投射型表示装置及びその制御方法
【課題】ランプ調光の減光率の限界や色ずれ、メカ調光の熱負荷や色むらを改善する。
【解決手段】プロジェクター100は、光源10と、液晶ライトバルブ30R, 30G, 30Bと、調光機構20と、照明光学系40と、入力画像信号に基づいて、液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定し、入射光量に応じて伸長した出力画像信号を出力し、入射光量に基づいて高圧水銀ランプ11の第1減光率を指定する第1制御信号CTL1と、調光機構20の第2減光率を指定する第2制御信号CTL2を生成する制御回路60と、第1制御信号CTL1に基づいて光源10を駆動する照明駆動回路70と、第2制御信号CTL2に基づいて遮光板21を駆動する遮光板駆動回路80とを備える。
【解決手段】プロジェクター100は、光源10と、液晶ライトバルブ30R, 30G, 30Bと、調光機構20と、照明光学系40と、入力画像信号に基づいて、液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定し、入射光量に応じて伸長した出力画像信号を出力し、入射光量に基づいて高圧水銀ランプ11の第1減光率を指定する第1制御信号CTL1と、調光機構20の第2減光率を指定する第2制御信号CTL2を生成する制御回路60と、第1制御信号CTL1に基づいて光源10を駆動する照明駆動回路70と、第2制御信号CTL2に基づいて遮光板21を駆動する遮光板駆動回路80とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ調光とメカ調光を備えた投射型表示装置及びその制御方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
近年、大画面をスクリーンに表示する投射型表示装置としてプロジェクターが普及している。プロジェクターは、画面の大型化には有利であるが、表示コントラストが液晶ライトバルブでのコントラストに依存するため、十分なコントラストが得られないという問題があった。そこで、液晶ライトバルブへの入射光量を調整するために、画像信号に応じて光源の輝度を変化させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。さらに、光源から液晶ライトバルブまでの光路上に機械式の調光手段を設けたプロジェクターも知られている(例えば、特許文献2)。機械式の調光手段は、遮光板を開閉するものであり、絞りとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−66501号公報
【特許文献2】特許第4158618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光源として高圧水銀ランプを用いることがある。高圧水銀ランプは減光率が高い状態を長時間継続すると、ランプ内部のハロゲンサイクルの機能が低下し、蒸発した電極の成分がランプの内壁に析出する黒化現象が生じる。このため、ランプ調光には、減光率に一定の限界があり、コントラストを十分高くできないといった問題があった。さらに、ランプ調光では、光量を低下させると、発光スペクトルが変化し、色ずれが発生するといった問題があった。
一方、機械式のメカ調光は、遮光板の熱の負荷が大きいので使用材料や構造が制約され、また、光源の消費電力を削減できないといった問題があった。さらに、メカ調光には、減光率を変化させると、液晶ライトバルブに入射する斜め光の成分が変化するため、色むらが発生するといった問題があった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、ランプ調光とメカ調光の問題点を改善することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る投射型表示装置は、光源と、入射した光を光変調する光変調部と、前記光源と前記光変調部との間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、前記光変調部からの光を投射する投射部と、表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記光変調部に入射させる入射光量を決定し、前記入射光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記光変調に供給し、前記入射光量に基づいて、前記光源の減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定する制御部と、 前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動する光源駆動部と、前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する調光駆動部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、ランプ調光とメカ調光とを組み合わせることにより、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、調光部の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、また構造を簡素化することができる。さらに、ランプ調光とメカ調光を複合して得られるシステム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源の消費電力を削減することができ、しかも、メカ調光の第2減光率の変化範囲を狭くできるので、画像のムラを抑制できる。
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明に係る投射型表示装置は、高圧水銀ランプを備えた光源と、入射した光を光変調する液晶ライトバルブと、前記光源と前記液晶ライトバルブとの間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、前記液晶ライトバルブからの光を投射する投射部と、表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定する処理と、前記入射光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記液晶ライトバルブに出力する処理と、前記入射光量に基づいて、前記高圧水銀ランプの減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定する処理とを実行する制御部と、前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動する光源駆動部と、前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する調光駆動部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ランプ調光とメカ調光とを組み合わせることにより、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、調光部の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、また構造を簡素化することができる。さらに、ランプ調光とメカ調光を複合して得られるシステム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源の消費電力を削減することができ、しかも、メカ調光の第2減光率の変化範囲を狭くできるので、画像のムラを抑制できる。
【0009】
上述した投射型表示装置において、前記制御部は、前記第1減光率が前記第2減光率より大きくなるように決定することが好ましい。この場合は、消費電力の削減を優先しつつ、調光部の熱負荷を軽減するためである。
【0010】
上述した投射型表示装置において、前記高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率を最大減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記最大減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記最大減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、ことが好ましい。
【0011】
この発明によれば、ランプ調光では減光ができないレベルまで減光を行なうことができるので、コントラスト比の高い画像を表示することが可能となる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、調光部の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。また、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源の消費電力を削減することができる。くわえて、メカ調光のみの場合と比較して調光部による減光は小さくできるので液晶ライトバルブに入射する光の斜め方向の成分を低減でき、画像のムラを改善することができる。
【0012】
上述した投射型表示装置において、前記高圧水銀ランプにおいてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、ことが好ましい。
【0013】
この発明によれば、高圧水銀ランプのハロゲンサイクルを正常に機能させつつ、所望のシステム減光率を得るにはランプ調光で不足する分をメカ調光で補うことができる。この結果、高圧水銀ランプの長寿命化を図りつつ、コントラスト比を高めることができる。また、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源の消費電力を削減することができる。
【0014】
上述した投射型表示装置において、前記液晶ライトバルブは複数の色に各々対応する液晶パネルを備え、前記高圧水銀ランプを次第に減光した場合に投射された画像の色ずれが所定の基準に達する減光率を第2基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、色ずれが許容される範囲で、光源の消費電力を削減することができ、所望のシステム減光率を得るにはランプ調光で不足する分をメカ調光で補うことができる。この結果、コントラスト比を高めることができる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、調光部の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。
【0016】
上述した投射型表示装置において、前記制御部は、前記高圧水銀ランプの劣化を抑制する所定期間において、前記光源が所定の輝度で発光するように前記第1減光率を設定し、且つ、前記入射光量が得られるように前記第2減光率を制御することが好ましい。この発明によれば、高圧水銀ランプの劣化を抑制することができ、高圧水銀ランプの長寿命化を図ることができる。また、メカ調光を備えない場合には、所定期間において、システム減光率を制御することができないので、コントラスト比が低下してしまうが、本発明によれば、所定期間においてもコントラスト比を向上させることができる。
【0017】
本発明は、高圧水銀ランプを備えた光源と、入射した光を光変調する液晶ライトバルブと、前記光源と前記液晶ライトバルブとの間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、前記液晶ライトバルブからの光を投射する投射部とを備えた投射型表示装置を制御する方法として把握することもできる。
この場合、投射型表示装置の制御方法は、表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定し、決定した光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記液晶ライトバルブに供給し、決定された前記入射光量に基づいて、前記高圧水銀ランプの減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定し、前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動し、前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する、ことを特徴とする。
【0018】
また、上述した投射型表示装置の制御方法において、前記高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率を最大減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記最大減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記最大減光率に達した後は前記第2減光率を増加させることが好ましい。
【0019】
また、上述した投射型表示装置の制御方法において、前記高圧水銀ランプにおいてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させることが好ましい。
