説明

抗炎症活性を持つ特定のグルココルチコステロイド化合物

式(I)の化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロスタン系のグルココルチコイド受容体作動薬である化合物に関する。また本発明は、この化合物を含有する医薬製剤、ならびに治療上のその使用、特に炎症およびアレルギー症状の治療のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗炎症特性を持つグルココルチコステロイドは知られており、喘息および鼻炎などの炎症性障害または疾病の治療で広く使用されている。しかし、本発明者らは新規なグルココルチコステロイドを同定した。
【発明の開示】
【0003】
こうして、本発明の1態様によれば、式(I):
【化1】

【0004】
で表される化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
溶媒和物の例として、水和物が含まれる。
【0006】
以下、本発明による化合物に言及するものには、式(I)の化合物およびその溶媒和物の両方が含まれる。
【0007】
本発明の範囲内に式(I)の化合物のすべての立体異性体およびその混合物を含むものと理解されたい。
【0008】
好ましくは、その絶対立体化学構造は式(I)の化合物の提示で示されるものとなる。
【0009】
式(I)の化合物の名称は以下である:
6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボン酸,シアノメチルエステル。
【0010】
式(I)の化合物は、特に局所投与時に、潜在的に有益な抗炎症作用または抗アレルギー作用を持ち、例えばグルココルチコイド受容体に結合し、その受容体を介して応答を誘導する能力によって実証される。したがって、式(I)の化合物は炎症性および/またはアレルギー性障害の治療に有用である可能性がある。
【0011】
本発明の化合物が有用性を持つ疾病状態の例として以下が含まれる:皮膚の疾病、例えば湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症および過敏性反応; 鼻、咽喉または肺の炎症性症状、例えば喘息(アレルゲン誘発喘息反応を含む)、鼻炎(花粉症を含む)、鼻ポリプ、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎および線維症; 炎症性大腸症状、例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病; ならびに自己免疫疾患、例えば関節リウマチ。
【0012】
本発明の化合物には、結膜および結膜炎の治療における用途もある。
【0013】
本明細書中での治療とは、確立された症状の治療と同様に予防まで拡張されることが、当業者には理解されるはずである。
【0014】
上記のように、式(I)の化合物は、ヒト用医薬または動物用医薬において、特に抗炎症および抗アレルギー薬として有用であり得る。
【0015】
したがって、本発明の別の態様として、特に炎症性およびアレルギー症状を有する患者の治療での、ヒト用医薬または動物用医薬において使用するための式(I)の化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物が提供される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、炎症性および/またはアレルギー症状がある患者の治療用の医薬の製造のための、式(I)の化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物の使用が提供される。
【0017】
さらなるまたは代替の態様において、炎症および/またはアレルギー症状があるヒトまたは動物被験体の治療方法であって、式(I)の化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物の有効量を前記ヒトまたは動物被験体に投与することを含む、方法が提供される。
【0018】
本発明の化合物は任意の好都合な方法で投与するために製剤化することができ、したがって本発明にはまたその範囲内に、式(I)の化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物を、所望により1種または複数種の生理学的に許容される希釈剤または担体と混合して含む、医薬組成物が含まれる。
【0019】
さらに、成分を混合することを含む、こうした医薬組成物の調製方法が提供される。
【0020】
本発明の化合物は、例えば経口、バッカル、舌下、非経口、局所または直腸投与、特に局所投与用に製剤化することができる。
【0021】
本明細書で使用する局所投与には、吹き入れおよび吸入による投与が含まれる。局所投与用の各種タイプの製剤の例として以下が含まれる:軟膏、ローション、クリーム、ジェル、フォーム、経皮パッチによる送達用の製剤、粉剤、スプレー剤、エアロゾル、カプセルまたは吸入器もしくはインサフレーターもしくは点滴剤(例えば点眼薬もしくは点鼻薬)で使用するためのカートリッジ、噴霧用の溶液/懸濁液、坐剤、ペッサリー、停留浣腸剤および噛剤もしくは舐剤用の錠剤もしくはペレット(例えばアフタ性潰瘍の治療用)またはリポソームもしくはミクロカプセル製剤。
【0022】
軟膏、クリームおよびジェルは、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒を添加した水性または油性基剤を用いて製剤化される。こうした基剤として、例えば以下が含まれる:水および/または油、例えば液体パラフィンまたは植物油(落花生油もしくはヒマシ油など)、あるいはポリエチレングリコールなどの溶媒。基剤の性質に応じて使用することができる増粘剤およびゲル化剤には以下のものが含まれる:軟質パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜ロウ、カルボキシポリメチレンおよびセルロース誘導体、および/またはモノステアリン酸グリセリルおよび/または非イオン性乳化剤。
