説明

投写型映像表示装置

【課題】 4色以上の色成分光を利用する場合に、色成分光の光路上に設けられた光学素子への熱負荷を効率的に抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】 投写型映像表示装置100は、液晶パネル50Rと、液晶パネル50Gと、液晶パネル50Bと、クロスダイクロイックプリズム60と、偏光状態調整素子51Yeとを備える。緑成分光Gは、黄成分光Yeとともに液晶パネル50Gに入射する。投写型映像表示装置100は、入射側偏光板52G(又は入射側プリ偏光板52GP)及び出射側偏光板53Gに風を送る第1送風部310及び第2送風部320と、第1送風部310及び第2送風部320の冷却能力を制御する冷却能力制御部240とを備える。冷却能力制御部240は、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量に基づいて、第1送風部310及び第2送風部320の冷却能力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4色以上の色成分光を利用する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3色の色成分光に対応する3つの光変調素子と、3つの光変調素子から出射される光を合成するクロスダイクロイックキューブと、クロスダイクロイックキューブで合成された光を投写する投写光学系とを有する投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
このような投写型映像表示装置では、色成分光の光路上に設けられた光学素子(例えば、偏光板)が色成分光の照射によって発熱する。従って、投写型映像表示装置は、光学素子を冷却する冷却部を有していることが一般的である。
【0004】
一方で、色再現性や輝度の向上を目的として、4色以上の色成分光を利用する投写型映像表示装置が提案されている。例えば、投写型映像表示装置は、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、オレンジ成分光、黄成分光又はシアン成分光を利用することによって、色再現性や輝度の向上を図っている(例えば、特許文献)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−287247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、4色以上の色成分光を利用しつつ、3つの光変調素子から光を出射する投写型映像表示装置では、色成分光の光路上に設けられた光学素子(例えば、偏光板)への熱負荷が増大する。従って、光学素子を冷却する新たな枠組みが必要になる。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、4色以上の色成分光を利用する場合に、色成分光の光路上に設けられた光学素子への熱負荷を効率的に抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の特徴に係る投写型映像表示装置は、赤成分光を変調する赤光変調素子(液晶パネル50R)と、緑成分光を変調する緑光変調素子(液晶パネル50G)と、青成分光を変調する青光変調素子(液晶パネル50B)と、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子から出射された光を合成する色合成部(クロスダイクロイックプリズム60)と、第4色成分光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子(偏光状態調整素子51Ye)とを備える。前記赤成分光、前記緑成分光及び前記青成分光のうち、いずれかの色成分光である重畳成分光(例えば、緑成分光G)が、前記第4色成分光とともに前記偏光状態調整素子に入射する。投写型映像表示装置は、前記偏光状態調整素子の光出射側に設けられた第1偏光板(例えば、入射側偏光板52G又は入射側プリ偏光板52GP)に風を送る第1送風部(第1送風部310)と、前記重畳成分光に対応する特定光変調素子の光出射側に設けられた第2偏光板(例えば、出射側偏光板53G)に風を送る第2送風部(第2送風部320)と、前記第1送風部及び前記第2送風部の冷却能力を制御する制御部(冷却能力制御部240)とを備える。前記制御部は、前記第1偏光板で遮光される前記第4色成分光の光量に基づいて、前記第1送風部の冷却能力を制御する。
【0009】
第1の特徴において、前記制御部は、前記第2偏光板で遮光される前記重畳成分光の光量に基づいて、前記第2送風部の冷却能力を制御する。
【0010】
第2の特徴に係る投写型映像表示装置は、赤成分光を変調する赤光変調素子(液晶パネル50R)と、緑成分光を変調する緑光変調素子(液晶パネル50G)と、青成分光を変調する青光変調素子(液晶パネル50B)と、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子から出射された光を合成する色合成部(クロスダイクロイックプリズム60)と、第4色成分光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子(偏光状態調整素子51Ye)とを備える。前記赤成分光、前記緑成分光及び前記青成分光のうち、いずれかの色成分光である重畳成分光(例えば、緑成分光G)が、前記第4色成分光とともに前記偏光状態調整素子に入射する。投写型映像表示装置は、前記偏光状態調整素子の光出射側に設けられた第1偏光板(例えば、入射側偏光板52G又は入射側プリ偏光板52GP)及び前記重畳成分光に対応する特定光変調素子の光出射側に設けられた第2偏光板(例えば、出射側偏光板53G)に風を送る送風部(送風部300)と、前記送風部の冷却能力を制御する制御部(冷却能力制御部240)とを備える。前記送風部は、前記送風部から送り出される風向を変える可動式ダンパー(可動式ダンパー301)を有する。前記制御部は、前記第2偏光板で遮光される前記重畳成分光の光量に基づいて、前記可動式ダンパーの位置を制御する。
