説明

排気ガス浄化システムのためのハニカム体

本発明は、排気ガス浄化システムのためのハニカム体に関する。このタイプのハニカム体は、例えば、内燃エンジンの排気システムにおける触媒活性コーティングのための基板本体として、またはフィルタ、吸収体もしくは混合体として使用され得る。本発明によるハニカム体は、チャネルと、軸の主要方向と、平面の前面と、平面の後面と、軸の主要方向に平行に配置される円周面と、を有するハニカム体であって、少なくとも前面および/または後面は、軸の主要方向に対して傾斜して配置される。このタイプのハニカム体は、特に、傾斜している後面または前面に対して還元剤を付与するのに有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化システムのためのハニカム体、ならびにそれらの製造方法およびそれらの排気ガス浄化システム内への統合に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のタイプのハニカム体は、例えば、触媒活性コーティングのための基板本体として、および/または内燃エンジンの排気システムにおけるフィルタ、吸収体もしくは混合体として使用され得る。(層状構造の)金属製のハニカム体および(押出)セラミックハニカム体が、この目的のために公知である。排気ガス浄化のために使用されるハニカム体は、通常、内燃エンジンによって排出される排気ガスに衝突される流入側を有するように特徴付けられる。流入側と隣接して、ハニカム体のチャネルが、排気ガスがハニカム体から再び出ていく流出側まで広がる。ハニカム体のチャネルは、通常、流れる排気ガスが接触する壁を有する。ハニカム体に流れる排気ガスの侵入は、ハニカム体の個々のチャネル内の排気ガスの分布に大きな影響を受ける。個々のチャネル内の排気ガスの特定の分布は、ハニカム体の流入側が設計される方法に従って設定される。ハニカム体の流入側の異なる設計は、従来技術において既に提案されており、例えば、チャネルの間の個々の壁が異なる範囲に突出するか、短くされているか、またはギザギザの流入側である。
【0003】
また、ハニカム体の流入側の構成はハニカム体の流れ抵抗に影響を及ぼす。なぜなら、クッション圧力が、通常、ハニカム体の上流に形成され、そのクッション圧力は、流入面の構成に影響を受ける場合があるからである。ハニカム体の流入側のみが、ハニカム体の流れ抵抗に影響を及ぼすだけでない。ハニカム体の流れ抵抗およびハニカム体の下流の排気ガス流の分布はまた、チャネルの端部の流出側における適切な構成によって影響を受ける場合がある。
【0004】
多くの場合、ハニカム体は、排気ガスまたは他の添加物の流動作用に適合するように排気ラインに搭載されることを目的とされるので、連続生産に関連した範囲内で高い精度および低い技術費用をどのように具現化できるかという課題も存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの出発点を考慮して、本発明の目的は、従来技術に関して明らかとなった技術的問題を軽減することである。特に、排気ガス流のために特定の有益な設計である、流入側および流出側により特徴付けられるハニカム体を特定することを目的とする。また、このタイプのハニカム体を製造するための方法を特定することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、請求項1の特徴によるハニカム体および請求項7の特徴によるハニカム体を製造するための方法によって達成される。ハニカム体のさらなる有利な実施形態は、それぞれの従属請求項に特定される。特許請求の範囲に個々に特定される特徴は、任意の所望の技術的に有意な方法において互いに組み合わされてもよく、特に図面と併せて説明のための事実により補足されてもよく、本発明のさらなる設計の変更が明らかになる。
【0007】
本発明によるハニカム体は、チャネルと、軸の主要方向と、平面の前面と、平面の後面と、軸の主要方向に平行に配置される円周面とを有し、少なくとも前面または後面は、軸の主要方向に対して傾斜して配置される。
【0008】
