説明

排ガスを含む排蒸気の処理装置と処理方法および有機性廃棄物処理システム

【課題】排蒸気および排ガスを短時間に反応容器から排出して復水することが可能であり、かつ排蒸気および排ガスの時間当たりの排出量に対して比較的小さな冷却能力で処理することができる排ガスを含む排蒸気の処理装置および処理方法を提供する。
【解決手段】回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を冷却水との直接的な接触により復水させる混合復水器51と、冷却水を貯溜し、混合復水器51から排出する復水を含む冷却水が流入する冷却槽52と、冷却槽52の冷却水を混合復水器51に供給する冷却水循環系54と、冷却水循環系54の途中に設けた熱交換器55を介して冷却水を冷却するクーリングタワー56を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、プラスチック、生ごみ、可燃ごみ、剪定枝、建設廃木材等の一般廃棄物や家畜ふん尿、敷ワラ含家畜糞および下水処理汚泥を含む有機性廃棄物を熱変性処理する有機性廃棄物処理システムに関し、排ガスを含む排蒸気の処理装置および処理方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術には、例えば特許文献1に記載するものがある。これは図2に示すようなものである。
反応装置1は、固形状有機性廃棄物処理工程を行うものであり、外套容器2と外套容器2の内部に格納した反応容器3とからなる二重構造をなす。
【0003】
反応装置1では、固形状有機性廃棄物である生ごみ、プラスチック等の有機性廃棄物を原料として投入口4から反応容器3内に投入し、第1蒸気供給口5から反応容器3に飽和水蒸気を供給する。反応容器3の内部ではモータ6で回転駆動する攪拌羽根7が原料を高温高圧下で攪拌する。
【0004】
反応容器3の内部では、常温〜235℃、常圧〜3MPa、昇温昇圧時間1〜3時間の運転条件下で、水熱反応により、固形状有機性廃棄物を熱変性処理し、蒸気間接加熱等により乾燥粉末化させる。このとき、第2蒸気供給口9から外套容器2に供給する飽和水蒸気により反応容器3を所定温度以上に保っている。生産した乾燥材10は取出口8から外部へ取り出し、排蒸気および排ガス11は排出口12から外部へ取り出す。
【0005】
反応時に発生する蒸気含有成分を含む排蒸気および排ガス11は、水処理施設13から出る処理水を冷却水14として復水し、排蒸気吸収循環液15を汚泥再生処理センター等の水処理施設13において有機栄養分(BOD源)として利用して処理する。
【0006】
排蒸気および排ガス11の処理方法としては、例えば図3に示すものがある。図3に示すように、反応容器31では、ボイラ32から供給する飽和蒸気により、廃棄物33を水熱反応で分解、乾燥させて無害化して処理物34として排出する。反応容器31から排出する湿り蒸気はコンデンサー35に供給し、コンデンサー35で復水し、浄化槽36を経て放流する。コンデンサー35から出る排ガスは真空ポンプ37aおよび集合ファン37bを経て活性吸着炭脱臭装置38で処理する。コンデンサー35にはクーリングタワー39との間で冷却水を循環させる。先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】特開2007−136312号公報
【特許文献2】特開2007−7622号公報
【特許文献3】特許第3832587号公報
【特許文献4】特許第3898918号公報
【特許文献5】特開2007−7555号公報
【特許文献6】特許第3579417号公報
【特許文献7】特許第3613567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したような、水熱反応により有機性廃棄物を処理する設備では、高温高圧を条件とすることから回分式に処理することが一般的である。このため、処理効率を上げるためには、反応終了後から次回処理の開始までのインターバルにおいて、短時間に反応容器から排蒸気および排ガスを排出し、かつ復水することが求められる。
【0008】
しかしながら、上述した構成では、コンデンサーにおいて排蒸気および排ガスと冷却媒体との間で熱交換し、冷却媒体をクーリングタワーで冷却している。このため、反応容器から排出する排蒸気および排ガスの単位時間当たりの排出量が多いほどに、その復水に使用するコンデンサーおよびクーリングタワーに大きな能力が必要となる。
【0009】
コンデンサーは復水器と熱交換器とを兼ねるものであり、付着したダストを掃除し易い観点からシェルアンドチューブ式の間接冷却型である。この構成は直接伝熱型の混合復水器に比して装置形状が大型化し、かつ高価となる。
【0010】
