説明

折板屋根の換気構造

【課題】効率的に換気が行え、折板屋根の有効性を高めることができ、実用的価値が高い折板屋根の換気構造を提供する。
【解決手段】本発明の折板屋根1の換気構造は、折板屋根1の隣接する外装材の立ち上がり部間に跨って、少なくとも換気機能を有する外設装置を取り付けてなる換気構造において、前記外設装置2の水上側又は水下側には、被覆材3が隣接状に配され、前記外設装置2と前記被覆材3とは、裏面側には排水部材4が配設されて接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率的に換気が行え、折板屋根の有効性を高めることができ、実用的価値が高い折板屋根の換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より折板屋根は、比較的面強度の高い折板(金属製屋根材)にて勾配の緩やかな屋根面を構築するため、施工作業が容易であり、丈夫な屋根を構築できるという反面、屋根裏には空気や熱量、湿気が滞留するという問題があった。
そして、高温多湿の国内では、結露によるカビ・シミ等の原因となる多湿な空気(=湿気)が屋根裏に籠もることは、住環境へ好ましからざる悪影響を与えてしまうため、この解決が望まれていた。
【0003】
前記換気のためには、電動ファン等にて強制的に屋根裏に滞留した空気を拡散させる方法が知られているが、電源の確保や漏電といった問題もあるため、それらの問題を生じない自然換気が求められている。
自然換気を利用する構造としては、例えば特許文献1に、一部の折板の山頂部に複数の開口部を形成し、その折板を覆うように、側面にルーバーを備えた換気カバーを被冠状に固定してなる換気機構が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−37854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の提案は、屋根面を構成する一部の折板に開口部を形成し、換気カバーを取り付ける構成であるため、十分な換気効果を上げることができない。即ち換気カバーの大きさは、屋根面の山部とほぼ同様であるから、多大な換気効果を得ようとする場合には、多くの山部に対してそれぞれ換気カバーを取り付ける必要があり、費用対効果が著しく低く、到底採用できないものであった。
【0006】
そこで、本発明は、効率的に換気が行え、折板屋根の有効性を高めることができ、実用的価値が高い折板屋根の換気構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間に跨って、少なくとも換気機能を有する外設装置を取り付けてなる換気構造において、前記外設装置の水上側又は水下側には、被覆材が隣接状に配され、前記外設装置と前記被覆材とは、裏面側には排水部材が配設されて接続されていることを特徴とする折板屋根の換気構造に関するものである。
【0008】
また、本発明は、前記換気構造において、外設装置の裏面側に、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間を連結する第1支持材が配設されていることを特徴とする折板屋根の換気構造をも提案する。
【0009】
また、本発明は、前記換気構造において、外設装置の水上側端部又は水下側端部には、排水部材を裏面側から支持する第2支持材が隣接する外装材の立ち上がり部間に架設するように配設されていることを特徴とする折板屋根の換気構造をも提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の折板屋根の換気構造は、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間に跨って換気機能を有する外設装置を取り付けるものであり、屋根裏に滞留する熱気や空気、湿気を集めて外部へ放出することができ、換気効果が極めて高いものである。
また、外設装置の水上側又は水下側に隣接して被覆材を配するが、その接続部分から雨水等が浸入しようとしても、裏面側に配設された排水部材にて屋根面へ導かれるため、雨仕舞い性を低下させない換気構造を構築できるものである。
【0011】
また、外設装置の裏面側に、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間を連結する第1支持材が配設されている場合には、隣接する外装材の立ち上がり部間の距離を一定に維持することができるため、外設装置や被覆材が外れることがない。
【0012】
