投写型映像表示装置
【課題】投写型映像表示装置を簡易に起動することを可能とする投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】投写型映像表示装置は、DMD及び投写光学系を収容する筐体を備える。筐体は、基準面と対向する底面(第1の面又は第2の面)を有する。底面(第1の面又は第2の面)には、基準面を検出可能に構成された検出部400が設けられる。投写型映像表示装置は、検出部400によって前記基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する運転制御部320を備える。
【解決手段】投写型映像表示装置は、DMD及び投写光学系を収容する筐体を備える。筐体は、基準面と対向する底面(第1の面又は第2の面)を有する。底面(第1の面又は第2の面)には、基準面を検出可能に構成された検出部400が設けられる。投写型映像表示装置は、検出部400によって前記基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する運転制御部320を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを備える投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを備える投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
近年では、机などの基準面上に配置するタイプの投写型映像表示装置が提案されている。投写型映像表示装置は、基準面と平行な投写面上に光を投写する(例えば、特許文献1)。また、ミラーを含む投写光学系のうち、最後の光学部材として凸面ミラーや凹面ミラーを用いることによって、投写光の出射位置と被投写面との距離を短くする技術が開示されている(例えば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−89928号公報
【特許文献2】特開2008−134350号公報
【特許文献3】特開2004−258620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、投写型映像表示装置には、電源スイッチなどが設けられており、投写型映像表示装置を起動するためには、電源スイッチを押下する必要がある。一方で、ユーザの利便性の観点からは、ユーザ操作が少ない方が好ましい。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、投写型映像表示装置を簡易に起動することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1−1の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源(光源10)から出射される光を変調する光変調素子(DMD70)と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系(投写光学系110)とを収容する筐体(筐体200)を備える。投写型映像表示装置は、基準面上に配置される。前記筐体は、前記基準面と対向する底面(第1の面220又は第2の面230)を有する。前記底面には、前記基準面を検出可能に構成された検出部(検出部400)が設けられる。投写型映像表示装置は、前記検出部によって前記基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する運転制御部(運転制御部320)を備える。
【0008】
第1−1の特徴において、前記検出部は、前記基準面を検出する少なくとも3つ以上の検出点を有する。
【0009】
第1−1の特徴において、前記少なくとも3つ以上の検出点は、前記筐体が前記基準面に配置された状態で通電する機械的なスイッチである。
【0010】
第1−1の特徴において、前記筐体は、前記投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体(第1筐体200A又はカバー体200C)と、前記投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具(フォーカス調整具260)とを有する。前記カバー体は、前記カバー体の移動によって、前記透過領域を被覆する被覆状態及び前記透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移する。前記フォーカス調整具は、前記カバー体の移動によって初期位置に戻る。
【0011】
第1−1の特徴において、前記運転制御部は、前記投写型映像表示装置の運転開始後において、前記筐体内の冷却状態が所定状態よりも悪い場合に、前記投写型映像表示装置の運転を終了する。
【0012】
第1−2の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備える。投写型映像表示装置は、基準面上に配置される。前記筐体は、前記投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体と、前記投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具と有する。前記カバー体は、前記カバー体の移動によって、前記透過領域を被覆する被覆状態及び前記透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移する。前記フォーカス調整具は、前記カバー体の移動によって初期位置に戻る。
【0013】
第2−1の特徴に係る投写型映像表示装置は、映像光を生成する映像光生成部と、前記映像光生成部を収納する筐体と、前記映像光生成部から出射された前記映像光の出射方向とは異なる方向へ前記映像光を折り曲げて投写面へ投写させる投写部とを備える。投写型映像表示装置は、前記映像光が前記筐体から出射する面を正面、前記正面に対向する面を背面、前記投写面と略平行で且つ最も近い面を底面、前記底面に対抗する面を天面、前記正面と前記背面との間で前記底面と前記天面以外の面を側面としたとき、投写型映像表示装置に各種指令を与える操作部(電源ボタン2166、メニューボタン2167、方向ボタン2168)が前記天面及び/又は前記側面に配される。
【0014】
かかる特徴によれば、投写型映像表示装置が映像を投写する状態(図33参照)で設置されたとき、操作ボタンの操作時に投写画面に影響の出ない位置に操作ボタンを配置されているので、投写中に操作ボタンを操作してもユーザにより投写映像を遮ることがなくなる。
【0015】
第2−1の特徴において、前記操作部は操作ボタンを有し、前記操作ボタンの配置は、前記筺体の正面及び背面から確認したときに前後対称に配されていることを特徴としてもよい。
【0016】
第2−1の特徴において、投写される前記映像光の状態を調整する調整部を備え、前記調整部の調整つまみは前記側面に配されていることを特徴としてもよい。
【0017】
第2−1の特徴において、投写される前記映像光の状態を調整する調整部を備え、前記調整部の調整つまみは前記正面に配されていることを特徴としてもよい。
【0018】
第2−1の特徴において、電源及び入力信号を入力する入力部を備え、前記入力部は、前記側面に配されることを特徴としてもよい。
【0019】
第2−1の特徴において、前記調整つまみ及び/又は前記入力部を覆うカバーを備えることを特徴としてもよい。
【0020】
第2−1の特徴において、前記筺体内部に冷却風を導く吸気口と、前記筺体内部から冷却風を排出する排気口とを有し、前記筐体は、少なくとも一方向の寸法が変化する可動部を有し、前記可動部を可動させることと連動して前記カバーを可動させることにより前記つまみ、前記入力部、前記吸気口、前記排気口のうち少なくとも一の開閉を行うことを特徴としてもよい。
【0021】
第3−1の特徴に係る投写型映像表示装置(投写型映像表示装置1100)は、映像光を生成する映像光生成部(映像光生成部1140)と、前記映像光生成部から出射された前記映像光を投写面側へ反射するミラー(例えば、非球面ミラー1112)と、を備えるものである。投写型映像表示装置は、前記映像光生成部へ電力を供給する電力供給部(例えば、バッテリ部1150)を備え、前記電力供給部は、前記ミラーと可及的に離れた位置に設けられる。
【0022】
かかる構成によれば、重量のあるミラーと電力供給部とが離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。
【0023】
第3−1の特徴において、前記映像光生成部を冷却する冷却部(冷却部1170)をさらに備え、前記冷却部もまた、前記ミラーと可及的に離れた位置に設けられるとよい。これにより、ミラーや電力供給部についで、重量のある冷却部がミラーと離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。また、電力供給部と冷却部とが近接した位置に設けられる場合、電力供給部と冷却部とが設けられる領域が底部となるように設置すれば、底面積が小さい場合でも安定して設置することができる。
【0024】
第3−1の特徴において、前記映像光生成部を収納し、略直方体形状を有する筐体(筐体1101)をさらに備え、前記映像光が前記筐体から出射する面を正面(正面1106)、前記正面に対向する面を背面(背面1107)、前記正面と前記背面との間に位置する面であって前記電力供給部が配される面を底面(底面1105)としたとき、自装置を操作する操作部(例えば、電源スイッチ1166や操作ボタン1167)は、前記正面、前記背面および前記底面を除く面に設けられるとよい。これにより、筐体の正面に操作部が無いので、ユーザが操作部を操作するときに、映像光が通る正面側の領域に手が入り、映像光を遮光してしまう虞がない。また、設置面となる背面や底面にも操作部が無いので、どのような設置状態でもユーザは操作部を操作することができる。
【0025】
詳細には、第3−1の特徴において、前記投写面が水平面(例えば、XY面)であるとき、前記電力供給部は自装置の最下部に位置し、前記ミラーは、前記電力供給部の上部に設けられた前記映像生成部から上方へ出射された前記映像光を前記投写面へ反射する位置に設けられることを要旨とする。
【0026】
かかる構成によれば、様々な設置状態において、安定性のよい投写型映像表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、投写型映像表示装置を簡易に起動することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略構成を示す図である。
【図2】第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略構成を示す図である。
【図3】第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100の光学構成を説明するための図である。
【図4】第1−1実施形態に係る第1筐体200Aのスライドを説明するための図である。
【図5】第1−1実施形態に係る第1筐体200Aのスライドを説明するための図である。
【図6】第1−1実施形態に係る制御ユニット300を示すブロック図である。
【図7】第1−1実施形態に係る検出部400の構成例を説明するための図である。
【図8】第1−1実施形態に係る検出部400の構成例を説明するための図である。
【図9】第1−1実施形態に係る検出点410の配置例を説明するための図である。
【図10】第1−1実施形態に係る検出点410の配置例を説明するための図である。
【図11】第1−1実施形態に係る検出点410の配置例を説明するための図である。
【図12】第1−2実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成例を示す図である。
【図13】第1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置100の構成例を示す図である。
【図14】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【図15】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す側面図である。
【図16】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成を示す斜視図である。
【図17】第2−1実施形態に係る操作ボタンを示す図である。
【図18】第2−1実施形態に係る操作ボタンの変形例を示す図である。
【図19】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図20】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図21】第2−1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図22】第2−1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図23】第2−1実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図24】第2−1実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図25】第2−1実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図26】第2−1実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図27】第2−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図及び側面図である。
【図28】第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【図29】第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図30】第2−3実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図31】第2−3実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図32】第2−3実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図33】投写型映像表示装置の使用例を示す図である。
【図34】第2実施形態の変形例4に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図である。
【図35】第2実施形態の変形例4に係る投写型映像表示装置の側面視を示す図である。
【図36】第2実施形態の変形例4に係る投写型映像表示装置の内部構造を示す図である。
【図37】第2実施形態の変形例4に係る投写型映像表示装置の右側面視(RIGHT)、正面視(FRONT)及び左側面視(LEFT)を示す図である。
【図38】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【図39】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す側面図である。
【図40】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成を示す斜視図である。
【図41】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図42】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図43】第3−1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図44】第3−1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図45】第3−1実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図46】第3−1実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図47】第3−1実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図48】第3−1実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図49】第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【図50】第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図51】第3−2実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図52】第3−2実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図53】第3−2実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図54】第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の外観を示す図である。
【図55】第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の内部を示す図である。
【図56】第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の正面視を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0030】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0031】
[第1実施形態の概要]
第1に、第1実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備える。投写型映像表示装置は、基準面上に配置される。筐体は、基準面と対向する底面を有する。底面には、基準面を検出可能に構成された検出部が設けられる。投写型映像表示装置は、検出部によって基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する運転制御部を備える。
【0032】
第1実施形態では、運転制御部は、検出部によって基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する。従って、投写型映像表示装置を基準面に配置するだけで、投写型映像表示装置が起動するため、電源スイッチを押下が不要である。また、検出部が基準面を検出可能に構成されるため、投写型映像表示装置の誤起動が抑制される。
【0033】
第2に、第1実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備える。投写型映像表示装置は、基準面上に配置される。筐体は、投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体と、投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具と有する。カバー体は、カバー体の移動によって、透過領域を被覆する被覆状態及び透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移する。フォーカス調整具は、カバー体の移動によって初期位置に戻る。
【0034】
第1実施形態では、フォーカス調整具は、カバー体の移動によって初期位置に戻る。従って、投写型映像表示装置の起動時に、フォーカス調整具が初期位置に戻っているため、フォーカス調整具を用いたフォーカス調整量を少なくでき、投写型映像表示装置の起動時に必要な操作が簡略化される。
【0035】
[第1−1実施形態]
(投写型映像表示装置の概略構成)
以下において、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置の概略構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100(床面投写)を示す図である。図2は、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100(壁面投写)を示す図である。
【0036】
図1及び図2に示すように、投写型映像表示装置100は、筐体200を有しており、投写面(不図示)に映像を投写する。筐体200には、後述する投写光学系110から出射される光を透過する透過領域210が設けられる。
【0037】
ここで、投写面は、図1に示すように、床面や机上などの水平面に設けられていてもよく、図2に示すように、壁面などの垂直面(例えば、スクリーン)に設けられてもよい。すなわち、投写型映像表示装置100は、映像光を床面や机上などの水平面に投写するように配置されてもよく、映像光を壁面などの垂直面に投写するように配置されてもよい。
【0038】
図1に示すケースでは、略直方体の筐体200が有する面のうち、第1の面220が、床面などの基準面と対向する底面を構成する。一方で、図2に示すケースでは、略直方体の筐体200が有する面のうち、第2の面230が、床面などの基準面と対向する底面を構成する。なお、図2に示すケースにおいて、投写面と略平行な面(壁面など)に当接するように筐体200が配置される場合には、投写面と略平行な面が基準面であると捉えて、第1の面220を底面と考えてもよい。
【0039】
ここで、第1の面220は、長い投写距離を確保するために、略直方体の筐体200が有する面のうち、透過領域210から最も離れた面であることに留意すべきである。また、第2の面230は、略直方体の筐体200が有する面のうち、透過領域210が設けられる面の反対側に設けられた面であることに留意すべきである。
【0040】
なお、投写型映像表示装置100のサイズは、200ml〜2lの容積を有するペットボトル程度である。例えば、投写型映像表示装置100の容積は、900ml程度であり、投写型映像表示装置100の重量は、800g程度である。投写型映像表示装置100によって表示される映像のサイズは、例えば、20インチ程度である。また、投写型映像表示装置100と投写面との距離が非常に近いことに留意すべきである。
【0041】
(投写型映像表示装置の光学構成)
以下において、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置の光学構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100の光学構成を主として示す図である。
【0042】
図3に示すように、投写型映像表示装置100は、投写光学系110と、照明光学系120と、冷却ファン130と、バッテリ140と、電源基板150と、主制御基板160と、操作基板170とを有する。また、投写型映像表示装置100は、DMD70と、反射プリズム80とを有する。
【0043】
また、筐体200は、第1筐体200A及び第2筐体200Bによって構成される。上述した透過領域210は、第1筐体200Aに設けられる。なお、第1筐体200Aの一部又は全部は、後述するように、第2筐体200Bに収容可能に構成される。
【0044】
投写光学系110は、DMD70から出射された色成分光(映像光)を投写面に投写する。具体的には、投写光学系110は、投写レンズ群111と、反射ミラー112とを有する。
【0045】
投写レンズ群111は、DMD70から出射された色成分光(映像光)を反射ミラー112側に出射する。投写レンズ群111は、投写光学系110の光軸Lを中心とする略円形形状のレンズ、投写光学系110の光軸Lを中心とする略円形形状の一部分によって構成される形状(例えば、下半分の半円形状)のレンズなどを含む。
【0046】
なお、投写レンズ群111に含まれるレンズの径は、反射ミラー112に近いほど大きいことに留意すべきである。
【0047】
反射ミラー112は、投写レンズ群111から出射された色成分光(映像光)を反射する。反射ミラー112は、映像光を集光した上で、映像光を広角化する。例えば、反射ミラー112は、投写レンズ群111側に凹面を有する非球面ミラーである。ここで、反射ミラー112は、投写光学系110の光軸Lを中心とする略円形形状の一部分によって構成される形状(例えば、下半分の半円形状)を有する。
【0048】
反射ミラー112で集光された映像光は、筐体200に設けられた透過領域210を透過する。筐体200に設けられた透過領域210は、反射ミラー112によって映像光が集光される位置近傍に設けられることが好ましい。
【0049】
照明光学系120は、光源10と、ダイクロイックプリズム30と、ロッドインテグレータ40と、ミラー51と、ミラー52と、レンズ61と、レンズ62と、レンズ63とを有する。
【0050】
光源10は、複数色の色成分光を個別に出射するように構成される。また、光源10には、光源10で生じる熱を放熱するヒートシンクが併設されていてもよい。なお、光源10は、例えば、光源10R、光源10G及び光源10Bによって構成される。
【0051】
光源10Rは、赤成分光Rを出射する光源であり、例えば、赤LED(Light Emitting Diode)や赤LD(Laser Diode)である。光源10Rには、金属などのように放熱性が良好な部材によって構成されるヒートシンクが併設されてもよい。
【0052】
光源10Gは、緑成分光Gを出射する光源であり、例えば、緑LEDや緑LDである。光源10Gには、金属などのように放熱性が良好な部材によって構成されるヒートシンクが併設されてもよい。
【0053】
光源10Bは、青成分光Bを出射する光源であり、例えば、青LEDや青LDである。光源10Bには、金属などのように放熱性が良好な部材によって構成されるヒートシンクが併設されてもよい。
【0054】
ダイクロイックプリズム30は、光源10Rから出射される赤成分光R、光源10Gから出射される緑成分光G、光源10Bから出射される青成分光Bを合成する。
【0055】
ロッドインテグレータ40は、光入射面と、光出射面と、光入射面の外周から光出射面の外周に亘って設けられる光反射側面とを有する。ロッドインテグレータ40は、ダイクロイックプリズム30から出射された色成分光を均一化する。詳細には、ロッドインテグレータ40は、光反射側面で色成分光を反射することによって、色成分光を均一化する。なお、ロッドインテグレータ40は、ガラスなどによって構成される中実ロッドであってもよく、ミラー面によって内面が構成される中空ロッドであってもよい。
【0056】
例えば、第1−1実施形態では、ロッドインテグレータ40は、光源10から出射される光の進行方向に向けて、光の進行方向に垂直な断面が大きくなるテーパ形状を有する。但し、実施形態は、これに限定されるものではない。ロッドインテグレータ40は、光源10から出射される光の進行方向に向けて、光の進行方向に垂直な断面が小さくなる逆テーパ形状を有してもよい。
【0057】
ミラー51及びミラー52は、ロッドインテグレータ40から出射された光をDMD70に導くために、光の光路を折り曲げる反射ミラーである。
【0058】
レンズ61、レンズ62及びレンズ63は、光源10から出射された色成分光の拡大を抑制しながら、色成分光をDMD70上に略結像するリレーレンズである。
【0059】
冷却ファン130は、筐体200の外部に連通しており、筐体200内の熱を放出するように構成される。或いは、冷却ファン130は、筐体200の外部の空気を筐体200内に送り込むように構成される。例えば、冷却ファン130は、光源10の近傍に設けられており、光源10を冷却するように構成される。
【0060】
バッテリ140は、投写型映像表示装置100に供給すべき電力を蓄積する。
【0061】
電源基板150は、バッテリ140に接続されており、AC電力をDC電力に変換する電力変換回路を有する。
【0062】
主制御基板160は、投写型映像表示装置100の動作を制御する主制御回路(後述する制御ユニット300)を有する。
【0063】
操作基板170は、投写型映像表示装置100に設けられる操作部(ボタンなど)に接続されており、操作部から入力される操作信号を主制御基板160(主制御回路)に伝達する。
【0064】
DMD70は、複数の微小ミラーによって構成されており、複数の微小ミラーは可動式である。各微小ミラーは、基本的に1画素に相当する。DMD70は、各微小ミラーの角度を変更することによって、色成分光が有効光として投写光学系110側に導かれるように色成分光を反射するか否かを切り替える。
【0065】
反射プリズム80は、照明光学系120から出射される光をDMD70側に透過する。一方で、反射プリズム80は、DMD70から出射される光を投写光学系110側に反射する。
【0066】
なお、図4及び図5に示すように、第1筐体200Aは、第2筐体200Bの内壁に沿ってスライド可能に構成される。反射ミラー112は、第1筐体200Aのスライドと連動して、回動軸Pを中心として回動する。
【0067】
(制御ユニットの構成)
以下において、第1−1実施形態に係る制御ユニットについて、図面を参照しながら説明する。図6は、第1−1実施形態に係る制御ユニット300を示すブロック図である。制御ユニット300は、投写型映像表示装置100に設けられており、投写型映像表示装置100を制御する。
【0068】
図6に示すように、制御ユニット300は、検出部400及びバッテリ140に接続される。制御ユニット300は、判定部310と、運転制御部320とを有する。
【0069】
検出部400は、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)に設けられる。検出部400は、基準面を検出可能に構成される。なお、検出部400の詳細については後述する(図7〜図11を参照)。
【0070】
判定部310は、検出部400の検出結果に基づいて、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)が基準面に配置されているか否かを判定する。具体的には、判定部310は、平らな面に筐体200の底面が安定的に配置されている旨の検出結果が得られた場合に、筐体200の底面が基準面に配置されていると判定する。一方で、判定部310は、凹凸を有する面に筐体200の底面が配置されている旨の検出結果が得られた場合に、筐体200の底面が基準面に配置されていないと判定する。
【0071】
運転制御部320は、判定部310の判定結果に基づいて、投写型映像表示装置100の運転を制御する。具体的には、運転制御部320は、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)が基準面に配置されていると判定された場合に、投写型映像表示装置100の運転を開始する。すなわち、運転制御部320は、投写型映像表示装置100を起動する。一方で、運転制御部320は、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)が基準面に配置されていないと判定された場合に、投写型映像表示装置100の運転を開始しない。すなわち、運転制御部320は、投写型映像表示装置100を起動しない。
【0072】
第1−1実施形態では、運転制御部320は、投写型映像表示装置100の運転を開始する場合に、バッテリ140に対して電力を供給するように指示する。
【0073】
(検出部の構成例)
以下において、第1−1実施形態に係る検出部の構成例について、図面を参照しながら説明する。図7及び図8は、第1−1実施形態に係る検出部400の構成例を模式的に示す図である。
【0074】
図7及び図8に示すように、検出部400は、複数の検出点410(検出点410A〜検出点410C)を有する。複数の検出点410は、平らな面に筐体200の底面が安定的に配置された状態で通電する機械的なスイッチである。すなわち、複数の検出点410は、全ての検出点410が平らな平面から均一な応力を受ける状態で通電するように構成される。
【0075】
例えば、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)のうち、検出点410が設けられる部分は、ゴムなどの弾性部材411(弾性部材411A〜弾性部材411C)によって構成される。各弾性部材411は、一定の応力に応じて、筐体200の内側に向けて変形する。すなわち、検出点410が一定の応力を受けると、弾性部材411の変形に伴って検出点410が筐体200の内側に沈み込む。
【0076】
なお、検出点410の数がN個である場合に、一定の応力は、投写型映像表示装置100の重量×1/Nであってもよい。或いは、一定の応力は、検出精度に幅を持たせるために、投写型映像表示装置100の重量×1/(N+1)であってもよい。例えば、投写型映像表示装置100の重量が800gであり、検出点410の数が3個である場合には、200g(=800g×1/4)である。
