説明

抑鬱性障害の治療

【課題】抑鬱性障害の治療
【解決手段】
本発明は、抑鬱性障害の治療のための、炭酸脱水酵素活性化因子;タンパク質キナーゼC活性化因子及びFGF-18の使用を提供する。また本発明は、抑鬱性障害の治療のための化合物をスクリーニング及び同定するための、改善された動物モデル及び方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習及び記憶を改善する化合物による抑鬱性障害の治療に関する。特に、本発明は、抑鬱性障害の治療における医薬品として、炭酸脱水酵素活性化因子、タンパク質キナーゼC活性化因子及び線維芽細胞増殖因子の分野に関する。また本発明は、抑鬱性障害のための動物モデルの分野にも関連する。
【背景技術】
【0002】
A.うつ病及び伝統的な治療
うつ病は、年齢及び性別の別なく個人に発症する、最も広く普及した精神病の形態の一つである(Gainotti et al. (2001) J. NeuralNeurosurg. Psychiatr. 71: 258-261; Wong et al. (2001) Nature Rev. Neurosci. 2: 343-351; Nestler et al. (2002) Neuron 34: 13-25)。一生の大うつ病の危険性は、一般に男性で約12%、女性で約25%である(Kessler et al. (1994) Arch. Gen. Psychiatry 51: 8)。加えて、第一次治療(primary care)環境にある全患者の約5〜10%が、大うつ病を呈しており、他方で患者の約3〜5%が情緒異常と診断されている(Barrett et al. (1988)Arch. Gen.Psychiatry 45: 1100)。しかしながら、入院患者において、全患者の10〜14%が、大うつ病と診断されている(Blackburn et al. (1997) Br. J. Psychiatry 171: 328)。大うつ病は循環するために、特に無力でありある程度有害である。大うつ病の患者の再発の割合は、最初の発症後2年の間で約40%である。再発の発生率は、大うつ病の二回目の発症の診断後5年以内で約75%に上昇する(Solomon et al. (2000) Am. J. Psychiatry 157: 229)。
【0003】
抑鬱性障害は、最も一般には次の3つの分類の化合物を処置される:1) モノアミンオキシダーゼ阻害剤;2) 複素環式抗うつ剤;及び3) 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRIs)。現在処方されている抗うつ剤は、多くの副作用があることが知られている。モノアミンオキシダーゼ阻害剤は、臨床的に用いられる抗うつ剤の第一の分類であった。モノアミンオキシダーゼ阻害剤は、イソカルボキサジド、フェネルジン、及びトラニルシプロミンを含み、フェニルエチルアミンの代謝及びドーパミン、セロトニン及びノレピネフィリン(norepinephrine)の異化反応を阻害する。高血圧症、頭痛、筋クローヌス性のけいれん、睡眠中断、及び胃腸管系の合併症を含む広範な副作用がある、モノアミンオキシダーゼ阻害剤の使用に伴う多くの食事制限のために、モノアミンオキシダーゼ阻害剤は、現在は第一線の抗うつ剤としては使用されていない。三環系抗うつ薬は、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプリン(nortrypline)、アミトリプリン(amitrypline)、デキセピン(doxepin)及びプロトリプリン(protrypline)を含むが、これは種々のコリン作用抑制性の副作用、傾眠、起立性低血圧、心不整脈及び体重増加を生じる。モノアミンオキシダーゼ阻害剤及び三環系抗うつ薬よりも一般に穏やかであるとはいえ、SSRIもまた多くの副作用を生じる。例えば、フルオキセチン、パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、及びシタロプラムを含むSSRIは、胃腸障害、神経過敏(jitteriness)、動揺及び睡眠中断を伴う。
【0004】
伝統的な抗うつ薬物に付随する多くの副作用に加えて、それらの治療は、有効性がわずかであるということによっても特徴付けられる。大うつ病の抗うつ剤治療の有効性におけるいくつかの研究は、急性疾患の治療又は維持療法は、50〜60%の応答率であると結論づけた(Schulberg et al. (1998) Arch. Gen. Psychiatry 55: 1121)。抗うつ剤及びプラセボの間の平均絶対応答率は、約20-25%である(Williams et al. (2000) Ann. Intern. Med. 132: 743)。従って、現在でも新しい抗うつ剤治療が必要とされている。
【0005】
多くの抗うつ剤治療の、ときに重篤で有害な副作用とわずかな有効性とを考えると、うつ病の治療に伴う副作用を生じることなく有効にうつ病を治療する、改良された製薬が強く望まれる。本発明は、抑鬱性障害を治療するための治療の新しい分類として、学習及び記憶を増強又は改善する化合物を同定している。
【0006】
B.炭酸脱水酵素
炭酸脱水酵素−二酸化炭素及び重炭酸イオンの転換を触媒する亜鉛-含有酵素は、脳を含む体内の至る所に存在する(Sun et al. (2002) Trends inPhann. Sci. 23 (2): その全てが参照によって本明細書に援用される)。ヒトの7つのイソ酵素の最も活性な炭酸脱水酵素IIは、赤血球、グリア細胞及び脳神経において主に見出される、23.9 kDaの酵素である(Id.)。pH制御、重炭酸イオン再吸収及び二酸化炭素呼息への関与に加えて、炭酸脱水酵素は、シグナル処理、長期間のシナプス変換及び記憶貯蔵の注意的な(attentional)ゲート開閉において、重大な役割を果たす(Id.)。
【0007】
炭酸脱水酵素機能障害は、精神遅滞、アルツハイマー病、及び認知障害に関連している。反対に、炭酸脱水酵素の活性化は、学習及び記憶の改善を立証している (Id.; 米国特許仮出願番号PCT/US02/13784; PCT/US03/07102; 60/287,721; 60/362,081; 10/172,005; 及び10/476,459; それぞれ、その全内容が参照によって本明細書に援用される)。しかしながら、本開示より以前に、炭酸脱水酵素が媒介する学習及び記憶の改善については、抑鬱性障害の治療のための機構としては認識されていなかった。近年の生化学研究が、炭酸脱水酵素の活性化因子として同定された3つのSSRI、フルオキセチン、セルトラリン及びシタロプラムの、単離された炭酸脱水酵素を用いているにも関わらず、それらの実験は、炭酸脱水酵素の活性化が、それによって抑鬱性障害の症状が寛解される機構であるということを実証しなかった(Casini et al. (2003) Bioorg. Med. Chem. Lett. 13: 2765-2768)。
【0008】
炭酸脱水酵素活性は、リアノジン受容体が媒介するシグナル伝達経路を含むシグナル伝達経路によって制御される。リアノジン受容体を通してのカルシウムの細胞内放出には、例えば、GABAが媒介するシナプスのスイッチが関与する(Sun et al. (2002) Trends in Pharmacol. Sci. 23 (2): 83-89)。CA1ピラミダル細胞中のリアノジン受容体の活性化は、脱分極誘発性のカルシウムローディングと合わせて、GABAが媒介する応答を変換し、その影響はリアノジン-受容体アンタゴニスト又は炭酸脱水酵素阻害剤によってブロックされる(Sun et al. (2000) Proc.Nat'l Acad. SciUSA 97: 12300-12305)。しかしながら、炭酸脱水酵素に及ぼすカルシウムの影響は、間接的であるように見える。例えば、初期の研究は、カルシウムが、ヒスタミン及び他の薬剤による、精製された炭酸脱水酵素又は胃粘膜の炭酸脱水酵素のいずれかの活性化を増強することを示している (Puscas et al. (1996) J. Pharmacol. Exp. Ther. 277: 1464-1466)。加えて、ベラパミルによる炭酸脱水酵素の投与量依存性阻害もまた、カルシウムを炭酸脱水酵素の活性化に結びつける。さらに、ヒト骨髄単球性細胞において、炭酸脱水酵素IIの合成は、タンパク質キナーゼCによって活性化される (Sun et al. (2002) Trends in Pharmacol. Sci. 23(2):- 83-89) 。従って、PKCが媒介する炭酸脱水酵素合成の増大は、結果として抗うつ薬の効果を有する炭酸脱水酵素活性を増大させることができる。
【0009】
C.タンパク質キナーゼC
PKCは、非受容体スレオニンタンパク質キナーゼの最も大きな遺伝子ファミリーの一つとして確認されている。80年代初期のニシヅカ及び共同研究者によるPKCの発見(Kikkawa et al. (1982) J. Biol. Chem. 257: 13341) のため、及び、ホルボールエステルの主要な受容体としてのその同定 (Ashendel et al. (1983) Cancer Res.、43: 4333) のため、生理学的なシグナル伝達機構の多くがこの酵素に帰されてきた。PKCへの強烈な関心は、カルシウム及びジアシルグリセロール(及びそのホルボールエステル擬態)によってインビトロで活性化されるその独特の能力に由来し、それが形成する作動体は、増殖作用及び分化要因によってリン脂質代謝回転に結び付けられる。
【0010】
PKCの活性化は、学習及び記憶の改善を示してた (米国特許仮出願番号PCT/US02/13784; PCT/US03/07102; 60/287,721; 60/362,081; 10/172,005;及び10/476,459;それぞれその全ての内容が参照により本明細書に援用される) 。しかしながら、本開示より以前には、PKCが媒介する学習及び記憶の改善は、抑鬱性障害の治療のための機構としては認識されてこなかった。また、ここで開示されたPKC活性化−特に学習及び記憶を改善するそれらの化合物−は、抗うつ活性を有するとは認識されていなかった。
【0011】
D.線維芽細胞増殖因子-18 (FGF-18)
