説明

抗酸化剤および化粧料組成物

【課題】色素などのポインセチア抽出物の活用を図ること。
【解決手段】ポインセチア抽出物を含有することを特徴とするラジカル消去性または活性酸素消去性抗酸化剤およびそれを用いた化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗酸化剤および該抗酸化剤を含有する化粧料組成物に関する。さらに詳しくは天然成分であるポインセチア抽出物の抗酸化性やラジカル消去性または活性酸素消去性を利用した効率的で効果の優れた抗酸化剤および化粧料の提供を目的とする。
【背景技術】
【0002】
ポインセチア類は、成長すると葉が赤く着色し、花芽の周りに花苞葉(苞)を展開させる。園芸用に改良されたものは葉と苞を合せた植物体の6割以上の広範な部位が赤色に変化し、天然の赤色色素を効率的に生産する。このポインセチアの赤色色素はアントシアニンであることが報告されており、苞中のアントシアニンとしてシアニジン−3−グルコシド(クリサンテミン)、シアニジン−3−ラムノグルコシド(アンチリニン)、ペラルゴニジン−3−グルコシド(カリステフィン)、ペラルゴニジン−3−ラムノグルコシドの4種類が同定されている(非特許文献1)。
【0003】
アントシアニンは、合成着色料に比べて安全性が高いことや自然な色合いを有することから、古くから種々の食品に着色料として利用されてきた。また、最近になってアントシアニンが抗酸化性やラジカル消去性、さらには抗変異原性などを示すことが見いだされ、生体内酸化ストレスやDNA変異を抑止する食品因子としても再評価されている。
【0004】
一方、ポインセチアに関する様々な研究によると、ポインセチアと同属(ユーフォルビア属)である多くの種の植物が生産する有毒のジテルペンが、ポインセチアからは見つかっていない(例えば、非特許文献2)。さらに、ラットを用いたポインセチアの経口毒性試験において、経口量が多量の場合でも、致死や毒性の兆候が見られず、行動にも変化が見られなかったことが報告されている(非特許文献3)。
【0005】
従って、赤色色素の高生産性、毒性に関する評価などを顧慮すると、ポインセチア抽出物、特に色素を含む抽出物の抗酸化性を始めとした生理活性を中心とした利用が望まれるが、用途開発、技術開発の報告はあまり見られない。ポインセチアは現在、観葉植物として利用されているが、その利用時期はクリスマスの時期に集中しており、年間を通じた生産体制にはなっていない。ポインセチアの利用効率向上のためには、化学成分の利用を含む広範な用途開発・技術開発が望まれている。
【0006】
【非特許文献1】Asen,S:Plant Physiology,33,14-17(1958)
【非特許文献2】Santucci,B.,Picardo,M..,Cristaudo,A:Contact dermatitis,12,285-286(1985)
【非特許文献3】Stone,R.P.,Collins,W.J.:Toxicon,9,301-302(1971)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、上記の問題を解決し、色素などのポインセチア抽出物の活用を図ることにより、ポインセチアの一時期に焦点を絞った生産体制を改善し、利用効率を増大させながら、天然成分であるポインセチア抽出物の優れた抗酸化性やラジカル消去性や活性酸素消去性を利用した効率的で効果の優れた抗酸化剤および化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、ポインセチア抽出物を抗酸化剤および化粧料として用いることにより、上記の如き従来技術の問題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポインセチア抽出物を含有することを特徴とするラジカル消去性または活性酸素消去性抗酸化剤およびそれを用いた化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポインセチア抽出物を抗酸化剤として化粧料組成物に用いることにより、有効に抗酸化性、ラジカル消去性または活性酸素消去性が発揮され、高いアンチエージング効果、抗しわ効果、抗たるみ効果などを発現でき、同時にポインセチアの有効利用が促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明で使用されるポインセチアとは、ポインセチアおよびその類縁種のことで、トウダイグサ科ユーフォルビア属の常緑低木、Euphoribia pulcherrimaの学名を持つ植物、およびその類縁の植物である。別称として猩々木、クリスマスフラワーなどが使用される場合もあるが、これらも本発明で使用されるポインセチアに含まれる。また、ポインセチアの類縁種としては草本性で、猩々草や草猩々の名前を持つEuphoribia heterophyllaの学名が採用されている植物が挙げられる。本発明で生理活性剤として使用されるのは、苞、根、茎、葉などの各部位からの抽出物であるが、特に好適に使用されるのは植物の赤く着色した苞の部分および根部からの抽出物である。
