説明

抽出効率を向上させた再発光半導体構造

半導体層のスタックが再発光半導体構造(RSC)を形成する。スタック(310)は、第1の波長の光を第2の波長の光に変換する活性領域(316)を有し、活性領域(316)は少なくとも1つのポテンシャル井戸を有する。スタック(310)はまた、スタックの外側表面から活性領域へと延在する不活性領域(318)を有する。外側表面から不活性領域の中へと延びる凹部(326)がスタック(310)内に形成されている。平均凹部深さは、不活性領域の厚さの少なくとも50%である。あるいは、平均凹部深さは、最短ポテンシャル井戸距離の少なくとも50%である。凹部(326)の更に他の特性付けについても開示される。凹部(326)は、平面視において少なくとも40%の実装密度を有し得る。凹部(326)はまた、それらの投影面積の相当な部分が、斜めに傾いた表面に関連付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、本願と同じ日に出願され参照によって組み込まれる次の米国特許出願、つまり、米国特許出願第61/175,636号、「LEDと共に使用するための再放射半導体担体デバイス及びその製造方法(Re-Emitting Semiconductor Carrier Devices For Use With LEDs andMethods of Manufacture)」(代理人整理番号第65435US002号)、及び米国特許出願第61/175,632号、「インジウム欠乏機構を利用したインジウム含有基板上に成長された半導体デバイス(Semiconductor Devices Grown on Indium-Containing Substrates UtilizingIndium Depletion Mechanisms)」(代理人整理番号第65434US002号)に関するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、広義には固体半導体光源、並びにそれに関連する装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多種多様な半導体装置、及び半導体装置を作製する方法が知られている。これらの装置の一部は、可視光又は近可視光(例えば紫外光若しくは近赤外光)などの光を発光するように設計される。例として、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオードが挙げられる。もう一つの例が、再発光半導体構造(RSC)を形成する半導体層のスタックである。
【0004】
LEDとは異なり、RSCは、発光するために外部の電子回路からの電気駆動電流を必要としない。その代わりに、RSCは、RSCの活性領域において第1の波長λの光を吸収することによって、電子正孔対を生成する。これらの電子と正孔は次いで、活性領域内のポテンシャル井戸にて再結合して、第1の波長λとは異なる第2の波長λ、また任意選択により、ポテンシャル井戸の数及びそれらの設計上の特徴に応じて更に他の波長λ、λ等の光を発光する。第1の波長λの開始放射線又は「ポンプ光」は通常、RSCに結合された青色LED、紫色LED、又は紫外線発光LEDによってもたらされる。例示的なRSC装置、それらの構築方法、並びに関連する装置及び方法が、米国特許第7,402,831号(ミラー(Miller)ら)、米国特許出願公開第2007/0284565号(レーザーデール(Leatherdale)ら)及び同第2007/0290190(ハ―セ(Haase)ら)、PCT公開WO 2009/048704(ケリー(Kelley)ら)、並びに2008年6月26日出願の同時係属中の米国特許出願第61/075,918号、「半導体光変換構造(Semiconductor Light Converting Construction)」(代理人整理番号第64395US002号)に見出され、これらは全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0005】
図1は、RSC 108とLED 102とを組み合わせた例示的な装置100を示している。LEDは、ときにエピ層とも呼ばれるLED半導体層104のスタックをLED基板106上に有している。層104は、p型及びn型の接合層、発光層(通常、量子井戸を有する)、バッファ層、並びにスーパーストレート層を含むことができる。層104は、任意選択による結合層116を介してLED基板106に取り付けることができる。LEDは、上部表面112と下部表面とを有しており、上部表面には、上部表面が平坦である場合と比較して、LEDからの光の抽出を向上させるようにテクスチャー化してある。図示のように、電極118、120をこれらの上部表面及び下部表面上に設けることができる。これらの電極を通じて好適な電源に接続されると、LEDは、青色光又は紫外(UV)光に相当し得る第1の波長λの光を発光する。このLED光の一部がRSC 108に入射し、そこで吸収される。
【0006】
RSC 108は、結合層110を介してLEDの上部表面112に取り付けられている。RSCは、上部表面及び下部表面122、124を有しており、LEDからのポンプ光は下部表面124を通過して入射する。RSCはまた量子井戸構造114を有しており、この量子井戸構造114は、LED 102によって発光されたポンプ光の少なくとも一部が吸収されるようにこの構造の各部分におけるバンドギャップが選択されるような設計となっている。ポンプ光の吸収によって生成された電荷キャリアは、この構造のうちの、より小さなバンドギャップを有する他の部分、つまり量子井戸層の中へと移動し、ここでキャリアは再結合しより長い波長の光を生成する。この様子が図1に示されており、第2の波長λの再発光光がRSC 108の内部から発生し、RSCを抜け出して出力光を供給している。
【0007】
図2は、RSCを備える例示的な半導体層スタック210を示している。このスタックは、リン化インジウム(InP)ウェーハ上で分子線エピタキシー(MBE)を用いて成長させたものである。まず、GaInAsバッファ層をInP基板上でMBEによって成長させて、II〜VI成長用の表面を調製した。次いで、超高真空移送システムを介して、RSCで用いられるII〜VIエピタキシアル層の成長のための別のMBEチャンバーにウェーハを移動した。成長したままのRSCの詳細が図2に示されており、表1にまとめられている。この表には、RSCに関連する種々の層に関して、厚さ、材料組成、バンドギャップ、及び層の説明が記載されている。このRSCは、各々が2.15eVの遷移エネルギーを有する8個のCdZnSe量子井戸230を有するものであった。各量子井戸230はCdMgZnSe吸収層232の間に挟まれており、これらのCdMgZnSe吸収層232は、LEDが発光した青色光を吸収し得る2.48eVのバンドギャップエネルギーを有するものであった。RSCはまた、様々な窓層、バッファ層、及びグレーディング層を有していた。
【0008】
【表1】

【0009】
このRSC装置及び他のRSC装置の更なる詳細が、PCT公開WO2009/048704(ケリー(Kelley)ら)に見出すことができる。
【0010】
RSCの各層は半導体材料で構成されており、半導体材料は通常、比較的高い屈折率を有するので、第2の波長λの光、及びRSC内で生成された他の任意の光は、RSCの外側表面における内部全反射によってRSCの内部に捕捉されやすく、また、発光出力に寄与する代わりにRSC内で吸収されやすくなる。したがって、この損失機構を低減するために、RSCの1つ以上の表面をテクスチャー化して、RSC内で生成された長波長光の抽出効率を向上させることが提案されてきた。例えばPCT公開WO 2009/048704号(ケリー(Kelley)ら)を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは本願において、特に再発光半導体構造(RSC)の光抽出の技術水準を高める装置及び方法について記載する。したがって、RSCの1つ以上の表面を単純にテクスチャー化するほかに、本発明者らは本明細書において、RSCへの応用に特に好適である抽出機構部に関する特定の設計詳細について開示する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示する設計詳細の一部は、RSCの特定の機構部又は特性に関するものである。例えば、ある場合には、RSCの活性領域及び不活性領域と抽出機構部との関係を規定するために、RSCの活性領域と不活性領域を区別することが重要となり得る。ある場合には、以下で最短ポテンシャル井戸距離と呼ばれるRSCの特性を識別し、このパラメータtと抽出機構部との間の関係を規定することを目指すことが重要となり得る。ある場合には、RSCと共に使用するのに有利な抽出機構部を規定する目的で、RSCの更に他の特性を識別することが重要となり得る。