また、外設装置の水上側端部又は水下側端部に、排水部材を裏面側から支持する第2支持材が隣接する外装材の立ち上がり部間を連結するように配設されている場合には、前記第1支持材と同様の効果が果たされ、更に排水部材が安定に所定位置に配設されるため、前述の排水部材の効果、即ち排水(導水)効果が確実に且つ継続的に果たされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)本発明の換気構造の実施例を示す側面図(外設装置と被覆材との接続部分を拡大して付記した)、(b)前記換気構造のA−A線における断面図(外設装置の支持部分を拡大して付記した)である。
【図2】(a)折板屋根を構成する保持部材を示す拡大正面図、(b)折板屋根を構成する屋根材を示す拡大正面図、(c)換気構造を構成する排水部材を示す側面図及び正面図、(d)換気構造を構成する第1支持材を示す側面図及び正面図、(e)換気構造を構成する第2支持材を示す側面図及び正面図である。
【図3】実施例の換気構造の中央付近を示す拡大断面図である。
【図4】実施例の換気構造の端部付近を示す拡大断面図である。
【図5】(a)実施例の換気構造の施工手順を示し、隣接する外装材の立ち上がり部間を連結する第1支持材及び第2支持材を配設した状態を示す斜視図、(b)更に排水部材及び固定板材を固定した状態を示す斜視図、(c)更に外設装置を取り付けた状態を示す斜視図、(d)被覆材を取り付けた状態を示す斜視図、(f)実施例の換気構造(取り付けた外設装置の水下側に化粧面板を取り付けた状態)を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の折板屋根の換気構造は、少なくとも換気機能を有する外設装置と、該外設装置に隣接して配される被覆材(化粧屋根材)と、前記外設装置と前記被覆材の裏面側に配される排水部材とからなる。
以下、各部材について説明する。
【0015】
外設装置は、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間に跨って配設されるものであり、前述のように少なくとも換気機能を有する構成であればよく、PVパネルや採光パネル等の併用でもよい。例えば左右に換気面を有し、該換気面は雨仕舞い性を備える構成としてもよく、この場合、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間に跨って配設されるので、折板屋根の山部より高い位置に配設され、各山部に滞留した熱気や空気、湿気を集める作用が果たされ、集めた熱気や空気、湿気を外設装置にて外部へ放出することができる。
この外設装置としては、後述する図示実施例のようにフレームの表面側及び裏面側に、断面が略S字状に形成される複数のルーバーを上下方向に多数段連続させた構成としてもよいし、前述のようにそれに限定されるものではなくPVパネルや採光パネル等の併用でもよい。
また、換気面は、後述する図示実施例に示すように左右にそれぞれ傾斜する構成でもよいし、左右にそれぞれ略垂直状の縦面を形成する構成でもよい。
【0016】
また、この外設装置は、後述する図示実施例に示すように換気面の水上側及び水下側の各端部には、水上側から及び水下側から換気面の裏面側への風雨の吹き込みを防止する化粧面板をそれぞれ取り付けるようにしてもよい。
このように外設装置として化粧面板を取り付ける場合には、外設装置と後述する被覆材(化粧屋根材)との接続は、この化粧面板と被覆材との接続を意味するものとなる。
【0017】
被覆材(化粧屋根材)は、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間を覆うように配設されるものであり、前述のように前記外設装置に隣接してその水上側又は水下側に配される構成である。
この被覆材としては、太陽電池等を一体化したものでも、ポリカーボネイト等の透光性を備えた透光材からなるものであってもよい。後述する図示実施例(図1(a))に示すように外設装置に隣接する端縁を立ち上げて水返し部とした構成でもよく、隣接する外装材の立ち上がり部間からの雨水の浸入を生じないものであれば、特に具体的構成を特定するものではなく、折板屋根を構成する屋根材と同一の素材にて成形されたものでもよい。
【0018】
排水部材は、前述のように前記外設装置と前記被覆材の裏面側に配される構成であり、その接続部分から浸入しようとする雨水等を屋根面へ導く構成である。前述のように外設装置として化粧面板を取り付けている場合には、この化粧面板及び被覆材のそれぞれから侵入する雨水が、排水部材を経由して屋根面(左右の谷部)に導かれる。
この排水部材としては、具体的には、後述する図示実施例に示すように長さ方向の両側縁が折り返され、その両端縁が屋根面(左右の谷部)に臨んでいる構成のものが用いられる。
【0019】
また、前記外設装置の裏面側に、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間を連結する第1支持材を配設してもよい。この第1支持材は、隣接する外装材の立ち上がり部間の距離を一定に維持することを目的として配設するものであるから、折板屋根を構成する屋根材よりも高強度の材料を用いることが望ましく、適宜間隔にて複数配設してもよく、隣接する外装材の立ち上がり部間の距離の伸縮による外設装置や被覆材の外れを防止することができる。