【0011】
第2の特徴において、前記制御部は、前記第1偏光板で遮光される前記第4色成分光の光量に基づいて、前記可動式ダンパーの位置を制御する。
【0012】
第1の特徴及び第2の特徴において、前記特定光変調素子は、前記重畳成分光を変調する光変調パネルである。前記第1偏光板は、前記光変調パネルの光入射側に設けられた入射側偏光板である。前記第2偏光板は、前記光変調パネルの光出射側に設けられた出射側偏光板である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、4色以上の色成分光を利用する場合に、色成分光の光路上に設けられた光学素子への熱負荷を効率的に抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る偏光状態調整素子51Yeの近傍を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る偏光状態調整素子51Yeの近傍を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る送風部の構成を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る送風部の構成を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る制御ユニット200を示すブロック図である。
【図7】第1実施形態に係る送風部の制御を説明するための図である。
【図8】第1実施形態に係る送風部の制御を説明するための図である。
【図9】変更例1に係る送風部の構成を示す図である。
【図10】変更例1に係る送風部の構成を示す図である。
【図11】変更例1に係る送風部の制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0016】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
[実施形態の概要]
実施形態に係る投写型映像表示装置は、赤成分光を変調する赤光変調素子と、緑成分光を変調する緑光変調素子と、青成分光を変調する青光変調素子と、赤光変調素子、緑光変調素子及び青光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、第4色成分光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子とを備える。赤成分光、緑成分光及び青成分光のうち、いずれかの色成分光である重畳成分光が、第4色成分光とともに偏光状態調整素子に入射する。投写型映像表示装置は、偏光状態調整素子の光出射側に設けられた第1偏光板(例えば、入射側偏光板52G又は入射側プリ偏光板52GP)及び重畳成分光に対応する特定光変調素子の光出射側に設けられた第2偏光板(例えば、出射側偏光板53G)に風を送る送風部(送風部300、又は、第1送風部310及び第2送風部320)と、送風部の冷却能力を制御する制御部(冷却能力制御部240)とを備える。制御部は、第1偏光板で遮光される第4色成分光の光量に基づいて、送風部の冷却能力を制御する。
【0018】
実施形態によれば、制御部は、第1偏光板で遮光される第4色成分光の光量に基づいて、第1偏光板及び第2偏光板に風を送る送風部の冷却能力を制御する。
【0019】
従って、偏光状態調整素子の光出射側に設けられた第1偏光板に対して、重畳成分光に加えて第4色成分光が入射しても、第1偏光板の劣化を抑制することができる。
【0020】
すなわち、4色以上の色成分光を利用する場合であっても、色成分光の光路上に設けられた光学素子(例えば、第1偏光板)への熱負荷を効率的に抑制することができる。
【0021】
実施形態では、第4色成分光として黄成分光を例示するが、第4色成分光は、これに限定されるものではない。第4色成分光は、マゼンタ成分光又はシアン成分光であってもよい。
【0022】
実施形態では、重畳成分光として緑成分光を例示するが、重畳成分光は、これに限定されるものではない。重畳成分光は、赤成分光又は青成分光であってもよい。
【0023】
[実施形態の構成]
以下においては、(1)第1実施形態、(2)変更例1の順に、実施形態を説明する。
【0024】
(1)第1実施形態については、図1〜図8を参照しながら、(a)投写型映像表示装置の構成、(b)偏光状態調整素子の構成、(c)送風部の構成、(d)投写型映像表示装置の機能、(e)作用及び効果の順に説明する。
【0025】
(2)変更例1については、図9〜図11を参照しながら、(a)送風部の構成、(b)作用及び効果の順に説明する。
【0026】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【0027】
図1に示すように、投写型映像表示装置100は、投写光学系110と、照明装置120とを有する。投写型映像表示装置100は、後述するように、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bに加えて、黄成分光Yeを利用する。
【0028】
投写光学系110は、照明装置120から出射された映像光をスクリーン(不図示)上などに投写する。
【0029】
第1に、照明装置120は、光源10と、UV/IRカットフィルタ20と、フライアイレンズユニット30と、PBSアレイ40と、複数の液晶パネル50(液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50B)と、偏光状態調整素子51Yeと、クロスダイクロイックプリズム60とを有する。
【0030】
光源10は、白色光を発する光源(例えば、UHPランプやキセノンランプ)などである。すなわち、光源10が発する光は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bに加えて、黄成分光Yeを含む。
【0031】