【0013】
本願はしたがって、とりわけ、半導体層のスタックを有する装置を開示する。このスタックは活性領域と第1の不活性領域とを有する。活性領域は少なくとも第1のポテンシャル井戸を有し、活性領域は第1の波長λの光を第2の波長λの光に変換するように構成されている。第1の不活性領域は、スタックの外側表面から活性領域へ延びており、第1の不活性領域の中を伝播する第1の波長λの光が実質的に他の光に変換されないことを特徴としている。スタックの外側表面から活性領域までの距離は、第1の不活性領域の厚さに相当している。このスタックはまた、外側表面から第1の不活性領域の中へと延び、そのスタックの中に形成された複数の凹部を有し、それらの凹部は平均凹部深さによって特徴付けられ、平均凹部深さは第1の不活性領域の前記厚さの少なくとも50%である。
【0014】
また、半導体層のスタックを有する装置が開示される。このスタックは活性領域と第1の不活性領域とを有する。活性領域は少なくとも第1のポテンシャル井戸を有し、活性領域は第1の波長λの光を第2の波長λの光に変換するように構成されている。第1の不活性領域は、スタックの外側表面から活性領域へと延びており、第1の不活性領域の中を伝播する第1の波長λの光が実質的に他の光に変換されないことを特徴としている。第1のポテンシャル井戸は、スタックの外側表面に最も近いポテンシャル井戸であり、かつスタックの外側表面から第1のポテンシャル井戸までの最短ポテンシャル井戸距離によって特徴付けられる。このスタックはまた、外側表面から第1の不活性領域の中へと延びる、スタックの中に形成された複数の凹部を有し、それらの凹部は平均凹部深さによって特徴付けられ、平均凹部深さは、最短ポテンシャル井戸距離の少なくとも50%である。
【0015】
また、第1の波長の光を吸収し、第2の波長の光を発光するように構成された半導体層のスタックを有する多層半導体構造が開示される。このスタックは、ポテンシャル井戸と、第1の半導体層と、第2の半導体層とを有する。第1の半導体層は、第1の波長の光を吸収し、屈折率nを有する。第2の半導体層は、屈折率nを有し、スタックから第2の波長の光を抽出するための複数の抽出構造を有する。屈折率nはnと同じかそれよりも大きい。
【0016】
また、関連する方法、系、及び物品についても議論する。
【0017】
本願のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。しかしながら、いかなる場合も、上記の要約は、請求する主題を限定するものとして見なされるべきではなく、その主題は添付の特許請求の範囲によってのみ定義され、特許請求の範囲は手続処理の間に補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】組合わせ式LED/RSC装置の概略的側面図。
【図2】RSCを有する特定の半導体層スタックの概略的側面図。
【図3】図中で抽出機構部の設計に関連する様々な設計パラメータが識別される、RSCを有する一般化された半導体層スタックの概略的断面図。
【図4】例示的な抽出機構部パターンの平面図。
【図5】例示的な抽出機構部パターンの平面図。
【図6】モデル化された抽出機構部設計形状の概略的断面図。
【図7】モデル化された抽出機構部設計形状の概略的断面図。
【図8】モデル化された抽出機構部設計形状の概略的断面図。
【図9】モデル化された抽出機構部設計形状の概略的断面図。
【図9a】抽出機構部を含んでいる例示的な構造化表面の平面図。
【図10】実験的に実現された抽出構造の透視投影図。
【図11】図10に示す経路に沿った、図10の構造に関して測定された深さ輪郭の縦断面図。
【図12】図10に示す経路に沿った、図10の構造に関して測定された深さ輪郭の縦断面図。
【図13】RSC内に製作された抽出構造の光学顕微鏡写真をグレースケールで表わした図。
【0019】
これらの図において、同様の参照符号は同様の要素を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで図3を参照すると、RSCを有する又は構成する、一般化された半導体層スタック310の概略的断面図が示されており、ここで抽出機構部の設計に関連する様々な設計パラメータが識別される。留意されたいことに、図2の装置に示すように、スタック310の個々の層は、説明を簡単にするために更に一般化するために、図3の概略的な図面には含められていない。スタック310は、図1のLED 102などのポンプ光源、又はレーザーダイオードなどの別のエレクトロルミネッセンスデバイス、又は任意の他の好適な光源と共に使用するように設計できる。LEDと共に使用される場合、スタック310は、例えば図1に示すようにLEDに結合していてもよく、あるいはLEDからは分離していてポンプ光を受容するためにレンズ、光導体、又は他の好適な手段を伴ってLEDに連結していてもよい。
【0021】
通常、スタックは巨視的な観点からすると公称では平坦でかつ平面的であり、したがってz軸がスタックの平面に対して垂直となるように、デカルトx−y−z座標系が図に含められている。z軸はスタックの成長方向、すなわちスタックの製作の間に構成層の成長がそれに沿って生じる方向を表わし得るものである。その場合、スタックの第1の外側表面312は「開始表面」と呼ばれてもよく、その反対側のスタックの第2の外側表面314はスタックの「終端表面」と呼ばれてもよい。別法として、スタックの成長方向は負のz方向にあってもよい。その場合、第1の外側表面312は「終端表面」と呼ばれ、第2の外側表面314はスタックの「開始表面」と呼ばれる。「開始表面」及び「終端表面」、並びに「開始」層及び「終端」層などの関連する用語は、スタックの経時的な成長順序を示すものである。留意されたいことに、1番目に成長される半導体層が、ある設計上の目的で後にエッチング除去される場合、2番目に成長される半導体層が開始層とみなされ、その2番目に成長される層の外側表面がスタックの開始表面と見なされる。同様に、最後に成長される半導体層が後にエッチング除去される場合、最後から2番目に成長される半導体層がスタックの終端層とみなされ、この層の外側表面がスタックの終端表面と見なされる。
【0022】
スタック310の横方向境界が波線で示されており、スタックがx−y平面に沿って横方向に延在し得ることを示している。
【0023】
スタック310は、少なくとも2つの領域、つまり、活性領域316と第1の不活性領域318とで構成されているとみなすことができる。図3の実施形態において、スタック310はまた、第2の不活性領域320を有している。活性領域は少なくとも第1のポテンシャル井戸322を有し、活性領域はポテンシャル井戸の遷移エネルギーに対応して、第1の波長λの光を第2の波長λの光に変換するように構成されている。活性層はまた、ポテンシャル井戸に近接する1つ以上の吸収層を有してもよく、その吸収層は、ポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有するものである。第1の不活性領域318は、スタックの外側表面314から活性領域316へと延びており、第1の不活性領域318の中を伝播する第1の波長λの光が実質的に他の光に変換されないことを特徴としている。第2の不活性領域320は、外側表面312から活性領域316へと延びることを除いて、第1の不活性領域と類似している。第1の波長λのポンプ光の5つの例示的な光線が、外側表面312にてスタックに入射する様子が示されており、この外側表面312は、ポンプ光源に面しているため、スタックの「照明表面」と呼ばれてもよい。第1の光線324aは第2の不活性領域320において吸収されるが、その結果として実質的な光の再発光を生じることはない。第2及び第3の光線324b、324cは活性領域316において吸収され、それぞれ第2の波長λ(又は他の再発光波長)の再発光光を発生させている。第4の光線324dは第1の不活性領域318において吸収される、その結果として実質的な光の再発光を生じることはない。第5の光線324eはスタック310のいかなる部分にも吸収されず、外側表面314にて抽出機構部を通過してスタックを抜け出している。
