説明

把持装置

【課題】基板上に実装されるワークを把持する把持装置において、ワークを基板へ実装したときの接合部温度を検知し、最適な接合温度によるワークと基板との接合を可能とする把持装置を提供する。
【解決手段】基板40上に実装されるワーク30を把持する把持装置10において、ワークに接触する把持部材20a、20bと、把持部材に設けられ、基板とワークとの接合部43a、43bの温度を検知する温度検知機構21a、21bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを把持する把持部材に温度検知機構が設けられた把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を把持するための把持装置の従来例として、特許文献1(特開2007−90454号公報)記載の物品把持装置がある。図17は、特許文献1記載の物品把持装置の構成を示す正面図である。この物品把持装置510では、把持部材520a、520bにおいて、ワーク530(物品)を把持する規定の支点521a、521b、521c、521dの近傍に温度検知センサ522a、522b、522c、522dをそれぞれ設けることにより、ワーク530が斜めの状態で把持される等の把持不良を検出することを目的としている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−90454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の物品把持装置では、ワーク530の把持不良を検出するために、正常把持時、および、把持不良時の温度を検知することを目的としている。そのため、ワーク530を基板上へ実装する際のワークと基板との接合部の温度を検知することは考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、基板上に実装されるワークを把持する把持装置において、ワークと接触する把持部材に温度検出機構を設けることにより、ワークを基板へ実装したときの接合部温度を検知することが可能となり、さらには検知した接合部温度の情報に基づいて最適な接合温度によるワークと基板との接合を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の把持装置は、基板上に実装されるワークを把持する把持装置において、ワークに接触する把持部材と、把持部材に設けられ、基板とワークとの接合部の温度を検知する温度検知機構と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
本発明の把持装置において、温度検知機構は、把持部材内に埋め込まれていることが好ましい。
【0008】
本発明の把持装置において、温度検知機構は、把持部材の側面に設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明の把持装置において、温度検知機構は、把持部材における接合部に最も近い位置に設けられているとよい。
【0010】
本発明の把持装置において、温度検知機構は、接合部に接触することで該接合部の温度を検知することが好ましい。
【0011】
本発明の把持装置は、接合部に熱を与える加熱手段と、所定の温度領域を規定する少なくとも2つの温度閾値を記憶するメモリ手段と、温度検知機構により検知した温度と温度閾値とを比較し、接合部の温度が温度領域内となるよう加熱手段を制御する制御手段と、をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる把持装置は、基板上に実装されるワークを把持する把持装置において、ワークと接触する把持部材に温度検出機構を設けることにより、ワークを基板へ実装したときの接合部温度を検知することが可能となり、さらには検知した接合部温度の情報に基づいて最適な接合温度によるワークと基板との接合を可能とする技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる把持装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
まず、図1から図5に示す第1の実施形態に係る把持装置10について説明する。図1は把持装置10の概観構成を示す斜視図である。図2は把持部材20aの構成を示す斜視図である。図3は把持部材20aの構成を示す側面図である。図4はワーク30に対する把持部材20a、20bの配置を示す上面図である。
【0014】
