説明

抗高血糖薬および抗脂質代謝異常薬としてのオキシ置換フラボン

本発明は、抗高血糖および抗脂質代謝異常活性を示す、新規な置換フラボン誘導体を提供する。本発明はまた、本発明の化合物およびこれらの誘導体を含む組成物を投与することにより、哺乳類においてII型糖尿病および関連する高脂血症状を制御するための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗脂質代謝異常活性とともに顕著な高抗血糖活性を示す適当に置換されたフラボン誘導体の合成に関係する。さらに詳細には、本発明は、以下の記述において述べられるような、式Iを有する化合物の合成、およびこれらの誘導体を含有する薬剤組成物に関係する。
【背景技術】
【0002】
II型インスリン抵抗性糖尿病は、全ての糖尿病の90〜95%を占める。変化した座りがちのライフスタイルもまた、成人集団にとり、この疾病の苦悩の一因となってきた。この増加しつつある発病率の主な推進力は、糖尿病の発病の唯一最大の重要な原因、肥満の驚異的な増加である。長引く病状は、網膜症および腎症といった慢性的な大血管系の合併症をもたらす。この疾病は、メタボリックシンドロームと総称され、II型糖尿病および密接に関連した臨床像の共通集団を含む。特徴的な因子は、インスリン抵抗性自体、肥満、高血圧、および、脂質代謝異常と低い高密度リポタンパク質コレステロールという共通の形状とを含む。メタボリックシンドロームは、冠動脈、大脳動脈、および末梢動脈の疾患の著しく増加した発生率と関連づけられる[「Executive summary of the third report of the National Cholesterol Program Expert Panel on detection, evaluation and treatment of high blood cholesterol in adults(成人における高コレステロール血症の検出、評価、および治療に関する国立コレステロールプログラム専門小委員会第3報告書の執行概要)、ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(J. Am. Med. Asso.)」2001年、第285巻、p.2486−2496](非特許文献1)。
【0003】
糖尿病の発病における末梢および肝臓のインスリン抵抗性の役割は明白である。インスリン抵抗性は、インスリン受容体−チロシンキナーゼの活性化の障害およびインスリン刺激によるホスファチジルイノシトール−3−ヒドロキシキナーゼの活性化の減少といった、シグナルトランスダクションにおける多様な欠陥に起因し得る。食事誘導性肥満に起因するインスリン抵抗性[エルチェブリー(Elchebly, M.)ら著、「サイエンス(Science)」、1999年、第283巻、p.1544](非特許文献2)は、肥満の臨床的役割を、インスリン抵抗性および他のメタボリックシンドロームの特徴の発生に与えてきた。食欲を減衰させる、および/または、エネルギー消費を増大する好首尾のアプローチは、II型糖尿病の予防および治療において大いなる利益を証明するかもしれない。脂肪酸代謝の異常は、メタボリックシンドロームおよびII型糖尿病の発病の主な構成要素として増々認識されている。高インスリン血症の、肝臓の脂質蓄積に対する促進作用強化における重要な演者は、同化促進転写因子SREBP−1であって、脂肪酸合成酵素の遺伝子のような遺伝子を上方制御する[シモムラ(Shimomura, I.)ら著、「モレキュラー・セル(Mol. Cell)」2000年、第6巻、p.77−86](非特許文献3)。これらの観察結果は、メタボリックシンドロームおよびII型糖尿病が、肝臓および筋肉におけるトリグリセリドおよび長鎖脂肪酸アシル−CoAの蓄積によって引き起され得ると述べている、統一された「脂質毒性」仮説を支持している。メタボリックシンドロームの第3の原因因子は、酸化ストレスである。生体内の過剰の酸素レベルもまた、深刻な健康脅威をもたらし得る;いわゆる酸素毒性は、過酸化水素およびオキシラジカルといった酸素種によってもたらされ、生きた組織を損傷する。活性酸素種は糖尿病と関連づけられ、糖尿病において起こるように種々の組織に対し破壊的である。過酸化と、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、および心筋虚血といった疾病との間の相互関係を、ラジカル酸化の観点から議論している報告が多くなっている。グルコースは、酸化ストレス下に、反応性の高い化学種へと酸化され、それは最終的にタンパク質と反応する。グルコースは、他のアルファヒドロキシアルデヒドと同様に、エノール化することが可能であり、それにより、生理的条件下に分子状酸素を還元し、遷移金属により触媒されて、アルファケトアルデヒドおよび酸化中間体を生じる。これらの二次化合物は単糖類よりもさらに反応性があり、タンパク質と反応して、架橋されたメイラード生成物を形成することが可能である(サイモン(Simon)P.ウォルフ(Wolff)ら著;「フリー・ラジカル・バイオロジー・アンド・メディスン(Free Radical Biology and Medicine)」、1991年、第10巻、p.339−352)(非特許文献4)。
【0004】
酸化ストレスはまた脂質も修飾する。グルコース同様、LDLもまた酸化的修飾を受け、修飾LDL(酸化LDL)を形成する。実際の酸化プロセスは脂質過酸化で始まり、それにフラグメンテーションが続き、短鎖アルデヒドを生じると考えられている。これらのアルデヒドは次に、アポBのリジン残基と反応し、新たなエピトープを作成し、それがマクロファージのスカベンジャー受容体によって認識される。この同じプロセスの間にレシチンは、単球のための選択的走化性因子であるリゾレシチンへ変換される。単球は内皮下層へ侵入してマクロファージへの表現形変化を受け、スカベンジャー受容体を介して酸化LDLを貪欲に取込む。酸化LDLの取込みは、マクロファージがコレステリルエステルで充満されて泡沫細胞に形質転換するまで継続する。これらの泡沫細胞のグループは、アテローム性動脈硬化症の最も初期の特徴、脂肪条痕を構成する。LDLの酸化を阻害することにより、アポBの修飾および走化性リゾレシチンの産生が、またその結果としてアテローム性動脈硬化症が阻害されることが望まれる。
【0005】
現在、II型糖尿病の療法は、主として、高血糖自体を低減することを意図したいくつかのアプローチに依存している:膵臓ベータ細胞からのインスリン分泌を増大するスルホニルウレア;肝臓グルコース産生を低減するべく作用するメトホルミン、インスリン作用を増強するペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−γアンタゴニスト、および腸のグルコース吸収を妨害するα−グルコシダーゼ阻害剤。これらの療法には、制限された効能、制限された耐性、およびメカニズムベースの毒性がある。特別な関心事は、ほとんどの治療法についての、体重増加を増大する傾向である。スルホニルウレアに特有の問題は、最初は反応を示す多くの患者が、時間をかけすぎた治療に対し無反応性となることである。
【0006】
肥満、それに付随するII型糖尿病、および関連する心血管障害の罹病率の増加は、この症状の治療における有効な新規のアプローチを開発するための努力を刺激してきた。ほとんどの治療的アプローチは、エネルギー摂取を低減することにより、代謝エネルギーのバランスを変えることを含むのに対し、肥満の管理のための別のアプローチは、エネルギー消費の速度の増加に影響することである。1984年、以下に示されたような、げっ歯類において熱発生特性を有するフェネタノールアミン類の化合物が初めて開示された。既知のβおよびβアドレナリン受容体リガンドに対するそれらの構造上の類似性にもかかわらず、薬理学的研究はこれらの化合物が、現在はβ−ARとして記述されている第3の、または「異型の」、β−アドレナリン受容体(β−AR)を刺激したことを示した。βアゴニストはまた、インスリン感受性およびグルコース利用を増大する。後の研究は、ヒト集団におけるβ−ARのTyr64Arg突然変異が、この遺伝的変異型を有する何人かの個体において、糖尿病および/または肥満の発生に役割を果たしていることを示唆した[ターナー(Turner, N. C.)著;「DDT」、1996年、第1巻、p.109−116](非特許文献5)。
【0007】
【化17】

【0008】
PPAR−γとして知られる転写因子のファミリーは、食事エネルギー産生物質の貯蔵および異化の調整において極めて重要な役割を果たす。別個の遺伝子の産物であり、一般にPPARα、γ、およびδと呼ばれる3つのPPARサブタイプがある。PPAR−γは、脂肪酸異化またはエネルギー消費の調節によって体重に影響を及ぼす。主として脂肪組織において発現されたPPAR−γは、グルコースおよび脂質ホメオスタシスの調節において中心的な役割を演ずる[ウィルソン(Willson, T. M.)ら著、「ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー(J. Med. Chem.)」、2000年、第43巻、p.527−550](非特許文献6)。
【0009】
トログリタゾンは、II型糖尿病の患者において、高血糖症、高インスリン血症、および高トリグリセリド血症を効果的に低減させる。薬理学的効果のメカニズムは、PPAR−γの活性化を介する、骨格筋、肝臓、および脂肪組織における増大されたインスリン感受性効果を含むことが示されている。ビタミンEアナログ、トログリタゾンは、有効な抗酸化剤であることが証明されている;酸化的開環およびそれに続くキノン代謝物形成は、該薬剤の肝毒性および禁断症状の原因であると信じられている[カン・ヘ(Kan He)ら著、「バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochemical Pharmacology)」、2001年、第62巻、p.191−198](非特許文献7)。このことは修飾をもたらし、いくつかの新規な分子を生じる結果となった。
【0010】
【化18】

【0011】
自身のシステムか、または非常に類似した代謝産物に対するファーマコフォアの移植は、時には好ましくない効果を示すことがある。たとえば、第1世代のスタチンは真菌代謝産物由来ではあるが、非常に類似したメバロン酸アナログであり、それゆえHMG−CoA還元酵素阻害剤として機能し、コレステロール生合成に関与するメバロン酸塩産生を阻止し、したがって細胞においてコレステロール合成が阻害される。メバロン酸はユビキノン(コエンザイムQ10)、ドリコール、およびイソペンテニルtRNAなどといった全てのイソプレノドのための共通の前駆物質である。それゆえ、非ステロール成分の合成に減少があり、そのことが、HMG−CoA還元酵素阻害剤について観察された副作用に、著しく貢献しているのかもしれない。同様に、トログリタゾンのデザインにおいてはビタミンE成分が使用されたが、それは1電子酸化の後にキノノイド中間体へ代謝される。この中間体が、トログリタゾンの毒性の原因であると推測されている。
【0012】
フラボノイドは、植物起源の食物中に最も遍在するポリフェノール化合物群の一つである。食物の不可欠な成分として、それらはヒトの健康に対し広範囲の薬効を及ぼすことができるかもしれない。フラボノイドは、それらのフリーラジカルスカベンジング抗酸化活性と、金属イオンキレート活性とにより、かかる生物学的作用を引き起す(コテル(Cotelle, N.)ら著、「フリー・ラジカル・バイオロジー・アンド・メディスン(Free Rad. Biol. Med.)」、1992年、第13巻、p.211)(非特許文献8)。これらの特性から、本発明者らは、熱発生ならびにインスリン感受性化ファーマコフォアを用いた置換による、抗糖尿病および抗脂質代謝異常薬としてのハイブリッド分子の合成のために、フラボンを利用した。
【非特許文献1】成人における高コレステロール血症の検出、評価、および治療に関する国立コレステロールプログラム専門小委員会第3報告書の執行概要)、ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(J. Am. Med. Asso.)」2001年、第285巻、p.2486−2496
【非特許文献2】エルチェブリー(Elchebly, M.)ら著、「サイエンス(Science)」、1999年、第283巻、p.1544
【非特許文献3】シモムラ(Shimomura, I.)ら著、「モレキュラー・セル(Mol. Cell)」2000年、第6巻、p.77−86
【非特許文献4】サイモン(Simon)P.ウォルフ(Wolff)ら著;「フリー・ラジカル・バイオロジー・アンド・メディスン(Free Radical Biology and Medicine)」、1991年、第10巻、p.339−352
【非特許文献5】ターナー(Turner, N. C.)著;「DDT」、1996年、第1巻、p.109−116
【非特許文献6】ウィルソン(Willson, T. M.)ら著、「ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー(J. Med. Chem.)」、2000年、第43巻、p.527−550
【非特許文献7】バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochemical Pharmacology)」、2001年、第62巻、p.191−198
【非特許文献8】コテル(Cotelle, N.)ら著、「フリー・ラジカル・バイオロジー・アンド・メディスン(Free Rad. Biol. Med.)」、1992年、第13巻、p.211
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の主な目的は、式Iの置換フラボン誘導体か、または製薬上許容されるその塩を提供することである。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、これらのフラボン誘導体と、その製薬上許容される担体または希釈剤とを含有する薬剤組成物を提供することである。
【0015】
本発明のさらにもう一つの目的は、本発明のフラボン誘導体を脂質低下剤および/または糖低下剤とともに含有する薬剤組成物を提供することである。
【0016】
本発明のなおもう一つの目的は、式Iの化合物の調製のためのプロセスを提供することである。
【0017】
本発明のさらにもう一つの目的は、製薬上許容される量の化合物Iを、任意に他の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類においてII型糖尿病および関連する高脂血症状を治療するための方法を提供することである。
【0018】
本発明のなおもう一つの目的は、製薬上許容される量の化合物Iを、任意に他の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類において網膜症および腎症といった大血管系の症状を治療する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって本発明は、高血糖薬活性および抗脂質代謝異常薬活性を示す、式Iの新規なフラボン誘導体を提供することである。本発明はまた、これらの化合物およびこれらの誘導体を含有する組成物を投与することにより、哺乳類において「II型」糖尿病および関連する高脂血症状を制御するための方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、異なるモデル系において抗糖尿病および抗脂質代謝異常活性を示す、新規なフラボン誘導体を提供する。さらに詳細には、本発明は、式(I)を有する化合物およびそれらの製薬上許容される塩に関係する。これにおいて、基R、R、R、R、R、およびRは、下文に定義された通りである。
【0021】
【化19】

