押圧部材及びそれを用いた画像投射装置
【課題】 伝達部材と放射部材との接触面積を広範囲に確保し、伝達部材の放射部材への固定を容易に行える押圧部材及びそれを用いた画像投射装置を提供すること。
【解決手段】 第一の板状部と、前記第一の板状部の相対する側にそれぞれ形成された第二の板状部及び固定部と、前記第一の板状部と前記第二の板状部の間に形成された第一の屈曲部と、前記第一の板状部と前記固定部の間に形成された第二の屈曲部と、を有する押圧部材であって、前記第二の板状部は、前記第一の屈曲部に隣接する後部、及び、前部を有し、前記前部は、複数の第一の延設部を有し、前記第二の板状部は、第三の屈曲部を有し、前記第一の屈曲部の屈曲方向と、前記第二の屈曲部及び前記第三の屈曲部の屈曲方向が、互いに異なる方向であり、前記第一の板状部及び前記第二の板状部は、互いに同じ回転方向に付勢されていることを特徴とする押圧部材。
【解決手段】 第一の板状部と、前記第一の板状部の相対する側にそれぞれ形成された第二の板状部及び固定部と、前記第一の板状部と前記第二の板状部の間に形成された第一の屈曲部と、前記第一の板状部と前記固定部の間に形成された第二の屈曲部と、を有する押圧部材であって、前記第二の板状部は、前記第一の屈曲部に隣接する後部、及び、前部を有し、前記前部は、複数の第一の延設部を有し、前記第二の板状部は、第三の屈曲部を有し、前記第一の屈曲部の屈曲方向と、前記第二の屈曲部及び前記第三の屈曲部の屈曲方向が、互いに異なる方向であり、前記第一の板状部及び前記第二の板状部は、互いに同じ回転方向に付勢されていることを特徴とする押圧部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧部材及びそれを用いた画像投射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属フレームによってライトバルブからヒートシンクへ熱伝導させる技術(特許文献1)や、ライトバルブを実装した金属フレームとヒートシンク等を電気的に接続する技術(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−39835号公報
【特許文献2】特開2007−240769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら特許文献1,2に開示されている従来技術では、ライトバルブから延びる金属フレーム等の伝達部材とヒートシンク(放射部材)との接触面積が十分ではない。また、構造上、伝達部材のヒートシンク(放射部材)への固定も容易ではない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、伝達部材と放射部材との接触面積を広範囲に確保し、伝達部材の放射部材への固定を容易に行える押圧部材及びそれを用いた画像投射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係る押圧部材は、第一の板状部と、前記第一の板状部の相対する側にそれぞれ形成された第二の板状部及び固定部と、前記第一の板状部と前記第二の板状部の間に形成された第一の屈曲部と、前記第一の板状部と前記固定部の間に形成された第二の屈曲部と、を有する押圧部材であって、前記第二の板状部は、前記第一の屈曲部に隣接する後部、及び、前記後部の前記第一の屈曲部と相対する側に隣接する前部を有し、前記前部は、前記後部に向かって延在する複数の第一の延設部を有し、前記第二の板状部は、前記複数の第一の延設部の少なくとも一つと前記後部とを連結する第三の屈曲部を有し、前記第一の屈曲部の屈曲方向と、前記第二の屈曲部及び前記第三の屈曲部の屈曲方向が、互いに異なる方向であり、前記第一の板状部及び前記第二の板状部は、互いに同じ回転方向に付勢されていることを特徴とする。
【0007】
また、上述の目的を達成すために、本発明に係る画像投射装置は、光源と、前記光源から出射された光束を変調するライトバルブと、前記ライトバルブに接触するヒートシンクと、前記ヒートシンクに接触する伝達部材と、を有するライトバルブユニットと、前記ライトバルブを電気的に駆動する基板と、前記基板を保持する基板保持部材と、を有し、前記ライトバルブユニットと前記基板の間に前記基板保持部材が配置された画像投射装置であって、前記基板保持部材が前述の押圧部材を有し、前記押圧部材の前記固定部が前記基板保持部材に固定され、前記押圧部材の前記第一の延設部により前記伝達部材が前記基板保持部材に押圧されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、伝達部材と(基板を保持する機能の他に放射部材としての機能も有する)基板保持部材との接触面積を広範囲に確保し、伝達部材の基板保持部材への固定を容易に行える押圧部材及びそれを用いた画像投射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例に係る(a)押圧部材(緑用のライトバルブ用、青用のライトバルブ用)の斜視図、(b)押圧部材(赤用のライトバルブ用)の斜視図、(c)押圧部材(赤用のライトバルブ用)の平面図
【図2】本発明の一実施例に係るライトバルブ駆動ユニットの斜視図。
【図3】本発明の一実施例に係る(a)ライトバルブユニットの斜視図、(b)ライトバルブユニットを図3(a)のA方向から見た平面図。
【図4】本発明の一実施例に係る(a)ライトバルブ、ヒートシンクの斜視図、(b)ライトバルブ、ヒートシンク及び伝達部材の斜視図。
【図5】本発明の一実施例に係る(a)基板保持部材の斜視図(押圧部材の固定前)、(b)基板保持部材の斜視図(押圧部材の固定後)。
【図6】本発明の一実施例に係る(a)ライトバルブユニット、基板保持部材の斜視図(フレキシブル配線基板を基板保持部材へ通す前)、(b)ライトバルブユニット、基板保持部材の斜視図(フレキシブル配線基板を基板保持部材へ通した後)。
【図7】本発明の一実施例に係るライトバルブユニット、基板保持部材の斜視図(図6(b)のB範囲の拡大斜視図)。
【図8】本発明の一実施例に係るライトバルブユニット、基板保持部材の断面図(図7のC−C断面図)。
【図9】本発明の一実施例に係る(a)ライトバルブユニット、基板保持部材、基板の斜視図(フレキシブル配線基板を基板へ通す前)、(b)ライトバルブユニット、基板保持部材、基板の斜視図(フレキシブル配線基板を基板へ通した後)。
【図10】本発明の一実施例に係るライトバルブユニット、基板保持部材、基板の断面図(図9のD−D断面図)。
【図11】本発明の他の実施例に係る(a)ライトバルブ、ヒートシンクの斜視図、(b)ライトバルブ、ヒートシンク及び伝達部材の斜視図。
