説明

抗増殖剤としてのピリド−およびピリミドピリミジン誘導体

本発明は、式(I)
【化1】


[式中、a−a=a−aは、N−CH=CH−CH、N−CH=N−CHもしくはCH−CH=N−CHから選択される2価の基を表し;ZはNHを表し;Yは−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表し;Xは−O−もしくは−NR11−を表し;Xは−C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、−O−もしくは−O−CH−を表し;Rは水素もしくはハロを表し;Rは水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表し;Rは水素を表し;Rはヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRはC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;R11は水素を表し;R12は水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表し;R13はHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表し;Hetは場合によりC1〜4アルキル、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し;Het14はモルホリニルを表し;Het16はモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し;Arはフェニルを表し;Arは場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す]
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌活性のような抗増殖活性を有することが見出されており、従って、人体もしくは動物体の処置の方法において、例えばアテローム性動脈硬化症、再狭窄および癌のような過剰増殖性疾患における使用のための薬剤の製造において有用であるピリミドピリミジン由来の大員環に関する。本発明はまた、該ピリミドピリミジン誘導体の製造方法に、それらを含有する製薬学的組成物にそして抗増殖効果の生成に有用な薬剤の製造におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明の化合物は、チロシンキナーゼとも呼ばれるチロシンキナーゼ酵素を阻害することが見出された。チロシンキナーゼは、標的タンパク質に存在するチロシン残基のフェノール性ヒドロキシル基へのアデノシン三リン酸の末端ホスフェートの転移を触媒する酵素群である。悪性腫瘍細胞への細胞のトランスフォーメーションに関与するいくつかの癌遺伝子は、EGF、FGF、IGF−1R、IR、PDGFおよびVEGFのようなある種の増殖因子受容体を包含するチロシンキナーゼ酵素をコードすることが知られている。受容体チロシンキナーゼのこのファミリーおよび特に受容体チロシンキナーゼのEGFファミリーは、細胞増殖関連疾患の例である、乳癌、肺の腺癌および扁平上皮細胞癌を包含する非小細胞肺癌、膀胱癌、食道癌、結腸癌、直腸癌もしくは胃癌のような胃腸癌、前立腺の癌、白血病ならびに卵巣癌、気管支癌もしくは膵臓癌のような一般的なヒト癌に高い頻度で存在する。
【0003】
従って、チロシンキナーゼの選択的阻害は、細胞増殖関連疾患の処置において有益であることが認識されている。この考えの裏づけは、標的に基づく制癌剤の最初の例であるハーセプチン(トラスツズマブ)およびグリーベックTM(メシル酸イマチニブ)の開発により与えられる。ハーセプチン(トラスツズマブ)は、侵潤性乳癌にかかっている患者の約30%において100倍まで増幅されることが見出された受容体チロシンキナーゼ、Her2/neuを標的とする。臨床試験においてハーセプチン(トラスツズマブ)は乳癌に対して抗腫瘍活性を有することが判明し(非特許文献1による概説)、従って、受容体チロシンキナーゼを標的とする治療の原理の裏づけを与えた。第二の例、グリーベックTM(メシル酸イマチニブ)は、慢性骨髄性白血病(CML)にかかっている実質的に全ての患者および急性リンパ芽球性白血病にかかっている成人患者の15%〜30%に存在する構成的に活性の細胞質チロシンキナーゼ、アベルソンチロシンキナーゼ(BcR−Abl)を標的とする。臨床試験においてグリーベックTM(メシル酸イマチニブ)は最小限の副作用で目覚しい効能を示し、それは提出の3ヶ月以内の承認をもたらした。臨床試験および規制審査のこの薬剤の通過の速度は、迅速な薬剤開発におけるケーススタディになっている(非特許文献2)。
【0004】
さらなる裏づけは、EGF受容体チロシンキナーゼインヒビターが、ヒト乳癌もしくはヒト扁平上皮細胞癌のような移植された癌腫の無胸腺ヌードマウスにおける増殖を特異的に軽減する実証により与えられる(非特許文献3による概説)。結果として、EGFR受容体を標的とする異なる癌を処置するための薬剤の開発へのかなりの関心が生じている。例えば、Imclone Systemsにより開発されそしていくつかの癌の処置についてフェーズIII臨床試験中であるエルビタックスTM(C225、セツキシマブとも呼ばれる)を包含する、EGFRの細胞外ドメインに結合するいくつかの抗体が臨床試験を受けている。また、EGFRチロシンキナーゼの強力なそして比較的特異的なインヒビターであるいくつかの有望な経口で有効な薬剤も、現在、臨床試験においてかなり進んでいる。現在はイレッサと呼ばれそして進行した非小細胞肺癌の処置に認可されているAstraZeneca化合物ZD1839、および現在はタルセバTM(エルロチニブ)と呼ばれるOSI/Genentech/Roche化合物OSI−774は、ヒト臨床試験においていくつかの癌に対して際立った効能を示している(非特許文献4)。
【0005】
上記のことに加えて、EGF受容体チロシンキナーゼは、乾癬のような非悪性の増殖性疾患に関与することが示されている(非特許文献5)。従って、EGFタイプ受容体チロシンキナーゼのインヒビターは、乾癬、前立腺肥大症、アテローム性動脈硬化症および再狭窄のような過剰細胞増殖の非悪性疾患の処置において有用であると予想される。
【0006】
ピリミドピリミジンは、チロシンキナーゼのそして特にEGFタイプ受容体チロシンキナーゼのインヒビターとして有用であることが特許文献1および2に開示される。意外にも、構造が異なる本発明の式(I)のピリミドピリミジン誘導体は、チロシンキナーゼ阻害活性を有することを示すことが見出された。
【0007】
従って、細胞増殖関連疾患の処置における薬剤の製造に有用なチロシンキナーゼインヒビターをさらに提供することは本発明の目的である。
【特許文献1】国際特許出願WO96/07657明細書
【特許文献2】国際特許出願WO97/32880明細書
【非特許文献1】L.K.Shawer et al,“Smart Drugs:Tyrosine kinase inhibitors in cancer therapy”,2002,Cancer Cell Vol.1,117
【非特許文献2】Drucker B.J.& Lydon N.,“Lessons learned from the development of an Abl tyrosine kinase inhibitor for chronic myelogenous leukaemia.”,2000,J.Clin.Invest.105,3
【非特許文献3】T.R.Burke Jr.,Drugs of the Future,1992,17,119
【非特許文献4】Morin M.J.,“From oncogene to drug:development of small molecule tyrosine kinase inhibitors as anti−tumour and anti−angiogenic agents,2000,Oncogene 19,6574”
【非特許文献5】elder et al.,Science,1989,243:811
【発明の開示】
【0008】
本発明は、式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
−a=a−aはN−CH=CH−CH、N−CH=N−CHもしくはCH−CH=N−CHから選択される2価の基を表し;
ZはO、NHもしくはSを表し;
Yは−C3〜9アルキル−、−C3〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR14−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−CO−NR15−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−CO−NH−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−NH−C1〜6アルキル−、−NH−CO−C1〜6アルキル−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−、C1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR11、−NR11−C1〜2アルキル−、NR16−CO−、NR16−CO−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR12、NR12−C1〜2アルキル−、NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキル−、Het20−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ホルミル、C1〜6アルコキシ−、C1〜6アルキル−、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ヒドロキシもしくはハロから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、C1〜4アルキルカルボニル−、アミノカルボニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル−、Het、ホルミル、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、C3〜6シクロアルキル−、C3〜6シクロアルキルオキシ−、C1〜6アルコキシ−、Ar、Ar−オキシ−、ジヒドロキシボラン、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ハロ、ヒドロキシもしくはNRから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキル、
1〜4アルキルカルボニル−(ここで、該C1〜4アルキルは場合によりヒドロキシもしくはC1〜4アルキル−オキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい)を表し;
は水素、C1〜4アルキル、シアノあるいはハロ、C1〜4アルキルオキシ−、アミノ−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−、C1〜4アルキル−スルホニル−またはフェニルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、ヒドロキシ、Ar−オキシ、Ar−C1〜4アルキルオキシ−、C1〜4アルキルオキシ−、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜4アルケニルオキシ−を表すか、あるいはRはC1〜4アルキルオキシ−、ヒドロキシ、ハロ、Het−、−NR、−カルボニル−NR10もしくはHet−カルボニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;
およびRは各々独立して水素もしくはC1〜4アルキルから選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)−アミノスルホニル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシカルボニル−C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル、Het−カルボニル−C1〜4アルキル−、Het10−カルボニル−、ポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−、Het11−C1〜4アルキル−またはAr−C1〜4アルキル−から選択され;
およびR10は各々独立して水素、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、Het、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−もしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択され;
11は水素、C1〜4アルキル、Het、Het−C1〜4アルキル−、場合によりHet−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくは1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
12は水素、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、Het17、Het18−C1〜4アルキル−、場合によりHet19−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
13は水素、C1〜4アルキル、Het13、Het14−C1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
14およびR15は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het15−C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−から選択され;
16およびR17は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het21−C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−から選択され;
Hetはピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Hetはモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−、アミノC1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−スルホニル−、アミノスルホニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het、HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het、HetもしくはHetは場合によりヒドロキシ−、アミノ−、C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルまたはアミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Hetはピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該HetもしくはHetは場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHet10は各々独立してフラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該HetもしくはHet10は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−もしくはアミノ−C1〜4アルキル−で置換されていてもよく;
Het11はインドリルもしくは
【0011】
【化2】