好ましくは、ハニカム体は複数のチャネルを有して形成され、適切な場合、それらは、互いに対して実質的に平行に延び、および/または軸の主要方向に対して実質的に平行に延びる。前面または後面は、特に実際に全て平面に存在する場合、および特に実質的に全てのチャネルおよび壁が、共通の平面の前面または後面において(一般の製造許容差内で)チャネル端部全体を画定する場合、「平面」であるとみなされる。ここで、「傾斜している」とは、特に、前面および/または後面が、ハニカム体の軸の主要方向に対して垂直に配置されている断面積に対して一定の角度で配置されていることを意味する。その角度は、例えば、30°から60°の間、好ましくは約45°であり得る。このタイプのハニカム体が排気システムに配置され、排気ガス流が、ハニカム体のこのように傾斜して配置された後面または前面に衝突する場合、排気ガスの一部は、より早くハニカム体のチャネル内を通過する。なぜなら、チャネルのいくつかは、後面または前面の傾斜のために、排気ガスの流れ方向において、より前方で始まるからである。このように衝突されるハニカム体の表面は排気システムにおける流れに有益であり得ることが見出されている。
【0009】
このタイプのハニカム体は、例えば、触媒コンバータ基板本体、フィルタ、吸収体または混合体として設計され、排気システムに統合されてもよい。
【0010】
このタイプのハニカム体は、チャネルを画定するチャネル壁を形成する少なくとも1つの少なくとも部分的に波形の金属層を有する場合、特に利点がある。金属層として、特に(全体または部分的に)波形および/または平滑な金属箔が考慮される。さらに、代替的または付加的に、不織金属(織物、編物、超微細ワイヤのタングル)または金属繊維マットの使用も可能である。金属層からなるハニカム体は、チャネル断面に関して薄いチャネル壁により特徴付けられる。このような薄い壁は、より低い流れ抵抗を生じる。さらに、金属製のハニカム体は非常に耐久性がある。典型的に、このような金属製のハニカム体を製造するために、複数の平滑および波形の金属層が、スタックとして一方の上に他方が配置される。特にこの場合、平滑な金属層は、不織金属であり得る。スタックとして一方の上に他方が配置される金属層は、次いで、コイル状にされるか、巻かれるか、または積み重ねられて、ハニカム構造を形成する。はんだ付けまたは溶接された接続が、金属層の間の接触点における所望の位置で形成される。ここで、全てのこのような接触点が、はんだ付けまたは溶接された接続を用いて形成されていなくてもよい。
【0011】
本発明によるハニカム体はまた、ハニカム体が、各々の場合、軸の主要方向に対して垂直である少なくとも1つの平面の側面を有する少なくとも2つのハニカム体セグメントを有して形成される場合、および少なくとも2つのハニカム体セグメントの前記垂直な側面が互いに面して配置される場合、利点がある。好ましくは、前記ハニカム体セグメントはまた、ハニカム体の(共通の)円周面を形成する。従って、2つのハニカム体セグメントの円周面が、互いに同一平面上に配置され、ハニカム体全体の円周面を一緒に形成することは利点がある。ここで、ハニカム体の平面の前面および平面の後面は、異なるハニカム体セグメントを有して形成され、例えば、第1のハニカム体セグメントが一方の側面である、平面かつ傾斜している前面を有して形成され、第2のハニカム体セグメントがもう一方の側面である、平面かつ傾斜している後面を有して形成される。次いで、軸の主要方向に対して垂直(直角)であるそれぞれの側面は、ハニカム体の平面の前面と平面の後面との間に配置される(例えば、互いに(小さい)隙間を有するか、または互いに直接隣接する)。
【0012】
構築される本発明のハニカム体を構成する2つのハニカム体セグメントは、排気システムにおいて異なるタスクを実施することができる。例えば、異なる種類の金属層(例えば金属箔および/または不織金属)を有するハニカム体セグメントが、それらの側面で互いに隣接して(接触して)配置されることが可能である。個々のハニカム体セグメントは、結合によって互いに接続されてもよい。ここで、特に溶接またははんだ付け接続が可能である。本発明によるハニカム体は、典型的に、ハニカム体の円周面に沿って延在するハウジングを有する。このハウジングは、多くの場合、ハニカム体のハニカム構造を形成する金属層の厚さより著しく厚い厚さを有する。個々のハニカム体セグメントはまた、通常、対応するハウジング部分を有する。具体的には、これらのハウジング部分は、それらの厚さにより、ハニカム体セグメントの互いに密接した結合を形成するために、特に適切である。少なくとも2つのハニカム体セグメントから構成される本発明によるハニカム体の構造は利点がある。なぜなら、この方法において、従来の製造プロセス(コイル状にしている、積み重ねているおよび/または巻いている金属層スタック)を用いて、傾斜している前面および/または後面を有するハニカム体の製造が非常に簡単に作製でき、全ての金属層が平面の傾斜している前面または後面で終端する。
【0013】