線維芽細胞増殖因子-18 (FGF-18)は、学習及び記憶を改善すると示されてきた(米国特許仮出願番号 60/429,321及びPCT/IB03/05408、これらはその全内容が、参照によって本明細書に援用される)。FGF-18のその同族の受容体への結合が、PKC及び炭酸脱水酵素の両方に関係するPKCが媒介するシグナル伝達を活性化させる。本開示より以前には、FGF-18が媒介する学習及び記憶の改善は、抑鬱性障害の治療のための機構としては認識されていなかった。また、FGF-18も抗うつ剤活性を有するとは認識されていなかった。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0012】
本発明は、抑鬱性障害の治療のための、学習及び記憶を増強又は改善する、新しい分類の治療、化合物及び組成物を提供する。本発明は、学習及び記憶を増強又は改善する化合物を含む組成物の投与を含む、抑鬱性生涯の治療方法を提供する。
【0013】
本発明は、下記工程を具備する方法を提供する;
a) 抑鬱性障害を有する被検者を同定すること;及び、b) 炭酸脱水酵素活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を前記被検者に投与すること、ここにおいて、該炭酸脱水酵素活性化因子は、以下から成る群から選択される:
【化4】

【0014】
式中R1はH又はOHであり;R2及びR3は独立して、H、COOH又は低級アルキル、例えば、直鎖、分枝鎖又は環状のC1-C6アルキル又はC1-C4アルキルであり;及び、Arはフェニル、イミジゾリル(imidizolyl)又はフェニル又は1以上のハロ、ヒドロキシ、アミノ又は低級アルキル基、例えば直鎖、分枝鎖又は環状のC1-C6基又はC1-C4アルキル基で置換されたイミジゾリルである;
【化5】

【0015】
式中 R1及びR2は独立して、H又は低級アルキル、例えば直鎖、分枝鎖又は環状のC1-C6アルキル又はC1-C4アルキルである;
【化6】

【0016】
式中 nは1又は2であり、及びR2はH又は低級アルキル、例えば直鎖、分枝鎖又は環状のC1-C6アルキル又はC1-C4アルキルである;及び、I、II、又はIIIの薬学的に許容される塩。本発明の一つの態様において、該活性化因子は構造Iを有し、ここでR1はH又はOHであり;R2はH、CH3又はCOOHであり;R3はH又はCH3であり;及びArはフェニル、又は置換されたフェニルである。好ましい態様において、前記置換されたフェニルは4-ヒドロキシフェニル、4-フルオロフェニル、4-アミノフェニル、3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル、又は3,4-ジヒドロキシフェニルである。
【0017】
本発明はまた、ここで開示される炭酸脱水酵素活性化因子の誘導体及び類似体を用いる方法を考慮し、ここで該誘導体及び類似体は、炭酸脱水酵素活性効果の効力を増大させ、他のターゲットと比較して炭酸脱水酵素への特異性を増大させ、毒性を減少させ、経口剤形における安定性を改良し、及び/又は、血液脳関門を通過する化合物(プロドラッグ)の能力を増強させる。誘導体は、一覧された化合物から側鎖を付加又は除去することによって形成された化合物である。類似体は、炭酸脱水酵素の結合サイトに関して増強された類似の物理的及び/又は化学的な性質を有する、化合物の構造変異体である。本発明の誘導体及び類似体は、本発明の活性化因子化合物を被検者の脳に送達することができるものである。
【0018】
本発明の一つの態様において、前記炭酸脱水酵素活性化因子は、アラニンの少なくとも約110、115、125、135、150、170、180、190、200、210、220、220、230、240及び250%の、神経細胞の炭酸脱水酵素活性を提供する。
【0019】
一つの態様において、本発明の活性化因子は、構造I、II又はIIIの芳香族アミン又は芳香族アミノ酸である。好ましい態様において、該活性化因子は、神経細胞内の炭酸脱水酵素を活性化する。他の態様において、該活性化因子は、炭酸脱水酵素IIをインビトロで、アラニンより1.5〜2倍活性化する。
【0020】
本発明の他の態様において、前記活性化因子は、構造Iを有し、ここでR1 はH又はOHであり;R2 はH、CH3又はCOOHであり;R3 はH又はCH3であり;及びArはイミダゾール又は置換されたイミダゾールである。好ましい態様において、置換されたイミダゾールは、イミダゾール-4-イル-、又は5-メチルイミダゾール-4-イル-である。
【0021】
好ましい態様において、該活性化因子は、イミダゾール、フェニルアラニン、置換されたエチルアミン、フェネチルアミン、ヒスタミン、ヒスチジン、連鎖ジ-イミダゾール(linked di-imidazole)、トリアゾール、及び薬学的に許容されるそれらの塩から成る群から選択される。より好ましくは、該活性化因子はヒスチジン;ヒスタミン;フェニルアラニン;4-ヒドロキシフェニルアラニン;4-フルオロフェニルアラニン;3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン;3-アミノ-4-ヒドロキシフェニルアラニン;4-アミノフェニルアラニン;チロシン;ドーパミン;ノルアドレナリン;アドレナリン又は5-メチルヒスタミンである。
【0022】
また、本発明は、a)抑鬱性障害を有する被検者を同定すること;及びb)炭酸脱水酵素活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を前記被検者に投与することの工程を具備する方法を提供し、ここで、前記活性化因子は構造IIを有し、さらにR1 はH、メチル、エチル又はプロピルであり;及びR2 はH又はメチルである。一つの態様において、該活性化因子は、炭酸脱水酵素IIをインビトロでアラニンより1.5〜2倍活性化する。
【0023】
また、本発明は、a) 抑鬱性障害を有する被検者を同定すること;及びb) 炭酸脱水酵素活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を前記被検者に投与することの工程を具備する方法を提供し、ここにおいて該活性化因子は構造IIIを有し、さらに式中nは1又は2であり;及びR2 はH又はメチルである。一つの態様において、該活性化因子は、炭酸脱水酵素IIをインビトロでアラニンより1.5〜2倍活性化する。
【0024】
また、本発明は、うつ病の治療を必要とする被検者においてうつ病を治療する方法を提供し、該方法は、炭酸脱水酵素活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を投与することを含み、ここで、該活性化因子は、芳香族アミン又は芳香族アミノ酸から成る群から選択され、ここにおいて該芳香族アミン又は芳香族アミノ酸は単一の芳香族基を含む。一つの態様において、該芳香族アミン又は芳香族アミノ酸は、炭酸脱水酵素IIを、アラニンより1.5〜2倍活性化する。好ましい態様において、該活性化因子は、フェニルアラニン、置換されたフェニルアラニン、ヒスチジン、置換されたヒスチジン、置換されたフェニルアラニンイミダゾール、置換されたイミダゾール、連鎖ジ-イミダゾール、及び連鎖置換ジ-イミダゾールから成る群から選択される芳香族アミノ酸である。好ましくは、該活性化因子は、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン,及び5-メチル ヒスタミンからなる群より選択される芳香族アミンである。
【0025】
本発明は、工程a) 抑鬱性障害を有する被検者を同定すること、及びb) タンパク質キナーゼC活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を該被検者に投与することを含む方法を提供し、ここにおいて該PKC活性化因子はFGF-18、大環状ラクトン、ベンゾラクタム、ピロリジノン、又はそれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましい態様において、前記大環状ラクトンはブリオスタチン又はネリスタチンである。さらに好ましい態様において、該ブリオスタチンは、ブリオスタチン-1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17及び18から成る群から選択される。最も好ましくは、該ブリオスタチンは、ブリオスタチン-1であり、該ネリスタチンはネリスタチン-1である。
【0026】
また、本発明は、うつ病の治療を必要とする被検者においてうつ病を治療する方法を提供し、該方法は、タンパク質キナーゼC活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を投与することを含み、ここにおいて該活性化因子は、FGF-18、大環状ラクトン、ベンゾラクタム、ピロリジノン、又はそれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましい態様において、該大環状ラクトンはブリオスタチン又はネリスタチンである。さらに好ましい態様において、該ブリオスタチンは、ブリオスタチン-1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17及び18から成る群から選択される。最も好ましくは、該ブリオスタチンはブリオスタチン-1であり、該ネリスタチンはネリスタチン-1である。
【0027】
また、本発明は、うつ病の治療を必要とする被検者においてうつ病を治療する方法を提供し、該方法は、以下の一以上を含む組成物の有効量を投与することを含む:タクリン(商品名COGNEX(登録商標)で販売)、ベルナクリン(velnacrine)、ドネペジル(donepezil)(商品名ARICEPT(登録商標)で販売)、ガランタミン(商品名REMINYL(登録商標)で販売)、メマンチン(memantine)(商品名NAMENDA(登録商標)で販売)、又は薬学的に許容されるそれらの塩。
【0028】
また、本発明は、以下の工程を含む、抗うつ活性のための薬剤をスクリーニングする方法を提供する:
a)試験被検者に薬学的に許容される担体中の薬剤を投与すること、及び、対照被検者に前記薬学的に許容される担体を投与すること:
b)前記試験被検者及び対照被検者をそれぞれ水のプールに入れ、試験期間の間に水泳した距離及び/又は持続時間を測定すること;及び