【0012】
から選択される複素環を表し;
Het12はモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het12は場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはモノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het13はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het14はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het15およびHet21は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het15もしくはHet21は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het16はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、1,3,2−ジオキサボロランもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het17はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het18およびHet19は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het18およびHet19は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het20はピロリジニル、2−ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、もしくはピラゾリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;そして
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは各々独立して場合によりシアノ、C1〜4アルキルスルホニル−、C1〜4アルキルスルホニルアミノ−、アミノスルホニルアミノ−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル、アミノスルホニル−、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシ−もしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す]
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体に関する。
【0013】
前述の定義および以下において用いる場合、
−ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称であり;
−C1〜2アルキルは、メチルもしくはエチルを定義し;
−C1〜3アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピルなどのような1〜3個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C1〜4アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2,2−ジメチルエチルなどのような1〜4個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C1〜5アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルエチルなどのような1〜5個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C1〜6アルキルには、C1〜5アルキルおよび例えばヘキシル、1,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチルなどのような6個の炭素原子を有するその高級同族体が包含されるものとし;
−C1〜7アルキルには、C1〜6アルキルおよび例えば1,2,3−ジメチルブチル、1,2−メチルペンチルなどのような7個の炭素原子を有するその高級同族体が包含されるものとし;
−C3〜9アルキルは、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどのような3〜9個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C2〜4アルケニルは、例えばビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニルなどのような、1個の二重結合を含有しそして2〜4個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義し;
−C3〜9アルケニルは、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、3−ヘキセニルなどのような、1個の二重結合を含有しそして3〜9個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義し;
−C2〜6アルキニルは、例えば2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、3−メチル−2−ブチニル、3−ヘキシニルなどのような、1個の三重結合を含有しそして2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義し;
−C3〜6シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルの総称であり;
−C1〜4アルキルオキシは、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシなどのような直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C1〜6アルキルオキシには、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシなどのようなC1〜4アルキルオキシおよび高級同族体が包含されるものとし;
−ポリヒドロキシ−C1〜4アルキルは、例えばトリフルオロメチルのような、2、3個もしくは可能であればそれ以上のヒドロキシ置換基を有する上記に定義するようなC1〜4アルキルの総称である。
【0014】
前述の定義および以下において用いる場合、ホルミルという用語は式−CH(=O)の基をさす。XもしくはXが2価の基−O−N=CH−を表す場合、該基は式(I)の化合物のそれぞれR、R保有環式部分、R、R保有フェニル部分に炭素原子で結合している。
【0015】
上記の定義および以下に記載するような複素環には、その全ての可能な異性体が包含されるものとし、例えば、ピロリルには2H−ピロリルも包含され;トリアゾリルには1,2,4−トリアゾリルおよび1,3,4−トリアゾリルが包含され;オキサジアゾリルには1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリルおよび1,3,4−オキサジアゾリルが包含され;チアジアゾリルには1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリルおよび1,3,4−チアジアゾリルが包含され;ピラニルには2H−ピラニルおよび4H−ピラニルが包含される。
【0016】
さらに、上記の定義および以下に記載するような複素環は、必要に応じて任意の環炭素もしくはヘテロ原子を介して式(I)の分子の残りに結合していることができる。従って、例えば、複素環がイミダゾリルである場合、それは1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、3−イミダゾリル、4−イミダゾリルおよび5−イミダゾリルであることができ;チアゾリルである場合、それは2−チアゾリル、4−チアゾリルおよび5−チアゾリルであることができ;トリアゾリルである場合、それは1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,3,4−トリアゾール−1−イルおよび1,3,4−トリアゾール−2−イルであることができ;ベンゾチアゾリルである場合、それは2−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアゾリル、6−ベンゾチアゾリルおよび7−ベンゾチアゾリルであることができる。
【0017】
上記のような製薬学的に許容しうる付加塩は、式(I)の化合物が形成することのできる治療的に有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなるものとする。後者は、塩基形態(base form)をそのような適切な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸などのような無機酸;もしくは例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などのような有機酸を含んでなる。
【0018】
上記のような製薬学的に許容しうる付加塩は、式(I)の化合物が形成することのできる治療的に有効な無毒の塩基付加塩形態を含んでなるものとする。そのような塩基付加塩形態の例は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム塩、ならびに例えばアンモニア、アルキルアミン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン(hydrabamine)、アミノ酸、例えばアルギニン、リシンのような製薬学的に許容しうるアミンとの塩である。
【0019】
逆に、該塩形態を適切な塩基もしくは酸での処理により遊離酸もしくは塩基形態に転化することができる。
【0020】
付加塩という用語はまた、上記に使用する場合、式(I)の化合物ならびにその塩が形成することのできる溶媒和物も含んでなる。そのような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0021】
立体化学的異性体という用語は、上記に使用する場合、式(I)の化合物が有することのできる可能な異なる異性体ならびに立体配座形態を定義する。他に記載されないかもしくは示されない限り、化合物の化学表示は全ての可能な立体化学的および立体配座的異性体の混合物を意味し、該混合物は基本分子構造の全てのジアステレオマー、鏡像異性体および/もしくは配座異性体を含有する。純粋形態もしくは相互と混合した両方の式(I)の化合物の全ての立体化学的異性体は、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0022】
式(I)の化合物のあるものはまた、それらの互変異性体で存在することもできる。そのような形態は、上記の式に明白に示されないが、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0023】
式(I)の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化される式(I)の化合物を含んでなるものとする。
【0024】
化合物の好ましい群は、以下の制限:
ZがNHを表す;
Yが−C3〜9アルキル−、−C2〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−もしくはC1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表す;
がO、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、NR11もしくは−NR11−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが−NR11−、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、C1〜2アルキル、NR12もしくはNR12−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが直接結合、−O−N=CH−、C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が水素、シアノ、ハロもしくはヒドロキシ、好ましくはハロを表す;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、ArもしくはHetを表し;さらなる態様においてRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシもしくはArを表す;
が水素を表す;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表す;
11が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
12が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
13がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
Hetが場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよいチアゾリルを表す;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het14がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het14が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい;
Het16がピペリジニル、モルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物からなる。
【0025】
化合物のさらなる群は、以下の制限:
ZがNHを表す;
Yが−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表す;
が−O−もしくは−NR11−を表す;
が直接結合、−C1〜2アルキル、−O−C1〜2アルキル、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が水素もしくはハロを表す;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表す;
が水素を表す;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表す;
11が水素を表す;
12が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
13がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het14がモルホリニルを表す;
Het16がモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
Arがフェニルを表す;
Arが場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物からなる。
【0026】
化合物の別の群は、以下の制限:
ZがNHを表す;
Yが−C3〜9アルキル−、−C2〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR14−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−もしくはC1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表す;
がO、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、NR11もしくは−NR11−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが直接結合、C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル−、−NR11−、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキル−、C1〜2アルキル、Het20−C1〜2アルキル−、NR12もしくはNR12−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが直接結合、C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキル−、Het20−C1〜2アルキル−、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が水素、シアノ、ハロもしくはヒドロキシ、好ましくはハロを表す;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、ArもしくはHetを表し;さらなる態様においてRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシもしくはArを表し;さらに特定の態様においてRが水素もしくはハロを表す;
が水素を表す;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表す;
11が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
12が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
13が水素もしくはHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
14が水素もしくはC1〜4アルキルを表す;
17が水素、C1〜4アルキル−、Het21−C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキルを表し;特にR17が水素もしくはC1〜4アルキルを表す;
Hetが場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよいチアゾリルを表す;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het14がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het14が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい;
Het16がピペリジニル、モルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
Het20がピロリジニル、2−ピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het21がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het21が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物からなる。
【0027】
化合物のさらなる群は、以下の制限:
ZがNHを表す;
Yが−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR14−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表す;
が直接結合、−C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、−O−、−O−CH−もしくは−NR11−を表す;
が−O−、−O−C1〜2アルキル、−NR12−、NR12−C1〜2アルキル、−NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキルもしくはHet20−C1〜2アルキル−を表す;
が水素もしくはハロを表す;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表し;特にRが水素もしくはハロを表す;
が水素を表す;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表す;
11が水素を表す;
12が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
13が水素もしくはHet14−C1〜4アルキル、特に水素もしくはモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
14が水素を表す;
17が水素を表す;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het14がモルホリニル表す;
Het16がモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
Het20がピロリジニルもしくはピペリジニルを表す;
Arがフェニルを表す;
Arが場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物からなる。
【0028】
化合物の他の特定の群は、次のとおりである:
−a−a=a−aがN−CH=CH−CHを表す式(I)の化合物;
−a−a=a−aがN−CH=N−CHを表す式(I)の化合物;
−a−a=a−aがCH−CH=N−CHを表す式(I)の化合物;
−−X−が−O−を表す式(I)の化合物;
−−X−が−NR11−、特に−NH−を表す式(I)の化合物;
−−X−が−NR17−CO−C1〜2アルキル−、特に−NH−CO−C1〜2アルキル−を表す式(I)の化合物;
−−X−が−NR12−C1〜2アルキル−、特に−NH−C1〜2アルキル−を表す式(I)の化合物;
−−Y−が−C1〜5アルキル−NR14−CO−C1〜5アルキル−、特に−C1〜5アルキル−NH−CO−C1〜5アルキル−を表す式(I)の化合物;
−Rがフルオロ、クロロもしくはブロモである式(I)の化合物;
−Rがフルオロ、クロロもしくはブロモである式(I)の化合物;
−RおよびRがハロを表す式(I)の化合物、特にRがフルオロを表し、そしてRがクロロを表す式(I)の化合物;
−RがHet、特に場合によりメチルで置換されていてもよいチアゾリルである式(I)の化合物;
−RがC2〜6アルキニル−、特にエチニルである式(I)の化合物;
−RがAr、特に場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルである式(I)の化合物;
−Rがシアノである式(I)の化合物;
−Rがメトキシを表し、そして該メトキシが式(I)の構造の7位である式(I)の化合物;
−RがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシ、特にモルホリニルで置換されたプロピルオキシを表す式(I)の化合物;
−R12が水素もしくはC1〜4アルキル−、特にメチルであるか、またはR12がC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、特にt−ブチル−オキシ−カルボニル−である式(I)の化合物;
−Hetが場合によりC1〜4アルキルで置換されていてもよいモルホリニル、好ましくは式(I)の化合物の残りに窒素原子を介して結合しているモルホリニルを表す式(I)の化合物;
−Hetが場合によりC1〜4アルキルで置換されていてもよいモルホリニル、好ましくは式(I)の化合物の残りに窒素原子を介して結合しているモルホリニルを表す式(I)の化合物;
−Het12が場合によりC1〜4アルキルで置換されていてもよいモルホリニル、好ましくは式(I)の化合物の残りに窒素原子を介して結合しているモルホリニルを表す式(I)の化合物。
【0029】
本発明のさらなる態様として、R置換基は式(I)の構造の4’位にあり、R置換基は5’位にあり、R置換基は2位にあり、そしてR置換基は6位にある。本発明の化合物の特定の群は、アニリンフラグメントが5’位でR置換基そして4’位でR置換基で置換され、そして該R置換基がハロ、特にフルオロを表し、そして該R置換基がハロ、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、ヒドロキシカルボニル−、シアノもしくはArよりなる群から選択され;特に該Rがクロロ、ブロモ、メトキシカルボニル、ピロリジノ−カルボニル、モルホリノ−カルボニル、ヒドロキシカルボニル、シアノもしくはフェニルから選択される式(I)の化合物である。
【0030】
本発明の化合物は、有機化学の当業者により一般に用いられそして例えば以下の参考文献;“Heterocyclic Compounds”−Vol.24(part4)p261−304 Fused pyrimidines,Wiley−Interscience;Chem.Pharm.Bull.,Vol 41(2)362−368(1993);J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2001,130−137に記述されているいくつかの標準的な合成方法のいずれかにより製造することができる。
【0031】
簡潔に言えば、−X−が−NH−を表す式(I)の化合物では、該化合物は、一般に、例えば、高温(60〜90℃もしくは還流温度)でプロパン−2−オール、1−ブタノール、アセトニトリルなどのような適当な極性溶媒においてトリエチルアミン、N−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミン(DIPEA)などのような塩基もしくはNaCO、KCOなどのような無機塩基を用いることのような、当該技術分野で既知の反応条件を用いて式(II)の4−クロロ−6−フルオロ−ピリドピリミジンもしくは4,6−ジクロロ−ピリドピリミジンを適切なアニリン(III)と反応させることにより製造される。このようにして得られるアニリノピリドピリミジン(IV)をさらなる段階において式(VII)の適当なアミンで置換して式VIIIの中間体を生成せしめる。この第二の置換反応は、例えば、場合によりプロパン−2−オール、1−ブタノールもしくはDMSOのような適切な溶媒において例えばトリエチルアミン、N−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミン(DIPEA)などのような塩基の存在下で、高温(70〜100℃)で試薬(reagentia)を攪拌することによるような、既知の反応条件下で行われる。本発明の化合物は、当該技術分野で既知の条件を用いて脱保護および閉環後に最終的に得られる。閉環は、典型的に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下もしくは不在下で例えば1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、POCl、TiCl、フッ化塩化硫黄(SOCIF)もしくは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)のようなカップリング試薬の存在下で行われる。
【0032】
【化3】

