみでは、スライド扉7は開閉方向に移動されないため、使用者が不用意にスライド扉7に近接しても、スライド扉7が勝手に開閉動作されることがなくなり、スライド扉7の誤動作も防止することができる。
【0113】
また、制御装置は、検出センサ群9により検出された手の位置と、スライド扉7の配置位置と、の相対的な位置が略一定となるようにスライド扉7を移動させる扉追従制御を行うことで、使用者がスライド扉7の前方側で手を移動させた際に、使用者の手が移動している間はスライド扉7が移動し続け、使用者の手の動きに追従してスライド扉7が移動される。
【0114】
また、制御装置は、扉追従制御時に、検出センサ群9がいずれの検出センサ9a,9b,9c,9d,9eにおいても手を検出しない場合に、スライド扉7を停止させることで、検出センサ9a,9b,9c,9d,9eから手が離れた際に、スライド扉7が自動的に停止されるようになり、手の動きによって使用者が意図した位置までスライド扉7を移動させて、その位置にスライド扉7を停止させることができる。
【0115】
また、検出センサ群9は、スライド扉7の扉面8に設けられて手を非接触により検出できる検出センサ9a,9b,9c,9d,9eを有していることで、検出センサ9a,9b,9c,9d,9eが扉面8にあることにより使用者の手の位置を検出し易くなるとともに、非接触式の検出センサ9a,9b,9c,9d,9eであるため、使用者はスライド扉7の扉面8や検出センサ9a,9b,9c,9d,9eに直接手を触れることなくスライド扉7を開閉することができ、病院等の衛生的な環境を必要とする場所で使用する際に、使用者の手に対して雑菌等の付着を防ぐ衛生的な扉自動開閉装置とすることができる。
【0116】
また、検出センサ群9は、複数の検出センサ9a,9b,9c,9d,9eを有し、各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eが手を検出できるように配置されることで、各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eは、それぞれの配置位置で使用者の手を検出できるセンサであればよいため、低コストで簡素な構成の検出センサ9a,9b,9c,9d,9eを用いて使用者の手の移動方向を識別できる。
【0117】
また、検出センサ群9は、スライド扉7の扉面8にスライド扉7の開閉方向に沿って並設される複数の検出センサ9a,9b,9c,9d,9eを有し、複数の検出センサ9a,9b,9c,9d,9eのうち第3検出センサ9cが、最初に手を検出する基準センサとして構成されるとともに、他の検出センサが、第3検出センサ9cに隣接して設けられた第2検出センサ9b及び第4検出センサ9dと、第2検出センサ9b及び第4検出センサ9dよりも第3検出センサ9cから離間されて設けられた第1検出センサ9a及び第5検出センサ9eと、により構成され、制御装置は、第1検出センサ9a及び第5検出センサ9eで手が検出されたときに、第2検出センサ9b及び第4検出センサ9dで手が検出されたときよりも速い移動速度でスライド扉7を移動させることで、第3検出センサ9cが使用者の手を検出し、その後、使用者が第2検出センサ9b及び第4検出センサ9dまで手を移動させた場合と第1検出センサ9a及び第5検出センサ9eまで手を移動した場合とで、スライド扉7の移動速度を変化させることができ、手の動きによって使用者が意図した速度でスライド扉7を開閉させることができる。
【実施例2】
【0118】
次に、実施例2に係る扉自動開閉装置につき、図9を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図9の符号1は、本発明に係る扉自動開閉装置を備えたキャビネット1である。
【0119】
図9に示すように、キャビネット1は、正面視で左側に設けられたスライド扉7を左右方向に移動させることにより開閉するようになっている。スライド扉7の上端と下端には、本発明における検出手段としての第1検出センサ29及び第2検出センサ30が左右方向に並設されている。
【0120】
第1検出センサ29及び第2検出センサ30は、上下2つで1組の検出センサをなす透過型の光電センサとなっており、上の第1検出センサ29及び第2検出センサ30は発光素子(図示略)を有し、下の第1検出センサ29及び第2検出センサ30は受光素子(図示略)を有している。
【0121】
これら発光素子と受光素子とは、互いに対向するように配置されており、発光素子から発される光を受光素子が受光できるようになっている。上端と下端の検出センサの間に被検出体としての手を置いて発光素子から発される光が遮断されると、検出センサが手を検出するようになっている。
【0122】
これらの検出センサ29,30が検出した検出信号が制御装置(図示略)に伝達され、制御装置は、駆動モータ23の駆動と停止を制御している。
【0123】
尚、前述した実施例1と同様に、駆動ユニット15が備えられており(実施例1の図4参照)、スライド扉7が開放される際には、スライド扉7は略面一状態から前方に移動された後に、右方向に移動されることにより開放される。また、スライド扉7が閉塞される際には、スライド扉7が左方向に移動された後に、後方に移動されて略面一状態となり閉塞されるようになっている。
【0124】