【0011】
本発明で抗酸化剤として使用されるポインセチアの形態としては、赤く着色した苞、根、茎、葉などを適当な大きさに裁断し、これより水、エチルアルコール、メチルアルコール、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、エチルエーテル、石油エーテルなどの適当な抽出媒体により抽出物を得て、この抽出物を化粧料用抗酸化剤として使用する。
【0012】
本発明の抗酸化剤が使用される化粧料の種類としては、洗顔クリーム、洗顔フォーム、化粧水、美容液、パック、マッサージ剤、乳液、リップクリーム、モイスチャークリームなどの基礎化粧品用化粧料、ファンデーション、白粉、口紅、アイカラー、チークカラーなどのメイクアップ化粧品用化粧料、ネイルエナメル、リムーバー、石鹸、ボディシャンプー、入浴剤、サンスクリーン剤、デオドラントスプレー、脱色クリーム、脱毛クリームなどのボディ化粧品用化粧料、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント剤、ヘアムース、ヘアリキッド、ポマード、パーマウエーブ剤、ヘアカラー、ブリーチ剤などの頭髪用化粧品用化粧料、育毛剤、ヘアトニック、スカルプトリートメント剤などの頭皮用化粧品用化粧料、香水、オーデコロン、オードトワレなどの芳香化粧品用化粧料などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
本発明の抗酸化剤の化粧品への配合量は特に限定されないが、化粧品100質量部に対して0.0001〜20質量部程度である。特に化粧品100質量部に対して0.001〜5質量部程度が好ましい。
【0014】
本発明の抗酸化剤が用いられる化粧品には、油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸などの油性基剤、精製水、エチルアルコールなどの水性基剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などの界面活性剤、天然高分子物質、合成高分子物質などの高分子基剤、タルク、カオリンなど粉体基剤などの化粧品基剤が使用される。該化粧品の剤型としては、例えば、溶液タイプ、ジェルタイプ、乳化タイプ、固体タイプ、粉体タイプ、ペーストタイプ、皮膜タイプ、エアロゾルタイプなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本発明で抗酸化剤として使用されるポインセチア抽出物の抽出方法は、通常の抽出方法でよく、抽出物がフリーラジカル消去能などの抗酸化能を有していれば特に限定されない。例えば、抽出溶媒を用いて抽出する場合は、抽出溶媒として、水、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒のいずれも用いられる。例えば、水、二酸化炭素、炭素数1〜5の低級アルコール類、含水低級アルコール類、炭素数1〜5の低級アルコールと炭素数1〜5の脂肪酸とのエステル類、ケトン類、上記エステル類と上記ケトン類の含水物、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、炭化水素類、液化ガス(液体炭酸、液化プロパン、液化ブタンなど)などの溶媒が用いられるが、水、エチルアルコール、メチルアルコール、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、エチルエーテル、石油エーテル、クロロホルム、ベンゼン、n−ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、n−ヘキサンなどが好適に用いられる。特に好適に用いられるのは水、エタノールなどである。また、これらの抽出溶媒の混合物も好適に用いられる。
【0016】
抽出温度や抽出時間などの抽出条件も特に限定されず、通常行われる抽出条件が用いられる。例えば、好適な抽出温度としては0〜90℃の範囲であり、特に5〜70℃の範囲の温度が好適である。好適な抽出時間としては1時間〜1週間の範囲であり、特に1日〜3日の範囲の抽出時間が好適である。好ましい溶媒容量は、被抽出物に対して質量比で1〜100倍量の範囲の溶媒量が好適であり、特に2〜50倍量の溶媒量が好適である。