【0023】
ローションは水性または油性基剤を用いて製剤化することができ、一般的には1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤または増粘剤も含有する。
【0024】
外用粉剤はあらゆる好適な粉末基剤、例えばタルク、ラクトースまたはでんぷんとともに成形することができる。点滴剤は1種以上の分散剤、可溶化剤、懸濁剤または保存剤をも含む水性または非水性基剤を用いて製剤化することができる。
【0025】
スプレー組成物は例えば水性溶液もしくは懸濁液として、または定量噴霧式吸入器などの加圧パックから好適な液化噴射剤とともに送達されるエアロゾルとして製剤化することができる。吸入のために好適なエアロゾル組成物は懸濁液または溶液のいずれかが可能であり、一般的には式(I)の化合物と以下のような好適な噴射剤を含有する:フルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンまたはその混合物、特にヒドロフルオロアルカン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンまたはその混合物。エアロゾル組成物は場合によってさらに当技術分野で周知の賦形剤、界面活性剤、例えばオレイン酸もしくはレシチンなど、および共溶媒、例えばエタノールを含有してもよい。
【0026】
有利には、本発明の製剤は好適な緩衝化剤を添加することによって緩衝化することができる。
【0027】
吸入器またはインサフレーターで使用するための、例えばゼラチン製のカプセルまたはカートリッジには、本発明の化合物と好適な粉末基剤、ラクトースまたはでんぷんなどとの吸入用の粉末ミックスを含有させて製剤化することができる。各カプセルまたはカートリッジは一般的に20μg〜10mgの式(I)の化合物を含有する。あるいは、本発明の化合物をラクトースなどの賦形剤を伴わないで提供することもできる。
【0028】
本発明による局所組成物中の式(I)の活性化合物の割合は、調製する剤形の詳細なタイプに応じて決まるが、一般的には0.001〜10重量%の範囲内となる。しかし一般的には、大部分のタイプの製剤について、使用する割合は0.005〜1%、そして好ましくは0.01〜0.5%の範囲内が有利である。しかし、吸入または吹き入れ用の粉剤では、使用する割合は0.1〜5%の範囲内となる。
【0029】
エアロゾル製剤は好ましくは、エアロゾルの各既定量または「パフ」が式(I)の化合物を20μg〜2000μg、好ましくは約20μg〜500μg含有するように設定される。投与は1日に1回または1日に数回、例えば 2、3、4もしくは8回とし、各回について例えば1、2または3用量を与える。エアロゾルによる1日の合計用量は100μg〜10mg、好ましくは200μg〜2000μgの範囲内である。吸入器またはインサフレーター中のカプセルおよびカートリッジによって送達される1日の合計用量および既定用量は、一般的にエアロゾル製剤の2倍となる。
【0030】
局所製剤は1日に1回以上の適用によって患部に投与することができる。皮膚部位上の密封包帯を使用するのが好都合である。接着性貯留器システムによって、連続または長期送達を達成することができる。
【0031】
内用投与については、本発明の化合物を、例えば経口、非経口または直腸投与用の通常の様式で製剤化することができる。経口投与用の製剤としてシロップ、エリキシル、粉末、顆粒、錠剤およびカプセルが挙げられ、典型的には適宜以下のような通常の賦形剤を含有する:結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、湿潤剤、懸濁剤、乳化剤、保存剤、バッファー塩類、香味剤、着色剤および/または甘味剤。しかし、以下に記載するような単位投与剤形が好ましい。
【0032】
好ましい内用投与用の製剤の剤形は、単位投与剤形、すなわち錠剤およびカプセルである。こうした単位投与剤形は本発明の化合物を0.1mg〜20mg、好ましくは2.5〜10mg含有する。
【0033】
本発明の化合物は一般的に、全身性副腎皮質療法が適応となる症例では、内用投与によって投与される。
【0034】
一般的に、内用投与用の製剤は、関与する製剤のタイプに応じて、活性成分を0.05〜10%含有する。1日の用量は治療する症状および所望の治療期間に応じて、0.1mg〜60mg、例えば5〜30mgで変更することができる。
【0035】
徐放または腸溶コーティング製剤は特に炎症性大腸疾患の治療に有益となる。
【0036】
本発明の化合物および医薬製剤を、例えば以下から選択される1種以上の他の治療薬と組み合わせて使用するか、これらを含ませることができる:抗炎症薬、抗コリン作動薬(特にM1/M2/M3受容体拮抗薬)、β2アドレナリン受容体作動薬、抗感染薬(例えば抗生物質、抗ウイルス薬)、または抗ヒスタミン薬。こうして、本発明は、別の態様において、式(I)の化合物または医薬として許容されるその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性のその誘導体と、例えば以下から選択される1種以上の治療上活性な薬剤を含む組み合わせを提供する:抗炎症薬(例えば別のコルチコステロイドまたはNSAID)、抗コリン作動薬、β2アドレナリン受容体作動薬、抗感染薬(例えば抗生物質、抗ウイルス薬)、または抗ヒスタミン薬。好ましいのは、式(I)の化合物または医薬として許容されるその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能性のその誘導体と、β2アドレナリン受容体作動薬、および/または抗コリン作動薬および/またはPDE-4阻害薬を含む組み合わせである。好ましい組み合わせは1または2種の別の治療薬を含むものである。
【0037】
