説明

抗精神病剤としての7−ヘテロアリールスルホニル−テトラヒドロ−3−ベンゾアゼピン誘導体

本発明は、式(I)


[式中、AおよびBは、各々、−(CH−および−(CH−基を示し;Rは、水素またはC1−6アルキルを示し;Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシC1−6アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6フルオロアルコキシ、−(CH3−6シクロアルキル、−(CHOC3−6シクロアルキル、−COC1−6アルキル、−SO1−6アルキル、−SOC1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、−CO1−6アルキル、−CONR、−SONR、−(CHNR、−(CHNRCOR、置換されていてもよいアリール環、置換されていてもよいヘテロアリール環、縮合二環式芳香族複素環系または置換されていてもよい複素環を示し;Arは、置換されていてもよいヘテロアリール環を示し;Arは、置換されていてもよいアリール環または置換されていてもよいヘテロアリール環を示し;Zは、−(CHX−(ここに、−(CH−基はArに結合している)または−X(CH−(ここに、XはArに結合している)を示し、ここに、該−CH−基のいずれも、1以上のC1−6アルキル基によって置換されていてもよく;Xは、酸素、−CH(OR)−、−NR−または−CH−を示し、ここに、−CH−基は、1以上のC1−6アルキル基によって置換されていてもよく;RおよびRは各々、独立して、水素、C1−6アルキルを示すか、またはそれらが結合している窒素または他の原子と一緒になって、アザシクロアルキル環またはオキソ置換されたアザシクロアルキル環を形成し;Rは、水素またはC1−6アルキルを示し;mおよびnは、独立して、1および2から選択される整数を示し;pは、独立して、0、1、2および3から選択される整数を示し;qは、独立して、0、1、2および3から選択される整数を示し;但し、Arがピリジル基であり、Zが−CHX−(ここに、XはAr基に結合している)である場合、Xは、−CH(OR)−、−NR−および−CH−から選択され、ここに、該−CH−基は、1以上のC1−6アルキル基によって置換されていてもよい]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。式(I)の化合物は、治療において、特に、抗精神病剤として有用である。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規な化合物、それを含有する医薬組成物および治療における、特に、抗精神病剤としてのその使用に関する。
【0002】
国際特許出願第WO02/85695号(BMS)は、成長ホルモン分泌促進物質として有用なテトラヒドロイソキノリン類似体を開示する。かかる類似体は、また、特に、肥満、統合失調症、鬱病およびアルツハイマー病を包含する障害の治療に有用であるとも言われている。
【0003】
国際特許出願第WO03/62205号および第WO03/99786号(Glaxo Group Limited)は、抗精神病剤として有用であると言われるテトラヒドロイソキノリンおよびテトラヒドロベンゾアゼピン誘導体を開示する。
【0004】
今回、発明者らは、特に抗精神病剤として有用である新規な一群のスルホニル化合物を見出した。
【0005】
本発明によると、式(I):
【化1】

[式中、
AおよびBは、各々、−(CH−および−(CH−基を示し;
は、水素またはC1−6アルキルを示し;
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシC1−6アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6フルオロアルコキシ、−(CH3−6シクロアルキル、−(CHOC3−6シクロアルキル、−COC1−6アルキル、−SO1−6アルキル、−SOC1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、−CO1−6アルキル、−CONR、−SONR、−(CHNR、−(CHNRCOR、置換されていてもよいアリール環、置換されていてもよいヘテロアリール環、縮合二環式芳香族複素環系または置換されていてもよい複素環を示し;
Arは、置換されていてもよいヘテロアリール環を示し;
Arは、置換されていてもよいアリール環または置換されていてもよいヘテロアリール環を示し;
Zは、−(CHX−(ここに、−(CH−基はArに結合している)または−X(CH−(ここに、XはArに結合している)を示し、ここに、該−CH−基のいずれも、1以上のC1−6アルキル基によって置換されていてもよく;
Xは、酸素、−CH(OR)−、−NR−または−CH−を示し、ここに、−CH−基は、1以上のC1−6アルキル基によって置換されていてもよく;
およびRは各々、独立して、水素、C1−6アルキルを示すか、またはそれらが結合している窒素または他の原子と一緒になって、アザシクロアルキル環またはオキソ置換されたアザシクロアルキル環を形成し;
は、水素またはC1−6アルキルを示し;
mおよびnは、独立して、1および2から選択される整数を示し;
pは、独立して、0、1、2および3から選択される整数を示し;
qは、独立して、0、1、2および3から選択される整数を示し;
但し、Arがピリジル基であり、Zが−CHX−(ここに、XはAr基に結合している)である場合、Xは、−CH(OR)−、−NR−および−CH−から選択され、ここに、該−CH−基は、1以上のC1−6アルキル基によって置換されていてもよい]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0006】
が置換されていてもよいアリール環、置換されていてもよいヘテロアリール環または置換されていてもよい複素環を示す場合、該任意の置換基は、独立して、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、−S−C1−6アルキル、−CONRおよび−NRCOR(ここに、RおよびRは、上記のとおりである)から選択される。
【0007】
ArおよびArは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、−S−C1−6アルキル、−CONRおよび−NRCOR(ここに、RおよびRは上記のとおりである)から選択される、同一または異なっていてもよい1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0008】
本発明が上記の特別かつ好ましい基の全ての組み合わせを包含することは、理解されるべきである。
【0009】
本明細書中で使用される場合、「アルキル」なる語は、特定数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖炭化水素鎖をいう。例えば、C1−6アルキルは、少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルキルを意味する。本明細書中で使用される場合、「アルキル」の例は、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソブチル、イソプロピル、t−ブチルおよび1,1−ジメチルプロピルを包含する。
【0010】
本明細書中で使用される場合、「アルコキシ」なる語は、特定数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルコキシ基をいう。例えば、C1−6アルコキシは、少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルコキシ基を意味する。「アルコキシ」の例は、本明細書中で使用される場合、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロプ−2−オキシ、ブトキシ、ブト−2−オキシ、2−メチルプロプ−1−オキシ、2−メチルプロプ−2−オキシ、ペントキシまたはヘキシルオキシを包含する。
【0011】
本明細書中で使用される場合、「フルオロアルコキシ」なる語は、炭素原子のいずれかが1以上のフッ素原子によって置換されうる特定数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルコキシ基をいう。
【0012】
本明細書中で使用される場合、「シクロアルキル」なる語は、特定数の炭素原子を含有する非芳香族炭化水素環をいう。例えば、C3−7シクロアルキルは、少なくとも3個、多くても7個の環炭素原子を含有する非芳香族環を意味する。「シクロアルキル」の例は、本明細書中で使用される場合、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを包含する。C6−7シクロアルキル基が好ましい。
【0013】
本明細書中で使用される場合、「ハロゲン」なる語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素元素をいう。好ましいハロゲンは、フッ素、塩素および臭素である。
本明細書中で使用される場合、「アリール」なる語は、フェニルまたはナフチル環をいう。
【0014】
本明細書中で使用される場合、「ヘテロアリール」なる語は、独立して酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式不飽和環をいう。適当な5−および6−員芳香族複素環の例は、限定するものではないが、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、イソチアゾリルおよびイソキサゾリルを包含する。
【0015】
本明細書中で使用される場合、「複素環」なる語は、独立して酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3−ないし7−員の単環式飽和環をいう。適当な複素環の例は、限定するものではないが、ピペリジンおよびモルホリンを包含する。
【0016】
本明細書中で使用される場合、「縮合二環式芳香族複素環系」なる語は、互いに縮合した1つの6員不飽和環および1つの5−または6−員不飽和または飽和環からなる環系であって、独立して酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する環系をいう。適当な縮合二環式芳香族複素環系の例は、限定するものではないが、インドリル、ベンゾフラニル、キノリルおよびベンゾチエニルを包含する。さらなる例は、限定するものではないが、イソキノリル、キノリジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、イソインドリル、インドリジニル、インダゾリル、ピロロピリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾジオキソラニル、メチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾジオキシニルなどを包含する。
【0017】
本明細書中で使用される場合、「アザシクロアルキル環」なる語は、1個の窒素原子を含有する4−ないし7−員単環式飽和環をいう。適当なアザシクロアルキル環の例は、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンおよびアゼピンである。
本明細書中で使用される場合、「オキソ置換されたアザシクロアルキル環」なる語は、1個のオキソ基によって置換された上記のアザシクロアルキル環をいう。適当なオキソ置換されたアザシクロアルキル環の例は、限定するものではないが、アゼチジノン、ピロリジノン、ピペリジノンおよびアゼピノンを包含する。
【0018】
Zが−(CHX−(ここに、−(CH−基はArに結合している)を示す場合、Zの例は、−O−、−CHO−、−(CHO−、−(CHO−、−CHOR−、−(CHOR−、−(CHOR−、−NR−、−CHNR−、−(CHNR−および−(CHNR−を包含する。
【0019】
Zが−X(CH(ここに、XはArに結合している)を示す場合、Zの例は、−O−、−OCH、−O(CH、−O(CH、−OR−CH−、−OR−(CH−、−OR−(CH、−NR−、−NRCH、−NR(CH−および−NR(CH−を包含する。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「置換された」なる語は、指定された置換基での置換をいい、別記しないかぎり、複数の置換度が可能である。
本明細書中で使用される場合、「溶媒和物」なる語は、溶質(本発明においては、式(I)の化合物またはその塩)および溶媒によって形成された種々の化学量論的複合体をいう。本発明の目的の場合、かかる溶媒和物は、溶質の生物学的活性を干渉しないものである。適当な溶媒の例は、水、メタノール、エタノールおよび酢酸を包含する。最も好ましくは、使用される溶媒は水であり、溶媒和物は水和物と呼ばれる場合もある。
【0021】
医学において使用するためには、式(I)の塩が生理学上(すなわち、医薬上)許容されなければならないことは、明らかであろう。適当な生理学上許容される塩は、当業者に明らかであり、例えば、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸;および有機酸、例えば、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、酢酸、フマル酸、グルタミン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸と共に形成された酸付加塩を包含する。他の生理学上許容されない塩、例えば、シュウ酸塩は、例えば、式(I)の化合物の単離において使用してもよく、本発明の範囲内に包含される。また、本発明の範囲内には、式(I)の化合物の溶媒和物および水和物も包含される。
【0022】
ある特定の式(I)の化合物は、1当量以上の酸と共に酸付加塩を形成しうる。本発明は、その範囲内に、全ての可能なその化学量論的および非化学量論的形態を包含する。
【0023】
ある種の式(I)の化合物は、立体異性形態で存在しうる(例えば、それらは、1以上の不斉炭素原子を含有しうる)。個々の立体異性体(エナンチオマーおよび
ジアステレオマー)およびそれらの混合物が、本発明の範囲内に包含される。本発明は、また、1以上のキラル中心が逆転したその異性体との混合物として、式(I)によって示される化合物の個々の異性体を包含する。同様に、式(I)の化合物は、該式によって示される以外の互変形態において存在していてもよく、これらもまた、本発明の範囲内に包含されると理解される。
【0024】
好ましくは、Rは、水素またはC1−4アルキルを示す。より好ましくは、Rは、水素、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルを示す。さらにより好ましくは、Rはメチルを示す。
【0025】
基は、そのフェニル環のいずれの位置にあってもよい。
好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオまたはジC1−6アルキルアミノを示す。より好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシまたはジC1−6アルキルアミノを示す。さらにより好ましくは、Rはメトキシを示す。
【0026】
特に、Arは、置換されていてもよいチエニルまたはピリジル(例えば、チエン−2−イルまたはピリド−3−イル)を示す。好ましくは、Arは、置換されていてもよいチエニルを示す。より好ましくは、Arは、非置換チエニル(例えば、2−チエニル)を示す。
好ましくは、Arは、置換されていてもよいフェニルを示す。好ましくは、Ar上の任意の置換基は、独立して、ハロゲンから選択される。特に、任意の置換基は、独立して、フルオロ(例えば、4−フルオロフェニルまたは3,4−ジフルオロフェニル)またはクロロ(例えば、4−クロロフェニル)から選択される。より好ましくは、任意の置換基は、フルオロ(例えば、4−フルオロフェニル)から選択される。
【0027】
好ましくは、Zは、−O−CH−、−O−または−CH−である。
好ましくは、RおよびRは、独立して、水素またはC1−4アルキルを示す。
好ましくは、pは、0または1を示す。
好ましくは、qは、0または1を示す。
【0028】
本発明の第1の具体例において、R基は、B基に対してパラ位に位置し、すなわち、式(IA):
【化2】