【図12】本発明の他の実施例に係る押圧部材(赤用のライトバルブ用)の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、図1を用いて、本発明の画像投射装置において用いる固定ばね部材(押圧部材)6の構造について説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施例に係る押圧部材の斜視図((a),(b))及び平面図((c))である。具体的には、(a)押圧部材(緑用のライトバルブ用、青用のライトバルブ用)6の斜視図、(b)押圧部材(赤用のライトバルブ用)6の斜視図、(c)押圧部材(赤用のライトバルブ用)6の平面図である。図1(a)及び(b)に示した押圧部材は、大きさ等は異なるものの、基本的な形状やそれによる効果は同様なので、ここでは同じ符号を付している。
【0013】
図1(a)及び(b)に示されているように、固定ばね部材(押圧部材)6は、第一の板状部63、第二の板状部62、固定部64を有している。第一の板状部63の相対する側に第二の板状部62及び固定部64がそれぞれ形成されている。
【0014】
また、図1(c)に示されているように、第一の板状部63と第二の板状部62の間に第一の屈曲部61が形成され、第一の板状部63と固定部64の間に第二の屈曲部65が形成されている。固定ばね部材(押圧部材)6は、第二の屈曲部62から固定部64にかけて同じ材質、例えば金属等で一体に形成されており、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65は、固定ばね部材(押圧部材)6を形成する際に屈曲形状に形成された箇所である。
【0015】
図1(c)及び後述する図12においては、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65の屈曲形状は表現されていないが、実際の固定ばね部材(押圧部材)6においては、図1(a)及び(b)と同様に、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65には屈曲形状が形成されている。固定部64は、後述する板金(基板保持部材)5に固定ばね部材(押圧部材)6を、例えばネジ留め等で固定するための箇所であり、そのための固定穴65aが形成されている。
【0016】
前記第二の板状部62は、第一の屈曲部61から近い順に、後部62c、前部62d、そして後部62及び前部62dとの間に形成された第三の屈曲部62bからなる。後部62cは、第一の屈曲部61に隣接するように形成されており、後部62cの第一の屈曲部61と相対する側に、第三の屈曲部62bを挟んで隣接するように前部62dが形成されている。
【0017】
前部62dには、後部62cに向かって延在するように複数の第一の延設部62dが形成されている。複数の第一の延設部62dの少なくとも一つ、ここでは両端の第一の延設部62d,62dと後部62cとを連結する第三の屈曲部62bが形成されている。これにより、第二の板状部82の両端付近を中央付近よりもより強く押圧することができる。
【0018】
第一の屈曲部61の屈曲方向と、前記第二の屈曲部65及び前記第三の屈曲部62bの屈曲方向は、互いに異なる方向である。つまり、図1(a)及び(b)においては、第一の屈曲部61の山形状が上を向くように屈曲しているのに対し、第二の屈曲部65及び第三の屈曲部の山形状が下を向くように屈曲している。特に、第一の屈曲部61の屈曲方向(第一の板状部の固定部に対する屈曲方向)と、第二の屈曲部65の屈曲方向(第二の板状部62の第一の板状部63に対する屈曲方向)とが、互いに逆方向であることが効果を奏する上で特に好ましい構成である。
【0019】
第一の板状部63及び第二の板状部62は、互いに同じ回転方向に付勢されている。つまり、図1(a)及び(b)においては、第一の板状部63は固定部64に対して下方向(図1(a)及び(b)中での下方向)に付勢されており、第二の板状部62は固定部64に対して同じく下方向(図1(a)及び(b)中での下方向)に付勢されている。ここで、第一の板状部63は固定部64に対して図1(b)で時計回り(図1(a)では反時計回り)の方向に付勢されており(時計回りの方向に変位するように力を加えられている)、第二の板状部62は第一の板状部63に対して(固定部64に対しても)同じく図1(b)で時計回りの方向に付勢されている。第一の板状部63及び第二の板状部62への付勢はばね力によるものであるが、本発明はそれに限られず、その他の手段により付勢してもよい。
【0020】
また、第二の板状部62の前部62d及び後部62cも、互いに同じ回転方向に付勢されている。つまり、図1(a)及び(b)においては、前部62dには固定部64に対して上方向(図1(a)及び(b)中での上方向)にばね力が付勢されているのに対し、後部62cには固定部64に対して下方向(図1(a)及び(b)中での下方向)にばね力が付勢されている。第二の板状部62の前部62d及び後部62cへの付勢はばね力によるものであるが、本発明はそれに限られず、その他の手段により付勢してもよい。
【0021】
また、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65により生じるばね力(ばね定数)は、第三の屈曲部62bにより生じるばね力(ばね定数)よりも強くなるように形成されている。また、この第三の屈曲部は、蝶番のようにばね力を持たない屈曲可能な構成としても構わない。
【0022】
図1(a)及び(b)におけるような板ばね構造の他に、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65はそれぞれ、第一の板状部63と第二の板状部62を連結する蝶番構造及び第一の板状部63と固定部64を連結する蝶番構造を有し、当該蝶番構造に設けられた弾性部材(コイルばねなど)より、第一の板状部及び第二の板状部は付勢されてもよい。第二の板状部62の前部62d及び後部62cについては、第三の屈曲部62bが小さいため、図1(a)及び(b)におけるような板ばね構造以外により付勢させることは難しいが、小さなばね等と上記蝶番構造とを用いて付勢させてもよい。
【0023】
板状部を付勢する構造として板ばね構造を用いる場合には、屈曲部(第一の屈曲部6、第二の屈曲部65、第三の屈曲部62b)の曲げ幅(屈曲部の長さ)を調整することにより、板ばねのばね力(ばね定数)を適宜調整することができる。また、板厚を変更したり、板の幅を変更したりすることによっても、板ばねのばね力(ばね定数)を適宜調整することができる。
【0024】
このような構造により、固定ばね部材(押圧部材)6は、固定部64により板金(基板保持部材)5に固定された際に、後述する伝達部材2を板金(基板保持部材)に広い接触面積(前部62d)で押圧することができる。また、このような構造を有する固定ばね部材(押圧部材)6は、伝達部材2の板金(基板保持部材)5への固定も容易に行える。
【0025】
固定ばね部材(押圧部材)6に、第一の板状部63の両端部から第一の板状部63の外側に向かって延在する保持部(第二の延設部)63a,63aが設けられているが、これにより、伝達部材2を挟み込む(押圧する)際に保持部(第二の延設部)63a,63aを人が保持し、板金(基板保持部材)5から第三の屈曲部62bを浮き上がらせることができる。これにより、組立容易性が向上すると共に、第三の屈曲部62b周辺を保持することにより第三の屈曲部62b周辺が塑性変形してしまうことを防ぐことができる。