適切な場合には、その他の1種または複数種の治療成分を、塩(例えばアルカリ金属もしくはアミン塩として、または酸付加塩として)、またはプロドラッグ、またはエステル(例えば低級アルキルエステルとして)、または溶媒和物(例えば水和物)の形態で使用して、その治療成分の活性および/または安定性および/または物理特性(例えば可溶性)を最適化することは、当業者には明らかである。適切な場合には、治療成分を光学的に純粋な形態で使用することができることも、明らかである。
【0038】
本発明の化合物とβ2アドレナリン受容体作動薬をともに含む組み合わせが特に好ましい。
【0039】
β2アドレナリン受容体作動薬の例として、以下が含まれる:サルメテロール(例えばラセミ体またはR-鏡像体などの単一の鏡像体)、サルブタモール、フォルモテロール、サルメフアモール、フェノテロールまたはテルブタリンおよびそれらの塩、例えばサルメテロールのキシナホ酸塩、サルブタモールの硫酸塩もしくは遊離塩基またはフォルモテロールのフマル酸塩。長時間作用性β2アドレナリン受容体作動薬、特にサルメテロールまたはフォルモテロールなどの24時間にわたって治療効果を持つものが好ましい。
【0040】
好ましい長時間作用性β2アドレナリン受容体作動薬として以下に記載されたものが含まれる:WO 02/066422, WO 02/070490, WO 02/076933, WO 03/024439, WO 03/072539, WO 03/091204, WO 04/016578, WO 04/022547, WO 04/037807, WO 04/037773, WO 04/037768, WO 04/039762, WO 04/039766, WO 01/42193 および WO 03/042160。
【0041】
特に好ましい長時間作用性β2アドレナリン受容体作動薬として、式(XX):
【化2】

【0042】
(式中、
mは2〜8の整数であり;
nは3〜11の整数であり、
ただしm + nは5〜19であり、
R21は-XSO2NR26R27(式中Xは-(CH2)p-またはC2-6アルケニレンである)であり;
R26およびR27は独立して水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C(O)NR28R29、フェニル、およびフェニル(C1-4アルキル)-から選択されるか、
またはR26およびR27は、これらが結合する窒素とともに、5-、6-、もしくは7員の窒素含有環を形成しており、かつR26およびR27のそれぞれは場合によってハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシで置換されたC1-6アルコキシ、-CO2R28、-SO2NR28R29、-CONR28R29、-NR28C(O)R29、または5-, 6- もしくは7員のヘテロ環から選択される1個もしくは2個の基で置換されていてもよく;
R28およびR29は独立して水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、およびフェニル(C1-4アルキル)-から選択され; そして
pは0〜6、好ましくは0〜4の整数であり;
R22およびR23は独立して水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、フェニル、およびC1-6ハロアルキルから選択され; そして
R24およびR25は独立して水素およびC1-4アルキルから選択され、ただしR24およびR25内の炭素数の合計が4以下である。)
で表される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が含まれる。
【0043】
特に好ましい長時間作用性β2アドレナリン受容体作動薬は以下のものである:
3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド、および
N-2{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン。
【0044】
好適な抗炎症薬としてコルチコステロイドが含まれる。本発明の化合物と配合して使用することができる好適なコルチコステロイドは抗炎症活性を持つ経口および吸入用のコルチコステロイドならびにそれらのプロドラッグである。例として以下が含まれる:メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、ベクロメタゾンエステル類(例えば17-プロピオン酸エステルまたは17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル類(例えばフロ酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド(16α,17-[[(R)-シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]-11β,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)、プロピオン酸ブチキソコルト、RPR-106541、およびST-126。好ましいコルチコステロイドとして以下が含まれる:プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルおよび6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル。さらに好ましくは6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルである。
【0045】
転写活性化よりも転写抑制に選択性を持ち、併用療法に有用なグルココルチコイド作動性を有する非ステロイド化合物として、以下の特許中で保護されるものが含まれる:WO03/082827, WO01/10143, WO98/54159, WO04/005229, WO04/009016, WO04/009017, WO04/018429, WO03/104195, WO03/082787, WO03/082280, WO03/059899, WO03/101932, WO02/02565, WO01/16128, WO00/66590, WO03/086294, WO04/026248, WO03/061651, WO03/08277。