このタイプのハニカム体もまた、少なくとも2つのハニカム体セグメントの各々が、チャネルと、チャネル壁とを有し、少なくとも2つのハニカム体セグメントのチャネルが、軸の主要方向に沿って互いに同一平面上に配置される場合、本発明に従う。ここで、軸の主要方向に沿った2つのハニカム体セグメントのチャネルの「同一平面上」の配置とは、特に、チャネルが、典型的に、(著しく)遮られずに(排気ガスの流れ方向において)下流に配置されるハニカム体セグメント内のハニカム体において(排気ガスの流れ方向において)最初として配置されるハニカム体セグメントから延在することを意味する。ここで、「同一平面上」はまた、チャネルが一列に、対向して、および/または互いに結合するように配置されることを意味する。このような同一平面上の配置は利点がある。なぜなら、この方法において、ハニカム体自体における排気ガスのための内部の乱流領域が回避されるからである。特に、従来の製造許容差内で、好ましくは、金属層から形成され、互いに対して個々のチャネルを確定する全てのチャネルおよび特にまた、チャネル壁が、両方のハニカム体セグメントにおいて軸の主要方向に沿って互いに同一平面上に配置される場合、利点がある。このような配置は、特に、コイル状にされ、巻かれ、または積み重ねられる金属製のハニカム体である場合、2つのハニカム体セグメントの製造において高い度合いの正確さを必要とする。このような配置のために、2つのハニカム体セグメントの断面におけるチャネル配置の正確な一致が必要であり、その一致は、ハニカム体セグメントの製造の間の対応する高い度合いの正確性によって達成され得る。
【0014】
代替として、または2つより多いハニカム体セグメントが使用される場合、2つのハニカム体セグメントのチャネルの間に意図的にオフセットが提供されてもよい。このようなオフセットは、排気ガスの流れ方向においてその下流に配置される、ハニカム体セグメント内の流れ方向において最初に配置されるハニカム体セグメントからの遷移部において排気ガスのための乱流および/または偏向領域を生成できる。ここで、特に、排気システムにおけるハニカム体セグメントが異なる機能(触媒コンバータ基板本体、フィルタ、吸収体および/または混合体)を有する場合、このようなオフセットが提供されることは利点があり得る。
【0015】
さらに、個々のハニカム体セグメントが、本発明によるハニカム体を形成するために、軸の主要方向に対して垂直でない側面、特に傾斜している側面で一緒に結合されることも可能である。
【0016】
さらにまた、軸の主要方向、最も長い軸範囲および最も短い軸範囲に対して平行である、ハニカム体を有することも利点があり、ここで、最も長い軸範囲は最も短い軸範囲より著しく長い。ハニカム体の軸範囲の間の差異は、特に、(1)傾斜している前面のみを有する、または(1)傾斜している後面のみを有する設計のために生じる。ここでまた、特に、ハニカム体の最も長い軸範囲は、最も短い軸範囲の少なくとも5倍、特に少なくとも10倍長いことが有益である。ハニカム体のこのような設計は、ハニカム体のチャネルの一部、特に最も短い軸範囲の領域におけるチャネルが、他のチャネルより、排気ガス流のためのかなり低い流れ抵抗を有するという効果がある。ハニカム体の最も長い範囲の領域におけるチャネルは通常、最も高い流れ抵抗を有する。ハニカム体ならびにまたハニカム体の上流および下流に配置される排気ラインにおける排気ガスの流量分布は、チャネルの長さのこのような分布による影響を受ける。従って、このタイプのハニカム体は、排気ガスの流れの混合を得るのに特に適切である、特定の流れプロファイルを生成するために使用され得る。特に、ハニカム体が傾斜している前面および傾斜している後面を有する場合、ハニカム体は、本明細書で記載されているように設計されている少なくとも2つのハニカム体セグメントによって形成されてもよく、ここで、等しい長さのチャネルが再び、組み合わせの結果として全体にわたって形成される。
【0017】
ハニカム体はまた、平面の前面および平面の後面が、互いに実質的に平行に配置される場合、本発明に従う。このタイプのハニカム体は、断面全体にわたってほぼ同一のチャネルの長さを有し、その結果として、ハニカム体の流れ抵抗は、断面全体にわたってほぼ等しく、従って、排気ガスの均一の分布がハニカム体で生成され、それにも関わらず、傾斜している前面および後面が同時に提供される。このタイプのハニカム体は、例えば、実質的に、側面から(または断面で)見た場合、平行四辺形の形状を有する。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、ハニカム体を製造するための方法が特定され、少なくとも以下の工程:
a)元型のハニカム体の軸の主要方向に対して垂直な2つの側面を有する元型のハニカム体を提供する工程と、