【0033】
[PおよPは各々独立して、例えば第一級もしくは第二級アミン、ヒドロキシル、ヒドロキシカルボニルまたはハロ(Cl、BrもしくはI)のような、場合により保護されていてもよい官能基を表し、それらは反応の際にそれらが結合しているそれぞれY、Y置換基と一緒になって上記の式(I)の化合物について定義されるような2価のY基を生成せしめる。X、X、R、R、RおよびRは、上記の式(I)の化合物についてのとおり定義される。]
本記述の実験部分においてさらに例示されるように、以下で式(I’)の化合物と呼ばれる、−X−が−O−を表す式(I)の化合物の群は、一般に、以下の合成スキームを用いて製造される。本発明の化合物は、反応スキーム3〜7に従って順に製造することができる、適当な置換されたアニリン(III)と既知の4−クロロ−6−クロロピリミドピリミジン(II)をカップリングして中間化合物(IV)を生成せしめることにより製造することができる。例えばベンジルオキシド、メトキシド、2−トリメチルシリルエタノールのような、適切なアルコキシドでの6−クロロ基の当該技術分野で既知の条件下での置換により、脱保護、それぞれ接触水素化、TMSCl、NaS、TFAの際に、式(VI)の所望のミツノブ前駆体が生成するであろう(スキーム1)。次に、ミツノブ条件下での閉環により目標化合物(I’)を生成せしめる。
【0034】
【化4】

【0035】
[V=水素または例えばメチルカルボニル、t−ブチル、メチル、エチル、ベンジルもしくはトリアルキルシリル基のような保護基;Rはベンジルもしくはメチルを表し;そしてa−a=a−a、Y、X、R、R、RおよびRは、式(I)の化合物についてのとおり定義される。]
が−O−を表し、そしてa−a=a−aがN−C=N−Cを表す式(I’)の化合物は、既知の8−クロロ−2(メチルチオ)−ピリミド[5,4−d]ピリミジン(XXVII)を式(XXVIII)の2−アミノフェノール誘導体とカップリングして式(XXIX)の中間化合物を生成せしめることにより製造される。次に、フェノールの保護およびメチルチオの酸化の後に、式(VIII)のピリミドピリミジンを適切なアルコキシドを用いて式(IX)の中間体に転化する。その後の脱保護、続いてミツノブ条件下での閉環により、式(I”)の目標化合物が生成するであろう。
【0036】
【化5】

【0037】
[V=水素または例えばメチルカルボニル、t−ブチル、メチル、エチル、ベンジルもしくはトリアルキルシリル基のような保護基;そしてY、X、R、R、RおよびRは、式(I)の化合物についてのとおり定義される。]
あるいはまた、Xが−O−を表し、そしてa−a=a−aがC−C=C−Nを表す式(I’)の化合物、該化合物は、既知の4−クロロ−6−フルオロピリドピリミジン(II)を式(XXVIII)の2−アミノフェノール誘導体とカップリングして式(VII)の中間化合物を生成せしめることにより製造される。次に、フェノールの保護の後に、式(VIII)のピリドピリミジンを適切なアルコキシドを用いて式(IX)の中間体に転化する。その後の脱保護、続いてミツノブ条件下での閉環は、式(I”)の目標化合物を生成せしめるはずである。
【0038】
【化6】

【0039】
[V=水素または例えばメチルカルボニル、t−ブチル、メチル、エチル、ベンジルもしくはトリアルキルシリル基のような保護基;そしてY、R、R、RおよびRは、式(I)の化合物についてのとおり定義される。]
が−O−を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、市販されているニトロ−フェノール(X)およびα,ω−保護されたハロゲン化アルコール(XI)から反応不活性溶媒においてアルカリ条件下で、例えば、KCOの存在下でジメチルアセトアミド(DMA)を用いて製造される。次に、得られるニトロ−フェニル誘導体(XII)を標準条件に従って、例えば、鉄/酢酸を用いて還元して、式(III)の置換されたアニリンを生成せしめる(スキーム4)。
【0040】
【化7】

【0041】
[Xは例えばCl、BrおよびIのようなハロゲンを表し、
Vは例えばメチルカルボニルのような保護基を表す。]
が−NR12−もしくは−NR12−C1〜2アルキル−を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、市販されている2−ニトロ−ベンズアルデヒド(XIII)およびアミン置換されたアルコール(XIV)から標準条件下で還元的アミノ化により、例えば、溶媒としてエタノール中で還元剤としてNaBHおよびチタン(iv)イソプロポキシドを用いて製造され、第一段階において式(XV)のニトロ−ベンジルアミンを生成せしめる。次に、第一級遊離アルコールを当該技術分野で既知の方法を用いて、例えば、ピリジンの存在下で無水酢酸とのエステル化反応を用いて保護する。次に、このようにして得られる式(XVI)の中間体を標準条件に従って、例えば、鉄/酢酸を用いて還元して式(III)の置換されたアニリンを生成せしめる(スキーム5)。
【0042】
【化8】

【0043】
[Vは例えばメチルカルボニルのような保護基を表し、
m=0もしくは1、そしてn=1もしくは2]
が−O−N=CH−を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、反応スキーム6に従って製造される。第一段階において、既知の2−ニトロ−ベンズアルデヒド(XIII)を例えばヒドロキシルアミンとの当該技術分野で既知の縮合反応を用いて対応するオキシム(XVII)に転化する。次に、式XVIIの該オキシムを例えばアルカリ条件下で、例えばDMSO中のKCOを用いてハロゲン化アルキルアセテートとまたはTBDMSもしくはTBDPSのようなより強いシリル保護基、および反応条件に関してTHF中のNaHと反応させ、続いてニトロ基を例えば鉄/酢酸で還元して、式(III)の適当な置換されたアニリンを生成せしめる。
【0044】
【化9】

【0045】
[Xは、例えばCl、BrもしくはIのようなハロゲンを表す。]
が直接結合を表し、そしてYがC1〜6アルキル−NH−CO−を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、反応スキーム7に従って製造される。第一段階において、既知の2−ニトロ−安息香酸(XX)を当該技術分野で既知の条件下で、例えば1,1’カルボニルビス−1H−イミダゾールの存在下でCHCl中の(XX)の混合物に滴下して加える式(XXI)のヒドロキシル化アミンを用いて式(XXII)の中間体にアミド化する。次に、第一級遊離アルコールを当該技術分野で既知の方法を用いて、例えばピリジンの存在下で無水酢酸とのエステル化反応を用いて保護する。次に、このようにして得られる式(XXIII)の中間体を標準条件に従って、例えば、鉄/酢酸を用いて還元して式(III)の置換されたアニリンを生成せしめる。
【0046】
【化10】

【0047】
[Vは例えばメチルカルボニルのような保護基を表す。]
が直接結合を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、反応スキーム8に従って製造される。第一段階において、既知の2−ニトロ−ベンズアルデヒド(XIII)を当該技術分野で既知の条件下で、例えば、式(XXIV)の適切なホスホニウム塩とのウィッティッヒ反応を用いて式(XXV)の中間体にアルケン化する。標準条件下での、例えば、酸性条件下でエタノールを用いる遊離カルボン酸のエステル化の後に、式(XXVI)の中間体を還元して式(III)の所望の置換されたアニリンを生成せしめる。
【0048】
【化11】

【0049】
[YはC1〜7アルキルを表す。]
本記述の実験部分においてさらに例示されるように、以下で式(I’”)の化合物と呼ばれる、−X−が−NR11−を表し、そしてa−a=a−aがN−CH=N−CHを表す式(I)の化合物の群は、一般に、以下の合成スキーム(スキーム9)を用いて製造される。該化合物は、既知の8−クロロ−2(メチルチオ)−ピリミド[5,4−d]ピリミジンを式(XXVIII)の2−アミノフェノール誘導体とカップリングして式(XXIX)の中間化合物を生成せしめることにより製造される。次に、式(XXIX)のピリミド[5,4−d]ピリミジンを当該技術分野で既知の条件下でアミノ化アルコール(XXX)を用いてアミノ化し、続いてミツノブ条件下で閉環して式(I’”)の目標化合物を生成せしめる。
【0050】
【化12】