【0046】
好適な抗炎症薬として、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が含まれる。
【0047】
好適なNSAIDとして以下が含まれる:クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬(例えばテオフィリン、PDE4阻害薬またはPDE3/PDE4混合阻害薬)、ロイコトリエン拮抗薬、ロイコトリエン合成阻害薬(例えばモンテルカスト)、iNOS阻害薬、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害薬、ベータ-2インテグリン拮抗薬およびアデノシン受容体作動薬もしくは拮抗薬(例えばアデノシン2a作動薬)、サイトカイン拮抗薬(例えばケモカイン拮抗薬、CCR3拮抗薬など)またはサイトカイン合成阻害薬または5-リポキシゲナーゼ阻害薬。好適なその他のβ2アドレナリン受容体作動薬として以下が含まれる:サルメテロール(例えばキシナホ酸塩として)、サルブタモール(例えば硫酸塩または遊離塩基として)、フォルモテロール(例えばフマル酸塩として)、フェノテロールまたはテルブタリンおよびそれらの塩。iNOS(誘導性一酸化窒素シンターゼ阻害薬)は好ましくは経口投与用とする。好適なiNOS阻害薬として以下に開示されているものが含まれる:WO93/13055, WO98/30537, WO02/50021, WO95/34534およびWO99/62875。好適なCCR3阻害薬としてWO02/26722に開示されているものが含まれる。
【0048】
特に対象となるのは、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬と併用する式(I)の化合物の使用で、特に吸入用に適応させた製剤の場合である。この発明の態様で有用なPDE4特異的阻害薬は、PDE4酵素を阻害することが知られているか、PDE4阻害剤として作用することが見出されているどんな化合物でもよいが、それらはPDE4阻害剤に限られ、PDE3およびPDE5やPDE4などのその他のPDEファミリーのものを阻害する化合物ではない。
【0049】
対象の化合物として以下が含まれる:シス-4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オンおよびシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]。また、シス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロミラストとしても知られている)およびその塩、エステル、プロドラッグまたは物理的形態であり、これは1996年9月03日発行の米国特許第5,552,438号に記載されている。この特許およびこれに開示された化合物の全部を参照として本明細書中に組み入れる。
【0050】
ElbionからのAWD-12-281(Hofgen, N.ら、15th EFMC Int Symp Med Chem (Sept 6-10, Edinburgh) 1998, Abst P.98; CAS reference No. 247584020-9); 9-ベンジルアデニン誘導体、名称NCS-613 (INSERM); ChiroscienceおよびSchering-PloughからのD-4418; CI-1018(PD-168787)として同定され、Pfizerに帰属するベンゾジアゼピンPDE4阻害薬; Kyowa HakkoによってWO99/16766aに開示されたベンゾジオキソール誘導体; Kyowa HakkoからのK-34; NappからのV-11294A(Landells, L.J. ら、Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (Sept 19-23,Geneva) 1998] 1998, 12 (Suppl. 28): Abst P2393); Byk-Guldenからのロフルミラスト(CAS reference No 162401-32-3)およびプタラジノン(WO99/47505、この開示を参照として本明細書中に組み入れる); Pumafentrine, (-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド、これは混合PDE3/PDE4阻害薬であって、Byk-Gulden、現在のAltanaが調製し、公開したものである; Almirall-Prodesfarmaが開発中のアロフィリン; VernalisからのVM554/UM565; またはT-440(Tanabe Seiyaku; Fuji, K.ら、J Pharmacol Exp Ther,1998, 284(1): 162)、およびT2585。
【0051】
別の対象の化合物が、公開された国際特許出願WO04/024728(Glaxo Group Ltd)、PCT/EP2003/014867(Glaxo Group Ltd)およびPCT/EP2004/005494(Glaxo Group Ltd)中に開示されている。
【0052】