なお、この第1支持材自体の構成、並びにその取付構成については何等限定するものではなく、後述する図示実施例のように断面略U字状に成形してもよいし、単に板状でもよく、また隣接する外装材の立ち上がり部間に上方から取り付ける構成でも、下方から吊り固定するものでもよい。
【0020】
また、前記外設装置の水上側端部又は水下側端部に、排水部材を裏面側から支持する第2支持材が隣接する外装材の立ち上がり部間を連結するように配設されてもよい。この第2支持材は、前記第1支持材と同様の効果が果たされ、前記第1支持材と同様に折板屋根を構成する屋根材よりも高強度の材料を用いることが望ましい。さらに、この第2支持材は、排水部材が安定に所定位置に配設されるため、前述の排水部材の効果、即ち排水(導水)効果が確実に且つ継続的に果たされ、前記外設装置と前記被覆材との接続部分の雨仕舞い性が継続的に保たれる。
なお、この第2支持材自体の構成、並びにその取付構成については何等限定するものではなく、後述する図示実施例のように断面略U字状に成形してもよいし、単に板状でもよく、隣接する外装材の立ち上がり部間に上方から取り付ける構成でも、下方から吊り固定するものでもよい。
【0021】
なお、本発明の換気構造が取り付けられる折板屋根は、山部及び谷部が連続する屋根面が形成されるように折り曲げ加工された屋根材(折板)を用いて敷設されたものであって、特にその具体的構成を限定するものではない。
【0022】
これらの各部材から構成される本発明の折板屋根の換気構造は、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間に跨って外設装置を取り付けるものであり、屋根裏に滞留する熱気や空気、湿気を集めて外部へ放出することができ、換気効果が極めて高い。
また、外設装置の水上側又は水下側に隣接して被覆材を配するが、その接続部分から雨水等が浸入しようとしても、裏面側に配設された排水部材にて屋根面へ導かれるので、雨仕舞い性が高いものである。
【実施例】
【0023】
本発明の折板屋根の換気構造は、図1(a)に示す実施例のように折板屋根1の隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間に跨って、換気機能を有する外設装置2として左右に傾斜する換気面20,20を備える換気装置を取り付けてなる構成であって、前記外設装置2の水上側又は水下側に隣接して被覆材(化粧屋根材)3,3が配され、前記外設装置2と前記被覆材3とは、裏面側には排水部材4が配設されて接続されている。
【0024】
前記折板屋根1は、図1(a)に示すように躯体1A上に保持部材(1B,1C)を固定し、該保持部材(1B,1C)に比較的面強度の高い折板である外装材1D,1Dの左右の側縁を保持させた構成であり、前記外設装置2を取り付けない部分では、図示しないキャップ材を取り付けてなる構成であって、外装材1Dは、立ち上がり部10と平板部11が連続する構成であって、隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10にて山部が形成され、前記平板部11が谷部となる勾配の緩やかな屋根面を構成するものである。前記外設装置2を取り付ける部分では、左右に隣接する外装材1D,1Dの一部を非敷設状態として、該部分に外設装置2を配することで構築する。
【0025】
前記保持部材(1B,1C)は、図2(a)に示すように略左右対称の部材であって、躯体1Aに固定する略門型のタイトフレーム1Bと、該タイトフレーム1Bの略中央の山頂片に下方からボルトナットにて留め付けた受支材1Cとからなる。
タイトフレーム1Bは、例えば短幅の帯状鋼材を折り曲げ成形してなり、略中央の山頂片121から左右に脚部122を有し、各脚部122の下端に下面が躯体1Aと接する固定部123を有する構成である。
受支材1Cは、略垂直状に起立する受支面131を前後に有する側断面略U字状のピース材であり、各受支面131の下方には左右に張り出した部分が形成され、その下方が外装材1Dの第1嵌合部143が嵌合する被嵌合部132である。また、受支面131の上縁を前後方向に折り曲げ(被支持部133)、外装材1Dの裏面を安定に保持できるようにしている。さらに、この受支面131の略中央上端には、外装材1Dの断面略U字状の第2嵌合部を上方から嵌合可能な矩形状の溝部134が設けられている。なお、前後の受支面131,131をつなぐ底面135は、前記タイトフレーム1Bの山頂片121に下方から組み付けられ、該底面135に予め設けられた通孔にボルト・ナットである連結具1Eにて一体的に連結されている。