UV/IRカットフィルタ20は、可視光成分(赤成分光R、緑成分光G及び青成分光B)を透過する。UV/IRカットフィルタ20は、赤外光成分や紫外光成分を反射する。
【0032】
フライアイレンズユニット30は、光源10が発する光を均一化する。具体的には、フライアイレンズユニット30は、フライアイレンズ31及びフライアイレンズ32によって構成される。フライアイレンズ31及びフライアイレンズ32は、それぞれ、複数の微少レンズによって構成される。各微少レンズは、光源10が発する光が液晶パネル50の全面に照射されるように、光源10が発する光を集光する。
【0033】
PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光の偏光状態を揃える。例えば、PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光をS偏光(又はP偏光)に揃える。
【0034】
液晶パネル50Rは、赤映像信号(後述する赤出力信号Rout)に基づいて赤成分光Rを変調する。液晶パネル50Rに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Rが設けられている。液晶パネル50Rから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Rが設けられている。
【0035】
液晶パネル50Gは、緑映像信号(後述する緑出力信号Gout)に基づいて緑成分光Gを変調する。液晶パネル50Gに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Gが設けられる。一方で、液晶パネル50Gから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Gが設けられる。
【0036】
液晶パネル50Bは、青映像信号(後述する青出力信号Bout)に基づいて青成分光Bを変調する。液晶パネル50Bに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Bが設けられる。一方で、液晶パネル50Bから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Bが設けられる。
【0037】
ここで、各液晶パネル50には、コントラスト比や透過率を向上させる補償板(不図示)が設けられていてもよい。また、各偏光板は、偏光板に入射する光の光量や熱負担を軽減させるプリ偏光板を有していてもよい。
【0038】
偏光状態調整素子51Yeには、黄成分光Yeとともに緑成分光Gが入射する。緑成分光Gは、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bのうち、黄成分光Yeの補色光(青成分光B)とは異なる重畳成分光である。すなわち、偏光状態調整素子51Yeは、緑成分光Gの光路上に設けられる。
【0039】
偏光状態調整素子51Yeは、重畳成分光(ここでは、緑成分光G)の偏光状態を調整せずに、黄成分光Yeの偏光状態を調整する。具体的には、偏光状態調整素子51Yeは、自素子に印加される電圧に応じて、黄成分光Yeの偏光状態を調整する。
【0040】
例えば、偏光状態調整素子51Yeは、黄成分光Yeの偏光方向を回転させない状態と、黄成分光Yeの偏光方向を90°回転させる状態とを選択的に切り替え可能に構成された光学素子である。又は、偏光状態調整素子51Yeは、0〜90°の範囲内において、黄成分光Yeの偏光状態を調整する光学素子である。
【0041】
ここで、偏光状態調整素子51Yeは、単一の画素を有しており、黄成分光Yeの重畳量をフレームで一律に制御してもよい。また、偏光状態調整素子51Yeは、複数の画素を有しており、黄成分光Yeの重畳量を画素毎に制御してもよい。なお、偏光状態調整素子51Yeの画素数は、液晶パネル50の画素数よりも少ないことが好ましい。
【0042】
クロスダイクロイックプリズム60は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bから出射される光を合成する色合成部を構成する。クロスダイクロイックプリズム60から出射された合成光は、投写光学系110に導かれる。
【0043】
第2に、照明装置120は、ミラー群(ミラー71〜ミラー76)及びレンズ群(レンズ81〜レンズ85)を有する。
【0044】
ミラー71は、青成分光Bを透過して、赤成分光R及び緑成分光Gを反射するダイクロイックミラーである。ミラー72は、赤成分光Rを透過して、緑成分光Gを反射するダイクロイックミラーである。ミラー71及びミラー72は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを分離する色分離部を構成する。
【0045】
ミラー73は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを反射して、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bをミラー71側に導く。ミラー74は、青成分光Bを反射して、青成分光Bを液晶パネル50B側に導く。ミラー75及びミラー76は、赤成分光Rを反射して、赤成分光Rを液晶パネル50R側に導く。
【0046】
レンズ81は、PBSアレイ40から出射された光を集光するコンデンサレンズである。レンズ82は、ミラー73で反射された光を集光するコンデンサレンズである。
【0047】
レンズ83Rは、液晶パネル50Rに赤成分光Rが照射されるように、赤成分光Rを略平行光化する。レンズ83Gは、液晶パネル50Gに緑成分光Gが照射されるように、緑成分光Gを略平行光化する。レンズ83Bは、液晶パネル50Bに青成分光Bが照射されるように、青成分光Bを略平行光化する。
【0048】
レンズ84及びレンズ85は、赤成分光Rの拡大を抑制しながら、液晶パネル50R上に赤成分光Rを略結像するリレーレンズである。
【0049】
(偏光状態調整素子の構成)