【0024】
留意されたいことに、活性領域と不活性領域との境界は、スタック310の個別の層の間の物理的な境界又は界面と一致してもよく、また一致しなくてもよい。例えば、ポンプ光を吸収する一様な半導体層が、ポテンシャル井戸に隣接して配設されており、かつ半導体材料の電荷キャリアの拡散距離よりも相当に厚い厚さを有している場合、この層のポテンシャル井戸に近接する部分、例えば、ポテンシャル井戸の境界から少数キャリアの拡散距離の1倍又は2倍以内にある部分は、活性領域の一部であるとみなされてもよく、この層の残部は、ポテンシャル井戸から更に離れたものであるが、不活性領域の一部であると見なされ得る。層の近接部分において吸収されたポンプ光は電子正孔対を発生させ、これらの電子正孔対は、ポテンシャル井戸へ移動して放射再発光を発生させることが可能である。層の遠方部分において吸収されたポンプ光もまた電子正孔対を発生させ得るが、それらの電子正孔対は、ポテンシャル井戸内のキャリアと比べて、非放射的に再結合する可能性がより高く、したがって顕著な再発光を発生させることはない。
【0025】
したがって、例えば、RSCが、半導体吸収層で分離された複数のポテンシャル井戸を有するメイン層群を有しており、「開始」ポテンシャル井戸がメイン層群の一方の側に、「終端」ポテンシャル井戸がメイン層群の反対の側にあり、RSCがまた、メイン層群のこれらの両方の側に配設された厚い半導体吸収層を有している場合、活性領域は、例えば、(1)メイン層群と、メイン層群の境界から少数キャリア拡散距離の1倍以内にある厚い吸収層の各部分との組合わせ、又は、(2)メイン層群と、例えば、メイン層群の境界から少数キャリア拡散距離の2倍以内にある厚い吸収層の各部分との組合わせに相当してもよい。
【0026】
半導体層スタックの種々の層又は領域の屈折率もまた重要となり得る。ある場合には、活性領域内で生成された光が内部全反射(TIR)によって不活性領域に入射することを妨げられないように、不活性領域は、例えばポンプ波長であるいは再発光波長で測定したときに、活性領域の屈折率nに等しいかそれよりも大きい屈折率nを有することが望ましくなり得る。更に、スタックは、活性領域中の屈折率nの第1の層と不活性領域中の屈折率nの第2の層との間に配設されたスタックの任意の層に関して、TIRを回避するためにその層の屈折率がn以下となるように設計されてもよい。
【0027】
更に、いくつかの実施形態において、層スタックは、活性領域中の屈折率nの第1の層と不活性領域中の屈折率nの第2の層との間に配設されたキャリア障壁層を有してもよい。キャリア障壁層については、2008年6月26日に出願され参照によって本明細書に組み込まれる係属中の米国特許出願第61/075,918号、「半導体光変換構造(Semiconductor Light Converting Construction)」(代理人整理番号64395US002号)においてより詳しく議論されている。電荷キャリアが不活性層の中に移動し非放射的に結合することを防止するために、キャリア障壁層は好ましくは、少なくとも第2の層よりも高いバンドギャップエネルギーを有している。しかしながら、バンドギャップを増加させた材料は多くの場合、減少した屈折率を有しており、したがって、キャリア障壁の屈折率がn未満である場合、その材料は好ましくは光学的に薄く、例えば内部全反射のエバネッセント場の浸入深さよりも薄く作製され、第1の層において再発光された光のTIRが回避される。
【0028】
図3に戻ると、スタック310は、外側表面314に設けられた凹部326の形態をなす複数の抽出機構部を有している。凹部326は、規則的な反復パターンで配列しても、非反復的なあるいは不規則的な構成で配列してもよい。凹部は、凹部深さ328、開口寸法330、及び間隔又はピッチ332によって特徴付けできる。凹部が、これらのパラメータのいずれかにおいて、凹部同士の間で相当な変動性を示す場合、適切なパラメータの平均を用いられることができる。規則的な配列の場合、各凹部に関してこれらのパラメータは全て同一であっても又は実質的に同じであってもよい。凹部の設計において一様であることの1つの利点は、最適な性能をより一貫して得ることができる能力である。例えば、ウェットエッチング技術を用いて凹部が形成される場合、開口寸法の変動が、対応する変動を凹部深さに発生させることがある。そのような深さの変動は、特に不活性領域の厚さなど、所与の値よりも大きな深さを有する凹部がないことが望まれる場合、達成可能な最大の平均凹部深さに実際的な制限を与えることがある。言うまでもなく、設計者が、深さ、開口寸法、あるいは形状などにおいて、凹部を公称では同じにしたいと望む場合でも、通常のプロセスに関連する不均一性又は欠陥は、それらがエッチング剤溶液の不均一性又は欠陥であっても、あるいはエッチングされる材料の不均一性又は欠陥であっても、あるいは環境条件の不均一性又は欠陥であっても、凹部の全集合又はそのいくつかの重要な部分集合について測定すると、幾つかの有限のパラメータ変動を必然的に導入することになる。
【0029】
図3は、不活性領域320内ではなく不活性領域318内に形成された抽出機構部を示しているが、他の実施形態において、抽出機構部は領域318ではなく領域320内に形成されてもよく、あるいは、抽出機構部は不活性領域318と320の両方に、すなわち半導体スタック310の両側に形成されてもよい。
【0030】
抽出機構部の他の重要な設計上の態様は、機構部の形状、輪郭、又は外形である。凹部326は、例えば、概ね曲線状の又はU字形状の末端部を伴って示されている。これらの凹部それぞれの表面の相当な部分が、例えば、x−y平面に対して斜角をなして傾斜した表面で構成されている。このことは、凹部の投影領域又は平面図について検討する場合、例えば、負のz方向に沿って上方(図3を参照)からスタックを見るときに特に当てはまる。他の抽出設計では他の形状が利用される。例えば、ある設計は、x−y平面に対して斜角をなして傾斜するか、あるいは例えば10度〜80度の範囲で傾斜する、おおよそ比例的な表面領域を有するものであってもよい。垂直の側壁と平坦な水平の末端部のみを有する設計は、x−y平面に対して斜角をなして傾斜する表面領域を実質的に有さないものとなり得る。
【0031】
本発明者らが研究した更に別の設計パラメータは、抽出機構部のパターンである。あるパターンは不規則的であってよく、他のパターンは高度に規則的でかつ均一であってよい。高度に規則的なパターンは、抽出機構部間のピッチが十分に小さい場合、フォトニック結晶として知られるナノ構造を作製するために使用できる。フォトニック結晶は、発光の状態密度を改善するために、また装置から発光された光の角度分布を制御するために使用できる。一般にフォトニック結晶の場合、孔パターンΛのピッチは材料中の発光波長λ/nに概ね等しい。可視発光体の場合、200nm未満のピッチを有する孔パターンと、約100nmの直径が、効果的な結果を求めて用いられる。そのような機構部の製作は通常、電子ビ―ムリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ、又は他の高度先進のパターン形成技術を要求する。対照的に、材料中における発光波長λ/nよりも相当大きな、あるいは空気中における発光波長λよりも大きなピッチが、RSCからの抽出効率を向上させる上で効果的となることを、本発明者らは見出した。ある場合には、そのピッチは、空気中における発光波長λの少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、又は5倍となり得る。比較的大きな機構部寸法が、通常の接触式又は近接式のフォトリソグラフィツールを使用してパターン形成できる。
【0032】
また、凹部のパターンは実装密度によって特徴付けできる。実装密度は、外側表面を上方から見た場合に、すなわち平面視において、複数の凹部が占める面積の百分率として定義できる。
【0033】