【0051】
あるいはまた、−X−が−NR11−を表し、そしてa−a=a−aがN−CH=CH−CHを表す式(I)の化合物では、該化合物は、既知の4,6−ジクロロ−(XXVII’)を式(XXVIII)の2−アミノフェノール誘導体とカップリングして式(XXIX’)の中間化合物を生成せしめることにより製造される。次に、式(XXIX’)のピリド[3,2−d]ピリミジンを当該技術分野で既知の条件下でアミノ化アルコール(XXX)を用いてアミノ化し、続いてミツノブ条件下で閉環して式(I””)の目標化合物を生成せしめる(スキーム10)。
【0052】
【化13】

【0053】
必要もしくは所望に応じて、任意の順序の以下のさらなる段階の任意の1つもしくはそれ以上を行うことができる:
(i)任意の残留保護基(1つもしくは複数)を除くこと;
(ii)式(I)の化合物もしくはその保護された形態を式(I)のさらなる化合物もしくはその保護された形態に転化すること;
(iii)式(I)の化合物もしくはその保護された形態を式(I)の化合物もしくはその保護された形態のN−オキシド、塩、第四級アミンもしくは溶媒和物に転化すること;
(iv)式(I)の化合物もしくはその保護された形態のN−オキシド、塩、第四級アミンもしくは溶媒和物を式(I)の化合物もしくはその保護された形態に転化すること;
(v)式(I)の化合物もしくはその保護された形態のN−オキシド、塩、第四級アミンもしくは溶媒和物を式(I)の化合物もしくはその保護された形態の別のN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩、第四級アミンもしくは溶媒和物に転化すること;
(vi)式(I)の化合物が(R)および(S)鏡像異性体の混合物として得られる場合に、所望の鏡像異性体を得るために該混合物を分割すること。
【0054】
式(I)の化合物、そのN−オキシド、付加塩、第四級アミンおよび立体化学的異性体は、当該技術分野において既知である方法を用いて本発明のさらなる化合物に転化することができる。
【0055】
上記の方法において、中間化合物の官能基は保護基によりブロックされる必要があり得ることは、当業者により理解される。
【0056】
保護することが望ましい官能基には、ヒドロキシ、アミノおよびカルボン酸が包含される。ヒドロキシの適当な保護基には、トリアルキルシリル基(例えば、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルもしくはトリメチルシリル)、ベンジルおよびテトラヒドロピラニルが包含される。アミノの適当な保護基には、tert−ブチルオキシカルボニルもしくはベンジルオキシカルボニルが包含される。カルボン酸の適当な保護基には、C(1〜6)アルキルもしくはベンジルエステルが包含される。
【0057】
官能基の保護および脱保護は、反応段階の前もしくは後に行われることができる。
【0058】
さらに、式(I)の化合物におけるN−原子は、例えば2−プロパノン、テトラヒドロフランもしくはジメチルホルムアミドのような適当な溶媒中でCH−Iを用いて当該技術分野で既知の方法によりメチル化することができる。
【0059】
式(I)の化合物はまた、そのいくつかの例が以下に記載される官能基転化の当該技術分野で既知の方法に従って相互に転化することもできる。
【0060】
式(I)の化合物はまた、3価の窒素をそのN−オキシド形態に転化するための当該技術分野で既知の方法に従って対応するN−オキシド形態に転化することもできる。該N−酸化反応は、一般に、式(I)の出発物質を3−フェニル−2−(フェニルスルホニル)オキサジリジンとまたは適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより実施することができる。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば、過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適切な有機過酸化物は、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸もしくはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸のようなペルオキシ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシドを含んでなることができる。適当な溶媒は、例えば、水、低級アルカノール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物である。
【0061】
式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。ジアステレオマーは、選択的結晶化およびクロマトグラフィー技術、例えば向流分配、液体クロマトグラフィーなどのような物理的方法により分離することができる。
【0062】
本発明における式(I)の化合物のいくつかおよび中間体のいくつかは、不斉炭素原子を含有し得る。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。例えば、ジアステレオマーは、選択的結晶化もしくはクロマトグラフィー技術、例えば、向流分配、液体クロマトグラフィーおよび同様の方法のような物理的方法により分離することができる。鏡像異性体は、ラセミ混合物から最初に該ラセミ混合物を例えばキラル酸のような適当な分割剤でジアステレオマー塩もしくは化合物の混合物に転化し;次にジアステレオマー塩もしくは化合物の該混合物を例えば選択的結晶化もしくはクロマトグラフィー技術、例えば液体クロマトグラフィーおよび同様の方法により物理的に分離し;そして最後に該分離したジアステレオマー塩もしくは化合物を対応する鏡像異性体に転化することにより得ることができる。純粋な立体化学的異性体はまた、適切な中間体および出発物質の純粋な立体化学的異性体から得ることもでき、ただし、介在反応は立体特異的に起こる。
【0063】
式(I)の化合物および中間体の鏡像異性体を分離する代わりの方法は、液体クロマトグラフィー、特にキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。
【0064】
上記の反応方法において使用する場合に中間体および出発物質のいくつかは既知の化合物であり、そして市販されている可能性があるかもしくは当該技術分野で既知の方法に従って製造することができる。しかしながら、式(I)の化合物の合成において、本発明は式(III)
【0065】
【化14】

【0066】
[式中、
Vは水素または好ましくはメチルカルボニル、t−ブチル、メチル、エチル、ベンジルもしくはトリアルキルシリルよりなる群から選択される保護基を表し;
Yは−C3〜9アルキル−、−C3〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR14−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−CO−NR15−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−CO−NH−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−C1〜7アルキル−CO−、C1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR12、−NR12−C1〜2アルキル−、−CH−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ホルミル、C1〜6アルコキシ−、C1〜6アルキル−、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ヒドロキシもしくはハロから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、C1〜4アルキルカルボニル−、アミノカルボニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル−、Het、ホルミル、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、C3〜6シクロアルキル−、C3〜6シクロアルキルオキシ−、C1〜6アルコキシ−、Ar、Ar−オキシ−、ジヒドロキシボラン、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ハロ、ヒドロキシもしくはNRから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキル、
1〜4アルキルカルボニル−(ここで、該C1〜4アルキルは場合によりヒドロキシもしくはC1〜4アルキル−オキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい)を表し;
およびRは各々独立して水素もしくはC1〜4アルキルから選択され;
12は水素、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、Het17、Het18−C1〜4アルキル−、場合によりHet19−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
13は水素、C1〜4アルキル、Het13、Het14−C1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
14およびR15は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het15−C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−から選択され;
Hetはピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよく;
Het13はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het14はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het15はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het16はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、1,3,2−ジオキサボロランもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;そして
Het17はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het18およびHet19は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het18およびHet19は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは各々独立して場合によりシアノ、C1〜4アルキルスルホニル−、C1〜4アルキルスルホニルアミノ−、アミノスルホニルアミノ−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル、アミノスルホニル−、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシ−もしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す]
の中間体、その製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体をさらに提供する。
【0067】
特に、以下の制限;
i)Yが−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−を表す;
ii)Xが直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、NR12、−NR12−C1〜2アルキル−、−CH−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表す;
iii)Rが水素、シアノ、ハロもしくはヒドロキシ、好ましくはハロを表す;
iv)Rが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、ArもしくはHetを表し;さらなる態様としてRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C2〜6アルキニル−もしくはHetを表し;特にRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシもしくはArを表す;
v)R12が水素、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキルオキシカルボニルを表す;
vi)R13がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
vii)Hetが場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよいチアゾリルを表す;
viii)Het16がピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(III)の中間体。
【0068】
また、例えば式(I)の化合物のような大環状キナーゼインヒビターの合成における式(III)の中間体の使用を提供することも本発明の目的である。
【0069】
本発明の式(I)の化合物および式(XXXI)の中間体は、薬理学的特性を有するので有用である。従って、それらは薬剤として使用することができる。
【0070】
従って、さらなる態様として、本発明は式(XXXI)
【0071】
【化15】