【0077】
従って、図7に示すように、凹凸を有する面に筐体200の底面が配置された場合には、検出部400が通電を検出することができないため、検出部400は、筐体200が基準面に配置されていない旨を検出する。
【0078】
一方で、図8に示すように、平らな平面に筐体200の底面が配置された場合には、検出部400が通電を検出するため、検出部400は、筐体200が基準面に配置されている旨を検出する。
【0079】
ここで、検出点410の数は、図9に示すように、2つであってもよい。このような場合には、2つの検出点410(検出点410A〜検出点410B)は、筐体200の底面において対角線上に配置される。また、筐体200の安定性を向上するために、ダミー点510(ダミー点510A及びダミー点510B)が設けられている。なお、筐体200の底面に対する垂直方向において、ダミー点510の高さは、筐体200の内側に沈み込んだ状態の検出点410の高さと略同様であることが好ましい。
【0080】
或いは、検出点410の数は、図10に示すように、3つであってもよく、図11に示すように、4つであってもよい。なお、図10及び図11に示すように、検出点410の数に応じて、ダミー点510が設けられることが好ましい。また、検出点410の数は、5つ以上であってもよいことは勿論である。
【0081】
なお、筐体200が基準面に配置されている旨の検出精度を高めるために、複数の検出点410は、筐体200の底面において分散して配置されることが好ましい。
【0082】
(作用及び効果)
第1−1実施形態では、運転制御部320は、検出部400によって基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する。従って、投写型映像表示装置100を基準面に配置するだけで、投写型映像表示装置100が起動するため、電源スイッチを押下が不要である。
【0083】
また、検出部400は、基準面を検出可能に構成される。検出部400は、筐体200の底面が平らな面に安定的に配置されている旨を検出可能に構成される。従って、投写型映像表示装置100の誤起動が抑制される。
【0084】
[第1−2実施形態]
以下において、第1−2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1−1実施形態との相違点について主として説明する。
【0085】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図12は、第1−2実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。なお、図12は、投写型映像表示装置100を正面から見た図である。図12では、第1−1実施形態と同様の構成について、同様の符号を付している。
【0086】
図12に示すように、筐体200は、第1−1実施形態と同様に、第1筐体200A及び第2筐体200Bによって構成される。なお、第1−2実施形態では、第1筐体200Aは、第2筐体200Bの外壁に沿ってスライド可能に構成される。
【0087】
ここで、第1筐体200Aは、投写光学系110から出射される光を透過する透過領域210を被覆可能に構成されたカバー体を構成する。第1筐体200Aは、第1筐体200Aのスライド(移動)によって、透過領域210を被覆する被覆状態と透過領域210を被覆しない非被覆状態とに遷移する。
【0088】
第1−2実施形態では、第1筐体200Aは、突起201Aを有する。第2筐体200Bは、フォーカス調整具260を有する。フォーカス調整具260は、投写光学系110に設けられたレンズと連動するように構成されており、投写面に投写される映像のフォーカスを調整するための調整具である。
【0089】
ここで、フォーカス調整具260は、第1筐体200Aのスライド(移動)によって初期位置に戻るように構成される。具体的には、非被覆状態から被覆状態への遷移において、第1筐体200Aの突起201Aがフォーカス調整具260を押し込む。これによって、フォーカス調整具260が初期位置に戻る。
【0090】
例えば、投写面と同じ面内に基準面が設けられているケースにおいて、投写面に投写される映像のフォーカスが合った状態となるように、フォーカス調整具260の初期位置が定められることが好ましい。投写面と同じ面内に基準面が設けられているケースでは、投写光学系110と投写面との位置関係が固定的であるため、初期設定として「初期位置」を定めることが可能であることに留意すべきである。
【0091】
(作用及び効果)
第1−2実施形態では、フォーカス調整具260は、第1筐体200A(カバー体)のスライド(移動)によって初期位置に戻る。従って、投写型映像表示装置100の起動時に、フォーカス調整具260が初期位置に戻っているため、フォーカス調整具260を用いたフォーカス調整量を少なくでき、投写型映像表示装置100の起動時に必要な操作が簡略化される。
【0092】
[第1実施形態の変形例1]
以下において、第1実施形態の変形例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1−2実施形態との相違点について主として説明する。なお、第1実施形態の変形例1では、第1−2実施形態と比べて、投写型映像表示装置100の構成が異なっている。
【0093】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図13は、第1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。なお、図13は、投写型映像表示装置100を側方から見た図である。図13では、第1−1実施形態と同様の構成について、同様の符号を付している。
【0094】
図13に示すように、筐体200は、カバー体200Cを有する。カバー体200Cは、投写光学系110から出射される光を透過する透過領域210を被覆可能に構成されたカバー体である。
【0095】
具体的には、カバー体200Cは、筐体200に設けられた回動軸211を中心として回動可能に構成される。カバー体200Cは、カバー体200Cの回動(移動)によって、透過領域210を被覆する被覆状態と透過領域210を被覆しない非被覆状態とに遷移する。
【0096】
第1実施形態の変形例1では、カバー体200Cは、突起201Cを有する。筐体200は、フォーカス調整具260を有する。フォーカス調整具260は、投写光学系110に設けられたレンズと連動するように構成されており、投写面に投写される映像のフォーカスを調整するための調整具である。
【0097】
ここで、フォーカス調整具260は、カバー体200Cの回動(移動)によって初期位置に戻るように構成される。具体的には、非被覆状態から被覆状態への遷移において、カバー体200Cの突起201Cがフォーカス調整具260を押し込む。これによって、フォーカス調整具260が初期位置に戻る。
【0098】
(作用及び効果)
第1実施形態の変形例1では、フォーカス調整具260は、カバー体200Cの回動(移動)によって初期位置に戻る。従って、投写型映像表示装置100の起動時に、フォーカス調整具260が初期位置に戻っているため、フォーカス調整具260を用いたフォーカス調整量を少なくでき、投写型映像表示装置100の起動時に必要な操作が簡略化される。
【0099】
[第2実施形態の概要]
(課題)
例えば図33のように小型のプロジェクタでは、一人のユーザ(例えばユーザA)が机上に投写して映像を観察するだけでなく、会議用テーブルに投写して複数のユーザ(例えばユーザB〜ユーザE)が映像を観察したり、プロジェクタを床面や壁面に設置して壁面に投写するなど、様々な利用状況が想定される。さらにこれらのプロジェクタを操作する場合であれば、図33(a)〜(c)に示されているユーザの位置から操作することとなり操作インターフェースや入力インターフェース等の配置を十分考慮する必要がある。
【0100】
(構成)
第2実施形態に係る投写型映像表示装置は、映像光を生成する映像光生成部と、映像光生成部から出射された映像光を投写面側へ反射するミラー(非球面ミラー)と、を備える。そして、映像光生成部へ電力を供給する電力供給部(バッテリ部)を備え、この電力供給部は、ミラーと可及的に離れた位置、具体的には、ミラーが最上部に設けられる場合、電力供給部が最下部に設けられる。また、映像光生成部を冷却する冷却部をさらに備えており、この冷却部もまた、ミラーと可及的に離れた位置、具体的には、電力供給部の少し上方に設けられる。
【0101】
さらに、第2実施形態に係る投写型映像表示装置は、少なくとも映像光生成部を収納する筐体と、筐体の上部に設けられた透過領域(投写窓)とを備え、透過領域を通って映像光を投写する。この筐体は、少なくとも一方向の寸法(Z軸方向)が変化する可動部(スライド部)を有しており、映像光を投写しないとき、透過領域は、可動部によって筐体内部に収納され、隠された位置に移動する。
【0102】
さらに、第2実施形態に係る投写型映像表示装置は、投写面に対する自装置の状態を検出する検出手段(傾斜センサなど)と、検出された状態に応じて、映像光の状態を制御する制御手段(制御部)と、を備えるものである。
【0103】
[第2−1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図14は、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図であり、図15は側面図である。
【0104】
図14に示すように、投写型映像表示装置1100は、投写レンズ群1111と非球面ミラー1112とから構成される投写部1110と、光変調素子としてのDMD(Digital Micromirror Device)1120と、DMD1120へ光を照射する照明部1130と、DMD1120や照明部1130を構成するLED(Light Emitted Device)1131などへ電力を供給するバッテリ部1150とを有する。
【0105】
第2実施形態では、投写型映像表示装置1100は、バッテリ部1150が下部となるように設置するものとする。投写型映像表示装置1100が設置される面(水平面)をXY平面とし、設置面に対し垂直な方向(鉛直方向)をZ軸方向と定義する。X軸方向は投写型映像表示装置1100の筐体1101における幅方向に相当する方向、Y軸方向は筐体1101における奥行方向に相当する方向と定義する。
【0106】
筐体1101は、図14において、右側面となる一側面1102、左側面となる他の側面1103、上面となる天面1104及び下面となる底面1105を有する。また、筐体1101は、図15における映像光が出射する側の面となる正面1106、正面1106の裏面となる背面1107を有する。
【0107】
尚、一側面1102、他の側面1103、天面1104、底面1105、正面1106、背面1107は、筺体1101の面のみであると狭義に捉えるべきではない。後述するが可動等により露出する面や段差のある部分にある面等、上下前後左右より認識できる面はそれぞれ一側面1102、他の側面1103、天面1104、底面1105、正面1106、背面1107の概念と、広く捉えるべきである。
【0108】
また、筐体1101は、6面が平面である略直方体形状を有しているがそれに限るものではない。例えば6面の少なくとも一面が曲面を有していてもよい。従って本発明の面は、曲面を含む概念であることに留意すべきである。
【0109】
投写部1110は、複数のレンズから構成される投写レンズ群1111と凹面の非球面ミラーから構成される非球面ミラー1112と映像光が出射する投写窓1113(図15参照)とを有する。投写レンズ群1111は、DMD1120にて変調された映像光をZ軸方向へ出射する。非球面ミラー1112は、投写レンズ群1111の上方に設けられており、投写レンズ群1111からの映像光を斜め下方に向けて反射する。非球面ミラー1112は凹面ミラーであるので、映像光は集光した後、拡大投写される。投写窓1113は、映像光が集光する位置の近傍に設けられる。映像光は、投写レンズ群1111と非球面ミラー1112との間で結像し、投写型映像表示装置1100の設置面(図中のXY平面)にて、再度、結像する。
【0110】
DMD1120は、照明部1130から時分割で照射される青、緑、赤の照明光を、映像入力信号に応じて変調する。DMD1120は、映像光を投写レンズ群1111へ導くプリズムブロック1121と一体的に設けられる。プリズムブロック1121は、照明部1130からの照明光を透過するとともに、DMD1120にて変調した映像光を全反射して、投写レンズ群1111へ導く面1121aを有する。DMD1120の近傍には、DMD1120を制御するDMD制御回路1122が配される。DMD制御回路1122は、映像入力信号及びLED制御信号に応じてDMD1120を制御する。
【0111】
照明部1130は、赤、緑、青の光を出射するLED1131R、1131G、1131Bと、赤、緑、青の光を合成してDMD1120へ照射する複数の光学部材を有する。第2実施形態では、赤、緑、青の光を合成する光学部材として、ダイクロイックプリズム1132を用いる。ダイクロイックプリズム1132にて合成された合成光は、テーパロッド1133を用いて光量分布を均一化する。テーパロッド1133後段のレンズ1134、1135、1136には、テーパロッド1133から出射した光を平行光化するとともにDMD1120に結像させる作用を有する。ミラー1137、1138には、合成光の光路をスペースに合わせて折り曲げる作用を有する。
【0112】
LED1131近傍には、LED1131を制御するLED制御回路1139が配される。LED制御回路1139は、映像入力信号に応じてLED1131R、1131G、1131Bの発光量及び発光タイミングを制御する。また、LED制御回路1139は、発光量及び発光タイミングに関するLED制御信号をDMD制御回路1122へ送る。LED制御回路1139は、配線を短くするため、LED1131近傍に配することが望ましい。一方、電磁波の影響を考慮して、DMD制御回路1122とは可及的に離して配置することも望まれる。
【0113】
DMD1120と照明部1130とを併せて映像光生成部1140と称する。
【0114】
バッテリ部1150は、ニッケル水素2次電池から構成されるバッテリ1151と、バッテリ1151の充放電を制御するバッテリ制御回路1152と、商用電源と接続される電源コネクタ1153とを有する。バッテリ1151は、Z軸方向の寸法に対し、X軸方向またはY軸方向の寸法が十分に大きい(2倍以上)形状を有する。バッテリ制御回路1152は、商用電源から電源コネクタ1153を介してバッテリ1151へ供給される電力を制御するとともに、バッテリ1151から映像光生成部1140(特に、LED1131やDMD1120)へ供給される電力を制御する。バッテリとしては、ニッケル水素2次電池以外にも、リチウムイオン2次電池でもキャパシタでもよい。
【0115】
制御部1160は、大別して、DMD制御回路1122、LED制御回路1139及び投写型映像表示装置1100全体を制御する制御回路1169を含む。具体的には、投写部1110(特に、投写レンズ群1111)の一側面1102側の領域に、制御回路1169が配されており、制御回路1169は、映像入力信号などに応じて、DMD制御回路1122及びLED制御回路1139へ制御信号を送る。詳細は後述するが、映像入力信号は、制御回路1169と接続された映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164から入力される(図16参照)。制御回路1169は、電源ボタン1166及び方向ボタン1168にも接続される。制御回路1169は、電源ボタン1166や方向ボタン1168からのユーザ指示に応じて、投写型映像表示装置1100全体を制御する。
【0116】
投写レンズ群1111の、他の側面1103側の領域には、冷却部1170が配される。具体的には、排気口1171近傍に設けられた軸流ファン1172、LED1131を冷却するシロッコファン1173及びDMD1120を冷却するヒートシンク(不図示)が配される。投写型映像表示装置1100を冷却する空気は、一側面1102上部に設けられた吸気口1174から供給され、投写型映像表示装置1100内部を流通して制御部1160、映像光生成部1140を冷却した後、他の側面1103下部に設けられた排気口1171から排気される。
【0117】
筐体1101の対角となる位置に吸気口1174及び排気口1171を設けることにより、効率よく投写型映像表示装置1100を冷却することができる。また、吸気口1174及び排気口1171は、それぞれ一側面1102及び他の側面1103に設けられているので、背面1107が設置面となる場合でも、吸排気口が塞がれることはない。吸気口1174は、後述するスライド部により、投写型映像表示装置1100を使用しないときには閉鎖される。この構成により、保管中に、投写型映像表示装置1100内部に埃などが侵入することを防止することができる。なお、シロッコファン1173は、吸気口1174とは別の吸気口を設けるとよい。
【0118】
(投写型映像表示装置の外部構成)
以下において、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成について、図面を参照しながら説明する。図16は第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成を示す図であって、図16(a)は左斜視図、図16(b)は右斜視図である。
【0119】
筐体1101は、投写窓1113が配され、映像光が出射する側の面である正面1106、正面1106と対向する位置に配された背面1107を有する。また、筐体1101は、投写型映像表示装置1100が机上または床面に映像光を投写するように設置したときに、上面となる天面1104、天面1104と対向する位置に配された底面1105を有する。略直方体形状を有する投写型映像表示装置1100において、残る2面において、上述した電源コネクタ1153を配した面を一側面1102、一側面1102と対向する位置に配された面を他の側面1103とする。
【0120】
一側面1102には、電源コネクタ1153のほか、PC(Personal Computer)などの映像ソースと接続される映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164などが設けられる。これらのコネクタ類は、一側面1102のうち、底面1105に近い部分に設けられるとよい。
【0121】
これらのコネクタ類は、一側面1102のうち、底面1105に近い部分に設けられると、コネクタ類に接続されたコードが長く垂れ下がることがなく、ユーザがコードに引っかかるといったことが生じる可能性が低くなる。さらにコネクタ部分に定常的な応力が加わり、コネクタやコードが変形する可能性が低くなる。図33に示されるように投写型映像表示装置1100は、図33(a)(c)のような設置状態としたとき、コネクタ類が配される面を設置面にする必要がない。
【0122】
一側面1102は、後述するスライド部により、保管するときには、内部に収納される重畳部1102aを有する。一側面1102に配された吸気口1174は、スライド部1190が収納されたときにスライド部1190の一側面1102と重畳する位置に設けられるとよい。
【0123】
他の側面1103には排気口1171が設けられる。上述のように、吸気口1174は、重畳部1102aが収納されたときに一側面1102と重畳する位置、具体的には、一側面1102のうち、天面1104に近い位置に設けられるので、排気口1171は、他の側面1103のうち、底面1105に近い部分に設けられるとよい。
【0124】
また、投写レンズ群1111は、Z方向へ可動し投写映像のフォーカスを調整するフォーカスレンズが設けられている。フォーカスレンズは図示しないカム管に取り付けられZ方向へ精度よく可動させることができる。他の側面1103には、フォーカスレンズを調整するためにユーザがつまむための調整つまみ1165が設けられる。調整つまみ1165をY軸方向へ可動させることにより、カム管によりフォーカスレンズの可動方向をZ軸方向へ変更させることができる。調整つまみ1165は、他の側面1103のうち、天面1104に近い部分に設けられるとよい。
【0125】
図33(a)(c)のような設置状態であり、投写型映像表示装置1100を操作するユーザA又はユーザFが調整つまみ1165を操作するとき、手もとに近いところに調整つまみ1165が設けられているため、操作しやすい。調整つまみ1165を操作するとき、投写映像を遮ることなく操作することができる。調整つまみ1165が配される面を設置面にする必要がない。
【0126】
尚、第2実施形態では、フォーカスレンズを調整するための調整つまみ1165を他の側面1103に設けたがこれに限るものではなく、ズームレンズを調整するためのつまみを他の側面1103に設けてもよい。
【0127】
操作性を考慮して、電源ボタン1166、メニューボタン1167及び方向ボタン1168は天面1104に設けられる。図33(a)(c)のような設置状態としたとき、底面1105、背面1107は設置面となるので、底面1105、背面1107にはインターフェースや吸排気口を設けない方が望ましい。また電源ボタン1166、メニューボタン1167及び方向ボタン1168は操作者が通常操作を行う正面1106の方向及び背面1107の方向から確認して操作の利便性を損なわないように電源ボタン1166、メニューボタン1167及び方向ボタン1168を配置させる。
【0128】
上記実施例では天面1104のみに電源ボタン1166、メニューボタン1167及び方向ボタン1168を設けたがそれに限るものではなく、一側面1102又は他の側面1103に設けてもよく、天面1104及び側面(一側面1102若しくは他の側面1103)の2か所に設けてもよい。
【0129】
(操作ボタンの配置)
以下において、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の操作ボタンの配置について、図面を参照しながら説明する。
【0130】
図17は、投写型映像表示装置1100の天面1104に配された電源ボタン1166、メニューボタン1167、方向ボタン1168(方向ボタン11681〜11684、決定ボタン11685)を示した図である(以下、各ボタンを「操作ボタン」とも記載する)。操作ボタン1168は、正面1106の方向及び背面1107の方向から確認して前後対称に配置される。具体的には、一側面1102に近い方から電源ボタン1166、メニューボタン1167、方向ボタン1168(方向ボタン11681〜11684)が配置され、各方向ボタン11681〜11684の中央に決定ボタン11685が配される。また電源ボタン1166上に記載される電源を示す記号(図17では、黒丸記号)は、正面1106及び背面1107から確認したときに前後対称に記載されていることが好ましい。
【0131】
このように、正面1106の方向及び背面1107の方向から確認して前後対称に配置されることにより、操作ボタンの正面1106又は背面1107からの距離が等しいため、正面1106の方向から操作するときや背面1107から操作するときでも操作感が同じでユーザが操作しやすくなる。
【0132】
(操作ボタンの配置の変形例)
以下において、操作ボタンの配置の変形例に関して図面を参照しながら説明する。
【0133】
図18は、図17の操作ボタンの配置と比較して、一側面1102に近い方から電源ボタン1166、方向ボタン1168(方向ボタン11681〜11684、決定ボタン11685)、メニューボタン1167、が配置され、各ボタンは、正面1106の方向から確認して正しく確認できる方向に配置される点で異なることに留意すべきである。
【0134】
具体的には、電源ボタン1166上に記載される電源記号や電源ボタン1166の近傍に記載される「Power」文字、メニューボタン1167の近傍に記載される「Menu」文字、決定ボタン11685に記載される「OK」文字、に関しては正面1106の方向から確認して正しく確認できる方向に記載される。操作ボタンは、全体として前後左右対称に配置されている。
【0135】
このような構成にすることにより、特定の方向(第2実施形態では正面1106)から正しく確認できるため、特定の方向から操作することが主であるプロジェクタであれば図17の操作ボタン配置よりも利便性が高いプロジェクタを供給することができる。
【0136】
(スライド部の構成)
以下において、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置のスライド部の構成について、図面を参照しながら説明する。図19は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図20はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0137】
図19に示すように、投写型映像表示装置1100は、映像光を投写するときに、投写レンズ群1111と非球面ミラー1112との間に所定の距離をあける必要がある。この距離(スペース1180)は、映像光を投写しないときにはデッドスペースとなる。そこで、図20に示すように、スライド部1190を収納するときには、非球面ミラー1112、投写窓1113を含むスライド部1190がスペース1180に収納されるように平行移動する。
【0138】
これにより、投写型映像表示装置1100を使用しないときには、投写型映像表示装置1100の体積を小さくすることができる。加えて、投写窓1113は、正面1106と重なり、表面から隠された位置に移動するので、保管中に汚れることを抑制できる。吸気口1174は、一側面1102と重なり、閉鎖されるので、投写型映像表示装置1100内部に埃が侵入することを抑制できる。
【0139】
[変形例1]
以下において、第2−1実施形態に係るスライド部の一変形例について、図面を参照しながら説明する。図21は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図22はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0140】
図21に示すように、投写型映像表示装置1100は、映像光を投写するときに、投写レンズ群1111内に配された複数のレンズ間において所定の距離をあける必要がある。この距離(スペース1181)は、映像光を投写しないときにはデッドスペースとなる。そこで、図22に示すように、スライド部1190を収納するときには、スライド部1190の平行移動に連動して、投写レンズ群1111のレンズ間の距離を可及的に狭くする。投写レンズ群1111のZ軸方向の寸法が小さくなることにより、非球面ミラー1112、投写窓1113を含むスライド部1190はスペース1181が縮められることにより生じたスペースに収納される。
【0141】
[変形例2]
以下において、第2−1実施形態に係るスライド部の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図23は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図24はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0142】
図23に示すように、変形例2では、DMD1120及び照明部1130の配置を変更し、照明部1130は、投写レンズ群1111のうち、レンズ径が小さい領域に配する。照明部1130の位置が変更されたことに伴い、冷却部1170もまたDMD1120及び照明部1130の位置に対応する領域に移動させる必要がある。
【0143】
変形例2に係る投写型映像表示装置1100では、映像光を投写するときに、DMD1120及び照明部1130(映像光生成部1140相当)とバッテリ部1150との間にスペース1182が生じる。そこで、図24に示すように、スライド部1190を収納するときには、非球面ミラー1112、投写窓1113を含むスライド部1190とともに、投写レンズ群1111、映像光生成部1140及び冷却部1170がスペース1182に収納されるように平行移動する。
【0144】
[変形例3]
以下において、第2−1実施形態に係るスライド部の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図25は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図26はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0145】
図25に示すように、非球面ミラー1112は、映像光を投写するときに、投写レンズ群1111の光軸に対して、背面1107側に傾いて配置されている。そこで、図26に示すように、スライド部1190を収納するときには、スライド部1190の平行移動に連動して、非球面ミラー1112の一端を中心軸として非球面ミラー1112を回動させる。非球面ミラー1112が回動することに伴って、投写型映像表示装置1100のZ軸方向の寸法が小さくなり、投写窓1113を含むスライド部1190がスペース1183に収納される。
【0146】
[その他の変形例]
上記の例以外にも、冷却部1170を照明部1130(映像光生成部1140)の下方へ配置して、冷却部1170と照明部1130の間にスペースを設けてもよい。この場合、投写部1110及び映像光生成部1140を含むスライド部1190がこのスペースに収納される。
【0147】
プリズムブロック1121を用いず、投写レンズ群1111の光軸に対して垂直となるようにDMD1120を配置して、投写レンズ群1111とDMD1120との間にスペースを設けてもよい。この場合、投写部1110がこのスペースに収納される。
【0148】
(作用・効果)
第2−1実施形態では、投写型映像表示装置1100は、映像光を生成する映像光生成部1140と、映像光生成部から出射された映像光を投写面側へ反射する非球面ミラー1112と、を備えるものである。投写型映像表示装置1100は、映像光生成部1140へ電力を供給するバッテリ部1150を備え、バッテリ部1150は、非球面ミラー1112と可及的に離れた位置、具体的には、非球面ミラー1112が最上部に設けられ、バッテリ部1150が最下部に設けられる。従って、重量のある非球面ミラー1112とバッテリ部1150とが離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。
【0149】
また、第2−1実施形態では、投写型映像表示装置1100は、映像光を生成する映像光生成部1140と、映像光生成部1140を収納する筐体1101と、筐体1101に設けられ映像光生成部1140から出射された映像光が透過する投写窓1113とを備えるものである。筐体1101は、Z軸方向の寸法が変化するスライド部1190を有する。投写窓1113は、映像光を投写しないとき、スライド部1190によって筐体1101内部に収納される。従って、投写窓1113にキズや汚れがつくことを抑制できる。
【0150】
[第2−2実施形態]
以下において、第2−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成ついて、図面を参照しながら説明する。なお、第2−2実施形態において、第2−1実施形態と重複するところは、説明を省略する。図27は、第2−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す図である。図27(a)は投写型映像表示装置が映像を投写しない状態の正面図と両方の側面図を示す図である。図27(b)は投写型映像表示装置が映像を投写できる状態の正面図と両方の側面図を示す図である。
【0151】
図27のように、投写型映像表示装置1100は、天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体をスライドさせることにより、投写窓1113と共に電源コネクタ1153、映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164、調整つまみ1165、排気口1171、吸気口1174を同時に露出させることが第2−1実施形態と大きく異なることに留意すべきである。
【0152】
第2実施形態では、一側面1102の中央付近に吸気口1174と等しい大きさの孔1174Hが設けられている。天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体を天面1104方向へスライドさせ、図示しないストッパによりスライドが抑制されると、孔1174Hが吸気口1174と重なり、一側面1102の内部に配される吸気口1174が露出する。
【0153】
また、一側面1102が天面1104方向へスライドされると、一側面1102の内部に配される電源コネクタ1153、映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164が露出する。