b)傾斜線に沿って元型のハニカム体を分離して、2つのハニカム体セグメントを形成する工程と、
c)互いに面するように2つの側面を配置する工程と、
d)2つのハニカム体セグメントを互いに接続する工程と、
を有する。
【0019】
特に、本発明によるハニカム体を製造するのに適切な方法がここで記載される。
【0020】
工程a)の間、例えば、公知の製造方法を用いて確実および高精度に製造されている、既に仕上げられた元型のハニカム体が使用されてもよい。ここで、特に、既にハウジングに結合されている元型のハニカム体が使用されてもよい。すなわち、例えば、金属層を有する元型のハニカム体は、ハウジング内に挿入され、はんだ付けされている複数の平行したチャネルを有するハニカム構造を形成する。次いで、工程b)において、少なくとも1つの元型のハニカム体は、複数のハニカム体セグメントが形成されるように分離される。ここで、好ましくは、ここで形成される各部分は、ハニカム体セグメントである。すなわち、特に廃棄物が生成されない(つまり、ハニカム体セグメントの体積の合計は、元型のハニカム体の体積に実質的に対応する)。ここで、分離プロセスの間、ハウジングおよび/または全てのチャネルが分割されることが好ましい。これは、例えば、元型のハニカム体の材料を考慮して選択される対応する(例えば機械的および/または熱的)切断プロセスによって行われ得る。工程c)において、このように製造されるハニカム体セグメントは、次いで、工程b)で形成されたものに関して、それらの順序に関して再配列される。すなわち、元型のハニカム体を画定し、最初は互いから離れて向いていた垂直な側面が、ここで、互いに面して配列される(「向かい合う」配列)。この目的のために、垂直な側面を有する2つのハニカム体セグメントが、例えば各々の場合、180°回転され、次いで2つのハニカム体セグメントの軸の主要方向が対向する方向に延びる。ハニカム体の製造のために、次いでハニカム体セグメントは、直接または間接的に互いに結合(例えばハウジング部分に溶接)され、安定なアセンブリが再び形成される。
【0021】
金属層から構成されるハニカム体の古典的な製造プロセス(積み重ね、巻きおよび/またはコイル状にする)のために、平面な側面を有するハニカム体の製造は問題があることは既に記載されている。この理由のために、このようなハニカム体の平面の前面または後面が、例えば傾斜切断によって元型のハニカム体から製造されることは利点がある。例えば、元型のハニカム体が、軸の主要方向に対して垂直(直角)に面する古典的な円筒形ハニカム体である場合、このように2つのハニカム体セグメントを簡単な方法で製造することが可能である。しかしながら、複数のハニカム体セグメントを、垂直および傾斜切断を交互にすることによって製造することも可能である。従って、切断(例えば、切断、レーザーカットなどの分離プロセス)によって共通の元型のハニカム体から製造される2つのハニカム体セグメントから構成される本発明によるハニカム体の製造は、特に利点がある。なぜなら、この方法で製造されるハニカム体セグメントに関して、2つのハニカム体セグメントのチャネルが、金属層スタックの積み重ね、巻きおよび/またはコイル状にする間にチャネル配置の一致に関して特に考慮を必要とせずに、互いにほぼ同一の平面上で配置されることが確保される。
【0022】
また、本明細書で特定されるのは、本発明によるハニカム体を有するか、または本発明による方法によって製造されたハニカム体を有する排気ライン部分であり、その排気ライン部分上に、少なくとも1つの分岐部が設けられ、その分岐部は伸長方向を有し、その分岐部は、ハニカム体の傾斜している前面または後面に向かい合って配置され、それぞれの前記傾斜している前面または後面の方を向いている。ここで、伸長方向は、それぞれの傾斜している前面または後面に(ほぼ)垂直に配置され、特に(例えば軸の主要方向または中心軸の領域において)それぞれの傾斜している前面または後面と中心で交差することが好ましい。ここで、「垂直」とは、伸長方向と前面または後面との間の70°〜90°、特に80°〜90°の角度を意味することが理解される。
【0023】
このような排気ライン部分は、排気システムに容易に統合できる。排気ラインにおける分岐部は、特に、排気ガスをモニタするための排気ライン部分のプローブおよび/または例えば還元剤のための供給部に配置するのに適切である。ハニカム体の傾斜している前面および/または後面に関連する分岐部の伸長方向の配置のために、供給される還元剤は、ハニカム体に直接および均一に分配されるように付与できる。傾斜している構成により、例えば別の偏向を用いることなく、ハニカム体の前面または後面に対する還元剤の直接的な付与が可能となる。
