投写型映像表示装置
【課題】 4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】 投写型映像表示装置100は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bから出射された光を合成するクロスダイクロイックキューブ60と、偏光状態調整素子50Yeに印加する電圧を制御する制御部220とを備える。偏光状態調整素子50Yeは、低電圧印加状態と高電圧印加状態との切り替えに応じて黄成分光の偏光状態を調整する。制御部220は、偏光状態調整素子50Yeに高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。
【解決手段】 投写型映像表示装置100は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bから出射された光を合成するクロスダイクロイックキューブ60と、偏光状態調整素子50Yeに印加する電圧を制御する制御部220とを備える。偏光状態調整素子50Yeは、低電圧印加状態と高電圧印加状態との切り替えに応じて黄成分光の偏光状態を調整する。制御部220は、偏光状態調整素子50Yeに高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、第4色成分光を利用する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3色の光に対応する3つの光変調素子と、3つの光変調素子から出射される光を合成するクロスダイクロイックキューブと、クロスダイクロイックキューブで合成された光を投写する投写手段とを有する投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
ここで、クロスダイクロイックキューブは、光が入射する3つの光入射面と、光が出射する1つの光出射面とを有している。従って、クロスダイクロイックキューブに入射する光が3色である場合には、投写型映像表示装置は、一つのクロスダイクロイックキューブを有していれば足りる。
【0004】
一方で、色再現性や輝度の向上を目的として、4色以上の光を利用する投写型映像表示装置が提案されている。例えば、投写型映像表示装置は、赤、緑及び青の3色に加えて、オレンジ、黄又はシアンを利用することによって、色再現性や輝度の向上を図っている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−287247号公報(請求項1、請求項4、図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、投写型映像表示装置が4色以上の光を有する場合には、一つのクロスダイクロイックキューブで4色以上の光を合成することができない。従って、投写型映像表示装置は、複数のダイクロイックキューブ(又は、クロスダイクロイックキューブ)を有する必要がある。
【0006】
例えば、4色の光の合成が必要である場合には、投写型映像表示装置は、2色の光が合成された合成光を2つ取得して、2つの合成光をさらに合成することによって、4色の合成光を取得する。なお、投写型映像表示装置は、3色の光が合成された合成光を取得して、合成光と1色の光とを合成することによって、4色の合成光を取得してもよい。投写型映像表示装置は、2色の光が合成された合成光を取得して、合成光と2色の光とを合成することによって、4色の合成光を取得してもよい。
【0007】
ここで、光変調素子と投写手段との間に、複数のダイクロイックキューブ(又は、クロスダイクロイックキューブ)を設ける必要がある。従って、投写手段のバックフォーカスが長くなる。
【0008】
この結果、3色の光を利用する投写型映像表示装置で用いられる投写手段を転用することができないため、投写型映像表示装置のコストが全体として上昇してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一の特徴では、投写型映像表示装置は、赤用入力信号に応じて赤成分光を変調する赤光変調素子(液晶パネル50R)と、緑用入力信号に応じて緑成分光を変調する緑光変調素子(液晶パネル50G)と、青用入力信号に応じて青成分光を変調する青光変調素子(液晶パネル50B)と、第4色成分光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子(偏光状態調整素子50Ye)とを備える。投写型映像表示装置は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子から出射された光を合成する色合成部(クロスダイクロイックキューブ60)と、前記偏光状態調整素子に印加する電圧を制御する制御部(制御部220)とを備える。前記赤成分光、前記緑成分光及び前記青成分光のうち、いずれかの色成分光である重畳成分光は、前記第4色成分光とともに偏光状態調整素子に入射する。前記偏光状態調整素子は、前記重畳成分光を透過する。前記偏光状態調整素子は、前記低電圧印加状態と前記高電圧印加状態との切り替えに応じて、前記第4色成分光の偏光状態を調整して前記第4色成分光を透過する。前記制御部は、前記偏光状態調整素子に高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。
【0011】
上述した特徴において、前記赤用入力信号、前記緑用入力信号及び前記青用入力信号は1フレーム毎に入力される。前記制御部は、1フレーム毎に前記リフレッシュ動作を行う。
【0012】
上述した特徴において、前記偏光状態調整素子から出射された前記重畳成分光及び前記第4色成分光は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子のうち、前記重畳成分光に対応する光変調素子である特定の光変調素子に入射する。前記高電圧印加状態において、前記特定の光変調素子に入射する前記第4色成分光の偏光状態は、前記重畳成分光と揃っている。前記制御部は、前記低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、色再現性よりも輝度を優先させるべきフレームで前記リフレッシュ動作を行う。
【0013】
上述した特徴において、前記偏光状態調整素子から出射された前記重畳成分光及び前記第4色成分光は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子のうち、前記重畳成分光に対応する光変調素子である特定の光変調素子に入射する。前記高電圧印加状態において、前記特定の光変調素子に入射する前記第4色成分光の偏光状態は、前記重畳成分光と異なっている。前記制御部は、前記低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、輝度よりも色再現性を優先させるべきフレームで前記リフレッシュ動作を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0016】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
[実施形態の概要]
実施形態に係る投写型映像表示装置は、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を利用する。黄成分光は、緑成分光とともに、偏光状態調整素子に入射する。偏光状態調整素子から出射された緑成分光及び黄成分光は、緑光変調素子に入射する。
【0018】
偏光状態調整素子は、高電圧印加状態と低電圧印加状態との切り替えに依存せずに、緑成分光の変更状態を調整せずに緑成分光を透過する。一方で、偏光状態調整素子は、高電圧印加状態と低電圧印加状態との切り替えに応じて、黄成分光の変更状態を調整して黄成分光を透過する。
【0019】
制御部は、偏光状態調整素子に印加する電圧を制御する。具体的には、制御部は、高電圧又は低電圧の印加によって、黄成分光の偏光状態を調整する。制御部は、偏光状態調整素子に高電圧を印加するリフレッシュ動作を所定タイミングで行う。
【0020】
このような構成によれば、偏光状態調整素子から出射された緑成分光及び黄成分光は、緑光変調素子側に導かれる。緑光変調素子から出射された光は、色合成部に導かれる。従って、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を利用する場合であっても、色合成部に入射する光は3種類である。この結果、投写手段の設計を変更する必要がなく、装置全体のコスト上昇を抑制することができる。
【0021】
また、偏光状態調整素子の電圧印加状態に応じて、クロスダイクロイックキューブ60に導かれる黄成分光の光量が制御される。従って、輝度を優先するケース(例えば、輝度優先モード)では、黄成分光を利用することができる。一方で、色再現性を優先するケース(例えば、色再現優先モード)では、黄成分光を利用しないことができる。
【0022】
さらに、制御部は、偏光状態調整素子に高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。これによって、偏光状態調整素子がスプレイ配向状態へ遷移することを抑制して、ベント配向状態と整列配向状態との間で偏光状態調整素子の配向状態を切り替えることができる。この結果、配向状態の切り替えに係る応答性の向上を図ることができる。
【0023】
実施形態では、第4色成分光として黄成分光を例示するが、第4色成分光は、これに限定されるものではない。第4色成分光は、マゼンタ成分光又はシアン成分光であってもよい。
【0024】
実施形態では、重畳成分光として緑成分光を例示するが、重畳成分光は、これに限定されるものではない。重畳成分光は、赤成分光又は青成分光であってもよい。
【0025】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【0026】
図1に示すように、投写型映像表示装置100は、投写レンズユニット110と、照明ユニット120とを有する。投写型映像表示装置100は、後述するように、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を第4色成分光として利用する。
【0027】
投写レンズユニット110は、照明ユニット120から出射された映像光を拡大して、スクリーン(不図示)上に映像光を投写する。
【0028】
照明ユニット120は、光源10と、UV/IRカットフィルタ20と、フライアイレンズユニット30と、PBSアレイ40と、複数の液晶パネル50(液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50B)と、偏光状態調整素子50Yeと、クロスダイクロイックキューブ60とを備える。
【0029】
光源10は、白色光を発するUHPランプなどである。すなわち、光源10が発する光は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を少なくとも含む。
【0030】
UV/IRカットフィルタ20は、可視光成分(赤成分光、緑成分光及び青成分光)を透過する。UV/IRカットフィルタ20は、赤外光成分や紫外光成分を遮光する。
【0031】
フライアイレンズユニット30は、光源10が発する光を均一化する。具体的には、フライアイレンズユニット30は、フライアイレンズ30a及びフライアイレンズ30bによって構成される。フライアイレンズ30a及びフライアイレンズ30bは、それぞれ、複数の微少レンズによって構成される。各微少レンズは、光源10が発する光が液晶パネル50の全面に照射されるように、光源10が発する光を集光する。
【0032】
PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光の偏光状態を揃える。例えば、PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光をS偏光(又はP偏光)に揃える。
【0033】
液晶パネル50Rは、赤成分光の偏光方向を回転させることによって赤成分光を変調する。液晶パネル50Rに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を遮光する偏光板51Rが設けられる。一方で、液晶パネル50Rから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する偏光板52Rが設けられる。