【0020】
また、上述した投射型表示装置の制御方法において、投射型表示装置が前記液晶ライトバルブは複数の色に各々対応する液晶パネルを備える場合には、前記高圧水銀ランプを次第に減光した場合に投射された画像の色ずれが所定の基準に達する減光率を第2基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させることが好ましい。
【0021】
また、上述した投射型表示装置の制御方法において、前記高圧水銀ランプを抑制する所定期間において、前記光源が所定の輝度で発光するように前記第1減光率を設定し、且つ、前記入射光量が得られるように前記第2減光率を制御することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクターのブロック図である。
【図2】制御テーブルの記憶内容を説明するための説明図である。
【図3】第1実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図4】第2実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図5】第3実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図6】色ずれとランプ調光の第1減光率との関係を示すグラフである。
【図7】第4実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図8】第5実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図9】画素データの階調数毎の出現数分布(ヒストグラム)を説明するための説明図であり、(a)は出現数分布に含まれる最も明るい階調数が190の例を示す図、(b)は階調数0〜190までの映像信号を階調数0〜255まで伸長した例を示す図である。
【図10】映像信号の出現数分布を説明するための説明図である。
【図11】複数のブロックに分割した画面を説明するための説明図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係るプロジェクターのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター100の構成を示すブロック図である。
まず、プロジェクター100の機械的な構成について説明する。プロジェクター100は、白色の光を発光する光源10と、光源10からの光を遮光板を可動することによって調光する機械式の調光機構20、赤色(R色),緑色(G色),青色(B色)の各々に対応する液晶ライトバルブ30R,30G,30B、調光機構20から射出する光を液晶ライトバルブ30R,30G,30Bに導く照明光学系40、液晶ライトバルブ30R,30G,30Bを透過した光を合成してスクリーンSに投射する投射光学系50を備える。
【0024】
光源10は、高圧水銀ランプなどのランプ11と、ランプ11の光を反射するリフレクター12を備える。調光機構20は、システム光軸Cに対して軸対称に配置された一対の遮光板21と、遮光板21の面と平行な方向に延在する一対の回動軸22と、回動軸22に設けられたステッピングモータ(図示せず)とを備える。遮光板21は回動軸22の回転により、回動するようになっている。
照明光学系40は、ダイクロイックミラー41及び42と、反射ミラー43,44,及び45とを備える。照明光学系40によって分光された各色光が液晶ライトバルブ30R,30G,30Bに導かれる。
【0025】
調光機構20から出射された白色光は、ダイクロイックミラー41に入射され、白色光中の 赤色光rが反射されるとともに、青色光bと緑色光gとが透過する。ダイクロイックミラー41で反射した赤色光rは反射ミラー45で反射されて液晶ライトバルブ30Rに入射し、液晶ライトバルブ30Rにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射する。一方、ダイクロイックミラー41を透過した光は、ダイクロイックミラー42に入射して 、緑色光gが ダイクロイックミラー42によって反射され、液晶ライトバルブ30Gに入射し、液晶ライトバルブ30Gにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射する。一方、ダイクロイックミラー42を透過した青色光bは、反射ミラー43及び44で反射され、液晶ライトバルブ30Bに入射し、液晶ライトバルブ30Bにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射する。
【0026】
液晶ライトバルブ30R,30G,30Bには、複数の走査線と、複数のデータ線と、走査線とデータ線の交差に対応して複数の画素が形成されている、複数の画素の各々は、子画素電極と、走査線に介して供給される走査信号に応じてオン・オフが制御され、データ線と画素電極との間に設けられた薄膜トランジスターと、画素電極と対向する対向電極と、画素電極と対向電極とに挟持された液晶とを備える。また、液晶ライトバルブ30R,30G,30Bには、複数の走査線に順次アクティブとなる走査信号を供給する走査線駆動回路と、表示すべき階調に応じたレベルを有する点順次の画像信号を線順次のデータ信号に変換して複数のデータ線に供給するデータ線駆動回路とを備える。各画素の薄膜トランジスターは走査信号がアクティブになると、オン状態となりデータ線を介して供給されるデータ信号を画素電極に供給する。対向電極には一定の電位が供給される。これにより、液晶には、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、透過率が制御される。
【0027】
投射光学系50は、クロスダイクロイックプリズム51及び投射レンズ52を備える。クロスダイクロイックプリズム51は4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。クロスダイクロイックプリズム51に入射された3つの色光はここで合成されて カラー画像を表す光が形成される。合成された光は投射レンズ52によりスクリーンS上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0028】
次に、プロジェクター100の電気的な構成について説明する。プロジェクター100は、制御中枢として機能する制御回路60、第1制御信号CTL1に基づいて光源10を駆動する照明駆動回路70、及び第2制御信号CTL2に基づいて調光機構20を駆動する遮光板駆動回路80を備える。
【0029】
制御回路60には、赤色の画像を示す入力画像信号Dr、緑色の画像を示す入力画像信号Dg、及び青色の画像を示す入力画像信号Dbが供給される。制御回路60はこれらの入力画像信号Dr、Dg、及びDbに基づいて、明るさ制御信号を決定する。
制御回路60は、この明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量(各液晶ライトバルブに入射させる入射光量と等価)を決定するとともに、前記入力画像信号Dr、Dg、及びDbを適当な階調範囲に伸長する。
伸長された画像信号は、DAコンバーターにより、アナログ信号に変換された後、出力画像信号Vr、Vg、及びVbとして、各液晶ライトバルブ30R、30G、及び30Bに供給される。また、制御回路60は、液晶ライトバルブ30R、30G、及び30Bに設けられた走査線駆動回路及びデータ線駆動回路を駆動する制御信号を液晶ライトバルブ30R、30G、及び30Bに供給する。
ここで、プロジェクター100の制御方法に関しては、(1)表示映像適応型の制御、の他に、(2)投射拡大率による制御、(3)外部からの制御、などが考えられる。以下にそれぞれの方法について説明する。
【0030】
(1)表示映像適応型の制御
まず、表示映像適応型の制御、すなわち明るい映像シーンでは光量が多くなり、暗いシーンでは光量が少なくなるような表示映像に適応した明るさ制御を行う場合について考える。この場合、上記で説明したように、制御回路60で入力画像信号Dr、Dg、及びDbに基づいて明るさ制御信号が決定されるが、その方法には例えば次の3通りが考えられる。
【0031】
(a)注目しているフレームに含まれている画素データのうち、明るさが最大の階調数を明るさ制御信号とする方法(明るさ制御信号決定方法1)。
例えば0〜255の256ステップの階調数を含む映像信号を想定する。連続した映像を構成する任意の1フレームに着目した場合、そのフレームに含まれる画素データの階調数毎の出現数分布(ヒストグラム)が、図9(a)に示すようになったとする。この図の場合、ヒストグラムに含まれる最も明るい階調数が190であるので、この階調数190を明るさ制御信号とする。この方法は、入力される入力画像信号Dr、Dg、及びDbに対し、最も忠実に明るさを表現できる方法である。
【0032】
(b)注目しているフレームに含まれている階調数毎の出現数分布(ヒストグラム)より、最大の明るさから出現数について一定の割合(例えば10%)となる階調数を明るさ制御信号とする方法(明るさ制御信号決定方法2)。
例えば映像信号の出現数分布が図10に示すようであった場合、ヒストグラムより明るい側から10%の領域をとる。10%に相当するところの階調数が230であったとすると、この階調数230を明るさ制御信号とする。図10に示したヒストグラムのように、階調数255の近傍に突発的なピークがあった場合、上記(a)の方法(明るさ制御信号決定方法1)を採用すれば、階調数255が明るさ制御信号となる。しかしながら、この突発的なピーク部分は画面全体における情報としてはあまり意味をなしていない。これに対して、階調数230を明るさ制御信号とする本方法は、画面全体の中で情報として意味を持つ領域によって判定する方法と言うことができる。なお、上記の割合は2〜50%程度の範囲で変化させてもよい。
【0033】
(c)画面を複数のブロックに分割して、ブロック毎、含まれている画素の階調数の平均値を求め、最大のものを明るさ制御信号とする方法(明るさ制御信号決定方法3)。
例えば図11に示すように、画面をm×n個のブロックに分割し、それぞれのブロックA11,…,Amn毎の明るさ(階調数)の平均値を算出し、そのうちで最大のものを明るさ制御信号とする。なお、画面の分割数は6〜200程度とすることが望ましい。この方法は、画面全体の雰囲気を損なうことなく、明るさを制御できる方法である。
本発明では、上記(a)〜(c)の明るさ制御信号決定方法のいずれも用いることができるが、以下に説明する例では、(a)の明るさ制御信号決定方法1を用いている。
なお、上記(a)〜(c)の明るさ制御信号決定方法においては、明るさ制御信号の判定を、表示領域全体に対して行う他に、例えば表示領域の中央部分など、特定の部分だけに上記方法を適用することもできる。この場合、視聴者が注目している部分から明るさを決定するような制御の仕方が可能となる。
【0034】
次に制御回路60において、上記の方法で決定した明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量を決定し、この入射光量を得られるように、光源10の減光率(以下、第1減光率と称する。)と調光機構20の減光率(以下、第2減光率と称する。)とを決定して、第1減光率と第2減光率に基づいて、光源10と調光機構20とを制御するが、この方法にも例えば次の3通りが考えられる。
【0035】
(a)出力された明るさ制御信号に応じてリアルタイムで制御する方法(光源及び調光機構の制御方法1)。
この方法は映像の明るさに完全に追従する点で理想的ではあるが、映像の内容により画面の明暗が短い周期で変化することもあり、鑑賞時に余計なストレスを感じるなどの問題が発生する恐れがある。
【0036】
(b)出力された明るさ制御信号にLPF(ローパスフィルター)をかけ、その出力で制御する方法(光源及び調光機構の制御方法2)。
例えばLPFによって1〜30秒以下の明るさ制御信号の変化分をカットし、その出力によって制御する。この方法によれば、細かい時間の変化分はカットされるため、上記のような短い周期での明暗の変化を避けることができる。
【0037】
(c)明るさ制御信号の切り替わりエッジを検出する方法(光源及び調光機構の制御方法3)。
明るさ制御信号に所定の大きさ以上(例えば60階調以上)の変化があった場合にのみ光源10と調光機構20とを制御する。この方法によれば、シーンの切り替わりなどのみに応じた制御を行うことができる。
【0038】
本発明では、上記(a)〜(c)の光源及び調光機構の制御方法のいずれも用いることができるが、以下に説明する例では、(a)の光源及び調光機構の制御方法1を用いている。
このようにして、例えば階調数190が明るさ制御信号に決定された場合、最大明るさ(階調数255)の光量を100%とすると、照明光学系40に入射させる入射光量は、75%(190/255=75%)となり、制御回路60は、照明光学系40に入射させる入射光量が75%となるように、光源10と調光機構20とを駆動する。
本実施の形態の場合、光源10は、具体的には、高圧水銀ランプ11であり、調光機構20は具体的には遮光板21であるから、透過率が75%(遮光率が25%)となるように、高圧水銀ランプ11を駆動する電力値と、遮光板21の回動角度を制御する。
同様に、階調数230が明るさ制御信号である場合、230/255=90%の入射光量が得られるように光源10と調光機構20とを制御する。