好適な抗コリン作動薬とは、ムスカリン性受容体について拮抗体として作用する化合物、特にM1もしくはM3受容体の拮抗体、M1/M3もしくはM2/M3の二重拮抗体、M1/M2/M3受容体の受容体もしくは汎拮抗体である化合物である。吸入による投与のための代表的な化合物として以下が含まれる:イプラトロピウム(例えばAtroventの名称で臭化物として販売されている、CAS 22254-24-6)、オキシトロピウム(例えば臭化物として、CAS 30286-75-0)およびチオトロピウム(例えばSpirivaの名称で臭化物として販売されている、CAS 136310-93-5)。また、対象となるのは、レバトロペート(例えば臭化水素酸塩として、CAS 262586-79-8)およびWO01/04118に開示されているLAS-34273である。経口投与用の代表的な化合物として以下が含まれる:ピレンゼピン(CAS 28797-61-7)、ダリフェナシン(CAS 133099-04-4、またはCAS 133099-07-7、Enablexの名称で販売されている臭化水素酸塩)、オキシブチニン(CAS 5633-20-5、Ditropanの名称で販売されている)、テロジリン(CAS 15793-40-5)、トルテロジン(CAS 124937-51-5、または酒石酸塩ではCAS 124937-52-6、Detrolの名称で販売されている)、オチロニウム(例えばSpasmomenの名称で臭化物として販売されている、CAS 26095-59-0)、塩化トロスピウム(CAS 10405-02-4)およびソリフェナシン(CAS 242478-37-1、またはコハク酸塩としてCAS 242478-38-2、YM-905としても知られており、Vesicareの名称で販売されている)。
【0053】
別の好適な抗コリン作動薬として式(XXI):
【化3】

【0054】
(式中、トロパン環に結合しているアルキル鎖の好ましい配向はエンドであり;
R31およびR32は独立して以下で構成される基から選択され:好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝低級アルキル基、5〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル-アルキル、2-チエニル、2-ピリジル、フェニル、4個以下の炭素原子を有するアルキル基で置換されたフェニル、および4個以下の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されたフェニル;
X-はN原子の陽電荷と会合している陰イオンである。X-は限定するわけではないが、塩素、臭素、ヨウ素、硫酸、ベンゼンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸である。)
で表される化合物が含まれ(米国特許出願60/487981に開示されている)、例えば以下が含まれる:
(3-エンド)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-エンド)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-エンド)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン 4-メチルベンゼンスルホン酸;
(3-エンド)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-チエニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド; および/または
(3-エンド)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-ピリジニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
【0055】
別の好適な抗コリン作動薬として式(XXII)または(XXIII):
【化4】

【0056】
(式中:
指し示したH原子はexo位にあり;
R41はN原子の陽電荷と会合している陰イオンであり、R41は限定するわけではないが、塩素、臭素、ヨウ素、硫酸、ベンゼンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸であり;
R42およびR43は独立して以下で構成される基から選択され:(好ましくは1〜6個の炭素原子を有する)直鎖もしくは分枝低級アルキル基、(5〜6個の炭素原子を有する)シクロアルキル基、(6〜10個の炭素原子を有する)シクロアルキル-アルキル、(5〜6個の炭素原子を有し、ヘテロ原子としてNもしくはOを持つ)ヘテロシクロアルキル、(6〜10個の炭素原子を有し、ヘテロ原子としてNもしくはOを持つ)ヘテロシクロアルキル-アルキル、アリール、適宜に置換されたアリール、ヘテロアリール、および適宜に置換されたヘテロアリール;
R44は以下の基から選択され:(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-C6)アルキル-アリール、(C1-C6)アルキル-ヘテロアリール、-OR45、-CH2OR45、-CH2OH、-CN、-CF3、-CH2O(CO)R46、-CO2R47、-CH2NH2、-CH2N(R47)SO2R45、-SO2N(R47)(R48)、-CON(R47)(R48)、-CH2N(R48)CO(R46)、-CH2N(R48)SO2(R46)、-CH2N(R48)CO2(R45)、-CH2N(R48)CONH(R47);
R45は以下の基から選択され:(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル-アリール、(C1-C6)アルキル-ヘテロアリール;
R46は以下の基から選択され:(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-C6)アルキル-アリール、(C1-C6)アルキル-ヘテロアリール;
R47およびR48は独立して以下の基から選択される:H、(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル-アリール、および(C1-C6)アルキル-ヘテロアリール。)
で表される化合物が含まれ(米国特許出願60/511009に開示されている)、例えば以下を含む:
(エンド)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオニトリル;
(エンド)-8-メチル-3-(2,2,2-トリフェニル-エチル)-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオン酸;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロパン-1-オール;
