説明

排ガス浄化用フィルタ触媒

【課題】外周部に担持された触媒金属の利用効率を高めるとともに、フィルタ基材の熱損傷を防止する。
【解決手段】排ガス流入側端面11から全長の10%〜50%の範囲の触媒コート層2に、表面の輻射率εが0.50を超える高輻射部3を形成した。
中心部から外周部に輻射による熱伝達がなされるので、中心部の温度が低下し外周部の温度が上昇して均一化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンからの排ガスなど、パティキュレートを含む排ガスを浄化する排ガス浄化用フィルタ触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンについては、排ガスの厳しい規制とそれに対処できる技術の進歩とにより、排ガス中の有害成分は確実に減少されてきている。しかし、ディーゼルエンジンについては、有害成分がパティキュレート(粒子状物質:炭素微粒子、サルフェート等の硫黄系微粒子、高分子量炭化水素微粒子等、以下PMという)として排出されるという特異な事情から、規制も技術の進歩もガソリンエンジンに比べて遅れている。
【0003】
現在までに開発されているディーゼルエンジン用排ガス浄化装置としては、大きく分けてトラップ型の排ガス浄化装置(ウォールフロー)と、オープン型の排ガス浄化装置(ストレートフロー)とが知られている。このうちトラップ型の排ガス浄化装置としては、セラミック製の目封じタイプのハニカム体(ディーゼルPMフィルタ(以下 DPFという))が知られている。この DPFは、セラミックハニカム構造体のセルの開口部の両端を例えば交互に市松状に目封じしてなるものであり、排ガス下流側で目詰めされた流入側セルと、流入側セルに隣接し排ガス上流側で目詰めされた流出側セルと、流入側セルと流出側セルを区画するセル隔壁とよりなり、セル隔壁の細孔で排ガスを濾過してPMを捕集することで排出を抑制するものである。
【0004】
しかし DPFでは、PMの堆積によって圧損が上昇するため、何らかの手段で堆積したPMを定期的に除去して再生する必要がある。そこで従来は、圧損が上昇した場合に高温の排ガスを流通させたり、バーナあるいは電気ヒータ等で加熱することで堆積したPMを燃焼させ、 DPFを再生することが行われている。しかしながらこの場合には、PMの堆積量が多いほど燃焼時の温度が上昇し、それによる熱応力で DPFが破損する場合もある。
【0005】
そこで近年では、例えば特開平09−173866号公報に記載されているように、フィルタ基材( DPF)のセル隔壁の表面にアルミナなどからコート層を形成し、そのコート層に白金(Pt)などの触媒金属を担持した連続再生式フィルタ触媒が開発されている。このフィルタ触媒によれば、捕集されたPMが触媒金属の触媒反応によって酸化燃焼するため、捕集と同時にあるいは捕集に連続してPMを燃焼させることで捕集能を再生することができる。そして触媒反応は比較的低温で生じること、及び捕集量が少ないうちにPMを燃焼できることから、フィルタ基材に作用する熱応力が小さく破損が防止されるという利点がある。
【0006】
ところで DPF及びフィルタ触媒においては、外周部から熱を奪われるために、内周部より内周部の方が低温となる。そのためフィルタ触媒では、外周部に担持されている触媒金属を有効に利用することができない。また外周部にPMが多く堆積し、高温時にそれが一気に燃焼するために、フィルタ基材に熱損傷が生じるという問題がある。
【0007】
そこで国際公開WO2003/080219には、気孔率と熱伝導率を特定の範囲としたフィルタ触媒が提案されている。また特開2002ー161730号公報には、 DPFの下流側に通気性のある熱遮蔽部材を設置した排気ガス浄化装置が提案されている。さらに実開平05ー027218号公報には、 DPFの外側に、遠赤外線放射率の高い物質で被服した無機質繊維からなる断熱層を形成することが提案されている。
【0008】
これらの提案によれば、フィルタ触媒又は DPFの温度分布を均一にすることができ、熱損傷などの不具合を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開WO2003/080219
【特許文献2】特開2002ー161730号公報