本発明は、上記した課題を解決するものであり、排蒸気および排ガスを短時間に反応容器から排出して復水することが可能であり、かつ排蒸気および排ガスの時間当たりの排出量に対して比較的小さな冷却能力で処理することができる排ガスを含む排蒸気の処理装置と処理方法および有機性廃棄物処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理装置は、回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を冷却媒体との直接的な接触により復水させる混合復水器と、冷却媒体を貯溜し、混合復水器から排出する復水を含む冷却媒体が流入する冷却槽と、冷却槽の冷却媒体を混合復水器に供給する冷却媒体循環系と、冷却媒体循環系の冷却媒体を冷却する冷却媒体冷却手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理装置において、冷却媒体冷却手段は、冷却媒体循環系の途中に設けた熱交換器を介して冷却媒体を冷却することを特徴とする。
また、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理装置において、冷却媒体冷却手段は、冷却媒体循環系とは別途に冷却槽に連通する熱交換器を介して冷却媒体を冷却することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理装置において、冷却槽が、回分式反応缶から排出する少なくとも1回分の排ガスを伴う排蒸気を復水するのに必要な所定量の冷却媒体を貯溜することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理装置において、前記冷却槽に連通して前記冷却媒体循環系内に介装した第2冷却槽を備え、第2冷却槽が沈殿槽を兼ねることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理装置において、熱交換器がプレート式の構造をなすことを特徴とする。
本発明の排ガスを含む排蒸気の処理方法は、回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を混合復水器において噴霧する冷却媒体との直接的な接触により復水させ、混合復水器から排出する復水を含む冷却媒体を冷却槽へ流入させ、復水を含む冷却媒体の熱を冷却槽に貯溜した冷却媒体で吸収するとともに、冷却槽に貯溜した冷却媒体を混合復水器に冷却媒体循環系を通して循環供給し、冷却媒体循環系の冷却媒体を冷却媒体冷却手段で冷却することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理方法において、冷却媒体冷却手段は、冷却媒体循環系の途中に設けた熱交換器を介して冷却媒体を冷却することを特徴とする。
また、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理方法において、冷却媒体冷却手段は、冷却媒体循環系とは別途に冷却槽に連通する熱交換器を介して冷却媒体を冷却することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理方法において、冷却槽の気相中の排ガスは、燃焼脱臭処理もしくは酸化触媒を用いた燃焼脱臭処理することを特徴とする。
また、本発明の排ガスを含む排蒸気の処理方法において、冷却槽の気相中の排ガスは、生物脱臭処理するともに活性炭吸着処理することを特徴とする。
【0018】
本発明の有機性廃棄物処理システムは、有機性廃棄物を処理する回分式反応缶と、回分式反応缶から排出する排ガスを含む排蒸気の処理装置とを備え、前記排ガスを含む排蒸気の処理装置が、回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を冷却媒体との直接的な接触により復水させる混合復水器と、冷却媒体を貯溜し、混合復水器から排出する復水を含む冷却媒体が流入する冷却槽と、冷却槽の冷却媒体を混合復水器に供給する冷却媒体循環系と、冷却媒体循環系の冷却媒体を冷却する冷却媒体冷却手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、回分式反応缶から排出する復水を含む冷却媒体の熱を冷却槽に貯溜した冷却媒体で吸収するとともに、冷却槽に貯溜した冷却媒体を混合復水器に冷却媒体循環系を通して循環供給することで、冷却槽に貯溜する所定量の冷却媒体は漸次に昇温しながら回分式反応缶から排出する1回分の排ガスを伴う排蒸気の熱を一時的に吸収する。
【0020】
よって、冷却媒体を冷却する冷却媒体冷却手段の冷却能力に限定されることなく、冷却槽に貯溜した冷却媒体の冷却能力のみによって、回分式反応缶から排出する1回分の排ガスを伴う排蒸気を短時間の内に復水することが可能となり、回分式反応缶における回分処理のインターバルを短くすることが可能となる。
【0021】
また、冷却槽に貯溜する所定量の冷却媒体は回分式反応缶から排出する1回分の排蒸気の復水に供することで所定の上位温度にまで昇温し、冷却媒体冷却手段は上位温度に達した冷却媒体を冷却媒体循環系の途中に設けた熱交換器を介して冷却し、所定の下位温度にまで漸次に減温する。