N-ベンジル-3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
(エンド)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
1-ベンジル-3-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
1-エチル-3-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-アセトアミド;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンズアミド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-プロピオニトリル;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンゼンスルホンアミド;
[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-メタンスルホンアミド; および/または
(エンド)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
【0057】
本発明で有用なさらに好ましい化合物として以下が含まれる:
(エンド)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(エンド)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド; および/または
(エンド)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
【0058】
好適な抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬とも称される)として、H1受容体を阻害し、かつヒトでの使用について安全であることが知られている膨大な数の拮抗薬のうちの任意の1種以上が含まれる。第1世代拮抗薬として以下が含まれる:エタノールアミン、エチレンジアミン、およびアルキルアミンの誘導体、例えばジフェニルヒドラミン、ピリラミン、クレマスチン、クロロフェニラミン。非鎮静性の第2世代拮抗薬として以下が含まれる:ロラチジン、デスロラチジン、テルフェナジン、アステミゾール、アクリバスチン、アゼラスチン、レボセチリジン、フェキソフェナジンおよびセチリジン。
【0059】
好ましい抗ヒスタミン薬の例として、ロラチジン、デスロラチジン、フェキソフェナジンおよびセチリジンが含まれる。
【0060】
こうして本発明は別の態様において、式(I)の化合物、医薬として許容されるその溶媒和物または生理学的に機能性の誘導体をPDE4阻害薬とともに含む組み合わせを提供する。
【0061】
こうして本発明は別の態様において、式(I)の化合物、医薬として許容されるその溶媒和物または生理学的に機能性の誘導体をβ2アドレナリン受容体作動薬とともに含む組み合わせを提供する。
【0062】
こうして本発明は別の態様において、式(I)の化合物、医薬として許容されるその溶媒和物または生理学的に機能性の誘導体を抗コリン作動薬とともに含む組み合わせを提供する。
【0063】
こうして本発明は別の態様において、式(I)の化合物、医薬として許容されるその溶媒和物または生理学的に機能性の誘導体を抗ヒスタミン薬とともに含む組み合わせを提供する。
【0064】
こうして本発明は別の態様において、式(I)の化合物、医薬として許容されるその溶媒和物または生理学的に機能性の誘導体をPDE4阻害薬およびβ2アドレナリン受容体作動薬とともに含む組み合わせを提供する。
【0065】
こうして本発明は別の態様において、式(I)の化合物、医薬として許容されるその溶媒和物または生理学的に機能性の誘導体を抗コリン作動薬およびPDE4阻害薬とともに含む組み合わせを提供する。
【0066】
上記の組み合わせは使用に好都合な医薬製剤の形態で提供することができ、したがって、上記定義の組み合わせを医薬として許容される希釈剤または担体とともに含む医薬製剤は、本発明の別の態様を提供する。
【0067】
こうした組み合わせの個々の化合物は順次、あるいは個別の医薬製剤または組み合わせた医薬製剤の形態で同時に投与することができる。好ましくはこうした組み合わせの個々の化合物を組み合わせた混合医薬として同時に投与する。既知の治療薬の適切な用量は、当業者が容易に理解できるものである。
【0068】
生理学的に許容されない式(I)の化合物の溶媒和物は、式(I)の化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物の調製での中間体として有用となることもある。
【0069】
式(I)の化合物またはその溶媒和物は、グルココルチコイド受容体における作動性が実証されている。
【0070】
式(I)の化合物またはその溶媒和物は、予測される薬物動態学的および薬力学的挙動をする、良好な抗炎症性特性を示しうる。またこれらは、例えばプロゲステロン受容体よりもグルココルチコイド受容体に対して選択性が増加しており、かつグルココルチコイド受容体が媒介する転写活性よりも転写抑制に対する選択性が増加していることによって実証された、魅力的な副作用プロフィルを有するものであり、おそらくヒト患者にとって好都合な治療計画に適合するものと見られる。
【0071】
以下の限定するわけではない実施例で、本発明を説明する。
【実施例】
【0072】
一般法
