説明

指定領域からの伝播音の再生方法とその装置

【課題】所定の観測点で計測した音源データを用いて指定された領域からの伝播音を短時間でかつ容易に再生する。
【解決手段】音源推定装置を用いて求めた音源データを用いて、観測点から見た水平角θと仰角φとを座標軸としたマップ上に音源方向と音圧信号の大きさとを周波数毎に表示した音源マップを作成した後、音源マップを複数の空間領域Gm,nに分割し、各空間領域Gm,nの周波数毎の音圧信号の大きさからバンドパワー値pm,n(Fk)をそれぞれ算出するとともに、バンドパワー値の比であるパワー比Rm,n(Fk)を求め、このパワー比Rm,n(Fk)とオクターブバンドパスフィルターに音圧信号を通して得られたオクターブバンド毎のバンドパスの音の大きさA(Fk)とを用いてバンドパワー値pm,n(Fk)を補正し、補正されたバンドパワー値Pm,n(Fk)を用いて、指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形を再生するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマイクロフォンで採取した音の情報を用いて推定した音源方向のデータと音圧信号のデータとを用いて、指定された領域から伝播される音を再生する方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、音の到来方向を推定する方法としては、多数のマイクロフォンを等間隔に配置したマイクロフォンアレーを構築し、基準となるマイクロフォンに対する各マイクロフォンの位相差から音波の到来方向である音源方向を推定する、いわゆる音響学的手法が考案されている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、複数のマイクロフォンから互いに交わる直線状に配置された複数のマイクロフォン対を構成し、対となる2つのマイクロフォン間の位相差に相当する到達時間差と、他の対となる2つのマイクロフォン間の到達時間差との比から音源方向を推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
具体的には、図12に示すように、4個のマイクロフォンM1〜M4を、互いに直交する2直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対(M1,M3)及びマイクロフォン対(M2,M4)を構成するように配置し、一方のマイクロフォン対(M1,M3)を構成するマイクロフォンM1,M3に入力する音圧信号の到達時間差D13と、他方のマイクロフォン対(M2,M4)を構成するマイクロフォンM2,M4に入力する音圧信号の到達時間差D24との比から、計測点と音源の位置との水平角θを推定する。また、マイクロフォンM1〜M4の作る平面上にない位置に第5のマイクロフォンM5を配置して4組のマイクロフォン対(M5, M1),(M5, M2),(M5, M3),(M5, M4)を構成して、前記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の到達時間差D13,D24と前記4組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の到達時間差D5j(j=1〜4)から、計測点と音源の位置との成す仰角φを推定する。
計測点から測った音源方向は前記推定された水平角θと仰角φとにより表わせる。音源方向は周波数毎に求められる。
【0004】
これにより、マイクロフォンアレーを用いて音源方向を推定する場合に比較して、少ないマイクロフォン数で音源方向を正確に推定することができる。
また、CCDカメラ等の映像採取手段を設けて推定された音源方向の映像を撮影し、この映像の画像データと音源方向のデータとを合成して、映像中に推定した音源方向と音圧レベルとを図形で表示した音源推定用画像をディスプレイ等の表示画面に表示すれば、表示画面から音源を特定することも可能である。
図13は、表示画面37Dに音源方向推定画像を表示した一例を示す図で、横軸は音源の水平角θ、縦軸は音源の仰角φである。網目模様の丸印及び斜線を施した丸印の中心がそれぞれ音源G1〜G3の中心位置で、枠で囲った音源G1,G2は直接音の音源、G3は反射音の音源である。これにより、音源を視覚的に把握することができる。また、丸の大きさは音圧信号の大きさを表す。なお、図13において、周波数は丸印Cの模様で区別しているが、表示画面37Dをカラー画面とし周波数を色彩で区別してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−181913号公報
【特許文献2】特開2006−324895号公報
【特許文献3】特開2008−224259号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】大賀寿郎,山崎芳男,金田豊;音響システムとディジタル処理,コロナ社,1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の方法では、周波数毎の音源を視覚的に把握したり、特定の音源からの音を周波数毎に再生することはできるが、指定された領域から伝播される複数の周波数を含む音を容易にかつ短時間で再生することが困難であった。