c)試験被検者の水泳の距離又は持続時間を、対照被検者と比較すること、ここにおいて、対照被検者と比較して増加した試験被検者の水泳の距離又は持続時間が、抗うつ活性を示す。
【0029】
好ましい態様において、該水プールは円形である。好ましくは、該プールは100〜200 cmの直径を有する。より好ましくは、該プールは150 cmの直径を有する。好ましくは、前記プールは逃避できないものである。
【0030】
他の態様において、工程(a)、(b)、及び(c)が繰り返される。好ましくは、該工程は3回繰り返される。
【0031】
本発明の抗うつ活性の薬剤をスクリーニングする方法において、水泳の距離及び/又は持続時間は好ましくはビデオによる手段で測定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
A.定義
本明細書で用いられる組成物の「投与」とは、経口、皮下、腹腔内、及び筋肉内を含む任意の経路の投与を含む。
【0033】
本明細書で用いられるように、「芳香族」という用語は、仮定上の局在構造のものよりも著しく大きな安定性で環状に接合した分子実体を意味する。ここで用いられるように、芳香族化合物は、多環式及び複素環式の化合物を含む。
【0034】
本明細書で用いられる組成物の「炭酸脱水酵素活性化因子」とは、亜鉛結合水において又はその近くで、炭酸脱水酵素に結合することによって、炭酸脱水酵素によって触媒される反応の割合を上昇させる物質を意味する。
【0035】
本明細書で用いられる「抑鬱性障害」とは、大うつ病、情緒異常、及び非定型のうつ病又は他で特定できないうつ病を意味する。
【0036】
本明細書で用いられる「有効量」とは、抑鬱性障害に付随する一以上の症状を減少するのに十分な量である。
【0037】
本明細書で用いられる「タンパク質キナーゼC活性化因子」又は「PKC活性化因子」とは、タンパク質キナーゼCに結合することによって、タンパク質キナーゼCによって触媒される反応の割合を上昇させる物質を意味する。
【0038】
本明細書で用いられる「単一の芳香族基」とは、唯一つの単環基又は一つの多環式芳香族基を意味する。
【0039】
本明細書で用いられる「被検者」とは哺乳類を意味する。
【0040】
本明細書で用いられる「置換されたイミダゾール」とは、イミダゾール環に付加した一以上の置換基を有するイミダゾール部分を意味する。
【0041】
本明細書で用いられる「置換されたフェニル」という用語は、フェニル環に付加した一以上の置換基を有するフェニル部分を意味する。
【0042】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」という用語は、前記活性成分が組み合わされ、そして組み合わせに続いて、前記活性成分を被検者に投与されるために用いられることができる化学的組成物を意味する。
【0043】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」とは、これらに限定されないが、以下の一以上を含む:賦形剤;界面活性剤;分散助剤;不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤;結合剤;潤滑剤;甘味剤;調味剤;着色剤;防腐剤;ゼラチンのような生理的分解可能組成物;水溶性溶媒及び溶媒;油性溶媒及び溶媒;懸濁剤;分散剤又は湿潤剤;乳化剤、粘滑薬;緩衝液;塩;増粘剤;賦形剤;乳化剤;抗酸化薬;抗生物質;抗真菌剤;安定化剤;及び薬学的に許容される重合体の又は疎水性の物質。本発明の薬学的組成物において含まれ得る他の「さらなる成分」は、当該分野で既知であり、例えば「Genaro、ed. 、1985、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co. 、Easton、Pa.」(参照によって本明細書に援用される)に開示されている。
【0044】
本明細書に記載された薬学的組成物の製剤は、薬理学の分野において知られているか又は下記で開示される任意の方法によって調製されることができる。一般に、そのような準備の方法は、活性成分を担体又は一以上の他の補助成分と接触させ、次いで、必要であるか望ましい場合に、該産物を所望の単回又は複数回投与量ユニットに形づくるか又は包装する工程を含む。
【0045】
本明細書で提供される薬学的組成物の記載は、原則的にヒトへの倫理的な投与に適切である薬学的組成物に向けられているが、そのような組成物が全ての種類の動物に投与されるのに一般に適していることは、技術者には理解されるであろう。ヒトに投与されるのに適した薬学的組成物を、種々の動物に投与されるのに適した組成物を得るために改変することは、よく理解されており、通常の技術を有する獣医学の薬理学者は、たとえあったとしても単なる通常の実験によってそのような改変を設計し実行することができる。本発明の薬学的組成物を投与される被検者は、これらに限定されないが、ヒト及び他の霊長類、及び他の動物を含むと考えられる。
【0046】
本発明の薬学的組成物における、活性成分、薬学的に許容される担体、及び任意のさらなる成分の相対量は、治療される被検者の個性、サイズ、及び状態に依存して変動し、さらに、該組成物が投与される経路にも依存して変動する。例えば、該組成物は、0.1%〜100% (w/w)の活性成分を含むことが出来る。活性成分に加えて、本発明の薬学的組成物は、さらに、一以上のさらなる薬学的に活性な薬剤を含んでよい。特に考慮される添加剤は、抗催吐薬及びシアニド及びシアナートスカベンジャーのようなスカベンジャーを含む。本発明の薬学的組成物の、制御されたか又は持続された放出の製剤は、従来の技術を用いて作製されることが出来る。
【0047】
該化合物の投与のための有効量は、神経細胞のシグナル経路の細胞中の炭酸脱水酵素活性を増強するものである。動物、好ましくはヒトに投与されうる本発明の化合物の典型的な投与量は、動物の体重1キログラム当り本発明の開示を確認して1 mg〜約100グラムの範ある。投与される詳細な投与量は、これらに限定されないが、動物の種類及び治療される疾患の状態の種類、動物の年齢及び投与経路を含む任意の多くの要因に依存して変動する。好ましくは、該化合物の投与量は、動物の体重1キログラム当たり約1 mg〜約10 gで変動する。より好ましくは、該投与量は、動物の体重1キログラム当り約10 mg〜約1 gで変動する。最も好ましくは、該投与量は、動物の体重1キログラム当たり50〜100 mgであり、1日に3回、経口的に投与される。
【0048】
ヒト投薬の予測的なラット投薬から推定して、ヒトを治療するためのフェニルアラニン (50 mM)又はイミダゾール (0.5 M)薬剤の有効量は、1日に3回摂取される0.1、0.3、1、3又は10 ml/kg体重の当量を含みうる。
【0049】
本発明は、炭酸脱水酵素活性化効果の効力を増大させ、他のターゲットと比較して炭酸脱水酵素に対する特異性を増大させ、毒性を減少させ、経口剤形における安定性を改善し、及び/又は血液脳関門を通過するための化合物(プロドラッグ)の能力を増強させた、それらの化合物の誘導体及び類似体を包含する。誘導体は、一覧にされた化合物に側鎖を追加するか除去するかによって形成された化合物である。類似体は、炭酸脱水酵素の結合サイトに関して、増強された同様の物理的及び/又は化学的な性質を有する、化合物の構造変異体である。本発明の誘導体及び類似体は、本発明の活性化因子化合物を被検者の脳へ輸送することができるものである。
【0050】
該化合物は、1日に数回の頻度で動物に投与されてよく、或いは、1日に1回、週に1回、2週間に1回、1月に1回、またはさらに少ない頻度で、例えば数ヶ月に1回又は1年に1回またはそれより少ない頻度で、投与されてもよい。投与の頻度は、当業者には容易に明らかであり、これらに限定されないが、治療されるべき記憶、注意又は学習の欠乏のタイプと重篤度、動物のタイプと年齢などのような任意の多くの要因に依存する。
【0051】
B.抑鬱性障害
抑鬱性障害は、大うつ病、情緒異常、及び非定型のうつ病又は他の規定のないうつ病(「小うつ病(minor depression)」)の診断を包含する。抑鬱性障害の異なるサブグループは、「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、Fourth Edition (DSM-IV)」 (American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th Ed., Primary Care Version (DSM-IV-PC) 米国精神医学協会出版(American Psychiatric Association Press、Washington、DC 1995)によって分類され定義される。DSM-IVに従って、「大うつ病」の診断は、患者が、診断の期間に以下の9つの症状の少なくとも5つを呈することが要求される:1)日のほとんどの抑うつ性の気分(朝において最も急性);2)ほとんど全ての活動において著しく減少した興味又は喜び(快感消失症);3)著しい体重の損失又は増加;4)不眠症又は過眠症;5)精神運動性激越又は精神運動制止;6)疲労又はエネルギー損失;7)罪悪感及び無価値感;8)集中障害及び優柔不断;及び9)死又は自殺の循環思考。大うつ病の診断を支持するためには、抑うつ性気分又は関心の欠如(快感消失症)が、5つの観察される症状の一つでなければならない。反対に、「非定型のうつ病」又は「他の特定のないうつ病」(「小うつ病」とも称する)の診断は、うつ病の最も一般的な形態であるが、2〜4のうつ病症状が、少なくとも2週間の間、毎日又はほとんど日に呈されることが必要である。情緒異常は、快感消失症、自己尊重の低さ及び2年より長い間、継続して持続している気力の低さによって特徴付けられる、慢性の強度の低い気分障害である。季節的な情動性障害は、季節的な変動によって特徴付けられる大うつ病の形態であると考えられている。
【0052】
C.動物モデル
