説明

抗Aおよび抗B抗体、ならびに多反応性IgGが減少した免疫グロブリンG(IgG)濃縮物

【課題】治療用途のための免疫グロブリンG濃縮物を提供する。
【解決手段】前記免疫グロブリンG濃縮物は、インビトロの間接クームス試験において、抗Aおよび抗B抗体の各含有量が陰性である。この濃縮物において、前記抗A抗体の含有量が23ng/mg IgG以下であり、かつ前記抗B抗体の含有量が20ng/mg IgG以下であってもよい。また、この免疫グロブリンG濃縮物では、IgGの合計含有量に対する多反応性IgG含有量が、0.01%〜0.1%、特に0.07%〜0.1%であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗A(AcaA)および抗B(AcaB)抗体が顕著に減少し、かつ多反応性(polyreactivity)が大きく低下した免疫グロブリンG濃縮物(IgG)、および該濃縮物を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の感染または先天的欠乏症の治療のための免疫グロブリン(Ig)が豊富なヒト血漿の画分の使用が、Cohnの開発したエタノール沈殿方法により知られている(Cohnら, 1946, J. Am. Chem. Soc. 68, 459; Oncleyら, 1949, J. Am Chem. Soc. 71, 541)。
【0003】
例えばヒト血漿から得られ、高度に精製された静注用Ig濃縮物(IgIV)の生産に対する需要が高まっている。免疫グロブリンが複雑な構造(ジスルフィド架橋によって連結された4つのポリペプチド鎖)を有し、数千のドナーからの血漿混合物には種々の抗体が存在するため、現在、バイオテクノロジーを利用した免疫グロブリンの開発は、促進するのが困難である。モノクローナル抗体は遺伝子工学によって生産されるが、それらの極端な特異性は、多様な特異性が必要であると思われる治療的適用では不利となる。
【0004】
加えて、例えば自己免疫に起因する数々の疾患が、現在、IgG濃縮物で治療されており、このことによって、近年、欧州および合衆国においてIgG濃縮物の不足を来たしている。
【0005】
免疫グロブリン、特にIgG濃縮物を得るための方法では、アナフィラキシー反応の危険性を伴う補体系を活性化し得る免疫グロブリンポリマーの凝集物を除去するために、エタノールによる蛋白質の選択的沈殿に加えて、ポリエチレングリコールによる沈殿や、制御された蛋白質分解酵素処理等のような種々の他の処理を行うことがある。また、IgGIV(静注用IgG濃縮物)におけるダイマーの存在は、インビボにおける動脈圧の降下と相関している(Bleeker W.K.ら, Blood, 95, 2000, p. 1856-1861)。
【0006】
エタノール沈殿とは別の方法が、Steinbuchら(Rev. Franc. Et. Clin. et Biol. 1969, XIV, 1054)によって報告されており、この方法では、オクタン酸を用いた沈殿を行っている。この酸は、ほとんどの血漿蛋白質を沈殿させ、免疫グロブリンを上清中に残す。これらの免疫グロブリンは、IgGを保持しない条件下でアニオン交換体DEAE−セルロースを通過させることによって精製される。次いで、保持されなかったIgGの画分を濃縮する。
【0007】
また、クロマトグラフィ技術を用いて生成物の純度を増加させるために、種々の方法が開発され、特に、特許出願EP 0 703 922およびWO 99/64462を挙げることができる。前者はアニオン交換により、後者はカチオン交換による、少なくとも2つの連続したクロマトグラフィ工程の組合せを記載する。これらの方法では、アニオン交換体の特性を利用し、そこでは、アニオン交換体が、通常のクロマトグラフィ条件下で免疫グロブリンGを保持することなく、予備精製工程の間に共精製された他の蛋白質のほとんどを固定する。同様に、本出願人によって出願された特許出願WO 02/092632では、IgG濃縮物の調製を開示し、この方法ではクロマトグラフィ担体でのIgG濃縮物の保持のために、アルカリ性pHで行われるアニオン交換体での単一クロマトグラフィ工程が用いられる。
【0008】
しかしながら、多数の科学文献において、前記した分画技術によって得られるIgGの注射が、治療を受けている患者に対して、時には深刻な偶発性の溶血反応を引き起こしかねないことを示している。その例として、以下の文献を引用することができる:Buchta Cら, Biologicals, 33, 2005, 41-48, Wilson J.R.ら, Muscle & Nerve, 29(9), 1997, 1142-1145, Copelan E.A.ら, Transfusion, 26, 1986, 410-412およびMisbah S.A.ら, Drug Safety, 9, 1993, 254-262。特に、直接クームス試験(direct Coombs test−DCT)を用いて行われた、溶血反応を有する患者の血液に対する効果の研究によって、赤血球が、それらの表面に存在する抗原A、BまたはDに対して向けられた免疫グロブリンで被覆されており、それによって溶血が起こることが示された。市販のIgGが、抗D免疫グロブリンまたは抗Aもしくは抗B力価が高い他の抗体の存在を回避するために、選択された血漿から得られるのはこのためである。
【0009】
先に引用したBuchtaらは、これらの血漿誘導体で患者を処置した場合に、これらの抗体のレベルと直接相関する溶血の危険性を最小化する観点から、さまざまなアプローチを検討して、IgGのような血漿誘導体において、BおよびO血液型ドナーに由来する抗A抗体の有意な低下、またAおよびO型ドナーに由来する抗B抗体の有意な低下を達成している。ここでは、手短な方法として、ドナーを選択することによって、抗Aおよび抗B抗体を除去し、特定の血液型、Aおよび/またはB型に由来する血漿の誘導体を生産し、バッチから、抗Aおよび抗B抗体において高い力価を有するものを排除することが考えられた。いくつかのアプローチは、コストや採用すべき工程の複雑性のため非現実的であると考えられる。前記したエタノール分画の間に、抗Aおよび抗B抗体が部分的に除去されることが、注目に値する。
【0010】
IgGに対する需要は常に増加しているので、統計学的に、より多数のO型のドナーを含むますます大きなドナープールに対する需要が存在する。その結果、IgGのような血液誘導体は、慣用的分画によって除去するには余りにも多量の抗Aおよび抗B抗体を含有する。
【0011】
IgGに対する需要が増大しているため、抗Aおよび抗B抗体の低含有量を保証するという理由から、AB型ドナーのみを選択するというのは現実的ではない。
【0012】
精製されたIgG濃縮物または製剤の各バッチは、インビトロでの間接クームス試験(indirect Coombs test−ICT)を適用する欧州薬局方(1997)のテスト2.6.20を用いて、抗Aおよび抗B抗体について規制される。ICTテストは、IgG濃縮物に含有されるIgG型の抗Aまたは抗B抗体で被覆された赤血球の懸濁液を、ヒトIgGのモチーフに対する抗体(抗グロブリン)の溶液に加えることから構成される。これらの抗体は赤血球に付着した抗Aまたは抗B抗体に結合し、それにより、IgG間の架橋の形成を通じてそれらの凝集を引き起こす。抗Aまたは抗B抗体の検出のための分析は、血液学的血清学におけるこの慣用的テスト(クームステスト)から直接的に着想したものである。