【0026】
次に、図2を参照して、本発明の画像投射装置において用いるライトバルブ駆動ユニットの全体構成について説明する。
【0027】
ライトバルブ駆動ユニット100の基本構成は、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1の構成部材である、光源(図示せず)から出射された光束を変調するライトバルブ4と、ライトバルブ4に取り付けられたヒートシンク3と、ライトバルブ4を電気的に駆動する基板7と、基板7を保持する板金(基板保持部材)5である。
【0028】
それに加え、ヒートシンク3の熱拡散を更に効率的に行うため、ヒートシンクに貼付された(接触する)伝達部材2としてのグラファイトシートと、伝達部材2を板金(基板保持部材)5に接触、固定する押圧部材である固定ばね部材6によってライトバルブ駆動ユニット100は構成される。
【0029】
次に、図3から図10を参考にライトバルブ駆動ユニット100の組立構成について説明する。
【0030】
図3は(a)色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1の斜視図、(b)ライトバルブユニットを(a)のA方向から見た平面図である。図4は(a)ライトバルブ、ヒートシンクの斜視図、(b)ライトバルブ及び当該ヒートシンクに接触する伝達部材4の斜視図である。
【0031】
図3(a)、図4の通り、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1内の一部として、光源(図示せず)から出射された光束を変調するライトバルブ4はフレキシブル配線基板41を有しており、その背面にヒートシンク3が接触するように配置される。ヒートシンク3はライトバルブの発熱および光束の吸収、輻射によって生じる熱を放熱する。ヒートシンク3には、主として、ライトバルブからの放熱を効率的に行うために、熱の伝達部材2としてグラファイトシートが貼り付けてある。本実施例におけるグラファイトシートは平面方向の熱伝導効率が400W/m・k、厚さ方向の熱伝導効率が3.5W/m・kであるが、この値に限るものではない。
【0032】
なお、グラファイトシート2は後述する銅箔テープ20と比較して、高い熱伝導性を有し、ライトバルブからの放熱を促進する効果に優れる。また、後述する銅箔テープ20よりは劣るものの、ライトバルブを発信源とする不要輻射ノイズを抑制する効果も有する。
【0033】
図3の色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1には3つのライトバルブ4R,4G,4Bが存在し、それぞれ、4Rは赤(R)、4Gは緑(G)、そして4Bは青(B)の波長領域の光を反射し、変調するライトバルブである。
【0034】
図3(b)を参照して色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1の基本構成を示す。10は青(B)と赤(R)の波長領域の光を反射し、緑(G)の波長領域の光を透過するダイクロイックミラーである。11は透明基板に偏光素子を貼り付けたG用の入射側偏光板であり、P偏光光のみを透過する。12はP偏光光を透過し、S偏光光を反射する第1の偏光ビームスプリッタであり、偏光分離面を有する。
【0035】
4R,4G,4Bはそれぞれ入射した光を反射するとともに画像変調する、赤用のライトバルブ(反射型液晶表示素子)、緑用のライトバルブ、青用のライトバルブである。14R,14G,14Bはそれぞれ、赤用の1/4波長板、緑用の1/4波長板、青用の1/4波長板である。
【0036】
13はRの色純度を高めるためにオレンジ光をランプに戻すトリミングフィルタで、15は透明基板に偏光素子を貼着したRB用の入射側偏光板であり、P偏光のみを透過する。16はRの光の偏光方向を90度変換し、Bの光の偏光方向は変換しない色選択性位相差板である。17はP偏光を透過し、S偏光を反射する第2の偏光ビームスプリッタであり、偏光分離面を有する。
【0037】
18BはB用出射側偏光板(偏光素子)であり、BのS偏光のみを透過(整流)し(他の色については作用しない)、18GはS偏光のみを透過させるG用出側偏光板である。19はRB光を透過し、G光を反射するダイクロイックプリズムである。
【0038】
以上のダイクロイックミラー10からダイクロイックプリズム19により、色分解合成光学系(ライトバルブユニット)1が構成される。
【0039】
次に、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1に、ライトバルブ4を電気的に駆動する基板7を保持する板金(基板保持部材)5を取り付ける。図4の通り、ライトバルブ4に取り付けられたヒートシンク3の熱拡散を更に効率的に行うために、ヒートシンク3にグラファイトシートからなる伝達部材2が接触(貼付)されている。図5の通り、板金(基板保持部材)5には伝達部材2を固定するための、固定ばね部材(押圧部材)6が各ライトバルブ4に対応して取り付けられている。板金(基板保持部材)5にはライトバルブ4のフレキシブル配線基板41と伝達部材2を通す開口および切欠が設けられている。
【0040】
図6〜8の通り、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)に板金(基板保持部材)5をビス締めによって取り付ける際、固定ばね部材(押圧部材)6によって、板金(基板保持部材)5と固定ばね部材(押圧部材)6で伝達部材2を挟み込み、伝達部材2を板金(基板保持部材)5に押圧する(図7に、図6(b)のB範囲の拡大斜視図、図8に、図7のC−C断面図を示す)。
【0041】
伝達部材2をばね力で固定することにより、伝達部材2に回転応力や引っ張り応力などの負荷をかけずに固定することができ、ライトバルブ4への負荷応力も減少する。また、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65により生じるばね力(ばね定数)が、第三の屈曲部62bにより生じるばね力(ばね定数)よりも強くなるように形成されているので、固定ばね部材(押圧部材)6により伝達部材2を押圧する際に、第三の屈曲部62bが屈曲し、広い接触面積を有する前部62dの全面が伝達部材2に接触され、それにより、ライトバルブからの放熱の促進や不要輻射ノイズの抑制が効率的に行えるようにすることができる。
【0042】