【0034】
従って、液晶パネル50Rが赤成分光の偏光方向を回転させない場合には、偏光板51Rを透過した赤成分光が偏光板52Rで遮光されるため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ60に照射されない。一方で、液晶パネル50Rが赤成分光の偏光方向を回転させた場合には、偏光板51Rを透過した赤成分光が偏光板52Rを透過するため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ60に照射される。
【0035】
同様に、液晶パネル50Gは、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させることによって緑成分光及び黄成分光を変調する。液晶パネル50Gに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板51Gが設けられる。一方で、液晶パネル50Gから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板52Gが設けられる。
【0036】
液晶パネル50Bは、青成分光の偏光方向を回転させることによって青成分光を変調する。液晶パネル50Bに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板51Bが設けられる。一方で、液晶パネル50Bから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板52Bが設けられる。
【0037】
ここで、各液晶パネル50には、コントラスト比や透過率を向上させる補償板が設けられていてもよい。また、各偏光板は、偏光板に入射する光の光量や熱負担を軽減させるプリ偏光板を有していてもよい。
【0038】
偏光状態調整素子50Yeは、黄成分光の偏光状態を調整することによって黄成分光を変調する。一方で、偏光状態調整素子50Yeは、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。
【0039】
具体的には、偏光状態調整素子50Yeは、自素子に印加される電圧の状態に応じて、自素子に入射した直線偏光の偏光状態を調整可能な素子である。電圧印加状態は、電圧が印加されていない無電圧印加状態、低電圧が印加される低電圧印加状態、高電圧が印加される高電圧印加状態である。
【0040】
例えば、偏光状態調整素子50Yeは、高電圧印加状態において、自素子に入射する直線偏光(黄成分光)の偏光方向を回転せずに直線偏光をそのまま出射する。一方で、偏光状態調整素子50Yeは、低電圧印加状態において、自素子に入射する直線偏光(黄成分光)の偏光方向を略90°回転して、偏光方向が略90°回転された直線偏光を出射する。
【0041】
なお、偏光状態調整素子50Yeによる黄成分光の偏光状態の調整によって、偏光状態調整素子50Yeの光出射側に設けられた偏光板51Gを透過する黄成分光の光量が制御される。
【0042】
偏光状態調整素子50Yeとしては、ノッチフィルタタイプの素子とエッジフィルタタイプの素子とが考えられる。
【0043】
ノッチフィルタタイプの素子は、特定波長帯域を有する光の偏光状態のみを調整することが可能である。例えば、ノッチフィルタタイプの素子は、緑よりも長波長帯域、すなわち、黄色の波長帯域を有する光の偏光状態のみを調整する。ノッチフィルタタイプの素子を用いることによって、不要光(例えば、黄成分光)を削減することが可能である。
【0044】
エッジフィルタタイプの素子は、特定波長帯域を有する光の偏光状態を調整せずに、他の波長帯域を有する光の偏光状態を調整することが可能である。例えば、エッジフィルタタイプの素子は、緑の波長帯域を有する光の偏光状態を調整せずに、緑よりも長波長帯域及び短波長帯域を有する光の偏光状態を調整する。エッジフィルタタイプの素子を用いることによって、特定波長帯域を有する光(例えば、緑成分光)の色純度を高めることが可能である。
【0045】
例えば、図2に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、偏光状態調整素子50Yeに高電圧が印加される高電圧印加状態では、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させずに、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0046】
一方で、図3に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、偏光状態調整素子50Yeに低電圧が印加される低電圧印加状態では、黄成分光の偏光方向のみを90°回転させて、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0047】
ここで、偏光状態調整素子50Yeから出射された黄成分光及び緑成分光は、偏光板51Gに照射される。偏光板51Gは、一の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する。従って、偏光状態調整素子50Yeが黄成分光の偏光方向を回転させるか否かによって、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量が制御される。
【0048】
ここでは、偏光状態調整素子50Yeとして、エッジフィルタタイプの素子を用いるケースについて説明する。図4は、第1実施形態に係るエッジフィルタタイプの素子を説明するための図である。図4では、縦軸は、色成分光の偏光状態を調整せずに色成分光を透過する率(透過率)を示す。従って、透過率が高いほど、色成分光の偏光状態が調整されない。透過率が低いほど、色成分光の偏光状態が調整される。
【0049】
図4に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、高電圧が印加される高電圧印加状態において、緑成分光及び黄成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0050】
一方で、偏光状態調整素子50Yeは、低電圧が印加される低電圧印加状態において、黄成分光の偏光状態を調整して、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0051】
ここで、クロスダイクロイックキューブ60に導かれる黄成分光の光量が制御される構成について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5及び図6は、偏光状態調整素子50Ye近傍の拡大図である。図5及び図6では、PBSアレイ40によって色成分光がS偏光に揃えられているケースについて例示する。
【0052】
図5に示すように、高電圧印加状態においては、偏光状態調整素子50Yeが緑成分光及び黄成分光の偏光状態を調整しない。従って、緑成分光及び黄成分光は、偏光板51Gを透過する。
【0053】
一方で、図6に示すように、低電圧印加状態においては、偏光状態調整素子50Yeが黄成分光の偏光状態を調整する。従って、緑成分光は、偏光板51Gを透過するが、黄成分光は、偏光板51Gで遮光される。
【0054】
クロスダイクロイックキューブ60は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bから出射される光を合成する。すなわち、クロスダイクロイックキューブ60は、液晶パネル50Rから出射される赤成分光、液晶パネル50Gから出射される緑成分光及び黄成分光、及び、液晶パネル50Bから出射される青成分光を合成する。また、クロスダイクロイックキューブ60は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を含む合成光(映像光)を投写レンズユニット110側に出射する。
【0055】
図1に戻って、照明ユニット120は、複数のミラー群(ミラー71〜ミラー76)を有する。ミラー71は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を反射するミラーである。ミラー72は、赤成分光、緑成分光及び黄成分光を反射して、青成分光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー73は、緑成分光及び黄成分光を反射して、赤成分光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー74は、青成分光を反射して液晶パネル50B側に青成分光を導くミラーである。ミラー75及びミラー76は、赤成分光を反射して液晶パネル50R側に赤成分光を導くミラーである。
【0056】
また、照明ユニット120は、複数のレンズ群(レンズ81〜レンズ85)を有する。レンズ81は、PBSアレイ40から出射された光を集光するコンデンサレンズである。レンズ82は、ミラー71で反射された光を集光するコンデンサレンズである。レンズ83Rは、液晶パネル50Rに赤成分光が照射されるように、赤成分光を略平行光化する。レンズ83Gは、液晶パネル50Gに緑成分光が照射されるように、緑成分光を略平行光化する。レンズ83Bは、液晶パネル50Bに青成分光が照射されるように、青成分光を略平行光化する。リレーレンズ84及びリレーレンズ85は、赤成分光の拡大を抑制しながら、液晶パネル50R上に赤成分光を略結像する。
【0057】
(偏光状態調整素子の構成)
以下において、第1実施形態に係る偏光状態調整素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図7〜図9は、第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【0058】
図7〜図9に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、一対の電極と、一対の電極間に設けられた液晶素子とを有する。偏光状態調整素子50Yeは、液晶素子の配向に応じて、3つの状態を有する。3つの状態は、(a)スプレイ配向状態、(b)ベント配向状態及び(c)整列配向状態である。
【0059】
図7に示すように、(a)スプレイ配向状態では、液晶素子の配向がランダムである。一定期間以上に亘って電圧が電極に印加されない場合に、偏光状態調整素子50Yeはスプレイ配向状態に遷移する。偏光状態調整素子50Yeの液晶素子は、無電圧印加状態において、スプレイ配向を有する。
【0060】
図8に示すように、(b)ベント配向状態では、液晶素子の配向が弓なりである。一定期間以上に亘って低電圧が印加される場合に、偏光状態調整素子50Yeはベント配向状態に遷移する。偏光状態調整素子50Yeの液晶素子は、低電圧印加状態において、ベント配向を有する。ベント配向状態では、黄成分光の偏光状態が調整される。
【0061】
図9に示すように、(c)整列配向状態では、液晶素子の配向が整っている。一定期間以上に亘って高電圧が印加される場合に、偏光状態調整素子50Yeは整列配向状態に遷移する。偏光状態調整素子50Yeの液晶素子は、高電圧印加状態において、整列配向を有する。ベント配向状態では、黄成分光の偏光状態が調整されない。
【0062】
ここで、1対の電極から離れた中央付近の液晶素子の配向は、図7に示すスプレイ配向状態において、図8に示すベント配向状態や図9に示す整列配向状態における配向と異なっている。ここで、中央付近の液晶素子は、1対の電極から離れている。従って、電圧の印加に対する応答性については、中央付近の液晶素子は、電極近傍の液晶素子よりも劣っている。
【0063】
このような背景から、スプレイ配向状態からベント配向状態への遷移に係る応答性は、ベント配向状態から整列配向状態への遷移に係る応答性や整列配向状態からベント配向状態への遷移に係る応答性よりも悪いことに留意すべきである。
【0064】
(偏光状態調整素子の機能)
以下において、第1実施形態に係る偏光状態調整素子の機能について、図面を参照しながら説明する。図10は、第1実施形態に係る偏光状態調整素子(偏光状態調整素子50Ye)の機能について説明するための図である。