先ず、使用者がスライド扉7を開放させる際には、スライド扉7の前方で手を右方向に移動させると、第1検出センサ29が手を検出した後に、第2検出センサ30が手を検出し、制御装置(図示略)は、その時系列変化に基づいて手が右方向に移動されたことを認識して、駆動モータ23を駆動させてスライド扉7を右方向に移動させ、スライド扉7が全開される。
【0125】
また、スライド扉7と同時に、スライド扉7の上下端に設けられた第1検出センサ29及び第2検出センサ30も右方向に移動される。
【0126】
次に、使用者がスライド扉7を閉塞させる際には、スライド扉7の前方で手を左方向に移動させると、スライド扉7の上下端の第2検出センサ30が手を検出した後に、第1検出センサ29が手を検出し、制御装置(図示略)は、その時系列変化に基づいて手が左方向に移動されたことを認識して、駆動モータ23を駆動させてスライド扉7を左方向に移動させ、スライド扉7が全閉される。
【0127】
本実施例では、2組の光電センサを設けることにより、実施例1における全開全閉モードとしての制御を行うことができる。
【0128】
このように、透過型光電センサをスライド扉7の上下端に設置して発光素子から発される光は下方の受光素子に向かうようにすることで、キャビネット1の前方を人が通過した場合に検出センサ29,30が検出してスライド扉7が移動されてしまうなどの誤動作を防止することができる。
【実施例3】
【0129】
次に、実施例3に係る扉自動開閉装置につき、図10を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図10の符号1は、本発明に係る扉自動開閉装置を備えたキャビネット1である。
【0130】
図10に示すように、キャビネット1は、正面視で左側に設けられたスライド扉7を左右方向に移動させることにより開閉するようになっている。スライド扉7の扉面8には、スライド扉7を前方に移動させるための第1検出センサ31が設けられており、この第1検出センサ31は、反射型の光電センサとなっている。
【0131】
左の側板2には、第1検出センサ31とほぼ同じ高さに、本発明における検出手段としての第2検出センサ32が設けられており、この第2検出センサ32は、超音波センサとなっている。超音波センサ(第2検出センサ32)は、超音波を発信し、被検出体としての手に反射される超音波を再度受信し、この音波の発信から受信までの時間を計測することで、超音波センサ(第2検出センサ32)から手までの距離、すなわち手の位置を検出することができるようになっている。
【0132】
これらの検出センサ31,32が検出した検出信号が制御装置(図示略)に伝達され、制御装置は、駆動モータ23の駆動と停止を制御している。
【0133】
尚、前述した実施例1と同様に、駆動ユニット15が備えられており(実施例1の図4参照)、スライド扉7が開放される際には、スライド扉7は略面一状態から前方に移動された後に、右方向に移動されることにより開放される。また、スライド扉7が閉塞される際には、スライド扉7が左方向に移動された後に、後方に移動されて略面一状態となり閉塞されるようになっている。
【0134】
先ず、使用者がスライド扉7を開放させる際には、スライド扉7の扉面8に手を近づけて第1検出センサ31が手を検出すると、その検出信号が制御装置に伝達される。同時に第2検出センサ32が手の位置を検出し、所定時間経過後に、使用者が手を右方向に移動させて第2検出センサ32が使用者の手の位置を検出すると、第2検出センサ32が検出した手の位置の検出情報が制御装置に伝達され、制御装置は、その検出情報に基づいて手が右方向に移動されたことを認識する。
【0135】
そして、制御装置は、駆動モータ23を駆動させてスライド扉7が右方向に移動され、第1検出センサ31が再度手を検出すると、制御装置は、駆動モータ23を停止させてスライド扉7が停止されるようになっている。
【0136】
次に、使用者がスライド扉7を閉塞させる際には、スライド扉7の扉面8に手を近づけて第1検出センサ31が手を検出すると、その検出信号が制御装置に伝達される。同時に第2検出センサ32が手の位置を検出し、所定時間経過後に、使用者が手を左方向に移動させて第2検出センサ32が使用者の手の位置を検出すると、第2検出センサ32が検出した手の位置の検出情報が制御装置に伝達され、制御装置は、その検出情報に基づいて手が左方向に移動されたことを認識する。
【0137】
そして、制御装置は、駆動モータ23を駆動させてスライド扉7が左方向に移動され、第1検出センサ31が再度手を検出すると、制御装置は、駆動モータ23を停止させてスライド扉7が停止されるようになっている。
【0138】
本実施例では、第1及び第2検出センサ31,32を光電センサと超音波センサとで構成することにより、前述した実施例1における手かざしモードとしての制御を行うようになっている。
【0139】
このように、第1検出センサ31の位置が、手が移動された位置に追従するようにスライド扉7が移動されて、第1検出センサ31が検出する手の位置と、スライド扉7の配置位置と、の相対的な位置が略一定となるようにスライド扉7が移動される本発明における扉追従制御が行われる。
【0140】
これにより、使用者がスライド扉7の前方側で手を移動させた際に、使用者の手が移動している間はスライド扉7が移動し続け、使用者の手の動きに追従してスライド扉7が移動される。