一方、制御回路60では、制御回路60で決定された明るさ制御信号と映像信号に基づいて映像信号を適当な階調範囲まで伸張する。例えば最大階調範囲にまで伸張する場合、上記の例では表示可能な最大階調数が255であるから、図9(a)に示す例で明るさ制御信号が階調数190の場合、階調数0〜190までの映像信号を図9(b)に示すように階調数0〜255まで伸張する。このような照明光量の制御と映像信号の伸張処理によって、映像のダイナミックレンジを拡張しつつ、滑らかな階調表現を実現することができる。
【0039】
(2)投射拡大率による制御
投射レンズ52のズーミングに対応させて制御する。通常は液晶ライトバルブ(被照明領域)における単位面積あたりの光量が一定であるから、拡大側では画面が暗くなり、縮小側で明るくなる傾向にある。したがって、これを補正するように、拡大側に変化させた場合には光量が増えるように、縮小側に変化させた場合には光量が減るように光源10と調光機構20とを制御する。
【0040】
(3)外部からの制御
使用者が好みに応じて、光源10と調光機構20とを制御できるようにする。例えば暗い鑑賞環境においては光量が少なく、明るい鑑賞環境においては光量が多くなるように光源10と調光機構20を制御する。この場合、使用者がコントローラを用いて、もしくは光源10と調光機構20を直接操作するなどして調節する構成としてもよいし、明るさセンサなどを設けて自動的に制御される構成としてもよい。
【0041】
次に、光源10と調光機構20との制御について説明する。
プロジェクター100のコントラスト比は、液晶ライトバルブ30R,30G,30Bにおける最大透過率と最小透過率の比と、光源10の最大減光率と、調光機構20の最大減光率とによって定まる。例えば、液晶ライトバルブの最大透過率が98%で最小透過率が0.245%の場合、液晶ライトバルブ自体のコントラスト比は400:1である。この場合に、光源10と調光機構20とを総合したシステムの減光率が95%であれば、コントラスト比を8000:1に高めることができる。
制御回路60は、入力画像信号Dr、Dg、及びDbに基づく明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量を決定し、この入射光量が得られるように、光源10の第1減光率と調光機構20の第2減光率とを決定する。
【0042】
具体的には、制御回路60は不揮発性のメモリで構成される制御テーブルTBLを備えており、制御テーブルTBLを参照することによって、第1減光率及び第2減光率を決定している。図2に制御テーブルTBLの記憶内容を示す。制御テーブルTBLは、入射光量と対応づけて、第1減光率、第2減光率、及び伸長率を記憶している。したがって、入射光量が決定されると、制御テーブルTBLを参照することにより、第1減光率、第2減光率、及び伸長率を特定することができる。
このようにして、例えば、階調数190が明るさ制御信号に決定された場合、最大明るさ(階調数255)の光量を100%とすると、照明光学系40に入射させる入射光量は、75%(190/255=75%)となる。そして、制御テーブルTBLを参照することにより、制御回路60は、照明光学系40に入射させる入射光量が75%となるように、光源10の減光率を63%とし、調光機構20の減光率を32%と特定する。また、階調数0〜190までの映像信号を階調数0〜255まで伸張するように、伸長率を128%と特定する。
【0043】
制御回路60は、特定された伸長率に従って、入力画像信号Dr、Dg、及びDbを伸長した出力画像信号Vr、Vg、及びVbを生成する。また、制御回路60は、特定された第1減光率に従って第1制御信号CTL1を生成する。照明駆動回路70は、第1制御信号CTL1に基づく電力値で、高圧水銀ランプ11を駆動するので、光源10の減光率は第1減光率となる。なお、光源10の減光率は、光源10が発光可能な最大光量をLmax、現在の光量をLxとしたとき、「1−Lx/Lmax」で与えられる。また、制御回路60は、特定された第2減光率に従って第2制御信号CTL2を生成する。遮光板駆動回路80は、第2制御信号CTL2に基づいて、調光機構20の遮光板21の角度を調整する。これにより、調光機構20の減光率は第2減光率となるように調整される。なお、調光機構20の減光率は、調光機構20に入射する光の光量をLin、調光機構20から出射する光の光量をLoutとしたとき、「1−Lout/Lin」で与えられる。
【0044】
ここで、第1減光率に基づく光源10による調光をランプ調光、第2減光率に基づく調光機構20による調光をメカ調光、ランプ調光とメカ調光とを複合したシステム全体の減光率をシステム減光率と称する。システム減光率は、ランプ調光の第1減光率とメカ調光の第2減光率の積で与えられる。
これらの関係を式にすると次のようになる。
システム減光率[%]=100%−(100%−ランプ調光の減光率[%])×(100%−メカ調光の減光率[%])
例えば、上記したように照明光学系40に入射させる入射光量が75%となるように、光源10の減光率を63%とし、調光機構20の減光率を32%とした場合、複合したシステム減光率は、75%となる(図3参照)。このように、制御回路60は、照明光学系40に入射させる入射光量に応じて、必要な複合したシステム減光率を得るために、図3に示すように、ランプ調光及びメカ調光の減光率を各々設定する。
【0045】
この例では、ランプ調光の第1減光率は、システム減光率が増加するにつれ直線的に増加し、その最大値は80%となっている。第1減光率の最大値は、高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率である最大減光率に設定されている。システム減光率が0%である場合、液晶ライトバルブに入射する光の入射光量が最大光量となる。従って、制御回路60は、入射光量が最大光量から減少するにつれ、ランプ調光の第1減光率を単調増加させてシステム減光率が最大となる95%において最大減光率となるように制御するとともに、必要とされるシステム減光率を補うようにメカ調光の第1減光率を増加させている。
【0046】
このように、ランプ調光とメカ調光とを組み合わせることにより、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、また構造を簡素化することができる。さらに、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源10の消費電力を削減することができ、しかも、メカ調光の第2減光率の変化範囲を狭くできるので、色ムラの発生を抑制できる。
なお、ランプ調光の第1減光率がメカ調光の第2減光率を上回るように制御したのは、消費電力の削減を優先しつつ、遮光板21の熱負荷を軽減するためである。
【0047】
<2.第2実施形態>
第2実施形態に係るプロジェクター100は、制御テーブルTBLの記憶内容を除いて、図1に示す第1実施形態のプロジェクター100と同様に構成されている。
図4に、第2実施形態の制御回路で実行するランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率の関係を示す。
【0048】
この例では、所望のシステム減光率を得るのにランプ調光で調整が可能な範囲はランプ調光のみで調光し、ランプ調光のみではシステム減光率を確保できない範囲において、メカ調光を併用している。
【0049】
上述したようにランプ調光の最大減光率は80%である。制御回路60は、入射光量が最大光量から減少するにつれ、ランプ調光の第1減光率が最大減光率である80%に達するまではメカ調光の第2減光率をゼロとして第1減光率を増加させる。そして、制御回路60は、ランプ調光の第1減光率が80%(最大減光率)に達した後は、メカ調光の第2減光率を増加させて、システム減光率が0%から95%の範囲で変化するように制御する。
【0050】
このような制御を行うことにより、ランプ調光では減光ができないレベルまで減光を行なうことができるので、コントラスト比を高めることができダイナミックレンジの広い画像を表示することが可能となる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。また、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源10の消費電力を削減することができる。くわえて、メカ調光の遮光板による減光は小さくできるので液晶ライトバルブに入射する光の斜め方向の成分を低減でき、色ムラを改善することができる。
【0051】
<3.第3実施形態>
第3実施形態に係るプロジェクター100は、制御テーブルTBLの記憶内容を除いて、図1に示す第1実施形態のプロジェクター100と同様に構成されている。
この例では、所望のシステム減光率を得るのに高圧水銀ランプ11のハロゲンサイクルが正常に機能する範囲はランプ調光のみで調光し、ハロゲンサイクルが異常となる範囲では、メカ調光を併用している。
【0052】
高圧水銀ランプ11の電極は、タングステンが用いられるのが一般的であり、高温になるとタングステンが昇華する。高圧水銀ランプ11では、昇華してガラスに析出したタングステンがランプの内部に気化されているハロゲンと化合しハロゲン化タングステンを形成する。この物質は高温の電極先端付近で分解しタングステンが再び電極に戻る。この一連の化学変化をハロゲンサイクルと呼ぶ。この反応によりタングステンの蒸発による電極の損耗が抑制されるため、長寿命化が図られる。しかしながら、高圧水銀ランプ11の減光率を高くすると、水銀の圧力が低下し、一部が液体となり、そこにハロゲンが取り込まれてしまう。すると、ハロゲンの量が減り、正常にハロゲンサイクルが機能しなくなってしまう。この結果、タングステンが高圧水銀ランプ11の内壁に析出し、黒くなる黒化現象が起こる。
高圧水銀ランプ11においてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率としたとき、この例では、第1基準減光率が30%となる。
【0053】
図5に、第3実施形態の制御回路で実行するランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率の関係を示す。同図に示すように、制御回路60は、入射光量が最大光量から減少するにつれ、ランプ調光の第1減光率が第1基準減光率である30%に達するまでは、メカ調光の第2減光率をゼロとして第1減光率を増加させ、第1減光率が30%(第1基準減光率)に達した後はメカ調光の第2減光率を増加させて、システム減光率が0%から95%の範囲で変化するように制御する。
【0054】
このような制御を行うことにより、高圧水銀ランプ11のハロゲンサイクルを正常に機能させつつ、所望のシステム減光率を得るにはランプ調光で不足する分をメカ調光で補うことができる。この結果、高圧水銀ランプ11の長寿命化を図りつつ、コントラスト比を高めることができる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。また、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源10の消費電力を削減することができる。
【0055】
<4.第4実施形態>
第4実施形態に係るプロジェクター100は、制御テーブルTBLの記憶内容を除いて、図1に示す第1実施形態のプロジェクター100と同様に構成されている。
この例では、所望のシステム減光率を得るのに投射された画像の色ずれが許容値に達するまでは、ランプ調光のみで調光し、色ずれの許容値を超える範囲では、メカ調光を併用している。
【0056】
高圧水銀ランプ11は、発光輝度に応じて発光スぺクトルが変化する。従って、ランプ調光によって第1減光率を次第に大きくしていくと、第1減光率がゼロの場合と比較して、スクリーンSに投射される色がずれてしまう。図6にCIE u',v'色度図上での白の色ずれΔu',v'とランプ調光の第1減光率との関係を示す。この図に示すように第1減光率が大きくなる程、色ずれΔu',v'は大きくなる。この例において、人の視覚によって色ずれが許容される限界となる許容値(所定の基準)は「0.010」であり、これに対応する減光率である第2基準減光率は54%となる。なお、許容値は、プロジェクター100の用途などによって適宜定まる。
【0057】
図7に、第4実施形態の制御回路で実行するランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率の関係を示す。同図に示すように、制御回路60は、入射光量が最大光量から減少するにつれ、ランプ調光の第1減光率が第2基準減光率である54%に達するまでは、メカ調光の第2減光率をゼロとして第1減光率を増加させ、第1減光率が54%(第2基準減光率)に達した後はメカ調光の第2減光率を増加させて、システム減光率が0%から95%の範囲で変化するように制御する。
【0058】
このような制御を行うことにより、色ずれが許容される範囲で、光源10の消費電力を削減することができ、所望のシステム減光率を得るにはランプ調光で不足する分をメカ調光で補うことができる。この結果、コントラスト比を高めることができる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。
【0059】
<5.第5実施形態>