[式中、A、B、Ar、Ar、Z、RおよびR基は、上記の意味のいずれかを有する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0029】
がパラ位に位置する場合、すなわち、式(IA)の化合物の場合、Rは好ましくはメトキシである。
【0030】
本発明の別の具体例において、mは1であって、nは1であり、本発明は、式(IB):
【化3】

[式中、Ar、Ar、Z、RおよびR基は、上記の意味のいずれかを有する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0031】
本発明の別の具体例において、mは2であって、nは1であり、本発明は、式(IC):
【化4】

[式中、Ar、Ar、Z、RおよびR基は、上記の意味のいずれかを有する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0032】
本発明の別の具体例において、mは1であって、nは2であり、本発明は、式(ID):
【化5】

[式中、Ar、Ar、Z、RおよびR基は、上記の意味のいずれかを有する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0033】
本発明の別の具体例において、mは2であって、nは2であり、本発明は、式(IE):
【化6】

[式中、Ar、Ar、Z、RおよびR基は、上記の意味のいずれかを有する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0034】
本発明の別の具体例において、mは2であって、nは2であり、R基は、B基に対してパラ位に位置し、本発明は、式(IF):
【化7】

[式中、Ar、Ar、Z、RおよびR基は、上記の意味のいずれかを有する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0035】
本発明の特定の化合物には、表1に示される化合物があり、限定するものではないが、以下に、特に例示して名前を挙げる。
7−[(5−{[(4−フルオロフェニル)オキシ]メチル}−2−チエニル)スルホニル]−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン;
7−({5−[(4−クロロフェニル)オキシ]−2−チエニル}スルホニル)−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン;
7−({5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル}スルホニル)−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン;
7−[6−(4−クロロフェノキシメチル)ピリジン−3−スルホニル]−8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン;
7−[6−(3,4−ジフルオロフェノキシメチル)ピリジン−3−スルホニル]−8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピンならびにその医薬上許容される塩および溶媒和物。
【0036】
本発明の化合物は、その遊離塩基または生理学上許容される塩の形態、特に、一塩酸塩またはモノメシラート塩あるいはその医薬上許容される誘導体の形態であってもよい。
【0037】
本発明は、また、式(I)の化合物を調製するための一般的方法(A)であって、式(II)
【化8】

で示される化合物を式(III)
【化9】

で示される化合物(式中、Lは、脱離基、例えば、フルオロ、クロロ、アルコキシまたはアリールオキシであり、Mは金属、例えば、リチウムまたはマグネシウムであり、R1’、R2’、Ar1’およびAr2’は、上記のとおりのR、R、ArおよびArを示すか、またはR、R、ArおよびArに容易に変換しうる基を示し、A、BおよびZは上記のとおりである)と反応させることを特徴とする方法を提供する。
【0038】
一般的方法(A)は、好都合には、2つの成分を好ましくは−70℃〜室温にて、テトラヒドロフランまたはエーテルなどの適当な溶媒中、10分〜18時間混合することによって実施することができる。特定のR1’保護基、例えば、トリフルオロアセチルの除去もまた、該プロセスの間に同時に行うことができる。
【0039】
かくして、本発明のさらなる態様において、
a)式(II)
【化10】