Varianから市販されている充填済みBond Elutシリカゲルカートリッジを使用するか、または充填済みBiotageシリカカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、クロマトグラフィー精製を実施した。これらのカートリッジは使用前にジクロロメタンで前処理した。Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3 cm x 4.6 mm ID)上でLCMSを実施し、水中の0.1% HCO2Hおよび0.01 M酢酸アンモニウム(溶媒 A)ならびにアセトニトリル中の0.05% HCO2H 5%水(溶媒 B)で以下の溶離勾配を使用して溶離させた:0-0.7分0%B, 0.7-4.2分100%B, 4.2-5.3分0%B, 5.3-5.5分0%B 、流速 3 ml/分。Fisons VG Platform分光計でエレクトロスプレー陽性および陰性モード(ES+veおよびES-ve)を使用して、マススペクトルを記録した。400.13 MHzおよび9.4 Teslaで作動させたBruker DPX 400分光計で、内部標準として7.25 ppmの残余のプロトン化溶媒からのシグナルを使用して、CDCl3中での1H NMRスペクトルを取得した。
【0073】
中間体
中間体 1: 2,3-ジメチル-1-[(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピル)カルボニル]-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド
ジクロロメタン(3.6L)中の2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(600g, 4.2mol)の34℃の撹拌溶液に、65分間にわたってオキサリルクロリド(360ml, 4.1mol)を添加した。次に溶液を30分間還流下で加熱した後、5℃まで冷却した。ジクロロメタン(1.2L)中の1,2-ジメチルイミダゾール(490g, 5.1mol)の溶液を、内部温度を約5℃に維持しながら45分間かけて添加した。生成した懸濁液を18℃に加温し、内部温度を約18℃に維持しながら45分間かけて、アセトン(4.8L)を添加した。スラリーを30分間で5℃まで冷却し、5℃で30分撹拌し、その後ろ過した。生成物をろ過によって回収し、アセトン: ジクロロメタン(3:1, 3x1.2L)で洗浄し、吸引乾燥し、その後25-30℃の真空オーブンで10時間乾燥して、中間体 1を白色固体(890g)として取得した:1H nmr: δH (CDCl3, 400MHz) 8.45 (d, J 2.4Hz, 1H), 8.11 (d, J 2.4Hz, 1H), 4.21 (s, 3H), 2.96 (s, 3H), 2.21 (s, 1H), 1.43 (s, 6H), 1.33 (s, 6H)。
【0074】
実施例
実施例 1: 6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボン酸シアノメチルエステル
方法 A
窒素下で、DMF(15ml)中の6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボン酸(WO 2003/3072592の記載にしたがって調製)(634mg, 1.22mmol)および炭酸ナトリウム(1.29g, 12.2mmol)の撹拌(氷)冷溶液に、ブロモアセトニトリル(0.229ml, 3.29mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。さらに炭酸ナトリウム(258mg)を添加し、混合物をさらに18時間撹拌した。2M HCl(20ml)を1滴ずつ、その後水(25ml)を添加し、混合物を酢酸エチル(2x50ml)で抽出した。まとめた有機抽出物を水性炭酸水素ナトリウム(50ml)およびブライン(50ml)で順次洗浄し、疎水性フリットを通して乾燥して、蒸発乾固させた。Bon Elutカートリッジ上で、当初シクロヘキサン、そして最後にシクロヘキサン:酢酸エチル 3:1を使用する精製によって、表記化合物を白色固体(485mg)として取得した: LCMS 保持時間 3.79分、m/z 560 MH+
【0075】
方法 B
6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボン酸(G.H.Phillipsら、(1994) Journal of Medicinal Chemistry, 37, 3717-3729)(490g, 1.2mol)および中間体 1(790g, 3.1mol)を3-ペンタノン(7.3L)に懸濁させた。この撹拌懸濁液に、内部温度を約19℃に維持しながら、水(730ml)中の1,2-ジメチルイミダゾール(120g, 1.2mol)の溶液を10分間かけて添加した。35分後、内部温度を約19℃に維持しながら、1-メチルピペラジン(230ml, 2.1mol)を10分間かけて添加した。混合物を30分撹拌し、その後2M HCl(290ml)および水(290ml)で順次洗浄した。この溶液にジイソプロピルエチルアミン(430ml, 2.5mol)およびブロモアセトニトリル(120ml, 1.7mol)を順次添加し、混合物を53℃で13時間加熱した。溶液を34℃に冷却し、1-メチルピペラジン(105ml)を添加した。混合物を約34℃でさらに1時間撹拌し、25℃に冷却し、2M HCl(290ml)、水(290ml)、2%炭酸カリウム溶液(290ml)および水(290ml)で順次洗浄した。有機溶液を常圧蒸留によって3.9Lまで濃縮し、75℃に冷却し、実施例 1の結晶を析出させた。2,2,4-トリメチルペンタン(6.83L)を75℃で3時間かけて添加し、その後スラリーを2時間かけて10℃に冷却し、さらに30分撹拌し、その後ろ過した。生成物を3-ペンタノン: 2,2,4-トリメチルペンタン(1:3, 3x1L)で洗浄し、吸引乾燥し、最後に50℃の真空オーブンで12時間乾燥して、実施例1を、方法 Aを使用して取得した物質と同一の白色固体(640g)として取得した。
【0076】
薬理学的活性
薬理学的活性を、グルココルチコイド作動薬活性のin vitro機能アッセイで評価した。
【0077】
