説明

抗ガン性化合物としてのアントラキノン化合物

【課題】抗ガン性化合物としてのアントラキノン化合物の提供。
【解決手段】本発明は、一般式(I)のアントラキノン化合物又はその塩(式I)に関し、式中、R〜RはそれぞれH、C1−4アルキル、X、−NHRN(R、式(II)の基からなる群より選択され、R〜Rの少なくとも一つが式(II)の基である場合、mは0又は1;nは1又は2;Xはハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシル基、アリールオキシ基又はアシルオキシ基;かつ、Xはハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシル基、アリールオキシ基又はアシルオキシ基である。N−オキシドは、低酸素症の腫瘍中で選択的に生体内還元されて対応する環式アミン誘導体となる有用なプロドラッグである。アミン化合物は細胞毒性を有し、トポイソメラーゼII阻害活性を有するアルキル化剤としてガン治療において使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環置換基を含む窒素で置換された一連のアルキルアミノアントラキノン、及び、この化合物のN−オキシドに関する。この化合物はトポイソメラーゼII阻害活性を有するアルキル化剤であってよい。N−オキシドはプロドラッグである。
【背景技術】
【0002】
抗腫瘍薬に対する耐性はガン化学療法が失敗する際の主要な原因であり、耐性については多くの機構が知られている。例えば、in vitroモデルにおけるDNAミスマッチ修復の欠損によりシスプラチン及びドキソルビシンを含む多くの臨床的に重要な抗腫瘍剤に対する耐性が導かれ、この欠損はhMLH1遺伝子プロモータ領域の過剰メチル化と関連があることが実証されている。この薬物耐性機構に対抗するアプローチの一つには、脱メチル化剤による処理後の、古典的な抗腫瘍剤に対する細胞系の感受性の回復がある。A2780卵巣腫瘍細胞系のシスプラチン耐性変異株(A2780/cp70)のヒト腫瘍異種移植片を脱メチル化剤2’−デオキシ−5−アザシチジンで処理することにより、様々な抗腫瘍剤に対する増感が導かれた。しかし、耐性細胞系と非耐性細胞系との差異を利用して耐性細胞系に対して有効性がより高い抗腫瘍剤で処理することも可能である。
【0003】
過去25年間、DNA非共有結合1,4−二置換アミノアントラキノンについて広範囲に調査された。こうした研究のほとんどは、臨床利用されるアントラサイクリン系抗生物質アナログであるミトキサントロン等の非不斉置換薬剤、及び、現在第I相臨床試験中の、生体内還元により活性化された薬剤であるAQ4N(非特許文献1及び特許文献1)に関するものであった。
【0004】
【化1】

【0005】
AQ6は、Pattersonら(特許文献1)及び非特許文献2が開発した不斉置換アミノアントラキノンであり、Krapchoら(非特許文献3)により報告された。Pattersonは、トポイソメラーゼIIの過剰発現条件下においてAQ6がキネトプラストDNAデカテネーションを阻害し、細胞毒性を増大させることを示した。また、Krapchoらは、AQ6が、結腸癌腫ドキソルビシン耐性細胞系において良好なin vitro細胞毒性を有し、L1210細胞(in vivo)においては穏やかな活性を有することを示した。
【0006】
新規アミノアントラキノンに関する最近の研究から、不斉アミノアントラキノン二種(ZP257及びZP275)は卵巣ガン細胞系の一区画における細胞毒性が非常に大きいことが認められる(非特許文献4)。ZP257及びZP275はP糖タンパク質過剰発現細胞系(2780AD)中においてドキソルビシンとの交差耐性を示すが、野生型と比較してシスプラチン耐性(A2780/cp70)細胞系において著しく活性が高いことが分かっている。AQ6、ZP257及びZP275はミトキサントロンのアナログであり、二つのヒドロキシエチルアミノエチル側鎖の一つがN,N−ジメチルアミノエチル側鎖又はN−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノエチル側鎖で置き換えられている。これら二種の薬剤はA2780及びA2780/cp70両細胞系に対する細胞毒性が高レベルで同等である(すなわち耐性因子(RF)が約1である)。
【0007】
Porsらの記載する化合物の一種であるAlchemixはマスタード誘導体であるため、アルキル化剤である。Alchemixにおいて、アミノアルキルアミノ側鎖の一つにおける二つのN置換基は2−クロロエチルである。他にも多くのマスタード化合物が上記参照文献中に記載されている。
【0008】
A2780/cp70細胞系はhMLH1及びhMSH2を含むDNAミスマッチ修復(MMR)タンパク質が欠損しており、どちらか一方の欠損が、ドキソルビシン、エピルビシン及びミトキサントロン等のトポイソメラーゼII阻害剤に対する耐性に関与することが以前に示されている(非特許文献5)。
【0009】
DNA相互作用薬剤のいくつかのクラスのN−オキシドは、低酸素症の組織中で生体内還元されると活性を示すことが知られている(非特許文献6)。A4QNはこのようなN−オキシドの一例である。DNA結合細胞毒性薬のN−オキシドは、低酸素症の腫瘍組織中において選択的に活性化されて強い細胞毒素となるため、有用である。従来の化学療法及び放射線治療は、酸素処理した血液で十分に灌流した腫瘍組織を優先的に殺傷可能である。低酸素症の腫瘍組織は灌流が不十分で低酸素であるため、伝統的な療法では治療が困難である。生体内還元薬剤は低酸素症の腫瘍組織中で優先的に還元され、活性の細胞毒素となって細胞殺傷力を発揮するため、放射線療法又は細胞毒性薬との併用により全体的な治療効果に寄与する。
【0010】
本出願人らはPorsらの化合物の対応するN−オキシドの合成を試みたが、酸化化合物は不安定で、分離が困難又は不可能であることが分かった。Porsらが記載するマスタード化合物の利点を有し、腫瘍中で選択的に生体内還元され得るプロドラッグ及びその前駆体の作成が望まれるであろう。
【0011】
特許文献1において、アミノアルキルアミノ置換基はN含有環状基を含む可能性があるが、窒素原子に結合したアルカンジイル基は置換されていない。
【特許文献1】国際特許WO−A−9105824号
【非特許文献1】Patterson L.H.Drug Metabolism Reviews,2002,34,581−92
【非特許文献2】Smith P.J.;Blunt N.J.;Desnoyers R.;Giles Y.;Patterson LH.Cancer Chemotherapy and Pharmacology,1997,39,455−461
【非特許文献3】Krapchoら、Journal of Medicinal Chemistry,1991,34,2373−2380
【非特許文献4】Pors K,Paniwnyk Z,Teesdale−Spittle P,Plumb JA,Willmore E,Austin CA,Patterson LH.(2003)Alchemix:A Novel Alkylating Anthraquinone with Potent Activity against Anthracycline− and Cisplatin−resistant Ovarian Cancer.Mol Cancer Ther.2(7):607−610
【非特許文献5】Fedier A.;Schwarz V.A.;Walt H.,Carpini R.D.;Haller U.;Fink D.International Journal of Cancer,2001,93,571−576
【非特許文献6】Patterson L.H. and Mckeown S.R.,Brit J Cancer 2000 83(12),1589−93
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、一般式Iの新規アントラキノン化合物又はその塩が提供される:
【0013】
【化2】

【0014】
式中、R〜RはそれぞれH、C1−4アルキル、X、−NHRN(R(式中、RはC1−12アルカンジイルであり、RはそれぞれH又は任意に置換されたC1−4アルキルである)、式IIの基;
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R、R及びRの少なくとも一つはX及びX置換C1−4アルキルから選択され、それ以外はH又はC1−4アルキルである;RはH、C1−4アルキル、X及びX置換C1−4アルキルから選択される);からなる群より選択され、
〜Rの少なくとも一つが式IIの基である場合、
mは0又は1である;
nは1又は2である;
はハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシル基、アリールオキシ基又はアシルオキシ基である;かつ、
はハロゲン原子、脱離基、水酸基、C1−6アルコキシル基、アリールオキシ基又はアシルオキシ基である。
【0017】
本発明において、R及びRの両方が式IIの基であってよい。これらが式IIの異なる基を表わしてもよいが、一般的にはこの化合物は不斉ではなく、R及びR基は同一であろう。
【0018】
しかし、R及びRは同一ではなく、異なる部位を表わすことが好ましい。このような不斉化合物は、シスプラチン耐性ガン細胞に対する活性が増強されるという利点を有する。好ましくは、Rが式IIの基であり、かつ、RがNHRN(R基である。このR基において、R基は互いに同一であることが好ましく、一般的に水素又はメチルである。
【0019】
及びRの両方がアミノアルキルアミン部位である場合、これらはアントラキノン環系上の1位及び4位でそれぞれ置換されていることが好ましい。アントラキノン環系における番号付けの方法は以下のとおりである:
【0020】
【化4】

【0021】
及びR基は各々、アミノアルキルアミン基の一つ、すなわち一般式IIの基又はNHRN(R基を表わしてもよい。しかし、R及びRは水素及び水酸基から選択されることが好ましく、同一であることが好ましい。R及びRはアントラキノン環系の5位及び8位にそれぞれ位置することが好ましい。本発明の化合物のある群において、R及びRの両方が水素である。化合物の別の群において、R及びRの両方が水酸基である。
【0022】
本発明において、上記化合物は、mが1のN−オキシドの形状であってよい。あるいは、上記化合物は、mが0の非酸化(又は還元)形であってもよい。N−オキシドは、低酸素症の腫瘍中で選択的に生体内還元されて対応するアミンとなる有用なプロドラッグである。アミン化合物は細胞毒性化合物である。これらは、それ自体がガン治療において有用である可能性があるため、本発明は、動物の治療に使用するための薬剤の製造におけるアミンの使用を提供する。本発明は更に、動物の治療に使用するための薬剤の製造におけるN−オキシドの使用を提供する。上記化合物は、ラセミ混合物であってもよいし、窒素原子との結合と向かい合ったR−又はS−エナンチオマーに分かれていてもよい(すなわち、環状ヘテリル基の側鎖が選択された方向にある)。
【0023】
本発明の化合物はnが1のピロリジン誘導体であってもよい。本発明の化合物の別のクラスはnが2のピペリジン誘導体である。
【0024】
本発明の化合物の好ましいクラスの一つはアルキル化剤である。この化合物において、
i)RがCHであり、かつ、RがHである;又は、
ii)RがHであり、かつ、RがXであり、
かつ、式中、Xはハロゲン原子又は脱離基である。その代わりに又はこれに加えて、RはCHCHである。RがCHである場合、Rは同一基であると便利であろう。
【0025】
、X又はXのハロゲン原子の好適な例は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素であり、塩素であることが好ましい。X、X又はXの脱離基(すなわち離核基)の好適な例は、アルキルアリールスルホン酸塩、アシルオキシ又はアリールオキシ基である。
【0026】
好ましくはRはC2−6アルカンジイル基であり、好ましくは鎖状アルカンジイル基である。
【0027】
及びR基がアルキル化剤に関する上記定義のうちの一つでない化合物でも、トポイソメラーゼII阻害剤として作用するDNA結合剤である可能性がある。R、R又はRの一つが水酸基又はヒドロキシアルキル基である化合物は細胞毒性を有する。また、ハロゲン置換化合物は、アルキル化剤(マスタード)となる位置にハロゲンを有していない場合であっても細胞毒性を示す。
【0028】
上記化合物の合成方法は一般的に従来通りである。好ましくは、上記化合物は、前駆体環状アミノアルキルアミンを製造し、これを好適に置換されたアントラキノン化合物と求核置換反応させることにより作られる。上記置換基はハロゲン原子又は別の脱離基であることが好適である。アミノアルキルアミン基が二つある場合、これらは連続的段階で付加されてよい、又は、混合物が許容される場合にはアミノアルキルアミンの混合物を使用して製造されてもよい。
【0029】
本発明によれば、式IIIの化合物:
【0030】
【化5】

【0031】
(式中、R11〜R14はそれぞれ、H、X、水酸基、C1−4アルコキシ、アシルオキシ、−NHR10N(R15基(R10がC1−12アルカンジイルであり、かつ、R15がそれぞれH又は任意に置換されたC1−4アルキルである)であり、R11〜R14の少なくとも一つがXである場合にXはハロゲン原子又は脱離基である):
を一般式IVの環状アミノアルキルアミン化合物:
【0032】
【化6】