【0065】
具体的には、図10では、偏光状態調整素子50Yeと偏光板51Gとの組合せが示されている。偏光状態調整素子Ye:タイプ(1)は、低電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。一方で、偏光状態調整素子Ye:タイプ(2)は、高電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。
【0066】
なお、タイプ(2)に係る偏光状態調整素子50Yeは、電圧の印加に依存せずに黄成分光の偏光状態を調整する狭帯域位相差板を有している。上述したように、高電圧印加状態では、液晶素子が整列配向を有するため、黄成分光の偏光状態が調整されないが、狭帯域位相差板によって黄成分光の偏光状態が調整される。結果として、高電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみが調整される。
【0067】
偏光板G:タイプ(1)は、P偏光を有する光を透過して、S偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G:タイプ(1)は、例えば、光源10が発する光がP偏光に揃えられる場合に用いられる。一方で、偏光板G:タイプ(2)は、S偏光を有する光を透過して、P偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G:タイプ(2)は、例えば、光源10が発する光がS偏光に揃えられる場合に用いられる。
【0068】
第1に、光源10が発する光がP偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye:タイプ(1)を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量は、高電圧印加状態で最大となる。一方で、低電圧印加状態では、黄成分光の偏光方向(S偏光)が緑成分光の偏光方向(P偏光)と異なるため、S偏光の黄成分光は、偏光板G:タイプ(1)で遮光される。
【0069】
第2に、光源10が発する光がP偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye:タイプ(2)を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量は、低電圧印加状態で最大となる。一方で、高電圧印加状態状態では、黄成分光の偏光方向(S偏光)が緑成分光の偏光方向(P偏光)と異なるため、S偏光の黄成分光は、偏光板G:タイプ(1)で遮光される。
【0070】
第3に、光源10が発する光がS偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye:タイプ(1)を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量は、低電圧印加状態最大となる。一方で、高電圧印加状態では、黄成分光の偏光方向(P偏光)が緑成分光の偏光方向(S偏光)と異なるため、P偏光の黄成分光は、偏光板G:タイプ(2)で遮光される。
【0071】
第4に、光源10が発する光がS偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye:タイプ(2)を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量は、高電圧印加状態で最大となる。一方で、低電圧印加状態では、黄成分光の偏光方向(P偏光)が緑成分光の偏光方向(S偏光)と異なるため、P偏光の黄成分光は、偏光板G:タイプ(2)で遮光される。
【0072】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図11は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の機能を示すブロック図である。
【0073】
図11に示すように、投写型映像表示装置100は、信号受付部210と、制御部220とを含む制御ユニット200を備える。
【0074】
信号受付部210は、映像入力信号を受付ける。例えば、信号受付部210は、映像入力信号から色信号を分離する色分離ブロックから各色信号(赤用入力信号(R信号)、緑用入力信号(G信号)及び青用入力信号(B信号))を取得する。
【0075】
第1に、制御部220は、信号受付部210から取得した各色信号に基づいて、各液晶パネル50(液晶パネル50R、液晶パネル50G、液晶パネル50B)の変調量を制御する。制御部220は、各色信号を各液晶パネルに出力する。
【0076】
第2に、制御部220は、偏光状態調整素子50Yeに印加する電圧を制御する。制御部220は、電圧を制御するための制御信号を偏光状態調整素子50Yeに出力する。
【0077】
具体的には、制御部220は、黄成分光を利用するケース(例えば、輝度優先モード)では、高電圧を印加するための制御信号を偏光状態調整素子50Yeに出力する。これによって、偏光状態調整素子50Yeは、整列配向状態へ遷移する。
【0078】
一方で、制御部220は、黄成分光を利用しないケース(色再現優先モード)では、低電圧を印加するための制御信号を偏光状態調整素子50Yeに出力する。これによって、偏光状態調整素子50Yeは、ベント配向状態へ遷移する。
【0079】
さらに、制御部220は、偏光状態調整素子50Yeに高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。制御部220は、所定のタイミングでリフレッシュ動作を行う。例えば、制御部220は、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う。
【0080】
以下において、リフレッシュ動作を行うタイミングについて、図12を参照しながら説明する。図12は、映像入力信号、同期信号及び制御信号の関係を示すタイミング図である。なお、同期信号は、フレームの同期をとるための信号である。
【0081】
図12に示すように、映像入力信号(赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号)は1フレーム毎に入力される。図12では、1フレーム毎に入力された映像入力信号によって映像が表示される期間(表示期間)が示されている。各フレームの表示期間の間には、ブランク期間が設けられている。
【0082】
同期信号は1フレーム毎に入力される。同期信号は、例えば、時間軸上におけるフレームの先頭位置で入力される。
【0083】
高電圧を印加するための制御信号は、ブランク期間において偏光状態調整素子50Yeに出力される。すなわち、制御部220は、ブランク期間において、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う。
【0084】
(各色成分光の光量)
以下において、各色成分光の光量について、図面を参照しながら説明する。図13は、第1実施形態に係る各色成分光の光量を示す図である。
【0085】
ここで、光源10が発する光の光量は、光源10が発する光の比視感度と光源10が発するエネルギーとの積である。光源10が発する光の光量は、緑の波長帯及び黄の波長帯でピークを有する。
【0086】
図13に示すように、光源10が発する光の比視感度は、光源10が発する光のエネルギーが同じ場合の最大感度に対する波長ごとの感度の比率(相対値)である。光源10が発する光の比視感度は、緑の波長帯でピークを有しており、緑の波長帯から長波長(又は、短波長)となるに従って減少する。
【0087】
光源10が発する光の特性から分かるように、スクリーン(不図示)上などに投写される映像の輝度向上を図るために、赤の波長帯を有する光(赤成分光)、緑の波長帯を有する光(緑成分光)、青の波長帯を有する光(青成分光)に加えて、黄の波長帯を有する光(黄成分光)を利用することが好ましい。
【0088】
(作用及び効果)
第1実施形態では、偏光状態調整素子50Yeから出射された緑成分光及び黄成分光は、液晶パネル50G側に導かれる。液晶パネル50Gから出射された光は、クロスダイクロイックキューブ60に導かれる。従って、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を利用する場合であっても、クロスダイクロイックキューブ60に入射する光は3種類である。この結果、投写レンズユニット110の設計を変更する必要がなく、装置全体のコスト上昇を抑制することができる。
【0089】
第1実施形態では、偏光状態調整素子50Yeは、電圧印加状態に依存せずに、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。一方で、偏光状態調整素子50Yeは、電圧印加状態に応じて、黄成分光の偏光状態を調整して黄成分光を透過する。黄成分光の偏光状態が緑成分光の偏光状態と揃っているか否かに応じて、クロスダイクロイックキューブ60に導かれる黄成分光の光量が制御される。従って、輝度を優先するケース(例えば、輝度優先モード)では、偏光状態調整素子50Yeに印加する電圧の制御によって黄成分光を利用することができる。一方で、色再現性を優先するケース(例えば、色再現優先モード)では、偏光状態調整素子50Yeに印加する電圧の制御によって黄成分光を利用しないことができる。
【0090】
第1実施形態では、制御部220は、偏光状態調整素子50Yeに高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。具体的には、制御部220は、ブランク期間において1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う。これによって、偏光状態調整素子50Yeがスプレイ配向状態へ遷移することを抑制して、ベント配向状態と整列配向状態との間で偏光状態調整素子50Yeの配向状態を切り替えることができる。この結果、配向状態の切り替えに係る応答性の向上を図ることができる。
【0091】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0092】
変更例1では、偏光状態調整素子50Yeとして、低電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子を用いる(図10に示すタイプ(1))。
【0093】
制御部220は、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行わずに、以下に示すタイミングでリフレッシュ動作を行う。具体的には、制御部220は、低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、輝度を優先すべきフレームでリフレッシュ動作を行う。
【0094】
輝度を優先すべきフレームは、例えば、所定輝度よりも高い輝度を有するフレーム、所定彩度よりも低い彩度を有するフレームなどである。
【0095】
(作用及び効果)
変更例1では、制御部220は、低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、輝度を優先すべきフレームでリフレッシュ動作を行う。制御部220は、高電圧の印加による黄成分光の重畳(利用)に起因する悪影響を抑制しながら、リフレッシュ動作を行うことができる。また、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う場合に比べて、制御部220の処理負荷等が軽減する。
【0096】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0097】
変更例2では、偏光状態調整素子50Yeとして、高電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子を用いる(図10に示すタイプ(2))。
【0098】
制御部220は、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行わずに、以下に示すタイミングでリフレッシュ動作を行う。具体的には、制御部220は、低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、色再現性を優先すべきフレームでリフレッシュ動作を行う。