また、本発明者らの研究により、半導体スタックの特定の設計パラメータは、最適設計された抽出機構部に呼応することができると示された。これらのパラメータには、凹部が形成される不活性領域の厚さ334、及び最短ポテンシャル井戸距離336が挙げられる。最短ポテンシャル井戸距離336は、スタックの外側表面314からその外側表面に最も近いポテンシャル井戸までの距離であり、そのポテンシャル井戸は図3の場合、ポテンシャル井戸322であると見なされる。(留意されたいことに、最短ポテンシャル井戸距離は、スタックの特定の外側表面を基準とするものであり、したがって例えば、抽出機構部がスタックの両側に形成されている場合、スタックのある表面又は側面に対する最短ポテンシャル井戸距離は通常、スタックの別の表面又は側面に対する最短ポテンシャル井戸距離とは異なるものである。)また、スタック310の別の特徴的な距離、つまりスタック厚さ338が図3に示されており、このスタック厚さ338は、スタックの外側表面312と314との間で測定されるものである。一般に、コストが削減され、導波路モードと抽出機構部との相互作用がより強くなるために、より薄い構造が望ましいが、これらの効果は、機械的な取扱いの難しさ及び生じ得る寿命効果によって相殺する可能性がある。いくつかの実施形態において、活性領域又は活性領域のポテンシャル井戸に浸入することなく、可能な限り多数のスラブ導波モードを中断させるために、凹部深さ328は、スタック厚さ338の約50%であってもよい。
【0034】
本発明者らの研究の一部として、本発明者らは電磁気シミュレーションを実施して、RSCに対する最適な光抽出設計の特徴を特定する手助けにした。有限差分時間領域法(FDTD)シミュレーションを光学モデルに対して用いた。FDTDシミュレーション法は、偏光効果及びコヒーレンス効果を含めた関連する全ての光学的特性を考慮し、したがってRSCの光学性能に対する信頼性の高い設計ツールとなるものである。
【0035】
図3の実施形態に示した基本的なRSC装置構造は、モデル化原型として使用されたものである。具体的には、このモデルでは、RSC又は層スタックが、可変厚さT(図3の厚さ334を参照)及び屈折率2.646の頂部不活性領域と、厚さ600nm及び屈折率2.646の中央部活性領域と、厚さ500nm及び屈折率2.45の底部不活性領域とを有することが想定されている。言うまでもなく、この文脈における「頂部」及び「底部」は、識別を目的としたものに過ぎず、重力に関連する特定の方向を暗示するものではない。モデルで用いられる屈折率及び他の材料特性は、RSCでの使用に好適であるCdMgZnSe材料の典型的な屈折率に基づいている。頂部不活性領域は空気(屈折率1.0)に暴露されるようにモデル化され、底部不活性領域は屈折率1.5の媒質に暴露されるようにモデル化されたが、この屈折率1.5は、例えばRSCをLEDに結合するために使用できる結合材料に典型的なものである。両方の不活性領域、並びに空気媒体及び結合物質媒体は、光の吸収性を有さないと想定されたものである。
【0036】
ピッチΛ(図3の寸法332を参照)、開口寸法ApS(図3の寸法330を参照)、凹部深さDD(図3の寸法328を参照)、不活性領域厚さT(図3の寸法334を参照)、並びに、凹部輪郭及び凹部パターンは、研究のためのパラメータとして最初に選択されたものである。このモデルは、ポンプ光が屈折率1.5の結合材料内の分散光源から注入されると想定し、スタックの上方の空気中のある位置で収集された再発光光の量を算出するものであった。したがって、このモデルは装置の抽出効率の点において、RSC又は層スタックの性能によって特徴付けられた。本明細書におけるシミュレーション又はモデル化の結果(例えば以下の表2〜5を参照)に関連して報告する抽出効率は、別段の指定がない限り、スタックの出力側(例えば図3の表面314)から発光された(例えば波長λの)再発光光の電磁束を、活性領域のポテンシャル井戸内で生成された(例えば波長λの)再発光光の電磁束で除算した比として算出される。
【0037】
一連のモデルにおいて、本発明者らは、ピッチΛ、開口寸法ApS、及び不活性領域厚さTを変化させることの効果を調べた。これらのモデルは、抽出機構部が、図4の平面図に示す凹部パターン410を有する同一の凹部であると想定したものである。平面図における個々の凹部は、参照符号412で示される。このパターンは、約50%の実装比を有している。切断線414が貫通した凹部の横断面輪郭を、図6のモデル化されたRSC 610に示めす。このRSCは、第1の不活性領域612と、活性領域614と、第2の不活性領域616とを有している。RSCの外部表面は、表面612a及び表面616aである。表面612aは、その中に形成された凹部620を有しており、凹部620は、この一連のモデルにおいて図4の凹部412に相当している。凹部620は、図示のように曲線状の側壁を有する概ねU字形状の末端部を有している。そのような曲線状の機構部は、既知のウェットエッチング技術で達成し得る。表面616aは、結合材料618にさらされている。様々な層に想定される厚さ及び屈折率は、上で説明した通りである。
【0038】
この一連のモデルの結果を表2に示す。この表において、抽出効率に加えて、「改善度」が更に示されている。この改善度は、モデル化された特定の装置の抽出効率を、同一の装置であるが抽出機構部を持たない、すなわち不活性領域612の外側表面内に形成された凹部を持たない装置の抽出効率で除算した比である。したがって、例えば、2という改善度は、抽出機構部を持つ実施形態が、抽出機構部を持たない実施形態の抽出効率と比較して、2倍の抽出効率(100%向上)を有していたことを意味する。
【0039】
【表2】

【0040】
留意されたいことに、これらの実施形態それぞれの開口寸法ApSは、ピッチの値Λと対応している。Λ=2.8μmに対してはApS=2μm、Λ=0.7μmに対してはApS=0.5μmである。このデータにより、抽出効率が不活性領域厚さTに対してエッチング深さ又は凹部深さDDを増加させることによって向上できることが分かる。例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、又は90%の比率が望ましいものとなり得る。凹部深さはまた、実質的に不活性領域の厚さの100%であってもよい。凹部深さが更に増加される場合、凹部は隣接する活性領域614内の材料を除去又は移動させ始める。抽出効率を最大化するという観点からは、相当な量の材料を活性領域から除去すること、例えば、ポテンシャル井戸の各部分を除去することは、望ましくないことになり得る。したがって、少なくともいくつかの例における凹部深さ又は平均凹部深さは、好ましくは、不活性領域厚さの100%以下である。
【0041】
多数の実際的な実施形態において、最も近いポテンシャル井戸、例えば不活性領域612の最も近くにある活性領域614内のポテンシャル井戸は、不活性領域の比較的近くにある。したがって、上記の結果に基づいて、凹部深さDDと最短ポテンシャル井戸距離(図6において、表面612aから領域614内の最も近いポテンシャル井戸までの距離)との比を少なくとも50%、60%、70%、80%、又は90%、かつ好ましくは100%以下に維持することもまた望ましくなり得る。
【0042】
凹部深さと不活性領域厚さとの比の点から、あるいは凹部深さと最短ポテンシャル井戸距離との比の点から抽出機構部を特徴付けることに代わって(あるいはそれに加えて)、抽出機構部はその代わりに(あるいは更に)、凹部の底部又は末端部から不活性領域の境界まで、あるいは最も近いポテンシャル井戸の境界までの距離(又は平均距離(凹部の全集合に対して平均化されたか、あるいはその全集合のうちの幾つかの主要な部分集合に対して平均化されたかに関わらない))によって特徴付けられてもよい。そのように特徴付けられたこれらの距離のいずれか又は全ては、好ましくは、750nm未満、又は500nm未満、又は250nm未満、又は100nm未満である。
【0043】
ある場合には、RSC内における光の伝播は、スラブ導波路内における光の伝播として近似することができる。活性領域及び不活性領域(複数を含む)又はそれらの各部分の相対屈折率に応じて、導波特性は、RSCの全厚に、あるいはその全厚の数分の1のみに限定され得る。凹部の深さは、活性領域における光の再生に不利な影響を与えることなく、可能な限り多くの平面導波路(例えば、スタックのうちの高屈折率の部分に代表される)を分断させるように選択できる。したがって、例えば、本明細書で説明する凹部又は他の抽出機構部は、スタック又はRSCの全厚の50%より大の不活性領域の厚さを有する不活性領域内に形成できる。しかしながら、いくつかの実施形態において、スタックの全厚は比較的屈折率の低い不活性領域を有してもよく、その不活性領域はRSC内に導波路の部分を効果的に形成するものではない。そのような場合、抽出機構部は導波路の部分を効果的に形成する屈折率がより高い第2の不活性領域内に設けてもよく、この第2の不活性領域は活性領域の厚さよりも厚さが大である。