【0022】
式中、
、R、およびRは、水素、メチル、またはイソペンテニルから選ばれ;
、R、およびRは、H、OH、O−アルキル、O−フェニル、O−置換フェニル、またはそれらの組合せから選ばれ;
Rはプロパノールアミンであって、アミノ基はt−ブチルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、i−プロピルアミン、4−フェニルピペラジン−1−イルアミン、4−(2−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イルアミン、および3,4−ジメトキシフェネチルアミンから選ばれ;
Zは1〜3個の炭素原子を有するアルカン鎖であり;
Arはチアゾリジンジオンメチレンフェノールである。
【0023】
本発明のもう一つの態様は、式Iの化合物と、製薬上許容される量の、通常の製薬上許容されるその担体または希釈剤とを含む薬剤組成物を提供する。
【0024】
本発明のさらにもう一つの態様は、式Iの化合物を、製薬上許容される量の、通常の脂質低下剤および/または通常の糖低下剤とともに含む薬剤組成物を提供する。
【0025】
本発明のさらにもう一つの態様は、製薬上有効な量の式Iの化合物を、任意に他の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類においてII型糖尿病および関連する高脂血症状を治療するための方法を提供する。
【0026】
本発明のさらにもう一つの態様は、製薬上有効な量の式(34)の化合物を、任意に他の通常の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類においてII型糖尿病および関連する高脂血症状を治療するための方法を提供する。
【0027】
本発明のさらにもう一つの態様は、製薬上有効な量の式(49)の化合物を、任意に他の通常の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類においてII型糖尿病および関連する高脂血症状を治療するための方法を提供する。
【0028】
本発明のさらにもう一つの態様は、製薬上有効な量の式(65)の化合物を、任意に他の通常の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類においてII型糖尿病および関連する高脂血症状を治療するための方法を提供する。
【0029】
本発明のさらにもう一つの態様は、製薬上有効な量の式Iの化合物を、任意に他の通常の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類において網膜症および腎症といった大血管系の症状を治療する方法を提供する。
【0030】
本発明のさらにもう一つの態様は、製薬上有効な量の式(34)の化合物を、任意に他の通常の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類において網膜症および腎症といった大血管系の症状を治療する方法を提供する。
【0031】
本発明のさらにもう一つの態様は、製薬上有効な量の式(49)の化合物を、任意に他の通常の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類において網膜症および腎症といった大血管系の症状を治療する方法を提供する。
【0032】
本発明のさらにもう一つの態様は、製薬上有効な量の式(65)の化合物を、任意に他の通常の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与することにより、哺乳類において網膜症および腎症といった大血管系の症状を治療する方法を提供する。
【0033】
本発明のさらにもう一つの態様は、哺乳類において任意に他の糖尿病薬および脂質低下剤とともに投与されるべき化合物の、50〜250mg/Kg体重の、製薬上有効な用量の範囲を提供する。
【0034】
本発明のなおもう一つの態様は、式(34)の化合物を提供する。
【0035】
【化20】

【0036】
本発明のさらにもう一つの態様は、式(49)の化合物を提供する。
【0037】
【化21】

【0038】
本発明のさらにもう一つの態様は、式(65)の化合物を提供する。
【0039】
【化22】

【0040】
本発明のなおもう一つの態様は、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって:
(i)無水テトラヒドロフラン中でリチウムヘキサメチルジシラザンの存在下に、ジヒドロキシアセトフェノンを置換安息香酸エチルと反応させて、1,3−ジベンゾイルメタンを得ること;
(ii)ステップ(i)で得られた1,3−ジベンゾイルメタンを、還流下、2−プロパノールの存在下にダウエックス(Dowex)−Hと反応させ、各々のフラボンを生じること;
(iii)ステップ(ii)で得られた置換ヒドロキシフラボンを、無水ジメチルホルムアミド中で水素化ナトリウムの存在下にエピクロロヒドリンと反応させること;
(iv)ステップ(iii)で得られたような2,3−エポキシ−プロポキシ−フラボンを、還流下に、メタノール中でアミンとともに加熱して、プロパノールアミンを生じること;および
(v)ステップ(iv)で得られたようなジベンジル化フラボン由来のプロパノールアミンの脱ベンジル化を、接触水素化プロセスを用いて行ない、対応するジヒドロキシフラボン由来のプロパノールアミンを生じること、
のステップを含むプロセスを提供する。
【0041】
本発明のさらにもう一つの態様は、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって:
(i)置換ヒドロキシフラボンを、室温において、KCOおよび無ジメチルホルムアミドの存在下に、ジブロモアルカンと反応させて、ブロモアルコキシフラボンを得ること;
(ii)ステップ(i)で得られたブロモアルコキシフラボンを、室温において、無水ジメチルホルムアミドの存在下に、4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノールと反応させ、対応するフラボンを生じること、
のステップを含むプロセスを提供する。
【0042】
本発明のなおもう一つの態様は、式Iを有する化合物か、または製薬上許容されるその塩であり、その代表的な化合物は:
a)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,5′−ジベンジルオキシ−フラボン(34);
b)3′,5′−ジベンジルオキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(35);
c)3′,5′−ジベンジルオキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フラボン(36);
d)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン(37);
e)3′,4′−ジベンジルオキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(38);
f)6−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン(39);
g)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(40);
h)7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(41);
i)7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(42);
j)7−[3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−3′,5′−ジメトキシ−フラボン(43);
k)3′,5′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ]−フラボン(44);
l)3′,5′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フラボン(45);
m)3′,4′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ]−フラボン(46);
n)3′,4′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フラボン(47);
o)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,5′−ジヒドロキシ−フラボン(48);
p)3′,5′−ジヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(49);
q)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジヒドロキシ−フラボン(50);
r)3′,4′−ジヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(51);
s)6−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジヒドロキシ−フラボン(52)、
である。
【0043】
本発明のさらにもう一つの態様は、式Iを有する化合物か、または製薬上許容されるその塩を提供しており、その代表的な化合物は:
a)3′,5′−ジベンジルオキシ−7−{2−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−エトキシ}−フラボン(62);
b)3′,4′−ジベンジルオキシ−7−{2−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−エトキシ}−フラボン(63);
c)7−{2−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−エトキシ}−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(64);
d)7−{3−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−プロポキシ}−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(65);
e)3′,5′−ジメトキシ−7−{3−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−プロポキシ}−フラボン(66);
f)3′,4′−ジメトキシ−7−{3−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−プロポキシ}−フラボン(67)、
である。
【0044】
置換安息香酸エチルの合成
フラボンの合成に必要な置換安息香酸エチルは全て、フォーゲル(Vogel)の実用有機化学のテキストブック(ファーニッシュ(Furnish, B. S.);ハンナフォード(Hannaford, A. J.);スミス(Smith, P. W. G.);タッチェル(Tatchell, A. R.)により改訂された、フォーゲル(Vogel, A. I)著.;「テキストブック・オブ・プラクティカル・オーガニック・ケミストリー(Text Book of Practical Organic chemistry)」第5版、p.1077[エステル化]、1139[ベンジル化]))に記述されたような、標準的な手法を用いて調製した。適当に置換された安息香酸(1−2,10−12)のエステル化は、無水エタノール中で触媒量の濃硫酸とともに還流することにより行った。ジヒドロキシ安息香酸エチル(3−4)は、室温においてアセトン中、炭酸カリウムの存在下に、ベンジルブロミドによりベンジル化した(スキーム1および2)。メチル化と、それに続く3,4−ジメトキシ安息香酸(13)のエステル化は、エタノール中、ジメチル硫酸塩および水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。エステル化されていない3,4−ジメトキシ安息香酸(10)は、上述のようにさらに7までエステル化した(スキーム3)。
【0045】
【化23】

【0046】
試薬および条件:(i)エタノール、HSO、還流 (ii)ベンジルブロミド、KCO、アセトン、室温(RT)。
【0047】
【化24】

【0048】
試薬および条件:(i)エタノール、HSO、還流。
【0049】
【化25】

【0050】
試薬および条件:(i)DMS、NaOH水溶液、エタノール、還流 (ii)エタノール、HSO、還流。
【0051】
フラボン由来のプロパノールアミンの合成
フラボン由来のプロパノールアミンは、スキーム4に示したように合成し、表1に呈示す。まずフラボンは、報告された手法をわずかに修正して使用して合成した(クシュマン(Cushman, M.);ナガラスナム(Nagarathnam, D.)著、「テトラヘドロン・レターズ(Tet. Lett.)」、1990年、第31巻、p.6497)。本発明者らは、ベンゾイルクロライドおよび酢酸−硫酸の代わりに、安息香酸エチルおよび2−プロパノール中のダウエックス−Hを各々使用した。ジヒドロキシアセトフェノン(14−15)の、無水テトラヒドロフラン中、リチウムヘキサメチルジシラザン(LIHMDS)の存在下での、置換安息香酸エチル(5−9)との反応により、対応する置換1,3−ジベンゾイルメタン(16−21)を得た。還流下、2−プロパノール中の、ダウエックス−Hを用いた16−21の環化により、各々のフラボン(22−27)を得た。置換ヒドロキシフラボン(22−27)を、次に、無水ジメチルホルムアミド中、水素化ナトリウムの存在下に、エピクロロヒドリンと反応させ、2,3−エポキシ−プロポキシ−フラボン(28−33)を得た。精製したエポキシド(28−33)を、メタノール中のアミンでとともに還流下に加熱し、プロパノールアミン(34−47)を得た。ジベンジル化フラボン由来のプロパノールアミン(34−39)をさらに、接触水素化プロセス下に脱ベンジル化し、対応するジヒドロキシフラボン由来のプロパノールアミン(48−52)を得た。
【0052】
【化26】

【0053】
試薬および条件:(i)LIHMDS、THF、−70℃ (ii)ダウエックス−H、2−プロパノール、還流 (iii)エピクロロヒドリン、NaH、DMF、室温 (vi)アミン、メタノール、還流 (v)H−Pd/C、メタノール。
【0054】
4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノールの合成
4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノール(55)は、既知の方法(モモセ(Momose, Y.);メグロ(Meguro, K.);イケダ(Ikeda, H.);ハタナカ(Hatanaka, C.);オオイ(Oi, S.);ソフダ(Sohda, T.)著、「ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレチン(Chem. Pharm. Bull.)」、1991年、第39巻、p.1440)に従い、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(53)の、エタノール還流中、塩基としてピペラジンを用い、2,4−チアゾリジンジオン(54)との縮合により合成した。(スキーム5)。
【0055】
【化27】

【0056】
試薬および条件:(i)エタノール、ピペリジン、還流。
【0057】
フラボン由来のチアゾリジンジオンの合成
ブロモアルコキシフラボン(56−61)は、フラボン(22−27)の、ジブロモアルカンとの反応により調製した。55の、無水ジメチルホルムアミド中のジブロモアルコキシフラボンとの反応は、ターゲット化合物(62−67)を得た(スキーム6および表2)。
【0058】
【化28】