【0072】
[式中、
−a=a−aはN−CH=CH−CHもしくはN−CH=N−CHから選択される2価の基を表し;
Yは−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表し;
は水素もしくはハロを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表し;
はヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRはC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;
11は水素を表し;
13はHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表し;
Hetはモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様としてHetは場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し;
Het14はモルホリニルを表し;
Het16はモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し;
Arはフェニルを表し;
Arは場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す]
の中間体、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体;ならびに例えば式(I)の化合物のような大環状キナーゼインヒビターの合成における式(XXXI)の中間体の使用に関する。
【0073】
以下の実験部分に記述されるように、本発明の化合物および中間体のいくつかの増殖阻害効果および抗腫瘍活性は、受容体チロシンキナーゼEGFRに対する酵素アッセイにおいてインビトロで示されている。別のアッセイにおいて、これらの化合物の増殖阻害効果は、LIVE/DEAD(Molecular Probes)もしくはMTTのような当該技術分野で既知の細胞毒性アッセイを用いて卵巣癌細胞系SKOV3に対して試験された。
【0074】
従って、本発明は治療における、さらに特に細胞増殖媒介疾患の処置もしくは予防における使用のための式(I)の化合物および式(XXXI)の中間体ならびにそれらの製薬学的に許容しうるN−オキシド、付加塩、第四級アミンおよび立体化学的異性体を提供する。式(I)の化合物、式(XXXI)の中間体ならびにそれらの製薬学的に許容しうるN−オキシド、付加塩、第四級アミンおよび立体化学的異性体は、以下で本発明の化合物と称することができる。
【0075】
本発明の化合物が特に有用である疾患は、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、癌および糖尿病性合併症、例えば網膜症である。
【0076】
本発明の化合物の有用性を考慮して、アテローム性動脈硬化症、再狭窄および癌のような細胞増殖性疾患を処置する方法が提供され、該方法は、本発明の化合物の治療的に有効な量を、細胞増殖性疾患を患っているそのような処置を必要とする動物、例えばヒトを包含する哺乳類に投与することを含んでなる。
【0077】
該方法は、ヒトを包含する動物への本発明の化合物の有効量の全身もしくは局所投与を含んでなる。本発明のEGFRインヒビターの治療的に有効な量は、増殖阻害効果を生じさせるために十分な量であること、そしてこの量はとりわけ新生物のサイズ、タイプ、治療製剤における化合物の濃度および患者の症状により異なることを当業者は認識する。一般に、アテローム性動脈硬化症、再狭窄および癌のような細胞増殖性疾患を処置するための治療薬として投与されるEGFRインヒビターの量は、主治医によりケースバイケースで決定される。
【0078】
一般に、適当な用量は、0.5nM〜200μM、そしてより普通には5nM〜10μMの範囲において処置部位でEGFRインヒビターの濃度をもたらすものである。これらの処置濃度を得るために、処置を必要とする患者は、0.01mg/kg〜300mg/kg体重の間、特に10mg/kg〜100mg/kg体重で投与されると思われる。上記のように、上記の量はケースバイケースで異なり得る。これらの処置方法において、本発明の化合物は好ましくは投与(admission)の前に調合される。以下に本明細書に記述するように、適当な製薬学的製剤は、周知のそして容易に入手可能な成分を用いて既知の方法により製造される。
【0079】
EGFRインヒビターとしてのそれらの高度の選択性のために、上記に定義するような式(I)の化合物および式(XXXI)の中間体はまた、受容体チロシンキナーゼ受容体内のキナーゼドメインを明らかにするかもしくは同定するためにも有用である。この目的のために、本発明の化合物は、特に分子における1つもしくはそれ以上の原子をそれらの放射性同位体で部分的にもしくは完全に置換することにより標識することができる。興味深い標識化合物の例は、ヨウ素、臭素もしくはフッ素の放射性同位体である少なくとも1個のハロを有する化合物;または少なくとも1個の11C−原子もしくはトリチウム原子を有する化合物である。
【0080】
1つの特定の群は、Rが放射性ハロゲン原子である式(I)の化合物および式(XXXI)の中間体からなる。原則として、ハロゲン原子を含有する本発明の任意の化合物は、ハロゲン原子を適当な同位体で置換することにより放射性標識しやすい(prone for radiolabeling)。この目的に適当なハロゲン放射性同位体は、放射性ヨウ化物、例えば122I、123I、125I、131I;放射性臭化物、例えば75Br、76Br、77Brおよび82Brおよび放射性フッ化物、例えば18Fである。放射性ハロゲン原子の導入は、適当な交換反応によりもしくは式(I)のハロゲン誘導体を製造するために上記のような方法の任意の1つを用いることにより行うことができる。
【0081】
放射性標識の別の興味深い形態は、炭素原子を11C−原子で置換することもしくはトリチウム原子での水素原子の置換によってである。
【0082】
従って、本発明の該放射性標識化合物は、生物学的材料において受容体部位を特異的に明らかにする方法において使用することができる。該方法は、(a)本発明の化合物を放射性標識する段階、(b)この放射性標識化合物を生物学的材料に投与する段階、続いて(c)放射性標識化合物からの放射を検出する段階を含んでなる。
【0083】
生物学的材料という用語は、生物学的起源を有するあらゆる種類の材料を含んでなるものとする。さらに特に、この用語は組織サンプル、血漿もしくは体液をさすが、また動物、特に温血動物、もしくは臓器のような動物の一部もさす。
【0084】
インビボアッセイにおいて使用する場合、放射性標識化合物は、適切な組成物において動物に投与され、そして該放射性標識化合物の位置は、例えば、シングルフォトンエミッションコンピューター連動断層撮影(SPECT)もしくはポジトロンエミッション断層撮影(PET)などのような画像化技術を用いて検出される。このようにして体全体にわたる特定の受容体部位の分布を検出することができ、そして該受容体部位を含有する臓器を上記の画像化技術により視覚化することができる。式(I)の放射性標識化合物を投与し、そして放射性化合物からの放射を検出することにより臓器を画像化するこの方法もまた、本発明の一部を構成する。
【0085】
なおさらなる態様として、本発明は、上記の細胞増殖性疾患もしくは適応症のいずれかを処置するための薬剤の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0086】
治療効果を達成するために必要とされる、本明細書において有効成分とも呼ばれる本発明の化合物の量は、もちろん、特定の化合物、投与の経路、レシピエントの年齢および症状、ならびに処置する特定の疾患もしくは疾病によって異なる。適当な毎日用量は、0.01mg/kg〜300mg/kg体重、特に10mg/kg〜100mg/kg体重である。処置の方法にはまた、1日当たり1〜4回の間の摂取の処方計画で有効成分を投与することを包含することもできる。
【0087】
有効成分を単独で投与することは可能であるが、それを製薬学的組成物として与えることが好ましい。従って、本発明は、製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤と一緒に、本発明の化合物を含んでなる製薬学的組成物をさらに提供する。担体もしくは希釈剤は、組成物の他の成分と適合しそしてそのレシピエントに有害ではないという意味において「許容可能」でなければならない。
【0088】
本発明の製薬学的組成物は、薬学の当該技術分野において周知である任意の方法により、例えば、Gennaro et al.Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.,Mack Publishing Company,1990,特にPart8:Pharmaceutical preparations and their Manufactureを参照)に記述されているもののような方法を用いて製造することができる。有効成分として、塩基形態(base form)もしくは付加塩形態の特定の化合物の治療的に有効な量を、投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとり得る製薬学的に許容しうる担体とよく混合して合わせる。望ましくは、これらの製薬学的組成物は、好ましくは、経口、経皮もしくは非経口投与のような全身投与;または吸入、鼻腔用スプレー、点眼薬によるかもしくはクリーム、ゲル、シャンプーなどによるような局所投与に適当な単位投与形態物である。例えば、経口用投与形態物の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および液剤のような経口用液状製剤の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを:または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、澱粉、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口用投与単位形態物に相当し、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、例えば溶解性を促進するために、他の成分を含むことができるが、担体は、通常、少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。経皮投与に適当な組成物において、担体は、場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を含んでなり、これらの添加剤は皮膚へのいかなる重大な悪影響ももたらさない。該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができ、そして/もしくは所望の組成物を製造するのに役立つことができる。これらの組成物は様々な方法で、例えば経皮パッチとして、スポットオンとしてもしくは軟膏として投与することができる。
【0089】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投与単位形態物における上記の製薬学的組成物を調合することは特に好都合である。投与単位形態物は、本明細書および本明細書の請求項において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に別個の単位をさし、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような投与単位形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、注入可能な液剤もしくは懸濁剤、茶さじ一杯分、大さじ一杯分など、およびその分離した倍量である。
実験部分
以下で、「ADDP」という用語は1,1’−(アゾジカルボニル)ビス−ピペリジンを意味し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味する。
A.中間体の製造
[実施例A1]
【0090】
a)フェノール,4−クロロ−2−[(6−クロロピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−(中間体1)の製造
イソプロパノール(30mL)中の4,6−ジクロロ−ピリド[3,2−d]ピリミジン(0.00255mol)および4−クロロ−2−アミノフェノール(0.00446mol)の混合物を50℃で2時間30分間攪拌し、次に室温にし、そして蒸発乾固させた。残留物をエーテルに溶解し、濾過し、そして乾燥させ、1g(100%)の中間体1を生成せしめた。
b)フェノール,4−クロロ−2−[[6−[(6−ヒドロキシヘキシル)アミノ]ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−(中間体2)の製造
中間体1(0.00255mol)および6−アミノ−1−ヘキサノール(0.0255mol)の混合物を100℃で3時間攪拌し、次に室温にした。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1;70〜200μm)、0.71g(72%)の中間体2を生成せしめた、融点260℃。
[実施例A2]
【0091】
フェノール,4−クロロ−2−[[6−[(4−ヒドロキシブチル)アミノ]ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−(中間体3)の製造
中間体1(0.0013mol)および4−アミノ−1−ブタノール(0.026mol)の混合物を100℃で4時間攪拌し、次に室温にし、そして塩化ナトリウムの飽和溶液で加水分解した。混合物をDCMで抽出し、デカンテーションし、MgSO上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固させた。残留物(0.5g)をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.1;70〜200μm)。残留物(81mg、17%)をアセトニトリルおよびジエチルエーテルから結晶化した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させ、69mg(15%)の中間体3を生成せしめた、融点227℃。
[実施例A3]
【0092】
フェノール,4−クロロ−2−[[6−[(5−ヒドロキシペンチル)アミノ]ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−(中間体4)の製造
中間体1(0.0013mol)および5−アミノ−1−ペンタノール(0.0195mol)の混合物を100℃で4時間攪拌し、次に室温にし、そして塩化ナトリウムの飽和溶液で加水分解した。混合物をDCMで抽出し、デカンテーションし、MgSO上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固させた。残留物(0.45g)をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.1;70〜200μm)。残留物(66mg、14%)をアセトニトリルおよびジエチルエーテルから結晶化した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させ、59mg(12%)の中間体4を生成せしめた、融点240℃。
[実施例A4]
【0093】
a)フェノール,4−クロロ−2−[[6−(メチルチオ)ピリミド[5,4−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−(中間体5)の製造
ジオキサン(5mL)中の8−クロロ−2−(メチルチオ)−ピリミド[5,4−d]ピリミジン(0.0047mol)および2−アミノ−4−クロロフェノール(0.0094mol)の混合物を80℃で1時間攪拌し、次に室温に冷却し、沈殿物を濾過して分離し、水でそして次にジエチルエーテルで洗浄し、そして真空中で乾燥させ、1.2g(80%)の中間体5を生成せしめた。
b)フェノール,4−クロロ−2−[[6−[(6−ヒドロキシヘキシル)アミノ]ピリミド[5,4−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−(中間体6)の製造
6−アミノ−1−ヘキサノール(0.0022mol)中の中間体1(0.00172mol)の混合物は100℃で8時間後に融解された。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOH 97/3/0.1;35〜70μm)、0.170gの固体を生成せしめた。エーテルを加えた。固体を濾過して分離し、そして真空中で乾燥させ、135mg(20%)の中間体(6)を生成せしめた。
[実施例A5]
【0094】
a)ピリド[3,2−d]ピリミジン,4,6−ジクロロ−(中間体7)の製造
DMF(3滴)を6−クロロ−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4(1H)−オン[171178−33−9](0.00275mol)および塩化チオニル(0.179mol)の混合物に加えた。反応混合物を攪拌して90分間還流した(80℃で)。溶媒を蒸発させた。いくらかのジクロロメタンを加え、そして溶媒を蒸発させた。残留物をジクロロメタンに溶解した。有機溶液を飽和KCO水溶液で洗浄し、次に乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させ、0.49g(89%)の中間体(7)を生成せしめた。(HPLC:85% P)。
b)4−[2−(6−クロロ−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−フェノキシ]−酪酸エチルエステル(中間体8)の製造