【0008】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、所定の観測点で計測した音源データを用いて指定された領域からの伝播音を短時間でかつ容易に再生することのできる方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に記載の発明は、所定の観測点で計測した1つもしくは複数の音源の音源方向のデータと音圧信号の大きさのデータとを含む音源データを用いて指定された領域から伝播される音の音圧波形を再生する再生装置であって、前記計測した音源データを記憶するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段に記憶されている音源の水平角のデータと仰角のデータと音圧信号の大きさのデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に音源方向と音圧信号の大きさとを周波数毎に表示した音源マップを作成するマップ作成手段と、前記音源マップを複数の空間領域に分割するマップ分割手段と、前記各空間領域の周波数毎の音圧信号の大きさからオクターブバンド毎の音圧信号の大きさであるバンドパワー値をそれぞれ算出するバンドパワー値算出手段と、前記算出されたオクターブバンド毎のバンドパワー値の比であるパワー比を求めるバンドパワー比算出手段と、オクターブバンドパスフィルターを備え、前記データ記憶手段に記憶された音源データを取り出して、オクターブバンド毎の音圧波形であるバンド波形をそれぞれ抽出するバンド波形抽出手段と、前記抽出されたバンド波形の大きさと前記算出されたパワー比とを用いて前記算出されたバンドパワー値をオクターブバンド毎に補正するバンドパワー値補正手段と、前記補正されたバンドパワー値を用いて、前記複数の空間領域の内の指定された空間領域である指定領域から伝播される音の音圧波形を再生する音圧波形再生手段とを備えたことを特徴とするものである。
これにより、容易にかつ短時間で指定領域から伝播される音の音圧波形を再生することができる。また、指定領域を複数個とすれば、大きな音もしくは特徴的な周波数を有する複数の空間領域からの音の音圧波形を再生することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の指定領域からの伝播音の再生装置において、前記音圧波形再生手段で再生された音圧波形を入力して、指定領域から伝播される音を出力する伝播音再生手段を設けたものである。
これにより、伝播音の音圧波形のみならず伝播音そのものも再生できるので、指定領域から伝播される音の特徴を確実に把握することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の指定領域からの伝播音の再生装置において、前記データ記憶手段に前記観測点から撮影した音源方向の映像の画像データを記憶するとともに、前記音源マップと同様の複数の空間領域に分割された表示画面のうちの少なくとも前記指定領域を含む空間領域に前記画像データを表示する表示手段を設けたものである。
これにより、指定領域の音源についても視覚的に把握することができるので、どの音源からどのような音が伝播されるかを把握することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の指定領域からの伝播音の再生装置であって、前記音源データを、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対を有するマイクロフォン群と、前記2組のマイクロフォン対の作る平面上にない第5のマイクロフォンと、前記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間のそれぞれの位相差を求め、この求められた2組のマイクロフォン対の位相差の比から音源方向の水平角を推定するとともに、前記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差と、前記第5のマイクロフォンと前記2組のマイクロフォン対を構成する4個のマイクロフォンのそれぞれとで構成される4組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差とを用いて前記音源方向の仰角を推定する音源方向推定手段とを備えた音源推定装置を用いて測定された音源データとしたことを特徴とする。
このような構成の音源推定装置を用いることにより、マイクロフォンアレーを用いた場合に比較して、少ないマイクロフォン数で音源方向と音圧信号の大きさとを正確に推定することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、所定の観測点で計測した1つもしくは複数の音源の音源方向のデータと音圧信号の大きさのデータとを含む音源データを用いて指定された領域から伝播される音を再生する方法であって、前記音源の音源方向のデータである水平角のデータ及び仰角のデータと音圧信号の大きさのデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に音源方向と音圧信号の大きさとを周波数毎に表示した音源マップを作成するステップと、前記音源マップを複数の空間領域に分割するステップと、前記各空間領域の周波数毎の音圧信号の大きさからオクターブバンド毎の音圧信号の大きさであるバンドパワー値をそれぞれ算出するステップと、前記算出されたオクターブバンド毎のバンドパワー値の比であるパワー比を求めるステップと、前記算出されたパワー比を用いて前記算出されたバンドパワー値をオクターブバンド毎に基準化するステップと、前記基準化されたバンドパワー値を用いて、前記複数の空間領域の内の指定された空間領域である指定領域から伝播される音の音圧波形を再生するステップとを備えたことを特徴とする。