【0033】
:と反応させて、X基を求核置換反応において式Vの基:
【0034】
【化7】

【0035】
(式中、R16、R17及びR18の少なくとも一つがそれぞれX及びX置換C1−4アルキルから選択され、それ以外はH又はC1−4アルキルであり、R19はH、C1−4アルキル、X及びX置換C1−4アルキルから選択される;
は水酸基若しくは保護された水酸基である、又は、Xは脱離基若しくはXとは異なるハロゲン原子である):で置き換える方法が提供される。
【0036】
上記方法において、場合によっては、R16、R17、R18及びR19基は、一般式Iの所望の最終生成物におけるR、R、R及びR基と同一であってよい。あるいは、これらの基は所望の末端基の前駆体であって、後の反応段階での反応により所望の置換基R〜Rを生成してもよい。後の反応段階の例としては、水酸基に対して、又は、保護された水酸基の脱保護後に実施するハロゲン化段階を挙げることができる。上記方法において、水酸基又は保護された水酸基であるX基を、任意に脱保護の後に、塩素化剤等のハロゲン化剤と反応させ、その又はそれぞれのX水酸基をハロゲン原子で置き換える。
【0037】
所望の最終生成物がN−オキシドである場合、すなわちmが1でありかつq=0である場合、求核置換反応の生成物の環窒素原子を酸化して、対応するアミンオキシドを形成する。酸化は、クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)、オキサジリジン(oxaziridine)又はジメチルジオキシリン(dimethyldioxirine)(DMD)等の従来の酸化剤を使用して実施する。
【0038】
所望の最終生成物が不斉置換アントラキノンである場合、すなわちR〜R基の一つがNHRN(R基である場合、この化合物を予備求核置換反応で、好ましくは予備段階で反応させる。上記予備段階において、置換されるR11〜R14に対応する基が置換基X(ハロゲン原子又は脱離基)を有するような化合物IIIの前駆体を、アミンHNR10N(R15(R15がH又は任意に置換されたC1−4アルキル基)と反応させる。例えば、R11は脱離基Xであってよく、かつ、アントラキノン環系中のある位置にあってよい。式IIIの化合物中のR12は上記非環式アルキルアミノアルキル基であってよく、前駆体基は脱離基Xであり、かつ、アントラキノン環系中のある位置にあってよい。式IIIの化合物中のR12は上記非環式アルキルアミノアルキル基であってよく、前駆体基は脱離基Xであり、かつ、予備段階においてX基は−NHR10N(R15基で置き換えられる。
【0039】
上記方法において、環式アミノアルキルアミンは市販で入手可能であるか、又は、予備段階で合成可能である。上記開始化合物及びそれらの合成の様々な例を下記実施例中に記載する。環式アミノアルキルアミンのうちのいくつかは新規のものである。
【0040】
本発明の更なる態様によれば、一般式VIIの化合物が提供される:
【0041】
【化8】

【0042】
(式中、R20はC1−12−アルカンジイル基であり、かつ、R26がCHClかつR27がH、又は、R26がHかつR27がClである;
29はH又はR26と同じ基である;
その又はそれぞれのR28はH又はR27と同じ基である;かつ、
rは1又は2である)。
【0043】
20は(CHであることが好ましい。
【0044】
化合物VIIのあるクラスにおいて、rは1である。別のクラスにおいて、rは2である。
【0045】
29はR26と同じであってもよいが、多くの場合はHである。
【0046】
新規環式アミンは、一般式VIIIの水酸基で置換された環式第三級アミン:
【0047】
【化9】

【0048】
(式中、R20及びrは化合物VIIについて定義する通りであり、
21がCHOHかつR22がH、又は、
21がHかつR22がOHである;
24がH又はR21と同じ基である;
その又はそれぞれのR23がH又はR22と同じ基である):
のアミン基を保護し、その後OHをClで置き換える過程により塩素化し、脱保護により式VIIの所望の化合物を得るという予備合成法で作られる。
【0049】
新規環式アミンは、他の薬剤を誘導したりこれらをマスタード誘導体に変換したりする際の有用な出発原料である可能性がある。
【0050】
所望の最終生成物が二つの環式アミノアルキルアミン置換基で非不斉置換された化合物である場合、式IIIの化合物はR11及びR12がXを表わす(両方ともが同じ基である)化合物である可能性があり、反応中に一般式IVのアミン化合物2等量を式IIIの化合物1等量と反応させる。
【0051】
本発明のN−オキシドは有用なプロドラッグである。これらは低酸素症の腫瘍組織中で還元されて活性の環式アミン誘導体になる。これらを関連する細胞毒性薬又は全く異なる細胞毒性薬の投与と併用することにより、全体的な治療効果に寄与可能である。あるいは、環式アミン化合物を、目的の活性を有する部位を更にターゲティングして又はせずに、細胞毒性薬等として投与可能である。細胞毒性の特性、及び、N−オキシドプロドラッグからの活性細胞毒性薬の生成は、下記例中のin vitro実験において実証される。結果から、細胞毒性薬として有用な、特に腫瘍治療における使用に有用なin vivo活性を合理的に予測可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下の例により本発明を説明する。
<<実施例>>
【0053】
【化10】