中間体(7)(0.00245mol)を2−プロパノール(20ml)に溶解した(溶けにくい)。4−(2−アミノフェノキシ)ブタン酸エチルエステル(0.00416mol)を加え、続いてN,N−ジエチルエタナミン(0.00490mol)を加えた。反応混合物を攪拌して一晩還流した。次に、反応混合物を室温に冷却し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をジエチルエーテル中に溶解した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させ(ポンプ)、1.48gの画分(1)を生成せしめた(緑がかった固体、HPLC−MSにより92% P;いくらかの出発物質Bの存在)。この画分(1)を下記のように精製した。
【0095】
反応を繰り返した。
【0096】
中間体(7)(0.0055mol)を2−プロパノール(40ml)に溶解した(溶けにくい)。4−(2−アミノフェノキシ)ブタン酸,エチルエステル(0.00935mol)を加え、続いてN,N−ジエチルエタナミン(0.0110mol)を加えた。反応混合物を攪拌して一晩還流した。次に、反応混合物を室温に冷却し、そして溶媒を蒸発させた。残留物を画分(1)と合わせ、そしてシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーに供した(溶離剤:n−ヘキサン/EtOAc 3/1)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させ、3.04gの中間体(8)を生成せしめた(定量的収率で緑がかった固体、さらに精製せずに次の反応段階において使用する)。
(c)4−{2−[6−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルアミノ)−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノキシ}−酪酸エチルエステル(中間体9)の製造
中間体(8)(0.00026mol)および(3−アミノプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルエステル(0.00288mol)を密閉反応器において100℃で3時間混合し、画分(1)を生成せしめた(HPLCにより57% P+35%のアミド)。
【0097】
この画分(1)を下記のように精製した。
【0098】
反応を繰り返した。
【0099】
中間体(8)(0.00026mol)および(3−アミノプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルエステル(0.00288mol)を開いた反応フラスコ(上記のような密閉反応器においてではない)において100℃で2.5時間混合した。混合物を画分(1)と合わせた。シリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:n−ヘキサン/EtOAc 3/1)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させ、中間体(9)を生成せしめた(HPLC:92% P)。
(d)4−{2−[6−(3−アミノ−プロピルアミノ)−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノキシ}−酪酸エチルエステル(中間体10)の製造
中間体(9)(0.00019mol)をジクロロメタン(4.00ml)に溶解した。トリフルオロ酢酸(0.05192mol)を加え、そして反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒および残留する酸をロータリーエバポレーターにおいて蒸発させた。得られる残留物(油)を乾燥させ(高真空ポンプ)、中間体(10)を生成せしめた(HPLC:93% P;定量的収率;さらに精製せずに、次の反応段階において使用する)。
(e)4−{2−[6−(3−アミノ−プロピルアミノ)−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノキシ}−酪酸(中間体11)の製造
中間体(10)(0.00019mol;1当量)をテトラヒドロフラン(8.00ml)に溶解した。水(1.00ml)を加えた。水酸化リチウム1水和物(0.0019mol)を固体として加えた。追加の水酸化リチウム1水和物を塩基性pHに到達するまで加えた(それまではそれはCFCOOH残留物のために酸性であった)。反応混合物を65℃で2日間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターにおいて蒸発させ、中間体(11)を生成せしめた。(HPLC:78% P;定量的収率;さらに精製せずに、次の反応段階において使用する)。
[実施例A6]
【0100】
a)4−クロロ−6−フルオロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン,(中間体12)の製造
DMF(5滴)を6−フルオロ−3H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−オン(0.00605mol)および塩化チオニル(0.39mol)の混合物に加えた。反応混合物を攪拌して7時間還流した(80℃で)。溶媒を蒸発させ、1.254gの中間体(12)を生成せしめた。(不純な定量的収率;さらに精製せずに、次の反応段階において使用する)。
b)4−[2−(6−フルオロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−フェノキシ]−酪酸エチルエステル(中間体13)の製造
中間体(12)(0.00605mol)を2−プロパノール(40ml)に溶解した。4−(2−アミノフェノキシ)−ブタン酸,エチルエステル[112290−16−1]塩酸塩(0.01028mol)を加え、続いてN,N−ジエチルエタナミン(0.01210mol)を加えた。反応混合物を攪拌して一晩還流した。次に、反応混合物を室温に冷却し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:n−ヘキサン/EtOAc 3/1)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させ、0.922gの中間体(13)を生成せしめた(2段階にわたって41%の収率;黄色がかった固体;HPLCにより97% P)。
(c)4−{2−[6−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルアミノ)−ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノキシ}−酪酸エチルエステル(中間体14)の製造
中間体(13)(0.00027mol)を反応器においてDMSO(q.s.)に溶解した。(3−アミノプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルエステル[75178−96−0](0.07ml)およびN−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパナミン[7087−68−5](0.10ml)を加えた。反応器を閉じ、そして混合物を80℃で7日間加熱した。反応混合物を水に注ぎ出し、そして生成物をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させ、中間体(14)の画分1を生成せしめた。
【0101】
中間体14の2つの他の画分を下記のように製造した:
中間体(13)(0.00027mol)および(3−アミノプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルエステル[75178−96−0](0.00299mol)を(密閉)反応器において混合し、そして100℃で3時間加熱し、中間体(14)の画分2を生成せしめた。
【0102】
中間体(13)(0.00008mol)および(3−アミノプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルエステル[75178−96−0](0.0009mol)を開いた反応フラスコにおいて混合し、そして80℃で3日間加熱し、中間体(14)の画分3を生成せしめた。
【0103】
中間体14の画分1、2および3を合わせ、そしてシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0104】
中間体14はまた、下記のようにも製造した:
中間体(13)(0.00027mol)をDMF(3ml)に溶解した。(3−アミノプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルエステル[75178−96−0](0.00040mol)および炭酸セシウム(0.00135mol)を加え、そして反応混合物を100℃で4時間、次に115℃で一晩攪拌した。過剰の炭酸セシウムを濾過により除いた。濾液を蒸発させ、中間体(14)を生成せしめた。
(d)4−{2−[6−(3−アミノ−プロピルアミノ)−ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノキシ}−酪酸エチルエステル(中間体15)の製造
中間体(14)(0.00055mol)をジクロロメタン(11.00ml)に溶解した。トリフルオロ酢酸(0.143mol)を加え、そして反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒および残留する酸をロータリーエバポレーターにおいて蒸発させた。得られる残留物(油)を乾燥させ(高真空ポンプ)、中間体(15)を生成せしめた(HPLC:91% P;定量的収率;さらに精製せずに、次の反応段階において使用する)。
(e)4−{2−[6−(3−アミノ−プロピルアミノ)−ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノキシ}−酪酸(中間体16)の製造
中間体(15)(0.00055mol)をテトラヒドロフラン(16.00ml)に溶解した。水(2.00ml)を加えた。水酸化リチウム1水和物(0.0055mol)を固体として加えた。追加の水酸化リチウム1水和物を塩基性pHに到達するまで加えた(それまではそれはCFCOOH残留物のために酸性であった)。反応混合物を65℃で一晩攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターにおいて蒸発させ、中間体(16)を生成せしめた。(HPLC:88% P;定量的収率;さらに精製せずに、次の反応段階において使用する)。
[実施例A7]
【0105】
a)アリル−(4−クロロ−5−フルオロ−2−ニトロ−ベンジル)−メチル−アミン(中間体17)の製造
N−メチル−2−プロペン−1−アミン(1.1当量)を1,2−ジクロロエタン(207ml)中の4−クロロ−5−フルオロ−2−ニトロ−ベンズアルデヒド(1当量)の溶液に加え、次にMgSO(2さじ)を加え、そして得られる溶液を室温で2時間攪拌した。NaBH(OAc)(3当量)を5分割して(in 5 portions)加え(1時間当たり1部分)、そして反応混合物をKCOで洗浄した。CHClでの抽出後に、層を分離した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させて、中間体(17)を生成せしめた。
b)2−[(アリル−メチル−アミノ)−メチル]−5−クロロ−4−フルオロ−フェニルアミン(中間体18)の製造
室温でHO(120ml)およびNHCl(5当量)の溶液中のニトロ誘導体中間体(17)(1当量)の溶液をトルエン(120ml)に溶解し、次に鉄粉(5当量)をゆっくりと加え、そして反応混合物を攪拌して105℃で還流した。得られる粗生成物(crude)をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させて、4.8gの中間体(18)を生成せしめた。
c){2−[(アリル−メチル−アミノ)−メチル]−5−クロロ−4−フルオロ−フェニル}−(6−クロロ−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル)−アミン(中間体19)の製造
トリエチルアミン(3当量)をアセトニトリル(AlCO上で乾燥させる)(9ml)中の4,6−ジクロロ−ピリド[3,2−d]ピリミジン(1当量)の溶液に加えた。HClが発生し、そして反応混合物をNで10〜15分間パージした。中間体(18)を加え(1.7当量)、そして次に反応混合物を攪拌して5時間還流した。室温に冷却した後に、わずかに黄色の固体が混合物から沈殿した。生成物を集め、そして高真空下で乾燥させて、所望の生成物を生成せしめた。EtOAcを母層に加え、そして次に白色の固体が沈殿した。濾過後に、濾液を濃縮し、そして得られる濃縮物をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:ヘキサン/EtOAc 9/1)。所望の画分を集め、そして溶媒を蒸発させて、所望の生成物を生成せしめた。所望の生成物の両方の画分を集めて、0.750gの中間体(19)を生成せしめた。
(d)N−アリル−N−{2−[(アリル−メチル−アミノ)−メチル]−5−クロロ−4−フルオロ−フェニル}−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(中間体20)の製造
2−プロペニルアミン(9.8当量)中の中間体(19)(1当量)の溶液を100℃で密封管において一晩加熱し、次に得られる溶液を濃縮し、そして高真空下で乾燥させて、0.487g(115%)の半固体を得、それをCHClに再溶解した。次に溶液を濾過し、そして濾液を再び濃縮して、0.412g(100%)の中間体(20)を生成せしめた。
e)4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][1,4,6,11]ベンゾテトラアザシクロテトラデシン,16−クロロ−15−フルオロ−7,8,11,12,13,18−ヘキサヒドロ−12−メチル−,(9E)−(中間体21)の製造
CHCl(7mL)中の中間体(20)およびグラブス触媒第二世代(0.2当量)の混合物を攪拌して6時間還流し、次に反応混合物を室温で72時間攪拌して再び還流した。追加量のB(20%)を加え、そして次に得られる混合物を攪拌して再び6時間還流した。再び追加のB(20%)を加え、そして混合物を再び一晩還流した。濃縮後に、得られる残留物をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:酢酸塩/ヘキサン 1/1)。所望の画分を集め、そして溶媒を蒸発させ、0.025g(38%)の純粋な中間体(21)を生成せしめた。
B.化合物の製造
[実施例B1]
【0106】
7H,19H−4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][13,1,4,6]ベンゾキサトリアザシクロペンタデシン,17−クロロ−8,9,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−(化合物1)の製造
2個の別個の滴下漏斗において、THF(20ml)中のトリブチルホスフィン(0.00268mol)の溶液およびTHF(20ml)中のADDP(0.00155mol)の溶液を窒素の大気下で0℃で冷却したTHF(20ml)およびDMF(2ml)中の中間体2(0.00103mol)の溶液にゆっくりと同時に加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌し、水性塩酸の1N溶液に注ぎ出し、そして1時間後に、混合物をDCMで希釈した。沈殿物を濾過して分離し、有機相を炭酸カリウムの10%水溶液で分配し、乾燥させ(MgSO)、そして真空中で濃縮した。固体残留物を熱いイソプロパノール中で超音波処理し、濾過して分離し、乾式エーテルで洗浄し、そして真空中で乾燥させ、0.16g(44%)の化合物(1)を生成せしめた。
[実施例B2]
【0107】
6,4−(ニトリロメテノ)ピリミド[4,5−b][13,1,4,6]ベンゾキサトリアザシクロペンタデシン,17−クロロ−7,8,9,10,11,12,13,19−オクタヒドロ−(化合物2)の製造
2個の別個の滴下漏斗において、THF(2ml)中のADDP(0.00102mol)の溶液およびTHF(2ml)中のトリブチルホスフィン(0.00177mol)の溶液をTHF(10ml)およびDMF(1.4ml)中の中間体6(0.000681mol)の溶液にゆっくりと同時に加え、そして室温で18時間攪拌した。次に、THF(0.7mL)中のADDP(0.000340mol)の溶液およびTHF(0.7mL)中のトリブチルホスフィン(0.000592mol)の溶液を室温で2時間同時に加えた。混合物を加水分解し、そして沈殿物を濾過して分離し、水で次にイソプロパノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、そして真空中で乾燥させ、0.124g(49%)の化合物(2)を生成せしめた、融点>260℃。
[実施例B3]
【0108】
7H,21H−4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][15,1,4,6,10]ベンゾキサテトラアザシクロヘプタデシン−12(13H)−オン,8,9,10,11,14,15−ヘキサヒドロ−(化合物3)の製造
1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−3−オキシド−1H−ベンゾトリアゾリウム,ヘキサフルオロリン酸(1−)[94790−37−1](0.00057mol)をDMF(20ml)に溶解し、そして室温で攪拌した。中間体(11)(0.00019mol)をDMF(10ml)に溶解し、そしてN−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパナミン(0.00114mol)を加えた。この溶液を第一の溶液に2時間の期間にわたってゆっくりと加えた。薄緑色の溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒(DMF)を蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(3)を生成せしめた。
【0109】
【表1】