【0017】
ポインセチア抽出物は上記溶媒で抽出して得た抽出液をそのまま、或いは濃縮して得ることができる。抽出手段は特に限定されず、例えば、上記溶媒中に苞、葉、茎、根などのポンセチア原料を室温にて浸漬、静置する方法、上記溶媒中に該ポインセチア原料を投入の後、該溶媒の沸点以下の温度で加温、攪拌しながら抽出する方法、さらには超臨界抽出法、亜臨界抽出法なども用いられる。
【0018】
本発明の抗酸化剤の使用形態は特に制限されないが、上記ポインセチア抽出物は必要に応じて種々の添加剤とともに、溶液、分散液、乳化液などの液状として、また、粉体、顆粒状、フィルム状、シート状などの固体として、化粧料として用いられる。配合品としては、水、油剤、界面活性剤、潤滑剤、アルコール類、水溶性高分子剤、ゲル化剤、保湿剤、緩衝剤、防腐剤、抗炎症剤、増粘剤、香料、ビタミン類、他の抗酸化剤などが挙げられるが、これらに限定されない。上記の添加剤は1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0019】
本発明でポインセチア抽出物の使用量は特に限定されないが、目安としては、抗酸化剤に使用した場合、抗酸化剤100質量部に対して10〜100質量部程度である。特に、抗酸化剤100質量部に対して50〜100質量部程度が好ましい。
【0020】
本発明における化粧料組成物とは、必須成分であるポインセチア抽出成物と通常の皮膚外用剤として知られる種々の形態の基剤を配合することにより調製されるものをいい、局所または全身用の皮膚洗浄料または、皮膚用化粧品類、頭皮頭髪用化粧品類、浴用剤、消臭・脱臭・防臭剤、化粧用シート、衛生用品などの化粧用製品と成すことができる。該化粧用製品の形態としては、アンプル、カプセル、粉末、顆粒、固形、溶液、ゲル、分散体、エマルジョン、シート、ミスト剤、スプレー剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
上記化粧用製品には、例えば、乳液、クリーム、化粧水、軟膏、美容液、ジェル、ローション、美容オイル、パック料、ミスト、顔面用化粧シートなどの基礎化粧料、入浴剤、洗浄料、皮膚洗浄料、消臭剤、制汗剤、クレンジング料、日焼け止め料などのボディ化粧品、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラなどのメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、整髪料、パーマ剤、ヘアトニック、染毛料、育毛・養毛料などの頭髪・頭皮化粧料、香水類、オーデコロンなどの芳香用化粧品が挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】
本発明の化粧料組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で通常使用される成分として、水、油剤、油脂類、ロウ類、脂肪酸、鉱物油、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、多価アルコール類、エステル類、水溶性高分子、被膜形成剤、樹脂、ガム類、糖類、包接化合物、ビタミン類、アミノ酸類、pH調節剤、抗菌剤、防腐剤、他の抗酸化剤、血行促進剤、保湿剤、清涼剤、酸化防止剤、香料などを加えることができる。
【0023】
本発明の化粧料組成物に使用されるポインセチア抽出物の使用量は限定されないが、化粧料100質量部に対して、ポインセチア抽出物は乾燥分として0.00001〜20質量部程度で使用され、特に0.0005〜5質量部の範囲の時に好適である。また、抽出液の場合は、この乾燥分換算量で使用される。
【0024】
ポインセチア由来抽出物による抗酸化性の発現は、以下のメカニズムによって行われると考えられる。一般に、抗酸化性とは、電子が奪われる反応に抗する性質と定義されるが、具体的には様々な形で生体にとって不都合状態を惹起させる活性酸素・フリーラジカルによる水素引き抜き反応や該活性酸素・フリーラジカルによって引き起こされるラジカル連鎖反応を停止させる性質である。この場合、活性酸素とは三重項酸素(大気中の酸素分子)がより反応性の高い物質に変化したものの総称を言うが、一般的には、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、過酸化水素の反応性や毒性が特に強い4種を指す。
【0025】