【0054】
<概略方法1
アミノアルキルアミノ側鎖の合成−概略方法>
1−(2−アミノエチル)ピロリジン及びピペリジン側鎖の合成は二段階過程であった。環式第二級アミンをブロモアセトニトリルによりアルキル化(無水EtN、THF、45〜50℃、30分間、収率63〜92%)し、このニトリルをLiAlHで還元して第一級アミンに変換した(THF、還流、5時間、収率27〜76%)。概略方法を、2−、3−及び4−ヒドロキシピペリジン、2−及び3−ヒドロキシピロリジン、並びに、2−及び6−ビスヒドロキシ−メチルピペリジンに使用する。
【0055】
<概略方法2−アミノアントラキノンの合成>
1,4−ジフルオロ−5,8−ジヒドロキシアントラキノンをN,N−ジメチルエチレンジアミンで処理することにより二置換及び一置換のアントラキノンの混合物を得、これから、フラッシュクロマトグラフィーにより中間体HAQ107を分離した(N,N−ジメチルエチレンジアミン、CN、22℃、24時間、34%)(スキーム2、図1)。その後、純粋なHAQ107をピペリジン又はピロリジン側鎖と共に処理して目標化合物(HAQ71、HAQ73、HAQ110、HAQ111及びHAQ121)を得、精製して非ヒドロキシル化アナログHAQ148を好収率で得た(アミン、CN、90℃、30分〜1時間、51〜65%)。非不斉アントラキノンであるHAQ70及びHAQ105をCの両フルオロ基を1−(2−アミノエチル)ピペリジン側鎖でイプソ置換することにより一段階で合成した(CN、90℃、1時間、34〜37%)(スキーム3、図2)。クロロプロピルアミノアントラキノンCAQ74及びCAQ75の調製を、アルコールを対応ハロゲン化物に転換する際に一般的に使用される複合試薬であるトリフェニルホスフィン−炭素四塩化物で前駆体アルコール(それぞれHAQ70及びHAQ71)を処理することにより実施した(PhP、CCl、CHCl、還流、N、5時間、68〜81%)。
【0056】
<ヒドロキシル化 N−アセトニトリル−ピペリジン及びピロリジンの合成>
参照例1
・3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル−アセトニトリル(S1)
BrCHCN(3.19g、25.82mmol)を、3−ヒドロキシピペリジン(6.53g、64.55mmol)を無水THF(25mL)に溶解した溶液に、N下で温度を45〜50℃の間で維持しながら滴下した。BrCHCNの添加後、溶液を30分間還流し、その後溶液を室温まで冷却した。溶媒を真空中で除去し、溶離液としてCHCl:CHOH(9:1)を使用してフラッシュクロマトグラフィーにより残った油を精製した。表題化合物を淡黄色の油として得た(3.04g、83%)。δ(250MHz;CDCl);1.9−2.15(m,3H,CHCHCH,1xCHCHCHOH),2.25(m,1H,1xCHCHCHOH),2.55(d,OH),2.85−3(m,3H,NCHCH,1xNCHCH),3.1(2xd,1H,1xNCHCH),3.9(s,2H,NCHCN) and 4.3(m,1H,CHCHOH);FAB MS,m/z(M+H) 141.
【0057】
参照例2
・3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル−アセトニトリル(S2)
S1と同様の方法に従い、3−ピペリジンメタノール(4.79g、41.59mmol)、BrCHCN(1.99g、16.64mmol)及び無水THF(25mL)を使用して実施する。溶離液としてCHCl/CHOH(9:1)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより、表題化合物を淡黄色の油として得た(2.35g、92%)。d(250MHz;CDCl);1.05(m,1H,CHCHOH),1.5−1.9(m,5H,OH,CHCHCHand CHCHCH),2.15(t,1H,J=10Hz,1xNCHCH),2.35(3xd,1H,J=4Hz and J=10Hz,1xNCHCH),2.7(m,1H,1xNCHCH),2.85(2xd,1H,J=4Hz and J=12Hz,1xNCHCH),3.52(s,2H,NCHCN) and 3.45−3.65(m,2H,CHCHOH);d(62.9MHz;CDCl);24.43, 26.14, 38.55, 46.75, 52.83, 55.73, 65.88 and 114.74(CN);FAB MS,m/z(M+H) 155.
【0058】
参照例3
・4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル−アセトニトリル(S3)
BrCHCN(28.55g、0.238mmol)を、4−ヒドロキシピペリジン(24.98g、0.216mol)及びEtN(33.18mL、0.238mmol)を無水THF(100mL)に溶解した溶液に、N下で温度を45〜50℃の間で維持しながら滴下した。BrCHCNの添加後、溶液を30分間還流し、その後溶液を室温まで冷却した。溶離液としてエーテル/CHOH(19:1)を使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を淡黄色の油として得た(18.97g、63%)。d(250MHz;CDCl);1.65(m,2H,1xCHCHCH and 1xCHCHCH),1.75(s,1H,OH),1.95(m,2H,1xCHCHCH,1xCHCHCH),2.45(m,2H,1xNCHCH and 1xNCHCH),2.78(m,2H,1xNCHCH and 1xNCHCH),3.55(s,2H,NCHCN) and 3.75(m,1H,CHCHOH);δ(62.9MHz;CDCl);33.96, 46.09, 49.73, 66.58 and 114.71(CN);IR υmax/cm−1;3375(broad),2230, 1420, 1330, 1150 and 1060;FAB MS,m/z(M+H) 141.
【0059】
参照例4
・2−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル−アセトニトリル(S4)
S3と同様の方法に従い、2−ピペリジンメタノール(26.50g、0.230mol)、BrCHCN(30.35g、0.253mol)、EtN(35.27mL、0.253mol)及び無水THF(150mL)を使用して実施する。溶離液としてエーテル/CHOH(19:1)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。表題化合物をエーテルから結晶化させ、クリーム色の結晶を得た(31.46g、89%)。δ(250MHz;CDCl);1.2−1.85(m,6H,NCHCHCH,CHCHCHCH and CHCHCH),2.05(s(broad),6H,OH),2.4(m,1H,NCHCH),2.55(3xd,1H,1xNCHCH),2.95(m,1H,NCHCH),3.45(d,1H,J=17Hz,1xNCHCN),3.5(2xd,1H,J=3Hz and 12Hz,1xCHCHOH),3.76(2xd,1H,J=3Hz and 12Hz,CHCHOH) and 4.05(d,1H,J=17Hz,1xNCHCN);δ(62.9MHz;CDCl);23.71, 25.25, 28.69, 43.43, 54.04, 60.73, 64.46 and 115.05(CN);FAB MS,m/z(M+H) 155;IR υmax/cm−1;3400(OH,m broad),2350 and 2240(CN) and 1650.
【0060】
参照例5
・2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル−アセトニトリル(S11)
S3と同様の方法に従い、2−ピロリジンメタノール(24.27g、0.241mol)、BrCHCN(31.81g、0.265mol)、EtN(37mL、0.265mol)及び無水THF(150mL)を使用して実施する。エーテル/CHOH(19:1)を使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製して、生成物を淡黄色の油として得た(21.60g、64%)。δ(250MHz;CDCl);1.5−2.0(m,5H,CHCHCH,CHCHCH,OH),2.7(m,1H),2.85(m,1H),3.05(m,1H),3.45(2xd,1H,J=4Hz and J=11Hz,1xCHCHOH),3.65(2xd,1H,J=4Hz and 11Hz,1xCHCHOH) and 3.75(d,2H,NCHCN);δ(62.9MHz;CDCl);23.37, 27.45, 40.96, 53.95, 62.43, 63.06 and 115.48(CN);IR υmax/cm−1;3375(NH),3300(NH),3200(OH),2970−2800(CH,CH), 1600, 1475, 1375, 1230 and 1060;FAB MS,m/z(M+H) 141.
【0061】
参照例6
・3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル−アセトニトリル(S12)
S3と同様の方法に従い、3−ヒドロキシピロリジン(15g、0.172mol)、BrCHCN(22.67g、0.189mmol)及び無水THF(60mL)を使用して実施する。溶離液としてCHCl/CHOH(9:1)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより、表題化合物を淡黄色の油として得た(15.39g、71%)。δ(250MHz;CDCl);1.9−2.25(m,2H,2xring−H),2.3(m,1H,ring−H),2.65(d,OH),2.85−3.05(m,3H,3xring−H),3.95(d,2H,NCHCN) and 4.2(m,1H,CHCHOH);FAB MS,m/z(M+H) 127.
【0062】
参照例7
・2,6−ビス−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル−アセトニトリル(S5)
段階1. 2,6−ピペリジンジメタノール(S15)
2,6−ピリジンジメタノール(15g、107.9mmol)を氷酢酸(250mL)中に懸濁し、触媒としてPtO(1.5g)を使用し、大気圧かつ室温で48時間かけて水素化した。その後、触媒をセライト(商標)を通してろ過することにより除去し、酸性溶液を真空中で濃縮して油状残渣を得た。油をEtOAc(50mL)で希釈して氷冷温度で撹拌した。ブライン及び濃縮アンモニア(pH〜12)の飽和溶液をゆっくり添加してpHを11〜12にした。その後、有機相を水相から分け、EtOAc(3x50mL)で抽出した。有機相を合わせて乾燥させ(MgSO)、ろ過して溶媒を真空下で蒸発させることにより、淡黄色の油を得た(5.21g、33%)。FAB MS,m/z(M+H) 146。
【0063】
段階2. S5と同様の方法に従った。2,6−ピペリジンジメタノール(3.80g、26.21mmol)、ヨードアセトニトリル(5.24g、31.45mmol)、EtN(4.38mL、31.45mmol)及び無水DMF(20mL)。溶離液としてCHCl/CHOH(9:1)を使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を淡黄色の油として得た(2.5g、53%)。FAB MS,m/z(M+H) 185。
【0064】
ヨードアセトニトリルはフィンケルシュタイン反応(Finkelstein reaction)により調製した。NaI(4.71g、0.031mmol)のアセトン溶液を撹拌している中にBrCHCN(3.77g、0.0314mmol)を滴下した。NaBrの沈殿が数分で生じ、ハロゲン化物の交換が起こったことが示された。臭化ナトリウムをろ過して除去し、アセトンを真空中で除去した。粗収率(5.24g、100%)。
【0065】
<ヒドロキシル化 N−2−アミノエチルピペリジン及びピロリジンの合成>
参照例8
・1−(2−アミノ−エチル)−ピペリジン−3−オール(S6)
三ツ口丸底フラスコに入れた0℃の無水THF(20mL)にLiAlH(2.44g、64.2mmol)をN下で添加した。この溶液を15分間撹拌した後、無水THF(5mL)中に希釈した3−ヒドロキシピペリジン−1−イル−アセトニトリル(3g、21.4mmol)をシリンジでゆっくり添加した。続いて反応混合物を5時間還流し、その後溶液を室温まで冷却した。2.4mLのHOを滴下することにより過剰量のLiAlHを破壊し、発泡が見られなくなるまでNaOH(15%)2.4mL及び最後にEtOAcを滴下した。形成された顆粒状の沈殿(水酸化リチウム及び水酸化アルミニウム)をろ過により除去し、CHCl及びEtOAcで数回洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去して粘稠で黄みがかった油を得た。表題化合物をクーゲルロール蒸留(kugelrohr distillation)(172℃、0.05ミリバール)で精製し、淡黄色の油として得た(1.95g、63%)。δ(250MHz;CDCl);1.45−1.7(m,3H,CHCHCH,1xCHCHCHOH),1.76(m,1H,1xCHCHCHOH),1.95(s,3H,OH,NH),2.25−2.55(m,6H,HNCHCH,NCHCH,NCHCH),2.75(t,2H,HNCHCH), and 3.9(m,1H,CHCHOH);δ(62.9MHz;CDCl);21.93, 32.01, 38.88, 53.84, 60.80, 61.06 and 66.36;FAB MS,m/z(M+H) 145.
【0066】
参照例9
・[1−(2−アミノ−エチル)−3−ピペリジン−2−イル]メタノール(S7)
S6と同様の方法に従い、3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル−アセトニトリル(2.95g、19.1mmol)、LiAlH(2.18g、57.3mmol)及び無水THF(15mL)を使用して実施する。クーゲルロール蒸留(164℃、0.01ミリバール)により表題化合物を無色の油として得た(2.30g、76%)。δ(250MHz;CDCl);1.1(m,1H,(CHCHOH),1.5−1.9(m,7H,OH,NH,CHCHCH and CHCHCH),1.95(t,1H,J=10Hz,1xNCHCH),2.1(3xd,1H,J=3Hz and 10Hz,1xNCHCH),2.4(t,2H,J=6Hz,HNCHCHN),2.6(m,1H,1xNCHCH,2.8(t,3H,J=6Hz,HNCHCHN and 1xNCHCH),3.45−3.65(m,2H,CHCHOH);δ(62.9MHz;CDCl);24.66, 27.50, 38.19, 38.91, 54.54, 57.43, 61.61 and 66.55;IR υmax/cm−1;3375(broad), 1675, 1625, 1450, 1100 and 1050;FAB MS,m/z(M+H) 159.
【0067】
参照例10
・1−(2−アミノ−エチル)−ピペリジン−4−オール(S8)
S6と同様の方法に従い、4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル−アセトニトリル(18.97g、0.136mol)、LiAlH(15.48g、0.408mol)及び無水THF(150mL)を使用して実施する。クーゲルロール蒸留(178℃、0.05ミリバール)により表題化合物を淡黄色の油として得た(8.56g,44%)。δ(250MHz;CDCl);1.55(m,2H,1xCHCHCH and 1xCHCHCH),1.85(m,2H,1xCHCHCH and 1xCHCHCH),2−2.25(m,5H,NCHCH,NCHCH and OH),2.38(t,2H,HNCHCHN),2.72(t,4H,HNCHCHN,NH) and 3.65(m,1H,CHCHOH);δ(62.9MHz;CDCl);34.56, 38.98, 51.35, 60.84 and 67.64;FAB MS,m/z(M+H) 145;IR υmax/cm−1;3375(broad), 1600, 1460, 1370, 1290 and 1070.
【0068】
参照例11
・[1−(2−アミノ−エチル)−ピペリジン−2−イル]−メタノール(S9)
S6と同様の方法に従い、2−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル−アセトニトリル(31.96g、0.208mol)、LiAlH(23.68g、0.624mol)及び無水THF(200mL)を使用して実施する。クーゲルロール蒸留(225℃、0.13ミリバール)により表題化合物を淡黄色の油として得た(8.74g、27%)。δ(250MHz;CDCl);1.2−1.75(m,6H,CHCHCH,CHCHCH and CHCHCH),2.2(m,1H,1xNCHCH)2.35(m,2H,HNCHCHN),2.58(s(broad),3H,OH and NH),2.75(t,2H,HNCHCHN),2.85(3xd,1H,1xNCHCH),2.92(m,1H,NCHCH),3.4(2xd,1H,J=4Hz and 12Hz,1xCHCHOH) and 3.76(2xd,1H,J=4Hz and 12Hz,1xCHCHOH;FAB MS,m/z(M+H) 159.
【0069】
参照例12
・[1−(2−アミノ−エチル)−ピペリジン−ビス−2,6−イル]メタノール(S10)
S6と同様の方法に従い、2,6−ビス−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル−アセトニトリル(2.40g、13.04mmol)、LiAlH(1.49g、39.13mmol)及び無水THF(30mL)を使用して実施する。精製せずに表題化合物を淡黄色の油として得た(1.03g、42%)。所望のジヒドロキシル化ジアミンの収率を最適化するためには、無水THF中で乾燥して破壊されたLiAlH複合体を40℃で10時間撹拌する必要があることが分かった。FAB MS,m/z(M+H) 189。
【0070】
参照例13
・[1−(2−アミノ−エチル)−ピロリジン−2−イル]−メタノール(S13)
S6と同様の方法に従い、2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル−アセトニトリル(19.5g、0.139mol)、LiAlH(15.84g、0.417mol) 及び無水THF(150mL)を使用して実施する。クーゲルロール蒸留(142℃、0.3ミリバール)により表題化合物を淡黄色の油として得た(12.5g、63%)。δ(250MHz;CDCl);1.6−1.9(m,4H,CHCHCH,CHCHCH),1.98(s(broad),3H,NH,OH),2.3(m,1H),2.45(m,1H),2.55(m,1H),2.75−2,85(m,3H),3.19(m,1H,NCHCH),3.4(2xd,1H,J=3Hz and J=11Hz,1xCHCHOH),3.6(2xd,1H,J=3Hz and J=11Hz,1xCHCHOH);IR υmax/cm−1;3375(NH),3300(NH),3200(OH),2970−2800(CH,CH), 1600, 1475, 1375, 1230 and 1060;FAB MS,m/z(M+H) 145.
【0071】
参照例14
・1−アミノ−エチル−ピロリジン−3−オール(S14)
S6と同様の方法に従い、3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル−アセトニトリル(15g、0.107mol)、LiAlH(10.17g、0.268mol)及び無水THF(150mL)を使用して実施する。表題化合物を淡黄色の油として得(9.55g、69%)、それ以上精製せずに次の段階で使用した。δ(250MHz;CDCl);1.55−1.85(m,2H,2xring−H),2.05(s,3H,OH,NH),2.25−2.55(m,6H,4xring−H and HNCHCHN,2.9(t,2H,HNCHCHN) and 4.05(m,1H,CHCHOH);FAB MS,m/z(M+H) 131.
【0072】
<発色団の調製>
参照例15
・1,5−ジアミノ−4,8−ジヒドロキシアントラキノン
2リットルの丸底フラスコの中に1,5−ジアミノアントラセン−9,10−ジオン(12g、50mmol)を入れた。濃縮硫酸(180g)を添加してこの混合物を0℃で15分間撹拌した後、塩素酸ナトリウム(14.4g、134mmol)を45分間かけて少しずつ添加した。反応混合物を室温まで暖め、この温度で3時間撹拌し続けた後、1%冷亜硫酸水素ナトリウム溶液(1L)中に注いだ。沈殿した固体をろ過により除去し、冷水に続いて湯で連続的に洗浄した。一晩凍結乾燥させた後、生成物を青紫色の粗製の固体として得た(11.3g、83%)。FAB MS,m/z(M+H) 271。