【0099】
色再現性を優先すべきフレームは、例えば、所定輝度よりも低い輝度を有するフレーム、所定彩度よりも高い彩度を有するフレームなどである。
【0100】
(作用及び効果)
変更例2では、制御部220は、低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、色再現性を優先すべきフレームでリフレッシュ動作を行う。制御部220は、高電圧の印加による黄成分光の遮光(非利用)に起因する悪影響を抑制しながら、リフレッシュ動作を行うことができる。また、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う場合に比べて、制御部220の処理負荷等が軽減する。
【0101】
[変更例3]
以下において、第1実施形態の変更例3について図面を参照しながら説明する。変更例3では、上述した偏光状態調整素子50Yeの構成について詳述する。変更例3では、偏光状態調整素子50Yeは解像度を有する。すなわち、偏光状態調整素子50Yeは複数の分割領域によって構成されており、電圧印加状態を分割領域毎に制御可能である。
【0102】
(光変調素子の構成)
以下において、変更例3係る光変調素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図14は、変更例3に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。なお、図14は、偏光状態調整素子50Yeの光入射面(又は、光出射面)側から偏光状態調整素子50Yeを見た図である。
【0103】
図14に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、複数のセグメント310と、複数の透明電極320とを有する。
【0104】
セグメント310は、マトリクス状に配置されており、4つの領域(領域A〜領域D)として捉えることができる。
【0105】
偏光状態調整素子50Yeの上半分に設けられた領域(領域A及び領域B)では、セグメント310の位置が上方向となるに従って、セグメント310の面積が小さくなっている。一方で、偏光状態調整素子50Yeの下半分に設けられた領域(領域C及び領域D)では、セグメント310の位置が下方向となるに従って、セグメント310の面積が小さくなっている。
【0106】
一方で、偏光状態調整素子50Yeの左半分に設けられた領域(領域A及び領域D)では、各セグメント310の左側に透明電極320が設けられている。偏光状態調整素子50Yeの右半分に設けられた領域(領域B及び領域C)では、各セグメント310の右側に透明電極320が設けられている。
【0107】
ここで、セグメント311−1〜セグメント311−4を例に挙げて、各セグメント310の構成についてさらに詳細に説明する。
【0108】
セグメント311−1の上側に設けられたセグメント311−2の面積は、セグメント311−1に接続された透明電極322−1の幅分だけ、セグメント311−1の面積よりも小さい。
【0109】
セグメント311−2の上側に設けられたセグメント311−3の面積は、セグメント311−2に接続された透明電極322−2の幅分だけ、セグメント311−2の面積よりもさらに小さい。すなわち、セグメント311−3の面積は、透明電極322−1及び透明電極322−2の幅分だけ、セグメント311−1の面積よりも小さい。
【0110】
セグメント311−3の上側に設けられたセグメント311−4の面積は、セグメント311−3に接続された透明電極322−3の幅分だけ、セグメント311−3の面積よりもさらに小さい。すなわち、セグメント311−4の面積は、透明電極322−1〜透明電極322−3の幅分だけ、セグメント311−1の面積よりも小さい。
【0111】
透明電極320は、透明な部材によって構成されており、各セグメント310にそれぞれ接続されている。また、透明電極320は、セグメント310の面積の縮小によって空いたスペースに設けられている。
【0112】
偏光状態調整素子50Yeの上半分に設けられた領域(領域A及び領域B)では、透明電極320は、偏光状態調整素子50Yeの上側に設けられたFPC;Flexible Printed Circuit(不図示)に接続されている。偏光状態調整素子50Yeの下半分に設けられた領域(領域C及び領域D)では、透明電極320は、偏光状態調整素子50Yeの下側に設けられたFPC(不図示)に接続されている。
【0113】
なお、変更例3では、FPCが偏光状態調整素子50Yeの上下に設けられているケースについて例示したが、これに限定されるものではない。具体的には、FPCが偏光状態調整素子50Yeの左右に設けられてもよい。この場合には、図14に示した構成を90°回転させればよいことは勿論である。
【0114】
また、変更例3では、図14に示した構成を有する光変調素子の一例として偏光状態調整素子50Yeを例示したが、各液晶パネル50が図14に示した構成を有していてもよいことは勿論である。
【0115】
(作用及び効果)
変更例3では、偏光状態調整素子50Yeの厚み方向に透明電極320を引き回すことが好ましくないケース、すなわち、光入射面(光出射面)内において透明電極320を引き回すことが好ましいケースにおいて、透明電極320が設けられるスペースを効率的に小さくすることができる。すなわち、偏光状態調整素子50Yeにおいて各セグメント310が占める割合が高くなり、各セグメント310による変調の効果を十分に得ることができる。
【0116】
各セグメント310に接続された電極として透明電極320を用いることによって、電極による光利用効率の低下を抑制することができる。
【0117】
偏光状態調整素子50Yeの上下にFPCが設けられていることによって、透明電極320の長さが短くなるため、透明電極320の電気抵抗を小さくすることができ、透明電極320の幅を狭くすることができる。
【0118】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0119】
例えば、上述した実施形態では、黄成分光に重畳される重畳成分光は緑成分光であるが、これに限定されるものではない。黄成分光に重畳される重畳成分光は赤成分光であってもよい。この場合に、赤成分光は、黄成分光とともに偏光状態調整素子50Yeに入射する。但し、黄色は青色の補色であるため、黄成分光に重畳される重畳成分光は青成分光ではないことが好ましいことに留意すべきである。
【0120】
上述した実施形態では、第4色成分光が黄成分光であるが、これに限定されるものではない。第4色成分光は、シアン成分光、マゼンタ成分光などであってもよい。具体的には、シアン成分光に重畳される重畳成分光は緑成分光又は青成分光であることが好ましい。マゼンタ成分光に重畳される重畳成分光は赤成分光又は青成分光であることが好ましい。
【0121】
上述した実施形態では、第4色成分光が単一の色成分光であるが、これに限定されるものではない。第4色成分光は複数の色成分光であってもよい。
【0122】
上述した実施形態では、偏光状態調整素子は解像度を有していない偏光状態調整素子50Yeであることを前提としているが、これに限定されるものではない。具体的には、偏光状態調整素子は解像度を有する第4色用液晶パネルであってもよい。この場合には、第4色用液晶パネルの解像度は、電極などによる透過率の低下を防ぐために、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bの解像度よりも低いことが好ましい。但し、第4色用液晶パネルの解像度は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bの解像度と同等であってもよいことに留意すべきである。
【0123】
上述した実施形態に係る偏光状態調整素子としては、OCB(Optical Compensated Bend)液晶を用いることができる。また、偏光状態調整素子として、VA(Virtical Alignment)液晶やTN(Twisted Nematic)液晶を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeを説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeを説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeを説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Ye近傍の拡大図である。
【図6】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Ye近傍の拡大図である。
【図7】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの機能を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の機能を示す図である。
【図12】第1実施形態に係る映像入力信号、同期信号及び制御信号の関係を示すタイミング図である。
【図13】第1実施形態に係る各色成分光の光量を示す図である。
【図14】第1実施形態の変更例3に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0125】
10・・・光源、20・・・UV/IRカットフィルタ、30・・・フライアイレンズユニット、40・・・PBSアレイ、50・・・液晶パネル、50Ye・・・偏光状態調整素子、51、52・・・偏光板、60・・・クロスダイクロイックキューブ、71〜76・・・ミラー、81〜85・・・レンズ、100・・・投写型映像表示装置、110・・・投写レンズユニット、120・・・照明ユニット、200・・・制御部、210・・・信号受付部、220・・・制御部、310・・・セグメント、320・・・透明電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、第4色成分光を利用する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3色の光に対応する3つの光変調素子と、3つの光変調素子から出射される光を合成するクロスダイクロイックキューブと、クロスダイクロイックキューブで合成された光を投写する投写手段とを有する投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
ここで、クロスダイクロイックキューブは、光が入射する3つの光入射面と、光が出射する1つの光出射面とを有している。従って、クロスダイクロイックキューブに入射する光が3色である場合には、投写型映像表示装置は、一つのクロスダイクロイックキューブを有していれば足りる。
【0004】
一方で、色再現性や輝度の向上を目的として、4色以上の光を利用する投写型映像表示装置が提案されている。例えば、投写型映像表示装置は、赤、緑及び青の3色に加えて、オレンジ、黄又はシアンを利用することによって、色再現性や輝度の向上を図っている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−287247号公報(請求項1、請求項4、図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、投写型映像表示装置が4色以上の光を有する場合には、一つのクロスダイクロイックキューブで4色以上の光を合成することができない。従って、投写型映像表示装置は、複数のダイクロイックキューブ(又は、クロスダイクロイックキューブ)を有する必要がある。
【0006】
例えば、4色の光の合成が必要である場合には、投写型映像表示装置は、2色の光が合成された合成光を2つ取得して、2つの合成光をさらに合成することによって、4色の合成光を取得する。なお、投写型映像表示装置は、3色の光が合成された合成光を取得して、合成光と1色の光とを合成することによって、4色の合成光を取得してもよい。投写型映像表示装置は、2色の光が合成された合成光を取得して、合成光と2色の光とを合成することによって、4色の合成光を取得してもよい。
【0007】