把持装置10は、ワーク30と接触する一対の把持部材20a、20bと、把持部材20a、20bを駆動する把持部材駆動部11と、により構成されている。把持部材20a、20bは、図1に示すように、把持部材駆動部11により開閉が可能な構成となっている。把持部材20a、20bの形状は四角柱状、棒状などであってもよい。また、把持部材20a、20bの材質例としては、リン青銅、タングステン、ステンレス鋼などが挙げられる。さらに、把持部材20a、20bの開閉方式については、例えば、一方の把持部材が固定された開閉方式、把持部材20a、20bが図示しない支点を中心に開閉する開閉方式、把持部材20a、20bが把持装置10の中心軸に対して並行に移動開閉する開閉方式などが挙げられる。
【0015】
図2から図4に示すように、把持部材20aには熱電対21aが埋め込まれている。熱電対21aは、温度検知機能を有する部分である熱電対温度検知部24aと、素線23aと、素線23aを束ねる被覆部22aにより構成されている。また、熱電対温度検知部24aで検知した温度情報は素線23aを介して、図示しない温度表示機器へ伝達される。このような熱電対21aは、リード線熱電対と呼ばれる。熱電対温度検知部24aは、基板40に垂直な方向において基板40と最も近接する位置に配置されるとともに、基板40と平行な面内においてワーク30と最も近接する位置に配置されている。このような配置により、熱電対温度検知部24aは、ワーク30と基板40との接合部に最も近くなる構成となっている。
【0016】
図4に示すように、把持部材20bも把持部材20aと同様に構成されている。すなわち、把持部材20b内に熱電対22bが埋め込まれており、熱電対22bには、リード線23bを介して熱電対温度検知部24bが接続されている。熱電対温度検知部24bも、熱電対温度検知部24aと同様に、ワーク30と基板40との接合部に最も近くなる構成となっている。
【0017】
なお、上述の説明では温度検知機構としてリード線熱電対を用いた例を記載したが、薄膜熱電対などを用いても構わない。
【0018】
図5は、把持装置10を用いたワーク実装の様子を示した斜視図である。
基板40上には電極42a、42bが設けられ、さらに、電極42a、42b上には、ワーク30と電極42a、42bとを接合する接合部材43a、43bが設けられている。また、基板40は、加熱手段としてのヒータステージ45上に載置される。なお、ワーク30と基板40とを接合する接合部としては、接合部材43a、43b、電極42a、42b、ワーク30の基板40側の面、基板40のワーク30側の面を含むことができる。
【0019】
ここで、基板40としては、例えば、ガラスエポキシ基板をはじめとする樹脂基板、セラミック基板、Si基板、ガラス基板などを挙げることができる。電極42a、42bとしては、例えばアルミ、銅、金などの材質が用いられる。また、接合部材43a、43bとしては、例えば熱硬化型接着剤や半田などが挙げられる。
【0020】
ワーク30は、把持部材駆動部11により駆動された把持部材20a、20bの開閉動作により把持され、接合部材43a、43b上に搭載される。その後、加熱手段としてのレーザ光源50a、50bから出射されるレーザ光52a、52bが、接合部材43a、43bにそれぞれ照射される。接合部材43a、43bは、レーザ光52a、52bによる加熱、ヒータステージ45による加熱、又は、レーザ光52a、52bによる加熱とヒータステージ45による加熱の併用により、溶融、あるいは、硬化し、これによりワーク30が基板40に接合される。なお、レーザ光52a、52bの照射位置、即ち加熱対象は把持部材20a、20bでもよいし、ワーク30でもよいし、電極42a、42bでもよいし、基板40でもよい。
【0021】
第1の実施形態に係る把持装置10によれば、把持部材20a、20bに埋め込まれた熱電対21a、21bによりワーク30と基板40との接合部の温度を把握することが可能となる。したがって、最適な接合温度によるワーク30と基板40との接合が可能となる。したがって、把持装置にはワークと接触する把持部材が設けられるとともに、把持部材には基板とワークとの接合部温度を検知することが可能な温度検知機構が設けられている。これにより、基板へのワーク実装時において、ワークと基板との接合部の温度を検知することが可能となり、さらには検知した接合部温度の情報をもとに最適な接合温度によるワークと基板との接合が可能となる。
【0022】
(第2の実施形態)
次に、図6から図8を参照しつつ第2の実施形態に係る把持装置110について説明する。図6および図7は、把持部材120aの構成を示す側面図であり、図6は把持部材120aで把持されたワーク30を基板40上へ搭載する前の状態を表し、図7は把持部材120aで把持されたワーク30を基板40上へ搭載した後の状態を表している。また、図8は把持部材120aの構成を示す正面図である。なお、第1の実施形態に係る把持装置10と同様に、第2の実施形態に係る把持装置110も一対の把持部材を備える。また、第1の実施形態に係る把持部材20a、20bのように、把持装置110の把持部材においても一対の把持部材は互いに略対称な構成となっている。このため、以下の説明では一方の把持部材120aについて説明し、他方の把持部材についての説明は省略する。