で示される化合物を式(III)
【化11】

で示される化合物(式中、Lは、脱離基であり、Mは金属であり、R1’、R2’、Ar1’およびAr2’’は、上記のとおりのR、R、ArおよびArを示すか、またはR、R、ArおよびArに容易に変換しうる基を示し、A、BおよびZは上記のとおりである)と反応させ;その後、プロセス(a)に関し、所望により:
・いずれかの保護基を除去するか;または
・式(I)の化合物を式(I)の別の化合物に変換するか;または
・医薬上許容される塩を形成させる
ことを特徴とする上記式(I)の化合物の調製方法が提供される。
【0040】
1’またはR2’基のうち1つの対応するRまたはR基への相互変換は、典型的に、式(I)の1の化合物が式(I)の別の化合物の中間前駆体として使用される場合に起こるか、または一連の合成の最後に、より複雑または反応性の置換基を導入するのが容易な場合に起こる。
【0041】
例えば、t−ブトキシカルボニル(BOC)基から水素へのR1’の変換は、エタノールまたはジオキサン中、室温における、N−BOC保護化合物の塩化水素での処理によって行われる。
【0042】
水素からアルキル基へのR1’の変換は、ジクロロエタン中、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下における、NH化合物の適当なアルデヒドでの処理によって、または標準的なアルキル化条件(60℃にて、DMF中における炭酸カリウム)下、ヨードメタンなどの適当なハロゲン化アルキルでNH化合物を処理することによって行われる。
【0043】
式(II)の化合物は、文献において知られているか、または既知の方法、例えば、クロロスルホン酸を用いる芳香環のクロロスルホン化によって調製されうる。フッ化スルホニルへの変換は、必要ならば、室温にて、アセトニトリル中におけるフッ化カリウムとの反応によって達成することができる。R1’保護基の適当な例は、トリフルオロアセチルまたはt−ブトキシカルボニル(BOC)基である。
【0044】
式(III)の化合物は、商業上入手可能であるか、または確立された手法、例えば、テトラヒドロフラン中、低温にて、例えばt−ブチルリチウムを用いる、対応するチオフェンのリチウム化によって調製されうる。
【0045】
式(I)の化合物は、セロトニン5−HT2C、5−HT2Aおよび5−HT受容体に対するアンタゴニストアフィニティーを有する。これらの特性は、抗精神病活性(例えば、認識機能不全に対する改善された効果)、錐体外路副作用(eps)の減少を伴う活性、および/または不安緩解/抗鬱活性を生じさせうる。これらは、限定するものではないが、5−HT受容体遮断を介する認識的症状の衰退(Reavill, C.およびRogers, D.C., 2001, Investigational Drugs 2, 104-109参照)、ならびに5−HT2C受容体遮断を介する不安減少(例えば、Kennettら、Neuropharmacology 1997 Apr-May; 36(4-5):609-20参照)、EPSに対する保護(Reavillら、Brit. J. Pharmacol., 1999; 126: 572-574)および抗鬱活性(Bristowら、Neuropharmacology 39:2000; 1222-1236)を包含することができた。
【0046】
式(I)のある特定の化合物は、また、ドーパミン受容体、特に、DおよびD受容体に対するアフィニティーを示すことが見出され、かかる受容体の調節を必要とする病態、例えば、精神病の状態の治療に有用である。式(I)の化合物の多くは、また、ドーパミンDよりもD受容体に対して大きなアフィニティーを有することが見出された。現在入手可能な抗精神病剤(神経弛緩薬)の治療効果は、一般に、D受容体の遮断を介して発揮されると考えられているが、該メカニズムはまた、多くの抗精神病剤に伴う望ましくないepsの原因であるとも考えられる。理論に捕らわれることを望まないが、ドーパミンD受容体の遮断が有意なepsを伴うことなく有益な抗精神病活性をもたらしうることが示唆された(例えば、Sokoloffら、Nature,1990;347:146 151;およびSchwartzら、Clinical Neuropharmacology, Vol 16,No. 4,295-314,1993参照)。
【0047】
式(I)の化合物は、また、上記されない他の受容体に対するアフィニティーを示し、その結果、有益な抗精神病活性をもたらすこともある。
【0048】
本発明の脈絡内で、本明細書中で使用される用語は、アメリカ精神病医学会(the American Psychiatric Association)によって出版された精神障害の診断および統計学的マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第4版(DSM−IV)および/または国際疾患分類(the International Classification of Diseases)第10版(ICD−10)において分類される。本明細書中に挙げられた障害の種々のサブタイプは、本発明の一部として意図される。下記に列挙した疾患の後ろの括弧内の数字は、DSM−IVにおける分類コードを示す。
【0049】
式(I)の化合物は、抗精神病剤として、例えば、統合失調症、統合失調性感情障害、統合失調症様障害、精神病的鬱病、躁病、急性躁病、偏執症および妄想障害の治療において有用である。
【0050】
特に、式(I)の化合物は、サブタイプ妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、鑑別不能(undifferentiated)型(295.90)および残遺型(295.60)を包含する統合失調症;統合失調症様障害(295.40);サブタイプ双極型および抑鬱型を包含する統合失調性感情障害(295.70);サブタイプ恋愛(Erotomanic)型、誇大(Gradiose)型、嫉妬(Jealous)型、迫害(Persecutory)型、身体(Somatic)型、混合(Mixed)型および不特定(Unspecified)型を包含する妄想障害(297.1);簡単な精神障害(298.8);共通の精神障害(297.3);妄想を伴うサブタイプおよび幻覚を伴うサブタイプを包含する一般身体疾患に起因する精神障害;妄想を伴う(293.81)および幻覚を伴う(293.82)サブタイプを包含する物質誘導性精神障害;および不特定の精神障害(298.9)の治療において有用である。
【0051】
式(I)の化合物は、大鬱病エピソード、躁病エピソード、混合エピソードおよび軽躁エピソードを包含する抑鬱および気分障害;大鬱病性障害、気分変調性障害(300.4)、不特定の抑鬱性障害(311)を包含する抑鬱性障害;I型双極性障害、II型双極性障害(軽躁エピソードを伴う再発性大鬱病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および不特定の双極性障害(296.80)を包含する双極性障害;鬱病性特徴、大鬱病様エピソード、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを包含する一般身体疾患に起因する気分障害(293.83)、物質誘導性気分障害(鬱病性特徴、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを包含する)および不特定の気分障害(296.90)を包含する他の気分障害の治療において有用である。
【0052】
式(I)の化合物は、また、社会不安障害、パニック発作、広場恐怖症、パニック障害、パニック障害の病歴をもたない広場恐怖症(300.22)、動物型、自然環境型、血液注入傷害(Blood−Injection−Injury)型、状況型および他の型のサブタイプを包含する特定恐症(300.29)、社会恐怖症(300.23)、強迫障害(300.3)、外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般身体疾患に起因する不安障害(293.84)、物質誘導性不安障害および不特定の不安障害(300.00)を包含する不安障害の治療において有用である。
【0053】
式(I)の化合物は、また、物質依存、物質渇望および物質濫用などの物質使用障害;物質中毒、物質離脱、物質誘導性せん妄、物質誘導性持続性認知症、物質誘導性持続性健忘障害、物質誘導性精神障害、物質誘導性気分障害、物質誘導性不安障害、物質誘導性性的機能不全、物質誘導性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)などの物質誘導性障害;アルコール依存(303.90)、アルコール濫用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘導性持続性認知症、アルコール誘導性持続性健忘障害、アルコール誘導性精神障害、アルコール誘導性気分障害、アルコール誘導性不安障害、アルコール誘導性性的機能不全、アルコール誘導性睡眠障害および不特定のアルコール関連障害(291.9)などのアルコール関連障害;アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン濫用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘導性精神障害、アンフェタミン誘導性気分障害、アンフェタミン誘導性不安障害、アンフェタミン誘導性性的機能不全、アンフェタミン誘導性睡眠障害および不特定のアンフェタミン関連障害(292.9)などのアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘導性不安障害、カフェイン誘導性睡眠障害および不特定のカフェイン関連障害(292.9)などのカフェイン関連障害;大麻依存(304.30)、大麻濫用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘導性精神障害、大麻誘導性不安障害および不特定の大麻関連障害(292.9)などの大麻関連障害;コカイン依存(304.20)、コカイン濫用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘導性精神障害、コカイン誘導性気分障害、コカイン誘導性不安障害、コカイン誘導性性的機能不全、コカイン誘導性睡眠障害および不特定コカイン関連障害(292.9)などのコカイン関連障害;幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤濫用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘導性精神障害、幻覚剤誘導性気分障害、幻覚剤誘導性不安障害および不特定の幻覚剤関連障害(292.9)などの幻覚剤関連障害;吸入剤依存(304.60)、吸入剤濫用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘導性持続性認知症、吸入剤誘導性精神障害、吸入剤誘導性気分障害、吸入剤誘導性不安障害および不特定吸入剤関連障害(292.9)などの吸入剤関連障害;ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および不特定のニコチン関連障害(292.9)などのニコチン関連障害;オピオイド依存(304.00)、オピオイド濫用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘導性精神障害、オピオイド誘導性気分障害、オピオイド誘導性性的機能不全、オピオイド誘導性睡眠障害および不特定オピオイド関連障害(292.9)などのオピオイド関連障害;フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン濫用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘導性精神障害、フェンシクリジン誘導性気分障害、フェンシクリジン誘導性不安障害および不特定のフェンシクリジン関連障害(292.9)などのフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害;鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤濫用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性健忘障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性精神障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性気分障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤不安障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性性的機能不全、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性睡眠障害および不特定の鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害(292.9)などの鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害;多物質依存(304.80)などの多物質関連障害;およびアナボリックステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素などの他の(または未知の)物質関連障害を包含する物質関連障害の治療において有用である。
【0054】
式(I)の化合物は、また、睡眠異常(Dyssomnias)などの原発性睡眠障害、例えば、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および不特定の睡眠異常(307.47);睡眠時異常行動などの原発性睡眠障害、例えば、悪夢障害(307.47)、睡眠恐怖障害(307.46)、夢中歩行障害(307.46)および不特定の睡眠時異常行動(307.47);別の精神障害に関連した睡眠障害、例えば、別の精神障害に関連した不眠症(307.42)および別の精神障害に関連した過眠症(307.44);一般身体疾患に起因する睡眠障害;および不眠型、過眠型、睡眠時異常行動型および混合型のサブタイプを包含する物質誘導性睡眠障害を包含する睡眠障害の治療において有用である。
【0055】
さらに、それらは、パーキンソン病における、特にL−DOPAおよび可能性のあるドーパミン作動性アゴニスト等の化合物を用いる治療において、長期にわたりこれらを使用して治療した場合に経験される副作用を減らすための補助療法としての有用性を有しうる(例えば、Schwartzら、Brain Res. Reviews, 1998, 26, 236-242参照)。D受容体の局在性から、該化合物が、D受容体が関与することが示唆される物質濫用の治療に対する有用性をも有する可能性があると考えることができた(例えば、Levant, 1997, Pharmacol. Rev., 49, 231-252参照)。かかる物質濫用の例は、アルコール、コカイン、ヘロインおよびニコチン濫用を包含する。該化合物によって治療されうる他の病態は、パーキンソン病、神経弛緩薬誘導性パーキンソン症候群および遅発性ジスキネジアなどの異常運動障害(dyskinetic disorder);鬱病;不安症;動揺;緊張;精神病患者における社会的または感情的離脱;記憶障害を包含する認識障害、例えば、アルツハイマー病;神経変性障害、例えば、アルツハイマー病に関連する精神病的状態;摂食障害;肥満;性的機能不全;睡眠障害;嘔吐;運動障害;強迫障害;健忘症;攻撃;自閉症;眩暈;認知症;概日リズム障害;痙攣;癲癇;および胃運動性障害、例えば、IBSを包含する。
【0056】
式(I)の化合物は、また、摂食障害、例えば、制限型および過食/寫下型サブタイプを包含する神経性無食欲症(307.1);寫下型および非寫下型サブタイプを包含する神経性食欲昂進症(307.51);肥満;強迫性摂食障害;および不特定の摂食障害(307.50)の治療において有用である。
【0057】
式(I)の化合物は、また、自閉障害(299.00);混合型の注意欠陥/多動性障害(314.01)、主に不注意型の注意欠陥/多動性障害(314.00)、多動−衝動型の注意欠陥/多動性障害(314.01)および不特定の注意欠陥/多動性障害(314.9)サブタイプを包含する注意欠陥/多動性障害;多動障害;破壊的行動障害、例えば、幼児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および不特定発症型(312.89)サブタイプを包含する行為障害、反抗的行動障害(313.81)および不特定の破壊的行動障害;およびトゥーレット障害(307.23)などのチック障害の治療において有用である。
【0058】
式(I)の化合物は、また、妄想性人格障害(301.0)、統合失調症的人格障害(301.20)、統合失調症型人格障害(301,22)、非社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301,83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301,81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および不特定の人格障害(301.9)サブタイプを包含する人格障害の治療において有用である。
【0059】
式(I)の化合物は、また、認識強化ために、または統合失調症、双極性障害、鬱病および他の精神障害などの他の疾患における認識障害の治療を包含する認識障害の治療のために有用である。
【0060】
式(I)の化合物は、性的欲求障害、例えば、性的欲求低下障害(302.71)および性的嫌悪障害(302.79);性的刺激障害、例えば、女性性的刺激障害(302.72)および男性勃起障害(302.72);オルガニスム障害、例えば、女性オルガニスム障害(302.73)、男性オルガニスム障害(302.74)および早漏(302.75);性的疼痛障害、例えば、性交疼痛症(302.76)および膣痙(306.51);不特定の性的機能不全(302.70);性的倒錯、例えば、露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、摩擦愛好症(302.89)、ペドフィリア(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および不特定の性的倒錯(302.9);性的自己同一性障害、例えば、子供の性的自己同一性障害(302.6)および青年または成人における性的自己同一性障害(302.85);および不特定の性的障害(302.9)を包含する性的機能不全の治療において有用である。
【0061】
したがって、本発明は、治療において有用な上記式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0062】
本発明は、また、ドーパミン受容体の調節を必要とする病態の治療において有用な式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0063】
本発明は、また、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認識障害、性的機能不全、パーキンソン病、異常運動障害、鬱病、双極性障害、認識障害、肥満、嘔吐、運動障害、強迫障害、健忘症、攻撃、眩暈、認知症および概日リズム障害の治療において有用な上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0064】
本発明は、また、精神障害、統合失調症、パーキンソン病、物質濫用、異常運動障害、鬱病、双極性障害、不安症、認識障害、摂食障害、肥満、性的機能不全、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫障害、健忘症、攻撃、自閉症、眩暈、認知症、概日リズム障害および胃運動性障害の治療において有用な上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0065】
本発明は、また、ドーパミン受容体の調節を必要とする病態の治療のための医薬の製造における上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0066】
本発明は、また、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認識障害、性的機能不全、パーキンソン病、異常運動障害、鬱病、双極性障害、認識障害、肥満、嘔吐、運動障害、強迫障害、健忘症、攻撃、眩暈、認知症および概日リズム障害の治療のための医薬の製造における上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0067】
本発明は、また、精神障害、統合失調症、パーキンソン病、物質濫用、異常運動障害、鬱病、双極性障害、不安症、認識障害、摂食障害、肥満、性的機能不全、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫障害、健忘症、攻撃、自閉症、眩暈、認知症、概日リズム障害および胃運動性障害の治療のための医薬の製造における上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0068】
本発明は、また、上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することを特徴とする、ドーパミン受容体の調節を必要とする病態の治療方法を提供する。
【0069】
本発明は、また、上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することを特徴とする、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認識障害、性的機能不全、パーキンソン病、異常運動障害、鬱病、双極性障害、認識障害、肥満、嘔吐、運動障害、強迫障害、健忘症、攻撃、眩暈、認知症および概日リズム障害の治療方法を提供する。
【0070】
本発明は、また、上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することを特徴とする、精神障害、統合失調症、パーキンソン病、物質濫用、異常運動障害、鬱病、双極性障害、不安症、認識障害、摂食障害、肥満、性的機能不全、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫障害、健忘症、攻撃、自閉症、眩暈、認知症、概日リズム障害および胃運動性障害の治療方法を提供する。
【0071】
本発明のドーパミンアンタゴニストのための好ましい使用は、精神障害、統合失調症、パーキンソン病、物質濫用、異常運動障害、鬱病、双極性障害、不安症および認識障害の治療における。
「治療」なる語は、その関連する病態に適当である場合、予防を包含する。
【0072】
本発明の化合物が有利には、1以上の他の治療剤、例えば、5HTアンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、NK−1アンタゴニスト、選択的セロトニン再取込阻害剤(SSRI)、ノルアドレナリン再取込阻害剤(SNRI)、セロトニン、ノルアドレナリンおよびノルエピネフィリンの1以上の非選択的再取込阻害剤、CRF−1アンタゴニスト、三環式抗鬱剤、ドーパミン作用性抗鬱剤、Hアンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、5HT部分アゴニスト、Dアゴニスト、Mアゴニストおよび/または抗痙攣剤と共に使用されうることは、当業者に明らかであろう。本発明の化合物は、また、有利には、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤と共に使用されうる。
【0073】
組み合わせた、または配合した該化合物が同時に(同一医薬処方または異なる医薬処方のいずれかにおいて)、別々に、または連続的に投与されうることは明らかであろう。
【0074】
本発明の化合物の組み合わせにおいて使用されうる適当な5HTアンタゴニストは、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロンおよびメトクロプラミドを包含する。
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なセロトニンアゴニストは、スマトリプタン(sumatriptan)、ラウウォルシン(rauwolscine)、ヨヒムビン(yohimbine)およびメトクロプラミドを包含する。
【0075】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なSSRIは、フルオキセチン(fluoxetine)、シタロプラム(citalopram)、フェモキセチン(femoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、パロキセチン(paroxetine)、インダルピン(indalpine)、セルトラリン(sertraline)およびジメルジン(zimeldine)を包含する。
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なSNRIは、ベンラファキシン(venlafaxine)およびレボキセチン(reboxetine)を包含する。
【0076】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当な三環式抗鬱剤は、イミプラミン(imipramine)、アミトリプチリン(amitriptiline)、クロミプラミン(chlomipramine)およびノルトリプチリン(nortriptiline)を包含する。