ここで、光変調素子と投写手段との間に、複数のダイクロイックキューブ(又は、クロスダイクロイックキューブ)を設ける必要がある。従って、投写手段のバックフォーカスが長くなる。
【0008】
この結果、3色の光を利用する投写型映像表示装置で用いられる投写手段を転用することができないため、投写型映像表示装置のコストが全体として上昇してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一の特徴では、投写型映像表示装置は、赤用入力信号に応じて赤成分光を変調する赤光変調素子(液晶パネル50R)と、緑用入力信号に応じて緑成分光を変調する緑光変調素子(液晶パネル50G)と、青用入力信号に応じて青成分光を変調する青光変調素子(液晶パネル50B)と、第4色成分光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子(偏光状態調整素子50Ye)とを備える。投写型映像表示装置は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子から出射された光を合成する色合成部(クロスダイクロイックキューブ60)と、前記偏光状態調整素子に印加する電圧を制御する制御部(制御部220)とを備える。前記赤成分光、前記緑成分光及び前記青成分光のうち、いずれかの色成分光である重畳成分光は、前記第4色成分光とともに偏光状態調整素子に入射する。前記偏光状態調整素子は、前記重畳成分光を透過する。前記偏光状態調整素子は、前記低電圧印加状態と前記高電圧印加状態との切り替えに応じて、前記第4色成分光の偏光状態を調整して前記第4色成分光を透過する。前記制御部は、前記偏光状態調整素子に高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。
【0011】
上述した特徴において、前記赤用入力信号、前記緑用入力信号及び前記青用入力信号は1フレーム毎に入力される。前記制御部は、1フレーム毎に前記リフレッシュ動作を行う。
【0012】
上述した特徴において、前記偏光状態調整素子から出射された前記重畳成分光及び前記第4色成分光は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子のうち、前記重畳成分光に対応する光変調素子である特定の光変調素子に入射する。前記高電圧印加状態において、前記特定の光変調素子に入射する前記第4色成分光の偏光状態は、前記重畳成分光と揃っている。前記制御部は、前記低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、色再現性よりも輝度を優先させるべきフレームで前記リフレッシュ動作を行う。
【0013】
上述した特徴において、前記偏光状態調整素子から出射された前記重畳成分光及び前記第4色成分光は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子のうち、前記重畳成分光に対応する光変調素子である特定の光変調素子に入射する。前記高電圧印加状態において、前記特定の光変調素子に入射する前記第4色成分光の偏光状態は、前記重畳成分光と異なっている。前記制御部は、前記低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、輝度よりも色再現性を優先させるべきフレームで前記リフレッシュ動作を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、4色以上の光を利用する場合であっても、装置全体のコスト上昇を抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0016】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
[実施形態の概要]
実施形態に係る投写型映像表示装置は、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を利用する。黄成分光は、緑成分光とともに、偏光状態調整素子に入射する。偏光状態調整素子から出射された緑成分光及び黄成分光は、緑光変調素子に入射する。
【0018】
偏光状態調整素子は、高電圧印加状態と低電圧印加状態との切り替えに依存せずに、緑成分光の変更状態を調整せずに緑成分光を透過する。一方で、偏光状態調整素子は、高電圧印加状態と低電圧印加状態との切り替えに応じて、黄成分光の変更状態を調整して黄成分光を透過する。
【0019】
制御部は、偏光状態調整素子に印加する電圧を制御する。具体的には、制御部は、高電圧又は低電圧の印加によって、黄成分光の偏光状態を調整する。制御部は、偏光状態調整素子に高電圧を印加するリフレッシュ動作を所定タイミングで行う。
【0020】
このような構成によれば、偏光状態調整素子から出射された緑成分光及び黄成分光は、緑光変調素子側に導かれる。緑光変調素子から出射された光は、色合成部に導かれる。従って、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を利用する場合であっても、色合成部に入射する光は3種類である。この結果、投写手段の設計を変更する必要がなく、装置全体のコスト上昇を抑制することができる。
【0021】
また、偏光状態調整素子の電圧印加状態に応じて、クロスダイクロイックキューブ60に導かれる黄成分光の光量が制御される。従って、輝度を優先するケース(例えば、輝度優先モード)では、黄成分光を利用することができる。一方で、色再現性を優先するケース(例えば、色再現優先モード)では、黄成分光を利用しないことができる。
【0022】
さらに、制御部は、偏光状態調整素子に高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。これによって、偏光状態調整素子がスプレイ配向状態へ遷移することを抑制して、ベント配向状態と整列配向状態との間で偏光状態調整素子の配向状態を切り替えることができる。この結果、配向状態の切り替えに係る応答性の向上を図ることができる。
【0023】
実施形態では、第4色成分光として黄成分光を例示するが、第4色成分光は、これに限定されるものではない。第4色成分光は、マゼンタ成分光又はシアン成分光であってもよい。
【0024】
実施形態では、重畳成分光として緑成分光を例示するが、重畳成分光は、これに限定されるものではない。重畳成分光は、赤成分光又は青成分光であってもよい。
【0025】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【0026】
図1に示すように、投写型映像表示装置100は、投写レンズユニット110と、照明ユニット120とを有する。投写型映像表示装置100は、後述するように、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を第4色成分光として利用する。
【0027】
投写レンズユニット110は、照明ユニット120から出射された映像光を拡大して、スクリーン(不図示)上に映像光を投写する。
【0028】
照明ユニット120は、光源10と、UV/IRカットフィルタ20と、フライアイレンズユニット30と、PBSアレイ40と、複数の液晶パネル50(液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50B)と、偏光状態調整素子50Yeと、クロスダイクロイックキューブ60とを備える。
【0029】
光源10は、白色光を発するUHPランプなどである。すなわち、光源10が発する光は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を少なくとも含む。
【0030】
UV/IRカットフィルタ20は、可視光成分(赤成分光、緑成分光及び青成分光)を透過する。UV/IRカットフィルタ20は、赤外光成分や紫外光成分を遮光する。
【0031】
フライアイレンズユニット30は、光源10が発する光を均一化する。具体的には、フライアイレンズユニット30は、フライアイレンズ30a及びフライアイレンズ30bによって構成される。フライアイレンズ30a及びフライアイレンズ30bは、それぞれ、複数の微少レンズによって構成される。各微少レンズは、光源10が発する光が液晶パネル50の全面に照射されるように、光源10が発する光を集光する。
【0032】
PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光の偏光状態を揃える。例えば、PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光をS偏光(又はP偏光)に揃える。
【0033】
液晶パネル50Rは、赤成分光の偏光方向を回転させることによって赤成分光を変調する。液晶パネル50Rに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を遮光する偏光板51Rが設けられる。一方で、液晶パネル50Rから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する偏光板52Rが設けられる。
【0034】
従って、液晶パネル50Rが赤成分光の偏光方向を回転させない場合には、偏光板51Rを透過した赤成分光が偏光板52Rで遮光されるため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ60に照射されない。一方で、液晶パネル50Rが赤成分光の偏光方向を回転させた場合には、偏光板51Rを透過した赤成分光が偏光板52Rを透過するため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ60に照射される。
【0035】
同様に、液晶パネル50Gは、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させることによって緑成分光及び黄成分光を変調する。液晶パネル50Gに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板51Gが設けられる。一方で、液晶パネル50Gから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板52Gが設けられる。
【0036】
液晶パネル50Bは、青成分光の偏光方向を回転させることによって青成分光を変調する。液晶パネル50Bに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板51Bが設けられる。一方で、液晶パネル50Bから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板52Bが設けられる。
【0037】
ここで、各液晶パネル50には、コントラスト比や透過率を向上させる補償板が設けられていてもよい。また、各偏光板は、偏光板に入射する光の光量や熱負担を軽減させるプリ偏光板を有していてもよい。
【0038】
偏光状態調整素子50Yeは、黄成分光の偏光状態を調整することによって黄成分光を変調する。一方で、偏光状態調整素子50Yeは、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。
【0039】
具体的には、偏光状態調整素子50Yeは、自素子に印加される電圧の状態に応じて、自素子に入射した直線偏光の偏光状態を調整可能な素子である。電圧印加状態は、電圧が印加されていない無電圧印加状態、低電圧が印加される低電圧印加状態、高電圧が印加される高電圧印加状態である。
【0040】
例えば、偏光状態調整素子50Yeは、高電圧印加状態において、自素子に入射する直線偏光(黄成分光)の偏光方向を回転せずに直線偏光をそのまま出射する。一方で、偏光状態調整素子50Yeは、低電圧印加状態において、自素子に入射する直線偏光(黄成分光)の偏光方向を略90°回転して、偏光方向が略90°回転された直線偏光を出射する。
【0041】
なお、偏光状態調整素子50Yeによる黄成分光の偏光状態の調整によって、偏光状態調整素子50Yeの光出射側に設けられた偏光板51Gを透過する黄成分光の光量が制御される。
【0042】
偏光状態調整素子50Yeとしては、ノッチフィルタタイプの素子とエッジフィルタタイプの素子とが考えられる。
【0043】