【0059】
試薬および条件:(i)ジブロモアルカン、KCO、DMF、室温 (ii)55、KCO、DMF、室温。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
本発明は、以下の実施例の助けによりさらに詳細に述べられる。しかしながらこれらの実施例は、本発明の範囲を制限するために作成されるべきではない。
【0063】
(実施例)
3,5−ジヒドロキシ−安息香酸エチル(3)
無水エタノール(250mL)中の3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1(19g、123mmol)の溶液に対し、2〜3mLの濃硫酸を滴下添加し、8時間還流した。エタノールをロータベイパ-(rotavapor)で蒸発させ、水で希釈し、エーテルで抽出した。合わせたエーテル性の層を、再度、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、乾燥まで蒸発し、3を得た。収率 16.8g(75%);mp 128〜130℃;MS(FAB)183(M+1);IR(KBr)3496,1819,1687;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ9.89(s,2H),7.06(d,J=2.2Hz,2H),6.69(t,J=2.2Hz,1H),4.48(q,J=7.1Hz,2H),1.52(t,J=7.1Hz,3H)。
【0064】
3,4−ジヒドロキシ−安息香酸エチル(4)
3と同じ方法を用いて3,4−ジヒドロキシ安息香酸、2(30.8g、200mmol)をエステル化し、4を得た。収率 29.7g(82%);mp 133〜134℃;MS(FAB)183(M+1);IR(KBr)3498,3471,1819,1685;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.20(d,J=1.9Hz,1H),7.15(dd,J=8.2Hz,2.0Hz,1H),6.65(d,J=8.2Hz,1H),4.04(q,J=7.1Hz,2H),1.09(t,J=7.1Hz,3H)。
【0065】
3,4,5−トリメトキシ−安息香酸エチル(5)
3と同じ方法を用いて、3,4,5−トリメトキシ−安息香酸、11(21.2g、100mmol)をエステル化し、5を得た。収率17.9g(75%);mp 56〜57℃;MS(FAB)241(M+1);IR(KBr)1967,1708;H NMR(200MHz,CDCl)δ7.30(s,2H),4.38(q,J=7.1Hz,2H),3.91(s,9H),1.40(t,J=7.1Hz,3H)。
【0066】
3,5−ジメトキシ−安息香酸エチル(6)
3と同じ方法を用いて、3,5−ジメトキシ安息香酸、12(8.8g、48mmol)をエステル化し、6を得た。収率 9.5g(94%);mp 室温で液体;MS(FAB)211(M+1);IR(KBr)1970,1716;H NMR(200MHz,CDCl)δ7.18(d,J=2.3Hz,2H),6.64(d,J=2.3Hz,1H),4.36(q,J=7.1Hz,2H),3.82(s,6H),1.39(t,J=7.1Hz,3H)。
【0067】
3,4−ジメトキシ−安息香酸エチル(7)/安息香酸(10):
硫酸ジメチル(16.4mL、130mmol)および20%水酸化ナトリウム水溶液(過剰)を、エタノール(250mL)中、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、13(20.g、130mmol)の溶液へ3時間にわたって滴下添加し、室温でさらに3時間撹拌した。このプロセスの間にも、硫酸ジメチルからインサイチューで発生される酸のため、エステル化が起こった。エタノールはロータベイパ-で蒸発させ、水で希釈させ、エーテルで抽出した。合わせたエーテル性の層を、再度、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、必要する化合物、3,4−ジメトキシ−安息香酸エチル(7)を得た。3,4−ジメトキシ安息香酸(10)を、希塩酸を用いて酸性化することにより水性層から遊離させ、3と同様の方法でさらに7までエステル化した。
【0068】
3,4−ジメトキシ−安息香酸エチル(7)。収率 24.5g(90%);mp 室温で液体;MS(FAB)211(M+1);IR(KBr)1974,1712;H NMR(200MHz,CDCl)δ7.68(d,J=8.4Hz,1H),7.55(s,1H),6.88(d,J=8.4Hz,1H),4.36(q,J=7.1Hz,2H),3.93(s,3H),3.89(s,3H),1.39(t,J=7.1Hz,3H)。
【0069】
3,4−ジメトキシ−安息香酸(10)。収率 2g(8%);mp 179〜181℃;MS(FAB)183(M+1);IR(KBr)2939,2836,1867,1678;H NMR(200MHz,CDCl)δ7.79(dd,J=8.4Hz,1.9Hz,1H),7.60(d,J=1.8Hz,1H),6.93(d,J=8.5Hz,1H),3.96(s,6H)
【0070】
3,5−ジベンジルオキシ−安息香酸エチル(8)
アセトン(350mL)中の3,5−ジヒドロキシ−安息香酸エチル、3(16.8g、92mmol)の溶液に対し、炭酸カリウム(27.6g、200mmol)およびベンジルブロミド(23.8mL、200mmol)を添加し、室温で9時間撹拌した。反応混合物を濾過し、ロータベイパーで濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して8を得た。収率 24.7g(74%);mp 63〜65℃;MS(FAB)363(M+1);IR(KBr)1824,1708;H NMR(200MHz,CDCl)δ7.34−7.35(m,10H),7.30(d,J=2.3Hz,2H),6.79(t,J=2.2Hz,1H),5.07(s,4H),4.36(q,J=7.1Hz,2H),1.38(t,J=7.1Hz,3H)。
【0071】
3,4−ジベンジルオキシ−安息香酸エチル(9)
8と同様の方法で、アセトン(350mL)中の3,4−ジヒドロキシ−安息香酸エチル、4(27.3g、150mmol)、ベンジルブロミド(40.4mL、340mmol)、および炭酸カリウム(41.1g、300mmol)を反応させ、9を得た。収率 41.4g(76%);mp 68〜69℃;MS(FAB)363(M+1);IR(KBr)1889,1707;H NMR(200MHz,CDCl)δ7.65(s,1H),7.63(dd,J=8.7Hz,1.7Hz,1H),7.48−7.25(m,10H),6.91(d,J=8.3Hz,1H),5.19(s,2H),5.18(s,2H),4.31(q,J=7.1Hz,2H),1.35(t,J=7.1Hz,3H)。
【0072】
3′,5′−ジベンジルオキシ−7−ヒドロキシ−フラボン(22)
窒素雰囲気下、−78℃において、テトラヒドロフラン(217.5mL、260mmol)中の20%リチウムヘキサメチルジシラザン溶液を、テトラヒドロフラン(150mL)中で充分に撹拌された2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、14(9.88g、65mmol)へ、30分間にわたり添加した。反応混合物は−78℃で1時間、および−30℃で2時間撹拌した。再度、−78℃まで冷却し、テトラヒドロフラン(100mL)中の3,5−ジベンジルオキシ−安息香酸エチル、8(23.5g、65mmol)の溶液を、30分間にわたり添加した。その後室温でさらに一晩撹拌し、塩酸を含有する氷水中へ流し込んだ。クロロホルムで抽出し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、ロータベイパーで蒸発させ、1−(3,5−ビス−ベンジルオキシ−フェニル)−3−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1,3−ジオン(16)を得た。残渣、16(37.8g)は、2−プロパノール(300mL)中でダウエックス−H(8g)とともに3〜4時間還流した。2−プロパノールはロータベイパーで蒸発させ、残渣は熱ジメチルホルムアミド中に懸濁し、濾過した。濾液は減圧下で濃縮し、生成物は冷メタノール(3200mL)で洗浄して22を得た。収率 23.8g(81%);mp 248〜249℃;MS(FAB)451(M+1);IR(KBr)3452,1620;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.84(d,J=8.7Hz,1H),7.52−7.28(m,10H),7.23(d,J=1.9Hz,2H),6.98(d,J=2.0Hz,1H),6.89(s,1H),6.89(dd,J=8.6Hz,2.1Hz,1H),6.82(s,1H),5.14(s,4H)。
【0073】
3′,4′−ジベンジルオキシ−7−ヒドロキシ−フラボン(23)
テトラヒドロフラン(200.8mL、240mmol)中の20%リチウムヘキサメチルジシラザンと、テトラヒドロフラン(150mL)中の2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、14(9.12g、60mmol)、およびテトラヒドロフラン(100mL)中の3,4−ジベンジルオキシ安息香酸エチル、9(21.7g、60mmol)の溶液を反応させ、17、1−(3,4−ビス−ベンジルオキシ−フェニル)−3−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1,3−ジオン(55g)を得て、次いで、22と同様の方法で、2−プロパノール(400mL)中、ダウエックス−H(12g)を用いて環化して23を得た(フレデリック(Frederique, A. A. A.);ハーゲマン(Hageman, J. A.);ギド(Guido, R. M. M. H.);ヴァン・デル・ヴィジュ(Van Der Vijgh, W. J. F.);バスト(Bast, A.);メンゲ(Menge, W. M. P. B.)著、「ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー(J. Med. Chem.)」、2000年、第43巻、p.3752)。収率 24g(89%);mp 245〜247℃(lit.244〜245℃);MS(FAB)451(M+1);IR(KBr)3426,1607;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ10.79(s,1H),7.86(d,J=8.6Hz,1H),7.68(s,1H),7.60(d,J=8.8Hz,1H),7.51−7.30(m,10H),7.18(d,J=8.5Hz,1H),6.98(s,1H),6.91(d,J=8.8Hz,1H),6.83(s,1H),5.26(s,2H),5.21(s,2H)。
【0074】
3′,4′−ジベンジルオキシ−6−ヒドロキシ−フラボン(24)
テトラヒドロフラン(200.8mL、240mmol)中の20%リチウムヘキサメチルジシラザンと、テトラヒドロフラン(150mL)中の2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、15(9.12g、60mmol)、およびテトラヒドロフラン(100mL)中の3,4−ジベンジルオキシ安息香酸エチル、9(21.7g、60mmol)の溶液を反応させ、18、1−(3,4−ビス−ベンジルオキシ−フェニル)−3−(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1,3−ジオン(41g)を得て、次いで、22と同様の方法で、2−プロパノール(300mL)中、ダウエックス−H(12g)を用いて環化して24を得た。収率 12g(44%);mp 196〜197℃;MS(FAB)451(M+1);IR(KBr)3419,1621;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ10.08(s,1H),7.75(s,1H),7.69(d,J=8.7Hz,1H),7.63(s,1H),7.55−7.22(m,13H),6.94(s,1H),5.30(s,2H),5.27(s,2H)。
【0075】
7−ヒドロキシ−3′,4′,5′−トリメトキシフラボン(25)
テトラヒドロフラン(335mL、400mmol)中の20%リチウムヘキサメチルジシラザンと、テトラヒドロフラン(150mL)中の2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、14(15.2g、100mmol)、およびテトラヒドロフラン(100mL)中の3,4,5−トリメトキシ安息香酸エチル、5(24g、100mmol)の溶液を反応させ、19、1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−3−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1,3−ジオン(37g)を得て、次いで、22と同様の方法で、2−プロパノール(500mL)中、ダウエックス−H(14g)を用いて環化して25を得た(ゲイドウ(Gaydou, E. M.);ビアンキ(Bianchi, J. P.)著、「ブレタン・ド・ラ・ソシエテ・シミ・ド・フランス(Bull. Soc. Chim. Fr.)」、1978年、第II巻、p.43)。収率 27g(82%);mp 284〜286℃(lit.279〜280℃);MS(FAB)329(M+1);IR(KBr)3408,1630;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.86(d,J=8.7Hz,1H),7.29(s,2H),7.03(d,J=1.8Hz,1H),6.96(s,1H),6.92(d,J=8.9Hz,1H),3.89(s,6H),3.79(s,3H)。
【0076】
3′,5′−ジメトキシ−7−ヒドロキシ−フラボン(26)
テトラヒドロフラン(144mL、172mmol)中の20%リチウムヘキサメチルジシラザンと、テトラヒドロフラン(150mL)中の2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、14(6.5g、43mmol)、およびテトラヒドロフラン(100mL)中の3,5−ジベンジルオキシ安息香酸エチル、6(9g、43mmol)の溶液を反応させ、20、1−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−3−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1,3−ジオン(15g)を得て、次いで、22と同様の方法で、2−プロパノール(200mL)中、ダウエックス−H(5g)を用いて環化して26を得た。収率 7.6g(59%);mp 267〜268℃;MS(FAB)299(M+1);IR(KBr)3405,1602;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ10.82(s,1H),7.89(d,J=8.7Hz,1H),7.17(d,J=2.0Hz,2H),7.03(d,J=1.9Hz,1H),6.95(s,1H),6.94(dd,J=7.2Hz,2.0Hz,1H),6.71(s,1H),3.85(s,6H)。
【0077】
3′,4′−ジメトキシ−7−ヒドロキシ−フラボン(27)
テトラヒドロフラン(335mL、400mmol)中の20%リチウムヘキサメチルジシラザン、テトラヒドロフラン(150mL)中の2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、14(15.2g、100mmol)、およびテトラヒドロフラン(100mL)中の3,4−ジメトキシ安息香酸エチル、7(21g、100mmol)の溶液を反応させ、21、1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1,3−ジオン(37g)を得て、次いで、22と同様の方法で、2−プロパノール(250mL)中、ダウエックス−H(15g)を用いて環化し、27を得た。収率 15.4g(52%);mp 263〜265℃;MS(FAB)299(M+1);IR(KBr)3452,1625;H NMR(200MHz,CDCl+DMSO−d)δ9.83(s,1H),7.32(d,J=8.5Hz,1H),6.97(dd,J=8.5Hz,1.7Hz,1H),6.83(d,J=1.7Hz,1H),6.43(d,J=8.5Hz,1H),6.34(s,1H),6.30(dd,J=9.7Hz,2.0Hz,1H),6.08(s,1H),3.35(s,3H),3.32(s,3H)。
【0078】
3′,5′−ジベンジルオキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン(28)
無水ジメチルホルムアミド(200mL)中の3′,5′−ジベンジルオキシ−7−ヒドロキシ−フラボン、22(8g、17.8mmol)の充分に撹拌された溶液に対し、50%水素化ナトリウム(3g、125mmol)を0〜5℃において添加し、30分後、過剰のエピクロロヒドリン(8.3mL、107mmol)を添加し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、水で希釈し、クロロホルムで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で脱水し、濾過し、乾燥まで蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、28を得た。収率 7.1g(79%);mp172〜173℃;MS(FAB)507(M+1);IR(KBr)1640;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.13(d,J=8.7Hz,1H),7.47−7.34(m,10H),7.11(d,J=2.2Hz,2H),7.00(dd,J=10.9Hz,2.1Hz,1H),6.97(d,J=1.9Hz,1H),6.77(d,J=2.0Hz,1H),6.69(s,3H),5.10(s,4H),4.38(dd,J=11.1Hz,2.8Hz,1H),4.04(dd,J=11.1Hz,5.8Hz,1H),3.41−3.40(m,1H),2.95(t,J=4.5Hz,4.5Hz,1H),2.80(dd,J=4.8Hz,2.6Hz,1H);13C NMR δ177.9,163.8,162.9,160.7,158.1,136.7,133.9,129.1,128.6,127.9,127.5,118.2,115.1,108.1,106.0,105.4,101.7,70.8,69.7,50.2,44.9。
【0079】
3′,4′−ジベンジルオキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン(29)
28と同じ方法で、無水ジメチルホルムアミド(160mL)中で、3′,4′,−ジベンジルオキシ−7−ヒドロキシ−フラボン、23(10g、22.2mmol)、50%水素化ナトリウム(3g、125mmol)、およびエピクロロヒドリン(6.9mL、88mmol)を反応させて、29を得た。収率 9.7g(86%);mp168〜170℃;MS(FAB)507(M+1);IR(KBr)1639;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.12(d,J=8.7Hz,1H),7.50−7.32(m,12H),7.04−6.93(m,3H),6.61(s,1H),5.24(s,4H),4.38(dd,J=11.1Hz,2.9Hz,1H),4.05(dd,J=11.1Hz,5.8Hz,1H),3.42−3.40(m,1H),2.96(t,J=4.5Hz,4.5Hz,1H),2.80(dd,J=4.8Hz,2.6Hz,1H)。
【0080】
3′,4′−ジベンジルオキシ−6−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン(30)
28と同じ方法で、3′,4′−ジベンジルオキシ−6−ヒドロキシ−フラボン、24(4.5g、10mmol)、50%水素化ナトリウム(1.4g、60mmol)、およびエピクロロヒドリン(4.7mL、60mmol)を無水ジメチルホルムアミド(120mL)中で反応させて、、30を得た。収率 4.2g(81%);mp147〜149℃;MS(FAB)507(M+1);IR(KBr)1610;H NMR(200MHz,CDCl)δ7.57−7.29(m,15H),7.02(d,J=8.6Hz,1H),6.66(s,1H),5.25(s,4H),4.39(dd,J=11.0Hz,2.6Hz,1H),3.98(dd,J=11.0Hz,6.0Hz,1H),3.40−3.39(m,1H),2.93(t,J=4.5Hz,4.5Hz,1H),2.78(dd,J=4.8Hz,2.6Hz,1H)。
【0081】
7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(31)
28と同じ方法で、3′,4′,5′−トリメトキシ−7−ヒドロキシ−フラボン、25(8.2g、25mol)、50%水素化ナトリウム(3g、125mmol)、およびエピクロロヒドリン(7.8mL、100mmol)を、無水ジメチルホルムアミド(145mL)中で反応させて31を得た。収率 8g(83%);mp187〜188℃;MS(FAB)385(M+1);IR(KBr)1651;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.14(d,J=9.3Hz,1H),7.10(s,2H),7.02(d,J=7.6Hz,1H),7.00(s,1H),6.70(s,1H),4.39(dd,J=11.0Hz,2.8Hz,1H),3.98(dd,J=11.0Hz,5.7Hz,1H),3.43−3.39(m,1H),3.96(s,6H),3.93(s,3H),2.97(t,J=4.5Hz,4.2Hz,1H),2.82(dd,J=4.7Hz,2.2Hz,1H)。
【0082】
3′,5′−ジメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン(32)
28と同じ方法で、3′,5′,−ジメトキシ−7−ヒドロキシ−フラボン、26(2g、6.7mol)、50%水素化ナトリウム(0.96g、40mmol)、およびエピクロロヒドリン(1.6mL、20mmol)を、無水ジメチルホルムアミド(90mL)中で反応させて32を得た。収率 1.7g(72%);mp181〜182℃;MS(FAB)355(M+1);IR(KBr)1630;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.14(dd,J=8.3Hz,0.77Hz,1H),7.04−6.99(m,4H),6.73(s,1H),6.61(ddのt,J=2.2Hz,2.2Hz,2.2Hz,1H),4.39(dd,J=11.1Hz,2.9Hz,1H),4.06(dd,J=11.1Hz,5.8Hz,1H),3.87(s,6H),3.44−3.39(m,1H),2.96(t,J=4.5Hz,4.5Hz,1H),2.80(dd,J=4.8Hz,2.6Hz,1H)。
【0083】
3′,4′−ジメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン(33)
28と同じ方法で、3′,4′,−ジメトキシ−7−ヒドロキシ−フラボン、27(6g、20mol)、50%水素化ナトリウム(2.4g、100mmol)、およびエピクロロヒドリン(3.9mL、50mmol)を、無水ジメチルホルムアミド(200mL)中で反応させて33を得た。収率 5.3g(74%);mp148〜149℃;MS(FAB)355(M+1);IR(KBr)1632;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.13(d,J=9.5Hz,1H),7.73(dd,J=8.5Hz,2.0Hz,1H),7.35(d,J=1.9Hz,1H),7.00(dd,J=7.1Hz,2.3Hz,1H),6.99(d,J=2.2Hz,1H),6.97(d,J=8.5Hz,1H),6.88(s,1H),4.39(dd,J=11.1Hz,2.9Hz,1H),4.05(dd,J=11.1Hz,5.8Hz,1H),3.98(s,3H),3.96(s,3H),3.44−3.40(m,1H),2.96(t,J=4.5Hz,4.5Hz,1H),2.81(dd,J=4.8Hz,2.6Hz,1H)。
【0084】
7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,5′−ジベンジルオキシ−フラボン(34)