これにより、複雑な計算を行うことなく、短時間で指定領域から伝播される音の音圧波形を再生することができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、所定の観測点で計測した1つもしくは複数の音源の音源方向のデータと音圧信号の大きさのデータとを含む音源データを用いて指定された領域から伝播される音を再生する方法であって、前記音源の音源方向のデータである水平角のデータ及び仰角のデータと音圧信号の大きさのデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に音源方向と音圧信号の大きさとを周波数毎に表示した音源マップを作成するステップと、前記音源マップを複数の空間領域に分割するステップと、前記各空間領域の周波数毎の音圧信号の大きさからオクターブバンド毎の音圧信号の大きさであるバンドパワー値をそれぞれ算出するステップと、前記算出されたオクターブバンド毎のバンドパワー値の比であるパワー比を求めるステップと、前記各空間領域の周波数毎の音圧信号から、オクターブバンド毎の音圧波形であるバンド波形をそれぞれ抽出するステップと、前記抽出されたバンド波形の大きさと前記算出されたパワー比とを用いて前記算出されたバンドパワー値をオクターブバンド毎に補正するステップと、前記補正されたバンドパワー値を用いて、前記複数の空間領域の内の指定された空間領域である指定領域から伝播される音の音圧波形を再生するステップとを備えたことを特徴とする。
このように、音源の音圧信号を取り出してオクターブバンド毎の音圧波形であるバンド波形をそれぞれ抽出し、この抽出されたバンド波形の大きさと算出されたパワー比とを用いて算出されたバンドパワー値をオクターブバンド毎に補正するようにすれば、指定領域から伝播される音の大きさについても精度良く再生することができる。
【0014】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る伝播音の再生装置の構成を示す図である。
【図2】音源マップの一例を示す図である。
【図3】音源マップの分割方法の一例を示す図である。
【図4】バンドパワー値の算出方法を示す図である。
【図5】バンドパワー値の算出方法を示す図である。
【図6】バンドパワー値の補正方法を示す図である。
【図7】指定領域から伝播される音の音圧波形を再生する方法を示す図である。
【図8】表示用マップの一例を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る伝播音の再生方法を示すフローチャートである。
【図10】音源推定装置の構成を示す図である。
【図11】本発明による伝播音の再生方法の他の例を示すフローチャートである。
【図12】従来のマイクロフォン対を用いた音源探査方法におけるマイクロフォンの配列を示す図である。
【図13】音源方向推定画像を表示した表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は本発明の実施の形態に係る伝播音の再生装置10の構成を示す図で、伝播音の再生装置10は、データ記憶手段11と、マップ作成手段12と、マップ分割手段13と、バンドパワー値算出手段14と、バンドパワー比算出手段15と、バンド波形抽出手段16と、バンドパワー値補正手段17と、音圧波形再生手段18と、伝播音再生手段19と、画像処理手段20と音源表示手段21とを備える。
データ記憶手段11はパーソナルコンピュータのハードディスクなどから構成され、マップ作成手段12〜音圧波形再生手段18の各手段と画像処理手段20はパーソナルコンピュータのソフトウェアなどにより構成される。また、伝播音再生手段19はスピーカーなどにより構成され、音源表示手段21はパーソナルコンピュータのディスプレイなどから構成される。
データ記憶手段11は、後述する音源推定装置30を用いて所定の観測点で計測した1つもしくは複数の音源の音源方向のデータと音圧信号の大きさのデータとを含む音源データと前記観測点から撮影した音源方向の映像の画像データとを記憶する。音源方向のデータは観測点と推定される音源との成す水平角θのデータと仰角φのデータである、なお、音圧信号の大きさは周波数毎に求められる。
【0018】
マップ作成手段12は、横軸を水平角θとし縦軸を仰角φとしたマップを作成するとともに、このマップ上に、データ記憶手段11に記憶されている各音源の音源方向のデータ(θ,φ)と、音源方向が(θ,φ)で周波数がfである音圧信号の大きさaf(θ,φ)とを表示して、図2に示すような音源マップ12Mを作成する。なお、実際には、コンピュータのメモリー上に、音源方向のデータ(θ,φ)と音圧信号の大きさaf(θ,φ)のデータとを水平角θと仰角φとを座標軸としたマップに割り付けるだけで表示はしないが、表示した場合には、図2に示すように、従来と同じく中心が音源方向のデータ(θ,φ)で直径が音圧信号の大きさaf(θ,φ)で、模様が周波数を示す丸印Cで表示する。なお、図2では、図を見やすくするため、表示した周波数の種類を5種類とした。