【0073】
参照例16
・5,8−ジヒドロキシロイコキニザリン(dihydroxyleucoquinizarin)(ロイコ−1,4,5,8,−テトラヒドロキシアントラキノン)(B)
粗製の1,5−ジアミノ−4,8−ジヒドロキシアントラキノン(11g、0.041mol)にNaOH(2.5M、200mL)を添加し、この懸濁液を3時間ゆっくり還流した後、室温まで冷却した。水素亜硫酸ナトリウム(31.74g、0.182mol)を少しずつ添加し、反応混合物を3時間再び還流した。これを室温まで冷却し、濃塩酸で酸性化してpH3とした。沈殿をろ過して分離し、冷水に続いて湯で連続的に洗浄した。一晩凍結乾燥させた後、表題化合物を粗製の褐色固体として得た(8g、73%)。FAB MS,m/z(M+H) 251。
【0074】
参照例17
1,4−ジフルオロ−5,8−ジヒドロキシアントラキノン(C)
粉砕したAlCl(2.955g、22.16mmol)、NaCl(432mg、7.39mmol)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(224mg、2.03mmol)及び3,6−ジフルオロフタル(無水)(340mg、1.85mmol)の混合物を丸底フラスコ中で激しく撹拌し、油浴中で3時間かけて220℃に加熱した。油浴を外し、氷及び濃塩酸(10mL)の添加により反応を停止させた。最終的に得た水溶液を吸引ろ過し、沈殿物を水で洗浄した後、凍結乾燥させた。褐色の表題化合物(470mg、92%)はTLCによる観察並びにNMR及びMSによる確認の際に純粋であったため、それ以上の精密な検査の実施は必要なかった。δ(250MHz;CDCl);7.3(s,2H),7.55(m,2H),12.9(s,2H);FAB MS,m/z(M+H) 277.
【0075】
参照例18
・1−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−4−フルオロ−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(HAQ107)
1,4−ジフルオロ−5,8−ジヒドロキシアントラキノン(0.50g、1.812mmol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン(0.16g、1.812mmol)及びピリジン(3mL)を室温で24時間撹拌した。この混合物の反応を冷ブライン(50mL)中で停止させて3時間放置した後、粗生成物をろ過により分離した。MeOHの1〜5%CHCl溶液の勾配溶離を使用するクロマトグラフィーにより粗生成物を分離した。生成物HAQ107を紫色の粉末として得た(0.24g、38%)。δ(250MHz;DMSO);2.35(s,6H,2xNCH)2.7(t,2H,HNCHCHN),3.5(q,2H,HNCHCHN),7.1(s,1H),7.1(s,1H),7.4(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.75(t,2H,C(1)NH and C(4)NH) and 13.4(s,2H,C(5)OH and C(8)OH);δ(62.9MHz;DMSO);FAB MS,m/z(M+H) 344.
【0076】
<発色団置換反応>
実施例1及び2
・ロイコキニザリン(leucoquinizarin)及び5,8−ジヒドロキシロイコキニザリンのアミノ化
1−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−4−{[2−(3−ヒドロキシピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ22)及び1,4−ビス−{[2−(3−ヒドロキシピペリジン−l−イル)エチル]−アミノ}−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ24)
N−N−ジメチルエチレンジアミン(0.92g、10.42mmol)及び1−(2−アミノエチル)−3−ピペリジン−3−オール(1.50g、10.42mmol)をEtOH(5mL)に添加したものを、ロイコキニザリン(0.63g、2.61mmol)をEtOH(25mL)に懸濁した懸濁液にN下で同時に添加した。還流温度で8時間撹拌した後、反応混合物を室温で更に14時間撹拌した。EtOHを真空中で除去して、残った残渣を氷冷ブラインに添加した。沈殿した固体をろ過により分離して凍結乾燥させた。紺青色の固体を短いカラム中で、まずCHClを使用して非極性の副生物を除去し、続いて極性を徐々に増加させて更に副生物を除去し、最後にCHCl/CHOH(4:1)を使用して所望の粗製の構成要素を得ることにより、フラッシュクロマトグラフィーで分離した。粗製の固体は、溶離液としてCHCl/CHOH/NH(94:6:0.75)を使用してフラッシュクロマトグラフィーにより分離した。溶離液としてCHCl/CHOH/NH(94:6:0.75)を使用する分取TLCにより最終精製を実施して純粋な構成要素を得た。HAQ22及びHAQ24を紺青色の固体(0.12g、10%)及び(0.16g、12%)としてそれぞれ得た。
【0077】
HAQ22 δ(250MHz;CDCl);1.5(m,2H,CHCHCH),1.8(m,1H,1xCHCHCH),2.0(m,1H,1xCHCHCH),2.2(t,1H,1xNCHCH),2.3(s,6H,2xNCH),2.5(d,1H,1xNCHCH),2.6−2.8(m,7H,2xNCHCHN,1xNCHCH and OH),3.4(m,4H,2xHNCHCHN),3.9(m,1H,CHCHOH),7.1(d,2H,C(2)H,C(3)H),7.62(m,2H,C(6)H,C(7)H),8.32(m,2H,C(5)H,C(8)H),10.75(t,2H,C(1)NH) and 11(t,1H,C(4)NH);δ(62.9MHz;CDCl);21.18, 31.47, 39.72, 41.13, 45.72, 53.06, 56.05, 58.63, 60.06, 65.99, 110.15, 123.55, 126.16, 131.97, 134.48, 145.78 and 182.41;FAB MS,m/z(M+H) 437;IR υmax/cm−1;3450(broad,OH),3220(NH),3020(Ar−CH),2960−2800(CH−CH), 1650, 1625, 1575, 1480, 1380 and 1220.
【0078】
HAQ24 δ(250MHz;CDCl);1.5−1.9(m,10H,8xring−H and 2xOH),2.1(m,2H,2xring−H),2.25(m,2H,2xring−H),2.5(d,2H,2xring−H),2.75−2.95(m,6H,4xring−H and 2xHNCHCHN),3.5(q,4H,2xHNCHCHN),3.95(m,2H,2xCHCHOH),7.2(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.65(m,2H,C(6)H and C(7)H),8.35(m,2H,C(5)H and C(8)H), and 11.0(t,2H,C(1)NH and C(4)NH);FAB MS,m/z(M+H) 493.
【0079】
以下は本発明の例及び比較例である。反応スキームはスキーム2(図1)及びスキーム3(図2)中に示す。これらのスキームにおいて、段階(I)は、ピリジン中で90℃において30分〜1時間実施するアミノアルキルアミノ側鎖の添加である;段階(II)は、(Ph)PCCl及びCHClを使用し、還流しながらエーテル状HClを使用して3〜10時間実施する塩素化である。スキーム3において、段階(III)は、還流しながらエタノール中で実施する更なる側鎖結合段階である;かつ、段階IVは、ピリジン中で30〜60℃において2〜5時間、エーテル状HClを使用して実施する側鎖水酸基の塩素化である。
【0080】
実施例3
・1,4−ビス−{[2−(3−ヒドロキシメチルピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(HAQ70)
[1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−3−イル]メタノール(1.9g、12mmol)をEtOH(2mL)に添加したものを、5,8−ジヒドロキシロイコキニザリン(272mg、1mmol)をEtOH(15mL)に懸濁した懸濁液を撹拌している中にN下で添加した。還流温度で7時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却して更に16時間撹拌した。EtOHを真空中で除去して、残った残渣を氷冷ブラインに添加した。沈殿した固体をろ過により分離して凍結乾燥させた。CHClを使用し、続いて極性を徐々に増大させてCHCl/CHOH(4:1)を使用することにより、フラッシュクロマトグラフィーで紺青色の固体を分離した。その後、溶離液としてCHCl/CHOH/NH(94:6:0.75)を使用してフラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物を分離した。表題化合物を紺青色の固体として得た(115.9mg、21%)。M.p.180−183℃;δ(250MHz;CDCl);1.1−1.95(m,12H,2xOH and 10xring−H),2.25(m,4H,4xring−H ),2.7(t,6H,2xHNCHCHN and 2xring−H),2.95(2xd,2H,2xring−H),3.5(m,4H,2xHNCHCH),3.65(m,4H,2xCHCHOH),7.1(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.2(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.5(t,2H,C(1)NH and C(4)NH) and 13.6(s,2H,C(5)OH and C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);FAB MS,m/z(M+H) 553;IR υmax/cm−1;3400(OH),3225(NH),3100(Ar−CH),2960−2800(CH,CH), 1650, 1625, 1575, 1480, 1370 and 1225;Anal. calcd for C3040:C, 65.20;H, 5.47;N, 10.14. Found:C, 65.16;H, 5.49;N, 9.93.
【0081】
実施例4
・1,4−ビス−{[2−(3−ヒドロキシメチルピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ38)
スキーム3中には示していないが、HAQ70と同様の方法に従い、ロイコキニザリン(0.23g、0.95mmol)、[1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−3−イル]メタノール(0.06g、3.8mmol)及びエタノール(25mL)を使用して実施した。表題化合物を紺青色の固体として得た(0.15g、29%)。M.p.112−114℃;δ(250MHz;CDCl);1.15(m,2H,2xCHCHCHOH),1.5−1.75(m,6H,2xCHCHCH and 2xCHCHCH),1.85(m,2H,2xCHCHCH),2.3(m,4H,4xring−H),2.5(s(broad),4H,2xring−H,2xOH),2.65(t,4H,J=5Hz,2xHNCHCHN),2.75(2xd,2H,J=3Hz and 12Hz,2xring−H),3.42(q,4H,J=5Hz,2xHNCHCHN),3.55(2xd,2H,J=5Hz and 12Hz,2xCHCHOH),3.7(2xd,2H,J=9Hz and 12Hz,2xCHCHOH),7.1(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.6(m,2H,C(6)H and C(7)H),8.3(m,2H,C(5)H,C(8)H) and 10.75(t,2H,C(1)NH and C(4)NH);δ(62.9MHz;CDCl);24.08, 26.92, 37.90, 40.52, 54.43, 56.95, 57.75, 65.70, 109.89, 123.87, 126.13, 132.09, 134.46, 146.6 and 182.36;FAB MS,m/z(M+H) 521;IR υmax/cm−1;3400(OH),3090(Ar−CH),2960−2800(CH,CH), 1650, 1585, 1550, 1520, 1265, 1175 and 1125;Anal. calcd for C3040:C, 69.21;H, 7.74;N, 10.76. Found:C, 69.22;H, 7.88;N, 10.69.
【0082】
<1,4−ジフルオロ−5,8−ジヒドロキシ−アントラキノンのフッ化物のジアミンによるイプソ置換>
実施例5
・1−[(2−ジメチルアミノ)エチルアミノ]−4−[2−(3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)エチルアミノ]−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ71)
HAQ105(下記実施例7参照)と同様の方法に従い、HAQ107(200mg、0.581mmol)、[1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−3−イル]メタノール(350mg、2.215mmol)、ピリジン(2mL)を使用して、90℃で30分間実施した。生成物を紺青色の粉末として得た(190mg、68%)。M.p.181−183℃;δ(250MHz;CDCl);1.2(m,2H,2xring−H),1.6−1.9(m,5H,OH and 4xring−H),2.18−2.3(m,2H,ring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.6−2.75(m,4H,2xHNCHCHN),2.9(2xd,1H,1xring−H),3.46(m,4H,2xHNCHCHN),3.65(2xd,2H,CHCHOH),7.15(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.2(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.4(t,1H,C(1)H),10.5(t,1H,C(4)H),13.5(s,1H,C(8)H) and 13.6(s,1H,C(5)H);δ(62.9MHz;CDCl);24.33, 26.92, 38.29, 40.03, 40.87, 45.42, 54.23, 57.03, 58.20, 65.99, 108.97, 115.33, 123.43, 123.65, 124.51, 145.99, 146.09, 155.32, and 184.98;FAB MS,m/z(M+H) 483;IR υmax/cm−1;3425(OH),3225(NH),3100(Ar−CH),2975−2800(CH,CH), 1650, 1625, 1575, 1490, 1360 and 1225;Anal. calcd for C2634:C, 64.71;H, 7.10;N, 11.61. Found:C, 64.81;H, 7.14;N, 11.56.
【0083】
実施例6
・1−[(2−ジメチルアミノ)エチルアミノ]−4−[2−(3−ヒドロキシピペリジン−1−イル)エチルアミノ]−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ73)
HAQ105と同様の方法に従い、HAQ107(120mg、0.349mmol)、[1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−3−オール(150mg、1.047mmol)、ピリジン(1mL)を使用して、90℃で30分間実施した。生成物を紺青色の粉末として得た(95mg、58%)。M.p.228−230℃;δ(250MHz;CDCl);1.55−1.75(m,4H,4xring−H),1.83−2.0(m,2H,2xring−H),2.28(2xd,1H,ring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.65−2.75(2xt,5H,2xHNCHCHN and OH),3.46(m,4H,HNCHCHN),3.9(m,1H,NCHCHOH),7.1(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.15(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.4(t,1H,C(1)H),10.6(t,1H,C(4)H),13.4(s,1H,C(8)H) and 13.5(s,1H,C(5)H);δ(62.9MHz;DMSO);21.48, 31.52, 39.99, 41.26, 45.61, 53.31, 56.14, 58.43, 60.20, 66.03, 109.11, 115.43, 115.48, 123.81, 124.70, 146.29, 155.51, and 185.24;FAB MS,m/z(M+H) 469;IR υmax/cm−1;3425(OH),3240(NH),3100(Ar−CH),2975−2800(CH,CH), 1650, 1625, 1575, 1490, 1375 and 1225;Anal. calcd for C2836:C, 64.09;H, 6.88;N, 11.96. Found:C, 63.88;H, 6.89;N, 11.98.
【0084】
実施例7
・1,4−ビス−{[2−(2−ヒドロキシメチルピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ105)
1,4−ジフルオロ−5,8−ヒドロキシアントラキノン(0.17g、0.601mmol)及び[1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−2−イル]メタノール(0.95g、6.01mmol)をピリジン(2mL)中で90℃において1時間撹拌した。反応混合物を氷冷ブラインに添加し、4℃で一晩置いた。沈殿した固体をろ過により分離して凍結乾燥させた。まずCHCl/CHOH(95:5)で溶出して非極性の不純物を除去し、続いてCHOHを徐々に増加させてCHCl/CHOH(85:15)にすることによって、フラッシュクロマトグラフィーにより所望の生成物を精製した。その後、クロマトグラフィーで分離した生成物をCHClから結晶化させて、表題化合物HAQ105を紺青色の粉末として得た(0.11g、34%)。M.p.208−210℃;δ(250MHz;DMSO);1.15−1.65(m,12H,2xOH and 10xring−H),2.25−2.4(m,6H,6xring−H),2.6−2.7(t,4H,2xHNCHCHN),2.85(m,2H,2xring−H),3.55(t,4H,2xHNCHCHN),3.6−3.65(2xd,4H,2xCHCHOH),7.2(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.5(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.75(t,2H,C(1)NH and C(4)NH) and 13.65(s,2H,C(5)OH and C(8)OH);δ(62.9MHz;DMSO);22.55, 24.92, 28.14, 50.99, 52.32, 61.94, 62.42, 107.03, 116.11, 123.89, 125.91, 147.07, 154.46, and 182.88;FAB MS,m/z(M+H) 553;IR υmax/cm−1;3400(OH),3225(NH),3100(Ar−CH),2960−2800(CH,CH), 1650, 1625, 1575, 1480, 1370 and 1225;Anal. calcd for C3040. 1HO:C, 63.14;H, 7.24;N, 9.82. Found:C, 63.07;H, 7.49;N, 9.77.
【0085】
実施例8
・1−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−4−{[2−(2−ヒドロキシメチルピロリジン−l−イル)エチル]−アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ110)