無水メタノール(150mL)中で、3′,5′−ジベンジルオキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、28(2.5g、4.9mmol)およびtert−ブチルアミン(1.05mL、9.8mmol)の溶液を、還流下で6時間撹拌した。反応混合物をロータベイパーで濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、34を得た。収率 2.6g(93%);mp170〜171℃;MS(FAB)580(M+1);IR(KBr)3428,1648;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.02(d,J=8.8Hz,1H),7.59−7.33(m,10H),7.13(d,J=1.9Hz,2H),7.07(s,1H),7.01(dd,J=9.8Hz,2.0Hz,1H),6.76(s,1H),6.71(s,1H),5.12(s,4H),4.57−4.54(m,1H),4.27−4.16(m,2H),3.24(d,J=10.5Hz,1H),3.05(t,J=10.6Hz,1H),1.45(s,9H);13C NMR δ178.3,163.5,163.2,160.7,158.1,136.8,133.9,129.0,128.6,127.9,127.5,118.3,115.2,108.0,105.9,101.5,72.9,70.8,67.5,54.0,45.3,28.1。分析 C3637NOについての計算値:C,74.59;H,6.43;N,2.42。実測値:C,74.44;H,6.35;N,2.51。
【0085】
3′,5′−ジベンジルオキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(35)
34と同様の方法により、無水メタノール(150mL)中で、3′,5′−ジベンジルオキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、28(2.5g、4.9mmol)およびイソ−プロピルアミン(1.8mL、14.7mmol)を反応させて35を得た。収率 2.2g(79%);mp173〜174℃;MS(FAB)566(M+1);IR(KBr)3431,1637;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.05(d,J=8.6Hz,1H),7.59−7.34(m,10H),7.15(d,J=1.8Hz,2H),7.06(s,1H),7.03(d,J=9.4Hz,1H),6.78(s,1H),6.71(s,1H),5.13(s,4H),4.14−4.11(m,3H),3.18−3.16(m,1H),2.93−2.79(m,2H),1.11(d,J=6.2Hz,6H);13C NMR δ177.9,163.8,162.9,160.6,158.1,136.7,133.9,128.9,128.5,127.8,127.1,118.1,115.3,108.0,105.8,105.3,101.5,71.7,70.7,68.4,49.8,49.3,23.1,23.0。分析 C3535NOについての計算値:C,74.32;H,6.24;N,2.48。実測値:C,74.16;H,6.17;N,2.29。
【0086】
3′,5′−ジベンジルオキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フラボン(36)
34と同様の方法により、無水メタノール(180mL)中で、3′,5′−ジベンジルオキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、28(2.5g、4.9mmol)および1−フェニルピペラジン(0.76mL、5mmol)を反応させて36を得た。収率 3.1g(94%);mp168〜170℃;MS(FAB)669(M+1);IR(KBr)3389,1634;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.12(d,J=8.6Hz,1H),7.46−7.30(m,10H),7.26−7.23(m,2H),7.11(d,J=1.9Hz,2H),7.00(d,J=8.5Hz,1H),6.98(s,1H),6.95−6.86(m,3H),6.76(s,1H),6.69(s,1H),5.09(s,4H),4.21−4.14(m,3H),3.23(t,J=4.7Hz,4.6Hz,4H),2.91−2.81(m,2H),2.66(dd,J=5.2Hz,4.1Hz,4H);分析 C4240についての計算値:C,75.43;H,6.03;N,4.19。実測値:C,75.37;H,6.20;N,4.13。
【0087】
7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン(37)
34と同様の方法により、無水メタノール(160mL)中で、3′,4′−ジベンジルオキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、29(2.5g、4.9mmol)およびtert−ブチルアミン(1.05mL、9.8mmol)を反応させて37を得た。収率 2.4g(85%);mp159〜161℃;MS(FAB)580(M+1);IR(KBr)3400,1633;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.08(d,J=8.7Hz,1H),7.50−7.28(m,12H),7.02−6.93(m,3H),6.60(s,1H),5.23(s,4H),4.10−3.98(m,3H),2.90(dd,J=5.9Hz,3.8Hz,1H),2.71(dd,J=5.9Hz,7.3Hz,1H),2.47(s,2H),1.14(s,9H);分析 C3637NOについての計算値:C,74.59;H,6.43;N,2.42。実測値:C,73.36;H,6.62;N,2.39。
【0088】
3′,4′−ジベンジルオキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(38)
34と同様の方法により、無水メタノール(160mL)中で、3′,4′−ジベンジルオキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、29(2.5g、4.9mmol)およびイソ−ブロピルアミン(1.8mL、14.7mmol)を反応させて38を得た。収率 2.4g(87%);mp177〜179℃;MS(FAB)566(M+1);IR(KBr)3423,1635;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.02(d,J=8.5Hz,1H),7.70−7.32(m,12H),7.11−6.98(m,3H),6.64(s,1H),5.24(s,2H),5.23(s,2H),4.14−4.09(m,3H),3.05(s,2H),2.92−2.68(m,3H),1.09(d,J=6.2Hz,6H);分析 C3535NOについての計算値:C,74.32;H,6.24;N,2.48。実測値:C,74.46;H,6.19;N,2.36.
【0089】
6−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン(39)
34と同様の方法により、無水メタノール(125mL)中で、3′,4′−ジベンジルオキシ−6−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、30(1.5g、3mmol)およびtert−ブチルアミン(0.96mL、9mmol)を反応させて39を得た。収率 1.5g(89%);mp156〜157℃;MS(FAB)580(M+1);IR(KBr)3404,1621;H NMR(200MHz,CDCl)δ7.51−7.26(m,15H),6.97(d,J=8.9Hz,1H),6.62(s,1H),5.22(s,2H),5.20(s,2H),4.26−4.22(m,1H),4.14−4.10(m,2H),3.07−2.86(m,2H),1.29(s,9H);分析 C3637NOについての計算値:C,74.59;H,6.43;N,2.42。実測値:C,74.61;H,6.62;N,2.36。
【0090】
7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(40)
34と同様の方法により、無水メタノール(130mL)中で、3′,4′,5′−トリメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、31(2.1g、5.47mmol)およびtert−ブチルアミン(1.75mL、16.4mmol)を反応させて40を得た。収率 2.1g(84%);mp119〜120℃;MS(FAB)458(M+1);IR(KBr)3403,1631;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.11(d,J=9.5Hz,1H),7.10(s,2H),7.02−6.99(m,2H),6.70(s,1H),4.14−4.11(m,3H),3.96(s,6H),3.93(s,3H),2.86−2.81(m,2H),1.14(s,9H);分析 C2531NOについての計算値:C,65.63;H,6.83;N,3.06。実測値:C,65.47;H,6.77;N,3.12。
【0091】
7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(41)
34と同様の方法により、無水メタノール(120mL)中で、3′,4′,5′−トリメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、31(1.2g、3mmol)およびイソ−プロピルアミン(0.78mL、9.3mmol)を反応させて41を得た。収率 900mg(65%);mp106〜107℃;MS(FAB)444(M+1);IR(KBr)3394,1631;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.09(d,J=9.5Hz,1H),7.10(s,2H),7.10−6.99(m,2H),6.71(s,1H),4.16−4.09(m,3H),3.96(s,6H),3.93(s,3H),2.95−2.82(m,3H),1.14(d,J=6.2Hz,6H);分析 C2429NOについての計算値:C,65.00;H,6.59;N,3.16。実測値:C,65.16;H,6.47;N,3.31。
【0092】
7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(42)
34と同様の方法により、無水メタノール(130mL)中で、3′,4′,5′−トリメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、31(1.1g、3mmol)および1−フェニルピペラジン(0.5mL、3.27mmol)を反応させて42を得た。収率 1.4g(85%);mp170〜171℃;MS(FAB)547(M+1);IR(KBr)3406,1635;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.13(d,J=9.5Hz,1H),7.27(t,J=7.9Hz,2H),7.10(s,2H),7.04−7.01(m,2H),6.95−6.87(m,3H),6.70(s,1H),4.21−4.12(m,3H),3.95(s,6H),3.93(s,3H),3.23(t,J=4.6Hz,4H),2.87−2.83(m,2H),2.68−2.65(m,4H);分析 C3134についての計算値:C,68.12;H,6.27;N,5.12。実測値:C,68.26;H,6.37;N,5.41。
【0093】
7−[3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−3′,5′−ジメトキシ−フラボン(43)
34と同様の方法により、無水メタノール(100mL)中で、3′,5′−ジメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、32(500mg、1.41mmol)およびtert−ブチルアミン(0.6mL、5.64mmol)を反応させて43得た。収率 400mg(66%);mp145〜146℃;MS(FAB)428(M+1);IR(KBr)3431,1631;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.93(d,J=8.8Hz,1H),7.32(d,J=1.9Hz,1H),7.15(d,J=2.0Hz,2H),7.08(dd,J=8.9Hz,2.0Hz,1H),6.92(s,1H),6.68(s,1H),4.17−4.01(m,3H),3.82(s,6H),2.77−2.59(m,2H),1.08(s,9H);分析 C2429NOについての計算値:C,67.43;H,6.84;N,3.28。実測値:C,67.59;H,6.73;N,3.39。
【0094】
3′,5′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ]−フラボン(44)
34と同様の方法により、無水メタノール(120mL)中で、3′,5′−ジメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、32(700mg、2mmol)およびイソ−プロピルアミン(1.0mL、12mmol)を反応させて44を得た。収率 720mg(87%);mp155〜156℃;MS(FAB)414(M+1);IR(KBr)3426,1630;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.95(d,J=8.9Hz,1H),7.34(s,1H),7.18(d,J=1.8Hz,2H),7.09(dd,J=8.9Hz,1.9Hz,1H),6.96(s,1H),6.70(s,1H),4.20−3.90(m,3H),3.85(s,6H),2.84−2.58(m,3H),1.03(d,J=6.2Hz,6H);分析 C2327NOについての計算値:C,66.81;H,6.58;N,3.39。実測値:C,66.69;H,6.13;N,3.62。
【0095】
3′,5′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フラボン(45)
34と同様の方法により、無水メタノール(100mL)中で、3′,5′−ジメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、32(400mg、1.13mmol)および1−フェニルピペラジン(0.17mL、1.13mmol)を反応させて45を得た。収率 490mg(84%);mp195〜196℃;MS(FAB)517(M+1);IR(KBr)3417,1633;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.97(d,J=8.8Hz,1H),7.40(d,J=1.9Hz,1H),7.24(d,J=1.9Hz,2H),7.20(d,J=7.9Hz,2H),7.12(dd,J=8.9Hz,1.9Hz,1H),7.04(s,1H),6.93(d,J=8.2Hz,2H),6.80(d,J=7.1Hz,1H),6.74(s,1H),4.25−4.09(m,3H),3.87(s,6H),3.13(t,J=6.5Hz,4H),2.63(d,J=4.5Hz,2H),2.47−2.43(m,4H);分析 C3032についての計算値:C,69.75;H,6.24;N,5.42。実測値:C,69.61;H,6.53;N,5.61。
【0096】
3′,4′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ]−フラボン(46)
34と同様の方法により、無水メタノール(80mL)中で、3′,4′−ジメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、33(300mg、0.85mmol)およびイソ−プロピルアミン(0.15mL、1.7mmol)を反応させて46を得た。収率 290mg(83%);mp144〜145℃;MS(FAB)414(M+1);IR(KBr)3410,1634;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.03(d,J=9.5Hz,1H),7.51(dd,J=8.5Hz,1.7Hz,1H),7.36(d,J=1.7Hz,1H),6.96−6.92(m,3H),6.74(s,1H),4.18−4.12(m,3H),3.97(s,3H),3.96(s,3H),3.10−2.75(m,3H),1.23(d,J=6.3Hz,6H);分析 C2327NOについての計算値:C,66.81;H,6.58;N,3.39。実測値:C,66.67;H,6.65;N,3.53。
【0097】
3′,4′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フラボン(47)
34と同様の方法により、無水メタノール(60mL)中で、3′,4′−ジメトキシ−7−(2,3−エポキシ−プロポキシ)−フラボン、33(300mg、0.85mmol)および1−フェニルピペラジン(0.13mL、0.85mmol)を反応させて47を得た。収率 410mg(94%);mp191〜193℃;MS(FAB)517(M+1);IR(KBr)3416,1627;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.16(d,J=9.5Hz,1H),7.54(dd,J=8.3Hz,2.1Hz,1H),7.34(d,J=1.9Hz,1H),7.31−7.23(m,2H),7.04−6.87(m,6H),6.70(s,1H),4.21−4.16(m,3H),3.99(s,3H),3.97(s,3H),3.28(t,J=4.8Hz,4H),2.90−2.71(m,2H),2.71−2,65(m,4H);分析 C3032についての計算値:C,69.75;H,6.24;N,5.42。実測値:C,69.96;H,6.57;N,5.51。
【0098】
7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,5′−ジヒドロキシ−フラボン(48)
無水メタノール(60mL)中で、7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,5′−ジベンジルオキシ−フラボン、34(1.0g、1.73mmol)の溶液に対し、40mgの10%Pd/Cを添加した。反応混合物を、窒素による空気置換後に、パール(Parr)水素化アセンブリにおいて、60Ibsの水素ガス雰囲気下で4時間振盪した。Pd/Cを濾過し、メタノールをロータベイパーで減圧下に蒸発させて48を得た。収率 660mg(96%);mp153℃(分解);MS(FAB)400(M+1);IR(KBr)3401,1618;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.98(d,J=8.8Hz,1H),7.30(s,1H),7.13(d,J=8.8Hz,1H),6.90(d,J=1.2Hz,2H),6.7(s,1H),6.52(s,1H),4.27−4.23(m,3H),3.18−2.99(m,2H),1.32(s,9H);分析 C2225NOについての計算値:C,66.15;H,6.31;N,3.51。実測値:C,66.19;H,6.47;N,3.43。
【0099】
3′,5′−ジヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(49)
無水メタノール(40mL)中で、水素雰囲気下、10%Pd/C(30mg)を用いて、48に記述したように3′,5′−ジベンジルオキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン、35(1.2g、2.12mmol)を脱ベンジル化して49を得た。収率 800mg(98%);mp185℃(分解);MS(FAB)386(M+1);IR(KBr)3244,1623;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ9.85(S,2H),7.72(d,J=8.8Hz,1H),7.06(d,J=1.7Hz,1H),6.87(dd,J=8.8Hz,1.9Hz,1H),6.66(d,J=1.7Hz,2H),6.45(s,1H),6.29(s,1H),4.00−3.97(m,3H),3.13−3.03(m,1H),2.94−2.75(m,2H),1.24(d,J=5.7Hz,6H);13C NMR δ176.7,163.3,163.1,159.3,157.7,133.2,126.6,117.6.115.4,106.9,106.3,104.6,101.9,70.9,65.3,50.3,46.9,19.0,18.6。分析 C2123NOについての計算値:C,65.44;H,6.02;N,3.63。実測値:C,66.26;H,6.18;N,3.44。
【0100】
7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジヒドロキシ−フラボン(50)
無水メタノール(40mL)中で、10%Pd/C(30mg)を用いて、水素雰囲気下、48に記述したように7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン、37(1.4g、2.4mmol)を脱ベンジル化して50を得た。収率 930mg(97%);mp 165℃(分解);MS(FAB)400(M+1);IR(KBr)3274,1623;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.95(d,J=8.8Hz,1H),7.47(s,1H),7.44(d,J=9.4Hz,1H),7.29(s,1H),7.10(d,J=8.8Hz,1H),6.95(d,J=8.1Hz,1H),6.68(s,1H),4.28−4.19(m,3H),3.18−3.14(m,1H),2.97−2.94(m,1H),1.34(s,9H)。分析 C2225NOについての計算値:C,66.15;H,6.31;N,3.51。実測値:C,66.26;H,6.27;N,3.27。
【0101】
3′,4′−ジヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(51)
無水メタノール(40mL)中で、10%Pd/C(30mg)を用いて、水素雰囲気下、48に記述したように3′,4′−ジベンジルオキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)フラボン、38(1.0g、1.77mmol)を脱ベンジル化して51を得た。収率 600mg(88%);mp 187℃(分解);MS(FAB)386(M+1);IR(KBr)3425,1624;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.96(d,J=7.1Hz,1H),7.47(s,1H),7.45(d,J=8.2Hz,1H),7.30(s,1H),7.10(d,J=8.1Hz,1H),6.95(d,J=7.6Hz,1H),6.68(s,1H),4.23−4.18(m,3H),3.21−3.18(m,3H),1.27(d,J=6.2Hz,6H)。分析 C2123NOについての計算値:C,65.44;H,6.02;N,3.63。実測値:C,65.37;H,6.18;N,3.47。
【0102】
6−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジヒドロキシ−フラボン(52)
無水メタノール(40mL)中で、10%Pd/C(30mg)を用いて、水素雰囲気下、48に記述したように6−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン、39(1.16g、2mmol)を脱ベンジル化して52を得た。収率 740mg(93%);mp 193℃(分解);MS(FAB)400(M+1);IR(KBr)3399,1616;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.93(s,1H),7.55(d,J=9.5Hz,1H),7.53(s,1H),7.39(d,J=9.8Hz,1H),7.34(d,J=8.5Hz,1H),6.93(d,J=8.0Hz,1H),6.62(s,1H),4.41−4.12(m,3H),3.07−2.93(m,2H),1.33(s,9H)。分析 C2225NOについての計算値:C,66.15;H,6.31;N,3.51。実測値:C,66.26;H,6.47;N,3.61。
【0103】
4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノール(55)
4−ヒドロキシベンズアルデヒド、53(3g、24.6mmol)、2,4−チアゾリジンジオン、54(2.9g、24.8mmol)、ピペリジン(2.5mL)、およびメタノール(100mL)の混合物を、18時間還流した。反応混合物を水へ注入し、酢酸で酸性化して、55を得て、メタノールから再結晶した。収率 4.7g(86%);mp296〜298℃;MS(FAB)222(M+1);IR(KBr)3404,3123,1723,1678;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.70(s,1H),7.46(d,J=8.6Hz,2H),6.93(d,J=8.6Hz,2H)。
【0104】
7−(2−ブロモ−エトキシ)−3′,5′−ジベンジルオキシ−フラボン(56)