【0026】
前記保持部材(1B,1C)に保持させる外装材1Dは、化粧鋼板、ステンレス、アルミニウム合金等の金属、樹脂、或いはその他の複合素材からなり、図2(b)に示すように略平坦状の平板部11の左右の側縁に左右対称の傾斜状の立ち上がり部10を有する縦葺き式の折板であり、この立ち上がり部10の高さの途中には、前記受支材1Cに嵌合状に取り付けるための第1嵌合部143が設けられ、該第1嵌合部143の上方に、前記受支材1Cの被支持部133に支持される部分(支持部144)を介し、その先端には、前記受支材1Cの略中央上端に形成された溝部134に上方から嵌合させる断面略U字状の第2嵌合部145を有する構成である。
【0027】
なお、図示していないが、前記外装材1Dと共に外装面を形成するキャップ材は、左右方向に隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間に配設されるものであって、前記外装材1Dと同様な素材から成形されるものであり、略傘状の化粧部の左右の側縁に内側へ略く字状に成形した嵌合部を、前記外装材1D,1Dの第1嵌合部143,143の裏面に嵌合させて取り付けられる構成である。そのため、このキャップ材は、上方から隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10にて形成される山部へ押圧するように配設するだけで弾性的に嵌合させて取り付けることができる。
また、図中、1F〜1Iはこの折板屋根1へ、後述する外設装置2を一体的に取り付けるための部材である。
まず、外装材1Dへビスにて固定される下方傾斜面と、外装材1Dを貫通して受支材1Cへビスにて固定される上方傾斜面と略鉛直状に起立する縦面とからなる固定板材1Fを、外装材1Dにビス固定する。
その後、前記固定板材1Fには、断面略L字状の規制材1Gが載置状に固定され、これらの固定板材1Fの縦面及び規制材1Gの縦片とで形成される溝状部分に、上方から挿着可能な下向き片を備える連結材1Hを嵌め付けて前記固定板材1Fと外設装置2のフレーム22の内側最下端とを連結する。
さらに、フレーム22の外側最下端には、最下段のルーバー21と共に覆い材1Iをビス止めして外設装置2の側方からの雨水の吹きつけを防止している。
【0028】
前記外設装置(換気装置)2は、図3及び図4に示すように前記折板屋根1の隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間に跨って配設されるものであり、前述のように左右に傾斜する換気面20,20を有し、該換気面20は雨仕舞い性を備える構成であり、具体的には図1(b)に示すように傾斜状に組み付けたフレーム22の表面側及び裏面側に、断面が略S字状に形成される複数のルーバー21を上下方向に多数段連続させて固定した。
上記ルーバー21は、上端及び下端にそれぞれ折り返し状の水返しが設けられ、外面側から見て上半に凹部が、下半に凸部が位置するように配設され、凸部の外面をフレーム22にビス止め固定しており、さらに、各ルーバー21は、その上端が上段側のルーバー21の凸部内に非接触状に位置し、その下端が下段側のルーバー21の凹部内に非接触状に位置するように配設されるものである。
なお、図中、2Bは左右の換気面20,20の最上段のルーバー21,21間を覆う頂部化粧材であり、23は左右の換気面20,20を構成するフレーム22,22の上端を連結する連結金具である。
このような構成の換気面20は、雨水及び太陽光の裏側空間への侵入を防止すると共に空気の排出を行うことができる。
【0029】
また、図示実施例の外設装置2は、前記傾斜状の換気面20,20の水上側及び水下側の各端部に、水上側から及び水下側から換気面20,20の裏面側への風雨の吹き込みを防止する化粧面板2C,2Cをそれぞれ取り付けるようにした。
この化粧面板2Cは、前記左右の傾斜状の換気面20,20の水上側の端部、水下側の端部にそれぞれ形成される略三角形状の空間を塞ぐ形状を備え、その下端には外方側へ延在する水返し231を備える形状であり、該水返し231は後述する被覆材(化粧屋根材)3の水返し部32に重合状に沿うように取り付けられる。
したがって、この化粧面板2Cに水上側又は水下側から雨水が吹き付けられてその表面をつたって流下する場合には、当該雨水は水返し231から被覆材3上に導かれ、該被覆材3上を流下するものとなる。
【0030】
被覆材(化粧屋根材)3は、前記折板屋根2の隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間を覆うように配設されるものであり、前述のように前記外設装置2に隣接してその水上側又は水下側に配される構成であり、前記折板屋根1を構成する外装材1Dと同一の素材にて成形されたものである。