第1、第2及び第4実施形態に係るプロジェクター100は、ランプ調光とメカ調光とを組み合わせてシステム全体の調光を実行した。これに対して、第6実施形態のプロジェクターは、所定の条件が充足された場合には、メカ調光のみで調光を実行し、所定の条件が充足されない場合は、第1、第2及び第4実施形態と同様の調光動作を実行する点で相違する。
【0060】
第3実施形態で説明したように、ランプ調光の減光率が高い状態を長時間続けた場合に、高圧水銀ランプ11の内部のハロゲンサイクルの機能が低下し、蒸発した電極の成分がランプの内壁に析出し劣化する現象が生じる。このような不具合を防ぐために、第1減光率が高い状態が長く続いた場合には、一時的にランプ調光を止めて、高輝度で駆動する必要がある。
第5実施形態の制御回路60は、ランプ調光の第1減光率の時間変化を監視しており、第1減光率の時間変化が所定の条件を充足すると、高圧水銀ランプ11の劣化を抑制するため所定期間において、光源10が所定の輝度で発光するように第1減光率を設定し、且つ、所望のシステム減光率が得られるようにメカ調光の第2減光率を制御する。
【0061】
図8に、第5実施形態の制御回路が所定期間に実行するランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率の関係を示す。この例では、光源10が最大輝度(所定の輝度)で発光するように第1減光率をゼロに設定し、システム減光率の全てをメカ調光の第2減光率で担うように制御している。なお、所定期間以外では、制御回路60は第1乃至第3及び第5実施形態と同様の調光動作を実行する。
【0062】
このような制御を行うことにより、高圧水銀ランプ11の劣化を抑制することができ、高圧水銀ランプ11の長寿命化を図ることができる。また、メカ調光を備えない場合には、所定期間において、システム減光率を制御することができないので、コントラスト比が低下してしまうが、本実施形態によれば、所定期間においてもコントラスト比を向上させることができる。さらに、所定期間を短くすれば、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。この場合には、通常の動作期間と劣化を抑制の所定期間を交互に繰り返せばよい。
【0063】
<6.第6実施形態>
図12を参照して本発明の第6実施形態について説明する。図12は第6実施形態に係るプロジェクター101の構成を示すブロック図である。
第6実施形態は、投射型表示装置として、DLP(Digital Light Processing)方式のプロジェクター101を採用した例である。このDLP方式で使用されるマイクロミラーの集合体素子は、DMD(Digital Mirror Device )と呼ばれている。そのため、ここではマイクロミラーの集合体素子をDMDと呼ぶ。DMDは、多数の微細なマイクロミラーを1枚のパネル状に形成したものである。これらのマイクロミラーは、それぞれ±10度程度傾けることが可能に装着されている。1つのミラーは、1つの画素に対応して例えば+10度に傾いた時に光源ランプからの入射光を投射レンズの方向に反射し、−10度に傾いた時に投射レンズの方向に反射しないように作用させる。従って、表示映像のデジタル信号を受け取ったDMDがそのミラー1つ1つの傾斜角度を変え、光源ランプから発せられた光のオン/オフを行う仕組みになっており、オン/オフというデジタルで色階調を制御できるため、色ムラの無い鮮明な画像を得ることができるプロジェクタとして構成することが可能である。
【0064】
第6実施形態に係るDLP方式のプロジェクターでは、3枚の液晶ライトバルブ30R,30G,30Bの代わりに、図12に示すうに、赤色(R色),緑色(G色),青色(B色)の各々に対応する3枚のDMD(Digital Mirror Device )31R,31G,31Bを備える。
調光機構20から出射された白色光は、ダイクロイックミラー41に入射され、白色光中の 赤色光rが反射されるとともに、青色光bと緑色光gとが透過する。ダイクロイックミラー41で反射した赤色光rはDMD31Rに入射し、DMD31Rにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射する。一方、ダイクロイックミラー41を透過した光は、ダイクロイックミラー42に入射して 、緑色光gが ダイクロイックミラー42によって反射され、さらに、反射ミラー46で反射され、DMD31Gに入射され、DMD31Gにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射される。さらに、ダイクロイックミラー42を透過した青色光bは、反射ミラー43で反射され、DMD31Bに入射され、DMD31Bにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射される。
【0065】
制御回路60は、明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量(各DMDに入射させる入射光量と等価)を決定するとともに、前記入力画像信号Dr、Dg、及びDbを適当な階調範囲に伸長する。
伸長された画像信号は、DAコンバーターにより、アナログ信号に変換された後、出力画像信号Vr、Vg、及びVbとして、各DMD31R、31G、及び31Bに供給される。また、制御回路60は、DMD31R、31G、及び31Bを駆動する制御信号をDMD31R、31G、及び31Bに供給する。
第6実施形態のDLP方式のプロジェクター101も、図1に示す第1実施形態のプロジェクター100と同様に、明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量を決定し、この入射光量を得られるように、光源10の第1減光率と調光機構20の第2減光率とを決定して、第1減光率と第2減光率に基づいて、光源10と調光機構20とを制御する。
具体的な制御の方法等については、上述した第1実施形態〜第5実施形態で説明した事項が本実施形態においても適用可能である。
DLP方式のプロジェクター101としては、カラーホイールと1枚のDMDの構成であっても良い。
尚、上記各実施形態では、ランプ11の例として、高圧水銀ランプの例を記載したが、この他にも、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプなどの高輝度放電ランプや白熱電球(レフランプ)、LEDランプなどを採用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
100,101……プロジェクター、10……光源、11……高圧水銀ランプ、20……調光機構、21……遮光板、30R,30G,30B……液晶ライトバルブ、31R,31G,31B……DMD、60……制御回路、70……照明駆動回路、80……遮光板駆動回路、CTL1……第1制御信号、CTL2……第2制御信号、Dr,Dg, Db……入力画像信号、S……スクリーン、TBL……制御テーブル、Vr,Vg,Vb……出力画像信号。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ調光とメカ調光を備えた投射型表示装置及びその制御方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
近年、大画面をスクリーンに表示する投射型表示装置としてプロジェクターが普及している。プロジェクターは、画面の大型化には有利であるが、表示コントラストが液晶ライトバルブでのコントラストに依存するため、十分なコントラストが得られないという問題があった。そこで、液晶ライトバルブへの入射光量を調整するために、画像信号に応じて光源の輝度を変化させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。さらに、光源から液晶ライトバルブまでの光路上に機械式の調光手段を設けたプロジェクターも知られている(例えば、特許文献2)。機械式の調光手段は、遮光板を開閉するものであり、絞りとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−66501号公報
【特許文献2】特許第4158618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光源として高圧水銀ランプを用いることがある。高圧水銀ランプは減光率が高い状態を長時間継続すると、ランプ内部のハロゲンサイクルの機能が低下し、蒸発した電極の成分がランプの内壁に析出する黒化現象が生じる。このため、ランプ調光には、減光率に一定の限界があり、コントラストを十分高くできないといった問題があった。さらに、ランプ調光では、光量を低下させると、発光スペクトルが変化し、色ずれが発生するといった問題があった。
一方、機械式のメカ調光は、遮光板の熱の負荷が大きいので使用材料や構造が制約され、また、光源の消費電力を削減できないといった問題があった。さらに、メカ調光には、減光率を変化させると、液晶ライトバルブに入射する斜め光の成分が変化するため、色むらが発生するといった問題があった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、ランプ調光とメカ調光の問題点を改善することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る投射型表示装置は、光源と、入射した光を光変調する光変調部と、前記光源と前記光変調部との間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、前記光変調部からの光を投射する投射部と、表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記光変調部に入射させる入射光量を決定し、前記入射光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記光変調に供給し、前記入射光量に基づいて、前記光源の減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定する制御部と、 前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動する光源駆動部と、前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する調光駆動部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、ランプ調光とメカ調光とを組み合わせることにより、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、調光部の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、また構造を簡素化することができる。さらに、ランプ調光とメカ調光を複合して得られるシステム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源の消費電力を削減することができ、しかも、メカ調光の第2減光率の変化範囲を狭くできるので、画像のムラを抑制できる。
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明に係る投射型表示装置は、高圧水銀ランプを備えた光源と、入射した光を光変調する液晶ライトバルブと、前記光源と前記液晶ライトバルブとの間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、前記液晶ライトバルブからの光を投射する投射部と、表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定する処理と、前記入射光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記液晶ライトバルブに出力する処理と、前記入射光量に基づいて、前記高圧水銀ランプの減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定する処理とを実行する制御部と、前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動する光源駆動部と、前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する調光駆動部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ランプ調光とメカ調光とを組み合わせることにより、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、調光部の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、また構造を簡素化することができる。さらに、ランプ調光とメカ調光を複合して得られるシステム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源の消費電力を削減することができ、しかも、メカ調光の第2減光率の変化範囲を狭くできるので、画像のムラを抑制できる。
【0009】
上述した投射型表示装置において、前記制御部は、前記第1減光率が前記第2減光率より大きくなるように決定することが好ましい。この場合は、消費電力の削減を優先しつつ、調光部の熱負荷を軽減するためである。