【0154】
他の側面1103の中央付近に調整つまみ1165と等しい大きさの孔1165Hが設けられている。天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体を天面1104方向へスライドさせ、図示しないストッパによりスライドが止められる、孔1165Hが調整つまみ1165と重なり、他の側面1103の内部に配される調整つまみ1165が露出する。
【0155】
また、他の側面1103が天面1104方向へスライドされると、他の側面1103の内部に配される排気口1171が露出する。
【0156】
尚、第2−2実施形態では、天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体をスライドさせることにより、投写窓1113と共に電源コネクタ1153、映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164、調整つまみ1165、排気口1171、吸気口1174を同時に露出させる構成を示したが天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体により一度に開閉を行わなくてもスライド型のカバーを個別に設けてもよい。もちろんスライド型に限らず、開戸、折戸型のカバーでもよい。
【0157】
(作用・効果)
第2−2実施形態では、未使用時にカバーでコネクタ類を保護することができるため、例え投写型映像表示装置に強い衝撃が加わったとしてもコネクタ類を破損から防ぐことができる。また、未使用時にカバーがあることでコネクタ類の防塵対策にも有効である。
【0158】
また未使用時にカバーでつまみを保護することができるため、投写型映像表示装置の運搬時につまみに接触するような場面でも、前回投写したフォーカス位置を保持することができ、再度フォーカス調整をやり直すことがなくなる。また、つまみと筺体の隙間から塵が侵入し、投写型映像表示装置の内部に塵が侵入することを防止することができる。
【0159】
また、未使用時にカバーで吸気口及び排気口を保護することができるため、投写型映像表示装置の内部に塵が侵入することを防止することができる。
【0160】
[第2−3実施形態]
以下において、第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、第2−3実施形態において、第2−1実施形態及び第2−2実施形態と重複するところは、説明を省略する。図28は、第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【0161】
図28に示すように、投写型映像表示装置1200は、映像光生成部1240の構成、冷却部1270の配置が第2−1実施形態と大きく異なることに留意すべきである。また、第2実施形態では、底面1205を設置面(水平面)とし、床や机などの水平面に映像光を投写する状態を床面投写モード、背面1207を設置面(水平面)とし、スクリーンや壁などの鉛直面に映像光を投写する状態を壁面投写モードと称する。
【0162】
第2実施形態では、赤、緑、青の光を出射するLED1231R、1231G、1231B、ダイクロイックプリズム1232及びテーパロッド1233は、投写レンズ群1211よりも背面1207側に配される。図28では、これらの光学部材は投写レンズ群1211によって隠された位置となる。テーパロッド1233から出射した光は、レンズ1234、1235、1236及びミラー1237、1238によって、合成光の光路をスペースに合わせて折り曲げられ、DMD1220に結像する。
【0163】
DMD1220は、投写レンズ群1211の光軸に対して垂直となるように配される。従って、第2−3実施形態では、プリズムブロックは不要となる。DMD1220には、照明部1230の各光学部材によって、投写レンズ群1211の光軸に対して鋭角な方向から導かれた合成光が照射される。DMD1220はこの合成光のうち、映像入力信号に応じて変調された映像光を投写レンズ群1211へ向けて反射する。DMD1220の近傍には、DMD1220を制御するDMD制御回路1222が配される。第2−3実施形態では、DMD制御回路1222はDMD1220の裏面側に配される。
【0164】
LED1231近傍には、LED1231を制御するLED制御回路1239が配される第2−3実施形態では、LED制御回路1239は、投写レンズ群1211の外玉レンズの背面1207側に配される。これにより、LED制御回路1239は、LED1231近傍に配されるとともに、DMD制御回路1222とは可及的に離して配することができる。
【0165】
制御部1260の制御回路1268は、傾斜センサ1269を有する。傾斜センサ1269は、検出した傾きに関する情報を制御回路1268へ送信する。制御回路1268は、受信した情報から、ユーザが投写型映像表示装置1200を、底面1205を設置面とする床面投写モードで利用するか、背面1207を設置面とする壁面投写モードで利用するかを判別する。制御回路1268は、判別した投写モードに応じて、DMD制御回路1222へ制御信号を送る。詳細は後述するが、DMD制御回路1222は、投写モードに関する制御信号に応じて、DMD1220の有効領域の大きさやアスペクト比、投写画像の上下・左右の方向を制御する。
【0166】
投写レンズ群1211の、他の側面1203側の領域には、冷却部1270が配される。第2−3実施形態では、LED1231を冷却するシロッコファン1273のほか、DMD1220を冷却するシロッコファン1275及びヒートシンク1276が配される。
【0167】
(投写モードの切替機能)
以下において、第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードの切替機能について、図面を参照しながら説明する。図29は第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードを示す図であって、図29(a)は床面投写モード、図29(b)は壁面投写モードである。
【0168】
投写型映像表示装置1200は、映像光を投写するときに、傾斜センサ1269によって検出した傾きに関する情報に基づいて設置面を判別する。図29(a)に示すように、設置面が底面1205であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像を遠方側(Far側)から観察する場合が多いので、投写型映像表示装置1200は、投写画像の向きをFar側が下となるように投写する。詳細には、傾斜センサ1269が、底面1205が設置面であると判別したとき、制御回路1268は、Far側が下となるようにDMD制御回路1222へ制御信号を送る。
【0169】
一方、図29(b)に示すように、設置面が背面1207であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像の近接側(Near側)を下として観察するので、投写型映像表示装置1200は、投写画像の向きをNear側が下となるように投写する。詳細には、傾斜センサ1269が、背面1207が設置面であると判別したとき、制御回路1268は、Near側が下となるようにDMD制御回路1222へ制御信号を送る。
【0170】
これにより、投写型映像表示装置1200を置くだけで、投写画像が適切な向きで投写されるので、ユーザの利便性が向上する。
【0171】
[変形例1]
以下において、第2−3実施形態に係る投写モードの切替機能の一変形例について、図面を参照しながら説明する。図30は変形例1に係る投写型映像表示装置の投写モードを示す図であって、図30(a)は床面投写モード、図30(b)は壁面投写モードである。変形例1においても、投写型映像表示装置1200は、映像光を投写するときに、傾斜センサ1269によって検出した傾きに関する情報に基づいて設置面を判別する。
【0172】
図30(a)に示すように、設置面が底面1205であるときは、複数のユーザ(観察者)が、投写画像を挟んで対峙して観察する場合があるので、投写型映像表示装置1200は、投写画像のアスペクト比を縦長となるように投写する。具体的には、制御回路1268は、H:Vが3:4となるようにDMD制御回路1222へ制御信号を送る。
【0173】
一方、図30(b)に示すように、設置面が背面1207であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像に対して正面から観察するので、投写型映像表示装置1200は、投写画像のアスペクト比を横長となるように投写する。具体的には、制御回路1268は、H:Vが4:3となるようにDMD制御回路1222へ制御信号を送る。
【0174】
[変形例2]
以下において、第2−3実施形態に係る投写モードの切替機能の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図31は変形例2に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図であって、図31(a)は通常の床面投写モード(以下、通常モードと称する。)、図31(b)は投写画像の面積を大きくした床面投写モード(以下、拡大モードと称する。)である。
【0175】
変形例2において、投写型映像表示装置1200は、底面1205に脚部1208と、脚部1208の長さを検出する脚部センサ1208sとを有する。投写型映像表示装置1200は、映像光を投写するときに、脚部センサ1208sによって検出した脚部1208の長さに関する情報に基づいて投写距離を推定する。また、通常モードでは、投写画像の面積がSである領域に対し、投写画像の輝度がLとなるように投写するために必要なLED1231の光量をEとする。
【0176】
図31(b)に示すように、底面1205から脚部1208を延伸し、投写窓1213から設置面までの距離(投写距離)を長くすると、拡大モードの投写画像の面積S’は、通常モードの面積Sよりも大きくなる(S’>S)。このとき、LED1231の光量がEであると、拡大モードの投写画像の輝度が、通常モードの輝度Lに比べて低下してしまう。
【0177】
そこで、脚部センサ1208sからの情報により、拡大モードであると推定されたとき、制御回路1268は、LED1231の光量がE’(>E)となるようにLED駆動回路1239へ制御信号を送る。これにより、通常モードのときの輝度Lと拡大モードのときの輝度L’とが、略同じ輝度となる(L≒L’)。
【0178】
[変形例3]
以下において、第2−3実施形態に係る投写モードの切替機能のさらに他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図32は変形例3に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図である。変形例3では、変形例2との相違点についてのみ説明する。
【0179】
変形例3において、投写型映像表示装置1200は、上部に首部1209と、首部1209の長さを検出する首部センサ1209sとを有する。首部1209の上部には非球面ミラー1212が配され、首部1209を伸縮することにより、投写レンズ群1211と非球面ミラー1212との距離が調整される。投写型映像表示装置1200は、映像光を投写するときに、脚部センサ1209sによって検出した首部1209の長さに関する情報に基づいて、投写距離及び投写レンズ群1211と非球面ミラー1212との距離を推定する。
【0180】
天面1204には、首部1209を引っ張るハンドル部1204hが設けられる。さらにハンドル部1204hにボタン(不図示)を設け、ボタンを押下したときに、首部1209を延伸することができるように設定してもよい。ボタンを押下していないときには、首部1209が延伸しないため、ハンドル部1204hは、投写型映像表示装置1200を持ち運ぶときにも有用である。
【0181】
[変形例4]
以下において、第2実施形態に係る調整つまみの配置の変形例について、図面を参照しながら説明する。変形例4では、第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0182】
第1に、図34及び図35を参照しながら、調整つまみ1165の配置位置について説明する。図34は、変形例4に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図である。図35は、変形例4に係る投写型映像表示装置の側面視を示す図である。
【0183】
図34に示すように、調整つまみ1165は、筐体1101の正面1106に配される。具体的には、図35に示すように、調整つまみ1165は、投写窓1113から出射される映像光を遮光しないように、正面1106のうち、領域Xに配置されることが好ましい。領域Xの上端X1は、投写窓1113から出射される映像光を調整つまみ1165が遮光しない領域の上端である。領域Xの下端X1は、調整つまみ1165によって投写レンズ群1111を調整可能な領域の下端である。
【0184】
第2に、図36及び図37を参照しながら、冷却風の流れについて説明する。図36は、変形例4に係る投写型映像表示装置の内部構造を示す図である。図37は、変形例4に係る投写型映像表示装置の右側面視(RIGHT)、正面視(FRONT)及び左側面視(LEFT)を示す図である。
【0185】
図36に示すように、投写型映像表示装置1100の内部構造は、第2実施形態と異なっていることに留意すべきである。具体的には、投写型映像表示装置1100は、ヒートパイプ1531G、ヒートパイプ1531B及び放熱部1533BGを有する。
【0186】
ヒートパイプ1531Gは、高熱伝導率を有する部材(銅など)によって構成される。ヒートパイプ1531Gの一端は、放熱部1533BGに接続される。ヒートパイプ1531Gの他端は、LED1131Gから熱を受け取る受熱部1532Gに接続される。
【0187】
同様に、ヒートパイプ1531Bは、高熱伝導率を有する部材(銅など)によって構成される。ヒートパイプ1531Bの一端は、放熱部1533BGに接続される。ヒートパイプ1531Bの他端は、LED1131Bから熱を受け取る受熱部1532Bに接続される。
【0188】
放熱部1533BGは、ヒートシンクなどによって構成される。上述したように、放熱部1533BGがヒートパイプ1531G及びヒートパイプ1531Bに接続されているため、放熱部1533BGの配置の自由度が増大することに留意すべきである。なお、変形例4では、放熱部1533BGは、非球面ミラー1112の側方に配置されている。
【0189】
ここで、変形例4では、投写型映像表示装置1100は、軸流ファン1172として、軸流ファン1172A及び軸流ファン1172Bを有する。
【0190】
軸流ファン1172Aは、上述した放熱部1533BGを冷却する冷却風を生成する。具体的には、軸流ファン1172Aは、図37のRIGHTに示す吸気口1174Aから吸気される空気が図37のLEFTに示す排気口1171Aから排気されるように、冷却風を循環させる。ここでは、軸流ファン1172Aによって生成される冷却風は、投写窓1113を被覆する透明板1113Xによって放熱部1533BG側に導かれる。
【0191】
軸流ファン1172Bは、LED1131RやDMD1120を冷却する冷却風を生成する。具体的には、軸流ファン1172Bは、図37のLEFTに示す吸気口1174Bから吸気される空気が図37のLEFTに示す排気口1171Bから排気されるように、冷却風を循環させる。ここでは、軸流ファン1172Bによって生成される冷却風は、発熱量が大きいLED1131Rに導かれた後に、発熱量が小さいDMD1120に導かれる。
【0192】
なお、冷却風の流路は、ダクトなどによって覆われていることが好ましい。但し、光を遮光してしまうようなケースでは、ダクトは必須の構成ではない。
【0193】
また、図36に示すように、調整つまみ1165は、投写レンズ群1111の外周に沿った円弧状形状を有しており、投写レンズ群1111の外周に沿って配置される。従って、調整つまみ1165の回動に伴って、投写レンズ群1111に設けられるフォーカスレンズを上下方向(Z軸方向)に移動することが可能である。
【0194】
(作用)
変形例4では、調整つまみ1165が正面1106に配されるため、カム機構などを必要とせずに簡易な構成で、調整つまみ1165を筐体1101の外部に露出させることができる。
【0195】
[その他の変形例]
上記の例以外にも、投写型映像表示装置1200は、照度センサを備えていてもよい。照度センサにより、投写型映像表示装置1200の使用環境の明るさを推定することが可能となる。使用環境及び投写画像の面積Sに応じて、光源(LED1231)の光量Eを制御することにより、投写型映像表示装置1200の低消費電力運転を実現することができるほか、ユーザに対して目に優しい画像を提供できる。
【0196】
また、上記の例は組み合わせも可能である。例えば、横長の投写画像を縦長の投写画像へ切り替るとき、脚部1208の調整をして投写画面の面積Sを大きくするとよい。縦長に画像を投写する場合、DMD制御回路1222での信号処理によって、DMD1220の有効表示領域の変形を行う。これにより、DMD1220の有効表示領域が小さくなり、投写画面の面積Sが小さくなる。そこで、脚部1208を延伸して投写距離を長くすることで、面積Sを維持することが可能となる。
【0197】
(作用・効果)
第2−3実施形態では、投写型映像表示装置1200は、映像光を生成する映像光生成部1240と、映像光生成部1240から出射された映像光を投写面側へ反射する非球面ミラー1212と、を備えるものである。投写型映像表示装置1200は、映像光生成部1240へ電力を供給するバッテリ部1250を備え、バッテリ部1250は、非球面ミラー1212と可及的に離れた位置に設けられる。
【0198】
また、映像光生成部1240を冷却する冷却部1270をさらに備え、冷却部1270のうち、具体的には軸流ファン1272、シロッコファン1275、ヒートシンク1276、シロッコファン1277もまた、非球面ミラー1212と可及的に離れた底面1205に近い位置に設けられるとよい。これにより、非球面ミラー1212やバッテリ部1250についで、重量のある冷却部1270が非球面ミラー1212と離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。また、バッテリ部1250と冷却部1270とが近接して、底面に近い位置に設けられるので、底面の面積が小さくても安定して設置することができる。
【0199】
また、第2−3実施形態では、投写型映像表示装置1200は、投写面に対する自装置の状態を検出する傾斜センサ1269や、脚部センサ1208s、首部センサ1209sと、検出された状態に応じて、映像光の状態を制御する制御部1260とを備えるものである。従って、投写型映像表示装置1200が自装置の状態、具体的には設置面や投写距離を判断し、ユーザにとって最も観察しやすいと考えられる状態(向きや明るさなど)で映像を投写するので、ユーザに高い利便性を与えることができる。
【0200】
[第3実施形態の概要]
(課題)
複数枚のミラーを用いたり、投写レンズ群と凹面または凸面ミラーなどを組み合わせたりすることで、投写光学系が体積的にも重量的にも増加してしまうと、壁面などの鉛直面に投写する場合は問題ないが、机上に置いて机上に投写する場合、プロジェクタの頭部が重くなり、投写型映像表示装置のバランスが悪くなる。
【0201】
(構成)
第3実施形態に係る投写型映像表示装置は、映像光を生成する映像光生成部と、映像光生成部から出射された映像光を投写面側へ反射するミラー(非球面ミラー)と、を備える。そして、映像光生成部へ電力を供給する電力供給部(バッテリ部)を備え、この電力供給部は、ミラーと可及的に離れた位置、具体的には、ミラーが最上部に設けられる場合、電力供給部が最下部に設けられる。また、映像光生成部を冷却する冷却部をさらに備えており、この冷却部もまた、ミラーと可及的に離れた位置、具体的には、電力供給部の少し上方に設けられる。
【0202】
さらに、第3実施形態に係る投写型映像表示装置は、少なくとも映像光生成部を収納する筐体と、筐体の上部に設けられた透過領域(投写窓)とを備え、透過領域を通って映像光を投写する。この筐体は、少なくとも一方向の寸法(Z軸方向)が変化する可動部(スライド部)を有しており、映像光を投写しないとき、透過領域は、可動部によって筐体内部に収納され、隠された位置に移動する。
【0203】
さらに、第3実施形態に係る投写型映像表示装置は、投写面に対する自装置の状態を検出する検出手段(傾斜センサなど)と、検出された状態に応じて、映像光の状態を制御する制御手段(制御部)と、を備えるものである。
【0204】
[第3−1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図38は、第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図であり、図39は側面図である。
【0205】
図38に示すように、投写型映像表示装置2100は、投写レンズ群2111と非球面ミラー2112とから構成される投写部110と、光変調素子としてのDMD(Digital Micromirror Device)2120と、DMD2120へ光を照射する照明部2130と、DMD2120や照明部2130を構成するLED(Light Emitted Device)2131などへ電力を供給するバッテリ部2150とを有する。
【0206】
第3実施形態では、投写型映像表示装置2100は、バッテリ部2150が下部となるように設置するものとする。投写型映像表示装置2100が設置される面(水平面)をXY平面とし、設置面に対し垂直な方向(鉛直方向)をZ軸方向と定義する。X軸方向は投写型映像表示装置2100の筐体2101における幅方向に相当する方向、Y軸方向は筐体2101における奥行方向に相当する方向と定義する。
【0207】
筐体2101は、図38において、右側面となる一側面2102、左側面となる他の側面2103、上面となる天面2104および下面となる底面2105を有する。また、筐体2101は、図39における映像光が出射する側の面となる正面2106、正面2106の裏面となる背面2107を有する。
【0208】
投写部110は、複数のレンズから構成される投写レンズ群2111と凹面の非球面ミラーから構成される非球面ミラー2112と映像光が出射する投写窓2113(図39参照)とを有する。投写レンズ群2111は、DMD2120にて変調された映像光をZ軸方向へ出射する。非球面ミラー2112は、投写レンズ群2111の上方に設けられており、投写レンズ群2111からの映像光を下方に向けて反射する。非球面ミラー2112は凹面ミラーであるので、映像光は集光した後、拡大投写される。投写窓2113は、映像光が集光する位置の近傍に設けられる。映像光は、投写レンズ群2111と非球面ミラー2112との間で結像し、投写型映像表示装置2100の設置面(図中のXY平面)にて、再度、結像する。
【0209】
DMD2120は、照明部2130から時分割で照射される青、緑、赤の照明光を、映像入力信号に応じて変調する。DMD2120は、映像光を投写レンズ群2111へ導くプリズムブロック2121と一体的に設けられる。プリズムブロック2121は、照明部2130からの照明光を透過するとともに、DMD2120にて変調した映像光を全反射して、投写レンズ群2111へ導く面2121aを有する。DMD2120の近傍には、DMD2120を制御するDMD制御回路2122が配される。DMD制御回路2122は、映像入力信号およびLED制御信号に応じてDMD2120を制御する。
【0210】
照明部2130は、赤、緑、青の光を出射するLED2131R、2131G、2131Bと、赤、緑、青の光を合成してDMD2120へ照射する複数の光学部材を有する。第3実施形態では、赤、緑、青の光を合成する光学部材として、ダイクロイックプリズム2132を用いる。ダイクロイックプリズム2132にて合成された合成光は、テーパロッド2133を用いて光量分布を均一化する。テーパロッド2133後段のレンズ2134、2135、2136には、テーパロッド2133から出射した光を平行光化するとともにDMD2120に結像させる作用を有する。ミラー2137、2138には、合成光の光路をスペースに合わせて折り曲げる作用を有する。
【0211】
LED2131近傍には、LED2131を制御するLED制御回路2139が配される。LED制御回路2139は、映像入力信号に応じてLED2131R、2131G、2131Bの発光量および発光タイミングを制御する。また、LED制御回路2139は、発光量および発光タイミングに関するLED制御信号をDMD制御回路2122へ送る。LED制御回路2139は、配線を短くするため、LED2131近傍に配することが望ましい。一方、電磁波の影響を考慮して、DMD制御回路2122とは可及的に離して配置することも望まれる。
【0212】
DMD2120と照明部2130とを併せて映像生成部2140と称する。
【0213】
バッテリ部2150は、ニッケル水素2次電池から構成されるバッテリ2151と、バッテリ2151の充放電を制御するバッテリ制御回路2152と、商用電源と接続される電源コネクタ2153とを有する。バッテリ2151は、Z軸方向の寸法に対し、X軸方向またはY軸方向の寸法が十分に大きい(2倍以上)形状を有する。バッテリ制御回路2152は、商用電源から電源コネクタ2153を介してバッテリ2151へ供給される電力を制御するとともに、バッテリ2151から映像生成部2140(特に、LED2131やDMD2120)へ供給される電力を制御する。バッテリとしては、ニッケル水素2次電池以外にも、リチウムイオン2次電池でもキャパシタでもよい。
【0214】
制御部2160は、大別して、DMD制御回路2122、LED制御回路2139および投写型映像表示装置2100全体を制御する制御回路2168を含む。具体的には、投写部110(特に、投写レンズ群2111)の一側面2102側の領域に、制御回路2168が配されており、制御回路2168は、映像入力信号などに応じて、DMD制御回路2122およびLED制御回路2139へ制御信号を送る。詳細は後述するが、映像入力信号は、制御回路2168と接続された映像コネクタ2161、2162、SDカードのスロット2163、USBコネクタ2164、LANコネクタ2165から入力される。制御回路2168は、電源スイッチ2166および操作ボタン2167にも接続される。制御回路2168は、電源スイッチ2166や操作ボタン2167からのユーザ指示に応じて、投写型映像表示装置2100全体を制御する。
【0215】
投写レンズ群2111の、他の側面2103側の領域には、冷却部2170が配される。具体的には、排気口2171近傍に設けられた軸流ファン2172、LED2131を冷却するシロッコファン2173およびDMD2120を冷却するヒートシンク(不図示)が配される。投写型映像表示装置2100を冷却する空気は、一側面2102上部に設けられた吸気口2174から供給され、投写型映像表示装置2100内部を流通して制御部2160、映像生成部2140を冷却した後、他の側面2103下部に設けられた排気口2171から排気される。
【0216】
筐体2101の対角となる位置に吸気口2174および排気口2171を設けることにより、効率よく投写型映像表示装置2100を冷却することができる。また、吸気口2174および排気口2171は、それぞれ一側面2102および他の側面2103に設けられているので、背面2107が設置面となる場合でも、吸排気口が塞がれることはない。吸気口2174は、後述するスライド部により、投写型映像表示装置2100を使用しないときには閉鎖される。この構成により、保管中に、投写型映像表示装置2100内部に埃などが侵入することを防止することができる。なお、シロッコファン2173は、吸気口2174とは別の吸気口を設けるとよい。
【0217】
(投写型映像表示装置の外部構成)
以下において、第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成について、図面を参照しながら説明する。図40は第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成を示す図であって、図40(a)は左斜視図、図40(b)は右斜視図である。
【0218】
筐体2101は、投写窓2113が配され、映像光が出射する側の面である正面2106、正面2106と対向する位置に配された背面2107を有する。また、筐体2101は、投写型映像表示装置2100が机上または床面に映像光を投写するように設置したときに、上面となる天面2104、天面2104と対向する位置に配された底面2105を有する。略直方体形状を有する投写型映像表示装置2100において、残る2面において、上述した電源コネクタ2153を配した面を一側面2102、一側面2102と対向する位置に配された面を他の側面2103とする。
【0219】
一側面2102には、電源コネクタ2153のほか、PC(Parsonal Computer)などの映像ソースと接続される映像コネクタ2161、2162、SDカードのスロット2163、USBコネクタ2164a、2164b、LANコネクタ2165などが設けられる。これらのコネクタ類は、一側面2102のうち、底面2105に近い部分に設けられるとよい。一側面2102は、後述するスライド部により、保管するときには、内部に収納される重畳部2102aを有する。一側面2102に配された吸気口2174は、スライド部2190が収納されたときにスライド部2190の一側面2192と重畳する位置に設けられるとよい。
【0220】
他の側面2103には排気口2171が設けられる。上述のように、吸気口2174は、重畳部2102aが収納されたときに一側面2102と重畳する位置、具体的には、一側面2102のうち、天面2104に近い位置に設けられるので、排気口2171は、他の側面2103のうち、底面2105に近い部分に設けられるとよい。
【0221】
操作性を考慮して、電源スイッチ2166および操作ボタン2167は天面2104に設けられる。底面2105、背面2107は設置面となるので、インターフェースや吸排気口を設けない方が望ましい。
【0222】
(スライド部の構成)
以下において、第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置のスライド部の構成について、図面を参照しながら説明する。図41は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図42はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0223】
図41に示すように、投写型映像表示装置2100は、映像光を投写するときに、投写レンズ群2111と非球面ミラー2112との間に所定の距離をあける必要がある。この距離(スペース2180)は、映像光を投写しないときにはデッドスペースとなる。そこで、図42に示すように、スライド部2190を収納するときには、非球面ミラー2112、投写窓2113を含むスライド部2190がスペース2180に収納されるように平行移動する。
【0224】
これにより、投写型映像表示装置2100を使用しないときには、投写型映像表示装置2100の体積を小さくすることができる。加えて、投写窓2113は、正面2106と重なり、表面から隠された位置に移動するので、保管中に汚れることを抑制できる。吸気口2174は、一側面2102と重なり、閉鎖されるので、投写型映像表示装置2100内部に埃が侵入することを抑制できる。
【0225】
[変形例1]
以下において、第3−1実施形態に係るスライド部の一変形例について、図面を参照しながら説明する。図43は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図44はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0226】
図43に示すように、投写型映像表示装置2100は、映像光を投写するときに、投写レンズ群2111内に配された複数のレンズ間において所定の距離をあける必要がある。この距離(スペース2181)は、映像光を投写しないときにはデッドスペースとなる。そこで、図44に示すように、スライド部2190を収納するときには、スライド部2190の平行移動に連動して、投写レンズ群2111のレンズ間の距離を可及的に狭くする。投写レンズ群2111のZ軸方向の寸法が小さくなることにより、非球面ミラー2112、投写窓2113を含むスライド部2190がスペース2181に収納される。
【0227】
[変形例2]
以下において、第3−1実施形態に係るスライド部の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図45は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図46はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0228】