ノッチフィルタタイプの素子は、特定波長帯域を有する光の偏光状態のみを調整することが可能である。例えば、ノッチフィルタタイプの素子は、緑よりも長波長帯域、すなわち、黄色の波長帯域を有する光の偏光状態のみを調整する。ノッチフィルタタイプの素子を用いることによって、不要光(例えば、黄成分光)を削減することが可能である。
【0044】
エッジフィルタタイプの素子は、特定波長帯域を有する光の偏光状態を調整せずに、他の波長帯域を有する光の偏光状態を調整することが可能である。例えば、エッジフィルタタイプの素子は、緑の波長帯域を有する光の偏光状態を調整せずに、緑よりも長波長帯域及び短波長帯域を有する光の偏光状態を調整する。エッジフィルタタイプの素子を用いることによって、特定波長帯域を有する光(例えば、緑成分光)の色純度を高めることが可能である。
【0045】
例えば、図2に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、偏光状態調整素子50Yeに高電圧が印加される高電圧印加状態では、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させずに、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0046】
一方で、図3に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、偏光状態調整素子50Yeに低電圧が印加される低電圧印加状態では、黄成分光の偏光方向のみを90°回転させて、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0047】
ここで、偏光状態調整素子50Yeから出射された黄成分光及び緑成分光は、偏光板51Gに照射される。偏光板51Gは、一の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する。従って、偏光状態調整素子50Yeが黄成分光の偏光方向を回転させるか否かによって、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量が制御される。
【0048】
ここでは、偏光状態調整素子50Yeとして、エッジフィルタタイプの素子を用いるケースについて説明する。図4は、第1実施形態に係るエッジフィルタタイプの素子を説明するための図である。図4では、縦軸は、色成分光の偏光状態を調整せずに色成分光を透過する率(透過率)を示す。従って、透過率が高いほど、色成分光の偏光状態が調整されない。透過率が低いほど、色成分光の偏光状態が調整される。
【0049】
図4に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、高電圧が印加される高電圧印加状態において、緑成分光及び黄成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0050】
一方で、偏光状態調整素子50Yeは、低電圧が印加される低電圧印加状態において、黄成分光の偏光状態を調整して、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0051】
ここで、クロスダイクロイックキューブ60に導かれる黄成分光の光量が制御される構成について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5及び図6は、偏光状態調整素子50Ye近傍の拡大図である。図5及び図6では、PBSアレイ40によって色成分光がS偏光に揃えられているケースについて例示する。
【0052】
図5に示すように、高電圧印加状態においては、偏光状態調整素子50Yeが緑成分光及び黄成分光の偏光状態を調整しない。従って、緑成分光及び黄成分光は、偏光板51Gを透過する。
【0053】
一方で、図6に示すように、低電圧印加状態においては、偏光状態調整素子50Yeが黄成分光の偏光状態を調整する。従って、緑成分光は、偏光板51Gを透過するが、黄成分光は、偏光板51Gで遮光される。
【0054】
クロスダイクロイックキューブ60は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bから出射される光を合成する。すなわち、クロスダイクロイックキューブ60は、液晶パネル50Rから出射される赤成分光、液晶パネル50Gから出射される緑成分光及び黄成分光、及び、液晶パネル50Bから出射される青成分光を合成する。また、クロスダイクロイックキューブ60は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を含む合成光(映像光)を投写レンズユニット110側に出射する。
【0055】
図1に戻って、照明ユニット120は、複数のミラー群(ミラー71〜ミラー76)を有する。ミラー71は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を反射するミラーである。ミラー72は、赤成分光、緑成分光及び黄成分光を反射して、青成分光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー73は、緑成分光及び黄成分光を反射して、赤成分光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー74は、青成分光を反射して液晶パネル50B側に青成分光を導くミラーである。ミラー75及びミラー76は、赤成分光を反射して液晶パネル50R側に赤成分光を導くミラーである。
【0056】
また、照明ユニット120は、複数のレンズ群(レンズ81〜レンズ85)を有する。レンズ81は、PBSアレイ40から出射された光を集光するコンデンサレンズである。レンズ82は、ミラー71で反射された光を集光するコンデンサレンズである。レンズ83Rは、液晶パネル50Rに赤成分光が照射されるように、赤成分光を略平行光化する。レンズ83Gは、液晶パネル50Gに緑成分光が照射されるように、緑成分光を略平行光化する。レンズ83Bは、液晶パネル50Bに青成分光が照射されるように、青成分光を略平行光化する。リレーレンズ84及びリレーレンズ85は、赤成分光の拡大を抑制しながら、液晶パネル50R上に赤成分光を略結像する。
【0057】
(偏光状態調整素子の構成)
以下において、第1実施形態に係る偏光状態調整素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図7〜図9は、第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【0058】
図7〜図9に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、一対の電極と、一対の電極間に設けられた液晶素子とを有する。偏光状態調整素子50Yeは、液晶素子の配向に応じて、3つの状態を有する。3つの状態は、(a)スプレイ配向状態、(b)ベント配向状態及び(c)整列配向状態である。
【0059】
図7に示すように、(a)スプレイ配向状態では、液晶素子の配向がランダムである。一定期間以上に亘って電圧が電極に印加されない場合に、偏光状態調整素子50Yeはスプレイ配向状態に遷移する。偏光状態調整素子50Yeの液晶素子は、無電圧印加状態において、スプレイ配向を有する。
【0060】
図8に示すように、(b)ベント配向状態では、液晶素子の配向が弓なりである。一定期間以上に亘って低電圧が印加される場合に、偏光状態調整素子50Yeはベント配向状態に遷移する。偏光状態調整素子50Yeの液晶素子は、低電圧印加状態において、ベント配向を有する。ベント配向状態では、黄成分光の偏光状態が調整される。
【0061】
図9に示すように、(c)整列配向状態では、液晶素子の配向が整っている。一定期間以上に亘って高電圧が印加される場合に、偏光状態調整素子50Yeは整列配向状態に遷移する。偏光状態調整素子50Yeの液晶素子は、高電圧印加状態において、整列配向を有する。ベント配向状態では、黄成分光の偏光状態が調整されない。
【0062】
ここで、1対の電極から離れた中央付近の液晶素子の配向は、図7に示すスプレイ配向状態において、図8に示すベント配向状態や図9に示す整列配向状態における配向と異なっている。ここで、中央付近の液晶素子は、1対の電極から離れている。従って、電圧の印加に対する応答性については、中央付近の液晶素子は、電極近傍の液晶素子よりも劣っている。
【0063】
このような背景から、スプレイ配向状態からベント配向状態への遷移に係る応答性は、ベント配向状態から整列配向状態への遷移に係る応答性や整列配向状態からベント配向状態への遷移に係る応答性よりも悪いことに留意すべきである。
【0064】
(偏光状態調整素子の機能)
以下において、第1実施形態に係る偏光状態調整素子の機能について、図面を参照しながら説明する。図10は、第1実施形態に係る偏光状態調整素子(偏光状態調整素子50Ye)の機能について説明するための図である。
【0065】
具体的には、図10では、偏光状態調整素子50Yeと偏光板51Gとの組合せが示されている。偏光状態調整素子Ye:タイプ(1)は、低電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。一方で、偏光状態調整素子Ye:タイプ(2)は、高電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。
【0066】
なお、タイプ(2)に係る偏光状態調整素子50Yeは、電圧の印加に依存せずに黄成分光の偏光状態を調整する狭帯域位相差板を有している。上述したように、高電圧印加状態では、液晶素子が整列配向を有するため、黄成分光の偏光状態が調整されないが、狭帯域位相差板によって黄成分光の偏光状態が調整される。結果として、高電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみが調整される。
【0067】
偏光板G:タイプ(1)は、P偏光を有する光を透過して、S偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G:タイプ(1)は、例えば、光源10が発する光がP偏光に揃えられる場合に用いられる。一方で、偏光板G:タイプ(2)は、S偏光を有する光を透過して、P偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G:タイプ(2)は、例えば、光源10が発する光がS偏光に揃えられる場合に用いられる。
【0068】
第1に、光源10が発する光がP偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye:タイプ(1)を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量は、高電圧印加状態で最大となる。一方で、低電圧印加状態では、黄成分光の偏光方向(S偏光)が緑成分光の偏光方向(P偏光)と異なるため、S偏光の黄成分光は、偏光板G:タイプ(1)で遮光される。
【0069】
第2に、光源10が発する光がP偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye:タイプ(2)を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量は、低電圧印加状態で最大となる。一方で、高電圧印加状態状態では、黄成分光の偏光方向(S偏光)が緑成分光の偏光方向(P偏光)と異なるため、S偏光の黄成分光は、偏光板G:タイプ(1)で遮光される。
【0070】
第3に、光源10が発する光がS偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye:タイプ(1)を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量は、低電圧印加状態最大となる。一方で、高電圧印加状態では、黄成分光の偏光方向(P偏光)が緑成分光の偏光方向(S偏光)と異なるため、P偏光の黄成分光は、偏光板G:タイプ(2)で遮光される。
【0071】