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なドーパミン作用性抗鬱剤は、ブプロピオン(bupropion)およびアミネプチン(amineptine)を包含する。
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当な抗痙攣剤は、例えば、ジバルプロエクス(divalproex)、カルバマゼピン(carbamazepine)およびジアゼパム(diazepam)を包含する。
【0077】
適当なCOX−2阻害剤は、ロフェコキシブ(rofecoxib)(商品名VIOXXR(登録商標)の下、Merckから入手可能。US特許第5,474,995号);セレコキシブ(celecoxib)(商品名CELEBREXの下、Pfizerから入手可能。US特許第5,466,823号);バルデコキシブ(valdecoxib)(商品名BEXTRAの下、Pfizerから入手可能。US特許第6,633,272号);エトリコキシブ(etoricoxib)(商品名ARCOXIAの下、Merckから入手可能。US特許第5,861,419号);ルミラコキシブ(lumiracoxib)(商品名PREXIGEの下、Novartisから入手可能);パラコキシブ(paracoxib)(US特許第5,932,598号);Novartis由来のCOX−189;Bristol Myers Squibb由来のBMS347070;Japan Tobacco由来のチラコキシブ(tiracoxib)(JTE522);Abbott由来のABT963;Sankyo由来のCS502;2−(4−エトキシフェニル)−3−(3−メタンスルホニルフェニル)−ピラゾロ[1,5−b]ピリダジン(GlaxoSmithKline)および2−ブトキシ−4−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン(GlaxoSmithKline)を包含する。
【0078】
式(I)の化合物ならびにその医薬上許容される塩および溶媒和物は、また、精神障害の改善された治療を提供するために、他の典型的および典型的でない抗精神病薬と組み合わせるのにも適当である。式(I)の化合物ならびにその医薬上許容される塩および溶媒和物の組み合わせ、使用および治療方法に関連した特定の利益は、その個々の成分を一般に使用するよりも低い投与量での、同程度または改善された効果を包含する。精神障害の陽性の症状および/または陰性の症状および/または認知的症状の改善された治療もまた、観察されうる。本発明の組み合わせ、使用および治療方法は、また、ある特定の抗精神病剤での治療に対して十分に応答しない患者、またはある特定の抗精神病剤での治療に対して抵抗性のある患者の治療において、利益を提供しうる。
【0079】
本発明の組み合わせ療法は、好ましくは、補助的に投与される。「補助的投与」なる語は、別々の医薬組成物または装置の形態における各成分の完全に重複する投与または部分的に重複する投与を意味する。2以上の治療剤の該療法的投与方針は、一般に、当業者または本明細書によって、補助療法的投与と呼ばれ、これは、付加(add−on)療法的投与としても知られている。患者が式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの抗精神病剤の別々であるが完全に重複または部分的に重複した療法的投与を受けるあらゆる治療方針は、本発明の範囲内である。本明細書中に記載されるような補助療法的投与の一の具体例において、患者は、典型的に、ある期間、1以上の成分の療法的投与において安定化され、次いで、別の成分の投与を受ける。式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1つの抗精神病剤の投与を受けている患者に対する補助療法的治療として投与してもよいが、本発明の範囲は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の投与を受けている患者に対する少なくとも1つの抗精神病剤の補助療法的投与も包含する。
【0080】
本発明の組み合わせ療法は、また、同時に投与してもよい。「同時投与」なる語は、個々の成分が、両方の成分を含むかまたは含有する一つの医薬組成物または装置の形態で、または各々が両成分のうち1つを含む同時に投与される別個の組成物または装置として、一緒に投与される治療方針を意味する。同時組み合わせのための別個の個々の成分のかかる組み合わせは、パーツからなるキット(kit-of-parts)の形態で提供されてもよい。
【0081】
したがって、さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つの抗精神病剤の療法的投与を受けている患者に対する、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の補助療法的投与による精神障害の治療法を提供する。さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つの抗精神病剤の療法的投与を受けている患者における精神障害の治療のための補助療法的投与のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。本発明は、さらに、少なくとも1つの抗精神病剤の療法的投与を受けている患者における精神障害の治療のための補助療法的投与に有用な式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0082】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の療法的投与を受けている患者に対する、少なくとも1つの抗精神病剤の補助療法的投与による精神障害の治療法を提供する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の療法的投与を受けている患者における精神障害の治療のための補助療法的投与のための医薬の製造における少なくとも1つの抗精神病剤の使用を提供する。本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の療法的投与を受けている患者における精神障害の治療のための補助療法的投与のための少なくとも1つの抗精神病剤を提供する。
【0083】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つの抗精神病剤と組み合わせた、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の同時療法的投与による精神障害の治療法を提供する。本発明は、さらに、精神障害の治療における同時療法的投与のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの抗精神病剤の組み合わせの使用を提供する。本発明は、さらに、精神障害の治療における少なくとも1つの抗精神病剤との同時療法的投与のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の使用を提供する。本発明は、さらに、精神障害の治療における少なくとも1つの抗精神病剤との同時療法的投与に有用な式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。本発明は、さらに、精神障害の治療における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩との同時療法的投与のための医薬の製造における少なくとも1つの抗精神病剤の使用を提供する。
【0084】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定化剤または抗躁病剤を含む医薬組成物の同時療法的投与による精神障害の治療方法、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定化剤または抗躁病剤を含む医薬組成物、精神障害の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定化剤または抗躁病剤を含む医薬組成物の使用、および精神障害の治療において有用な式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定化剤または抗躁病剤を含む医薬組成物を提供する。
【0085】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含む第1の投与形態、および各々が抗精神病剤を含む同時療法的投与のための1以上のさらなる投与形態からなる、精神障害の治療において有用なパーツからなるキットを提供する。
【0086】
本発明の文脈内で、「精神障害」なる語は、上記の障害、例えば、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認識障害、性的機能不全、異常運動障害、鬱病、双極性障害、認識障害および強迫障害ならびに本明細書中に記載されるような障害のあらゆる種類の形態を包含し、それらは、本発明の一部とされる。
【0087】
本発明において有用な抗精神病剤の例は、限定するものではないが、ブチロフェノン類、例えば、ハロペリドール(haloperidol)、ピモジド(pimozide)およびドロペリドール(droperidol);フェノチアジン類、例えば、クロルプロマジン(chlorpromazine)、チオリダジン(thioridazine)、メソリダジン(mesoridazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、ペルフェナジン(perphenazine)、フルフェナジン(fluphenazine)、チフルプロマジン(thiflupromazine)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)およびアセトフェナジン(acetophenazine);チオキサンテン類、例えば、チオチキセンおよびクロロプロチキセン;チエノベンゾジアゼピン類;ジベンゾジアゼピン類;ベンゾイソオキサゾール類;ジベンゾチアゼピン類;イミダゾリジノン類;ベンゾイソチアゾリル−ピペラジン類;トリアジン、例えば、ラモトリジン(lamotrigine);ジベンゾオキサゼピン類、例えば、ロキサピン(loxapine);ジヒドロインドロン類、例えば、モリンドン(molindone);アリピラゾール;および抗精神病活性を有するその誘導体を包含する。
【0088】
本発明における使用に適当な選択される抗精神病薬の商品名および製造元の例は、次の通りである。クロザピン(clozapine)(商品名CLOZARILの下、Mylan、Zenith Goldline、UDL、Novartisから入手可能);オランザピン(olanzapine)(商品名ZYPREXAの下、Lillyから入手可能);ジプラシドン(ziprasidone)(商品名GEODONの下、Pfizerから入手可能);リスペリドン(risperidone)(商品名RISPERDALの下、Janssenから入手可能);ケチアピン(quetiapine)フマル酸塩(商品名SEROQUELの下、AstraZenecaから入手可能);セルチンドール(sertindole)(商品名SERLECTの下、入手可能);アミスルプリド(amisulpride)(商品名SOLIONの下、Sanofi−Synthelaboから入手可能);ハロペリドール(haloperidol)(商品名HALDOLの下、Ortho−McNeilから入手可能);ハロペリドール・デカン酸塩(商品名HALDOL decanoateの下、入手可能);ハロペリドール・乳酸塩(商品名HALDOLおよびINTENSOLの下、入手可能);クロルプロマジン(chlorpromazine)(商品名THORAZINEの下、SmithKline Beecham (GSK)から入手可能);フルフェナジン(fluphenazine)(商品名PROLIXINの下、Apothecon、Copley、Schering、TevaおよびAmerican Pharmaceutical Partners, Pasadenaから入手可能);フルフェナジン・デカン酸塩(商品名PROLIXIN decanoateの下、入手可能);フルフェナジン・エナント酸(商品名PROLIXINの下、入手可能);フルフェナジン・塩酸塩(商品名PROLIXINの下、入手可能);チオチキセン(商品名NAVANEの下、Pfizerから入手可能);チオチキセン・塩酸塩(商品名NAVANEの下、入手可能);トリフルオペラジン(10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン二塩酸塩、商品名STELAZINEの下、SmithKlien Beckmanから入手可能);ペルフェナジン(perphenazine)(商品名TRILAFONの下、Scheringから入手可能);ペルフェナジンおよびアミトリプチリン塩酸塩(商品名ETRAFON TRILAFONの下、入手可能);チオリダジン(商品名MELLARILの下、Novartis、Roxane、HiTech、TevaおよびAlpharmaから入手可能);モリンドン(商品名MOBANの下、Endoから入手可能);モリンドン塩酸塩(商品名MOBANの下、入手可能);ロキサピン(loxapine)(商品名LOXITANEの下、Watsonから入手可能);ロキサピン塩酸塩(商品名LOXITANEの下、入手可能);およびロキサピン・コハク酸塩(商品名LOXITANEの下、入手可能)。さらに、ベンペリドール(benperidol)(Glianimon)、ペラジン(Taxilan)またはメルペロン(melperone)(Eunerpan)を使用してもよい。
【0089】
他の適当な抗精神病薬は、プロマジン(promazine)(商品名SPARINEの下、入手可能)、トリフルロプロマジン(商品名VESPRINの下、入手可能)、クロルプロチキセン(商品名TARACTANの下、入手可能)、ドロペリドール(商品名INAPSINEの下、入手可能)、アセトフェナジン(商品名TINDALの下、入手可能)、プロクロルペラジン(商品名COMPAZINEの下、入手可能)、メトトリメプラジン(methotrimeprazine)(商品名NOZINANの下、入手可能)、ピポチアジン(pipotiazine)(商品名PIPOTRILの下、入手可能)、イロペリドン(iloperidone)、ピモジド(pimozide)およびフルペンチキソール(flupenthixol)を包含する。
【0090】
本発明の一のさらなる態様において、適当な抗精神病剤は、オランザピン(olanzapine)、リスペリドン(risperidone)、ケチアピン、アリピプラゾール(aripiprazole)、ハロペリドール、クロザピン(clozapine)、ジプラシドン(ziprasidone)およびオサネタント(osanetant)を包含する。
【0091】
医学における使用の場合、本発明の化合物は、通常、標準的な医薬組成物として投与される。したがって、本発明は、さらなる態様において、上記の式(I)の化合物またはその医薬上(すなわち、生理学上)許容される塩および医薬上(すなわち、生理学上)許容される担体を含む医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、本明細書に記載の病態のいずれかを治療するのに有用であることができる。
【0092】
式(I)の化合物は、いずれかの好都合な方法、例えば、経口、非経口(例えば、静脈内)、バッカル、舌下、経鼻、直腸または経皮投与によって投与すればよく、該医薬組成物をそれに合うように適応させる。
【0093】
経口投与される場合に活性な上記式(I)の化合物およびその医薬上許容される塩は、液体または固体として、例えば、シロップ、懸濁液またはエマルジョン、錠剤、カプセルおよびロゼンジとして処方することができる。
【0094】
液体処方は、一般に、該化合物または医薬上許容される塩の、適当な液体担体、例えば、水性溶媒、例えば、水、エタノールまたはグリセリン、あるいは非水性溶媒、例えば、ポリエチレングリコールまたは油中における懸濁液または溶液からなる。該処方は、また、懸濁化剤、保存料、フレーバーまたは着色料を含有していてもよい。
【0095】
錠剤形態における組成物は、固形処方を調製するのに通常使用されるいずれかの適当な医薬担体を用いて調製することができる。かかる担体の例は、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、シュークロースおよびセルロースを包含する。
【0096】
カプセル形態における組成物は、慣用的なカプセル化手法を用いて調製することができる。例えば、活性成分を含有するペレットを標準的な担体を用いて調製し、次いで、ハードゼラチンカプセル中に充填することができ、あるいは、いずれかの適当な医薬担体、例えば、水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩または油を用いて分散液または懸濁液を調製し、次いで、該分散液または懸濁液をソフトゼラチンカプセル中に充填することができる。
【0097】
典型的な非経口組成物は、該化合物または医薬上許容される塩の滅菌水性担体または非経口的に許容される油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油またはゴマ油中における溶液または懸濁液からなる。別法では、該溶液を凍結乾燥し、次いで、投与直前に、適当な溶媒で復元することができる。
【0098】
鼻腔投与のための組成物は、通常、エーロゾル、滴剤、ゲルおよび粉末として処方されうる。エーロゾル処方は、典型的には、医薬上許容される水性または非水性溶媒中における活性物質の溶液または微粒懸濁液を含み、通常、密閉容器中における滅菌形態の単回または複数回の投与量で提供され、それは、噴霧装置で使用するためのカートリッジまたはリフィルの形態を取ることができる。別法では、密閉容器は、容器の内容物が一旦空になると処分することが意図される計量バルブ付きの単回投与用鼻吸入器またはエーロゾルディスペンサーのような単一の投薬装置であってもよい。投与形態がエーロゾルディスペンサーを含む場合、それは、圧縮空気のような圧縮ガスまたはフルオロクロロ炭化水素のような有機プロペラントであることのできるプロペラントを含有するであろう。エーロゾル投与形態は、また、ポンプ−アトマイザーの形態を取ることもできる。
【0099】
バッカルまたは舌下投与に適当な組成物は、錠剤、ロゼンジおよびパスティール(pastille)を包含し、ここに、活性成分は、砂糖およびアラビアゴム、トラガカントゴム、またはゼラチンおよびグリセリンと共に処方される。
【0100】
直腸投与のための組成物は、通常、通常の座剤基剤、例えば、ココアバターを含有する座剤の形態である。
経皮投与に適当な組成物は、軟膏、ゲルおよびパッチを包含する。好ましくは、該組成物は、錠剤、カプセルまたはアンプルなどの単位投与形態である。
【0101】
経口投与のための各投与単位は、好ましくは、1〜250mgの式(I)の化合物または医薬上許容される塩(遊離の塩基として計算した場合)を含有する(非経口投与では、好ましくは0.1〜25mgを含有する)。
【0102】
本発明の医薬上許容される化合物は、通常、一日の投与計画において(成人患者の場合)、例えば、経口投与の場合、1mg〜500mg、好ましくは10mg〜400mg、例えば、10〜250mg、または静脈内、皮下もしくは筋内投与の場合、0.1mg〜100mg、好ましくは0.1mg〜50mg、例えば、1〜25mgの式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩(遊離の塩基として計算した場合)を投与され、該化合物は、1日に1〜4回投与される。適当には、該化合物は、連続的な治療期間、例えば、一週間以上、投与されるであろう。
【0103】
本発明の化合物を上記の投与範囲で投与した場合、毒物学的影響は示されない、または予想されない。
【0104】
生物学的試験方法
クローン化ドーパミン(例えば、D2およびD3)受容体における結合実験
選択的にヒトD2/D3ドーパミン受容体に結合する化合物の能力を、クローン化した受容体へのそれらの結合を測定することによって明らかにすることができる。CHO細胞において発現されたヒトD2/D3受容体に結合する[125I]ヨードスルピリド(iodosulpride)の置換に関する試験化合物の阻害定数(Ki)を以下のように決定した。細胞系統は、細菌、真菌およびマイコプラズマの混入がないことが明らかにされ、各ストックを液体窒素中で凍結保存した。培養物は、単層としてか、または標準細胞培養培地中の懸濁液中で生育させた。細胞は、削り取ることによって(単層から)か、または遠心分離(懸濁培養から)によって回収し、リン酸緩衝化セーライン中での懸濁、次いで、遠心分離による収集によって2〜3回洗浄した。細胞ペレットを−80℃で凍結保存した。粗細胞膜をホモジナイゼーション、次いで高速遠心分離によって調製し、クローン化された受容体のキャラクタリゼーションを放射性リガンド結合によって達成した。
【0105】
CHO細胞膜の調製:
細胞ペレットを室温で穏やかに解凍し、約20容量の氷冷した抽出バッファー:5mM EDTA、50mM Trizmaプレセット・クリスタルズ(pH7.4@37℃)、1mM MgCl、5mM KClおよび120mM NaCl中に再懸濁した。懸濁液をUltra−Turraxを用いて最高速度で15秒間ホモジナイズした。ホモジネートをSorvall RC5C遠心分離器中4℃にて、18,000r.p.m.で15分間遠心分離した。上清を廃棄し、ホモジネートを抽出バッファー中に再懸濁し、次いで、遠心分離を繰り返した。最終的なペレットを50mM Trizmaプレセットクリスタルズ(pH7.4@37℃)中に再懸濁し、1mlアリコートチューブ中、−80℃で保存した(D2=3.0E+08細胞、D3=7.0E+07細胞およびD4=1.0E+08細胞)。タンパク質含量をBCAプロトコールおよびウシ血清アルブミンを標準として用いて測定した(Smith, P. K.ら、Measurement of protein using bicinchoninic acid. Anal. Biochem. 150, 76-85 (1985))。
【0106】
結合実験:
粗D2/D3細胞膜を0.03nM[125I]ヨードスルピリド(〜2000Ci/ミリモル;Amersham, U.K.)および50mM Trizmaプレセットクリスタルズ(pH7.4@37℃)、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、1mM MgCl、0.3%(w/v)ウシ血清アルブミンを含有するバッファー中の試験化合物と共にインキュベートした。全容量は、0.2mlであり、水浴中、37℃で40分間インキュベートした。インキュベーション後、Canberra Packard Filtermateを用いてGF/B Ultrafilter上で試料をろ過し、氷冷した50mM Trizmaプレセットクリスタルズ(pH7.4@37℃)で4回洗浄した。フィルター上の放射能をCanberra Packard Topcountシンチレーションカウンターを用いて測定した。非特異的結合は、10μM SKF−102161(YM−09151)で定義付けた。競合曲線のために、10種類の対数濃度の競合する冷却した薬物を用いた(希釈範囲:10μM−10pM)。競合曲線は、Inflexion、Excelにおける反復曲線当てはめプログラムを用いて分析した。結果は、pK値として表され、ここに、pKi=−log10[K]である。
例示化合物は、ドーパミンD受容体において6.3−8.9の範囲にpKi値を有する。
例示化合物は、ドーパミンD受容体において5.6−8.5の範囲にpKi値を有する。
【0107】
クローン化5−HT受容体における結合実験
化合物は、WO98/27081に概説される手法にしたがって試験することができる。
例示化合物は、セロトニン5−HT受容体において7.2−10.0の範囲にpKi値を有する。
クローン化5−HT2Aおよび5−HT2C受容体における結合実験
化合物はWO94/04533に概説される手法にしたがって試験することができる。
例示化合物は、セロトニン5−HT2C受容体において7.0−9.9の範囲に、セロトニン5−HT2A受容体において7.5−9.9の範囲にpKi値を有する。
【0108】
本発明は、さらに、下記の非限定的な実施例によって説明される。
【0109】
記載例1
7−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(D1)
7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン塩酸塩(EP 285287参照)(25g,125mmol)および37%ホルマリン(25mL)のジクロロエタン(250mL)中混合物を内温20℃以下に維持しながら、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(30g,250mmol)で処理した。2時間攪拌後、水を加え、50%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを10に調整した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させて生成物D1を得た(23g)。
【0110】
記載例2
フッ化8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン−7−スルホニル(D2)
【化12】