炭酸カリウム(2.76g、20mmol)を、無水ジメチルホルムアミド(120mL)中の撹拌した3′,5′−ジベンジルオキシ−7−ヒドロキシ−フラボン、22(2.25g、5mmol)へ添加した。混合物を30分間撹拌した後、ジブロモエタン(5mL、58mmol)を添加し、結果物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をセリットを通して濾過し、減圧下で濃縮して、クロロホルムで抽出した。抽出物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して56を得た。
【0105】
収率 2.6g(93%);mp157〜159℃;MS(FAB)557/559(M+1);IR(KBr)1640;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.13(d,J=8.8Hz,1H),7.43−7.34(m,10H),7.10(d,J=2.1Hz,2H),6.99(dd,J=8.8Hz,2.2Hz,1H),6.93(d,J=2.1Hz,1H),6.76(s,1H),6.69(s,1H),5.10(s,4H),4.39(t,J=6.2Hz,2H),3.69(t,J=6.2Hz,2H)。
【0106】
7−(2−ブロモ−エトキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン(57)
この化合物(57)は、56と同一の方法により無水ジメチルホルムアミド(90mL)中で、3′,4′−ジベンジルオキシ−7−ヒドロキシ−フラボン、23(2.3g、5.1mmol)、ジブロモエタン(1.7mL、20.4mmol)、および炭酸カリウム(3.5g、25.5mmol)から調製した。収率 2.1g(74%);mp167〜168℃;MS(FAB)557/559(M+1);IR(KBr)1626;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.12(d,J=8.8Hz,1H),7.50−7.32(m,12H),7.01(d,J=9.1Hz,1H),6.92(dd,J=8.9Hz,2.2Hz,1H),6.91(s,1H),6.60(s,1H),5.24(s,4H),4.39(t,J=6.2Hz,2H),3.69(t,J=6.3Hz,2H)。
【0107】
7−(2−ブロモ−エトキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(58)
この化合物(58)は、56と同一の方法により、無水ジメチルホルムアミド(120mL)中で、7−ヒドロキシ−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン、25(2.3g、7mmol)、ジブロモエタン(3mL、35mmol)、および炭酸カリウム(2.9g、21mmol)から調製した。収率 2.1g(68%);mp184〜185℃;MS(FAB)435/437(M+1);IR(KBr)1631;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.15(d,J=9.3Hz,1H),7.10(s,2H),7.01(d,J=7.8Hz,1H),6.99(s,1H),6.71(s,1H),4.43(t,J=6.2Hz,2H),3.96(s,6H),3.93(s,3H),3.70(t,J=6.2Hz,2H)。
【0108】
7−(3−ブロモ−プロポキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(59)
この化合物(59)は、56と同一の方法により、無水ジメチルホルムアミド(120mL)中で、7−ヒドロキシ−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン、25(3.3g、10mmol)、ジブロモプロパン(3mL、30mmol)、および炭酸カリウム(2.7g、20mmol)から調製した。収率 3.1g(69%);mp156〜157℃;MS(FAB)449/451(M+1);IR(KBr)1629;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.13(d,J=9.4Hz,1H),7.11(s,2H),7.01−6.97(m,2H),6.70(s,1H),4.25(t,J=5.8Hz,2H),3.96(s,6H),3.93(s,3H),3.64(t,J=6.3Hz,2H),2.39(q,J=6.1Hz,2H)。
【0109】
7−(3−ブロモ−プロポキシ)−3′,5′−ジメトキシ−フラボン(60)
この化合物(60)は、56と同一の方法により、無水ジメチルホルムアミド(100mL)中で、3′,5′−ジメトキシ−7−ヒドロキシ−フラボン、26(1.1g、3.7mmol)、ジブロモプロパン(1.9mL、18.5mmol)、および炭酸カリウム(1.5g、11.1mmol)から調製した。収率 1.1g(74%);mp173〜174℃;MS(FAB)419/421(M+1);IR(KBr)1631;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.88(d,J=8.8Hz,1H),7.35(d,J=2.1Hz,1H),7.17(d,J=2.1Hz,2H),7.02(dd,J=8.9Hz,2.2Hz,1H),6.98(s,1H),6.66(s,1H),4.19(t,J=5.9Hz,2H),3.79(s,6H),3.64(t,J=6.4Hz,2H),2.26(q,J=6.2Hz,2H)。
【0110】
7−(3−ブロモ−プロポキシ)−3′,4′−ジメトキシ−フラボン(61)
この化合物(61)は、56と同一の方法により、無水ジメチルホルムアミド(150mL)中で、3′,4′−ジメトキシ−7−ヒドロキシ−フラボン、27(3g、10mmol)、ジブロモプロパン(4mL、39.2mmol)、および炭酸カリウム(2.8g、20mmol)から調製した。収率 3.4g(80%);mp148〜149℃;MS(FAB)419/421(M+1);IR(KBr)1630;H NMR(200MHz,CDCl)δ8.12(d,J=9.5Hz,1H),7.53(dd,J=8.5Hz,2.0Hz,1H),7.36(d,J=1.9Hz,1H),6.99−6.95(m,3H),6.68(s,1H),4.24(t,J=5.8Hz,2H),3.98(s,3H),3.96(s,3H),3.64(t,J=6.3Hz,2H),2.39(q,J=6.1Hz,2H)。
【0111】
3′,5′−ジベンジルオキシ−7−{2−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−エトキシ}−フラボン(62)
無水ジメチルホルムアミド(120mL)中で、7−(2−ブロモ−エトキシ)−3′,5′−ジベンジルオキシ−フラボン、56(2g、3.6mmol)、4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノール、55(1.2g、5.4mmol)、および炭酸カリウム(740mg、5.4mmol)の混合物を、室温で8時間撹拌した。反応混合物をセライトを通して濾過し、水で希釈し、希塩酸で酸性化し、濾過した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、62を得た。収率 600mg(24%);mp 267〜269℃;MS(FAB)698(M+1);IR(KBr)3451,1736,1696,1618;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ7.92(d,J=8.9Hz,1H),7.73(s,1H),7.55(d,J=8.7Hz,2H),7.49−7.32(m,12H),7.29(s,1H),7.17(s,2H),7.05(d,J=8.0Hz,1H),7.03(s,1H),6.89(s,1H),5.19(s,4H),4.49(s,2H),4.47(s,2H)。分析 C4131NOSについての計算値:C,70.57;H,4.48;N,2.01;S,4.60。実測値:C,70.16;H,4.52;N,2.02;S,4.23。
【0112】
3′,4′−ジベンジルオキシ−7−{2−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−エトキシ}−フラボン(63)
62と同様の方法により、無水ジメチルホルムアミド(120mL)中の、7−(2−ブロモ−エトキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン、57(2g、3.6mmol)、4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノール、55(1.5g、6.8mmol)、および炭酸カリウム(1.4g、10mmol)の混合物を反応させて63を得た。収率 300mg(12%);mp 239〜241℃;MS(FAB)698(M+1);IR(KBr)3446,1734,1674,1627;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ10.35(s,1H),7.87(d,J=8.9Hz,1H),7.82(s,1H),7.69(s,1H),7.64(d,J=8.6Hz,1H),7.44(d,J=8.3Hz,2H),7.49−7.33(m,10H),7.27(d,J=2.6Hz,1H),7.18(d,J=8.6Hz,1H),6.97(dd,J=8.8Hz,2.2Hz,1H),6.88(d,J=8.5Hz,2H),6.87(s,1H),5.23(s,2H),5.21(s,2H),4.37(s,2H),4.05(s,2H)。分析 C4131NOSについての計算値:C,70.57;H,4.48;N,2.01;S,4.60。実測値:C,70.46;H,4.63;N,2.17;S,4.19。
【0113】
7−{2−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−エトキシ}−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(64)
62にと同様の方法で無水ジメチルホルムアミド(150mL)中で、7−(2−ブロモ−エトキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン、58(2g、4.6mmol)、4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノール、55(1.1g、5mmol)、および炭酸カリウム(2.5g、18mmol)の混合物を反応させて64を得た。収率 380mg(14%);mp237〜238℃;MS(FAB)576(M+1);IR(KBr)3423,1733,1681,1630;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ10.37(s,1H),7.92(d,J=9.0Hz,1H),7.86(s,1H),7.49(d,J=9.0Hz,2H),7.38(d,J=3.0Hz,1H),7.36(s,2H),7.06(s,1H),7.02(dd,J=9.0Hz,3.0Hz,1H),6.91(d,J=9.0Hz,2H),4.41(t,J=4.5Hz,2H),4.11(t,J=4.5Hz,2H),3.91(s,6H),3.75(s,3H)。分析 C3025NOSについての計算値:C,62.60;H,4.38;N,2.43;S,5.57。実測値:C,62.67;H,4.41;N,2.37;S,5.55。
【0114】
7−{3−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−プロポキシ}−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(65)
62と同様の方法により、無水ジメチルホルムアミド(150mL)中で、7−(3−ブロモ−プロポキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン、59(3g、6.7mmol)、4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノール、55(1.7g、7.7mmol)、および炭酸カリウム(3.7g、27mmol)の混合物を反応させて65を得た。収率 900mg(23%);mp203〜204℃;MS(FAB)590(M+1);IR(KBr)3401,1733,1683,1626;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ10.33(s,1H),7.88(d,J=9.0Hz,1H),7.77(s,1H),7.45(d,J=9.0Hz,2H),7.32(s,1H),7.28(d,J=3.0Hz,1H),7.03(s,1H),6.96(dd,J=9.0Hz,3.0Hz,1H),6.93(d,J=9.0Hz,2H),4.18(t,J=7.5Hz,2H),3.88(s,6H),3.85(t,J=7.5Hz,2H),3.73(s,3H),2.12−2.09(m,2H);13C NMR(200MHz,DMSO−d)δ176.9,168.0,166.3,163.3,162.4,160.4,157.7,153.6,140.9,133.7,132.9,126.8,126.4,124.2,117.4,117.1,116.7,115.0,106.9,104.2,101.9,66.9,60.6,56.6,26.9。分析 C3127NOSについての計算値:C,63.15;H,4.62;N,2.38;S,5.44。実測値:C,63.41;H,4.39;N,2.61;S,5.29。
【0115】
3′,5′−ジメトキシ−7−{3−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−プロポキシ}−フラボン(66)
62と同様の方法により、無水ジメチルホルムアミド(80mL)中の、7−(3−ブロモ−プロポキシ)−3′,5′−ジメトキシ−フラボン、60(1g、2.4mmol)、4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノール、55(600mg、2.7mmol)、および炭酸カリウム(1.3g、9.4mmol)の混合物を反応させて66を得た。収率 220mg(16%);mp229〜230℃;MS(FAB)560(M+1);IR(KBr)3329,1733,1678,1632;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ10.34(s,1H),7.88(d,J=9.0Hz,1H),7.79(s,1H),7.47(d,J=6.0Hz,2H),7.30(s,1H),7.20(s,2H),7.02(s,1H),6.98(d,J=9.0Hz,1H),6.91(d,J=6.0Hz,2H),6.71(s,2H),4.20(s,2H),3.84(s,2H),3.84(s,6H),2.14−2.12(m,2H)。分析 C3025NOSについての計算値:C,64.39;H,4.50;N,2.50;S,5.73。実測値:C,64.26;H,4.33;N,2.61;S,6.05。
【0116】
3′,4′−ジメトキシ−7−{3−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−プロポキシ}−フラボン(67)
62と同様の方法により、無水ジメチルホルムアミド(120mL)中の、7−(3−ブロモ−プロポキシ)−3′,4′−ジメトキシ−フラボン、61(2.5g、6mmol)、4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノール、55(1.4g、6.33mmol)、および炭酸カリウム(1g、7.24mmol)の混合物を反応させて67を得た。収率 600mg(18%);mp240〜241℃;MS(FAB)560(M+1);IR(KBr)3429,1738,1679,1622;H NMR(200MHz,DMSO−d)δ10.38(s,1H),7.91(d,J=8.8Hz,1H),7.82(s,1H),7.64(d,J=9.0Hz,1H),7.59(s,1H),7.50(d,J=8.6Hz,2H),7.25(d,J=1.9Hz,1H),7.12(d,J=8.6Hz,1H),6.99(d,J=8.8Hz,1H),6.96(s,1H),6.94(d,J=8.5Hz,2H),4.22(s,4H),3.90(s,3H),3.87(s,3H),2.25(s,2H)。分析 C3025NOSについての計算値:C,64.39;H,4.50;N,2.50;S,5.73。実測値:C,64.66;H,4.71;N,2.59;S,5.64。
【0117】
生物学的スクリーニング
合成された化合物の、抗高血糖および抗脂質代謝異常活性に関する生物学的スクリーニングは、中央薬品研究所(Central Drug Research Institute)、生化学部門(Biochemistry Division)において行った。スプラーグ・ドーリー(Sprague Dawley)系の雄のアルビノラットモデルの、スクロース負荷されたラットモデルが一次スクリーニング用に、それに続き、ストレプトゾトシン誘発ベータ細胞破壊糖尿病モデルを使用した。STZモデルにおいて有意な活性を繰り返し示した化合物を、db/dbマウスにおけるスクリーンにかけた。また、マウスの血清について、抗高血糖活性を示す化合物の脂質プロファイルを分析した。また、全ての化合物について、トリトンモデルにおける抗脂質代謝異常活性をスクリーンした。
【0118】
抗高血糖活性の評価
スクロース負荷ラットモデル(SLM)
平均体重160±20gの、チャールズ・フォスター(Charles Foster)/ウィスター(Wistar)系の雄のアルビノラットをこの研究用に選択した。各動物の血中グルコースレベルは、16時間の飢餓の後、グルコストリップス(glucostrips)(ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim))によって検査した。3.33〜4.44mM(60〜80mg/dl)の間の血中グルコースレベルを示す動物は、5〜6匹ずつの動物からなる群に分けた。所望の合成化合物の懸濁物を経口的に(1.0%アカシアガムで作成)、100mg/kg体重の用量で実験群の動物に投与した。対照群の動物には、等量の1.0%のアカシアガムを与えた。スクロース負荷(10.0g/kg)は、試験試料/賦形剤の投与後、正確に30分後に経口的に各動物へ与えた。各ラットの血中グルコースプロファイルは、スクロース投与の30、60、90、および120分後にグルコメータにより再度測定した。実験の過程を通して、水以外のえさはケージに与えなかった。各動物の定量的なグルコース耐性は、曲線下面積(AUC)法(プリズム・ソフトウェア((Prism Software))により計算した。実験および対照群のAUCを比較することにより、抗高血糖活性のパーセントを決定した。統計的比較は、ダネット検定(Dunnett's test)により行った。
【0119】
スクロース刺激されたストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラット(STZ−S)
体重160±20gの、スプラーグ・ドーリー系の雄のアルビノラットを、この試験用に選択した。ストレプトゾトシン(シグマ、米国)を、100mMのクエン酸緩衝液、pH4.5中へ溶解し、計算し量の新鮮な溶液を、一晩断食させたラットへ腹腔内注射した(45mg/kg)。血中グルコースレベルを、48時間後にグルコストリップスにより検査し、144〜270mg/dl(8〜15mM)の間の血中グルコース値を示している動物を実験群に含み、糖尿病とした。糖尿病動物は、各群5〜6匹の動物からなる群に分けた。所望の試験試料の懸濁物を、経口的に(1.0%アカシアガムで作成)、100mg/kg体重の用量で実験群の動物に投与した。対照群には、等量の1.0%アカシアガムを与えた。化合物投与の30分後、2.5g/kg体重のスクロース負荷を与えた。スクロース負荷後の30分後、再度血中グルコースレベルを、グルコストリップスにより、30、60、90、120、180、240、300分、および24時間に検査した。試験試料の投与後24時間に糖尿病が検出されなかった動物は考慮せずに計算から省き、無反応とした。一つの群内で、その群の他のものは血中グルコースプロファイルに降下を示したのに対し、血中グルコースプロファイルに何ら降下を示さなかった動物もまた、無反応とみなした。実験の過程を通して、水以外のえさはケージに与えなかった。実験および対照群のAUCを比較することにより、パーセント抗高血糖活性を決定した。群間の統計的比較は、スチューデントt検定(Student's‘t’test)により行なった。
%抗高血糖活性=100−(試験時間における試験物質処理群の平均血中グルコースレベル/試験時間における対照群の平均血中グルコースレベル)×100
【0120】
抗脂質代謝異常活性の評価
トリトンモデル
体重200〜225gの雄のチャールズ・フォスターラットは、各群に6匹の動物を含む、対照、高脂血症、高脂血症プラス薬物処理、の群に分けた。高脂血症は、トリトンWR−1339(200mg/kg、i.p.(腹腔内))の投与により誘発した。全ての動物は、特定の固形飼料および水の自由摂取で維持した。化合物および標準薬は、0.2%の水性アカシアガム懸濁物で冷浸させた。懸濁物は、薬物処理群では、100mg/kgの用量でトリトンと同時に経口的に与えた。対照群の動物には、同様の投与経路により同量のアカシアガムを投与した。実験の最後、18時間後に、眼窩静脈叢から採血し、血漿を総コレステロール、リン脂質、およびトリグリセリドのアッセイに使用した。
【0121】
脂質の推定
コレステロール
コレステロールは、ロシュ・ダイアグノスティックス(Roche Diagnostics)により供給されたキットを用いて推定した。コレステロールエステルは、コレステロールエステラーゼ(CE)により、コレステロールおよび遊離脂肪酸へ酵素的に加水分解される。遊離のコレステロールは、元々存在しているものを含め、次にコレステロールオキシダーゼ(CO)により、コレスト−4−エン−3−オンおよび過酸化水素へ酸化される。過酸化水素は、ペルオキシダーゼ(POD)の存在下で、ヒドロキシ安息香酸(HBA)および4−アミノアンチピリン(4AAA)と結合して発色団(キノンイミン色素)を形成し、これが500〜505nmにおいて定量可能である。形成された赤色の強度は、標本中の総コレステロール濃度に正比例し、分光光度法により測定する(サーシー(Searcy. C. L.)著、「ダイアグノスティック・バイオケミストリー(Diagnostic Biochemistry:診断生化学)」、マグローヒル(McGraw Hill)、ニューヨーク、1969年;エレフソン(Ellefson, R. D.);キャラウェイ(Caraway, W. T.)著、「ファンダメンタルズ・オブ・クリニカル・ケミストリー(Fundamentals of clinical chemistry:臨床化学の基礎)」、ティーツ(Tietz NW)編、1976年、p.506−515)。
【0122】
トリグリセリド
トリグリセリドは、ロシュ・ダイアグノスティックスにより供給されたキットを用いて推定した。リポタンパク質リパーゼは、トリグリセリドを加水分解し、グリセロールおよび脂肪酸を生じる。グリセロールキナーゼは、グリセロールをグリセロール−3−リン酸へ転換し、それはグリセロールリン酸オキシダーゼにより、ジヒドロキシアセトンリン酸および過酸化水素へ酸化される。ペルオキシダーゼの存在下に、過酸化水素は4−アミノアンチピリンおよび4−クロロフェノールと酸化的に結合し、赤色のキノンイミン色素を産生する。形成された赤色の強度は、標本中のトリグリセリド濃度に正比例しており、光度測定により測定する(ワーレフェルド(Wahlefeld, A. W.);バーグメイヤー(Bergmeyer, H. U.)編、「メソッズ・オブ・エンザイマティック・アナリシス(Methods of enzymatic analysis;酵素的分析法)」、第2版、英語版、アカデミック・プレス・インク(Academic press inc)、ニューヨーク州、ニューヨーク)、p.1831−1840。
【0123】
リン脂質
血清(0.2mL)および過塩素酸(1.0mL)は、180℃で1〜1.5時間、溶液が無色になるまで消化した。遊離された無機リン酸(Pi)は、フィスケ・サバローの方法(フィスケ(Fiske, C. H.);サバロー(Subbarow, V.)著、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)」、1925年、第66巻、p.375)により測定した。1mLの2.5%モリブデン酸アンモニウム(5N硫酸中で調製)、および0.5mLの還元剤(4−アミノナフトールスルホン酸、0.2%)、メタ重亜硫酸ナトリウム(蒸留水中2.4% w/v)を、上記のチューブへ添加し、充分に混合した。反応混合物は2.5mLの3回蒸留水を用いて蒸留し、水浴中で60℃にて20分間保持した。標準として、2〜10μgのリン(Pi)を含有する、3回蒸留した水中に溶解した適量のリン酸二水素カリウムを、実験チューブと同時に処理した。青色の光学密度は、620nmにおいて試薬ブランクに対して記録した。Piの値は、25倍(レシチンのPi値から較正された定数)することにより、リン脂質へ変換した。
【0124】
【表3】