【0044】
別の一連のモデルにおいて、本発明者らは抽出機構部の横断面形状又は輪郭の効果を調べた。このモデル化もまた、同じパターン410の凹部を想定したものであるが、切断線414が貫通した凹部の横断面の輪郭は、ここではモデル化された図7のRSC 710へと変更されている。不活性領域612が不活性領域712で置き換えられていることを除き、このRSCは図6のRSC 610と同じであり、したがって同じ参照符号が多数の構成要素に用いられている。この領域712は外側表面712aを有し、この外側表面712a内に同一の凹部720が形成されており、凹部720はここでは図4の凹部412に対応している。図示のように、曲線状の表面の凹部620とは対照的に、凹部720は概ね長方形の形状の末端部を有しており、曲線状の側壁と斜角をなして配設された表面とを実質的に有していない。図7の長方形の形状の輪郭は、特定のドライエッチングプロセスで達成可能となり得る。様々な層に想定される厚さ及び屈折率は、ここでも上で説明した通りである。
【0045】
この一連のモデルの結果を表3に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
ここでも、開口の寸法ApSが、これまでと同様にピッチの値Λと対応している。このデータにより、曲線状の表面、及び/又は斜めに傾いた表面は、抽出効率を向上させるのに役立ち得ることが分かる。好ましくは、抽出機構部の表面の相当な部分が曲線をなすかあるいは斜角をなして傾斜している。例えば、平面図における所与の凹部の所与の投影面積に関して言えば、領域の少なくとも20%、又は少なくとも40%、60%、若しくは80%が、曲線をなすかあるいは層スタックの平面に対して斜角をなして傾斜する表面に相当していることが好ましい。更に、この領域の百分率は好ましくは、例えば、10度〜80度の範囲で斜角をなして傾斜する表面に相当し得る。
【0048】
多くの一般的なエッチングプロセスにおいて、正方形又は長方形などの分割された形状を有する凹部よりも、丸み付きの平面図形状又は開口を有する凹部を製作する方が容易である。したがって、本発明者らはまた、平面図での種々の抽出機構部の形状の効果についても調べた。更なる一連のモデルにおいて、本発明者らは、正方形又は菱形形状の開口を有する凹部を含んだ凹部パターンを、図5に示す凹部パターン510と比較した。パターン510において、個々の凹部512は円形の開口を有している。留意されたいことに、選択された円の直径(AsPは公称でΛと等しくなるように選択された)に関する、開口の形状のこの変化もまた、実装比を変化させる。パターン510は、先に定義された約79%の実装比を有する。
【0049】
この一連のモデルに関し、図4の正方形の開口パターンを図6のU字形状をなす凹部の輪郭と組み合わせた上述の実施形態であって、本明細書では第1の実施形態と呼ばれるものを、図5の円形の開口パターンを実質的に図6に類似したU字形状をなす凹部の輪郭と組み合わせた類似の実施形態であって、本明細書では第2の実施形態と呼ばれるものと比較した。したがって、第2の実施形態で使用した凹部が示した切断線514(図5)に沿った横断面の輪郭は、図6に示されるU字形状の輪郭と類似したものであり、ApS/Λの比の変化に合わせて横方向の倍率の調節がなされている。
【0050】
この一連のモデルの結果を表4に示す。
【0051】
【表4】

【0052】
本発明者らが観察したところでは、円形の開口を有する(with itcircular apertures)第2の実施形態は、正方形の開口を有する第1の実施形態よりもわずかに低い抽出効率を与える。
【0053】
更に別の一連のモデルにおいて、本発明者らは、抽出機構部の種々の横断面形状又は輪郭について、更なる研究を実施した。このモデル化もまた、正方形の形状の開口を有する、図4の凹部パターン410を想定したものである。本発明者らは3つの実施形態、つまり、切断線414が貫通した横断面(長方形の形状をなす輪郭)が図7に示されている第1の実施形態と、切断線414が貫通した横断面(V字形状の輪郭)が図8に示されている第2の実施形態と、切断線414が貫通した横断面(オーバーエッチングされたU字形状の輪郭)が図9に示されている第3の実施形態とを比較した。不活性領域612が不活性領域812で置き換えられていることを除き、図8のRSC 810は図6のRSC 610と同じであり、したがって、同じ参照符号が、多数の構成要素に用いられている。この領域812は外側表面812aを有しており、この外側表面812a内に、同一の凹部820が形成されている。図示のように、曲線状の表面の凹部620とは対照的に、凹部820は概ねV字形状の末端部を有しており、曲線状の側壁を実質的に有さないが、実質的に全体的に斜角をなして配設された側部表面を有している。図8のV字形状の輪郭は、選択エッチング剤、すなわち異なる結晶方向に対して異なるエッチング速度を有するエッチング剤を使用して、あるいは、グレイスケールリソグラフィ技術を用いて実現可能となり得る。
【0054】
本発明者らは、多種多様なフォトリソグラフィ技術のうちのいずれか、又はそれらの組合わせを用いて、本明細書で開示する抽出機構部を形成することを考えている。コンタクトリソグラフィ、干渉リソグラフィ、投影リソグラフィ、インプリントリソグラフィ、及び、露光マスクとしてあるいはフォトレジストとして働く自己組織化粒子に基づいたパターン形成は、少数の例に過ぎない。
【0055】
同様に不活性領域612がここでは不活性領域912で置き換えられていることを除き、図9のRSC 910は図6のRSC 610と同じであり、同じ参照符号が、多数の構成要素に用いられている。この領域912は外側表面912aを有しており、この外側表面912a内に、同一の凹部920が形成されている。凹部920は、曲線状の概ねU字形状の末端部を有しており、これらの末端部は凹部620の末端部と類似している。しかしながら、凹部920は例えばエッチング剤溶液を用いて作製され、エッチング剤溶液は、少なくとも図9に示す横断面図から見て、隣接する凹部の間の領域912の上側部分を完全に除去していた。
【0056】
この一連のモデルの結果を表5に示す。
【0057】
【表5】

【0058】
図9の構造化表面の興味深い特徴として、図9の横断面図から見て、領域912における隣接する凹部の間の刃先形状の構造の高さ912bが減じられていることである。留意されたいことに、他の横断面図において、凹部920の間の高さのそのような低減は、存在したり存在しなかったりする可能性がある。形成される3次元構造の性質に応じて、低減された高さ912bに存在するナイフエッジ形状の突出部を不活性領域912の外側表面と見なすことが適切であろう。例えば、図9aの平面図に示される抽出表面940を参照する。表面940は、平坦な外側表面上に設けられた円形の開口950のパターンを有するマスクを介してエッチングすることによって形成された。エッチングが開口を通過して表面の中に進行し、やがて平面視においておおよそ円形の開口形状を有する凹部952が形成される。材料の支柱954は、その上部表面がエッチング前の元の平坦な外側平面と一致するものであるが、図示のように依然として所定位置のままである。この構造化表面を切断線958に沿った横断面図で見ると、隣接する凹部の間のナイフエッジ形状の構造956が観測されることになる。しかしながら、この構造化表面を切断線960に沿った横断面で見ると、そのようなナイフ形状の構造は観測されず、元の平坦な外側表面と一致する平坦な頂部を有する支柱954が代わりに観測されることになる。
【0059】
製作実施例
本発明者らは、斜めに傾いた側壁を有する凹部によって形成された抽出構造を有するRSC装置を製作した。III〜V(InP)ウェーハ基板上に成長させたCdMgZnSe及び類似のII〜VI半導体材料を使用して、分子線エピタキシー(MBE)成長技術を用いてこのRSC装置を作製した。このRSCは、1つの活性領域内に配設された少なくとも1つのポテンシャル井戸と、1つの不活性領域とを有するものであった。不活性領域は、比較的厚い(約1マイクロメートル)II〜VI窓層に実質的に相当するものであり、その外部表面はRSCの外部表面を形成するものであった。