第4に、光源10が発する光がS偏光に揃えられるケースにおいて、偏光状態調整素子Ye:タイプ(2)を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ60に到達する黄成分光の光量は、高電圧印加状態で最大となる。一方で、低電圧印加状態では、黄成分光の偏光方向(P偏光)が緑成分光の偏光方向(S偏光)と異なるため、P偏光の黄成分光は、偏光板G:タイプ(2)で遮光される。
【0072】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図11は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の機能を示すブロック図である。
【0073】
図11に示すように、投写型映像表示装置100は、信号受付部210と、制御部220とを含む制御ユニット200を備える。
【0074】
信号受付部210は、映像入力信号を受付ける。例えば、信号受付部210は、映像入力信号から色信号を分離する色分離ブロックから各色信号(赤用入力信号(R信号)、緑用入力信号(G信号)及び青用入力信号(B信号))を取得する。
【0075】
第1に、制御部220は、信号受付部210から取得した各色信号に基づいて、各液晶パネル50(液晶パネル50R、液晶パネル50G、液晶パネル50B)の変調量を制御する。制御部220は、各色信号を各液晶パネルに出力する。
【0076】
第2に、制御部220は、偏光状態調整素子50Yeに印加する電圧を制御する。制御部220は、電圧を制御するための制御信号を偏光状態調整素子50Yeに出力する。
【0077】
具体的には、制御部220は、黄成分光を利用するケース(例えば、輝度優先モード)では、高電圧を印加するための制御信号を偏光状態調整素子50Yeに出力する。これによって、偏光状態調整素子50Yeは、整列配向状態へ遷移する。
【0078】
一方で、制御部220は、黄成分光を利用しないケース(色再現優先モード)では、低電圧を印加するための制御信号を偏光状態調整素子50Yeに出力する。これによって、偏光状態調整素子50Yeは、ベント配向状態へ遷移する。
【0079】
さらに、制御部220は、偏光状態調整素子50Yeに高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。制御部220は、所定のタイミングでリフレッシュ動作を行う。例えば、制御部220は、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う。
【0080】
以下において、リフレッシュ動作を行うタイミングについて、図12を参照しながら説明する。図12は、映像入力信号、同期信号及び制御信号の関係を示すタイミング図である。なお、同期信号は、フレームの同期をとるための信号である。
【0081】
図12に示すように、映像入力信号(赤用入力信号、緑用入力信号及び青用入力信号)は1フレーム毎に入力される。図12では、1フレーム毎に入力された映像入力信号によって映像が表示される期間(表示期間)が示されている。各フレームの表示期間の間には、ブランク期間が設けられている。
【0082】
同期信号は1フレーム毎に入力される。同期信号は、例えば、時間軸上におけるフレームの先頭位置で入力される。
【0083】
高電圧を印加するための制御信号は、ブランク期間において偏光状態調整素子50Yeに出力される。すなわち、制御部220は、ブランク期間において、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う。
【0084】
(各色成分光の光量)
以下において、各色成分光の光量について、図面を参照しながら説明する。図13は、第1実施形態に係る各色成分光の光量を示す図である。
【0085】
ここで、光源10が発する光の光量は、光源10が発する光の比視感度と光源10が発するエネルギーとの積である。光源10が発する光の光量は、緑の波長帯及び黄の波長帯でピークを有する。
【0086】
図13に示すように、光源10が発する光の比視感度は、光源10が発する光のエネルギーが同じ場合の最大感度に対する波長ごとの感度の比率(相対値)である。光源10が発する光の比視感度は、緑の波長帯でピークを有しており、緑の波長帯から長波長(又は、短波長)となるに従って減少する。
【0087】
光源10が発する光の特性から分かるように、スクリーン(不図示)上などに投写される映像の輝度向上を図るために、赤の波長帯を有する光(赤成分光)、緑の波長帯を有する光(緑成分光)、青の波長帯を有する光(青成分光)に加えて、黄の波長帯を有する光(黄成分光)を利用することが好ましい。
【0088】
(作用及び効果)
第1実施形態では、偏光状態調整素子50Yeから出射された緑成分光及び黄成分光は、液晶パネル50G側に導かれる。液晶パネル50Gから出射された光は、クロスダイクロイックキューブ60に導かれる。従って、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、黄成分光を利用する場合であっても、クロスダイクロイックキューブ60に入射する光は3種類である。この結果、投写レンズユニット110の設計を変更する必要がなく、装置全体のコスト上昇を抑制することができる。
【0089】
第1実施形態では、偏光状態調整素子50Yeは、電圧印加状態に依存せずに、緑成分光の偏光状態を調整せずに緑成分光を透過する。一方で、偏光状態調整素子50Yeは、電圧印加状態に応じて、黄成分光の偏光状態を調整して黄成分光を透過する。黄成分光の偏光状態が緑成分光の偏光状態と揃っているか否かに応じて、クロスダイクロイックキューブ60に導かれる黄成分光の光量が制御される。従って、輝度を優先するケース(例えば、輝度優先モード)では、偏光状態調整素子50Yeに印加する電圧の制御によって黄成分光を利用することができる。一方で、色再現性を優先するケース(例えば、色再現優先モード)では、偏光状態調整素子50Yeに印加する電圧の制御によって黄成分光を利用しないことができる。
【0090】
第1実施形態では、制御部220は、偏光状態調整素子50Yeに高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御する。具体的には、制御部220は、ブランク期間において1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う。これによって、偏光状態調整素子50Yeがスプレイ配向状態へ遷移することを抑制して、ベント配向状態と整列配向状態との間で偏光状態調整素子50Yeの配向状態を切り替えることができる。この結果、配向状態の切り替えに係る応答性の向上を図ることができる。
【0091】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0092】
変更例1では、偏光状態調整素子50Yeとして、低電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子を用いる(図10に示すタイプ(1))。
【0093】
制御部220は、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行わずに、以下に示すタイミングでリフレッシュ動作を行う。具体的には、制御部220は、低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、輝度を優先すべきフレームでリフレッシュ動作を行う。
【0094】
輝度を優先すべきフレームは、例えば、所定輝度よりも高い輝度を有するフレーム、所定彩度よりも低い彩度を有するフレームなどである。
【0095】
(作用及び効果)
変更例1では、制御部220は、低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、輝度を優先すべきフレームでリフレッシュ動作を行う。制御部220は、高電圧の印加による黄成分光の重畳(利用)に起因する悪影響を抑制しながら、リフレッシュ動作を行うことができる。また、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う場合に比べて、制御部220の処理負荷等が軽減する。
【0096】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0097】
変更例2では、偏光状態調整素子50Yeとして、高電圧印加状態で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子を用いる(図10に示すタイプ(2))。
【0098】
制御部220は、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行わずに、以下に示すタイミングでリフレッシュ動作を行う。具体的には、制御部220は、低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、色再現性を優先すべきフレームでリフレッシュ動作を行う。
【0099】
色再現性を優先すべきフレームは、例えば、所定輝度よりも低い輝度を有するフレーム、所定彩度よりも高い彩度を有するフレームなどである。
【0100】
(作用及び効果)
変更例2では、制御部220は、低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、色再現性を優先すべきフレームでリフレッシュ動作を行う。制御部220は、高電圧の印加による黄成分光の遮光(非利用)に起因する悪影響を抑制しながら、リフレッシュ動作を行うことができる。また、1フレーム毎にリフレッシュ動作を行う場合に比べて、制御部220の処理負荷等が軽減する。
【0101】
[変更例3]
以下において、第1実施形態の変更例3について図面を参照しながら説明する。変更例3では、上述した偏光状態調整素子50Yeの構成について詳述する。変更例3では、偏光状態調整素子50Yeは解像度を有する。すなわち、偏光状態調整素子50Yeは複数の分割領域によって構成されており、電圧印加状態を分割領域毎に制御可能である。
【0102】
(光変調素子の構成)
以下において、変更例3係る光変調素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図14は、変更例3に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。なお、図14は、偏光状態調整素子50Yeの光入射面(又は、光出射面)側から偏光状態調整素子50Yeを見た図である。
【0103】
図14に示すように、偏光状態調整素子50Yeは、複数のセグメント310と、複数の透明電極320とを有する。
【0104】
セグメント310は、マトリクス状に配置されており、4つの領域(領域A〜領域D)として捉えることができる。
【0105】
偏光状態調整素子50Yeの上半分に設けられた領域(領域A及び領域B)では、セグメント310の位置が上方向となるに従って、セグメント310の面積が小さくなっている。一方で、偏光状態調整素子50Yeの下半分に設けられた領域(領域C及び領域D)では、セグメント310の位置が下方向となるに従って、セグメント310の面積が小さくなっている。
【0106】
一方で、偏光状態調整素子50Yeの左半分に設けられた領域(領域A及び領域D)では、各セグメント310の左側に透明電極320が設けられている。偏光状態調整素子50Yeの右半分に設けられた領域(領域B及び領域C)では、各セグメント310の右側に透明電極320が設けられている。
【0107】
ここで、セグメント311−1〜セグメント311−4を例に挙げて、各セグメント310の構成についてさらに詳細に説明する。
【0108】
セグメント311−1の上側に設けられたセグメント311−2の面積は、セグメント311−1に接続された透明電極322−1の幅分だけ、セグメント311−1の面積よりも小さい。
【0109】
セグメント311−2の上側に設けられたセグメント311−3の面積は、セグメント311−2に接続された透明電極322−2の幅分だけ、セグメント311−2の面積よりもさらに小さい。すなわち、セグメント311−3の面積は、透明電極322−1及び透明電極322−2の幅分だけ、セグメント311−1の面積よりも小さい。
【0110】
セグメント311−3の上側に設けられたセグメント311−4の面積は、セグメント311−3に接続された透明電極322−3の幅分だけ、セグメント311−3の面積よりもさらに小さい。すなわち、セグメント311−4の面積は、透明電極322−1〜透明電極322−3の幅分だけ、セグメント311−1の面積よりも小さい。