マップ分割手段13は、図3に示すように、音源マップ12Mを複数の空間領域に分割する。
バンドパワー値算出手段14は、図4に示すように、周波数毎の音圧信号の大きさam,n,f(θ,φ)を合成してオクターブバンド毎の音圧信号の大きさam,n,F(θ,φ)を空間領域Gm,n毎に求めた後、図5に示すように、オクターブバンド毎の音圧信号の大きさam,n,F(θ,φ)を空間領域Gm,n毎に合成して空間領域Gm,nにおける音圧信号の大きさであるバンドパワー値pm,n(Fk)をオクターブバンド毎に算出する。同図において、丸印Dm,n,kは各空間領域Gm,n毎のバンドパワー値pm,n(Fk)を表示したもので、丸印Dm,n,kの大きさはバンドパワー値pm,n(Fk)の大きさを示し、模様はオクターブバンドの中心周波数Fkを示す。
kはオクターブバンドの中心周波数を示す。本例では、オクターブバンドとして1オクターブバンドを使用した。中心周波数F1〜F9は、それぞれ、31.5Hz,63Hz,125Hz,250Hz,500Hz,1kHz,2kHz,4kHz,8kHzである。
なお、帯域幅は、Fk−Fk/√2〜Fk+Fk/√2である(k=1〜9)。
【0019】
バンドパワー比算出手段15は、バンドパワー値算出手段14で算出されたオクターブバンド毎のバンドパワー値pm,n(Fk)の比であるパワー比Rm,n(Fk)をオクターブバンド毎に求める。
バンド波形抽出手段16は、オクターブバンドパスフィルターを備え、データ記憶手段11に記憶された観測された音の音圧信号の大きさAを取り出してオクターブバンドパスフィルターを通すことで、オクターブバンド毎の音圧信号を抽出し、オクターブバンド毎のバンドパスの音の大きさA(Fk)を求める(k=1〜9)。
バンドパワー値補正手段17は、図6に示すように、各空間領域Gm,nのオクターブバンド毎のバンドパスの音の大きさA(Fk)をパワー比Rm,n(Fk)を用いて各空間領域Gm,nに割り付けることで、バンドパワー値pm,n(Fk)を実際に観測された音の音圧信号の大きさAで補正した補正バンドパワー値Pm,n(Fk)に変換する。
音圧波形再生手段18は、図7に示すように、バンドパワー値補正手段17で補正されたバンドパワー値Pm,n(Fk)を用いて、複数の空間領域Gm,nの内の指定された空間領域である指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形を再生する。
【0020】
伝播音再生手段19は、例えば、スピーカーなどから構成され、音圧波形再生手段18で再生された音圧波形を入力して、指定領域から伝播される音を出力する。
画像処理手段20は、水平角θと仰角φとを座標軸とした表示用マップを作成するとともにこの表示用マップを空間領域に分割し、各空間領域にデータ記憶手段11に記憶されている観測点から撮影した音源方向の映像の画像データと補正されたバンドパワー値Pm,n(Fk)とを割り付ける。表示用マップの水平角θの範囲と仰角φの範囲及び分割方法は音源マップ12Mと同一であるので、音源マップ12Mをそのまま利用してもよい。
音源表示手段21は表示画面21Mを有し、表示画面21M上に、図8(a),(b)に示すような画像処理手段20で作成された表示用マップを表示する。(a)図は主音源が1箇所の場合の例で、(b)図は主音源が2箇所の場合の例である。
【0021】
次に、本発明による伝播音の再生方法について、図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、データ記憶手段11から所定の観測点で計測した音源の音源方向と音圧信号の大きさとを含む音源データを取り出し、(ステップS10)、図2に示すような、横軸が水平角θで縦軸を仰角φであるマップ上に、音源方向(θ,φ)と音圧信号の大きさaf(θ,φ)とを表示した音源マップ12Mを作成する(ステップS11)。
本例では、所定の観測点で計測した音源の音源方向と音圧信号の大きさとを含む音源データを、図10に示すような音源推定装置30を用いて求めた。具体的には、図2に示すように、図示しない工場の入り口を観測点として、工場内の工作機械Hのどの個所から騒音が発生するかを計測した。
音源推定装置30は、図示しない騒音源からの騒音の音圧レベルを測定するために観測点に配置された計測用マイクロフォンM1〜M5と、音源位置近傍の映像を採取するためのCCDカメラ(以下、カメラという)31と、ローパスフィルタを備え、計測用マイクロフォンM1〜M5で採取された音響情報から所定の周波数以下の成分を取り出し増幅する増幅器32と、増幅された音響情報(アナログ信号)をデジタル信号に変換するA/D変換器33と、カメラ31の映像情報(アナログ信号)をデジタル信号に変換するビデオ入出力ユニット34と、A/D変換された計測用マイクロフォンM1〜M5の音圧信号を用いて音源方向とこの音源からの音の大きさとを推定する音源方向推定手段35と、上記映像信号に上記推定された音源方向を示す画像を付加した画像を生成する画像合成手段36と、合成された画像を表示する音源位置表示手段37とを備えている。
【0022】