図示実施例の被覆材3は、後述する図5(d)、(f)に示すように隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間を覆う断面山状の面板部31の左右の側縁に内側へ略く字状に成形した嵌合部33を、前記外装材1D,1Dの第1嵌合部143,143の裏面に嵌合させて取り付けられる構成であって、水流れ方向の端縁については、外設装置2に隣接する端縁を略垂直状に立ち上げて水返し部32,32とした構成である。そのため、この被覆材3は、前記キャップ材と同様に上方から隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10に押圧するように配設するだけで弾性的に嵌合させて取り付けることができる。
【0031】
排水部材4は、前述のように前記外設装置2と前記被覆材3の裏面側に配される構成であり、その接続部分から浸入しようとする雨水等を屋根面へ導く構成である。
図示実施例では、前記外設装置2に化粧面板2Cを取り付けているので、この化粧面板2C及び被覆材3の接続部分から雨水が裏面側に回り込んだとしても、当該雨水は、この排水部材4を経由して左右の外装材1D,1Dへ導かれる。
この排水部材4としては、図2(c)に示すように隣接する隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間に跨る断面山状の排水部41の長さ方向の両側縁が折り返され(水返し部42,42)、その長さ方向の両端部が立ち上がり部10,10間に架設されて第1嵌合部143の上半に臨んでいる。また、この排水部材4は、後述する第2支持材6に裏面側から支持される状態で所定位置に取り付けられている。
【0032】
また、図示実施例では、図3に示すように前記外設装置2の裏面側に、折板屋根1の隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間に複数の第1支持材5を配設している。
この第1支持材5は、図2(d)に示すように断面U字状に成形され、隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間の距離を一定に維持することを目的として配設するものであるから、折板屋根1を構成する外装材1Dよりも高強度の金属素材にて構成されている。
そして、この第1支持材5は、前述のように固定した固定板材1Fに上方からビス止めした取付具5bを介して、下方から固定具5cで吊り固定してもよいし、予め取付具5b及び固定具5cにて第1支持材5を一体化させた後、固定板材1Fに固定するようにしてもよい。即ち前述のように固定板材1Fは、前記保持部材(1B、1C)に上方から取り付けた部材であるが、ここでは前記保持部材(1B,1C)を構成する受支材1Cと全く同一構成の取付具5bを下方から固定板材1Fに取り付け、この取付具5bを介して第1支持材5を固定するものである。なお、上記取付具5bは、前記保持部材(1B,1C)を構成する受支材1Cと全く同一構成であるため、部材の使い回しができ、その底面(135)に予め設けられて通孔に固定具5cにて一体的に連結されている。
【0033】
また、図示実施例では、図4に示すように前記外設装置2の水上側端部及び水下側端部に、前記排水部材4を裏面側から支持する第2支持材6を隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間を連結するように配設している。
この第2支持材6は、略垂直状に起立する縦面61,61を前後に有し、その下端を繋ぐ横面62を備える断面略U字状に成形され、各縦面61の上縁を前後方向に折り曲げて支持フランジ63を形成した構成である。前記各縦面61は、左右の端部に比べて中央部分が幅広に形成される形状であって、左右の端部には、前記受支材1Cの受支面131の外側を模した形状の側縦面611が形成されている。
そして、この第2支持材6は、それ自体に前記取付具5bの構成(側縦面611)を備えるので、前述のように固定した固定板材1Fに上方からビス止めして直接的に固定することができる。
なお、前記支持フランジ63は、その左右の端部において前記固定板材1Fに固定するビスが打ち込まれるが、それ以外の部分では、前記排水部材4を裏面から支持する役割を果たす。
【0034】
この実施例の換気構造の施工手順は、図5(a)〜(f)の通りである。
まず、図5(a)に示すように、折板屋根の隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間に、前記第1支持材5及び前記第2支持材6を取り付ける。その際、第1支持材5は、流れ方向に所定間隔にて複数配し、第2支持材6は、取り付け想定される外設装置2の水下側端に位置するように取り付けた。