HAQ105と同様の方法に従い、HAQ107(75mg、0.218mmol)、[1−(2−アミノエチル)−ピロリジン−2−イル]メタノール(650mg、4.114mmol)、ピリジン(2mL)を使用して、90℃で1時間実施した。生成物HAQ110を紺青色の粉末として得た(52mg、51%)。M.p.202−203℃;δ(250MHz;DMSO/CDCl(1:1));1.55−1.9(m,4H,4xring−H),2.3(s,6H,2xNCH),2.5−2.55(m,1H,1xring−H),3.25−3.4(m,7H,2xHNCHCHN,2xring−H and OH),3.45−3.6(m,6H,2xHNCHCHN and NCHCHOH),7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.2(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.6−10.7(2xt,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.5(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;DMSO/CDCl(1:1));22.71, 27.65, 41.58, 44.83, 53.38, 53.53, 57.54, 64.07, 64.94, 107.10, 114.81, 123.73, 125.00, 125.11, 146.52, 154.36, and 183.17;FAB MS,m/z(M+H) 469;Anal. calcd for C2532:C, 64.09;H, 6.88;N, 11.96. Found:C, 63.83;H, 6.99;N, 12.05.
【0086】
実施例9
・1−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−4−{[2−(4−ヒドロキシピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ111)
HAQ105と同様の方法に従い、HAQ107(18mg、0.0523mmol)、N−(2−アミノエチル)−ピペリジン−4−オール(140mg、0.97mmol)、ピリジン(1mL)を使用して、90℃で1時間実施した。生成物HAQ111を紺青色の粉末として得た(16.1mg、65%)。M.p.231−233℃;δ(250MHz;DMSO/CDCl(1:1));1.25−1.8(m,6H,6xring−H),2.2−2.25(m,2H,2xring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.5−2.8(m,5H,2xHNCHCHN and 1xOH),3.5−3.55(m,5H,2xHNCHCHN and NCHCHOH),7.1(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.25(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.65(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.65(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;DMSO/CDCl(1:1));27.78, 32.15, 43.72, 49.49, 54.73, 56.39, 65.09, 106.48, 113.66, 122.55, 123.12, 123.39, 144.97, 153.33, 182.56;FAB MS,m/z(M+H) 469;Anal. calcd for C2532.1HO:C, 61.17;H, 6.84;N, 11.52. Found:C, 61.27;H, 6.64;N, 11.40.
【0087】
実施例10
・1,4−ビス−{[2−(3−ヒドロキシピロリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ115)
スキーム3中には示していないが、HAQ105と同様の方法に従い、1,4−ジフルオロ−5,8−ヒドロキシ−アントラキノン(75mg、0.272mmol)、1−(2−アミノエチル)−ピロリジン−3−オール(1g、7.7mmol)、ピリジン(2mL)を使用して、100℃で1時間実施した。生成物HAQ115を紺青色の粉末として得た(59.2mg、44%)。M.p.197−199℃;δ(250MHz;DMSO/CDCl(1:1));1.55−1.65(m,2H,2xring−H),2.0−2.1(m,2H,2xring−H),2.45−2.9(m,10H,8xring−H and 2xOH),2.75−2.85(t,4H,2xHNCHCHN),3.55−3.65(q,4H,2xHNCHCHN),4.05−4.15(m,2H,2xCHCHOH),7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.3(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.55(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.55(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;DMSO/CDCl(1:1));28.01, 34.73, 41.22, 52.18, 54.42, 62.33, 69.26, 107.01, 115.04, 123.79, 124.90, 146.43, 154.38, and 183.21;FAB MS,m/z(M+H) 497;Anal. Calcd for C2632:C, 62.88;H, 6.51;N, 11.28. Found:C, 62.50;H, 6.54;N, 11.00.
【0088】
実施例11
・1,4−ビス−{[2−(4−ヒドロキシピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ116)
HAQ105と同様の方法に従い、1,4−ジフルオロ−5,8−ヒドロキシ−アントラキノン(45mg、0.163mmol)、1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−4−オール(1g、42.6mmol)、ピリジン(2mL)を使用して、90℃で1時間実施した。生成物HAQ116を紺青色の粉末として得た(36.2mg、42%)。M.p.241−244℃;δ(250MHz;CDCl);1.25−1.65(m,12H,12xring−H),1.7−2.0(m,4H,4xring−H),2.65−3.0(m,6H,2xNCHCHN and 2xOH),3.6−3.8(q,4H,2xHNCHCHN),4.1(m,2H,2xCHCHOH),7.2(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.6(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.5(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.6(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);31.67, 39.45, 41.56, 49.56, 54.66, 109.22, 115.40, 124.82, 125.45, 146.39, 154.70, 164.022, and 183.54;FAB MS,m/z(M+H) 525.
【0089】
実施例12
・1−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−4−{[2−(3−ヒドロキシピロリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ120)
HAQ105と同様の方法に従い、HAQ107(45mg、0.13mmol)、1−(2−アミノエチル)−ピロリジン−3−オール(880mg、6.77mmol)、ピリジン(1mL)を使用して、100℃で30分間実施した。生成物HAQ120を紺青色の粉末として得た(24mg、41%)。M.p.195−198℃;δ(250MHz;DMSO/CDCl(1:1));1.55−1.7(m,1H,1xring−H),1.95−2.05(m,2H,2xring−H),2.3(s,6H,2xNCH),2.35−2.4(m,1H,1xring−H),2.5−2.6(t,4H,2xHNCH2CHN),2.6−2.85(m,2H,1xring−H and OH),3.5−3.55(q,4H,2xHNCHCHN),4.25(m,1H,CHCHOH),7.1(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.4(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.5(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.5(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;DMSO/CDCl(1:1));34.19, 41.22, 52.18, 54.42, 62.33, 69.26, 107.18, 114.78, 123.79, 124.90, 146.90, 154.38, and 183.16;FAB MS,m/z(M+H) 455.
【0090】
実施例13
・1−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−4−{[2−(2−ヒドロキシメチルピペリジン−l−イル)エチル]−アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ121)
HAQ105と同様の方法に従い、HAQ107(30mg、0.0872mmol)、[1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−2−イル]メタノール(700mg、4.43mmol)、ピリジン(1mL)を使用して、100℃で30分間実施した。生成物HAQ121を紺青色の粉末として得た(21.3mg、51%)。M.p.201−203℃;δ(250MHz;CDCl);1.7−2.1(m,7H,6xring−H and OH),2.6(s,6H,2xNCH),2.8(m,2H,2xring−H),2.9(t,4H,2xHNCHCHN),2.9−3.1(m,1H,1xNCHCH),3.6−3.65(t,4H,2xHNCHCHN)3.9−4.1(2x,2H,CHCHOH),7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.15(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.5(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.65(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);23.06, 23.93, 26.94, 40.57, 41.13, 45.59, 50.42, 51.88, 58.35, 61.44, 62.65, 108.67, 115.43, 123.45, 124.12, 146.11, 155.24, and 184.63;FAB MS,m/z(M+H) 483;Anal. calcd for C2634:C, 64.71;H, 7.10;N, 11.61. Found:C, 64.45;H, 6.85;N, 11.79.
【0091】
実施例14
・1,4−ビス−{[2−(2−ヒドロキシメチルピロリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ125)
スキーム3中に示すように、HAQ105と同様の方法に従い、1,4−ジフルオロ−5,8−ヒドロキシ−アントラキノン(75mg、0.272mmol)、[1−(2−アミノエチル)−ピロリジン−2−イル]メタノール(1.5g、10.42mmol)、ピリジン(2mL)を使用して、100℃で2時間実施した。生成物HAQ125を紺青色の粉末として得た(58.1mg、41%)。M.p.202−204℃;δ(250MHz;DMSO/CDCl(1:1));1.6−1.9(m,8H,8xring−H),2.2−2.3(m,2H,2xring−H),2.6−2.75(m,6H,2xHNCHCHN and 2xring−H),3.1−3.2(m,2H,2xring−H),3.3−3.6(m,10H,2xHNCHCHN,2xNCHCHOH and 2xOH),7.1(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.5(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.7(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.55(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;DMSO/CDCl(1:1));22.75, 27.65, 41.59, 53.56, 64.08, 64.96, 107.14, 114.92, 123.79, 125.30, 146.65, 154.37, and 183.15;FAB MS,m/z(M+H) 525;Anal. calcd for C2836:C, 64.14;H, 6.87;N, 10.69. Found:C, 64.09;H, 6.98;N, 10.77.
【0092】
実施例15
・1−{[2−(2,6−ジヒドロキシメチルピペリジン−l−イル)エチル]−アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(HAQ143)
HAQ105と同様の方法に従い、HAQ107(78mg、0.227mmol)、[1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−ビス−2,6−イル]メタノール(420mg、2.283mmol)、ピリジン(2mL)を使用して、100℃で30分間実施した。生成物HAQ143を紺青色の粉末として得た(63mg、54%)。M.p.216−218℃;δ(250MHz;CDCl);1.4−1.8(m,6H,6xring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.65(t,2H,1xHNCHCHN),2.75−2.85(s,2H,2xNCHCH),3.0(t,2H,HNCHCHN),3.35−3.45(m,6H,2xHNCHCHN and 2xOH),3.7(d,4H,2xCHCHOH)7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.15(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.5(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.65(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);20.90, 24.85, 41.27, 42.35, 45.63, 50.50, 58.42, 61.95, 64.60, 107.01, 115.38, 123.89, 124.92, 146.39, 155.85, and 185.21;FAB MS,m/z(M+H) 513;Anal. calcd for C2736:C, 63.26;H, 7.08;N, 10.93. Found:C, 62.93;H, 7.12;N, 10.84.
【0093】
実施例16
・1−{[2−(2−ヒドロキシメチルピロリジン−l−イル)エチル]アミノ}−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ163)(スキーム2)
[1−(2−アミノエチル)−ピロリジン−2−イル]メタノール(1.63g、11.3mmol)をピリジン(10mL)に添加したものに1−クロロアントラキノン(1.37g、5.646mmol)を添加し、この混合物を65℃で24時間撹拌した。ピリジンを真空中で除去し、得た油及び固体の混合物をCHCl中に溶解してHO(3x50mL)で洗浄することにより、未反応のアミンを完全に除去した。有機層を分けて真空中で除去し、CHCl/CHOH(97:3)を使用して粗生成物をクロマトグラフィーで分離した。所望の生成物を赤色の粉末として得た(0.21g、11%)。M.p.113−115℃;δ(250MHz;CDCl);1.75−2.0(m,4H),2.25−2.35(m,1H),2.6−2.8(m,2H),3.15−3.3(m,2H),3.35−3.55(m,4H),3.75−3.85(2xd,1H),7.0(2xd,1H),7.45−7.6(m,2H),7.65−7.8(m,2H),8.2(2xd,H),8.45(2xd), and 10.05(s,1H,C(1)NH);δ(62.9MHz;CDCl);24.11, 27.15, 41.64, 52.99, 53.82, 62.61, 65.26, 113.15, 115.60, 126.57, 132.86, 133.81, 135.32, 151.49, 183.77, and 184.89;FAB MS,m/z(M+H) 351;Anal. calcd for C2122:C, 71.98;H, 6.33;N, 8.00. Found:C, 71.79;H, 6.13;N, 8.07.
【0094】
実施例17
・1−{[2−(3−クロロピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ166M)
CAQ166Mの調製は5つの段階を含むものであり、中間体生成物は分離も精製もしなかった。調製は概してスキーム5(図4)に従い、続いてスキーム3(図2)に従う。
(i):モノヒドロキシル化ジアミン側鎖のBoc保護
(ii):Boc保護モノヒドロキシル化ジアミン側鎖のメシル化
(iii):モノメシル化ジアミン側鎖の塩素化
(iv):塩素化ジアミン側鎖のBoc基の脱保護
(v):1−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−4−フルオロ−5,8−ジヒドロキシアントラキノンのフッ化物の塩素化ジアミンによるイプソ置換
【0095】
(i)1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−3−オール(1g、6.94mmol)及びEtN(1.16mL、8.33mmol)をCHOH(10mL)と共に5分間撹拌した後、CHOH(5mL)中に溶解したBocO(1.82g、8.33mmol)を15〜20分間かけて滴下した。その後、反応混合物を45℃で20時間撹拌した後、真空中で濃縮した。油をEtOAc(40mL)中に希釈し、2xHO(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム(MgSO)により乾燥させ、ろ過した後、真空中で濃縮し、それ以上精製する必要なく淡黄色の油を得た(1.35g、80%)。FAB MS,m/z(M+H) 245。
【0096】
(ii)Boc保護アミン(880mg、3.61mmol)及びEtN(755μL、5.41mmol)を無水CHCl(10mL)中に溶解した氷冷溶液に、MsCl(420μL、5.41mmol)をN下で滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、この溶液を冷CHClで希釈し、氷冷NaHCO及び氷冷ブラインで洗浄した。有機相をMgSOにより乾燥させてろ過し、真空中で室温において濃縮した。メシル化物を紺青色の粗製の油として得た(965mg、83%)。FAB MS,m/z(M+H) 323。
【0097】
(iii)粗製のメシラート(965mg、3.01mmol)を無水DMF(5mL)に溶解した溶液を撹拌している中にテトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(2g、7.20mmol)を添加した。反応混合物を90℃で30分間加熱した後、DMFを真空中で除去した。残った油をCHCl中に取り、氷冷NaHCO及び氷冷ブラインで洗浄した。有機相を乾燥(MgSO)させてろ過し、溶媒を真空中で室温において濃縮した。粗生成物を淡黄色で黄みがかった色の油として得た(624mg、79%)。FAB MS,m/z(M+H) 263。