また、40は計測用マイクロフォンM1〜M5を所定の位置に配列するためのマイクロフォンフレーム、41は三脚から成る支持部材42とこの支持部材42の上部に配設された回転台43とから成る測定用基台である。回転台43により、マイクロフォンフレーム40を回転させて、計測用マイクロフォンM1〜M5を水平面内で回転させることにより、音源方向を全方位にわたって推定することができる。
計測用マイクロフォンM1〜M4を、図12に示すように、互いに直交する2直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対(M1,
M3)及びマイクロフォン対(M2,M4)を構成するように配置するとともに、マイクロフォンM5を、マイクロフォンM1〜M4の作る平面上にない位置に配置する。これにより、上記各マイクロフォン対(Mi, Mj)の位相差(時間遅れDij)から、当該観測点から見た音源方向を推定することができる。
音の入射方向である水平角θと仰角φとは以下の式(1)及び式(2)で表わせる。
【数1】

ここで、時間遅れDijは、マイクロフォンMiに到達する音圧信号と、このマイクロフォンMiに対して対となるマイクロフォンMjに到達する音圧信号との時間差であり、この対となる2つのマイクロフォンMi及びMjに入力される信号のクロススペクトルPij(f)を求め、更に、対象とする上記周波数fの位相角情報Ψ(rad)を用いて、以下の式(3)により算出される。
【数2】

音源方向推定手段35では、A/D変換器33でA/D変換された計測用マイクロフォンM1〜M5で採取した音圧信号のデータを用いて、音源方向である水平角θと仰角φとを推定するとともに音圧信号の大きさを計測する。
なお、音源方向と音圧信号の大きさとは周波数毎に計測する。また、マイクロフォンM5に入力される信号の大きさA5を、観測される音の音圧信号の大きさAとする。
一方、画像合成手段36では、上記ビデオ入出力ユニット34に入力された音源方向の映像信号に、推定された音源方向を示す画像を付加した画像を生成し、これを音源位置表示手段37に送って表示する。そして、上記音源方向が示された画像から、音源の位置を決定する。
なお、本例では、音源方向のデータと音圧信号の大きさのデータと、カメラ31で撮影されビデオ入出力ユニット34でA/D変換された画像データとをデータ記憶手段11に記憶させるようにしているが、画像合成手段36で合成された画像のデータをデータ記憶手段11に記憶しておいてもよい。この場合には、音源マップ12Mの作成を省略することができる。
【0023】
次に、音源マップ12Mを複数の空間領域に分割(ステップS12)した後、空間領域Gm,n毎にオクターブバンド毎の音圧信号の大きさであるバンドパワー値pm,n(Fk)を算出する(ステップS13)。
図3は音源マップ12Mの分割例を示す図で、水平角θの範囲を及び仰角φの範囲をそれぞれ−80°<θ≦+80°、−50°<φ≦+50°、水平角θの分割幅を40°、仰角φの分割幅を20°とすれば、音源マップ12Mは20個の空間領域Gm,n(m=1〜4、n=1〜5)に分割される。
バンドパワー値の算出は、まず図4に示すように、周波数毎の音圧信号の大きさam,n,f(θ,φ)を合成してオクターブバンド毎の音圧信号の大きさam,n,F(θ,φ)を求め、次に、図5に示すように、空間領域Gm,n毎にオクターブバンド毎の音圧信号の大きさam,n,F(θ,φ)を合成して空間領域Gm,nにおけるバンドパワー値pm,n(Fk)をそれぞれ算出する。すなわち、空間領域Gm,nに複数のオクターブバンド毎の音圧信号があった場合には、それら複数の音圧信号を1つの音圧信号にまとめることでバンドパワー値pm,n(Fk)を算出する。このとき、算出されたバンドパワー値pm,n(Fk)が予め設定された閾値K(Fk)未満である場合には、空間領域Gm,nには中心周波数がFkであるオクターブバンドの音圧信号がないとみなす。これにより、計算時間を短くすることができる。
【0024】
バンドパワー値pm,n(Fk)の算出後には、バンドパワー値pm,n(Fk)の比であるパワー比Rm,n(Fk)をオクターブバンド毎に求める(ステップS14)。
例えば、図5に示すように、予め設定された閾値K(F5)以上の大きさの500Hzバンドのバンドパワー値pm,n(F5)を有する音源が存在する空間領域はG2,2,G3,2,G3,3,G4,3の4つで、その他の空間領域Gm,nではpm,n(F5)=0である場合、空間領域Gm,n(F5)におけるパワー比Rm,n(F5)は、下記の式から算出される。
m,n(Fk)=pm,n(F5)/{p1,1(F5)+p2,2(F5)+……+p20,20(F5)}
例えば、空間領域G2,2,G3,2,G3,3,G4,3のバンドパワー値がそれぞれp2,2(F5)=10,p3,2(F5)=6,p3,3(F5)=3,p4,3(F5)=1、その他の空間領域Gm,nではpm,n(F5)=0とすれば、空間領域G2,2,G3,2,G3,3,G4,3のパワー比Rm,n(F5)は、それぞれ、R2,2(F5)=0.5,R3,2(F5)=0.3,R3,3(F5)=0.15,R4,3(F5)=0.05となり、その他の空間領域Gm,nではpm,n(F5)=0となる。
【0025】
ステップS15では、データ記憶手段11に記憶された音源の音圧信号の大きさAからオクターブバンド毎の音圧波形であるバンド波形を抽出し、前記バンド波形の大きさであるオクターブバンド毎のバンドパスの音の大きさA(Fk)を求める。ここで、B(Fk,t)をオクターブバンド毎の時刻歴バンドパス波形データとすると、音源の音圧信号f(t)は、f(t)=A(F1)・B(F1,t)+A(F2)・B(F2,t)+……+A(F8)・B(F8,t)+A(F9)・B(F9,t)と近似することができる。