【0022】
この場合に、冷却媒体冷却手段は、回分式反応缶における回分処理のインターバルの時間内、具体的には蒸気排出工程において冷却媒体を所定の下位温度にまで減温する必要はなく、回分式反応缶から次回に排蒸気を排出するまでの間に冷却媒体を所定の下位温度にまで減温すればよい。よって、冷却媒体冷却手段は、単位時間当たりに必要な冷却能力が、単位時間当たりに回分式反応缶から排出する排蒸気の復水に必要な冷却能力よりも小さくなる。
【0023】
また、回分式反応缶から排出する排ガスは臭気成分が高濃度であってもガス量は少ないので燃焼脱臭処理に適しており、回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を混合復水器において噴霧する冷却媒体との直接的な接触により復水させる場合には、排ガスが湿式洗浄され、排ガス中のハロゲンが復水および冷却媒体へ移行し、冷却槽の気相中の排ガスは触媒毒となるハロゲンを除去した状態となるので、触媒脱臭処理に適している。
【0024】
そして、回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を混合復水器において噴霧する冷却媒体との直接的な接触により復水させることで、回分式反応缶から排出する排ガス中の臭気成分が復水および冷却媒体へ移行する。この移行により臭気成分の濃度が低減されるので、冷却槽の気相中の排ガスは、生物脱臭処理するともに活性炭吸着処理することで効率良く除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、排蒸気の処理装置は、有機性廃棄物処理システムの回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を処理するものであり、有機性廃棄物処理システムおよび回分式反応缶は上述した従来の構成と同様であり、ここでは説明を省略する。なお、本発明は、上述した従来の有機性廃棄物処理システムを必ずしも前提とするものではなく、種々の排蒸気の処理に利用可能である。
【0026】
排ガスを含む排蒸気の処理装置は、主たる構成として、混合復水器51と、第1冷却槽52と、第2冷却槽53と、冷却水循環系54と、熱交換器55と、冷却媒体冷却手段をなすクーリングタワー56と、調整槽57と、排水処理設備58と、活性炭脱臭塔59とを備えている。
【0027】
混合復水器51は、冷却媒体である冷却水を噴霧し、回分式反応缶(図示省略)から排出する排ガスを伴う排蒸気50と冷却水との直接的な接触により復水させるものである。
第1冷却槽52は、回分式反応缶(図示省略)から排出する1回分の排ガスを伴う排蒸気50を復水するのに必要な所定量の冷却水を貯溜し、混合復水器51から排出する復水を含む冷却水が流入するものであり、第2冷却槽53は第1冷却槽52の水位を所定レベルに維持するためのであり、かつ沈殿槽を兼ねることも可能である。第1冷却槽52と第2冷却槽53は独立して設ける必要はなく、1槽を壁体で区分して使用しても良い。
【0028】
冷却水循環系54は循環ポンプ54aを備え、熱交換器55の一次側を通して冷却水を混合復水器51へ供給する。熱交換器55はプレート式の構造をなす。
クーリングタワー56は冷却媒体循環系54の途中に設けた熱交換器55の二次側との間に二次冷却水循環系56aおよび二次冷却水循環ポンプ56bを備え、熱交換器55を介して冷却水を冷却する。クーリングタワー56および熱交換器55を含む構成が冷却媒体冷却手段をなす。冷却媒体冷却手段は、冷却媒体循環系54とは別途に第1冷却槽52と第2冷却槽53に連通する系に、冷却媒体を冷却する熱交換器を設けることでも実現できる。
【0029】
第2冷却槽53は、移送ポンプ53aを介して調整槽57に連通し、調整槽57が投入ポンプ57aを介して排水処理設備58に連通する。排水処理設備58は脱窒槽58a、硝化槽58b、硝化槽58bに浸漬した膜分離装置58cを備えた密閉式の構造をなし、気相領域が活性炭脱臭塔59に連通している。脱窒槽58a、硝化槽58bには散気装置58dを有している。散気装置58dは吸引ファン60aおよび曝気ブロア60bを介して第1冷却槽52の気相領域に連通している。
【0030】
また、図1中において、71は水取器、72は計量槽、73は消泡剤注入装置、74は余剰汚泥槽、75は大気開放、76は下水道放流を示している。
上記した構成により、冷却水を噴霧する混合復水器51に、回分式反応缶(図示省略)から排出する排ガスを伴う排蒸気を導入し、混合復水器51において冷却水との直接的な接触により復水させる。よって、従来のシェルアンドチューブ式の間接冷却型に比べて、直接伝熱型の混合復水器51を用いることで、伝熱効率を高めて装置を小型化することができ、ダストの付着がないので、管理が容易となる。
【0031】