以下において、第1実施形態に係る偏光状態調整素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図2及び図3は、第1実施形態に係る偏光状態調整素子51Yeの近傍を示す図である。
【0050】
図2に示すように、偏光状態調整素子51Yeは、Ye−ON状態において、黄成分光Yeの偏光状態を調整せずに透過する。すなわち、偏光状態調整素子51Yeの光出射側において、黄成分光Yeの偏光状態は、緑成分光Gの偏光状態と同じである。Ye−ON状態は、黄成分光Yeを利用する状態である。
【0051】
図3に示すように、偏光状態調整素子51Yeは、Ye−OFF状態において、黄成分光Yeの偏光状態を調整して透過する。すなわち、偏光状態調整素子51Yeの光出射側において、黄成分光Yeの偏光状態は、緑成分光Gの偏光状態と異なっている。Ye−OFF状態は、黄成分光Yeを利用しない状態である。なお、Ye−OFF状態では、液晶パネル50Gの光入射側に設けられた入射側偏光板52Gによって黄成分光Yeが遮光される。
【0052】
(送風部の構成)
以下において、第1実施形態に係る送風部の構成について、図面を参照しながら説明する。図4及び図5は、第1実施形態に係る送風部(第1送風部310及び第2送風部320)の一例を示す図である。また、図4及び図5は、ミラー71、偏光状態調整素子51Ye、液晶パネル50G及びクロスダイクロイックプリズム60の周辺を示す図である。なお、上述した図1では、第1送風部310及び第2送風部320が省略されているに過ぎないことに留意すべきである。
【0053】
第1に、図4を参照しながら、第1送風部310及び第2送風部320の第1構成について説明する。
【0054】
図4に示すように、液晶パネル50Gの光入射側、すなわち、偏光状態調整素子51Yeの光出射側には、入射側偏光板52Gが設けられている。一方で、液晶パネル50Gの光出射側には、出射側偏光板53Gが設けられている。
【0055】
ここで、第1送風部310は、液晶パネル50Gの光入射側、すなわち、偏光状態調整素子51Yeの光出射側に設けられた入射側偏光板52Gに風を送る第1送風部である。
【0056】
第1送風部310の冷却能力は、後述するように、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量に基づいて制御される。すなわち、第1送風部310の冷却能力は、黄出力信号Yeoutに基づいて制御される。
【0057】
なお、入射側偏光板52Gで黄成分光Yeを遮光することによって生じる熱が偏光状態調整素子51Yeに伝達するため、第1送風部310は、偏光状態調整素子51Ye及び入射側偏光板52Gに風を送る。すなわち、第1送風部310は、偏光状態調整素子51Ye及び入射側偏光板52Gを冷却する。
【0058】
第2送風部320は、重畳成分光(ここでは、緑成分光G)に対応する特定光変調素子(ここでは、液晶パネル50G)の光出射側に設けられた出射側偏光板53Gに風を送る第2送風部である。
【0059】
第2送風部320の冷却能力は、後述するように、出射側偏光板53Gで遮光される緑成分光Gに基づいて制御される。すなわち、第2送風部320の冷却能力は、緑出力信号Goutに基づいて制御される。
【0060】
なお、出射側偏光板53Gで緑成分光G(及び、黄成分光Ye)を遮光することによって生じる熱が液晶パネル50Gに伝達するため、第2送風部320は、液晶パネル50G及び出射側偏光板53Gに風を送る。すなわち、第2送風部320は、液晶パネル50G及び出射側偏光板53Gを冷却する。
【0061】
第2に、図5を参照しながら、第1送風部310及び第2送風部320の第2構成について説明する。
【0062】
図5に示すように、液晶パネル50Gの光入射側には、入射側偏光板52Gが設けられている。入射側偏光板52Gの光入射側には、すなわち、偏光状態調整素子51Yeの光出射側には、入射側プリ偏光板52GPが設けられている。一方で、液晶パネル50Gの光出射側には、出射側偏光板53Gが設けられている。
【0063】
ここで、第1送風部310は、偏光状態調整素子51Yeの光出射側に設けられた入射側プリ偏光板52GPに風を送る第1送風部である。
【0064】
第1送風部310の冷却能力は、第1構成と同様に、入射側プリ偏光板52GPで遮光される黄成分光Yeの光量に基づいて制御される。すなわち、第1送風部310の冷却能力は、黄出力信号Yeoutに基づいて制御される。
【0065】
なお、入射側プリ偏光板52GPで黄成分光Yeを遮光することによって生じる熱が偏光状態調整素子51Yeに伝達するため、第1送風部310は、偏光状態調整素子51Ye及び入射側偏光板52Gに風を送る。すなわち、第1送風部310は、偏光状態調整素子51Ye及び入射側プリ偏光板52GPを冷却する。
【0066】
第2送風部320は、重畳成分光(ここでは、緑成分光G)に対応する特定光変調素子(ここでは、液晶パネル50G)の光出射側に設けられた出射側偏光板53Gに風を送る第2送風部である。
【0067】
第2送風部320の冷却能力は、第1構成と同様に、出射側偏光板53Gで遮光される緑成分光Gに基づいて制御される。すなわち、第2送風部320の冷却能力は、緑出力信号Goutに基づいて制御される。
【0068】
なお、出射側偏光板53Gで緑成分光G(及び、黄成分光Ye)を遮光することによって生じる熱が液晶パネル50Gに伝達するため、第2送風部320は、液晶パネル50G及び出射側偏光板53Gに風を送る。すなわち、第2送風部320は、液晶パネル50G及び出射側偏光板53Gを冷却する。
【0069】
図5では、入射側偏光板52Gの光入射側に入射側プリ偏光板52GPが設けられているため、入射側偏光板52Gを冷却する必要性が低いことに留意すべきである。
【0070】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100に設けられた制御ユニット200を示すブロック図である。
【0071】