【0111】
a)7−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(D2a)
7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン塩酸塩(EP 285287参照)(25g,125mmol)および37%ホルマリン(25mL)のジクロロエタン(250mL)中混合物を内温20℃以下に維持しながら、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(30g,250mmol)で処理した。2時間攪拌後、水を加え、50%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを10に調整した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させて生成物D2aを得た(23g)。
【0112】
b)8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン−7−スルホン酸(D2b)
パートa)由来の生成物(23g)をトリフルオロ酢酸(125mL)中に溶解し、次いで、氷浴中、クロロスルホン酸(16.5mL,250mmol)を滴下しながら攪拌した。該溶液を30分間攪拌し、次いで、蒸発乾固させて標題のスルホン酸D2bを得、それを直接、次工程に用いた。
【0113】
c)塩化8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン−7−スルホニル(D2c)
パートb)由来のスルホン酸を塩化チオニル(75mL)中に溶解し、該溶液を30分間還流した。冷却後、該溶液を蒸発乾固させて標題の塩化スルホニルD2cを得、それを直接、次工程に用いた。
【0114】
d)フッ化8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン−7−スルホニル(D2)
パートc)由来の塩化スルホニルをアセトニトリル(500mL)中に溶解し、フッ化カリウム(37g,625mmol)および18−クラウン−6(1結晶)を加えた。該混合物を18時間攪拌し、次いで、冷却した重炭酸ナトリウム水溶液でpHが8になるまでクエンチした。該混合物を酢酸エチルで2回抽出し、重炭酸塩溶液、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させて、フッ化スルホニルD1を得た(25g)。
【0115】
記載例3
7−[6−(tert−ブチル−ジメチルシリルオキシメチル)ピリジン−3−スルホニル]−8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(D3)
【化13】