板金(基板保持部材)5と色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1が位置決め固定され、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)とライトバルブ4は、ライトバルブ4R,4G,4Bが合成位置合わせを行うため、ユニット個々で微小に位置が異なる状態で固定される。そのため、板金(基板保持部材)5とライトバルブ4の固定には自由度が必要となり、強制的に位置決めを行うと、製造過程によって合成されたライトバルブ4の位置が微小にずれてしまう。また、伝達部材2の固定時に負荷をかけないように、3つのライトバルブ4を組み付けることは、組立作業上大変困難である。
【0043】
しかし、本発明の固定ばね部材(押圧部材)6は、伝達部材2を板金(基板保持部材)5に容易に固定できるため、組立性向上とライトバルブ4の負荷応力軽減を行うことが出来る。
【0044】
最後に、図9の通りライトバルブ4を駆動する基板7を板金(基板保持部材)5に取り付け、基板7の開口および切欠きからライトバルブ4のフレキシブル配線基板41を通して、基板7のコネクタに接続する。これによってライトバルブ駆動ユニット100の組立を完成する(図10に、図9のD−D断面図を示す)。
【実施例2】
【0045】
以下、図11を参照して、本発明の画像投射装置において用いる他のライトバルブ駆動ユニットについて説明する。
【0046】
ライトバルブ駆動ユニットの構成は、ヒートシンクに貼付された伝達部材20として銅箔テープ(図11)を用いたこと以外は、第1の実施例と同様とした。銅箔テープ20は第1の実施例において用いたグラファイトシート2と比較して、ライトバルブを発信源とする不要輻射ノイズを抑制する効果に優れる。また、グラファイトシート2よりは劣るものの、熱伝導性にも優れるので、ライトバルブからの放熱を促進する効果も有する。
【0047】
伝達部材20としての銅箔テープは、ヒートシンク3と貼り付く面とその反対面の板金(基板保持部材)5と接続される面が存在する。
【0048】
前記銅箔テープ20はヒートシンク3と貼り付く箇所に、導電性の粘着剤を用いている。また、ヒートシンク3と貼り付く面側で、ヒートシンク3と接触する部分と固定ばね部材6と接触する部分以外は絶縁膜および絶縁シートで保護されている。このことより、基板7との接触やショートの可能性を防ぐ。
【0049】
一方、ヒートシンク3と貼り付く面の反対面である、板金(基板保持部材)5と接続される面に関しては銅箔の状態である。
【0050】
上記の構造により、ヒートシンク3と板金(基板保持部材)5を導通させる事ができ、ライトバルブを発信源として発生する不要輻射ノイズを抑制することができる。
【0051】
固定ばね部材(押圧部材)としては、第1の実施例において用いた固定ばね部材(押圧部材)6の他に、図12に示した固定ばね部材(押圧部材)8を用いることもできる。
【0052】
固定ばね部材(押圧部材)6と固定ばね部材(押圧部材)8の違いは、第二の板状部の構造にある。
【0053】
第1の実施例と同様に、後部82cは、第一の屈曲部61に隣接するように形成されており、後部82cの第一の屈曲部61と相対する側に、第三の屈曲部82bを挟んで隣接するように前部82dが形成されている。
【0054】
前部82dには、後部82cに向かって延在するように複数の第一の延設部82dが形成されている。固定ばね部材(押圧部材)8の第二の板状部82は、固定ばね部材(押圧部材)6の第二の板状部62と異なり、複数の第一の延設部82dの少なくとも一つ、ここでは中央付近の第一の延設部82dと後部82cの間に第三の屈曲部82bが形成されている。これにより、第二の板状部82の中央付近を両端付近よりもより強く押圧することができる。
【0055】
図12に示した固定ばね部材(押圧部材)8についても、図1に示した固定ばね部材(押圧部材)6と同様に、図12におけるような板ばね構造の他に、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65に、第一の板状部63と第二の板状部82とを連結する蝶番構造及び第一の板状部63と固定部64とを連結する蝶番構造を形成し、当該蝶番構造に弾性部材(コイルばねなど)を設けることにより付勢させることができる。第二の板状部82の前部82d及び後部82cについては、第三の屈曲部82bが第1の実施例における第三の屈曲部62bと比較して大きいため、上記蝶番構造により付勢させてもよい。
【0056】
固定ばね部材(押圧部材)6と固定ばね部材(押圧部材)8のいずれを用いるのかは、押圧する伝達部材の特性などに応じて適宜選択することができる。
【0057】
以上、第1の実施例及び第2の実施例においては、上述の色分離合成光学系(ライトバルブユニット)を用いたが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、各色のライトバルブの位置、各光学素子の配置、数に関しては、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)としての要旨の範囲で変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
6,8 固定ばね部材(押圧部材)
61 第一の屈曲部
62,82 第二の板状部
62a,82a 前部
62b,82b 第三の屈曲部
62c,82c 後部
62d,82d 第一の延設部
63 第一の板状部
64 固定部
65 第二の屈曲部
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧部材及びそれを用いた画像投射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属フレームによってライトバルブからヒートシンクへ熱伝導させる技術(特許文献1)や、ライトバルブを実装した金属フレームとヒートシンク等を電気的に接続する技術(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−39835号公報
【特許文献2】特開2007−240769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら特許文献1,2に開示されている従来技術では、ライトバルブから延びる金属フレーム等の伝達部材とヒートシンク(放射部材)との接触面積が十分ではない。また、構造上、伝達部材のヒートシンク(放射部材)への固定も容易ではない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、伝達部材と放射部材との接触面積を広範囲に確保し、伝達部材の放射部材への固定を容易に行える押圧部材及びそれを用いた画像投射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係る押圧部材は、第一の板状部と、前記第一の板状部の相対する側にそれぞれ形成された第二の板状部及び固定部と、前記第一の板状部と前記第二の板状部の間に形成された第一の屈曲部と、前記第一の板状部と前記固定部の間に形成された第二の屈曲部と、を有する押圧部材であって、前記第二の板状部は、前記第一の屈曲部に隣接する後部、及び、前記後部の前記第一の屈曲部と相対する側に隣接する前部を有し、前記前部は、前記後部に向かって延在する複数の第一の延設部を有し、前記第二の板状部は、前記複数の第一の延設部の少なくとも一つと前記後部とを連結する第三の屈曲部を有し、前記第一の屈曲部の屈曲方向と、前記第二の屈曲部及び前記第三の屈曲部の屈曲方向が、互いに異なる方向であり、前記第一の板状部及び前記第二の板状部は、互いに同じ回転方向に付勢されていることを特徴とする。