【0024】
製造に関して、適切な場合、ハニカム体が、少なくとも傾斜している前面または後面において、または近接して、排気ライン部分に結合することによって(例えば溶接接続によって)接続される、さらなる工程e)もまた、付加されてもよいことが留意されるべきである。ハニカム体の傾斜している前面および傾斜している後面が、各々排気部分に接続される場合、排気ライン部分が、1つの元型の排気管から形成されることが好ましく、(元型のハニカム体に関する工程bと同様に)傾斜切断により分離される。ハニカム体セグメントおよび排気ライン部分の2つの傾斜している接触面(互いに統合されている)は互いに一致し、互いに正確に結合され得る。
【0025】
内燃エンジンと、主要流れ方向(内燃エンジンから離れて排気ラインを通る)を有する排気ラインを有し、本発明による少なくとも1つのハニカム体または本発明による方法によって製造されたハニカム体または本発明による少なくとも1つの排気ライン部分を有する排気システムと、を有する自動車もまた、特定され、その排気システムは、還元剤のための供給部を有し、その供給部は、主要流れ方向においてハニカム体の下流に配置され、供給される還元剤は後方で衝突する。すなわち、好ましくは、ハニカム体の傾斜している前面または後面上で、主要流れ方向と少なくとも部分的に対向して衝突する。
【0026】
この方法で配置される、ハニカム体の流出側上の還元剤の注入も特に利点がある。なぜなら、還元剤は最初に、ハニカム体の後方のチャネル壁に付着するので、還元剤が熱分解により変換される間に生じる滞留時間が存在するからである。ハニカム体のチャネル壁に、還元剤が衝突する表面の領域において加水分解作用コーティングが提供されてもよく、それにより、還元剤はまた、加水分解により変換される。いずれの場合にも、このように簡単な方法で、還元剤(例えば尿素溶液)が冷排気ラインに定着せずに、そこで堆積を形成しない。
【0027】
本発明および技術分野を図面に基づいて以下により詳細に説明する。図面は特に好ましい例示的な実施形態を示すが、本発明はそれに限定されない。特に図面および特に例示した比率は単なる概略であることに留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は本発明によるハニカム体である。
【図2】図2は本発明による集合されたハニカム体である。
【図3】図3は本発明による集合されたハニカム体である。
【図4】図4は本発明によるハニカム体を有する排気システムを有する自動車である。
【図5】図5は本発明による排気ライン部分である。
【図6】図6は本発明によるハニカム体の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1、2および3は、本発明によるハニカム体1を示す。ハニカム体1は、各々の場合において、前面4および後面5を有する。ハニカム体1はまた、各々の場合において、円周面6およびその円周面6に平行な軸の主要方向3を有する。円周面6は好ましくは円筒形である。しかしながら、矩形もしくは角が丸い矩形の形態の円周面6または楕円形および/もしくは角が丸い三角形である円周面6でもよい。各々のハニカム体1はまた、複数のチャネル2およびチャネル壁8を有する。ここで、ハニカム体1は例えば金属層7から形成される。
【0030】
図1に示したハニカム体1において、軸の主要方向3(本明細書において中心軸とも称される)に対して角度22で傾斜して前面4のみが配置される。図2および3におけるハニカム体1において、各々の場合、前面4および後面5は、軸の主要方向3(本明細書において中心軸とも称される)に対して角度22で傾斜して配置される。角度22は、前面4と後面5で必ずしも同じ必要はない。
【0031】
本発明によるハニカム体1は、軸の主要方向3に沿って最も長い軸範囲11および最も短い軸範囲12を有することも図1に見られ得る。さらなる技術的特徴として、図1において、1つのチャネル2から隣接して配置されるチャネル2へハニカム体1内の排気ガスを偏向させる偏向構造23を有して、ハニカム体1の金属層7が提供される。典型的に、金属層7において偏向構造23の近くに開口も金属層7に提供されるが、開口は図1には示していない。また、本発明によるハニカム体1における偏向構造23は、例えば、排気ガスが、特に、最も短い軸範囲12に近接する短い軸のチャネル長さの領域から、最も長い軸範囲11に近接する長い軸のチャネル長さの領域の方向に偏向されるように配置されてもよい。また、後の図面と併せて説明されるように、前記ハニカム体1はまた、ハニカム体セグメント9の形態で形成されてもよく、ここで、参照が前記説明と同様になされる。