5−ブロモ−2−(tert−ブチル−ジメチルシリルオキシメチル)ピリジン(4.61g,15.3mmol,3.0当量)の無水THF(40ml)中溶液に、アルゴン下、−78℃にて、n−ブチルリチウム(6.1ml,THF中における2.5M,15.3mmol,3.0当量)を滴下した。添加が完了したら、攪拌を−78℃で10分間続け、次いで、無水THF(15ml)中におけるD2(1.39g,5.1mmol,1.0当量)の溶液を10分かけて滴下した。添加が完了したら、赤/紫色の溶液を−30℃に温め、さらに2時間攪拌後、該温度にて、酢酸(2ml)、次いで水(20ml)でクエンチした。該混合物を室温に温め、飽和NaHCO溶液(300ml)と酢酸エチル(200ml)との間に分配した。水相をさらなる酢酸エチル(200ml)で抽出し、合わせた有機相を水(300ml)およびブライン(300ml)で洗浄し、無水MgSOで乾燥させた。真空下での濃縮により、油状物を得た。CHCl中における0−5%MeOHで溶出するシリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物D3を薄黄色固体として得た(1.50g,62%)。MH 477.
1H NMR δ (CDCl3) 0.04 (6H, s), 0.87 (9H, s), 2.27 (3H, s), 2.47 (4H, m), 2.86 (4H, m), 3.69 (3H, s), 4.79 (2H, s), 6.56 (1H, s), 7.56 (1H, d), 7.76 (1H, s), 8.15 (1H, dd), 8.95 (1H, d)
【0116】
記載例4
[5−(8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン−7−スルホニル)ピリジン−2−イル]メタノール(D4)
【化14】