なお、このステップは、次のステップS16の前であればどこで行ってもよい。
ステップS16では、ステップS14で算出されたバンドパワー値pm,n(Fk)を観測点で計測された音の大きさを用いて実際に観測されたバンドパワー値に補正する。この補正されたパワー値を以下補正バンドパワー値Pm,n(Fk)という。すなわち、オクターブバンド毎のバンドパスの音の大きさA(Fk)は、各空間領域Gm,nのオクターブバンド毎の補正バンドパワー値Pm,n(Fk)の二乗和の平均に等しいことから、図6に示すように、オクターブバンド毎のバンドパスの音の大きさA(Fk)をパワー比Rm,n(Fk)を用いて各空間領域Gm,nのバンドパワー値pm,n(Fk)に割り付ければ、バンドパワー値pm,n(Fk)を実際の音圧波形のバンドパワー値である補正バンドパワー値Pm,n(Fk)に補正することができる。
これら補正バンドパワー値Pm,n(Fk)を用いることで、各空間領域Gm,nから伝播される音の音圧波形を音の大きさを含めて再生することができる。
本例では、図7に示すように、複数の空間領域Gm,nのうちから音を再生する領域を指定し(ステップS17)、この指定された空間領域である指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形のみを再生する(ステップS18)。
具体的には、指定領域GM,Nのバンドパワー値PM,N(Fk)の平方根をaM,N(Fk)とし、オクターブバンド毎の時刻歴バンドパス波形データをB(Fk,t)とすると、指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形fM,N(t)は以下の式で表わせる。
M,N(t)=aM,N(F1)・B(F1,t)+aM,N(F2)・B(F2,t)+……
……+aM,N(F8)・B(F8,t)+aM,N(F9)・B(F9,t)
【0026】
ステップS19では、水平角θと仰角φとを座標軸とし複数の空間領域Gm,nに分割された表示用マップ上に、観測点から撮影した音源方向の映像の画像データを割り付けた表示画面21Mを表示するとともに、スピーカーを用いてステップS18で求められた指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形fM,N(t)を再生する。このとき、図8(a),(b)に示すように、表示画面21M上において指定領域GM,Nを枠で囲むなどして、スピーカーから出力される音と指定領域GM,Nに移っている建物あるいは機器などの発する音の音源と伝播音との対応が取れるようにすれば、音源とその音源の発する特徴的な音とを確実に把握することができる。
次に、音の再生を終了するか否か決定する(ステップS20)。
別の指定領域GM’,N’から伝播される音を再生する場合にはステップS17に戻り、指定領域GM’,N’ のバンドパワー値PM’,N’(Fk)を用いて指定領域GM’,N’から伝播される音の音圧波形fM’,N’(t)を再生する。
【0027】
このように、本実施の形態では、音源推定装置30を用いて求めた所定の観測点で計測した音源の音源方向のデータと音圧信号の大きさのデータとを含む音源データを用いて、観測点から見た水平角θと仰角φとを座標軸としたマップ上に音源方向と音圧信号の大きさとを周波数毎に表示した音源マップ12Mを作成した後、この音源マップ12Mを複数の空間領域Gm,nに分割し、各空間領域Gm,nの周波数毎の音圧信号の大きさからオクターブバンドFk毎の音圧信号の大きさであるバンドパワー値pm,n(Fk)をそれぞれ算出するとともに、バンドパワー値の比であるパワー比Rm,n(Fk)を求め、このパワー比Rm,n(Fk)とオクターブバンドパスフィルターに音圧信号を通して得られたオクターブバンド毎のバンドパスの音の大きさA(Fk)とを用いてバンドパワー値pm,n(Fk)を補正し、補正されたバンドパワー値Pm,n(Fk)を用いて、指定された空間領域である指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形を再生するようにしたので、容易にかつ短時間で指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形を再生することができる。
また、スピーカーなどの伝播音再生手段19を設けて指定領域GM,Nから伝播される音を出力するとともに、指定領域GM,Nを含む空間領域に音源方向の画像データをディスプレイなどの音源表示手段21に表示したので、指定領域GM,Nから伝播される音の特徴を確実に把握することができる。
【0028】
なお、前記実施の形態では、音源を工場内の工作機械Hが発生する騒音としたが、観測対象はこれに限るものではなく、図13に示した工場のある区域や橋梁などのような屋外の騒音発生源であってもよい。
また、前記例では、音源マップ12Mを20個の空間領域Gm,nに分割したが、分割数はこれに限るものではなく、観測対象により任意に設定すればよい。
また、音源データの取得については、マイクロフォンアレーを用いた他の音源推定装置を用いてもよいが、本例のように、音源推定装置30を用いれば、少ないマイクロフォン数で音源方向と音圧信号の大きさとを正確に推定することができる。