図45に示すように、変形例2では、DMD2120および照明部2130の配置を変更し、照明部2130は、投写レンズ群2111のうち、レンズ径が小さい領域に配する。照明部2130の位置が変更されたことに伴い、冷却部2170もまたDMD2120および照明部2130の位置に対応する領域に移動させる必要がある。
【0229】
変形例2に係る投写型映像表示装置2100では、映像光を投写するときに、DMD2120および照明部2130(映像生成部2140相当)とバッテリ部2150との間にスペース2182が生じる。そこで、図46に示すように、スライド部2190を収納するときには、非球面ミラー2112、投写窓2113を含むスライド部2190とともに、投写レンズ群2111、映像生成部2140および冷却部2170がスペース2182に収納されるように平行移動する。
【0230】
[変形例3]
以下において、第3−1実施形態に係るスライド部の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図47は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図48はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0231】
図47に示すように、非球面ミラー2112は、映像光を投写するときに、投写レンズ群2111の光軸に対して、背面2107側にかつ傾いて配置されている。そこで、図48に示すように、スライド部2190を収納するときには、スライド部2190の平行移動に連動して、非球面ミラー2112の一端を中心軸として非球面ミラー2112を回動させる。非球面ミラー2112が回動することに伴って、投写型映像表示装置2100のZ軸方向の寸法が小さくなり、投写窓2113を含むスライド部2190がスペース2183に収納される。
【0232】
[その他の変形例]
上記の例以外にも、冷却部2170を照明部2130(映像生成部2140)の下方へ配置して、冷却部2170と照明部2130の間にスペースを設けてもよい。この場合、投写部2110および映像生成部2140を含むスライド部2190がこのスペースに収納される。
【0233】
プリズムブロック2121を用いず、投写レンズ群2111の光軸に対して垂直となるようにDMD2120を配置して、投写レンズ群2111とDMD2120との間にスペースを設けてもよい。この場合、投写部2110がこのスペースに収納される。
【0234】
(作用・効果)
第3−1実施形態では、投写型映像表示装置2100は、映像光を生成する映像光生成部2140と、映像光生成部から出射された映像光を投写面側へ反射する非球面ミラー2112と、を備えるものである。投写型映像表示装置2100は、映像光生成部2140へ電力を供給するバッテリ部2150を備え、バッテリ部2150は、非球面ミラー2112と可及的に離れた位置、具体的には、非球面ミラー2112が最上部に設けられ、バッテリ部2150が最下部に設けられる。従って、重量のある非球面ミラー2112とバッテリ部2150とが離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。
【0235】
また、第3−1実施形態では、投写型映像表示装置2100は、映像光を生成する映像光生成部2140と、映像光生成部2140を収納する筐体2101と、筐体2101に設けられ映像光生成部2140から出射された映像光が透過する投写窓2113とを備えるものである。筐体2101は、Z軸方向の寸法が変化するスライド部2190を有する。投写窓2113は、映像光を投写しないとき、スライド部2190によって筐体2101内部に収納される。従って、投写窓2113にキズや汚れがつくことを抑制できる。
【0236】
[第3−2実施形態]
以下において、第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、第3−2実施形態において、第3−1実施形態と重複するところは、説明を省略する。図49は、第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【0237】
図49に示すように、投写型映像表示装置2200は、映像生成部2240の構成、冷却部2270の配置が第3−1実施形態と大きく異なることに留意すべきである。また、第3実施形態では、底面2205を設置面(水平面)とし、床や机などの水平面に映像光を投写する状態を床面投写モード、背面2207を設置面(水平面)とし、スクリーンや壁などの鉛直面に映像光を投写する状態を壁面投写モードと称する。
【0238】
第3実施形態では、赤、緑、青の光を出射するLED2231R、2231G、2231B、ダイクロイックプリズム2232およびテーパロッド2233は、投写レンズ群2211よりも背面2207側に配される。図49では、これらの光学部材は投写レンズ群2211によって隠された位置となる。テーパロッド2233から出射した光は、レンズ2234、2235、2236およびミラー2237、2238によって、合成光の光路をスペースに合わせて折り曲げられ、DMD2220に結像する。
【0239】
DMD2220は、投写レンズ群2211の光軸に対して垂直となるように配される。従って、第3−2実施形態では、プリズムブロックは不要となる。DMD2220には、照明部2230の各光学部材によって、投写レンズ群2211の光軸に対して鋭角な方向から導かれた合成光が照射される。DMD2220はこの合成光のうち、映像入力信号に応じて変調された映像光を投写レンズ群2211へ向けて反射する。DMD2220の近傍には、DMD2220を制御するDMD制御回路2222が配される。第3−2実施形態では、DMD制御回路2222はDMD2220の裏面側に配される。
【0240】
LED2231近傍には、LED2231を制御するLED制御回路2239が配される第3−2実施形態では、LED制御回路2239は、投写レンズ群2211の外玉レンズの背面2207側に配される。これにより、LED制御回路2239は、LED2231近傍に配されるとともに、DMD制御回路2222とは可及的に離して配することができる。
【0241】
制御部2260の制御回路2268は、傾斜センサ2269を有する。傾斜センサ2269は、検出した傾きに関する情報を制御回路2268へ送信する。制御回路2268は、受信した情報から、ユーザが投写型映像表示装置2200を、底面2205を設置面とする床面投写モードで利用するか、背面2207を設置面とする壁面投写モードで利用するかを判別する。制御回路2268は、判別した投写モードに応じて、DMD制御回路2222へ制御信号を送る。詳細は後述するが、DMD制御回路2222は、投写モードに関する制御信号に応じて、DMD2220の有効領域の大きさやアスペクト比、投写画像の上下・左右の方向を制御する。
【0242】
投写レンズ群2211の、他の側面2203側の領域には、冷却部2270が配される。第3−2実施形態では、LED2231を冷却するシロッコファン2273のほか、DMD2220を冷却するシロッコファン2275およびヒートシンク2276が配される。
【0243】
(投写モードの切替機能)
以下において、第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードの切替機能について、図面を参照しながら説明する。図50は第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードを示す図であって、図50(a)は床面投写モード、図50(b)は壁面投写モードである。
【0244】
投写型映像表示装置2200は、映像光を投写するときに、傾斜センサ2269によって検出した傾きに関する情報に基づいて設置面を判別する。図50(a)に示すように、設置面が底面2205であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像を遠方側(Far側)から観察する場合が多いので、投写型映像表示装置2200は、投写画像の向きをFar側が下となるように投写する。詳細には、傾斜センサ2269が、底面2205が設置面であると判別したとき、制御回路2268は、Far側が下となるようにDMD制御回路2222へ制御信号を送る。
【0245】
一方、図50(b)に示すように、設置面が背面2207であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像の近接側(Near側)を下として観察するので、投写型映像表示装置2200は、投写画像の向きをNear側が下となるように投写する。詳細には、傾斜センサ2269が、背面2207が設置面であると判別したとき、制御回路2268は、Near側が下となるようにDMD制御回路2222へ制御信号を送る。
【0246】
これにより、投写型映像表示装置2200を置くだけで、投写画像が適切な向きで投写されるので、ユーザの利便性が向上する。
【0247】
[変形例1]
以下において、第3−2実施形態に係る投写モードの切替機能の一変形例について、図面を参照しながら説明する。図51は変形例1に係る投写型映像表示装置の投写モードを示す図であって、図51(a)は床面投写モード、図51(b)は壁面投写モードである。変形例1においても、投写型映像表示装置2200は、映像光を投写するときに、傾斜センサ2269によって検出した傾きに関する情報に基づいて設置面を判別する。
【0248】
図51(a)に示すように、設置面が底面2205であるときは、複数のユーザ(観察者)が、投写画像を挟んで対峙して観察する場合があるので、投写型映像表示装置2200は、投写画像のアスペクト比を縦長となるように投写する。具体的には、制御回路2268は、H:Vが3:4となるようにDMD制御回路2222へ制御信号を送る。
【0249】
一方、図51(b)に示すように、設置面が背面2207であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像に対して正面から観察するので、投写型映像表示装置2200は、投写画像のアスペクト比を横長となるように投写する。具体的には、制御回路2268は、H:Vが4:3となるようにDMD制御回路2222へ制御信号を送る。
【0250】
[変形例2]
以下において、第3−2実施形態に係る投写モードの切替機能の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図52は変形例2に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図であって、図52(a)は通常の床面投写モード(以下、通常モードと称する。)、図52(b)は投写画像の面積を大きくした床面投写モード(以下、拡大モードと称する。)である。
【0251】
変形例2において、投写型映像表示装置2200は、底面2205に脚部2208と、脚部2208の長さを検出する脚部センサ2208sとを有する。投写型映像表示装置2200は、映像光を投写するときに、脚部センサ2208sによって検出した脚部2208の長さに関する情報に基づいて投写距離を推定する。また、通常モードでは、投写画像の面積がSである領域に対し、投写画像の輝度がLとなるように投写するために必要なLED2231の光量をEとする。
【0252】
図52(b)に示すように、底面2205から脚部2208を延伸し、投写窓2213から設置面までの距離(投写距離)を長くすると、拡大モードの投写画像の面積S’は、通常モードの面積Sよりも大きくなる(S’>S)。このとき、LED2231の光量がEであると、拡大モードの投写画像の輝度が、通常モードの輝度Lに比べて低下してしまう。
【0253】
そこで、脚部センサ2208sからの情報により、拡大モードであると推定されたとき、制御回路2268は、LED2231の光量がE’(>E)となるようにLED駆動回路2239へ制御信号を送る。これにより、通常モードのときの輝度Lと拡大モードのときの輝度L’とが、略同じ輝度となる(L≒L’)。
【0254】
[変形例3]
以下において、第3−2実施形態に係る投写モードの切替機能のさらに他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図53は変形例3に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図である。変形例3では、変形例2との相違点についてのみ説明する。
【0255】
変形例3において、投写型映像表示装置2200は、上部に首部2209と、首部2209の長さを検出する首部センサ2209sとを有する。首部2209の上部には非球面ミラー2212が配され、首部2209を伸縮することにより、投写レンズ群2211と非球面ミラー2212との距離が調整される。投写型映像表示装置2200は、映像光を投写するときに、脚部センサ2209sによって検出した首部2209の長さに関する情報に基づいて、投写距離および投写レンズ群2211と非球面ミラー2212との距離を推定する。
【0256】
天面2204には、首部2209を引っ張るハンドル部2204hが設けられる。さらにハンドル部2204hにボタン(不図示)を設け、ボタンを押下したときに、首部2209を延伸することができるように設定してもよい。ボタンを押下していないときには、首部2209が延伸しないため、ハンドル部2204hは、投写型映像表示装置2200を持ち運ぶときにも有用である。
【0257】
[その他の変形例]
上記の例以外にも、投写型映像表示装置2200は、照度センサを備えていてもよい。照度センサにより、投写型映像表示装置2200の使用環境の明るさを推定することが可能となる。使用環境および投写画像の面積Sに応じて、光源(LED2231)の光量Eを制御することにより、投写型映像表示装置2200の低消費電力運転を実現することができるほか、ユーザに対して目に優しい画像を提供できる。
【0258】
また、上記の例は組み合わせも可能である。例えば、横長の投写画像を縦長の投写画像へ切り替るとき、脚部2208の調整をして投写画面の面積Sを大きくするとよい。縦長に画像を投写する場合、DMD制御回路2222での信号処理によって、DMD2220の有効表示領域の変形を行う。これにより、DMD2220の有効表示領域が小さくなり、投写画面の面積Sが小さくなる。そこで、脚部2208を延伸して投写距離を長くすることで、面積Sを維持することが可能となる。
【0259】
(作用・効果)
第3−2実施形態では、投写型映像表示装置2200は、映像光を生成する映像光生成部2240と、映像光生成部2240から出射された映像光を投写面側へ反射する非球面ミラー2212と、を備えるものである。投写型映像表示装置2200は、映像光生成部2240へ電力を供給するバッテリ部2250を備え、バッテリ部2250は、非球面ミラー2212と可及的に離れた位置に設けられる。
【0260】
また、映像光生成部2240を冷却する冷却部2270をさらに備え、冷却部2270のうち、具体的には軸流ファン2272、シロッコファン2275、ヒートシンク2276、シロッコファン2277もまた、非球面ミラー2212と可及的に離れた底面2205に近い位置に設けられるとよい。これにより、非球面ミラー2212やバッテリ部2250についで、重量のある冷却部2270が非球面ミラー2212と離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。また、バッテリ部2250と冷却部2270とが近接して、底面に近い位置に設けられるので、底面の面積が小さくても安定して設置することができる。
【0261】
また、第3−2実施形態では、投写型映像表示装置2200は、投写面に対する自装置の状態を検出する傾斜センサ2269や、脚部センサ2208s、首部センサ2209sと、検出された状態に応じて、映像光の状態を制御する制御部2260とを備えるものである。従って、投写型映像表示装置2200が自装置の状態、具体的には設置面や投写距離を判断し、ユーザにとって最も観察しやすいと考えられる状態(向きや明るさなど)で映像を投写するので、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0262】
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0263】
具体的には、第4実施形態では、インタラクティブ機能で必要とされる撮像装置及び撮像装置の制御基板の配置について、図54〜図56を参照しながら説明する。図54は、第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の外観を示す図である。図55は、第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の内部を示す図である。図56は、第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の正面視を示す図である。
【0264】
撮像装置及び制御基板は、図54及び図55に示す領域Y1に配置されることが好ましい。領域Y1は、図54に示すように、透過領域210(投写窓)よりも天板側の領域であり、図55に示すように、反射ミラー112よりも正面側の領域である。なお、撮像装置及び制御基板は、反射ミラー112で反射される映像光を遮光しない位置に配置されることは勿論である。
【0265】
また、撮像装置の光取入口は、図55に示す領域Z1又は領域Z2に配置されることが好ましい。領域Z1は、図55に示すように、透過領域210よりも天板側の領域である。また、領域Z2は、図55に示すように、透過領域210の一部である。なお、撮像装置の光取入口は、透過領域210を透過する映像光を遮光しない位置に配置されることは勿論である。
【0266】
(作用及び効果)
第4実施形態では、撮像装置及び制御基板は、図54及び図55に示す領域Y1に配置される。ここで、電源基板150や主制御基板160は、図3に示したように、底面側に配置されるため、領域Y1はデッドスペースである。このようなデッドスペースを有効に利用することができるため、投写型映像表示装置100を小型化することが可能である。
【0267】
第4実施形態では、撮像装置の光取入口は、図55に示す領域Z1又は領域Z2に配置される。すなわち、透過領域210と同程度以上の高さから、投写面の反射光を取入れるため、投写型映像表示装置と投写面との距離が非常に近い場合であっても、投写面の映像を撮像することができる。また、光取入口と撮像装置(又は、制御基板)との距離が近いため、余分な配線等が不要である。
【0268】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0269】
実施形態では、光変調素子として、DMD(Digital Micromirror Device)を例示したに過ぎない。光変調素子は、反射型の液晶パネルであってもよく、透過型の液晶パネルであってもよい。
【0270】
実施形態では、フォーカス調整具260は、非被覆状態から被覆状態への遷移において、カバー体(第1筐体200A又はカバー体200C)の移動によって初期位置に戻る。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。具体的には、フォーカス調整具260は、被覆状態から非被覆状態への遷移において、カバー体(第1筐体200A又はカバー体200C)の移動によって初期位置に戻ってもよい。
【0271】
実施形態では特に触れていないが、運転制御部320は、投写型映像表示装置100の運転開始後において、筐体200内の冷却状態が所定状態よりも悪い場合に、投写型映像表示装置100の運転を終了する。すなわち、運転制御部320は、筐体200が正しく配置されていないことに起因して、冷却状態が悪い場合に、投写型映像表示装置100の運転を終了する。言い換えると、運転制御部320は、例えば、筐体200の底面が傾いた平面に配置されたケースにおいて、検出部400によって基準面の誤検出が生じた場合であっても、投写型映像表示装置100の運転を適切に終了することができる。
【0272】
実施形態では、検出点410が機械的なスイッチであるケースについて例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。検出点410は、圧力センサであってもよい。或いは、検出部400は、筐体200の底面全体の圧力分布を検出可能に構成された圧力センサであってもよい。
【0273】
実施形態では、光源としてLEDを用いて説明したが、光源はLEDに限定されるものではなく、固体光源としてはレーザ光源、ランプ光源としては高圧水銀ランプやキセノンランプなども利用可能である。光変調素子としては、DMDを用いて説明したが、透過型、半透過型あるいは反射型の液晶パネルなども利用可能である。
【0274】
実施形態では、筐体は6面を有する略直方体の形状で説明したが、筐体形状は直方体に限定されるものではなく、デザイン性を重視した形状でもよい。また、直方体の頂点や辺において丸みを帯びていても良く、中央部分や重心付近に突起や凹みがある形状でもよい。中央部分や重心付近に突起や凹みがあると、持ち運びに便利である。
【0275】
バッテリ部としてニッケル水素電池が投写型映像表示装置の底面に固定されている構成を用いて説明したが、ニッケル水素電池は、別の電池と交換できるようにバッテリ制御部とコネクタを介して接続されていてもよい。また、バッテリ制御部は、電源コネクタを介して直接、商用電源から各部へ電力を供給できるように制御してもよい。これにより、1つの電池の残量が低下しても、別の電池と交換したり、商用電源から電力を供給したりすることで、長時間、映像を表示することができる。
【0276】
投写型映像表示装置の起動は電源スイッチを押下する構成を用いて説明したが、スライド部が電源スイッチとして機能してもよい。すなわち、スライド部が引き出され、映像光が投写窓から出射できる状態となることにより投写型映像表示装置が起動し、スライド部が筐体の内部に収納されることにより停止するように構成してもよい。
【0277】
投写画像のアスペクト比はH:V=4:3を標準として説明したが、アスペクト比はH:V=16:9のものがあるのはもちろんである。
【0278】
操作ボタンやスイッチが筐体の天面や側面に配される構成を用いて説明したが、操作はリモコンを用いて行なってもよい。この場合、リモコンからの信号を受信する受光部は、正面や側面の上部(非球面ミラー側)に配するとよい。投写型映像表示装置を利用するときに上部となる部分に受光部が配されると、信号が遮蔽されることがない。
【符号の説明】
【0279】
10…光源、30…ダイクロイックプリズム、40…ロッドインテグレータ、51〜52…ミラー、61〜63…レンズ、70…DMD、80…反射プリズム、100…投写型映像表示装置、110…投写光学系、111…投写レンズ群、112…反射ミラー、120…照明光学系、130…冷却ファン、140…バッテリ、150…電源基板、160…主制御基板、170…操作基板、200…筐体、200A…第1筐体、200B…第2筐体、200C…カバー体、201A…突起、201C…突起、210…透過領域、211…回動軸、260…フォーカス調整具、300…制御ユニット、310…判定部、320…運転制御部、400…検出部、410…検出点、500…バッテリ、1100、1200…投写型映像表示装置、1101、1201…筐体(1102、1202…一側面、1102a…一側面の重畳部、1103、1203…他の側面、1104、1204…天面、1105、1205…底面、1106、1206…正面、1107、1207…背面、1110、1210…投写部、1111、1211…投写レンズ群、1112、1212…非球面ミラー、1113、1213…投写窓、1120、1220…DMD、1121…プリズムブロック(1121a…面)、1122、1222…DMD制御回路、1130、1230…照明部、1131、1231…LED(1131R、1231R…赤色LED、1131G、1231G…緑色LED、1131B、1231B…青色LED)、1132、1232…ダイクロイックプリズム、1133、1233…テーパロッド、1134、1135、1136、1234、1235、1236…レンズ、1137、1138、1237、1338…ミラー、1139、1239…LED制御回路、1140、1140…映像光生成部、1150、1250…バッテリ部、1151、1251…バッテリ、1152、1252…バッテリ制御回路、1153、1253…電源コネクタ、1160、1260…制御部、1161…映像コネクタ、1163…SDカードのスロット、1164…USBコネクタ、1166…電源ボタン、1167…メニューボタン、1168…方向ボタン、1169、1268…制御回路、1170、1270…冷却部、1171、1271…排気口、1172、1272…軸流ファン、1173、1273、1275、1277…シロッコファン、1174、1274…吸気口、1180、1181、1182、1183…スペース、1190…スライド部(1192…一側面、1193…他の側面、1194…天面、1196…正面、1197…背面)、1208…脚部(1208s…脚部センサ)、1209…首部(1208s…首部センサ)、1269…傾斜センサ、1276…ヒートシンク、2100、2200…投写型映像表示装置、2101、2201…筐体(1102、XXXXXXX1202X…一側面、2102a…一側面の重畳部、2103、2203…他の側面、2104、2204…天面、2105、2205…底面、2106、2206…正面、2107、2207…背面)、2110…投写部、2111、2211…投写レンズ群、2112、2212…非球面ミラー、2113、2213…投写窓、2120、2220…DMD、2121…プリズムブロック(2121a…面)、2122、2222…DMD制御回路、2130、2230…照明部、2131、2231…LED(2131R、2231R…赤色LED、2131G、2231G…緑色LED、2131B、2231B…青色LED)、2132、2232…ダイクロイックプリズム、2133、2233…テーパロッド、2134、2135、2136、2234、2235、2236…レンズ、2137、2138、2237、2338…ミラー、2139、2239…LED制御回路、2140、2240…映像生成部、2150、2250…バッテリ部、2151、2251…バッテリ、2152、2252…バッテリ制御回路、2153、2253…電源コネクタ、2160、2260…制御部、2161、2162…映像コネクタ、2163…SDカードのスロット、2164…USBコネクタ、2165…LANコネクタ、2166…電源スイッチ、2167…操作ボタン、2168、2268…制御回路、2170、2270…冷却部、2171、2271…排気口、2172、2272…軸流ファン、2173、2273、2275、2277…シロッコファン、2174、2274…吸気口、2180、2181、2182、2183…スペース、2190…スライド部(2192…一側面、2193…他の側面、2194…天面、2196…正面、2197…背面)、2208…脚部(2208s…脚部センサ)、2209…首部(2208s…首部センサ)、2269…傾斜センサ、2276…ヒートシンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを備える投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを備える投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
近年では、机などの基準面上に配置するタイプの投写型映像表示装置が提案されている。投写型映像表示装置は、基準面と平行な投写面上に光を投写する(例えば、特許文献1)。また、ミラーを含む投写光学系のうち、最後の光学部材として凸面ミラーや凹面ミラーを用いることによって、投写光の出射位置と被投写面との距離を短くする技術が開示されている(例えば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−89928号公報
【特許文献2】特開2008−134350号公報
【特許文献3】特開2004−258620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、投写型映像表示装置には、電源スイッチなどが設けられており、投写型映像表示装置を起動するためには、電源スイッチを押下する必要がある。一方で、ユーザの利便性の観点からは、ユーザ操作が少ない方が好ましい。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、投写型映像表示装置を簡易に起動することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1−1の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源(光源10)から出射される光を変調する光変調素子(DMD70)と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系(投写光学系110)とを収容する筐体(筐体200)を備える。投写型映像表示装置は、基準面上に配置される。前記筐体は、前記基準面と対向する底面(第1の面220又は第2の面230)を有する。前記底面には、前記基準面を検出可能に構成された検出部(検出部400)が設けられる。投写型映像表示装置は、前記検出部によって前記基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する運転制御部(運転制御部320)を備える。
【0008】
第1−1の特徴において、前記検出部は、前記基準面を検出する少なくとも3つ以上の検出点を有する。
【0009】
第1−1の特徴において、前記少なくとも3つ以上の検出点は、前記筐体が前記基準面に配置された状態で通電する機械的なスイッチである。
【0010】
第1−1の特徴において、前記筐体は、前記投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体(第1筐体200A又はカバー体200C)と、前記投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具(フォーカス調整具260)とを有する。前記カバー体は、前記カバー体の移動によって、前記透過領域を被覆する被覆状態及び前記透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移する。前記フォーカス調整具は、前記カバー体の移動によって初期位置に戻る。
【0011】
第1−1の特徴において、前記運転制御部は、前記投写型映像表示装置の運転開始後において、前記筐体内の冷却状態が所定状態よりも悪い場合に、前記投写型映像表示装置の運転を終了する。
【0012】
第1−2の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備える。投写型映像表示装置は、基準面上に配置される。前記筐体は、前記投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体と、前記投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具と有する。前記カバー体は、前記カバー体の移動によって、前記透過領域を被覆する被覆状態及び前記透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移する。前記フォーカス調整具は、前記カバー体の移動によって初期位置に戻る。
【0013】
第2−1の特徴に係る投写型映像表示装置は、映像光を生成する映像光生成部と、前記映像光生成部を収納する筐体と、前記映像光生成部から出射された前記映像光の出射方向とは異なる方向へ前記映像光を折り曲げて投写面へ投写させる投写部とを備える。投写型映像表示装置は、前記映像光が前記筐体から出射する面を正面、前記正面に対向する面を背面、前記投写面と略平行で且つ最も近い面を底面、前記底面に対抗する面を天面、前記正面と前記背面との間で前記底面と前記天面以外の面を側面としたとき、投写型映像表示装置に各種指令を与える操作部(電源ボタン2166、メニューボタン2167、方向ボタン2168)が前記天面及び/又は前記側面に配される。
【0014】
かかる特徴によれば、投写型映像表示装置が映像を投写する状態(図33参照)で設置されたとき、操作ボタンの操作時に投写画面に影響の出ない位置に操作ボタンを配置されているので、投写中に操作ボタンを操作してもユーザにより投写映像を遮ることがなくなる。
【0015】
第2−1の特徴において、前記操作部は操作ボタンを有し、前記操作ボタンの配置は、前記筺体の正面及び背面から確認したときに前後対称に配されていることを特徴としてもよい。
【0016】