混合復水器51で凝縮した熱水の復水を含む冷却水は第1冷却槽52へ流入させ、排ガスも第1冷却槽52へ導く。第1冷却槽52では、回分式反応缶から排出する復水を含む冷却水の熱を、第1冷却槽52に貯溜した所定量の冷却水で吸収する。第1冷却槽52に貯溜した冷却水は第2冷却槽53、冷却水循環系54および熱交換器55を通して混合復水器51に循環供給する。
【0032】
このように、第1冷却槽52に貯溜した冷却水を混合復水器51に循環供給しつつ、第1冷却槽52に貯溜する所定量の冷却水が漸次に昇温しながら回分式反応缶から排出する1回分の排ガスを伴う排蒸気の熱を一時的に吸収する。
【0033】
よって、クーリングタワー56の冷却能力に限定されることなく、第1冷却槽52に貯溜した冷却水の冷却能力のみによって、回分式反応缶から排出する1回分の排ガスを伴う排蒸気を短時間の内に復水することが可能となり、回分式反応缶における回分処理のインターバルを短くすることが可能となる。
【0034】
第1冷却槽52に貯溜する所定量の冷却水は、回分式反応缶から排出する1回分の排蒸気の復水に供することで所定の上位温度、例えば80℃にまで昇温する。
一方で、クーリングタワー56により冷却水循環系54の途中に設けた熱交換器55を介して冷却水を冷却する。クーリングタワー56は、上位温度に達した冷却水を所定の下位温度、例えば30℃〜40℃にまで漸次に減温する。
【0035】
この際に、クーリングタワー56は、回分式反応缶における回分処理のインターバルの時間内、具体的には蒸気排出工程において冷却水を所定の下位温度にまで減温する必要はなく、回分式反応缶から次回に排蒸気を排出するまでの間に冷却水を所定の下位温度にまで減温すればよい。
【0036】
よって、熱交換器55およびクーリングタワー56は、単位時間当たりに必要な冷却能力が、単位時間当たりに回分式反応缶から排出する排蒸気の復水に必要な冷却能力よりも小さくなる。
【0037】
第2冷却槽53はダスト等の異物を沈殿除去し、冷却水の一部は調整槽57を通して排水処理設備58に供給して処理する。第1冷却槽52の気相領域の排ガスは排水処理設備58の散気装置58dから脱窒槽58a、硝化槽58bに曝気して生物脱臭処理し、さらに排水処理設備58の気相領域の排ガスは活性炭脱臭塔59において活性炭吸着処理する。回分式反応缶から排出する排ガス中の臭気成分は復水および冷却媒体へ移行して濃度が低減されるので、第1冷却槽52の気相領域の排ガスは、生物脱臭処理するともに活性炭吸着処理することで効率良く除去できる。
【0038】
生物脱臭は好気性微生物の働きで臭気を分解除去するものであり、曝気槽等に臭気を吹き込む方式と、スクラバー塔に活性汚泥を噴霧して臭気を接触させる方式、微生物を付着させたセラミック等の担体を充填した充填塔方式がある。
【0039】
生物脱臭は、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、アルデヒド類など多様な臭気の除去に効果が認められている。臭気は水に溶け込んだ後、好気性微生物により吸収資化されて分解されると考えられており、主に親水性の臭気成分に有効な方法である。
【0040】
一方、活性炭吸着は、活性炭を充填した吸着塔に臭気ガスを接触吸着除去する方法である。活性炭は疎水性の中和物質に効果的な吸着性を発揮するが、アンモニア、硫化水素などの低分子の極性物質には吸着性が低い。
【0041】
よって、排ガスは、生物脱臭処理するともに活性炭吸着処理することで効率良く除去できる。
本実施の形態では、曝気槽に臭気を吹き込む方式を採用する。これは水処理の曝気槽が曝気空気を吹き込むための装置を備えているので、脱臭のために新たに設備を追加することが必要でないことによるものであり、低コストで臭気を除去することができる。また、生物脱臭だけでは悪臭を排出基準以下に抑制することが十分に行えないので、仕上げの処理として活性炭吸着塔を設ける。
【0042】
第1冷却槽52の気相領域の排ガスは、燃焼脱臭処理もしくは触媒脱臭処理することも可能である。回分式反応缶から排出する排ガスは臭気成分が高濃度であってもガス量は少ないので、燃焼脱臭処理に適している。また、回分式反応缶から排出する排ガスは混合復水器51において噴霧する冷却水によって湿式洗浄され、排ガス中のハロゲンが復水および冷却水へ移行し、第1冷却槽52の気相領域の排ガスは触媒毒となるハロゲンを除去した状態となるので、触媒脱臭処理に適している。
【0043】
本実施の形態では、冷却媒体循環系54の途中に設けた熱交換器55を介して冷却水を冷却しているが、冷却媒体系とは別途に冷却槽に連通する熱交換器を介して冷却媒体を冷却しても良い。この場合は復水器の必要水量と熱交換器の必要水量を個別に設定できる。また、本実施の形態のように熱交換器での冷却水と冷却水との熱交換に替えて冷却水と空気との熱交換とすることも可能である。この場合に外気の空気温度に比べて冷却水の水温はかなり高いので効率的に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態における有機性廃棄物処理システムを示す模式図