【0007】
また、上述の目的を達成すために、本発明に係る画像投射装置は、光源と、前記光源から出射された光束を変調するライトバルブと、前記ライトバルブに接触するヒートシンクと、前記ヒートシンクに接触する伝達部材と、を有するライトバルブユニットと、前記ライトバルブを電気的に駆動する基板と、前記基板を保持する基板保持部材と、を有し、前記ライトバルブユニットと前記基板の間に前記基板保持部材が配置された画像投射装置であって、前記基板保持部材が前述の押圧部材を有し、前記押圧部材の前記固定部が前記基板保持部材に固定され、前記押圧部材の前記第一の延設部により前記伝達部材が前記基板保持部材に押圧されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、伝達部材と(基板を保持する機能の他に放射部材としての機能も有する)基板保持部材との接触面積を広範囲に確保し、伝達部材の基板保持部材への固定を容易に行える押圧部材及びそれを用いた画像投射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例に係る(a)押圧部材(緑用のライトバルブ用、青用のライトバルブ用)の斜視図、(b)押圧部材(赤用のライトバルブ用)の斜視図、(c)押圧部材(赤用のライトバルブ用)の平面図
【図2】本発明の一実施例に係るライトバルブ駆動ユニットの斜視図。
【図3】本発明の一実施例に係る(a)ライトバルブユニットの斜視図、(b)ライトバルブユニットを図3(a)のA方向から見た平面図。
【図4】本発明の一実施例に係る(a)ライトバルブ、ヒートシンクの斜視図、(b)ライトバルブ、ヒートシンク及び伝達部材の斜視図。
【図5】本発明の一実施例に係る(a)基板保持部材の斜視図(押圧部材の固定前)、(b)基板保持部材の斜視図(押圧部材の固定後)。
【図6】本発明の一実施例に係る(a)ライトバルブユニット、基板保持部材の斜視図(フレキシブル配線基板を基板保持部材へ通す前)、(b)ライトバルブユニット、基板保持部材の斜視図(フレキシブル配線基板を基板保持部材へ通した後)。
【図7】本発明の一実施例に係るライトバルブユニット、基板保持部材の斜視図(図6(b)のB範囲の拡大斜視図)。
【図8】本発明の一実施例に係るライトバルブユニット、基板保持部材の断面図(図7のC−C断面図)。
【図9】本発明の一実施例に係る(a)ライトバルブユニット、基板保持部材、基板の斜視図(フレキシブル配線基板を基板へ通す前)、(b)ライトバルブユニット、基板保持部材、基板の斜視図(フレキシブル配線基板を基板へ通した後)。
【図10】本発明の一実施例に係るライトバルブユニット、基板保持部材、基板の断面図(図9のD−D断面図)。
【図11】本発明の他の実施例に係る(a)ライトバルブ、ヒートシンクの斜視図、(b)ライトバルブ、ヒートシンク及び伝達部材の斜視図。
【図12】本発明の他の実施例に係る押圧部材(赤用のライトバルブ用)の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、図1を用いて、本発明の画像投射装置において用いる固定ばね部材(押圧部材)6の構造について説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施例に係る押圧部材の斜視図((a),(b))及び平面図((c))である。具体的には、(a)押圧部材(緑用のライトバルブ用、青用のライトバルブ用)6の斜視図、(b)押圧部材(赤用のライトバルブ用)6の斜視図、(c)押圧部材(赤用のライトバルブ用)6の平面図である。図1(a)及び(b)に示した押圧部材は、大きさ等は異なるものの、基本的な形状やそれによる効果は同様なので、ここでは同じ符号を付している。
【0013】
図1(a)及び(b)に示されているように、固定ばね部材(押圧部材)6は、第一の板状部63、第二の板状部62、固定部64を有している。第一の板状部63の相対する側に第二の板状部62及び固定部64がそれぞれ形成されている。
【0014】
また、図1(c)に示されているように、第一の板状部63と第二の板状部62の間に第一の屈曲部61が形成され、第一の板状部63と固定部64の間に第二の屈曲部65が形成されている。固定ばね部材(押圧部材)6は、第二の屈曲部62から固定部64にかけて同じ材質、例えば金属等で一体に形成されており、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65は、固定ばね部材(押圧部材)6を形成する際に屈曲形状に形成された箇所である。
【0015】
図1(c)及び後述する図12においては、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65の屈曲形状は表現されていないが、実際の固定ばね部材(押圧部材)6においては、図1(a)及び(b)と同様に、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65には屈曲形状が形成されている。固定部64は、後述する板金(基板保持部材)5に固定ばね部材(押圧部材)6を、例えばネジ留め等で固定するための箇所であり、そのための固定穴65aが形成されている。
【0016】
前記第二の板状部62は、第一の屈曲部61から近い順に、後部62c、前部62d、そして後部62及び前部62dとの間に形成された第三の屈曲部62bからなる。後部62cは、第一の屈曲部61に隣接するように形成されており、後部62cの第一の屈曲部61と相対する側に、第三の屈曲部62bを挟んで隣接するように前部62dが形成されている。
【0017】
前部62dには、後部62cに向かって延在するように複数の第一の延設部62dが形成されている。複数の第一の延設部62dの少なくとも一つ、ここでは両端の第一の延設部62d,62dと後部62cとを連結する第三の屈曲部62bが形成されている。これにより、第二の板状部82の両端付近を中央付近よりもより強く押圧することができる。
【0018】
第一の屈曲部61の屈曲方向と、前記第二の屈曲部65及び前記第三の屈曲部62bの屈曲方向は、互いに異なる方向である。つまり、図1(a)及び(b)においては、第一の屈曲部61の山形状が上を向くように屈曲しているのに対し、第二の屈曲部65及び第三の屈曲部の山形状が下を向くように屈曲している。特に、第一の屈曲部61の屈曲方向(第一の板状部の固定部に対する屈曲方向)と、第二の屈曲部65の屈曲方向(第二の板状部62の第一の板状部63に対する屈曲方向)とが、互いに逆方向であることが効果を奏する上で特に好ましい構成である。