第2−1の特徴において、投写される前記映像光の状態を調整する調整部を備え、前記調整部の調整つまみは前記側面に配されていることを特徴としてもよい。
【0017】
第2−1の特徴において、投写される前記映像光の状態を調整する調整部を備え、前記調整部の調整つまみは前記正面に配されていることを特徴としてもよい。
【0018】
第2−1の特徴において、電源及び入力信号を入力する入力部を備え、前記入力部は、前記側面に配されることを特徴としてもよい。
【0019】
第2−1の特徴において、前記調整つまみ及び/又は前記入力部を覆うカバーを備えることを特徴としてもよい。
【0020】
第2−1の特徴において、前記筺体内部に冷却風を導く吸気口と、前記筺体内部から冷却風を排出する排気口とを有し、前記筐体は、少なくとも一方向の寸法が変化する可動部を有し、前記可動部を可動させることと連動して前記カバーを可動させることにより前記つまみ、前記入力部、前記吸気口、前記排気口のうち少なくとも一の開閉を行うことを特徴としてもよい。
【0021】
第3−1の特徴に係る投写型映像表示装置(投写型映像表示装置1100)は、映像光を生成する映像光生成部(映像光生成部1140)と、前記映像光生成部から出射された前記映像光を投写面側へ反射するミラー(例えば、非球面ミラー1112)と、を備えるものである。投写型映像表示装置は、前記映像光生成部へ電力を供給する電力供給部(例えば、バッテリ部1150)を備え、前記電力供給部は、前記ミラーと可及的に離れた位置に設けられる。
【0022】
かかる構成によれば、重量のあるミラーと電力供給部とが離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。
【0023】
第3−1の特徴において、前記映像光生成部を冷却する冷却部(冷却部1170)をさらに備え、前記冷却部もまた、前記ミラーと可及的に離れた位置に設けられるとよい。これにより、ミラーや電力供給部についで、重量のある冷却部がミラーと離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。また、電力供給部と冷却部とが近接した位置に設けられる場合、電力供給部と冷却部とが設けられる領域が底部となるように設置すれば、底面積が小さい場合でも安定して設置することができる。
【0024】
第3−1の特徴において、前記映像光生成部を収納し、略直方体形状を有する筐体(筐体1101)をさらに備え、前記映像光が前記筐体から出射する面を正面(正面1106)、前記正面に対向する面を背面(背面1107)、前記正面と前記背面との間に位置する面であって前記電力供給部が配される面を底面(底面1105)としたとき、自装置を操作する操作部(例えば、電源スイッチ1166や操作ボタン1167)は、前記正面、前記背面および前記底面を除く面に設けられるとよい。これにより、筐体の正面に操作部が無いので、ユーザが操作部を操作するときに、映像光が通る正面側の領域に手が入り、映像光を遮光してしまう虞がない。また、設置面となる背面や底面にも操作部が無いので、どのような設置状態でもユーザは操作部を操作することができる。
【0025】
詳細には、第3−1の特徴において、前記投写面が水平面(例えば、XY面)であるとき、前記電力供給部は自装置の最下部に位置し、前記ミラーは、前記電力供給部の上部に設けられた前記映像生成部から上方へ出射された前記映像光を前記投写面へ反射する位置に設けられることを要旨とする。
【0026】
かかる構成によれば、様々な設置状態において、安定性のよい投写型映像表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、投写型映像表示装置を簡易に起動することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略構成を示す図である。
【図2】第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略構成を示す図である。
【図3】第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100の光学構成を説明するための図である。
【図4】第1−1実施形態に係る第1筐体200Aのスライドを説明するための図である。
【図5】第1−1実施形態に係る第1筐体200Aのスライドを説明するための図である。
【図6】第1−1実施形態に係る制御ユニット300を示すブロック図である。
【図7】第1−1実施形態に係る検出部400の構成例を説明するための図である。
【図8】第1−1実施形態に係る検出部400の構成例を説明するための図である。
【図9】第1−1実施形態に係る検出点410の配置例を説明するための図である。
【図10】第1−1実施形態に係る検出点410の配置例を説明するための図である。
【図11】第1−1実施形態に係る検出点410の配置例を説明するための図である。
【図12】第1−2実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成例を示す図である。
【図13】第1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置100の構成例を示す図である。
【図14】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【図15】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す側面図である。
【図16】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成を示す斜視図である。
【図17】第2−1実施形態に係る操作ボタンを示す図である。
【図18】第2−1実施形態に係る操作ボタンの変形例を示す図である。
【図19】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図20】第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図21】第2−1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図22】第2−1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図23】第2−1実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図24】第2−1実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図25】第2−1実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図26】第2−1実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図27】第2−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図及び側面図である。
【図28】第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【図29】第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図30】第2−3実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図31】第2−3実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図32】第2−3実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図33】投写型映像表示装置の使用例を示す図である。
【図34】第2実施形態の変形例4に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図である。
【図35】第2実施形態の変形例4に係る投写型映像表示装置の側面視を示す図である。
【図36】第2実施形態の変形例4に係る投写型映像表示装置の内部構造を示す図である。
【図37】第2実施形態の変形例4に係る投写型映像表示装置の右側面視(RIGHT)、正面視(FRONT)及び左側面視(LEFT)を示す図である。
【図38】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【図39】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す側面図である。
【図40】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成を示す斜視図である。
【図41】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図42】第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図43】第3−1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図44】第3−1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図45】第3−1実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図46】第3−1実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図47】第3−1実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置が映像光を投写するときの内部構成を示す図である。
【図48】第3−1実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置を収納するときの内部構成を示す図である。
【図49】第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【図50】第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図51】第3−2実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図52】第3−2実施形態の変形例2に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図53】第3−2実施形態の変形例3に係る投写型映像表示装置の投写モードを説明する図である。
【図54】第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の外観を示す図である。
【図55】第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の内部を示す図である。
【図56】第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の正面視を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0030】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0031】
[第1実施形態の概要]
第1に、第1実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備える。投写型映像表示装置は、基準面上に配置される。筐体は、基準面と対向する底面を有する。底面には、基準面を検出可能に構成された検出部が設けられる。投写型映像表示装置は、検出部によって基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する運転制御部を備える。
【0032】
第1実施形態では、運転制御部は、検出部によって基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する。従って、投写型映像表示装置を基準面に配置するだけで、投写型映像表示装置が起動するため、電源スイッチを押下が不要である。また、検出部が基準面を検出可能に構成されるため、投写型映像表示装置の誤起動が抑制される。
【0033】
第2に、第1実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備える。投写型映像表示装置は、基準面上に配置される。筐体は、投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体と、投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具と有する。カバー体は、カバー体の移動によって、透過領域を被覆する被覆状態及び透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移する。フォーカス調整具は、カバー体の移動によって初期位置に戻る。
【0034】
第1実施形態では、フォーカス調整具は、カバー体の移動によって初期位置に戻る。従って、投写型映像表示装置の起動時に、フォーカス調整具が初期位置に戻っているため、フォーカス調整具を用いたフォーカス調整量を少なくでき、投写型映像表示装置の起動時に必要な操作が簡略化される。
【0035】
[第1−1実施形態]
(投写型映像表示装置の概略構成)
以下において、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置の概略構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100(床面投写)を示す図である。図2は、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100(壁面投写)を示す図である。
【0036】
図1及び図2に示すように、投写型映像表示装置100は、筐体200を有しており、投写面(不図示)に映像を投写する。筐体200には、後述する投写光学系110から出射される光を透過する透過領域210が設けられる。
【0037】
ここで、投写面は、図1に示すように、床面や机上などの水平面に設けられていてもよく、図2に示すように、壁面などの垂直面(例えば、スクリーン)に設けられてもよい。すなわち、投写型映像表示装置100は、映像光を床面や机上などの水平面に投写するように配置されてもよく、映像光を壁面などの垂直面に投写するように配置されてもよい。
【0038】
図1に示すケースでは、略直方体の筐体200が有する面のうち、第1の面220が、床面などの基準面と対向する底面を構成する。一方で、図2に示すケースでは、略直方体の筐体200が有する面のうち、第2の面230が、床面などの基準面と対向する底面を構成する。なお、図2に示すケースにおいて、投写面と略平行な面(壁面など)に当接するように筐体200が配置される場合には、投写面と略平行な面が基準面であると捉えて、第1の面220を底面と考えてもよい。
【0039】
ここで、第1の面220は、長い投写距離を確保するために、略直方体の筐体200が有する面のうち、透過領域210から最も離れた面であることに留意すべきである。また、第2の面230は、略直方体の筐体200が有する面のうち、透過領域210が設けられる面の反対側に設けられた面であることに留意すべきである。
【0040】
なお、投写型映像表示装置100のサイズは、200ml〜2lの容積を有するペットボトル程度である。例えば、投写型映像表示装置100の容積は、900ml程度であり、投写型映像表示装置100の重量は、800g程度である。投写型映像表示装置100によって表示される映像のサイズは、例えば、20インチ程度である。また、投写型映像表示装置100と投写面との距離が非常に近いことに留意すべきである。
【0041】
(投写型映像表示装置の光学構成)
以下において、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置の光学構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1−1実施形態に係る投写型映像表示装置100の光学構成を主として示す図である。
【0042】
図3に示すように、投写型映像表示装置100は、投写光学系110と、照明光学系120と、冷却ファン130と、バッテリ140と、電源基板150と、主制御基板160と、操作基板170とを有する。また、投写型映像表示装置100は、DMD70と、反射プリズム80とを有する。
【0043】
また、筐体200は、第1筐体200A及び第2筐体200Bによって構成される。上述した透過領域210は、第1筐体200Aに設けられる。なお、第1筐体200Aの一部又は全部は、後述するように、第2筐体200Bに収容可能に構成される。
【0044】
投写光学系110は、DMD70から出射された色成分光(映像光)を投写面に投写する。具体的には、投写光学系110は、投写レンズ群111と、反射ミラー112とを有する。
【0045】
投写レンズ群111は、DMD70から出射された色成分光(映像光)を反射ミラー112側に出射する。投写レンズ群111は、投写光学系110の光軸Lを中心とする略円形形状のレンズ、投写光学系110の光軸Lを中心とする略円形形状の一部分によって構成される形状(例えば、下半分の半円形状)のレンズなどを含む。
【0046】
なお、投写レンズ群111に含まれるレンズの径は、反射ミラー112に近いほど大きいことに留意すべきである。
【0047】
反射ミラー112は、投写レンズ群111から出射された色成分光(映像光)を反射する。反射ミラー112は、映像光を集光した上で、映像光を広角化する。例えば、反射ミラー112は、投写レンズ群111側に凹面を有する非球面ミラーである。ここで、反射ミラー112は、投写光学系110の光軸Lを中心とする略円形形状の一部分によって構成される形状(例えば、下半分の半円形状)を有する。
【0048】
反射ミラー112で集光された映像光は、筐体200に設けられた透過領域210を透過する。筐体200に設けられた透過領域210は、反射ミラー112によって映像光が集光される位置近傍に設けられることが好ましい。
【0049】
照明光学系120は、光源10と、ダイクロイックプリズム30と、ロッドインテグレータ40と、ミラー51と、ミラー52と、レンズ61と、レンズ62と、レンズ63とを有する。
【0050】
光源10は、複数色の色成分光を個別に出射するように構成される。また、光源10には、光源10で生じる熱を放熱するヒートシンクが併設されていてもよい。なお、光源10は、例えば、光源10R、光源10G及び光源10Bによって構成される。
【0051】
光源10Rは、赤成分光Rを出射する光源であり、例えば、赤LED(Light Emitting Diode)や赤LD(Laser Diode)である。光源10Rには、金属などのように放熱性が良好な部材によって構成されるヒートシンクが併設されてもよい。
【0052】
光源10Gは、緑成分光Gを出射する光源であり、例えば、緑LEDや緑LDである。光源10Gには、金属などのように放熱性が良好な部材によって構成されるヒートシンクが併設されてもよい。
【0053】
光源10Bは、青成分光Bを出射する光源であり、例えば、青LEDや青LDである。光源10Bには、金属などのように放熱性が良好な部材によって構成されるヒートシンクが併設されてもよい。
【0054】
ダイクロイックプリズム30は、光源10Rから出射される赤成分光R、光源10Gから出射される緑成分光G、光源10Bから出射される青成分光Bを合成する。
【0055】
ロッドインテグレータ40は、光入射面と、光出射面と、光入射面の外周から光出射面の外周に亘って設けられる光反射側面とを有する。ロッドインテグレータ40は、ダイクロイックプリズム30から出射された色成分光を均一化する。詳細には、ロッドインテグレータ40は、光反射側面で色成分光を反射することによって、色成分光を均一化する。なお、ロッドインテグレータ40は、ガラスなどによって構成される中実ロッドであってもよく、ミラー面によって内面が構成される中空ロッドであってもよい。
【0056】
例えば、第1−1実施形態では、ロッドインテグレータ40は、光源10から出射される光の進行方向に向けて、光の進行方向に垂直な断面が大きくなるテーパ形状を有する。但し、実施形態は、これに限定されるものではない。ロッドインテグレータ40は、光源10から出射される光の進行方向に向けて、光の進行方向に垂直な断面が小さくなる逆テーパ形状を有してもよい。
【0057】
ミラー51及びミラー52は、ロッドインテグレータ40から出射された光をDMD70に導くために、光の光路を折り曲げる反射ミラーである。
【0058】
レンズ61、レンズ62及びレンズ63は、光源10から出射された色成分光の拡大を抑制しながら、色成分光をDMD70上に略結像するリレーレンズである。
【0059】
冷却ファン130は、筐体200の外部に連通しており、筐体200内の熱を放出するように構成される。或いは、冷却ファン130は、筐体200の外部の空気を筐体200内に送り込むように構成される。例えば、冷却ファン130は、光源10の近傍に設けられており、光源10を冷却するように構成される。
【0060】
バッテリ140は、投写型映像表示装置100に供給すべき電力を蓄積する。
【0061】
電源基板150は、バッテリ140に接続されており、AC電力をDC電力に変換する電力変換回路を有する。
【0062】
主制御基板160は、投写型映像表示装置100の動作を制御する主制御回路(後述する制御ユニット300)を有する。
【0063】
操作基板170は、投写型映像表示装置100に設けられる操作部(ボタンなど)に接続されており、操作部から入力される操作信号を主制御基板160(主制御回路)に伝達する。
【0064】
DMD70は、複数の微小ミラーによって構成されており、複数の微小ミラーは可動式である。各微小ミラーは、基本的に1画素に相当する。DMD70は、各微小ミラーの角度を変更することによって、色成分光が有効光として投写光学系110側に導かれるように色成分光を反射するか否かを切り替える。
【0065】
反射プリズム80は、照明光学系120から出射される光をDMD70側に透過する。一方で、反射プリズム80は、DMD70から出射される光を投写光学系110側に反射する。
【0066】
なお、図4及び図5に示すように、第1筐体200Aは、第2筐体200Bの内壁に沿ってスライド可能に構成される。反射ミラー112は、第1筐体200Aのスライドと連動して、回動軸Pを中心として回動する。
【0067】
(制御ユニットの構成)
以下において、第1−1実施形態に係る制御ユニットについて、図面を参照しながら説明する。図6は、第1−1実施形態に係る制御ユニット300を示すブロック図である。制御ユニット300は、投写型映像表示装置100に設けられており、投写型映像表示装置100を制御する。
【0068】
図6に示すように、制御ユニット300は、検出部400及びバッテリ140に接続される。制御ユニット300は、判定部310と、運転制御部320とを有する。
【0069】
検出部400は、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)に設けられる。検出部400は、基準面を検出可能に構成される。なお、検出部400の詳細については後述する(図7〜図11を参照)。
【0070】
判定部310は、検出部400の検出結果に基づいて、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)が基準面に配置されているか否かを判定する。具体的には、判定部310は、平らな面に筐体200の底面が安定的に配置されている旨の検出結果が得られた場合に、筐体200の底面が基準面に配置されていると判定する。一方で、判定部310は、凹凸を有する面に筐体200の底面が配置されている旨の検出結果が得られた場合に、筐体200の底面が基準面に配置されていないと判定する。
【0071】
運転制御部320は、判定部310の判定結果に基づいて、投写型映像表示装置100の運転を制御する。具体的には、運転制御部320は、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)が基準面に配置されていると判定された場合に、投写型映像表示装置100の運転を開始する。すなわち、運転制御部320は、投写型映像表示装置100を起動する。一方で、運転制御部320は、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)が基準面に配置されていないと判定された場合に、投写型映像表示装置100の運転を開始しない。すなわち、運転制御部320は、投写型映像表示装置100を起動しない。
【0072】
第1−1実施形態では、運転制御部320は、投写型映像表示装置100の運転を開始する場合に、バッテリ140に対して電力を供給するように指示する。
【0073】
(検出部の構成例)
以下において、第1−1実施形態に係る検出部の構成例について、図面を参照しながら説明する。図7及び図8は、第1−1実施形態に係る検出部400の構成例を模式的に示す図である。
【0074】
図7及び図8に示すように、検出部400は、複数の検出点410(検出点410A〜検出点410C)を有する。複数の検出点410は、平らな面に筐体200の底面が安定的に配置された状態で通電する機械的なスイッチである。すなわち、複数の検出点410は、全ての検出点410が平らな平面から均一な応力を受ける状態で通電するように構成される。
【0075】
例えば、筐体200の底面(第1の面220或いは第2の面230)のうち、検出点410が設けられる部分は、ゴムなどの弾性部材411(弾性部材411A〜弾性部材411C)によって構成される。各弾性部材411は、一定の応力に応じて、筐体200の内側に向けて変形する。すなわち、検出点410が一定の応力を受けると、弾性部材411の変形に伴って検出点410が筐体200の内側に沈み込む。
【0076】
なお、検出点410の数がN個である場合に、一定の応力は、投写型映像表示装置100の重量×1/Nであってもよい。或いは、一定の応力は、検出精度に幅を持たせるために、投写型映像表示装置100の重量×1/(N+1)であってもよい。例えば、投写型映像表示装置100の重量が800gであり、検出点410の数が3個である場合には、200g(=800g×1/4)である。
【0077】
従って、図7に示すように、凹凸を有する面に筐体200の底面が配置された場合には、検出部400が通電を検出することができないため、検出部400は、筐体200が基準面に配置されていない旨を検出する。
【0078】
一方で、図8に示すように、平らな平面に筐体200の底面が配置された場合には、検出部400が通電を検出するため、検出部400は、筐体200が基準面に配置されている旨を検出する。
【0079】
ここで、検出点410の数は、図9に示すように、2つであってもよい。このような場合には、2つの検出点410(検出点410A〜検出点410B)は、筐体200の底面において対角線上に配置される。また、筐体200の安定性を向上するために、ダミー点510(ダミー点510A及びダミー点510B)が設けられている。なお、筐体200の底面に対する垂直方向において、ダミー点510の高さは、筐体200の内側に沈み込んだ状態の検出点410の高さと略同様であることが好ましい。
【0080】
或いは、検出点410の数は、図10に示すように、3つであってもよく、図11に示すように、4つであってもよい。なお、図10及び図11に示すように、検出点410の数に応じて、ダミー点510が設けられることが好ましい。また、検出点410の数は、5つ以上であってもよいことは勿論である。
【0081】
なお、筐体200が基準面に配置されている旨の検出精度を高めるために、複数の検出点410は、筐体200の底面において分散して配置されることが好ましい。
【0082】
(作用及び効果)
第1−1実施形態では、運転制御部320は、検出部400によって基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する。従って、投写型映像表示装置100を基準面に配置するだけで、投写型映像表示装置100が起動するため、電源スイッチを押下が不要である。
【0083】
また、検出部400は、基準面を検出可能に構成される。検出部400は、筐体200の底面が平らな面に安定的に配置されている旨を検出可能に構成される。従って、投写型映像表示装置100の誤起動が抑制される。
【0084】
[第1−2実施形態]
以下において、第1−2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1−1実施形態との相違点について主として説明する。
【0085】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図12は、第1−2実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。なお、図12は、投写型映像表示装置100を正面から見た図である。図12では、第1−1実施形態と同様の構成について、同様の符号を付している。
【0086】
図12に示すように、筐体200は、第1−1実施形態と同様に、第1筐体200A及び第2筐体200Bによって構成される。なお、第1−2実施形態では、第1筐体200Aは、第2筐体200Bの外壁に沿ってスライド可能に構成される。
【0087】
ここで、第1筐体200Aは、投写光学系110から出射される光を透過する透過領域210を被覆可能に構成されたカバー体を構成する。第1筐体200Aは、第1筐体200Aのスライド(移動)によって、透過領域210を被覆する被覆状態と透過領域210を被覆しない非被覆状態とに遷移する。
【0088】
第1−2実施形態では、第1筐体200Aは、突起201Aを有する。第2筐体200Bは、フォーカス調整具260を有する。フォーカス調整具260は、投写光学系110に設けられたレンズと連動するように構成されており、投写面に投写される映像のフォーカスを調整するための調整具である。
【0089】
ここで、フォーカス調整具260は、第1筐体200Aのスライド(移動)によって初期位置に戻るように構成される。具体的には、非被覆状態から被覆状態への遷移において、第1筐体200Aの突起201Aがフォーカス調整具260を押し込む。これによって、フォーカス調整具260が初期位置に戻る。
【0090】
例えば、投写面と同じ面内に基準面が設けられているケースにおいて、投写面に投写される映像のフォーカスが合った状態となるように、フォーカス調整具260の初期位置が定められることが好ましい。投写面と同じ面内に基準面が設けられているケースでは、投写光学系110と投写面との位置関係が固定的であるため、初期設定として「初期位置」を定めることが可能であることに留意すべきである。
【0091】
(作用及び効果)
第1−2実施形態では、フォーカス調整具260は、第1筐体200A(カバー体)のスライド(移動)によって初期位置に戻る。従って、投写型映像表示装置100の起動時に、フォーカス調整具260が初期位置に戻っているため、フォーカス調整具260を用いたフォーカス調整量を少なくでき、投写型映像表示装置100の起動時に必要な操作が簡略化される。
【0092】
[第1実施形態の変形例1]
以下において、第1実施形態の変形例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1−2実施形態との相違点について主として説明する。なお、第1実施形態の変形例1では、第1−2実施形態と比べて、投写型映像表示装置100の構成が異なっている。
【0093】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図13は、第1実施形態の変形例1に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。なお、図13は、投写型映像表示装置100を側方から見た図である。図13では、第1−1実施形態と同様の構成について、同様の符号を付している。
【0094】
図13に示すように、筐体200は、カバー体200Cを有する。カバー体200Cは、投写光学系110から出射される光を透過する透過領域210を被覆可能に構成されたカバー体である。
【0095】
具体的には、カバー体200Cは、筐体200に設けられた回動軸211を中心として回動可能に構成される。カバー体200Cは、カバー体200Cの回動(移動)によって、透過領域210を被覆する被覆状態と透過領域210を被覆しない非被覆状態とに遷移する。
【0096】
第1実施形態の変形例1では、カバー体200Cは、突起201Cを有する。筐体200は、フォーカス調整具260を有する。フォーカス調整具260は、投写光学系110に設けられたレンズと連動するように構成されており、投写面に投写される映像のフォーカスを調整するための調整具である。
【0097】