【0013】
欧州薬局方によると、IgIVまたは静注用免疫グロブリン溶液では、初期濃度を30g/Lまで低下させたIgG溶液を使用して1:64の希釈下で行うICTテストにおいて、AまたはB型の赤血球を凝集させてはならない。
【0014】
力価、すなわち、凝集を引き起こさない希釈倍率を得るために、テストすべきIgG試料を希釈しなければならないのは、このためである。欧州薬局方によれば、その希釈倍率が1:64よりも低いIgIV溶液について、ICTの結果が陰性であるのは、抗Aおよび抗B抗体が低く、その含有量が許容できることを示す。しかし、欧州薬局方によって規定されたテストについて陰性の結果を与えるIgG濃縮物、すなわち1:64未満の希釈率を有するものに関してさえ、溶血反応の危険性を排除することはできない(先に引用したBuchtaら)。
【0015】
合衆国および日本国薬局方が、抗Aおよび抗B抗体の残存含有量を制御する必要性について、何らの規定も設けていないことに注意すべきである。
【0016】
前記したように、抗Aおよび抗B抗体は、エタノール分画によるIgG濃縮物の調製の間に部分的に除去されるが、欧州薬局方の上限を超える残存含有量が観察されることがある。加えて、出願人によって開発され特許出願WO 02/092632に記載された方法に従って調製された濃縮物は、エタノール分画によって得られたものよりも高い抗Aおよび抗B抗体の残存含有量を示す。従って、抗Aおよび抗B抗体に関しては、こうして得られたIgG濃縮物をさらに精製する必要がある。というのは、IgG濃縮物のバッチの中には、欧州薬局方によって設定された閾値よりも高い抗Aおよび抗B抗体の残存含有量を有するものがあるからである。
【0017】
IgG濃縮物からこれらの抗体を除去するための一つの技術としては、血液型の抗原AおよびBに類似するオリゴ糖タイプを媒体として、免疫吸着剤を用いるアフィニティクロマトグラフィによって精製することよりなり、該オリゴ糖は、特に、クロマトグラフィのマトリックスにグラフトされた三糖である。
【0018】
その例としては、血液型AおよびBに特徴的な合成オリゴ糖、特にA三糖のハプテンがグラフトされたシリカ粒子を含有するクロマトグラフィ担体を用いている、Mazid M.A.らによる文献J.Appl.Biomater.,3(1),1992,9-15を挙げることができる。また、Hout M.S.ら(ASAIO J,46(6),2000,702-706)は、全血から抗Aおよび抗B抗体を除去するため、特異的抗Aおよび抗B抗原をグラフトしたチューブ状繊維膜を使用することを記載している。該クロマトグラフィ担体は非常に安定しており、また当該濃度でこれらの残存ハプテンの放出を制限することも報告されている。
【0019】
特許出願WO 01/27623には、血液型AおよびBの抗体において非特異化された血漿、すなわちいかなる受容者にも適した血漿を得る方法が記載されている。これらの特異性は、本質的には、免疫グロブリンM(IgM)が有しているものである。非特異化は、A型については実験的親和性媒体を通し、B型についてもやはり実験的な別の親和性媒体を通すことによって達成される。抗Aおよび抗Bが同時に存在する(O型)場合には、2つの媒体支持体を連続的に通すことが必要である。
【0020】
市販のIgG濃縮物のさらなる特徴の一つは、その多反応性である。IgGのようなポリクローナル抗体は、通常は、独自の様式で単一のエピトープ(抗原性モチーフ)と組み合わされる。しかしながら、抗体のこの厳格な特異性は、時に、他の抗原性モチーフまで拡大することがあり、名目的モチーフに対する結合より弱い結合を有する二次的エピトープへの親和性を示す。ポリクローナルIgGは、程度の差はあっても、アクチン、ミオシン、トリニトロフェニル修飾アルブミンのような構造と反応し得る。
【0021】
この点に関して、静注用免疫グロブリン(IgIV)は、
・外部抗原に向けられ、免疫付与プロセスに由来する免疫抗体;および
・細胞内蛋白質、表面膜抗原、循環する自己蛋白質および他の抗体の可変領域を認識する自然抗体
を含有するポリクローナルヒトIgGの製剤である。後者は、抗イディオタイプ抗体と呼ばれる(Kazatchkine M.D.ら,Immunol.Rev.,139,1994,79-107)。
【0022】
自然抗体は意図的な免疫付与には由来しない(Coutinho A.ら, Curr. Opin. Immunol., 7, 1995, 812-818)。自然抗体は、自己抗原に対して可変の親和性を発現する点で、多反応性である(Berneman A.ら, Eur. J. Immunol., 22, 1992, 625-631およびLacroix-Desmazesら, J. Immunol. Methods, 216, 1988, 117-137)。
【0023】
IgIVの化学的処理(6M尿素、1.3Mチオシアン酸ナトリウムおよび酸処理 pH=2.0)では、これらのポリクローナル免疫グロブリンの多反応性活性を増加させることができる(Bouvet J.P.ら.J.Autoimmun.,16(2)2001,163-172)。しかしながら、該免疫グロブリンで処置された患者において、有益な効果は未だ示されていない。
【0024】
まとめると、IgIV製剤に存在する抗体の多反応性活性は:
・個々の血漿に含有される自然抗体の存在、
・個々の血漿に含有される抗イディオタイプ抗体の存在、
・本生産方法によって生じる抗体の多反応性
に起因するものであり得る。
【0025】
従って、幾人かの著者は、多反応性が、人体に自然に存在するIgGの固有の特性であると考えている。
【0026】
モノクローナルまたはポリクローナルIgGを精製する方法により、精製前には検出不可能な多反応性を解明できることを示している著者もいる。事実、血漿からIgGを生産する方法もまた、生産の間に、酸化的「ストレス」およびIgGの部分的カルボニル化の結果として生じる多反応性を引き起こす。
【0027】
このことは、Bouvet J.Pら, Journal of Autoimmunity, 16, 2001, pp.163-172によって確認されており、彼らによると、特に尿素での処理の後にポリクローナルIgGが高度に多反応性となる。また、この文献においては、臨床的に使用されるIgGの有効性の一部はその多反応性に由来することが示される。
【0028】
従って、これらのIgG濃縮物の多反応性については、自然抗体に由来する多反応性IgGと、通常の精製方法によって得られ、全ての多価IgGの0.5〜1%を占める多反応性IgGとが組み合わさって存在するためであると説明することができる。IgG製剤での患者の処置は、1〜2g/kgまでの高用量の投与が必要となり得る。これらの用量は、受容者の生理学的IgG量よりも7〜10倍高い量での短時間処置、例えば1日での処置となり、その結果、IgG濃縮物における本生産方法によって生じたこのレベルの多反応性IgGは、発熱、嘔吐または頭痛のような有害な副作用を引き起こし得る。
【0029】