【0019】
第一の板状部63及び第二の板状部62は、互いに同じ回転方向に付勢されている。つまり、図1(a)及び(b)においては、第一の板状部63は固定部64に対して下方向(図1(a)及び(b)中での下方向)に付勢されており、第二の板状部62は固定部64に対して同じく下方向(図1(a)及び(b)中での下方向)に付勢されている。ここで、第一の板状部63は固定部64に対して図1(b)で時計回り(図1(a)では反時計回り)の方向に付勢されており(時計回りの方向に変位するように力を加えられている)、第二の板状部62は第一の板状部63に対して(固定部64に対しても)同じく図1(b)で時計回りの方向に付勢されている。第一の板状部63及び第二の板状部62への付勢はばね力によるものであるが、本発明はそれに限られず、その他の手段により付勢してもよい。
【0020】
また、第二の板状部62の前部62d及び後部62cも、互いに同じ回転方向に付勢されている。つまり、図1(a)及び(b)においては、前部62dには固定部64に対して上方向(図1(a)及び(b)中での上方向)にばね力が付勢されているのに対し、後部62cには固定部64に対して下方向(図1(a)及び(b)中での下方向)にばね力が付勢されている。第二の板状部62の前部62d及び後部62cへの付勢はばね力によるものであるが、本発明はそれに限られず、その他の手段により付勢してもよい。
【0021】
また、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65により生じるばね力(ばね定数)は、第三の屈曲部62bにより生じるばね力(ばね定数)よりも強くなるように形成されている。また、この第三の屈曲部は、蝶番のようにばね力を持たない屈曲可能な構成としても構わない。
【0022】
図1(a)及び(b)におけるような板ばね構造の他に、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65はそれぞれ、第一の板状部63と第二の板状部62を連結する蝶番構造及び第一の板状部63と固定部64を連結する蝶番構造を有し、当該蝶番構造に設けられた弾性部材(コイルばねなど)より、第一の板状部及び第二の板状部は付勢されてもよい。第二の板状部62の前部62d及び後部62cについては、第三の屈曲部62bが小さいため、図1(a)及び(b)におけるような板ばね構造以外により付勢させることは難しいが、小さなばね等と上記蝶番構造とを用いて付勢させてもよい。
【0023】
板状部を付勢する構造として板ばね構造を用いる場合には、屈曲部(第一の屈曲部6、第二の屈曲部65、第三の屈曲部62b)の曲げ幅(屈曲部の長さ)を調整することにより、板ばねのばね力(ばね定数)を適宜調整することができる。また、板厚を変更したり、板の幅を変更したりすることによっても、板ばねのばね力(ばね定数)を適宜調整することができる。
【0024】
このような構造により、固定ばね部材(押圧部材)6は、固定部64により板金(基板保持部材)5に固定された際に、後述する伝達部材2を板金(基板保持部材)に広い接触面積(前部62d)で押圧することができる。また、このような構造を有する固定ばね部材(押圧部材)6は、伝達部材2の板金(基板保持部材)5への固定も容易に行える。
【0025】
固定ばね部材(押圧部材)6に、第一の板状部63の両端部から第一の板状部63の外側に向かって延在する保持部(第二の延設部)63a,63aが設けられているが、これにより、伝達部材2を挟み込む(押圧する)際に保持部(第二の延設部)63a,63aを人が保持し、板金(基板保持部材)5から第三の屈曲部62bを浮き上がらせることができる。これにより、組立容易性が向上すると共に、第三の屈曲部62b周辺を保持することにより第三の屈曲部62b周辺が塑性変形してしまうことを防ぐことができる。
【0026】
次に、図2を参照して、本発明の画像投射装置において用いるライトバルブ駆動ユニットの全体構成について説明する。
【0027】
ライトバルブ駆動ユニット100の基本構成は、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1の構成部材である、光源(図示せず)から出射された光束を変調するライトバルブ4と、ライトバルブ4に取り付けられたヒートシンク3と、ライトバルブ4を電気的に駆動する基板7と、基板7を保持する板金(基板保持部材)5である。
【0028】
それに加え、ヒートシンク3の熱拡散を更に効率的に行うため、ヒートシンクに貼付された(接触する)伝達部材2としてのグラファイトシートと、伝達部材2を板金(基板保持部材)5に接触、固定する押圧部材である固定ばね部材6によってライトバルブ駆動ユニット100は構成される。
【0029】
次に、図3から図10を参考にライトバルブ駆動ユニット100の組立構成について説明する。
【0030】
図3は(a)色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1の斜視図、(b)ライトバルブユニットを(a)のA方向から見た平面図である。図4は(a)ライトバルブ、ヒートシンクの斜視図、(b)ライトバルブ及び当該ヒートシンクに接触する伝達部材4の斜視図である。
【0031】
図3(a)、図4の通り、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1内の一部として、光源(図示せず)から出射された光束を変調するライトバルブ4はフレキシブル配線基板41を有しており、その背面にヒートシンク3が接触するように配置される。ヒートシンク3はライトバルブの発熱および光束の吸収、輻射によって生じる熱を放熱する。ヒートシンク3には、主として、ライトバルブからの放熱を効率的に行うために、熱の伝達部材2としてグラファイトシートが貼り付けてある。本実施例におけるグラファイトシートは平面方向の熱伝導効率が400W/m・k、厚さ方向の熱伝導効率が3.5W/m・kであるが、この値に限るものではない。
【0032】
なお、グラファイトシート2は後述する銅箔テープ20と比較して、高い熱伝導性を有し、ライトバルブからの放熱を促進する効果に優れる。また、後述する銅箔テープ20よりは劣るものの、ライトバルブを発信源とする不要輻射ノイズを抑制する効果も有する。
【0033】
図3の色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1には3つのライトバルブ4R,4G,4Bが存在し、それぞれ、4Rは赤(R)、4Gは緑(G)、そして4Bは青(B)の波長領域の光を反射し、変調するライトバルブである。
【0034】