シリルエーテルD3(1.36g,2.85mmol,1.0当量)のTHF(10ml)および5M HCl(30ml)中溶液を室温で1時間攪拌し、次いで、真空下で蒸発乾固させた。残渣をSCXカートリッジ上で、最初に、不純物/過剰の酸をメタノールで溶出し、次いで、生成物をMeOH中における1M NHで溶出して精製した。該メタノール性アンモニア溶液を蒸発乾固させて、標題化合物D4を薄黄色固体として得た(1.02g,100%)。MH 363.
1H NMR δ (CDCl3) 2.37 (3H, s), 2.56 (4H, m), 2.94 (4H, m), 3.78 (3H, s), 4.84 (2H, s), 6.66 (1H, s), 7.40 (1H, d), 7.84 (1H, s), 8.21 (1H, dd), 9.01 (1H, d)
【0117】
実施例1
7−[(5−{[(4−フルオロフェニル)オキシ]メチル}−2−チエニル)スルホニル]−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(E1)
【化15】

【0118】
a)7−[(5−ブロモ−2−チエニル)スルホニル]−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(E1a)
3−メチル−7−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピンD1(400mg,2.0mmol)のトリフルオロ酢酸(4ml)およびトリフルオロメタンスルホン酸(0.4ml)中溶液を塩化5−ブロモ−2−チオフェンスルホニル(785mg,3.0mmol)および塩化インジウム(III)(40mg,0.2mmol)で処理した。該混合物を80℃で30分間、次いで、室温で10時間攪拌した。それを2N水酸化ナトリウムで中和し、ジクロロメタン(2x20ml)で抽出した。合わせた有機相を真空下で濃縮し、残渣を予め湿らせたSCXカートリッジ上に負荷し、それをメタノール、次いで、メタノール中におけるアンモニアで溶出した。アンモニア/メタノールフラクションを真空下で濃縮し、残渣を、ジクロロメタン中における5%メタノールで溶出するシリカクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物E1aを得た(200mg,24%)。MH416/418
1H NMR δ (CDCl3) 2.40 (s, 3H), 2.45-2.65 (m, 4H), 2.85-3.00 (m, 4H), 3.90 (s, 3H), 6.70 (s, 1H), 7.00 (d, 1H), 7.50 (d, 1H), 7.75 (s, 1H)
【0119】
b)5−{[3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン−7−イル]スルホニル}−2−チオフェンカルバルデヒド(E1b)
E1a(200mg,0.48mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(2ml)中溶液をアルゴン下で攪拌し、−78℃に冷却した。t−ブチルリチウム(0.63ml,1.5M,0.95mmol)を滴下した。2分間攪拌後、N,N−ジメチルホルムアミド(0.2ml)を加え、混合物を−78℃で1時間攪拌した。水を加え、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相を真空下で濃縮し、ジクロロメタン中における3、次いで4%メタノールで溶出するシリカクロマトグラフィーによって精製した。これにより、所望の生成物E1bを得た(90mg,51%)。MH 366
1H NMR δ (CDCl3) 2.37 (s, 3H), 2.50-2.65 (m, 4H), 2.80-3.00 (m, 4H), 3.90 (s, 3H), 6.70 (s, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.75-7.80 (m, 2H), 9.95 (s, 1H)
【0120】
c)(5−{[3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン−7−イル]スルホニル}−2−チエニル)メタノール(E1c)
E1b(90mg,0.25mmol)のメタノール(2ml)中溶液を水素化ホウ素ナトリウム(11.4mg,0.30mmol)で処理し、室温で1時間攪拌した。次いで、該混合物を水(10ml)およびジクロロメタン(10ml)で処理し、相を分離した。有機相を真空下で濃縮し、残渣を、ジクロロメタン中における5、次いで10%メタノールで溶出するシリカクロマトグラフィーによって精製した。これにより、所望の生成物E1cを得た(80mg,99%)。MH 368
1H NMR δ (CDCl3) 2.35 (s, 3H), 2.50-2.65 (m, 4H), 2.85-3.00 (m, 4H), 3.90 (s, 3H), 4.85 (s, 2H), 6.70 (s, 1H), 6.95 (d, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.80 (s, 1H)
【0121】
7−[(5−{[(4−フルオロフェニル)オキシ]メチル}−2−チエニル)スルホニル]−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(E1)
E2c(80mg,0.22mmol)、トリフェニルホスフィン(115mg,0.44mmol)および4−フルオロフェノール(49mg,0.44mmol)のテトラヒドロフラン(2ml)中溶液をアルゴン下で攪拌し、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.08ml,0.44mmol)の滴下によって処理した。反応混合物を12時間攪拌し、次いで、蒸発乾固させた。残渣をメタノール中において、予め湿らせたSCXカートリッジ上に負荷し、メタノール、次いでメタノール中におけるアンモニアで溶出した。アンモニア/メタノールフラクションを真空下で濃縮し、ジクロロメタン中における4%メタノールで溶出するシリカクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物E1を得た(5mg,5%)。MH 462
1H NMR δ (CDCl3) 2.37 (s, 3H), 2.45-2.65 (m, 4H), 2.8-3.0 (m, 4H), 3.86 (s, 3H), 5.17 (s, 2H), 6.70 (s, 1H), 6.85-6.90 (m, 2H), 6.95-7.05 (m, 3H), 7.65 (d, 1H), 7.79 (s, 1H)
【0122】
実施例2
7−({5−[(4−クロロフェニル)オキシ]−2−チエニル}スルホニル)−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(E2)
【化16】

7−[(5−ブロモ−2−チエニル)スルホニル]−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(E1a,150mg,0.36mmol)および4−クロロフェノール(70mg,0.54mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3ml)中溶液を炭酸カリウム(100mg,0.72mmol)で処理し、該混合物をマイクロ波反応器中、150℃で15分間、密閉した試験管中で加熱した。該混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を分離し、真空下で濃縮して残渣を得、それを、ジクロロメタン中における0〜10%メタノールの勾配で溶出するシリカクロマトグラフィーによって精製した。該生成物はさらに、マス−ディレクテッド・オート・プレプ(Mass-Directed Auto Prep)およびSCXを用いて精製しなければならず、それにより、標題化合物E2を白色固体として得た(20mg,12%)。MH464/466
1H NMR δ (CDCl3) 2.20 (s, 3H0, 2.50-2.65 (m, 4H), 2.90-3.00 (m, 4H), 3.90 (s, 3H), 6.40 (d, 1H), 6.70 (s, 1H), 7.05-7.10 (m, 2H), 7.30-7.35 (m, 2H), 7.53 (d, 1H), 7.75 (s, 1H)
【0123】
実施例3
7−({5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル}スルホニル)−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(E3)
【化17】