次に、図5(b)に示すように、前記排水部材4を第2支持材6に裏面側から支持される状態で取り付け、その長さ方向の両端縁を第1嵌合部143の上半に臨ませた。また、固定板材1F,1Fを外装材1D,1Dにビス固定した。
続いて、図5(c)に示すように、隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間に前記外設装置2を組み付け固定した。
その後、図5(d)に示すように、外設装置2の水下側に隣接させて前記構成の被覆材3を隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間を覆うように取り付けた。具体的には、被覆材3を所定位置に配した状態から、隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10に押圧するだけで弾性的に嵌合させて取り付けることができた。
最後に、図5(f)に示すように、前記外設装置2への雨水の吹き込みを防止するためにその水下側の端部に前記化粧面板2Cを取り付けると共に外設装置2の頂部に頂部化粧材2Bを取り付けて図示実施例の換気構造を施工した。
【0035】
このように施工される図示実施例の折板屋根1の換気構造は、折板屋根1の隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間に跨って外設装置2を取り付けるものであり、それ以前の高さレベルの最上位に位置する山部の更に上方に外設装置2を取り付けるので、屋根裏に滞留する熱気や空気、湿気を集めて外部へ放出することができ、換気効果が極めて高いものである。
また、外設装置2の水上側及び水下側に隣接して被覆材(化粧屋根材)3,3を配したので、その接続部分から雨水等が浸入しようとしても、裏面側に配設された排水部材4,4にて屋根面(谷部11,11)へ導かれるため、雨仕舞い性を低下させない換気構造を構築できるものである。
【0036】
また、図示実施例では、外設装置2の裏面側に、折板屋根1の隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間に跨って第1支持材5を配設したので、隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間の距離を一定に維持することができるため、外設装置2や被覆材3が外れることがない。
【0037】
さらに、図示実施例では、外設装置2の水上側端部及び水下側端部に、排水部材4,4を裏面側から支持する第2支持材6,6を隣接する外装材1D,1Dの立ち上がり部10,10間を連結するように配設したので、前記第1支持材5と同様の効果が果たされ、更に排水部材4が安定に所定位置に配設されるため、前述の排水部材4の効果、即ち排水(導水)効果が確実に且つ継続的に果たされる。
【符号の説明】
【0038】
1 折板屋根
1B タイトフレーム
1C 受支材
1D 外装材
1F 固定板材
10 立ち上がり部
11 平板部
2 外設装置
2B 頂部化粧材
2C 化粧面板
20 換気面
21 ルーバー
22 フレーム
3 被覆材(化粧屋根材)
31 面板部
32 水返し部
33 嵌合部
4 排水部材
41 排水部
42 水返し部
5 第1支持材
5b 取付具
5c 固定具
6 第2支持材
61 縦面
611 側縦面
62 横面
63 支持フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間に跨って、少なくとも換気機能を有する外設装置を取り付けてなる換気構造において、
前記外設装置の水上側又は水下側には、被覆材が隣接状に配され、
前記外設装置と前記被覆材とは、裏面側には排水部材が配設されて接続されていることを特徴とする折板屋根の換気構造。
【請求項2】
外設装置の裏面側に、折板屋根の隣接する外装材の立ち上がり部間を連結する第1支持材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の折板屋根の換気構造。
【請求項3】
外設装置の水上側端部又は水下側端部には、排水部材を裏面側から支持する第2支持材が隣接する外装材の立ち上がり部間を連結するように配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の折板屋根の換気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−132280(P2012−132280A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287274(P2010−287274)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000165505)元旦ビューティ工業株式会社 (159)
【Fターム(参考)】