図3(b)を参照して色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1の基本構成を示す。10は青(B)と赤(R)の波長領域の光を反射し、緑(G)の波長領域の光を透過するダイクロイックミラーである。11は透明基板に偏光素子を貼り付けたG用の入射側偏光板であり、P偏光光のみを透過する。12はP偏光光を透過し、S偏光光を反射する第1の偏光ビームスプリッタであり、偏光分離面を有する。
【0035】
4R,4G,4Bはそれぞれ入射した光を反射するとともに画像変調する、赤用のライトバルブ(反射型液晶表示素子)、緑用のライトバルブ、青用のライトバルブである。14R,14G,14Bはそれぞれ、赤用の1/4波長板、緑用の1/4波長板、青用の1/4波長板である。
【0036】
13はRの色純度を高めるためにオレンジ光をランプに戻すトリミングフィルタで、15は透明基板に偏光素子を貼着したRB用の入射側偏光板であり、P偏光のみを透過する。16はRの光の偏光方向を90度変換し、Bの光の偏光方向は変換しない色選択性位相差板である。17はP偏光を透過し、S偏光を反射する第2の偏光ビームスプリッタであり、偏光分離面を有する。
【0037】
18BはB用出射側偏光板(偏光素子)であり、BのS偏光のみを透過(整流)し(他の色については作用しない)、18GはS偏光のみを透過させるG用出側偏光板である。19はRB光を透過し、G光を反射するダイクロイックプリズムである。
【0038】
以上のダイクロイックミラー10からダイクロイックプリズム19により、色分解合成光学系(ライトバルブユニット)1が構成される。
【0039】
次に、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1に、ライトバルブ4を電気的に駆動する基板7を保持する板金(基板保持部材)5を取り付ける。図4の通り、ライトバルブ4に取り付けられたヒートシンク3の熱拡散を更に効率的に行うために、ヒートシンク3にグラファイトシートからなる伝達部材2が接触(貼付)されている。図5の通り、板金(基板保持部材)5には伝達部材2を固定するための、固定ばね部材(押圧部材)6が各ライトバルブ4に対応して取り付けられている。板金(基板保持部材)5にはライトバルブ4のフレキシブル配線基板41と伝達部材2を通す開口および切欠が設けられている。
【0040】
図6〜8の通り、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)に板金(基板保持部材)5をビス締めによって取り付ける際、固定ばね部材(押圧部材)6によって、板金(基板保持部材)5と固定ばね部材(押圧部材)6で伝達部材2を挟み込み、伝達部材2を板金(基板保持部材)5に押圧する(図7に、図6(b)のB範囲の拡大斜視図、図8に、図7のC−C断面図を示す)。
【0041】
伝達部材2をばね力で固定することにより、伝達部材2に回転応力や引っ張り応力などの負荷をかけずに固定することができ、ライトバルブ4への負荷応力も減少する。また、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65により生じるばね力(ばね定数)が、第三の屈曲部62bにより生じるばね力(ばね定数)よりも強くなるように形成されているので、固定ばね部材(押圧部材)6により伝達部材2を押圧する際に、第三の屈曲部62bが屈曲し、広い接触面積を有する前部62dの全面が伝達部材2に接触され、それにより、ライトバルブからの放熱の促進や不要輻射ノイズの抑制が効率的に行えるようにすることができる。
【0042】
板金(基板保持部材)5と色分離合成光学系(ライトバルブユニット)1が位置決め固定され、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)とライトバルブ4は、ライトバルブ4R,4G,4Bが合成位置合わせを行うため、ユニット個々で微小に位置が異なる状態で固定される。そのため、板金(基板保持部材)5とライトバルブ4の固定には自由度が必要となり、強制的に位置決めを行うと、製造過程によって合成されたライトバルブ4の位置が微小にずれてしまう。また、伝達部材2の固定時に負荷をかけないように、3つのライトバルブ4を組み付けることは、組立作業上大変困難である。
【0043】
しかし、本発明の固定ばね部材(押圧部材)6は、伝達部材2を板金(基板保持部材)5に容易に固定できるため、組立性向上とライトバルブ4の負荷応力軽減を行うことが出来る。
【0044】
最後に、図9の通りライトバルブ4を駆動する基板7を板金(基板保持部材)5に取り付け、基板7の開口および切欠きからライトバルブ4のフレキシブル配線基板41を通して、基板7のコネクタに接続する。これによってライトバルブ駆動ユニット100の組立を完成する(図10に、図9のD−D断面図を示す)。
【実施例2】
【0045】
以下、図11を参照して、本発明の画像投射装置において用いる他のライトバルブ駆動ユニットについて説明する。
【0046】
ライトバルブ駆動ユニットの構成は、ヒートシンクに貼付された伝達部材20として銅箔テープ(図11)を用いたこと以外は、第1の実施例と同様とした。銅箔テープ20は第1の実施例において用いたグラファイトシート2と比較して、ライトバルブを発信源とする不要輻射ノイズを抑制する効果に優れる。また、グラファイトシート2よりは劣るものの、熱伝導性にも優れるので、ライトバルブからの放熱を促進する効果も有する。
【0047】
伝達部材20としての銅箔テープは、ヒートシンク3と貼り付く面とその反対面の板金(基板保持部材)5と接続される面が存在する。
【0048】
前記銅箔テープ20はヒートシンク3と貼り付く箇所に、導電性の粘着剤を用いている。また、ヒートシンク3と貼り付く面側で、ヒートシンク3と接触する部分と固定ばね部材6と接触する部分以外は絶縁膜および絶縁シートで保護されている。このことより、基板7との接触やショートの可能性を防ぐ。
【0049】
一方、ヒートシンク3と貼り付く面の反対面である、板金(基板保持部材)5と接続される面に関しては銅箔の状態である。
【0050】
上記の構造により、ヒートシンク3と板金(基板保持部材)5を導通させる事ができ、ライトバルブを発信源として発生する不要輻射ノイズを抑制することができる。
【0051】
固定ばね部材(押圧部材)としては、第1の実施例において用いた固定ばね部材(押圧部材)6の他に、図12に示した固定ばね部材(押圧部材)8を用いることもできる。
【0052】
固定ばね部材(押圧部材)6と固定ばね部材(押圧部材)8の違いは、第二の板状部の構造にある。
【0053】
第1の実施例と同様に、後部82cは、第一の屈曲部61に隣接するように形成されており、後部82cの第一の屈曲部61と相対する側に、第三の屈曲部82bを挟んで隣接するように前部82dが形成されている。
【0054】
前部82dには、後部82cに向かって延在するように複数の第一の延設部82dが形成されている。固定ばね部材(押圧部材)8の第二の板状部82は、固定ばね部材(押圧部材)6の第二の板状部62と異なり、複数の第一の延設部82dの少なくとも一つ、ここでは中央付近の第一の延設部82dと後部82cの間に第三の屈曲部82bが形成されている。これにより、第二の板状部82の中央付近を両端付近よりもより強く押圧することができる。