従って、自然抗体の多反応性と、本生産方法によって生じた抗体の多反応性と抗イディオタイプ抗体の多反応性とを区別しなければならない。そして、特許出願EP 1 059 088によって出願人が示したように、この出願の方法によって生じた抗体の多反応性から利益を得ることもできる。特許出願EP 1 059 088において、出願人は、ヒト多価IgIVから単離された、血漿に元来含有される多反応性IgGの画分は、この画分の使用用量が少ないために、リウマチ多発性関節炎のようなある種の炎症疾患を治療するのに有利に用いることができることを示した。
【0030】
従って、赤血球の溶血、および治療の間にIgGの大量投与に伴って起こり得る副作用の双方に関する有害反応を回避するために、市場で現在入手可能なIgG濃縮物と比較して抗Aおよび抗B抗体が有意に減少し、免疫療法に関して少なくとも同一の効果を有しつつ、その生産方法によって生じる多反応性が好ましくはかなり低下した、治療用途、特に静脈内注射のためのIgG濃縮物に対する需要が存在するようである。
【発明の開示】
【0031】
従って、本発明は、抗Aおよび抗B抗体の各含有量が、インビトロでの間接クームステストに関して陰性であることを特徴とする、治療用途のための免疫グロブリンG濃縮物に関する。
【0032】
また、本発明は、自然抗体および抗イディオタイプ抗体よりも許容度が低い多反応性抗体を生じさせないことが可能な免疫グロブリンGを生産する方法に関する。このため、該方法で得られたIgIVは、テストされた他のIgIVよりも低い多反応性を有する。
【0033】
本発明によると、これらの濃縮物中のIgGは、好ましくは、血漿から、またはIgGが豊富な血漿画分から得られるポリクローナルIgGである。治療用途のためのIgG濃縮物は、好ましくは現在頻繁に使用されるIgG濃度である50〜100g/Lを有する。これらの濃縮物は臨床用途を意図し、特に静脈内経路によって注射され得る。この目的のために、該濃縮物はウイルス的に安全でなければならず、所望により、この臨床用途に適合する安定化剤のような添加剤を含有することができる。
【0034】
出願人は、標準IgG濃縮物、すなわちエタノール分画および/または前記したクロマトグラフィに関連する精製技術を用いて得られ、抗Aおよび抗B抗体を除去するための処理を受けていないIgG濃縮物に見出される含有量よりもかなり低い抗Aおよび抗B抗体含有量を有するIgG濃縮物を提供することが可能であることを見出した。また、本発明のIgG濃縮物における抗Aおよび抗B抗体の含有量は、治療中である患者の溶血反応を生じさせる危険性について厳しく制限する欧州薬局方が許容している閾値を、大きく下回る。本発明のIgG濃縮物を、抗Aおよび抗B抗体を評価することを意図したテストに供する場合、抗ヒトIgG抗体の存在下でのA、Bおよび/またはAB型の赤血球のインビトロでの凝集試験の結果において、欧州薬局方の方法によって公開された30g/Lの初期濃度では、一貫して陰性であることが顕著に観察される。従って、本発明のIgG濃縮物で、先に定義した間接クームス試験を実施する場合、IgG試料それ自体、すなわち希釈されていないIgG試料であっても一貫して陰性の結果がもたらされる。従って、これらの濃縮物中のこれらの抗Aおよび抗B抗体の含有量は、もはやICTテストによって検出できないようである。
【0035】
IgG濃縮物中の抗Aおよび抗B抗体のレベルが非常に低い場合、欧州薬局方の条件下においては、もはやIATテストを適用することができない。というのは、抗Aおよび抗B抗体の密度が余りにも少なく、赤血球に固定された抗Aおよび抗B抗体と、抗ヒトIgG抗体との結合によって赤血球の間に架橋が形成されなくなるために、抗ヒトIgG抗体を添加しても、赤血球の凝集反応がもはや起こらないからである。
【0036】
しかしながら、これらの抗体を固定した赤血球の免疫溶血反応を利用することによって、抗Aおよび抗B抗体を除去するための処置を受けていない慣用的な濃縮物と本発明の濃縮物とを比較して、抗Aおよび抗B抗体の枯渇の程度を測定し、抗Aおよび/または抗B抗体が非常に低い濃度で存在しているのを証明することは可能である。免疫溶血は、抗体を補体因子の存在下でその標的に付着させた場合に起こる特異的な免疫反応である。補体活性の活性化により、パーフォリンが放出され、これによって、赤血球の膜に穴が開き、ヘモグロビンを放出できるようになる。そして、抗Aおよび抗B抗体の存在量に比例して放出されるヘモグロビンの量を測定するための感度のよい方法、例えば放射性トレーサー(後記参照)を使用する方法を用いればよい。
【0037】
出願人は、本発明のIgG濃縮物において、前記抗A抗体の含有量が23ng/mg IgG以下、かつ前記抗B抗体の含有量が20ng/mg IgG以下、特に12〜20ng/mg IgG以下であることを示した。
【0038】
好ましくは、出願人は、特に本生産方法によって生じた該IgG濃縮物が非常に低い多反応性IgG含有量を有していること、それにより、先行技術のIgG濃縮物と同程度の免疫療法の効果を示すこれらの濃縮物において、非多反応性特性を付与することも可能であることを見出した。本生産方法により得られるこれらのIgGには多反応性特性が顕著に存在しないため、高用量を必要とする処置後に起こり得る副作用の危険性が実質的に低下する。
【0039】
また、好ましくは、本生産方法により得られるIgG濃縮物では、精製の間に、特に酸化的「ストレス」およびカルボニル化によって生じる多反応性IgGの存在に由来する有害効果を修正することも可能である。
【0040】
好ましくは、多反応性IgGの残存含有量は、0.01%〜0.1%、特に0.07〜0.1%の範囲内に含まれる。本発明によると、多反応性IgGの含有量とは、モルまたは重量パーセントを意味する。この含有量は、特許出願EP 1 059 088において出願人が記載した方法を用いて決定される。
【0041】
従って、本発明のIgG濃縮物は、活性成分中に、赤血球上に存在するエピトープに向けられた抗Aおよび抗B抗体が顕著に存在しないことによって規定される。
【0042】
IgG濃縮物は、適切な安定化剤の存在下で液体または凍結乾燥形態であることができ、後に使用するために貯蔵することができる。これらの安定化剤は、好ましくは、出願人によって、その特許出願WO 2004/091656 A2において開発されたもの、すなわち、糖アルコール(好ましくはマンニトール、ソルビトールまたはそれらの異性体)、グリシン、およびノニオン性界面活性剤(Tween(登録商標)80、Tween(登録商標)20、Triton(登録商標)X100またはPluronic(登録商標)F68など)の混合物であり、これらの化合物はすべて薬学的に許容される。
【0043】
処方物の濃度は、出願人によって、液体および/または凍結乾燥形態を安定化するように決定された。
【0044】
好ましくは、濃縮物中のマンニトールの最終濃度は30g/L〜50g/Lの範囲に存在し、界面活性剤の最終濃度は20〜50ppmの範囲に存在し、グリシンの最終濃度は7g/L〜10g/Lの範囲に存在する。これらの化合物の濃度は、IgG濃縮物における最終濃度を表す。
【0045】
治療用途のための該IgG濃縮物は、特に、先に示したように静脈内経路を介して注射することができる。このため、本発明のIgG濃縮物は、当該分野で知られた慣用的な溶媒−界面活性剤処理(例えば、Tween(登録商標)80/TnBPの混合物、またはTriton(登録商標)X 100/TnBPの混合物)に供して、および/または溶媒−界面活性剤を用いた殺ウイルス処理によって除去されなかったおそれのあるウイルスおよび/または他のマクロ分子、例えばプリオン(伝搬性海綿状脳症の病因)を任意に除去するための濾過工程に供して、ウイルス的に安全でなければならない。