【0098】
(iv)4MのHClをEtOAcに添加したものの中で粗製のクロリド(624mg、2.38mmol)を1時間撹拌し、Boc基を除去した。氷浴中で冷却した酸性EtOAc溶液にブライン及びNHの溶液(pH=12)をゆっくり添加して、水相をpH〜11とした。その後、塩素化ジアミンを有機相中に抽出し、MgSOにより乾燥させた。溶媒を真空中で除去して粗生成物を褐色がかった油として得(175mg、45%)、次の段階で直接使用した。FAB MS,m/z(M+H)163。
【0099】
(v)HAQ107(36mg、0.105mmol)及びBoc脱保護の粗製クロリド(175mg、1.08mmol)の混合物を、ピリジン(2mL)中で室温において2時間反応させた。反応混合物を真空中で濃縮し、まずCHClで溶出して非極性の不純物を除去し、続いてCHOHを徐々に増加させてCHCl/CHOH(97:3)にすることによって粗生成物を精製した。クロマトグラフィーで分離した生成物をCHClから結晶化させた。表題化合物CAQ166Mを紺青色の固体として得た(35g、60%)。M.p. dec. > 300℃;δ(250MHz;CDCl);1.5−1.9(m,4H,4xring−H),2.15−2.25(m,3H,3xring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.65−2.8(2xt,4H,2xHNCHCHN),3.15−3.2(2xd,1H,ring−H),3.45(t,4H,2xHNCHCHN),4.1(m,1H,CHCHCl),7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.15(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.45(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.5(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);24.95, 29.65, 34.88, 40.37, 41.26, 45.63, 52.85, 55.78, 56.28, 58.39, 61.43, 109.23, 115.39, 123.64, 123.78, 124.66, 146.05, 146.24, 155.41, 185.28, and 185.35;FAB MS,m/z(M+H) 487.
【0100】
実施例18
・1−{[2−(4−クロロピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ172)
CAQ166Mと同様の方法に従った。
(i)1−(2−アミノエチル)−ピペリジン−4−オール(2g、13.89mmol)EtN(2.32mL、16.65mmol)、CHOH(20mL)、BocO(3.63g、16.65mmol)をCHOH(5mL)に溶解した。反応混合物を18時間撹拌した。それ以上精製する必要なく、生成物を淡黄色の油として得た(2.35g、69%)。FAB MS,m/z(M+H) 245。
【0101】
(ii)Boc保護アミン(1.70g、6.94mmol)、MsCl(810μL、10.41mmol)、EtN(1.45mL、10.41mmol)、無水CHCl(20mL)。メシル化物を淡黄色の粗製の油として得た(1.39g、62%)。FAB MS,m/z(M+H) 323。
【0102】
(iii)粗製のメシラート(1.39g、4.29mmol)、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(2.38g、8.58mmol)、無水DMF(10mL)、120℃、30分間。粗製のクロリドを淡黄色で黄みがかった色の油として得た(0.73g、65%)。FAB MS,m/z(M+H) 263。
【0103】
(iv)粗製のクロリド(0.73g、2.78mmol)、4M HCl EtOAc、1時間。粗製のBoc脱保護アミンを褐色がかった油として得た(160mg、35%)。FAB MS,m/z(M+H) 163。
【0104】
(v)HAQ107(36mg、0.105mmol)、粗製の脱保護側鎖(160mg、0.98mmol)ピリジン(2mL)、5時間、45℃。表題化合物(CAQ172) を紺青色の固体として得た(31.4mg、54%)。M.p.200−202℃;δ(250MHz;CDCl);1.3−1.75(m,6H,6xring−H),1.95−2.1(m,2H,2xring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.6−2.8(t,4H,2xHNCHCHN),3.3(q,4H,2xHNCHCHN),3.45(m,1H,CHCHCl),7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.1(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.45(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.55(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);24.06, 34.69, 45.38, 50.79, 56.25, 58.96, 109.09, 115.31, 123.77, 123.95, 124.61, 146.12, 146.22, 155.34, 161.33, and 185.29;FAB MS,m/z(M+H) 487;Anal. calcd for C2531ClN.2HCl.3HO:C, 48.90;H, 6.24;N, 9.12. Found:C, 48.77;H, 6.00;N, 9.10.
【0105】
実施例19
・1−{[2−(2−クロロメチルピロリジン−l−イル)エチル]−アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ176M)
CAQ166Mと同様の方法に従った。
(i)[1−(2−アミノエチル)−ピロリジン−2−イル]メタノール(5g、34.72mmol)EtN(5.8mL、41.67mmol)、CHOH(40mL)、BocO(9.10g、41.67mmol)をCHOH(10mL)に溶解した。反応混合物を18時間撹拌した。それ以上精製する必要なく、生成物を淡黄色の油として得た(6.9g、82%)。
【0106】
(ii)Boc保護アミン(5.1g、20.9mmol)、MsCl(2.43mL、31.35mmol)、EtN(4.32mL、31.35mmol)、無水CHCl(50mL)。メシル化物を淡黄色の粗製の油として得た(5.63g、84%)。FAB MS,m/z(M+H) 245。
【0107】
(iii)粗製のメシラート(5.63g、17.48mmol)、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(9.72g、11.26mmol)、無水DMF(30mL)、90℃、30分間。粗製のクロリドを淡黄色で黄みがかった色の油として得た(2.2g、48%)。FAB MS,m/z(M+H) 323。
【0108】
(iv)粗製のクロリド(2g、7.58mmol)、4M HCl EtOAc、1時間。粗製のBoc脱保護アミンを褐色がかった油として得た(675mg、55%)。FAB MS,m/z(M+H) 263。
【0109】
(v)HAQ107(95mg、0.276mmol)、粗製の脱保護側鎖(675mg、4.15mmol)、ピリジン(2mL)、2時間、30℃。表題化合物CAQ176Mを紺青色の固体として得た(63.8mg、41%)。FAB MS,m/z(M+H) 163. M.p.253−255℃;δ(250MHz;CDCl);1.5−1.85(m,4H,4xring−H),2−2.25(m,3H,3xring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.6−2.8(2xt,4H,2xHNCHCHN),3.15(d,1H,1xNCHCHCl),3.4(m,5H,2xHNCHCHN and 1xNCHCHCl),7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.1(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.45(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.55(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);24.93, 34.86, 40.33, 41.19, 45.59, 52.82, 55.78, 56.03, 56.27, 58.35, 61.43, 109.02, 115.40, 123.55, 123.69, 124.49, 146.01, 146.2, 155.32, and 185.11;FAB MS,m/z(M+H) 487;Anal. calcd for C2531ClN.2HCl.2HO:C, 50.38;H, 6.60;N, 9.40. Found:C, 49.81;H, 6.23;N, 9.29.
【0110】
実施例20
・1,4−ビス−{[2−(2−クロロメチルピロリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ177M)
CAQ166Mと同様の方法に従った。
(i)[1−(2−アミノエチル)−ピロリジン−2−イル]メタノール(7g、48.61mmol)EtN(8.12mL、58.33mmol)、CHOH(50mL)、BocO(12.73g、58.33mmol)をCHOH(15mL)に溶解した。反応混合物を20時間撹拌した。それ以上精製する必要なく、生成物を淡黄色の油として得た(9.36g、79%)。FAB MS,m/z(M+H) 245。
【0111】
(ii)Boc保護アミン(8g、32.8mmol)、MsCl(3.81mL、49.2mmol)、EtN(6.85mL、49.2mmol)、無水CHCl(50mL)。生成物を淡黄色の粗製の油として得た(9.06g、86%)。FAB MS,m/z(M+H) 323。
【0112】
(iii)粗製のメシラート(9g、28mmol)、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(13.34g、42mmol)、無水DMF(50mL)、90℃、30分間。粗生成物を淡黄色の油として得た(6.78g、61%)。FAB MS,m/z(M+H) 263。
【0113】
(iv)粗製のクロリド(6.78g、25.7mmol)、4M HCl EtOAc、1時間。粗製のBoc脱保護アミンを褐色がかった油として得た(1.98g、47%)。FAB MS,m/z(M+H) 163。
【0114】
(v)HAQ107(125mg、0.363mmol)、粗製の脱保護側鎖(1.98mg、12.1mmol)、ピリジン(5mL)、4時間、30℃。表題化合物CAQ177Mを紺青色の固体として得た(88.5mg、39%)。M.p. dec. > 300℃;δ(250MHz;DMSO);1.45−1.85(m,6H,6xring−H),2.15−2.35(m,6H,6xring−H),2.65−2.85(m,6H,2xHNCHCHN and 2xring−H),3.15(d,2H,2xNCHCHCl),3.45−3.55(q,4H,2xHNCHCHN),4.15(m,2H,2xNCHCHCl) 7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.15(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.45(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.45(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;DMSO),28.11, 35.05, 41.78, 50.83, 55.43, 60.52, 65.26, 107.91, 114.93, 124.33, 127.56, 144.33, 156.69, 183.28;FAB MS,m/z(M+H) 561;Anal. calcd for C2834Cl.2HCl:C, 53.05;H, 5.72;N, 8.84. Found:C, 53.35;H, 5.84;N, 8.72.
【0115】
実施例21
・1−{[2−(3−クロロピロリジン−l−イル)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ188M)
CAQ166Mと同様の方法に従った。
(i)1−(2−アミノエチル)−ピロリジン−3−オール(1g、7.94mmol) EtN(1.32mL、9.52mmol)、CHOH(10mL)、BocO(2.08g、9.52mmol)をCHOH(5mL)に溶解した。反応混合物を16時間撹拌した。それ以上精製する必要なく、生成物を淡黄色の油として得た(1.54g、86%)。FAB MS,m/z(M+H) 230。
【0116】
(ii)Boc保護アミン(960mg、4.16mmol)、MsCl(483μL、6.24mmol)、EtN(868μL、6.24mmol)、無水CHCl(10mL)。粗生成物を淡黄色の油として得た(1g、78%)。FAB MS,m/z(M+H) 308。
【0117】
(iii)粗製のメシラート(1g、3.24mmol)、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(1.35g、4.86mmol)、無水DMF(10mL)、100℃、30分間。生成物を淡黄色で黄みがかった色の油として得た(705mg、81%)。FAB MS,m/z(M+H) 248。
【0118】
(iv)粗製のクロリド(705mg、2.88mmol)、4M HCl EtOAc、1時間。粗製のBoc脱保護アミンを褐色がかった油として得た(124mg、30%)。FAB MS,m/z(M+H) 148。
【0119】
(v)HAQ107(50mg、0.18mmol)、粗製の脱保護側鎖(124mg、0.86mmol)ピリジン(2mL)、2時間、60℃。生成物CAQ188Mを紺青色の粉末として得た(15mg、15%)。M.p. dec. > 300℃;δ(250MHz;DMSO/CDCl(1:1));1.8−2.15(m,2H,2xring−H),2.3(m,1H,ring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.85−3.05(m,7H),3.8−4.1(m,5H),7.1(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.2(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.45(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.55(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);37.19, 42.31, 52.01, 55.05, 62.05, 68.95, 107.65, 114.40, 124.91, 125.15, 146.09, 154.74, 184.44;FAB MS,m/z(M+H) 473;Anal. calcd for C2429ClN.2HCl.4HO:C, 46.65;H, 6.04;N, 9.07. Found:C, 47.10;H, 5.80;N, 9.07.
【0120】
<PhP−CCl複合体を使用する、ヒドロキシル化アントラキノンの塩素化>
実施例22
・1,4−ビス−{[2−(3−クロロメチルピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−アントラセン−9,10−ジオン(CAQ39)
PhP(377.7mg、1.44mmol)及びCCl(425μL、432mmol)を15分間撹拌した後、HAQ38(125mg、0.24mmol)を無水CHCl(5mL)に溶解した溶液を撹拌している中に還流温度においてN下で滴下した。反応混合物を還流温度で4時間維持した後、室温まで冷却した。エーテル状HClをこの溶液に添加し、1時間撹拌後、沈殿した固体をろ過により除去した。過剰量のPhP及びPhPOを除去するため、沈殿した固体を温CHOH(10mL)中に溶解した。還流下で紺青色の溶液を撹拌しながら、固体の沈殿が観察されるまでEtOAc及びEtOHの混合物(1:1)を添加した。この溶液を1時間おいた後、沈殿した生成物をろ過により分離した;過剰量のPhP及びPhPOがEtOAc/EtOH溶液中に残った。表題化合物を紺青色の固体として得た(98.3mg、65%)。M.p. dec. >300℃;δ(250MHz;CDCl);1.1(m,2H,2xCHCHCHCl),1.75(m,6H,CHCHCH and 2xCHCHCH),2.05(m,4H,ring−H),2.18(3xd,2H,J=3Hz and 10Hz,2xNCHCH),2.73(t,4H,J=9Hz,2xHNCHCHN),2.8(m,2H,ring−H),2.96(2xd,2H,2xNCHCH),3.5(m,8H,2xCHCHCl and 2xHNCHCHN),7.25(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.7(m,2H,C(6)H and C(7)H),8.3(m,2H,C(5)H,C(8)H) and 10.75(t,2H,C(1)NH and C(4)NH);d(62.9MHz;CDCl);24.42, 28.34, 38.47, 40.56, 48.14, 54.22, 57.52, 57.60, 110.30, 123.52, 126.12, 132.01, 134.56, 145.82 and 182.65;FAB MS,m/z(M+H) 557;IR υmax/cm−1;3400(NH),3090, 2960−2825(CH,CH), 1650, 1600, 1585, 1525, 1275, 1025 and 740;Anal. calcd for C3038Cl.2HCl.2HO:C, 54.06;H, 6.65;N, 8.41. Found:C, 54.07;H, 6.27;N, 8.14.
【0121】
実施例23
・1−{[2−(3−クロロピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−アントラセン−9,10−ジオン(CAQ46M)
CAQ39と同様の方法に従い、HAQ22(167mg、0.384mmol)、PhP(302mg、0.152mmol)、CCl(333μL、3.456mmol)及び無水CHCl(2mL)を使用して実施した。6時間還流した後で反応を停止させた。表題化合物を紺青色の固体として得た(131mg、75%)。δ(250MHz;CDCl);1.4−1.8(m,4H,CHCHCH and CHCHCH),2.2(3xd,1H,J=3Hz and 11Hz,1xNCHCH),2.25(d,1H,J=11Hz,1xNCHCH),2.35(s,6H,2xNCH),2.7(t,2H,J=7Hz,HNCHCHN),2.75(t,2H,J=7Hz,HNCHCHN),2.9(m,1H,1xNCHCH),3.15(2xd,1H,J=3Hz and 11Hz,1xNCHCH),3.5(m,4H,2xHNCHCHN),4.05(m,1H,CHCHCl),7.1(d,2H,C(2)H,C(3)H),7.6(m,2H,C(6)H,C(7)H),8.3(m,2H,C(5)H,C(8)H), and 10.75(t,2H,C(1)NH and C(4)NH);δ(62.9MHz;CDCl);24.50, 34.95, 40.42, 41.02, 45.65, 52.99, 55.88, 56.85, 58.55, 61.61, 110.23, 123.41, 126.12, 132.03, 134.48, 145.73 and 182.62;FAB MS,m/z(M+H) 455.
【0122】
実施例24
・1,4−ビス−{[2−(3−クロロメチルピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ74)