【0055】
図12に示した固定ばね部材(押圧部材)8についても、図1に示した固定ばね部材(押圧部材)6と同様に、図12におけるような板ばね構造の他に、第一の屈曲部61及び第二の屈曲部65に、第一の板状部63と第二の板状部82とを連結する蝶番構造及び第一の板状部63と固定部64とを連結する蝶番構造を形成し、当該蝶番構造に弾性部材(コイルばねなど)を設けることにより付勢させることができる。第二の板状部82の前部82d及び後部82cについては、第三の屈曲部82bが第1の実施例における第三の屈曲部62bと比較して大きいため、上記蝶番構造により付勢させてもよい。
【0056】
固定ばね部材(押圧部材)6と固定ばね部材(押圧部材)8のいずれを用いるのかは、押圧する伝達部材の特性などに応じて適宜選択することができる。
【0057】
以上、第1の実施例及び第2の実施例においては、上述の色分離合成光学系(ライトバルブユニット)を用いたが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、各色のライトバルブの位置、各光学素子の配置、数に関しては、色分離合成光学系(ライトバルブユニット)としての要旨の範囲で変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
6,8 固定ばね部材(押圧部材)
61 第一の屈曲部
62,82 第二の板状部
62a,82a 前部
62b,82b 第三の屈曲部
62c,82c 後部
62d,82d 第一の延設部
63 第一の板状部
64 固定部
65 第二の屈曲部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の板状部と、
前記第一の板状部の相対する側にそれぞれ形成された第二の板状部及び固定部と、
前記第一の板状部と前記第二の板状部の間に形成された第一の屈曲部と、
前記第一の板状部と前記固定部の間に形成された第二の屈曲部と、を有する押圧部材であって、
前記第二の板状部は、前記第一の屈曲部に隣接する後部、及び、前記後部の前記第一の屈曲部と相対する側に隣接する前部を有し、
前記前部は、前記後部に向かって延在する複数の第一の延設部を有し、
前記第二の板状部は、前記複数の第一の延設部の少なくとも一つと前記後部とを連結する第三の屈曲部を有し、
前記第一の屈曲部の屈曲方向と、前記第二の屈曲部及び前記第三の屈曲部の屈曲方向が、互いに異なる方向であり、
前記第一の板状部及び前記第二の板状部は、互いに同じ回転方向に付勢されていることを特徴とする押圧部材。
【請求項2】
前記第一の板状部の両端部から前記第一の板状部の外側に向かって延在する複数の第二の延設部を有することを特徴とする請求項1に記載の押圧部材。
【請求項3】
前記押圧部材が板ばねであることを特徴とする請求項1又は2に記載の押圧部材。
【請求項4】
前記第一の屈曲部及び前記第二の屈曲部はそれぞれ、前記第一の板状部と前記第二の板状部及び前記第一の板状部と前記固定部を連結する蝶番構造を有し、前記蝶番構造に設けられた弾性部材により、前記第一の板状部及び前記第二の板状部は付勢されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の押圧部材。
【請求項5】
光源と、
前記光源から出射された光束を変調するライトバルブと、前記ライトバルブに接触するヒートシンクと、前記ヒートシンクに接触する伝達部材と、を有するライトバルブユニットと、
前記ライトバルブを電気的に駆動する基板と、
前記基板を保持する基板保持部材と、を有し、
前記ライトバルブユニットと前記基板の間に前記基板保持部材が配置された画像投射装置であって、
前記基板保持部材が請求項1乃至4のいずれかに記載の押圧部材を有し、
前記押圧部材の前記固定部が前記基板保持部材に固定され、
前記押圧部材の前記第一の延設部により前記伝達部材が前記基板保持部材に押圧されていることを特徴とする画像投射装置。
【請求項6】
前記伝達部材がグラファイト又は銅からなることを特徴とする請求項5に記載の画像投射装置。
【請求項1】
第一の板状部と、
前記第一の板状部の相対する側にそれぞれ形成された第二の板状部及び固定部と、
前記第一の板状部と前記第二の板状部の間に形成された第一の屈曲部と、
前記第一の板状部と前記固定部の間に形成された第二の屈曲部と、を有する押圧部材であって、
前記第二の板状部は、前記第一の屈曲部に隣接する後部、及び、前記後部の前記第一の屈曲部と相対する側に隣接する前部を有し、
前記前部は、前記後部に向かって延在する複数の第一の延設部を有し、
前記第二の板状部は、前記複数の第一の延設部の少なくとも一つと前記後部とを連結する第三の屈曲部を有し、
前記第一の屈曲部の屈曲方向と、前記第二の屈曲部及び前記第三の屈曲部の屈曲方向が、互いに異なる方向であり、
前記第一の板状部及び前記第二の板状部は、互いに同じ回転方向に付勢されていることを特徴とする押圧部材。
【請求項2】
前記第一の板状部の両端部から前記第一の板状部の外側に向かって延在する複数の第二の延設部を有することを特徴とする請求項1に記載の押圧部材。
【請求項3】
前記押圧部材が板ばねであることを特徴とする請求項1又は2に記載の押圧部材。
【請求項4】
前記第一の屈曲部及び前記第二の屈曲部はそれぞれ、前記第一の板状部と前記第二の板状部及び前記第一の板状部と前記固定部を連結する蝶番構造を有し、前記蝶番構造に設けられた弾性部材により、前記第一の板状部及び前記第二の板状部は付勢されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の押圧部材。
【請求項5】
光源と、
前記光源から出射された光束を変調するライトバルブと、前記ライトバルブに接触するヒートシンクと、前記ヒートシンクに接触する伝達部材と、を有するライトバルブユニットと、
前記ライトバルブを電気的に駆動する基板と、
前記基板を保持する基板保持部材と、を有し、
前記ライトバルブユニットと前記基板の間に前記基板保持部材が配置された画像投射装置であって、
前記基板保持部材が請求項1乃至4のいずれかに記載の押圧部材を有し、
前記押圧部材の前記固定部が前記基板保持部材に固定され、
前記押圧部材の前記第一の延設部により前記伝達部材が前記基板保持部材に押圧されていることを特徴とする画像投射装置。
【請求項6】
前記伝達部材がグラファイト又は銅からなることを特徴とする請求項5に記載の画像投射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−15582(P2013−15582A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146518(P2011−146518)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]