【0046】
また、本発明は、以下の工程:
a)ウイルス不活化工程に関連する、エタノール分画および/またはクロマトグラフィ分離によってIgG濃縮物を調製する工程、
b)該IgG濃縮物をイムノアフィニティクロマトグラフィのカラムに通して浸出させる工程であって、該イムノアフィニティクロマトグラフィでは、血液型Aへの抗原類似性を有するオリゴ糖基がグラフトされたマトリックスを有する担体と、血液型Bへの抗原類似性を有するオリゴ糖基がグラフトされたマトリックスを有する担体との混合物をカラムに充填させてイムノアフィニティクロマトグラフィを行う工程、および、
c)濾過によって、20nmよりも大きなサイズのウイルスおよび/または粒子を除去する工程;
を含む、前記したような本発明のIgG濃縮物を得る方法に関する。
【0047】
驚くべきことに、出願人によって、この方法が工業規模で好都合に行うことができるのみならず、IgG濃縮物を調製する工程を、抗Aおよび抗B抗体を除去するための特定の工程と組み合わせることによって、治療用途のための、本発明のIgG濃縮物を得ることが可能であることが見出された。ここで、好ましくは、本発明では、IgGの合計含有量に対して多反応性IgGの含有量が0.1%未満である。さらに、該濃縮物において、望ましくない抗Aおよび抗B抗体の含有量は、欧州薬局方に記載されたテストの下限をはるかに下回り、希釈していない試料であっても、ICTテストにおいて陰性の結果を与える。
【0048】
好ましくは、該方法の工程a)は、それ自体、前述したIgG濃縮物を得る方法であってもよい。例えば、工程a)は、Cohnらによって開発されたエタノール分画、または例えばEP 0 703 922およびWO 99/64462に記載されたようなクロマトグラフィ分離に関する。特に、特許出願WO 94/29334およびWO 02/092632における出願人によって開発された方法、より特別には、WO 02/092632 A1に記載された方法が好ましい。この場合、本発明の方法の工程a)は、血漿からまたは血漿のIgGが豊富な画分からの脂質汚染物の沈殿させる予備精製工程と、アルカリ性pHで行われ、アニオン交換樹脂を用いた単一のクロマトグラフィ工程と、さらにpH4〜7の適切な緩衝液を用いて単一工程でIgGを選択的に溶離させる工程とを含む。
【0049】
該方法の工程a)はウイルス不活化処理を含み、この処理では、好ましくは米国特許第4,764,369号においてHorowitzによって記載された溶媒−界面活性剤を用いる。この処理は、特に、a)の前に、または適用可能な場合には、この処理の後の化学残留物を除去するために行われるクロマトグラフィ工程前に、注意深く行われる。
【0050】
回収されたIgG画分は既に十分に濃縮されており、次いで、限外濾過および滅菌濾過によるさらなる濃縮工程を経ることができる。
【0051】
次いで、この濃縮物は、血液型AおよびBに対して同様性または類似性を有する抗原基でグラフトされた2種類の担体の混合物上で、好ましくは、該担体混合物を充填したカラムを用いて、イムノアフィニティクロマトグラフィに付される。
【0052】
好ましくは、クロマトグラフィの担体は、アガロースタイプの天然架橋ポリマーマトリックスよりなり、マトリックス上ではスペーサーアームまたはカップリングアームがグラフトされ、これらのアームは次いで血液型AおよびBのエピトープに対応するオリゴ糖、好ましくは三糖であるオリゴ糖でグラフトされている。特に、血液型Aのエピトープに対応する三糖が構造N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)−ガラクトース(Gal)−フコース(Fuc)を有する該単体を用いる場合や、血液型Bのエピトープに対応する三糖が、構造ガラクトース−ガラクトース−フコースを有する該単体を用いる場合、非常に良好な結果が得られている。該担体としては、非常に好ましくは、Glycorex Transplantation AS(Sweden)から商品名GLYCOSORB ABO(登録商標)として市販されているゲルまたは樹脂が挙げられる。
【0053】
一例として、この担体を使用する場合、血液型Aのエピトープに対応する三糖は以下の構造を有する:
【0054】
【化1】

【0055】
N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)
ガラクトース(Gal)
フコース(Fuc)
【0056】
また、例えば、この担体を使用する場合、血液型Bのエピトープに対応する三糖は以下の構造を有する:
【0057】
【化2】

【0058】
好ましくは、血液型Aおよび血液型Bと同様または類似の抗原基でグラフトされた担体混合物において、血液型Aおよび血液型Bに対応するそれぞれの担体の割合は、27/75〜75/25(v/v)である。効果的には、ドナー集団の血液型の分布に従って、ドナー集団に対するカラム中の2種類の担体の割合を調整することが可能である。通常の使用では、カラムには、好ましくは、前記した各担体の50/50(v/v)混合物が充填されている。また長さが15〜25cm、直径が0.5〜1cmの分析カラムを用いることができる。パイロット規模での適用では、長さが40〜60cm、幅が40〜60mmのカラムを用いることができる。この場合、カラムに600mLのイムノアフィニティの担体を充填することが可能である。
【0059】
該担体は、2サイクルの使用の間は1M NaOH中で貯蔵され、使用の前に、水で洗浄される。
【0060】
次いで、イムノアフィニティクロマトグラフィのカラムには、担体1ミリリットル当たり、好ましくは0.2〜4リットル、特に好ましくは1〜2リットルの割合でIgG濃縮物が負荷される。前記担体が特異性を有するため、予めIgG画分のパッキング(packing)をすることは必要ではない。すなわち、先行技術において既知の血漿分画技術によって得られたあらゆるIgG画分または濃縮物が適切に本発明で用いられる。
【0061】
該濃縮物の浸出(percolation)において、容離メカニズムは何ら伴わない。従って、IgG濃縮物が得られる様式にかかわらず、濃縮物は、所望によりポンプを用いてカラムを通って浸出する。この浸出により、抗Aおよび抗B抗体、および多反応性IgGのカラムでの保持が可能となる。好ましくは、カラムを次いで水で洗浄して、カラムのデッドボリュームに依然として存在するIgGを回収する。
【0062】
IgG濃縮物を浸出させた後、本生産方法に由来する抗Aおよび抗B抗体、および多反応性IgGが枯渇したIgG画分が得られる。抗Aおよび抗B抗体は、それらの抗体の立体配座を修飾するクロマトグラフィの担体のそれぞれの抗原性モチーフ上に保持される。そして、本生産方法の間に生じた多反応性IgGも、この立体配座の変化によって露出する部位に保持される。二次的に保持されたこれらの多反応性IgGの親和性は、抗Aおよび抗B抗体の親和性よりもかなり低い。これらの保持されたIgGの溶離は、浸出前のIgG濃縮物を通過させた後、pH3〜8.6において0.1〜1.5Mの濃度の、例えばアルカリ土類金属塩を含有する容離用緩衝液を使用することによって、分取することができる。
【0063】
工程b)の後、本発明の方法は、限外濾過および滅菌濾過による濃縮工程を含むことができる。
【0064】