K.P.Rayら、Biochem J. (1997), 328, 707-715に記載されたものを基礎とする機能アッセイで、グルココルチコイド作動薬の転写抑制活性の指標が提供される。sPAP (分泌アルカリホスファターゼ)に連結したELAM遺伝子プロモーターからのNF-ΚB応答エレメントを含有するリポーター遺伝子で安定的にトランスフェクトしたA549細胞を、適切な用量の試験化合物で、37℃で1時間、処理する。次に、細胞を腫瘍壊死因子(TNF, 10ng/ml)で16時間刺激し、この時点で、産生されたアルカリホスファターゼの量を標準的比色アッセイで測定する。用量応答曲線を構築し、これによってEC50値を評価することができる。
【0078】
実施例 1の化合物についてのEC50値は<0.1nMだった。
【0079】
R.J.H. Austinら、Eur Resp J. (2002), 20, 1386-1392に記載されたものを基礎とする機能アッセイで、化合物について遺伝子発現を直接転写活性化する能力が測定される。レニラ(renilla)ルシフェラーゼに連結したマウス乳癌ウイルス末端繰返し配列(MMTV-LTR)のグルココルチコイド応答領域を含有するリポーター遺伝子で安定的にトランスフェクトしたA549細胞を、適切な用量の試験化合物で、37℃で6時間、処理した。次に細胞内に存在するルシフェラーゼ活性の量を、好適な基質とのインキュベーション後に放出された光を測定することによって、判定した。用量応答曲線を構築し、これによってEC50値を評価し、これからDexamethasone(100%)と比較した最大応答を算出した。
【0080】
このアッセイで、実施例 1の化合物は最大応答 <5% を示した。
【0081】
プロゲステロン受容体活性についてのアッセイ
ヒト乳がん細胞系T47Dはプロゲスチンに応答して内在性アルカリホスファターゼをアップレギュレートすることが報告されている(Di Lorenzoら、Cancer Research (1991) 51, 4470-4475)。T47D細胞を1ウェルについて1x105細胞の密度で96ウェルプレートに播種し、37℃で一晩増殖させた。ステロイドをDMSOに溶解し、これらの細胞に(最終DMSO濃度0.7%で)添加し、37℃で24時間インキュベートした。次に細胞をPBSで洗浄し、RIPAバッファー(リン酸塩緩衝化生理食塩水中1% IGEPAL、0.5% デオキシコール酸Na、0.1% SDS)で溶解させた。基質として1M ジエタノールアミン、0.28M NaCl、0.5mM MgCl2に溶解させたp-ニトロフェニルリン酸塩(1.5mg/ml)を使用して、分光分析(405nm)によって、アルカリホスファターゼ活性を測定した。用量応答曲線を構築し、これによってEC50値を評価した。
【0082】
このアッセイで、実施例 1の化合物についてのEC50値は >100nMだった。
【0083】
明細書および添付する特許請求の範囲を通して、文脈でそれ以外を要求している以外は、用語「含む(comprise)」、ならびにその三人称および進行形などの変化形は、示された整数またはステップまたは整数の群の包含を意味するが、その他のあらゆる整数またはステップまたは整数もしくはステップの群の排除を意味するものではないと理解されたい。
【0084】
この発明の詳細な説明および特許請求の範囲が形成する本出願は、あらゆる後の出願について優先権の基礎として使用することができる。こうした後の出願の特許請求の範囲とは、本明細書に記載されたいずれかの特徴または特徴の組み合わせに関するものでありうる。それらは物、組成物、方法または用途クレームの形態をとり、例として、限定するわけではないが、以下の特許請求の範囲が含まれる。
【0085】
本出願中に記載した特許または特許出願は、本明細書中に参照として組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物。
【化1】

【請求項2】
動物用医薬またはヒト用医薬において使用するための、請求項1に記載の式(I)で表される化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物。
【請求項3】
炎症および/またはアレルギー症状の治療用の医薬の製造のための、請求項1に記載の式(I)で表される化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物の使用。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物を、所望により1種または複数種の生理学的に許容される希釈剤または担体との混合物として含む、医薬組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物、および噴射剤としてのフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンを、場合によって界面活性剤および/または共溶媒とともに含む、医薬エアロゾル製剤。
【請求項6】
別の有効治療薬をさらに含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
別の有効治療薬がβ2アドレナリン受容体作動薬である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
炎症および/またはアレルギー症状があるヒトまたは動物被験体の治療方法であって、請求項1に記載の式(I)で表される化合物または生理学的に許容されるその溶媒和物の有効量を前記ヒトまたは動物被験体に投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2009−514781(P2009−514781A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518181(P2006−518181)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007820
【国際公開番号】WO2005/005452
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】