【0111】
透明電極320は、透明な部材によって構成されており、各セグメント310にそれぞれ接続されている。また、透明電極320は、セグメント310の面積の縮小によって空いたスペースに設けられている。
【0112】
偏光状態調整素子50Yeの上半分に設けられた領域(領域A及び領域B)では、透明電極320は、偏光状態調整素子50Yeの上側に設けられたFPC;Flexible Printed Circuit(不図示)に接続されている。偏光状態調整素子50Yeの下半分に設けられた領域(領域C及び領域D)では、透明電極320は、偏光状態調整素子50Yeの下側に設けられたFPC(不図示)に接続されている。
【0113】
なお、変更例3では、FPCが偏光状態調整素子50Yeの上下に設けられているケースについて例示したが、これに限定されるものではない。具体的には、FPCが偏光状態調整素子50Yeの左右に設けられてもよい。この場合には、図14に示した構成を90°回転させればよいことは勿論である。
【0114】
また、変更例3では、図14に示した構成を有する光変調素子の一例として偏光状態調整素子50Yeを例示したが、各液晶パネル50が図14に示した構成を有していてもよいことは勿論である。
【0115】
(作用及び効果)
変更例3では、偏光状態調整素子50Yeの厚み方向に透明電極320を引き回すことが好ましくないケース、すなわち、光入射面(光出射面)内において透明電極320を引き回すことが好ましいケースにおいて、透明電極320が設けられるスペースを効率的に小さくすることができる。すなわち、偏光状態調整素子50Yeにおいて各セグメント310が占める割合が高くなり、各セグメント310による変調の効果を十分に得ることができる。
【0116】
各セグメント310に接続された電極として透明電極320を用いることによって、電極による光利用効率の低下を抑制することができる。
【0117】
偏光状態調整素子50Yeの上下にFPCが設けられていることによって、透明電極320の長さが短くなるため、透明電極320の電気抵抗を小さくすることができ、透明電極320の幅を狭くすることができる。
【0118】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0119】
例えば、上述した実施形態では、黄成分光に重畳される重畳成分光は緑成分光であるが、これに限定されるものではない。黄成分光に重畳される重畳成分光は赤成分光であってもよい。この場合に、赤成分光は、黄成分光とともに偏光状態調整素子50Yeに入射する。但し、黄色は青色の補色であるため、黄成分光に重畳される重畳成分光は青成分光ではないことが好ましいことに留意すべきである。
【0120】
上述した実施形態では、第4色成分光が黄成分光であるが、これに限定されるものではない。第4色成分光は、シアン成分光、マゼンタ成分光などであってもよい。具体的には、シアン成分光に重畳される重畳成分光は緑成分光又は青成分光であることが好ましい。マゼンタ成分光に重畳される重畳成分光は赤成分光又は青成分光であることが好ましい。
【0121】
上述した実施形態では、第4色成分光が単一の色成分光であるが、これに限定されるものではない。第4色成分光は複数の色成分光であってもよい。
【0122】
上述した実施形態では、偏光状態調整素子は解像度を有していない偏光状態調整素子50Yeであることを前提としているが、これに限定されるものではない。具体的には、偏光状態調整素子は解像度を有する第4色用液晶パネルであってもよい。この場合には、第4色用液晶パネルの解像度は、電極などによる透過率の低下を防ぐために、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bの解像度よりも低いことが好ましい。但し、第4色用液晶パネルの解像度は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bの解像度と同等であってもよいことに留意すべきである。
【0123】
上述した実施形態に係る偏光状態調整素子としては、OCB(Optical Compensated Bend)液晶を用いることができる。また、偏光状態調整素子として、VA(Virtical Alignment)液晶やTN(Twisted Nematic)液晶を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeを説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeを説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeを説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Ye近傍の拡大図である。
【図6】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Ye近傍の拡大図である。
【図7】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る偏光状態調整素子50Yeの機能を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の機能を示す図である。
【図12】第1実施形態に係る映像入力信号、同期信号及び制御信号の関係を示すタイミング図である。
【図13】第1実施形態に係る各色成分光の光量を示す図である。
【図14】第1実施形態の変更例3に係る偏光状態調整素子50Yeの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0125】
10・・・光源、20・・・UV/IRカットフィルタ、30・・・フライアイレンズユニット、40・・・PBSアレイ、50・・・液晶パネル、50Ye・・・偏光状態調整素子、51、52・・・偏光板、60・・・クロスダイクロイックキューブ、71〜76・・・ミラー、81〜85・・・レンズ、100・・・投写型映像表示装置、110・・・投写レンズユニット、120・・・照明ユニット、200・・・制御部、210・・・信号受付部、220・・・制御部、310・・・セグメント、320・・・透明電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤用入力信号に応じて赤成分光を変調する赤光変調素子と、緑用入力信号に応じて緑成分光を変調する緑光変調素子と、青用入力信号に応じて青成分光を変調する青光変調素子と、第4色成分光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子とを備えた投写型映像表示装置であって、
前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、
前記偏光状態調整素子に印加する電圧を制御する制御部とを備え、
前記赤成分光、前記緑成分光及び前記青成分光のうち、いずれかの色成分光である重畳成分光は、前記第4色成分光とともに偏光状態調整素子に入射し、
前記偏光状態調整素子は、前記重畳成分光を透過し、前記低電圧印加状態と前記高電圧印加状態との切り替えに応じて、前記第4色成分光の偏光状態を調整して前記第4色成分光を透過し、
前記制御部は、前記偏光状態調整素子に高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記赤用入力信号、前記緑用入力信号及び前記青用入力信号は1フレーム毎に入力され、
前記制御部は、1フレーム毎に前記リフレッシュ動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記偏光状態調整素子から出射された前記重畳成分光及び前記第4色成分光は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子のうち、前記重畳成分光に対応する光変調素子である特定の光変調素子に入射し、
前記高電圧印加状態において、前記特定の光変調素子に入射する前記第4色成分光の偏光状態は、前記重畳成分光と揃っており、
前記制御部は、前記低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、色再現性よりも輝度を優先させるべきフレームで前記リフレッシュ動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記偏光状態調整素子から出射された前記重畳成分光及び前記第4色成分光は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子のうち、前記重畳成分光に対応する光変調素子である特定の光変調素子に入射し、
前記高電圧印加状態において、前記特定の光変調素子に入射する前記第4色成分光の偏光状態は、前記重畳成分光と異なっており、
前記制御部は、前記低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、輝度よりも色再現性を優先させるべきフレームで前記リフレッシュ動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項1】
赤用入力信号に応じて赤成分光を変調する赤光変調素子と、緑用入力信号に応じて緑成分光を変調する緑光変調素子と、青用入力信号に応じて青成分光を変調する青光変調素子と、第4色成分光の偏光状態を調整する偏光状態調整素子とを備えた投写型映像表示装置であって、
前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、
前記偏光状態調整素子に印加する電圧を制御する制御部とを備え、
前記赤成分光、前記緑成分光及び前記青成分光のうち、いずれかの色成分光である重畳成分光は、前記第4色成分光とともに偏光状態調整素子に入射し、
前記偏光状態調整素子は、前記重畳成分光を透過し、前記低電圧印加状態と前記高電圧印加状態との切り替えに応じて、前記第4色成分光の偏光状態を調整して前記第4色成分光を透過し、
前記制御部は、前記偏光状態調整素子に高電圧を印加するリフレッシュ動作を制御することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記赤用入力信号、前記緑用入力信号及び前記青用入力信号は1フレーム毎に入力され、
前記制御部は、1フレーム毎に前記リフレッシュ動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記偏光状態調整素子から出射された前記重畳成分光及び前記第4色成分光は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子のうち、前記重畳成分光に対応する光変調素子である特定の光変調素子に入射し、
前記高電圧印加状態において、前記特定の光変調素子に入射する前記第4色成分光の偏光状態は、前記重畳成分光と揃っており、
前記制御部は、前記低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、色再現性よりも輝度を優先させるべきフレームで前記リフレッシュ動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記偏光状態調整素子から出射された前記重畳成分光及び前記第4色成分光は、前記赤光変調素子、前記緑光変調素子及び前記青光変調素子のうち、前記重畳成分光に対応する光変調素子である特定の光変調素子に入射し、
前記高電圧印加状態において、前記特定の光変調素子に入射する前記第4色成分光の偏光状態は、前記重畳成分光と異なっており、
前記制御部は、前記低電圧印加状態が所定期間以上継続している場合に、輝度よりも色再現性を優先させるべきフレームで前記リフレッシュ動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−62898(P2010−62898A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226828(P2008−226828)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]