【図2】従来の有機性廃棄物処理システムを示す模式図
【図3】従来の有機性廃棄物処理システムを示す模式図
【符号の説明】
【0045】
50 排ガスを伴う排蒸気
51 混合復水器
52 第1冷却槽
53 第2冷却槽
53a 移送ポンプ
54 冷却水循環系
54a 循環ポンプ
55 熱交換器
56 クーリングタワー
56a 二次冷却水循環系
56b 二次冷却水循環ポンプ
57 調整槽
57a 投入ポンプ
58 排水処理設備
58a 脱窒槽
58b 硝化槽
58c 膜分離装置
58d 散気装置
59 活性炭脱臭塔
60a 吸引ファン
60b 曝気ブロア
71 水取器
72 計量槽
73 消泡剤注入装置
74 余剰汚泥槽
75 大気開放
76 下水道放流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を冷却媒体との直接的な接触により復水させる混合復水器と、冷却媒体を貯溜し、混合復水器から排出する復水を含む冷却媒体が流入する冷却槽と、冷却槽の冷却媒体を混合復水器に供給する冷却媒体循環系と、冷却媒体循環系の冷却媒体を冷却する冷却媒体冷却手段を備えることを特徴とする排ガスを含む排蒸気の処理装置。
【請求項2】
冷却媒体冷却手段は、冷却媒体循環系の途中に設けた熱交換器を介して冷却媒体を冷却することを特徴とする請求項1に記載の排ガスを含む排蒸気の処理装置。
【請求項3】
冷却媒体冷却手段は、冷却媒体循環系とは別途に冷却槽に連通する熱交換器を介して冷却媒体を冷却することを特徴とする請求項1に記載の排ガスを含む排蒸気の処理装置。
【請求項4】
冷却槽が、回分式反応缶から排出する少なくとも1回分の排ガスを伴う排蒸気を復水するのに必要な所定量の冷却媒体を貯溜することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の排ガスを含む排蒸気の処理装置。
【請求項5】
前記冷却槽に連通して前記冷却媒体循環系内に介装した第2冷却槽を備え、第2冷却槽が沈殿槽を兼ねることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の排ガスを含む排蒸気の処理装置。
【請求項6】
熱交換器がプレート式の構造をなすことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の排ガスを含む排蒸気の処理装置。
【請求項7】
回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を混合復水器において噴霧する冷却媒体との直接的な接触により復水させ、混合復水器から排出する復水を含む冷却媒体を冷却槽へ流入させ、復水を含む冷却媒体の熱を冷却槽に貯溜した冷却媒体で吸収するとともに、冷却槽に貯溜した冷却媒体を混合復水器に冷却媒体循環系を通して循環供給し、冷却媒体循環系の冷却媒体を冷却媒体冷却手段で冷却することを特徴とする排ガスを含む排蒸気の処理方法。
【請求項8】
冷却媒体冷却手段は、冷却媒体循環系の途中に設けた熱交換器を介して冷却媒体を冷却することを特徴とする請求項7に記載の排ガスを含む排蒸気の処理方法。
【請求項9】
冷却媒体冷却手段は、冷却媒体循環系とは別途に冷却槽に連通する熱交換器を介して冷却媒体を冷却することを特徴とする請求項7に記載の排ガスを含む排蒸気の処理方法。
【請求項10】
冷却槽の気相中の排ガスは、燃焼脱臭処理もしくは酸化触媒を用いた燃焼脱臭処理することを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載の排ガスを含む排蒸気の処理方法。
【請求項11】
冷却槽の気相中の排ガスは、生物脱臭処理するともに活性炭吸着処理することを特徴とする請求項7から10の何れか1項に記載の排ガスを含む排蒸気の処理方法。
【請求項12】
有機性廃棄物を処理する回分式反応缶と、回分式反応缶から排出する排ガスを含む排蒸気の処理装置とを備え、前記排ガスを含む排蒸気の処理装置が、回分式反応缶から排出する排ガスを伴う排蒸気を冷却媒体との直接的な接触により復水させる混合復水器と、冷却媒体を貯溜し、混合復水器から排出する復水を含む冷却媒体が流入する冷却槽と、冷却槽の冷却媒体を混合復水器に供給する冷却媒体循環系と、冷却媒体循環系の冷却媒体を冷却する冷却媒体冷却手段を備えることを特徴とする有機性廃棄物処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−42342(P2010−42342A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207537(P2008−207537)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(595011238)クボタ環境サ−ビス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】