【特許文献3】実開平05ー027218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、新規な構造のフィルタ触媒とすることで、外周部に担持された触媒金属の利用効率を高めるとともに、フィルタ基材の熱損傷を防止することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の排ガス浄化用フィルタ触媒の特徴は、排ガス下流側で目詰めされた流入側セルと、流入側セルに隣接し排ガス上流側で目詰めされた流出側セルと、流入側セルと流出側セルを区画し多数の細孔を有する多孔質のセル隔壁と、からなるフィルタ基材と、
セル隔壁の表面及び細孔内表面に形成され酸化物担体に触媒金属を担持してなる触媒コート層と、からなる排ガス浄化用フィルタ触媒であって、
触媒コート層の少なくとも一部に表面の輻射率εが0.50を超える高輻射部を有することにある。
【発明の効果】
【0012】
従来広く用いられている排ガス浄化用フィルタ触媒の触媒コート層は、その表面の輻射率εが0.20程度であった。しかし本発明の排ガス浄化用フィルタ触媒は、触媒コート層の少なくとも一部に表面の輻射率εが0.50を超える高輻射部を有している。したがって使用時に排ガスによって特に中心部の触媒コート層が加熱されると、高輻射部からの輻射によって熱が外周部側へ伝達されるため、従来の排ガス浄化用フィルタ触媒に比べて中心部の温度が低下し外周部の温度が上昇する。したがって触媒反応が内周部から外周部まで均一化される結果、外周部の触媒金属の利用効率が高まり浄化性能が向上する。これによって外周部におけるPMの燃え残りが減少し、外周部のPM堆積量が減少する結果、PM燃焼時の温度上昇が小さくなりフィルタ基材の熱損傷が防止される。
【0013】
ところが高輻射部の面積が所定範囲より大きくなると、触媒金属の活性に対する悪影響が表出して浄化性能が低下する場合がある。しかし高輻射部が排ガス流入側端面から全長の10%〜50%の範囲に形成され、かつ内周部から外周部まで形成されていれば、径方向の熱分布の均一化という効果に関しては高輻射部を全長に形成した場合と同等となる。したがって高輻射部を排ガス流入側端面から全長の10%〜50%の範囲に形成すれば、触媒活性への悪影響が回避され、費用を低減することも可能となる。また特に触媒金属が劣化し易い排ガス上流側に高輻射部を形成することで、触媒金属の劣化抑制に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る排ガス浄化用フィルタ触媒の模式的な断面図である。
【図2】実施例及び比較例のフィルタ触媒の構造を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のフィルタ触媒のフィルタ基材は、従来の DPFと同様の目封じタイプのハニカム形状である。このフィルタ基材は、コーディエライト、炭化ケイ素などの耐熱性セラミックスから製造することができる。例えばコーディエライト粉末を主成分とする粘土状のスラリーを調製し、それを押出成形などで成形し、焼成する。コーディエライト粉末に代えて、アルミナ、マグネシア及びシリカの各粉末をコーディエライト組成となるように配合することもできる。その後、一端面のセル開口を同様の粘土状のスラリーなどで市松状などに目封じし、他端面では一端面で目封じされたセルに隣接するセルのセル開口を目封じする。その後焼成などで目封じ材を固定することで製造することができる。
【0016】
フィルタ基材のセル隔壁に細孔を形成するには、上記したスラリー中にカーボン粉末、木粉、澱粉、樹脂粉末などの可燃物粉末などを混合しておき、可燃物粉末が焼成時に消失することで細孔を形成することができ、可燃物粉末の粒径及び添加量を調整することで表面空孔及び内部細孔の径の分布と開口面積を制御することができる。
【0017】
フィルタ基材のセル隔壁における細孔分布は、従来のフィルタ基材と同様に、気孔率が40〜80%、平均細孔径が10〜50μmの範囲とすることが好ましい。気孔率または平均細孔径がこの範囲から外れると、PMの捕集効率が低下したり、排気圧損が上昇したりする場合がある。
【0018】
セル隔壁の表面及び細孔内表面には、多孔質酸化物に触媒金属を担持してなる触媒コート層が形成されている。多孔質酸化物は、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニアなどの酸化物あるいはこれらの複数種からなる複合酸化物を用いることができる。