また、上記例では、周波数毎の音圧信号の大きさam,n,f(θ,φ)を合成してオクターブバンド毎の音圧信号の大きさam,n,F(θ,φ)を求めてから指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形を再生するようにしたが、オクターブバンドを更に分割した1/2オクターブバンド毎に音圧信号の大きさam,n,F(θ,φ)を求めたり、1/3オクターブバンド毎に音圧信号の大きさam,n,F(θ,φ)を求めたりすれば、再生精度を更に向上させることができる。
【0029】
なお、各空間領域Gm,nから伝播される音の音圧波形の音の大きさについては再現する必要がない場合、すなわち、音質のみが必要な場合には、バンド波形抽出手段16とバンドパワー値補正手段17とを省略し、バンドパワー比算出手段15で算出したパワー比を用いて音声波形を再生すればよい。この場合のフローチャートを図11に示す。ステップS10〜ステップS14までのステップは図9と同じである。
ステップS14の直後のステップS21では、パワー比Rm,n(Fk)を用いて算出されたバンドパワー値pm,n(Fk)をオクターブバンド毎に基準化する。ステップS14で述べたように、パワー比Rm,n(Fk)の総計は1となるので、基準化した音の大きさをA0とすると、基準化されたバンドパワー値p’m,n(Fk)はp’m,n(Fk)=A0・Rm,n(Fk)となる。
ステップS22では、ステップS17と同様に、複数の空間領域Gm,nのうちから音を再生する領域を指定する。
ステップS23では、この指定された空間領域である指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形のみを再生する。指定領域GM,Nの基準化されたバンドパワー値p’M,N(Fk)の平方根をa’M,N(Fk)とすると、指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形f’M,N(t)は、f’M,N(t)=a’M,N(F1)・B(F1,t)+a’M,N(F2)・B(F2,t)+……a’M,N(F8)・B(F8,t)+a’M,N(F9)・B(F9,t)となる。ここで、B(Fk,t)はオクターブバンド毎の時刻歴バンドパス波形データである。
【0030】
ステップS24では、水平角θと仰角φとを座標軸とし複数の空間領域Gm,nに分割された表示用マップ上に、観測点から撮影した音源方向の映像の画像データを割り付けた表示画面21Mを表示するとともに、スピーカーを用いてステップS23で求められた指定領域GM,Nから伝播される音の音圧波形f’M,N(t)を再生する。
その後、音の再生を終了するか否か決定し(ステップS25)、別の指定領域GM’,N’から伝播される音を再生する場合にはステップS22に戻り、パワー比Rm,n(Fk)を用いて算出された基準化されたバンドパワー値p’m,n(Fk)を用いて指定領域GM’,N’から伝播される音の音圧波形f’M’,N’(t)を再生する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、指定領域から伝播される音の音圧波形を容易にかつ短時間で再生することができるので、観測された音源の特徴を効率よく把握することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 伝播音の再生装置、11 データ記憶手段、12 マップ作成手段、
12M 音源マップ、13 マップ分割手段、14 バンドパワー値算出手段、
15 バンドパワー比算出手段、16 バンド波形抽出手段、
17 バンドパワー値補正手段、18 音圧波形再生手段、19 伝播音再生手段、
20 画像処理手段、21 音源表示手段、21M 表示画面、
30 音源推定装置、M1〜M5 計測用マイクロフォン、31 CCDカメラ、
32 増幅器、33 A/D変換器、34 ビデオ入出力ユニット、
35 音源方向推定手段、36 画像合成手段、37 音源位置表示手段、
40 マイクロフォンフレーム、41 測定用基台、42 支持部材、43 回転台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の観測点で計測した1つもしくは複数の音源の音源方向のデータと音圧信号の大きさのデータとを含む音源データを用いて指定された領域から伝播される音の音圧波形を再生する再生装置であって、
前記計測した音源データを記憶するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段に記憶されている音源の水平角のデータと仰角のデータと音圧信号の大きさのデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に音源方向と音圧信号の大きさとを周波数毎に表示した音源マップを作成するマップ作成手段と、
前記音源マップを複数の空間領域に分割するマップ分割手段と、
前記各空間領域の周波数毎の音圧信号の大きさからオクターブバンド毎の音圧信号の大きさであるバンドパワー値をそれぞれ算出するバンドパワー値算出手段と、
前記算出されたオクターブバンド毎のバンドパワー値の比であるパワー比を求めるバンドパワー比算出手段と、
オクターブバンドパスフィルターを備え、前記データ記憶手段に記憶された音源データを取り出して、オクターブバンド毎の音圧波形であるバンド波形をそれぞれ抽出するバンド波形抽出手段と、