新規の治療剤及びいくつかの動物モデルの有効性の発展への前進にも関わらず、候補化合物の抗うつ活性をスクリーニングするための改良された動物モデルが未だに求められている(Cryan et al. 2002 Trends Pharmacol 23: 238-45)。現在、最も広く用いられているうつ病の動物モデルは、強制水泳試験、尾懸垂試験、及び嗅覚のブルベクトミー(bulbectomy)(Cryan et al. (2002) Trends Pharmacol. 23: 238-45)を含む。強制水泳試験は、不可避のシリンダーの水中で、同じシリンダー中での15分の前試験から24時間後に、動物の静止度を測定する。これは、抗うつ活性の前臨床予測のための最も広範に用いられているモデルであるが、調査員による判定とスコアリングが必要である。該試験は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤の抗うつ活性を信頼できるように予測せず(Porsolt (1990) Behavioral Despair: Present Status and Future Perspectives、In: Antidepressants: Thirty Years On、CNS Publishers 85-94; Porsolt et al. (1991) Pharmacological Models of Depression、In: Animal Models in Psychopharmacology、Advances in Pharmacological Sciences. Basel:Birkhauser 137-59; Takamori et al. (2001) Pharmacology 73: 147-53; Cryan et al. (2002) Trends Pharmacol. 23: 238-45)、また、検出を改善するためにスコアリングの改変を必要とする(Detke et al. (1995) Psychopharmacology 121: 66-72; Detke et al. (1996) Behav. Brain Res. 73: 43-46; Cryan et al. (2002) Trends Pharmacol. 23: 238-245)。尾懸垂試験は、逃避への試み又は努力の欠損によって特徴付けられる絶望の欠如の状態を誘導し、これは抗打つ薬によって急性的に逆転する。しかしながら尾で登る動物もいる。嗅覚のブルベクトミー(bulbectomy)−嗅球の両側の除去−は、一方で、うつ病における変化と関連がある行動上の変化をもたらす。新規の明るい光の開放場装置における機能亢進応答は、抗うつ治療によって、慢性的に逆転されるが、しかし急性ではない(Kelly et al. (1997) Pharmacol. Ther. 74: 299-316)。しかしながら、該試験は、うつ病への行動上の類似性に基づいている。その行為のメカニズムは十分に理解されていない。種々の動物モデルのさらに詳細な考察のために、最近の二つの概説記事が参照される(Cryan et al. 2000 Trends Pharmacol. 23: 238- 245; Nestler et al. (2002) Neuron 34: 13-25)。
【0053】
うつ病の原因の機構の理解を改善するために、我々は、患者の状況を写す動物モデルを必要とする(Cryan et al. 2000 Trends Pharmacol. 23: 238-245)。ヒトのうつ病と標準的な強制水泳モデル(行動上の絶望モデルとも呼ばれる)との間の一つの相違は、ヒトのうつ病は、大多数の場合に、意欲の欠如(絶望)として著しく、強制水泳モデルの主要な特徴―うつ病の誘発因子として作動する「物理的な空間」の欠如−に直接対応しないことである。
【0054】
本発明は、予測的能力が上昇したうつ病の改善された動物モデルを提供する。開放空間水泳モデルが「予測的有効性」を有するか否かを解明するために、ラットを全3つの主要な抗うつ剤で処置した。これらの実験は、未処置の動物と比較して、行動上の時間依存性回復のパラメーターを証明した。イミプラミン、三環系抗うつ薬(セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み輸送体の阻害剤)、イプロニアジド、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、及びミアンセリン、非定型抗うつ剤は、臨床での有効性及びそれぞれの分類の代表の実験において用いた。3つの全ての原型の抗うつ剤の有効性を試験することによって、うつ病の動物モデルの適合性を評価することは共通して実行される。強制水泳試験とは異なり、制限された空間は、開放空間水泳試験において決定的な要因ではなく、移動度がヒトの判定及びスコアリングの関与なしで直接測定される。我々の結果は、該試験がSSRIを含む抗うつ薬の高度な予測性を有すること、及び抗うつ治療に対する感応性が改善されたことを示した。動いた距離は、試験期間の間、動物の活発な水泳の状態を測定する。加えて、スコアリングを改変することを全く必要とせずにSSRIに感応性である。これは、うつ病の病態生理学的な機構を明らかにし、また、新しい分類の抗うつ剤を探索する、うつ病モデルの選択として価値がある。
【0055】
動物モデルは、新しい抗うつ剤のための探索及びうつ病の基礎となる病態生理学を明らかにするための探索において不可欠である。一方で、臨床的に活性な抗うつ剤の有効性は、
動物モデルにおけるうつ病様表現型を研究するための広い範囲の行動的試験を開発及び確認することを可能にもする。我々の開放空間モデルにおいて、ラットは急速に且つ再現的に静止し、試験の過程を通して「浮かんだ」不活性の上昇を示した。うつ病のための開放空間水泳試験の有効性は、既知の抗うつ剤で処置した試験動物によって得られる結果によって確証された。全3つの主要な分類の抗うつ剤をこの調査で代表とした:イミプラミン、三環系抗うつ薬(セロトニン又はノルエピネフリン再取り込み輸送体の阻害剤);イプロニアジド、モノアミンオキシダーゼ阻害剤;及びミアンセリン、非定型抗うつ剤、及びアラプロクレート(alaproclate)、SSRI。我々の調査で適用された投与量は、非特異性歩行運動活性において変化を誘導することなく、抗うつ剤調査においてラットに用いられるものと同様/同一であった (Bai et al. (2001) Pharmacol. Biochem. Behav. 70: 187-192; Kroczka et al. (2001) Brain Res. Bull. 55: 297-300; Takamori et al. (2001) Pharmacology 63: 147-153; Kitamura et al. (2002) Pharmacol. Biochem. Behav.71: 63-69)。
【0056】
開放空間水泳試験の結果は、以前に報告されたデータと比較でき(Porsolt et al. (1977) Nature 266: 730-730-732; Porsolt et al. (1978) Eur J. Pharmacol. 47: 379-391)、それらの伝統的な抗うつ薬の3つの同様の腹腔内投与量(15 mg/kg)が、強制水泳試験において同年齢のラットに適用された。イミプラミン、イプロニアジド、及びミアンセリングループのための我々の調査で3日目に移動した距離における減少の割合(対照群を100%とした減少)は、強制水泳試験におけるそれぞれの対照の不動度%、61.5±6.5% (n = 5; 15 mg/kg x 3 per day; P < 0.01; Porsolt et al. (1977) Nature 266: 730-730-732); 87.6±7.3% (n = 5、15 mg/kg x 3 per day; P < 0.01; Porsolt et al. (1978) Eur J. Pharmacol. 47: 379-391)、及び66.5±7.0% (n= 5,15 mg/kg x 3 per day; P < 0.01; Porsolt et al. (1977) Nature 266: 730-730-732)と比較して、それぞれ、49.8±7.6% (n = 8)、44.0±7.7% (n = 8)、及び33.3±6.3% (n = 8)だった。よって、開放空間水泳試験を用いて試験したラットは、以前に報告されたデータと比較して、イプロニアジドの統計的に有意な相違で抗うつ剤治療により感応性だった(F1,12 = 11.65; P < 0.01)。
【0057】
開放空間水泳試験は、うつ病の動物モデルのための4つの最低限の要求のうち3つを満足させる (McKinney et al. (1969) Arch GenPsychiatr Vol. 21,240-8; Cryan et al. (2002) TrendsPlzarmacol 23: 238-45) 。適切な動物モデルのためのそれらの要求は、(1) その徴候又は総体症状において、ヒトの障害と合理的に類似している;(2) 客観的に観察できる行動上の変化の存在;(3) ヒトにおいて有効である同一の治療による行動上の変化の可逆性;及び(4) 調査間の再現性;を含む。研究室間の信頼度は試験されるべきである。ラット強制水泳試験は、多年の間用いられてきたが、一般的にヒトのうつ病における抗うつ剤の有効性の高い予測性を有する試験としてみなされてきた (Porsolt et al. (1977) Nature 266: 730-730-732)。新しいタイプの有効な薬剤の探索におけるその有用性は明らかではなかった。
【0058】
開放空間水泳モデルは、いくつかの利点を有している。第一に、強制水泳試験のリーディングを超えるこの試験の明らかな一つの利点は、強制水泳試験におけるそれらの時間サンプリング判定及びスコアリングとは異なり (Kroczka et al. (2001) Brain Res Bull 55: 297-300; Reneric et al. (2002) Eur. Neuropsychopharmacol. 12: 159-71) 、そのモニタリングがより客観的であるように、ヒトの判定及びスコアリングがこの試験に関与しないことである。第二に、客観的なモニタリングが、異なる研究室間の再現性を改善する可能性を提供する。第三に、強制水泳試験は、激しい、適度の、穏やかな水泳移動度のような、行動上の範囲又は程度を反映しない。反対に、それらの特徴は、開放空間水泳試験では直接測定される。加えて、開放空間モデルでは、恐らく大きな空間が利用可能であるために、登る行動が観察されない。これは、登ることが強制水泳試験における活発な水泳よりも大きいか又は等しいと勘定されるかどうかというような、他の人為的な判定を排除する。第四に、この試験は、空間制限のための動物の動作の制限を行わず、ヒトの障害をより近接に模倣する。ヒト疾患を規定する大部分(排他的とは考えない)のものは、制限された「物理的空間」よりもむしろ意欲(機会又は希望)の欠如である。