【0019】
触媒金属としては、Pt、Rh、Pd、Ir、Ruなどの白金族の貴金属から選ばれた一種あるいは複数種を用いることが好ましい。触媒金属の担持量は、ハニカム体の体積1Lあたり 0.1〜5gとするのが好ましい。担持量がこれより少ないと活性が低すぎて実用的でなく、この範囲より多く担持しても活性が飽和するとともにコストアップとなってしまう。
【0020】
触媒コート層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれるNOx 吸蔵材をさらに担持していることが望ましい。触媒コート層にNOx 吸蔵材を含めば、触媒金属による酸化によって生成したNO2 をNOx 吸蔵材に吸蔵でき、NOx の浄化活性が向上する。NOx 吸蔵材の担持量は、フィルタ基材の体積1リットルあたり0.05〜1.00モルの範囲とすることが好ましい。担持量がこれより少ないと活性が低すぎて実用的でなく、この範囲より多く担持すると触媒金属を覆って活性が低下するようになる。
【0021】
フィルタ基材に触媒コート層を形成するには、多孔質酸化物粉末をアルミナゾルなどのバインダ成分及び水とともにスラリーとし、そのスラリーをセル隔壁に付着させた後に焼成し、その後に触媒金属及びNOx 吸蔵材を担持すればよい。流出側セルと流入側セルで異種の多孔質酸化物を用いることもできる。スラリーをセル隔壁に付着させるには通常の浸漬法を用いることができるが、エアブローあるいは吸引によって、セル隔壁の細孔に強制的にスラリーを充填するとともに、細孔内に入ったスラリーの余分なものを除去することが望ましい。触媒コート層の形成量は、フィルタ基材の体積1Lあたり30〜 200gとすることが好ましい。
【0022】
高輻射部は、触媒コート層の少なくとも一部に設けられるが、内周部から外周部まで形成されていることが望ましい。このようにすることで、径方向の熱伝達が最大に進行し中心部と外周部との温度差をより小さくすることができる。また高輻射部は、触媒コート層の全体に形成することもできるが、高輻射部の面積が所定範囲より大きくなると触媒金属の活性に対する悪影響が表出して浄化性能が低下する場合がある。したがって高輻射部は、排ガス流入側端面から全長の10%〜50%の長さ範囲に形成することが好ましく、排ガス流入側端面から全長の20〜40%の長さ範囲に形成するのが特に望ましい。
【0023】
高輻射部は、表面の輻射率εが0.50を超えるものであるが、輻射率εが0.60以上であることが好ましく、0.80以上であることが特に好ましい。このような高輻射部を形成するには、触媒コート層中に高輻射物質を混合したり、触媒コート層の表面を高輻射物質で覆ったりすることで行うことができる。輻射率と反射率とは相反する物理量であるので、高輻射物質とは低反射物質であり、黒色物質ということができる。したがって触媒コート層に広く用いられているアルミナより黒色の物質を高輻射物質とすることができる。また高輻射物質は、少なくとも排ガス温度で安定である必要がある。
【0024】
このような高輻射物質として、例えばSiC を用いることができる。SiC 粉末を触媒コート層に混合してもよいし、触媒コート層の表面にSiC 粉末を含むスラリーをコートした後に乾燥、焼成して高輻射部を形成することもできる。またNiも高輻射物質に該当するので、例えば硝酸ニッケル水溶液を触媒コート層に含浸させ、それを乾燥、焼成して高輻射部を形成することができる。
【0025】
SiC 粉末を含むスラリーを触媒コート層の表面にコートして高輻射部を形成する場合は、高輻射部のコート厚さを10μm〜 100μmの範囲とすることが望ましい。コート厚さが10μmより薄いと表面輻射率εが0.50以下となり、 100μmより厚くなると触媒の活性が低下してしまう。
【0026】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0027】
図1に本実施例のフィルタ触媒の断面図を示す。このフィルタ触媒は、排ガス下流側で目詰めされた流入側セル10と、流入側セル10に隣接し排ガス上流側で目詰めされた流出側セル11と、流入側セル10と流出側セル11を区画し多数の細孔を有する多孔質のセル隔壁12とからなるフィルタ基材1を基体としている。流入側セル10の表面及びセル隔壁12の細孔には触媒コート層2が形成され、流入側セル10と細孔に形成された触媒コート層2の表面には全面に高輻射部3が形成されている。以下、このフィルタ触媒の製造方法を説明し、構成の詳細な説明に代える。
