説明

抗糖化剤

【課題】優れた抗糖化作用効果を有し、かつ安全性の高い抗糖化剤を提供する。
【解決手段】プロポリスを有効成分とする抗糖化剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロポリス又はその加工物を有効成分とする抗糖化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
先進国においては高齢化社会が進み、QOLの悪化の原因となる生活習慣病対策が重要な社会問題となっている。
【0003】
生活習慣病の原因は複数提唱されているが、その中の一つとして血中糖化タンパク質濃度の上昇が挙げられる。糖化タンパク質量は、体内においては加齢に伴い増加し、生活習慣病などのリスクが上昇することが知られている。
【0004】
糖化タンパク質の血中濃度上昇が心臓病や糖尿病など各種疾病の原因として着目されており、糖化タンパク質生成を予防(抗糖化)することは、セルフメディケーションの必要性が唱えられている今日、特に高年齢層の社会では重要な課題である。
【0005】
糖化タンパク質とは、グルコースなどの糖がタンパク質と酵素反応などを介さずに結合する糖化反応(メイラード反応)により生成される物質である。
【0006】
糖化反応は生体の内外両方で行われる反応であり、酵素触媒反応によってタンパク質や脂質に糖が付加されるグリコシル化反応とは区別される。
【0007】
グリコシル化反応では特定の位置に糖が結合し、機能発現などに関与するのに対し、糖化反応ではランダムな位置に糖結合し、機能阻害をする場合もある。
【0008】
抗糖化素材に関しては、紅茶に含まれるポリフェノール(非特許文献1)やビタミンの1種であるリボフラビンの関連化合物(非特許文献2)が抗糖化能を示す報告や、植物ハーブに由来する抗糖化能を特徴とする食品も販売されている(非特許文献3)が、機能の重要性に比べると、報告数は少ない。
【0009】
また、プロポリスに関してはすでに多くの研究がされており、防カビ効果(特許文献1)や抗腫瘍効果(特許文献2)などが報告されている。
【0010】
しかしながら、プロポリスによる抗糖化作用については、まだ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平06−133748
【特許文献2】特開平07−330596
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】松永孝之ら,富山県薬事研究所年報,35:15-20,2008
【非特許文献2】渡辺寛人,食に関する助成研究調査報告書,22:71-77,2009
【非特許文献3】アークレイ、健康食品原料の紹介、[online]、[2010年9月15日検索]、インターネット<URL:http://ebn.arkray.co.jp/products/mixed-herbal-extract/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、プロポリス又はその加工物を有効成分とする抗糖化剤、並びに医薬用組成物又は化粧料用組成物である抗糖化剤を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、既に健康食品などに配合され、健康素材として認知されているプロポリスが抗糖化作用を有することを見出した。本発明は、この様な知見に基づいてさらに研究を重ねた結果完成されたものである。
【0015】
本発明は、以下のプロポリス又はその加工物を有効成分とする抗糖化剤、並びに医薬用組成物又は化粧料用組成物である抗糖化剤を提供するものである。
項1.プロポリス又はその加工物を有効成分とする抗糖化剤。
項2.前記プロポリス又はその加工物が、UV吸収スペクトルにおいて波長280nm付近にて極大を持ち、赤色を呈している上記項1に記載の抗糖化剤。
項3.前記プロポリス又はその加工物を0.1重量%以上含有する上記項1又は2に記載の抗糖化剤。
項4.医薬用組成物又は化粧料用組成物である上記項1〜3のいずれかに記載の抗糖化剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明のプロポリス又はその加工物を有効成分とする抗糖化剤は、アミノ酸やこれを構成成分とするペプチドもしくはタンパク質の抗糖化作用に優れている。また、本発明の抗糖化剤の有効成分はプロポリスであり、従来から一般的に食されていることから、その安全性は確認されている。
【0017】
そして、本発明の抗糖化剤を用いることにより、体内での糖化反応を阻害することができ、糖化を原因にして発症する各種疾患、例えば、糖尿病合併症(例えば、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害等)、動脈硬化などの血管疾患、アルツハイマーなどの認知症を予防/治療することができる。
【0018】
更に、本発明の抗糖化剤を含有する化粧料組成物を皮膚に適用することによって、皮膚におけるアミノ酸等の糖化を阻害し、皮膚の老化を防止することも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】波長280nm付近にて極大を持つ赤プロポリスのUV吸収スペクトルを示す図である。
【図2】赤プロポリス、緑プロポリス及びぶどう種子の各試料溶液による糖化阻害率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
抗糖化剤
本発明において抗糖化作用とは、アミノ酸やこれを構成成分とするペプチドもしくはタンパク質及びこれらの塩のアミノ基と糖のカルボニル基が結合し、これらの糖化産物(例えば、糖化タンパク質)が形成される反応を阻害することを指す。つまり、抗糖化作用とは、酵素などを介さないタンパク質と糖の結合反応(メイラード反応)の阻害をいう。
【0021】