【0060】
本明細書における製作実施例と関連して記載される「抽出効率」は、別段の指定がない限り、スタックの出力側(例えば図3の表面314を参照)から発光された(例えば波長λの)再発光光の電磁束を、スタックに吸収される(例えば波長λ)のポンプ光の電磁束で除算した比として算出されるものである。
【0061】
まず、標準的なフォトリソグラフィを利用して、RSCのこの外部表面上に格子状パターンを画定した。フォトリソグラフィプロセスに続いて、化学エッチングを施してフォトレジストパターンをRSCに転写し、段階的深さ輪郭(U字形状の末端部)を有するエッチング凹部を形成した。エッチング剤の化学的性質及びプロセスの選択は重要であった。完全な等方性エッチングにより、丸み付きの側壁を有する凹部が形成される。完全な異方性エッチングにより、直線的な側壁を有する凹部が形成され、その側壁は、異方性エッチングによってウェーハ(スタック)平面に平行な露出表面のみが腐食される場合には垂直となる。ウェット化学エッチング剤は、等方性エッチング又は異方性エッチングのいずれをも生じ得るが、異方性エッチング若しくは等方性エッチングと異方性エッチングとの双方の組合わせの潜在的利点を検討してもよい。
【0062】
この実施例においては、等方性ウェット化学エッチングを用いた。本発明者らは、濃縮HBr又はHBr溶液がCdMgZnSeのエッチングに良好な候補となることを見出した。材料組成によってエッチング速度が変動する問題に対処するため、エッチングをより迅速にしかつエッチングの制御をより良好にすべく少量のBrをエッチング溶液に添加した。この取り組みによって形成されたエッチング凹部1012の抽出表面1010のデジタル表示を、図10の斜視図に示す。凹部1012は、CdMgZnSeのRSC装置を室温でHO:HBr:Br=120:20:1の溶液に150秒間攪拌することなく浸漬することによって、外側表面1014においてエッチングしたものである。エッチングの後、試料からフォトレジストを剥ぎ取り、次いで表面を原子間力顕微鏡(AFM)で特性評価を行った。図10に示す2つの経路1016、1018に沿ってAFM(AFT)で走査することによって表面を特性確認した。図11のトレース1110は、経路1016に相当する水平軸に沿った走査位置の関数として、ナノメートル単位で測定した相対的垂直位置又は高さを示す。図12のトレース1210は、走査経路1018に対するものであることを別にすれば図11のトレースと類似している。図10〜12で明らかなように、エッチング凹部はシミュレートした抽出構造と類似した側壁の輪郭を有している。
【0063】
抽出機構部を有さないRSC試料と比較すると、図10〜12の曲線状の側壁を有する抽出パターンで作製したRSC試料は3倍に改善された波長変換効率を示し、最大で50%の抽出効率を観測した。別の実施形態において、凹部は図10の丸み付きの開口ではなく、正方形の形状の平面図開口を有するようにエッチングしてもよい。このことを、エッチング溶液によるアンダーカットの存在下で達成するために、フォトレジストマスクで使用されるパターンは、より理想的なエッチング構造を生じさせるように「事前に歪めておく」ことができる。例えば、角部にセリフ(serifs)を有する正方形パターンが利用できる。
【0064】
更なるRSC装置を製作して抽出機構部を組み込んだ。これらのRSC装置は、RSCの成長基板の非存在下でRSCの半導体層スタックをキャリア窓と組み合わせたものであり、この構造は「RSCキャリア装置」と呼ばれ、同一出願人によって出願された米国特許出願第61/175636号、「LEDと共に使用するための再発光半導体キャリア装置及びその製造方法(Re-Emitting Semiconductor Carrier Devices For Use With LEDs andMethods of Manufacture)」(代理人整理番号第65435US002号)に更に詳しく記載されている。小板(platelet)の形態をなすそのようなRSCキャリア装置を、ウェーハの形態をなすIII〜V半導体基板上での分子線エピタキシーによって成長させたII〜VIエピタキシー層から製作した。公称のエピタキシー層(InP基板及びGaInAsバッファ層を含む)について以下の表6に記載する。RSCの層構成は、上で議論した逆向きの構成向けに設計したものであり、RSCの開始層はRSCの照明表面となるように設計し、ポンプ光はその照明表面を通過してRSCに入射する。このことは、例えば、RSCの活性領域(層成長順序第5〜13の層)とRSCの終端表面(シアン遮断体層(cyan blocker layer)の外部表面)との間におけるシアン遮断体層(成長順序第15)の配置によって明らかとなり得る。
【0065】
【表6】

【0066】
II〜VI層スタック(成長順序2〜15)は、4つのポテンシャル井戸を有するRSCを形成する。これらの層をIII〜V基板上に成長させた後、凹部又はピットの規則的な配列又はパターンの形態をなす光抽出機構部をRSCの露出主表面に、すなわちシアン遮断体層の終端表面にエッチング形成した。ピットパターンは、通常の接触リソグラフィ及びウェットエッチングで達成したものである。Futurrex PR1−1000Aフォトレジストをパターン形成して、約2μm径の開口又は開口部を作製し、中心間の間隔を4μmとした六角形パターンで配列した。RSCの露出表面を、100mlのHOと20mlのHBrと1mlのBr(体積比)の溶液中で約40秒間にわたってエッチングした。アンダーカットのために、この結果、約2μmの半径を有するおおよそ半球形のエッチピット又は凹部が得られた。この抽出構造の光学顕微鏡写真をグレースケールで表示したものが、図13に示す。この図において、凹部1310は、平面図における円形状の開口を有していることが明らかであり、これらの構造の横方向寸法は、提示された5.0マイクロメートルの目盛りで測定できる。図における暗色リング1312は、使用した照明配置のアーチファクトである。
【0067】
フォトレジストの除去後、構造がテクスチャー化された側、すなわちRSCの終端表面を、Norland 83H熱硬化性接着剤(ニュージャージー州クランブリー(Cranbury)のノーランドプロダクツ社(Norland Products))を使用してキャリア窓として働くガラス製顕微鏡スライドカバーに接着し、120℃の加熱板上で硬化させた。スライドカバーは全ての可視光に対して実質的に透明であり、約167マイクロメートルの厚さと25mm×25mmの横方向寸法を有するものであった。それに対し、成長基板ウェーハ及びRSCは20mm×20mmの横方向寸法を有するものであった。屈曲を防止するために、蝋を使用してスライドカバーの一方の側を顕微鏡スライドに貼り付け後にスライドカバーの残りの側をRSC/基板ウェーハに貼り付けけることによって、スライドカバーを補強した。短時間の機械的ラッピングに続いて、HCl:HOが3:1の溶液中でエッチングすることによって、InPベース層を除去した。エッチング剤は、GaInAsバッファ層(成長順序1番目)において阻止された。次いでこのバッファ層を、30mlの水酸化アンモニウム(30重量%)と、5mlの過酸化水素(30重量%)と、40gのアジピン酸と、200mlの水からなる攪拌した溶液中で除去し、顕微鏡スライドカバー及び補強用顕微鏡スライドに貼り付けたII〜VI RSC(成長順序2番目〜15番目の層)のみを残した。窓層よりも低いバンドギャップを有し、したがってポンプ波長の光を吸収する、露出した薄いCdZnSe層(層2)もまた、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE)システム(オクスフォードインスツルメンツ社(Oxford Instruments))を使用してアルゴン中でのショートプラズマエッチングによって除去した。エッチング条件は、100Wの高周波電力にて〜85秒を含むものである。別法として、この層は、HBr:H2O:Br2又はBr2:メタノールを含む、II〜VI化合物をエッチングするのに好適なウェットエッチング剤技術によって除去できる。