【0028】
γ-Al2O3粉末 100質量部と、ZrO2粉末50質量部と、CeO2粉末50質量部と、硝酸アルミニウム30質量部と、水酸化アルミニウム20質量部と、イオン交換水 150質量部を混合して懸濁液を調製した。
【0029】
この懸濁液をミリングして平均粒子径が 0.6μmのスラリーを調製し、フィルタ基材1(コージェライト製、直径 100mm、長さ 100mm、セル密度 400/in2 )の流入側セル10内に充填した後、流出側セル11側から吸引した。次いで同じスラリーを流出側セル11内に充填した後、流入側セル10側から吸引した。そして 120℃で2時間乾燥し、 500℃で1時間焼成して、コート層を形成した。コート層は 200g/L形成された。
【0030】
次に、Ptを2g含むジニトロジアミン白金溶液を全体に吸水させ、 250℃で1時間焼成してフィルタ基材1の1リットルあたり 1.5gのPtを担持した。次いで酢酸バリウム水溶液、硝酸カリウム水溶液、硝酸リチウム水溶液を、フィルタ基材1の1リットルあたりBa:0.05モル、K: 0.025モル、Li: 0.3モルとなるようにそれぞれ吸水させ、それぞれ 500℃で2時間焼成してNOx 吸蔵材を担持した。これにより触媒コート層2が形成された。
【0031】
続いて、SiC 粉末 100質量部と、アルミナゾル50質量部と、イオン交換水 150質量部を混合して懸濁液を調製した。この懸濁液をミリングして平均粒子径が 0.6μmのスラリーを調製し、触媒コート層2をもつフィルタ基材1の流入側セル10内に充填した後、流出側セル11側から吸引した。そして 120℃で2時間乾燥し、 500℃で1時間焼成して、高輻射部3を形成した。高輻射部3は50g/L(厚さ30μm)形成され、その輻射率εは0.80である。なお輻射率εはFT−IR(発光法)を用いて測定した。
【実施例2】
【0032】
実施例1と同様にして調製された触媒コート層2をもつフィルタ基材1を、SiC 粉末に代えて金属Ni粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして調製されたスラリーに浸漬し、実施例1と同様に高輻射部3を形成した。高輻射部3は50g/L(厚さ30μm)形成され、その輻射率εは0.80である。
【実施例3】
【0033】
高輻射部3の形成時に、排ガス流入側端面から50mmの長さ範囲のみにスラリーを充填し、引き上げて流出側セル11側から吸引したこと以外は実施例1と同様である。本実施例のフィルタ触媒では、図2に示すように、排ガス上流側1/2の範囲のみに輻射率εが0.80、厚さ30μmの高輻射部3が形成されている。排ガス下流側1/2の範囲における触媒コート層2の表面の輻射率εは0.40である。
【実施例4】
【0034】
高輻射部3の形成時に、排ガス流入側端面から25mmの長さ範囲のみにスラリーを充填し、流出側セル11側から吸引したこと以外は実施例1と同様である。本実施例のフィルタ触媒では、図3に示すように排ガス上流側1/4の範囲のみに輻射率εが0.80、厚さ50μmの高輻射部3が形成されている。排ガス下流側3/4の範囲における触媒コート層2の表面の輻射率は、輻射率εは0.40である。
【実施例5】
【0035】
高輻射部3の形成時に、排ガス流入側端面から8mmの長さ範囲のみにスラリーを充填し、流出側セル11側から吸引したこと以外は実施例1と同様である。本実施例のフィルタ触媒では、図4に示すように排ガス上流側8/100 の範囲のみに輻射率εが0.80、厚さ50μmの高輻射部3が形成されている。排ガス下流側92/100 の範囲における触媒コート層2の表面の輻射率は、輻射率εは0.40である。
〔比較例1〕
【0036】
高輻射部3を形成しなかったこと以外は実施例1と同様に調製された触媒を比較例1とした。全体の触媒コート層2の表面の輻射率εは0.40である。
【0037】
<試験・評価>