【0023】
第2の実施形態に係る把持装置110は、第1の実施形態に係る把持装置10と比較して、熱電対温度検知部124a、素線123a、及び被覆部122aからなる熱電対121aが、把持部材120aの外面に配置されている点が異なる。
より具体的には、熱電対121aの温度検知機能を有する部分である熱電対温度検知部124aが、基板40に垂直な方向において、把持部材120aの側面および稜線のうち最も接合部材43aに近くなる稜線上に配置されている。つまり、基板40に垂直な方向において、接合部材43aと把持部材120aとの最短距離よりも、接合部材43aと熱電対温度検知部124aとの最短距離の方が小さい構成となっている。また、熱電対温度検知部124aは、基板40と平行な面内においてワーク30と最も近接する位置に配置されておりワーク30と基板40との接合部に最も近くなる構成となっている。これにより、ワーク30を基板40へ搭載したときに熱電対温度検知部124aが接合部材43aと接触させることが可能となり、レーザ光52aあるいはヒータステージ45により接合に必要な熱を与える際のワーク30と基板40との接合部の温度を検知することが可能な構成となる。
【0024】
なお、第2の実施形態にかかる把持装置110では、温度検知機構としてリード線熱電対を用いた例を記載したが、薄膜熱電対などを用いても構わない。
【0025】
第2の実施形態に係る把持装置110によれば、ワーク30と基板40との接合部の温度を把握することが可能となるとともに、ワーク30と基板40との実装時において、熱電対温度検知部124a、124bを接合部材43a、43bに接触させワーク30と基板40との接合部温度を直接測定することが可能となり、第1の実施形態に係る把持装置10よりもさらに正確な接合部温度を把握することが可能となる。さらに、熱電対121a、121bによりワーク30と基板40との接合部の温度を直接把握することができるため、第1の実施形態に係る把持装置10よりもさらに最適な接合温度によるワーク30と基板40との接合が可能となる。したがって、最適な接合温度によるワークと基板との接合が可能となる。また、温度検知機構が、基板とワークとの接合部に接触することで、接合部の温度を検知するため、基板へのワーク実装時において、ワークと基板との接合部温度を直接測定できるため、より正確に温度を検知することが可能となり、これにより、さらに最適な接合温度によるワークと基板との接合が可能となる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1の実施形態と同様である。
【0026】
(第3の実施形態)
つづいて、図9から図14を参照しつつ、第3の実施形態について説明する。図9から図14は、第3の実施形態に係る把持装置210の把持部材220aの構成を示す斜視図である。図9は把持部材220aの上側面220a1に熱電対221aを配置した形態を、図10は把持部材220aの右側面220a2に熱電対221aを配置した形態を、図11は把持部材220aの左側面220a3に熱電対221aを配置した形態を、図12は把持部材220aの下側面220a4に熱電対221aを配置した形態を、図13は把持部材220aの上側面220a1に熱電対221aの被覆部222aを配置するとともに、把持部材220aの前側面220a5に熱電対温度検知部224aを配置した形態を、図14は把持部材220aの左側面220a3に熱電対221aを配置した形態を、それぞれ示す。なお、第1の実施形態に係る把持装置10と同様に、第3の実施形態に係る把持装置210も一対の把持部材を備える。また、第1の実施形態に係る把持部材20a、20bのように、把持装置210の把持部材においても一対の把持部材は互いに略対称な構成となっている。このため、以下の説明では一方の把持部材220aについて説明し、他方の把持部材についての説明は省略する。
【0027】
第3の実施形態に係る把持装置210は、第1の実施形態に係る把持装置10と比較して、熱電対温度検知部224a、素線223a、及び被覆部222aからなる熱電対221aが、把持部材220aの側面に配置されている点が異なる。なお、ここでいう側面とは、直方体状の把持部材220aを構成する5つの面220a1、220a2、220a3、220a4、220a5を含むものとする。
【0028】