【0068】
次いで、顕微鏡スライドを構造から取り除き、その結果、残されたもの全てはRSCを構成するII〜VI層スタックとなったが、このII〜VI層スタックは、スライドカバーに貼り付けられて、RSCキャリア装置を形成しており、このRSCキャリア装置は、破損を伴うことなく、またRSCに損傷を与えることなく、実験室内で取り扱うことができた。次いで機械的なダイシングを用いて、RSCキャリア装置を小板形態に切断した。20μmのダイアモンド刃を有するディスコ(Disco)社のダイシングソーを使用して、試料を1mm×1mmの正方形に切断した。これらの小板の有効性をLumileds RebelフリップチップLEDに結合することにより試験した。ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウコーニング社(Dow Corning Corp.)から購入したSylgard184熱硬化性シリコーンの小滴を所与のLEDの上に分配し、次いでRSCキャリア装置の小板をダイボンダ内でLEDに結合した。結合した試料を125℃で10分間硬化させた。光学測定が示すところによれば、青色LEDのポンプ光の大部分は緑色(再発光)光へ変換され、青色ポンプ光のごく一部が、接着剤を通過して漏出した。
【0069】
上記の例はII〜VI半導体RSC層に基づいているが、全てがIII〜V半導体で作製されたものを含めて、他の種類のRSC層もまた考えられる。
【0070】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる、数量、特性の測定値などを表す全ての数値は、「約」という語で修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでない旨が明記されない限り、明細書及び「特許請求の範囲」に記載された数値パラメータは、本願の教示を利用する当業者が得ようと求める所望の特性に応じて変化し得る概算値である。均等論を「特許請求の範囲」に適用することを制限しようとする試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、記録された有効数字の桁数を考慮して、通常の丸め法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広範な範疇を示す数値的範囲及びパラメータは概算値であるにも関わらず、いかなる数値も本明細書で説明する具体的な例に記載されている限り、それらの数値は可能な限り合理的に正確に記されている。しかしながら、いかなる数値も、試験又は測定の限界に伴う誤差を含み得る。
【0071】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することのない、本発明の様々な修正及び変更が、当業者には明らかであろう。また、本発明は、本明細書に記載した例示的な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。例えば、開示された一実施形態の特徴が、別段の指定がない限り開示する他の全ての実施形態にも当てはまり得ることを読者は想定すべきである。また、理解されたいこととして、本明細書で参照した全ての米国特許、特許出願公開、並びに他の特許及び非特許文献は、それらが前述の開示内容と矛盾しない限りにおいて、参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層のスタックを備える装置であって、
該スタックが、
第1の波長λの光を第2の波長λの光に変換するように構成された活性領域であって、少なくとも第1のポテンシャル井戸を有する活性領域と、
該スタックの外側表面から前記活性領域へと延びる第1の不活性領域であって、前記外側表面から前記活性領域までの距離が前記第1の不活性領域の厚さに相当し、前記第1の不活性領域はその中を伝播する前記第1の波長λの光が他の光に実質的に変換されないことを特徴とする、第1の不活性領域とを有し、
該スタックがまた、前記外側表面から前記第1の不活性領域の中へと延びる前記スタックの中に形成された複数の凹部を有し、該凹部が平均凹部深さによって特徴付けられ、該平均凹部深さが前記第1の不活性領域の前記厚さの少なくとも50%である、装置。
【請求項2】
前記複数の凹部が公称では同一深さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記平均凹部深さが前記第1の不活性領域の前記厚さの少なくとも60%である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記平均凹部深さが前記第1の不活性領域の前記厚さの少なくとも70%である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記平均凹部深さが前記第1の不活性領域の前記厚さの少なくとも80%である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記平均凹部深さが前記第1の不活性領域の前記厚さの少なくとも90%である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記凹部が実質的には前記活性領域の中へ延びない、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
各凹部が平面視において2次元の形状であり、前記複数の凹部が公称では同一の2次元形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
各凹部には平面視において最大の横方向寸法があり、前記複数の凹部には同一の公称横方向寸法がある、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記スタックが基準平面に概ね平行な横方向に延在し、各凹部は前記基準平面に対して斜角をなして傾斜する表面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
各凹部には平面視において投影面積があり、該投影面積の少なくとも20%が斜角をなして傾斜した表面に相当する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記投影面積の少なくとも20%が10度〜80度の範囲で斜角をなして傾斜する表面に相当する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各凹部には前記基準平面に垂直な局所的な横断平面において輪郭があり、各凹部の該輪郭は曲線状の部分を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
各凹部の前記輪郭は概ねU字形状の末端部を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
各凹部には前記基準平面に垂直な局所的な横断平面において輪郭があり、各凹部の該輪郭は概ねV字形状の末端部を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