次いで、クロマトグラフィカラムおよび担体を、担体に保持された抗Aおよび抗B抗体の脱着のために、グリシン−HCl(pH2.8)のような酸溶液で洗浄する。次いで、この担体を水ですすぎ、1M NaOH溶液で処理する。
【0065】
次いで、抗Aおよび抗B抗体、および多反応性IgGが高度に枯渇したIgG濃縮物を濾過に付して、溶媒−界面活性剤処理では除去できなかった可能性のあるウイルスおよび/またはプリオンのような20nmを超えるサイズの他の粒子、生産工程の間に生じたIgGポリマー、ミセルリポ多糖、凝集した核酸および蛋白質のような20nmよりも大きなサイズの他の粒子を除去する。該処理は、好ましくは、多孔度100から15nmに減少させるフィルターを用いて行われ、特に好ましくは、直列に配列され(arranged in series)、100、50および20nmと保持閾値が減少する3つのフィルターで実行されるナノ濾過である。
【0066】
本発明の方法では、工程c)の後に、安定化剤を加えることにより、第一に、貯蔵の間のIgG濃縮物の安定性を確保し、第二に、凍結乾燥に関連するさまざまな局面でのIgGの変性を妨げつつ、凍結乾燥を行う工程をさらに含むことができる。好ましくは、特許出願WO 2004/091656 A2に記載されたように、安定化単一製剤が加えられる。この安定化処方物は、医薬上許容され、IgGの2つの考えられる貯蔵形態、すなわち液体形態または凍結乾燥形態を安定化させ、これらのIgGの治療効率を維持し、さらには改善するという目的に合致している。
【0067】
他の実施形態によると、他の免疫グロブリンの選択的回収も、特許WO 02/092632 A1に記載されたように、可能である。
【0068】
IgG濃縮物は、所望により、引き続いて限外濾過による濃縮工程、それに続く滅菌濾過に付され、好ましくは4℃の領域における温度の瓶に貯蔵することができる。
【0069】
先に概ね説明したように、本発明のIgG濃縮物では、抗Aおよび抗B抗体含有量が欧州薬局方によって許容される閾値を大きく下回る。従って、欧州薬局方に記載された分析方法2.6.20(1997)では、本発明のIgG濃縮物に非常に低いレベルで存在する対象抗体を検出するのには感度が不十分であるおそれがある。従って、抗Aおよび抗B抗体の検出に適用される、欧州薬局方におけるICTテストの検出閾値よりも低い検出閾値を必要とするこれらの抗体のための分析方法の開発が必要となる。
【0070】
本発明のIgG濃縮物中の抗Aおよび/または抗B抗体についての該分析方法は:
a)Rh+のA、Bおよび/またはO型の赤血球の懸濁液を調製し、それを較正(calibrate)する工程、
b)生物学的に許容される緩衝液中において、0〜200ng/mLの濃度範囲にわたってモノクローナル抗D抗体の溶液を調製する工程、
c)IgG溶液の試料またはモノクローナル抗D抗体の溶液と、該赤血球とを接触させ、得られた赤血球の混合物を所定時間インキュベートする工程、
d)各赤血球混合物に、蛍光色素で標識した抗ヒトIgG抗体F(ab’)の断片を加え、該赤血球をインキュベートすること、
e)工程d)で得られた赤血球の各混合物をフローサイトメトリーに付す工程、
f)IgG濃縮物中の抗Aおよび/または抗B抗体の含有量を決定する工程
よりなる工程を含む。
【0071】
抗Aおよび/または抗B抗体の含有量を決定するための該方法の1つの実施形態としては、0.8〜1.5wt%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有し、pH7.0〜7.4のPBS緩衝液において、A、Bおよび/またはO型の赤血球の1%v/v懸濁液を調製することが挙げられる。懸濁液中の赤血球を、当業者に知られている通常のフローサイトメトリーデバイスでカウントし、次いで、懸濁液を、赤血球37〜43×10個/1mL懸濁液に較正する。
【0072】
濃度0〜200ng/1mL緩衝液のモノクローナル抗D抗体の溶液が調整され、好ましくは、この溶液は所望により0.8〜1.5wt%のウシ血清アルブミンBSAを含有する、pH7.0〜7.4のPBS緩衝液である。こうして調製された各溶液を吸収測定によって測定して、そのモル吸光係数(ε)を決定する。
【0073】
次いで、0.8〜1.5wt%のウシ血清アルブミンBSAを含有し、pH7.0〜7.4のPBS緩衝液を用いて、本発明のIgG濃縮物を1〜5mg/mLの値の範囲、好ましくは1mg/mLの濃度に調整する。
【0074】
各血液型の赤血球の懸濁液50〜100μLを、マイクロプレート、例えば、96ウェルマイクロプレートの各ウェルに入れ、続いて、この赤血球の懸濁液中に50〜100μLのIgG溶液、または50〜100μLの抗D抗体溶液を入れる。
【0075】
全体を、通常は30〜40℃、好ましくは37℃の温度で、1時間30分〜2時間30分の間、特に2時間インキュベートする。
【0076】
次いで、得られた赤血球のさまざまな混合物を、好ましくは、前記したBSAを含有するPBS緩衝液で洗浄し、遠心し、次いで、マイクロウェルプレートに入った赤血球の各混合物に対して、蛍光色素、例えばフィコエリスリンで標識されたF(ab’)ヤギ抗ヒトIgG抗体を含有するPBSおよびBSA緩衝液50〜100μLを加える。
【0077】
全体を暗所で20〜30分程度インキュベートさせる。
【0078】
次いで、このようにして得られた赤血球の混合物を洗浄し、分析に供される化合物の蛍光を検出するデバイスを備える市販の適切な装置を用いるフローサイトメトリーに付す。
【0079】
モノクローナル抗D抗体の濃度に対して平均蛍光強度(MFI)が与えられ、Excelソフトウェアを用いて直線回帰方程式が得られる。次いで、各試料について、直線回帰方程式を使用して抗D抗体同等物における濃度を得る。3つのバッチの試料を分析した後、平均濃度を決定し、Excelソフトウェアを用いて変動係数を計算する。
【0080】
本発明のIgG濃縮物における抗Aおよび抗B抗体の含有量は、そこから推定することができ、これは、好ましくは前記した含有量である。
【0081】
好ましくは、前記IgG濃縮物中での抗Aおよび抗B抗体についての1つの分析方法は、本発明の状況に適合させたフローサイトメトリーによって行われ、その原理は、抗Aおよび抗B抗体の含有量に比例した蛍光シグナルの検出を利用して、これらの抗体含有量の所望の特異的定量法に従って、血液型AまたはBのヒト赤血球を用いることに基づく。
【0082】
該分析方法は:
a)血液型AまたはBの赤血球の懸濁液を調製し、較正すること、
b)該赤血球をIgG溶液の希釈試料と接触させ、得られた混合物を所定の時間の間インキュベートすること、
c)蛍光色素で標識されたIgG抗体の存在下で該赤血球をインキュベートすること、および、
d)工程c)で得られた赤血球の懸濁液をフローサイトメトリーに付すこと
よりなる工程を含む。
【0083】
0.8〜1.5wt%のウシ血清アルブミンBSAを含有し、pH7.0〜7.4のPBS緩衝液を用いてAまたはB型の赤血球の1%(v/v)懸濁液を調製する。懸濁液中の赤血球を、その機能が当業者に知られた通常のフローサイトメトリーデバイスでカウントし、懸濁液を赤血球37〜43×10個/1mL懸濁液へと較正する。
【0084】
この懸濁液50〜100μLを96ウェルマイクロプレートの各ウェルに入れ、続いて、30g/Lの溶液から0.234g/LのIgG溶液が得られるまで、2×2単位ずつで希釈された様々なIgG溶液を50〜100μLの範囲で入れる。