図9に示す例では、把持部材220aの側面のうち基板40と反対側の上側面220a1に熱電対221aが配置されている。ここで、熱電対温度検知部224aは、可能な限りワーク30と基板40との接合部に近い位置へ配置されている。また、図10に示す例では、把持部材220aの側面のうちワーク30と反対側の右側面220a2に熱電対221aが配置されている。ここで、熱電対温度検知部224aは、可能な限りワーク30と基板40との接合部に近い位置へ配置されている。これらの構成では、ワーク30と基板40との接合部の温度がワーク30および把持部材220aを介して検出される。そのため、把持部材220aは熱伝導率の高い部材を用いることにより接合部の温度検出時間が短縮され、例えば、タングステンを用いてもよいし、また、タングステン、リン青銅、ステンレス鋼などの金属部材に金や銀による表面処理を行ったものを用いてもよい。
【0029】
図11に示す例では、把持部材220aの側面のうちワーク30の側の左側面220a3に熱電対221aが配置されている。ここで、熱電対温度検知部224aは、可能な限りワーク30と基板40との接合部に近い位置へ配置されている。この構成では、ワーク30と基板40との接合部の温度がワーク30を介して検出される。そのため、接合部の温度検出時間が短縮される。
【0030】
図12に示す例では、把持部材220aの側面のうち基板40の側の下側面220a4に熱電対221aが配置されている。ここで、熱電対温度検知部224aは、可能な限りワーク30と基板40との接合部に近い位置へ配置されている。この構成では、ワーク30と基板40との接合部の温度を接合部に近い位置で検出することができるため、接合部の温度を短時間で、かつ、正確に検出することが可能である。
【0031】
図13に示す例では、把持部材220aの側面のうち把持装置10と反対側の上側面220a1に熱電対221aの被覆部222aが配置され、かつ、熱電対温度検知部224aが前側面220a5に配置されている。すなわち、熱電対温度検知部224aは、可能な限りワーク30と基板40との接合部に近い位置へ配置されている。この構成では、ワーク30と基板40との接合部の温度を接合部に近い位置で検出することができ、かつ、熱電対温度検知部224aとワーク30、熱電対温度検知部224aと基板40、熱電対温度検知部224aと接合部材43a、それぞれの干渉に対する熱電対温度検知部224a配置の設計自由度が高い。
【0032】
図14は、形状が一定でない異形ワーク32を把持部材220aにより把持する場合の実施形態を示している。図14に示す形態では、把持部材220aの側面のうち異形ワーク32の側の左側面220a3に熱電対221aが配置されている。ここで、熱電対温度検知部224aは、可能な限り異形ワーク32と基板40との接合部に近い位置へ配置されている。さらに、熱電対温度検知部224aの面積は把持部材220aと異形ワーク32とが接触する面積よりも大きな構成としている。この構成では、形状が一定でない異形ワーク32に対しても確実に熱電対温度検知部224aと接触することが可能となる。
【0033】
第3の実施形態では温度検知機構としてリード線熱電対を用いた例を記載したが、薄膜熱電対などを用いても構わない。
【0034】
第3の実施形態に係る把持装置210によれば、基板40へのワーク30の実装時において、ワーク30と基板40との接合部の温度を検知することが可能となるとともに、熱電対221a、221bが設けられた把持部材220a、220bを有する把持装置210の作製が容易となる。したがって、最適な接合温度によるワーク30と基板40との接合が可能となるとともに、熱電対221a、221bを容易に、かつ、ワーク30と基板40との接合部に近い位置に設けることができるため、安価な把持装置の提供が可能となる。したがって、温度検知機構が、把持部材の側面において基板とワークとの接合部に最も近い位置に設けられていることにより、基板へのワーク実装時において、ワークと基板との接合部の温度を検知することが可能となるとともに、温度検知機構が設けられた把持部材を有する把持装置の作製が容易となる。これにより、最適な接合温度によるワークと基板との接合が可能となるとともに、安価な把持装置の提供が可能となる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1の実施形態と同様である。
【0035】
(第4の実施形態)
次に、図15から図16を参照しつつ、第4の実施形態に係る把持装置310について説明する。図15は、把持装置310の構成を示す斜視図である。なお、把持装置310が備える把持部材320a、320bは、上述の第1〜第3の実施形態に係る把持部材を適用可能であるため、その詳細な説明は省略する。
【0036】