【0125】
db/dbマウスにおける抗高血糖および抗脂質代謝異常活性の評価
db/dbマウスは、充分に特徴付けられたII型糖尿病のモデルである。db/dbマウスのバックグラウンドは、C57BL/Ks系統である。C57BL/KsBom−db(db/db)マウスの主な欠失は、機能性のレプチン受容体の欠如である。このことは、異常なレプチンシグナリングと、レプチンからのフィードバックの完全な欠如とをもたらす。結果として、視床下部NPYの含量および分泌の双方が高められ、このことが過食および、低減されたエネルギー消費、肥満、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血糖症、および脂質代謝異常を生じる結果となる。db/dbマウスは、約10週からNIDDMを発症する。疾病は、低下する血漿インスリンレベルおよび非常に重い高血糖症として膵臓β細胞の破壊が臨床的に認識可能である、、20週までは安定である。雄のマウスは雌よりもさらに糖尿病性であり、通常はより早く死ぬ。実験目的のために雄のマウスを使用することの利点は、血漿パラメータにおける変動が、エストロゲン周期が臨床糖尿病に影響を及ぼす雌におけるよりも小さいことである。実験に使用するdb/dbマウスの最適な齢は、糖尿病性脂質代謝異常のあるNIDDMを発症しているが、まだ機能性のβ細胞を膵臓にもつ、12から18週までであろう。40〜50gの、12〜18週のC57BL/KsBom−dbマウスは、CDRI(中央薬品研究所)、ラクノウ(Lucknow)の動物小屋において飼育した。実験には10匹の雄マウスを使用した。マウスは、温度(23±2℃)および12/12時間の明/暗サイクル(午前6時に点灯)について調節した部屋に、5個体ずつの群で収容した。体重は1日目から10日目まで毎日測定した。全ての動物は、6日目の食事後プロトコールの日、および10日目のOGTT前の一晩の断食の間を除き、新鮮な水および普通の固形飼料を自由に利用した。血中グルコースを、5日目までは毎朝検査した。6日目は食事後プロトコールが使用し、この方法で血中グルコースを−0.30分および0時間に検査した。試験化合物を処理群へ与え、一方対照群はアカシアガム(1.0%)のみを与えた;血中グルコースを、再度、試験化合物処理の1、2、3、4、および6時間後に検査した。最後、10日目に、経口グルコース耐性試験(OGTT)を一晩の断食後に行なった。血中グルコースは−0.30分に測定し、試験化合物を得て、処理後0.0分に再度血中グルコースを測定し、この時点で、グルコース溶液を3mg/kgの用量で、対照群を含めた全ての群へ与えた:血中グルコースプロファイルを、グルコース投与の30分、60分、90分、および120分後に検査した。各動物の定量的なグルコース耐性は、曲線下面積(AUC)法(プリズム・ソフトウェア)により計算した。実験および対照群のAUCを比較することにより、抗高血糖活性のパーセントを決定した。統計的比較は、ダネット検定により行なった。
【0126】
脂質の推定
コレステロールおよびトリグリセリドは、前記したものと同じ方法を用いて推定した。
【0127】
HDLコレステロール
HDLコレステロールは、ロシュ・ダイアグノスティックスにより供給されたキットを用いて推定した。コレステロールN HDLは液体試薬であり、異なるリポタンパク質に対する有標洗浄剤の選択的可溶化作用に基づく新規な方法により、血清中のHDLコレステロールを直接測定する。このアッセイ系では、HDLのみが特別の洗浄剤により可溶化される;他のリポタンパク質は破壊されない。HDLが選択的に破壊された後、HDLコレステロールは酵素的に測定される(ゴードン(Gordon, T.);カステリ(Casstelli, W. P.);ヨートランド(Hjortland, M. C.);カーネル(Kannel, W. B.);ドーバー(Dawber, T. R.)著、「High density lipoproteins as a protective factor against coronary heart disease(冠動脈性心疾患に対する防御因子としての高密度リポタンパク質)、アメリカン・ジャーナル・オブ・メディスン(Am. J. Med.)」、1977年、第62巻、p.707−714)。
【0128】
【表4】