【0085】
全体を、通常は30〜40℃の範囲、好ましくは37℃の温度で、1時間30分〜2時間30分の間、特に2時間インキュベートする。
【0086】
次いで、赤血球を、前記BSAを含有するPBS緩衝液で洗浄し、遠心し、次いで、フィコエリスリンのような蛍光色素で標識された50〜100μLのF(ab’)ヤギ抗ヒトIgG抗体を各ウェルに加える。
【0087】
前記工程cの後、全体を光から遠ざけて20〜30分程度インキュベートする。
【0088】
次いで、得られた懸濁液を洗浄し、分析に供された化合物についての蛍光検出デバイスを備えた市販の適当な装置を用いてフローサイトメトリーに付す。
【0089】
例えば、3種類のIgG濃縮物(B1、B2およびB3と称す)の抗Aおよび抗B抗体の含有量を、以下の表1に示す。B1は、Cohnの方法によるエタノール分画、B2は特許出願WO 02/092632、B3は特許出願WO 02/092632に続いて抗Aおよび抗B抗体を取り除くためのイムノアフィニティクロマトグラフィ操作によってそれぞれ調製された。これらの抗体の含有量を、試料B1中の抗Aおよび抗B抗体の対照力価を1と設定して比較した結果として示す。
【0090】
【表1】

【0091】
この表中の結果により、第一に、Cohnの方法に従って調製されたIgG濃縮物(B1)の抗Aおよび抗B抗体の含有量は、WO 02/092632に記載された方法に従って調製されたIgG濃縮物(B2)における含有量よりも4倍程度少ないことが示される。また、特定のイムノアフィニティカラムを用いてこれらのIgG濃縮物を引き続いて処理すると(B3)、抗A抗体の力価を約5倍、また抗B抗体の力価を約7倍低下させる。
【0092】
抗Aおよび抗B抗体の含有量を決定するために、好都合に適用することができる別の方法としては、当業者に知られている補体であって、本発明の需要に応じて特別に設計された補体でのインビトロでの溶解が挙げられる。
【0093】
この分析方法は:
a)A、B、ABおよびO型の中から選択され、予めカウントされたパパイン処理済赤血球の懸濁液を、適切な放射性マーカーを用いて放射性標識する工程、
b)放射性標識した赤血球を、所定の容量のIgG濃縮物の試料と接触させる工程、
c)工程b)における容量と同じ容量の血液型ABからの標準血清を加える工程、
d)工程c)で得られた混合物を所定の時間の間インキュベートする工程、および
e)インキュベートして得られた溶液の放射活性を測定する工程
よりなる工程を含む。
【0094】
血液型A、B、ABまたはOのパパイン処理赤血球の1%(v/v)懸濁液を調製し、これを、次いで、マラッセ(Malasse)セルを用いてカウントし、10個の赤血球を得る。そして100μCiの51Cr(赤血球1容量当たり1容量)を加え、全体を1時間〜2時間インキュベートし、次いで、放射性標識した赤血球を4〜6回洗浄する。
【0095】
次いで、放射性標識した赤血球をIgG濃縮物の試料とを、例えば容量100μLにおいて、放射性標識した4〜6×10個の赤血球当たり、好ましくは1〜3mg/mL、特に1.2mg/mLのIgG濃縮物と接触させる。
【0096】
次いで、前記容量と同一の容量、例えば100μLの血液型ABからの標準血清を前記混合物に加えて、別の補体因子を得る。
【0097】
次いで、得られた反応混合物を、通常30〜40℃、好ましくは37℃の温度で3〜5時間、特に好ましくは4時間インキュベートする。
【0098】
次いで、反応混合物を好ましくは遠心し、インキュベートされた溶液の放射活性を適切な市販のデバイスを用いて測定する。測定された溶液の放射活性は、処理された赤血球の溶血の程度に比例するため、抗Aおよび抗B抗体の含有量に比例する。
【0099】
例として、本発明のIgG濃縮物(B3)、および市販の全ての濃縮物の中で最も低い溶血レベルを有する先行技術のIgG濃縮物(C1)を検討し、血液型A、BおよびABの赤血球について得られた溶血の程度を、以下の表2に示す。
【0100】
【表2】

【0101】
以下の実施例は、本発明の実施形態を説明するが、その範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0102】
IgG濃縮物の40g/L試料(B2)を、WO 02/092632に記載された方法に従って得る。
【0103】
長さが50cm、直径が44mmのクロマトグラフィカラムに、血液型Aおよび血液型Bのエピトープに対応する三糖をグラフトしたGLYCOSORB ABO(登録商標)担体の混合物(A型対応物/B型対応物=50/50(v/v))を充填し、次いで、1200mLの水で予備洗浄工程に付す。
【0104】
IgG濃縮物(B2)を、ポンプを用いて0.2L/mL担体の割合で、担体に注入する。一旦この容量がカラムから浸出すれば、注射用製剤(IP)のための最低量の水で洗浄して、カラムのデッドボリュームに存在するIgGを回収する。
【0105】
抗Aおよび抗B抗体、および多反応性IgGが枯渇したIgG濃縮物(B3)を40g/L程度で回収し、次いで、これを限外濾過に付して、濃縮物を60g/Lとし、そしてナノ濾過に付して、直列に配列されて100、50および20nmの減少する保持閾値を有する3つのフィルター上でウイルスを除去する。
【0106】
グリシン(7g/L)、マンニトール(30g/L)および20ppmのTween 80(登録商標)の混合物よりなる安定化剤を、濃度60g/LのIgG濃縮物に溶解させ、そしてPI水(パイウォーター)を用いてIgG濃縮物の濃度を50g/Lに調整し、次いで、濃縮物を滅菌濾過に付し、瓶に分ける。
【実施例2】
【0107】
IgIV中の抗A/Bの定量
1)分析の原理
1−1)ヒト赤血球の調製
Rh+A型、Rh+B型またはRh+O型のヒト赤血球の懸濁液を、pH=7.4のPBS緩衝液(1%BSAを含む)中の40×10赤血球/mLの濃度まで正規化する。
【0108】
1−2)モノクローナル抗Dレンジの調製
モノクローナル抗Dの製剤(R297と呼ばれる)について、pH7.4のそのPBS緩衝液に対する280nmにおける光学密度(OD)を測定する。蛋白質のモル吸光係数(ε)を、さまざまなアミノ酸におけるその組成に対して計算し、モノクローナル抗Dの濃度(C)を、式:
C=OD/El(式中、l=OD測定を行うための容器の幅)
を適用することによって得る。
【0109】
0〜200ng/mLの範囲において、12の濃度(200;150;100;75;50;25;12.5;6.25;3.13;1.56;0.78および0ng/mL)のモノクローナル抗D抗体を産生する。
【0110】
1−3)免疫グロブリン溶液の調製
市販のさまざまな静注用免疫グロブリンをテストした。これらの免疫グロブリンの主な特徴を、以下の表に詳細に記載する。
【0111】
【表3】

*WO 02/092632に記載された方法に続いて、実施例1に記載したイムノアフィニティ工程によって得た。
**実施例1に記載したイムノアフィニティ工程を行わずにWO 02/092632に記載された方法に従って得た。
【0112】
さまざまな免疫グロブリン製剤を、pH7.4のPBS(1%BSAを含む)緩衝液を用いて1mg/mLの濃度に調整する。
【0113】
1−4)赤血球の感作
丸底マイクロプレートにおいて、以下のものをウェル中に堆積させる:
・1mL当り40×10個の赤血球を含む、Rh+A型、Rh+B型またはRh+O型の赤血球の50μLの懸濁液、
・50μLの各レンジの抗D、または50μLの測定用の静注用Ig濃縮物試料。
そして、これらを3つのバッチで堆積させる。
次いで、プレートを撹拌下で37℃で2時間インキュベートする。
【0114】
1−5)洗浄
プレートを770gで1分間遠心する。逆さにして上清を捨て、次いで、200μLの1%BSA含有PBSを各ウェルに加える。該操作を3回繰り返す。
【0115】
1−6)コンジュゲートの添加および洗浄
フィコエリスリン(PE)(Beckmann Coulter、Ref:PN IM0550)で標識されたヤギ抗ヒトIgG F(ab’)(Fc特異的)をpH7.4の1%BSA含有PBS緩衝液で1/20まで希釈し、次いで、この溶液50μLを各ウェル中で堆積させる。次いで、プレートを暗所で室温にて20〜30分間インキュベートする。パラグラフ1−5)に記載したように連続的に洗浄を3回行う。
【0116】
1−7)フローサイトメトリーの読み取り
赤血球の懸濁液を適切なプログラムを用いてフローサイトメーター(Beckmann Coulter FC500)から読み取る。読み取りは、50000事象で行い、装置は各ドットまたは試料の平均蛍光強度(MFI)を自動的に計算する。
【0117】
1−8)結果の解釈
モノクローナル抗D抗体の濃度との関連でMFIが得られ、Excelソフトウェアを用いて直線回帰方程式が得られる。次いで、各試料について、同等な抗D抗体における濃度を、直線回帰方程式を用いて得る。試料を3反復で測定した後、平均濃度を決定し、Excelソフトウェアを用いて変動係数(CV)を計算する。
【0118】
2)結果
【表4】

【0119】
【表5】

【0120】
3)結論
アフィニティ工程は抗Aおよび抗B抗体の除去のために非常に有効である。市販のテストしたさまざまな免疫グロブリンの中では、製品IgNG2が最も少ない抗Aおよび抗B抗体を含有する製品である。
【実施例3】
【0121】
血液型Aの赤血球の1%(v/v)懸濁液を、1wt%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有するpH7.4のPBS緩衝液中で調製する。赤血球の懸濁液を50μL取り、流動を測定する内部標識溶液50μLと共にフローサイトメーターのチューブ(Beckmann−Coulter Epics XL)に加える。懸濁液を赤血球40×10個/mLとなるよう較正する。
【0122】
8バッチのIgG溶液を、実施例1で得られたIgG濃縮物(v/v)(B3)を2倍ずつ連続的に希釈して調製した。最も濃度の高いバッチは30g/Lを有し、最も濃度の低いバッチは0.234g/Lを有する。次いで、前記懸濁液50μLを96ウェルプレートの各ウェルに入れ、続いて、50μLのさまざまな濃度に希釈されたIgG溶液を入れる。
【0123】
全体を37℃、撹拌下で2時間インキュベートさせる。
次いで、各ウェルを1%BSAを含有する200μLのPBS緩衝液で洗浄し、マイクロプレートを2000rpmで1分間遠心する。上清を除去した後、フィコエリスリン蛍光色素(Beckmann Coulter)で標識し、PBS−BSAで1/20まで希釈したヤギ抗ヒトIgG F(ab’)抗体の溶液50μLを加える。
【0124】
全体を暗所にて30分間インキュベートさせる。
次いで、得られた懸濁液を前記したように洗浄する。
【0125】
各ウェルの残渣を100μLのPBS−BSAに溶解させる。マイクロプレートの各ウェルに入っている容量を、500μLのアイソフロー(Iso flow)シース液(Coulter社)を加えたチューブに移し、次いで、データ獲得および結果の分析用のソフトウェアを備えたCoulter−Beckmann Epics XL装置でのフローサイトメトリーに付す。蛍光分析を、各試料について測定する。
【0126】
同じ手順を血液型Bの赤血球について行う。
この操作モードを3つの異なるバッチのIgG(B3)について行い、Cohnの方法(先に引用)に従ってエタノール分画によって調製された3つの異なるバッチのIgG(B1)にも適用する。
【0127】
得られた結果を以下の表3に示す。
【表6】

【実施例4】
【0128】
A、B、ABまたはO型のパパイン処理赤血球の1%(v/v)懸濁液を調製し、マラッセセルを用いてカウントし、10個の赤血球を得て、100μCiの51Crを加える(赤血球の1容量当たり1容量)。全体を1時間インキュベートし、次いで、放射性標識した赤血球を5回洗浄する。
【0129】
次いで、放射性標識した赤血球と実施例1で得られたIgG濃縮物(B3)の試料とを、容量100μLにおいて、放射性標識した5×10個の赤血球に対して、1.2mg/mLのIgG濃縮物の割合で接触させる。
【0130】
次いで、前記100μLと同じ容量の血液型ABからの標準血清を前記した混合物に加えて、さまざまな補体因子を得る。
【0131】
次いで、得られた反応混合物を37℃の温度で4時間インキュベートする。
次いで、反応混合物を2000rpmで1分間遠心し、インキュベートした上清溶液の放射活性を市販の適切なデバイスを用いて測定する。溶液の測定された放射活性は、処理された赤血球の溶血の程度、そして結果的には抗Aおよび抗B抗体の含有量に比例する。
【0132】
同じ手順を、全てがRh+である血液型B、ABおよびOの赤血球について、また型O+からの血清の試料について行う。この操作モードを3つの異なるバッチのIgG(B3)について行う。
【0133】
加えて、該手順を、3つのバッチのIgG濃縮物の市販の試料(C2〜C4と称する)、および陰性のコントロールとして含められ、Rh+O型からの血清の試料(C5と称する)に適用する。
【0134】
溶液の測定された放射活性は、処理された赤血球の溶血の程度、そして結果的には赤血球に結合した抗Aおよび抗B抗体の量に比例する。
【0135】
溶血の結果を以下の表4に示す。
【表7】

【0136】
得られた結果は、本発明に従ってアフィニティクロマトグラフィに付されたIgG濃縮物B3が、最も低い抗Aおよび抗B抗体を含有することを示す。なぜなら、B3ではさまざまな血液型に由来する赤血球の溶血パーセンテージが最も低いからである。
【0137】
陰性対照として含めた表現型O+の赤血球では溶血は観察されない。
【実施例5】
【0138】
実施例1に記載した(イムノアフィニティクロマトグラフィ前の)IgG濃縮物(B2)およびこのクロマトグラフィ後におけるIgG濃縮物(B3)の多反応性の測定。
これらのIgG濃縮物の多反応性の測定を、多反応性IgGと反応する2つの抗原を用いて特許出願EP 1 059 088に従って行う。これらはジニトロフェニル基(DNPアルブミン)によって修飾されたミオシンおよびアルブミンである。
【0139】
表5に、IgG含有量を参照として任意に1に設定した、実施例3の試料B2、B3およびC4における多反応性IgGの濃縮係数(enrichment factor)を示す。
【0140】
これらの測定は、検討中のIgG濃縮物の3つの異なるバッチについて行った。
【表8】

【0141】
これらの結果は、本発明のIgG濃縮物B3が先行技術の濃縮物C4よりも5〜8倍多反応性の低いIgGを含有することを示す。
【実施例6】
【0142】