第4の実施形態に係る把持装置310は、第1から第3の実施形態と比較して、把持部材駆動部311にメモリ装置312及び処理回路313が組み込まれている点が異なる。メモリ手段としてのメモリ装置312は、予め規定した温度閾値を複数記憶することができる。メモリ装置312としては、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、DRAMなどを用いる。また、制御手段としての処理回路313は、熱電対21a、21bの熱電対温度検知部24a、24bにより検出したワーク30と基板40との接合部温度と、メモリ装置312に記憶されている温度閾値とを比較し、その比較結果によりレーザ光源50a、50bあるいはヒータステージ45(図5)を制御する。処理回路313は、例えばCPU(中央演算処理装置)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いてよい。
【0037】
図16は、把持装置310の熱電対21a、21bの熱電対温度検知部24a、24bにより検出した具体的な温度プロファイルを示している。メモリ装置312に記憶される温度閾値としては、少なくとも、閾値T1、T2、T3、T4がある。これらの閾値のうち、閾値T1と閾値T4との間の領域が、処理回路313によって制御される所定の温度領域となる。閾値T1はワーク30やその周辺部品など耐熱温度などから設定された温度閾値である。閾値T2は、この温度をオーバーするとレーザ光源50a、50bあるいはヒータステージ45の出力を下げるために設定された温度閾値である。閾値T3は、この温度をアンダーするとレーザ光源50a、50bあるいはヒータステージ45の出力を上げるために設定された温度閾値である。閾値T4は接合部材の融点などから設定された温度閾値である。例えば、ワーク30として半導体素子がパッケージされた電子部品、接合部材43a、43bとして半田(組成:Sn(スズ)−3.0Ag(銀)−0.5Cu(銅))を用いた場合、閾値T1は電子部品固有の耐熱温度から設定されおおよそ260〜270℃、閾値T4は半田の融点215〜225℃が設定され、閾値T2は閾値T1を越えないように、また、閾値T3は閾値T4を超えないように予め実験などにより設定される。
【0038】
熱電対21a、21bの熱電対温度検知部24a、24bにより検出したワーク30と基板40との接合部温度がメモリ装置312に設定されている閾値T2を超えたときは、処理回路により、接合部の温度を下げるように、レーザ光源50a、50b及び/又はヒータステージ45の動作が制御される。具体的には、レーザ光の出射量が減少され、若しくは、出射が停止され、及び/又は、ヒータステージ45の出力を下げるよう制御される。これにより、接合部温度は、電子部品の耐熱温度(260〜270℃)などから設定された閾値T1を超えることがなくなる。
【0039】
また、接合部温度が閾値T3を下回ったときは、処理回路により、接合部の温度を上げるように、レーザ光源50a、50b及び/又はヒータステージ45の動作が制御される。具体的には、レーザ光源50a、50bからのレーザ光の出射量を増大し、及び/又は、ヒータステージ45の出力を上げるよう制御される。この制御により、接合部温度は、半田の融点(215〜225℃)などから設定された閾値T4を超えることがない。さらに、接合部温度が閾値T2から閾値T3の間にあるときには、接合部温度がこの閾値間内にあるように、処理回路313は、レーザ光源50a、50b及びヒータステージ45を制御する。
【0040】
第4の実施形態に係る把持装置310によれば、ワーク30と基板40との接合部の温度を把握することが可能となるとともに、最適接合温度範囲内での熱供給が可能となる。したがって、最適な接合温度によるワーク30と基板40との接合が可能となるとともに、ワーク30と基板40との接合部の温度範囲を管理できるため、最適接合温度範囲内でのワーク30と基板40との接合が可能となる。したがって、基板とワークとの接合部に熱を与える加熱手段と、特定の温度領域を規定する少なくとも2つ以上の温度閾値を記憶するメモリ手段と、温度検知機構により検知した温度と温度閾値とを比較し、基板とワークとの接合部温度が温度領域内となるよう加熱手段が制御されることから、基板へのワーク実装時において、ワークと基板との接合部の温度を検知することが可能となるとともに、最適接合温度範囲内での熱供給が可能となる。これにより、最適な接合温度によるワークと基板との接合が可能となるとともに、最適接合温度範囲内でのワークと基板との接合が可能となる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1の実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明にかかる把持装置は、基板上に微小なワークを接合する際に有用であり、最適な接合温度においてワークと基板とを接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態に係る把持装置の概観構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る把持部材の構成を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る把持部材の構成を示す側面図である。