【0010】
上述した投射型表示装置において、前記高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率を最大減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記最大減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記最大減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、ことが好ましい。
【0011】
この発明によれば、ランプ調光では減光ができないレベルまで減光を行なうことができるので、コントラスト比の高い画像を表示することが可能となる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、調光部の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。また、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源の消費電力を削減することができる。くわえて、メカ調光のみの場合と比較して調光部による減光は小さくできるので液晶ライトバルブに入射する光の斜め方向の成分を低減でき、画像のムラを改善することができる。
【0012】
上述した投射型表示装置において、前記高圧水銀ランプにおいてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、ことが好ましい。
【0013】
この発明によれば、高圧水銀ランプのハロゲンサイクルを正常に機能させつつ、所望のシステム減光率を得るにはランプ調光で不足する分をメカ調光で補うことができる。この結果、高圧水銀ランプの長寿命化を図りつつ、コントラスト比を高めることができる。また、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源の消費電力を削減することができる。
【0014】
上述した投射型表示装置において、前記液晶ライトバルブは複数の色に各々対応する液晶パネルを備え、前記高圧水銀ランプを次第に減光した場合に投射された画像の色ずれが所定の基準に達する減光率を第2基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、色ずれが許容される範囲で、光源の消費電力を削減することができ、所望のシステム減光率を得るにはランプ調光で不足する分をメカ調光で補うことができる。この結果、コントラスト比を高めることができる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、調光部の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。
【0016】
上述した投射型表示装置において、前記制御部は、前記高圧水銀ランプの劣化を抑制する所定期間において、前記光源が所定の輝度で発光するように前記第1減光率を設定し、且つ、前記入射光量が得られるように前記第2減光率を制御することが好ましい。この発明によれば、高圧水銀ランプの劣化を抑制することができ、高圧水銀ランプの長寿命化を図ることができる。また、メカ調光を備えない場合には、所定期間において、システム減光率を制御することができないので、コントラスト比が低下してしまうが、本発明によれば、所定期間においてもコントラスト比を向上させることができる。
【0017】
本発明は、高圧水銀ランプを備えた光源と、入射した光を光変調する液晶ライトバルブと、前記光源と前記液晶ライトバルブとの間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、前記液晶ライトバルブからの光を投射する投射部とを備えた投射型表示装置を制御する方法として把握することもできる。
この場合、投射型表示装置の制御方法は、表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定し、決定した光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記液晶ライトバルブに供給し、決定された前記入射光量に基づいて、前記高圧水銀ランプの減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定し、前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動し、前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する、ことを特徴とする。
【0018】
また、上述した投射型表示装置の制御方法において、前記高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率を最大減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記最大減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記最大減光率に達した後は前記第2減光率を増加させることが好ましい。
【0019】
また、上述した投射型表示装置の制御方法において、前記高圧水銀ランプにおいてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させることが好ましい。
【0020】
また、上述した投射型表示装置の制御方法において、投射型表示装置が前記液晶ライトバルブは複数の色に各々対応する液晶パネルを備える場合には、前記高圧水銀ランプを次第に減光した場合に投射された画像の色ずれが所定の基準に達する減光率を第2基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させることが好ましい。
【0021】
また、上述した投射型表示装置の制御方法において、前記高圧水銀ランプを抑制する所定期間において、前記光源が所定の輝度で発光するように前記第1減光率を設定し、且つ、前記入射光量が得られるように前記第2減光率を制御することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクターのブロック図である。
【図2】制御テーブルの記憶内容を説明するための説明図である。
【図3】第1実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図4】第2実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図5】第3実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図6】色ずれとランプ調光の第1減光率との関係を示すグラフである。
【図7】第4実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図8】第5実施形態に係るプロジェクターのランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率との関係を示すグラフである。
【図9】画素データの階調数毎の出現数分布(ヒストグラム)を説明するための説明図であり、(a)は出現数分布に含まれる最も明るい階調数が190の例を示す図、(b)は階調数0〜190までの映像信号を階調数0〜255まで伸長した例を示す図である。
【図10】映像信号の出現数分布を説明するための説明図である。
【図11】複数のブロックに分割した画面を説明するための説明図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係るプロジェクターのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター100の構成を示すブロック図である。
まず、プロジェクター100の機械的な構成について説明する。プロジェクター100は、白色の光を発光する光源10と、光源10からの光を遮光板を可動することによって調光する機械式の調光機構20、赤色(R色),緑色(G色),青色(B色)の各々に対応する液晶ライトバルブ30R,30G,30B、調光機構20から射出する光を液晶ライトバルブ30R,30G,30Bに導く照明光学系40、液晶ライトバルブ30R,30G,30Bを透過した光を合成してスクリーンSに投射する投射光学系50を備える。
【0024】
光源10は、高圧水銀ランプなどのランプ11と、ランプ11の光を反射するリフレクター12を備える。調光機構20は、システム光軸Cに対して軸対称に配置された一対の遮光板21と、遮光板21の面と平行な方向に延在する一対の回動軸22と、回動軸22に設けられたステッピングモータ(図示せず)とを備える。遮光板21は回動軸22の回転により、回動するようになっている。
照明光学系40は、ダイクロイックミラー41及び42と、反射ミラー43,44,及び45とを備える。照明光学系40によって分光された各色光が液晶ライトバルブ30R,30G,30Bに導かれる。
【0025】
調光機構20から出射された白色光は、ダイクロイックミラー41に入射され、白色光中の 赤色光rが反射されるとともに、青色光bと緑色光gとが透過する。ダイクロイックミラー41で反射した赤色光rは反射ミラー45で反射されて液晶ライトバルブ30Rに入射し、液晶ライトバルブ30Rにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射する。一方、ダイクロイックミラー41を透過した光は、ダイクロイックミラー42に入射して 、緑色光gが ダイクロイックミラー42によって反射され、液晶ライトバルブ30Gに入射し、液晶ライトバルブ30Gにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射する。一方、ダイクロイックミラー42を透過した青色光bは、反射ミラー43及び44で反射され、液晶ライトバルブ30Bに入射し、液晶ライトバルブ30Bにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射する。
【0026】
液晶ライトバルブ30R,30G,30Bには、複数の走査線と、複数のデータ線と、走査線とデータ線の交差に対応して複数の画素が形成されている、複数の画素の各々は、子画素電極と、走査線に介して供給される走査信号に応じてオン・オフが制御され、データ線と画素電極との間に設けられた薄膜トランジスターと、画素電極と対向する対向電極と、画素電極と対向電極とに挟持された液晶とを備える。また、液晶ライトバルブ30R,30G,30Bには、複数の走査線に順次アクティブとなる走査信号を供給する走査線駆動回路と、表示すべき階調に応じたレベルを有する点順次の画像信号を線順次のデータ信号に変換して複数のデータ線に供給するデータ線駆動回路とを備える。各画素の薄膜トランジスターは走査信号がアクティブになると、オン状態となりデータ線を介して供給されるデータ信号を画素電極に供給する。対向電極には一定の電位が供給される。これにより、液晶には、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、透過率が制御される。
【0027】
投射光学系50は、クロスダイクロイックプリズム51及び投射レンズ52を備える。クロスダイクロイックプリズム51は4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。クロスダイクロイックプリズム51に入射された3つの色光はここで合成されて カラー画像を表す光が形成される。合成された光は投射レンズ52によりスクリーンS上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0028】
次に、プロジェクター100の電気的な構成について説明する。プロジェクター100は、制御中枢として機能する制御回路60、第1制御信号CTL1に基づいて光源10を駆動する照明駆動回路70、及び第2制御信号CTL2に基づいて調光機構20を駆動する遮光板駆動回路80を備える。
【0029】
制御回路60には、赤色の画像を示す入力画像信号Dr、緑色の画像を示す入力画像信号Dg、及び青色の画像を示す入力画像信号Dbが供給される。制御回路60はこれらの入力画像信号Dr、Dg、及びDbに基づいて、明るさ制御信号を決定する。
制御回路60は、この明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量(各液晶ライトバルブに入射させる入射光量と等価)を決定するとともに、前記入力画像信号Dr、Dg、及びDbを適当な階調範囲に伸長する。
伸長された画像信号は、DAコンバーターにより、アナログ信号に変換された後、出力画像信号Vr、Vg、及びVbとして、各液晶ライトバルブ30R、30G、及び30Bに供給される。また、制御回路60は、液晶ライトバルブ30R、30G、及び30Bに設けられた走査線駆動回路及びデータ線駆動回路を駆動する制御信号を液晶ライトバルブ30R、30G、及び30Bに供給する。
ここで、プロジェクター100の制御方法に関しては、(1)表示映像適応型の制御、の他に、(2)投射拡大率による制御、(3)外部からの制御、などが考えられる。以下にそれぞれの方法について説明する。
【0030】
(1)表示映像適応型の制御