CAQ39と同様の方法に従い、HAQ70(142mg、0.26mmol)、PhP(404mg、1.54mmol)、CCl(447μL、4.63mmol)、及び、溶媒としてCHCl/CHCN(4:1)5mLを使用して実施した。5時間還流した後で反応を停止させた。表題化合物を紺青色の固体として得た(117mg、68%)。M.p. dec. > 300℃;δ(250MHz;CDCl/DO(10:1));1.4(m,2H,2xCHCHCHOH),1.85−2.3(m,8H,8xring−H),3.0(m,4H,ring−H),3.4−3.8(m,16H,2xHNCHCHN,2xHNCHCHN) and 8xring−H),6.96(s,2H,C(2)H and C(3)H) and 7(s,2H,C(6)H and C(7)H);δ(62.9MHz;CDCl/DO(10:1)),27.99, 38.45, 40.03, 48.97, 56.36, 58.40, 111.43, 117.38, 126.78, 127.37, 148.32, 156.32, and 187.18;FAB MS,m/z(M+H) 589;Anal. calcd for C3038Cl.2HCl.2HO:C, 51.59;H, 6.35;N, 8.02. Found:C, 51.49;H, 6.14;N, 8.22.
【0123】
実施例25
・1−{[2−(2−クロロメチルピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ75)
CAQ39と同様の方法に従い、HAQ71(48mg、0.1mmol)、PhP(78.7mg、0.3mmol)、CCl(300μL、3.11mmol)及び無水CHCl(10mL)を使用して実施した。5時間還流した後で反応を停止させた。生成物(CAQ75)を紺青色の粉末として得た(46.3mg、81%)。M.p. dec. > 300℃;δ(250MHz;DMSO:CDCl(1:1));1.3−1.45(m,3H,3xring−H),1.45−1.6(m,2H,2xring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.9−3(m,6H),3−3.2(m,2H),3.9(m,4H),4.1(d,2H,CHCHCl),7.15(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.6(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.45(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.35(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);22.45, 25.33, 41.70, 42.56, 54.63, 54.95, 61.95, 107.94, 114.43, 124.41, 125.03, 145.03, 145.81, 155.05, and 184.03;FAB MS,m/z(M+H) 501;Anal. calcd for C2633ClN.2HCl.2HO:C, 51.20;H, 6.44;N, 9.19. Found:C, 51.30;H, 6.18;N, 9.01.
【0124】
実施例26
・1−{[2−(2−クロロメチルピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ183M)
CAQ39と同様の方法に従い、HAQ121(105mg、0.21mmol)、PhP(165.23mg、0.63mmol)、CCl(500μL、5.25mmol)及び無水CHCl(10mL)を使用して実施した。3時間還流した後で反応を停止させた。生成物(CAQ183M)を紺青色の粉末として得た(88.8mg、73%)。M.p.233−235℃;δ(250MHz;CDCl);1.55−2.1(m, 8H,8xring−H),2.8(s,6H,2xNCH),3.2−3.35(m,4H),3.6−3.75(m,2H),3.9−4.15(m,4H),4.2(m,1H),7.15(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.6(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.45(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.35(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);21.60, 26.03, 36.70, 42.21, 51.73, 54.85, 62.25, 108.34, 114.23, 124.81, 124.93, 145.83, 145.90, 154.65, and 184.20;FAB MS,m/z(M+H) 501;Anal. calcd for C2633ClN.2HCl.3HO:C, 49.73;H, 6.58;N, 8.92. Found:C, 50.09;H, 6.27;N, 8.96.
【0125】
実施例27
・1−{[2−(2,6−ジクロロメチルピペリジン−l−イル)エチル]−アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ187M)
CAQ39と同様の方法に従い、HAQ143(14mg、0.0273mmol)、PhP(43mg、0.164mmol)、CCl(79μL、0.82mmol)及び無水CHCl(5mL)を使用して実施した。5時間還流した後で反応を停止させた。生成物(CAQ187M)を紺青色の粉末として得た(12.2mg、81%)。δ(250MHz;CDCl);1.3−1.65(m,6H,6xring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.7(t,2H,1xHNCHCHN),2.8−2.9(m,2H,2xNCHCH),3.0(t,2H,1xHNCHCHN),3.35−3.45(q,4H,2xHNCHCHN),3.8−3.9(d,4H,2xCHCHCl) 7.1(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.15(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.55(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.65(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);FAB MS,m/z(M+H) 549.
【0126】
実施例28
・1,4−ビス−{[2−(2−クロロメチルピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ190M)
CAQ39と同様の方法に従い、HAQ105(60mg、0.109mmol)、PhP(171.5mg、0.654mmol)、CCl(190μL、1.96mmol)及び無水CHCl(5mL)を使用して実施した。5時間還流した後で反応を停止させた。生成物(CAQ190M)を紺青色の粉末として得た(49.8mg、78%)。M.p. decompose > 300℃;δ(250MHz;DMSO);1.5−1.65(m,4H,4xring−H),1.75−2.15(m,10H,10xring−H),3.4−3.8(m,8H,2xHNCHCHN and 4xring−H),4−4.1(q,4H,2xHNCHCHN),4.15(2xd,4H,2xNCHCHCl) 7.2(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.65(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.45(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.45(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;DMSO),26.11, 37.05, 42.78, 50.78, 51.83, 60.32, 62.26, 108.41, 114.33, 125.00, 126.56, 145.93, 154.69, 184.28;FAB MS,m/z(M+H)+ 589.
【0127】
実施例29
・1−{[2−(2−クロロメチルピロリジン−l−イル)エチル]アミノ}−アントラセン−9,10−ジオン(CAQ191M)
CAQ39と同様の方法に従い、HAQ163(115mg、0.329mmol)、Ph3P(260mg、0.99mmol)、CCl4(100μL、9.86mmol)及び無水CH2Cl2(5mL)を使用して実施した。3時間還流した後で反応を停止させた。生成物(CAQ191M)をオレンジ色の粉末として得た(91.9mg、69%)。M.p.250−253℃;δH(250MHz;CDCl3);1.6−2.1(m,4H),2.15−2.35(m,1H),2.65−2.75(m,2H),3.05−3.15(m,2H),3.4−3.6(m,4H),3.8(2xd,1H),7.2(2xd,1H),7.45−7.65(m,2H),7.75−7.95(m,2H),8.1−8.3(m,2H), and 9.95(s,1H,C(1)NH);δC(62.9MHz;CDCl3);FAB MS,m/z(M+H+ 351;Anal. calcd for C2836:C, 62.23;H, 5.47;N, 6.91. Found:C, 62.15;H, 5.11;N, 6.77.
【0128】
<N−オキシドの誘導(スキーム4、図3)>
実施例30
・1−{[2−(2−ヒドロキシメチルピロリジン−l−イル−N−オキシド)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ−N−オキシド)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ132N)
無水ジメチルジオキシリンDCM(1mL)に溶解した酸化剤m−クロロペルオキシ安息香酸(酸m−CPBA)(25mg、0.145mmol)を、無水CHCl(5mL)にHAQ110(20mg、0.043mmol)を溶解した溶液を撹拌している中にN下で滴下した。−10℃で15分間撹拌した後(アセトン氷浴)、反応物を4℃で3時間撹拌した。その後この溶液をヘキサンで希釈し、2時間後、沈殿した固体をろ過により除去し、氷冷ヘキサン、エーテル、CHCl及びEtOAcで連続的に洗浄した。粗生成物HAQ132Nを紺青色の粗製の固体として得た(15.5mg、73%)。Anal. calcd for C2532:C, 59.99;H, 6.44;N, 11.19. Found:C, 52.94;H, 6.15;N, 10.01.
【0129】
実施例31
・1−{[2−(3−クロロピペリジン−l−イル−N−オキシド)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ−N−オキシド)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ167MN)
HAQ132Nと同様の方法に従い、CAQ166M(19mg、0.0391mmol)、m−CPBA(21.6mg、0.125mmol)及び無水CHCl(5mL)を使用して実施した。生成物CAQ167MNを紺青色の粗製の固体として得た(12.5mg、62%)。Anal. calcd for C2531ClN:C, 57.86;H, 6.02;N, 10.8. Found:C, 54.82;H,4.93;N, 7.43.
【0130】
実施例32
・1−{[2−(4−クロロピペリジン−l−イル−N−オキシド)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ−N−オキシド)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ179N)
HAQ132Nと同様の方法に従い、CAQ172(17mg、0.035mmol)、m−CPBA(21.5mg、0.119mmol)及び無水CHCl(5mL)を使用して実施した。生成物CAQ179Nを紺青色の粗製の固体として得た(15.5mg、86%)。Anal. calcd for C2531ClN:C, 57.86;H, 6.02;N, 10.80. Found:C, 54.62;H,4.84;N, 6.80.
【0131】
実施例33
・1−{[2−(2−クロロメチルピロリジン−l−イル−N−オキシド)エチル]アミノ}−4−{[(2−ジメチルアミノ−N−オキシド)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ181MN)
HAQ132Nと同様の方法に従い、CAQ176M(48.3mg、0.0994mmol)、m−CPBA(58.3mg、0.338mmol)及び無水CHCl(10mL)を使用して実施した。生成物CAQ181MNを紺青色の粗製の固体として得た(46.2mg、90%)。Anal. calcd for C2531ClN:C, 57.86;H, 6.02;N, 10.80. Found:C, 54.66;H,4.51;N, 6.81.
【0132】
実施例34
・1,4−ビス−{[2−(2−クロロメチルピペリジン−l−イル−N−オキシド)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(CAQ192MN)
HAQ132Nと同様の方法に従い、CAQ190M(11mg、0.0187mmol)、m−CPBA(12.9mg、0.075mmol)及び無水CHCl(5mL)を使用して実施した。生成物CAQ192MNを紺青色の粗製の固体として得た(10.2mg、83%)。Anal. calcd for C3038Cl:C, 57.97;H, 6.16;N, 9.01. Found:C, 55.46;H,4.49;N, 6.93.
【0133】
比較例1
・1,4−ビス−{[2−(ピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオン(HAQ145)
HAQ105と同様の方法に従い、1,4−ジフルオロ−5,8−ヒドロキシ−アントラキノン(50mg、0.181mmol)、1−(2−アミノエチル)−ピペリジン(232mg、1.81mmol)、ピリジン(1mL)を使用して、100℃で30分間実施した。生成物HAQ145を紺青色の粉末として得た(31.7mg、35%)。M.p.219−221℃;δ(250MHz;CDCl);1.45−1.55(m,4H,4xring−H),1.55−1.7(m,8H,8xring−H),2.55(m,8H,2xNCH),2.65(t,4H,2xHNCHCHN),3.55(q,4H,2xHNCHCHN),7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.15(s,2H,C(6)H and C(7)H),10.5(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.65(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl;24.37, 26.09, 40.72, 54.64, 57.63, 109.21, 115.48, 123.63, 124.63, 146.31, 155.46, and 185.35;FAB MS,m/z(M+H) 493;Anal. calcd for C2836.1.5HO:C, 64.66;H, 7.27;N, 10.78. Found:C, 64.70;H, 7.55;N, 10.67.
【0134】
比較例2
・1−{[(2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−4−{[2−(ピペリジン−l−イル)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(HAQ148)
HAQ105と同様の方法に従い、HAQ107(62mg、0.18mmol)、1−(2−アミノエチル)−ピペリジン(250mg、1.953mmol)、ピリジン(1mL)を使用して、100℃で30分間実施した。生成物HAQ148を紺青色の粉末として得た(42.9mg、65%)。M.p.220−223℃;δ(250MHz;CDCl);1.45−1.7(m,6H,6xring−H),2.35(s,6H,2xNCH),2.55(m,4H,2xNCHCH),2.75(2xt,4H,2xHNCHCHN),3.5(q,4H,2xHNCHCHN),7.05(s,2H,C(2)H and C(3)H),7.1(m,2H,C(6)H and C(7)H),10.45(t,2H,C(1)NH and C(4)NH), and 13.55(s,2H,C(5)OH,C(8)OH);δ(62.9MHz;CDCl);24.28, 25.93, 40.51, 41.24, 45.63, 54.62, 57.50, 58.39, 109.23, 115.41, 123.73, 123.99, 124.75, 146.24, 155.44, and 185.41;FAB MS,m/z(M+H) 453.
【0135】
<生物学的評価>
・置換ピロリジニル−及びピペリジニル−アルキルアミノアントラキノンの細胞毒性
表1は、側鎖水酸基部位を有する化合物(HAQ71、HAQ73、HAQ111)とHAQ148との活性を比較するものであり、ピペリジニル/ピロリジニル置換アルキルアミノアントラキノンの活性(nM)には水酸基が必要であることを示す(表1参照)。
【0136】
不斉置換化合物(HAQ71、HAQ73、HAQ110、HAQ111、HAQ121及びCAQ75)は、A2780野生型細胞系に対して類似する有効性を有する。
【0137】
OHをClで置換することにより(HAQ71とCAQ75との比較)、耐性細胞に対する高い活性はCAQ75でも維持されており(RF=0.4)、細胞毒性の10倍を超える減少が導かれる。更に、CAQ75は非不斉クロロプロピルコンジナーCAQ74よりもA2780細胞系において著しく有効性が高いことが示され、このことにより、これら1,4−二置換アルキルアミノアントラキノンの不斉置換の重要性が更に強調された。
【0138】
クロロメチルピペリジニル及びピロリジニル1,4−二置換アルキルアミノアントラキノンは、ドキソルビシン耐性(2780AD)及びシスプラチン耐性(A2780/cp70)卵巣癌腫細胞系において低い交差耐性を示した(表2)。ヒドロキシ及びクロロ置換化合物は、in vivoにおけるマウスのヒト異種移植卵巣ガンにおいて顕著な抗腫瘍活性を示す(表3)。
【0139】
・in vivo試験
シスプラチン耐性細胞に対して試験した化合物のパネルの中でRFが最も低い(0.2)化合物HAQ71及びそのクロロプロピル置換アナログを、マウスにおいて異種移植片として成長する腫瘍A2780及びA2780/cp70細胞を使用するin vivoマウス試験に使用するために選択した。HAQ71及びCAQ75は著しいin vivo抗ガン活性を示した;両化合物は、ヒト異種移植野生型及び獲得型シスプラチン耐性腫瘍(A2780/cp70)において類似する腫瘍成長遅延を示した。後者はシスプラチン及び他の共有結合剤に対する耐性が非常に強く、かつ、高レベルのグルタチオン、薬剤取り込み/流出の変化、及び、ミスマッチ修復欠損を含むDNA修復機構が特徴的である。
【0140】
・アミノアントラキノン及びクロロアルキルアミノアントラキノンのジ−N−オキシドのin vitro細胞毒性
CAQ及び非共有結合アミノアントラキノンの新規ジ−N−オキシドの細胞毒性を卵巣癌腫野生型細胞系A2780、アドリアマイシン耐性2780AD及びシスプラチン耐性2780CP細胞系において調べた。
【0141】
ジ−N−オキシドは全て、IC50値がμMの範囲にあるその親の細胞毒性薬と比較して著しく細胞毒性が低かった。試験した全薬剤の細胞毒性の順序は、HAQ132N(>100μm)<CAQ179N(46μM)<CAQ181MN(38μM)<CAQ167MN(36μM)<CAQ192MN(8μM)であった。細胞毒性率(CR=アルキルアミノアントラキノン−ジ−N−オキシドのIC50/アルキルアミノアントラキノンのIC50)から相対活性を計算した。三種のジ−N−オキシド、HAQ132N、CAQ181MN及びCAQ167MNはアミン相当物と比較してA2780細胞系における細胞毒性が1000倍を超えて低かった。CAQはそのアミン相当物と比較して細胞毒性がおよそ40〜100倍低かった。CRの順序は、AQ4N(17,000)>>HAQ132N(1,450)>>CAQ181MN(1293)>CAQ179N(80)>CAQ167MN(4167)>CAQ192MN(44)であった。
【0142】
選択した化合物のN−オキシドは細胞毒性が非常に低いことが分かり(表4)、かつ、生体内還元プロドラッグである可能性がある。
【0143】
表1:1,4−二置換アミノアントラキノンによる細胞成長の阻害(IC50、nM)
【0144】
【表1】