【0059】
D.炭酸脱水酵素
炭酸脱水酵素−二酸化炭素と重炭酸陰イオンの相互変換を触媒する亜鉛-含有酵素−は、脳を含む体内の至る所に存在している(Sun et al. (2002) Trends in Pharm. Sci. 23 (2): その全てが参照によって本明細書に援用される)。7つのヒトイソ酵素の最も活性な炭酸脱水酵素IIは、赤血球、グリア細胞及び脳神経において見出される23.9 kDaの酵素である(Id.)。pH制御、重炭酸イオン再吸収及び二酸化炭素呼気における関与に加えて、炭酸脱水酵素は、シグナル処理、長期シナプス変換及び記憶貯蔵の注意ゲーティング(attentional gating)において重大な役割を果たす(Id.)。炭酸脱水酵素機能不全は、精神遅滞、アルツハイマー病、及び認知障害を付随し、炭酸脱水酵素の活性化は、記憶及び学習を改善することが立証されている (Id.;米国特許仮出願番号PCT/US02/13784;PCTIUS02/14378; PCTIUS03/07102; 60/287,271; 60/289,137; 60/362,081; 10/172,005; 10/476,459; 及び10/477,121; それぞれ、参照によってその全てが本明細書に援用される)。
【0060】
炭酸脱水酵素は、C02水和化及びHC03-脱水の間の可逆的反応を触媒する。最近の研究では、この酵素の活性化が、記憶関連神経構造において、HC03-濃度の上昇に急速且つ効果的な機構を提供することが示された。シナプスのGABAレセプターチャネルを通る上昇したHC03-の流動は、GABAに対するシナプス後神経細胞応答を変化させ、これによって多様なシグナル入力に対する神経応答を変化させる。このように、炭酸脱水酵素は、神経ネットワークを通るシグナル伝達を制御する有効な注意ゲート(attentional gate)として機能する。海馬のCA1神経における炭酸脱水酵素活性の変化は、それによって海馬のネットワークを通るシグナル転換を得る、GABA放出シナプスでの操作上の状態の間の転換のための機構を提供する。
【0061】
炭酸脱水酵素活性は、リアノジン受容体(Rye)を通したCa2+の細胞内放出によって少なくとも部分的に活性化される。例えば、RyRは、GABA媒介シナプススイッチに関与する。炭酸脱水酵素に及ぼすCa2+の影響は間接的であるようである。ヒトの骨髄単球細胞株において、炭酸脱水酵素IIの合成は、タンパク質キナーゼCによって活性化され、その効果は0.1μmスタウロスポリンによって遮断される。ホルモンも、cAMPを介して炭酸脱水酵素の活性を調節する。よって、赤血球中のアドレナリン及びジブチリル-cAMPによって誘導される炭酸脱水酵素活性の上昇は、テオフィリンによって増強され、また、cAMP依存性タンパク質キナーゼによるリン酸化は炭酸脱水酵素を活性化する。
【0062】
ヒトには炭酸脱水酵素のイソ酵素が少なくとも7つある(Lindskog (1997)Phannacol. Ther. 74(1):Pl-20)。アセタゾラミド及び他のいくつかの阻害剤のためのCAII結合サイトの構造が知られている。この知識は、ここで考慮される化合物の誘導体及び類似体の合理的な設計を可能にする。
【0063】
構造的、生化学的及び医薬品化学的な研究に基づいて、炭酸脱水酵素の薬理学的プロフィールが洗練され、具体的な活性化因子が発達した。炭酸脱水酵素の活性化因子は、遺伝的な炭酸脱水酵素欠損症及び記憶障害の治療のための重要なツールを提供する。多くのアミン及びアミノ酸(例えば、ドーパミン、セロトニン(seratonin)、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ヒスチジン、イミダゾール、フェニルアラニン又はそれらの誘導体(WO 00/56760を参照されたい、その全ては参照によって本明細書に援用される))が、炭酸脱水酵素の活性化因子である。特に、炭酸脱水酵素活性化因子は、プロトンアクセプターとして直接的に作用することによって、二酸化炭素及び重炭酸イオンの相互変換(反応I)の割合を上昇させる。
【化7】

【0064】
炭酸脱水酵素活性化因子は本発明に包含され、また、ヒトの炭酸脱水酵素II活性のそれぞれによる活性化(アラニンによる酵素の活性化に対する)を、表1に示す。
【表1】

【0065】
E.タンパク質キナーゼC(PKC)
PKC遺伝子ファミリーは、現在、4つのサブグループに分けられる11の遺伝子から成る:1)古典的なPKCα、β1、β2(β1及びβ2は同じ遺伝子の選択的にスプライシングされた形態)及びγ、2)新規のPKCδ、ε、η及びθ、3)非定型のPKCζ、γ、η及びι及び4)PKCμ。PKCμは、新規のPKCイソ型と似ているが、推定上の膜貫通ドメインを有していることだけ異なる(「Blohe et al. (1994) Cancer Metast. Rev. 13: 411; Ilug et al. (1993) Biochem J. 291: 329; Kikkawa et al.(1989) Ann. Rev.Biochem. 58: 31」により概説されている)。α、β1、β2及びγイソ型は、C2+、リン脂質及びジアシルグリセロールに依存性であり、並びにPKCの古典的なイソ型を表しており、他方で他のイソ型はリン脂質及びジアシルグリセロールによって活性化されるがCa2+に依存しない。全てのイソ型は、5つの可変領域(V1〜V5)を含んでおり、α、β及びγイソ型は、高度に保存された4つの構造ドメイン(C1〜C4)を含んでいる。PKAα、β及びγを除く全てのイソ型は、C2ドメインを欠いており、λ η及びイソ型は、ジアシルグリセロールが結合するC1中の二つのシステイン・リッチ・亜鉛フィンガードメインの9つを欠いている。C1ドメインはまた、全てのイソ型の間で高度に保存されており、該酵素の不活性高次構造を生じさせるために基質結合サイトを遮断することによって自己調節機能として役立つ、偽基質配列をも含んでいる(House et al. (1987) Science 238、1726)。
【0066】
それらの構造的特徴のために、多様なPKCイソ型は、生理学的な刺激への応答におけるシグナル伝達において(Nishizuka (1989) Cancer 10: 1892)、並びに、新生物の変形及び分化において(Glazer (1994) タンパク質 Kinase C、J. F. Kuo、ed. 、Oxford U. Press at pages 171-198)、高度に特殊化された役割を有していると考えらえれる。既知のPKCモジュレーターの考察には、PCT/US97/08141、米国特許第5,652,232; 6,080,784; 5,891,906; 5,962,498; 5,955,501; 5,891,870及び5,962,504(それぞれ、その内容の全てが参照によって本明細書に援用される)を参照されたい。
【0067】
PKC活性化因子の抗うつ効果は、PKCの活性化及び/又はPKC活性化に続いて観察される炭酸脱水酵素の合成の上昇によって、直接的に測定される。
【0068】
個々のPKCイソ酵素が、生物学的過程において、異なりしばしば反対の役割を果たし、薬理学的活用のために二つの方向を提供することの証拠が増大しつつある。ひとつが、PKCの特異的(好ましくはイソ酵素特異的)阻害剤の設計である。このアプローチは、該触媒的ドメインがPKCのイソ型特異性の主要な原因であるドメインではないという事実によって複雑にされる。他のアプローチは、イソ酵素選択的、調節性サイト直接的PKC活性化因子を開発することである。それらは、反対の生物学的効果を有する他のシグナル伝達経路の効果を受け付けない方法を提供するであろう。或いは、急性な活性化、PKC活性化因子の後にPKCの下方制御を誘導することによる。それらは、反対の生物学的効果を有する他のシグナル伝達経路の効果を受け付けないための方法を提供しうる。或いは、急性な活性化後のPKCの下方制御を誘導することによって、PKC活性化は長期の拮抗作用をもたらし得る。ブリオスタチンは現在、抗癌剤として臨床試験されている。ブリオスタチンは、PKCの制御的ドメインに結合し、酵素を活性化することが知られている。ブリオスタチンはPKCのイソ酵素選択的活性化因子の例である。ブリオスタチンのほかに、PKCを調節する化合物が発見された(例えば、WO 97/43268(その全ては参照によって本明細書に援用される)を参照されたい)。既知のPKC調節因子の考察には、PCT/US97/08141、米国特許第5,652,232; 6,043,270; 6,080,784; 5,891,906; 5,962,498; 5,955,501; 5,891,870及び5,962,504 を参照されたい(それぞれ、その全ては参照によって本明細書に援用される)。
【0069】
PKC活性化因子のいくつかの分類が同定されている。ホルボールエステルはしかしながら、その腫瘍促進活性のために、最終的な薬剤開発のための適切な化合物ではない(Ibarreta et al. (1999) Neuro Report 10(5&6): 1035-40)。PKCを刺激するために作用する大環状ラクトン(即ち、ブリオスタチン分類及びネリスタチン分類)が特に興味深い。ブリオスタチン分類の化合物のブリオスタチン-1は、PKCを活性化することが示されており、腫瘍促進活性を欠くことが証明されている。PKC活性化因子としてのブリオスタチン-1は、ブリオスタチン-1の投与量応答曲線が二相性であるために、特に有用である。加えて、ブリオスタチン-1は、PKCα、PKCδ及びPKCεを含む、PKCイソ酵素の異なる調節を実証している。ブリオスタチン-1は、動物及びヒトにおいて毒性調査及び安全調査を受けており、また、抗癌剤として活発に調査されている。調査におけるブリオスタチン-1の使用により、最大投与量を40mg/mに限定したとき、ヒトにおける主要な有害反応が筋肉痛であることが証明されている。