【0129】
【表5】

【0130】
スクロース刺激されたストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラットに対する34の用量依存性の抗高血糖効果
34の用量反応曲線は、異なる用量の試験化合物を、ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットへ投与することによって得た(表6)。50〜250mg/kgの範囲の用量を与え、血中グルコースレベルは、スクロース負荷の投与後30、60、90、120、180、240、300、および1440分に、スクロース刺激されたストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラットにおいて記述したように測定した。化合物34は用量依存性を示し、そのED50は90mg/kgであることが判明した。
【0131】
【表6】

【0132】
結果
ほとんどの化合物は、SLMならびにSTZモデルにおいて、有意な抗高血糖活性を示した。これらのうち、最も活性のある二つの化合物、34および49を、db/dbマウスにおいて選択した。化合物34は、6日目のグルコースレベルを26.4%まで、10日目に57.1%まで低下させたのに対し、化合物49は、各々9.38%および20.8%までグルコースレベルを低下させた。ヒドロキシ官能基に対する親油性の置換およびB環におけるその1,3−ポジショニングをもつ化合物は、非親油性の置換および1,2−ジヒドロキシ置換に比較して、高い活性を有していた。化合物34はまた、db/dbマウスにおいて、有意なトリグリセリドの低下(−33.5%)を、+19.3%までの、逆のコレステロール輸送プロファイル、HDL−Cの同時の上昇とともに示した(表3、4、および5)。また化合物34について、STZ−Sモデルにおける用量依存性を研究し、そのED50は90mg/kgであることが判明した(表6)。
【0133】
化合物65は、チアゾリジンジオンシリーズに属しており、SLMおよびSTZモデルにおいて有意な、かつ一貫したグルコース低下活性を示し、db/dbマウスにおける試験に供し、6日目および10日目にグルコースレベルを各々19.1%、および21.4%低下させた(表3、4、5)。化合物65は、トリグリセリドを19.1%まで低下させた。
【0134】
化合物34および49の薬理学データ
化合物34および49が中枢神経系に何らかの影響を及ぼすかどうかを知る目的で、肉眼的行動、最大電気ショック発作(MES)、バルビツレート催眠を行なった。しかしながら、化合物には何らCNS作用はなかった。
【0135】
動物
CDRIの実験動物部(Division of Laboratory Animals)で飼育した、体重20〜25gの、いずれかの性の成体(10〜12週齢)のスイスマウスを研究に使用した。
【0136】
動物の収容
各群のマウスは、アクリルのケージ内で飼育した。標準的な固形飼料および水(ノズルを具備したガラス瓶を通して)は、観察の期間を除き、24時間利用可能であった。動物は、空調された研究室(室温は22〜26℃の間に維持した)内で、12時間の明暗サイクルを用いて飼育した。
【0137】
投与の用量および経路
試験物質34および49は、アカシアガムを用いた水性懸濁物として、100mg/kgの用量で、経口経路により投与した。一つの群は賦形剤を投与し、対照とした。
【0138】
34および49の効果は、以下の応答に基づき研究した:
a.死亡率
b.肉眼的行動
c.最大電気ショック発作(MES)
d.バルビツレート催眠。
【0139】
死亡率
用量100mg/kg、p.o.(経口)の34および49は、14日までは何ら死亡率の上昇を引き起こさなかった(n=10)。
【0140】
b)肉眼的行動
肉眼的行動についての研究は、マウスの神経筋、感覚および自律神経系に対する試験物質の影響を示す。
【0141】
実験法
34および49(100mg/kg、p.o.)を、午前中に投与した。対照および試験群のマウス(n=10)を、30分間隔で、投与後3時間まで観察した。肉眼的行動のパラメータを、以下のように観察した(アーウィン(Irwin)のプロトコールに基づいて):
【0142】
1)運動応答
i)自発的運動活性[SMA]:0〜9のスケールでスコアされ、対照群のSMAはスコア4と指定された。
ii)姿勢/体位:正常な直立の姿勢(+:有または−:無)
iii)歩行:マウスをケージの縁を1分間移動させて、落下またはふらつきのないまっすぐな移動を正常とみなす。歩行は、正常または異常として記録する;異常であれば記述する。
iv)失調:不随意の動きなしに起こる、運動における共調運動不能。(+:有または−:無)
v)震え(振戦):筋肉の交互の収縮に起因する付随運動(全身または肢の攣縮)。(+:有または−:無)
vi)痙攣:交互の収縮(屈曲)および伸展[間代性]か、または肢の持続性伸展[硬直性]であり、直立の姿勢を失う結果をもたらす(+:有または−:無)。
vii)シュトラウブ(Straub)の挙尾:持続性(>30秒間)の尾の持ち上げ(体と>60°の角度をなす(+:有または−:無)
viii)カタレプシー:体または肢が、それらが置かれた任意の位置に受動的にとどまる状態。前肢を6cmの高さの金属棒上に置くことによって試験し、前肢が10秒間以内に引っ込められなければカタレプシーを陽性とみなす(+:有または−:無)。
ix)異常(奇異)行動:常同症、頭振、頭部探索、直立歩行、および旋回(+:有または−:無)。
【0143】
結果
自発性の歩行活動には、180分までの間何ら変化が観察されなかった。(表7)。
【0144】
【表7】