【0141】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0142】
例えば、前記実施例1では、左右方向に開閉させるスライド扉7としているが、開閉する方向は左右に限らず、上下方向に開閉させるスライド扉7とし、上下方向に複数の検出センサ9a,9b,9c,9d,9eを配置してもよい。
【0143】
また、前記実施例1〜3では、正面視で右側は前板6により閉塞し、左側のみにスライド扉7を設けているが、左右両側にスライド扉7を設け、両方のスライド扉7が開閉するようにしてもよい。その場合には、左側のスライド扉7を駆動させる駆動ユニット15は上部に設け、右側のスライド扉7を駆動させる駆動ユニット15は下部に設けることで左右のスライド扉7の扉ブラケット18が互いに干渉し合わずに済むようになる。
【0144】
また、前記実施例1では、使用者は、最初に第3検出センサ9cが0.3秒以上、手を検出した場合に、手かざしモードとしての制御が行われるようにしているが、第2検出センサ9bや第4検出センサ9dが0.3秒以上、手を検出した場合にも、手かざしモードとしての制御が行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 キャビネット
5 開口部
7 スライド扉
8 扉面
9 検出センサ群(検出手段)
9a 第1検出センサ(検出センサ,離間センサ)
9b 第2検出センサ(検出センサ,隣接センサ)
9c 第3検出センサ(検出センサ,基準センサ)
9d 第4検出センサ(検出センサ,隣接センサ)
9e 第5検出センサ(検出センサ,離間センサ)
14 扉自動開閉装置
15 駆動ユニット
23 駆動モータ
29 第1検出センサ(検出手段,検出センサ)
30 第2検出センサ(検出手段,検出センサ)
31 第1検出センサ
32 第2検出センサ(検出手段,検出センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド移動されて開口部を開閉させるスライド扉と、該スライド扉をスライド移動させる駆動モータと、該駆動モータを回転駆動させるための制御手段と、を備える扉自動開閉装置であって、
前記スライド扉の前方側に近接される被検出体を検出する検出手段をさらに備え、該検出手段は、前記スライド扉の開閉方向に離間された複数箇所の検出位置に配置される前記被検出体を検出できるようになっており、前記制御手段は、前記検出手段による前記各検出位置における被検出体の検出状態の時系列変化に基づいて、該被検出体の移動方向を識別し、該被検出体の移動方向に前記スライド扉を移動させることを特徴とする扉自動開閉装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記被検出体の検出位置と、前記スライド扉の配置位置と、の相対的な位置が略一定となるように前記スライド扉を移動させる扉追従制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の扉自動開閉装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記扉追従制御時に、前記検出手段がいずれの検出位置においても被検出体を検出しない場合に、前記スライド扉を停止させることを特徴とする請求項2に記載の扉自動開閉装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記スライド扉の扉面に設けられて前記被検出体を非接触により検出できる検出センサを有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の扉自動開閉装置。
【請求項5】
前記検出手段は、複数の検出センサを有し、該各検出センサが前記各検出位置に配置される前記被検出体を検出できるように配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の扉自動開閉装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記スライド扉の扉面に該スライド扉の開閉方向に沿って並設される複数の検出センサを有し、該複数の検出センサのうち少なくとも1つが、最初に被検出体を検出する基準センサとして構成されるとともに、他の検出センサが、前記基準センサに隣接して設けられた隣接センサと、該隣接センサよりも前記基準センサから離間されて設けられた離間センサと、により構成され、前記制御手段は、前記離間センサで前記被検出体が検出されたときに、前記隣接センサで前記被検出体が検出されたときよりも速い移動速度で前記スライド扉を移動させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の扉自動開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−74617(P2011−74617A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225198(P2009−225198)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】