ここで、糖とは還元糖のことを指し、アルデヒド基、ケトン基等のカルボニル基(還元基)を有する糖を意味する。この様な糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース等の単糖に分類される糖の全てと、マルトース、ラクトース等の二糖類などが挙げられる。
(1)プロポリス又はその加工物
本発明の抗糖化剤は、プロポリス又はその加工物を有効成分とする。
【0022】
プロポリスとは、ミツバチが植物の新芽や樹液を採取し、巣の内側への内張りや、巣の隙間を埋めるために使用される物質である。
【0023】
本発明の抗糖化剤に有効成分として含まれるプロポリス又はその加工物は、
本発明の抗糖化効果が高い点から、UV吸収スペクトルにおいて波長280nm付近にて極大を持ち、赤色を呈するものが好ましい。以下、赤色を呈しているプロポリスを赤プロポリスという。なお、赤プロポリスは、ブラジル北東部にて生産されるプロポリスの一種であり、マメ科植物のダルベルジアから分泌される樹液を蜂が採取した物質である。
【0024】
UV吸収スペクトルにおいて波長280nm付近にて極大を持ち、赤プロポリスのUV吸収スペクトルを図1に記す。
【0025】
図1は、赤プロポリスの1mLを正確に量り、エタノールを加えて正確に100mLとし、次いでこの液1mLを正確に量り、エタノールを加えて正確に100mLとした赤プロポリス溶液について、エタノールを対照とし、測定したUV吸収スペクトルである。
【0026】
プロポリスには緑色を呈しているプロポリス(以下、緑プロポリスと記す)がある。緑プロポリスは、代表的なものとしてブラジルのミナスジェライス州にて生産されるプロポリスがあり、バッカリス・ドラクンクリフォリアの若葉や新芽を蜂が採取した物質であり、アルテピリンCを含むものである。
【0027】
本発明の抗糖化剤は、上記赤プロポリス及び緑プロポリスをどちらか1種を有効成分としてもよく、2種を組み合わせて有効成分としてもよい。
【0028】
本発明においては、プロポリスをそのまま用いても良く、プロポリスの加工物を用いても良い。プロポリスの加工物としてはプロポリスの各種溶媒で抽出された抽出物、その乾燥物(乾燥抽出物)、さらにこれを粉末にした粉末乾燥抽出物等を使用することができる。
【0029】
プロポリスの溶媒で抽出された抽出物(プロポリスの加工物)を用いる場合、その製造方法(抽出方法)及び抽出条件等は特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば、プロポリスをそのまま溶媒抽出によって抽出物を得ることができる。溶媒抽出の方法としては、当該技術分野において公知の方法を採用すればよく、例えば、水抽出、熱水抽出、温水抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の従来公知の抽出方法を利用することができる。
【0030】
溶媒抽出を行う場合、溶媒としては例えば水;メタノール、無水エタノール、エタノール等の低級アルコールや、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール等のアルコール類(無水、含水の別を問わない);アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル等のエステル類、キシレン、ベンゼン、クロロホルム等が挙げられ、好ましくは水、エタノール等である。これらの溶媒を1種単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
得られた抽出物をそのままの状態で使用することもできるが、乾燥させて粉末状のものを用いてもよい。また、必要に応じて得られた抽出物に精製、濃縮処理等を施してもよい。精製処理としては、濾過又はイオン交換樹脂や活性炭カラム等を用いた吸着、脱色といった処理を行うことができる。また、濃縮処理としては、エバポレーター等の常法を利用できる。
【0032】
あるいは、得られた抽出物(又は精製処理物若しくは濃縮物)を凍結乾燥処理に供して粉末化する方法、デキストリン、コーンスターチ、アラビアゴム等の賦形剤を添加してスプレードライ処理により粉末化する方法等、従来公知の方法に従って粉末化し、本発明で用いる加工物としてもよい。また、該加工物を、必要に応じて純水、エタノール等に溶解して用いてもよい。
【0033】
簡便には、本発明で用いられるプロポリスの溶媒で抽出された抽出物として、商業的に入手可能なものを用いてもよい。
【0034】
本発明の抗糖化剤におけるプロポリス又はその加工物の含有量は、本発明の所望の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは抗糖化剤中に0.1重量%以上含有し、より好ましくは0.5〜1.0重量%程度、特に好ましくは0.75〜1.0重量%程度である。
(2)その他の成分
上記有効成分を単独で使用することもできるが、上記成分以外に従来公知の賦形剤、香料、着色料、乳化剤、安定化剤、増粘剤、酵素、防腐剤、滑沢剤、界面活性剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、結合剤、吸収促進剤、吸着剤、保湿剤、可溶化剤、保存剤、風味剤、甘味剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて配合することができる。
医薬用組成物
本発明は、医薬用組成物の形態を有する抗糖化剤をも提供するものである。
【0035】
本発明の医薬用組成物である抗糖化剤には、薬学的に許容される担体及び/又は添加剤を含有する。
【0036】