ここで、フォーカス調整具260は、カバー体200Cの回動(移動)によって初期位置に戻るように構成される。具体的には、非被覆状態から被覆状態への遷移において、カバー体200Cの突起201Cがフォーカス調整具260を押し込む。これによって、フォーカス調整具260が初期位置に戻る。
【0098】
(作用及び効果)
第1実施形態の変形例1では、フォーカス調整具260は、カバー体200Cの回動(移動)によって初期位置に戻る。従って、投写型映像表示装置100の起動時に、フォーカス調整具260が初期位置に戻っているため、フォーカス調整具260を用いたフォーカス調整量を少なくでき、投写型映像表示装置100の起動時に必要な操作が簡略化される。
【0099】
[第2実施形態の概要]
(課題)
例えば図33のように小型のプロジェクタでは、一人のユーザ(例えばユーザA)が机上に投写して映像を観察するだけでなく、会議用テーブルに投写して複数のユーザ(例えばユーザB〜ユーザE)が映像を観察したり、プロジェクタを床面や壁面に設置して壁面に投写するなど、様々な利用状況が想定される。さらにこれらのプロジェクタを操作する場合であれば、図33(a)〜(c)に示されているユーザの位置から操作することとなり操作インターフェースや入力インターフェース等の配置を十分考慮する必要がある。
【0100】
(構成)
第2実施形態に係る投写型映像表示装置は、映像光を生成する映像光生成部と、映像光生成部から出射された映像光を投写面側へ反射するミラー(非球面ミラー)と、を備える。そして、映像光生成部へ電力を供給する電力供給部(バッテリ部)を備え、この電力供給部は、ミラーと可及的に離れた位置、具体的には、ミラーが最上部に設けられる場合、電力供給部が最下部に設けられる。また、映像光生成部を冷却する冷却部をさらに備えており、この冷却部もまた、ミラーと可及的に離れた位置、具体的には、電力供給部の少し上方に設けられる。
【0101】
さらに、第2実施形態に係る投写型映像表示装置は、少なくとも映像光生成部を収納する筐体と、筐体の上部に設けられた透過領域(投写窓)とを備え、透過領域を通って映像光を投写する。この筐体は、少なくとも一方向の寸法(Z軸方向)が変化する可動部(スライド部)を有しており、映像光を投写しないとき、透過領域は、可動部によって筐体内部に収納され、隠された位置に移動する。
【0102】
さらに、第2実施形態に係る投写型映像表示装置は、投写面に対する自装置の状態を検出する検出手段(傾斜センサなど)と、検出された状態に応じて、映像光の状態を制御する制御手段(制御部)と、を備えるものである。
【0103】
[第2−1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図14は、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図であり、図15は側面図である。
【0104】
図14に示すように、投写型映像表示装置1100は、投写レンズ群1111と非球面ミラー1112とから構成される投写部1110と、光変調素子としてのDMD(Digital Micromirror Device)1120と、DMD1120へ光を照射する照明部1130と、DMD1120や照明部1130を構成するLED(Light Emitted Device)1131などへ電力を供給するバッテリ部1150とを有する。
【0105】
第2実施形態では、投写型映像表示装置1100は、バッテリ部1150が下部となるように設置するものとする。投写型映像表示装置1100が設置される面(水平面)をXY平面とし、設置面に対し垂直な方向(鉛直方向)をZ軸方向と定義する。X軸方向は投写型映像表示装置1100の筐体1101における幅方向に相当する方向、Y軸方向は筐体1101における奥行方向に相当する方向と定義する。
【0106】
筐体1101は、図14において、右側面となる一側面1102、左側面となる他の側面1103、上面となる天面1104及び下面となる底面1105を有する。また、筐体1101は、図15における映像光が出射する側の面となる正面1106、正面1106の裏面となる背面1107を有する。
【0107】
尚、一側面1102、他の側面1103、天面1104、底面1105、正面1106、背面1107は、筺体1101の面のみであると狭義に捉えるべきではない。後述するが可動等により露出する面や段差のある部分にある面等、上下前後左右より認識できる面はそれぞれ一側面1102、他の側面1103、天面1104、底面1105、正面1106、背面1107の概念と、広く捉えるべきである。
【0108】
また、筐体1101は、6面が平面である略直方体形状を有しているがそれに限るものではない。例えば6面の少なくとも一面が曲面を有していてもよい。従って本発明の面は、曲面を含む概念であることに留意すべきである。
【0109】
投写部1110は、複数のレンズから構成される投写レンズ群1111と凹面の非球面ミラーから構成される非球面ミラー1112と映像光が出射する投写窓1113(図15参照)とを有する。投写レンズ群1111は、DMD1120にて変調された映像光をZ軸方向へ出射する。非球面ミラー1112は、投写レンズ群1111の上方に設けられており、投写レンズ群1111からの映像光を斜め下方に向けて反射する。非球面ミラー1112は凹面ミラーであるので、映像光は集光した後、拡大投写される。投写窓1113は、映像光が集光する位置の近傍に設けられる。映像光は、投写レンズ群1111と非球面ミラー1112との間で結像し、投写型映像表示装置1100の設置面(図中のXY平面)にて、再度、結像する。
【0110】
DMD1120は、照明部1130から時分割で照射される青、緑、赤の照明光を、映像入力信号に応じて変調する。DMD1120は、映像光を投写レンズ群1111へ導くプリズムブロック1121と一体的に設けられる。プリズムブロック1121は、照明部1130からの照明光を透過するとともに、DMD1120にて変調した映像光を全反射して、投写レンズ群1111へ導く面1121aを有する。DMD1120の近傍には、DMD1120を制御するDMD制御回路1122が配される。DMD制御回路1122は、映像入力信号及びLED制御信号に応じてDMD1120を制御する。
【0111】
照明部1130は、赤、緑、青の光を出射するLED1131R、1131G、1131Bと、赤、緑、青の光を合成してDMD1120へ照射する複数の光学部材を有する。第2実施形態では、赤、緑、青の光を合成する光学部材として、ダイクロイックプリズム1132を用いる。ダイクロイックプリズム1132にて合成された合成光は、テーパロッド1133を用いて光量分布を均一化する。テーパロッド1133後段のレンズ1134、1135、1136には、テーパロッド1133から出射した光を平行光化するとともにDMD1120に結像させる作用を有する。ミラー1137、1138には、合成光の光路をスペースに合わせて折り曲げる作用を有する。
【0112】
LED1131近傍には、LED1131を制御するLED制御回路1139が配される。LED制御回路1139は、映像入力信号に応じてLED1131R、1131G、1131Bの発光量及び発光タイミングを制御する。また、LED制御回路1139は、発光量及び発光タイミングに関するLED制御信号をDMD制御回路1122へ送る。LED制御回路1139は、配線を短くするため、LED1131近傍に配することが望ましい。一方、電磁波の影響を考慮して、DMD制御回路1122とは可及的に離して配置することも望まれる。
【0113】
DMD1120と照明部1130とを併せて映像光生成部1140と称する。
【0114】
バッテリ部1150は、ニッケル水素2次電池から構成されるバッテリ1151と、バッテリ1151の充放電を制御するバッテリ制御回路1152と、商用電源と接続される電源コネクタ1153とを有する。バッテリ1151は、Z軸方向の寸法に対し、X軸方向またはY軸方向の寸法が十分に大きい(2倍以上)形状を有する。バッテリ制御回路1152は、商用電源から電源コネクタ1153を介してバッテリ1151へ供給される電力を制御するとともに、バッテリ1151から映像光生成部1140(特に、LED1131やDMD1120)へ供給される電力を制御する。バッテリとしては、ニッケル水素2次電池以外にも、リチウムイオン2次電池でもキャパシタでもよい。
【0115】
制御部1160は、大別して、DMD制御回路1122、LED制御回路1139及び投写型映像表示装置1100全体を制御する制御回路1169を含む。具体的には、投写部1110(特に、投写レンズ群1111)の一側面1102側の領域に、制御回路1169が配されており、制御回路1169は、映像入力信号などに応じて、DMD制御回路1122及びLED制御回路1139へ制御信号を送る。詳細は後述するが、映像入力信号は、制御回路1169と接続された映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164から入力される(図16参照)。制御回路1169は、電源ボタン1166及び方向ボタン1168にも接続される。制御回路1169は、電源ボタン1166や方向ボタン1168からのユーザ指示に応じて、投写型映像表示装置1100全体を制御する。
【0116】
投写レンズ群1111の、他の側面1103側の領域には、冷却部1170が配される。具体的には、排気口1171近傍に設けられた軸流ファン1172、LED1131を冷却するシロッコファン1173及びDMD1120を冷却するヒートシンク(不図示)が配される。投写型映像表示装置1100を冷却する空気は、一側面1102上部に設けられた吸気口1174から供給され、投写型映像表示装置1100内部を流通して制御部1160、映像光生成部1140を冷却した後、他の側面1103下部に設けられた排気口1171から排気される。
【0117】
筐体1101の対角となる位置に吸気口1174及び排気口1171を設けることにより、効率よく投写型映像表示装置1100を冷却することができる。また、吸気口1174及び排気口1171は、それぞれ一側面1102及び他の側面1103に設けられているので、背面1107が設置面となる場合でも、吸排気口が塞がれることはない。吸気口1174は、後述するスライド部により、投写型映像表示装置1100を使用しないときには閉鎖される。この構成により、保管中に、投写型映像表示装置1100内部に埃などが侵入することを防止することができる。なお、シロッコファン1173は、吸気口1174とは別の吸気口を設けるとよい。
【0118】
(投写型映像表示装置の外部構成)
以下において、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成について、図面を参照しながら説明する。図16は第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成を示す図であって、図16(a)は左斜視図、図16(b)は右斜視図である。
【0119】
筐体1101は、投写窓1113が配され、映像光が出射する側の面である正面1106、正面1106と対向する位置に配された背面1107を有する。また、筐体1101は、投写型映像表示装置1100が机上または床面に映像光を投写するように設置したときに、上面となる天面1104、天面1104と対向する位置に配された底面1105を有する。略直方体形状を有する投写型映像表示装置1100において、残る2面において、上述した電源コネクタ1153を配した面を一側面1102、一側面1102と対向する位置に配された面を他の側面1103とする。
【0120】
一側面1102には、電源コネクタ1153のほか、PC(Personal Computer)などの映像ソースと接続される映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164などが設けられる。これらのコネクタ類は、一側面1102のうち、底面1105に近い部分に設けられるとよい。
【0121】
これらのコネクタ類は、一側面1102のうち、底面1105に近い部分に設けられると、コネクタ類に接続されたコードが長く垂れ下がることがなく、ユーザがコードに引っかかるといったことが生じる可能性が低くなる。さらにコネクタ部分に定常的な応力が加わり、コネクタやコードが変形する可能性が低くなる。図33に示されるように投写型映像表示装置1100は、図33(a)(c)のような設置状態としたとき、コネクタ類が配される面を設置面にする必要がない。
【0122】
一側面1102は、後述するスライド部により、保管するときには、内部に収納される重畳部1102aを有する。一側面1102に配された吸気口1174は、スライド部1190が収納されたときにスライド部1190の一側面1102と重畳する位置に設けられるとよい。
【0123】
他の側面1103には排気口1171が設けられる。上述のように、吸気口1174は、重畳部1102aが収納されたときに一側面1102と重畳する位置、具体的には、一側面1102のうち、天面1104に近い位置に設けられるので、排気口1171は、他の側面1103のうち、底面1105に近い部分に設けられるとよい。
【0124】
また、投写レンズ群1111は、Z方向へ可動し投写映像のフォーカスを調整するフォーカスレンズが設けられている。フォーカスレンズは図示しないカム管に取り付けられZ方向へ精度よく可動させることができる。他の側面1103には、フォーカスレンズを調整するためにユーザがつまむための調整つまみ1165が設けられる。調整つまみ1165をY軸方向へ可動させることにより、カム管によりフォーカスレンズの可動方向をZ軸方向へ変更させることができる。調整つまみ1165は、他の側面1103のうち、天面1104に近い部分に設けられるとよい。
【0125】
図33(a)(c)のような設置状態であり、投写型映像表示装置1100を操作するユーザA又はユーザFが調整つまみ1165を操作するとき、手もとに近いところに調整つまみ1165が設けられているため、操作しやすい。調整つまみ1165を操作するとき、投写映像を遮ることなく操作することができる。調整つまみ1165が配される面を設置面にする必要がない。
【0126】
尚、第2実施形態では、フォーカスレンズを調整するための調整つまみ1165を他の側面1103に設けたがこれに限るものではなく、ズームレンズを調整するためのつまみを他の側面1103に設けてもよい。
【0127】
操作性を考慮して、電源ボタン1166、メニューボタン1167及び方向ボタン1168は天面1104に設けられる。図33(a)(c)のような設置状態としたとき、底面1105、背面1107は設置面となるので、底面1105、背面1107にはインターフェースや吸排気口を設けない方が望ましい。また電源ボタン1166、メニューボタン1167及び方向ボタン1168は操作者が通常操作を行う正面1106の方向及び背面1107の方向から確認して操作の利便性を損なわないように電源ボタン1166、メニューボタン1167及び方向ボタン1168を配置させる。
【0128】
上記実施例では天面1104のみに電源ボタン1166、メニューボタン1167及び方向ボタン1168を設けたがそれに限るものではなく、一側面1102又は他の側面1103に設けてもよく、天面1104及び側面(一側面1102若しくは他の側面1103)の2か所に設けてもよい。
【0129】
(操作ボタンの配置)
以下において、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置の操作ボタンの配置について、図面を参照しながら説明する。
【0130】
図17は、投写型映像表示装置1100の天面1104に配された電源ボタン1166、メニューボタン1167、方向ボタン1168(方向ボタン11681〜11684、決定ボタン11685)を示した図である(以下、各ボタンを「操作ボタン」とも記載する)。操作ボタン1168は、正面1106の方向及び背面1107の方向から確認して前後対称に配置される。具体的には、一側面1102に近い方から電源ボタン1166、メニューボタン1167、方向ボタン1168(方向ボタン11681〜11684)が配置され、各方向ボタン11681〜11684の中央に決定ボタン11685が配される。また電源ボタン1166上に記載される電源を示す記号(図17では、黒丸記号)は、正面1106及び背面1107から確認したときに前後対称に記載されていることが好ましい。
【0131】
このように、正面1106の方向及び背面1107の方向から確認して前後対称に配置されることにより、操作ボタンの正面1106又は背面1107からの距離が等しいため、正面1106の方向から操作するときや背面1107から操作するときでも操作感が同じでユーザが操作しやすくなる。
【0132】
(操作ボタンの配置の変形例)
以下において、操作ボタンの配置の変形例に関して図面を参照しながら説明する。
【0133】
図18は、図17の操作ボタンの配置と比較して、一側面1102に近い方から電源ボタン1166、方向ボタン1168(方向ボタン11681〜11684、決定ボタン11685)、メニューボタン1167、が配置され、各ボタンは、正面1106の方向から確認して正しく確認できる方向に配置される点で異なることに留意すべきである。
【0134】
具体的には、電源ボタン1166上に記載される電源記号や電源ボタン1166の近傍に記載される「Power」文字、メニューボタン1167の近傍に記載される「Menu」文字、決定ボタン11685に記載される「OK」文字、に関しては正面1106の方向から確認して正しく確認できる方向に記載される。操作ボタンは、全体として前後左右対称に配置されている。
【0135】
このような構成にすることにより、特定の方向(第2実施形態では正面1106)から正しく確認できるため、特定の方向から操作することが主であるプロジェクタであれば図17の操作ボタン配置よりも利便性が高いプロジェクタを供給することができる。
【0136】
(スライド部の構成)
以下において、第2−1実施形態に係る投写型映像表示装置のスライド部の構成について、図面を参照しながら説明する。図19は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図20はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0137】
図19に示すように、投写型映像表示装置1100は、映像光を投写するときに、投写レンズ群1111と非球面ミラー1112との間に所定の距離をあける必要がある。この距離(スペース1180)は、映像光を投写しないときにはデッドスペースとなる。そこで、図20に示すように、スライド部1190を収納するときには、非球面ミラー1112、投写窓1113を含むスライド部1190がスペース1180に収納されるように平行移動する。
【0138】
これにより、投写型映像表示装置1100を使用しないときには、投写型映像表示装置1100の体積を小さくすることができる。加えて、投写窓1113は、正面1106と重なり、表面から隠された位置に移動するので、保管中に汚れることを抑制できる。吸気口1174は、一側面1102と重なり、閉鎖されるので、投写型映像表示装置1100内部に埃が侵入することを抑制できる。
【0139】
[変形例1]
以下において、第2−1実施形態に係るスライド部の一変形例について、図面を参照しながら説明する。図21は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図22はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0140】
図21に示すように、投写型映像表示装置1100は、映像光を投写するときに、投写レンズ群1111内に配された複数のレンズ間において所定の距離をあける必要がある。この距離(スペース1181)は、映像光を投写しないときにはデッドスペースとなる。そこで、図22に示すように、スライド部1190を収納するときには、スライド部1190の平行移動に連動して、投写レンズ群1111のレンズ間の距離を可及的に狭くする。投写レンズ群1111のZ軸方向の寸法が小さくなることにより、非球面ミラー1112、投写窓1113を含むスライド部1190はスペース1181が縮められることにより生じたスペースに収納される。
【0141】
[変形例2]
以下において、第2−1実施形態に係るスライド部の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図23は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図24はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0142】
図23に示すように、変形例2では、DMD1120及び照明部1130の配置を変更し、照明部1130は、投写レンズ群1111のうち、レンズ径が小さい領域に配する。照明部1130の位置が変更されたことに伴い、冷却部1170もまたDMD1120及び照明部1130の位置に対応する領域に移動させる必要がある。
【0143】
変形例2に係る投写型映像表示装置1100では、映像光を投写するときに、DMD1120及び照明部1130(映像光生成部1140相当)とバッテリ部1150との間にスペース1182が生じる。そこで、図24に示すように、スライド部1190を収納するときには、非球面ミラー1112、投写窓1113を含むスライド部1190とともに、投写レンズ群1111、映像光生成部1140及び冷却部1170がスペース1182に収納されるように平行移動する。
【0144】
[変形例3]
以下において、第2−1実施形態に係るスライド部の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図25は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図26はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0145】
図25に示すように、非球面ミラー1112は、映像光を投写するときに、投写レンズ群1111の光軸に対して、背面1107側に傾いて配置されている。そこで、図26に示すように、スライド部1190を収納するときには、スライド部1190の平行移動に連動して、非球面ミラー1112の一端を中心軸として非球面ミラー1112を回動させる。非球面ミラー1112が回動することに伴って、投写型映像表示装置1100のZ軸方向の寸法が小さくなり、投写窓1113を含むスライド部1190がスペース1183に収納される。
【0146】
[その他の変形例]
上記の例以外にも、冷却部1170を照明部1130(映像光生成部1140)の下方へ配置して、冷却部1170と照明部1130の間にスペースを設けてもよい。この場合、投写部1110及び映像光生成部1140を含むスライド部1190がこのスペースに収納される。
【0147】
プリズムブロック1121を用いず、投写レンズ群1111の光軸に対して垂直となるようにDMD1120を配置して、投写レンズ群1111とDMD1120との間にスペースを設けてもよい。この場合、投写部1110がこのスペースに収納される。
【0148】
(作用・効果)
第2−1実施形態では、投写型映像表示装置1100は、映像光を生成する映像光生成部1140と、映像光生成部から出射された映像光を投写面側へ反射する非球面ミラー1112と、を備えるものである。投写型映像表示装置1100は、映像光生成部1140へ電力を供給するバッテリ部1150を備え、バッテリ部1150は、非球面ミラー1112と可及的に離れた位置、具体的には、非球面ミラー1112が最上部に設けられ、バッテリ部1150が最下部に設けられる。従って、重量のある非球面ミラー1112とバッテリ部1150とが離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。
【0149】
また、第2−1実施形態では、投写型映像表示装置1100は、映像光を生成する映像光生成部1140と、映像光生成部1140を収納する筐体1101と、筐体1101に設けられ映像光生成部1140から出射された映像光が透過する投写窓1113とを備えるものである。筐体1101は、Z軸方向の寸法が変化するスライド部1190を有する。投写窓1113は、映像光を投写しないとき、スライド部1190によって筐体1101内部に収納される。従って、投写窓1113にキズや汚れがつくことを抑制できる。
【0150】
[第2−2実施形態]
以下において、第2−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成ついて、図面を参照しながら説明する。なお、第2−2実施形態において、第2−1実施形態と重複するところは、説明を省略する。図27は、第2−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す図である。図27(a)は投写型映像表示装置が映像を投写しない状態の正面図と両方の側面図を示す図である。図27(b)は投写型映像表示装置が映像を投写できる状態の正面図と両方の側面図を示す図である。
【0151】
図27のように、投写型映像表示装置1100は、天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体をスライドさせることにより、投写窓1113と共に電源コネクタ1153、映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164、調整つまみ1165、排気口1171、吸気口1174を同時に露出させることが第2−1実施形態と大きく異なることに留意すべきである。
【0152】
第2実施形態では、一側面1102の中央付近に吸気口1174と等しい大きさの孔1174Hが設けられている。天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体を天面1104方向へスライドさせ、図示しないストッパによりスライドが抑制されると、孔1174Hが吸気口1174と重なり、一側面1102の内部に配される吸気口1174が露出する。
【0153】
また、一側面1102が天面1104方向へスライドされると、一側面1102の内部に配される電源コネクタ1153、映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164が露出する。
【0154】
他の側面1103の中央付近に調整つまみ1165と等しい大きさの孔1165Hが設けられている。天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体を天面1104方向へスライドさせ、図示しないストッパによりスライドが止められる、孔1165Hが調整つまみ1165と重なり、他の側面1103の内部に配される調整つまみ1165が露出する。
【0155】
また、他の側面1103が天面1104方向へスライドされると、他の側面1103の内部に配される排気口1171が露出する。
【0156】
尚、第2−2実施形態では、天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体をスライドさせることにより、投写窓1113と共に電源コネクタ1153、映像コネクタ1161、SDカードのスロット1163、USBコネクタ1164、調整つまみ1165、排気口1171、吸気口1174を同時に露出させる構成を示したが天面1104、一側面1102、及び他の側面1103を一体としたコ字状の筺体により一度に開閉を行わなくてもスライド型のカバーを個別に設けてもよい。もちろんスライド型に限らず、開戸、折戸型のカバーでもよい。
【0157】
(作用・効果)
第2−2実施形態では、未使用時にカバーでコネクタ類を保護することができるため、例え投写型映像表示装置に強い衝撃が加わったとしてもコネクタ類を破損から防ぐことができる。また、未使用時にカバーがあることでコネクタ類の防塵対策にも有効である。
【0158】
また未使用時にカバーでつまみを保護することができるため、投写型映像表示装置の運搬時につまみに接触するような場面でも、前回投写したフォーカス位置を保持することができ、再度フォーカス調整をやり直すことがなくなる。また、つまみと筺体の隙間から塵が侵入し、投写型映像表示装置の内部に塵が侵入することを防止することができる。
【0159】
また、未使用時にカバーで吸気口及び排気口を保護することができるため、投写型映像表示装置の内部に塵が侵入することを防止することができる。
【0160】
[第2−3実施形態]
以下において、第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、第2−3実施形態において、第2−1実施形態及び第2−2実施形態と重複するところは、説明を省略する。図28は、第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【0161】
図28に示すように、投写型映像表示装置1200は、映像光生成部1240の構成、冷却部1270の配置が第2−1実施形態と大きく異なることに留意すべきである。また、第2実施形態では、底面1205を設置面(水平面)とし、床や机などの水平面に映像光を投写する状態を床面投写モード、背面1207を設置面(水平面)とし、スクリーンや壁などの鉛直面に映像光を投写する状態を壁面投写モードと称する。
【0162】
第2実施形態では、赤、緑、青の光を出射するLED1231R、1231G、1231B、ダイクロイックプリズム1232及びテーパロッド1233は、投写レンズ群1211よりも背面1207側に配される。図28では、これらの光学部材は投写レンズ群1211によって隠された位置となる。テーパロッド1233から出射した光は、レンズ1234、1235、1236及びミラー1237、1238によって、合成光の光路をスペースに合わせて折り曲げられ、DMD1220に結像する。
【0163】
DMD1220は、投写レンズ群1211の光軸に対して垂直となるように配される。従って、第2−3実施形態では、プリズムブロックは不要となる。DMD1220には、照明部1230の各光学部材によって、投写レンズ群1211の光軸に対して鋭角な方向から導かれた合成光が照射される。DMD1220はこの合成光のうち、映像入力信号に応じて変調された映像光を投写レンズ群1211へ向けて反射する。DMD1220の近傍には、DMD1220を制御するDMD制御回路1222が配される。第2−3実施形態では、DMD制御回路1222はDMD1220の裏面側に配される。
【0164】
LED1231近傍には、LED1231を制御するLED制御回路1239が配される第2−3実施形態では、LED制御回路1239は、投写レンズ群1211の外玉レンズの背面1207側に配される。これにより、LED制御回路1239は、LED1231近傍に配されるとともに、DMD制御回路1222とは可及的に離して配することができる。
【0165】
制御部1260の制御回路1268は、傾斜センサ1269を有する。傾斜センサ1269は、検出した傾きに関する情報を制御回路1268へ送信する。制御回路1268は、受信した情報から、ユーザが投写型映像表示装置1200を、底面1205を設置面とする床面投写モードで利用するか、背面1207を設置面とする壁面投写モードで利用するかを判別する。制御回路1268は、判別した投写モードに応じて、DMD制御回路1222へ制御信号を送る。詳細は後述するが、DMD制御回路1222は、投写モードに関する制御信号に応じて、DMD1220の有効領域の大きさやアスペクト比、投写画像の上下・左右の方向を制御する。
【0166】
投写レンズ群1211の、他の側面1203側の領域には、冷却部1270が配される。第2−3実施形態では、LED1231を冷却するシロッコファン1273のほか、DMD1220を冷却するシロッコファン1275及びヒートシンク1276が配される。
【0167】
(投写モードの切替機能)
以下において、第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードの切替機能について、図面を参照しながら説明する。図29は第2−3実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードを示す図であって、図29(a)は床面投写モード、図29(b)は壁面投写モードである。
【0168】
投写型映像表示装置1200は、映像光を投写するときに、傾斜センサ1269によって検出した傾きに関する情報に基づいて設置面を判別する。図29(a)に示すように、設置面が底面1205であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像を遠方側(Far側)から観察する場合が多いので、投写型映像表示装置1200は、投写画像の向きをFar側が下となるように投写する。詳細には、傾斜センサ1269が、底面1205が設置面であると判別したとき、制御回路1268は、Far側が下となるようにDMD制御回路1222へ制御信号を送る。
【0169】