ここで、スーパーオキシドアニオンラジカルとヒドロキシラジカルはフリーラジカルである。フリーラジカルとは1つ以上の不対電子を持つ分子または原子と定義されるが、過酸化水素からも紫外線などによりフリーラジカルであるヒドロキシラジカルが発生する。また、スーパーオキシドアニオンラジカルも過酸化水素とすばやく反応し、ヒドロキシラジカルを発生させる。ヒドロキシラジカルは細胞膜を構成している脂質と比較的容易に反応し、脂質を毒性の高い過酸化脂質に変え、次々に反応を起こさせ、生体成分を傷害する。また、これらの活性酸素・フリーラジカルは、皮膚の真皮中の細胞間マトリックスを変性させ、真皮を構成する線維芽細胞に傷害を与える。
【0026】
細胞間マトリックスはコラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ムコ多糖、プロテオグリカンなどから構成されるが、規則的な繊維構造を持つコラーゲン構造が活性酸素・フリーラジカルにより破壊されると、皮膚の張りがなくなり、しわを形成する一因となる。さらに、皮膚の弾力や伸縮に関係するエラスチンも活性酸素・フリーラジカルにより容易に分解され、その結果、しわ、たるみ、柔軟性低下といった皮膚老化を招来すると考えられる。また、活性酸素・フリーラジカルにより線維芽細胞のDNAが損傷されると、皮膚がんを生ずる原因となる。
【0027】
アントシアニンなどのポインセチア由来抽出中の抗酸化成分は、その構造中のフェノール性水酸基が水素供与性、さらには該水素供与により発生するラジカルによるラジカルカップリング性により上記のヒドロキシラジカルやスーパーオキシドアニオンラジカルなどのフリーラジカルを消去させ、抗酸化性を発揮し、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシドアニオンラジカル、さらには過酸化水素由来の生体成分に対する傷害を防御すると思われる。
【0028】
一方、一重項酸素に対しては、一重項酸素がポインセチア由来アントシアニジンの2位の炭素に結合して、ヒドロペルオキシドを生じ、さらにはB環部分が分離し、安息香酸誘導体を生じさせることにより、その反応性を不活化させ、皮膚におけるSODやカタラーゼなどの酸化防御システムの補完に有効的に機能すると考えられる。また、上記のラジカルのほかに、脂質ペルオキシルラジカル、アルコキシラジカル、ヒドロペルオキシラジカル、一酸化窒素、二酸化窒素などのフリーラジカルの消去にも有効に作用すると思われる。総じて、大部分の活性酸素・フリーラジカルの消去に有効に作用し、老化(しわ、たるみ、柔軟性低下など)や炎症、疾患など該活性酸素・フリーラジカルに起因する様々な症状を緩和できる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1
ポインセチア苞由来抽出物
赤く色づいたポインセチア(ミレニアム)の苞を切り取り、その10グラムをエタノール100ミリリットルに一晩浸漬した。その後、浸漬液を定性濾紙(No.2)で濾過し、抽出液とした。抽出残渣はさらに100ミリリットルのエタノールで同様に抽出及び濾過を繰り返し、200ミリリットルの抽出液を得た。抽出液はロータリーエバポレーターでエタノールを留去し、乾固後、1.0gの赤紫色のポインセチア苞由来抽出物を得た。
【0030】
実施例2
ポインセチア苞由来抽出物のラジカル消去能
DPPH(1,1-diphenyl-2-pycrylhydrazyl)ラジカルに対する消去能を測定し、試料の抗酸化性を分光学的に分析した。
実施例1のポインセチア苞由来抽出物1.0gを水5ミリリットルに溶解し、ポインセチア苞由来抽出物溶液原液とした。96穴マイクロプレートを用い、50%エタノール水溶液で適宜に希釈したポインセチア苞由来抽出物溶液20マイクロリットルに125マイクロリットルの0.2mM DPPH(エタノール溶液)と125マイクロリットルの0.2M MES(2−モルホノリノエタンスルホン酸水溶液 pH6.0)を加え室温におき、20分後に510ナノメートルの吸光度を測定した。コントロールには試料溶液の代わりに50%エタノール水溶液、試料が着色しているためブランクとして試料溶液に50%エタノール水溶液250マイクロリットルを加えたものを用いて同時に測定した。なお、ラジカル消去活性は各吸光度を用いて次式により算出した。
ラジカル消去活性(%)=(1−(試料−ブランク)/コントロール)×100
この結果を表1に示す。この結果よりポインセチア苞由来抽出物はラジカル消去能を有していることが明らかになった。
【0031】

【0032】
実施例3
ポインセチア苞由来抽出物のSOD活性