まず、表示映像適応型の制御、すなわち明るい映像シーンでは光量が多くなり、暗いシーンでは光量が少なくなるような表示映像に適応した明るさ制御を行う場合について考える。この場合、上記で説明したように、制御回路60で入力画像信号Dr、Dg、及びDbに基づいて明るさ制御信号が決定されるが、その方法には例えば次の3通りが考えられる。
【0031】
(a)注目しているフレームに含まれている画素データのうち、明るさが最大の階調数を明るさ制御信号とする方法(明るさ制御信号決定方法1)。
例えば0〜255の256ステップの階調数を含む映像信号を想定する。連続した映像を構成する任意の1フレームに着目した場合、そのフレームに含まれる画素データの階調数毎の出現数分布(ヒストグラム)が、図9(a)に示すようになったとする。この図の場合、ヒストグラムに含まれる最も明るい階調数が190であるので、この階調数190を明るさ制御信号とする。この方法は、入力される入力画像信号Dr、Dg、及びDbに対し、最も忠実に明るさを表現できる方法である。
【0032】
(b)注目しているフレームに含まれている階調数毎の出現数分布(ヒストグラム)より、最大の明るさから出現数について一定の割合(例えば10%)となる階調数を明るさ制御信号とする方法(明るさ制御信号決定方法2)。
例えば映像信号の出現数分布が図10に示すようであった場合、ヒストグラムより明るい側から10%の領域をとる。10%に相当するところの階調数が230であったとすると、この階調数230を明るさ制御信号とする。図10に示したヒストグラムのように、階調数255の近傍に突発的なピークがあった場合、上記(a)の方法(明るさ制御信号決定方法1)を採用すれば、階調数255が明るさ制御信号となる。しかしながら、この突発的なピーク部分は画面全体における情報としてはあまり意味をなしていない。これに対して、階調数230を明るさ制御信号とする本方法は、画面全体の中で情報として意味を持つ領域によって判定する方法と言うことができる。なお、上記の割合は2〜50%程度の範囲で変化させてもよい。
【0033】
(c)画面を複数のブロックに分割して、ブロック毎、含まれている画素の階調数の平均値を求め、最大のものを明るさ制御信号とする方法(明るさ制御信号決定方法3)。
例えば図11に示すように、画面をm×n個のブロックに分割し、それぞれのブロックA11,…,Amn毎の明るさ(階調数)の平均値を算出し、そのうちで最大のものを明るさ制御信号とする。なお、画面の分割数は6〜200程度とすることが望ましい。この方法は、画面全体の雰囲気を損なうことなく、明るさを制御できる方法である。
本発明では、上記(a)〜(c)の明るさ制御信号決定方法のいずれも用いることができるが、以下に説明する例では、(a)の明るさ制御信号決定方法1を用いている。
なお、上記(a)〜(c)の明るさ制御信号決定方法においては、明るさ制御信号の判定を、表示領域全体に対して行う他に、例えば表示領域の中央部分など、特定の部分だけに上記方法を適用することもできる。この場合、視聴者が注目している部分から明るさを決定するような制御の仕方が可能となる。
【0034】
次に制御回路60において、上記の方法で決定した明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量を決定し、この入射光量を得られるように、光源10の減光率(以下、第1減光率と称する。)と調光機構20の減光率(以下、第2減光率と称する。)とを決定して、第1減光率と第2減光率に基づいて、光源10と調光機構20とを制御するが、この方法にも例えば次の3通りが考えられる。
【0035】
(a)出力された明るさ制御信号に応じてリアルタイムで制御する方法(光源及び調光機構の制御方法1)。
この方法は映像の明るさに完全に追従する点で理想的ではあるが、映像の内容により画面の明暗が短い周期で変化することもあり、鑑賞時に余計なストレスを感じるなどの問題が発生する恐れがある。
【0036】
(b)出力された明るさ制御信号にLPF(ローパスフィルター)をかけ、その出力で制御する方法(光源及び調光機構の制御方法2)。
例えばLPFによって1〜30秒以下の明るさ制御信号の変化分をカットし、その出力によって制御する。この方法によれば、細かい時間の変化分はカットされるため、上記のような短い周期での明暗の変化を避けることができる。
【0037】
(c)明るさ制御信号の切り替わりエッジを検出する方法(光源及び調光機構の制御方法3)。
明るさ制御信号に所定の大きさ以上(例えば60階調以上)の変化があった場合にのみ光源10と調光機構20とを制御する。この方法によれば、シーンの切り替わりなどのみに応じた制御を行うことができる。
【0038】
本発明では、上記(a)〜(c)の光源及び調光機構の制御方法のいずれも用いることができるが、以下に説明する例では、(a)の光源及び調光機構の制御方法1を用いている。
このようにして、例えば階調数190が明るさ制御信号に決定された場合、最大明るさ(階調数255)の光量を100%とすると、照明光学系40に入射させる入射光量は、75%(190/255=75%)となり、制御回路60は、照明光学系40に入射させる入射光量が75%となるように、光源10と調光機構20とを駆動する。
本実施の形態の場合、光源10は、具体的には、高圧水銀ランプ11であり、調光機構20は具体的には遮光板21であるから、透過率が75%(遮光率が25%)となるように、高圧水銀ランプ11を駆動する電力値と、遮光板21の回動角度を制御する。
同様に、階調数230が明るさ制御信号である場合、230/255=90%の入射光量が得られるように光源10と調光機構20とを制御する。
一方、制御回路60では、制御回路60で決定された明るさ制御信号と映像信号に基づいて映像信号を適当な階調範囲まで伸張する。例えば最大階調範囲にまで伸張する場合、上記の例では表示可能な最大階調数が255であるから、図9(a)に示す例で明るさ制御信号が階調数190の場合、階調数0〜190までの映像信号を図9(b)に示すように階調数0〜255まで伸張する。このような照明光量の制御と映像信号の伸張処理によって、映像のダイナミックレンジを拡張しつつ、滑らかな階調表現を実現することができる。
【0039】
(2)投射拡大率による制御
投射レンズ52のズーミングに対応させて制御する。通常は液晶ライトバルブ(被照明領域)における単位面積あたりの光量が一定であるから、拡大側では画面が暗くなり、縮小側で明るくなる傾向にある。したがって、これを補正するように、拡大側に変化させた場合には光量が増えるように、縮小側に変化させた場合には光量が減るように光源10と調光機構20とを制御する。
【0040】
(3)外部からの制御
使用者が好みに応じて、光源10と調光機構20とを制御できるようにする。例えば暗い鑑賞環境においては光量が少なく、明るい鑑賞環境においては光量が多くなるように光源10と調光機構20を制御する。この場合、使用者がコントローラを用いて、もしくは光源10と調光機構20を直接操作するなどして調節する構成としてもよいし、明るさセンサなどを設けて自動的に制御される構成としてもよい。
【0041】
次に、光源10と調光機構20との制御について説明する。
プロジェクター100のコントラスト比は、液晶ライトバルブ30R,30G,30Bにおける最大透過率と最小透過率の比と、光源10の最大減光率と、調光機構20の最大減光率とによって定まる。例えば、液晶ライトバルブの最大透過率が98%で最小透過率が0.245%の場合、液晶ライトバルブ自体のコントラスト比は400:1である。この場合に、光源10と調光機構20とを総合したシステムの減光率が95%であれば、コントラスト比を8000:1に高めることができる。
制御回路60は、入力画像信号Dr、Dg、及びDbに基づく明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量を決定し、この入射光量が得られるように、光源10の第1減光率と調光機構20の第2減光率とを決定する。
【0042】
具体的には、制御回路60は不揮発性のメモリで構成される制御テーブルTBLを備えており、制御テーブルTBLを参照することによって、第1減光率及び第2減光率を決定している。図2に制御テーブルTBLの記憶内容を示す。制御テーブルTBLは、入射光量と対応づけて、第1減光率、第2減光率、及び伸長率を記憶している。したがって、入射光量が決定されると、制御テーブルTBLを参照することにより、第1減光率、第2減光率、及び伸長率を特定することができる。
このようにして、例えば、階調数190が明るさ制御信号に決定された場合、最大明るさ(階調数255)の光量を100%とすると、照明光学系40に入射させる入射光量は、75%(190/255=75%)となる。そして、制御テーブルTBLを参照することにより、制御回路60は、照明光学系40に入射させる入射光量が75%となるように、光源10の減光率を63%とし、調光機構20の減光率を32%と特定する。また、階調数0〜190までの映像信号を階調数0〜255まで伸張するように、伸長率を128%と特定する。
【0043】
制御回路60は、特定された伸長率に従って、入力画像信号Dr、Dg、及びDbを伸長した出力画像信号Vr、Vg、及びVbを生成する。また、制御回路60は、特定された第1減光率に従って第1制御信号CTL1を生成する。照明駆動回路70は、第1制御信号CTL1に基づく電力値で、高圧水銀ランプ11を駆動するので、光源10の減光率は第1減光率となる。なお、光源10の減光率は、光源10が発光可能な最大光量をLmax、現在の光量をLxとしたとき、「1−Lx/Lmax」で与えられる。また、制御回路60は、特定された第2減光率に従って第2制御信号CTL2を生成する。遮光板駆動回路80は、第2制御信号CTL2に基づいて、調光機構20の遮光板21の角度を調整する。これにより、調光機構20の減光率は第2減光率となるように調整される。なお、調光機構20の減光率は、調光機構20に入射する光の光量をLin、調光機構20から出射する光の光量をLoutとしたとき、「1−Lout/Lin」で与えられる。
【0044】
ここで、第1減光率に基づく光源10による調光をランプ調光、第2減光率に基づく調光機構20による調光をメカ調光、ランプ調光とメカ調光とを複合したシステム全体の減光率をシステム減光率と称する。システム減光率は、ランプ調光の第1減光率とメカ調光の第2減光率の積で与えられる。
これらの関係を式にすると次のようになる。
システム減光率[%]=100%−(100%−ランプ調光の減光率[%])×(100%−メカ調光の減光率[%])
例えば、上記したように照明光学系40に入射させる入射光量が75%となるように、光源10の減光率を63%とし、調光機構20の減光率を32%とした場合、複合したシステム減光率は、75%となる(図3参照)。このように、制御回路60は、照明光学系40に入射させる入射光量に応じて、必要な複合したシステム減光率を得るために、図3に示すように、ランプ調光及びメカ調光の減光率を各々設定する。
【0045】
この例では、ランプ調光の第1減光率は、システム減光率が増加するにつれ直線的に増加し、その最大値は80%となっている。第1減光率の最大値は、高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率である最大減光率に設定されている。システム減光率が0%である場合、液晶ライトバルブに入射する光の入射光量が最大光量となる。従って、制御回路60は、入射光量が最大光量から減少するにつれ、ランプ調光の第1減光率を単調増加させてシステム減光率が最大となる95%において最大減光率となるように制御するとともに、必要とされるシステム減光率を補うようにメカ調光の第1減光率を増加させている。
【0046】
このように、ランプ調光とメカ調光とを組み合わせることにより、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、また構造を簡素化することができる。さらに、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源10の消費電力を削減することができ、しかも、メカ調光の第2減光率の変化範囲を狭くできるので、色ムラの発生を抑制できる。
なお、ランプ調光の第1減光率がメカ調光の第2減光率を上回るように制御したのは、消費電力の削減を優先しつつ、遮光板21の熱負荷を軽減するためである。
【0047】
<2.第2実施形態>
第2実施形態に係るプロジェクター100は、制御テーブルTBLの記憶内容を除いて、図1に示す第1実施形態のプロジェクター100と同様に構成されている。
図4に、第2実施形態の制御回路で実行するランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率の関係を示す。
【0048】
この例では、所望のシステム減光率を得るのにランプ調光で調整が可能な範囲はランプ調光のみで調光し、ランプ調光のみではシステム減光率を確保できない範囲において、メカ調光を併用している。
【0049】
上述したようにランプ調光の最大減光率は80%である。制御回路60は、入射光量が最大光量から減少するにつれ、ランプ調光の第1減光率が最大減光率である80%に達するまではメカ調光の第2減光率をゼロとして第1減光率を増加させる。そして、制御回路60は、ランプ調光の第1減光率が80%(最大減光率)に達した後は、メカ調光の第2減光率を増加させて、システム減光率が0%から95%の範囲で変化するように制御する。