【0070】
大環状ラクトン、及び特にブリオスタチン-1は、米国特許第4,560,774号(その全てが本願に参照によって援用される)に記載されている。大環状ラクトン及びその誘導体は、他にも米国特許第6,187,568号、米国特許第 6,043,270号、米国特許第5,393,897号、米国特許第 5,072,004号、米国特許第 5,196,447号、米国特許第4,833,257号及び米国特許第 4,611,066号(その全てが本願に参照によって援用される)に開示されている。上記特許は、種々の化合物及び抗炎症剤又は抗腫瘍剤としてのそれらの使用を含む、大環状ラクトンの種々の使用を開示している(Szallasi et al. (1994) Journal of Biological Chemistry 269 (3): Zhang et al. (1996) Caner Research 56: 802-808; Hennings et al. (1987) Carcinogenesis 8 (9): Varterasian et al. (2000) Clinical CancerResearch 6: 825-828; Mutter et al. (2000) Bioorganic & Medicinal Chemistry 8: 1841-1860)(それぞれ、その全てが本願に参照によって援用される)。
【0071】
当業者には認められるであろうが、大環状ラクトン化合物及びその誘導体、特にブリオスタチン分類は、コンビナトリアル合成技術で処理することができ、よって、該化合物のライブラリーが、これらに限定されないが組成物の有効性及び安全性を含む薬理学的パラメーターを最適化するために作成されることが出来る。さらに、それらのライブラリーは、好ましくはα-分泌酵素及び/又はPKCを調節する、それらのメンバーを決定するためにアッセイされることが出来る。
【0072】
天然産物及び発酵ブロスの、コンビナトリアル・ライブラリーの高処理量スクリーニングにより、いくつかの新しい薬物が発見された。現在、化学的多様性の産生及びスクリーニングは、リード(lead)化合物の発見のための主要な技術として広く利用されており、これは確かに、薬物発見の分野における主要な基礎的前進である。さらに、「リード」化合物の同定後であっても、コンビナトリアル技術は、所望の生物学的活性の最適化のための役立つツールを提供する。認められるように、対象となる反応は、医薬品、又は他の生物学的又は医学的に関連する活性又は物質に関連した品質のスクリーニングのための化合物のコンビナトリアル・ライブラリーの創造のために、容易に役立つ。本発明の目的のためのコンビナトリアル・ライブラリーは、化学的に関連する化合物の混合物であり、これは所望の性質のために共にスクリーニングされることが可能である;前記ライブラリーは、溶液中にあってよく、或いは固体担体に共有結合されていてもよい。単一の反応での多くの関連化合物の調製は、実行されなければならないスクリーニング手順の多くを大きく減少させ単純化させる。適切な生物学的性質のスクリーニングは、従来の方法によって行われて良い。よって、本発明はまた、α-分泌酵素及び/又はPKCを効果的に改変するために結合するための本発明の化合物の一以上の能力を測定するための方法を提供する。
【0073】
以下に記載するコンビナトリアル・ライブラリーを作成するために、種々の技術が当該分野で利用可能であるが、本発明が下記の実施例及び記述によって限定されるようには意図されないことは理解されるであろう(例えば、Blondelle et al. (1995) Trends Anal. Chem. 14: 83; 米国特許第5,359,115号;同第5,362,899号; 米国5,288,514:PCT 公開公報WO 94/08051; Chen et al. (1994) JACCS 1 6: 266 1: Kerr et al. (1993) JACCS I 1 5: 252; PCT公開公報W092/10092、W093/09668;W091/07087;及びW093/20242を参照されたい。それぞれ、参照によって本明細書に援用される)。従って、約16〜1,000,000の桁のライブラリーの変種又はより多様なもの(diversomers)が合成されることができ、具体的な活性又は性質がスクリーニングされることができる。
【0074】
F.線維芽細胞増殖因子18(FGF-18)
線維芽細胞増殖因子(「FGF」)は、胚の発達、細胞増殖、形態形成、及び動物の組織修復を制御する重要な役割を果たすタンパク質の一つである(Hu et al. (1999) Oncogene、18 (16) : 2635-42)。FGF-18は、このタンパク質ファミリーのメンバーの一つであり、空間的な学習に関連する単一の記憶関連遺伝子によってコードされる、207のアミノ酸からなるペプチドである。それは主に、肺及び腎臓で発現し、また、心臓、精巣、脾臓、骨格筋、及び脳において低いレベルで発現する(Hu et al. (1998) Molecular Cellular Biology、18 (10): 6063-6074)。FGF-18がヒトとマウスの間で高度に保存されており、また、FGFファミリーのメンバー中でFGF-8に最も相同であるということが、配列比較研究によって示されている。細胞中及び組織発達におけるFGF-18の完全な役割を調査している継続的な研究において、FGF-18は、成体の肺及び発達中の組織における増殖のためのシグナリング分子として同定されており、これは癌性細胞に関連している。
【0075】
本発明は、FGF-18、米国仮出願番号60/429,321及びPCT/IB03/05408(いずれも参照によってその全てが本明細書に援用される)に開示されたような、学習及び記憶を改善する能力をそれぞれ維持した、改変された形態のFGF-18及びFGF-18の断片の使用を考慮するものである。
【0076】
全ての書籍、記事、特許又は他の刊行物及び参考文献は、それらの全てが参照によってここに援用される。ここにおける任意の化合物の言及は、ラセミ体並びに単一の鏡像異性体を含む。
【実施例】
【0077】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するためのものであり、本発明の範囲をいかなる意味においても限定するものと解釈されるべきではない。
【0078】
実施例1:うつ病に対する開放空間水泳試験
成体のウィスターラット(180-200 g)を、実験の少なくとも1週間前に温度制御室(20〜24℃)で飼育し、食物と水に自由に接近を許し、12時間の光/闇サイクルで維持した。それらを無作為に異なるグループに割り当て(各8)、試験の少なくとも1時間前にそれらのホームゲージから試験室に移動させた。ラットは、直径152 cm及び高さ60 cmの円形プールに個々に配置し、40 cmのH2O(22±1℃)を充填した。部屋及びプールは、空間的な水迷路課題のために用いられるスタートセットアップの一部である(Sun et al. (2002) J. Pharmacol. Exp. Ther. 300: 408-416)。異なる薬剤治療及び対照グループのための試験を、カウンターバランスオーダーとした。それらの試験で逃避は利用できなかった。ラットは、15分間自由に泳ぎ(又は泳がず)、次いで取り出され、乾燥された後に彼らのホームゲージに戻された。観察者は試験中にラットの視界からは隠されるが、試験中、ビデオスクリーンモニターで動物の行動を観察できた。同じ手順(1日15分のセッション)を、24時間後に繰り返し、さらに3日間継続した。試験グループのために薬物を生理食塩水に溶解し、対照グループのために生理食塩水を単独で用いた。イミプラミン(10 mg/kg x 3 日、i.p.)、イプロニアジド(10 mg/kg x 3、1日当り、i.p.)、ミアンセリン(10 mg/kg x 3、1日当り、i.p.)、アラプロクレート(10 mg/kg x 3、1日当り)、又は生理食塩水を、水泳試験の間、2回目、3回目及び4回目の試験セッションの前それぞれ23、2、及び1時間に投与した。試験試行の前3回の投与の理論的根拠は、単回投与よりもより一致する予測的効果である(Porsolt et al. (1977) Nature 266: 730-730-732; Porsolt et al. (1978) Eur J. Pharmacol. 47: 379-391;Poncelet et . al、(1986) Psychopharmacology 90: 139-141)。水泳/漂流コースは、ビデオ追跡用システムで記録され、他の研究における空間的な水迷路課題のために用いた(Sun et al. 、2002;
Sun and Alkon、2002a)。このシステムは、きっかけ事象(trigger event)(トラックレベル上のビデオ信号)の経時的なx/y座標を記録し、プール中の距離を算出し(サンプル期間:0.055秒)、その距離を所定の間隔(15分)でそれぞれの試験の間に加算することによって、動物の位置を追跡する。しかしながらこの追跡システムは、移動度又は不動度の任意の期間の持続時間を識別もしなければ測定もしない。追跡システムによって記録された、移動した距離が活発な水泳の持続時間を反映するか否かを評価するために、調査者はまた、二つのパラメーターの直接比較のためのビデオスクリーンモニターをオンラインで介して活発な水泳の持続時間を記録した。
【0079】
実施例2.ラットの不動度を誘導する開放空間水泳試験
生理食塩水を注射されたラット(各グループにつき8)は、移動度(移動した距離)において漸進的且つ著しい減少を示した(図1)(F3,31 = 49.717; P <0.001)。移動した距離は、全体の動きのなかで、活発な水泳/探索並びに漂流(これは、明らかに探索によらない足の動きによって起こる)によって起こる、全15分の間に移動した全ての距離を含む。活発な水泳は、ラットがプールの周囲を動くように活発な水泳の動きをする場合として定義される。強制水泳試験(例えばReneric et al. 、2002)で報告された行動パターンとは異なり、恐らくはラットが大きな空間を得られるために、壁登りは観察されなかった。試験が進むにつれ、対照ラットは漸次、活発な水泳にわずかな短時間の断続性期間を示した。それらの移動度の減少が最大に達したのは、それらの対照ラットの3回目の試験であった(図1)。典型的には、対照ラットは、その頭を水面上に維持するのに十分な動き以上の動きはせず(不動度;示さず)、これは強制水泳試験におけるうつ病の指標として受け取られる特徴的な行動である。