【0032】
図2および3における本発明によるハニカム体1は、各々の場合において、互いに面する、軸の主要方向3に対して垂直(直角)である側面10を有して配置される複数のハニカム体セグメント9から形成される。図2において、ハニカム体セグメント9の1つ、特にハニカム体の軸の端部を形成せずに、むしろ中心に配置される1つは、2つの垂直な側面10を有する。前記ハニカム体セグメント9は、さらに偏向構造23により特徴付けられる。特に、このような配置に関して、排気ガスの流れ方向において(間接的に)連続して、傾斜前面を有するハニカム体セグメントは、加水分解コーティングを有して形成され、2つの垂直な側面を有する中心のハニカム体セグメントは、SCR触媒コンバータを形成し、流出面を形成するハニカム体セグメントは酸化触媒コンバータである。2つの垂直な側面を有する中心のハニカム体セグメントはまた、特に、3方向触媒コンバータであってもよく、および/または適切な場合、異なる領域において異なるコーティングを有してもよい。ハニカム体セグメントは、例えば、互いに溶接されるハニカム体セグメントのハウジング部分によって互いに直接接続されることが好ましい。
【0033】
また、図3において、個々のハニカム体セグメント9のチャネル2は、互いに対してオフセット24を有して配置されてもよく、それにより、乱流および通路混合ゾーンが、1つのハニカム体セグメントから後のハニカム体セグメントに遷移して形成される。
【0034】
図4は、内燃エンジン17を有し、さらに、排気ライン19において本発明によるハニカム体1を有する排気システム18を有する、本発明による自動車16を示す。内燃エンジン17において産生される排気ガスは、流れ方向20において内燃エンジン17から離れて排気ライン19に沿って流れる。流れ方向20に沿って、排気ガスは、最初に、本発明によるハニカム体1の前面4に衝突する。この排気ガスは、続いて、還元剤のための供給部21によって還元剤で湿潤され得る後面5を介して本発明によるハニカム体1から出ていく。この供給部21は、排気ガスのための流れ抵抗の構成要素となる偏向を有する。排気ガスは、続いて、典型的にSCR触媒コンバータであり得る触媒コンバータ28を通過する。
【0035】
図5は、ハニカム体1を有する排気ライン部分13を示す。この排気ライン部分13は、本発明によるハニカム体1の前面4に対して垂直(直角)に位置付けられる伸長方向15を有する分岐部14を有する。還元剤のための供給部21(その供給部は前記分岐部14に配置される)は、排気ライン19において流れ抵抗を構成せずに、前面4上に正面向きで還元剤を付与できる。なぜなら、供給部21の偏向は、ここでは必要とされないからである。流れの態様から逆に配置構成することにより、還元剤が後面5上に供給できることも明らかである。
【0036】
図6はハニカム体1の断面を示す。ここで、特に、ハニカム体1が、チャネル2を形成する平滑なシート金属層26および波形のシート金属層27の複数のスタックから構成されることが見られ得る。そのスタックは、ハウジング25において互いに対してねじれて配置される。
【0037】
従って、本発明は、排気ガス浄化システムのためのハニカム体に関する。このタイプのハニカム体は、例えば、内燃エンジンの排気システムにおける触媒活性コーティングのための基板本体として、またはフィルタ、吸収体もしくは混合体として使用され得る。本発明によるハニカム体は、チャネルと、軸の主要方向と、平面の前面と、平面の後面と、軸の主要方向に平行に配置される円周面とを有するハニカム体であり、少なくとも前面および/または後面は、軸の主要方向に対して傾斜して配置される。このタイプのハニカム体は、特に、傾斜している後面または前面に還元剤を付与するのに有利である。
【符号の説明】
【0038】
1 ハニカム体
2 ダクト
3 軸の主要方向
4 前面
5 後面
6 円周面
7 金属層
8 ダクト壁
9 ハニカム体セグメント
10 垂直な側面
11 最も長い軸範囲
12 最も短い範囲
13 排気ライン部分
14 分岐部
15 伸長方向
16 自動車
17 内燃エンジン
18 排気システム
19 排気ライン
20 主要流れ方向
21 供給部
22 角度
23 偏向構造
24 オフセット
25 ハウジング
26 平滑なシート金属層
27 波形のシート金属層
28 触媒コンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル(2)と、軸の主要方向(3)と、平面の前面(4)と、平面の後面(5)と、前記軸の主要方向(3)に平行に配置される円周面(6)と、を有するハニカム体(1)であって、少なくとも前記前面(4)または前記後面(5)は前記軸の主要方向(3)に対して傾斜して配置される、ハニカム体(1)。