一方、図29(b)に示すように、設置面が背面1207であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像の近接側(Near側)を下として観察するので、投写型映像表示装置1200は、投写画像の向きをNear側が下となるように投写する。詳細には、傾斜センサ1269が、背面1207が設置面であると判別したとき、制御回路1268は、Near側が下となるようにDMD制御回路1222へ制御信号を送る。
【0170】
これにより、投写型映像表示装置1200を置くだけで、投写画像が適切な向きで投写されるので、ユーザの利便性が向上する。
【0171】
[変形例1]
以下において、第2−3実施形態に係る投写モードの切替機能の一変形例について、図面を参照しながら説明する。図30は変形例1に係る投写型映像表示装置の投写モードを示す図であって、図30(a)は床面投写モード、図30(b)は壁面投写モードである。変形例1においても、投写型映像表示装置1200は、映像光を投写するときに、傾斜センサ1269によって検出した傾きに関する情報に基づいて設置面を判別する。
【0172】
図30(a)に示すように、設置面が底面1205であるときは、複数のユーザ(観察者)が、投写画像を挟んで対峙して観察する場合があるので、投写型映像表示装置1200は、投写画像のアスペクト比を縦長となるように投写する。具体的には、制御回路1268は、H:Vが3:4となるようにDMD制御回路1222へ制御信号を送る。
【0173】
一方、図30(b)に示すように、設置面が背面1207であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像に対して正面から観察するので、投写型映像表示装置1200は、投写画像のアスペクト比を横長となるように投写する。具体的には、制御回路1268は、H:Vが4:3となるようにDMD制御回路1222へ制御信号を送る。
【0174】
[変形例2]
以下において、第2−3実施形態に係る投写モードの切替機能の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図31は変形例2に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図であって、図31(a)は通常の床面投写モード(以下、通常モードと称する。)、図31(b)は投写画像の面積を大きくした床面投写モード(以下、拡大モードと称する。)である。
【0175】
変形例2において、投写型映像表示装置1200は、底面1205に脚部1208と、脚部1208の長さを検出する脚部センサ1208sとを有する。投写型映像表示装置1200は、映像光を投写するときに、脚部センサ1208sによって検出した脚部1208の長さに関する情報に基づいて投写距離を推定する。また、通常モードでは、投写画像の面積がSである領域に対し、投写画像の輝度がLとなるように投写するために必要なLED1231の光量をEとする。
【0176】
図31(b)に示すように、底面1205から脚部1208を延伸し、投写窓1213から設置面までの距離(投写距離)を長くすると、拡大モードの投写画像の面積S’は、通常モードの面積Sよりも大きくなる(S’>S)。このとき、LED1231の光量がEであると、拡大モードの投写画像の輝度が、通常モードの輝度Lに比べて低下してしまう。
【0177】
そこで、脚部センサ1208sからの情報により、拡大モードであると推定されたとき、制御回路1268は、LED1231の光量がE’(>E)となるようにLED駆動回路1239へ制御信号を送る。これにより、通常モードのときの輝度Lと拡大モードのときの輝度L’とが、略同じ輝度となる(L≒L’)。
【0178】
[変形例3]
以下において、第2−3実施形態に係る投写モードの切替機能のさらに他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図32は変形例3に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図である。変形例3では、変形例2との相違点についてのみ説明する。
【0179】
変形例3において、投写型映像表示装置1200は、上部に首部1209と、首部1209の長さを検出する首部センサ1209sとを有する。首部1209の上部には非球面ミラー1212が配され、首部1209を伸縮することにより、投写レンズ群1211と非球面ミラー1212との距離が調整される。投写型映像表示装置1200は、映像光を投写するときに、脚部センサ1209sによって検出した首部1209の長さに関する情報に基づいて、投写距離及び投写レンズ群1211と非球面ミラー1212との距離を推定する。
【0180】
天面1204には、首部1209を引っ張るハンドル部1204hが設けられる。さらにハンドル部1204hにボタン(不図示)を設け、ボタンを押下したときに、首部1209を延伸することができるように設定してもよい。ボタンを押下していないときには、首部1209が延伸しないため、ハンドル部1204hは、投写型映像表示装置1200を持ち運ぶときにも有用である。
【0181】
[変形例4]
以下において、第2実施形態に係る調整つまみの配置の変形例について、図面を参照しながら説明する。変形例4では、第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0182】
第1に、図34及び図35を参照しながら、調整つまみ1165の配置位置について説明する。図34は、変形例4に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図である。図35は、変形例4に係る投写型映像表示装置の側面視を示す図である。
【0183】
図34に示すように、調整つまみ1165は、筐体1101の正面1106に配される。具体的には、図35に示すように、調整つまみ1165は、投写窓1113から出射される映像光を遮光しないように、正面1106のうち、領域Xに配置されることが好ましい。領域Xの上端X1は、投写窓1113から出射される映像光を調整つまみ1165が遮光しない領域の上端である。領域Xの下端X1は、調整つまみ1165によって投写レンズ群1111を調整可能な領域の下端である。
【0184】
第2に、図36及び図37を参照しながら、冷却風の流れについて説明する。図36は、変形例4に係る投写型映像表示装置の内部構造を示す図である。図37は、変形例4に係る投写型映像表示装置の右側面視(RIGHT)、正面視(FRONT)及び左側面視(LEFT)を示す図である。
【0185】
図36に示すように、投写型映像表示装置1100の内部構造は、第2実施形態と異なっていることに留意すべきである。具体的には、投写型映像表示装置1100は、ヒートパイプ1531G、ヒートパイプ1531B及び放熱部1533BGを有する。
【0186】
ヒートパイプ1531Gは、高熱伝導率を有する部材(銅など)によって構成される。ヒートパイプ1531Gの一端は、放熱部1533BGに接続される。ヒートパイプ1531Gの他端は、LED1131Gから熱を受け取る受熱部1532Gに接続される。
【0187】
同様に、ヒートパイプ1531Bは、高熱伝導率を有する部材(銅など)によって構成される。ヒートパイプ1531Bの一端は、放熱部1533BGに接続される。ヒートパイプ1531Bの他端は、LED1131Bから熱を受け取る受熱部1532Bに接続される。
【0188】
放熱部1533BGは、ヒートシンクなどによって構成される。上述したように、放熱部1533BGがヒートパイプ1531G及びヒートパイプ1531Bに接続されているため、放熱部1533BGの配置の自由度が増大することに留意すべきである。なお、変形例4では、放熱部1533BGは、非球面ミラー1112の側方に配置されている。
【0189】
ここで、変形例4では、投写型映像表示装置1100は、軸流ファン1172として、軸流ファン1172A及び軸流ファン1172Bを有する。
【0190】
軸流ファン1172Aは、上述した放熱部1533BGを冷却する冷却風を生成する。具体的には、軸流ファン1172Aは、図37のRIGHTに示す吸気口1174Aから吸気される空気が図37のLEFTに示す排気口1171Aから排気されるように、冷却風を循環させる。ここでは、軸流ファン1172Aによって生成される冷却風は、投写窓1113を被覆する透明板1113Xによって放熱部1533BG側に導かれる。
【0191】
軸流ファン1172Bは、LED1131RやDMD1120を冷却する冷却風を生成する。具体的には、軸流ファン1172Bは、図37のLEFTに示す吸気口1174Bから吸気される空気が図37のLEFTに示す排気口1171Bから排気されるように、冷却風を循環させる。ここでは、軸流ファン1172Bによって生成される冷却風は、発熱量が大きいLED1131Rに導かれた後に、発熱量が小さいDMD1120に導かれる。
【0192】
なお、冷却風の流路は、ダクトなどによって覆われていることが好ましい。但し、光を遮光してしまうようなケースでは、ダクトは必須の構成ではない。
【0193】
また、図36に示すように、調整つまみ1165は、投写レンズ群1111の外周に沿った円弧状形状を有しており、投写レンズ群1111の外周に沿って配置される。従って、調整つまみ1165の回動に伴って、投写レンズ群1111に設けられるフォーカスレンズを上下方向(Z軸方向)に移動することが可能である。
【0194】
(作用)
変形例4では、調整つまみ1165が正面1106に配されるため、カム機構などを必要とせずに簡易な構成で、調整つまみ1165を筐体1101の外部に露出させることができる。
【0195】
[その他の変形例]
上記の例以外にも、投写型映像表示装置1200は、照度センサを備えていてもよい。照度センサにより、投写型映像表示装置1200の使用環境の明るさを推定することが可能となる。使用環境及び投写画像の面積Sに応じて、光源(LED1231)の光量Eを制御することにより、投写型映像表示装置1200の低消費電力運転を実現することができるほか、ユーザに対して目に優しい画像を提供できる。
【0196】
また、上記の例は組み合わせも可能である。例えば、横長の投写画像を縦長の投写画像へ切り替るとき、脚部1208の調整をして投写画面の面積Sを大きくするとよい。縦長に画像を投写する場合、DMD制御回路1222での信号処理によって、DMD1220の有効表示領域の変形を行う。これにより、DMD1220の有効表示領域が小さくなり、投写画面の面積Sが小さくなる。そこで、脚部1208を延伸して投写距離を長くすることで、面積Sを維持することが可能となる。
【0197】
(作用・効果)
第2−3実施形態では、投写型映像表示装置1200は、映像光を生成する映像光生成部1240と、映像光生成部1240から出射された映像光を投写面側へ反射する非球面ミラー1212と、を備えるものである。投写型映像表示装置1200は、映像光生成部1240へ電力を供給するバッテリ部1250を備え、バッテリ部1250は、非球面ミラー1212と可及的に離れた位置に設けられる。
【0198】
また、映像光生成部1240を冷却する冷却部1270をさらに備え、冷却部1270のうち、具体的には軸流ファン1272、シロッコファン1275、ヒートシンク1276、シロッコファン1277もまた、非球面ミラー1212と可及的に離れた底面1205に近い位置に設けられるとよい。これにより、非球面ミラー1212やバッテリ部1250についで、重量のある冷却部1270が非球面ミラー1212と離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。また、バッテリ部1250と冷却部1270とが近接して、底面に近い位置に設けられるので、底面の面積が小さくても安定して設置することができる。
【0199】
また、第2−3実施形態では、投写型映像表示装置1200は、投写面に対する自装置の状態を検出する傾斜センサ1269や、脚部センサ1208s、首部センサ1209sと、検出された状態に応じて、映像光の状態を制御する制御部1260とを備えるものである。従って、投写型映像表示装置1200が自装置の状態、具体的には設置面や投写距離を判断し、ユーザにとって最も観察しやすいと考えられる状態(向きや明るさなど)で映像を投写するので、ユーザに高い利便性を与えることができる。
【0200】
[第3実施形態の概要]
(課題)
複数枚のミラーを用いたり、投写レンズ群と凹面または凸面ミラーなどを組み合わせたりすることで、投写光学系が体積的にも重量的にも増加してしまうと、壁面などの鉛直面に投写する場合は問題ないが、机上に置いて机上に投写する場合、プロジェクタの頭部が重くなり、投写型映像表示装置のバランスが悪くなる。
【0201】
(構成)
第3実施形態に係る投写型映像表示装置は、映像光を生成する映像光生成部と、映像光生成部から出射された映像光を投写面側へ反射するミラー(非球面ミラー)と、を備える。そして、映像光生成部へ電力を供給する電力供給部(バッテリ部)を備え、この電力供給部は、ミラーと可及的に離れた位置、具体的には、ミラーが最上部に設けられる場合、電力供給部が最下部に設けられる。また、映像光生成部を冷却する冷却部をさらに備えており、この冷却部もまた、ミラーと可及的に離れた位置、具体的には、電力供給部の少し上方に設けられる。
【0202】
さらに、第3実施形態に係る投写型映像表示装置は、少なくとも映像光生成部を収納する筐体と、筐体の上部に設けられた透過領域(投写窓)とを備え、透過領域を通って映像光を投写する。この筐体は、少なくとも一方向の寸法(Z軸方向)が変化する可動部(スライド部)を有しており、映像光を投写しないとき、透過領域は、可動部によって筐体内部に収納され、隠された位置に移動する。
【0203】
さらに、第3実施形態に係る投写型映像表示装置は、投写面に対する自装置の状態を検出する検出手段(傾斜センサなど)と、検出された状態に応じて、映像光の状態を制御する制御手段(制御部)と、を備えるものである。
【0204】
[第3−1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図38は、第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図であり、図39は側面図である。
【0205】
図38に示すように、投写型映像表示装置2100は、投写レンズ群2111と非球面ミラー2112とから構成される投写部110と、光変調素子としてのDMD(Digital Micromirror Device)2120と、DMD2120へ光を照射する照明部2130と、DMD2120や照明部2130を構成するLED(Light Emitted Device)2131などへ電力を供給するバッテリ部2150とを有する。
【0206】
第3実施形態では、投写型映像表示装置2100は、バッテリ部2150が下部となるように設置するものとする。投写型映像表示装置2100が設置される面(水平面)をXY平面とし、設置面に対し垂直な方向(鉛直方向)をZ軸方向と定義する。X軸方向は投写型映像表示装置2100の筐体2101における幅方向に相当する方向、Y軸方向は筐体2101における奥行方向に相当する方向と定義する。
【0207】
筐体2101は、図38において、右側面となる一側面2102、左側面となる他の側面2103、上面となる天面2104および下面となる底面2105を有する。また、筐体2101は、図39における映像光が出射する側の面となる正面2106、正面2106の裏面となる背面2107を有する。
【0208】
投写部110は、複数のレンズから構成される投写レンズ群2111と凹面の非球面ミラーから構成される非球面ミラー2112と映像光が出射する投写窓2113(図39参照)とを有する。投写レンズ群2111は、DMD2120にて変調された映像光をZ軸方向へ出射する。非球面ミラー2112は、投写レンズ群2111の上方に設けられており、投写レンズ群2111からの映像光を下方に向けて反射する。非球面ミラー2112は凹面ミラーであるので、映像光は集光した後、拡大投写される。投写窓2113は、映像光が集光する位置の近傍に設けられる。映像光は、投写レンズ群2111と非球面ミラー2112との間で結像し、投写型映像表示装置2100の設置面(図中のXY平面)にて、再度、結像する。
【0209】
DMD2120は、照明部2130から時分割で照射される青、緑、赤の照明光を、映像入力信号に応じて変調する。DMD2120は、映像光を投写レンズ群2111へ導くプリズムブロック2121と一体的に設けられる。プリズムブロック2121は、照明部2130からの照明光を透過するとともに、DMD2120にて変調した映像光を全反射して、投写レンズ群2111へ導く面2121aを有する。DMD2120の近傍には、DMD2120を制御するDMD制御回路2122が配される。DMD制御回路2122は、映像入力信号およびLED制御信号に応じてDMD2120を制御する。
【0210】
照明部2130は、赤、緑、青の光を出射するLED2131R、2131G、2131Bと、赤、緑、青の光を合成してDMD2120へ照射する複数の光学部材を有する。第3実施形態では、赤、緑、青の光を合成する光学部材として、ダイクロイックプリズム2132を用いる。ダイクロイックプリズム2132にて合成された合成光は、テーパロッド2133を用いて光量分布を均一化する。テーパロッド2133後段のレンズ2134、2135、2136には、テーパロッド2133から出射した光を平行光化するとともにDMD2120に結像させる作用を有する。ミラー2137、2138には、合成光の光路をスペースに合わせて折り曲げる作用を有する。
【0211】
LED2131近傍には、LED2131を制御するLED制御回路2139が配される。LED制御回路2139は、映像入力信号に応じてLED2131R、2131G、2131Bの発光量および発光タイミングを制御する。また、LED制御回路2139は、発光量および発光タイミングに関するLED制御信号をDMD制御回路2122へ送る。LED制御回路2139は、配線を短くするため、LED2131近傍に配することが望ましい。一方、電磁波の影響を考慮して、DMD制御回路2122とは可及的に離して配置することも望まれる。
【0212】
DMD2120と照明部2130とを併せて映像生成部2140と称する。
【0213】
バッテリ部2150は、ニッケル水素2次電池から構成されるバッテリ2151と、バッテリ2151の充放電を制御するバッテリ制御回路2152と、商用電源と接続される電源コネクタ2153とを有する。バッテリ2151は、Z軸方向の寸法に対し、X軸方向またはY軸方向の寸法が十分に大きい(2倍以上)形状を有する。バッテリ制御回路2152は、商用電源から電源コネクタ2153を介してバッテリ2151へ供給される電力を制御するとともに、バッテリ2151から映像生成部2140(特に、LED2131やDMD2120)へ供給される電力を制御する。バッテリとしては、ニッケル水素2次電池以外にも、リチウムイオン2次電池でもキャパシタでもよい。
【0214】
制御部2160は、大別して、DMD制御回路2122、LED制御回路2139および投写型映像表示装置2100全体を制御する制御回路2168を含む。具体的には、投写部110(特に、投写レンズ群2111)の一側面2102側の領域に、制御回路2168が配されており、制御回路2168は、映像入力信号などに応じて、DMD制御回路2122およびLED制御回路2139へ制御信号を送る。詳細は後述するが、映像入力信号は、制御回路2168と接続された映像コネクタ2161、2162、SDカードのスロット2163、USBコネクタ2164、LANコネクタ2165から入力される。制御回路2168は、電源スイッチ2166および操作ボタン2167にも接続される。制御回路2168は、電源スイッチ2166や操作ボタン2167からのユーザ指示に応じて、投写型映像表示装置2100全体を制御する。
【0215】
投写レンズ群2111の、他の側面2103側の領域には、冷却部2170が配される。具体的には、排気口2171近傍に設けられた軸流ファン2172、LED2131を冷却するシロッコファン2173およびDMD2120を冷却するヒートシンク(不図示)が配される。投写型映像表示装置2100を冷却する空気は、一側面2102上部に設けられた吸気口2174から供給され、投写型映像表示装置2100内部を流通して制御部2160、映像生成部2140を冷却した後、他の側面2103下部に設けられた排気口2171から排気される。
【0216】
筐体2101の対角となる位置に吸気口2174および排気口2171を設けることにより、効率よく投写型映像表示装置2100を冷却することができる。また、吸気口2174および排気口2171は、それぞれ一側面2102および他の側面2103に設けられているので、背面2107が設置面となる場合でも、吸排気口が塞がれることはない。吸気口2174は、後述するスライド部により、投写型映像表示装置2100を使用しないときには閉鎖される。この構成により、保管中に、投写型映像表示装置2100内部に埃などが侵入することを防止することができる。なお、シロッコファン2173は、吸気口2174とは別の吸気口を設けるとよい。
【0217】
(投写型映像表示装置の外部構成)
以下において、第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成について、図面を参照しながら説明する。図40は第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置の外部構成を示す図であって、図40(a)は左斜視図、図40(b)は右斜視図である。
【0218】
筐体2101は、投写窓2113が配され、映像光が出射する側の面である正面2106、正面2106と対向する位置に配された背面2107を有する。また、筐体2101は、投写型映像表示装置2100が机上または床面に映像光を投写するように設置したときに、上面となる天面2104、天面2104と対向する位置に配された底面2105を有する。略直方体形状を有する投写型映像表示装置2100において、残る2面において、上述した電源コネクタ2153を配した面を一側面2102、一側面2102と対向する位置に配された面を他の側面2103とする。
【0219】
一側面2102には、電源コネクタ2153のほか、PC(Parsonal Computer)などの映像ソースと接続される映像コネクタ2161、2162、SDカードのスロット2163、USBコネクタ2164a、2164b、LANコネクタ2165などが設けられる。これらのコネクタ類は、一側面2102のうち、底面2105に近い部分に設けられるとよい。一側面2102は、後述するスライド部により、保管するときには、内部に収納される重畳部2102aを有する。一側面2102に配された吸気口2174は、スライド部2190が収納されたときにスライド部2190の一側面2192と重畳する位置に設けられるとよい。
【0220】
他の側面2103には排気口2171が設けられる。上述のように、吸気口2174は、重畳部2102aが収納されたときに一側面2102と重畳する位置、具体的には、一側面2102のうち、天面2104に近い位置に設けられるので、排気口2171は、他の側面2103のうち、底面2105に近い部分に設けられるとよい。
【0221】
操作性を考慮して、電源スイッチ2166および操作ボタン2167は天面2104に設けられる。底面2105、背面2107は設置面となるので、インターフェースや吸排気口を設けない方が望ましい。
【0222】
(スライド部の構成)
以下において、第3−1実施形態に係る投写型映像表示装置のスライド部の構成について、図面を参照しながら説明する。図41は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図42はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0223】
図41に示すように、投写型映像表示装置2100は、映像光を投写するときに、投写レンズ群2111と非球面ミラー2112との間に所定の距離をあける必要がある。この距離(スペース2180)は、映像光を投写しないときにはデッドスペースとなる。そこで、図42に示すように、スライド部2190を収納するときには、非球面ミラー2112、投写窓2113を含むスライド部2190がスペース2180に収納されるように平行移動する。
【0224】
これにより、投写型映像表示装置2100を使用しないときには、投写型映像表示装置2100の体積を小さくすることができる。加えて、投写窓2113は、正面2106と重なり、表面から隠された位置に移動するので、保管中に汚れることを抑制できる。吸気口2174は、一側面2102と重なり、閉鎖されるので、投写型映像表示装置2100内部に埃が侵入することを抑制できる。
【0225】
[変形例1]
以下において、第3−1実施形態に係るスライド部の一変形例について、図面を参照しながら説明する。図43は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図44はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0226】
図43に示すように、投写型映像表示装置2100は、映像光を投写するときに、投写レンズ群2111内に配された複数のレンズ間において所定の距離をあける必要がある。この距離(スペース2181)は、映像光を投写しないときにはデッドスペースとなる。そこで、図44に示すように、スライド部2190を収納するときには、スライド部2190の平行移動に連動して、投写レンズ群2111のレンズ間の距離を可及的に狭くする。投写レンズ群2111のZ軸方向の寸法が小さくなることにより、非球面ミラー2112、投写窓2113を含むスライド部2190がスペース2181に収納される。
【0227】
[変形例2]
以下において、第3−1実施形態に係るスライド部の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図45は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図46はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0228】
図45に示すように、変形例2では、DMD2120および照明部2130の配置を変更し、照明部2130は、投写レンズ群2111のうち、レンズ径が小さい領域に配する。照明部2130の位置が変更されたことに伴い、冷却部2170もまたDMD2120および照明部2130の位置に対応する領域に移動させる必要がある。
【0229】
変形例2に係る投写型映像表示装置2100では、映像光を投写するときに、DMD2120および照明部2130(映像生成部2140相当)とバッテリ部2150との間にスペース2182が生じる。そこで、図46に示すように、スライド部2190を収納するときには、非球面ミラー2112、投写窓2113を含むスライド部2190とともに、投写レンズ群2111、映像生成部2140および冷却部2170がスペース2182に収納されるように平行移動する。
【0230】
[変形例3]
以下において、第3−1実施形態に係るスライド部の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図47は投写型映像表示装置から映像光を投写するときの内部構成を示す図であり、図48はスライド部を収納したときの内部構成を示す図である。
【0231】
図47に示すように、非球面ミラー2112は、映像光を投写するときに、投写レンズ群2111の光軸に対して、背面2107側にかつ傾いて配置されている。そこで、図48に示すように、スライド部2190を収納するときには、スライド部2190の平行移動に連動して、非球面ミラー2112の一端を中心軸として非球面ミラー2112を回動させる。非球面ミラー2112が回動することに伴って、投写型映像表示装置2100のZ軸方向の寸法が小さくなり、投写窓2113を含むスライド部2190がスペース2183に収納される。
【0232】
[その他の変形例]
上記の例以外にも、冷却部2170を照明部2130(映像生成部2140)の下方へ配置して、冷却部2170と照明部2130の間にスペースを設けてもよい。この場合、投写部2110および映像生成部2140を含むスライド部2190がこのスペースに収納される。
【0233】
プリズムブロック2121を用いず、投写レンズ群2111の光軸に対して垂直となるようにDMD2120を配置して、投写レンズ群2111とDMD2120との間にスペースを設けてもよい。この場合、投写部2110がこのスペースに収納される。
【0234】
(作用・効果)
第3−1実施形態では、投写型映像表示装置2100は、映像光を生成する映像光生成部2140と、映像光生成部から出射された映像光を投写面側へ反射する非球面ミラー2112と、を備えるものである。投写型映像表示装置2100は、映像光生成部2140へ電力を供給するバッテリ部2150を備え、バッテリ部2150は、非球面ミラー2112と可及的に離れた位置、具体的には、非球面ミラー2112が最上部に設けられ、バッテリ部2150が最下部に設けられる。従って、重量のある非球面ミラー2112とバッテリ部2150とが離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。
【0235】
また、第3−1実施形態では、投写型映像表示装置2100は、映像光を生成する映像光生成部2140と、映像光生成部2140を収納する筐体2101と、筐体2101に設けられ映像光生成部2140から出射された映像光が透過する投写窓2113とを備えるものである。筐体2101は、Z軸方向の寸法が変化するスライド部2190を有する。投写窓2113は、映像光を投写しないとき、スライド部2190によって筐体2101内部に収納される。従って、投写窓2113にキズや汚れがつくことを抑制できる。
【0236】
[第3−2実施形態]
以下において、第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、第3−2実施形態において、第3−1実施形態と重複するところは、説明を省略する。図49は、第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す正面図である。
【0237】
図49に示すように、投写型映像表示装置2200は、映像生成部2240の構成、冷却部2270の配置が第3−1実施形態と大きく異なることに留意すべきである。また、第3実施形態では、底面2205を設置面(水平面)とし、床や机などの水平面に映像光を投写する状態を床面投写モード、背面2207を設置面(水平面)とし、スクリーンや壁などの鉛直面に映像光を投写する状態を壁面投写モードと称する。
【0238】
第3実施形態では、赤、緑、青の光を出射するLED2231R、2231G、2231B、ダイクロイックプリズム2232およびテーパロッド2233は、投写レンズ群2211よりも背面2207側に配される。図49では、これらの光学部材は投写レンズ群2211によって隠された位置となる。テーパロッド2233から出射した光は、レンズ2234、2235、2236およびミラー2237、2238によって、合成光の光路をスペースに合わせて折り曲げられ、DMD2220に結像する。
【0239】
DMD2220は、投写レンズ群2211の光軸に対して垂直となるように配される。従って、第3−2実施形態では、プリズムブロックは不要となる。DMD2220には、照明部2230の各光学部材によって、投写レンズ群2211の光軸に対して鋭角な方向から導かれた合成光が照射される。DMD2220はこの合成光のうち、映像入力信号に応じて変調された映像光を投写レンズ群2211へ向けて反射する。DMD2220の近傍には、DMD2220を制御するDMD制御回路2222が配される。第3−2実施形態では、DMD制御回路2222はDMD2220の裏面側に配される。
【0240】
LED2231近傍には、LED2231を制御するLED制御回路2239が配される第3−2実施形態では、LED制御回路2239は、投写レンズ群2211の外玉レンズの背面2207側に配される。これにより、LED制御回路2239は、LED2231近傍に配されるとともに、DMD制御回路2222とは可及的に離して配することができる。
【0241】
制御部2260の制御回路2268は、傾斜センサ2269を有する。傾斜センサ2269は、検出した傾きに関する情報を制御回路2268へ送信する。制御回路2268は、受信した情報から、ユーザが投写型映像表示装置2200を、底面2205を設置面とする床面投写モードで利用するか、背面2207を設置面とする壁面投写モードで利用するかを判別する。制御回路2268は、判別した投写モードに応じて、DMD制御回路2222へ制御信号を送る。詳細は後述するが、DMD制御回路2222は、投写モードに関する制御信号に応じて、DMD2220の有効領域の大きさやアスペクト比、投写画像の上下・左右の方向を制御する。
【0242】