【0124】
a)(5−ブロモ−2−チエニル)(4−フルオロフェニル)メタノール(E3a)
5−ブロモ−2−チオフェンカルボキサルデヒド(1.0g,5.2mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(20ml)中攪拌溶液をアルゴン下、0℃に冷却し、臭化4−フルオロフェニルマグネシウム溶液(6.3ml,テトラヒドロフラン中における1M,6.3mmol)を加えた。該混合物を室温に温め、4時間攪拌した。次いで、それをロシェル塩の溶液中に注ぎ入れ、30分間攪拌した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させた。真空下で蒸発させて、E3aを茶色油状物として得(1.76g)、さらに精製することなく、それを直接、次工程に用いた。
【0125】
b)2−ブロモ−5−[(4−フルオロフェニル)メチル]チオフェン(E3b)
E3a(1.76g粗生成物)およびトリエチルシラン(4.9ml,30.7mmol)のクロロホルム中溶液をアルゴン下、0℃で攪拌し、トリフルオロメタンスルホン酸(1.1ml,12.4mmol)を滴下した。該混合物を室温で1時間攪拌し、次いで、ジクロロメタン(50ml)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を乾燥させ、真空下で濃縮してゴムを得、それを、40/60石油エーテル、次いで、ヘキサンで溶出するシリカクロマトグラフィーによって精製した。適当なフラクションを蒸発させて、所望の生成物E3bを得た(596mg,42%)。

7−({5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル}スルホニル)−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(E3)
E3b(596mg,2.2mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(10ml)中溶液をアルゴン下で攪拌し、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.0ml,ヘキサン中における2.5M,2.5mmol)を滴下し、混合物を−78℃で15分間攪拌した。次いで、フッ化3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン−7−スルホニルD2(200mg,0.73mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(5ml)中溶液を滴下し、反応物を−78℃で1時間攪拌した後、酢酸(5ml)の添加によってクエンチした。混合物を室温に温め、次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液で処理した。それを酢酸エチルで抽出し、有機相を真空下で濃縮して残渣を得、それを、ジクロロメタンで溶出するシリカクロマトグラフィーによって精製した。生成物はさらに精製を要し、そのため、マス−ディレクテッド・オート・プレプに付して、所望の生成物E3をオフホワイト色の固体として得た(40mg)。MH446
1H NMR δ (CD3OD) 2.70 (s, 3H), 2.95-3.18 (m, 8H), 3.85 (s, 3H), 4.20 (s, 2H), 6.88 (d, 1H), 6.95-7.08 (m, 3H), 7.25 (dd, 2H), 7.58 (d, 1H), 7.77 (s, 1H)
【0126】
実施例4
7−[6−(4−クロロフェノキシメチル)ピリジン−3−スルホニル]−8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(E4)
【化18】

アルコールD4(0.100g,0.276mmol,1.0当量)、4−クロロフェノール(0.039g,0.303mmol,1.1当量)およびトリフェニルホスフィン(0.079g,0.303mmol,1.1当量)の無水THF(2ml)中攪拌溶液に、0℃にて、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(60μl,0.061g,0.303mmol,1.1当量)を滴下した。得られた溶液を室温で16時間攪拌し、次いで、水(15ml)を加え、混合物を酢酸エチル(2x10ml)で抽出した。合わせた有機相を水(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮乾固させた。残留油状物をまず、SCXカートリッジ上で、不純物/過剰の試薬をメタノールで溶出し、次いで、生成物をMeOH中における1M NHで溶出して精製し、蒸発させた。CHCl中における0−10%MeOHで溶出するシリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによる第2の精製により、標題化合物E4を薄黄色固体として得た(0.094g,72%)。MH 473/475
1H NMR δ (CDCl3) 2.37 (3H, s), 2.56 (4H, m), 2.94 (4H, m), 3.78 (3H, s), 5.28 (2H, s), 6.66 (1H, s), 6.89 (2H, d), 7.25 (2H, d), 7.65 (1H, d), 7.85 (1H, s), 8.28 (1H, dd), 9.12 (1H, d)
【0127】
実施例5
7−[6−(3,4−ジフルオロフェノキシメチル)ピリジン−3−スルホニル]−8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン(E5)
【化19】

アルコールD4(0.106g,0.292mmol,1.0当量)、3,4−ジフルオロフェノール(0.042g,0.322mmol,1.1当量)およびトリフェニホスフィン(0.084g,0.322mmol,1.1当量)の無水THF(2ml)中攪拌溶液に、0℃にて、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(63μl,0.065g,0.322mmol,1.1当量)を滴下した。得られた溶液を室温で16時間攪拌し、次いで、水(15ml)を加え、混合物を酢酸エチル(2x10ml)で抽出した。合わせた有機相を水(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮乾固させた。残留油状物をまず、SCXカートリッジ上で、不純物/過剰の試薬をメタノールで溶出し、次いで、生成物をMeOH中における1M NHで溶出して精製し、蒸発させた。CHCl中における0−10%MeOHで溶出するシリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによる第2の精製により、標題化合物E5を薄黄色固体として得た(0.060g,43%)。MH 475
1H NMR δ (CDCl3) 2.37 (3H, s), 2.56 (4H, m), 2.95 (4H, m), 3.78 (3H, s), 5.19 (2H, s), 6.65 (2H, m), 6.79 (1H, m), 7.07 (1H, q), 7.62 (2H, d), 7.85 (1H, s), 8.29 (1H, dd), 9.12 (1H, d)
【0128】
全てのH NMRは、示される構造と一致する。
下表1に挙げられる化合物は全て、式(1F):
【化20】

の化合物に関する。
【表1】

【0129】
限定するものではないが、特許および特許出願を含め、本明細書中に引用される全ての出版物は、あたかも各出版物が特別かつ個々に、出典明示によって、その全体が示されるかの如く本明細書の一部とされることが示されているかのように、出典明示により、本明細書の一部とされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
AおよびBは、各々、−(CH−および−(CH−基を示し;
は、水素またはC1−6アルキルを示し;
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシC1−6アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6フルオロアルコキシ、−(CH3−6シクロアルキル、−(CHOC3−6シクロアルキル、−COC1−6アルキル、−SO1−6アルキル、−SOC1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、−CO1−6アルキル、−CONR、−SONR、−(CHNR、−(CHNRCOR、置換されていてもよいアリール環、置換されていてもよいヘテロアリール環、縮合二環式芳香族複素環系または置換されていてもよい複素環を示し;
Arは、独立して酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式不飽和環を示し;
Arは、置換されていてもよいアリール環または独立して酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環式不飽和環を示し;
Zは、−(CHX−(ここに、−(CH−基はArに結合している)または−X(CH−(ここに、XはArに結合している)を示し、ここに、該−CH−基のいずれも、1以上のC1−6アルキル基によって置換されていてもよく;
Xは、酸素、−CH(OR)−、−NR−または−CH−を示し、ここに、−CH−基は、1以上のC1−6アルキル基によって置換されていてもよく;
およびRは各々、独立して、水素、C1−6アルキルを示すか、またはそれらが結合している窒素または他の原子と一緒になって、アザシクロアルキル環またはオキソ置換されたアザシクロアルキル環を形成し;
は、水素またはC1−6アルキルを示し;
mおよびnは、独立して、1および2から選択される整数を示し;
pは、独立して、0、1、2および3から選択される整数を示し;
qは、独立して、0、1、2および3から選択される整数を示し;
但し、Arがピリジル基であり、Zが−CHX−(ここに、XはAr基に結合している)である場合、Xは、−CH(OR)−、−NR−および−CH−から選択され、ここに、該−CH−基は、1以上のC1−6アルキル基によって置換されていてもよい]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
7−[(5−{[(4−フルオロフェニル)オキシ]メチル}−2−チエニル)スルホニル]−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン;
7−({5−[(4−クロロフェニル)オキシ]−2−チエニル}スルホニル)−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン;
7−({5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル}スルホニル)−3−メチル−8−(メチルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン;
7−[6−(4−クロロフェノキシメチル)ピリジン−3−スルホニル]−8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン;
7−[6−(3,4−ジフルオロフェノキシメチル)ピリジン−3−スルホニル]−8−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピンである請求項1記載の式(I)の化合物ならびにその医薬上許容される塩および溶媒和物。
【請求項3】
請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項4】
治療において使用するための請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
ドーパミン受容体の調節を必要とする病態の治療のための医薬の製造における請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項6】
精神障害、統合失調症、パーキンソン病、物質濫用、異常運動障害、鬱病、双極性障害、不安症および認識障害の治療のための医薬の製造における請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項7】
請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することを特徴とする、ドーパミン受容体の調節を必要とする病態の治療方法。
【請求項8】
請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することを特徴とする、精神障害、統合失調症、パーキンソン病、物質濫用、異常運動障害、鬱病、双極性障害、不安症および認識障害の治療方法。

【公表番号】特表2007−505076(P2007−505076A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525774(P2006−525774)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010131
【国際公開番号】WO2005/025576
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】