ここで、制御ユニット200は、映像入力信号を映像出力信号に変換して、映像出力信号を出力する。映像入力信号は、フレーム毎の信号であり、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを含む。映像出力信号は、フレーム毎の信号であり、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutを含む。
【0072】
図6に示すように、制御ユニット200は、映像信号受付部210と、Ye重畳量算出部220と、RGB補正部230と、冷却能力制御部240とを有する。
【0073】
映像信号受付部210は、DVDやTVチューナなどの外部装置から映像入力信号を受付ける。
【0074】
Ye重畳量算出部220は、映像入力信号(赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Bin)に基づいて、黄成分光Yeの重畳量を算出する。Ye重畳量算出部220は、黄成分光Yeの偏光状態を調整するために、黄成分光Yeの重畳量に対応する信号(黄出力信号Yeout)を偏光状態調整素子51Yeに出力する。
【0075】
例えば、Ye重畳量算出部220は、複数の画素によって構成されるフレームの彩度及び輝度に基づいて、黄成分光Yeの重畳量を算出する。例えば、Ye重畳量算出部220は、フレームの彩度が低いほど、黄成分光Yeの重畳量を増大する。また、Ye重畳量算出部220は、フレームの輝度が高いほど、黄成分光Yeの重畳量を増大する。
【0076】
RGB補正部230は、映像入力信号(赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Bin)に基づいて、映像出力信号(赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Bout)を算出する。具体的には、RGB補正部230は、黄出力信号Yeoutに基づいて、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutを補正する。
【0077】
例えば、RGB補正部230は、黄出力信号Yeoutに基づいて、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginから所定値を減算して、赤出力信号Rout及び緑出力信号Goutを算出する。又は、RGB補正部230は、黄出力信号Yeoutに基づいて、青入力信号Binに所定値を加算して、青出力信号Boutを算出する。赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginの減算処理や青入力信号Binの加算処理によって、黄成分光Yeの重畳に伴って生じる“色ずれ”を抑制する。
【0078】
冷却能力制御部240は、第1送風部310の冷却能力及び第2送風部320の冷却能力を制御する。ここでは、図4に示した第1構成を例に挙げて説明するが、図5に示した第2構成にも適用できることは勿論である。
【0079】
第1に、冷却能力制御部240は、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量に基づいて、第1送風部310の冷却能力を制御する。言い換えると、冷却能力制御部240は、黄成分光Yeの重畳量(すなわち、黄出力信号Yeout)に基づいて、第1送風部310の冷却能力を制御する。なお、黄成分光Yeの重畳量(すなわち、黄出力信号Yeout)が小さいほど、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量が多いことに留意すべきである。
【0080】
例えば、冷却能力制御部240は、図7に示す関係で、第1送風部310の冷却能力を制御する。すなわち、冷却能力制御部240は、黄出力信号Yeoutが小さいほど、第1送風部310の冷却能力を強める。なお、冷却能力制御部240は、黄出力信号Yeoutが閾値Thよりも大きい場合には、第1送風部310の冷却能力を一定に保ってもよい。
【0081】
第2に、冷却能力制御部240は、出射側偏光板53Gで遮光される緑成分光Gに基づいて、第2送風部320の冷却能力を制御する。言い換えると、冷却能力制御部240は、緑出力信号Goutに基づいて、第2送風部320の冷却能力を制御する。なお、緑出力信号Goutが小さいほど、出射側偏光板53Gで遮光される緑成分光Gの光量が多いことに留意すべきである。また、緑出力信号Goutが小さい場合には、緑成分光Gに重畳された黄成分光Yeも出射側偏光板53Gで遮光されることに留意すべきである。
【0082】
例えば、冷却能力制御部240は、図8に示す関係で、第2送風部320の冷却能力を制御する。すなわち、冷却能力制御部240は、緑出力信号Goutが小さいほど、第2送風部320の冷却能力を強める。なお、冷却能力制御部240は、緑出力信号Goutが閾値Thよりも大きい場合には、第1送風部310の冷却能力を一定に保ってもよい。
【0083】
(作用及び効果)
第1実施形態では、冷却能力制御部240は、入射側偏光板52G(又は、入射側プリ偏光板52GP)で遮光される黄成分光Yeの光量(すなわち、黄出力信号Yeout)に基づいて、入射側偏光板52G(又は、入射側プリ偏光板52GP)に風を送る第1送風部310の冷却能力を制御する。
【0084】
具体的には、冷却能力制御部240は、入射側偏光板52G(又は、入射側プリ偏光板52GP)で遮光される黄成分光Yeの光量が多いほど、すなわち、黄出力信号Yeoutが小さいほど、第1送風部310の冷却能力を強くする。また、冷却能力制御部240は、入射側偏光板52G(又は、入射側プリ偏光板52GP)で遮光される黄成分光Yeの光量が少ないほど、すなわち、黄出力信号Yeoutが大きいほど、第1送風部310の冷却能力を弱くする。
【0085】
従って、偏光状態調整素子51Yeの光出射側に設けられた入射側偏光板52G(又は、入射側プリ偏光板52GP)に対して、重畳成分光(ここでは、緑成分光G)に加えて黄成分光Yeが入射しても、入射側偏光板52Gの劣化を抑制することができる。同時に、省電力化を図ることができる。