【0050】
このような制御を行うことにより、ランプ調光では減光ができないレベルまで減光を行なうことができるので、コントラスト比を高めることができダイナミックレンジの広い画像を表示することが可能となる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。また、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源10の消費電力を削減することができる。くわえて、メカ調光の遮光板による減光は小さくできるので液晶ライトバルブに入射する光の斜め方向の成分を低減でき、色ムラを改善することができる。
【0051】
<3.第3実施形態>
第3実施形態に係るプロジェクター100は、制御テーブルTBLの記憶内容を除いて、図1に示す第1実施形態のプロジェクター100と同様に構成されている。
この例では、所望のシステム減光率を得るのに高圧水銀ランプ11のハロゲンサイクルが正常に機能する範囲はランプ調光のみで調光し、ハロゲンサイクルが異常となる範囲では、メカ調光を併用している。
【0052】
高圧水銀ランプ11の電極は、タングステンが用いられるのが一般的であり、高温になるとタングステンが昇華する。高圧水銀ランプ11では、昇華してガラスに析出したタングステンがランプの内部に気化されているハロゲンと化合しハロゲン化タングステンを形成する。この物質は高温の電極先端付近で分解しタングステンが再び電極に戻る。この一連の化学変化をハロゲンサイクルと呼ぶ。この反応によりタングステンの蒸発による電極の損耗が抑制されるため、長寿命化が図られる。しかしながら、高圧水銀ランプ11の減光率を高くすると、水銀の圧力が低下し、一部が液体となり、そこにハロゲンが取り込まれてしまう。すると、ハロゲンの量が減り、正常にハロゲンサイクルが機能しなくなってしまう。この結果、タングステンが高圧水銀ランプ11の内壁に析出し、黒くなる黒化現象が起こる。
高圧水銀ランプ11においてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率としたとき、この例では、第1基準減光率が30%となる。
【0053】
図5に、第3実施形態の制御回路で実行するランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率の関係を示す。同図に示すように、制御回路60は、入射光量が最大光量から減少するにつれ、ランプ調光の第1減光率が第1基準減光率である30%に達するまでは、メカ調光の第2減光率をゼロとして第1減光率を増加させ、第1減光率が30%(第1基準減光率)に達した後はメカ調光の第2減光率を増加させて、システム減光率が0%から95%の範囲で変化するように制御する。
【0054】
このような制御を行うことにより、高圧水銀ランプ11のハロゲンサイクルを正常に機能させつつ、所望のシステム減光率を得るにはランプ調光で不足する分をメカ調光で補うことができる。この結果、高圧水銀ランプ11の長寿命化を図りつつ、コントラスト比を高めることができる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。また、システム減光率をランプ調光にも担わせることができるので、光源10の消費電力を削減することができる。
【0055】
<4.第4実施形態>
第4実施形態に係るプロジェクター100は、制御テーブルTBLの記憶内容を除いて、図1に示す第1実施形態のプロジェクター100と同様に構成されている。
この例では、所望のシステム減光率を得るのに投射された画像の色ずれが許容値に達するまでは、ランプ調光のみで調光し、色ずれの許容値を超える範囲では、メカ調光を併用している。
【0056】
高圧水銀ランプ11は、発光輝度に応じて発光スぺクトルが変化する。従って、ランプ調光によって第1減光率を次第に大きくしていくと、第1減光率がゼロの場合と比較して、スクリーンSに投射される色がずれてしまう。図6にCIE u',v'色度図上での白の色ずれΔu',v'とランプ調光の第1減光率との関係を示す。この図に示すように第1減光率が大きくなる程、色ずれΔu',v'は大きくなる。この例において、人の視覚によって色ずれが許容される限界となる許容値(所定の基準)は「0.010」であり、これに対応する減光率である第2基準減光率は54%となる。なお、許容値は、プロジェクター100の用途などによって適宜定まる。
【0057】
図7に、第4実施形態の制御回路で実行するランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率の関係を示す。同図に示すように、制御回路60は、入射光量が最大光量から減少するにつれ、ランプ調光の第1減光率が第2基準減光率である54%に達するまでは、メカ調光の第2減光率をゼロとして第1減光率を増加させ、第1減光率が54%(第2基準減光率)に達した後はメカ調光の第2減光率を増加させて、システム減光率が0%から95%の範囲で変化するように制御する。
【0058】
このような制御を行うことにより、色ずれが許容される範囲で、光源10の消費電力を削減することができ、所望のシステム減光率を得るにはランプ調光で不足する分をメカ調光で補うことができる。この結果、コントラスト比を高めることができる。また、メカ調光の第2減光率を下げることができるので、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。
【0059】
<5.第5実施形態>
第1、第2及び第4実施形態に係るプロジェクター100は、ランプ調光とメカ調光とを組み合わせてシステム全体の調光を実行した。これに対して、第6実施形態のプロジェクターは、所定の条件が充足された場合には、メカ調光のみで調光を実行し、所定の条件が充足されない場合は、第1、第2及び第4実施形態と同様の調光動作を実行する点で相違する。
【0060】
第3実施形態で説明したように、ランプ調光の減光率が高い状態を長時間続けた場合に、高圧水銀ランプ11の内部のハロゲンサイクルの機能が低下し、蒸発した電極の成分がランプの内壁に析出し劣化する現象が生じる。このような不具合を防ぐために、第1減光率が高い状態が長く続いた場合には、一時的にランプ調光を止めて、高輝度で駆動する必要がある。
第5実施形態の制御回路60は、ランプ調光の第1減光率の時間変化を監視しており、第1減光率の時間変化が所定の条件を充足すると、高圧水銀ランプ11の劣化を抑制するため所定期間において、光源10が所定の輝度で発光するように第1減光率を設定し、且つ、所望のシステム減光率が得られるようにメカ調光の第2減光率を制御する。
【0061】
図8に、第5実施形態の制御回路が所定期間に実行するランプ調光及びメカ調光の減光率とシステム減光率の関係を示す。この例では、光源10が最大輝度(所定の輝度)で発光するように第1減光率をゼロに設定し、システム減光率の全てをメカ調光の第2減光率で担うように制御している。なお、所定期間以外では、制御回路60は第1乃至第3及び第5実施形態と同様の調光動作を実行する。
【0062】
このような制御を行うことにより、高圧水銀ランプ11の劣化を抑制することができ、高圧水銀ランプ11の長寿命化を図ることができる。また、メカ調光を備えない場合には、所定期間において、システム減光率を制御することができないので、コントラスト比が低下してしまうが、本実施形態によれば、所定期間においてもコントラスト比を向上させることができる。さらに、所定期間を短くすれば、遮光板21の熱負荷を軽減することができ、その使用材料の自由度を拡げることができ、さらに構造を簡素化することができる。この場合には、通常の動作期間と劣化を抑制の所定期間を交互に繰り返せばよい。
【0063】
<6.第6実施形態>
図12を参照して本発明の第6実施形態について説明する。図12は第6実施形態に係るプロジェクター101の構成を示すブロック図である。
第6実施形態は、投射型表示装置として、DLP(Digital Light Processing)方式のプロジェクター101を採用した例である。このDLP方式で使用されるマイクロミラーの集合体素子は、DMD(Digital Mirror Device )と呼ばれている。そのため、ここではマイクロミラーの集合体素子をDMDと呼ぶ。DMDは、多数の微細なマイクロミラーを1枚のパネル状に形成したものである。これらのマイクロミラーは、それぞれ±10度程度傾けることが可能に装着されている。1つのミラーは、1つの画素に対応して例えば+10度に傾いた時に光源ランプからの入射光を投射レンズの方向に反射し、−10度に傾いた時に投射レンズの方向に反射しないように作用させる。従って、表示映像のデジタル信号を受け取ったDMDがそのミラー1つ1つの傾斜角度を変え、光源ランプから発せられた光のオン/オフを行う仕組みになっており、オン/オフというデジタルで色階調を制御できるため、色ムラの無い鮮明な画像を得ることができるプロジェクタとして構成することが可能である。
【0064】
第6実施形態に係るDLP方式のプロジェクターでは、3枚の液晶ライトバルブ30R,30G,30Bの代わりに、図12に示すうに、赤色(R色),緑色(G色),青色(B色)の各々に対応する3枚のDMD(Digital Mirror Device )31R,31G,31Bを備える。
調光機構20から出射された白色光は、ダイクロイックミラー41に入射され、白色光中の 赤色光rが反射されるとともに、青色光bと緑色光gとが透過する。ダイクロイックミラー41で反射した赤色光rはDMD31Rに入射し、DMD31Rにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射する。一方、ダイクロイックミラー41を透過した光は、ダイクロイックミラー42に入射して 、緑色光gが ダイクロイックミラー42によって反射され、さらに、反射ミラー46で反射され、DMD31Gに入射され、DMD31Gにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射される。さらに、ダイクロイックミラー42を透過した青色光bは、反射ミラー43で反射され、DMD31Bに入射され、DMD31Bにより、光変調されて、クロスダイクロイックプリズム51に入射される。
【0065】
制御回路60は、明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量(各DMDに入射させる入射光量と等価)を決定するとともに、前記入力画像信号Dr、Dg、及びDbを適当な階調範囲に伸長する。
伸長された画像信号は、DAコンバーターにより、アナログ信号に変換された後、出力画像信号Vr、Vg、及びVbとして、各DMD31R、31G、及び31Bに供給される。また、制御回路60は、DMD31R、31G、及び31Bを駆動する制御信号をDMD31R、31G、及び31Bに供給する。
第6実施形態のDLP方式のプロジェクター101も、図1に示す第1実施形態のプロジェクター100と同様に、明るさ制御信号に基づいて、照明光学系40に入射させる入射光量を決定し、この入射光量を得られるように、光源10の第1減光率と調光機構20の第2減光率とを決定して、第1減光率と第2減光率に基づいて、光源10と調光機構20とを制御する。
具体的な制御の方法等については、上述した第1実施形態〜第5実施形態で説明した事項が本実施形態においても適用可能である。
DLP方式のプロジェクター101としては、カラーホイールと1枚のDMDの構成であっても良い。
尚、上記各実施形態では、ランプ11の例として、高圧水銀ランプの例を記載したが、この他にも、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプなどの高輝度放電ランプや白熱電球(レフランプ)、LEDランプなどを採用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
100,101……プロジェクター、10……光源、11……高圧水銀ランプ、20……調光機構、21……遮光板、30R,30G,30B……液晶ライトバルブ、31R,31G,31B……DMD、60……制御回路、70……照明駆動回路、80……遮光板駆動回路、CTL1……第1制御信号、CTL2……第2制御信号、Dr,Dg, Db……入力画像信号、S……スクリーン、TBL……制御テーブル、Vr,Vg,Vb……出力画像信号。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧水銀ランプを備えた光源と、
入射した光を光変調する液晶ライトバルブと、
前記光源と前記液晶ライトバルブとの間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、
前記液晶ライトバルブからの光を投射する投射部と、
表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定する処理と、前記入射光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記液晶ライトバルブに出力する処理と、前記入射光量に基づいて、前記高圧水銀ランプの減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定する処理とを実行する制御部と、
前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動する光源駆動部と、