投写レンズ群2211の、他の側面2203側の領域には、冷却部2270が配される。第3−2実施形態では、LED2231を冷却するシロッコファン2273のほか、DMD2220を冷却するシロッコファン2275およびヒートシンク2276が配される。
【0243】
(投写モードの切替機能)
以下において、第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードの切替機能について、図面を参照しながら説明する。図50は第3−2実施形態に係る投写型映像表示装置の投写モードを示す図であって、図50(a)は床面投写モード、図50(b)は壁面投写モードである。
【0244】
投写型映像表示装置2200は、映像光を投写するときに、傾斜センサ2269によって検出した傾きに関する情報に基づいて設置面を判別する。図50(a)に示すように、設置面が底面2205であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像を遠方側(Far側)から観察する場合が多いので、投写型映像表示装置2200は、投写画像の向きをFar側が下となるように投写する。詳細には、傾斜センサ2269が、底面2205が設置面であると判別したとき、制御回路2268は、Far側が下となるようにDMD制御回路2222へ制御信号を送る。
【0245】
一方、図50(b)に示すように、設置面が背面2207であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像の近接側(Near側)を下として観察するので、投写型映像表示装置2200は、投写画像の向きをNear側が下となるように投写する。詳細には、傾斜センサ2269が、背面2207が設置面であると判別したとき、制御回路2268は、Near側が下となるようにDMD制御回路2222へ制御信号を送る。
【0246】
これにより、投写型映像表示装置2200を置くだけで、投写画像が適切な向きで投写されるので、ユーザの利便性が向上する。
【0247】
[変形例1]
以下において、第3−2実施形態に係る投写モードの切替機能の一変形例について、図面を参照しながら説明する。図51は変形例1に係る投写型映像表示装置の投写モードを示す図であって、図51(a)は床面投写モード、図51(b)は壁面投写モードである。変形例1においても、投写型映像表示装置2200は、映像光を投写するときに、傾斜センサ2269によって検出した傾きに関する情報に基づいて設置面を判別する。
【0248】
図51(a)に示すように、設置面が底面2205であるときは、複数のユーザ(観察者)が、投写画像を挟んで対峙して観察する場合があるので、投写型映像表示装置2200は、投写画像のアスペクト比を縦長となるように投写する。具体的には、制御回路2268は、H:Vが3:4となるようにDMD制御回路2222へ制御信号を送る。
【0249】
一方、図51(b)に示すように、設置面が背面2207であるときは、ユーザ(観察者)は、投写画像に対して正面から観察するので、投写型映像表示装置2200は、投写画像のアスペクト比を横長となるように投写する。具体的には、制御回路2268は、H:Vが4:3となるようにDMD制御回路2222へ制御信号を送る。
【0250】
[変形例2]
以下において、第3−2実施形態に係る投写モードの切替機能の他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図52は変形例2に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図であって、図52(a)は通常の床面投写モード(以下、通常モードと称する。)、図52(b)は投写画像の面積を大きくした床面投写モード(以下、拡大モードと称する。)である。
【0251】
変形例2において、投写型映像表示装置2200は、底面2205に脚部2208と、脚部2208の長さを検出する脚部センサ2208sとを有する。投写型映像表示装置2200は、映像光を投写するときに、脚部センサ2208sによって検出した脚部2208の長さに関する情報に基づいて投写距離を推定する。また、通常モードでは、投写画像の面積がSである領域に対し、投写画像の輝度がLとなるように投写するために必要なLED2231の光量をEとする。
【0252】
図52(b)に示すように、底面2205から脚部2208を延伸し、投写窓2213から設置面までの距離(投写距離)を長くすると、拡大モードの投写画像の面積S’は、通常モードの面積Sよりも大きくなる(S’>S)。このとき、LED2231の光量がEであると、拡大モードの投写画像の輝度が、通常モードの輝度Lに比べて低下してしまう。
【0253】
そこで、脚部センサ2208sからの情報により、拡大モードであると推定されたとき、制御回路2268は、LED2231の光量がE’(>E)となるようにLED駆動回路2239へ制御信号を送る。これにより、通常モードのときの輝度Lと拡大モードのときの輝度L’とが、略同じ輝度となる(L≒L’)。
【0254】
[変形例3]
以下において、第3−2実施形態に係る投写モードの切替機能のさらに他の変形例について、図面を参照しながら説明する。図53は変形例3に係る投写型映像表示装置の床面投写モードを示す図である。変形例3では、変形例2との相違点についてのみ説明する。
【0255】
変形例3において、投写型映像表示装置2200は、上部に首部2209と、首部2209の長さを検出する首部センサ2209sとを有する。首部2209の上部には非球面ミラー2212が配され、首部2209を伸縮することにより、投写レンズ群2211と非球面ミラー2212との距離が調整される。投写型映像表示装置2200は、映像光を投写するときに、脚部センサ2209sによって検出した首部2209の長さに関する情報に基づいて、投写距離および投写レンズ群2211と非球面ミラー2212との距離を推定する。
【0256】
天面2204には、首部2209を引っ張るハンドル部2204hが設けられる。さらにハンドル部2204hにボタン(不図示)を設け、ボタンを押下したときに、首部2209を延伸することができるように設定してもよい。ボタンを押下していないときには、首部2209が延伸しないため、ハンドル部2204hは、投写型映像表示装置2200を持ち運ぶときにも有用である。
【0257】
[その他の変形例]
上記の例以外にも、投写型映像表示装置2200は、照度センサを備えていてもよい。照度センサにより、投写型映像表示装置2200の使用環境の明るさを推定することが可能となる。使用環境および投写画像の面積Sに応じて、光源(LED2231)の光量Eを制御することにより、投写型映像表示装置2200の低消費電力運転を実現することができるほか、ユーザに対して目に優しい画像を提供できる。
【0258】
また、上記の例は組み合わせも可能である。例えば、横長の投写画像を縦長の投写画像へ切り替るとき、脚部2208の調整をして投写画面の面積Sを大きくするとよい。縦長に画像を投写する場合、DMD制御回路2222での信号処理によって、DMD2220の有効表示領域の変形を行う。これにより、DMD2220の有効表示領域が小さくなり、投写画面の面積Sが小さくなる。そこで、脚部2208を延伸して投写距離を長くすることで、面積Sを維持することが可能となる。
【0259】
(作用・効果)
第3−2実施形態では、投写型映像表示装置2200は、映像光を生成する映像光生成部2240と、映像光生成部2240から出射された映像光を投写面側へ反射する非球面ミラー2212と、を備えるものである。投写型映像表示装置2200は、映像光生成部2240へ電力を供給するバッテリ部2250を備え、バッテリ部2250は、非球面ミラー2212と可及的に離れた位置に設けられる。
【0260】
また、映像光生成部2240を冷却する冷却部2270をさらに備え、冷却部2270のうち、具体的には軸流ファン2272、シロッコファン2275、ヒートシンク2276、シロッコファン2277もまた、非球面ミラー2212と可及的に離れた底面2205に近い位置に設けられるとよい。これにより、非球面ミラー2212やバッテリ部2250についで、重量のある冷却部2270が非球面ミラー2212と離れた位置に設けられるので、装置全体の重量バランスを平衡に保つことができる。また、バッテリ部2250と冷却部2270とが近接して、底面に近い位置に設けられるので、底面の面積が小さくても安定して設置することができる。
【0261】
また、第3−2実施形態では、投写型映像表示装置2200は、投写面に対する自装置の状態を検出する傾斜センサ2269や、脚部センサ2208s、首部センサ2209sと、検出された状態に応じて、映像光の状態を制御する制御部2260とを備えるものである。従って、投写型映像表示装置2200が自装置の状態、具体的には設置面や投写距離を判断し、ユーザにとって最も観察しやすいと考えられる状態(向きや明るさなど)で映像を投写するので、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0262】
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0263】
具体的には、第4実施形態では、インタラクティブ機能で必要とされる撮像装置及び撮像装置の制御基板の配置について、図54〜図56を参照しながら説明する。図54は、第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の外観を示す図である。図55は、第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の内部を示す図である。図56は、第4実施形態に係る投写型映像表示装置100の正面視を示す図である。
【0264】
撮像装置及び制御基板は、図54及び図55に示す領域Y1に配置されることが好ましい。領域Y1は、図54に示すように、透過領域210(投写窓)よりも天板側の領域であり、図55に示すように、反射ミラー112よりも正面側の領域である。なお、撮像装置及び制御基板は、反射ミラー112で反射される映像光を遮光しない位置に配置されることは勿論である。
【0265】
また、撮像装置の光取入口は、図55に示す領域Z1又は領域Z2に配置されることが好ましい。領域Z1は、図55に示すように、透過領域210よりも天板側の領域である。また、領域Z2は、図55に示すように、透過領域210の一部である。なお、撮像装置の光取入口は、透過領域210を透過する映像光を遮光しない位置に配置されることは勿論である。
【0266】
(作用及び効果)
第4実施形態では、撮像装置及び制御基板は、図54及び図55に示す領域Y1に配置される。ここで、電源基板150や主制御基板160は、図3に示したように、底面側に配置されるため、領域Y1はデッドスペースである。このようなデッドスペースを有効に利用することができるため、投写型映像表示装置100を小型化することが可能である。
【0267】
第4実施形態では、撮像装置の光取入口は、図55に示す領域Z1又は領域Z2に配置される。すなわち、透過領域210と同程度以上の高さから、投写面の反射光を取入れるため、投写型映像表示装置と投写面との距離が非常に近い場合であっても、投写面の映像を撮像することができる。また、光取入口と撮像装置(又は、制御基板)との距離が近いため、余分な配線等が不要である。
【0268】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0269】
実施形態では、光変調素子として、DMD(Digital Micromirror Device)を例示したに過ぎない。光変調素子は、反射型の液晶パネルであってもよく、透過型の液晶パネルであってもよい。
【0270】
実施形態では、フォーカス調整具260は、非被覆状態から被覆状態への遷移において、カバー体(第1筐体200A又はカバー体200C)の移動によって初期位置に戻る。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。具体的には、フォーカス調整具260は、被覆状態から非被覆状態への遷移において、カバー体(第1筐体200A又はカバー体200C)の移動によって初期位置に戻ってもよい。
【0271】
実施形態では特に触れていないが、運転制御部320は、投写型映像表示装置100の運転開始後において、筐体200内の冷却状態が所定状態よりも悪い場合に、投写型映像表示装置100の運転を終了する。すなわち、運転制御部320は、筐体200が正しく配置されていないことに起因して、冷却状態が悪い場合に、投写型映像表示装置100の運転を終了する。言い換えると、運転制御部320は、例えば、筐体200の底面が傾いた平面に配置されたケースにおいて、検出部400によって基準面の誤検出が生じた場合であっても、投写型映像表示装置100の運転を適切に終了することができる。
【0272】
実施形態では、検出点410が機械的なスイッチであるケースについて例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。検出点410は、圧力センサであってもよい。或いは、検出部400は、筐体200の底面全体の圧力分布を検出可能に構成された圧力センサであってもよい。
【0273】
実施形態では、光源としてLEDを用いて説明したが、光源はLEDに限定されるものではなく、固体光源としてはレーザ光源、ランプ光源としては高圧水銀ランプやキセノンランプなども利用可能である。光変調素子としては、DMDを用いて説明したが、透過型、半透過型あるいは反射型の液晶パネルなども利用可能である。
【0274】
実施形態では、筐体は6面を有する略直方体の形状で説明したが、筐体形状は直方体に限定されるものではなく、デザイン性を重視した形状でもよい。また、直方体の頂点や辺において丸みを帯びていても良く、中央部分や重心付近に突起や凹みがある形状でもよい。中央部分や重心付近に突起や凹みがあると、持ち運びに便利である。
【0275】
バッテリ部としてニッケル水素電池が投写型映像表示装置の底面に固定されている構成を用いて説明したが、ニッケル水素電池は、別の電池と交換できるようにバッテリ制御部とコネクタを介して接続されていてもよい。また、バッテリ制御部は、電源コネクタを介して直接、商用電源から各部へ電力を供給できるように制御してもよい。これにより、1つの電池の残量が低下しても、別の電池と交換したり、商用電源から電力を供給したりすることで、長時間、映像を表示することができる。
【0276】
投写型映像表示装置の起動は電源スイッチを押下する構成を用いて説明したが、スライド部が電源スイッチとして機能してもよい。すなわち、スライド部が引き出され、映像光が投写窓から出射できる状態となることにより投写型映像表示装置が起動し、スライド部が筐体の内部に収納されることにより停止するように構成してもよい。
【0277】
投写画像のアスペクト比はH:V=4:3を標準として説明したが、アスペクト比はH:V=16:9のものがあるのはもちろんである。
【0278】
操作ボタンやスイッチが筐体の天面や側面に配される構成を用いて説明したが、操作はリモコンを用いて行なってもよい。この場合、リモコンからの信号を受信する受光部は、正面や側面の上部(非球面ミラー側)に配するとよい。投写型映像表示装置を利用するときに上部となる部分に受光部が配されると、信号が遮蔽されることがない。
【符号の説明】
【0279】
10…光源、30…ダイクロイックプリズム、40…ロッドインテグレータ、51〜52…ミラー、61〜63…レンズ、70…DMD、80…反射プリズム、100…投写型映像表示装置、110…投写光学系、111…投写レンズ群、112…反射ミラー、120…照明光学系、130…冷却ファン、140…バッテリ、150…電源基板、160…主制御基板、170…操作基板、200…筐体、200A…第1筐体、200B…第2筐体、200C…カバー体、201A…突起、201C…突起、210…透過領域、211…回動軸、260…フォーカス調整具、300…制御ユニット、310…判定部、320…運転制御部、400…検出部、410…検出点、500…バッテリ、1100、1200…投写型映像表示装置、1101、1201…筐体(1102、1202…一側面、1102a…一側面の重畳部、1103、1203…他の側面、1104、1204…天面、1105、1205…底面、1106、1206…正面、1107、1207…背面、1110、1210…投写部、1111、1211…投写レンズ群、1112、1212…非球面ミラー、1113、1213…投写窓、1120、1220…DMD、1121…プリズムブロック(1121a…面)、1122、1222…DMD制御回路、1130、1230…照明部、1131、1231…LED(1131R、1231R…赤色LED、1131G、1231G…緑色LED、1131B、1231B…青色LED)、1132、1232…ダイクロイックプリズム、1133、1233…テーパロッド、1134、1135、1136、1234、1235、1236…レンズ、1137、1138、1237、1338…ミラー、1139、1239…LED制御回路、1140、1140…映像光生成部、1150、1250…バッテリ部、1151、1251…バッテリ、1152、1252…バッテリ制御回路、1153、1253…電源コネクタ、1160、1260…制御部、1161…映像コネクタ、1163…SDカードのスロット、1164…USBコネクタ、1166…電源ボタン、1167…メニューボタン、1168…方向ボタン、1169、1268…制御回路、1170、1270…冷却部、1171、1271…排気口、1172、1272…軸流ファン、1173、1273、1275、1277…シロッコファン、1174、1274…吸気口、1180、1181、1182、1183…スペース、1190…スライド部(1192…一側面、1193…他の側面、1194…天面、1196…正面、1197…背面)、1208…脚部(1208s…脚部センサ)、1209…首部(1208s…首部センサ)、1269…傾斜センサ、1276…ヒートシンク、2100、2200…投写型映像表示装置、2101、2201…筐体(1102、XXXXXXX1202X…一側面、2102a…一側面の重畳部、2103、2203…他の側面、2104、2204…天面、2105、2205…底面、2106、2206…正面、2107、2207…背面)、2110…投写部、2111、2211…投写レンズ群、2112、2212…非球面ミラー、2113、2213…投写窓、2120、2220…DMD、2121…プリズムブロック(2121a…面)、2122、2222…DMD制御回路、2130、2230…照明部、2131、2231…LED(2131R、2231R…赤色LED、2131G、2231G…緑色LED、2131B、2231B…青色LED)、2132、2232…ダイクロイックプリズム、2133、2233…テーパロッド、2134、2135、2136、2234、2235、2236…レンズ、2137、2138、2237、2338…ミラー、2139、2239…LED制御回路、2140、2240…映像生成部、2150、2250…バッテリ部、2151、2251…バッテリ、2152、2252…バッテリ制御回路、2153、2253…電源コネクタ、2160、2260…制御部、2161、2162…映像コネクタ、2163…SDカードのスロット、2164…USBコネクタ、2165…LANコネクタ、2166…電源スイッチ、2167…操作ボタン、2168、2268…制御回路、2170、2270…冷却部、2171、2271…排気口、2172、2272…軸流ファン、2173、2273、2275、2277…シロッコファン、2174、2274…吸気口、2180、2181、2182、2183…スペース、2190…スライド部(2192…一側面、2193…他の側面、2194…天面、2196…正面、2197…背面)、2208…脚部(2208s…脚部センサ)、2209…首部(2208s…首部センサ)、2269…傾斜センサ、2276…ヒートシンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備えており、基準面上に配置される投写型映像表示装置であって、
前記筐体は、前記基準面と対向する底面を有しており、
前記底面には、前記基準面を検出可能に構成された検出部が設けられており、
前記検出部によって前記基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する運転制御部を備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記基準面を検出する少なくとも3つ以上の検出点を有することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記少なくとも3つ以上の検出点は、前記筐体が前記基準面に配置された状態で通電する機械的なスイッチであることを特徴とする請求項2に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体と、前記投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具と有しており、
前記カバー体は、前記カバー体の移動によって、前記透過領域を被覆する被覆状態及び前記透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移し、
前記フォーカス調整具は、前記カバー体の移動によって初期位置に戻ることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記運転制御部は、前記投写型映像表示装置の運転開始後において、前記筐体内の冷却状態が所定状態よりも悪い場合に、前記投写型映像表示装置の運転を終了することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備えており、基準面上に配置される投写型映像表示装置であって、
前記筐体は、前記投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体と、前記投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具と有しており、
前記カバー体は、前記カバー体の移動によって、前記透過領域を被覆する被覆状態及び前記透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移し、
前記フォーカス調整具は、前記カバー体の移動によって初期位置に戻ることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項7】
映像光を生成する映像光生成部と、前記映像光生成部を収納する筐体と、前記映像光生成部から出射された前記映像光の出射方向とは異なる方向へ前記映像光を折り曲げて投写面へ投写させる投写部と、を備えた投写型映像表示装置において、
前記映像光が前記筐体から出射する面を正面、前記正面に対向する面を背面、前記投写面と略平行で且つ最も近い面を底面、前記底面に対抗する面を天面、前記正面と前記背面との間で前記底面と前記天面以外の面を側面としたとき、投写型映像表示装置に各種指令を与える操作部が前記天面及び/又は前記側面に配されることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項8】
前記操作部は操作ボタンを有し、前記操作ボタンの配置は、前記筺体の正面及び背面から確認したときに前後対称に配されていることを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項9】
投写される前記映像光の状態を調整する調整部を備え、前記調整部の調整つまみは前記側面に配されていることを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項10】
投写される前記映像光の状態を調整する調整部を備え、前記調整部の調整つまみは前記正面に配されていることを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項11】
電源及び入力信号を入力する入力部を備え、前記入力部は、前記側面に配されることを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項12】
前記調整つまみ及び/又は前記入力部を覆うカバーを備えることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の投写型映像表示装置。
【請求項13】
前記筺体内部に冷却風を導く吸気口と、前記筺体内部から冷却風を排出する排気口とを有し、前記筐体は、少なくとも一方向の寸法が変化する可動部を有し、前記可動部を可動させることと連動して前記カバーを可動させることにより前記つまみ、前記入力部、前記吸気口、前記排気口のうち少なくとも一の開閉を行うことを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項14】
映像光を生成する映像光生成部と、前記映像光生成部から出射された前記映像光を投写面側へ反射するミラーと、を備えた投写型映像表示装置であって、
前記映像光生成部へ電力を供給する電力供給部を備え、
前記電力供給部は、前記ミラーと可及的に離れた位置に設けられることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項15】
前記映像光生成部を冷却する冷却部をさらに備え、
前記冷却部は、前記ミラーと可及的に離れた位置に設けられることを特徴とする請求項14に記載の投写型映像表示装置。
【請求項16】
前記映像光生成部を収納し、略直方体形状を有する筐体をさらに備え、
前記映像光が前記筐体から出射する面を正面、前記正面に対向する面を背面、前記正面と前記背面との間に位置する面であって前記電力供給部が配される面を底面としたとき、
自装置を操作する操作部は、前記正面、前記背面および前記底面を除く面に設けられることを特徴とする請求項14に記載の投写型映像表示装置。
【請求項17】
前記投写面が水平面であるとき、
前記電力供給部は自装置の最下部に位置し、
前記ミラーは、前記電力供給部の上部に設けられた前記映像生成部から上方へ出射された前記映像光を前記投写面へ反射する位置に設けられることを特徴とする請求項14に記載の投写型映像表示装置。
【請求項1】
光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備えており、基準面上に配置される投写型映像表示装置であって、
前記筐体は、前記基準面と対向する底面を有しており、
前記底面には、前記基準面を検出可能に構成された検出部が設けられており、
前記検出部によって前記基準面が検出された場合に、自装置の運転を開始する運転制御部を備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記基準面を検出する少なくとも3つ以上の検出点を有することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記少なくとも3つ以上の検出点は、前記筐体が前記基準面に配置された状態で通電する機械的なスイッチであることを特徴とする請求項2に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体と、前記投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具と有しており、
前記カバー体は、前記カバー体の移動によって、前記透過領域を被覆する被覆状態及び前記透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移し、
前記フォーカス調整具は、前記カバー体の移動によって初期位置に戻ることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記運転制御部は、前記投写型映像表示装置の運転開始後において、前記筐体内の冷却状態が所定状態よりも悪い場合に、前記投写型映像表示装置の運転を終了することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写光学系とを収容する筐体を備えており、基準面上に配置される投写型映像表示装置であって、
前記筐体は、前記投写光学系から出射される光を透過する透過領域を被覆可能に構成されたカバー体と、前記投写光学系に設けられたレンズと連動するフォーカス調整具と有しており、
前記カバー体は、前記カバー体の移動によって、前記透過領域を被覆する被覆状態及び前記透過領域を被覆しない非被覆状態に遷移し、
前記フォーカス調整具は、前記カバー体の移動によって初期位置に戻ることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項7】
映像光を生成する映像光生成部と、前記映像光生成部を収納する筐体と、前記映像光生成部から出射された前記映像光の出射方向とは異なる方向へ前記映像光を折り曲げて投写面へ投写させる投写部と、を備えた投写型映像表示装置において、
前記映像光が前記筐体から出射する面を正面、前記正面に対向する面を背面、前記投写面と略平行で且つ最も近い面を底面、前記底面に対抗する面を天面、前記正面と前記背面との間で前記底面と前記天面以外の面を側面としたとき、投写型映像表示装置に各種指令を与える操作部が前記天面及び/又は前記側面に配されることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項8】
前記操作部は操作ボタンを有し、前記操作ボタンの配置は、前記筺体の正面及び背面から確認したときに前後対称に配されていることを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項9】
投写される前記映像光の状態を調整する調整部を備え、前記調整部の調整つまみは前記側面に配されていることを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項10】
投写される前記映像光の状態を調整する調整部を備え、前記調整部の調整つまみは前記正面に配されていることを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項11】
電源及び入力信号を入力する入力部を備え、前記入力部は、前記側面に配されることを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項12】
前記調整つまみ及び/又は前記入力部を覆うカバーを備えることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の投写型映像表示装置。
【請求項13】
前記筺体内部に冷却風を導く吸気口と、前記筺体内部から冷却風を排出する排気口とを有し、前記筐体は、少なくとも一方向の寸法が変化する可動部を有し、前記可動部を可動させることと連動して前記カバーを可動させることにより前記つまみ、前記入力部、前記吸気口、前記排気口のうち少なくとも一の開閉を行うことを特徴とする請求項7に記載の投写型映像表示装置。
【請求項14】
映像光を生成する映像光生成部と、前記映像光生成部から出射された前記映像光を投写面側へ反射するミラーと、を備えた投写型映像表示装置であって、
前記映像光生成部へ電力を供給する電力供給部を備え、
前記電力供給部は、前記ミラーと可及的に離れた位置に設けられることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項15】
前記映像光生成部を冷却する冷却部をさらに備え、
前記冷却部は、前記ミラーと可及的に離れた位置に設けられることを特徴とする請求項14に記載の投写型映像表示装置。
【請求項16】
前記映像光生成部を収納し、略直方体形状を有する筐体をさらに備え、
前記映像光が前記筐体から出射する面を正面、前記正面に対向する面を背面、前記正面と前記背面との間に位置する面であって前記電力供給部が配される面を底面としたとき、
自装置を操作する操作部は、前記正面、前記背面および前記底面を除く面に設けられることを特徴とする請求項14に記載の投写型映像表示装置。
【請求項17】
前記投写面が水平面であるとき、
前記電力供給部は自装置の最下部に位置し、
前記ミラーは、前記電力供給部の上部に設けられた前記映像生成部から上方へ出射された前記映像光を前記投写面へ反射する位置に設けられることを特徴とする請求項14に記載の投写型映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【公開番号】特開2011−197644(P2011−197644A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293817(P2010−293817)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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