本発明の医薬用組成物である抗糖化剤は、経口又は非経口の別を問わず各種の製剤剤型に調製することができ、例えば、液剤(シロップ等を含む)等の液状製剤や、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)等の固形製剤形態の経口製剤;液剤、点滴剤、注射剤、点眼剤等の液状製剤や、錠剤、丸剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)等の固形製剤形態の非経口製剤が挙げられる。本発明の医薬用組成物である抗糖化剤は、経口製剤であることが好ましい。
【0037】
本発明の医薬用組成物である抗糖化剤が液状製剤である場合は、凍結保存することもでき、また凍結乾燥等により水分を除去して保存してもよい。凍結乾燥製剤やドライシロップ等は、使用時に注射用蒸留水、滅菌水等を加え、再度溶解して使用される。
【0038】
例えば、本発明の医薬用組成物である抗糖化剤が注射剤、点滴等として調製される場合、希釈剤として例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用することができる。なお、この場合、体液と等張な溶液を調整するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを本発明の医薬組成物中に含有させてもよい。また、当分野において一般的に使用されている溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0039】
固形剤として本発明の医薬用組成物である抗糖化剤を調製する場合、例えば、錠剤の場合であれば、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用することができる。このような担体としては、例えば乳糖、白糖、麦芽糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0040】
また、丸剤の形態に調製する場合は、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0041】
上記以外に、添加剤として、例えば、界面活性剤、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩を、得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択し使用することができる。また、他の活性成分(例えば、アスコルビン酸、ビタミンB6、ビタミンB1、ビタミンB2、ニコチン酸アミド等のビタミン類;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩や、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の無機塩類)を含有させてもよい。さらに、他の薬効成分と組み合わせて用いてもよい。また、本発明の医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等を配合し、調製することもできる。
【0042】
本発明の医薬用組成物である抗糖化剤の投与量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、患者の年齢、体重、症状の程度等によって適宜設定され得る。医薬用組成物である抗糖化剤の投与量は、例えば、大人一人あたり、プロポリス又はその加工物として約1mg/kg/日以上、好ましくは1〜100mg/kg/日程度、より好ましくは1〜10mg/kg/日程度、最も好ましくは2〜5mg/kg/日程度である。
【0043】
本発明の医薬用組成物は、生体内において優れた抗糖化作用を発揮し得ることから、生体内におけるアミノ酸類の糖化が原因とされている疾患の予防/治療を目的として使用することができる。このような疾患としては、例えば糖尿病合併症(例えば、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害等)が挙げられる。
化粧料用組成物
本発明は、化粧料用組成物の形態を有する抗糖化剤をも提供するものである。
【0044】
本発明の化粧料用組成物である抗糖化剤は、香粧学上許容される従来公知の基剤又は担体と共に混合して調製することもできる。
【0045】
基剤又は担体としては、例えば、水等の水系基剤;ワセリン、スクワラン、パラフィン、流動パラフィン、白ロウ、プラスチベース、ポリエチレングリコール、マクロゴール等の油系基剤;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、ポリビニルブチラート、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、メタアクリル酸メチルコポリマー、メタアクリル酸ジエチルアミノエチル、メタアクリル酸メチルコポリマー、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール等の高分子;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン類等の多価アルコール等が挙げられる。
【0046】
上記基剤又は担体に加え、公知のpH調整剤、保存剤、界面活性剤、安定化剤、分散剤、防腐剤、着色剤、香料等を添加することができる。
【0047】
当該化粧料用組成物である抗糖化剤の形態については、特に制限されず、上記の基剤、担体等を用いて各種の形態に調製できるが、例えば、クレンジング剤、皮膚洗浄料、マッサージ剤、軟膏、クリーム、ローション、オイル、パック、洗顔料、化粧水、乳液、ゼリー等の基礎化粧料;ファンデーション、おしろい、口紅、頬紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、眉墨等のメークアップ化粧料等が挙げられる。
【0048】
上記の剤型に調製する際の調製方法は特に限定されず、本発明の効果を損なわない限り、当該分野において公知の方法に従えばよい。
【0049】