【請求項2】
前記ハニカム体(1)は、前記チャネル(2)を画定するチャネル壁(8)を形成する少なくとも1つの少なくとも部分的に波形の金属層(7)を有する、請求項1に記載のハニカム体(1)。
【請求項3】
前記ハニカム体(1)は、各々、前記軸の主要方向(3)に対して垂直である少なくとも1つの平面の側面(10)を有する少なくとも2つのハニカム体セグメント(9)を有して形成され、前記少なくとも2つのハニカム体セグメント(9)の垂直な前記側面(10)は互いに面して配置される、請求項1または2に記載のハニカム体(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つのハニカム体セグメント(9)は、各々、チャネル(2)と、チャネル壁(8)とを有し、前記少なくとも2つのハニカム体セグメント(9)の前記チャネル(2)は、前記軸の主要方向(3)に沿って互いに同一平面上で配置される、請求項3に記載のハニカム体(1)。
【請求項5】
前記ハニカム体(1)は、前記軸の主要方向、最も長い軸範囲(11)および最も短い軸範囲(12)に平行であり、前記最も長い軸範囲(11)は、前記最も短い軸範囲(12)より著しく長い、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム体(1)。
【請求項6】
前記平面の前面(4)および前記平面の後面(5)は実質的に互いに平行に配置される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム体(1)。
【請求項7】
少なくとも以下の工程:
a)元型のハニカム体の軸の主要方向に対して垂直である2つの側面(10)を有する元型のハニカム体を提供する工程と、
b)傾斜線に沿って前記元型のハニカム体を分離して、2つのハニカム体セグメント(9)を形成する工程と、
c)互いに面するように前記2つの側面(10)を配置する工程と、
d)前記2つのハニカム体セグメント(9)を互いに接続する工程と、
を有する、ハニカム体(1)を製造するための方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム体(1)または請求項7に記載の方法によって製造されたハニカム体(1)を有する排気ライン部分(13)であって、前記排気ライン部分(13)上に、少なくとも1つの分岐部(14)が設けられ、前記分岐部(14)は伸長方向(15)を有し、前記分岐部(14)は、前記ハニカム体(1)の傾斜している前面(4)または傾斜している後面(5)に向かい合うように配置され、かつ、前記傾斜している前面(4)または後面(5)の方を向いている、排気ライン部分(13)。
【請求項9】
内燃エンジン(17)と、主要流れ方向(20)を有する排気ライン(19)を有する排気システム(18)と、を有する自動車(16)であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのハニカム体(1)、または
請求項7に記載の方法によって製造されるハニカム体、または
請求項8に記載の少なくとも1つの排気ライン部分(13)、
を有し、前記排気システムは還元剤のための供給部(21)を有し、前記供給部は、前記主要流れ方向(20)において前記ハニカム体(1)の下流に配置されるので、供給される還元剤が、前記ハニカム体(1)の傾斜している前面(4)または後面(5)に対して後方で衝突する、自動車(16)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−522159(P2012−522159A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501220(P2012−501220)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052465
【国際公開番号】WO2010/108755
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(500038927)エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンス テクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング (156)
【Fターム(参考)】