各凹部には前記基準平面に垂直な局所的な横断平面において輪郭があり、各凹部の該輪郭は概ね切頭V字形状の末端部を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記半導体層スタックの前記活性領域は、前記第1のポテンシャル井戸に近接した第1の吸収層を含み、かつ前記活性領域のバンドギャップエネルギーが前記第1のポテンシャル井戸の遷移エネルギーよりも大である、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記スタックが基準平面に概ね平行な横方向に延在し、前記凹部の少なくともいくつかの間の外側表面の複数部分が平坦でかつ前記基準平面に平行である、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記複数の凹部が少なくとも40%の実装密度であり、該実装密度は、前記外側表面を平面図で示した際に前記複数の凹部が占める面積の百分率である、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記複数の凹部が少なくとも50%の実装密度である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記複数の凹部が少なくとも60%の実装密度である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記活性領域には第1の屈折率を有する第1の半導体材料が含まれ、前記不活性領域には第2の屈折率を有する第2の半導体材料が含まれ、該第1の屈折率及び該第2の屈折率が前記第2の波長λで測定され、かつ該第2の屈折率が該第1の屈折率の少なくとも80%である、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記複数の凹部が隣接する凹部の間の平均間隔Λで特徴付けられ、Λが前記第2の波長λを前記不活性領域の屈折率で除算したものよりも大である、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記外側表面が空気に露出する、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記外側表面が固体の非半導体材料で被覆される、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記固体の非半導体材料が結合材料を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記スタックがスタック全厚を有し、前記第1の不活性領域の前記厚さが該スタック全厚さの50%を超える、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記活性領域が活性領域厚さを有し、前記第1の不活性領域の前記厚さは該活性領域厚さより大である、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
第1の波長λの光を発光するように構成されたエレクトロルミネッセンスデバイスと組み合わされた、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
半導体層のスタックを含む装置であって、
該スタックは、
第1の波長λの光を第2の波長λの光に変換するように構成された活性領域であって、少なくとも第1のポテンシャル井戸を有する活性領域と、
該スタックの外側表面から前記活性領域へと延びる第1の不活性領域であって、該第1の不活性領域はその中を伝播する前記第1の波長λの光が他の光に実質的に変換されないことを特徴とする、第1の不活性領域と、を有し、
該第1のポテンシャル井戸が、該スタックの前記外側表面に最も近いポテンシャル井戸であり、かつ前記外側表面から前記第1のポテンシャル井戸までの最短ポテンシャル井戸距離を特徴とし、
該スタックはまた、前記外側表面から該第1の不活性領域の中へと延びる、該スタックの中に形成された複数の凹部を有し、該複数凹部は平均凹部深さによって特徴付けられ、該平均凹部深さが該最短ポテンシャル井戸距離の少なくとも50%である、スタックを含む、装置。
【請求項31】
前記複数凹部が公称では同一深さである、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記平均凹部深さが前記最短ポテンシャル井戸距離の少なくとも60%である、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記平均凹部深さが前記最短ポテンシャル井戸距離の少なくとも70%である、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記平均凹部深さが前記最短ポテンシャル井戸距離の少なくとも80%である、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記平均凹部深さが前記最短ポテンシャル井戸距離の少なくとも90%である、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記凹部が実質的には前記活性領域の中へ延びない、請求項30に記載の装置。
【請求項37】
前記スタックが基準平面に概ね平行な横方向に延在し、各凹部が前記基準平面に対して斜角をなして傾斜する表面を有する、請求項30に記載の装置。
【請求項38】
各凹部には平面視において投影面積があり、該投影面積の少なくとも20%が斜角をなして傾斜する表面に相当する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記投影面積の少なくとも20%が、10度〜80度の範囲で斜角をなして傾斜する表面に相当する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記複数の凹部が少なくとも40%の実装密度であり、該実装密度は前記外側表面を平面図で示したときに前記複数の凹部が占める面積の百分率である、請求項30に記載の装置。
【請求項41】
第1の波長λの光を発光するように構成されたエレクトロルミネッセンスデバイスと組み合わされた、請求項30に記載の装置。
【請求項42】
第1の波長の光を吸収し、それよりも長い第2の波長の光を発光するように構成された半導体層のスタックを備える多層半導体構造であって、
該スタックが、
ポテンシャル井戸と、
前記第1の波長の光を吸収し、かつ屈折率nを有する第1の半導体層と、
屈折率nを有し、かつ該スタックから前記第2の波長の光を抽出するための複数の抽出構造を有する第2の半導体層とを備え、
がnと等しいかそれよりも大である、多層半導体構造。
【請求項43】
前記第1の半導体層と第2の半導体層の間に配設された、前記スタック内のいかなる層に関しても、当該層の屈折率がn以下である、請求項42に記載の物品。
【請求項44】
前記スタックは前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間に配設された第3の半導体層を含み、前記第2の半導体層が第2のバンドギャップエネルギーを有し、該第3の半導体層が前記第2のバンドギャップエネルギーよりも大である第3のバンドギャップエネルギーを有する、請求項42に記載の物品。
【請求項45】
前記ポテンシャル井戸及び前記第1の半導体層は、前記第1の波長の光が前記第2の波長の光に変換される前記スタックの活性領域の一部であり、前記スタックはまた、その中を伝播する前記第1の波長の光が実質的に他の光に変換されないことを特徴とする不活性領域を有し、該不活性領域は、前記第2の半導体層を含みかつ不活性領域厚さを有し、
前記複数の抽出構造が平均凹部深さで特徴付けられる複数の凹部を備え、かつ該平均凹部深さが前記不活性領域厚さの少なくとも50%である、請求項42に記載の物品。
【請求項46】
前記スタックが基準平面に概ね平行な横方向に延在し、前記複数の抽出構造は複数の凹部を備え、各凹部は該基準平面に対して斜角をなして傾斜する表面を含む、請求項42に記載の物品。
【請求項47】
各凹部には平面視において投影面積があり、該投影面積の少なくとも20%が斜角をなして傾斜する表面に相当する、請求項46に記載の物品。
【請求項48】
前記投影面積の少なくとも20%が10度〜80度の範囲で斜角をなして傾斜する表面に相当する、請求項47に記載の物品。
【請求項49】
前記複数の凹部は少なくとも40%の実装密度を有し、前記実装密度は、前記外側表面を平面図で示したときに前記複数の凹部が占める面積の百分率である、請求項46に記載の物品。
【請求項50】
第1の波長の光を発光するように構成されたエレクトロルミネッセンスデバイスと組み合わされた、請求項46に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9a】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−526392(P2012−526392A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509854(P2012−509854)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/033142
【国際公開番号】WO2010/129412
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】