【0086】
第1実施形態では、冷却能力制御部240は、出射側偏光板53Gで遮光される緑成分光Gの光量(すなわち、緑出力信号Gout)に基づいて、出射側偏光板53Gに風を送る第2送風部320の冷却能力を制御する。
【0087】
具体的には、冷却能力制御部240は、出射側偏光板53Gで遮光される緑成分光Gの光量が多いほど、すなわち、緑出力信号Goutが小さいほど、第2送風部320の冷却能力を強くする。また、冷却能力制御部240は、で遮光される緑成分光Gの光量が少ないほど、すなわち、緑出力信号Goutが大きいほど、第2送風部320の冷却能力を弱くする。
【0088】
従って、液晶パネル50Gの光出射側に設けられた出射側偏光板53Gの劣化を抑制することができる。同時に、省電力化を図ることができる。
【0089】
このように、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bに加えて、黄成分光Yeを利用する場合であっても、液晶パネル50G、入射側偏光板52G(又は、入射側プリ偏光板52GP)及び出射側偏光板53Gの劣化を効率的に抑制することができる。
【0090】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0091】
具体的には、第1実施形態では、送風部として、複数の送風部(第1送風部310及び第2送風部320)が設けられている。これに対して、変更例1では、送風部として、単数の送風部が設けられている。
【0092】
(送風部の構成)
以下において、変更例1に係る送風部の構成について、図面を参照しながら説明する。図9及び図10は、変更例1に係る送風部300の一例を示す図である。また、図9及び図10は、ミラー71、偏光状態調整素子51Ye、液晶パネル50G及びクロスダイクロイックプリズム60の周辺を示す図である。
【0093】
第1に、図9を参照しながら、送風部300の第1構成について説明する。
【0094】
図9に示すように、液晶パネル50Gの光入射側、すなわち、偏光状態調整素子51Yeの光出射側には、入射側偏光板52Gが設けられている。一方で、液晶パネル50Gの光出射側には、出射側偏光板53Gが設けられている。
【0095】
ここで、送風部300は、送風部300から送り出される風向を変える可動式ダンパー301を有する。
【0096】
送風部300から送り出される風は、可動式ダンパー301の位置が位置Xである場合に、液晶パネル50Gの光入射側、すなわち、偏光状態調整素子51Yeの光出射側に設けられた入射側偏光板52Gに送られる。
【0097】
送風部300から送り出される風は、可動式ダンパー301の位置が位置Yである場合に、重畳成分光(ここでは、緑成分光G)に対応する特定光変調素子(ここでは、液晶パネル50G)の光出射側に設けられた出射側偏光板53Gに送られる。
【0098】
可動式ダンパー301の位置は、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量に基づいて制御される。言い換えると、可動式ダンパー301の位置は、黄成分光Yeの重畳量(黄出力信号Yeout)に基づいて制御される。具体的には、可動式ダンパー301の位置は、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量に基づいて、位置Xと位置Yとの間で制御される。
【0099】
なお、可動式ダンパー301の位置が位置Xである場合には、送風部300から送り出される風は、出射側偏光板53Gよりも入射側偏光板52Gに導かれる。また、入射側偏光板52Gに導かれる風速が高まるため、入射側偏光板52Gを冷却する能力が高まる。
【0100】
可動式ダンパー301の位置が位置Yである場合には、送風部300から送り出される風は、入射側偏光板52Gよりも出射側偏光板53Gに導かれる。また、出射側偏光板53Gに導かれる風速が高まるため、出射側偏光板53Gを冷却する能力が高まる。
【0101】
第2に、図10を参照しながら、第1送風部310及び第2送風部320の第2構成について説明する。
【0102】
図10に示すように、液晶パネル50Gの光入射側には、入射側偏光板52Gが設けられている。入射側偏光板52Gの光入射側には、すなわち、偏光状態調整素子51Yeの光出射側には、入射側プリ偏光板52GPが設けられている。一方で、液晶パネル50Gの光出射側には、出射側偏光板53Gが設けられている。
【0103】
ここで、送風部300は、第1構成と同様に、送風部300から送り出される風向を変える可動式ダンパー301を有する。
【0104】
送風部300から送り出される風は、可動式ダンパー301の位置が位置Xである場合に、偏光状態調整素子51Yeの光出射側に設けられた入射側プリ偏光板52GPに送られる。
【0105】
送風部300から送り出される風は、可動式ダンパー301の位置が位置Yである場合に、重畳成分光(ここでは、緑成分光G)に対応する特定光変調素子(ここでは、液晶パネル50G)の光出射側に設けられた出射側偏光板53Gに送られる。
【0106】
可動式ダンパー301の位置は、第1構成と同様に、入射側プリ偏光板52GPで遮光される黄成分光Yeの光量に基づいて制御される。言い換えると、可動式ダンパー301の位置は、黄成分光Yeの重畳量(黄出力信号Yeout)に基づいて制御される。具体的には、可動式ダンパー301の位置は、入射側プリ偏光板52GPで遮光される黄成分光Yeの光量に基づいて、位置Xと位置Yとの間で制御される。
【0107】
なお、可動式ダンパー301の位置が位置Xである場合には、送風部300から送り出される風は、出射側偏光板53Gよりも入射側プリ偏光板52GPに導かれる。また、入射側プリ偏光板52GPに導かれる風速が高まるため、入射側プリ偏光板52GPを冷却する能力が高まる。
【0108】
可動式ダンパー301の位置が位置Yである場合には、送風部300から送り出される風は、入射側プリ偏光板52GPよりも出射側偏光板53Gに導かれる。また、出射側偏光板53Gに導かれる風速が高まるため、出射側偏光板53Gを冷却する能力が高まる。