【図4】ワークに対する把持部材の配置を示す上面図である。
【図5】第1の実施形態に係る把持装置を用いたワーク実装の様子を示した斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係る把持部材の構成を示す側面図であり、把持部材で把持されたワークを基板上へ搭載する前の状態を表す図である。
【図7】第2の実施形態に係る把持部材の構成を示す側面図であり、把持部材で把持されたワークを基板上へ搭載した後の状態を表す図である。
【図8】第2の実施形態に係る把持部材の構成を示す正面図である。
【図9】第3の実施形態に係る把持部材の構成を示す斜視図である。
【図10】第3の実施形態に係る把持部材の構成を示す斜視図である。
【図11】第3の実施形態に係る把持部材の構成を示す斜視図である。
【図12】第3の実施形態に係る把持部材の構成を示す斜視図である。
【図13】第3の実施形態に係る把持部材の構成を示す斜視図である。
【図14】第3の実施形態に係る把持部材の構成を示す斜視図である。
【図15】第4の実施形態に係る把持装置の構成を示す斜視図である。
【図16】第4の実施形態に係る把持装置の熱電対温度検知部により検出した温度プロファイルを示すグラフである。
【図17】従来の物品把持装置の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 把持装置
11 把持部材駆動部
20a、20b 把持部材
21a、21b 熱電対(温度検知機構)
22a、22b 被覆部(温度検知機構)
23a、23b 素線(温度検知機構)
24a、24b 熱電対温度検知部(温度検知機構)
30 ワーク
32 異形ワーク
40 基板
42a、42b 電極
43a、43b 接合部材(接合部)
45 ヒータステージ(加熱手段)
50a、50b レーザ光源(加熱手段)
52a、52b レーザ光
110 把持装置
120a 把持部材
121a 熱電対(温度検知機構)
122a 被覆部(温度検知機構)
123a 素線(温度検知機構)
124a 熱電対温度検知部(温度検知機構)
210 把持装置
220a 把持部材
220a1 上側面
220a2 左側面
220a3 右側面
220a4 下側面
220a5 前側面
221a 熱電対(温度検知機構)
222a 被覆部(温度検知機構)
223a 素線(温度検知機構)
224a 熱電対温度検知部(温度検知機構)
310 把持装置
320a、320b 把持部材
311 把持部材駆動部
312 メモリ装置(メモリ手段)
313 処理回路(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に実装されるワークを把持する把持装置において、
前記ワークに接触する把持部材と、
前記把持部材に設けられ、前記基板と前記ワークとの接合部の温度を検知する温度検知機構と、
を備えたことを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記温度検知機構は、前記把持部材内に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記温度検知機構は、前記把持部材の側面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項4】
前記温度検知機構は、前記把持部材における前記接合部に最も近い位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の把持装置。
【請求項5】
前記温度検知機構は、前記接合部に接触することで該接合部の温度を検知することを特徴とする請求項1に記載の把持装置
【請求項6】
前記接合部に熱を与える加熱手段と、
所定の温度領域を規定する少なくとも2つの温度閾値を記憶するメモリ手段と、
前記温度検知機構により検知した温度と前記温度閾値とを比較し、前記接合部の温度が前記温度領域内となるよう前記加熱手段を制御する制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の把持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−87413(P2010−87413A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257381(P2008−257381)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】