実施例2のポインセチア苞由来抽出物溶液原液を50%エタノール水溶液にて適宜希釈して調製したポインセチア苞由来抽出物溶液を用い、該ポインセチア苞由来抽出物のSOD活性を測定した。測定には、キサンチン−キサンチンオキシダーゼをスーパーオキシドの発生系とし、発生したスーパーオキシドが水溶性ホルマザンを生成することを検出原理としたSOD活性測定キットSOD Assay Kit(dojindo製)を用いた。なお、コントロールには試料溶液の代わりに純水を用いた。また、試料が着色しているためブランクとしては、キサンチンオキシダーゼの代わりに希釈用緩衝液(キットに付属)を用いて同時に測定した。SOD活性(阻害率)は各吸光度を用いて次式により算出した。
SOD活性(阻害率)(%)=(1−(試料−ブランク)/コントロール)×100
この結果を表2に示す。この結果よりポインセチア苞由来抽出物はSOD活性を有していることが明らかになった。
【0033】

【0034】
実施例4
ポインセチア根由来抽出物
ポインセチア(ミレニアム)の根を切り取り、その10グラムをエタノール200ミリリットルに3日間浸漬した。その後、浸漬液を定性濾紙(No.2)で濾過し、抽出液とした。抽出残渣はさらに200ミリリットルのエタノールで同様に抽出濾過を繰り返し、400ミリリットルの抽出液を得た。抽出液はロータリーエバポレーターでエタノールを留去し、乾固後、53mgの淡黄色のポインセチア根由来抽出物を得た。
【0035】
実施例5
ポインセチア根由来抽出物のラジカル消去能
DPPH(1,1-diphenyl-2-pycrylhydrazyl)ラジカルに対する消去能を測定し、試料の抗酸化性を分光学的に分析した。実施例4のポインセチア根由来抽出物50mgを水10ミリリットルに溶解し、ポインセチア根由来抽出物溶液原液とした。96穴マイクロプレートを用い、50%エタノール水溶液で適宜に希釈したポインセチア根由来抽出物溶液20マイクロリットルに125マイクロリットルの0.2mM DPPH(エタノール溶液)と125マイクロリットルの0.2M MES(2−モルホノリノエタンスルホン酸水溶液 pH6.0)を加え室温におき、20分後に510ナノメートルの吸光度を測定した。コントロールには試料溶液の代わりに50%エタノール水溶液、試料が着色しているためブランクとして試料溶液に50%エタノール水溶液250マイクロリットルを加えたものを用いて同時に測定した。なお、ラジカル消去活性は各吸光度を用いて次式により算出した。
ラジカル消去活性(%)=(1−(試料−ブランク)/コントロール)×100
この結果を表3に示す。この結果よりポインセチア根由来抽出物はラジカル消去能を有していることが明らかになった。
【0036】

【0037】
以下に本発明に関わる化粧料組成物の処方例を示す。
配合例1(化粧水)
・グリセリン 5.0質量部
・プロピレングリコール 4.0質量部
・1%ポインセチア苞由来抽出物(実施例1)
1,3ブチレングリコール溶液 2.0質量部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル
(20E.O.) 1.0質量部
・エタノール 10.0質量部
・酸化防止剤 適量
・防腐剤 適量
・香料 適量
・精製水 残部
合計 100質量部
【0038】
配合例2(クリーム)
・グリセリン 5.0質量部
・流動パラフィン 5.0質量部
・ミリスチン酸イソプロピル 5.0質量部
・1%ポインセチア苞由来抽出物(実施例1)
1,3ブチレングリコール溶液 2.0質量部
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 5.0質量部
・エタノール 5.0質量部
・酸化防止剤 適量
・防腐剤 適量
・香料 適量
・精製水 残部
合計 100質量部
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、ポインセチア抽出物を抗酸化剤として化粧料組成物に用いることにより、有効に抗酸化性、ラジカル消去性や活性酸素消去性が発揮され、高いアンチエージング効果、抗しわ効果、抗たるみ効果などを発現でき、同時にポインセチアの有効利用が促進される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインセチア抽出物を含有することを特徴とするラジカル消去性抗酸化剤。
【請求項2】
ポインセチア抽出物を含有することを特徴とする活性酸素消去性抗酸化剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の抗酸化剤を含有することを特徴とする化粧料組成物。

【公開番号】特開2009−7260(P2009−7260A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168039(P2007−168039)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】