【0109】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、変更例1に係る投写型映像表示装置の機能について説明する。変更例1に係る制御ユニット200の構成は、図6に示す構成と同様であることに留意すべきである。
【0110】
冷却能力制御部240は、可動式ダンパー301の位置を制御する。ここでは、図9に示した第1構成について例に挙げて説明するが、図10に示した第2構成にも適用可能であることは勿論である。
【0111】
具体的には、冷却能力制御部240は、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量に基づいて、可動式ダンパー301の位置を制御する。言い換えると、冷却能力制御部240は、黄成分光Yeの重畳量(黄出力信号Yeout)に基づいて、可動式ダンパー301の位置を制御する。
【0112】
例えば、可動式ダンパー301の位置制御において、冷却能力制御部240は、図11に示す情報を参照する。図11では、ケース(1)〜ケース(4)が示されている。
【0113】
ケース(1)は、緑出力信号Goutが大きく、黄出力信号Yeoutが大きいケースである。このようなケースでは、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量(遮光量)が少なく、出射側偏光板53Gの熱負荷は、ケース(1)〜ケース(4)の中で、3番目に大きい。
【0114】
具体的には、黄出力信号Yeoutが大きいため、黄成分光Yeの重畳量が多い。従って、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量が少ない。
【0115】
一方で、出射側偏光板53Gには、緑成分光Gに加えて、多量の黄成分光Yeが入射する。しかしながら、緑出力信号Goutが大きいため、緑成分光G及び多量の黄成分光Yeが出射側偏光板53Gを透過する。従って、出射側偏光板53Gの熱負荷は3番目である。
【0116】
ケース(2)は、緑出力信号Goutが大きく、黄出力信号Yeoutが小さいケースである。このようなケースでは、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量(遮光量)が多く、出射側偏光板53Gの熱負荷は、ケース(1)〜ケース(4)の中で、最も小さい。
【0117】
具体的には、黄出力信号Yeoutが小さいため、黄成分光Yeの重畳量が少ない。従って、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量が多い。
【0118】
一方で、出射側偏光板53Gには、緑成分光Gに加えて、少量の黄成分光Yeが入射する。また、緑出力信号Goutが大きいため、緑成分光G及び少量の黄成分光Yeが出射側偏光板53Gを透過する。従って、出射側偏光板53Gの熱負荷は最も小さい。
【0119】
ケース(3)は、緑出力信号Goutが小さく、黄出力信号Yeoutが大きいケースである。このようなケースでは、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量(遮光量)が少なく、出射側偏光板53Gの熱負荷は、ケース(1)〜ケース(4)の中で、最も大きい。
【0120】
具体的には、黄出力信号Yeoutが大きいため、黄成分光Yeの重畳量が多い。従って、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量が少ない。
【0121】
一方で、出射側偏光板53Gには、緑成分光Gに加えて、多量の黄成分光Yeが入射する。また、緑出力信号Goutが小さいため、緑成分光G及び多量の黄成分光Yeが出射側偏光板53Gで遮光される。従って、出射側偏光板53Gの熱負荷は最も大きい。
【0122】
ケース(4)は、緑出力信号Goutが小さく、黄出力信号Yeoutが小さいケースである。このようなケースでは、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量(遮光量)が多く、出射側偏光板53Gの熱負荷は、ケース(1)〜ケース(4)の中で、2番目に大きい。
【0123】
具体的には、黄出力信号Yeoutが小さいため、黄成分光Yeの重畳量が少ない。従って、入射側偏光板52Gで遮光される黄成分光Yeの光量が多い。
【0124】
一方で、出射側偏光板53Gには、緑成分光Gに加えて、少量の黄成分光Yeが入射する。しかしながら、緑出力信号Goutが小さいため、緑成分光G及び少量の黄成分光Yeが出射側偏光板53Gで遮光される。従って、出射側偏光板53Gの熱負荷は2番目に大きい。
【0125】
冷却能力制御部240は、ケース(3)において、送風部300から送り出される風が最も出射側偏光板53Gに導かれるように、可動式ダンパー301を制御する(ダンパー制御モード=モードA)。
【0126】
冷却能力制御部240は、ケース(4)において、送風部300から送り出される風がケース(3)よりも入射側偏光板52Gに導かれるように、可動式ダンパー301を制御する(ダンパー制御モード=モードB)。
【0127】
冷却能力制御部240は、ケース(1)において、送風部300から送り出される風がケース(4)よりも入射側偏光板52Gに導かれるように、可動式ダンパー301を制御する(ダンパー制御モード=モードC)。
【0128】
冷却能力制御部240は、ケース(2)において、送風部300から送り出される風が最も入射側偏光板52Gに導かれるように、可動式ダンパー301を制御する(ダンパー制御モード=モードD)。
【0129】
このように、冷却能力制御部240は、黄出力信号Yeoutに加えて、緑出力信号Goutに基づいて、可動式ダンパー301を制御することが好ましい。具体的には、冷却能力制御部240は、出射側偏光板53Gの熱負荷に基づいて、可動式ダンパー301を制御することが好ましい。
【0130】