[実施例B4]
【0110】
7H,21H−6,4−(ニトリロメテノ)ピリミド[5,4−m][1,6,10,15]ベンゾキサトリアザシクロヘプタデシン−12(13H)−オン,8,9,10,11,14,15−ヘキサヒドロ−(化合物4)の製造
1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−3−オキシド−1H−ベンゾトリアゾリウム,ヘキサフルオロリン酸(1−)[94790−37−1](0.00165mol)をDMF(40ml)に溶解し、そして室温で攪拌した。中間体(16)(0.00055mol)をDMF(20ml)に溶解し、そしてN−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパナミン(0.0033mol)を加えた。この溶液を第一の溶液に2時間の期間にわたってゆっくりと加えた。薄緑色の溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒(DMF)を蒸発させ、化合物(4)を生成せしめた。
【0111】
【表2】

【0112】
全ての他の化合物は、これらの方法に従って製造することができ、ただし、C1〜5アルキルであるYおよびX/XNHを有する化合物は、ジエンの第二世代グラブス触媒を用いる閉環メタセシス条件下で環化される(以下の実施例B5を参照)。
[実施例B5]
【0113】
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][1,4,6,11]ベンゾテトラアザシクロテトラデシン,16−クロロ−15−フルオロ−7,8,9,10,11,12,13,18−オクタヒドロ−12−メチル−(化合物5)の製造
中間体(21)(1当量)をメタノール/ジオキサン混合物(4/1)に溶解し、次に触媒Pt/C(0.3当量)を加え、そして反応混合物をH大気下で4時間攪拌した。得られる混合物を短いセライトパッド上で濾過し、そして濾液を濃縮乾固させた。得られる残留物を高真空下で乾燥させて、0.029g(60%)の純粋な化合物(5)を生成せしめた。
化合物同定
化合物は、逆相HPLC上で勾配溶出システムを用いてLC/MSにより同定された。化合物は、それらの特定の保持時間およびそれらのプロトン化分子イオンMHピークにより同定される。HPLC勾配は、40℃に設定したカラムヒーターを有するWaters Alliance HT 2790システムにより与えた。カラムからの流れは、Waters 996フォトダイオードアレイ(PDA)検出器とポジティブおよびネガティブイオン化モードで作動させるエレクトロスプレーイオン化源を有するWaters−Micromass ZQ質量分析計に分けられた。逆相HPLCは、1.6ml/分の流速でXterra MS C18カラム(3.5μm、4.6x100mm)上で実施した。3つの移動相(移動相A 95% 25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を用いて6.5分で100%Aから50%Bおよび50%Cまで、1分で100%Bまで、1分間100%Bの勾配条件を行い、そして100%Aで1.5分間再平衡化した。10μLの注入容量を用いた。質量スペクトルは、0.1sの滞留時間を用いて1sで100から1000までスキャンすることにより得られた。キャピラリーニードル電圧は3kVであり、そして供給源温度を140℃で保った。窒素をネブライザーガスとして用いた。コーン電圧は、ポジティブイオン化モードでは10V、そしてネガティブイオン化モードでは20Vであった。データ収集は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。
【0114】
【表3】

【0115】
C.薬理学的実施例
[実施例C.1]
【0116】
EGFRのインビトロ阻害
EGFRのインビトロ阻害は、フラッシュプレート技術もしくはDavies,S.P.et al.,Biochem J.(2000),351;p.95−105により記述されるようなガラスファイバーフィルター技術のいずれかを用いて評価した。フラッシュプレート技術は、一般に、B.A.Brown et al.によりHigh Throughput Screening(1997),p.317−328.編集者:Devlin,John P.出版社:Dekker,New York,N.Y.に記述されている。
【0117】
フラッシュプレートEGFRキナーゼ反応アッセイでは、ビオチニル化ポリ(L−グルタミン酸−L−チロシン)(ポリ(GT)ビオチン)からなるキナーゼ基質を(33P)放射性標識ATPの存在下で上記のタンパク質とインキュベーションする。次に、基質の(33P)リン酸化を標識ビオチンと放射性標識基質の結合を捕獲しそして定量することによりストレプトアビジン被覆フラッシュプレート(PerkinElmer Life Sciences)を用いて放射される光エネルギーとして測定する。
詳細な記述
EGFRキナーゼ反応は、96ウェルマイクロタイターフラッシュプレート(PerkinElmer Life Sciences)において30℃で60分間行われる。試験化合物の各々について総用量反応1.10−6M〜1.10−10Mが行われている。イレッサおよびタルセバTM(エルロチニブ)を対照化合物として用いた。100μlの反応容量は、54.5mMのTrisHCl pH8.0、10mMのMgCl、100μMのNaVO、5.0μMの非標識ATP、1mMのDTT、0.009%のBSA、0.8μCiのAT33P、0.35μg/ウェルのポリ(GT)ビオチンおよび0.5μgのEGFR−キナーゼドメイン/ウェルを含有する。
【0118】
反応混合物を吸引し、そしてプレートを200μlの洗浄/停止バッファー(PBS+100mM EDTA)で3x洗浄することにより反応を止める。最終洗浄段階の後に200μlの洗浄/停止バッファーを各ウェルに加え、そしてリン酸化(33P)ポリ(GT)ビオチンの量をマイクロタイタープレートシンチレーションカウンターにおいて計数することにより(30秒/ウェル)決定した。
【0119】
ガラス−ファイバーフィルター技術EGFRキナーゼ反応アッセイでは、ポリ(L−グルタミン酸−L−チロシン)(ポリ(GT))からなるキナーゼ基質を(33P)放射性標識ATPの存在下で上記のタンパク質とインキュベーションする。次に、基質の(33P)リン酸化をガラスファイバーフィルター上に結合した放射活性として測定する。
詳細な記述
EGFRキナーゼ反応は、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて25℃で10分間行われる。試験化合物の各々について総用量反応1.10−6M〜1.10−10Mが行われている。イレッサおよびタルセバTM(エルロチニブ)を対照化合物として用いた。25μlの反応容量は、60mMのTrisHCl pH7.5、3mMのMgCl、3mMのMnCl、3μMのNaVO、50μg/mlのPEG20000、5.0μMの非標識ATP、1mMのDTT、0.1μCiのAT33P、62.5ng/ウェルのポリ(GT)および0.5μgのEGFR−キナーゼドメイン/ウェルを含有する。
【0120】
5μlの3%リン酸溶液を加えることにより反応を止める。次に、10μlの反応混合物をFiltermat Aフィルター(Wallac)上にスポットし、そして75mMのリン酸において5分間3回、そしてメタノールにおいて5分間1回洗浄し、その後に乾燥させ、そしてLE phosphorage storageスクリーンを用いてTyphoon(Amersham)上で定量する。
[実施例C.2]
【0121】
卵巣癌SKOV3細胞上での血清飢餓増殖アッセイ
全細胞におけるEGFへの化合物の阻害効果を評価するために、卵巣癌細胞系(SKOV3)を上皮増殖因子刺激細胞増殖アッセイにおいて使用した。
【0122】
第一段階として、SKOV3細胞を10%のFCS血清の存在下で24時間インキュベーションした。第二段階として細胞を試験する化合物と無血清条件(37℃および5%(v/v)CO)においてインキュベーションし、そして次にEGFで100ng/mlの最終濃度で72時間刺激した。EGF刺激への化合物の効果は、標準的なMTT細胞生存アッセイにおいて最終的に評価した。
【0123】
以下の表は、上記のキナーゼアッセイを用いて得られる、本発明の化合物のpIC50値を提供する。
【0124】
【表4】