前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する調光駆動部と、
を備えることを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1減光率が前記第2減光率より大きくなるように決定することを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率を最大減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記最大減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記最大減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記高圧水銀ランプにおいてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項5】
前記液晶ライトバルブは複数の色に各々対応する液晶パネルを備え、
前記高圧水銀ランプを次第に減光した場合に投射された画像の色ずれが所定の基準に達する減光率を第2基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項2に記載の投射型表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記高圧水銀ランプの劣化を抑制する所定期間において、前記光源が所定の輝度で発光するように前記第1減光率を設定し、且つ、前記入射光量が得られるように前記第2減光率を制御することを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項7】
高圧水銀ランプを備えた光源と、入射した光を光変調する液晶ライトバルブと、
前記光源と前記液晶ライトバルブとの間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、前記液晶ライトバルブからの光を投射する投射部とを備えた投射型表示装置の制御方法であって、
表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定し、
決定した光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記液晶ライトバルブに供給し、
決定された前記入射光量に基づいて、前記高圧水銀ランプの減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定し、
前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動し、
前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する、
ことを特徴とする投射型表示装置の制御方法。
【請求項8】
前記高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率を最大減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記最大減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、
前記第1減光率が前記最大減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項7に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項9】
前記高圧水銀ランプにおいてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項7に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項10】
前記液晶ライトバルブは複数の色に各々対応する液晶パネルを備え、
前記高圧水銀ランプを次第に減光した場合に投射された画像の色ずれが所定の基準に達する減光率を第2基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項7に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項11】
前記高圧水銀ランプを抑制する所定期間において、前記光源が所定の輝度で発光するように前記第1減光率を設定し、且つ、前記入射光量が得られるように前記第2減光率を制御することを特徴とする請求項7に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項12】
光源と、
入射した光を光変調する光変調部と、
前記光源と前記光変調部との間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、
前記光変調部からの光を投射する投射部と、
表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記光変調部に入射させる入射光量を決定し、前記入射光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記光変調に供給し、前記入射光量に基づいて、前記光源の減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定する制御部と、
前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動する光源駆動部と、
前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する調光駆動部と、
を備えることを特徴とする投射型表示装置。
【請求項1】
高圧水銀ランプを備えた光源と、
入射した光を光変調する液晶ライトバルブと、
前記光源と前記液晶ライトバルブとの間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、
前記液晶ライトバルブからの光を投射する投射部と、
表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定する処理と、前記入射光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記液晶ライトバルブに出力する処理と、前記入射光量に基づいて、前記高圧水銀ランプの減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定する処理とを実行する制御部と、
前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動する光源駆動部と、
前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する調光駆動部と、
を備えることを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1減光率が前記第2減光率より大きくなるように決定することを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率を最大減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記最大減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記最大減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記高圧水銀ランプにおいてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項5】
前記液晶ライトバルブは複数の色に各々対応する液晶パネルを備え、
前記高圧水銀ランプを次第に減光した場合に投射された画像の色ずれが所定の基準に達する減光率を第2基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記制御部は、前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項2に記載の投射型表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記高圧水銀ランプの劣化を抑制する所定期間において、前記光源が所定の輝度で発光するように前記第1減光率を設定し、且つ、前記入射光量が得られるように前記第2減光率を制御することを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項7】
高圧水銀ランプを備えた光源と、入射した光を光変調する液晶ライトバルブと、
前記光源と前記液晶ライトバルブとの間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、前記液晶ライトバルブからの光を投射する投射部とを備えた投射型表示装置の制御方法であって、
表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記液晶ライトバルブに入射させる入射光量を決定し、
決定した光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記液晶ライトバルブに供給し、
決定された前記入射光量に基づいて、前記高圧水銀ランプの減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定し、
前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動し、
前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する、
ことを特徴とする投射型表示装置の制御方法。
【請求項8】
前記高圧水銀ランプにおける調整可能な最大の減光率を最大減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記最大減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、
前記第1減光率が前記最大減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項7に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項9】
前記高圧水銀ランプにおいてハロゲンサイクルが正常に機能する最大の減光率を第1基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第1基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項7に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項10】
前記液晶ライトバルブは複数の色に各々対応する液晶パネルを備え、
前記高圧水銀ランプを次第に減光した場合に投射された画像の色ずれが所定の基準に達する減光率を第2基準減光率とし、前記第1減光率及び前記第2減光率をゼロとして前記液晶ライトバルブに入射される最大の光量を最大光量としたとき、
前記入射光量が前記最大光量から減少するにつれ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達するまでは前記第2減光率をゼロとして前記第1減光率を増加させ、前記第1減光率が前記第2基準減光率に達した後は前記第2減光率を増加させる、
ことを特徴する請求項7に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項11】
前記高圧水銀ランプを抑制する所定期間において、前記光源が所定の輝度で発光するように前記第1減光率を設定し、且つ、前記入射光量が得られるように前記第2減光率を制御することを特徴とする請求項7に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項12】
光源と、
入射した光を光変調する光変調部と、
前記光源と前記光変調部との間に設けられ、前記光源から光を機械的に遮光する調光部と、
前記光変調部からの光を投射する投射部と、
表示すべき画像を示す入力画像信号に基づいて、前記光変調部に入射させる入射光量を決定し、前記入射光量に応じて前記入力画像信号を伸長した出力画像信号を前記光変調に供給し、前記入射光量に基づいて、前記光源の減光率である第1減光率と前記調光部の減光率である第2減光率とを決定する制御部と、
前記第1減光率に基づいて前記光源を駆動する光源駆動部と、
前記第2減光率に基づいて前記調光部を駆動する調光駆動部と、
を備えることを特徴とする投射型表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−57930(P2013−57930A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173907(P2012−173907)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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