なお、出射側偏光板53Gの熱負荷が最も大きいケース(3)では、出射側偏光板53Gで遮光される黄成分光Yeの光量を減少するために、黄成分光Yeの重畳量が減少するように黄出力信号Yeoutを補正することが好ましい。これによって、黄成分光Yeの一部が入射側偏光板52Gで遮光されるため、出射側偏光板53Gの熱負荷が軽減される。
【0131】
なお、ケース(3)では、最終的には、黄成分光Yeは、出射側偏光板53Gで遮光される。黄成分光Yeを入射側偏光板52Gで遮光しても、映像に与える影響が小さいことに留意すべきである。
【0132】
ここで、ケース(3)において、黄成分光Yeの重畳量が減少するように黄出力信号Yeoutを補正する場合には、必ずしもモードAで可動式ダンパー301を制御する必要がない。例えば、ケース(4)においてモードAで可動式ダンパー301を制御し、ケース(3)においてモードBで可動式ダンパー301を制御してもよい。
【0133】
(作用及び効果)
変更例1では、冷却能力制御部240は、黄出力信号Yeoutに基づいて、可動式ダンパー301を制御する。従って、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bに加えて、黄成分光Yeを利用する場合であっても、液晶パネル50G、入射側偏光板52G(又は、入射側プリ偏光板52GP)及び出射側偏光板53Gの劣化を効率的に抑制することができる。
【0134】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0135】
例えば、光変調素子の一例として、透過型の液晶パネル50について説明したが、光変調素子は、これに限定されるものではない。光変調素子は、反射型の液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)であってもよい。
【符号の説明】
【0136】
10・・・光源、20・・・UV/IRカットフィルタ、30・・・フライアイレンズユニット、40・・・PBSアレイ、50・・・液晶パネル、51・・・偏光状態調整素子、52、53・・・偏光板、60・・・クロスダイクロイックキューブ、71〜76・・・ミラー、81〜85・・・レンズ、100・・・投写型映像表示装置、110・・・投写レンズユニット、120・・・照明ユニット、200・・・制御ユニット、210・・・映像信号受付部、220・・・Ye重畳量算出部、230・・・RGB補正部、240・・・冷却能力制御部、300,310,320・・・送風部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤成分光を変調する赤光変調素子と、緑成分光を変調する緑光変調素子と、青成分光を変調する青光変調素子と、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、第4色成分光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子とを備えており、前記赤成分光、前記緑成分光及び前記青成分光のうち、いずれかの色成分光である重畳成分光が、前記第4色成分光とともに前記偏光状態調整素子に入射する投写型映像表示装置であって、
前記偏光状態調整素子の光出射側に設けられた第1偏光板に風を送る第1送風部と、
前記重畳成分光に対応する特定光変調素子の光出射側に設けられた第2偏光板に風を送る第2送風部と、
前記第1送風部及び前記第2送風部の冷却能力を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1偏光板で遮光される前記第4色成分光の光量に基づいて、前記第1送風部の冷却能力を制御することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2偏光板で遮光される前記重畳成分光の光量に基づいて、前記第2送風部の冷却能力を制御することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
赤成分光を変調する赤光変調素子と、緑成分光を変調する緑光変調素子と、青成分光を変調する青光変調素子と、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、第4色成分光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子とを備えており、前記赤成分光、前記緑成分光及び前記青成分光のうち、いずれかの色成分光である重畳成分光が、前記第4色成分光とともに前記偏光状態調整素子に入射する投写型映像表示装置であって、
前記偏光状態調整素子の光出射側に設けられた第1偏光板及び前記重畳成分光に対応する特定光変調素子の光出射側に設けられた第2偏光板に風を送る送風部と、
前記送風部の冷却能力を制御する制御部とを備え、
前記送風部は、前記送風部から送り出される風向を変える可動式ダンパーを有しており、
前記制御部は、前記第2偏光板で遮光される前記重畳成分光の光量に基づいて、前記可動式ダンパーの位置を制御することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1偏光板で遮光される前記第4色成分光の光量に基づいて、前記可動式ダンパーの位置を制御することを特徴とする請求項3に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記特定光変調素子は、前記重畳成分光を変調する光変調パネルであり、
前記第1偏光板は、前記光変調パネルの光入射側に設けられた入射側偏光板であり、
前記第2偏光板は、前記光変調パネルの光出射側に設けられた出射側偏光板であることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−175675(P2010−175675A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16263(P2009−16263)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】