【0145】
歩行および姿勢には何ら影響がなかった。
【0146】
異常な(奇異な)行動は何ら観察されなかった。
【0147】
推断
34および49は、100mg/kgの用量で、運動応答に何ら有意な作用を示さなかった。
【0148】
2)自律反応
i)立毛:体毛の逆立ち(+:有または−:無)。
ii)唾液分泌:唾液の分泌は口からの唾液の滴下として観察し、対照(0=滴下なし)と比較して、1=軽度、2=中度、3=重度としてスコアする。
iii)流涙:下瞼周辺の涙の流れとして観察する、涙の分泌および流出であり、対照(0=滴下なし)と比較して、1=軽度、2=中度、3=重度としてスコアする。
iv)眼瞼閉鎖:下垂(上瞼の垂下)の有または無
v)眼球突出:眼球の突出(膨れ);有または無
vi)排便:対照と比較して、1=軽度、2=中度、3=重度としてスコアする
vii)排尿:対照と比較して、1=軽度、2=中度、3=重度としてスコアする。
【0149】
結果
34および49で処理されたマウスにおいて、自律反応−分泌および眼の徴候は、対照と比較して正常であった。
【0150】
推断
用量100mg/kg、p.o.での34および49は、自律反応に対し何ら有意な作用を示さなかった。
【0151】
3)感覚器官
i)反射:耳介、角膜、および立直り反射を検査した[正常(対照)、鈍い、または無]
ii)侵害受容反応:侵害受容反射に対する反応時間は、ホットプレート式鎮痛効果測定器(コロンブス・インスツルメンツ(Columbus Instruments)、米国)により観察した。マウスへの熱痛覚(55℃)の遮断時間は15秒間であった。
【0152】
結果
i)反射:角膜、耳介、および立直り反射は、34および49で処理したマウスでは損なわれていなかった。
ii)侵害受容反応:用量100mg/kg、p.o.での34および49は、対照と比較して侵害受容反応時間に対し何ら有意な作用を示さなかった(表8)。
【0153】
【表8】

【0154】
対照値からの有意な差異は無い(一方向の分散分析(ANOVA)に続くボンフェローニ(Bonferroni)検定)
【0155】
推断
感覚応答は、用量100mg/kg、p.o.での34および49によって影響されない。
【0156】
4)神経筋協調
i)筋緊張
各後肢の受動屈曲に対する抵抗による
スコア:0=弛緩性、1=正常、2=硬性、
ii)ロータロッド(Rota Rod)試験
各対照および処理マウス(〜60分間)についての、回転する棒(速度:5回転/分;試験の全継続時間2分間)の上に留まる期間は、ロータメックス(Rotamex)4(コロンブス・インスツルメンツ、米国)により記録した。マウスは、回転している棒の上に2分間留まるよう訓練し、訓練したマウスを研究に用いた。
【0157】
結果
i)筋緊張
対照ならびに該用量の34および49の双方で処理された双方の、全てのマウスは、正常な後肢の硬性(スコア1)を示した。
ii)ロータロッド試験
対照(賦形剤)、34、および49は、処理後1時間で1匹のマウスのみの落下を示したが、その他では対照および処理マウスは何ら落下を示さず、すなわち、他の時間間隔においては、ロータロッド試験では棒上に2分間まで(5回転/分で2分間)留まっていた(表9aおよびb)。
【0158】
【表9】

【0159】
推断
34および49は、100mg/kg、p.o.の用量で、対照と比較して神経筋協調に何ら有意な作用を示さなかった。
【0160】
c)最大電気ショック発作(MES)
対照および処理マウス(〜60分間)に、耳介電極から電気ショック(48mAmpで0.2秒間)を受けさせた。全てのマウスは、強直発作を示した(表10)。
【0161】
【表10】

【0162】
推断
34および49は、100mg/kg、p.o.の用量で、何ら有意な抗痙攣活性を示さなかった。
【0163】
d)バルビツレート誘発催眠
睡眠時間は、ペントバルビトン(Pentobarbitone)(45mg/kg、i.p.(腹腔内))の投与後の立直り反射の、喪失と獲得との間の持続時間によって計算する。34および49は、100mg/kg、p.o.の用量で、ペントバルビトンの30分前に投与された。
【0164】
結果
34および49は、ペントバルビトン(45mg/kg、i.p.)誘発睡眠に何ら有意な影響を及ぼさなかった。
【0165】
【表11】

【0166】
対照値からの何らの有意な変化は無い(一方向のANOVAに続くボンフェローニ(Bonferroni)検定)
【0167】
推断
34および49は、100mg/kg、p.o.の用量でバルビツレート誘発催眠に何ら有意な変化を示さなかった。
【0168】
薬理学データの要約
34および49は、100mg/kg、p.o.の用量で:
・14日までは非致死性であり、
・肉眼的行動に対し、何ら有意な持続的作用がなく、
・抗痙攣活性はなく、
・バルビツレート催眠に対し何ら有意な影響はなく、
・何ら有意な鎮静性(SMA、反射、感覚応答、神経筋協調 ロータロッド試験、およびMESの抑制無し)または刺激性(SMAにおける著しい増加無し、痙攣、振戦、または常同が無い)の活性がない。
【0169】
それゆえ、化合物34および49は、100mg/kg、p.o.の用量で、いずれの主要なCNS作用もないように見える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
、R、およびRは、水素、メチル、またはイソペンテニルから選ばれ;
、R、およびRは、H、OH、O−アルキル、O−フェニル、O−置換フェニル、またはそれらの組合せから選ばれ;
Rはプロパノールアミンであって、アミノ基はt−ブチルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、i−プロピルアミン、4−フェニルピペラジン−1−イルアミン、4−(2−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イルアミン、および3,4−ジメトキシフェネチルアミンから選ばれ;
Zは1〜3個の炭素原子を有するアルカン鎖であり;
Arはチアゾリジンジオンメチレンフェノールである]、
を有する化合物、または製薬上許容されるそれらの塩。
【請求項2】
代表的な化合物が:
a)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,5′−ジベンジルオキシ−フラボン(34);
b)3′,5′−ジベンジルオキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(35);
c)3′,5′−ジベンジルオキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フラボン(36);
d)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン(37);
e)3′,4′−ジベンジルオキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(38);
f)6−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジベンジルオキシ−フラボン(39);
g)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(40);
h)7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(41);
i)7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(42);
j)7−[3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−3′,5′−ジメトキシ−フラボン(43);
k)3′,5′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ]−フラボン(44);
l)3′,5′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フラボン(45);
m)3′,4′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ]−フラボン(46);
n)3′,4′−ジメトキシ−7−[2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フラボン(47);
o)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,5′−ジヒドロキシ−フラボン(48);
p)3′,5′−ジヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(49);
q)7−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジヒドロキシ−フラボン(50);
r)3′,4′−ジヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシ−3−イソ−プロピルアミノ−プロポキシ)−フラボン(51);
s)6−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3′,4′−ジヒドロキシ−フラボン(52)、
である、式Iを有する、請求項1に記載の化合物か、または製薬上許容されるその塩。
【請求項3】
代表的な化合物が:
a)3′,5′−ジベンジルオキシ−7−{2−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−エトキシ}−フラボン(62);
b)3′,4′−ジベンジルオキシ−7−{2−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−エトキシ}−フラボン(63);
c)7−{2−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−エトキシ}−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(64);
d)7−{3−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−プロポキシ}−3′,4′,5′−トリメトキシ−フラボン(65);
e)3′,5′−ジメトキシ−7−{3−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−プロポキシ}−フラボン(66);
f)3′,4′−ジメトキシ−7−{3−[4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノキシ]−プロポキシ}−フラボン(67)、
である、式Iを有する、請求項1に記載の化合物か、または製薬上許容されるその塩。
【請求項4】
式(34):
【化2】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式(49):
【化3】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式(65):
【化4】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物を、製薬上許容されるそれらの担体または希釈剤とともに含む薬剤組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物を、脂質低下剤および/または糖低下剤とともに含む組成物。
【請求項9】
式Iの化合物を調製するためのプロセスであって:
(i)無水テトラヒドロフラン中でリチウムヘキサメチルジシラザンの存在下に、ジヒドロキシアセトフェノンを置換安息香酸エチルと反応させて、1,3−ジベンゾイルメタンを得ること;
(ii)ステップ(i)で得られた1,3−ジベンゾイルメタンを、還流下、2−プロパノールの存在下にダウエックス(Dowex)−Hと反応させ、各々のフラボンを生じること;
(iii)ステップ(ii)で得られた置換ヒドロキシフラボンを、無水ジメチルホルムアミド中で水素化ナトリウムの存在下にエピクロロヒドリンと反応させること;
(iv)ステップ(iii)で得られた2,3−エポキシ−プロポキシ−フラボンを、還流下に、メタノール中でアミンとともに加熱して、プロパノールアミンを生じること;および
(v)ステップ(iv)で得られたジベンジル化フラボン由来のプロパノールアミンの脱ベンジル化を、接触水素化プロセスを用いて行ない、対応するジヒドロキシフラボン由来のプロパノールアミンを生じること、
のステップを含むプロセス。
【請求項10】
式Iの化合物を調製するためのプロセスであって:
(i)置換ヒドロキシフラボンを、室温において、KCOおよび無水ジメチルホルムアミドの存在下に、ジブロモアルカンと反応させて、ブロモアルコキシフラボンを得ること;
(ii)ステップ(i)で得られたブロモアルコキシフラボンを、室温において、無水ジメチルホルムアミドの存在下に、4−(チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イリジンメチル)−フェノールと反応させ、対応するフラボンを生産すること、
のステップを含むプロセス。
【請求項11】
哺乳類においてII型糖尿病を治療するための方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式I:
【化5】

[式中、
、R、およびRは、水素、メチル、またはイソペンテニルから選ばれ;
、R、およびRは、H、OH、O−アルキル、O−フェニル、O−置換フェニル、またはそれらの組合せから選ばれ;
Rはプロパノールアミンであって、アミノ基はt−ブチルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、i−プロピルアミン、4−フェニルピペラジン−1−イルアミン、4−(2−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イルアミン、および3,4−ジメトキシフェネチルアミンから選ばれ;
Zは1〜3個の炭素原子を有するアルカン鎖であり;
Arはチアゾリジンジオンメチレンフェノールである]、
の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与するステップを含む方法。
【請求項12】
哺乳類においてII型糖尿病を治療するための、請求項11に記載の方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式(34):
【化6】

の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与するステップを含む方法。
【請求項13】
哺乳類においてII型糖尿病を治療するための、請求項11に記載の方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式(49):
【化7】


の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与するステップを含む方法。
【請求項14】
哺乳類においてII型糖尿病を治療するための、請求項11に記載の方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式(65):
【化8】

の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与するステップを含む方法。
【請求項15】
前記薬学上有効な量が、25〜250mg/Kg体重の範囲内である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
哺乳類において高脂血症状を治療する方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式I:
【化9】

[式中、
、R、およびRは、水素、メチル、またはイソペンテニルから選ばれ;
、R、およびRは、H、OH、O−アルキル、O−フェニル、O−置換フェニル、またはそれらの組合せから選ばれ;
Rはプロパノールアミンであって、アミノ基はt−ブチルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、i−プロピルアミン、4−フェニルピペラジン−1−イルアミン、4−(2−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イルアミン、および3,4−ジメトキシフェネチルアミンから選ばれ;
Zは1〜3個の炭素原子を有するアルカン鎖であり;
Arはチアゾリジンジオンメチレンフェノールである]、
の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与するステップを含む方法。
【請求項17】
哺乳類において高脂血症状を治療するための、請求項16に記載の方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式(34):
【化10】

の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与するステップを含む方法。
【請求項18】
哺乳類において高脂血症状を治療する方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式(49):
【化11】

の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与するステップを含む方法。
【請求項19】
哺乳類において高脂血症状を治療するための、請求項16に記載の方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式(65):
【化12】

の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与することのステップを含む方法。
【請求項20】
前記薬学上有効な量が、25〜250mg/Kg体重の範囲内である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
哺乳類において網膜症および腎症のような大血管系の症状を治療する方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式I:
【化13】

[式中、
、R、およびRは、水素、メチル、またはイソペンテニルから選ばれ;
、R、およびRは、H、OH、O−アルキル、O−フェニル、O−置換フェニル、またはそれらの組合せから選ばれ;
Rはプロパノールアミンであって、アミノ基はt−ブチルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、i−プロピルアミン、4−フェニルピペラジン−1−イルアミン、4−(2−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イルアミン、および3,4−ジメトキシフェネチルアミンから選ばれ;
Zは1〜3個の炭素原子を有するアルカン鎖であり;
Arはチアゾリジンジオンメチレンフェノールである]、
の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与することのステップを含む方法。
【請求項22】
哺乳類において網膜症および腎症のような大血管系の症状を治療する、請求項21に記載の方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式(34):
【化14】

の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与することのステップを含む方法。
【請求項23】
哺乳類において網膜症および腎症のような大血管系の症状を治療する、請求項21に記載の方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式(49):
【化15】


の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与することのステップを含む方法。
【請求項24】
哺乳類において網膜症および腎症のような大血管系の症状を治療する、請求項21に記載の方法であって、前記方法が、薬学上有効な量の式(65):
【化16】

の化合物か、またはその薬学的塩を、任意に他の糖尿病薬および/または脂質低下剤とともに投与することのステップを含む方法。
【請求項25】
前記薬学上有効な量が、25〜250mg/Kg体重の範囲内である、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2008−516941(P2008−516941A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536275(P2007−536275)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001069
【国際公開番号】WO2006/040621
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(505185709)カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (35)
【Fターム(参考)】