【0080】
実施例3.伝統的な抗うつ剤治療に感応性の誘導された不動度
抗うつ剤による治療は、対照グループと比較して試験の間の移動した距離の減少を有意に低下させた(図1)。統計学的分析により、抗うつ剤を注射されたラットが、溶媒のみを注射されたラットよりも有意に高い移動度を示すグループの有意な効果が明らかにされた (F3,16 =25,071; P <0.001)。それらのラットは、調査における活発な水泳の期間が個々に定量化されなかったにもかかわらず、泳がれた距離として測定された活発な水泳/探索の長く持続する期間を示した。さらに、hoc後分析により、2回目の試験から4回目の試験までの有意な相違が明らかになり(P <0.05)、抗うつ剤治療を受けたラットグループの高い移動度を確証した。3つの薬剤グループについての統計学的分析は、有意でないグループ内の相違を明らかにしたが(F2,12 = 4.199; P <0.05)、イプロニアジドは、不動度を減少させるミアンセリン及びイミプラミンよりも与えられた投与量でより有効であることを明らかにした(図1)。提示された結果と、強制水泳試験を用いて得られた以前に報告されたデータとの比較により、一般的に本試験が改良された抗うつ剤効果を示すことが明らかになった。
【0081】
実施例4.SSRI-抗うつ剤治療に感応性の誘導された不動度
アラプロクレート(Alaproclate)、SSRIは、対照グループと比較して、開放空間水泳試験において不動度を減少させるのに有効であった(図2A)。統計学的分析は、グループ間の有意な相違を示し(Fl、8 = 32.60; P<0.001)、アラプロクレートを注射されたラットの移動度が、溶媒のみを注射されたラットのものより有意に高いことを示した。
【0082】
移動した距離の観察された相違が、活動性の持続時間の相違を反映しているかどうかは、水泳が、ラットが明らかに活発な水泳を行っている間、即ち、プール内の周囲を泳ぐために明らかに動いている間の期間を記録することによって評価された。異なるグループの結果の比較を図2Bに示した。アラプロクレートグループの活発な水泳の持続時間は、対照グループよりも有意に長かった(グループ相違:Fl、8 = 31.51; P < 0.001)。動いた距離の%変化は(対照グループを100%としての対応する変化を用いて)、活発な水泳の時間における%変化(対照グループを100%としての対応する変化を用いて)とは著しく相違しなかった(P > 0.05、不対のt-試験)。よって、この結果は、パラメーター、「動いた距離」が、試験期間中の移動度の持続時間を実際に反映することを示す。
【0083】
実施例5:フェニルアラニンに感応性の誘導された不動度
本明細書で記載したような開放空間水泳装置に、動物を1日の試験当り15分間配置することによって、ラットの抑うつ性行動が誘導された。動物は、3日間の過程で3回の試験に供された。動物は、3つのグループに分けられた:対照グループ(8);フェニルアラニンラット(10);及びイミプラミンラット(10)。対照ラットは、二回目の試験の3.5時間前に、尾部静脈に生理食塩水の単回静脈投与を受けた。ブリオスタチン-1グループのラットは、尾部の静脈にフェニルアラニンの単回静脈投与を二回目の試験の3.5時間前に受けた。イミプラミングループのラットは、1回目、二回目及び三回目のそれぞれ23、2及び1時間前に、3回の腹腔内投与(10 mg/kg)を受けた。
【0084】
フェニルアラニン、炭酸脱水酵素活性化因子は、対照グループと抗うつ剤イミプラミンで処置されたグループと比較した場合、開放空間水泳試験において不動度を減少させるのに有効であった(図3)。統計学的分析は、フェニルアラニン、イミプラミン及び対照グループ間の有意な相違を証明し、それによってフェニルアラニンを注射されたラットの移動度が、イミプラミン又は生理食塩水の何れかを受けたラットのものより有意に高いことを示した。
【0085】
実施例6:ブリオスタチン-1に官能性の誘導された不動度
本明細書で記載したような開放空間水泳装置に、動物を1日の試験当り15分間配置することによって、ラットの抑うつ性行動が誘導された。動物は、3日間の過程で3回の試験に供された。動物は、3つのグループに分けられた:対照グループ(8);ブリオスタチン-1ラット(10);及びイミプラミンラット(10)。対照ラットは、二回目の試験の3.5時間前に、尾部静脈に生理食塩水の単回静脈投与を受けた。ブリオスタチン-1グループのラットは、尾部の静脈にブリオスタチン-1(80 g/kg)の単回静脈投与を二回目の試験の3.5時間前に受けた。イミプラミングループのラットは、1回目、二回目及び三回目のそれぞれ23、2及び1時間前に、3回の腹腔内投与(10 mg/kg)を受けた。
【0086】
ブリオスタチン-1、PKC活性化因子は、対照グループと抗うつ剤イミプラミンで処置されたグループと比較した場合、開放空間水泳試験において不動度を減少させるのに有効であった(図4)。統計学的分析は、フェニルアラニン、イミプラミン及び対照グループ間の有意な相違を証明し、それによってブリオスタチン-1を注射されたラットの移動度が、イミプラミン又は生理食塩水の何れかを受けたラットのものより有意に高いことを示している(F2,27 =6.168; P = 0.007)。ブリオスタチン-1とイミプラミンのグループの間には有意な相違は観察されなかった(F2,27 =10.128; P = 0.724)。
【0087】
実施例7:イミダゾールに感応性の誘導された不動度
イミダゾール、炭酸脱水酵素活性化因子は、対照グループ及び抗うつ剤イミプラミンで処置されたグループと比較した場合、開放空間水泳試験において不動度を減少させるのに有効である。
【0088】
実施例8:連鎖ジイミジゾールに感応性の誘導された不動度
連鎖ジイミダゾール(構造III、式中、R2はHであり、n=1又は2である)、炭酸脱水酵素活性化因子は、対照グループ及び抗うつ剤イミプラミンで処置されたグループと比較した場合、開放空間水泳試験において、不動度を減少させるのに有効である。
【0089】
実施例9:チロシンに感応性の誘導された不動度
チロシン、炭酸脱水酵素活性化因子は、対照グループ及び抗うつ剤イミプラミンで処置されたグループと比較した場合、開放空間水泳試験において、不動度を減少させるのに有効である。
【0090】
実施例10:4-フルオロ-フェニルアラニンに感応性の誘導された不動度
4-フルオロ-フェニルアラニン 炭酸脱水酵素活性化因子は、対照グループ及び抗うつ剤イミプラミンで処置されたグループと比較した場合、開放空間水泳試験において、不動度を減少させるのに有効である。
【0091】
実施例11:アラニンによって観察された150〜250%の炭酸脱水酵素活性を提供する、炭酸脱水酵素活性化因子に感応性の誘導された不動度
炭酸脱水酵素IIを、アラニンで観察される活性化に対して150〜250%活性化する化合物は、対照グループ及び抗うつ剤イミプラミンで処置されたグループと比較した場合、開放空間水泳試験において不動度を減少させるのに有効である。
【0092】
実施例12:ネリスタチンに感応性の誘導された不動度
ネリスタチン、PKC活性化因子は、対照グループ及び抗うつ剤イミプラミンで処置されたグループと比較した場合、開放空間水泳試験における不動度の減少に有効である。
【0093】
実施例13:FGF-18に感応性の誘導された不動度
FGF-18、PKC活性化因子は、対照グループ及び抗うつ剤イミプラミンで処置されたグループと比較した場合、開放空間水泳試験における不動度の減少に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、開放空間水泳試験におけるラットの移動度に及ぼす、3つの抗うつ剤、イミプラミン、イプロニアジド及びミアンセリンの影響を示す。
【図2】図2は、開放空間水泳試験におけるラットの活発な水泳の移動度及び持続時間に及ぼすアラプロクレート(alaproclate)の影響を示す。
【図3】図3は、開放空間水泳試験におけるラットの移動度に及ぼす、イミプラミン及び炭酸脱水酵素活性化因子、フェニルアラニンの影響を比較する。
【図4】図4は、開放空間水泳試験におけるラットの移動度に及ぼす、イミプラミン及びPKC活性化因子、ブリオスタチン-1の影響を比較する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程を具備する方法:
a) 抑鬱性障害を有する被検者を同定すること;及び
b) 炭酸脱水酵素活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を前記被検者に投与すること、
ここにおいて、該活性化因子は、以下から成る群から選択される:
【化1】

式中R1はH又はOHであり;R2及びR3は独立して、H、COOH又は低級アルキル、例えば、直鎖、分枝鎖又は環状のC1-C6アルキル又はC1-C4アルキルであり;及び、Arはフェニル、イミジゾリル(imidizolyl)又はフェニル又は1以上のハロ、ヒドロキシ、アミノ又は低級アルキル基、例えば直鎖、分枝鎖又は環状のC1-C6基又はC1-C4アルキル基で置換されたイミジゾリルである;
【化2】

式中 R1及びR2は独立して、H又は低級アルキル、例えば直鎖、分枝鎖又は環状のC1-C6アルキル又はC1-C4アルキルである;
【化3】

式中 nは1又は2であり、及びR2はH又は低級アルキル、例えば直鎖、分枝鎖又は環状のC1-C6アルキル又はC1-C4アルキルである;及び