【0125】
D.組成物実施例
以下の製剤は、本発明による動物およびヒト被験体への全身投与に適当な典型的な製薬学的組成物を例示する。
【0126】
「有効成分」(A.I.)は、これらの実施例の全体にわたって使用する場合に式(I)、(XXXI)の化合物もしくはその製薬学的に許容しうる付加塩に関する。
[実施例D.1]
【0127】
フィルムコート錠
錠剤コアの製造
A.I.(100g)、ラクトース(570g)および澱粉(200g)の混合物をよく混合し、そしてその後に約200mlの水中のドデシル硫酸ナトリウム(5g)およびポリビニル−ピロリドン(10g)の溶液で湿らせた。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させ、そして再びふるいにかけた。次に、微晶質セルロース(100g)および水素化植物油(15g)を加えた。全体をよく混合し、錠剤に圧縮し、各々10mgの有効成分を含んでなる10,000個の錠剤を生成せしめた。
コーティング
変性エタノール(75ml)中のメチルセルロース(10g)の溶液にCHCl(150ml)中のエチルセルロース(5g)の溶液を加えた。次に、CHCl(75ml)および1,2,3−プロパントリオール(2.5ml)を加えた。ポリエチレングリコール(10g)を溶融し、そしてジクロロメタン(75ml)に溶解した。後者の溶液を前者に加え、そして次にオクタデカン酸マグネシウム(2.5g)、ポリビニル−ピロリドン(5g)および濃縮色懸濁液(30ml)を加え、そして全体を均質化した。このようにして得られる混合物で錠剤コアをコーティング装置においてコーティングした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
−a=a−aはN−CH=CH−CH、N−CH=N−CHもしくはCH−CH=N−CHから選択される2価の基を表し;
ZはO、NHもしくはSを表し;
Yは−C3〜9アルキル−、−C3〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR14−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−CO−NR15−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−CO−NH−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−NH−C1〜6アルキル−、−NH−CO−C1〜6アルキル−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−、C1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR11、−NR11−C1〜2アルキル−、NR16−CO−、NR16−CO−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR12、NR12−C1〜2アルキル−、NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキル−、Het20−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ホルミル、C1〜6アルコキシ−、C1〜6アルキル−、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ヒドロキシもしくはハロから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、C1〜4アルキルカルボニル−、アミノカルボニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル−、Het、ホルミル、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、C3〜6シクロアルキル−、C3〜6シクロアルキルオキシ−、C1〜6アルコキシ−、Ar、Ar−オキシ−、ジヒドロキシボラン、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ハロ、ヒドロキシもしくはNRから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキル、
1〜4アルキルカルボニル−(ここで、該C1〜4アルキルは場合によりヒドロキシもしくはC1〜4アルキル−オキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい)を表し;
は水素、C1〜4アルキル、シアノあるいはハロ、C1〜4アルキルオキシ−、アミノ−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−、C1〜4アルキル−スルホニル−またはフェニルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、ヒドロキシ、Ar−オキシ、Ar−C1〜4アルキルオキシ−、C1〜4アルキルオキシ−、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜4アルケニルオキシ−を表すか、あるいはRはC1〜4アルキルオキシ−、ヒドロキシ、ハロ、Het−、−NR、−カルボニル−NR10もしくはHet−カルボニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;
およびRは各々独立して水素もしくはC1〜4アルキルから選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)−アミノスルホニル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシカルボニル−C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル、Het−カルボニル−C1〜4アルキル−、Het10−カルボニル−、ポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−、Het11−C1〜4アルキル−またはAr−C1〜4アルキル−から選択され;
およびR10は各々独立して水素、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、Het、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−もしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択され;
11は水素、C1〜4アルキル、Het、Het−C1〜4アルキル−、場合によりHet−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくは1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
12は水素、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、Het17、Het18−C1〜4アルキル−、場合によりHet19−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
13は水素、C1〜4アルキル、Het13、Het14−C1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
14およびR15は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het15−C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−から選択され;
16およびR17は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het21−C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−から選択され;
Hetはピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Hetはモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−、アミノC1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−スルホニル−、アミノスルホニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het、HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het、HetもしくはHetは場合によりヒドロキシ−、アミノ−、C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルまたはアミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Hetはピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該HetおよびHetは場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHet10は各々独立してフラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該HetもしくはHet10は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−もしくはアミノ−C1〜4アルキル−で置換されていてもよく;
Het11はインドリルもしくは
【化2】

から選択される複素環を表し;
Het12はモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het12は場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはモノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het13はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het14はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het15およびHet21は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het15もしくはHet21は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het16はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、1,3,2−ジオキサボロランもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het17はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het18およびHet19は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het18およびHet19は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het20はピロリジニル、2−ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルもしくはピラゾリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;そして
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは各々独立して場合によりシアノ、C1〜4アルキルスルホニル−、C1〜4アルキルスルホニルアミノ−、アミノスルホニルアミノ−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル、アミノスルホニル−、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシ−もしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す]
を有する化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体。
【請求項2】
ZがNHを表し;
Yが−C3〜9アルキル−、−C2〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR14−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−もしくはC1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表し;
がO、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、NR11もしくは−NR11−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが直接結合、C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、−NR11−、−O−もしくは−O−CH−を表し;
が直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキル−、C1〜2アルキル、Het20−C1〜2アルキル−、NR12もしくはNR12−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが直接結合、C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキル−、Het20−C1〜2アルキル−、−O−もしくは−O−CH−を表し;
が水素、シアノ、ハロもしくはヒドロキシ、好ましくはハロを表し;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、ArもしくはHetを表し;さらなる態様においてRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシもしくはArを表し;さらに特定の態様においてRが水素もしくはハロを表し;
が水素を表し;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;
11が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表し;
12が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表し;
13が水素もしくはHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表し;
14が水素もしくはC1〜4アルキルを表し;
17が水素、C1〜4アルキル−、Het21−C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキルを表し;特にR17が水素もしくはC1〜4アルキルを表し;
Hetが場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよいチアゾリルを表し;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し;
Het14がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het14が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het16がピペリジニル、モルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し;
Het20がピロリジニル、2−ピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し;
Het21がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het21が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表し;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがNHを表し;
Yが−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR14−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表し;
が−O−、−NR11−、−NR16−CO−もしくは−NR16−CO−C1〜2アルキル−を表し;
が直接結合、−C1〜2アルキル、−O−C1〜2アルキル、−O−、−O−CH−もしくはHet20−C1〜2アルキル−を表し;
が水素もしくはハロを表し;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表し;特にRが水素もしくはハロを表し;
が水素を表し;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;
11が水素を表し;
12が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表し;
13が水素もしくはHet14−C1〜4アルキル、特に水素もしくはモルホリニル−C1〜4アルキルを表し;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し;
Het14がモルホリニル表し;
Het16がモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し;
Het20がピロリジニルもしくはピペリジニルを表し;
Arがフェニルを表し;
Arが場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
置換基が式(I)の構造の4’位にあり、R置換基が5’位にあり、R置換基が3位であり、そしてR置換基が7位にある請求項1もしくは2に記載の化合物。
【請求項5】
−a=a−aがN−CH=CH−CHを表す請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
−a=a−aがN−CH=N−CHを表す請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
−a=a−aがCH−CH=N−CHを表す請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】

【化3】

[式中、
−a=a−aはN−CH=CH−CHもしくはN−CH=N−CHから選択される2価の基を表し;
Yは−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表し;
は水素もしくはハロを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表し;
はヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRはC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;
11は水素を表し;
13はHet14−C1〜4アルキルを表し;
Hetはモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het14はモルホリニルを表し;
Het16はモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し;
Arはフェニルを表し;
Arは場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す]
の中間体、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体。
【請求項9】
式(I)もしくは式(XXXI)のキナーゼインヒビター。
【請求項10】
薬剤としての使用のための請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
アテローム性動脈硬化症、再狭窄および癌のような細胞増殖性疾患を処置するための薬剤の製造における請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項12】
製薬学的に許容しうる担体および有効成分として請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の有効キナーゼ阻害量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項13】
薬剤としての使用のための請求項8に記載の中間体。
【請求項14】
アテローム性動脈硬化症、再狭窄および癌のような細胞増殖性疾患を処置するための薬剤の製造における請求項8に記載の中間体の使用。
【請求項15】
製薬学的に許容しうる担体および有効成分として請求項6に記載の中間体の有効キナーゼ阻害量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項16】
a)2−アセトキシ−8−クロロピリミド[5,4−d]ピリミジン誘導体(II)を適当な置換されたアニリン(III)とカップリングさせて、式(IV)の中間体を生成せしめ、そして式(IV)の中間体を脱保護し、続いて適当な条件下で閉環すること
【化4】

;もしくは
b)既知の8−クロロ−2(メチルチオ)−ピリミド[5,4−d]ピリミジンを式(XXI)の2−アミノフェノール誘導体とカップリングさせ、式(XXII)の中間化合物を生成せしめ、次に式(XXII)のピリド[3,2−d]ピリミジンを当該技術分野で既知の条件下でアミノ化アルコール(XXIII)を用いてアミノ化し、続いてミツノブ条件下で閉環して式(I”)の目標化合物を生成せしめること
【化5】

を含んでなる請求項1〜7に記載の化合物を製造する方法。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量をそのような処置を必要とする動物に投与することを含んでなる細胞増殖性疾患の処置方法。
【請求項18】
請求項8に記載の中間体の治療的に有効な量をそのような処置を必要とする動物に投与することを含んでなる細胞増殖性疾患の処置方法。

【公表番号】特表2007−514712(P2007−514712A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544440(P2006−544440)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053501
【国際公開番号】WO2005/058913
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】