本発明の化粧料用組成物である抗糖化剤に含まれるプロポリス又はその加工物の含有量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されない。本発明の化粧料用組成物である抗糖化剤は、プロポリス又はその加工物が、例えば、0.01〜99重量%程度含むことが好ましく、0.05〜10重量%程度含むことがより好ましく、0.1〜1重量%程度含むことが更に好ましい。
【0050】
本発明の化粧料組成物の適用量は特に限定されず、各種加工物の配合量を参考に、適量を剤型に従って適用すればよい。本発明の化粧料組成物は、優れた抗糖化作用を有することから、皮膚におけるアミノ酸類の糖化を阻害し、シワ、シミ、たるみの発生等といった皮膚の老化を防止することができる。また、皮膚の老化を防止することによって、結果として皮膚のツヤやハリを良くする効果が期待できる。
【実施例】
【0051】
以下、試験例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
糖化阻害試験
(BSA−グルコース試験系)
(1)使用したプロポリス等
赤プロポリスのエタノール抽出エキス(アピ株式会社販売原料、EEP−55R、赤プロポリスを固形分として55重量%含有する)
緑プロポリスのエタノール抽出エキス(アピ株式会社販売原料、EEP−55、緑プロポリスを固形分として55重量%含有する)
ぶどう種子の抽出エキス(キッコーマン食品株式会社販売原料、グラヴィノール−N)
なお、ぶどう種子の抽出エキスは、粉末状のぶどう種子の抽出エキスをエタノールに溶解し、55重量%固形物溶液として調製したものを用いた。
(2)試験方法
プロポリス(赤及び緑)、並びにぶどう種子を以下の表1に示す濃度(重量%)になるようにエタノールの試料溶液を調製した。
(A)20mg/mL牛血清アルブミン(BSA:SIGMA社製)/0.02%アジ化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)/PBS(リン酸緩衝液):500μL、
(B)50mg/mlグルコース(D(+)−Glucose;和光純薬工業株式会社製)/PBS(和光純薬工業株式会社製):400μL、
(C)プロポリス(赤及び緑)、並びにぶどう種子を以下の表1に示す濃度(重量%)になるようにエタノールの試料溶液(エキス):100μL
を混合し、蛍光(励起360nm,蛍光465nm)で測定した。これを反応前の値とした。なお、蛍光測定には、蛍光測定器GENios(TECAN)を用いた。
【0052】
なお、表1中、「最終溶液濃度」とは、測定溶液中の濃度である。
【0053】
陰性対照では、前述の(B)グルコース/PBSの替わりにPBSを用い、前述の(C)プロポリス(赤及び緑)、並びにぶどう種子の試料溶液(エタノール溶液)の替わりにエタノール(EtOH)を用いて(表2のネガティブコントロール)、上記と同様の方法に従って反応前後の蛍光を測定した。
【0054】
陽性対照では、前述の(C)プロポリス(赤及び緑)、並びにぶどう種子の試料溶液(エタノール溶液)の替わりにエタノールを用いて(表2のポジティブコントロール)、同様の方法に従って反応前後の蛍光を測定した。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
前記で得られた混合溶液を、50℃の恒温にて60時間反応後、グルコースにより糖化を受けた糖化BSAを蛍光(励起360nm, 蛍光465nm)で測定した。これを反応後の値(糖化率)とした。
(3)試験結果
各試料溶液による糖化阻害率を下記表3及び図2に示す。
【0058】
表3及び図2は、ネガティブコントロールの糖化率を0%とし、ポジティブコントロールの糖化率を100%とした相対値で表しており、糖化率の値が低いほど抗糖化作用が良好であることを示す。
【0059】
【表3】

【0060】
上記表3及び図2に示される結果より、赤プロポリスは、0.1〜1重量%の濃度において、ぶどう種子よりも優れた抗糖化作用を示した。
【0061】
また、緑プロポリスは、0.25〜1重量%の濃度において、ぶどう種子よりも優れた抗糖化作用を示した。
【0062】
そして、赤プロポリスは、ぶどう種子及び緑プロポリスよりも優れた抗糖化作用を示した。
【0063】
以下に処方例を示す。
[医薬品組成物の処方例]
処方例1.錠剤 (重量%)
プロポリス又はその加工物 1.0
マルチトール 21.0
グリセリン脂肪酸エステル 1.5
ショ糖脂肪酸エステル 2.5
微粒二酸化ケイ素 2.5
結晶セルロース 残部
合計 100
【0064】
[化粧料組成物]
処方例2.化粧水 (重量%)
プロポリス又はその加工物 1.0
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
エタノール 15.0
抗菌・防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロポリス又はその加工物を有効成分とする抗糖化剤。
【請求項2】
前記プロポリス又はその加工物が、UV吸収スペクトルにおいて波長280nm付近にて極大を持ち、赤色を呈している請求項1に記載の抗糖化剤。
【請求項3】
前記プロポリス又はその加工物を0.1重量%以上含有する請求項1又は2に記載の抗糖化剤。
【請求項4】
医薬用組成物又は化粧料用組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の抗糖化剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−77042(P2012−77042A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225191(P2010−225191)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】