I、II、又はIIIの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記活性化因子が構造Iを有し、式中R1はH又はOHであり;R2はH、CH3又はCOOHであり;R3はH又はCH3であり;及びArはフェニル、又は置換されたフェニルである方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記置換されたフェニルは4-ヒドロキシフェニル、4-フルオロフェニル、4-アミノフェニル、3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル、又は3,4-ジヒドロキシフェニルである方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記活性化因子が構造Iを有し、式中R1はH又はOHであり;R2はH、CH3又はCOOHであり;R3はH又はCH3であり;及びArはイミダゾール又は置換されたイミダゾールである方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記置換されたイミダゾールは、イマダゾール(imadazol)-4-イル-、又は5-メチルイミダゾール-4-イル-である方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記活性化因子が構造IIを有し、式中R1はH、メチル、エチル又はプロピルであり;及びR2はH又はメチルである方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記活性化因子が構造IIIであり、式中nは1又は2であり;及びR2はH又はメチルである方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記活性化因子が、下記からなる群から選択される方法:イミダゾール、フェニルアラニン、置換されたエチルアミン、フェネチルアミン、ヒスタミン、ヒスチジン、連鎖ジ-イミダゾール(linked di-imidazole)、トリアゾール、及びそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子がヒスチジンである方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子がヒスタミンである方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子がフェニルアラニンである方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子が4-ヒドロキシフェニルアラニンである方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子が4-フルオロ フェニルアラニンである方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子が3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンである方法。
【請求項15】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子が3-アミノ-4-ヒドロキシフェニルアラニンである方法。
【請求項16】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子が4-アミノ フェニルアラニンである方法。
【請求項17】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子がチロシンである方法。
【請求項18】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子がドーパミンである方法。
【請求項19】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子がノルアドレナリンである方法。
【請求項20】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子がアドレナリンである方法。
【請求項21】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子がヒスタミンである方法。
【請求項22】
請求項8に記載の方法であって、前記活性化因子が5-メチルヒスタミンである方法。
【請求項23】
うつ病の治療を必要とする被検者においてうつ病を治療する方法であって、炭酸脱水酵素活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を投与することを含み、ここにおいて前記活性化因子は下記からなる群から選択される方法:芳香族アミン又は芳香族アミノ酸、ここで該芳香族アミン又は芳香族アミノ酸は単一の芳香族基を含む。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記活性化因子は下記からなる群から選択される方法:フェニルアラニン、置換されたフェニルアラニン、ヒスチジン、置換されたヒスチジン、置換されたフェニルアラニンイミダゾール、置換されたイミダゾール、連鎖ジ-イミダゾール、及び連鎖置換ジ-イミダゾール。
【請求項25】
請求項1に記載の方法であって、前記活性化因子は芳香族アミン又は芳香族アミノ酸であり、ここで該芳香族アミン又は芳香族アミノ酸は単一の芳香族基を含む。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記芳香族アミンは、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、及び5-メチルヒスタミンからなる群より選択される方法。
【請求項27】
請求項23に記載の方法であって、前記芳香族アミンは、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、及び5-メチルヒスタミンからなる群より選択される方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法であって、前記活性化因子が神経細胞内の炭酸脱水酵素を活性化することを特徴とする方法。
【請求項29】
下記工程を具備する方法:
a)抑鬱性障害を有する被検者を同定すること;及び
b)タンパク質キナーゼC(PKC)活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を、前記被検者に投与すること、ここにおいて前記PKC活性化因子は、FGF-18、大環状ラクトン、ベンゾラクタム、ピロリジノン、又はそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記大環状ラクトンがブリオスタチン又はネリスタチン(neristatin)である方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記ブリオスタチンが、ブリオスタチン-1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17及び18から成る群から選択される方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1である方法。
【請求項33】
請求項30に記載の方法であって、前記ネリスタチンがネリスタチン-1である方法。
【請求項34】
うつ病の治療を必要とする被検者においてうつ病を治療する方法であって、タンパク質キナーゼC活性化因子及び薬学的に許容される担体を含む組成物の有効量を投与することを含む方法、ここにおいて、前記活性化因子は、FGF-18、大環状ラクトン、ベンゾラクタム、ピロリジノン、又はそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、前記大環状ラクトンがブリオスタチン又はネリスタチンである方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17及び18から成る群から選択される方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記ブリオスタチンがブリオスタチン-1である方法。
【請求項38】
請求項35に記載の方法であって、前記ネリスタチンがネリスタチン-1である方法。
【請求項39】
抗うつ活性の薬剤をスクリーニングする方法であって、下記工程を具備する方法:
a)試験被検者に薬学的に許容される担体中の薬剤を投与すること、及び、対照被検者に前記薬学的に許容される担体を投与すること;
b)前記試験被検者及び対照被検者をそれぞれ水のプールに入れ、試験期間の間に水泳した距離及び/又は持続時間を測定すること;及び
c)試験被検者の水泳の距離又は持続時間を、対照被検者と比較すること、ここにおいて、対照被検者と比較して増加した試験被検者の水泳の距離又は持続時間が、抗うつ活性を示す。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、前記プールが円形である方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記プールが100〜200 cmの直径を有する方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法であって、前記プールが150 cmの直径を有する方法。
【請求項43】
請求項39に記載の方法であって、前記プールが逃避できないものである方法。
【請求項44】
請求項39に記載の方法であって、前記工程(a)、(b)、及び(c)が繰り返される方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、前記工程が3回繰り返される方法。
【請求項46】
請求項39に記載の方法であって、前記水泳の距離及び/又は持続時間がビデオによる手段で測定される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−501798(P2008−501798A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527349(P2007−527349)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/017158
【国際公開番号】WO2005/115548
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(503310224)ブランシェット・ロックフェラー・ニューロサイエンスィズ・インスティテュート (25)
【Fターム(参考)】