前記抽出されたバンド波形の大きさと前記算出されたパワー比とを用いて前記算出されたバンドパワー値をオクターブバンド毎に補正するバンドパワー値補正手段と、
前記補正されたバンドパワー値を用いて、前記複数の空間領域の内の指定された空間領域である指定領域から伝播される音の音圧波形を再生する音圧波形再生手段とを備えたことを特徴とする指定領域からの伝播音の再生装置。
【請求項2】
前記音圧波形再生手段で再生された音圧波形を入力して、指定領域から伝播される音を出力する伝播音再生手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の指定領域からの伝播音の再生装置。
【請求項3】
前記データ記憶手段に前記観測点から撮影した音源方向の映像の画像データを記憶するとともに、
前記音源マップと同様の複数の空間領域に分割された表示画面のうちの少なくとも前記指定領域を含む空間領域に前記画像データを表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指定領域からの伝播音の再生装置。
【請求項4】
前記音源データを、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対を有するマイクロフォン群と、前記2組のマイクロフォン対の作る平面上にない第5のマイクロフォンと、前記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間のそれぞれの位相差を求め、この求められた2組のマイクロフォン対の位相差の比から音源方向の水平角を推定するとともに、前記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差と、前記第5のマイクロフォンと前記2組のマイクロフォン対を構成する4個のマイクロフォンのそれぞれとで構成される4組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差とを用いて前記音源方向の仰角を推定する音源方向推定手段とを備えた音源推定装置を用いて測定された音源データとしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の指定領域からの伝播音の再生装置。
【請求項5】
所定の観測点で計測した1つもしくは複数の音源の音源方向のデータと音圧信号の大きさのデータとを含む音源データを用いて指定された領域から伝播される音を再生する方法であって、
前記音源の音源方向のデータである水平角のデータ及び仰角のデータと音圧信号の大きさのデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に音源方向と音圧信号の大きさとを周波数毎に表示した音源マップを作成するステップと、
前記音源マップを複数の空間領域に分割するステップと、
前記各空間領域の周波数毎の音圧信号の大きさからオクターブバンド毎の音圧信号の大きさであるバンドパワー値をそれぞれ算出するステップと、
前記算出されたオクターブバンド毎のバンドパワー値の比であるパワー比を求めるステップと、
前記算出されたパワー比を用いて前記算出されたバンドパワー値をオクターブバンド毎に基準化するステップと、
前記基準化されたバンドパワー値を用いて、前記複数の空間領域の内の指定された空間領域である指定領域から伝播される音の音圧波形を再生するステップとを備えたことを特徴とする指定領域からの伝播音の再生方法。
【請求項6】
所定の観測点で計測した1つもしくは複数の音源の音源方向のデータと音圧信号の大きさのデータとを含む音源データを用いて指定された領域から伝播される音を再生する方法であって、
前記音源の音源方向のデータである水平角のデータ及び仰角のデータと音圧信号の大きさのデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に音源方向と音圧信号の大きさとを周波数毎に表示した音源マップを作成するステップと、
前記音源マップを複数の空間領域に分割するステップと、
前記各空間領域の周波数毎の音圧信号の大きさからオクターブバンド毎の音圧信号の大きさであるバンドパワー値をそれぞれ算出するステップと、
前記算出されたオクターブバンド毎のバンドパワー値の比であるパワー比を求めるステップと、
前記各空間領域の周波数毎の音圧信号から、オクターブバンド毎の音圧波形であるバンド波形をそれぞれ抽出するステップと、
前記抽出されたバンド波形の大きさと前記算出されたパワー比とを用いて前記算出されたバンドパワー値をオクターブバンド毎に補正するステップと、
前記補正されたバンドパワー値を用いて、前記複数の空間領域の内の指定された空間領域である指定領域から伝播される音の音圧波形を再生するステップとを備えたことを特徴とする指定領域からの伝播音の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−129873(P2012−129873A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280834(P2010−280834)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(595122615)
【Fターム(参考)】