【0145】
表2:1,4−二置換アミノアントラキノンによる細胞成長の阻害
【0146】
【表2】

【0147】
HAQ=ヒドロキシ誘導体;CAQ=クロロ誘導体;M=マスタード
特記しない限り、化合物はいずれもR及びS混合物である。
特記しない限り、化合物はいずれも側鎖混合(不斉)である。
IC50は、細胞成長の50%阻害に必要な薬の濃度(nM)である。
A2780は野生型卵巣細胞系である;A2780/cp70シスプラチン及び2780ADアドリアマイシン耐性変異体。
RF=耐性因子(耐性細胞系におけるIC50/親細胞系におけるIC50
【0148】
表3:ヒト卵巣腫瘍異種移植片(A2780)及びシスプラチン耐性変異体(A2780/cp70)の倍増時間(日)に及ぼす化合物HAQ71及びCAQ75の影響
【0149】
【表3】

【0150】
HAQ=ヒドロキシ誘導体;CAQ=クロロ誘導体;
()=50%寿命の増加パーセント−腫瘍が初期値の二倍に達するのにかかった時間として計算
化合物HAQ71は20mg/kgで投与、かつ、化合物CAQ75は16mg/kgで投与(いずれも腹腔内投与)
【0151】
表4:アミノアントラキノン及びクロロアルキルアミノアントラキノンのジ−N−オキシドの卵巣ガン細胞系に及ぼす成長阻害(IC50
【0152】
【表4】

【0153】
HAQ=ヒドロキシ誘導体;CAQ=クロロ誘導体;N=N−オキシド;M=マスタード;MN=マスタードのN−オキシド
CR=細胞毒性率(アミンのIC50/N−オキシドのIC50
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】スキーム2
【図2】スキーム3
【図3】スキーム4
【図4】スキーム5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iのアントラキノン化合物又はその塩:
【化1】

式中、R〜RはそれぞれH、C1−4アルキル、X、−NHRN(R(式中、RはC1−12アルカンジイルであり、RはそれぞれH又は任意に置換されたC1−4アルキルである)、式IIの基;
【化2】

(式中、R、R及びRの少なくとも一つはX及びX置換C1−4アルキルから選択され、それ以外はH又はC1−4アルキルである;RはH、C1−4アルキル、X及びX置換C1−4アルキルから選択される);からなる群より選択され、
〜Rの少なくとも一つが式IIの基である場合、
mは0又は1である;
nは1又は2である;
はハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシル基、アリールオキシ基又はアシルオキシ基である;かつ、
はハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシル基、アリールオキシ基又はアシルオキシ基である。
【請求項2】
及びRの両方が式IIの基である
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が式IIの基であり、かつ、RがNHRN(Rである
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
各Rは同一であってH又はCHである
ことを特徴とする請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
がアントラキノン環系上の4位にあり、Rが1位にある
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
及びRはH及び水酸基から選択される
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
及びRの両方が水酸基であり、かつ、アントラキノン環系の5位及び8位で置換されている
ことを特徴とする請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
及びRの両方がHである
ことを特徴とする請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
mが1である
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
mが0である
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
nが2である
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
はハロゲン原子又は脱離基である
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
が塩素である
ことを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
i)RがCHであり、かつ、RがHである;又は、
ii)RがHであり、かつ、RがXであり、
式中、Xはハロゲン原子又は脱離基である
ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
がCHであり、かつ、RがHである
ことを特徴とする請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
nが2であり、かつ、RがCHであり、式中XがR中のXと同じである
ことを特徴とする請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
治療による動物の処置方法において使用するための請求項9又は10及び/又は12に記載の化合物。
【請求項18】
請求項9又は10及び/又は12に記載の化合物並びに賦形剤を含む組成物。
【請求項19】
医薬組成物であり、かつ、賦形剤が医薬品に許容される賦形剤である
ことを特徴とする請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
治療による動物の処置において使用するための薬剤の製造における請求項9又は10及び/又は12に記載の化合物の使用。
【請求項21】
動物が人間である
ことを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項22】
動物が腫瘍を患っており、かつ、治療が抗腫瘍治療である
ことを特徴とする請求項20又は21に記載の使用。
【請求項23】
化合物が請求項9に記載の化合物であり、かつ、治療が細胞毒性薬の投与及び/又は腫瘍の放射線療法を更に含む
ことを特徴とする請求項22に記載の使用。
【請求項24】
式IIIの化合物:
【化3】

(式中、R11〜R14はそれぞれ、H、X、水酸基、C1−4アルコキシ、アシルオキシ、−NHR10N(R15基(R10がC1−12アルカンジイルであり、かつ、R15がそれぞれH又は任意に置換されたC1−4アルキルである)であり、R11〜R14の少なくとも一つがXである場合にXはハロゲン原子又は脱離基である):
を一般式IVの環状アミノアルキルアミン化合物:
【化4】

:と反応させて、X基を求核置換反応において式Vの基:
【化5】

(式中、R16、R17及びR18の少なくとも一つがそれぞれX及びX置換C1−4アルキルから選択され、それ以外はH又はC1−4アルキルであり、R19はH、C1−4アルキル、X及びX置換C1−4アルキルから選択される;
は水酸基若しくは保護された水酸基である、又は、Xは脱離基若しくはXとは異なるハロゲン原子である、かつ、qは0若しくは1である):で置き換える
ことを特徴とする合成方法。
【請求項25】
基の少なくとも一つが水酸基又は保護された水酸基であり、生成物をハロゲン化化合物と(任意に脱保護後に)反応させてその又はそれぞれのX水酸基をハロゲン原子で置き換える
ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ハロゲン化剤が塩素化剤である
ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
qが0であり、かつ、生成物の環窒素原子を酸化して、対応するアミンオキシド(qが1)を形成する
ことを特徴とする請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
11〜R14の一つが−NHR10N(R15基であり、かつ、前駆体化合物(対応するX基(ハロゲン原子又は脱離基))を一般式VIの非環式アミノアルキルアミン化合物:
NR10N(R15 (式VI)
:と反応させる予備求核置換反応の予備段階を含み、前記反応において、Xが−NHR10N(R15(R15はH又は任意に置換されたC1−4アルキル基)で置き換える
ことを特徴とする請求項24〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
11及びR12が同一であってXであり、かつ、環式アミノアルキルアミン化合物IVの2等量を反応させることにより両X基を前記一般式Vの基で置き換える
ことを特徴とする請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
一般式VIIの化合物:
【化6】

(式中、R20はC1−12−アルカンジイル基であり、かつ、各R26がCHClかつR27がH、又は、R26がHかつR27がClである;
29はH又はR26と同じ基である;
その又はそれぞれのR28はH又はR27と同じ基である;かつ、
rは1又は2である)。
【請求項31】
20は(CHである
ことを特徴とする請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
26がCHCl、R27がH、かつ、R29がH及びCHClから選択される
ことを特徴とする請求項30又は31に記載の化合物。
【請求項33】
26がH、R27がCl、R29がH、かつ、R28がHである
ことを特徴とする請求項30又は31に記載の化合物。
【請求項34】
rが1である
ことを特徴とする請求項30〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
rが2である
ことを特徴とする請求項30〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
一般式VIIIの水酸基で置換された環式第三級アミン:
【化7】

(式中、R20及びrは請求項30について定義する通りであり、
各R21がCHOHかつR22がH、又は、
21がHかつR22がOHである;
24がH又はR21と同じ基である;
その又はそれぞれのR23がH又はR22と同じ基である):
のアミン基を保護し、その後OHをClで置き換える過程により塩素化し、脱保護により式VIIの所望の化合物を得る
ことを特徴とする請求項30に記載の化合物の合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−516270(P2007−516270A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546313(P2006−546313)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005390
【国際公開番号】WO2005/061453
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506216637)ソマンタ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】