酸化触媒の下流側に上記した各フィルタ触媒をそれぞれ配置した触媒コンバータを形成し、2L直噴ディーゼルエンジンを搭載したエンジンベンチの排気系に各触媒コンバータをそれぞれ配置した。そして2000rpm での定常走行条件下にて、触媒コンバータの上流側で、排ガス中に軽油を1cc/秒の流量で60秒間添加した。
【0038】
添加された軽油は酸化触媒で燃焼され、その燃焼熱によって昇温された排ガスがフィルタ触媒に流入する。このときのフィルタ触媒への入りガス温度は 300℃であり、そのときのフィルタ触媒の軸心部で外周表面から10mmの部位(図1のP点)における温度をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。また軽油添加前のHC浄化率をそれぞれ測定し、結果を表1に併せて示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1より、実施例1、2のフィルタ触媒によれば外周部P点の温度が比較例1より50℃上昇している。これは高輻射部3を形成したことによって熱伝導効率が向上したためである。すなわち高輻射部3を形成したことによって、内周部の熱が熱輻射によって外周部に伝わり、外周部と内周部との温度差が小さくなっている。したがって温度分布を均一にすることができ、熱損傷などの不具合を抑制することができる。また外周部に担持されたPtの利用効率も向上する。
【0041】
また実施例3〜5でもこの効果が発現されていることから、排ガス上流側部のみに高輻射部3を形成してもよいことがわかる。しかし実施例5のように、高輻射部3が全長の8%ではこの効果が小さいので、高輻射部3は全長の10%以上形成するのが望ましいことがわかる。
【0042】
しかしHC浄化率の観点からは、実施例1、2では比較例1からの低下度合いが大きいので、高輻射部3は全長の50%以内とするのが好ましい。但し、高輻射部3の厚さが実施例3より薄ければ、高輻射部3の形成長さを50%以上とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の排ガス浄化用フィルタ触媒は、自動車ばかりでなく、船舶や列車など、PMを排出する内燃機関に用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
1:フィルタ基材 2:触媒コート層
3:高輻射部 12:セル隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス下流側で目詰めされた流入側セルと、該流入側セルに隣接し排ガス上流側で目詰めされた流出側セルと、該流入側セルと該流出側セルを区画し多数の細孔を有する多孔質のセル隔壁と、からなるフィルタ基材と、
該セル隔壁の表面及び該細孔内表面に形成され酸化物担体に触媒金属を担持してなる触媒コート層と、からなる排ガス浄化用フィルタ触媒であって、
該触媒コート層の少なくとも一部に表面の輻射率εが0.50を超える高輻射部を有することを特徴とする排ガス浄化用フィルタ触媒。
【請求項2】
前記高輻射部の輻射率εは0.60以上である請求項1に記載の排ガス浄化用フィルタ触媒。
【請求項3】
前記高輻射部の輻射率εは0.80以上である請求項2に記載の排ガス浄化用フィルタ触媒。
【請求項4】
前記高輻射部は内周部から外周部まで形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化用フィルタ触媒。
【請求項5】
前記高輻射部は前記フィルタ基材の排ガス流入側端面から全長の10%〜50%の長さ範囲に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化用フィルタ触媒。
【請求項6】
前記高輻射部は前記触媒コート層の表面に層状に形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の排ガス浄化用フィルタ触媒。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−201354(P2010−201354A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50286(P2009−50286)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(306032316)新日鉄マテリアルズ株式会社 (196)
【Fターム(参考)】