抗Aおよび抗B抗体、および多反応性IgGが枯渇したIgG濃縮物(B3)の効果を、IgG濃縮物(B1)と比較する実施例
テストは、本発明のIgG濃縮物の免疫変調活性を評価する目的で処理されたFcγRIおよびFcγRIII受容体が欠乏したマウスを用いた。これらの動物を、血小板減少性紫斑病のモデルとして用いた。
【0143】
対照として、Cohnに従ってエタノール分画によって得られたIgG濃縮物(B1)を用いた。
【0144】
実験プロトコルは、Teeling J.L.ら(Blood, 15/08/2001, vol.98, number 4, pp. 1095 - 1099)によって記載されたプロトコルであった。
【0145】
抗血小板モノクローナルIgGの注射によって9×10個/mLから2×10個/mLに破壊された血小板は、1g/kgである治療用量のIgG濃縮物B1およびB3で処理された動物において7×10個/mLまで上昇した。
【0146】
本発明によるIgG濃縮物(B3)の免疫変調活性は、イムノアフィニティクロマトグラフィによって改変されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビトロの間接クームス試験について陰性の結果をもたらす含有量の抗Aおよび抗B抗体をそれぞれ有することを特徴とする、治療用の免疫グロブリンG(IgG)の濃縮物。
【請求項2】
請求項1の濃縮物において、前記抗A抗体の含有量が23ng/mg IgG以下であり、かつ前記抗B抗体の含有量が20ng/mg IgG以下である免疫グロブリンGの濃縮物。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかの濃縮物において、全IgG含有量に対する多反応性IgGの含有量が、0.01%〜0.1%、特に0.07〜0.1%である免疫グロブリンGの濃縮物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの濃縮物において、前記濃縮物の貯蔵を行うための安定化剤を含有する濃縮物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの濃縮物において、前記安定化剤が、糖アルコール、グリシンおよびノニオン性界面活性剤の混合物であり、好ましくは糖アルコールがマンニトールまたはソルビトールである濃縮物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの濃縮物において、静脈内経路を介して注射することができる濃縮物。
【請求項7】
a)ウイルス不活化工程に関連する、エタノール分画および/またはクロマトグラフィ分離によってIgG濃縮物を調製する工程、
b)該IgG濃縮物をイムノアフィニティクロマトグラフィのカラムに通して浸出させる工程であって、該イムノアフィニティクロマトグラフィでは、血液型Aへの抗原類似性を有するオリゴ糖基がグラフトされたマトリックスを有する担体と、血液型Bへの抗原類似性を有するオリゴ糖基がグラフトされたマトリックスを有する担体との混合物をカラムに充填させてイムノアフィニティクロマトグラフィを行う工程、および
c)濾過によって、20nmよりも大きなサイズのウイルスおよび/または粒子を除去する工程
を含む、請求項1〜6のいずれか記載のIgG濃縮物を得る方法。
【請求項8】
請求項7の方法において、前記工程a)が、血漿から、または血漿のIgGの豊富な画分から脂質汚染物を沈殿させる予備的精製工程と、アルカリ性pHで行うアニオン交換樹脂を用いて行われる単回のクロマトグラフィ工程と、さらにpH4〜7の適切な緩衝液を用いて単工程でIgGを選択的に溶離させる工程とを含む方法。
【請求項9】
請求項7または8において、前記オリゴ糖基が、血液型AおよびBのエピトープに対応する三糖である方法。
【請求項10】
請求項9において、血液型Aのエピトープに対応する前記三糖が構造N−アセチル−ガラクトサミン(GalNAc)−ガラクトース(Gal)−フコース(Fuc)を有し、血液型Bのエピトープに対応する三糖が構造ガラクトース−ガラクトース−フコースを有する方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかにおいて、前記ウイルス不活化工程が溶媒−界面活性剤を用いて行われる方法。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかにおいて、血液型Aおよび血液型Bに対する抗原類似性を有するオリゴ糖基でグラフトされた担体混合物が、血液型Aおよび血液型Bに対応するそれぞれの担体について、25/75〜75/25(v/v)、好ましくは50/50(v/v)の各割合を有する方法。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれかにおいて、限外濾過および滅菌濾過によって濃縮する工程を含む方法。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれかにおいて、ウイルスを除去するための濾過が、ナノ濾過によって行われる方法。
【請求項15】
請求項7〜14のいずれかにおいて、工程c)の後に、前記IgG濃縮物を貯蔵するための安定化剤を加える工程を含む方法。
【請求項16】
a)血液型AまたはBの赤血球の懸濁液を調製し、それを較正する工程、
b)該赤血球をIgG溶液の希釈試料と接触させ、得られた混合物を所定の時間インキュベートする工程、
c)蛍光色素で標識された抗IgG抗体の存在下で該赤血球をインキュベートする工程、および
d)工程c)で得られた赤血球の懸濁液をフローサイトメトリーに付す工程
を含む、請求項1〜6のいずれかに記載される免疫グロブリンGの濃縮物における抗Aおよび抗B抗体の分析方法。
【請求項17】
a)A、B、ABおよびO型の中から選択され、予めカウントされたパパイン処理済赤血球の懸濁液を、適切な放射性マーカーを用いて放射性標識する工程、
b)放射性標識した赤血球を、所定容量のIgG濃縮物の試料と接触させる工程、
c)工程b)における容量と同一容量であるAB型の標準血清を加える工程、
d)工程c)で得られた混合物を所定の時間インキュベートする工程、および
e)インキュベートして得られた溶液の放射活性を測定する工程
を含む、請求項1〜6のいずれかに記載される免疫グロブリンGの濃縮物における抗Aおよび抗B抗体の分析方法。

【公表番号】特表2009−521520(P2009−521520A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548014(P2008−548014)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002889
【国際公開番号】WO2007/077365
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508191879)ラボラトゥワール・フランセ・ドゥ・フラクションマン・エ・デ・ビオテクノロジー・ソシエテ・アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】LABORATOIRE FRANCAIS DU FRACTIONNEMENT ET DES BIOTECHNOLOGIES Societe Anonyme
【Fターム(参考)】